JP2011171181A - 電池電極用組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】平均分子量5000〜12000のポリアクリル酸またはポリアクリル酸塩(A)と、バインダー(B)を含む電池電極用組成物において、バインダー(B)が、数平均粒子径が50〜300nmであるカルボキシ変性共重合体ラテックスであって、該共重合体ラテックスの重量平均粒子径と数平均粒子径の比(重量平均粒子径/数平均粒子径)が1.05以上であることを特徴とする電池電極用組成物を使用する。
【選択図】 なし
Description
例えば、特開2003−217573号公報(特許文献1)では、特定水溶性高分子と最低造膜温度を規定した水分散エマルジョン樹脂をポリマーバインダーとした特定の粘性特性をもつ電池電極用組成物を用いることで、サイクル性、保存特性、安全性に優れた二次電池を得ることが提案されている。
また、特開平04−342966号公報(特許文献3)では、カルボキシメチルセルロースとスチレンブタジエンゴムをポリマーバインダーとして用いることで、充放電サイクル寿命に優れ、かつ高い容量維持率を持つ非水溶媒二次電池を得ることが提案されている。
そこで、本発明の目的は、経時安定性が良好な電池電極用組成物を提供し、結着性に優れる電極塗工層を形成することにある。
エチレン系不飽和カルボン酸単量体が0.1重量%未満では、共重合体ラテックス自身および電池電極用組成物の安定性が劣る可能性があり、また10重量%を超えると共重合体ラテックスの粘度が高くなり、共重合体ラテックス自身の取り扱い上の問題を生じる可能性があるため好ましくない。さらに好ましくは0.5〜7重量%である。
さらに、上記各単量体の他に、例えば、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのラジカル重合可能な単量体を用いることもできる。
単量体組成物を乳化重合する際には、乳化剤、重合開始剤、還元剤、連鎖移動剤、酸化還元触媒、炭化水素系溶剤、電解質、重合促進剤、キレート剤等を使用することができる。
乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、脂肪族カルボン酸塩、非イオン性界面活性剤の硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤あるいはポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルフェニルエーテル型、アルキルエーテル型等のノニオン性界面活性剤が挙げられ、これらを1種又は2種以上使用することができる。特に、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩が好ましい。
乳化剤は、特に限定されないが、単量体組成物100重量部に対して、例えば、0.05〜8重量部、好ましくは、0.1〜5重量部の割合で配合される。
また、重合方法としては、特に限定されず、バッチ重合、セミバッチ重合、シード重合などを用いることができる。また、各種成分の添加方法についても特に制限されるものではなく、一括添加方法、分割添加方法、連続添加方法、パワーフィード法などを用いることができる。本発明においては、これらのうち、共重合体ラテックスを2段階以上、好ましくは3段階の多段重合にて乳化重合することが好ましい。
数平均粒子径が50nm未満では、ラテックス粒子のコロイド安定性が劣り、電池電極用組成物作製時に凝集物が発生し問題である。数平均粒子径が300nmを超えると、活物質との結着性が劣り活物質の脱落が発生し、電池特性の低下につながる。
該共重合体ラテックスの重量平均粒子径と数平均粒子径の比(重量平均粒子径/数平均粒子径)が1.05未満では、電池電極用組成物の粘度の経時変化が大きく、集電体へ塗工する際の塗工適性が低下したり、得られる電極塗工層の結着力が低下する。好ましくは、1.05以上3.0未満である。
以下に、リチウムイオン二次電池における本発明の電池電極用組成物について、具体的に説明する。
リチウムイオン二次電池における本発明の電池電極用組成物は、正極活物質を配合することにより、電池の正極に用いられる正極用組成物が調製される。また、電池電極用組成物に負極構成材を配合することにより、電池の負極に用いられる負極用組成物が調製される。
正極活物質または負極構成材100重量部に対する共重合体ラテックスの固形分が、0.1重量部未満では、集電体などに対する良好な結着力が得られない傾向があり、10重量部を超えると、二次電池として組み立てた際に、過電圧が著しく上昇し、電池特性を低下させる傾向がある。
なお、本発明の電池電極用組成物において、ポリアクリル酸またはポリアクリル酸塩(A)とバインダー(B)の添加方法は特に制限されず、(A)と(B)を別々に添加しても良いし、あらかじめ(A)と(B)を混合してから活物質と配合しても良い。
本発明の電池電極用組成物は、集電体に塗工、乾燥されることにより、集電体上に電極塗工層を形成し、電極シートを得る。得られた電極シートは、リチウムイオン二次電池の正極板または負極板として用いられる。
電池電極用組成物を集電体に塗布する方法としては、リバースロール法、コンマバー法、グラビヤ法、エアーナイフ法などの公知の方法を用いることができ、乾燥には、放置乾燥、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機などが用いられる。乾燥温度は、通常、50℃以上である。
耐圧性の重合反応器に、純水90部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部、過硫酸カリウム1.0部を仕込み、十分攪拌した後、表1に示す1段目の各単量体およびシクロヘキセン2.0部を加えて70℃で重合を開始した。重合開始1.5時間後から重合温度を73℃に上げて保ち、表1に示す2段目の各単量体とその他の化合物およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1部と純水10部の混合物を7時間で連続的に添加した。次いで、表1に示す3段目の各単量体とその他の化合物を0.5時間で連続的に添加した後、温度を75℃に上げて保ち、重合転化率97%以上になったことを確認して重合を終了した。
次いで、水酸化リチウム水溶液を用いてpHを約7に調整した後、水蒸気蒸留により未反応単量体および他の低沸点化合物を除去し、共重合体ラテックス(B−1)を得た。
また、表1および表2に示す条件を変更する以外は、共重合体ラテックス(B−1)と同様の方法にて、共重合体ラテックス(B−2)〜(B−7)を得た。さらに、共重合体ラテックス(B−3)については、2段目の重合の際に、表1に記載の量のシード粒子を添加した。
(1)数平均粒子径及び重量平均粒子径の測定
共重合体ラテックスの数平均粒子径および重量平均粒子径は、MAtec Applied Sciences社のCHDF2000を用いて測定した。尚、測定は以下の条件にて行った。測定結果から共重合体ラテックス(B−1)〜(B−7)の重量平均粒子径と数平均粒子径の比(重量平均粒子径/数平均粒子径)を求めた。結果を表1および表2に示した。
(測定条件)
・
カラム温度35℃
・
キャリアー流量1.4ml/min
・
サンプル濃度0.5〜1.0重量%
(2)ゲル含量の測定
温度50℃、湿度85%の雰囲気にて各共重合体ラテックスのフィルムを作製した。作製したラテックスフィルムを約1g秤量し、これを400mlのトルエンに入れ48時間膨潤溶解させた。その後、これを300メッシュの金網で濾過し、金網に捕捉された不溶部を乾燥後、秤量した。ラテックスフィルムの重量に対する、トルエン不溶分の乾燥重量の百分率を算出した。測定結果を表1および表2に示した。
(1)正極用組成物の作成
正極活物質としてLiCoO2を100部、導電剤としてアセチレンブラックを5部、結着剤として固形分換算で、ポリアクリル酸ナトリウム(A−1)水溶液0.2部、共重合体ラテックス(B−1)3部及びカルボキシメチルセルロース水溶液1部とを全固形分が40%となるように適量の水を加えて混練し、正極用組成物を調製した。
同様にして、表3に記載された組み合わせで、ポリアクリル酸ナトリウム(A−2)〜(A−4)と共重合体ラテックス(B−2)〜(B−7)を用いて実施例2〜5、比較例1〜5の正極用組成物を作成した。
実施例6は、あらかじめポリアクリル酸ナトリウム(A−1)水溶液と共重合体ラテックス(B−3)を混合した以外は、実施例3と同様の操作で正極用組成物を調製した。
また比較例6は、ポリアクリル酸ナトリウム(A−1)を添加しなかった以外は、実施例3と同様の操作で正極用組成物を調製した。
(2)負極用組成物の作成
導電性炭素質材料として平均粒子径が20μmの天然黒鉛を使用し、天然黒鉛100重量部に対して固形分換算で、ポリアクリル酸ナトリウム(A−1)水溶液0.2重量部、共重合体ラテックス(B−1)3部、カルボキシメチルセルロース水溶液1部とを、全固形分が40%となるように適量の水を加えて混練し、負極用組成物を調製した。
同様にして、表3に記載された組み合わせで、ポリアクリル酸ナトリウム(A−2)〜(A−4)と共重合体ラテックス(B−2)〜(B−7)を用いて実施例2〜5、比較例1〜5の負極用組成物を作成した。
実施例6は、あらかじめポリアクリル酸ナトリウム(A−1)水溶液と共重合体ラテックス(B−3)を混合した以外は、実施例3と同様の操作で負極用組成物を調製した。
また比較例6は、ポリアクリル酸ナトリウム(A−1)を添加しなかった以外は、実施例3と同様の操作で負極用組成物を調製した。
(1)電池電極用組成物の粘度の経時変化(経時安定性)
上記にて得られた電池電極用組成物の作製直後の粘度と室温放置3時間後の粘度を測定し、下記のとおり評価した。評価結果については表3に示した。
R = |作製直後粘度−室温放置3時間後粘度|/作製直後粘度
○:0≦R≦0.5 :経時安定性が良好
△:0.5<R≦1 :経時安定性が悪い
×:R>1 :経時安定性が非常に悪い
(1)正極の作成
各々の正極用組成物を、集電体となる厚さ20μmのアルニミウム箔の両面に塗布し、120℃で5分間乾燥し、熱プレスで圧縮成型して実施例1〜6および、比較例1〜6の正極をそれぞれ作成した。塗工層の厚みが80μm(片面あたり)の正極を得た。これらの評価内容については以下のとおりである。評価結果については表3に示した。
(2)負極の作成
各々の負極用組成物を、集電体となる厚さ20μmの銅箔の両面に塗布し、120℃で5分間乾燥し、熱プレスで圧縮成型して実施例1〜6および、比較例1〜6の負極をそれぞれ作成した。塗工層の厚みが80μm(片面あたり)の負極を得た。これらの評価内容については以下のとおりである。評価結果については表3に示した。
(1)電極の結着力評価
上記の方法で得られた電極の表面に、ナイフを用いて塗工層から集電体に達する深さまでの切り込みを2mm間隔で縦横それぞれ6本入れ、25個(5個×5個)のマス目を有する碁盤目を形成した。この切り込みに粘着テープを貼り付けて直ちに引き剥がし、活物質の脱落の程度を目視判定で、下記の通り評価した。評価結果については表3に示した。
5点:脱落なし
4点:1〜3個のマス目が脱落
3点:4〜10個のマス目が脱落
2点:11〜19個のマス目が脱落
1点:20〜25個のマス目が脱落
Claims (1)
- 平均分子量5000〜12000のポリアクリル酸またはポリアクリル酸塩(A)と、バインダー(B)を含む電池電極用組成物において、バインダー(B)が、数平均粒子径が50〜300nmであるカルボキシ変性共重合体ラテックスであって、該共重合体ラテックスの重量平均粒子径と数平均粒子径の比(重量平均粒子径/数平均粒子径)が1.05以上であることを特徴とする電池電極用組成物。
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