JP2011177982A - ボールペンチップの製造方法 - Google Patents

ボールペンチップの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2011177982A
JP2011177982A JP2010043048A JP2010043048A JP2011177982A JP 2011177982 A JP2011177982 A JP 2011177982A JP 2010043048 A JP2010043048 A JP 2010043048A JP 2010043048 A JP2010043048 A JP 2010043048A JP 2011177982 A JP2011177982 A JP 2011177982A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ball
holding chamber
radial groove
ball holding
hole
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010043048A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5549276B2 (ja
Inventor
Koji Sekine
孝司 関根
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Pentel Co Ltd
Original Assignee
Pentel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Pentel Co Ltd filed Critical Pentel Co Ltd
Priority to JP2010043048A priority Critical patent/JP5549276B2/ja
Publication of JP2011177982A publication Critical patent/JP2011177982A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5549276B2 publication Critical patent/JP5549276B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Pens And Brushes (AREA)

Abstract

【課題】切削加工によるバリの発生を抑制し、インキ流通が損なわれてしまうことを防止すると共に、加工に際してボールホルダーの外形部に亀裂などが生じ難いボールペンチップの製造方法を提供する。
【解決手段】後孔2側から、切削刃を放射状に配置した切削冶具Dを挿入して、放射状溝5を非貫通状態にまで穿孔した後、ボールホルダー1の前方よりボール抱持室となる大径部を穿孔し、ボール抱持室と放射状溝とを貫通させるボールペンチップの製造方法。
【選択図】図3

Description

本発明は、金属製の柱状部材に、切削加工にてインキ通路としての貫通孔を形成するボールペンチップの製造方法に関する。
従来、カスレ等の筆跡不具合を抑制するため、ボール抱持室に潤沢なインキを供給することを目的に中心孔に連通し後孔まで貫通した放射状溝を形成することが知られているが、前方のボール抱持室側から、放射状に配置された切削刃を有する切削冶具を挿入して、後孔に貫通する際、切削冶具の進行方向に後孔錐面に形成される放射状溝周りのボールホルダー部材が引っ張られ、所謂バリと呼ばれる薄片状の凸部ができてしまったり、貫通孔の開口部分の角部分が、崖が崩れたように除去されてしまう脱落が発生する。
ボールを前方付勢するために、先端にストレート部を有するコイルスプリングを配置する際に、コイルスプリングのストレート部を中心孔に挿入しようとすると、前記バリに引掛り中心孔まで達しないことがあった。また、この放射状溝の幅を、コイルスプリングのストレート部の線径より小さく設定したとしても、後孔錐面に形成された放射状溝周りが脱落していることによりテーパー状に拡形した状態となっているので、ストレート部が挟まってしまい、ボールを前方付勢できず、インキ漏れ、空気巻き込みによるカスレなどのボールペンの品質に大きく影響を与えるので、後孔錐面に形成された放射状溝周りの状態は、極めて重要である。
そこで、特開2003−170691号公報(特許文献1)には、後孔錐面に形成された放射状溝周りのバリを後孔側から押圧冶具または、切削冶具を挿入し除去し、コイルスプリングが正しい位置に配置されやすくしたボールペンチップの製造方法が開示されている。
また、特開平11−348485号公報(特許文献2)には、後孔より放射状に配置された切削刃を有する切削冶具を挿入して、前方ボール抱持室側へ貫通し、後孔錐面にバリ・脱落部を発生させないといったボールペンチップの製造方法が開示されている。
特開2003−170691号公報 特開平成11−348485号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の発明では、確かにバリの除去は、できるかもしれないが、放射状溝を形成する切削冶具が加工個数と共に切れ味の低下が起こり、それに伴い発生する脱落部の深さも次第に深く変化するため、脱落部が残ることとなる。そのことにより、後孔錐面に形成された放射状溝周りが脱落によりテーパー状に拡形し、放射状溝の幅をコイルスプリングのボールを前方付勢するストレート部の線径より小さく設定していても、脱落によるテーパー状拡形部がコイルスプリングのストレート部の線径より幅広となり、コイルスプリングのストレート部の挟まりが発生することがあった。すると、ボールを前方付勢できず、インキ漏れ、空気巻き込みによるカスレなどの問題が発生する。バリの除去加工の際に脱落部の問題がない程度に切削する場合、中心孔長さの30〜50%程度に亘り相当量の加工深さが必要であり、この切削加工による横方向のバリが発生することとなって、放射状溝が塞がりインキ流通が損なわれてしまう。
また、上記特許文献2に記載の発明では、後孔より放射状溝加工をするため、後孔錐面にバリ・脱落部の発生はないが、ボールホルダーの形状が先端尖りとなっていると共に、予めボール抱持室が形成されているため、ボールホルダーの先端開口部肉厚が薄く、放射状溝を形成するために切削されて押し退けられていくボールホルダーの肉が、先端側の薄肉部分を押し広げようとするため、ボールホルダー外形部に亀裂が生じてインキが染み出すことがあった。
本発明は、ボール抱持室となる前方の大径部を形成する前に、後孔側から、切削刃を放射状に配置した切削冶具を挿入して、放射状溝を非貫通状態にまで穿孔した後、ボールホルダーの前方よりボール抱持室となる大径部を穿孔し、ボール抱持室と放射状溝とを貫通させるボールペンチップの製造方法を要旨とする。
本発明によれば、後孔側から切削刃を放射状に配置した切削冶具を挿入するため、後孔錐面にバリ・脱落部の発生がなく良好な状態となり、スプリング先端ストレート部が引掛ったり、放射状溝に挟まるといったスプリング挿入不良がなく、ボールの前方付勢が確実となり、インキ漏れ、空気巻き込みによるカスレなどの筆記不具合の防止ができると共に、ボール抱持室となる前方の大径部を形成する前に、後孔側から放射状溝を非貫通状態にまで穿孔して、その後、ボールホルダーの前方よりボール抱持室となる大径部を穿孔し、ボール抱持室と放射状溝とを貫通させるため、ボールホルダーの先端側が非開口状態なので十分な強度があり、放射状溝加工時の加工抵抗によるボールホルダー外形部への亀裂や、ボール抱持室の壁部分が中心孔方向に倒れ、真円度が損なわれるような、ボール抱持室の歪みがない。
また、ボール抱持室錐面に形成された放射状溝周りにもバリ・脱落部がないため、ボールがボール抱持室の中心に座るため、ボールホルダーの先端開口部をカシメて縮径し、ボールを抜け止めする工程での真円度が向上し方向性筆跡の抑制となる。
後孔及び先端テーパー部形成工程を示す要部縦断面図。 中心孔形成工程を示す要部縦断面図。 放射状溝形成工程を示す要部縦断面図 放射状溝形成工程で加工されたボールペンチップの要部縦断面図。 貫通放射状溝形成工程を示す要部縦断面図。 ボール抱持室仕上げ加工工程を示す要部縦断面図。 ボール抱持室仕上げ加工工程で加工されたボールペンチップの要部縦断面図。 図7のI−I’線横断面矢視図。 放射状溝バリ除去工程を示す要部縦断面図。 カシメ工程を示す要部縦断面図。 凹部形成工程を示す要部縦断面図。 凹部形成工程まで加工されたボールペンチップの要部縦断面図。 チップセットまで加工されたボールペンチップの縦断面図。 リフィルまで加工されたボールペンチップの縦断面図。
ボールペンチップの基本的な構造は、紙面などの被筆記面と接触してインキを転写する筆記部材となるボールと、これを回転自在に抱持するボールホルダーとからなるものであり、インキの通り道であるボールホルダーの貫通孔を通じて被筆記面にインキを付与するものである。
ボールは、タングステンカーバイドやシリコンカーバイドなどを主成分とした焼結体のボールを使用でき、ボールホルダーとなる金属製の柱状部材は、ステンレスや黄銅、洋白などの合金製の線材を切断して使用できる。インキ流通路である放射状溝を加工する際に発生するバリ・脱落の抑制のためには、線材の硬度は硬めが望ましく、Hv260〜280程度が好ましいが、反面、切削刃の耐久性が低下することからHv230〜270程度とすることが好ましい。また、ボールホルダーは中心付近を切削して形成されるので、線材の中心付近の硬度が、外形付近の高度よりもHv15〜20程度低いものを使用することが好ましい。
ボールホルダーの貫通孔はインキ流通路であり、ドリルなどで形成される。先ず、
比較的大径のドリルにて後孔となる部分を柱状部材に形成し、次いで比較的小径のドリルにて中心孔となる部分をボールホルダーの後方より所定寸法まで掘り進める。
尚、後孔を深く掘る必要がある場合には、大径のドリルで深く掘り進むのには大きな力が必要であったり、ドリルへの負担も大きいものとなるので、大径〜小径へ径を次第に小径とするようにドリルを替えて、徐々に深く掘り進めることが好ましい。更に、ボールを配置した後にボールを前方付勢するコイルスプリングなどを挿入配置する場合、中心孔と後孔との間に形成される径の差分の段部分を鋭角な傾斜状に形成しておくとコイルスプリングが傾斜面を滑り中心孔に落ち易くなり好ましい。
中心孔を形成するのは、ボール抱持室に設置されるボールの後退規制をなす段部をボール抱持室と後孔との間に形成するためであり、結果的に中心孔はインキの流通量を制限する部分となっている。特に、ボールを前方付勢するコイルスプリングのような他部材を挿入する場合、その挿入物の分インキの流通できる有効横断面積が減少することになるので、その分も考慮した設計寸法値とすることが望まれ、中穴横断面積からコイルスプリング先端ストレート部の線径横断面積を差し引いた有効横断面積がボール投影断面積の0.19以下にならないよう中心孔の径や、長さを調整することによって適正なインキ流量とすることできる。
中心孔の加工深さは、後述する切削刃により放射状溝が形成される際、排除される金属肉片が中心孔内に収納できるよう中心孔加工深さを設定することで切削刃と排除される金属肉片が干渉することによる切削刃の破損を防止できる。
中心孔の長さは、後述する先端端部側から、大径のドリルにてボール抱持室を形成することによって決められるため予め設定通りの中心孔長さになるよう後孔深さで調節する。
次に、放射状に配置された切削刃を有する切削冶具を後孔側から挿入し、後孔と中心孔との間の段部側から放射状溝を穿孔し、ボール抱持室と放射状溝とを貫通させる工程で形成される内方突出部となる箇所を部分的に剥ぎ取り、該部に中心孔に連通した放射状の溝を形成する。この放射状溝は、後孔側から切削刃を放射状に配置した切削冶具を挿入するため後孔錐面にバリ・脱落部の発生が皆無となる。
また、ボール抱持室形成前に、切削刃を有する切削冶具を中心孔の途中で止め、非貫通状態に放射状溝を形成するので、切削冶具が切削した面は剪断面となり、切削冶具を止めた放射状溝の上側に切削冶具により押し退けられたボールホルダーの金属肉片が中心孔内に収納された状態となる。ボールホルダーの先端側が非開口状態で放射状溝を形成するため、ボールホルダー先端側が十分な強度があり、放射状溝加工による歪みの発生がない。尚、これに対して、ボール抱持室形成後、放射状溝を形成した場合、放射状溝加工時、その加工抵抗によりボール抱持室の底面が内壁面と底面との接続点を支点に内側に倒れ、設計で意図した先端開口部からの一部ボール突出高さにズレが生じたり、放射状溝を加工した部分の延長線上にあるボール抱持室の壁部分も中心孔方向に倒れが発生し、真円度が損なわれるボール抱持室の歪みが発生することがある。
また、放射状溝の幅は、コイルスプリング先端ストレート部の線径より狭く設定することで放射状溝内へのコイルスプリング先端ストレート部挟まりが防止でき、ボールを前方に付勢することが確実になるだけでなく、インキ流通路が塞がれてインキ流通が阻害されることも防止される。
次いで、大径のドリルにて先端端部側からボール抱持室となる前方の大径部を所定寸法まで掘り進め、ボール抱持室と放射状溝とを貫通させると同時に放射状溝加工時に排除された金属肉片も除去される。
この際、ドリルの先端部分の開き角度を、最終的に形成するボール抱持室と中心孔との段部の角度に近似したものにしておくと後の加工が少なくて済むので好ましい。
続いて、ボールペンの品質に大きく影響を及ぼすボールホルダー先端部の仕上がり寸法の精度を向上させるため、ボール抱持室の内壁面部分及び底面に該当する段部表面にドリル又はバイト等の切削刃で再切削する。また、先端外面取り部も同時にバイトで切削し、仕上げ加工をする。
この仕上げ加工は、前述したボール抱持室形成後、放射状溝を形成した場合発生するボール抱持室の歪みを除去する加工も兼ねているので、寸法精度を向上させる以上の仕上げ加工代が必要であるが、ボール抱持室形成前に放射状溝を形成する本発明では、ボール抱持室の歪みが発生せず除去する必要がなく、加工代が少なく済み、刃物の寿命が延びる。
続いて、前述した後孔側から放射状溝を形成する加工で使用した同一切削冶具をボール抱持室側から挿入し後孔に貫通させ、ボール抱持室と放射状溝とを貫通させる加工及びボールホルダー先端部の仕上げ加工時発生した放射状溝の一部を塞いでいる切削横バリを除去することで放射状溝の塞がりがなくインキ流通が損なわれずボール抱持室に潤沢なインキを供給することができる。
その後、筆記部材となるボールを、ボール抱持室に配置し、ボールホルダーの先端開口部の縁部分を圧接工具によるカシメと呼ばれる塑性変形加工を行うことで、ボールの直径よりも小径に縮径され、ボールの抜け止めがなされる。
この際、前述したボール抱持室形成後、放射状溝を形成した場合発生するボール抱持室の歪みがなく、また、ボール抱持室錐面に形成された放射状溝周りにもバリや脱落部がないため、ボールがボール抱持室の中心に座り易く、均一なカシメとなり真円度が損なわれない。
続いて、ハンマー工具によってボールに衝撃力を付与する所謂ハンマー工程を施して、ボールを、ボール抱持室と中心孔との間の段部に撃ち付け、この段部の中心側をボールの形状に塑性変形させて凹部を形成すると同時にボールが前後に移動可能な空間を形成する。これによって、筆記時にボールが紙面と当接して後退し、インキが吐出される隙間が形成される。従って、この凹部の大きさを調整することで、ボールの前後移動可能な空間が調整され、インキ吐出を適量にできる。
尚、カシメ行程を、段部に凹部を形成する工程の後に施した場合には、後穴からピンを挿入してボールを押し上げて、カシメられたボールホルダー先端部分を若干拡開し、ボールが前後に移動可能な空間を形成することもできる。
このようにして得られたボールペンチップのボールホルダーのインキ通路に、コイルスプリングを挿入し、その先端で直接又は部材を介してボールを前方付勢し、非使用時に、ボールがボールホルダーと周状当接し、不要なインキの漏れ出しなどを抑制することができる。
コイルスプリングの後方移動規制は、ボールホルダーの後端をカシメたり、インキタンクや、インキタンクとの接続部材に形成した段部とすることもできる。また、コイルスプリングは、ボールと当接させる先端部分を直線状に伸ばした形状とすることで、段部の存在などによって細い穴となっている中心孔でも挿入し易く好ましい。
本発明では、後孔の錐面に形成された放射状溝周辺にバリ・脱落部の発生がないため、コイルスプリングが確実に挿入され確実にボールに押圧力を付与することができる。
本発明で得られたボールペンチップを使用するボールペンに適用するインキとしては、水を主媒体とした水性インキ、アルコールなどの有機溶剤を主媒体とした油性インキのいずれも使用可能であり、これに着色成分である顔料及びまたは染料、凍結防止などのための高沸点有機溶剤、被筆記面への定着性を付与する樹脂成分、表面張力や粘弾性、潤滑性などを調整する界面活性剤や多糖類、防錆・防黴剤などが配合されたものであり、誤字修正などを目的とした酸化チタンなどの白色隠蔽成分を配合したものであってもよい。
また、インキの粘度や残量確認などの必要に応じて、インキ界面に接触させて、インキと相溶しない、α−オレフィンやポリブテンなどのゲル化物、シリコーンオイルなどの高粘度流体などをインキ界面に追従して移動するように層状に充填配置することもできる。この高粘度流体は、インキの逆流を抑制する働きをも担いうる。
以下、図面に基づき一例について説明する。尚、各工程に冠した括弧内の数字の順に工程が移行するものとする。
<(1)後孔及び中心孔形成工程>
図1に示すように、ボールホルダー1となる円柱状金属部材をチップ加工機のコレットチャック(図示せず)に固定し、全長を所定の長さにあわせるために前後端をバイト(図示せず)にて切断した後、バイトAを図上の矢印にて示すように回転させながら下降させて、複数に分けて切削して先端外形を先端に向かい縮径するテーパー部1aを形成する。尚、当該バイトAによるテーパー部1aの形成加工は、後述のかしめ加工の前までに実施すればよく、それによって、加工材料の肉厚を維持できて内側加工の影響をより外側に出さない様にすることもできる。
そして、ドリルBにて、後方より後孔2を所定の位置まで穿孔する。
尚、先端外形テーパー部形成と後孔形成工程は、同時でも別工程でもよい。
次に、図2に示すように、後孔2の後方よりドリルCによって、中心孔3を穿孔する。図示のものでは、中心孔3を穿孔する前に、ドリルの中心位置ガイドとなる補助孔3’を形成しているが、補助孔を形成するかどうかは適宜である。補助孔を形成する場合は、後孔2を加工するドリルBの先端角及び、中心孔3を加工するドリルCの先端角より鋭角な先端角のバイトやドリルで中心孔3より大径な補助孔3´とすることが好ましい。ドリルCによる穿孔深さは、後工程による放射状溝の形成長さに加えて、放射状溝を非貫通状態に形成する際に出る切削金属肉片が収納できる長さとなる位置までにすると、非貫通状態でありながらも、切削金属片が穿孔の障害となり難い。
<(2)放射状溝形成工程>
図3に示すように、後孔2と中心孔3とを加工して形成された段部4に、放射状に配置された切削刃を有する切削冶具Dを後孔側から挿入し、切削加工し、中心孔3の途中で切削冶具Dを止め、非貫通状態にインキ流通孔としての放射状溝5を形成する。
ここまでの工程で得られたものの要部縦断面図を図4に示す。
切削冶具Dを後孔側から挿入し、放射状溝5を形成することで、後孔2錐面2aには脱落及びバリの発生が皆無となる。また、非貫通状態に放射状溝5を形成することで切削冶具Dがボール抱持室に貫通する際、発生する脱落及びバリの発生も抑えられる。
また、ボールホルダー1の先端側が非開口状態で放射状溝を形成するので、ボール抱持室の歪みの発生もないが、切削冶具Dを止めた放射状溝5の上側に、切削冶具Dにより押し退けられ排除されたボールホルダーの金属肉片6が発生する。前記中心孔形成工程にて、この金属肉片6が収納できる中心孔3の長さにしていることで、金属肉片6の上側の中心孔3に空間7があるため、切削冶具Dの進行を阻害することがない。
<(3)貫通放射状溝形成工程>
図5に示すように、大径のドリルEでボール抱持室8を形成してボール抱持室8と中心孔3との間に内抱突出部9を形成しつつ、ボール抱持室8と放射状溝5とを貫通させる。
次に、図6に示すように、ボール抱持室8の内壁面8a、底面8bをバイトFにて仕上げ切削する。また、先端面8cもバイトF’にて仕上げ切削すると同時に先端外面取り部8dもバイトF’’にて仕上げ切削する。
ここまでの工程で得られたものの要部縦断面図を図7に示す。図8は図7のI−I’線断面矢視図であり、前述した放射状溝形成工程で脱落・バリのない非貫通状態に放射状溝5を形成しているため、ボール抱持室8を穿孔し、貫通した放射状溝5のボール抱持室8の底面8bの放射状溝5の周辺には、脱落部及びバリがない状態となると同時に、中心孔3内に収納された放射状溝加工時に排除された金属肉片6も除去される。また、ボール抱持室8の歪みもなく、後工程でのボールをボール抱持室8に配置した時、ボールがボール抱持室8の中心に座りボール寄りが抑えられるが、ボール抱持室8の底面8bを切削した際に、放射状溝5のバイトの回転方向側の肉が放射状溝5側に延び、横バリ10が発生し、放射状溝5の一部が塞がれ、インキ流路の減少となる。
<(4)放射状溝バリ除去工程>
図9に示すように、前述した後孔側から非貫通状態に放射状溝5を形成する加工で使用した同一切削冶具Dをボール抱持室側8から挿入し後孔2に貫通させ、ボール抱持室加工工程にて発生した放射状溝5を一部塞いでいる切削横バリ10が除去され、インキ流通路が塞がれてインキ流通が阻害されることが防止される。
<(5)カシメ工程>
図10に示すように、次いで、ボール11をボール抱持室8に配置した後、ボールホルダー1の先端外面取り部8dをローラーなどの圧接加工具Gにて、内方に向かって塑性変形させるかしめ加工を施し、ボール11をボール抱持室8から抜け止めする。
<(6)凹部形成工程>
図11に示すように、ボール11に対してハンマー工具Hによって衝撃力を付与し、その塑性変形により内抱突出部9の段部9aにボール11の形状を転写した凹部12を形成する。このハンマー工具Hの内抱突出部9の段部9aへの押し付け深さを調整することにより、ボールが前後に移動可能な空間を形成する。これによって、筆記時にボールが紙面と当接して後退し、インキが吐出される隙間が形成される。
ここまでの工程で得られたものの要部縦断面図を図12に示す(ボール1は破線で表示)。
図13に示すように、ボールホルダー1の後孔2よりボール11を前方付勢するための、先端にストレート部を有するコイルスプリング13を挿入し、ボールホルダー1の後端1bを内方に向かって塑性変形させる、かしめ加工を施し、コイルスプリングの後方移動規制を行い、固定する。
中心孔3と貫通している後孔2の錐面2aに形成された放射状溝5の周りには、脱落及びバリが皆無なため、コイルスプリング13の先端ストレート部13aが後孔2の錐面2aを滑り落ち、中心孔3内に確実に挿入される。
図14に示すように、コイルスプリング13を設置したボールホルダー1の後端の小径部1cをポリプロピレン樹脂などの押し出し成形パイプであるインキ収納管14の先端に圧入固定する。
インキ収納管14内に、インキ15を充填し、その後、インキ界面に追従体16を充填し、インキ内の空気を除去する遠心工程を経て所謂リフィルとなる。
1 ボールホルダー
1aテーパー部
1b後端
1c後端小径部
2 後孔
2a錐面
3 中心孔
3’ 補助孔
4 段部
5 放射状溝
6 金属肉片
7 空間
8 ボール抱持室
8a内壁面
8b底面
8c先端面
8d先端外面取り部
9 内抱突出部
9a段部
10 横バリ
11ボール
12凹部
13コイルスプリング
13a 先端ストレート部
14インキ収納管
15インキ
16追従体
A バイト
B ドリル
C ドリル
D 切削冶具
E ドリル
F バイト
F’ バイト
F’’ バイト
G 圧接加工具
H ハンマー工具

Claims (1)

  1. ボール抱持室となる前方の大径部を形成する前に、後孔側から、切削刃を放射状に配置した切削冶具を挿入して、放射状溝を非貫通状態にまで穿孔した後、ボールホルダーの前方よりボール抱持室となる大径部を穿孔し、ボール抱持室と放射状溝とを貫通させるボールペンチップの製造方法。
JP2010043048A 2010-02-26 2010-02-26 ボールペンチップの製造方法 Expired - Fee Related JP5549276B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010043048A JP5549276B2 (ja) 2010-02-26 2010-02-26 ボールペンチップの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010043048A JP5549276B2 (ja) 2010-02-26 2010-02-26 ボールペンチップの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011177982A true JP2011177982A (ja) 2011-09-15
JP5549276B2 JP5549276B2 (ja) 2014-07-16

Family

ID=44690038

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010043048A Expired - Fee Related JP5549276B2 (ja) 2010-02-26 2010-02-26 ボールペンチップの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5549276B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013095054A (ja) * 2011-10-31 2013-05-20 Pentel Corp ボールペンチップ用コイルスプリング
JP2013151153A (ja) * 2011-12-28 2013-08-08 Pentel Corp ボールペンチップ
JP2013173276A (ja) * 2012-02-24 2013-09-05 Zebra Pen Corp ボールペンチップ及びその製造方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11348485A (ja) * 1998-06-12 1999-12-21 Mitsubishi Pencil Co Ltd ボールペンチップの製造方法およびボールペンチップ
JP2000006570A (ja) * 1998-06-25 2000-01-11 Mitsubishi Pencil Co Ltd ボールペンチップの製造方法およびボールペンチップ
JP2000037985A (ja) * 1998-07-23 2000-02-08 Mitsubishi Pencil Co Ltd ボールペンチップおよびボールペンチップの製造方法
JP2011020317A (ja) * 2009-07-15 2011-02-03 Pentel Corp ボールペンチップの製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11348485A (ja) * 1998-06-12 1999-12-21 Mitsubishi Pencil Co Ltd ボールペンチップの製造方法およびボールペンチップ
JP2000006570A (ja) * 1998-06-25 2000-01-11 Mitsubishi Pencil Co Ltd ボールペンチップの製造方法およびボールペンチップ
JP2000037985A (ja) * 1998-07-23 2000-02-08 Mitsubishi Pencil Co Ltd ボールペンチップおよびボールペンチップの製造方法
JP2011020317A (ja) * 2009-07-15 2011-02-03 Pentel Corp ボールペンチップの製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013095054A (ja) * 2011-10-31 2013-05-20 Pentel Corp ボールペンチップ用コイルスプリング
JP2013151153A (ja) * 2011-12-28 2013-08-08 Pentel Corp ボールペンチップ
JP2013173276A (ja) * 2012-02-24 2013-09-05 Zebra Pen Corp ボールペンチップ及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5549276B2 (ja) 2014-07-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5549276B2 (ja) ボールペンチップの製造方法
JP5365383B2 (ja) ボールペンチップの製造方法
TW200927511A (en) Needle type ball pen tip
JP2007216640A (ja) 塗布具用チップ、並びに、塗布具
JP4318245B2 (ja) ボールペンチップ、このボールペンチップを利用したボールペン及びこのボールペンチップの製造方法
JP2013151153A (ja) ボールペンチップ
JP2010076411A (ja) ボールペンチップの製造方法
JP4655855B2 (ja) ボールペンチップ
JP2010221408A (ja) 塗布具
JP2008087300A (ja) ボールペンチップ
JP7294639B2 (ja) ボールペンチップの製造方法及びボールペンチップ
JP2006181881A (ja) ボールペンチップ
JP2009208274A (ja) ボールペンの製造方法
JP2003320782A (ja) ボールペンチップ
JP2004261990A (ja) ボールペンチップの製造方法
JP2008049527A (ja) ボールペン
JP2011093244A (ja) ボールペンチップの製造方法
JP4135889B2 (ja) ボールペンチップの製造方法
JP4878261B2 (ja) ボールペンチップ及びボールペンリフィール
JP2009166475A (ja) ボールペンチップの製造方法
JP2016078321A (ja) ボールペン
JP7365126B2 (ja) ボールペンチップ
JP2002154292A (ja) ボールペンまたは塗布具のチップ
JP2006341492A (ja) 油性ボールペン用チップおよび該チップを用いた油性ボールペン
JP2004351659A (ja) ボールペンチップの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20121225

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130905

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131001

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140422

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140505

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5549276

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees