以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るシート処理装置を備えた画像形成装置としての複写装置の概略構成を示す説明図である。また、図2は、シート処理装置の概略構成を示す説明図である。なお、本第1実施形態では、画像形成装置が画像形成を行う複写装置である場合について説明するが、これに限るものではなく、画像形成装置が画像形成を行うプリンタ、ファクシミリ等でもよい。
複写装置1000は、原稿給送部100、イメージリーダ部200、プリンタ部300、プリンタ部300から排出される画像形成済みのシートを折り処理する折り処理部400、シート処理装置としてのフィニッシャ500及びインサータ900を備えている。
プリンタ部300の上部には、イメージリーダ部200及び原稿給送部100が配設され、プリンタ部300のシート排出側には、折り処理部400及びフィニッシャ500が配設され、フィニッシャ500の上部にインサータ900が配設される。
原稿給送部100のトレイ100a上には、ユーザから見て正立状態で、且つ、フェイスアップ状態(画像が形成されている面が上向きの状態)で原稿Dがセットされる。
イメージリーダ部200は、スキャナユニット104、ミラー105,106,107、レンズ108、イメージセンサ109を備えている。そして、このイメージリーダ部200により原稿Dを読み取る際には、まず原稿給送部100のトレイ100a上に原稿Dをセットする。なお、このとき原稿Dは、トレイ100a上に画像が形成されている面が上向きのフェイスアップ状態でセットされているものとする。
そして、原稿給送部100は、このようにセットされた原稿Dを先頭ページから順に1枚ずつ左方向(図の矢印方向)に搬送した後、湾曲したパスを介してプラテンガラス102上を左方向から右方向へ搬送し、この後、排紙トレイ112上に排出する。
ここで、所謂流し読みによる原稿読み取りの際には、スキャナユニット104は、所定の位置に保持された状態にあり、このスキャナユニット104上を原稿Dが左から右へと通過することにより原稿Dの読取処理が行われる。この読取処理においては、プラテンガラス102上を通過する際、原稿Dに対してスキャナユニット104のランプ103により光を照射し、その反射光をミラー105,106,107、レンズ108を介してイメージセンサ109に導くようにする。
一方、所謂固定読みによる原稿読み取りの際には、原稿給送部100により搬送した原稿Dをプラテンガラス102上に一旦停止させ、この状態でスキャナユニット104を左から右へと移動させることにより原稿の読取処理を行う。さらに、原稿給送部100を使用しないで原稿の読み取りを行う場合には、ユーザは、原稿給送部100を持ち上げ、プラテンガラス102上に原稿をセットする。
なお、このイメージセンサ109により読み取られた原稿Dの画像データは、所定の画像処理が施されて露光制御部110へ送られる。
プリンタ部300は、カセット114,115に収納されたシートPを給送するシート給送部1002と、シート給送部1002により給送されたシートPに画像を形成する画像形成部1003とを備えている。
画像形成部1003は、感光体ドラム111、現像器113及び転写部としての転写帯電器116を有している。そして、画像形成の際には、露光制御部110からのレーザ光が感光体ドラム111上に照射されることにより、感光体ドラム111上に潜像が形成され、さらにこの潜像は、この後、現像器113によってトナー像として顕像化されるようになっている。なお、画像形成部1003の下流側には定着部117、排出ローラ対118等が配設されている。
次に、このような構成のプリンタ部300の画像形成動作について説明する。
まず、既述したようにイメージリーダ部200における流し読み、或は固定読み等において、イメージセンサ109により読み取られた原稿Dの画像データは、所定の画像処理が施された後、露光制御部110へ送られる。露光制御部110は、この画像信号に応じたレーザ光を出力する。
そして、このレーザ光は、ポリゴンミラー110aにより走査されながら感光体ドラム111上に照射され、感光体ドラム111上には走査されたレーザ光に応じた静電潜像が形成される。次に、感光体ドラム111上に形成された静電潜像を現像器113により現像し、トナー像として可視化する。
一方、シートPは、カセット114,115、手差し給紙部125、両面搬送パス124の何れかから感光体ドラム111と転写帯電器116との間に搬送され、可視化された感光体ドラム111上のトナー像がシートPに転写される。この後、シートPは、定着部117にて定着処理が施される。
次に、定着部117を通過したシートPを切換部材121により一旦パス122に導き、シートPの後端が切換部材121を抜けた後に、スイッチバックさせ、切換部材121により排出ローラ対118へ搬送し、プリンタ部300から排出する。これにより、シートPをトナー像が形成された面が下向きの状態(フェイスダウン)でプリンタ部300から排出することができる。これを反転排紙と称する。
このような反転排紙により、フェイスダウンでシートPを排出することにより、先頭ページから順に画像形成処理を行う場合に、ページ順序を揃えることができる。先頭ページから順に画像形成処理を行う場合としては、例えば、原稿給送部100を使用して画像形成処理を行う場合やコンピュータからの画像データに対する画像形成処理を行う場合がある。
また、シートPの両面に画像形成処理を行う場合は、シートPを定着部117から排出ローラ対118方向へと導き、シートPの後端が切換部材121を抜けた直後にシートPをスイッチバックし、切換部材121により両面搬送パス124へと導くようにする。
次に、折り処理部400について、図1を参照ながら説明する。
折り処理部400は、プリンタ部300から排出されたシートPを導入し、フィニッシャ500側に導くための搬送パス131を有する。搬送パス131上には、搬送ローラ対130,133が設けられている。また、搬送ローラ対133の近傍に設けられた切換部材135は、搬送ローラ対130により搬送されたシートPを折りパス136またはフィニッシャ500側に導くためのものである。
折り処理部400にて折り処理を行わない場合は、切換部材410をフィニッシャ500側に切り換え、プリンタ部300から排出されたシートを搬送パス131を介して、直接送り込む。
折り処理部400にてシートPの折り処理を行う場合、切換部材135を折りパス136側に切り換え、シートを折りパス420に導く。折りパス420に導かれたシートは、折りローラ421まで搬送され、Z型に折り畳まれる。
具体的に説明すると、折りパス136を搬送されたシートは、ストッパ137に先端を突き当てられ、ループが形成される。そして、シートに形成されたループが、折りローラ140,141により折られる。次いで、このシートの折り曲げ部が、上方のストッパ143に突き当てられて、シートにループが形成され、このループが、折りローラ141,142により更に折られる。このようにしてシートのZ折り処理が行われる。このZ折りシートは、搬送パス145を介して搬送パス131に送られ、搬送ローラ対133により下流側に付設されたフィニッシャ500に排出される。なお、折り処理部400による折り処理動作は選択的に行われる。
次に、フィニッシャ500について、図2を参照しながら説明する。
フィニッシャ500は、プリンタ部300から排出されたシートを、折り処理部400を介して順に取り込み、取り込んだ複数のシートPを整合して1つの束に束ねる処理(整合処理)を実施可能に構成されている。また、フィニッシャ500は、シート束を折る折り処理、2つ折り製本処理を実施可能に構成されている。
更にフィニッシャ500は、2つ折りされたシート束の折り端部を押圧して平滑化する平滑化処理、シート束後端(上流側端部)を断裁する断裁処理、シート束先端(下流側端部)近傍に孔をあけるパンチ処理を実施可能に構成されている。また、フィニッシャ500は、シート束の後端近傍を綴じるステイプル処理、ソート・ノンソート処理など各種の処理も実施可能に構成されている。
フィニッシャ500は、中綴じ処理装置502及び平綴じ処理装置503を備えており、また、プリンタ部300から排出されるシートを、オンラインで処理することができるようになっている。
フィニッシャ500は、折り処理部400を介して搬送されたシートPを装置内部に取り込むための搬送パス520を有しており、搬送パス520には、複数の搬送ローラ対が設けられている。また、搬送パス520には、パンチユニット530が設けられており、パンチユニット530を必要に応じて動作させ、搬送されるシートPの後端近傍に孔あけ処理を行う。
そして、搬送パス520の終端には、下流に繋がれた上排紙パス521と下排紙パス522とに経路を切り換える切換部材513が設けられている。上排紙パス521は、上スタックトレイ701への排紙を行う。
下排紙パス522には、サドル排紙パス523に経路を切り換える切換部材514が設けられている。そして、下排紙パス522の終端には、平綴じ処理装置503が配設され、サドル排紙パス523の終端には、中綴じ処理装置502が配設されている。
平綴じ処理装置503は、下排紙パス522から排出されるシートが積載される処理トレイ550と、積載されたシート束にステイプル処理を施すステイプラ560と、シート束を装置外部に排出する束排紙ローラ対551とを有している。
下排紙パス522から処理トレイ550に排紙されたシートは順次整合処理されながら束状に収容され、操作部205からの設定に応じて、仕分け処理やステイプル処理が行われ、その後、束排紙ローラ対551によりスタックトレイ700,701に排出される。
なお、ステイプラ560はシート搬送方向に直交する幅方向に移動可能となっており、シート束の幅方向において任意の位置にステイプルすることができる。スタックトレイ700,701は上下方向に移動可能に構成されており、上側のスタックトレイ(以下、上スタックトレイという)701は上排紙パス521と処理トレイ550からのシートを受け取ることができる。また、下側のスタックトレイ(以下、下スタックトレイという)700は、処理トレイ550からのシートを受け取ることができる。このようにして、スタックトレイ700,701には大量のシートを積載することができ、積載されたシートはその後端を上下方向に伸びる後端ガイド710に規制されて整列される。
中綴じ処理装置502は、中綴じ製本部800及び中綴じ冊子処理部600を有している。まず、中綴じ製本部800について説明する。
下排紙パス522に設けられた切換部材514により、サドル排紙パス側に切り換えられたシートは、サドル排紙パス523を通過して、中綴じ製本部800へ送られる。
シートはサドル入口ローラ対801に受け渡され、シートサイズに応じてソレノイドにより動作する切換部材802により搬入口を選択されて、収納ガイド803に搬入される。収納ガイド803に搬入されたシートは滑りローラ804によりシート先端が可動式のシート位置決め部材805に接するまで搬送される。サドル入口ローラ対801と滑りローラ804はモータM1により駆動される。また、収納ガイド803の途中位置には、収納ガイド803を挟んで対向配置されたステイプラ820が設けられている。ステイプラ820は、針を突き出すドライバ820aと突き出された針を折り曲げるアンビル820bとを有している。なお、シート位置決め部材805は、シート搬入時において、シート搬送方向中央部が、このステイプラ820の綴じ位置になる位置で停止する。シート位置決め部材805は、モータM2の駆動を受けて移動自在であり、シートサイズに応じて位置を変える。
ステイプラ820の下流側には、折りローラ対810a,810bが設けられており、折りローラ対810a,810bの対向位置には、突き出し部材830が設けられている。この突き出し部材830は、収納ガイド803から退避した位置をホームポジションとしており、モータM3により駆動される。そして、突き出し部材830は、収納されたシート束に向けて突き出すことにより、シート束を、折りローラ対810a,810bのニップに押し込みながら折り畳むものである。突き出し部材830は、その後、再びホームポジションに戻る。なお、折りローラ対810a,810b間には、シート束に折り目付けをするのに充分な押圧力が不図示のばねにより掛けられている。
折り目付けされたシート束は、第1折り搬送ローラ対811a,811b、第2折り搬送ローラ対812a,812bを介して、後述する中綴じ冊子処理部600の第1搬送ユニット610に排出される。なお、第1折り搬送ローラ対811a,811b及び第2折り搬送ローラ対812a,812bにも、折り目付けされたシート束を搬送、停止させるのに充分な押圧力が不図示のばねにより掛けられている。また、折りローラ対810a,810b、第1折り搬送ローラ対811a,811b、第2折り搬送ローラ対812a,812bは、同一のモータM4により駆動され、等速回転する。
また、ステイプラ820で綴じられたシート束を折り畳む場合は、ステイプル処理終了後に、シート束のステイプル位置が折りローラ対810のニップ位置にくるように、シート位置決め部材805を、ステイプル処理時の場所から所定距離降下させる。これによりステイプル処理を施した位置を中心にしてシート束を折り畳むことができる。
なお、ステイプラ820の下流側には、収納ガイド803に収納されたシート束を幅方向で整合する整合板対815が設けられている。整合板対815は、モータM5の駆動を受けて、シート束に対し、挟みこみ方向に移動することによって、シート束の幅方向の位置決めを行う。
図3は、中綴じ製本部800により形成された冊子状のシート束Sを示す斜視図であり、図2の中綴じ製本部800の動作により、図3に示す冊子状のシート束Sが形成される。このシート束Sは中綴じ冊子処理部600に搬送されるが、シート束Sの折り端部が先端(下流側端部)Saとなり、シート束Sの小口側が後端(上流側端部)Sbとなるよう、搬送される。
次に、中綴じ冊子処理部600について説明する。中綴じ冊子処理部600は、中綴じ製本部800の下流側に配置されている。
中綴じ冊子処理部600は、シート束Sに処理を施す処理ユニット620を備えている。また、中綴じ冊子処理部600は、シート束Sを搬送する搬送部650を備えている。この搬送部650は、処理ユニット620のシート搬送方向上流側に配置される第1搬送ユニット610及び処理ユニット620のシート搬送方向下流側に配置される第2搬送ユニット660を有している。
第1搬送ユニット610は、中綴じ製本部800からシート束Sを受け取り、処理ユニット620にシート束Sを搬送する。また、第2搬送ユニット660は、処理ユニット620を通過したシート束Sをコンベアトレイ670に搬送する。
第1搬送ユニット610は、シート搬送経路の下側に配置され、シート搬送方向に延びる下搬送ベルト611を有する。この下搬送ベルト611は、シート搬送方向に回転し、中綴じ製本部800の第2折り搬送ローラ対812から落下してくるシート束Sを受け取る。これにより第1搬送ユニット610は、シート束Sを第2折り搬送ローラ対812により搬送されてきた姿勢のまま受け取ることができる。
また、第1搬送ユニット610は、シート搬送方向に直交する幅方向両側であって下搬送ベルト611を挟むように配置されるサイドガイド対612を有する。そして、サイドガイド対612がシート束Sの幅方向に移動することで、シート束Sの幅方向位置を修正することができる。
サイドガイド対612の上側には、シート束Sの開きを防止する押えガイド614が形成されており、この押えガイド614は、下流に配置されている処理ユニット620へスムーズにシート束Sを受け渡すためのガイドとして機能する。
また、第1搬送ユニット610は、下搬送ベルト611の幅方向両側に配置され、下搬送ベルト611と平行に移動する搬送爪613を有している。搬送爪613は、シート搬送方向と平行な方向に摺動自在にシート搬送経路に突設されており、下搬送ベルト611と略同じ速度でシート搬送方向と平行な方向に正逆移動をする。下搬送ベルト611とシート束Sとの間にすべりが生じた場合は、この搬送爪613がシート束Sの後端Sbと接触し、確実にシート束Sの後端Sbを下流側へと押し込む。なお、下搬送ベルト611、サイドガイド対612、搬送爪613は、それぞれモータSM1、SM2、SM3の駆動を受けて動作する。
第2搬送ユニット660は、処理ユニット620を通過して第1搬送ユニット610により搬送されてくるシート束Sを挟持して搬送する一対の搬送ベルト661,662を有している。上搬送ベルト661はシート搬送経路の上側に配置され、下搬送ベルト662はシート搬送経路の下側に配置される。そして、各搬送ベルト661,662は、無端状に形成され、上下同速度で移動する。
また、第2搬送ユニット660は、上搬送ベルト661の内側に配置され、上搬送ベルト661を下搬送ベルト662に向けて押圧し、シート束Sの厚みに応じて移動するガイドコロ665を有している。
下搬送ベルト662付近には、処理ユニット620においてシート束Sの後端Sbに加工処理を行う際にシート束Sの位置決めするための位置決めストッパ663(図17)が配置されている。この位置決めストッパ663は、シート搬送経路に突出してシート束Sの先端Saに突き当たる突出位置と、シート搬送経路から退避する退避位置とに揺動自在に支点軸664で支持されている。また、位置決めストッパ663は、シート束Sのシート搬送方向の長さに応じてシート搬送方向に移動可能に支持されている。
なお、搬送ベルト661,662は、モータSM7の駆動を受けて動作し、位置決めストッパ663は、モータSM8の駆動を受けてシート搬送方向へ移動すると共に、モータSM9の駆動を受けて揺動するよう構成されている。
第2搬送ユニット660のシート搬送方向下流側には、第2搬送ユニット660から排出されるシート束Sを積載するコンベアトレイ670が配置されている。コンベアトレイ670の下面には、モータSM10の駆動を受けてシート搬送方向に移動するコンベアベルト671が設けられ、シート束Sが排出される毎に、所定量の移動を繰り返し、シート束Sの積載を行う。
なお、インサータ900は、フィニッシャ500の上部に設けられており、シート束の先頭ページ、最終ページ、またはプリンタ部300にて画像が形成されたシート間に通常のシートとは別のシート(インサートシート)を挿入するためのものである。そして、インサータ900は、インサートトレイ901,902にセットされたシートを、所望のタイミングで搬送パス520に合流させる。これによりインサータ900は、インサータシートを、プリンタ部300を通すことなくスタックトレイ700,701、処理トレイ550、収納ガイド803のいずれかに給送するようにしている。
図4は、処理ユニット及びその近傍の詳細を示す概略断面図であり、図5は図4のX―X線に沿う概略断面図である。
中綴じ冊子処理部600(図2)は、図4に示すように、第2の加工部としての処理ユニット620近傍に配置され、シート束Sを把持する把持機構625を備えている。また、中綴じ冊子処理部600は、把持機構625のシート搬送方向下流側に配置され、シート束Sの先端Saを位置決めし、且つシート束Sの先端Saを押圧するための押圧部材642を有する第1の加工部としての平滑化ユニット640を備えている。更に、中綴じ冊子処理部600は、把持機構625を貫通するように配置され、シート束Sを穿孔する穿孔部(穿孔ユニット)としてのパンチ630を備えている。第2の加工部としての処理ユニット620は、把持機構625のシート搬送方向上流側に配置され、シート束Sの後端Sbを断裁する上断裁刃621及び下断裁刃622を有している。つまり、把持機構625には、複数種類の加工部620,630,640が近接して配置されている。そして、各加工部620,630,640でシート束Sに加工処理を施す際には、把持機構625で把持するようにしている。また、搬送部650の第1搬送ユニット610及び第2搬送ユニット660は、各加工部620,630,640で加工処理を施す位置にシート束Sを搬送するようにしている。
把持機構625は、シート搬送経路の下側に配置され、不図示のフレームに固定される第1の把持部としての下押え板628を有している。また、把持機構625は、下押え板628に対向して配置され、シート束Sを下押え板628に押圧する把持位置及びシート束Sから離間する離間位置のいずれかの位置に移動自在な第2の把持部としての上把持部617を有している。
上把持部617は、押えベース626と、押えベース626と下押え板628との間に配置され、下押え板628に対向する上押え板627と、押えベース626と上押え板627との間に介在される圧縮コイルばね629とを有している。押えベース626及び上押え板627は、図5に示すように、シート搬送方向に直交する幅方向に亘って延びて形成されている。また、押えベース626及び上押え板627の間には、3つ(複数)の圧縮コイルばね629が幅方向に略等間隔に並設されている。また、押えベース626及び上押え板627は、図4に示すように、これらのシート搬送方向上流側の面及び下流側の面が面一となるように形成されている。そして、上押え板627は、圧縮コイルばね629の伸縮により押えベース626に対して移動可能に不図示の連結部材で連結されている。
押えベース626は、モータSM4により駆動され、下押え板628に接近する位置(下位置)に移動することにより、シート束Sを下押え板628に押圧する把持位置に上押え板627を移動させる。また、押えベース626は、モータSM4により駆動され、下押え板628から離間する位置(上位置)に移動することにより、シート束Sから離間する離間位置に上押え板627を移動させる。
そして、上押え板627が離間位置(押えベース626が上位置)に移動しているとき、上押え板627と下押え板628との間をシート束Sが通過可能となる。また、上押え板627が把持位置に移動してシート束Sに接触した後、押えベース626が更に下押え板628に接近する方向に移動して下位置に移動することにより、圧縮コイルばね629が圧縮される。これにより、シート束Sが上押え板627と下押え板628とに強固に把持される。
下断裁刃622は、シート搬送方向に直交する幅方向に亘って延びて形成され、下押え板628のシート搬送方向上流端に固定される。
また、上断裁刃621は、シート搬送方向に直交する幅方向に亘って延びて形成され、上把持部617のシート搬送方向上流側に配置され、不図示のばねにより、常時上方向に引っ張られてシート搬送経路から退避している。そしてこの退避位置に移動している上断裁刃621は、上位置に移動している押えベース626に、連結ピン623により連結可能である。
連結ピン623は、不図示のソレノイドにより駆動されるものであり、押えベース626と上断裁刃621とを連結状態或いは非連結状態に切り換えることができる。そして、押えベース626と上断裁刃621とが連結状態にあるとき、上断裁刃621が押えベース626と一緒に移動し、シート束Sを断裁する位置に移動する。ここで、シート束Sを断裁する位置とは、上断裁刃621の先端が、下断裁刃622に接触する位置である。
このように、下断裁刃622が押えベース626と連動することで、シート束Sを断裁することができる。また、押えベース626と上断裁刃621とが非連結状態にあるとき、上断裁刃621は不図示のばねにより引っ張られてシート搬送経路から退避する退避位置に移動している。
パンチ630は、押えベース626及び上押え板627に形成された貫通孔626a,627aに挿通され、上断裁刃621同様、不図示のばねにより、常時上方向に引っ張られてシート搬送経路から退避している。そしてこの退避位置に移動しているパンチ630は、上位置に移動している押えベース626に、連結ピン631により連結可能である。
連結ピン631は不図示のソレノイドにより駆動されるものであり、押えベース626とパンチ630とを連結状態或いは非連結状態に切り換えることができる。
そして、押えベース626とパンチ630とが連結状態にあるとき、パンチ630が押えベース626と一緒に移動し、シート束Sを穿孔する位置に移動する。ここで、シート束Sを穿孔する位置とは、パンチ630の先端が下押え板628の貫通孔628aに挿通された位置である。
このように、パンチ630が押えベース626と連動することで、シート束Sを穿孔することができる。また、押えベース626とパンチ630とが非連結状態にあるとき、パンチ630は不図示のばねにより引っ張られてシート搬送経路から退避する退避位置に移動している。本第1実施形態では、パンチ孔の形状は丸であり、パンチ630をシート搬送方向に直交する幅方向に2つ配置することで、2つのパンチ孔を形成することができる。なお、パンチ630の先端は、V字溝形状をしており、シート束Sを一括で穿孔する際の貫通抵抗を減らしている。
平滑化ユニット640の押圧部材642は、略平板状であり、シート搬送方向と直交する幅方向に亘って延びて形成されている。そして、押圧部材642には、把持機構625に対向する側に、シート束Sの先端Saが突き当たる平面状の当接面641が形成されている。つまり、この当接面641には、シート束Sの先端Saの幅方向全体が当接する。
平滑化ユニット640は、押圧部材642をシート搬送経路に突出する突出位置(以下、下位置という)或いはシート搬送経路から退避する退避位置(以下、上位置という)に移動させる移動機構635を備えている。更に、この移動機構635は、把持機構625に近接する近接位置或いは把持機構625から離間する離間位置に移動させる。
また、移動機構635は、押圧部材642を把持機構625に接離する方向に案内するよう、シート搬送方向と平行な方向に延びるレール643と、レール643を支持する支持部材645とを有している。更に、移動機構635は、シート搬送方向と直交する幅方向に亘って延び、支持部材645に形成された長孔645aに挿通され、支持部材645を案内する2本の軸644を有している。2本の軸644は、シート搬送方向に延びる一対のフレーム646a,646b(図5参照)に固定されており、支持部材645を、押圧部材642が突出或いは退避する方向に移動するよう案内する。
そして、移動機構635は、押圧部材642がレール643に沿って移動するよう駆動するモータSM5と、支持部材645(つまり、押圧部材642)が上下の軸644に上下に案内されて移動するよう駆動するモータSM6とを有している。
この移動機構635により押圧部材642を上位置に移動させた場合、押圧部材642の当接面641はシート搬送経路から退避し、シート束Sがシート搬送経路を通過可能となる。一方、押圧部材642を下位置に移動させた場合、当接面641がシート搬送経路を遮断しており、搬送されてきたシート束Sの先端Saが当接面641に突き当たることとなる。
なお、図中615は、第1搬送ユニット610から搬送されるシート束Sを、処理ユニット620へ確実に受け渡す為のシャッターガイドである。シャッターガイド615は下搬送ベルト611のプーリ軸616を中心に、上断裁刃621に固定された不図示のカムにより、上断裁刃621の上下動に連動して回動する。すなわち、押えベース626及び上断裁刃621が上位置にあり、シート束Sを搬送する際には、図4の実線位置でシート束Sをガイドする。また上断裁刃621が下降し、シート束Sを断裁する際には、破線位置に回転して、断裁された屑をシート搬送経路から落下させる。
図6は、複写装置1000の制御装置2000を示すブロック図である。制御装置2000は、CPU回路部150を備えており、このCPU回路部150は、不図示のCPUを有し、ROM151に格納された制御プログラム及び操作部205の設定に従い、複写装置1000全体を制御する。また、制御装置2000は、原稿給送制御部101、イメージリーダ制御部201、画像信号制御部202、プリンタ制御部301、折り処理制御部401、フィニッシャ制御部501、外部I/F203を有する。そして、CPU回路部150は、原稿給送制御部101、イメージリーダ制御部201、画像信号制御部202、プリンタ制御部301、折り処理制御部401、フィニッシャ制御部501、外部I/F203を制御することで複写装置1000全体を制御する。
原稿給送制御部101は原稿給送部100を、イメージリーダ制御部201はイメージリーダ部200を、プリンタ制御部301はプリンタ部300を、折り処理制御部401は折り処理部400を制御する。また、フィニッシャ制御部501は、フィニッシャ500の中綴じ処理装置502及び平綴じ処理装置503並びにフィニッシャ500の上方に配置したインサータ900を制御する。
操作部205は、画像形成に関する各種機能を設定するための複数のキー、設定状態を表示するための表示部等を有している。そして、操作部205は、ユーザによる各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路部150に出力すると共に、CPU回路部150からの信号に基づき対応する情報を表示部に表示する。
RAM152は、制御データを一時的に保持するための領域や、制御に伴う演算の作業領域として用いられる。外部I/F203は、複写装置1000と外部のコンピュータ204とのインタフェースであり、コンピュータ204からのプリントデータをビットマップ画像に展開し、画像データとして画像信号制御部202へ出力する。また、イメージリーダ制御部201から画像信号制御部202へは、イメージセンサ109(図1参照)で読み取った原稿の画像が出力される。プリンタ制御部301は、画像信号制御部202からの画像データを露光制御部110(図1参照)へ出力する。
次に、上記構成に基づき、フィニッシャ500の中綴じ冊子処理部600の処理動作について説明する。
図7は、フィニッシャ500における処理動作を示すフローチャートである。
まず、制御装置2000のCPU回路部150は、複数の排出口のうち、どの排出口からシートを排出するのかを判断する(ステップS1)。つまり、CPU回路部150は、上スタックトレイ701、下スタックトレイ700、コンベアトレイ670のうち、どのトレイにシートを排出するのかを判断する。CPU回路部150は、上スタックトレイ701へ排出すると判断した場合(ステップS2)、切換部材513を上経路(つまり、上排紙パス521)に切り換える(ステップS3)。そして、CPU回路部150は、シートを上スタックトレイ701へ排出させる(ステップS4)。
また、CPU回路部150は、ステップS1において、下スタックトレイ700へ排出すると判断した場合(ステップS5)、切換部材513を下経路(つまり、下排紙パス522)に切り換える(ステップS6)。そして、CPU回路部150は、シートを下スタックトレイ700へ排出させる(ステップS7)。
また、CPU回路部150は、ステップS1において、コンベアトレイ670へ排出すると判断した場合(ステップS8)、切換部材514を中綴じ製本部800へ経路を切り換える(ステップS9)。
次に、CPU回路部150は、中綴じ冊子処理部600で中綴じ冊子処理を行う中綴じ冊子処理モードが操作部205により選択されているか否かを判断する(ステップS10)。
この中綴じ冊子処理モードとしては、パンチ630でパンチ処理を行うパンチ処理モード、平滑化ユニット640でシート束Sの先端Saを押圧して平滑化する平滑化処理を行う平滑化モード、断裁刃621,622で断裁処理を行う断裁モードがある。これら複数の処理モードが操作部205により選択可能であり、CPU回路部150は、選択された処理モードに対応する加工処理を各部に行わせる。
中綴じ冊子処理モードが選択されていない場合(ステップS10:No)、CPU回路部150は、第1搬送ユニット610の下搬送ベルト611及び搬送爪613と、第2搬送ユニット660の搬送ベルト661,662とを動作させる。そして、CPU回路部150は、第1搬送ユニット610に搬送されてきたシート束Sをコンベアトレイ670に排出させる(ステップS11)。このとき、上把持部617の上押え板627、平滑化ユニット640の押圧部材642及び位置決めストッパ663は、前述のごとくシート搬送経路をさえぎらない位置に退避している。
中綴じ冊子処理モードが選択されている場合(ステップS10:Yes)、CPU回路部150は、図3に示す中綴じ冊子(シート束S)を中綴じ製本部800に作成させ、第2折り搬送ローラ対812よりシート束Sを第1搬送ユニット610に排出させる。
そして、CPU回路部150は、選択された処理モードがパンチ処理モードであるか否かを判断し(ステップS12)、パンチ処理モードの場合は(ステップS12:Yes)、シート束Sにパンチ処理を行う(ステップS13)。
また、CPU回路部150は、選択された処理モードが平滑化モードであるか否かを判断し(ステップS14)、平滑化モードの場合は(ステップS14:Yes)、シート束Sに平滑化処理を行う(ステップS15)。
更に、CPU回路部150は、選択された処理モードが断裁モードであるか否かを判断し(ステップS16)、断裁モードの場合は(ステップS16:Yes)、シート束Sに断裁処理を行う(ステップS17)。
そして、CPU回路部150は、加工処理を施したシート束Sをコンベアトレイ670へ排出させる(ステップS11)。
次に、各処理モードが選択された場合の中綴じ冊子処理部600の動作について詳細に説明する。
まず、図7のステップS13におけるパンチ処理の動作について説明する。図8は、パンチ処理モードが選択された場合の動作を示すフローチャートであり、図9及び図10は、パンチ処理を行う際の中綴じ冊子処理部600の動作を説明するための説明図である。
まず、CPU回路部150は、シート束Sが第1搬送ユニット610に搬送される前に、イニシャル動作を実行する(ステップS21)。即ち、CPU回路部150は、モータSM4を駆動し、押えベース626を上位置に移動させると共に、モータSM6を駆動し、平滑化ユニット640の押圧部材642を下位置に移動させる。ここで、押圧部材642は、このモードではシート束Sのシート搬送方向の位置決め部材として機能するものであり、本第1実施形態では、CPU回路部150は、モータSM5を駆動し、押圧部材642を把持機構625に近接する近接位置に移動させている。なお、この押圧部材642の位置は、シート束Sのシート搬送方向の位置決めする位置に応じて変更可能である。
また、CPU回路部150は、連結ピン631によりパンチ630を押えベース626に連結させる。なお、上断裁刃621と押えベース626とは連結ピン623が退避して非連結状態である。
次に、CPU回路部150は、イニシャル動作が終了したか否かを判断する(ステップS22)。イニシャル動作が終了した場合(ステップS22:Yes)、CPU回路部150は、モータSM1及びモータSM3を駆動し、下搬送ベルト611及び搬送爪613により、シート束Sを搬送させる(ステップS23)。
次に、CPU回路部150は、シート束Sの先端(折り端部)Saが押圧部材642の当接面641に当接したか否かを判断する(ステップS24)。シート束Sの先端Saが押圧部材642の当接面641に当接していない場合(ステップS24:No)、CPU回路部150は、シート束Sの先端Saが当接面641に当接するまで、下搬送ベルト611及び搬送爪613により、シート束Sを搬送させる。そして、図9に示すように、シート束Sの先端Saが当接面641に当接した場合(ステップS24:Yes)、CPU回路部150は、第1搬送ユニット610の下搬送ベルト611及び搬送爪613によるシート束Sの搬送を停止させる(ステップS25)。
続いて、CPU回路部150は、サイドガイド対612を動作させてシート束Sの整合動作(挟み込み)を行い(ステップS26)、シート束Sのシート搬送方向及び幅方向の位置決めが終了する。
つまり、シート束Sは、把持機構625がシート束Sの下流側端部近傍(先端Sa近傍)を把持する位置に搬送されたこととなる。このように、平滑化処理に用いられる押圧部材642は、このパンチ処理モードにおいてシート束Sのシート搬送方向の位置決め部材として機能し、別途、位置決め部材を設ける必要がない。このように、平滑化モードとは異なる処理モードでシート束Sに加工処理を施す場合、押圧部材642を位置決め部材として使用することで、部品点数を少なくすることができ、装置の簡略化、省スペース化及び低コスト化を図ることができる。
次に、CPU回路部150は、モータSM4を駆動し、上位置にある押えベース626が下位置に移動するように、押えベース626を下押え板628に接近する方向に移動させる(ステップS27)。
ここで、上押え板627及びパンチ630は、上押え板627がシート束Sの上面に当接するまで押えベース626と共に移動(下降)する。そして、上押え板627がシート束Sの上面に当接した後、シート束Sの先端近傍は上押え板627と下押え板628とに把持される。つまり、上押え板627が把持位置に移動したこととなる。そして、押えベース626は、圧縮コイルばね629を圧縮してシート束Sの把持力を強めながら、更に移動(下降)を継続する。このとき、パンチ630は、押えベース626に連結されているので、押えベース626と共に更に移動(下降)する。
CPU回路部150は、このように押えベース626を移動させているときに、押えベース626が下位置に移動したか否かを判断する(ステップS28)。押えベース626が下位置に達していない場合(ステップS28:No)、CPU回路部150は、押えベース626の移動を継続する。
そして、押えベース626が下位置に達した場合(ステップS28:Yes)、CPU回路部150は、モータSM4を停止し、押えベース626の移動を停止させる(ステップS29)。このとき、パンチ630の先端は、図10に示すように、シート束Sの下流側端部近傍を貫通して穿孔し、下押え板628の貫通孔628aに入り込んでいる。このように、押えベース626に連結されたパンチ630は、押えベース626が下位置に移動するのと連動してシート束Sを穿孔する位置に移動する。なお、パンチ処理により発生した屑K1は、下方に位置する屑箱(不図示)に落下する。
ここで、押圧部材642の当接面641にシート束Sの先端Saを当接させて位置決めがなされるが、押圧部材642をシート搬送方向に平行な方向に位置変更することにより、シート束Sの穿孔位置を変更することができる。
シート束Sを穿孔した後、CPU回路部150は、モータSM4を逆転するように駆動し、押えベース626を上位置に移動させる。これにより、シート束Sは上押え板627及びパンチ630から開放される。同時に、CPU回路部150は、モータSM6を逆転するように駆動し、平滑化ユニット640の押圧部材642を上位置に移動させる(ステップS30)。
そして、CPU回路部150は、押えベース626及び平滑化ユニット640の押圧部材642が上位置に達したか否かを判断する(ステップS31)。押えベース626及び平滑化ユニット640の押圧部材642が上位置に達していない場合(ステップS31:No)、CPU回路部150は、継続して押えベース626及び平滑化ユニット640の押圧部材642を移動させる。
押えベース626及び平滑化ユニット640の押圧部材642が上位置に達した場合(ステップS31:Yes)、CPU回路部150は、モータSM4及びモータSM6の駆動を停止する(ステップS32)。これにより、押えベース626及び平滑化ユニット640の押圧部材642は移動を停止する。
このように押えベース626が上位置に移動することで、上把持部617の上押え板627が退避位置に移動し、シート束Sがシート搬送経路を通過可能となる。
そして、CPU回路部150は、第1搬送ユニット610の下搬送ベルト611及び搬送爪613と、第2搬送ユニット660の搬送ベルト661,662とを動作させ、シート束Sをコンベアトレイ670に排出させる(ステップS33)。
次に、図7のステップS15における平滑化処理の動作について説明する。図11は、平滑化モードが選択された場合の動作を示すフローチャートであり、図12、図13及び図14は、平滑化処理を行う際の中綴じ冊子処理部600の動作を説明するための説明図である。
まず、CPU回路部150は、シート束Sが第1搬送ユニット610に搬送される前に、イニシャル動作を実行する(ステップS41)。
即ち、CPU回路部150は、モータSM4を駆動し、押えベース626を上位置に移動させると共に、モータSM6を駆動し、平滑化ユニット640の押圧部材642を下位置に移動させる。更に、CPU回路部150は、モータSM5を駆動し、図12に示すように、押圧部材642の当接面641が把持機構625から離間距離Lだけ離間する離間位置に移動させる。
なお、上断裁刃621と押えベース626とは連結ピン623が退避して非連結状態であり、パンチ630と押えベース626とは連結ピン631が退避して非連結状態である。
次に、CPU回路部150は、イニシャル動作が終了したか否かを判断する(ステップS42)。イニシャル動作が終了した場合(ステップS42:Yes)、CPU回路部150は、モータSM1及びモータSM3を駆動し、下搬送ベルト611及び搬送爪613により、シート束Sを搬送させる(ステップS43)。
次に、CPU回路部150は、シート束Sの先端Saが押圧部材642の当接面641に当接したか否かを判断する(ステップS44)。シート束Sの先端Saが押圧部材642の当接面641に当接していない場合(ステップS44:No)、CPU回路部150は、シート束Sの先端Saが当接面641に当接するまで、下搬送ベルト611及び搬送爪613により、シート束Sを搬送させる。そして、図12に示すように、シート束Sの先端Saが当接面641に当接した場合(ステップS44:Yes)、CPU回路部150は、第1搬送ユニット610の下搬送ベルト611及び搬送爪613によるシート束Sの搬送を停止させる(ステップS45)。このとき、シート束Sの先端Saは、把持機構625の上押え板627及び下押え板628の上流側の面から離間距離L(押圧量)だけシート搬送方向に突出した状態である。このようにして、シート束Sの下流側端部近傍(先端Sa近傍)を把持する位置にシート束Sが搬送され、シート束Sのシート搬送方向の位置決めがなされる。
次に、CPU回路部150は、モータSM4を駆動し、上位置にある押えベース626が下位置に移動するように、押えベース626を下押え板628に接近する方向に移動させる(ステップS46)。
ここで、上押え板627は、シート束Sの上面に当接するまで押えベース626と共に移動(下降)する。そして、上押え板627がシート束Sの上面に当接した後、シート束Sの先端近傍は上押え板627と下押え板628とに把持される。つまり、上押え板627が把持位置に移動したこととなる。そして、押えベース626は、圧縮コイルばね629を圧縮してシート束Sの把持力を強めながら、更に移動(下降)を継続する。
CPU回路部150は、このように押えベース626を移動させているときに、押えベース626が下位置に移動したか否かを判断する(ステップS47)。
押えベース626が下位置に達していない場合(ステップS47:No)は、押えベース626の移動を継続する。
そして、図13に示すように、押えベース626が下位置に達した場合(ステップS47:Yes)、CPU回路部150は、モータSM4を停止し、押えベース626の移動を停止させる(ステップS48)。
続いて、CPU回路部150は、モータSM5を駆動し、シート束Sの先端Saを押圧する押圧方向に押圧部材642を移動させる。言い換えれば、CPU回路部150は、モータSM5を駆動し、押圧部材642を把持機構625に近接する近接位置に移動させる(ステップS49)。ここで、押圧部材642は、シート搬送方向とは反対方向(図13中、矢印Y方向)に移動されるので、当接面641は、把持機構625の上下の押え板627,628の上流側の面に突き当たるまでシート束Sの先端(折り端部)Saを押圧しながら移動する。
次いで、CPU回路部150は、押圧部材642が近接位置に達したか否かを判断する(ステップS50)。押圧部材642が近接位置に達していない場合(ステップS50:No)、CPU回路部150は、押圧部材642が近接位置に達するまで押圧部材642を移動させる。そして、図14に示すように、押圧部材642が近接位置に達した場合(ステップS50:Yes)、つまり、当接面641が押え板627,628に突き当たった場合、CPU回路部150は、モータSM5の駆動を停止する(ステップS51)。
ここで、押圧部材642の押圧動作によりシート束Sが動かないように、押え板627,628による把持力(即ち、圧縮コイルばね629のばね定数)が設定されている。
そして、中綴じ製本部800により折り曲げられて湾曲状に形成された先端(折り端部)Saは、押圧部材642の当接面641に押圧されて平滑となり、角付けされて矩形状に変形する。
また、上下の押え板627,628の把持面に設けられた突起627b,628bは、突起以外の部分よりもより強固にシート束Sを把持するものである。従って、シート束Sにおける突起627b,628bより下流側の部分は押圧部材642により押圧されて平滑化される。また、シート束Sにおける突起627b,628bより上流側の部分は押圧部材642による押圧動作により動くことはなく、また形状も変わらない。なお、表側のシートは断面略コ字形状に変形するが、内側のシートも同様に断面略コ字形状に変形する。
図15は、押圧部材642により平滑化されたシート束Sを示す斜視図である。
押圧部材642による平滑化の動作は、先端Saに対して一様に当接面641で押し込むものであるから、従来の圧接ローラを走行させる場合のように先端Saの一部分に局部的なストレスが付与されるものではなく、捲れやキズ、破れを伴うものではない。また、従来の圧接ローラを走行させる場合では、圧接ローラで先端Saを押圧する際にシート束Sが傾くおそれがあったが、本第1実施形態では、先端Saに対して一様に押圧力が作用するので、シート束Sが傾くのを抑制でき、先端Saの形状が均一となる。
また、シート束Sの先端Saの厚み方向に均一に押圧力が付与されていることとなり、シート同士がずれることもなく、シートがステイプル結合部Scから破れるようなこともない。
また、押圧部材642が位置決め部材も兼ねているので、位置決め部材を別途設ける必要も無く、部品点数を少なくすることができ、それにより、装置の簡略化、省スペース化、低コスト化を図ることができる。
次に、この平滑化の動作後、CPU回路部150は、モータSM5を逆転するように駆動し、押圧部材642を把持機構625から離間する離間位置に移動させる(ステップS52)。つまり、押圧部材642をシート搬送方向(図14中、矢印Y’方向)に移動させる。そして、CPU回路部150は、押圧部材642が離間位置に達したか否かを判断する(ステップS53)。押圧部材642が離間位置に達していない場合(ステップS53:No)、CPU回路部150は、押圧部材642が離間位置に達するまで押圧部材642を移動させる。
押圧部材642が離間位置に達した場合(ステップS53:Yes)、CPU回路部150は、モータSM5の駆動を停止する(ステップS54)。
次に、CPU回路部150は、モータSM4を逆回転するよう駆動し、押えベース626を上位置に移動させる。同時に、CPU回路部150は、モータSM6を逆回転するよう駆動し、平滑化ユニット640の押圧部材642を上位置に移動させる(ステップS55)。
そして、CPU回路部150は、押えベース626及び平滑化ユニット640の押圧部材642が上位置に達したか否かを判断する(ステップS56)。押えベース626及び平滑化ユニット640の押圧部材642が上位置に達していない場合(ステップS56:No)、CPU回路部150は、押えベース626及び押圧部材642が上位置に達するまで移動させる。
押えベース626及び押圧部材642が上位置に達した場合(ステップS56:Yes)、CPU回路部150は、モータSM4及びモータSM6の駆動を停止する(ステップS57)。これによりシート束Sは押え板627,628から開放され、押えベース626が上位置に移動することで、上押え板627が退避位置に移動し、シート束Sがシート搬送経路を通過可能となる。
そして、CPU回路部150は、第1搬送ユニット610の下搬送ベルト611及び搬送爪613と、第2搬送ユニット660の搬送ベルト661,662とを動作させ、シート束Sをコンベアトレイ670に排出させる(ステップS58)。
ここで、本第1実施形態では、当接面641と把持機構625の押え板627,628との離間距離Lは、平滑化処理されるシート束Sの厚みに比例して変更している。具体的に説明すると、CPU回路部150は、予め入力されたシートの厚み情報と、シート束Sにおけるシート枚数の情報とでシート束Sの厚みを計算し、計算したシート束Sの厚み情報に応じて離間距離(押圧量)Lを変更している。これにより、シート束Sの厚みに合致した押圧量Lで、平滑化処理を行うことができる。
そして、押圧部材642の当接面641により、シート束Sの位置決め及びシート束Sの押圧の両方を行うようにしたので、シート束Sの先端Saの押圧量Lのばらつきが小さくなる。従って、複数のシート束Sを作成した場合に、各シート束Sの形状のばらつきが小さく各シート束Sで略同形状の安定した仕上がりとなる。
ここで、パンチ処理モードと、平滑化モードとが選択されていた場合、パンチ処理と平滑化処理を略同時に行うことが可能である。
詳細に説明すると、この平滑化モードのステップS41において、連結ピン631によりパンチ630を押えベース626に連結させればよい。このように押えベース626とパンチ630とを連結ピン631で連結状態とすることにより、ステップS46〜S48の動作において、押えベース626が下位置に移動する際にシート束Sの先端近傍を穿孔することが可能となる。これにより、各処理モードを実施する際の時間を短縮することができ、処理速度が向上する。
次に、図7のステップS17における断裁処理の動作について説明する。図16は、断裁モードが選択された場合の動作を示すフローチャートであり、図17は、断裁処理を行う際の中綴じ冊子処理部600の動作を説明するための説明図である。
まず、CPU回路部150は、シート束Sが第1搬送ユニット610に搬送される前に、イニシャル動作を実行する(ステップS61)。即ち、CPU回路部150は、モータSM4を駆動し、押えベース626を上位置に移動させると共に、モータSM6を駆動し、平滑化ユニット640の押圧部材642を上位置に移動させる。また、CPU回路部150は、連結ピン623により上断裁刃621を押えベース626に連結させる。なお、パンチ630と押えベース626とは連結ピン631が退避して非連結状態である。
更に、CPU回路部150は、モータSM8を駆動し、第2搬送ユニット660の位置決めストッパ663を突出位置に移動させる。ここで、位置決めストッパ663は、予め搬送されるシート束Sのサイズに合わせて、シート束Sの後端近傍を把持機構625で把持される位置に移動させておく。
次に、CPU回路部150は、イニシャル動作が終了したか否かを判断する(ステップS62)。
イニシャル動作が終了した場合(ステップS62:Yes)、CPU回路部150は、モータSM1及びモータSM3を駆動し、第1搬送ユニット610の下搬送ベルト611及び搬送爪613により、シート束Sを第2搬送ユニット660に搬送させる。更に、CPU回路部150は、モータSM7を駆動し、第2搬送ユニット660の搬送ベルト661,662を動作させておく。これにより、第2搬送ユニット660に到達したシート束Sは搬送ベルト661,662に挟持搬送される(ステップS63)。
そして、CPU回路部150は、シート束Sの先端Saが位置決めストッパ663に当接したか否かを判断する(ステップS64)。先端Saが位置決めストッパ663に当接していない場合(ステップS64:No)、CPU回路部150は、シート搬送動作を継続する。シート束Sの先端Saが位置決めストッパ663に当接した場合(ステップS64:Yes)、CPU回路部150は、第2搬送ユニット660の搬送ベルト661,662の動作を停止させる(ステップS65)。この搬送ベルト661,662の搬送により、シート束Sの先端Saが位置決めストッパ663に突き当たることで、シート束Sは把持機構625がシート束Sの上流側端部近傍(後端Sb近傍)を把持する位置に位置決めされる。そして、シート束Sの後端Sbは、把持機構625の上押え板627及び下押え板628の上流側の面から断裁する量だけシート搬送方向と反対方向に突出している。
次に、CPU回路部150は、モータSM4を駆動し、上位置にある押えベース626が下位置に移動するように、押えベース626を下押え板628に接近する方向に移動させる(ステップS66)。
ここで、上押え板627及び上断裁刃621は、上押え板627がシート束Sの上面に当接するまで押えベース626と共に移動(下降)する。そして、上押え板627がシート束Sの上面に当接した後、シート束Sの上流側端部近傍(後端Sb近傍)は上押え板627と下押え板628とに把持される。つまり、上押え板627が把持位置に移動したこととなる。そして、押えベース626は、圧縮コイルばね629を圧縮してシート束Sの把持力を強めながら、更に移動(下降)を継続する。このとき、上断裁刃621は、押えベース626に連結されているので、押えベース626と共に更に移動(下降)する。
CPU回路部150は、このように押えベース626を移動させているときに、押えベース626が下位置に移動したか否かを判断する(ステップS67)。
押えベース626が下位置に達していない場合(ステップS67:No)CPU回路部150は、押えベース626の移動を継続する。
そして、押えベース626が下位置に達した場合(ステップS67:Yes)、CPU回路部150は、モータSM4を停止し、押えベース626の移動を停止させる(ステップS68)。このとき、上断裁刃621の先端は、図17に示すように、シート束Sの後端Sbを断裁し、下押え板628に設けた下断裁刃622に接触している。このように、押えベース626に連結された上断裁刃621は、押えベース626が下位置に移動するのと連動してシート束Sを断裁する位置に移動する。なお、シャッターガイド615が押えベース626と連動して下方に回動し、断裁処理により発生した屑K2がシャッターガイド615の下方に位置する屑箱(不図示)に落下する。
シート束Sを断裁した後、CPU回路部150は、モータSM4を逆転するように駆動し、押えベース626を上位置に移動させる(ステップS69)。これにより、シート束Sは上押え板627から開放される。
そして、CPU回路部150は、押えベース626が上位置に達したか否かを判断する(ステップS70)。押えベース626が上位置に達していない場合(ステップS70:No)、CPU回路部150は、継続して押えベース626を移動させる。
押えベース626が上位置に達した場合(ステップS70:Yes)、CPU回路部150は、モータSM4の駆動を停止し、押えベース626の移動を停止させる(ステップS71)。
更に、CPU回路部150は、位置決めストッパ663を退避位置へ移動させる(ステップS72)。
このように押えベース626が上位置に移動することで上押え板627が退避位置に移動し、更に、位置決めストッパ663が退避位置に移動するで、シート束Sがシート搬送経路を通過可能となる。
そして、CPU回路部150は、第2搬送ユニット660の搬送ベルト661,662とを動作させ、シート束Sをコンベアトレイ670に排出させる(ステップS73)。
なお、本第1実施形態では、断裁モードの他に、パンチ処理モード及び平滑化モードの少なくとも一方の処理モードが選択された場合、断裁モードの処理を実施する前に、選択された各処理モードを実施するように構成されている。
即ち、本第1実施形態では、押圧部材642を備えた平滑化ユニット640がシート束Sの先端Saに加工処理を施すための第1の加工部であり、上断裁刃621を備えた処理ユニット620がシート束Sの後端Sbに加工処理を施すための第2の加工部である。そして、押圧部材642によりシート束Sの先端Saに加工処理を施す平滑化モードが選択され、上断裁刃621によりシート束Sの後端Sbに加工処理を施す断裁モードが選択された場合、平滑化モードを実施した後、続いて断裁モードが実施される。詳述すると、平滑化処理を行う場合は、第1搬送ユニット610によりシート束Sの先端近傍が把持機構625に対応する位置まで搬送され、把持機構625により把持されて押圧部材642によりシート束Sの先端Saが加工処理される。次いで、第2搬送ユニット660によりシート束Sの後端近傍が把持機構625に対応する位置まで搬送され、把持機構625により把持されて上断裁刃621によりシート束Sの先端Saが加工処理される。
このように、各処理モードを実行する際には、共通の把持機構625を用いてシート束Sを把持するようにしている。つまり、各処理モードに対応する処理を、把持機構625に集中して配置した各加工部620,630,640により行うようにしている。従って、各処理モードに対応した数の把持機構をシート搬送方向に順次配設し、各把持機構近傍に各加工部を配置する場合に比べ、部品点数が少なくなり、装置を簡略化することができ、省スペース化、低コスト化を実現することができる。
また、平滑化ユニット640で加工処理を施す処理モードと、処理ユニット620で加工処理を施す処理モードとが選択された場合には、共通の把持機構625でシート束Sを把持するようにしたので、高速の連続処理が可能となる。つまり、両加工部620,640でシート束Sに加工処理を施す際に、各加工処理で搬送部650により搬送されるシート束Sの位置が重なる。このように、両加工処理を施す際に共通の把持機構625で把持するようにしたので、別々の把持機構を備える場合よりもシート束Sを搬送する搬送距離が短くなる。従って、シート搬送経路が短くなるので、装置の簡略化、省スペース化を実現することができると共に、搬送距離が短くなる分、処理速度が向上するので、処理の高速化を実現することができる。
なお、パンチ処理モード及び断裁モードが選択された場合でも、処理の高速化を実現することができ、全ての処理モードが選択された場合でも同様に、処理の高速化を実現することができるものである。更に、パンチ処理モード及び平滑化モードが選択された場合は、各処理モードを連続して行う際に、シート束Sを搬送する必要がなくなる。これは、両処理モードともシート束Sの先端近傍を把持して行えるためである。従って、この場合、連続処理は格段に速くなり、処理の高速化を実現することができるものである。
また、上断裁刃621とパンチ630とが上把持部617の押えベース626に連結可能であるが、両加工部620,630を押えベース626に連結状態とすることで、パンチ処理と断裁処理を同時に行うことも可能である。この場合においても処理速度が向上し、処理の高速化を実現することができる。
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、押圧部材642がシート搬送方向に直交する幅方向に亘って延びるように形成された略平板状のものであり、一括してシート束Sの先端(折り端部)Saを押圧するものであった。本第2実施形態では、押圧部材が幅方向に複数に分割された当接片で構成される場合について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
図18〜図21は、本第2実施形態に係る画像形成装置のシート処理装置の要部を示す説明図である。
本第2実施形態において、押圧部材1642は第1の加工部としての平滑化ユニットを構成する。押圧部材1642は、シート搬送方向に直交する幅方向に並設され、シート束Sの先端Saが当接する当接面641が形成された5つ(複数)の当接片642a,642b,642b,642c,642cを有している。そして、第1当接片642aは、幅方向の中心に配置され、その外側に第2当接片642b,642b、更にその外側に第3当接片642c,642cが配置されている。そして、2つの第2当接片642b,642bは、それぞれ幅方向が同じ長さに設定されており、2つの第3当接片642c,642cは、それぞれ幅方向が同じ長さに設定されている。言い換えれば、複数の当接片が、シート搬送方向に延び、幅方向の中心を通る中心線Lcに対して、線対称となるように配置されている。
なお、図示は省略しているが、把持機構は、上記第1実施形態と同一の構成である。つまり、不図示の第1の把持部は、不図示の押えベース、不図示の圧縮コイルばね、及び図18に示す上押え板627を有している。
本第2実施形態では、移動機構1635が、第1当接片642aを駆動するモータSM11、第2当接片642b,642bを駆動するモータSM12及び第3当接片642c,642cを駆動するモータSM13を有している。言い換えると、複数の当接片のうち、中心線Lcに対して線対称となる2つの当接片同士が、同一のモータで駆動されるよう構成されている。
そして、移動機構1635は、隣り合う2つの当接片642a,642bと、隣り合う2つの当接片642b,642cを、異なるタイミングでシート束Sの先端Saを押圧する押圧方向に移動させるよう構成されている。なお、2つの第2当接片642b,642bは、同一のタイミングで移動し、また、2つの第3当接片642c,642cは、同一のタイミングで移動する。
具体的に説明すると、まず、平滑化モードが選択されると、押圧部材1642の全ての当接片642a,642b,642cは、当接面641が押え板627(628)から離間距離Lだけ離れた離間位置で待機する。そして、シート束Sの折り端部Saが当接面641に突き当たって位置決めされると、上押え板627を下降させて、上下の押え板627,628でシート束Sを強固に把持させる。
次に、図19に示すように、モータSM11を駆動し、第1当接片642aをシート束Sの先端Saを押圧する押圧方向(矢印Y方向)に移動させる。そして第1当接片642aは、当接している折り端部Saの中央部分を押圧しながら、押え板627(628)に突き当たって停止する。
次に、図20に示すように、モータSM12を駆動し、2つの第2当接片642b,642bをシート束Sの先端Saを押圧する押圧方向(矢印Y方向)に移動させる。そして、2つの第2当接片642b,642bは、同時に移動して、先端Saにおける第1当接片642aにより押圧された部分の両側の部分を押圧しながら、押え板627(628)に突き当たって停止する。
更に、図21に示すように、モータSM13を駆動し、2つの第3当接片642c,642cをシート束Sの先端Saを押圧する押圧方向(矢印Y方向)に移動させる。そして、2つの第3当接片642c,642cは、同時に移動して、先端Saにおける第1当接片642a及び第2当接片642b,642bにより押圧された部分の両側の部分を押圧しながら、押え板627(628)に突き当たって停止する。
このように、シート搬送方向に平行な中心線Lcを対称に第2当接片642b,642bによって先端Saが押圧され、次いで、第3当接片642c,642cによって先端Saが押圧される。従って、シート束Sを押圧する際に、両側から均等に押圧力がシート束Sに作用するので、シート束Sに回転させる作用が働かず、仕上がりよくシート束Sの先端Saを平滑にすることができる。
そして、シート束Sの先端Saの中央部から順番に外側に向かって先端Saが押圧されるので、押圧された部分と押圧されていない部分の境界は外側に向かって移動することとなり、シート束Sの先端Saに皺が発生することもなく、きれいな仕上がりとなる。
また、それぞれの当接片642a,642b,642cは、先端Saの当接している部分のみを押圧するものであるから、押圧動作に必要な力は、全領域を一括して押圧する場合に比べて小さくて済む。そして、それぞれの当接片642a,642b,642cの押圧動作時に、シート束Sが動かないように保持する押え板627,628の把持力(つまり、不図示の圧縮コイルばねのばね定数)も上記第1実施形態に比べて小さくすることができる。従って、不図示の押えベースを駆動する不図示のモータを上記第1実施形態のモータSM4よりも低出力のものとすることができる。また、押圧部材1642を移動させる各モータSM11,SM12,SM13を、上記第1実施形態のモータSM5よりも低出力のものとすることができる。これにより、平滑化ユニット及び把持機構の各部の強度(剛性)を小さくすることができ、更なる省スペース化、低コスト化を図ることができる。
なお、上記第1及び第2実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記実施形態では、シート束Sの先端Saの押圧量Lを、シートの厚み情報とシート枚数の情報に基づいて算出したが、これに限定するものではない。即ち、シート束の厚さに応じて変位する不図示の変位センサを有するシート束厚検出手段を備え、シート束厚保検出手段の検出結果に基づいて、押圧量Lを決定してもよい。
また、上記実施形態では、第1の加工部が押圧部材642,1642を備え、第2の加工部が上断裁刃621を備える場合について説明したが、これに限定するものではない。即ち、第1の加工部が断裁刃を備え、第2の加工部が押圧部材を備えてもよい。また、穿孔部(穿孔ユニット)としてのパンチ630がシート束Sの先端近傍を穿孔する場合について説明したが、これに限定するものではなく、シート束Sの後端近傍を穿孔する場合であってもよい。
また、上記実施形態では、押圧部材642,1642が略平板状である場合について説明したが、押圧部材が、従来から知られているような、シート束の端に沿って走行して押圧する圧接ローラであっても適用可能である。
また、上記実施形態では、第1の加工部が1種類(押圧部材642,1642)の加工が可能であり、第2の加工部が1種類(上断裁刃621)の加工が可能な場合について説明したが、これに限るものではない。即ち、第1の加工部が複数種類の加工が可能であり、また、第2の加工部が複数種類の加工が可能である場合でもよい。この場合、各第1の加工部によりシート束に加工処理を施す際には、共通の把持機構で把持すればよく、第1の加工部で2種類以上の加工処理を施す場合、シート束を搬送する必要はないか、或いは僅かに搬送するだけでよい。同様に、各第2の加工部によりシート束に加工処理を施す際には、共通の把持機構で把持すればよく、第2の加工部で2種類以上の加工処理を施す場合、シート束を搬送する必要はないか、或いは僅かに搬送するだけでよい。従って、処理の高速化を実現することができるものである。
また、上記実施形態では、シート束Sの折り端部が先端、小口側が後端となるように、搬送する場合について説明したが、これに限定するものではない。即ち、シート束Sの折り端部が後端、小口側が先端となるように搬送する場合であってもよい。
また、上記実施形態では、上把持部617(第2の把持部)が押えベース626と圧縮コイルばね629と上押え板527とを有する場合について説明したが、これに限定するものではない。即ち、第2の把持部が上押え板で構成され、上断裁刃、パンチが上押え板に連結可能に構成されている場合であってもよい。
また、上記実施形態では、第2の加工部を構成する上断裁刃621が第2の把持部としての上把持部617に連結可能にしたが、これに限定するものではない。即ち、第1の加工部或いは第1及び第2の加工部が上把持部617に連結可能に構成してもよい。
また、上記実施形態では、シート束として、折り処理をしたものについて説明したが、これに限定するものではない。即ち、シート束として折り処理を施していないものであってもよい。
また、上記第2実施形態では、中心線に対して対称配置された当接片を同時に移動させる場合について説明したが、これに限定するものではない。即ち、各当接片を1つずつ異なるタイミングで移動させる場合であってもよい。