JP2011134169A - 制御パラメータ調整方法及び調整装置 - Google Patents

制御パラメータ調整方法及び調整装置 Download PDF

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Abstract

【課題】移動機構(送り機構など)が経年変化したとき、制御パラメータを適正な値に自動調整する制御パラメータ調整方法及び調整装置を提供する。
【解決手段】調整用NCプログラムを数値制御装置へ通知して登録する第1の処理(ステップS1)と、数値制御装置が調整用NCプログラムを実行することにより調整用の位置指令を出力する第2の処理(ステップS2)と、前記位置指令と、フィードバックされる移動体の位置との差の最大値である最大誤差を求める第3の処理(ステップS3〜S6)と、最大誤差が許容誤差δAw以下か否かを判定し、最大誤差が許容誤差よりも大きいと判定したとき、加減速時定数を大きな値に変更し、この変更後の加減速時定数を数値制御装置へ出力する第4の処理(ステップS7〜S9)とを実施し、且つ、前記第4の処理において、最大誤差が許容誤差以下であると判定するまで、第2〜第4の処理を繰り返す(ステップS2〜S9)。
【選択図】図6

Description

本発明は工作機械の送り機構などの移動機構による移動体の移動を数値制御する際の制御パラメータの調整方法及び調整装置に関する。
工作機械において使用されているサーボモータによる位置制御では、古典制御理論であるフィードバック制御が一般的に使用されている。図12にフィードバック制御を行なうサーボ制御装置の構成を示す。
図12に示すように、工作機械における数値制御の対象1は、制御系のサーボ制御装置2と、機械系の送り機構3などから構成されている。
詳細な説明は省略するが、送り機構3はサーボモータ4、減速ギヤ5、支持ベアリング6、ブラケット7、ボールスクリュー8(ネジ部8a,ナット部8b)などから構成されており、テーブルやコラムなどの移動体9(負荷イナーシャ)を、矢印Aの如く直線的に移動させる。
サーボ制御装置2は、数値制御装置からの位置指令と、移動体9の位置を検出する位置検出器10からの位置フィードバックと、サーボモータ4の回転速度を検出する回転速度検出器11からの速度フィードバックとに基づいて、サーボモータ4の回転を制御することにより、移動体9の移動位置が前記位置指令に追従するように制御する。このサーボ制御装置2におけるパラメータとしては、(a)位置ループゲイン(Kp)や、(b)速度ループゲイン(比例ゲインKv、積分ゲインKvi)などがあるが、これらのサーボ制御系のパラメータは位置制御において重要な因子である。
また、図12のサーボ制御装置2によるフィードバック制御では、位置指令に対して実際の移動体9の位置は遅れて追従するが、この遅れを補償するサーボ制御系の機能としては(c)フィードフォワード制御機能や、(d)象限突起補正機能などがある。例えば、図13に示すサーボ制御装置2は、図12と同様のサーボ制御系に対してフィードフォワード制御部13が加えられたものであり、図14に示すサーボ制御装置2は、図12と同様のサーボ制御系に対して象限突起補正部16が加えられたものである。
また、工作機械の高速加工における形状崩れを抑制する総称的な機能として高速加工機能があり、この高速加工機能を実現するためには、(c)のフィードフォワード制御機能や(d)の象限突起補正機能などのサーボ制御系の機能に加えて、数値制御装置側の機能として(e)スムージング処理機能、(f)コーナ減速処理機能、(g)補間前加減速処理機能、(h)補間後加減速処理機能などを備えることが一般的である。図15に例示する従来の数値制御装置17では、NCプログラム解析処理部18と、スムージング処理部19と、コーナ減速処理部20と、補間前加減速処理部21と、各軸への指令分配処理部(補間処理部)22と、補間後加減速処理部23とを備えている。
上記(a)〜(d),(f)〜(h)の機能に関する制御パラメータは制御対象に応じて調整する必要があり、従来、これらの制御パラメータの調整は測定器を用い、その測定結果に基づいて、オペレータの経験や勘に頼って行なわれている。つまり、オペレータ自らが、測定結果に応じて各制御パラメータの適切な設定値を求め、手動にて各機器(数値制御装置17、サーボ制御装置2)への制御パラメータの設定を行っている。
この問題を解決するため、サーボ制御系のパラメータ((a)位置ループゲイン、(b)速度ループゲイン、(c)フィードフォワード制御機能、(d)象限突起補正機能)の自動調整を行なうことを目的として、下記の特許文献1〜5の発明が提案されている。また、高速加工機能における数値制御側に関連するパラメータ((c)フィードフォワード制御機能、(f)コーナ減速処理機能、(g)補間後加減速処理機能)の自動調整を行なうことを目的として、下記の特許文献6の発明が提案されている。
特開平2−261083号公報 特開平3−84603号公報 特開平8−221132号公報 特許第4327880号公報 特開平11−102211号公報 特開2004−188541号公報 特開平4−30945号公報
ところで、図12に示すように、工作機械おける数値制御対象1の機械系は、送り機構3の構成部品である減速ギヤ5、支持ベアリング6、ブラケット7、ボールスクリュー8などや、移動体9から構成されているが、送り機構3の減速ギヤ5、支持ベアリング6、ボールスクリュー8の制御特性は、これらの構成部品の磨耗により経年変化を起し、送り機構3の特性を表す指標の一つであるロストモーションの数値なども、経年変化により、増大するのが一般的である。この送り機構におけるロストモーションの経年変化を検知することを目的として、上記の特許文献7の発明が提案されている。
送り機構3の構成部品の制御特性が経年変化すると、上記(a)〜(d),(f)〜(h)の機能に関するパラメータの適正値も変化するため、工作機械の加工精度が悪化するといった状況に至る。従来、このような状況に至った場合には、送り機構3の機械的な調整などを行うことにより製作時当初の制御特性に戻すことを試みてはいるが、構成部品の交換をしない限り、構成部品の磨耗により経年変化した制御特性を製作時レベルにまで戻すことは現実問題として不可能である。その結果、上記(a)〜(d),(f)〜(h)の機能に関するパラメータは、前記経年変化によって、必ずしも適正な値ではなくなるといった問題が発生する。
従って本発明は上記の事情に鑑み、数値制御される移動機構(工作機械の送り機構など)の構成部品の制御特性が経年変化したとき、制御パラメータを適正な値に自動調整することができる制御パラメータ調整方法及び調整装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決する第1発明の制御パラメータ調整方法は、数値制御装置から出力される位置指令に対して、移動機構により移動する移動体の位置を追従させるように前記移動機構を、サーボ制御装置によりフィードバック制御する制御システムにおいて、前記数値制御装置の補間前加減速処理機能に関する制御パラメータである加減速時定数を調整する方法であって、
調整用NCプログラムを前記数値制御装置へ通知して前記数値制御装置に登録する第1の処理と、
前記数値制御装置が、前記調整用NCプログラムを実行することにより調整用の位置指令を出力する第2の処理と、
前記調整用の位置指令と、前記調整用の位置指令に対して前記移動体の位置を追従させるように前記移動機構を、前記サーボ制御装置によりフィードバック制御するときに前記移動体の位置検出器からフィードバックされる前記移動体の位置との差の最大値である最大誤差を求める第3の処理と、
前記最大誤差が許容誤差以下か否かを判定し、前記最大誤差が前記許容誤差よりも大きいと判定したとき、前記加減速時定数を大きな値に変更し、この変更後の加減速時定数を前記数値制御装置へ出力する第4の処理とを実施し、
且つ、前記第4の処理において、前記最大誤差が前記許容誤差以下であると判定するまで、前記第2の処理と前記第3の処理と前記第4の処理とを繰り返すこと、
を特徴とする。
また、第2発明の制御パラメータ調整方法は、数値制御装置から出力される位置指令に対して、移動機構により移動する移動体の位置を追従させるように前記移動機構を、サーボ制御装置によりフィードバック制御する制御システムにおいて、前記数値制御装置のコーナ減速処理機能に関する制御パラメータであるコーナクランプ加速度を調整する方法であって、
調整用NCプログラムを前記数値制御装置へ通知して前記数値制御装置に登録する第1の処理と、
前記数値制御装置が、前記調整用NCプログラムを実行することにより調整用の位置指令を出力する第2の処理と、
前記調整用の位置指令と、前記調整用の位置指令に対して前記移動体の位置を追従させるように前記移動機構を、前記サーボ制御装置によりフィードバック制御するときに前記移動体の位置検出器からフィードバックされる前記移動体の位置との差の最大値である最大誤差を求める第3の処理と、
前記最大誤差が許容誤差以下か否かを判定し、前記最大誤差が前記許容誤差よりも大きいと判定したとき、前記コーナクランプ加速度を小さな値に変更し、この変更後のコーナクランプ加速度を前記数値制御装置へ出力する第4の処理とを実施し、
且つ、前記第4の処理において、前記最大誤差が前記許容誤差以下であると判定するまで、前記第2の処理と前記第3の処理と前記第4の処理とを繰り返すこと、
を特徴とする。
また、第3発明の制御パラメータ調整方法は、第1発明の制御パラメータ調整方法において、
前記第4の処理で大きな値に変更された加減速時定数と許容設定値とを比較して、前記変更後の加減速時定数が前記許容設定値以上になったと判定したとき、前記移動機構の劣化異常を異常警報手段へ出力すること、
を特徴とする制御パラメータ調整方法。
また、第4発明の制御パラメータ調整方法は、第2発明の制御パラメータ調整方法において、
前記第4の処理で小さな値に変更されたコーナクランプ加速度と許容設定値とを比較して、前記変更後のコーナクランプ加速度が前記許容設定値以下になったと判定したとき、前記移動機構の劣化異常を異常警報手段へ出力すること、
を特徴とする。
また、第5発明の制御パラメータ調整装置は、数値制御装置から出力される位置指令に対して、移動機構により移動する移動体の位置を追従させるように前記移動機構を、サーボ制御装置によりフィードバック制御する制御システムにおいて、前記数値制御装置の補間前加減速処理機能に関する制御パラメータである加減速時定数を調整する装置であって、調整用NCプログラムを格納する調整用NCプログラム格納部と、
前記調整用NCプログラムを前記調整用NCプログラム格納部から読み出して前記数値制御装置へ通知するNCプログラム通知処理部と、
前記調整用NCプログラムを実行することにより前記数値制御装置から出力される調整用の位置指令と、前記調整用の位置指令に対して前記移動体の位置を追従させるように前記移動機構を前記サーボ制御装置によりフィードバック制御するときに前記移動体の位置検出器からフィードバックされる前記移動体の位置との差の最大値である最大誤差を求め、前記最大誤差が許容誤差以下か否かを判定する精度解析処理部と、
前記精度解析処理部で前記最大誤差が前記許容誤差よりも大きいと判定したとき、前記加減速時定数を大きな値に変更するパラメータ調整処理部と、
前記パラメータ調整処理部で変更された加減速時定数を、前記数値制御装置へ出力するパラメータ設定出力処理部と、
を有することを特徴とする。
また、第6発明の制御パラメータ調整装置は、数値制御装置から出力される位置指令に対して、移動機構により移動する移動体の位置を追従させるように前記移動機構を、サーボ制御装置によりフィードバック制御する制御システムにおいて、前記数値制御装置のコーナ減速処理機能に関する制御パラメータであるコーナクランプ加速度を調整する装置であって、
調整用NCプログラムを格納する調整用NCプログラム格納部と、
前記調整用NCプログラムを前記調整用NCプログラム格納部から読み出して前記数値制御装置へ通知するNCプログラム通知処理部と、
前記調整用NCプログラムを実行することにより前記数値制御装置から出力される調整用の位置指令と、前記調整用の位置指令に対して前記移動体の位置を追従させるように前記移動機構を前記サーボ制御装置によりフィードバック制御するときに前記移動体の位置検出器からフィードバックされる前記移動体の位置との差の最大値である最大誤差を求め、前記最大誤差が許容誤差以下か否かを判定する精度解析処理部と、
前記精度解析処理部で前記最大誤差が前記許容誤差よりも大きいと判定したとき、前記コーナクランプ加速度を小さな値に変更するパラメータ調整処理部と、
前記パラメータ調整処理部で変更されたコーナクランプ加速度を、前記数値制御装置へ出力するパラメータ設定出力処理部と、
を有することを特徴とする。
また、第7発明の制御パラメータ調整装置は、第5発明の制御パラメータ調整装置において、
前記パラメータ設定出力処理部では、前記パラメータ調整処理部で大きな値に変更された加減速時定数と許容設定値とを比較して、前記変更後の加減速時定数が前記許容設定値以上になったと判定したとき、前記移動機構の劣化異常を異常警報手段へ出力すること、
を特徴とする。
また、第8発明の制御パラメータ調整装置は、第6発明の制御パラメータ調整装置において、
前記パラメータ設定出力処理部では、前記パラメータ調整処理部で小さな値に変更されたコーナクランプ加速度と許容設定値とを比較して、前記変更後のコーナクランプ加速度が前記許容設定値以下になったと判定したとき、前記移動機構の劣化異常を異常警報手段へ出力すること、
を特徴とする。
第1又は第2発明の制御パラメータ調整方法、或いは、第5又は第6発明の制御パラメータ調整装置によれば、下記の(1)〜(4)の効果が得られる。また、第3又は第4発明の制御パラメータ調整方法、或いは、第7又は第8発明の制御パラメータ調整装置によれば、下記の(5)の効果が得られる。
(1) 経年変化が発生した移動機構の位置精度(例えば工作機械では加工精度)を把握することが可能になる。
(2) 経年変化が発生した移動機構でも、所望の位置精度を自動的に実現することができる。
(3) 長期間に亘り、移動機構の修復作業(保守)などを行なわなくても、製作時と同レベルの位置精度を維持することが可能である。
(4) 保守なしに長期間に亘り移動機構の位置精度を維持可能となるため、保守サービス費用が削減可能である。
(5) 移動機構の位置精度の自動把握により、移動機構の経年変化の度合(劣化度合)の自動検知が可能である。
本発明の実施の形態例に係る制御パラメータ調整方法を実施する高速加工機能の自動調整装置などを含めた工作機械の数値制御に関する全体的な制御システム構成を示すブロック図である。 数値制御装置のコーナ減速処理機能及び補間前加減速処理機能の概要を説明する図である。 数値制御装置のコーナ減速処理機能及び補間前加減速処理機能の概要を説明する図である。 図1に相当する図であって、サーボ制御装置の具体的な構成例を示すブロック図である。 図1に相当する図であって、サーボ制御装置の他の具体的な構成例を示すブロック図である。 数値制御装置の補間前加減速処理機能に関する制御パラメータ(加減速時定数)の調整処理手順を示すフローチャートである。 数値制御装置の補間前加減速処理機能に関する調整用指令形状の説明図である。 数値制御装置の補間前加減速処理機能に関する加工誤差(加工精度)の判定例を示す説明図である。 数値制御装置のコーナ減速処理機能に関する制御パラメータ(コーナクランプ加速度)の調整処理手順を示すフローチャートである。 数値制御装置のコーナ減速処理機能に関する調整用指令形状の説明図である。 数値制御装置のコーナ減速処理機能に関する加工誤差(加工精度)の判定例を示す説明図である。 従来のサーボ制御装置の構成例を示すブロック図である。 従来のフィードフォワード制御機能を備えたサーボ制御装置の構成例を示すブロック図である。 従来の象限突起補正機能を備えたサーボ制御装置の構成例を示すブロック図である。 従来の高速加工機能における処理の流れを示すブロック図である。
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて詳細に説明する。
まず、図1〜5に基づき、本発明の実施の形態例に係る制御パラメータ調整方法を実施する高速加工機能の自動調整装置などを含めた工作機械の数値制御に関する全体的な制御システムの構成について説明する。
図1に示すように、工作機械の数値制御に関する全体的な制御システムの構成は、数値制御装置31、数値制御装置31の数値制御の対象32、高速加工機能の自動調整装置33などを有して成るものである。また、制御対象32は、制御系のサーボ制御装置34と、機械系の送り機構35などから構成されている。
数値制御装置31は従来と同様のものであり、NC(数値制御)プログラム解析処理部41と、スムージング処理部42と、コーナ減速処理部43と、補間前加減速処理部44と、各軸への指令分配処理部(補間処理部)45と、補間後加減速処理部46とを有している。
NCプログラム解析処理部41では、数値制御装置31に登録されているNCプログラム40を読み込み、この読み込んだNCプログラム40に記述されているNCプログラム指令を解析する。数値制御装置31に登録されるNCプログラム40としては、工作機械で加工を行なうための通常のNCプログラムだけでなく、制御パラメータ調整を行なうための調整用NCプログラム(詳細後述)もある。
スムージング処理部42では、NCプログラム解析処理部41で解析されたNCプログラム指令の修正/補間処理を行い、滑らかな移動指令を創成する。
コーナ減速処理部43では、NCプログラム40の先読み処理により指令形状を把握し、当該指令形状のコーナ部での最適速度を算出して減速処理を行なう。
補間前加減速処理部44では、各軸への指令分配処理部45で処理を実行する前に、NCプログラム40の移動指令に対して加減速処理を行なう。
指令分配処理部45では、X軸、Y軸などの各軸へ移動指令の分配を行なう(補間処理)。補間後加減速処理部46では、指令分配処理部45において各軸へ分配された移動指令に対して加減速処理を行なう。
そして、これらの処理結果に応じた位置指令が、数値制御装置31からサーボ制御装置34へ出力される。
図2及び図3に基づき、コーナ減速処理部43及び補間前加減速処理部44における処理の概要について更に説明する。例えば、図2に示すように移動体を、X軸方向及びY軸方向へ移動させてP1点からP2点へ移動させる場合のNCプログラム40の移動指令を図示すると、図3(a)に示すような形状になる。この矩形状の移動指令(X100,Y100)に対し、補間前加減速処理部44では加減速時定数を設定し、加減速処理を行なうことにより、図3(b)に示すような滑らかに加減速する移動指令を生成する。
また、このとき、図3(c)に示すようにX軸方向への移動が終了してからY軸方向への移動を開始するような移動指令にすると、コーナ部50の移動軌跡は図2に実線で示すような鉤形状になり、これでは加工時間が長くなる。これに対し、X軸方向へ移動が終了する前にY軸方向への移動を開始することにより、コーナ部50の移動軌跡を図2に点線で示すような曲線状にすれば、高速加工を行なうことができる。しかし、このコーナ部50の移動速度が速すぎると、移動体に与える衝撃が大きくて加工誤差が大きく(加工精度が低く)なりすぎてしまう(ワークの加工形状が崩れる)。このため、コーナ減速処理部43ではコーナ部50での最適速度Voを算出し、この算出された最適速度Voに基づいて補間前加減速処理部44では図3(b)に示すような移動指令を作成する。
サーボ制御装置34及び送り機構35は、図4又は図5に示すような構成のものである。送り機構35については両図とも同じものであるが、サーボ制御装置34については、図4がフィードフォワード制御部71を加えたものであり、図5が象限突起補正部72を加えたものである。なお、図4及び図5においてsはラプラス演算子である。
図4及び図5に示すように、送り機構35はサーボモータ61、減速ギヤ62、支持ベアリング63、ブラケット64、ボールスクリュー65(ネジ部65a,ナット部65b)などから構成されている。ブラケット64は基台67上に固定され、支持ベアリング63はブラケット64内に設けられている。ボールスクリュー65のネジ部65aは支持ベアリング63に回転自在に支持され、テーブルやコラムなどの移動体66に取り付けられたボールスクリュー65のナット部65bに螺合している。サーボモータ61は減速ギヤ62を介してネジ部65aに連結されている。また、移動体66には位置検出器(図示例はインダクトシン方式のリニアスケール)68が取り付けられ、サーボモータ61には回転速度検出器(図示例はパルスコーダ)69が取り付けられている。
従って、サーボモータ61の回転力が減速ギヤ62を介してボールスクリュー65のネジ部65aへ伝達され、ネジ部65aが矢印Bの如く回転すると、ナット部65bとともに移動体66(負荷イナーシャ)が矢印Aの如く直線的に移動する。このとき移動体66の移動位置が位置検出器68によって検出され、この位置検出信号が位置検出器68からサーボ制御装置34へ送れられる(位置フィードバック)。また、サーボモータ61の回転速度が回転速度検出器69によって検出され、この速度検出信号が回転速度検出器69からサーボ制御装置34へ送られる(速度フィードバック)。
図4のサーボ制御装置34について説明すると、偏差演算部73では、数値制御装置31から送られてきた位置指令と、位置検出器68からのフィードバック信号である移動体66の位置との差を演算することにより、位置偏差aを求める。乗算部74では、位置偏差aに対して位置ループゲインKpを乗算することにより、速度指令bを求める。一方、フィードフォワード制御部71では、前記位置指令を微分演算部75で微分し、この微分値に対して乗算部76で位置制御ループ遅れ補償係数αを乗算することにより、遅れ補償値cを求める。加算部77では、速度指令bに遅れ補償値cを加算することにより、補償後の速度指令dを求める。偏差演算部78では、速度指令dと、回転速度検出器69からのフィードバック信号であるサーボモータ61の回転速度との差を演算することにより、速度偏差eを求める。
比例演算部79では、速度偏差eに対して速度ループ比例ゲインKvを乗算するこのより比例値fを求め、積分演算部80では、速度偏差eに対して速度ループ積分ゲインKviを乗算し、且つ、この乗算値を積分することにより積分値gを求める。加算部81では、比例値fと積分値gとを加算してトルク指令hを求める。一方、フィードフォワード制御部71では、遅れ補償値cを微分演算部82で微分し、この微分値に対して乗算部83で速度制御ループ遅れ補償係数βを乗算することにより、遅れ補償値iを求める。加算部84では、トルク指令hに遅れ補償値iを加算することにより、補償後のトルク指令jを求める。電流制御部85では、サーボモータ61のトルクがトルク指令jに追従するようにサーボモータ61へ供給する電流を制御する。
従って、図4のサーボ制御装置34では、サーボモータ61の回転速度が速度指令dに追従し、移動体66の移動位置が前記位置指令に追従するように制御され、且つ、このときの追従の遅れがフィードフォワード制御機能によって補償される。
図5のサーボ制御装置34について説明すると、象限突起補正部72では、位置指令反転判別部86において前記位置指令が反転したと判定したとき、補正指令作成部87において補正指令kを作成する。一方、偏差演算部78では、乗算部74で求めた速度指令bと、回転速度検出器69からのフィードバック信号であるサーボモータ61の回転速度との差を演算することにより、速度偏差eを求める。加算部84では、トルク指令hに補正指令kを加算することにより、補正後のトルク指令jを求める。その他については図5のサーボ制御装置34と同様である。
従って、図5のサーボ制御装置34では、サーボモータ61の回転速度が速度指令bに追従し、移動体66の移動位置が前記位置指令に追従するように制御され、且つ、このときの追従の遅れ(象限突起)が象限突起補正機能によって補償される。
そして、本実施の形態例の制御システムには、磨耗などによって生じる送り機構35の構成部品(減速ギヤ61、支持ベアリング63、ボールスクリュー65)の制御特性の経年変化に対処するため、高速加工機能の自動調整装置33(制御パラメータ調整装置)が設けられている。
図1に示すように、自動調整装置33は、加工精度解析処理部91と、パラメータ調整処理部92と、パラメータ設定出力処理部93と、調整用NCプログラム格納部94と、NCプログラム通知処理部95とを有している。
調整用NCプログラム格納部91には、制御パラメータ調整を実施するための指令が記述された制御パラメータ調整用のNCプログラム(以下、調整用NCプログラムと称する)が格納(記憶)されている。具体例については後述するが、調整用NCプログラムとしては、補間前加減速処理機能に関する制御パラメータ(加減速時定数)の調整を行なうためのものや、コーナ減速処理機能に関する制御パラメータ(コーナクランプ加速度)の調整を行なうためのものなどがある。
NCプログラム通知処理部95では、図示しない操作部の操作などによってオペレータが要求した調整用NCプログラムを、調整用NCプログラム格納部94に格納されている調整用NCプログラムのなかから選択して読み出し、数値制御装置31へ通知する。数値制御装置31では、NCプログラム通知処理部94から通知された調整用NCプログラムを登録(記憶)する。即ち、調整用NCプログラムが、前述のNCプログラム40として登録される。
数値制御装置31では、登録した調整用NCプログラム40に基づいて前述の各処理部41〜46の機能を実行することにより、調整用の位置指令を生成してサーボ制御装置32へ出力し、同時に自動調整装置33の加工精度解析処理部91へも前記調整用の位置指令を出力する。サーボ制御装置34では、前記調整用の位置指令に対して移動体66の移動位置を追従させるようにフィードバック制御を行なう。このとき、位置検出器68からのフィードバック信号である移動体66の位置が、サーボ制御装置34へフィードバックされるのと同時に自動調整装置33の加工精度解析処理部91へも出力される。
そして、自動調整装置33では、前記調整用NCプログラムに基づいて生成された前記調整用の位置指令と、位置検出器68によって検出された移動体66の位置とに基づいて、制御パラメータの調整を行なう(調整方法の詳細については後述する)。
即ち、加工精度解析処理部91では前記調整用の位置指令と前記移動体66の位置とに基づいて加工精度の解析処理を実施し、パラメータ調整処理部92では加工精度解析処理部91の解析結果に基づいて制御パラメータを調整し、パラメータ設定出力処理部93ではパラメータ調整処理部92で調整された制御パラメータを数値制御装置31とサーボ制御装置34へ出力する。
自動調整装置33で調整する制御パラメータは、補間前加減速処理機能に関する加減速時定数T(i)と、コーナ減速処理機能に関するコーナクランプ加速度α(i)である。これらの加減速時定数T(i)及びコーナクランプ加速度α(i)は、自動調整装置33から数値制御装置31へ出力される。また、必要に応じて、フィードフォワード制御機能に関する制御パラメータと、象限突起補正機能に関する制御パラメータと、補間後加減速処理機能に関する制御パラメータの調整を、自動調整装置33で実施すようにしてもよい。この場合、フィードフォワード制御機能や象限突起補正機能に関する制御パラメータは自動調整装置33からサーボ制御装置34へ出力され、補間後加減速処理機能に関する制御パラメータは自動調整装置33から数値制御装置31へ出力される。
(加減速時定数の調整方法)
ここで、図1及び図6〜図8に基づき、加減速時定数T(i)の調整処理について詳細に説明する。なお、図6のフローチャートの各処理部にはステップS1〜S10の符号を付した。
まず、ステップS1において、調整用NCプログラムの数値制御装置31への登録を行なう。
即ち、NCプログラム通知処理部95では、調整用NCプログラム格納部94に格納されている調整用NCプログラムから、補間前加減速処理機能における加減速時定数T(i)の調整を行うための調整用NCプログラムを読み出し、この読み出した調整用NCプログラムを数値制御装置31へ通知する。数値制御装置31では、NCプログラム通知処理部95から通知された調整用NCプログラムを登録する。
なお、ここでは補間前加減速処理機能の制御パラメータ調整の対象となる送り機構35がX軸の送り機構である場合を例に挙げて説明する。この場合、補間前加減速処理機能の調整用NCプログラムには、図7(a)に示すような移動体66をX軸方向へ直線的に移動(直線運動)させる移動指令が記述される。
次に、ステップS2では調整用NCプログラムを実行する。
即ち、数値制御装置31では、登録した補間前加減速処理機能の調整用NCプログラムに基づいて、各処理部41〜46の機能を実行することにより、調整用の位置指令を生成してサーボ制御装置32へ出力する。このときの補間前加減速処理機能の調整用指令形状の例を、図7(b)〜図7(d)に示す。図7(b)〜図7(d)には、所定の加減速時定数T(i)に対応して、X軸加速度(X軸方向への移動体66の移動加速度)と、X軸速度(X軸方向への移動体66の移動速度)と、X軸位置(X軸方向への移動体66の移動位置)とを、それぞれ示している。数値制御装置31からサーボ制御装置34へ出力する前記調整用の位置指令は、図7(d)のX軸位置に応じたものである。
次に、ステップS3では位置指令から指令軌跡を作成し、ステップS4では移動体の位置フィードバック情報から移動体の移動軌跡を作成する。
即ち、加工精度解析処理部91では、数値制御装置31から入力する前記調整用の位置指令に基づいて、図8(a)に一点鎖線で示すような指令軌跡を生成する。また、加工精度解析処理部91では、位置検出器68から入力する移動体66の位置に基づいて、図8(a)に実線で示すような移動体66の移動軌跡を作成する。加工精度判定箇所は図7(c)のSA部、図7(d)のSB部であり、図8(a)に示す指令軌跡は図7(d)のSB部における軌跡である。
次に、ステップS5では指令軌跡と移動体66の移動軌跡との誤差演算を行い、ステップS6では最大誤差(最低加工精度)|δAc|を算出する。また、ステップS7では最大誤差|δAc|(μm)と許容誤差(許容加工精度)δAw(μm)とを比較して、最大誤差|δAc|が許容誤差δAw以下(|δAc|≦δAw)か否かを判定する。
即ち、加工精度解析処理部91では、ステップS3で作成した指令軌跡と、ステップS4で作成した移動軌跡との差(軌跡誤差)を演算することにより、図8(b)に示すような軌跡誤差を求め、且つ、この軌跡誤差における最大誤差|δAc|を求める。ここで最大誤差を絶対値で表しているのは、指令軌跡と移動軌跡の差には正の場合と負の場合があるためである。そして、加工精度解析処理部91では、ステップS5で求めた最大誤差|δAc|が、許容誤差δAw以下(|δAc|≦δAw)か否かを判定する。
なお、必ずしも指令軌跡や移動軌跡の作成する場合に限定するものではく、これらの作成を省略し、数値制御装置31から入力する調整用の位置指令と、位置検出器68から入力する移動体66の位置とを直接比較して両者の差を求め、その差の最大値を最大誤差|δAc|としてもよい。
ステップS7において、最大誤差|δAc|が許容誤差δAw以下(|δAc|≦δAw)であると判定したときには(Yesの場合)、加工精度が良く、加減速時定数T(i)の調整が不要であるため(更に調整する必要はないため)、調整処理を終了する。一方、ステップS7において、最大誤差|δAc|が許容誤差δAwよりも大きい(|δAc|>δAw)と判定したときには(Noの場合)、加工精度が悪く、加減速時定数T(i)の調整が必要であるため、ステップS8へ進む。
ステップS8では、パラメータ調整処理部92において、下記の(1)式の演算を行なうことにより、加減速時定数T(i)(msec)を変更する。(1)式において、T(i−1)は加減速時定数T(i)の前回値(初期値又は前回の変更値)である。Mag[T]はパラメータ変更率であり、1.0よりも大きな値に設定されている(Mag[T]>1.0)。加工精度を良くするには、加減速時定数T(i)を大きくして、移動体66の加減速(加速及び減速)を緩やかする必要がある。このため、パラメータ変更率Mag[T]は1よりも大きな値に設定されている。なお、Mag[T]の具体的な値については、試験や解析によって適宜設定すればよい。
T(i)=T(i−1)×Mag[T] ・・・(1)
ステップS9では、パラメータ設定出力処理部93において、加減速時定数T(i)(msec)と許容設定値(許容する最大の時定数)Tmax(msec)とを比較し、加減速時定数T(i)が許容設定値Tmax以上(T(i)≧Tmax)か否かを判定する。
ステップS9において、ステップS8で変更後の加減速時定数T(i)が、許容設定値Tmaxよりも小さい(T(i)<Tmax)と判定したときには、前記変更後の加減速時定数T(i)を、パラメータ設定出力処理部93から数値制御装置31へ出力し、ステップS2へ戻る。
以後、ステップS2〜ステップS9の処理が、ステップS7で最大誤差|δAc|が許容誤差δAw以下(|δAc|≦δAw)であると判定されるまで(即ち、制御パラメータT(i)の調整が完了するまで)、繰り返される。このとき、ステップS2で調整用NCプログラムを実行する際、補間前加減速処理部44ではステップS8で変更された加減速時定数T(i)に基づいて加減速処理を実行する。ステップS8では加減速時定数T(i)が前回値よりも大きな値に変更されるため、補間前加減速処理機能の調整用指令形状は、例えば図7(b)〜図7(d)に実線で示す状態から一点鎖線で示すような状態に変更される。このため、移動体66の加減速が緩やかになって衝撃が低減されることにより、加工精度は良くなる。
一方、ステップS9において、前記変更後の加減速時定数T(i)が、許容設定値Tmax以上(T(i)≧Tmax)であると判定したときには、ステップS10へ進む。ステップS10では送り系の経年変化による劣化異常を異常警報手段(図示省略)へ出力し、その後、調整処理を終了する。
即ち、パラメータ設定出力処理部93では、前記変更後の加減速時定数T(i)が、許容設定値Tmax以上(T(i)≧Tmax)であると判定したとき、即ち、送り機構35の経年変化が許容レベル以上になったときには、送り機構66の経年変化による劣化が異常であることを知らせる異常検知信号を、図示しない異常警報手段(例えば、警報ランプ、警報ブザー、表示器など)へ出力する。異常警報手段では、前記異常検知信号を入力すると、送り機構66の劣化異常をオペレータに報知する(例えば、警報ランプの点灯、警報ブザーの作動、表示器への表示などを行なう)。許容設定値Tmaxの具体的な値については、試験や解析によって適宜設定すればよい。
なお、上記ではX軸の送り機構の数値制御に関する制御パラメータT(i)の調整方法について説明したが、勿論、これに限定するものでなく、上記の調整方法は、その他の移動軸(Y軸,Z軸など)の送り機構の数値制御に関する制御パラメータT(i)の調整にも適用することができる。
また、直線的な移動軸に限らず、テーブルの回転軸(C軸)回りの位置(回転角度)を、数値制御装置からの位置指令(回転指令)に追従するようにサーボ制御装置によってフィードバック制御する場合にも、適用することができる。この場合、回転指令は回転軸回りの回転角度であり、図7(b)の縦軸は回転軸回り回転の加速度(角加速度)、図7(c)の縦軸は回転軸回り回転速度(角速度)、図7(d)の縦軸は回転軸回りの回転角度になる。
(コーナクランプ加速度の調整方法)
次に、図1及び図9〜図11に基づき、コーナクランプ加速度α(i)の調整方法について詳細に説明する。なお、図9のフローチャートの各処理部にはステップS11〜S20の符号を付した。
まず、ステップS11において、調整用NCプログラムの数値制御装置31への登録を行なう。
即ち、NCプログラム通知処理部95では、調整用NCプログラム格納部94に格納されている調整用NCプログラムから、コーナ減速処理機能におけるコーナクランプ加速度α(i)の調整を行うための調整用NCプログラムを読み出し、この読み出した調整用NCプログラムを数値制御装置31へ通知する。数値制御装置31では、NCプログラム通知処理部95から通知された調整用NCプログラムを登録する。
なお、ここではコーナ減速処理機能の制御パラメータ調整の対象となる送り機構35がX軸の送り機構とY軸の送り機構である場合を例に挙げて説明する。この場合、コーナ減速処理機能の調整用NCプログラムには、例えば図10(a)〜図10(d)に示すようなコーナ部を含む移動指令が記述される。
図10(a)の調整用指令形状は矩形状のものであり、SE部がX軸の精度判定箇所、SD部がY軸の精度判定箇所である。図10(b)の調整用指令形状は矩形状で且つコーナ部が円弧状のものであり、SF部がX軸の精度判定箇所、SG部がY軸の精度判定箇所である。図10(c)の調整用指令形状は八角形状のものであり、SH部がX軸の精度判定箇所、SI部がY軸の精度判定箇所である。図10(d)の調整用指令形状はジグザグ状のものであり、SJ部がX軸の精度判定箇所である(Y軸の精度判定の場合は、図10(d)を90度回転させたものになる)。
次に、ステップS12では調整用NCプログラムを実行する。
即ち、数値制御装置31では、登録したコーナ減速処理機能の調整用NCプログラムに基づいて、各処理部41〜46の機能を実行することにより、調整用の位置指令を生成してサーボ制御装置32へ出力する。
次に、ステップS13では位置指令から指令軌跡を作成し、ステップS14では移動体の位置フィードバック情報から移動体の移動軌跡を作成する。
即ち、加工精度解析処理部91では、数値制御装置31から入力する前記調整用の位置指令(X軸の位置指令及びY軸の位置指令)に基づいて、図11(a)に一点鎖線で示すような指令軌跡を生成する。また、加工精度解析処理部91では、位置検出器68から入力する移動体66の位置(X軸の位置及びY軸の位置)に基づいて、図11(a)に実線で示すような移動体66の移動軌跡を作成する。なお、図11(a)には、図10(b)の調整用指令形状のSF部(X軸の精度判定箇所)における軌跡について例示している。
次に、ステップS15では指令軌跡と移動体66の移動軌跡との誤差演算を行い、ステップS16では最大誤差(最低加工精度)|δAc|を算出する。また、ステップS17では最大誤差|δAc|(μm)と許容誤差(許容加工精度)δAw(μm)とを比較して、最大誤差|δAc|が許容誤差δAw以下(|δAc|≦δAw)か否かを判定する。
即ち、加工精度解析処理部91では、ステップS13で作成した指令軌跡と、ステップS14で作成した移動軌跡との差(軌跡誤差)を演算することにより、例えば図11(b)に示すようなX軸方向の軌跡誤差を求め、且つ、この軌跡誤差における最大誤差|δAc|を求める。ここで最大誤差を絶対値で表しているのは、指令軌跡と移動軌跡の差には正の場合と負の場合があるためである。そして、加工精度解析処理部91では、ステップS15で求めた最大誤差|δAc|が、許容誤差δAw以下(|δAc|≦δAw)か否かを判定する。
なお、必ずしも指令軌跡や移動軌跡の作成する場合に限定するものではく、これらの作成を省略し、数値制御装置31から入力する調整用の位置指令と、位置検出器68から入力する移動体66の位置とを直接比較して両者の差を求め、その差の最大値を最大誤差|δAc|としてもよい。
ステップS17において、最大誤差|δAc|が許容誤差δAw以下(|δAc|≦δAw)であると判定したときには(Yesの場合)、加工精度が良く、コーナクランプ加速度α(i)の調整が不要であるため(更に調整する必要はないため)、調整処理を終了する。一方、ステップS17において、最大誤差|δAc|が許容誤差δAwよりも大きい(|δAc|>δAw)と判定したときには(Noの場合)、加工精度が悪く、コーナクランプ加速度α(i)の調整が必要であるため、ステップS18へ進む。
ステップS18では、パラメータ調整処理部92において、下記の(2)式の演算を行なうことにより、コーナクランプ加速度α(i)(m/sec2)を変更する。(2)式において、α(i−1)はコーナクランプ加速度α(i)の前回値(初期値又は前回の変更値)である。Mag[α]はパラメータ変更率であり、1.0よりも小さな値に設定されている(Mag[T]<1.0)。
コーナ部(例えば図10(b)のSF部など)の移動軌跡の曲率半径をR(一定値)、コーナ部の移動速度をVとすると、コーナ部を速度Vで移動するときに生じるコーナクランプ加速度α(i)は、α(i)=V2/Rで表すことができる。そして、加工精度を良くするには、曲率半径Rは一定であるため、コーナクランプ加速度α(i)を小さくして、コーナ部における移動体66の移動速度Vを小さくする必要がある。このため、パラメータ変更率Mag[α]は1よりも小さな値に設定されている。なお、Mag[α]の具体的な値については、試験や解析によって適宜設定すればよい。
α(i)=α(i−1)×Mag[α] ・・・(2)
ステップS19では、パラメータ設定出力処理部93において、コーナクランプ加速度α(i)(m/sec2)と許容設定値(許容する最小の加速度)αmin(m/sec2)とを比較し、コーナクランプ加速度α(i)が許容設定値αmin以下(α(i)≦αmin)か否かを判定する。
ステップS19において、ステップS18で変更後のコーナクランプ加速度α(i)が、許容設定値αminよりも大きい(α(i)>αmin)と判定したときには、前記変更後の加減速時定数α(i)を、パラメータ設定出力処理部93から数値制御装置31へ出力し、ステップS12へ戻る。
以後、ステップS12〜ステップS19の処理が、ステップS17で最大誤差|δAc|が許容誤差δAw以下(|δAc|≦δAw)であると判定されるまで(即ち、制御パラメータα(i)の調整が完了するまで)、繰り返される。このとき、ステップS12で調整用NCプログラムを実行する際、コーナ減速処理部43ではステップS18で変更されたコーナクランプ加速度α(i)に基づいてコーナ減速処理を実行する。このため、コーナ部における移動体66の移動速度Vが小さくなることにより、X軸方向の加工精度は良くなる。
一方、ステップS19において、前記変更後のコーナクランプ加速度α(i)が、許容設定値αmin以下(α(i)≦αmin)であると判定したときには、ステップS20へ進む。ステップS20では送り系の経年変化による劣化異常を異常警報手段(図示省略)出力し、その後、調整処理を終了する。
即ち、パラメータ設定出力処理部93では、前記変更後のコーナクランプ加速度α(i)が、許容設定値αmin以下(α(i)≦αmin)であると判定したとき、即ち、送り機構35の経年変化が許容レベル以上になったときには、送り機構66の経年変化による劣化が異常であることを知らせる異常検知信号を、図示しない異常警報手段(例えば、警報ランプ、警報ブザー、表示器など)へ出力する。異常警報手段では、前記異常検知信号を入力すると、送り機構66の劣化異常をオペレータに報知する(例えば、警報ランプの点灯、警報ブザーの作動、表示器への表示などを行なう)。許容設定値αminの具体的な値については、試験や解析によって適宜設定すればよい。
なお、上記はX軸方向の場合であるが、Y軸方向の加工精度に関する制御パラメータ(コーナクランプ加速度α(i))の調整方法についても、X軸方向の場合と同様である。
また、上記ではコーナ減速処理機能の制御パラメータ調整の対象となる送り機構35がX軸の送り機構とY軸の送り機構である場合を例に挙げて説明したが、勿論、これに限定するものでなく、上記の調整方法は、その他の移動軸(直交するX,Z軸、直交するY,Z軸、互いに直交するX,Y,Z軸)の送り機構の数値制御に関する制御パラメータα(i)の調整にも適用することができる。
以上のように、本実施の形態例における制御パラメータ(加減速時定数)の調整方法は、数値制御装置31から出力される位置指令(X軸方向などへの直線移動の場合には当該移動位置の指令、回転軸回りの回転の場合には回転位置(回転角度)の指令)に対して、送り機構35により移動する移動体66の位置(X軸方向などへの直線移動の場合には当該移動位置、回転軸回りの回転の場合には回転位置(回転角度))を追従させるように送り機構35を、サーボ制御装置34によりフィードバック制御する制御システムにおいて、数値制御装置31の補間前加減速処理機能に関する制御パラメータである加減速時定数T(i)を調整する方法であって、調整用NCプログラムを数値制御装置31へ通知して数値制御装置31に登録する第1の処理(ステップS1)と、数値制御装置31が、調整用NCプログラムを実行することにより調整用の位置指令(X軸方向などへの直線移動の場合には当該移動位置の指令、回転軸回りの回転の場合には回転位置(回転角度)の指令)を出力する第2の処理(ステップS2)と、前記調整用の位置指令と、前記調整用の位置指令に対して移動体66の位置(X軸方向などへの直線移動の場合には当該移動位置、回転軸回りの回転の場合には回転位置(回転角度))を追従させるように送り機構35を、サーボ制御装置34によりフィードバック制御するときに移動体66の位置検出器68(X軸方向などへの直線移動の場合には当該移動位置の検出器、回転軸回りの回転の場合には回転位置(回転角度)の検出器)からフィードバックされる移動体66の位置(X軸方向などへの直線移動の場合には当該移動位置、回転軸回りの回転の場合には回転位置(回転角度))との差の最大値である最大誤差|δAc|を求める第3の処理(ステップS3〜S6)と、最大誤差|δAc|が許容誤差δAw以下か否かを判定し、最大誤差|δAc|が許容誤差δAwよりも大きいと判定したとき、加減速時定数T(i)を大きな値に変更し、この変更後の加減速時定数T(i)を数値制御装置31へ出力する第4の処理(ステップS7〜S9)とを実施し、且つ、前記第4の処理において、最大誤差|δAc|が許容誤差δAw以下であると判定するまで、前記第2の処理と前記第3の処理と前記第4の処理とを繰り返すこと(ステップS2〜S9)を特徴としている。
また、本実施の形態例における制御パラメータ(コーナクランプ加速度)の調整方法は、数値制御装置31から出力される位置指令に対して、送り機構35により移動する移動体の位置を追従させるように送り機構35を、サーボ制御装置34によりフィードバック制御する制御システムにおいて、数値制御装置31のコーナ減速処理機能に関する制御パラメータであるコーナクランプ加速度α(i)を調整する方法であって、調整用NCプログラムを数値制御装置31へ通知して数値制御装置31に登録する第1の処理(ステップS11)と、数値制御装置31が、調整用NCプログラムを実行することにより調整用の位置指令を出力する第2の処理(ステップS12)と、前記調整用の位置指令と、前記調整用の位置指令に対して移動体66の位置を追従させるように移動機構66を、サーボ制御装置34によりフィードバック制御するときに移動体66の位置検出器68からフィードバックされる移動体66の位置との差の最大値である最大誤差|δAc|を求める第3の処理(ステップS13〜S16)と、最大誤差|δAc|が許容誤差δAw以下か否かを判定し、最大誤差|δAc|が許容誤差δAwよりも大きいと判定したとき、コーナクランプ加速度α(i)を小さな値に変更し、この変更後のコーナクランプ加速度α(i)を数値制御装置31へ出力する第4の処理(ステップS17〜S19)とを実施し、且つ、前記第4の処理において、最大誤差|δAc|が許容誤差δAw以下であると判定するまで、前記第2の処理と前記第3の処理と前記第4の処理とを繰り返すこと(ステップS12〜S19)を特徴としている。
また、本実施の形態例の自動調整装置33(制御パラメータ(加減速時定数)の調整装置)は、数値制御装置31から出力される位置指令(X軸方向などへの直線移動の場合には当該移動位置の指令、回転軸回りの回転の場合には回転位置(回転角度)の指令)に対して、送り機構35により移動する移動体66の位置(X軸方向などへの直線移動の場合には当該移動位置、回転軸回りの回転の場合には回転位置(回転角度))を追従させるように送り機構35を、サーボ制御装置34によりフィードバック制御する制御システムにおいて、数値制御装置31の補間前加減速処理機能に関する制御パラメータである加減速時定数T(i)を調整する装置であって、調整用NCプログラムを格納する調整用NCプログラム格納部94と、調整用NCプログラムを調整用NCプログラム格納部94から読み出して数値制御装置31へ通知するNCプログラム通知処理部95と、調整用NCプログラムを実行することにより数値制御装置31から出力される調整用の位置指令(X軸方向などへの直線移動の場合には当該移動位置の指令、回転軸回りの回転の場合には回転位置(回転角度)の指令)と、前記調整用の位置指令に対して移動体66の位置(X軸方向などへの直線移動の場合には当該移動位置、回転軸回りの回転の場合には回転位置(回転角度))を追従させるように送り機構35をサーボ制御装置34によりフィードバック制御するときに移動体66の位置検出器68からフィードバックされる移動体66の位置(X軸方向などへの直線移動の場合には当該移動位置、回転軸回りの回転の場合には回転位置(回転角度))との差の最大値である最大誤差|δAc|を求め、最大誤差|δAc|が許容誤差δAw以下か否かを判定する加工精度解析処理部91と、加工精度解析処理部91で最大誤差|δAc|が許容誤差δAwよりも大きいと判定したとき、加減速時定数T(i)を大きな値に変更するパラメータ調整処理部92と、パラメータ調整処理部92で変更された加減速時定数T(i)を、数値制御装置31へ出力するパラメータ設定出力処理部93とを有することを特徴としている。
また、本実施の形態例の自動調整装置33(制御パラメータ(コーナクランプ加速度)の調整装置)は、数値制御装置31から出力される位置指令に対して、送り機構35により移動する移動体66の位置を追従させるように送り機構35を、サーボ制御装置34によりフィードバック制御する制御システムにおいて、数値制御装置31のコーナ減速処理機能に関する制御パラメータであるコーナクランプ加速度α(i)を調整する装置であって、調整用NCプログラムを格納する調整用NCプログラム格納部94と、調整用NCプログラムを調整用NCプログラム格納部94から読み出して数値制御装置31へ通知するNCプログラム通知処理部95と、調整用NCプログラムを実行することにより数値制御装置31から出力される調整用の位置指令と、前記調整用の位置指令に対して移動体66の位置を追従させるように送り機構35をサーボ制御装置34によりフィードバック制御するときに移動体66の位置検出器68からフィードバックされる移動体66の位置との差の最大値である最大誤差|δAc|を求め、最大誤差|δAc|が許容誤差δAw以下か否かを判定する加工精度解析処理部91と、加工精度解析処理部91で最大誤差|δAc|が許容誤差δAwよりも大きいと判定したとき、コーナクランプ加速度α(i)を小さな値に変更するパラメータ調整処理部92と、パラメータ調整処理部92で変更されたコーナクランプ加速度α(i)を、数値制御装置31へ出力するパラメータ設定出力処理部93とを有することを特徴としている。
従って、本実施の形態例の制御パラメータ調整方法又は自動調整装置33(制御パラメータ調整装置)によれば、下記の(1)〜(4)の効果が得られる。また、本実施の形態例の制御パラメータ調整方法又は自動調整装置33(制御パラメータ調整装置)によれば、変更後の加減速時定数T(i)が許容設定値Tmax以上になったと判定したときに送り機構35の劣化異常を異常警報手段へ出力すること、又は、変更後のコーナクランプ加速度α(i)が許容設定値αmin以下になったと判定したとき、送り機構35の劣化異常を異常警報手段へ出力することを特徴としているため、下記の(5)の効果が得られる。
(1) 経年変化が発生した送り機構35の位置精度(工作機械の加工精度)を把握することが可能になる。
(2) 経年変化が発生した送り機構35でも、所望の位置精度(加工精度)を自動的に実現することができる。
(3) 長期間に亘り、送り機構35の修復作業(保守)などを行なわなくても、製作時と同レベルの位置精度(加工精度)を維持することが可能である。
(4) 保守なしに長期間に亘り送り機構35の位置精度(加工精度)を維持可能となるため、保守サービス費用が削減可能である。
(5) 送り機構35の位置精度(加工精度)の自動把握により、送り機構35の経年変化の度合(劣化度合)の自動検知が可能である。
なお、上記では工作機械の送り機構の数値制御に関する制御パラメータの調整を行う場合について説明したが、これに限定するものではなく、本発明の制御パラメータ調整方法は、工作機械以外の産業機械の移動機構の数値制御に関する制御パラメータの調整を行なう場合にも適用することができる。
本発明は制御パラメータ調整方法及び調整装置に関するものであり、工作機械などの産業機械において、送り機構などの移動機構による移動体の移動を数値制御する場合に適用して有用なものである。
31 数値制御装置
32 制御対象
33 高速加工機能の自動調整装置
34 サーボ制御装置
35 送り機構
40 NCプログラム(調整用NCプログラム)
41 NCプログラム解析処理部
42 スムージング処理部
43 コーナ減速処理部
44 補間前加減速処理部
45 各軸への指令分配処理部
46 補間後加減速処理部
61 サーボモータ
62 減速ギヤ
63 支持ベアリング
64 ブラケット
65 ボールスクリュー
65a ネジ部
65b ナット部
66 移動体
67 基台
68 位置検出器
69 回転速度検出器
71 フィードフォワード制御部
72 象限突起補正部
73 偏差演算部
74 乗算部
75 微分演算部
76 乗算部
77 加算部
78 偏差演算部
79 比例演算部
80 積分演算部
81 加算部
82 微分演算部
83 乗算部
84 加算部
85 電流制御部
86 位置指令反転判別部
87 補正指令作成部
91 加工精度解析処理部
92 パラメータ調整処理部
93 パラメータ設定出力処理部
94 調整用NCプログラム格納部
95 NCプログラム通知処理部

Claims (8)

  1. 数値制御装置から出力される位置指令に対して、移動機構により移動する移動体の位置を追従させるように前記移動機構を、サーボ制御装置によりフィードバック制御する制御システムにおいて、前記数値制御装置の補間前加減速処理機能に関する制御パラメータである加減速時定数を調整する方法であって、
    調整用NCプログラムを前記数値制御装置へ通知して前記数値制御装置に登録する第1の処理と、
    前記数値制御装置が、前記調整用NCプログラムを実行することにより調整用の位置指令を出力する第2の処理と、
    前記調整用の位置指令と、前記調整用の位置指令に対して前記移動体の位置を追従させるように前記移動機構を、前記サーボ制御装置によりフィードバック制御するときに前記移動体の位置検出器からフィードバックされる前記移動体の位置との差の最大値である最大誤差を求める第3の処理と、
    前記最大誤差が許容誤差以下か否かを判定し、前記最大誤差が前記許容誤差よりも大きいと判定したとき、前記加減速時定数を大きな値に変更し、この変更後の加減速時定数を前記数値制御装置へ出力する第4の処理とを実施し、
    且つ、前記第4の処理において、前記最大誤差が前記許容誤差以下であると判定するまで、前記第2の処理と前記第3の処理と前記第4の処理とを繰り返すこと、
    を特徴とする制御パラメータ調整方法。
  2. 数値制御装置から出力される位置指令に対して、移動機構により移動する移動体の位置を追従させるように前記移動機構を、サーボ制御装置によりフィードバック制御する制御システムにおいて、前記数値制御装置のコーナ減速処理機能に関する制御パラメータであるコーナクランプ加速度を調整する方法であって、
    調整用NCプログラムを前記数値制御装置へ通知して前記数値制御装置に登録する第1の処理と、
    前記数値制御装置が、前記調整用NCプログラムを実行することにより調整用の位置指令を出力する第2の処理と、
    前記調整用の位置指令と、前記調整用の位置指令に対して前記移動体の位置を追従させるように前記移動機構を、前記サーボ制御装置によりフィードバック制御するときに前記移動体の位置検出器からフィードバックされる前記移動体の位置との差の最大値である最大誤差を求める第3の処理と、
    前記最大誤差が許容誤差以下か否かを判定し、前記最大誤差が前記許容誤差よりも大きいと判定したとき、前記コーナクランプ加速度を小さな値に変更し、この変更後のコーナクランプ加速度を前記数値制御装置へ出力する第4の処理とを実施し、
    且つ、前記第4の処理において、前記最大誤差が前記許容誤差以下であると判定するまで、前記第2の処理と前記第3の処理と前記第4の処理とを繰り返すこと、
    を特徴とする制御パラメータ調整方法。
  3. 請求項1に記載の制御パラメータ調整方法において、
    前記第4の処理で大きな値に変更された加減速時定数と許容設定値とを比較して、前記変更後の加減速時定数が前記許容設定値以上になったと判定したとき、前記移動機構の劣化異常を異常警報手段へ出力すること、
    を特徴とする制御パラメータ調整方法。
  4. 請求項2に記載の制御パラメータ調整方法において、
    前記第4の処理で小さな値に変更されたコーナクランプ加速度と許容設定値とを比較して、前記変更後のコーナクランプ加速度が前記許容設定値以下になったと判定したとき、前記移動機構の劣化異常を異常警報手段へ出力すること、
    を特徴とする制御パラメータ調整方法。
  5. 数値制御装置から出力される位置指令に対して、移動機構により移動する移動体の位置を追従させるように前記移動機構を、サーボ制御装置によりフィードバック制御する制御システムにおいて、前記数値制御装置の補間前加減速処理機能に関する制御パラメータである加減速時定数を調整する装置であって、
    調整用NCプログラムを格納する調整用NCプログラム格納部と、
    前記調整用NCプログラムを前記調整用NCプログラム格納部から読み出して前記数値制御装置へ通知するNCプログラム通知処理部と、
    前記調整用NCプログラムを実行することにより前記数値制御装置から出力される調整用の位置指令と、前記調整用の位置指令に対して前記移動体の位置を追従させるように前記移動機構を前記サーボ制御装置によりフィードバック制御するときに前記移動体の位置検出器からフィードバックされる前記移動体の位置との差の最大値である最大誤差を求め、前記最大誤差が許容誤差以下か否かを判定する精度解析処理部と、
    前記精度解析処理部で前記最大誤差が前記許容誤差よりも大きいと判定したとき、前記加減速時定数を大きな値に変更するパラメータ調整処理部と、
    前記パラメータ調整処理部で変更された加減速時定数を、前記数値制御装置へ出力するパラメータ設定出力処理部と、
    を有することを特徴とする制御パラメータ調整装置。
  6. 数値制御装置から出力される位置指令に対して、移動機構により移動する移動体の位置を追従させるように前記移動機構を、サーボ制御装置によりフィードバック制御する制御システムにおいて、前記数値制御装置のコーナ減速処理機能に関する制御パラメータであるコーナクランプ加速度を調整する装置であって、
    調整用NCプログラムを格納する調整用NCプログラム格納部と、
    前記調整用NCプログラムを前記調整用NCプログラム格納部から読み出して前記数値制御装置へ通知するNCプログラム通知処理部と、
    前記調整用NCプログラムを実行することにより前記数値制御装置から出力される調整用の位置指令と、前記調整用の位置指令に対して前記移動体の位置を追従させるように前記移動機構を前記サーボ制御装置によりフィードバック制御するときに前記移動体の位置検出器からフィードバックされる前記移動体の位置との差の最大値である最大誤差を求め、前記最大誤差が許容誤差以下か否かを判定する精度解析処理部と、
    前記精度解析処理部で前記最大誤差が前記許容誤差よりも大きいと判定したとき、前記コーナクランプ加速度を小さな値に変更するパラメータ調整処理部と、
    前記パラメータ調整処理部で変更されたコーナクランプ加速度を、前記数値制御装置へ出力するパラメータ設定出力処理部と、
    を有することを特徴とする制御パラメータ調整装置。
  7. 請求項5に記載の制御パラメータ調整装置において、
    前記パラメータ設定出力処理部では、前記パラメータ調整処理部で大きな値に変更された加減速時定数と許容設定値とを比較して、前記変更後の加減速時定数が前記許容設定値以上になったと判定したとき、前記移動機構の劣化異常を異常警報手段へ出力すること、
    を特徴とする制御パラメータ調整装置。
  8. 請求項6に記載の制御パラメータ調整装置において、
    前記パラメータ設定出力処理部では、前記パラメータ調整処理部で小さな値に変更されたコーナクランプ加速度と許容設定値とを比較して、前記変更後のコーナクランプ加速度が前記許容設定値以下になったと判定したとき、前記移動機構の劣化異常を異常警報手段へ出力すること、
    を特徴とする制御パラメータ調整装置。
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