以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、実施形態という)について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る製本システム10の全体構成図である。製本システム10は、丁合装置12、糊付け装置13、中綴じ折り装置14、断裁装置16、スタッカ18、および管理装置20を有する。中綴じ折り装置14には、綴じ機構50および折り機構70が設けられている。
管理装置20は、管理PC(Personal Computer)100、ディスプレイ102、キーボード104、マウス106によって構成される。ディスプレイ102、キーボード104、およびマウス106は管理PC100に接続されている。管理PC100は、ディスプレイ102に設定画面を表示することにより、ユーザによって各種の設定入力が可能な状態とする。ユーザは、設定画面が表示された状態でキーボード104やマウス106を使って各種の設定入力をすることができる。
管理PC100は、CPU、ROM、RAM、ハードディスクなどを有し、これらのハードウェア、およびソフトウェアによって、製本システム10全体を制御するシステム制御部119が構成されている。丁合装置12、糊付け装置13、綴じ機構50、折り機構70、および断裁装置16は、各々がCPU、ROM、RAMを有し装置内部のアクチュエータの作動を制御する給紙制御部110、糊付け制御部112、綴じ制御部114、折り制御部116、および断裁制御部118を有する。システム制御部119は、これらの制御部に接続されており、ディスプレイ102に表示されたスタートボタンがユーザによってクリックされると、製本処理を開始する旨を示すスタート信号を、これらの制御部に送信する。
また、システム制御部119は、用紙の搬送方向長さを示す情報と用紙幅方向の幅方向長さを示す情報を含むサイズ情報を取得する。したがってシステム制御部119は、サイズ情報取得部として機能する。システム制御部119は、ユーザによって入力または選択された用紙サイズを示す情報をサイズ情報として取得してもよい。また、例えば給紙トレイ24に用紙サイズセンサが設けられている場合、検出された用紙サイズをサイズ情報として取得してもよい。
システム制御部119は、取得されたサイズ情報を利用して用紙に折りラインを設定する。したがってシステム制御部119は、折りライン設定部として機能する。具体的には、システム制御部119は、取得したサイズ情報に含まれる用紙の搬送方向長さを示す情報を利用して、搬送する用紙の先端部から搬送方向長さの半分の距離にある直線を折りラインとして設定する。なお、ユーザは、設定画面において、折りラインの位置として搬送する用紙の先端部からの距離を入力することが可能となっている。システム制御部119は、このようにユーザに入力された用紙先端部からの距離にある直線を折りラインとして設定してもよい。
システム制御部119は、ユーザによって入力された仕上がりサイズを仕上がりサイズ情報として取得する。なお、システム制御部119は、システム制御部119によって取得された用紙サイズ情報が示すサイズの用紙を半分に折りたたんだサイズから、さらに断裁マージンを差し引いたサイズを、冊子の仕上がりサイズとして取得してもよい。システム制御部119は、取得した仕上がりサイズ情報を断裁制御部118に送信する。
丁合装置12は、用紙収容部から用紙を送り出して搬出する給紙装置として機能する。具体的には、丁合装置12は、本体部22および搬送部23を有する。本体部22は、用紙収容部である複数の給紙トレイ24(第1の実施形態では10個)と、給紙トレイ24の各々に対応して設けられた給紙機構25と、共通搬送路26とを有する。
複数の給紙トレイ24は、鉛直方向に並ぶよう配置される。各々の給紙トレイ24は平板状に形成され、水平となるよう配置される。給紙トレイ24の各々に対応して、給紙トレイ24を昇降させる昇降機構(図示せず)と、給紙トレイ24に積載された用紙のうち最上位の用紙の高さを検知する用紙高さセンサ(図示せず)とが設けられている。この用紙高さセンサによって検知された最上位の用紙の高さを維持するよう、昇降機構によって給紙トレイ24の高さが調整される。
給紙機構25は、給紙トレイ24に積載された用紙のうち最上位の用紙を分離して送り出す。給紙機構25はエア吸引式のものが採用されている。エア吸引式の給紙装置は公知であるため、その詳細な説明は省略する。なおエア吸引式の給紙装置に代えて、いわゆるフリクション式の給紙装置が設けられてもよいことは勿論である。共通搬送路26は、鉛直方向に延びるよう設けられ、給紙機構25の各々によって給紙トレイ24から送り出された用紙は、この共通搬送路26を通って下方に搬送される。
丁合装置12は、複数の給紙トレイ24から用紙を送り出すことにより複数の用紙を重ね合わせて搬送可能に設けられている。給紙制御部110は、給紙機構25の給紙タイミングを調整することにより、複数の給紙トレイ24から送り出された用紙を重ね合わせて搬送し、または他の用紙と重ならないよう単独で用紙を搬送するなど、用紙搬送を制御する。搬送部23は、本体部22から搬送された用紙を糊付け装置13に搬送する。
糊付け装置13は、糊付け機構30、搬送ローラ32、用紙搬送プレート34、サクション搬送機構40、搬送ローラ42、および用紙反転機構44を有する。搬送ローラ32は、用紙搬送プレート34を挟んで対向するように配置されており、用紙搬送プレート34上に送り込まれた用紙を糊付け機構30に搬送する。糊付け機構30は、送り込まれた用紙を規定位置に停止させて糊を転写する。糊付け機構30の構成については後述する。
なお、糊付け機構30には、用紙幅方向への用紙の移動を規制するサイドガイド(図示せず)が、装置前方および後方にそれぞれ1つずつ設けられている。この一対のサイドガイドの各々は、互いに対向する用紙規制面を有する。第1の実施形態では、一対のサイドガイドはいわゆる中心振り分け方式により用紙幅方向の中央から用紙規制面までの距離が等しくなるよう移動可能に構成されている。一対のサイドガイドの各々はギヤ機構を介してモータに接続されており、このモータを作動させることにより、対向する用紙規制面の間の距離を用紙の幅に合わせて変化させることが可能となっている。
サクション搬送機構40は、糊付け機構30から送り込まれた用紙をさらに下流側に搬送する。なお、サクション搬送機構40は、サクションベルト、駆動ローラ、サクションチャンバを有する。サクションベルトは、複数のベルトを間隔をあけて幅方向に並設したものでもよいし、幅広のベルトに複数の孔が形成されたものでもよい。サクションチャンバは、サクションベルトの内方に設けられたファンによってエアを吸引し、それにより用紙をベルトに密着させるものである。サクション搬送機構40が駆動されると、用紙がサクションベルトに密着する態様で下流側へ搬送される。
糊付け制御部112によって用紙の直接搬送要求が取得された場合、サクション搬送機構40から送り込まれた用紙は用紙反転機構44を介することなく搬送ローラ42によって中綴じ折り装置14に搬出される。糊付け制御部112によって用紙の反転要求が取得された場合、サクション搬送機構40から送り込まれた用紙は用紙反転機構44によって反転された後、搬送ローラ42によって中綴じ折り装置14に搬出される。なお、用紙反転機構44の構成は公知であるため説明を省略する。
綴じ機構50は、搬出ローラ45、針綴じ機構52、圧着機構54、ベルト搬送機構56、ストッパ58、およびバッグジョガー46を有する。ベルト搬送機構56は、搬送ベルトを有しており、中綴じ折り装置14に送り込まれた用紙は、搬出ローラ45によってこの搬送ベルト上に搬出され積載される。ストッパ58は、ベルト搬送機構56における搬送ベルト上面より上方に進出可能に設けられている。バッグジョガー46は、ベルト搬送機構56の搬送ベルト上面に積載された用紙の後端を下流側に向かって押し付けることにより、用紙の先端をストッパ58に押し付けて用紙の端部を揃える。これらベルト搬送機構56、ストッパ58、およびバッグジョガー46の構成は公知であるため詳細な説明は省略する。このように、搬出ローラ45、ベルト搬送機構56、ストッパ58、およびバッグジョガー46は、搬送ベルト上にて折りラインが互いに重なるように用紙を重ね合わせる用紙重ね機構として機能する。
針綴じ機構52は、重ね合わされた複数の用紙に折りライン上において綴じ針を打ち込んで針綴じする。具体的には、針綴じ機構52は、ドライバ64を有する。ドライバ64は、搬送ベルト上に積載された用紙に向かって移動しながら綴じ針を用紙に打ち込む。このようなドライバ64の構成は公知であるため、詳細な説明は省略する。針綴じ機構52には、用紙の幅方向の位置を揃えるための一対のサイドガイド(図示せず)が設けられている。一対のサイドガイドはモータ(図示せず)の作動により間隔が調整可能とされている。綴じ制御部114は、取得したサイズ情報を利用して、用紙の幅方向の間隔となるようモータを作動させて一対のサイドガイドの間隔を調整する。
圧着機構54は、プッシャ60および受け台62を有する。圧着機構54は、カム機構およびモータが設けられた昇降機構(図示せず)を有している。このモータが作動することによりカム機構を介してプッシャ60が上下に移動する。圧着機構54は、昇降機構を作動させてプッシャ60で最上位の用紙を下方に押圧する。これにより、搬送ベルト上に積載された用紙はプッシャ60と受け台62とによって挟持され、糊付けされた用紙とそれに対向する用紙とが圧着される。
折り機構70は、ベルト搬出機構73、折りストッパ74、ベルト搬送機構75、折りナイフ76、折りローラ78、およびベルト搬送機構80を有する。ベルト搬出機構73は、ベルト搬送機構56によって送り込まれた用紙をベルト搬送機構75に搬出する。ベルト搬送機構75は、下流側ほど低くなるよう傾斜して配置されている。これらベルト搬送機構75、折りストッパ74、およびバッグジョガー46の構成は公知であるため詳細な説明は省略する。
ベルト搬送機構75には、用紙の幅方向の位置を揃えるための一対のサイドガイド(図示せず)が設けられている。一対のサイドガイドはモータ(図示せず)の作動により間隔が調整可能とされている。折り制御部116は、取得したサイズ情報を利用して、用紙の幅方向の間隔となるようモータを作動させて一対のサイドガイドの間隔を調整する。
ベルト搬送機構75は、搬送ベルトを有しており、中綴じ折り装置14に送り込まれた用紙は、搬出ローラ45によってこの搬送ベルト上に搬出され積載される。折りストッパ74は、ベルト搬送機構75の搬送ベルト上面より上方に突出するよう設けられている。折り機構70に送り込まれる用紙は、その前端部が折りストッパ74に当接したところで用紙搬送方向の位置決めがされ、折りラインが互いに重なるように蓄積される。このように、ベルト搬出機構73、ベルト搬送機構75、および折りストッパ74は、搬送ベルト上にて折りラインが互いに重なるように用紙を重ね合わせる用紙重ね機構として機能する。
折りストッパ74はボールネジ機構を介してストッパ移動モータ(図示せず)に接続されており、ストッパ移動モータが作動することにより用紙搬送方向に移動する。折り制御部116は、システム制御部119から設定された折りラインの位置を取得し、折り機構70に用紙が送り込まれる前に、折りラインに折りナイフ76が当接するよう、予め折りストッパ74を移動させておく。
ベルト搬送機構75の上方には一対の折りローラ78が、軸方向が用紙幅方向に向くように並設されている。折り制御部116は、折りナイフ駆動モータ(図示せず)を作動させることにより一対の折りローラ78の間に折りナイフ76を上昇させ、またベルト搬送機構75の下方に下降させる。折りストッパ74により用紙束が用紙搬送方向の位置決めがされた状態で折りナイフ76を上昇させることにより、積み重ねられた用紙が確実に貼り付けられるとともに、その用紙束が一対の折りローラ78の間に巻き込まれて折りたたまれる。
一対の折りローラ78は、ギヤ機構などを介して折りローラ駆動モータに接続されている。折り制御部116は、折りローラ駆動モータを作動させることにより、巻き込んだ用紙束を折りたたみながら上方に搬送するように一対の折りローラ78を駆動させる。一対の折りローラ78によって折りたたまれた冊子はベルト搬送機構80に送り込まれる。ベルト搬送機構80は、作成された冊子折り強化機構82に送り出す。
折り強化機構82は、折り機構70によって折りたたまれた中折り冊子の膨らみを抑制すべく、冊子の背の部分を再度挟持するよう設けられる。折り強化機構82の構成は公知であるため、詳細な説明は省略する。折り強化機構82の上流側には用紙センサ84が設けられている。ベルト搬送機構80は、送り出した冊子の背が用紙センサ84によって検知された後、背が折り強化機構82によって挟持可能となる所定時間が経過したタイミングで冊子の搬送を一時停止させる。折り強化機構82は、こうして一時停止した冊子の背を押圧する。
断裁装置16は、三方断裁機構90を有する。三方断裁機構90は、小口断裁刃98、用紙押さえ部96、ストッパ94、サイドガイド(図示せず)、および一対の天地断裁刃(図示せず)を有する。
ストッパ94は、ソレノイド(図示せず)をオン・オフすることにより、用紙搬送路92に進退可能とされている。冊子の小口を断裁する場合、三方断裁機構90は、各々の冊子が送り込まれる前にストッパ94を用紙搬送路92から上方に突出させておく。ストッパ94はボールネジ機構を介してストッパ移動モータ(図示せず)に接続されており、ストッパ移動モータが作動することにより用紙搬送方向に移動する。断裁制御部118は、受信した仕上がりサイズ情報に基づいて、小口の断裁位置、および天地の断裁位置を特定する。断裁制御部118は、特定した位置で小口を断裁するよう、ストッパ移動モータを作動させてストッパ94を移動させる。
三方断裁機構90に搬送された冊子は、背がストッパ94に当接する直後のタイミングで搬送が停止される。冊子の天地は、ストッパ94に当接する以前に一対のサイドガイド(図示せず)によって位置決めされる。用紙押さえ部96は、モータ(図示せず)が作動することにより、ストッパ94に当接した冊子に向けて下降する。
小口断裁刃98は、用紙押さえ部96より用紙搬送方向上流側(以下、「上流側」という)の用紙搬送路92上方に設けられ、小口断裁モータ(図示せず)が作動することにより下降する。天地断裁刃は、用紙搬送路92上方に用紙押さえ部96を挟んでそれぞれ一つずつ設けられ、天地断裁モータ(図示せず)が作動することにより下降する。これら一対の天地断裁刃は、中心振り分け方式により相互に離間または近接する方向に移動可能とされており、天地断裁刃移動モータ(図示せず)が作動するによって、ギヤ機構などを介して相互に離間または近接する方向に移動する。断裁制御部118は、特定した位置で天地を断裁するよう、天地断裁刃移動モータを作動させて天地断裁刃を移動させる。
サイドガイドの間を通過することにより天、地の位置が揃えられ、且つストッパ94により用紙搬送方向の位置決めがされた状態で、用紙押さえ部96が下降して冊子が押さえつけられる。この状態で、まず小口断裁刃98が小口を断裁し、次に一対の天地断裁刃が、冊子の天と地を断裁する。こうして最終的な中綴じ折り冊子が作成される。断裁処理が施された冊子は、スタッカ18上に搬送される。なお、三方断裁機構90に代えて、小口のみを断裁する小口断裁機構が設けられてもよい。
図2は、糊付け機構30の構成を模式的に表した断面図である。糊付け機構30は、糊シートユニット120、送り駆動機構122、転写作動機構124、およびストッパ駆動機構126を有する。
糊シートユニット120は、搬送ローラ32とサクション搬送機構40の間において、用紙搬送プレート34の上方に配置される。用紙搬送プレート34には図示しない糊付け装置の本体ケーシングが固定されており、糊シートユニット120は、その本体ケーシングに着脱可能に固定されるカートリッジの態様をなす。糊シートユニット120は、転写作動機構124との協働により、用紙搬送プレート34上に搬送された用紙の上面に糊を転写する。第1の実施形態では、糊シートユニット120は2つ、用紙幅方向に並設されている。なお、糊シートユニット120の数は2つに限られない。例えば用紙のサイズが小さい場合などには1つでもよい。また、例えば用紙のサイズが大きい場合など、3つ以上設けてもよいことは勿論である。
図3は、糊シートユニット120の構成を模式的に表した断面図である。図4は、糊シートユニット120を下方からみた斜視図である。図5は、糊シートユニット120を上方からみた斜視図である。図5においては便宜上、フレーム200の一側面を取り外した状態が示されている。
図3に示すように、糊シートユニット120は、フレーム200、供給リール202、巻取りリール204、ガイド部材206、送りローラ208、ニアエンド検知部材210を有する。供給リール202には糊シート212の一端側が巻回されており、巻取りリール204には糊シート212の他端側が巻回されている。
供給リール202は、フレーム200の片側半部(図の右側)に回転可能に取り付けられている。糊シート212は、可撓性のある長尺状の基材シートの一方の面に糊が付着されて構成され、その糊が付着された糊付着面が外側となるように供給リール202に巻回されている。糊シート212の糊が付けられている側を用紙に押し付けることにより、押し付けられた部分の糊が基材シートから剥離されて用紙に付着する。この糊シート212の具体的構成については後述する。
巻取りリール204は、フレーム200の上部中央に回転可能に取り付けられ、共に同軸に回転するよう巻取りギヤ214が固定されている。ガイド部材206は、フレーム200の下部中央に固定されている。巻取りギヤ214とガイド部材206との間には、巻取りギヤ214に噛合するアイドラギヤ216が回転可能に設けられている。巻取りギヤ214とアイドラギヤ216との減速比は、糊シート212の送り量を考慮して適切な値となるよう設定されている。送りローラ208は、フレーム200の供給リール202とは反対側半部に回転可能に取り付けられている。供給リール202とガイド部材206との間にはガイドローラ218が配設され、ガイド部材206と送りローラ208との間にはガイドローラ220が配設されている。ガイドローラ220の幅方向の両端には円板状のフランジが設けられており、糊シート212の幅方向の動きを規制している。
ガイド部材206は、その下端の受圧面240がフレーム200の最下部から露出し、糊シート212の糊付着面の裏面に一定のテンションを維持しつつ当接している。供給リール202から引き出された糊シート212は、ガイド部材206、送りローラ208等を経て巻取りリール204に巻き取られるが、その過程でガイドローラ218,220にガイドされる。
巻取りリール204が回転すると、供給リール202に巻回された糊シート212が引き出され、ガイド部材206の受圧面240を経由して巻取りリール204に巻き取られる。供給リール202は適度な摩擦が生じるよう回転軸に嵌挿されており、巻取りリール204によって糊シート212が巻き取られても、糊シート212には適度なテンションが保たれる。
送りローラ208には同軸に回転するプーリ222が固定される一方、アイドラギヤ216にも同軸に回転するプーリ224が固定されている。プーリ222とプーリ224との間には回転伝達用のベルト226が掛け渡されており、送りローラ208の回転がアイドラギヤ216および巻取りギヤ214を経て巻取りリール204に伝達されるように構成されている。一方、送りローラ208は、ワンウェイクラッチ(図示せず)を介してレバー228に接続されている。レバー228は、その一端側に送りローラ208の回転軸と同軸状の回動軸を有し、他端側がフレーム200の外部に延出している。レバー228の他端部には回転ローラ229が設けられている。
レバー228が正方向(図の時計回り)に回動すると、その回動がワンウェイクラッチを介して送りローラ208に伝達される。そして、その送りローラ208の回転がベルト226、アイドラギヤ216および巻取りギヤ214を介して巻取りリール204に伝達される。その結果、送りローラ208の回転により糊シート212が送られるとともに、巻取りリール204の回転により糊シート212が巻き取られる。一方、レバー228が逆方向(図の反時計回り)に回動しても、その回動はワンウェイクラッチにより送りローラ208には伝達されない。したがって、送りローラ208および巻取りリール204が逆転して一旦巻き取られた糊シート212が緩められるようなことはない。
レバー228の回動は、糊シートユニット120の外部に設置された送り駆動機構122(図2参照)により実現される。すなわち、送り駆動機構122は、糊付け装置の本体ケーシングに回転可能に取り付けられた回転軸130と、その回転軸130に固定された偏心カム132と、回転軸130を回転駆動する図示しない送り駆動モータを含んで構成されている。偏心カム132は、複数の糊シートユニット120に対応した数(第1の実施形態では2つ)設けられ、それぞれが各糊シートユニット120のレバー228に対応する位置に配置されている。偏心カム132は、その外周面がレバー228の回転ローラ229に当接し、レバー228を下方から支持している。レバー228は、図示しないスプリング(付勢部材)により、その回転ローラ229が偏心カム132に当接するように付勢されている。偏心カム132が1回転するごとに、レバー228が1回往復回動する。そのレバー228の回動角度により糊シート212の1回の送り量が決まる。
糊シート212の送り量を調整するために、レバー228の下方には送り量調整カム230が設けられている。送り量調整カム230は、フレーム200に取り付けられた偏心軸232に回動可能に設けられ、レバー228に当接することによりそのレバー228の回動範囲を規制する。第1の実施形態では、作業者の手動により送り量調整カム230を回動させ、レバー228の回動の下死点を調整可能に構成されている。このようにレバー228の回動範囲を変更することで送りローラ208の回転量が変化し、結果的に糊シート212の送り量が変化する。
また、送りローラ208との間に糊シート212を挟むように従動ローラ234が設けられている。従動ローラ234はゴム等の弾性体からなり、スプリング236によって送りローラ208側に付勢されて糊シート212に適度な摩擦力を付与し、糊シート212が安定して送られるよう補助している。
図2および図3に示すように、ガイド部材206は、その下面に用紙幅方向に延びる長方形状の受圧面240を有し、その受圧面240にて糊シート212の裏面に当接している。ガイド部材206の下方には、剥離部材242が配設されている。図4および図5にも示されるように、剥離部材242は、金属板材を成形して得られたものであり、長方形板状の本体に大きなスリット244を有する。そのスリット244からはガイド部材206の受圧面240や糊シート212が下方に向けて露出している。剥離部材242は、ガイド部材206の幅方向両側にその押圧面が設けられるとともに、ガイド部材206の用紙搬送方向上流側には全幅にわたってその押圧面が設けられている。
剥離部材242は、用紙への転写処理が行われた後、糊シート212に貼り付いた用紙を引き剥がすためのものである。剥離部材242の用紙搬送方向上流側(単に「上流側」という)の端部に上流側に向けて開放された図示しないスリットには、支点軸246が着脱可能に嵌合されている。また、剥離部材242の用紙搬送方向下流側(単に「下流側」という)の端部に下流側に向けて開放されたスリット245には、支持軸248が支点軸246が着脱可能に嵌合されている。支点軸246の両端は、フレーム200の対向する側面に形成されたスリット250にそれぞれ支持されている。スリット250は横方向に延び、その上流側端部よりも下流側端部がやや低くなるよう傾斜している。スリット250から突出した支点軸246の各先端にはスプリング252が取り付けられている。スプリング252の他端は、スリット250よりも下流側にてフレーム200に固定されている。
図示の状態においては、スプリング252の付勢力によって支点軸246が剥離部材242の上流側のスリットに押し付けられるように嵌合するとともに、剥離部材242の下流側のスリット245が支持軸248に押し付けられるように嵌合している。このため、剥離部材242は、支点軸246と支持軸248とにより安定に支持されている。この状態から支点軸246をスプリング252の付勢力に抗して剥離部材242から離れる方向に移動させると、剥離部材242と支点軸246との嵌合が外れる。そして、剥離部材242をさらに上流側に移動させれば剥離部材242と支持軸248との嵌合も外すことができ、剥離部材242をフレーム200から取り外すことができる。それにより、フレーム200内への糊シート212の設置や取り替えを容易に行うことができる。
また、フレーム200の下流側側壁から支持軸248の上面へ向けて延びるように、所定幅の板ばね253が設けられている。この板ばね253は、支持軸248を介して剥離部材242を下方、つまりガイド部材206から離間する方向に付勢している。
一方、支持軸248の両端も、フレーム200の対向する側面に形成されたスリット254にそれぞれ支持されている。スリット254は上下方向に延び、支持軸248の上下方向の変位を可能にしている。スリット254から突出した支持軸248の各先端には、脱落防止用の円板256が取り付けられている。スリット244の幅は、上方に位置する受圧面240の長さよりもやや大きく、下方に送り込まれる用紙の幅よりも小さく設定されている。剥離部材242は、その待機状態においては板ばね253の付勢力によって図示の下死点に位置するが、転写作動機構124が作動したときにその下面に配置された用紙とともに上方に押し上げられる。すなわち、剥離部材242は、転写工程において支点軸246を中心に回動する態様で上方に押し上げられるが、その転写処理が終了すると、板ばね253の付勢力によって下方に押し下げられて待機位置に戻る。その過程で糊シート212に貼り付いた用紙を確実かつ速やかに引き剥がす。
ニアエンド検知部材210は、フレーム200の下端角部近傍に設けられた回動軸260と、回動軸260を中心に回動する検知レバー262を有する。検知レバー262は、回動軸260から供給リール202側に延びるアーム部264と、回動軸260からアーム部264とは反対側に延びる検出部266とを有する。アーム部264の先端にはローラ268が設けられている。また、検知レバー262の下端部とフレーム200との間にはスプリング270が介装されており、検知レバー262を供給リール202側、つまり図の時計回りに付勢している。このため、ローラ268は、供給リール202に巻回された糊シート212の外周面に常に当接した状態を保持する。
供給リール202の糊シート212が消費されて少なくなるにつれて、アーム部264が図中矢印の方向へ回動する。その結果、糊シート212の糊未転写部分が残り少ないニアエンドに近づくと、検出部266が図示のようにフレーム200から突出し、フレーム200の外部に設置された光センサ272(図2参照)がこれを検出する。光センサ272は、光を照射する発光素子と、搬送される用紙によって反射される光を受光する受光素子とを有する透過型のセンサとして構成され、その発光素子および受光素子が、2つの糊シートユニット120の上流側端部近傍に対向配置されている。そして、いずれかの糊シートユニット120のニアエンド検知部材210がその光を遮断することにより、ニアエンドの発生が検出される。なお、変形例においては、光センサ272として反射型のセンサを採用し、いずれかの糊シートユニット120のニアエンド検知部材210がその光を反射することによりニアエンドの発生を検出するようにしてもよい。
このようにしてニアエンドが検出されると、糊シート212の巻き取り処理ひいては製本処理全体が一旦停止される。この光センサ272は、複数の糊シートユニット120(第1の実施形態では2つ)に共通のセンサとして設置されており、いずれかの糊シートユニット120がニアエンドとなった時点でそれが検出され、ディスプレイ102にその旨が表示される。作業者は、その表示をみてニアエンドとなった糊シートユニット120を目視により確認するなどしてその交換を行う。なお、変形例においては、個々の糊シートユニット120に対応させて光センサ等を設け、いずれの糊シートユニット120がニアエンドとなったのかを明示的に報知させるようにしてもよい。
ストッパ駆動機構126は、ストッパ290およびその駆動機構292を有する。ストッパ290は、サクション搬送機構40に並設されており、搬送された用紙Pの先端を係止してその用紙Pの糊転写時の位置決めを行うものである。駆動機構292は、ストッパ290を用紙搬送プレート34(搬送路)の上面に突出または退避させるストッパ駆動ソレノイドおよびスプリングと、ストッパ290を用紙搬送方向に移動させるストッパ移動モータを含んで構成されている。丁合装置12側から順次送り込まれる用紙Pは、その前端部がストッパ290に当接したところで用紙搬送方向の位置決めがされる。
転写作動機構124は、プッシャ280およびその駆動機構282を有する。プッシャ280は、その上端にガイド部材206の受圧面240に対向する押圧面284を有し、用紙幅方向に延びる長方形状をなしている。押圧面284は、用紙搬送方向には受圧面240よりも十分に大きくなっている。このため、押圧面284と受圧面240とによる押圧範囲は、受圧面240側の大きさに一致する。また、用紙幅方向には剥離部材242のスリット244の幅よりも大きく構成されている。このため、プッシャ280が上昇されると、剥離部材242を下方から押圧して上昇させるようになる。また、プッシャ280は、その押圧面284が用紙に密着できるよう、少なくとも押圧面284およびその近傍が弾性材料によって形成されている。
駆動機構282は、プッシャ280をガイド部材206に近接させる方向の力を付与するプッシャ駆動ソレノイドと、プッシャ280をガイド部材206から離間させる方向の付勢力を付与するスプリングを含んで構成されている。糊の転写工程においてはプッシャ駆動ソレノイドへの通電がなされ、その吸引力によってプッシャ280がガイド部材206側に駆動される。このとき、プッシャ280は、その押圧面284が用紙Pおよび剥離部材242を所定高さ押し上げた後、受圧面240に圧接される。このとき、受圧面240と押圧面284との間で糊シート212が用紙Pの糊付け位置に押し付けられて糊の転写が行われる。
糊の転写処理が終わると、プッシャ駆動ソレノイドへの通電がオフされるため、プッシャ280はスプリングの付勢力によって元の待機位置へ戻る。このとき、剥離部材242も板ばね253の付勢力によってその下死点である待機位置に戻り、その過程で用紙Pを糊シート212から引き剥がす。
糊付け制御部112は、用紙の搬送を停止したときにプッシャ駆動ソレノイド154を作動させてプッシャ280を上昇させることにより、用紙の上面に糊を転写する。糊付け制御部112は、また、転写間隔調整モータ162に駆動パルスを出力して複数の糊シートユニット120の間隔、すなわち糊シートユニット120による用紙への糊転写箇所の間隔を調整する。糊付け制御部112は、また、糊付け機構30にて糊付け処理が終了した用紙を折り機構70側へ搬送するために、サクション搬送機構40の駆動を制御する。
糊付け制御部112は、プッシャ駆動ソレノイド154、ストッパ駆動ソレノイド156、ストッパ移動モータ158、送り駆動モータ160、転写間隔調整モータ162に接続されている。糊付け制御部112は、用紙のサイズ情報および折りラインの位置情報に基づき、用紙の糊付け位置を折りライン上に位置させるように用紙の搬送位置を演算する。また、調整された送り量の情報に基づいて算出された糊の転写部分の中心位置と、用紙のサイズ情報から、その糊の転写部分の中心位置が用紙の用紙搬送方向の中心に位置するよう、ストッパ290の停止位置を決定する。そして、ストッパ駆動ソレノイド156への通電を行ってストッパ290を用紙搬送プレート34上に突出させるとともに、ストッパ移動モータ158を駆動してストッパ290を用紙の搬送先端位置へ移動させる。また、糊の転写処理が終了するごとに送り駆動モータ160を駆動して偏心カム132を回転させ、糊シート212を所定量送る。すなわち、上述のように転写境界314が押圧範囲内の設定位置に停止するように糊シート212を送る。
次に、第1の実施形態の糊付け方法の詳細について説明する。
図6は、糊シート212の詳細を示す部分拡大図である。(A)はその一実施例を示し、(B)は他の実施例を示し、(C)は第1の実施形態では採用しない比較例を示している。同図における上下方向が糊シート212の長手方向(送り方向)となっている。
糊シート212は、剥離性を有する長尺状の基材シート300の片側面に、多数の円形ドット状の糊セグメント302を整列配置させて形成されている。糊セグメント302は、基材シート300においてその最も近接する糊セグメント同士を結ぶ配列方向(一点鎖線参照)がその長手方向に対して傾斜するように形成されている。なお、ここでいう「傾斜」は、平行でもなく直角でもない状態を意味する。同図(A)には、最も近接する糊セグメント同士が三角形の格子を形成する例が示されている。同図(B)には、最も近接する糊セグメント同士が四角形の格子を形成する例が示されている。
同図(A)および(B)のいずれの実施例においても、最も近接する糊セグメント同士の配列方向が傾斜しているため、同じ配列方向に並ぶ糊セグメント302であっても、転写範囲内(二点鎖線参照)に実質的に存在するか否かにより転写されるか否かが分かれる。仮に転写範囲内の面積が転写範囲外の面積よりも大きい場合に転写されるとすると、連続する転写範囲aおよびbのいずれも同等の糊セグメント302が転写されるようになる。なお、同図においては説明の便宜上、1つの糊セグメント302を大きく誇張表示しているが、その大きさを適度に設定すれば、その均一性も高められる。第1の実施形態では、ガイド部材206の受圧面240よりもプッシャ280の押圧面284のほうが十分に大きく形成されているため、各転写範囲の用紙搬送方向上流側の端部境界線eは、受圧面240の上流側の端部稜線(図7の端部稜線241を参照)に一致している。つまり、最も近接する糊セグメント同士の配列方向は、その端部境界線e、つまり受圧面240の上流側の端部稜線に対しても傾斜している。
一方、同図(C)の比較例においては、最も近接する糊セグメント同士の配列方向が傾斜していないため、図示のように転写範囲aの糊セグメント302の数が、転写範囲bの糊セグメント302の数よりも多くなるといったケースが増える。このため、転写ごとの糊の転写長さが不均一になる可能性がある。言い換えれば、第1の実施形態のように、糊セグメント同士の配列方向を傾斜させることで、糊の切れを良好にすることができ、その結果、糊シートの送り量に対してほぼ均等な量の糊を転写でき、用紙における糊付け部分の品質を良好に保つことができるようになる。
図7は、糊転写工程を模式的に表す図である。
第1の実施形態では、糊シート212を無駄なく効率的に消費できるよう、転写方法を工夫している。すなわち、転写工程へ移行する際に、糊シート212の糊転写済み部分310と糊未転写部分312との境界(「転写境界」という)314が、押圧面284と受圧面240との押圧範囲Aに含まれるように停止され、その状態で次の転写処理が行われる。第1の実施形態では、押圧面284よりも受圧面240を小さく構成しているため、押圧範囲Aは、実質的に受圧面240の幅と等しくなっている。つまり、押圧範囲Aは、受圧面240の上流側の端部稜線241と下流側の端部稜線243とを挟む領域ということになる。ただし、糊の転写長さlを確保するため、転写境界314を受圧面240の下流側端部の近傍(端部稜線243の近傍)に設定している。このように、転写境界314を押圧範囲A内に設定することで、糊シート212が無駄なく使用されるようになる。
糊の転写長さlは、送り量調整カム230による糊の送り量の調整により変更することができる。このとき、押圧範囲Aにおける転写境界314が移動することになる。第1の実施形態では、用紙Pに対する糊付け位置の精度を確保するために、糊の転写部分の中心位置(一点鎖線参照)が用紙Pの用紙搬送方向の中心に位置するよう、ストッパ290の位置調整がなされる。第1の実施形態では、送り量調整カム230(図2参照)の回転位相を検出する図示しない位置センサ(位置検出手段)が設けられ、その位置センサによって送り量調整カム230の回転位置(位置調整情報)が検出される。管理PC100は、その回転位置からレバー228の回動角度、ひいては糊シート212の送り量を算出し、その送り量から転写長さlを算出する。管理PC100は、ガイド部材206の上流側端部位置(上流側エッジの位置)を予め保持しており、その上流側端部位置から転写長さlの1/2の距離離れた位置を糊の転写部分の中心位置として算出することができる。算出された糊の転写部分の中心位置と、用紙Pのサイズ情報から、その糊の転写部分の中心位置が用紙Pの用紙搬送方向の中心に位置するよう、ストッパ290の停止位置を決定することができる。
図8は、第1の実施形態に係る針綴じ機構52および圧着機構54の斜視図である。針綴じ機構52は、綴じ針を用紙に打ち込むドライバ64が、用紙幅方向に2つ設けられている。プッシャ60は3本設けられ、2本は2つのドライバ64の両側に配置され、1つはドライバ64の間に配置される。
プッシャ60は、細長い矩形の板状に形成される。プッシャ60は、ベルト搬送機構56の上方において上下方向に延在するように配置される。プッシャ60の下面には、用紙を押し付けるための押し付け面60aが形成されている。なお、糊が転写された用紙を押し付けるために、押し付け面60aの中央に用紙幅方向に延在する凹部が形成されてもよい。また、プッシャ60の押し付け面60aにフッ素樹脂コーティング加工、またはフッ素樹脂含有ニッケルめっき加工など糊が転写しにくい加工が施されていてもよい。
図9は、第1の実施形態に係る糊付け機構30、針綴じ機構52、および圧着機構54の相対的な位置関係を示す図である。3つのプッシャ60は、用紙2の幅方向に収まるようそれぞれが配置される。受け台62は、このプッシャ60の下方に配置される。ドライバ64は2つ設けられ、各々がプッシャ60の間に配置される。ベルト搬送機構56の搬送ベルトは2本設けられ、それぞれがプッシャ60とドライバ64の間において用紙搬送方向に延在するよう配置される。
第1の実施形態では、糊付け機構30には3つの糊シートユニット120が設けられる。糊シートユニット120の各々は、3つのプッシャ60の各々の上流側に配置される。これにより、糊シートユニット120による糊付け箇所をプッシャ60にて適切に圧着させることができる。
図10は、第1の実施形態に係る製本システム10の製本処理の手順を示すフローチャートである。第1の実施形態では、糊付け機構30は、針綴じされる複数の用紙のうち針綴じされるときに露出する用紙表面と、第1の用紙と、の少なくとも一方の折りライン周辺に糊付けする。用紙重ね機構は、針綴じされた複数の用紙と、第1の用紙とを、一方の糊付け箇所が他方に対向すると共に折りラインが互いに重なるよう重ね合わせて用紙束を作成する。折り機構70は、作成された用紙束を折りラインにて折りたたむ。これにより、冊子の背における綴じ針の露出、または冊子の中央を開いたときの綴じ針の露出を回避することができる。以下、フローチャートを通じてこのような冊子の製造方法について詳細に説明する。
本フローチャートにおける処理は、ユーザによってスタートボタンが押されたときに開始し、ユーザによって指定された数の冊子の製造が終了するまで、1冊の冊子を作成する毎に繰り返し実行される。以下、折り機構70によって折り処理が実行されるときにベルト搬送機構75に積載される用紙のうち、最下位の用紙を「最初(1枚目)の用紙」といい、最上位の用紙を「最後の用紙」という。折り機構70は、最初の用紙が内側になり、最後の用紙が外側に位置するよう用紙を折りたたむ。このため、最初の用紙は、冊子の中央に位置する用紙となる。以下、この用紙を「中央紙」という。また、最後の用紙は表紙となるべき用紙となる。
ユーザは、全針綴じ製本処理、表紙糊付け製本処理、中央紙糊付け製本処理、表紙・中央紙糊付け製本処理、全糊付け製本処理のいずれかを管理装置20を用いて選択可能となっている。第1の実施形態において、全針綴じ製本処理とは、冊子に含ませる用紙すべてを針綴じして折りたたみ冊子を作成する製本処理をいう。また、表紙糊付け製本処理とは、冊子に含ませる用紙のうち、表紙を除く複数の用紙を針綴じし、表紙を針綴じされた複数の用紙に糊付けして冊子を作成する製本処理をいう。また、中央紙糊付け製本処理とは、冊子に含ませる用紙のうち、中央紙を除く複数の用紙を針綴じし、中央紙を針綴じされた複数の用紙に糊付けして冊子を作成する製本処理をいう。また、表紙・中央紙糊付け製本処理とは、冊子に含ませる用紙のうち、表紙と中央紙を除く複数の用紙を針綴じし、表紙と中央紙を針綴じされた複数の用紙に糊付けして冊子を作成する製本処理をいう。また、全糊付け製本処理とは、冊子に含ませる用紙すべてを糊付けによって綴じて冊子を作成する製本処理をいう。
システム制御部119は、ユーザに選択された製本処理の実行要求を取得する。システム制御部119は、取得した製本処理の実行要求に基づいて、全針綴じ製本処理がユーザによって選択されたか否かを判定する(S10)。全針綴じ製本処理が選択されている場合(S10のY)、システム制御部119は、全針綴じ製本処理を実行する(S12)。
全針綴じ製本処理が選択されていない場合(S10のN)、システム制御部119は、表紙糊付け製本処理がユーザによって選択されたか否かを判定する(S14)。表紙糊付け製本処理が選択されている場合(S14のY)、システム制御部119は、表紙糊付け製本処理を実行する(S16)。
表紙糊付け製本処理が選択されていない場合(S14のN)、システム制御部119は、中央紙糊付け製本処理がユーザによって選択されたか否かを判定する(S18)。中央紙糊付け製本処理が選択されている場合(S18のY)、システム制御部119は、中央紙糊付け製本処理を実行する(S20)。
中央紙糊付け製本処理が選択されていない場合(S18のN)、システム制御部119は、表紙・中央紙糊付け製本処理がユーザによって選択されたか否かを判定する(S22)。表紙・中央紙糊付け製本処理が選択されている場合(S22のY)、システム制御部119は、表紙・中央紙糊付け製本処理を実行する(S24)。表紙・中央紙糊付け製本処理が選択されていない場合(S22のN)、システム制御部119は、全糊付け製本処理が選択されていると判定し、全糊付け製本処理を実行する(S26)。
図11は、図10におけるS12の第1の実施形態に係る全針綴じ製本処理の手順を示すフローチャートである。まず丁合装置12は、一冊分の用紙を重ね合わせて糊付け装置13に搬出する(S40)。糊付け装置13は、搬入された複数の用紙を糊付けすることなく綴じ機構50に搬出する(S42)。綴じ機構50は、搬入された複数の用紙を、折りラインに綴じ針が打ち込まれるよう端部を揃えてベルト搬送機構56の搬送ベルト上に配置する。針綴じ機構52は、この複数の用紙に折りラインにおいて針綴じする針綴じ処理を実行する(S44)。
折り機構70は、搬入された複数の用紙に、綴じ針で綴じられた個所にて折りたたむ折り処理を実行する(S46)。断裁装置16は、中綴じ折り装置14から搬入された冊子に対し、小口のみ、または三方を断裁する断裁処理を実行する(S48)。
図12は、図10におけるS16の第1の実施形態に係る表紙糊付け製本処理の手順を示すフローチャートである。図13(a)〜図13(d)は、第1の実施形態に係る表紙糊付け製本処理の手順を模式的に示す図である。以下、図13(a)〜図13(d)を参照しながら図12に示すフローチャートにしたがって説明する。
丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最後の用紙を除く複数の用紙を重ね合わせて綴じ機構50に搬出する(S60)。次に針綴じ機構52は、図13(a)に示すように、その複数の用紙に折りラインにおいて針綴じする針綴じ処理を実行するとともに、針綴じされた複数の用紙を下流側に搬送せずにそのままベルト搬送機構56上で待機させる(S62)。
次に丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最後の用紙を単独で糊付け機構30に搬出する(S64)。糊付け機構30は、その最後の用紙の折りライン周辺に糊付ける糊付け処理を実行し、用紙反転機構44にて反転させて図13(b)に示すように下面が糊付けられた状態として綴じ機構50に搬出する(S66)。
搬出ローラ45は、図13(c)に示すように、糊付けされ反転された最後の用紙を、針綴じされた複数の用紙に、糊付け箇所が他方に対向し且つ折りラインが互いに重なるよう重ね合わせる(S68)。次に圧着機構54は、重ね合わされた用紙に圧着処理を実行し(S70)、折り処理が実行される前の用紙束を作成して折り機構70のベルト搬送機構75に搬出する。折り機構70は、図13(d)に示すように、最後の用紙が針綴じされた複数の用紙よりも外側に位置するよう、作成された用紙束を折りラインにおいて折りたたむ折り処理を実行する(S72)。折り処理されると、三方断裁機構90は、断裁処理を実行する(S74)。これにより、冊子の背の綴じ針を表紙で覆った冊子を作成することができる。このため、冊子の背における綴じ針の露出を回避することができる。
図14は、図10におけるS20の第1の実施形態に係る中央紙糊付け製本処理の手順を示すフローチャートである。図15(a)〜図15(d)は、第1の実施形態に係る中央紙糊付け製本処理の手順を模式的に示す図である。以下、図15(a)〜図15(d)を参照しながら図14に示すフローチャートにしたがって説明する。
丁合装置12は、冊子に含ませる用紙のうち、最初の用紙を単独で糊付け機構30に搬出する(S90)。糊付け機構30は、図15(a)に示すように、その最初の用紙の折りライン周辺に糊付ける糊付け処理を実行する(S92)。ベルト搬出機構73は、糊付けされた最初の用紙を折り機構70のベルト搬送機構75に搬出する(S94)。このとき糊付け制御部112は、この最初の用紙の反転を回避する。
次に丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最初の用紙を除く複数の用紙を重ね合わせて糊付け機構30に搬出する(S96)。糊付け機構30は、この複数の用紙への糊付け処理を回避して下流側に送り出す。針綴じ機構52は、図15(b)に示すように、この複数の用紙に折りラインにおいて針綴じする針綴じ処理を実行する(S98)。ベルト搬出機構73は、図15(c)に示すように、針綴じされた複数の用紙を、ベルト搬送機構75に載置された最初の用紙に重ね合わせ(S100)、折り処理実行前の用紙束を作成する。折り機構70は、図15(d)に示すように、最初の用紙が針綴じされた複数の用紙よりも内側に位置するよう、作成された用紙束を折りラインにおいて折りたたむ折り処理を実行する(S102)。
糊付けされた最初の用紙と針綴じされた複数の用紙とは、ベルト搬送機構75上では圧着されていないが、このように折り処理を実行することにより、折りローラ78の挟持力によって折りたたまれると同時に互いに圧着される。三方断裁機構90は、作成された中綴じ折り冊子に、小口のみ、または三方を断裁する断裁処理を実行する(S104)。これにより、冊子の内側の綴じ針を中央紙で覆った冊子を作成することができる。このため、冊子を中央で開いたときの綴じ針の露出を回避することができる。
図16は、図10におけるS24の第1の実施形態に係る表紙・中央紙糊付け製本処理の手順を示すフローチャートである。図17(a)〜図17(e)は、第1の実施形態に係る表紙・中央紙糊付け製本処理の手順を模式的に示す図である。以下、図17(a)〜図17(e)を参照しながら図16に示すフローチャートにしたがって説明する。
丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最初の用紙を単独で糊付け機構30に搬出する(S120)。糊付け機構30は、図17(a)に示すように、この最初の用紙の折りライン周辺に糊付ける糊付け処理を実行する(S122)。ベルト搬出機構73は、糊付けされた最初の用紙を折り機構70のベルト搬送機構75に搬出する(S124)。
次に丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最初と最後の用紙を除く複数の用紙を重ね合わせて搬出する(S126)。針綴じ機構52は、図17(b)に示すように、この複数の用紙に折りラインにおいて針綴じする針綴じ処理を実行し、針綴じされた複数の用紙を下流側に搬送することなくベルト搬送機構56上で待機させる(S128)。
次に丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最後の用紙を単独で糊付け機構30に搬出する(S130)。糊付け機構30は、この最後の用紙の折りライン周辺に糊付ける糊付け処理を実行し、用紙反転機構44にて反転させて綴じ機構50に搬出する(S132)。搬出ローラ45は、図17(c)に示すように、糊付けされた最後の用紙を、ベルト搬送機構56上で待機している針綴じされた複数の用紙に、糊付け箇所が他方に対向し且つ折りラインが互いに重なるよう重ね合わせる(S134)。
圧着機構54は、ベルト搬送機構56上に積載された複数の用紙に圧着処理を実行する(S136)。ベルト搬出機構73は、図17(d)に示すように、圧着された複数の用紙を、ベルト搬送機構75上に載置された最初の用紙に折りラインが互いに重なるよう重ね合わせ(S138)、折り処理実行前の用紙束を作成する。折り機構70は、図17(e)に示すように、最後の用紙が針綴じされた複数の用紙よりも外側に位置し、最初の用紙が針綴じされた複数の用紙よりも内側に位置するよう、作成された用紙束を折りラインにおいて折りたたむ折り処理を実行する(S140)。三方断裁機構90は、作成された中綴じ折り冊子に、小口のみ、または三方を断裁する断裁処理を実行する(S142)。これにより、冊子の背の綴じ針を表紙で覆い、且つ冊子の内側の綴じ針を中央紙で覆った冊子を作成することができる。このため、冊子の背における綴じ針の露出と、冊子を中央で開いたときの綴じ針の露出の双方を回避することができる。
図18は、図10におけるS26の第1の実施形態に係る全糊付け製本処理の手順を示すフローチャートである。丁合装置12は、作成する冊子に含ませる用紙を一枚ずつ糊付け装置13に搬出する(S160)。糊付け機構30は、作成する冊子に含ませる複数の用紙を重ね合わせたときに、隣接する用紙同士の少なくとも一方が糊付けされるよう、搬入された用紙の折りライン周辺に糊付ける糊付け処理を実行する(S162)。
具体的には、糊付け機構30は、作成する冊子に含ませる複数の用紙のうち、最後の用紙のみ糊の転写を回避し、その他の用紙には、プッシャ280を上昇させて糊シートユニット120の糊シート212に用紙を押し付け、その上面に糊を転写する。このとき糊付け機構30は、用紙の停止位置を制御することにより、折りライン周辺に糊を転写するよう用紙への糊付け位置を調整する。
綴じ機構50は、糊付け機構30から搬入された用紙を、用紙の折りライン周辺で押し付けることができるよう端部を揃えながら積載する。このとき圧着機構54は、用紙が搬入されるたびにベルト搬送機構56の搬送ベルト上面に積載された用紙の後端を下流側に向かって押し付けるようバッグジョガー46を作動させる。これにより、用紙の先端をストッパ58に押し付けて用紙の端部を揃える。圧着機構54は、こうして積載された用紙に圧着処理を実行する(S164)。圧着された複数の用紙は、折り機構70に搬出される。折り機構70は、搬入された複数の用紙に、折りラインにて折りたたむ折り処理を実行する(S166)。三方断裁機構90は、作成された中綴じ折り冊子に、小口のみ、または三方を断裁する断裁処理を実行する(S168)。
(第2の実施形態)
図19は、図10におけるS16の第2の実施形態に係る表紙糊付け製本処理の手順を示すフローチャートである。図20(a)〜図20(e)は、第2の実施形態に係る表紙糊付け製本処理の手順を模式的に示す図である。以下、図20(a)〜図20(e)を参照しながら図19に示すフローチャートにしたがって説明する。なお、特に言及しない限り、第2の実施形態に係る製本システムの構成および動作は、第1の実施形態と同様である。
丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最後の2枚の用紙を除く複数の用紙を重ね合わせて搬出する(S200)。搬出ローラ45は、その複数の用紙を針綴じ機構52に搬出する(S202)。針綴じ機構52は、搬入された複数の用紙に針綴じ処理を実行することなく、また下流側に搬送することなく、ベルト搬送機構56上で待機させる。
次に丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最後から2枚目の用紙を単独で糊付け機構30に搬出する(S204)。糊付け機構30は、図20(a)に示すように、この最後から2枚目の用紙の折りライン周辺に糊付けする糊付け処理を実行する(S206)。搬出ローラ45は、図20(b)に示すように、糊付けされた最後から2枚目の用紙を、ベルト搬送機構56上で待機する複数の用紙に、糊付け箇所が露出し且つ折りラインが互いに重なるよう重ね合わせる(S208)。針綴じ機構52は、図20(c)に示すように、重ね合わされた複数の用紙に折りラインにおいて針綴じする針綴じ処理を実行する(S210)。こうして針綴じされた複数の用紙は、最上位の用紙の上面が折りラインにおいて糊付けされた状態となっている。
次に丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最後の用紙を単独で糊付け機構30に搬出する(S212)。搬出ローラ45は、図20(d)に示すように、この最後の用紙を針綴じされた複数の用紙に折りラインが互いに重なるよう重ね合わせる(S214)。圧着機構54は、重ね合わされた複数の用紙に圧着処理を実行し(S216)、折り処理実行前の用紙束を作成する。折り機構70は、図20(e)に示すように、最後の用紙が針綴じされた複数の用紙よりも外側に位置するよう、作成された用紙束を折りラインにおいて折りたたむ折り処理を実行する(S218)。三方断裁機構90は、作成された中綴じ折り冊子に、小口のみ、または三方を断裁する断裁処理を実行する(S220)。この態様によっても、冊子の背の綴じ針を表紙で覆った冊子を作成することができる。このため、冊子の背における綴じ針の露出を回避することができる。
図21は、図10におけるS20の第2の実施形態に係る中央紙糊付け製本処理の手順を示すフローチャートである。図22(a)〜図22(e)は、第2の実施形態に係る中央紙糊付け製本処理の手順を模式的に示す図である。以下、図22(a)〜図22(e)を参照しながら図21に示すフローチャートにしたがって説明する。
丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最初の用紙を単独で糊付け機構30に搬出する(S240)。糊付け機構30は、この最初の用紙への糊付け処理を回避して下流側に送り出す。ベルト搬出機構73は、この最初の用紙を折り機構70のベルト搬送機構75に搬出する(S242)。
次に丁合装置12は、2枚目の用紙を単独で糊付け機構30に搬出する(S244)。糊付け機構30は、この2枚目の用紙の折りライン周辺に糊付けする糊付け処理を実行し、用紙反転機構44にて反転させて、図22(a)に示すように用紙の下面が糊付けられた状態として綴じ機構50に搬出する(S246)。
搬出ローラ45は、糊付けされた2枚目の用紙を、針綴じ機構52に搬出し(S248)、ベルト搬送機構56上に載置された状態とする。次に丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最初の2枚を除く用紙を糊付け機構30に搬出する(S250)。糊付け機構30は、これらの用紙への糊付け処理を回避して下流側に送り出す。搬出ローラ45は、図22(b)に示すように、これらの用紙を2枚目の用紙に折りラインが互いに重なるよう重ね合わせる(S252)。針綴じ機構52は、図22(c)に示すように、重ね合わされた複数の用紙に折りライン上において針綴じする針綴じ処理を実行する(S254)。こうして針綴じされた複数の用紙は、最下位の用紙の下面が糊付けされた状態とされている。
ベルト搬出機構73は、図22(d)に示すように、針綴じされた複数の用紙を、既に折り機構70に搬入されている最初の用紙に折りラインが互いに重なるよう重ね合わせ(S256)、折り処理実行前の用紙束を作成する。折り機構70は、図22(e)に示すように、最初の用紙が針綴じされた複数の用紙よりも内側に位置するよう、作成された用紙束を折りラインにおいて折りたたむ折り処理を実行する(S258)。三方断裁機構90は、作成された中綴じ折り冊子に、小口のみ、または三方を断裁する断裁処理を実行する(S260)。この態様によっても、冊子の内側の綴じ針を中央紙で覆った冊子を作成することができる。このため、冊子を中央で開いたときの綴じ針の露出を回避することができる。
図23は、図10におけるS24の第2の実施形態に係る表紙・中央紙糊付け製本処理の手順を示すフローチャートである。図24(a)〜図24(h)は、第2の実施形態に係る表紙・中央紙糊付け製本処理の手順を模式的に示す図である。以下、図24(a)〜図24(h)を参照しながら図23に示すフローチャートにしたがって説明する。
丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最初の用紙を単独で糊付け機構30に搬出する(S280)。糊付け機構30はこの最初の用紙への糊付け処理を回避して下流側に送り出す。ベルト搬出機構73は、この最初の用紙を折り機構70のベルト搬送機構75に搬出する(S282)。
次に丁合装置12は、2枚目の用紙を単独で糊付け機構30に搬出する(S284)。糊付け機構30は、この2枚目の用紙の折りライン周辺に糊付けする糊付け処理を実行し、用紙反転機構44にて反転させて、図24(a)に示すように下面が糊付けられた状態として綴じ機構50に搬出する(S286)。搬出ローラ45は、糊付けされた2枚目の用紙を、針綴じ機構52に搬出し(S288)、ベルト搬送機構56上に載置された状態とする。
次に丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最初の2枚および最後の2枚を除く用紙を糊付け機構30に搬出する(S290)。糊付け機構30は、これらの用紙への糊付けを回避して下流側に送り出す。搬出ローラ45は、図24(b)に示すように、これらの用紙を、すでにベルト搬送機構56に載置されている2枚目の用紙に折りラインが互いに重なるよう重ね合わせる(S292)。
次に丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最後から2枚目の用紙を単独で糊付け機構30に搬出する(S294)。糊付け機構30は、図24(c)に示すように、この最後から2枚目の用紙の折りライン周辺に糊付けする糊付け処理を実行する(S296)。
搬出ローラ45は、図24(d)に示すように、糊付けされた最後から2枚目の用紙を、すでにベルト搬送機構56上に積載されている複数の用紙に折りラインが互いに重なるよう重ね合わせる(S298)。針綴じ機構52は、図24(e)に示すように、重ね合わされた複数の用紙に折りラインにおいて針綴じする針綴じ処理を実行する(S300)。
次に丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最後の用紙を単独で糊付け機構30に搬出する(S302)。糊付け機構30は、この最後の用紙への糊付け処理を回避して下流側に送り出す。搬出ローラ45は、図24(f)に示すように、この最後の用紙を、ベルト搬送機構56上で待機している針綴じされた複数の用紙に、折りラインが互いに重なるよう重ね合わせる(S304)。圧着機構54は、重ね合わされた複数の用紙に圧着処理を実行する(S306)。
ベルト搬出機構73は、図24(g)に示すように、圧着された複数の用紙を、ベルト搬送機構75上に載置された最初の用紙に折りラインが互いに重なるよう重ね合わせ(S308)、折り処理実行前の用紙束を作成する。折り機構70は、図24(h)に示すように、最後の用紙が針綴じされた複数の用紙よりも外側に位置し、最初の用紙が針綴じされた複数の用紙よりも内側に位置するよう、作成された用紙束を折りラインにおいて折りたたむ折り処理を実行する(S310)。三方断裁機構90は、作成された中綴じ折り冊子に、小口のみ、または三方を断裁する断裁処理を実行する(S312)。この態様によっても、冊子の背の綴じ針を表紙で覆い、且つ冊子の内側の綴じ針を中央紙で覆った冊子を作成することができる。このため、冊子の背における綴じ針の露出と、冊子を中央で開いたときの綴じ針の露出の双方を回避することができる。
(第3の実施形態)
図25は、第3の実施形態に係る製本システム500の全体構成図である。以下、上述の実施形態と同様の個所は同一の符号を付して説明を省略する。
製本システム500は、糊付け装置13および中綴じ折り装置14に変えて中綴じ折り装置502が設けられている以外は、第1の実施形態に係る製本システム10と同様に構成される。中綴じ折り装置502は、綴じ機構50に代えて糊付け綴じ機構504が設けられた以外は、第1の実施形態に係る中綴じ折り装置14と同様に構成される。糊付け綴じ機構504は、圧着機構54に代えて糊付け機構30が設けられている以外は、第1の実施形態に係る綴じ機構50と同様に構成される。中綴じ折り装置502には、CPU、ROM、RAMを有する糊付け制御部508および綴じ制御部510が設けられている。糊付け制御部508は、糊付け機構30の作動を制御し、綴じ制御部510は針綴じ機構52の作動を制御する。
図26は、第3の実施形態に係る糊付け機構30および針綴じ機構52の相対的な位置関係を示す図である。3つの糊シートユニット120は、用紙2の幅方向に収まるようそれぞれが配置される。ドライバ64は2つ設けられ、各々が糊シートユニット120の間に配置される。ベルト搬送機構56の搬送ベルトは2本設けられ、それぞれが糊シートユニット120とドライバ64の間において用紙搬送方向に延在するよう配置される。
図27は、図10におけるS16の第3の実施形態に係る表紙糊付け製本処理の手順を示すフローチャートである。図28(a)〜図28(d)は、第3の実施形態に係る表紙糊付け製本処理の手順を模式的に示す図である。以下、図28(a)〜図28(d)を参照しながら図27に示すフローチャートにしたがって説明する。
丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最後の用紙を除く複数の用紙を重ね合わせて糊付け綴じ機構504に搬出する(S300)。針綴じ機構52は、図28(a)に示すように、この複数の用紙に折りラインにおいて針綴じする針綴じ処理を実行する(S302)。糊付け機構30は、図28(b)に示すように、針綴じされた複数の用紙の最上位の用紙に対し、上面の折りライン周辺に糊付けする糊付け処理を実行する(S304)。ベルト搬出機構73は、針綴じされ且つ糊付けされた複数の用紙を折り機構70のベルト搬送機構75に搬出する(S306)。
次に丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最後の用紙を単独で糊付け機構30に搬出する(S308)。糊付け機構30は、この最後の用紙への糊付け処理を回避して下流側に送り出す。ベルト搬出機構73は、図28(c)に示すように、この最後の用紙を、ベルト搬送機構75に載置されている、針綴じされた複数の用紙に折りラインが互いに重なるよう重ね合わせ(S310)、折り処理実行前の用紙束を作成する。折り機構70は、図28(d)に示すように、最後の用紙が針綴じされた複数の用紙よりも外側に位置するよう、作成された用紙束を折りラインにおいて折りたたむ折り処理を実行する(S312)。三方断裁機構90は、作成された中綴じ折り冊子に、小口のみ、または三方を断裁する断裁処理を実行する(S314)。この態様によっても、冊子の背の綴じ針を表紙で覆った冊子を作成することができる。このため、冊子の背における綴じ針の露出を回避することができる。
図29は、図10におけるS24の第3の実施形態に係る表紙・中央紙糊付け製本処理の手順を示すフローチャートである。図30(a)〜図30(f)は、第3の実施形態に係る表紙・中央紙糊付け製本処理の手順を模式的に示す図である。以下、図30(a)〜図30(f)を参照しながら図29に示すフローチャートにしたがって説明する。
丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最初の用紙を単独で糊付け綴じ機構504に搬出する(S340)。糊付け機構30は、図30(a)に示すように、この最初の用紙の折りライン周辺に糊付けする糊付け処理を実行する(S342)。ベルト搬出機構73は、糊付けされた最初の用紙を折り機構70のベルト搬送機構75に搬出する(S344)。
次に丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最初と最後の用紙を除く複数の用紙を重ね合わせて糊付け綴じ機構504に搬出する(S346)。針綴じ機構52は、図30(b)に示すように、この複数の用紙を折りライン上において針綴じする針綴じ処理を実行する(S348)。糊付け機構30は、図30(c)に示すように、針綴じされた複数の用紙の最上位の用紙に対し、上面の折りライン周辺に糊付けする糊付け処理を実行する(S350)。ベルト搬出機構73は、図30(d)に示すように、針綴じされ且つ糊付けされた複数の用紙を、ベルト搬送機構75に載置された最初の用紙に折りラインが互いに重なるよう重ね合わせる(S352)。
次に丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最後の用紙を単独で糊付け機構30に搬出する(S354)。糊付け機構30は、この最後の用紙への糊付け処理を回避して下流側に送り出す。ベルト搬出機構73は、図30(e)に示すように、この最後の用紙を、針綴じされ且つ糊付けされた複数の用紙に、折りラインが互いに重なるよう重ね合わせ(S356)、折り処理実行前の用紙束を作成する。折り機構70は、図30(f)に示すように、最後の用紙が針綴じされた複数の用紙よりも外側に位置し、最初の用紙が針綴じされた複数の用紙よりも内側に位置するよう、作成された用紙束を折りラインにおいて折りたたむ折り処理を実行する(S358)。三方断裁機構90は、作成された中綴じ折り冊子に、小口のみ、または三方を断裁する断裁処理を実行する(S360)。この態様によっても、冊子の背の綴じ針を表紙で覆い、且つ冊子の内側の綴じ針を中央紙で覆った冊子を作成することができる。このため、冊子の背における綴じ針の露出と、冊子を中央で開いたときの綴じ針の露出の双方を回避することができる。
図31は、図10におけるS26の第3の実施形態に係る全糊付け製本処理の手順を示すフローチャートである。丁合装置12は、作成する冊子に含ませる用紙を一枚ずつ糊付け綴じ機構504に搬出する(S380)。糊付け機構30は、作成する冊子に含ませる複数の用紙を重ね合わせたときに、隣接する用紙同士の少なくとも一方が糊付けされるよう、搬入された用紙の折りライン周辺に糊付ける糊付け処理を実行する(S382)。具体的には、糊付け機構30は、作成する冊子に含ませる複数の用紙のうち、最後の用紙のみ糊の転写を回避し、その他の用紙には、プッシャ280を上昇させて糊シートユニット120の糊シート212に用紙を押し付け、その上面に糊を転写する。
糊付け処理された用紙は、一枚ずつ折り機構70に搬出され、ベルト搬送機構75上に積載される。搬入された複数の用紙に、折りラインにて折りたたむ折り処理を実行する(S384)。三方断裁機構90は、作成された中綴じ折り冊子に、小口のみ、または三方を断裁する断裁処理を実行する(S386)。
(第4の実施形態)
図32は、第4の実施形態に係る製本システム600の全体構成図である。以下、上述の実施形態と同様の個所は同一の符号を付して説明を省略する。
製本システム600は、糊付け装置13および中綴じ折り装置14に変えて中綴じ折り装置602が設けられている以外は、第1の実施形態に係る製本システム10と同様に構成される。中綴じ折り装置602は、綴じ機構50に代えて糊付け綴じ機構604が設けられた以外は、第1の実施形態に係る中綴じ折り装置14と同様に構成される。糊付け綴じ機構604は、圧着機構54に代えて糊付け機構30が設けられている以外は、第1の実施形態に係る綴じ機構50と同様に構成される。第4の実施形態に係る糊付け機構30は、下方から用紙に糊付けするよう設けられている点で、第3の実施形態とは異なる。中綴じ折り装置602には、CPU、ROM、RAMを有する糊付け制御部608および綴じ制御部610が設けられている。糊付け制御部608は、糊付け機構30の作動を制御し、綴じ制御部610は針綴じ機構52の作動を制御する。
図33は、図10におけるS16の第4の実施形態に係る表紙糊付け製本処理の手順を示すフローチャートである。図34(a)〜図34(d)は、第4の実施形態に係る表紙糊付け製本処理の手順を模式的に示す図である。以下、図34(a)〜図34(d)を参照しながら図33に示すフローチャートにしたがって説明する。
丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最後の用紙を除く複数の用紙を重ね合わせて糊付け綴じ機構504に搬出する(S400)。針綴じ機構52は、図34(a)に示すように、この複数の用紙に折りライン上において針綴じする針綴じ処理を実行する(S402)。ベルト搬出機構73は、針綴じされた複数の用紙を折り機構70のベルト搬送機構75に搬出する(S404)。
次に丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最後の用紙を単独で糊付け機構30に搬出する(S406)。糊付け機構30は、図34(b)に示すように、この最後の用紙の折りライン周辺に糊付けする糊付け処理を実行する(S408)。ベルト搬出機構73は、図34(c)に示すように、糊付けされた最後の用紙を、ベルト搬送機構75に載置されている、針綴じされた複数の用紙に折りラインが互いに重なるよう重ね合わせ(S410)、折り処理実行前の用紙束を作成する。折り機構70は、図34(d)に示すように、最初の用紙が針綴じされた複数の用紙よりも内側に位置するよう、作成された用紙束を折りラインにおいて折りたたむ折り処理を実行する(S412)。三方断裁機構90は、作成された中綴じ折り冊子に、小口のみ、または三方を断裁する断裁処理を実行する(S414)。この態様によっても、冊子の背の綴じ針を表紙で覆った冊子を作成することができる。このため、冊子の背における綴じ針の露出を回避することができる。
図35は、図10におけるS20の第4の実施形態に係る中央紙糊付け製本処理の手順を示すフローチャートである。図36(a)〜図36(d)は、第4の実施形態に係る中央紙糊付け製本処理の手順を模式的に示す図である。以下、図36(a)〜図36(d)を参照しながら図35に示すフローチャートにしたがって説明する。
丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最初の用紙を単独で糊付け綴じ機構604に搬出する(S430)。糊付け機構30は、この最初の用紙への糊付け処理を回避して下流側に送り出す。ベルト搬出機構73は、この最初の用紙を折り機構70のベルト搬送機構75に搬出する(S432)。
次に丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最初の用紙を除く複数の用紙を重ね合わせて糊付け綴じ機構504に搬出する(S434)。針綴じ機構52は、図36(a)に示すように、この複数の用紙に折りライン上において針綴じする針綴じ処理を実行する(S436)。糊付け機構30は、図36(b)に示すように、針綴じされた複数の用紙の最下位の用紙に対し、下面の折りライン周辺に糊付けする糊付け処理を実行する(S438)。
ベルト搬出機構73は、図36(c)に示すように、針綴じされた複数の用紙を、ベルト搬送機構75に載置されている最初の用紙に折りラインが互いに重なるよう重ね合わせ(S440)、折り処理実行前の用紙束を作成する。折り機構70は、図36(d)に示すように、最初の用紙が針綴じされた複数の用紙よりも内側に位置するよう、作成された用紙束を折りラインにおいて折りたたむ折り処理を実行する(S442)。三方断裁機構90は、作成された中綴じ折り冊子に、小口のみ、または三方を断裁する断裁処理を実行する(S444)。この態様によっても、冊子の内側の綴じ針を中央紙で覆った冊子を作成することができる。このため、冊子を中央で開いたときの綴じ針の露出を回避することができる。
図37は、図10におけるS24の第4の実施形態に係る表紙・中央紙糊付け製本処理の手順を示すフローチャートである。図38(a)〜図38(f)は、第4の実施形態に係る表紙・中央紙糊付け製本処理の手順を模式的に示す図である。以下、図38(a)〜図38(f)を参照しながら図37に示すフローチャートにしたがって説明する。
丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最初の用紙を単独で糊付け綴じ機構604に搬出する(S460)。糊付け機構30は、この最初の用紙への糊付け処理を回避して下流側に送り出す。ベルト搬出機構73は、この最初の用紙を折り機構70のベルト搬送機構75に搬出する(S462)。
次に丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最初と最後の用紙を除く複数の用紙を重ね合わせて糊付け綴じ機構504に搬出する(S464)。針綴じ機構52は、図38(a)に示すように、この複数の用紙に折りライン上において針綴じする針綴じ処理を実行する(S466)。糊付け機構30は、図38(b)に示すように、針綴じされた複数の用紙の最下位の用紙に対し、下面の折りライン周辺に糊付けする糊付け処理を実行する(S468)。ベルト搬出機構73は、図38(c)に示すように、針綴じされ且つ糊付けされた複数の用紙を、ベルト搬送機構75に載置された最初の用紙に折りラインが互いに重なるよう重ね合わせる(S470)。
次に丁合装置12は、冊子に含ませる複数の用紙のうち、最後の用紙を単独で糊付け綴じ機構604に搬出する(S472)。糊付け機構30は、図38(d)に示すように、この最後の用紙に糊付け処理を実行する(S474)。ベルト搬出機構73は、図38(e)に示すように、糊付けされた最後の用紙を、ベルト搬送機構75に載置されている、針綴じされた複数の用紙に折りラインが互いに重なるよう重ね合わせ(S476)、折り処理実行前の用紙束を作成する。折り機構70は、図38(f)に示すように、最後の用紙が針綴じされた複数の用紙よりも外側に位置し、最初の用紙が針綴じされた複数の用紙よりも内側に位置するよう、作成された用紙束を折りラインにおいて折りたたむ折り処理を実行する(S478)。三方断裁機構90は、作成された中綴じ折り冊子に、小口のみ、または三方を断裁する断裁処理を実行する(S480)。この態様によっても、冊子の背の綴じ針を表紙で覆い、且つ冊子の内側の綴じ針を中央紙で覆った冊子を作成することができる。このため、冊子の背における綴じ針の露出と、冊子を中央で開いたときの綴じ針の露出の双方を回避することができる。
図39は、図10におけるS26の第4の実施形態に係る全糊付け製本処理の手順を示すフローチャートである。丁合装置12は、作成する冊子に含ませる用紙を一枚ずつ糊付け綴じ機構504に搬出する(S500)。糊付け機構30は、作成する冊子に含ませる複数の用紙を重ね合わせたときに、隣接する用紙同士の少なくとも一方が糊付けされるよう、搬入された用紙の折りライン周辺に糊付ける糊付け処理を実行する(S502)。具体的には、糊付け機構30は、作成する冊子に含ませる複数の用紙のうち、最初の用紙のみ糊の転写を回避し、その他の用紙には、プッシャ280を上昇させて糊シートユニット120の糊シート212に用紙を押し付け、その上面に糊を転写する。糊付け処理された用紙は、一枚ずつ折り機構70に搬出され、ベルト搬送機構75上に積載される。搬入された複数の用紙に、折りラインにて折りたたむ折り処理を実行する(S504)。三方断裁機構90は、作成された中綴じ折り冊子に、小口のみ、または三方を断裁する断裁処理を実行する(S506)。
(第5の実施形態)
図40は、第5の実施形態に係る製本システム700の全体構成図である。以下、上述の実施形態に係る製本システムと同様の個所は同一の符号を付して説明を省略する。
製本システム700は、丁合装置12、糊付け装置13、中綴じ折り装置702、断裁装置16、および管理装置20を有する。中綴じ折り装置702は、綴じ機構704、折り機構70、および折り強化機構82を有する。第5の実施形態では、綴じ機構704には、多機能綴じ機構710が設けられている。多機能綴じ機構710は、圧着処理および針綴じ処理の双方を実行可能に設けられている。綴じ制御部720は、綴じ機構704の作動を制御するよう設けられる。
図41は、多機能綴じ機構710の構成を示す図である。多機能綴じ機構710は、ドライバ712、クリンチャ714、および受け部材716を有する。ドライバ712は、用紙に向かって移動しながら綴じ針を用紙に打ち込む。クリンチャ714は、綴じ針が用紙を貫通した先で綴じ針を折り曲げる。
ドライバ712の下面には、用紙を押圧するための押し付け面712aが設けられている。受け部材716は、ドライバ712と用紙を把持するための受け面716aを有する。受け部材716は、ベルト搬送機構56の搬送ベルト上面と同じ高さに受け面716aが位置するよう固定される。
針綴じ製本要求が取得された場合、多機能綴じ機構710は、ドライバ712とクリンチャ714により複数の用紙に綴じ針を打ち込んで綴じる。第1糊綴じ製本要求が取得された場合、多機能綴じ機構710は、ドライバ712の押し付け面712aと受け部材716の受け面716aとで挟持することにより複数の用紙を圧着して綴じる。針綴じ製本要求を取得した場合、第1糊綴じ製本要求を取得した場合、および第2糊綴じ製本要求を取得した場合の製本システム700の動作は、図19〜図25のフローチャートと同様である。
また、ドライバ712の押し付け面712aと用紙との間に進出可能な緩衝部材が設けられてもよい。この場合、緩衝部材はゴムなどの弾性部材によって成形される。緩衝部材は、ソレノイドなどのアクチュエータによって駆動される。第1糊綴じ製本要求が取得された場合、多機能綴じ機構710は、ドライバ712の押し付け面712aと用紙との間に緩衝部材を進出させた状態で、ドライバ712を下降させて圧着処理を実行する。このように緩衝部材を介在させることにより、ドライバ712の押し付け面712aの跡が用紙に残るなどの用紙に与える影響を抑制することができる。
図42(a)〜図42(c)は、多機能綴じ機構710の動作を示す図である。図42(a)〜図42(c)は、図41の視点Qから2つの多機能綴じ機構710のうち一つを見たときの図である。
図42(a)は、針綴じ処理を実行するときの多機能綴じ機構710の状態を示す図である。多機能綴じ機構710は、針送り機構730および切り替え機構732をさらに有する。針送り機構730は、互いに接するローラ736、738を有する。ローラ736はモータ(図示せず)によって駆動され、ローラ738はローラ736に従動する。綴じ針734は、このローラ736、738に挟持され、ローラ736が駆動されることによってドライバ712の先端に送り込まれる。
切り替え機構732は、針綴じ処理を実行するときは用紙に綴じ針を打ち込むよう綴じ針をドライバ712の先端に送り込み可能とし、圧着処理を実行するときは用紙への綴じ針の打ち込みを不能とすべくドライバ712の先端への綴じ針の送り込みを回避する。具体的には、切り替え機構732は、揺動ロッド740、カムフォロワ744、カム746、支持部材748、およびコイルスプリング750を有する。揺動ロッド740の一端はローラ736の回転軸を回転可能に支持し、他端は多機能綴じ機構710の筐体に揺動軸742を中心に揺動可能に支持されている。揺動ロッド740の中央では、円盤状のカムフォロワ744が回転可能に支持されている。カム746は、このカムフォロワ744に当接するよう配置されている。カム746はモータ(図示せず)によって駆動可能に設けられている。
コイルスプリング750は、多機能綴じ機構710の筐体に固定された支持部材748から、揺動ロッド740の一端を互いに離間させる方向に付勢する。これにより、ローラ736がローラ738に押し付けられ、綴じ針734の送り込みが可能となる。針綴じ処理を実行する場合、綴じ制御部720は、ローラ736、738を回転させて綴じ針734をドライバ712の先端に送り込んだ後、ドライバ712を下降させて綴じ針734を切断すると共に用紙に切断した綴じ針734を打ち込むよう多機能綴じ機構710を作動させる。
図42(b)は、圧着処理を実行するときの多機能綴じ機構710の最初の状態を示す図である。圧着処理を実行する場合、綴じ制御部720は、ローラ736を逆回転させることにより、ドライバ712の下方から綴じ針734を退避させる。
図42(c)は、図42(b)の次の多機能綴じ機構710の状態を示す図である。綴じ制御部720は、カム746を回転させることにより揺動ロッド740を揺動させ、ローラ736とローラ738とによる綴じ針734の挟持を解除する。これによって、ドライバ712の下降動作に伴う綴じ針734の送りを回避することができる。カム746を回転させると、綴じ制御部720は、ドライバ712を下降させて用紙を圧着する。
多機能綴じ機構710が図42(c)に示す状態となっているときに、次に針綴じ処理を実行する場合、上記の逆の処理を実行する。すなわち、綴じ制御部720は、まずカム746を回転させて揺動ロッド740を元の位置まで揺動させ、ローラ736とローラ738とによって綴じ針734を挟持した状態とする。次にローラ736を回転させて綴じ針734をドライバ712の下方に送り込み、最後にドライバ712を下降させて用紙に綴じ針734を打ち込む。
なお、多機能綴じ機構710は、前回の綴じ動作に連動させて次回の針を送り出すとともに、次回の針の切断も行い、綴じ針1回分の長さとしておいてドライバの下に待機させてもよい。この場合、多機能綴じ機構710内にドライバ712とは別のプッシャを設けてもよい。
図43は、第6の実施形態に係る糊付け機構30および多機能綴じ機構710の相対的な位置関係を示す図である。ドライバ712は、用紙幅方向に2つ並設される。ベルト搬送機構56の搬送ベルトは2本設けられ、それぞれがドライバ712の外側において用紙搬送方向に延在するよう配置される。第5の実施形態では、糊付け機構30には2つの糊シートユニット120が設けられる。糊シートユニット120の各々は、2つのドライバ712の各々の上流側に配置される。これにより、糊シートユニット120による糊付け箇所をドライバ712にて適切に圧着させることができる。
(第6の実施形態)
図44は、第6の実施形態に係る製本システム800の全体構成図である。製本システム800は、丁合装置12に代えて給紙装置802が設けられた以外は、第3の実施形態に係る製本システム600と同様に構成される。
給紙装置802は、Aトレイ822A、Bトレイ822B(以下、必要に応じてこれらを「トレイ822」と総称する)を有する。トレイ822には、印刷、電子写真方式、インクジェット方式などによる画像形成方法によって画像が形成された用紙が積載される。
給紙装置802には、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMを有する給紙制御部832が設けられている。Aトレイ822AおよびBトレイ822Bの各々に対応して、分離給送機構824が設けられている。分離給送機構824は、対応するトレイ822に積載された用紙のうち最上位の用紙を分離して送り出す。分離給送機構824はエア吸引式のものが採用されている。エア吸引式の分離給送機構は公知であるため、その詳細な説明は省略する。なおエア吸引式の分離給送機構に代えて、いわゆるフリクション式の分離給送機構が設けられてもよいことは勿論である。
また、給紙装置802は、トレイ822の各々を昇降させる昇降機構(図示せず)、およびトレイ822の各々に積載された用紙の高さを検知する用紙高さセンサ(図示せず)を有する。給紙制御部832は、トレイ822に積載された用紙のうち最上位の用紙が給紙可能高さに達したことが検知されたときにトレイ822の上昇を停止させる。こうして給紙制御部832は、トレイ822の最上位に積載された用紙の高さを給紙可能高さに維持し、分離給送機構824による用紙の連続的な送り出しを可能としている。
給紙装置802は、スイッチバック反転機構826を有する。管理装置20においてユーザにより反転を指定する入力がなされた場合に、スイッチバック反転機構826はAトレイ822Aから送り出された用紙を反転させて用紙搬送路に戻す。Aトレイ822Aから送り出された用紙が搬送される用紙搬送路、およびBトレイ822Bから送り出された用紙が搬送される用紙搬送路は、共通搬送路828で合流する。
給紙装置802は、Aトレイ822A、Bトレイ822Bの各々に対応してイメージセンサ830が設けられている。イメージセンサ830は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを含む。なお、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが用いられてもよい。イメージセンサ830の各々は、Aトレイ822AおよびBトレイ822Bの各々に積載された用紙の所定領域に記録された画像を撮像する。給紙装置802には、内部のアクチュエータなどの制御を実行する給紙制御部806が設けられている。給紙制御部806は、イメージセンサ830の各々によって撮像された画像データをシステム制御部119に送信する。
例えば作成する冊子に含ませる用紙をすべてAトレイ822Aから送り出す場合、Aトレイ822Aには、綴じるときに積載されるときとは逆の順序で複数冊分の用紙が積載される。このとき、Aトレイ822Aには、1冊の冊子に含ませる用紙のうち、最後に送り出す用紙には上面にその旨を示す画像が付されている。この場合は、表紙となる用紙に、最後に送り出すことを示す画像が付されていることになる。
システム制御部119は、イメージセンサ830によって撮像された画像データを利用して、1冊分の最後の用紙か否かを判定する。最後の用紙と判定された場合、糊綴じ製本処理であれば、糊付け装置13はその用紙への糊付けを回避し、圧着機構54はその用紙が積載された時点で圧着処理を実行するよう各装置を制御する。針綴じ製本処理であれば、針綴じ機構52はその用紙が積載された時点で針綴じ処理を実行する。他の動作は第3の実施形態と同様である。
なお、例えばBトレイ822Bから表紙のみを送り出し、Aトレイ822Aからその他の用紙を送り出す場合においても、Aトレイ822Aには、1冊の冊子に含ませる用紙のうち、最後に送り出す用紙には上面にその旨を示す画像が付されている。この場合は、表紙の下に配置される用紙に、最後に送り出すことを示す画像が付されていることになり、綴じ機構50では、Bトレイ822Bから送り出された表紙が積載された後に、圧着処理または針綴じ処理が実行される。
このように、給紙装置802を利用しても、針綴じ製本処理および糊綴じ製本処理を択一的に実行することができる。なお、上述の実施形態に係る製本システムにおいても、丁合装置12に代えて給紙装置802が用いられてもよい。また、給紙装置802、丁合装置12に代えて、インクジェット記録装置等、用紙に印刷画像を形成する画像形成装置を設けてもよい。
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。以下、そうした例をあげる。
ある変形例では、折りたたまれて作成された冊子の背を押圧して平坦化させる成形機構が設けられる。成形機構は、所定の形成要求を取得した場合、最後の用紙が針綴じされた複数の用紙よりも外側に位置するよう折りたたんで作成された冊子に対し、成形処理を施して背を平坦化させる。これにより、綴じ針が露出しておらず、且つ背を平坦化させた美観のよい冊子を作成することができる。
上記実施形態では、糊シート212の送り量を調整するための送り量調整カム230を、作業者が手動で回動させる例を示した。変形例においては、送り量調整カム230をステッピングモータ等の駆動手段によりこれを回動させる構成とし、管理PC100からその回動指令信号を出力するようにしてもよい。ステッピングモータの回転量を調整することにより、送り量調整カム230の回転位置、レバー228の回動位置、ひいては糊の送り量を調整することができる。また、ステッピングモータの回転量から送り量を算出できるため、その送り量から転写長さlを算出し、さらに糊の転写部分の中心位置を算出することができる。管理PC100は、算出された糊の転写部分の中心位置と、用紙Pのサイズ情報から、その糊の転写部分の中心位置が用紙Pの用紙搬送方向の中心に位置するよう、ストッパ290の停止位置を決定することができる。
上記実施形態では、図3に示したように、ニアエンド検知部材210の検知レバー262を糊シートユニット120のフレーム200によって支持する構成例を示した。変形例においては、検知レバー262を糊シートユニット120の外側、つまり糊付け装置の本体ケーシングにて支持する構成とし、その先端のローラ268を供給リール202に巻回された糊シート212に接触させる構成としてもよい。フレーム200の下方にスリットを設けて検知レバー262を挿通可能とし、その検知レバー262を糊シートユニット120の下方に設置してローラ268を下方から接触させるようにすれば、糊シートユニット120の本体ケーシングへの着脱に支障をきたすこともない。
上記実施形態では、図6(A)および(B)に糊シート212の構成例を示したが、図示の態様以外にも様々な形状および大きさの糊セグメント302を配列して構成してもよいことはもちろんである。また、上記実施形態では、最も近接する糊セグメント同士を結ぶ配列方向が基材シート300の長手方向に対して傾斜するようにし、糊の転写の均一性を取れる例を示した。変形例においては、糊シート212そのものを受圧面240に対して傾斜させるように設置してもよい。例えば、供給リール202および巻取りリール204をその各々の回転軸が用紙搬送方向に対して傾斜するようにフレーム200に組み付けてもよい。あるいは、糊シートユニット120そのものを用紙搬送方向に対して傾ける態様で糊付け装置の本体ケーシングに取り付けるようにしてもよい。
なお、上記実施形態では、製本システムの一つの具体的構成例を示したが、それ以外に種々の態様の構成を採用できることはいうまでもない。上記実施形態では、中綴じ折り冊子を製本する装置の例を示したが、用紙の端部を綴じるタイプの製本システムであっても、上述した糊付け装置の構成を有効に適用することができる。また、本発明の糊付け装置は、製本システムに限らず、糊シートの一部を用紙に押し付けて糊を転写させる糊付け機構を備える装置であれば適用することが可能である。