JP6762159B2 - 揮発性薬剤含有フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は揮発性薬剤含有フィルムおよびその製造方法に関する。
抗菌剤、防虫剤、香料などの常温で揮発する薬剤をフィルムに含有させ、薬剤を徐放させることで薬剤の効能を発揮させる揮発性薬剤含有フィルムが知られている。
例えば、食品の鮮度を保持し、抗菌性を付与することを目的として、揮発性の抗菌剤を含有させたフィルムが食品の包装材や食品上に載せるフィルムとして用いられている。このような抗菌剤としては、例えば、カラシやワサビに含まれるイソチオシアン酸アリルのような抗菌剤が用いられてきた。
イソチオシアン酸アリルは液状薬剤であり、このような液状薬剤をフィルムに担持させるために、特許文献1では、基材上に粘着剤層を形成した後に、粘着剤層にイソチオシアン酸エステル類を含浸させる手段を採用している。
上記の方法では、有機溶剤に溶解させた粘着剤を基材上に塗布し、乾燥により有機溶剤を除去した後、粘着剤層を形成する。このため、有機溶剤を乾燥する工程が必要となる上に、そのための熱エネルギーも必要となる。さらに、製造工程上、揮発性薬剤を含浸させるまでの間、粘着剤を保護するための工程用剥離フィルムを粘着剤層に貼付する必要がある。
このため、特許文献2では、接着剤となり得る樹脂を揮発性薬剤に溶解させて得られる溶液を揮発性薬剤不透過性フィルムに塗布した後、揮発性薬剤透過性層を貼着する、揮発性薬剤徐放化シートの製造方法が開示されている。特許文献2には、上記方法によれば、有機溶剤を使用する必要がなく、また、工程用剥離フィルムを用いる必要もなく、さらに、揮発性薬剤を均一にシートに含有させることができるとある。ここで、特許文献2では、接着剤となりうる樹脂を揮発性薬剤に溶解させる必要があるので、揮発性薬剤はそれ自体が常温付近において液状、または他の液状揮発性薬剤に溶解して液状でなければならないとある。
特開平6−212136号公報 特開2000−343640号公報
しかしながら、接着剤に液状の揮発性薬剤を混合すると、特に、薬剤の効果を発現するような濃度で混合すると、接着剤の粘度が大きく低下しやすいという問題点があった。接着剤の流動性が高いと、他の部材を積層させる際に、貼り合わせる圧力で、端部から接着剤が流れ出したりする場合があった。特に、ロール状にフィルムを巻き取る場合、巻き取り芯に近い部分では積層方向に積層体に大きな力が加わるために、さらに端部からの接着剤のはみだしが顕著にみられるという問題があった。接着剤がはみ出すことによって、接着剤層自体の厚みが薄くなるため、フィルムに担持されている薬剤の量が減少するという問題点があった。
そこで本発明は、含有させる薬剤量を増加させることができる揮発性薬剤含有フィルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、基材と、接着剤層と、揮発性薬剤透過性層と、がこの順に隣接して配置される揮発性薬剤含有フィルムであって、前記接着剤層は、揮発性薬剤および接着剤を含む組成物を用いて作製され、基材および揮発性薬剤透過性層の少なくとも1層の接着剤層面のJIS B 0601:2013で規定される粗さ曲線要素の平均高さRcが0.30μm以上であり、前記Rcが0.30μm以上である接着剤層面の凹部が接着剤層を保持する、揮発性薬剤含有フィルムである。
本発明によれば、凹凸を有する接着剤層に隣接する少なくとも1層の凹部が接着剤層を保持することによって、端部からの薬剤の流出を抑制することができ、ゆえにフィルム内の薬剤の含有量を増加させることができる。
揮発性薬剤含有フィルムの一実施形態を示す断面模式図である。 図2(A)は、本発明の一形態に係るフィルムの製造方法によって製造されうるフィルムのその他の一例である、ロール状の揮発性薬剤含有フィルムの斜視模式図である。図2(B)は、当該ロール状の揮発性薬剤含有フィルムを形成する揮発性薬剤含有フィルムの、B位置における拡大概略断面図である。
本発明の第一実施形態は、基材と、接着剤層と、揮発性薬剤透過性層と、がこの順に隣接して配置される揮発性薬剤含有フィルムであって、接着剤層は、揮発性薬剤および接着剤を含む組成物を用いて作製され、基材および揮発性薬剤透過性層の少なくとも1層の接着剤層面のJIS B 0601:2013で規定される粗さ曲線要素の平均高さRcが0.30μm以上であり、Rcが0.30μm以上である接着剤層面の凹部が接着剤層を保持する、揮発性薬剤含有フィルムである。
以下、Rcが0.30μm以上である接着剤層面を有する接着剤層に隣接する層(基材および/または揮発性薬剤透過性層)を単に隣接層とも称する。
当該構成とすることで、揮発性薬剤の混合によって接着剤の粘度が低下しても、隣接層に配置される凹部に接着剤層が保持されるので、接着剤が流れ出すことが抑制される。ゆえに、接着剤層に揮発性薬剤を高濃度に担持することができる。さらに、接着剤が液状の揮発性薬剤と混合され、相溶しているので、接着剤層を形成する際に接着剤を溶解させる有機溶媒を使用する必要がなく、有機溶媒の乾燥工程における薬剤の揮発を抑制することができ、ゆえに揮発性薬剤を接着剤層に高濃度に担持することができる。さらには、接着剤が揮発性薬剤と混合され、相溶しているので、接着剤層内で揮発性薬剤が均一に存在することができ、また、高濃度で薬剤を担持することができるので、例えば、弁当箱内で使用される抗菌、鮮度保持を目的とするフィルムの全面に薬剤を均一かつ高濃度に担持させることができる。
以下、添付した図面を参照しながら、本実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性の測定等は、室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で行う。
また、揮発性薬剤を単に薬剤とも称する。
図1は、本発明の揮発性薬剤含有フィルムの一実施形態を示す断面模式図である。図1において、揮発性薬剤含有フィルム10は、基材11、接着剤層12および揮発性薬剤透過性層13から構成される。図1の形態においては、揮発性薬剤透過性層13の接着剤層面14のRcが0.30μm以上であり、表面が凹凸を有する。揮発性薬剤透過性層13の接着剤層面14の凹部15に接着剤層12が保持されている。このため、例えば、厚み方向に圧力がかかっても接着剤が端部から流れ出すことが抑制される。本形態では、揮発性薬剤透過性層13が隣接層であるが、例えば、基材の接着剤層面のRcが0.30μm以上であってもよく、すなわち、基材が隣接層であってもよい。また、接着剤層に隣接する基材または薬剤透過性層のいずれか一方の層の接着剤層面のRcが0.30μm以上であってもよく、基材および薬剤透過性層の双方の層の接着剤層面のRcが0.30μm以上であってもよい。好ましくは、加工性の点から少なくとも基材の接着剤層面のRcが0.30μm以上である。
揮発性薬剤含有フィルムは、図1のように基材、接着剤層、揮発性薬剤透過性層が互いに隣接して配置される限り、また、本発明の効果が奏される限り、接着剤層が隣接しない側の基材上、揮発性薬剤透過性層上に他の層を有していてもよい。かような他の層としては、後述する揮発性薬剤透過性層上に配置される保護フィルムなどが挙げられる。
なお、「隣接層の凹部に接着剤層が保持されている」とは、凹部に少なくとも一部の接着剤層が配置されることを意味し、凹部のすべてに接着剤層が存在することのみならず、凹部の一部に接着剤層が存在する形態も含む。隣接層の凹部に接着剤層が保持されていることは、電子顕微鏡などを用いてフィルム断面を観察することにより確認することができる。
接着性の観点からは、接着剤層は、隣接層界面の凹凸に対応して接着剤層の界面が凸凹形状となっていることが好ましい(図1参照)。隣接層界面の凹凸部が、接着剤層の隣接層側表面の凸凹部となることは、電子顕微鏡などの観察手段で、隣接層表面の凹部と、接着剤層表面の凸部とが対応していることで判別することができる。このような形状は、例えば、後述するように、流動性のある接着剤組成物を隣接層のRcが0.30μm以上である面に塗布して、隣接層の凹凸を転写することによって得ることができる。
接着剤層に隣接する少なくとも一方の隣接層の接着剤層面のJIS B 0601:2013で規定される粗さ曲線要素の平均高さRc(以下、単にRcとする)は0.30μm以上である。Rcが0.30μm未満であると、隣接層の接着剤層面に形成される凹凸高さが低いために、接着剤層が保持されにくくなり、特に厚み方向に圧がかかった状態では、端部からの接着剤のはみだしを抑制することができない。該Rcは薬剤担持とフィルムの透明性との両立を考慮すると、0.40〜5.00μmであることが好ましく、0.40〜4.00μmであることがより好ましく、0.40〜2.00μmであることがさらに好ましく、0.50〜1.00μmであることが特に好ましい。
本明細書においてRcはJIS B0601:2013に準じて接触式表面粗さ計(たとえば、ミツトヨ社製;サーフテストエクストリーム SV−3000 CNC)で粗さ測定の基準長さ10mmとし、フィルムの幅方向で3回、長さ方向で3回測定し、その平均した値である。また、測定値は小数点第3位まで求め、平均値は小数点第2位まで求めた値とする。
接着剤層面のRcが0.30μm以上である隣接層としては、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂層に粒子を含有させることにより樹脂層表面に凹凸を形成する形態;樹脂層に不織布又は紙を貼り合わせることにより、樹脂層の反対側の表面に凹凸を浮き上がらせる形態;サンドブラスト法を用いて樹脂層表面に凹凸が形成された形態;エンボス加工により樹脂層表面に凹凸を形成する形態;樹脂層に印刷を施す形態などが挙げられる。
ここで、樹脂層の樹脂は、隣接層が基材である場合には、基材を構成する樹脂である。隣接層が揮発性薬剤透過性層である場合には、揮発性薬剤透過性層に含有される樹脂である。
該隣接層が粒子を含有する樹脂層である場合、接着剤層面が少なくとも粒子により凹凸が形成されていることが必須であり、接着剤層面に少なくとも粒子が存在することが必要であるが、その他の粒子の層内の分散状態は特に限定されず、隣接層全体に粒子が存在する形態;接着剤層側に配置される粒子を含有する層と、接着剤層と相対する側に配置される粒子を含有しない層との積層形態(例えば、粒子含有樹脂層+粒子不含有樹脂層)など、いずれの形態であってもよい。また、粒子含有樹脂層+粒子不含有樹脂層は、樹脂フィルムに、粒子を含有するコーティング層を形成して得てもよい。
隣接層に含まれうる粒子としては、無機粒子および有機粒子のいずれであってもよい。無機粒子としては、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン、セリウム、銀等の金属;酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物、酸化アンチモン、酸化セリウム等の金属酸化物;水酸化アルミニウム等の金属水酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の金属炭酸化物;窒化ケイ素等の金属窒化物;マイカ、硫酸バリウム、ケイ砂、ゼオライトなどが挙げられる。
有機粒子としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリアマイド、ポリエステル、ワックスなどが挙げられる。
粒子は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
凹凸形状形成の観点からは、粒子としては、無機粒子であることが好ましく、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化チタン、ゼオライトであることがより好ましい。
粒子の形状としては、特に限定されず、球状、略球状、扁平状、不定形状、板状、針状、柱状、角状などが挙げられ、球状、略球状、扁平状であることが好ましい。
粒子の平均粒子径は、粘着剤層への凹凸形状形成の観点から0.5μm以上であることが好ましく、0.5〜5.0μmがより好ましい。粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。また、「粒子径」とは、粒子の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離を意味するものとする。
該隣接層が粒子を含有する樹脂層である場合、隣接層の粘着剤層側の表面粗さは、粒子の形状、粒子径、粒子の配合量などを考慮して、上記範囲となるように調整することができる。また、表面粗さを調整するために、種々の形状の粒子を組み合わせてもよい。
粒子を含有する樹脂層としては、市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば、東レ株式会社製のルミラー(登録商標)X42、X43、X44などが挙げられる。
樹脂層に不織布または紙を積層させた形態に用いられる不織布または紙としては、Rcが5.00μm以上であることが好ましく、5.00〜30.00μmであることがより好ましい。このように積層させる不織布または紙のRcを制御することで、樹脂層の反対側の表面のRcを制御することができる。この際、薬剤の透過性を制御しやすいことから、樹脂層が接着剤層側に配置される。このような不織布としては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、レーヨン、ナイロン、キュプラなどの適宜の繊維を素材として、接着法、ニードルパンチ法、スパンボンド法、メルトブロー法等の適宜の方法によりフィルム状に製造した不織布や、パルプ繊維から紙漉き法により製造した和紙調の不織布などがある。また、紙としては、雲竜紙、楮紙、三椏紙などの和紙が挙げられる。なお、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のような難接着性素材の繊維からなる不織布の場合には、樹脂層のフィルムと接着される側の不織布の面に、コロナ放電処理、プライマー処理、その他、接着剤との密着性を高めるための活性化処理を予め施すようにしておくことが好ましい。
樹脂層に不織布または紙を積層させる場合、通常繊維質のフィルムを積層するために樹脂層の表面(外面側)に接着剤を用いて両者を接着する。接着剤としては、通常のドライラミネート法やウェットラミネート法などで用いられている接着剤が使用でき、例えば、アクリル系、ポリウレタン系、酢酸ビニル系、塩化ビニル系、ゴム系などの溶剤型接着剤又は水溶性接着剤などが好適に使用できる。
この際、複合体を形成するために用いられる接着剤から形成される接着剤層の厚さは、薬剤の透過性やヘイズなどを考慮して、0.1〜30μmであることが好ましい。
不織布または紙の厚さは特に限定されないが、フィルム全体の厚さを考慮すると、通常5〜50μm程度である。
サンドブラスト法とは、細かい粒度の研削材を樹脂フィルム表面に高速投射することにより表面に凹凸をつける方法であり、具体的には、研削材を圧縮空気により樹脂フィルム表面に吹き付けることにより表面処理を行なうもので、それによって形成される凹凸は吹き付ける粒子の粒径、処理量、処理時間等の条件により調整されうる。
エンボス加工は、例えば、熱可塑性樹脂で形成された樹脂フィルムを加熱状態で金型に押し付け、金型の表面形状を基材フィルムに転写する加工である。金型の表面は、サンドブラスト法、ビーズショット法、電子彫刻、エッチング等公知の方法により凹凸形状に加工することができる。金型表面の凹凸を制御することで、所望のRcを有する樹脂層を形成することができる。
印刷が施された樹脂層の形態の場合における印刷方法は特に限定されず、スクリーン印刷、グラビア印刷、平版印刷、凸版印刷等の印刷方法や、電子写真方式、熱転写方式、インクジェット方式等、各種のプリンターを使用して画像を描写することもできる。インキの密着性を高める目的で、樹脂フィルムの印刷面を、予めコロナ放電処理やアンカー剤をコート処理するか、あるいは該面にインキ受理層を設けてもよい。印刷に使用されるインキも各描画方式に適したインキから適宜選択して使用すればよい。印刷の高さを制御することで、所望のRcを有する樹脂層を形成することができる。この際、意匠性を付与するために、雲竜柄などの柄を印刷してもよい。
中でも、好適な形態は、粒子を含有する樹脂フィルムである基材が接着剤層に隣接して配置され、該樹脂フィルムの接着剤層面のRcが0.30μm以上である形態、樹脂フィルムに不織布または紙を積層させた揮発性薬剤透過性層が接着剤層に隣接し、この際、樹脂フィルムが接着剤層側に配置され、該樹脂フィルムの接着剤層面のRcが0.30μm以上である形態、樹脂フィルムに印刷層が形成された基材が接着剤層に隣接して配置され、この際、印刷層が接着剤層側に配置され、該基材の接着剤層面のRcが0.30μm以上である形態である。
以下、揮発性薬剤含有フィルムを構成する各構成について説明する。
[基材]
基材は特に限定されるものではなく、揮発性薬剤透過性として、両面から薬剤を放出させる構成であっても、揮発性薬剤不透過性として、片面のみから薬剤を放出させる構成であってもよい。
なお、薬剤不透過性基材とは、基材が揮発性薬剤不透過性層を必須に含むことを指し、揮発性薬剤不透過性層を含む限り、揮発性薬剤不透過性層の単層であってもよいし、他の層との積層体であってもよい。
揮発性薬剤不透過性層としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアクリロニトリル、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニリデンなどの樹脂フィルム;樹脂フィルムに金属(例えば、アルミニウムなど)、金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウムなど)などの蒸着層を設けたもの、金属箔などが挙げられる。加工性や軽量性の観点からは基材は樹脂フィルムであることが好ましく、中でも、寸法安定性の観点から、基材は、ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。揮発性薬剤不透過性層は、延伸フィルムであってもよいし、無延伸フィルムであってもよく、工程材料を用いてキャスティング法等で形成したものであってもよい。
ここで、揮発性薬剤不透過性とは、薬剤の1日あたりの透過量が30℃で0.1g/m以下(下限0g/m)であることが好ましく、0.01g/m以下(下限0g/m)であることがより好ましい。
揮発性薬剤透過性の基材としては、後述する揮発性薬剤透過性層が挙げられる。
基材は、単層であってもよいし、複数層であってもよい。また、基材が複数層から構成される場合は、各層の構成が異なるものであってもよく、例えば、基材が、上記のように印刷層および樹脂層の積層体や樹脂層および不織布/紙の積層体であってもよい。
また、基材には、プライマー処理、酸化法などによる表面処理を施すことができる。上記プライマー処理に使用し得る液剤としては、特に制限はされず、例えばアクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、シリコーン系、ゴム系などの従来公知のものを用いることができる。一方、上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン、紫外線照射処理などが挙げられる。
基材の厚さは、薬剤徐放性や機械的強度を考慮して適宜設定されるが、10〜100μmであることが好ましく、20〜50μmであることがより好ましい。
[接着剤層]
接着剤層は、揮発性薬剤および接着剤を含む組成物を用いて作製される。この際、下記第二実施形態に記載のように、揮発性薬剤を接着剤と混合して用いることで、有機溶媒に接着剤を溶かす必要がない。また、有機溶媒を含むと、乾燥工程が別途必要となり、揮発性薬剤が揮発してしまうため、不適切である。このため、製造工程において有機溶剤を用いないことが好ましく、接着剤としては無溶剤型接着剤であることが好ましい。揮発性薬剤および接着剤を含む組成物を以下、接着剤組成物とも称する。
揮発性薬剤としては、例えば、ラベンダー油、ハッカ油、レモン油、ローズ油、ショウノウ油、ビャクダン油、ヒノキ油、シトロネラ油、シナモン油、ティートリー油、ヒバ油、シナモン油、ユーカリ油、ユーカリシトリオドラ、コリアンダー油、タイム油などの植物精油からなる植物性香料などの天然香料、テルペン化合物、エステル化合物、芳香族化合物などからなる合成香料、あるいはそれらをブレンドした調合香料などの香料、イソチオシアン酸メチル、イソチオシアン酸エチル、イソチオシアン酸アリル、イソチオシアン酸イソブチル、イソチオシアン酸n−ブチル、イソチオシアン酸フェニル、イソチオシアン酸ベンジルなどのイソチオシアン酸エステル類などが挙げられる。
中でも、接着剤の相溶性や薬剤を高濃度担持できるという本発明の効果によって抗菌効果をより得やすいことから、揮発性薬剤はイソチオシアン酸アリルなどのイソチオシアン酸エステル類であることが好ましい。
本実施形態においては、揮発性薬剤は油状であることが好ましい。油状とは、水不溶性で液状であることを指す。接着剤となり得る樹脂を揮発性薬剤に相溶させる必要があるので、揮発性薬剤はそれ自体が常温付近において液状である。ここで、液状とは、25℃にて流動性を有するものを指す。より具体的には、薬剤を45°傾けた場合、その形状を10分以上保持できず、形状の変化を生じることをいう。また、水不溶性とは、25℃における水に対する溶解度が5重量%以下(下限0重量%)であることを指し、1重量%以下であることが好ましい。
さらに、「揮発性」とは、25℃において薬剤として有効な程度の揮発性を示すことを意味する。
揮発性薬剤量はフィルム中、0.1g/m以上であることが好ましい。本実施形態では、かような高い量の薬剤を担持することができる。揮発性薬剤量は0.2〜5.0g/mであることがより好ましい。かような濃度とすることで、薬剤の効果が適切に発揮される。
接着剤となり得る樹脂としては、揮発性薬剤と混合物が形成できるように、好適には、所望する揮発性薬剤との関係で、該揮発性薬剤に相溶するように適宜選択して使用すればよい。すなわち、本発明の好適な形態は、接着剤が揮発性薬剤に相溶する形態である。ここで、相溶とは両者を混合した際に均一な状態になることを指す。溶液重合によって得られる樹脂など、水や有機溶媒を含む接着剤は、樹脂と薬剤とを混合した後に溶媒を乾燥させる工程が必要となり、揮発性薬剤が揮発してしまうので不適切である。したがって、本実施形態においては、無溶剤型の接着剤を用いることが好ましい。なお、樹脂は、揮発性薬剤と相溶するものが好ましいが、揮発性薬剤を油剤等に溶解した混合物と相溶する樹脂であってもよい。
接着剤としては、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・エチレン−ブチレン共重合体・スチレン(SEBS)、スチレン・エチレン−プロピレン共重合体・スチレン(SEPS)、スチレン・ブタジエン(SB)、スチレン・イソプレン(SI)、スチレン・エチレン−ブチレン共重合体(SEB)、スチレン・エチレン−プロピレン共重合体(SEP)、スチレン・ブタジエンラバー(SBR)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクレート共重合体(EEA)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、及びこれらの混合物(例えば、ポリプロピレンとEPDMの混合物など)などの熱可塑性エラストマー系接着剤;イソプレンゴム、ポリブテンゴム、ブチルゴムなどの合成ゴム、天然ゴムなどのゴム系接着剤;一成分湿気硬化形ウレタン樹脂系接着剤、二成分反応形ウレタン樹脂系接着剤などのウレタン系樹脂接着剤などが挙げられる。
また、接着剤となり得る樹脂は、揮発性薬剤と相溶する樹脂であれば、ここに例示した以外の樹脂を用いることもできる。
中でも、硬化の際に化学的反応を必要とせず、薬剤の安定性が向上することから、接着剤は、熱可塑性エラストマー系接着剤、ゴム系接着剤であることが好ましく、熱可塑性エラストマー系接着剤であることが好ましい。さらに、好適な薬剤であるイソチオシアン酸エステルとの相溶性が良好であることから、接着剤は、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・エチレン−ブチレン共重合体・スチレン(SEBS)、およびスチレン・エチレン−プロピレン共重合体・スチレン(SEPS)からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
接着剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
好適な接着剤である熱可塑性エラストマー系接着剤を用いる場合、接着剤組成物は粘着付与剤をさらに含むことが好ましい。
粘着付与剤としては、ロジン、重合ロジン、不均化ロジン、水添ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン、およびこれらのグリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル、メチルエステル、トリエチレングリコールエステル、フェノール変性物、及びフェノール変性物のエステル化物、等のロジン類;テルペン重合体、テルペンフェノール、β−ピネン重合体、芳香族変性テルペン重合体、α−ピネン重合体およびテルペン系水素添加樹脂等のテルペン系樹脂;炭素数5の石油留分又は炭素数9の石油留分を重合した石油系樹脂、およびこれの水素添加樹脂などが挙げられる。
粘着付与剤を含む場合、接着剤組成物における含有量は、接着性を考慮して適宜設定されるが、接着剤100重量部に対して1〜500重量部であることが好ましく、10〜300重量部であることがより好ましい。
また、接着剤組成物には、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなどの充填剤などを配合することもできる。これらは接着剤となり得る樹脂を揮発性薬剤に相溶させる前にあらかじめ配合しておいてもよいし、接着剤となり得る樹脂を揮発性薬剤に相溶させる際に配合してもよい。
揮発性薬剤の混合比率は、薬剤の放出性、および接着性を考慮して、接着剤層中、5〜90重量%であることが好ましく、より好ましくは20〜85重量%である。なお、薬剤は揮発性であるため、時間の経過とともに薬剤の含有量は低下する。
[揮発性薬剤透過性層]
揮発性薬剤透過性層としては、揮発性薬剤を透過するものであれば各種材料を適宜選択して使用すればよく、単層であっても複数層であってもよい。揮発性薬剤透過性層としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ乳酸などの生分解性樹脂、塩化ビニルなどの樹脂フィルム、紙、不織布、布、合成紙、そしてそれらの複合体などが挙げられる。中でも、薬剤量を制御しやすく、また機械的強度も担保されることから、揮発性薬剤透過性層は、樹脂フィルム、樹脂フィルムと紙または不織布との複合体であることが好ましい。
樹脂フィルムに不織布または紙を積層させる場合、通常繊維質のフィルムを積層するために樹脂フィルムの表面(外面側)に接着剤を用いて両者を接着する。接着剤としては、通常のドライラミネート法やウェットラミネート法などで用いられている接着剤が使用でき、例えば、アクリル系、ポリウレタン系、酢酸ビニル系、塩化ビニル系、ゴム系などの溶剤型接着剤又は水溶性接着剤などが好適に使用できる。
この際、複合体を形成するために用いられる接着剤から形成される接着剤層の厚さは、薬剤の透過性や接着性などを考慮して、0.1〜30μmであることが好ましい。
不織布または紙の厚さは特に限定されないが、フィルム全体の厚さを考慮すると、通常5〜50μm程度である。
ここで、揮発性薬剤透過性層の薬剤の1日あたりの透過量は30℃で1g/m以上であることが好ましく、200g/m以下であることが好ましい。かような透過性を有することで、薬剤の効果が発揮されやすく、また、持続時間も適当になる。
揮発性薬剤透過性層の厚さは、徐放性、機械的強度などを考慮して適宜設定されるが、5〜200μmであることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましい。
なお、揮発性薬剤透過性層の接着剤層とは反対側の面に、揮発性薬剤不透過性フィルムからなる保護フィルムを積層することにより、揮発性薬剤含有フィルムの使用時まで揮発性薬剤が放出しないようにすることもできる。
本発明の第二実施形態は、基材と、接着剤層と、揮発性薬剤透過性層と、がこの順に隣接して配置される揮発性薬剤含有フィルムの製造方法であって、JIS B 0601:2013で規定される粗さ曲線要素の平均高さRcが0.30μm以上である面を有する、基材または揮発性薬剤透過性層を準備し、揮発性薬剤と、接着剤とを混合して組成物を得、前記組成物を、基材または揮発性薬剤透過性層に塗布して接着剤層を形成することを有し、この際、前記Rcが0.30μm以上である面が、接着剤層に接するように配置される、揮発性薬剤含有フィルムの製造方法である。
上記第一実施形態と説明が重複する部分については割愛し、ここでは第二実施形態の製造方法に特有の構成について説明する。
まず、基材または揮発性薬剤透過性層を準備する。この際、基材または揮発性薬剤透過性層はJIS B 0601:2013で規定される粗さ曲線要素の平均高さRcが0.30μm以上である面を有していても有していなくともよい。ただし、塗布面は後述のように、JIS B 0601:2013で規定される粗さ曲線要素の平均高さRcが0.30μm以上である面であることが好適であることから、基材または揮発性薬剤透過性層はRcが0.30μm以上を有することが好ましい。また、JIS B 0601:2013で規定される粗さ曲線要素の平均高さRcが0.30μm以上である面以外の面の粗さは特に限定されるものではない。
接着剤および揮発性薬剤を含む組成物は、接着剤、揮発性薬剤およびその他必要により添加される添加剤(例えば粘着付与剤)を混合して組成物とする。ここで、各成分の混合順序は特に限定されるものではなく、全てを一括添加して混合する;揮発性薬剤に接着剤および添加剤を添加して混合する;接着剤に揮発性薬剤を添加して混合する;のいずれであってもよい。均一に混合できることから、揮発性薬剤に接着剤および添加剤を添加して混合することが好ましい。混合の際にはスターラーや攪拌機を用いて撹拌しながら混合してもよい。
本発明においては揮発性薬剤を含有するので、乾燥工程を必要とする有機溶媒を組成物が実質的に含有しないことが好ましい。実質的に含有しないとは、不純物程度の有機溶媒の混入は許容するものであり、具体的には、組成物中、有機溶媒の含有量が0.1重量%以下であることが好ましく、0.01重量%以下(下限0重量%)であることがより好ましい。
次いで、準備した基材または揮発性薬剤透過性層に組成物を塗布する。好適には、接着剤を保持しやすく、担持される薬剤量が増加することから、Rcが0.30μm以上である面に組成物を塗布する。
組成物の塗布方法は特に限定されず、例えばロールコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スロットダイコーター、リップコーター、グラビアコーターなどの公知の塗布装置を用いて塗布することができる。組成物の塗布量は、最終的な薬剤含有量を考慮して適宜設定すればよい。
接着剤組成物の粘度は、塗工のしやすさや塗布ムラの生じにくさ、塗工機などを考慮して適宜設定すればよいまた、塗工は、常温で行っても、塗工液を加熱して行ってもよい。
本発明においては、フィルムが揮発性薬剤を含むので、乾燥は行わないほうが好ましい。
このようにして接着剤層および隣接層の積層体が得られる。隣接層が基材である場合には、さらに、接着剤層上に揮発性薬剤透過性層を積層する。また、隣接層が揮発性薬剤透過性層である場合には、さらに接着剤層上に基材を積層する。さらに、基材または揮発性薬剤透過性層上に他の機能性層を積層させてもよい。また、組成物の塗布をRcが0.30μm以上である面以外に塗布した場合には、接着剤層上にRcが0.30μm以上である面が接するように、基材または揮発性薬剤透過性層を配置する。
すなわち、いずれの塗布方法においても、Rcが0.30μm以上である面が、接着剤層に接するように配置される。
このような製造方法により、Rcが0.30μm以上である接着剤層面の凹部が接着剤層を保持する形態とすることができ、フィルム内に担持される薬剤量を増加させることができる。
このようにして得られた積層体を長尺体とし、ロール状に巻回してもよい。すなわち、本発明の好適な実施形態は、基材と、接着剤層と、揮発性薬剤透過性層と、がこの順に配置された積層体を、長尺体とし、該長尺体をロール状に巻回する、揮発性薬剤含有フィルムの製造方法である。
製品として製造する段階では、生産効率性の観点から、長尺体の積層体を製造し、ロールにて巻き取ることが行われている。ロール状に巻き取られた積層体においては、特に中心に近い場所において、巻き取り方向に力が加わる。油状の揮発性薬剤を用いる場合、接着剤層の粘度が低下しているため、印加された力によって、ロール中心に近い場所では特に端部からの接着剤のはみだしが顕著となる。一方で、本実施形態の製造方法によれば、隣接層の凹部に接着剤層が保持されるため、接着剤の端部からのはみだしが抑制される。ゆえにフィルム上に薬剤が高量担持される。
巻き取りにおいて、得られた積層体はロール状に巻回される。巻き取り装置としては、特に制限されず、公知のものを用いることができる。巻回回数としては、特に制限されず、適宜設定される。また、ロール状に巻回される際には、積層体は巻き芯を用いずに巻回されることでロール状のフィルムを形成されていてもよいし、円筒状の巻き芯を用いて、当該巻き芯を中心として巻回されていてもよい。
図2(A)は、本発明の一形態に係るフィルムの製造方法によって製造されうるフィルムのその他の一例である、ロール状の揮発性薬剤含有フィルムの斜視模式図である。ロール状の揮発性薬剤含有フィルム30において、31は揮発性薬剤含有フィルムを表す。また、図2(B)は、当該ロール状の揮発性薬剤含有フィルムを形成する揮発性薬剤含有フィルムの、B位置における拡大概略断面図である。31は揮発性薬剤含有フィルム、32は基材、33は接着剤層、34は揮発性薬剤透過性層を表す。
ロール状の揮発性薬剤含有フィルム30は、最も内径側に位置する揮発性薬剤含有フィルム31から巻回したロール状となっている。ここで、揮発性薬剤含有フィルム31において、揮発性薬剤透過性層34および接着剤層32は長手方向に沿って基材上に形成されている。なお、図2(B)においては、図示は省略するが、揮発性薬剤透過性層34の接着剤層33面のRcが0.30μm以上であり、該面の凹部に接着剤層33が保持されている。
なお、巻き取りの後、ロール状の揮発性薬剤含有フィルムについて、ロールの任意の箇所で切断を行い、シート状へ固定し、さらに任意の形状へと打ち抜くことで、目的とする機能性フィルムの積層体を形成してもよい。また、ロール状の揮発性薬剤含有フィルムよりフィルムを送り出し、所定の大きさに裁断することにより、目的とする揮発性薬剤含有フィルムを形成してもよい。
接着剤となり得る樹脂を揮発性薬剤に相溶させて得られる溶液を塗液として用いて、揮発性薬剤透過性層と、基材とを貼り合わせると、塗液中の揮発性薬剤は揮発性薬剤透過性層中に拡散する。その結果、該塗液中の揮発性薬剤の濃度が下降する一方、樹脂の濃度が上昇し、塗液は溶液状態から粘性体へ、さらには粘性体から弾性体へと変化することにより、樹脂は接着剤となり2枚のフィルムを十分な強度で接着するようになる。このため、接着性を発現させる程度に積層体を静置することが好ましい。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。
(実施例1)
イソチオシアン酸アリル1350gに、芳香族変性テルペン樹脂(ヤスハラケミカル社製「YSレジンTO105」)600gとスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体樹脂(クレイトンポリマー社製「クレイトン(登録商標)D1161J」)300gを攪拌しながら加えて溶解させた。ウェットラミネーターを用いて、得られた溶液を揮発性薬剤透過性層である二軸延伸ポリプロピレンフィルムと雲竜紙との積層体(二軸延伸ポリプロピレンフィルムの溶液塗布面のRc0.77μm、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(王子エフテックス社製商品名アルファンSS−221、厚さ20μm)、ウレタン系接着剤層(厚さ1μm)、および雲竜紙(厚さ25μm、Rc15.28μm)の積層体)のポリプロピレンフィルムのRc0.77μmである面に塗布した。塗布の際、塗布温度は25℃、溶液粘度は500mPa・sで行った。その後、接着剤層上に揮発性薬剤不透過性層(基材)である厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製「ルミラー(登録商標)T60」)を貼り合わせた。その後、アルミ製の封入フィルム内に入れ、2日間放置して接着剤層を形成させて、フィルムを得た。
(実施例2)
イソチオシアン酸アリル1350gに、芳香族変性テルペン樹脂(ヤスハラケミカル社製「YSレジンTO105」)600gとスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体樹脂(クレイトンポリマー社製「クレイトンD1161J」)300gを攪拌しながら加えて溶解させた。ウェットラミネーターを用いて、得られた溶液を揮発性薬剤不透過性フィルムである厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製「ルミラー(登録商標)T60」の片面サンドブラスト処理、サンドブラスト処理面のRc3.15μm)のRc3.15μmである面に塗布した後、揮発性薬剤透過性層である厚さ30μmのポリプロピレンフィルム(王子エフテックス社製「アルファンSD−101」)を接着剤層上に貼り合わせ、フィルムを得た。
(比較例1)
実施例1において、揮発性薬剤透過性層として、厚さ30μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(王子エフテックス社製、商品名アルファンSD−101、Rc0.18μm)を用いて、溶液を塗布したこと以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。
(比較例2)
実施例2において、揮発性薬剤不透過性フィルムとして、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製「ルミラー(登録商標)T60」、Rc0.10μm)を用いたこと以外は、実施例2と同様にしてフィルムを得た。
(評価方法)
上記で得られたフィルムの中心部100mm×100mmに0.1MPaの加重をかけた後、80mm×80mmサイズに切り出し、サンプルの重量W(g)を測定した。その後、接着剤層を除き、基材および薬剤透過性層の重量W(g)を測定した。W−Wにより接着剤層の重量を算出した。その後、この値に薬剤濃度(60重量%)を掛けることで、フィルム中の薬剤量を算出した。
結果を以下表1に示す。
以上の結果より、実施例の揮発性薬剤含有フィルムは、比較例の揮発性薬剤含有フィルムと比較して薬剤量を多く、担持していることがわかる。
これは、隣接層の凹部が接着剤層を保持することができるために、端部からのはみだしが少なく、接着剤層厚みを確保することができる結果であると考察される。
なお、各実施例のサンプルの断面写真より、隣接層の凹部に接着剤層が保持されていることは確認した。
10、31 揮発性薬剤含有フィルム、
11、32 基材、
12、33 接着剤層、
13、34 揮発性薬剤透過性層、
14 接着剤層面、
15 接着剤層面の凹部、
30 ロール状の揮発性薬剤含有フィルム。

Claims (8)

  1. 基材と、接着剤層と、揮発性薬剤透過性層と、がこの順に隣接して配置される揮発性薬剤含有フィルムであって、
    前記接着剤層は、揮発性薬剤および接着剤を含む組成物を用いて作製され、
    前記接着剤層中の前記揮発性薬剤の含有量が20重量%以上であり、
    前記基材および前記揮発性薬剤透過性層の少なくとも1層の接着剤層面のJIS B 0601:2013で規定される粗さ曲線要素の平均高さRcが0.30〜5.00μmであり、
    前記Rcが0.30〜5.00μmである接着剤層面の凹部が接着剤層を保持し、
    前記Rcが0.30〜5.00μmである接着剤層面を有する層が、揮発性薬剤透過性層である場合には、樹脂層に粒子を含有させることにより樹脂層表面に凹凸を形成する形態;樹脂層に不織布又は紙を貼り合わせることにより、樹脂層の反対側の表面に凹凸を浮き上がらせる形態;サンドブラスト法を用いて樹脂層表面に凹凸が形成された形態;エンボス加工により樹脂層表面に凹凸を形成する形態;樹脂層に印刷を施す形態のいずれかである、揮発性薬剤含有フィルム。
  2. 前記Rcが0.50〜1.00μmである、請求項1に記載の揮発性薬剤含有フィルム。
  3. 前記接着剤が前記揮発性薬剤に相溶する、請求項1または2に記載の揮発性薬剤含有フィルム。
  4. 前記揮発性薬剤がイソチオシアン酸エステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の揮発性薬剤含有フィルム。
  5. 基材と、接着剤層と、揮発性薬剤透過性層と、がこの順に隣接して配置される揮発性薬剤含有フィルムの製造方法であって、
    JIS B 0601:2013で規定される粗さ曲線要素の平均高さRcが0.30〜5.00μmである面を有する、基材または揮発性薬剤透過性層を準備し、
    揮発性薬剤と、接着剤とを混合して組成物を得、
    前記組成物を、基材または揮発性薬剤透過性層に塗布して接着剤層を形成することを有し、
    この際、前記Rcが0.30〜5.00μmである面が、接着剤層に接するように配置され、
    前記接着剤層中の前記揮発性薬剤の含有量が20重量%以上であり、
    前記Rcが0.30〜5.00μmである面を有する層が、揮発性薬剤透過性層である場合には、樹脂層に粒子を含有させることにより樹脂層表面に凹凸を形成する形態;樹脂層に不織布又は紙を貼り合わせることにより、樹脂層の反対側の表面に凹凸を浮き上がらせる形態;サンドブラスト法を用いて樹脂層表面に凹凸が形成された形態;エンボス加工により樹脂層表面に凹凸を形成する形態;樹脂層に印刷を施す形態のいずれかである、揮発性薬剤含有フィルムの製造方法。
  6. 前記接着剤が前記揮発性薬剤に相溶する、請求項5に記載の揮発性薬剤含有フィルムの製造方法。
  7. 前記組成物を、前記Rcが0.30〜5.00μmである面に塗布する、請求項5または6に記載の製造方法。
  8. 基材と、接着剤層と、揮発性薬剤透過性層と、がこの順に隣接して配置された積層体を、長尺体とし、該長尺体をロール状に巻回する、請求項5〜7のいずれか1項に記載の揮発性薬剤含有フィルムの製造方法。
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