JP2011195807A - 防振ゴム組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性、耐久性、剛性に優れ、低動倍率化を図ることができる防振ゴム組成物を提供する。
【解決手段】下記の(A)および(B)成分とともに、下記の(C)および(D)成分を含有し、上記(B)成分の配合量が(A)成分100重量部に対して10〜100重量部である。(A)ジエン系ゴム。(B)下記の特性(α)、(β)、(γ)のすべてを備えているシリカ。(α)シアーズ滴定法により算出されるシリカ表面のシラノール基密度が3.0個/nm2以上。(β)平均粒子径が10μm以下。(γ)BET比表面積が15〜60m2/g。(C)特定構造のシランカップリング剤。(D)モノメタクリル酸亜鉛および特定のモノ(メタ)アクリレートの少なくとも一つ。
【選択図】なし

Description

本発明は、防振ゴム組成物に関するものであり、詳しくは、自動車等のエンジンの支持機能および振動伝達を抑制するためのエンジンマウント等に使用される防振ゴム組成物に関するものである。
一般に、自動車には、振動や騒音の低減を目的として、防振ゴム組成物が用いられている。このような防振ゴム組成物には、高剛性、高強度で、振動伝達の抑制が必要であることから、動倍率〔動的ばね定数(Kd)/静的ばね定数(Ks)〕の値を小さくすること(低動倍率化)が要求される。従来、この低動倍率化の対策としては、例えば、補強剤としてカーボンブラックを用い、カーボンブラックの配合量や粒子径,ストラクチャー等の因子を制御することで対応していたが、低動倍率化の対策としては不充分であった。そこで、補強剤であるカーボンブラックに代えてシリカを用いることにより、カーボンブラックを用いる場合に比べてより低動倍率化を図るようにした防振ゴム組成物が提案されている(例えば、特許文献1,2)。また、シリカの中でも、一次粒子径の大きい(BET比表面積が小さい)ものが低動倍率化に有効であることから、例えば、天然ゴムを主成分とするゴム成分100重量部に対して、BET比表面積が25〜100m2 /gであり、熱重量測定における1000℃での熱重量減少率と、150℃での熱重量減少率との差で定義されるΔ熱重量減少率が3.0%以上であるシリカを20〜80重量部含有してなる防振ゴム組成物が提案されている(特許文献3)。
特許第3233458号公報 特開2004−168885号公報 特開2006−199899号公報
上記特許文献3に記載の防振ゴム組成物は、一次粒子径の大きいシリカを用いているため、通常のシリカを用いる場合に比べて、低動倍率化を図ることができるが、一次粒子径の大きいシリカを用いると、シリカとゴムとの相互作用が弱くなるため、防振ゴムの耐久性が劣るという難点がある。また、防振ゴム組成物には、耐熱性も要求されるが、上記特許文献に記載のものは、耐熱性の点でも不充分であった。
また、通常、防振ゴム組成物の耐熱性の向上は、老化防止剤の添加量や加硫系の最適化により成立させるが、この手法では、耐久性や低動倍率化を阻害するおそれがある。
また、近年、エンジンルーム内の設計スペースや、小型車種への適用に対応するため、エンジンマウントの小型化が要求されている。しかしながら、このように小型化されると、振動荷重に対する歪率が大きくなり、耐久性が確保できず、そのため、エンジンマウント自身の剛性(硬度)が求められる。
このように、耐熱性、耐久性、剛性、低動倍率化の全てを充分に満足することができる防振ゴム組成物は、未だ存在しないのが実情であり、未だ改良の余地がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、耐熱性、耐久性、剛性に優れ、低動倍率化を図ることができる防振ゴム組成物の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の防振ゴム組成物は、下記の(A)および(B)成分とともに、下記の(C)および(D)成分を含有し、上記(B)成分の配合量が(A)成分100重量部に対して10〜100重量部であるという構成をとる。
(A)ジエン系ゴム。
(B)下記の特性(α)、(β)、(γ)のすべてを備えているシリカ。
(α)シアーズ滴定法により算出されるシリカ表面のシラノール基密度が3.0個/nm2 以上。
(β)平均粒子径が10μm以下。
(γ)BET比表面積が15〜60m2 /g。
(C)下記の一般式(1)で表されるシランカップリング剤。
Figure 2011195807
〔式中、R1 は、アルキルポリエーテル基−O−(R5 −O)m −R6 であり、mは平均で1〜30である。そして、上記繰り返し数mの中において、R5 は、同じかまたは異なる、C1 〜C30の炭化水素基である。また、R6 は、少なくとも11個のC原子を含有する一価のアルキル,アルケニル,アリール,アラルキル基である。
2 は、その2つが同じかまたは異なり、上記R1 と同じか、C1 〜C12のアルキル基またはR7 O基である。そして、R7 は、H、メチル、エチル、プロピル、(R8 3 Si基、またはC9 〜C30の一価のアルキル,アルケニル,アリール,アラルキル基である。R8 は、C1 〜C30のアルキルまたはアルケニル基である。
3 は、脂肪族、芳香族、混合脂肪族および芳香族からなる群から選ばれた少なくとも一つの二価のC1 〜C30炭化水素基である。
4 は、H、CNまたは(C=O)−R9 である。そして、R9 は、脂肪族、芳香族、混合脂肪族および芳香族からなる群から選ばれた少なくとも一つの一価のC1 〜C30炭化水素基である。〕
(D)モノメタクリル酸亜鉛、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、ステアリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、フェノールEO変性アクリレート、ノニルフェノールEO変性アクリレート、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、イソボニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、エトキシ化(2)ヒドロキシエチルメタクリレートおよびイソデシルメタクリレートからなる群から選ばれた少なくとも一つ。
本発明者は、耐熱性、耐久性、剛性に優れ、低動倍率化を図ることができる防振ゴム組成物を得るため、鋭意研究を重ねた。その結果、ジエン系ゴム(A成分)に対して特定の割合で、上記(α)〜(γ)の特性をすべて備える特定のシリカ(B成分)を配合し、それとともに、上記一般式(1)で表される特定のシランカップリング剤(C成分)と、さらにモノメタクリル酸亜鉛等の特定の加硫助剤(D成分)とを配合して、防振ゴム組成物を調製したところ、所期の目的が達成できることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち、上記(B)成分のシリカは、前述の(α)〜(γ)の規定をすべて満たすことにより、分散性も高くなり、さらにジエン系ゴムやシランカップリング剤との反応性も高くなる。そして、このようなシリカを特定の割合で配合することにより、防振ゴム組成物の耐久性向上や低動倍率化に大きく寄与することを見いだしたのである。一方、上記(C)成分のシランカップリング剤は、長鎖のアルキルポリエーテル基〔好ましくは、−O−(CH2 CH2 O)m −C1327〕を有するため、その配合により、シリカの分散性が大幅に向上する。また、上記シランカップリング剤は、少量で上記のような効果を発揮することができることから、その添加量を抑制することができる。また、上記シランカップリング剤は、カップリング剤自体の硫黄(S)の比率が小さいため、防振ゴム組成物中の総硫黄量を抑制でき、それによる耐熱性の向上効果も奏する。また、上記(D)成分であるモノメタクリル酸亜鉛等の特定の加硫助剤は、防振ゴム組成物の耐久性や低動倍率化を阻害することなく、その耐熱性の大幅な向上に寄与する。このような各成分の作用効果により、本発明の防振ゴム組成物は、上記のように所期の目的を達成し得るのである。
このように、本発明の防振ゴム組成物は、ジエン系ゴム(A成分)に対して、前記(α)〜(γ)の特性をすべて備えた特殊なシリカ(B成分)を特定の割合で配合するとともに、特定のシランカップリング剤(C成分)と、さらにモノメタクリル酸亜鉛等の特定の加硫助剤(D成分)とを配合してなるものである。そのため、耐熱性、耐久性、剛性、低動倍率化の全てを高度に満足することができる。そして、上記各成分からなる本発明の防振ゴム組成物は、特に、耐熱性が大幅に向上していることから、自動車の車両等に用いられるエンジンマウント、スタビライザブッシュ、サスペンションブッシュ等の防振材料として、好適に用いられる。それ以外に、コンピューターのハードディスクの制振ダンパー、洗濯機等の一般家電製品の制振ダンパー、建築・住宅分野における建築用制震壁,制震(制振)ダンパー等の制震(制振)装置および免震装置の用途にも用いることができる。
特定のシランカップリング剤と特定のシリカとの化学的結合状態の一例を示す模式図である。 特定のシランカップリング剤と特定のシリカとの化学的結合状態の他の例を示す模式図である。 特定のシランカップリング剤と特定のシリカとの化学的結合状態のさらに他の例を示す模式図である。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の防振ゴム組成物は、ジエン系ゴム(A成分)と、特定のシリカ(B成分)と、特定のシランカップリング剤(C成分)と、モノメタクリル酸亜鉛等の特定の加硫助剤(D成分)とを配合してなるものであり、上記特定のシリカ(B成分)の配合量が、ジエン系ゴム(A成分)に対して特定の割合に設定されている。
上記ジエン系ゴム(A成分)としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエン系ゴム(EPDM)等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、強度や低動倍率化の点で、天然ゴムが好適に用いられる。
つぎに、上記ジエン系ゴム(A成分)とともに用いられる特定のシリカ(B成分)は、下記の特性(α)、(β)、(γ)のすべてを備える必要がある。
(α)シアーズ滴定法により算出されるシリカ表面のシラノール基密度が3.0個/nm2 以上。
(β)平均粒子径が10μm以下。
(γ)BET比表面積が15〜60m2 /g。
まず、上記特性(α)について説明すると、上記のように、シアーズ滴定法により算出される(B)成分のシリカ表面のシラノール基密度は、3.0個/nm2 以上であることが必要であり、好ましくは3〜30個/nm2 の範囲である。上記シラノール基は、シランカップリング剤との結合基となり、ジエン系ゴムとの反応基ともなる官能基である。そして、上記シラノール基密度が上記規定よりも小さすぎると、シランカップリング剤(C成分)およびジエン系ゴム(A成分)との反応性(結合性)に劣るため、耐久性が悪化する傾向がみられ、上記シランカップリング剤やジエン系ゴムと充分反応せず、ゴム物性も低下する傾向がみられるようになる。
ここで、本発明におけるシリカ表面のシラノール基密度は、G.W.シアーズによる Analytical Chemistry(アナリティカルケミストリー),vol.28,No.12,1956,1982〜1983に記載の方法により測定されたシアーズ滴定量により算出することができる。なお、シラノール基密度の算出に当たり、シアーズ滴定量とシラノール基量の関係は、以下のイオン交換反応によるものとする。
Figure 2011195807
上記シラノール基密度の算出法としては、上述のシアーズ滴定法の他、例えば、灼熱減量(TG)測定法等があげられる。上記灼熱減量(TG)測定法によるシラノール基密度の算出では、加熱減量分を全て−OHとカウントするため、ゴムとの相互作用に無関係なシリカ凝集体の微細部分および一次粒子内部の−OHもカウントされる。これに対して、上述のシアーズ滴定法によるシラノール基密度の測定は、シリカ凝集体の表面の−OHのみをカウントする方法である。したがって、ゴム中でのシリカの分散状態およびゴムとの結合状態を考慮すると、シアーズ滴定法により算出したシラノール基密度の方が、実際に近い状態を表現する測定法であるため好ましい。
つぎに、上記特性(β)は、(B)成分のシリカの平均粒子径を規定するものであり、本発明では、前記のように、(B)成分のシリカの平均粒子径は10μm以下であることが必要であり、好ましくは2〜10μmの範囲である。すなわち、上記平均粒子径が上記規定よりも大きすぎると、凝集塊が大きく、シリカ自身が異物として働くため、物性が低下したり、また、シリカの凝集により動倍率が高くなるからである。
なお、上記平均粒子径は、コールター法により測定した平均粒子径であって、二次粒子径のことをいう。
さらに、上記特性(γ)について説明すると、前記のように、(B)成分のシリカのBET比表面積は15〜60m2 /gの範囲であることが必要であり、好ましくは15〜35m2 /gの範囲である。すなわち、上記シリカのBET比表面積が上記規定よりも小さすぎると、一次粒子径が大きくなりすぎ、ジエン系ゴム(A成分)との接触面積自体が小さくなるため充分な補強性が得られず、破断時引っ張り強度(TSb)や破断伸び(Eb)が悪くなり、逆にBET比表面積が大きすぎる(60m2 /gを超える)と、一次粒子径が小さくなりすぎ、一次粒子同士の凝集が強くなり、このため分散性が悪化し、動特性が悪くなるからである。
なお、本発明において、上記シリカのBET比表面積は、例えば、試料を200℃で15分間脱気した後、吸着気体として混合ガス(N2 70%、He30%)を用いて、BET比表面積測定装置(マイクロデータ社製、4232−II)により測定することができる。
上記シリカ(B成分)の調製方法としては、沈殿法シリカの反応処方があげられ、例えば、アルカリ珪酸塩水溶液(市販の珪酸ソーダ水溶液)を鉱酸で中和して沈殿シリカを析出させる方法に準じて調製することができる。具体的には、まず、所定濃度の珪酸ソーダ水溶液を所定量反応容器に張り込み、所定条件で鉱酸を添加する(片側添加反応)か、もしくは予め一定量の温水を張り込んだ反応溶液中に、pH、温度を制御しながら珪酸ソーダおよび鉱酸を一定時間添加する(同時添加方式)方法等が採用できる。つぎに、上記方法によって得られた沈殿シリカスラリーを、ケーキ洗浄が可能な濾過機(例えば、フィルタープレス、ベルトフィルター等)により濾別、洗浄して副生電界質を除去する。その後、得られたシリカケーキを乾燥機により乾燥する。一般的には、このシリカケーキをスラリー化し噴霧乾燥機により乾燥するが、ケーキのまま加熱オーブン等により静置乾燥してもよい。このようにして得た乾燥されたシリカは、続いて粉砕機により所定の平均粒子径とされ、必要に応じさらに分級機による、粗粒のカットを行うことにより、シリカの調製を行う。この粉砕・分級操作は、平均粒子径の調整・粗粒のカットを目的としており、粉砕方式(例えば、気流式粉砕機、衝撃式粉砕機等)は特に限定されるものではない。また、分級機においても同様に分級方式(例えば、風力式、篩い式等)も、特に限定されない。
ここで、上記シリカ(B成分)の配合量は、上記ジエン系ゴム(A成分)100重量部(以下「部」と略す)に対して10〜100部であり、好ましくは20〜70部の範囲である。すなわち、上記配合量が少なすぎると、一定水準の補強性を満足できなくなる傾向がみられ、逆に上記配合量が多すぎると、動倍率が高くなったり、シリカ添加量が多すぎるため、シリカ自身が異物として働き、物性が低下する傾向がみられるからである。
つぎに、上記(A)および(B)成分とともに用いられる、特定のシランカップリング剤(C成分)としては、下記の一般式(1)で表されるシランカップリング剤が用いられる。
Figure 2011195807
〔式中、R1 は、アルキルポリエーテル基−O−(R5 −O)m −R6 であり、mは平均で1〜30である。そして、上記繰り返し数mの中において、R5 は、同じかまたは異なる、C1 〜C30の炭化水素基である。また、R6 は、少なくとも11個のC原子を含有する一価のアルキル,アルケニル,アリール,アラルキル基である。
2 は、その2つが同じかまたは異なり、上記R1 と同じか、C1 〜C12のアルキル基またはR7 O基である。そして、R7 は、H、メチル、エチル、プロピル、(R8 3 Si基、またはC9 〜C30の一価のアルキル,アルケニル,アリール,アラルキル基である。R8 は、C1 〜C30のアルキルまたはアルケニル基である。
3 は、脂肪族、芳香族、混合脂肪族および芳香族からなる群から選ばれた少なくとも一つの二価のC1 〜C30炭化水素基である。
4 は、H、CNまたは(C=O)−R9 である。そして、R9 は、脂肪族、芳香族、混合脂肪族および芳香族からなる群から選ばれた少なくとも一つの一価のC1 〜C30炭化水素基である。〕
上記特定のシランカップリング剤(C成分)は、上記一般式(1)におけるR3 の長さ(炭素数)<〔R6 の長さ(炭素数)−(R5 の長さ(炭素数)×m)〕を満たすものが好ましい。
なお、上記特定のシランカップリング剤(C成分)は、上記一般式(1)で表される種々のシランカップリング剤またはその縮合生成物の混合物であっても差し支えない。
上記特定のシランカップリング剤(C成分)としては、下記の一般式(2)で表されるもの、一般式(3)で表されるもの、もしくはこれらの混合物が好ましい。
Figure 2011195807
そして、本発明における特定のシランカップリング剤(C成分)としては、上記一般式(2)において、m=5であらわされるものが特に好ましい。
また、上記特定のシランカップリング剤(C成分)の配合量は、上記ジエン系ゴム(A成分)100部に対して、0.5〜10部の範囲が好ましく、特に好ましくは2〜8部の範囲である。すなわち、上記シランカップリング剤の配合量が少なすぎると、シリカの分散性の向上効果が小さくなり、逆に上記シランカップリング剤の配合量が多すぎると、耐熱性が悪くなる傾向がみられるからである。
つぎに、上記(A)〜(C)成分とともに用いられる特定の加硫助剤(D成分)としては、モノメタクリル酸亜鉛、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、ステアリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、フェノールEO変性アクリレート、ノニルフェノールEO変性アクリレート、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、イソボニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、エトキシ化(2)ヒドロキシエチルメタクリレート、イソデシルメタクリレートといったものが用いられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。なかでも、モノメタクリル酸亜鉛と、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、ステアリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、フェノールEO変性アクリレート、ノニルフェノールEO変性アクリレート、イソボニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレートまたはイソデシルメタクリレートのモノ(メタ)アクリレートとを併用することが、耐熱性(特に熱老化防止効果)により優れることから、好ましい。なお、上記の「モノ(メタ)アクリレート」とは、モノアクリレートあるいはモノメタクリレートを意味する。
なお、上記(D)成分の加硫助剤として、モノメタクリル酸亜鉛を配合しない系においては、そのゴム組成物が、貯蔵安定性に劣るために、混練後すぐに製品加工しなければならないといった不都合が生じる場合がある。この場合、その貯蔵安定性を向上させる観点から、上記(D)成分の加硫助剤に加え、金属(メタ)アクリレートを配合することが好ましい。上記金属(メタ)アクリレートとしては、モノメタクリル酸亜鉛の他、モノアクリル酸亜鉛、ジメタクリル酸亜鉛、ジアクリル酸亜鉛等があげられ、これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
上記特定の加硫助剤(D成分)の配合量は、上記ジエン系ゴム(A成分)100部に対して、0.5〜10部の範囲が好ましく、特に好ましくは、1〜6部の範囲である。すなわち、上記特定の加硫助剤の配合量が上記範囲よりも少ないと、所望の熱老化防止効果が得られず、逆に上記範囲を超えると、ゴム組成物の架橋状態が変化し、防振性や耐へたり性が悪化するからである。また、貯蔵安定性を向上させる趣旨より金属(メタ)アクリレートを配合する場合、その配合量は、上記ジエン系ゴム(A成分)100部に対して、0.5〜10部の範囲が好ましく、特に好ましくは、1.0〜6.0部の範囲である。
ところで、本発明の防振ゴム組成物において、例えば、先に述べたようにモノメタクリル酸亜鉛を含有すると、耐熱性が非常に高くなる等の利点を有するが、その反面、ガスを発生し防振ゴム組成物を発泡させることから、防振ゴム組成物の融着不良、防振ゴム(加硫体)の接着不良を誘発するおそれがある。この問題を解決する手法として、例えば、本発明の防振ゴム組成物において、上記(A)〜(D)成分とともに、ゼオライト,セピオライト,ハイドロタルサイトといった吸着フィラーを含有することが好ましい。これらの吸着フィラーは、単独でもしくは二種以上併せて用いられる。なお、一般的な吸着フィラーである酸化マグネシウムは、本発明の課題の一つである耐熱性を阻害するおそれがあるため、本発明の防振ゴム組成物においては配合しないことが好ましい。また、上記ゼオライトは、二酸化ケイ素からなる結晶格子における、ケイ素元素の一部が、アルミニウム元素に置き換わり、結晶格子全体が負に帯電し、ナトリウム、カルシウム、カリウムといったカチオンを取込むことにより、電荷のバランスが取られてなるものであって、天然ゼオライトの他、上記のような組成となるよう合成された合成ゼオライトがある。そして、上記ゼオライトは、ガス吸着性の観点から、その組成が、ケイ素、アルミニウム、ナトリウム、カルシウムの四元素を全て含むことが好ましい。
上記吸着フィラーの配合量は、上記ジエン系ゴム(A成分)100部に対して、2〜15部の範囲が好ましく、特に好ましくは、2〜10部の範囲である。すなわち、上記吸着フィラーの配合量が上記範囲よりも少ないと、所望の発泡抑制効果が得られず、逆に上記範囲を超えると、動倍率が上がり、防振ゴム特性が悪化するからである。
また、本発明の防振ゴム組成物においては、上記(A)〜(D)成分とともに、先に述べた吸着フィラー等や、さらに、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、プロセスオイル、カーボンブラック等を必要に応じて適宜に配合しても差し支えない。なお、本発明の防振ゴム組成物は、従来、補強剤として用いられていたカーボンブラックに代えて、特殊なシリカ(B成分)を使用したものであり、補強剤としてのカーボンブラックを実質的に含有しないもの(カーボンブラック不含)が好ましいが、本発明の防振ゴム組成物の特性に影響を与えない量であれば含有させても差し支えない。
上記加硫剤としては、例えば、硫黄(粉末硫黄,沈降硫黄,不溶性硫黄)等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
上記加硫剤の配合量は、上記ジエン系ゴム(A成分)100部に対して、0.3〜7部の範囲が好ましく、特に好ましくは1〜5部の範囲である。すなわち、上記加硫剤の配合量が少なすぎると、充分な架橋構造が得られず、動倍率、耐へたり性が悪化する傾向がみられ、逆に加硫剤の配合量が多すぎると、耐熱性が低下する傾向がみられるからである。
上記加硫促進剤としては、例えば、チアゾール系,スルフェンアミド系,チウラム系,アルデヒドアンモニア系,アルデヒドアミン系,グアニジン系,チオウレア系等の加硫促進剤があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、架橋反応性に優れる点で、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましい。
また、上記加硫促進剤の配合量は、上記ジエン系ゴム(A成分)100部に対して、0.5〜7部の範囲が好ましく、特に好ましくは0.5〜5部の範囲である。
上記チアゾール系加硫促進剤としては、例えば、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム塩(NaMBT)、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩(ZnMBT)等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、特に架橋反応性に優れる点で、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)が好適に用いられる。
上記スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(NOBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾイルスルフェンアミド(BBS)、N,N′−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾイルスルフェンアミド等があげられる。
上記チウラム系加硫促進剤としては、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、テトラブチルチウラムジスルフィド(TBTD)、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)等があげられる。
上記老化防止剤としては、例えば、カルバメート系老化防止剤、フェニレンジアミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、ジフェニルアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤、ワックス類等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
また、上記老化防止剤の配合量は、上記ジエン系ゴム(A成分)100部に対して、1〜10部の範囲が好ましく、特に好ましくは2〜5部の範囲である。
上記プロセスオイルとしては、例えば、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、アロマ系オイル等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
また、上記プロセスオイルの配合量は、上記ジエン系ゴム(A成分)100部に対して、1〜50部の範囲が好ましく、特に好ましくは3〜30部の範囲である。
本発明の防振ゴム組成物は、例えば、つぎのようにして調製することができる。すなわち、上記ジエン系ゴム(A成分)と、特定のシリカ(B成分)と、特定のシランカップリング剤(C成分)と、特定の加硫助剤(D成分)と、必要に応じて、老化防止剤,プロセスオイル等を適宜に配合し、これらをバンバリーミキサー等を用いて、約50℃の温度から混練りを開始し、100〜160℃で、3〜5分間程度混練を行う。つぎに、これに、加硫剤,加硫促進剤等を適宜に配合し、オープンロールを用いて、所定条件(例えば、50℃×4分間)で混練することにより、防振ゴム組成物を調製することができる。その後、得られた防振ゴム組成物を、高温(150〜170℃)で5〜30分間、加硫することにより防振ゴムを作製することができる。
ここで、本発明における、特定のシランカップリング剤(C成分)と、特定のシリカ(B成分)との化学的結合について、前記一般式(2)で表されるシランカップリング剤を例に具体的に説明する。例えば、図1の模式図に示すように、シランカップリング剤中のEtO基(エトキシ基)が、シリカ3表面のOH基と化学的に結合し、その結果、シランカップリング剤中の長鎖のアルキルポリエーテル基〔−O−(CH2CH2 O)m −C1327〕(図示の1と2との結合基)が、シリカ3全体を包みこむような状態になる。なお、図2に示すように、シランカップリング剤中の長鎖のアルキルポリエーテル基〔−O−(CH2 CH2 O)m −C1327〕(図示の1と2との結合基)の一方が、その先端の−C1327部分(図示の2)から略180°反対側に折れ曲がっていても差し支えない。また、図3は、複数のシリカ3(なお、表面のOH基は省略する)と特定のシランカップリング剤との化学的結合状態を示す模式図である。すなわち、本発明においては、上記結合により、シリカ(B成分)の分散性が向上する。したがって、特定のシランカップリング剤(C成分)の添加量を抑制することができる。そのため、本発明によれば防振ゴム組成物の低動倍率化を実現することができるとともに、防振ゴム組成物中の総硫黄量を抑制でき、耐熱性が向上する。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示す材料を準備した。
〔NR〕
天然ゴム
〔BR〕
ブタジエンゴム(Nipol BR1220、日本ゼオン社製)
〔酸化亜鉛〕
酸化亜鉛2種、堺化学工業社製
〔ステアリン酸〕
ルーナックS30、花王社製
〔老化防止剤〕
オゾノン6C、精工化学社製
〔ワックス〕
サンノック、大内新興化学社製
〔鉱物油〕
ナフテン系オイル(出光興産社製、ダイアナプロセスNM−280)
〔シランカップリング剤(i)〕
前記一般式(2)において、mが5であるシランカップリング剤(エボニックデグサ社製、VPSi363)
〔シランカップリング剤(ii)〕
下記の構造式(4)で表されるメルカプト系シランカップリング剤(KBM−803、信越化学工業社製)
Figure 2011195807
〔シリカ(i)〕
シラノール基密度:10.1個/nm2 、平均粒子径:5.7μm、BET比表面積:20m2 /gのシリカ(TB5012、東ソーシリカ社製)
〔シリカ(ii)〕
シラノール基密度:14.4個/nm2 、平均粒子径:5μm、BET比表面積:15m2 /gとなるように調製したシリカ(試作品)
〔シリカ(iii)〕
シラノール基密度:3.0個/nm2 、平均粒子径:10μm、BET比表面積:60m2 /gとなるように調製したシリカ(試作品)
〔シリカ(iv)〕
シラノール基密度:2.4個/nm2 、平均粒子径:12μm、BET比表面積:92m2 /gのシリカ(ニプシールER、東ソーシリカ社製)
〔シリカ(v)〕
シラノール基密度:2.6個/nm2 、平均粒子径:20μm、BET比表面積:210m2 /gのシリカ(ニプシールVN3、東ソーシリカ社製)
〔吸着フィラー(i)〕
合成ゼオライト(ミズカシーブス5AP、水澤化学工業社製)
〔吸着フィラー(ii)〕
合成ゼオライト(ミズカライザーDS、水澤化学工業社製)
〔吸着フィラー(iii)〕
ハイドロタルサイト(DHT4A、協和化学工業社製)
〔加硫促進剤(i)〕
N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)(ノクセラーCZ、大内新興化学社製)
〔加硫促進剤(ii)〕
テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)(サンセラーTT、三新化学工業社製)
〔加硫剤〕
硫黄、軽井沢精錬所社製
〔加硫助剤(i)〕
モノメタクリル酸亜鉛(PRO11542、サートマー社製)
〔加硫助剤(ii)〕
2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(スミライザーGM、住友化学社製)
〔加硫助剤(iii)〕
ステアリルメタクリレート(SR324、サートマー社製)
〔加硫助剤(iv)〕
トリデシルメタクリレート(SR493、サートマー社製)
〔加硫助剤(v)〕
ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(SR604、サートマー社製)
〔加硫助剤(vi)〕
フェノールEO変性アクリレート(M101A、東亞合成社製)
〔加硫助剤(vii)〕
ノニルフェノールEO変性アクリレート(M111、東亞合成社製)
〔加硫助剤(viii)〕
N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド(M140、東亞合成社製)
〔加硫助剤(ix)〕
イソボニルメタクリレート(SR423、サートマー社製)
〔加硫助剤(x)〕
テトラヒドロフルフリルアクリレート(SR285、サートマー社製)
〔加硫助剤(xi)〕
2−フェノキシエチルメタクリレート(SR340、サートマー社製)
〔加硫助剤(xii)〕
エトキシ化(2)ヒドロキシエチルメタクリレート(SR570、サートマー社製)
〔加硫助剤(xiii)〕
イソデシルメタクリレート(SR242、サートマー社製)
〔加硫助剤(xiv)〕
エトキシポリエチレングリコール(550)モノメタクリレート(SR552、サートマー社製)
〔加硫助剤(xv)〕
ラウリルメタクリレート(SR313、サートマー社製)
〔実施例1〕
NR100部と、酸化亜鉛5部と、ステアリン酸1部と、老化防止剤2部と、ワックス2部と、鉱物油5部と、シランカップリング剤(i)2部と、シリカ(i)30部と、加硫助剤(i)3部とを配合し、これらをバンバリーミキサーを用いて、140℃で5分間混練を行った。つぎに、これに、加硫剤1部と、加硫促進剤(i)2部と、加硫促進剤(ii)1部とを配合し、オープンロールを用いて、60℃で5分間混練することにより、防振ゴム組成物を調製した。
〔実施例2〜34、比較例1〜7〕
後記の表1〜表5に示すように、各成分の配合量等を変更する以外は、実施例1に準じて、防振ゴム組成物を調製した。
このようにして得られた実施例および比較例の防振ゴム組成物を用い、下記の基準に従って、各特性の評価を行った。その結果を、後記の表1〜表5に併せて示した。
〔熱老化試験〕
各防振ゴム組成物を、160℃×20分の条件でプレス成形(加硫)して、厚み2mmのゴムシートを作製した。そして、このゴムシートから、JIS5号ダンベルを打ち抜き、このダンベルを用い、JIS K6251に準拠して、破断伸び(Eb)を測定した。なお、この測定は、初期(熱老化させる前)のゴムシート、100℃×70時間の雰囲気下で熱老化させた後のゴムシート、100℃×500時間の雰囲気下で熱老化させた後のゴムシート、100℃×1000時間の雰囲気下で熱老化させた後のゴムシートに対して行った。そして、各熱老化時間による破断伸びの減少度合(初期との差)を求め、その値を後記の表1〜表5に示した。なお、この試験において、本発明に要求される熱破断伸びの減少度合は、70時間熱老化後で10.0%以下、500時間熱老化後で40.0%以下、1000時間熱老化後で60.0%以下である。そして、これらの要求を全て満たすものを、後記の表1〜表5に示す総評において「○」と表記し、満たさないものを「×」と表記した。
〔圧縮永久歪み〕
各防振ゴム組成物を、160℃×30分の条件でプレス成形(加硫)し、テストピースを作製した。つぎに、JIS K6262に従い、上記テストピースを25%圧縮させたまま、100℃×500時間後の圧縮永久歪みを測定した。なお、この試験において、本発明に要求される圧縮永久歪みは、55%未満である。そして、この要求を満たすものを、後記の表1〜表5に示す評価において「○」と表記し、満たさないものを「×」と表記した。
〔硬度(JIS−A)〕
各防振ゴム組成物を用いて、JIS K6253−1997の「加硫ゴム物理試験方法」における「デュロメータ硬さ試験」に定められる、テストピース(厚み2mm)を作製した。各テストピースを用いて、上記JIS K−6253−1997の「加硫ゴム物理試験方法」における「デュロメータ硬さ試験」に準じて、タイプAデュロメータにより、テストピースの硬度(JIS−A)を測定した。
Figure 2011195807
Figure 2011195807
Figure 2011195807
Figure 2011195807
Figure 2011195807
上記結果から、実施例品は、圧縮永久歪み特性に優れるとともに、硬化特性にも優れ、さらに、熱老化試験により、破断伸び特性が、長期熱老化後であっても劣化しにくいことがわかる。特に、加硫助剤として、モノメタクリル酸亜鉛とともに、特定のモノ(メタ)アクリレートを配合した実施例19〜28は、熱老化防止効果に優れていることがわかる。
これに対して、比較例1,2では、加硫助剤として、本発明のものと異なるものを用いていることから、耐熱性(熱老化防止性)の劣化がみられる。比較例3では、シランカップリング剤が、本発明のものと異なる一般的なメルカプト系シランカップリング剤であることから、耐熱性、圧縮永久ひずみに劣化がみられる。比較例4は、シリカの配合量が少なすぎ、耐熱性、圧縮永久ひずみにやや劣化がみられ、さらに、所望のゴム硬度が得られず、補強性、ばね剛性を確保できなかった。しかも、加硫形成後、冷却により収縮し、形状寸法に問題も生じた。比較例5では、シリカの配合量が多すぎることから、耐熱性、圧縮永久ひずみの劣化がみられる。比較例6,7では、シリカのシラノール基密度、平均粒子径が、本発明の規定から外れている(さらに比較例6は、BET比表面積も外れている)ことから、圧縮永久ひずみの劣化がみられる。
つぎに、実施例の防振ゴム組成物を用い、下記の基準に従って、その貯蔵安定性の評価を行った。その結果を、後記の表6〜表9に併せて示した。
〔貯蔵安定性〕
上記調製のゴム組成物における未加硫粘度の経時的変動を見るため、調製直後(初期)、常温常湿雰囲気下に72時間放置後(貯蔵後)、および、温度40℃×湿度95%RH雰囲気下に168時間放置後(湿熱貯蔵後)のムーニー粘度(ML1+4 121℃)を、東洋精機製作所社製のムーニー粘度測定器により測定した。
Figure 2011195807
Figure 2011195807
Figure 2011195807
Figure 2011195807
上記結果より、実施例品のなかでも、特に、加硫助剤(i)のモノメタクリル酸亜鉛を使用したもの(実施例1品、および実施例14〜34品)は、他の実施例品に比べ、湿熱貯蔵後であっても粘度の変動が少なく、貯蔵安定性に優れていることがわかる。なお、表記していないが、上記モノメタクリル酸亜鉛を使用したもののなかでも、吸着フィラーを所定量配合した実施例29〜34のゴム組成物の加硫体は、目視により確認した結果、モノメタクリル酸亜鉛によるゴム発泡がみられなかった。
本発明の防振ゴム組成物は、自動車の車両等に用いられるエンジンマウント、スタビライザブッシュ、サスペンションブッシュ等の防振材料として好ましく用いられるが、それ以外にも、コンピューターのハードディスクの制振ダンパー、洗濯機等の一般家電製品の制振ダンパー、建築・住宅分野における建築用制震壁,制震(制振)ダンパー等の制震(制振)装置および免震装置の用途にも用いることができる。
1 −(OCH2 CH2 m O−
2 −C1327
3 シリカ

Claims (7)

  1. 下記の(A)および(B)成分とともに、下記の(C)および(D)成分を含有し、上記(B)成分の配合量が(A)成分100重量部に対して10〜100重量部であることを特徴とする防振ゴム組成物。
    (A)ジエン系ゴム。
    (B)下記の特性(α)、(β)、(γ)のすべてを備えているシリカ。
    (α)シアーズ滴定法により算出されるシリカ表面のシラノール基密度が3.0個/nm2以上。
    (β)平均粒子径が10μm以下。
    (γ)BET比表面積が15〜60m2/g。
    (C)下記の一般式(1)で表されるシランカップリング剤。
    Figure 2011195807
    〔式中、R1は、アルキルポリエーテル基−O−(R5−O)m−R6 であり、mは平均で1〜30である。そして、上記繰り返し数mの中において、R5 は、同じかまたは異なる、C1 〜C30の炭化水素基である。また、R6 は、少なくとも11個のC原子を含有する一価のアルキル,アルケニル,アリール,アラルキル基である。
    2 は、その2つが同じかまたは異なり、上記R1 と同じか、C1 〜C12のアルキル基またはR7 O基である。そして、R7 は、H、メチル、エチル、プロピル、(R8 3 Si基、またはC9 〜C30の一価のアルキル,アルケニル,アリール,アラルキル基である。R8 は、C1 〜C30のアルキルまたはアルケニル基である。
    3 は、脂肪族、芳香族、混合脂肪族および芳香族からなる群から選ばれた少なくとも一つの二価のC1 〜C30炭化水素基である。
    4 は、H、CNまたは(C=O)−R9 である。そして、R9 は、脂肪族、芳香族、混合脂肪族および芳香族からなる群から選ばれた少なくとも一つの一価のC1 〜C30炭化水素基である。〕
    (D)モノメタクリル酸亜鉛、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、ステアリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、フェノールEO変性アクリレート、ノニルフェノールEO変性アクリレート、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、イソボニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、エトキシ化(2)ヒドロキシエチルメタクリレートおよびイソデシルメタクリレートからなる群から選ばれた少なくとも一つ。
  2. 上記(D)成分が、モノメタクリル酸亜鉛と、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート,ステアリルメタクリレート,トリデシルメタクリレート,ポリプロピレングリコールモノメタクリレート,フェノールEO変性アクリレート,ノニルフェノールEO変性アクリレート,イソボニルメタクリレート,テトラヒドロフルフリルアクリレート,2−フェノキシエチルメタクリレートまたはイソデシルメタクリレートのモノ(メタ)アクリレートとを併用したものである請求項1記載の防振ゴム組成物。
  3. 上記(C)成分のシランカップリング剤の配合量が、上記(A)成分100重量部に対して0.5〜10重量部である請求項1または2記載の防振ゴム組成物。
  4. 上記(D)成分の配合量が、上記(A)成分100重量部に対して0.5〜10重量部である請求項1〜3のいずれか一項に記載の防振ゴム組成物。
  5. 上記(A)〜(D)成分とともに、金属(メタ)アクリレートを含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の防振ゴム組成物。
  6. 上記(A)〜(D)成分とともに、ゼオライト,セピオライトおよびハイドロタルサイトからなる群から選ばれた少なくとも一つの吸着フィラーを含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の防振ゴム組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の防振ゴム組成物の加硫体。
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