JP2011103725A - 力率改善型スイッチング電源装置 - Google Patents

力率改善型スイッチング電源装置 Download PDF

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Abstract

【課題】過電流もしくは過電圧に対する従来の保護動作によりサブハーモニック発振もしくは共振を起こす前に、負荷電流を低下することで、音鳴きをなくすようにした力率改善型スイッチング電源装置を提供する。
【解決手段】乗算器22は、Iy生成器16の電流信号と、全波整流器の出力電圧の分圧値に対応するVx生成器18からの電圧信号を乗算している。この乗算結果は、電流誤差増幅器24の非反転入力端子へ電流基準信号Vmulとして出力される。電流ピーク波形生成回路50はインダクタ電流のピーク値の包絡線波形を生成する。Iz生成器20sはこの包絡線波形が過電流保護回路30に設定された第3の閾値より小さな第1の閾値を超えたとき、乗算器22へ出力する電流信号の大きさを調整して電流基準信号Vmulを低下させることによりインダクタ電流を抑制する。
【選択図】図1

Description

本発明は、交流から直流に変換するスイッチング電源、特に力率を改善する力率改善型スイッチング電源装置に関する。
近年、電子機器には交流電圧を入力とするスイッチング電源装置が広く利用されている。こうしたスイッチング電源装置は、入力と出力を結ぶスイッチング素子をスイッチング動作させることにより、全波整流された交流入力電圧を所望の大きさの直流出力電圧に変換して負荷に供給するものであって、たとえば後述する特許文献1に例示されるものが知られている。
図14は、従来の力率改善型スイッチング電源装置の一例を示す回路図である。ここでは、連続導通モードで動作する力率改善(PFC:Power Factor Correction)型スイッチング電源回路を示しており、これはアクティブフィルタ方式の電源装置に適用されるものである。
図14に示す従来の力率改善型スイッチング電源装置は、商用電源2を全波整流する全波整流器4を有し、その出力は、インダクタL1の一端に接続される。このインダクタL1の他端とダイオードD1との接続点は、スイッチング素子6を構成するたとえばNチャネル型のMOSトランジスタ(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)のドレイン端子に接続されている。インダクタL1の他端は、ダイオードD1およびコンデンサC1からなる整流平滑回路を介して負荷8に接続され、負荷8には直流電圧Voutが出力される。
スイッチング素子6であるMOSトランジスタは、ソース端子がGND(大地)に接続されるとともに、ゲート端子が力率改善制御回路10Aの出力端子DOに接続されている。全波整流器4とインダクタL1との接続点には、抵抗R1,R2からなる直列抵抗回路の一端が接続され、その他端は接地されている。力率改善制御回路10Aの乗算器入力端子VDETは全波整流器4の出力電圧の検出値を入力する端子であり、抵抗R1,R2の接続点がこの乗算器入力端子VDETに接続されている。また、全波整流器4は抵抗R3を介して接地されており、全波整流器4と抵抗R3との接続点が力率改善制御回路10Aのインダクタ電流信号生成用入力端子ISに接続されている。さらに、負荷8には抵抗R4,R5の直列回路が並列接続されて、ここに負荷8と同じ直流電圧Voutが印加されている。力率改善制御回路10Aのフィードバック電圧入力端子FBは直流出力電圧Voutの検出値を入力する端子であり、ここでは、抵抗R4,R5の接続点がフィードバック電圧入力端子FBと接続され、ここに直流出力電圧Voutを抵抗分割した電圧信号が帰還される。
つぎに、上述した図14の従来の力率改善型スイッチング電源装置の動作について簡単に説明する。
図14の従来の力率改善型スイッチング電源装置は平均電流制御方式や平均電流モード制御などと呼ばれている制御方式を採用していて、力率改善制御回路10Aは、直流出力電圧Voutを安定化しながら交流の商用電源2側に流れる電流を交流入力電圧と同位相の正弦波状に制御するものである。力率改善制御回路10Aのフィードバック電圧入力端子FBは、直流出力電圧Voutに対する電圧指令値を設定する基準電圧源12とともに電圧誤差増幅器14の入力端子に接続されている。この電圧誤差増幅器14では、直流出力電圧Voutの検出値(この場合は分圧値)と基準電圧源12の電圧指令値との差を増幅した電圧誤差信号を生成する。そして、電圧誤差増幅器14の電圧誤差信号は、Iy生成器16に入力されて電圧誤差を示す電流信号Iyに変換される。
力率改善制御回路10Aでは、その乗算器入力端子VDETがVx生成器(電圧‐電圧変換回路)18と接続されており、全波整流器4の出力電圧の検出値(この場合は分圧値)がVx生成器18に入力されて電圧信号Vxに変換される。但し、このVx生成器18は後述の実施の形態における力率改善制御回路10Asとの比較のために図示したもので、従来の力率改善型スイッチング電源装置におけるVx生成器18は、入力端子と出力端子を結ぶ単なる結線であり、電圧信号Vxは乗算器入力端子VDETの電圧に等しい。また、図示しない回路により生成された定電圧信号VbiasがIz生成器20に入力されて電流信号Izに変換される。
乗算器22は、Iy生成器16の電流信号Iyと全波整流器4の出力電圧の検出値に対応する電圧信号Vxを乗算して、電流誤差増幅器24への電流指令値としている。この電流誤差増幅器24には、インダクタ電流信号生成用入力端子ISを介して入力されるインダクタ電流ILを電流検出抵抗R3で電圧変換した電圧信号をさらに反転増幅回路25で反転増幅したインダクタ電流信号が、その電流指令値となる乗算器22の出力信号Vmulとともに入力される。発振回路(OSC)26では、スイッチング周期を決める周波数一定の鋸歯状、もしくは三角波のキャリア信号を生成してPWMコンパレータ(比較器)28に入力している。このキャリア信号と電流誤差信号が入力されるPWMコンパレータ28では、これらの信号の大小関係を比較してパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)制御信号を生成し、これがアンド回路32およびドライバ回路34を介してスイッチング素子6のゲート端子に印加されている。
ここで、過電流保護(OCP:Over Current Protection)回路30は、反転増幅回路25と接続されて、インダクタ電流ILの最大値を制限するものである。ここでは、所定の閾値を超えたインダクタ電流が流れたとき、アンド回路32に過電流制限信号L(Low)を入力してアンド回路32の出力を強制的にLとなるようにしている。力率改善制御回路10Aの出力端子DOには、アンド回路32からドライバ回路34を介してスイッチング信号が出力されるので、アンド回路32の出力がLになるとスイッチング素子6はオフとなる。こうして、スイッチング素子6のオンオフタイミングを制御することで、ダイオードD1を介してコンデンサC1に流れる電流値を制御することができる。なお、実際には電圧誤差増幅器14と電流誤差増幅器24には、それらの入出力端子間に帰還定数設定回路が接続されているが、図14ではいずれも帰還定数設定回路の記載を省略している。
特許文献1の図7、図8に示されている力率制御回路とそれを用いた自励型電源回路は、上述の平均電流制御方式や平均電流モード制御などと呼ばれている方式を採用している。また、特許文献1には従来の過電流保護(OCP)および過電圧保護(OVP:Over Voltage Protection)についての記載もなされている。
ところで、スイッチング周波数が固定された力率改善型スイッチング電源装置では、過電流保護(OCP)機能によりインダクタL1に流れるインダクタ電流ILの最大値を制限している。ここでは、起動時や過負荷時に過電流保護(OCP)機能が働き、インダクタ電流が許容された最大値を超えないよう制御が行われる。この状態でスイッチング素子6に供給されるパルス信号のオンデューティ(オン時比率)が50%を超える状態になると、サブハーモニック発振(スイッチング素子6のオンデューティが安定せず、ゆらぐ現象。)が発生する場合がある。
図15は、スイッチング素子のオンデューティ50%以上でOCP機能が働く時に生じるサブハーモニック発振について説明する信号波形を示すタイミング図である。
この図15に示すように、OCP閾値Isでインダクタ電流ILのピーク値を制限すると、スイッチング周期T1〜T4において、オン期間Tonでの電流上昇の傾斜角、およびオフ期間Toffでの電流降下の傾斜角が変化していないにもかかわらず、オン期間Tonとオフ期間Toffとの割合(オンデューティ)が変化する。このような現象をサブハーモニック発振といい、このサブハーモニック発振が起こると、負荷電流が安定しなくなることがあった。また、サブハーモニック発振が起こっていると出力電圧に含まれるリップル電圧が増加し、あるいは電流変化が20kHz以下の可聴領域に入ってくることがあって、それらは音鳴きとして問題視されている。
インダクタの飽和を防ぐためにもピーク電流の制限が有効であるが、上述したサブハーモニック発振を避けられないという問題があった。
また、力率改善型スイッチング電源装置の別の保護機能としては、上述した過電圧保護(OVP)機能を持つ過電圧保護回路を用いることによって、出力電圧が何らかの原因で負荷8の耐圧を超えないように保護することが考えられる。
図16は、従来の力率改善型スイッチング電源装置の別の一例であって、過電圧保護回路を備えたものを示す回路図、図17は、図16に示す従来の力率改善型スイッチング電源装置の起動時における過電圧保護についての信号波形を示すタイミング図である。なお、図16の力率改善制御回路10Bにおいては、図14の力率改善制御回路10Aと対応する部品を同じ符号によって示している。
従来の過電圧保護回路は、負荷変動あるいはAC入力電圧変動が起きて出力電圧もしくは入力電圧が過大となると、スイッチング素子に対して過電圧保護回路による過電圧保護(OVP)機能を働かせて、ある時間をおいて、もしくは瞬時にスイッチング素子のスイッチング動作を完全に停止させてしまう(スイッチング素子はオフとなる。)。図16の力率改善制御回路10Bは、過電圧保護回路40が出力電圧に対する過電圧保護を行うものの例である。たとえば、時刻t1で起動を開始した後に、図17(B)に示すように時刻t2でフィードバック電圧入力端子FBへの帰還電圧が過電圧保護回路40の閾値電圧Vthに達すると、スイッチング素子6が動作を停止する。このような場合、インダクタL1に流れる電流は急激にゼロとなり、その後インダクタL1とスイッチング素子6の寄生容量との間の共振が開始して、同図(A)に示すような共振電流が流れる。
このときの共振電流の変化が20kHz以下の可聴領域に入ってくると、図16の力率改善制御回路10Bでも図14の力率改善制御回路10Aと同様の音鳴きとして問題視される。
図18は、過電圧保護の解除時における信号波形を示すタイミング図である。この図に示すように、時刻t2で閾値Vth1を超えた直流出力電圧Voutが、その後に過電圧保護(OVP)の解除電圧Vth0まで低下するタイミングt3になると、スイッチング素子6の停止状態が解除されてスイッチングが再開される。その場合でも、電圧誤差増幅器14からの出力電圧によっては、インダクタL1に大きな電流が流れることがある。そして、急激に大きな電流がインダクタL1に流れ始めることで、音鳴きが発生するという問題があった。
特開2002−176768号公報(段落[0045]−[0056]、図7および図8など参照)
過電流保護(OCP)によるピーク電流制限を行った場合、サブハーモニック発振が発生して音鳴きを起こす原因になっていた。また、過電圧保護(OVP)機能によるスイッチング素子6の停止時にも共振電流による音鳴きが生じるため、スイッチング動作停止からの復帰時にも音鳴きが生じる。すなわち、出力電圧の急激な上昇を抑えるうえではスイッチング素子6を停止する過電圧保護(OVP)機能は有効であるが、それに伴う音鳴きの発生を回避することが困難であった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、音鳴きを抑制することのできる過電流保護(OCP)機能および過電圧保護(OVP)機能を有する力率改善型スイッチング電源装置を提供することを目的とする。
本発明では、上記問題を解決するために、ダイオードブリッジにて全波整流された交流入力電圧に基づいて、インダクタとスイッチング素子と出力コンデンサとを有する昇圧型コンバータの直流出力電圧を負荷に供給する力率改善型スイッチング電源装置が提供される。
この力率改善型スイッチング電源装置では、出力電圧の検出値と基準電圧の差を増幅した電圧誤差信号と、前記全波整流された交流入力電圧の検出値との乗算を行う乗算器と、該乗算器の出力および前記インダクタに流れるインダクタ電流を検出したインダクタ電流信号に基づき前記スイッチング素子をオン・オフ制御する制御回路と、前記インダクタ電流信号のピーク値に追随する波形もしくは該追随する波形に相似な波形の電流ピーク波形信号を生成する電流ピーク波形生成回路、並びに、前記出力電圧に比例するソフト過電圧検出電圧を生成するソフト過電圧検出電圧生成回路、の中の少なくとも1つの回路と、を備え、前記電流ピーク波形信号が第1の閾値を超えたときは前記電流ピーク波形信号に応じて前記乗算器の出力を低下させる、もしくは前記ソフト過電圧検出電圧が第2の閾値を超えたときは前記ソフト過電圧検出電圧に応じて前記乗算器の出力を低下させるようにした。
本発明の力率改善型スイッチング電源装置によれば、ソフト過電流保護回路の動作が開始するインダクタ電流の閾値(第1の閾値)を、過電流保護回路が動作し始めるインダクタ電流の閾値(第3の閾値)よりも低くしたので、過電流保護動作が開始する前に電流ピーク波形生成回路と乗算器によるソフト過電流保護動作が行われる。これによりインダクタ電流が抑制されるため、過電流保護の動作時間を短くでき、あるいは過電流保護動作が不要となって、音鳴きをなくすことができる。
これとともに、もしくはこれとは別に、過電圧保護回路によるスイッチング素子のオン・オフ動作が停止する前に、ソフト過電圧保護回路によりインダクタ電流を抑制することにより出力電圧の上昇が抑制されて、音鳴きをなくすことができる。ソフト過電圧保護回路の動作が開始する出力電圧の閾値(第2の閾値)を、過電圧保護回路が動作し始める出力電圧の閾値(第4の閾値)よりも低くしたので、過電圧保護動作が開始する前にソフト過電圧検出電圧により乗算器の出力が低下する。これにより出力電圧の上昇を抑制するようにソフトOVP機能が作動して、過電圧保護のための時間を短くでき、あるいは過電圧保護動作が不要となる。
さらに、過電圧保護動作が必要になった場合でも、過電圧保護解除時におけるインダクタ電流への指示値がソフトOVP機能によって低下しているため、スイッチング動作停止からの復帰時の音鳴きを抑制することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る力率改善制御回路を示す回路図である。 反転増幅回路およびソフトOCP機能の実現に用いられる電流ピーク波形生成回路の具体的構成を示す回路図である。 電流信号Izを生成するためのIz生成器の具体的構成を示す回路図である。 図3のIz生成器による信号生成手順を説明する信号波形図である。 ソフト過電流保護動作時の信号波形を示すタイミング図である。 本発明の第2の実施の形態である連続モードで動作する力率改善制御回路を示す回路図である。 ソフトOVP機能をもったソフト過電圧保護回路の具体的構成を示す回路図である。 ソフト過電圧保護動作を説明する信号波形を示すタイミング図である。 本発明の第3の実施の形態における力率改善制御回路の第1の入力信号生成回路の構成を示す回路図である。 図9のIy生成器によって生成される電流信号Iyを示す図である。 本発明の第4の実施の形態における第2の入力信号生成回路の構成を示す回路図である。 図11のVx生成器によって生成される電圧信号Vxを示す図である。 Vx生成器,Iy生成器およびIz生成器を含むアナログ乗算器の一例を示す回路図である。 従来の力率改善型スイッチング電源装置の一例を示す回路図である。 スイッチング素子のオンデューティ50%以上でOCP機能が働く時に生じるサブハーモニック発振について説明する信号波形を示すタイミング図である。 従来の力率改善型スイッチング電源装置の別の一例であって、過電圧保護回路を備えたものを示す回路図である。 起動時における過電圧保護についての信号波形を示すタイミング図である。 過電圧保護の解除時における信号波形を示すタイミング図である。
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態である連続モードで動作する力率改善型スイッチング電源装置は、力率改善制御回路10Aを力率改善制御回路10Asに置き換えた以外は、平均電流制御方式や平均電流モード制御などと呼ばれている制御方式を採用している図14に示す力率改善型スイッチング電源装置と同じ構成である。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る力率改善制御回路を示す回路図である。力率改善制御回路10Asは、力率改善制御回路10Aと同様に直流出力電圧Voutを安定化しながら、交流の商用電源2側に流れる電流を正弦波状に制御するものであって、そのフィードバック電圧入力端子FBは、直流出力電圧Voutに対する電圧指令値を設定する基準電圧源12とともに電圧誤差増幅器14の入力端子に接続されている。電圧誤差増幅器14は、直流出力電圧Voutに比例した帰還信号である直流出力電圧Voutの検出値と基準電圧源12の電圧指令値との差を増幅した電圧誤差信号(Ver)を生成する。そして、電圧誤差増幅器14の電圧誤差信号は、Iy生成器16(第1の入力信号生成回路)に入力されて電圧誤差を示す電流信号Iy(第1の入力信号)に変換される。
力率改善制御回路10Asでは、その乗算器入力端子VDETとVx生成器18(第2の入力信号生成回路)とが接続されており、全波整流器4の出力電圧の検出値(この場合は分圧値)がVx生成器18に入力されて、電圧信号Vx(第2の入力信号)に変換される。なお、本第1の実施の形態におけるVx生成器18は、図14あるいは図16に示す従来の力率改善型スイッチング電源装置のVx生成器18と同じく単なる結線である。また、図示しない回路により生成された定電圧信号VbiasがIz生成器20sに入力され、定電圧信号VbiasがこのIz生成器20sによって電流信号Iz(ゲイン調整信号)に変換される。
乗算器22は、Iy生成器16の電流信号Iyと、全波整流器4の出力電圧の分圧値(全波整流された交流入力電圧の検出値)に対応するVx生成器18からの電圧信号Vxを乗算している。この乗算結果は、電流誤差増幅器24の非反転入力端子へ電流基準信号Vmulとして出力される。電流誤差増幅器24は、インダクタ電流信号生成用入力端子ISから、その反転入力端子にインダクタ電流ILを電流検出抵抗R3で検出した電圧信号であるインダクタ電流信号を入力とし、電流基準信号Vmulとインダクタ電流信号の差を増幅した電流誤差信号を出力する。発振回路(OSC)26では、スイッチング素子6のオン・オフ動作の周期であるスイッチング周期を決めるキャリア信号として、周波数一定の鋸歯状、もしくは三角波が生成され、これをPWMコンパレータ28に入力している。PWMコンパレータ28は、このキャリア信号と電流誤差増幅器24からの電流誤差信号を入力とし、これらの信号の大小関係を比較することにより、アンド回路32およびドライバ回路34を介してスイッチング素子6のゲート端子に印加されるPWM制御信号を生成する。
過電流保護回路30は、反転増幅回路25と接続されてインダクタ電流信号が入力されている。この過電流保護回路30には、インダクタ電流ILの最大値を制限するために、所定の大きさの第3の閾値が設定されている。これにより、インダクタ電流信号が第3の閾値を超えたことを検出すると、アンド回路32に過電流検出信号L(Low)を入力してアンド回路32の出力を強制的にLとしている。力率改善制御回路10Asの出力端子DOには、アンド回路32からドライバ回路34を介してスイッチング素子6をオン・オフするためのスイッチング信号が出力される。
同様に、電流ピーク波形生成回路50およびIz生成器20sはインダクタ電流ILのピーク値を制限するものであって、電流ピーク波形生成回路50は反転増幅回路25と接続されている。ただし、Iz生成器20sには過電流保護回路30に設定された第3の閾値より小さな第1の閾値が設定されている。そして、各スイッチング周期のインダクタ電流信号のピーク値の包絡線に相当する電流ピーク波形信号がこの第1の閾値を超えたとき、乗算器22へ出力する電流信号Izの大きさを調整するように構成されている。
つぎに、反転増幅回路25と電流ピーク波形生成回路50、およびIz生成器20sについて、それぞれ図2および図3によって説明する。
図2は、反転増幅回路25およびソフトOCP機能の実現に用いられる電流ピーク波形生成回路50の具体的構成を示す回路図である。ここでは、インダクタ電流信号生成用入力端子ISからの電圧信号が負電位であるため、反転増幅回路25では、これを正電位のインダクタ電流信号に変換している。また、ソフトOCP機能とは、インダクタ電流ILがある閾値を超えるとインダクタ電流ILをいきなりオフにするのではなく、以下に詳述するようなインダクタ電流ILを徐々に抑制していく機能をいう。
反転増幅回路25は、一端が図示しない回路により生成された基準電圧Vrefに接続された抵抗R6,R7の直列回路と、抵抗R8,R9と、基準電圧電源52と、オペアンプ54を有している。抵抗R6,R7の直列回路の一方の抵抗R6は、一端が基準電圧Vrefに接続され、他端は抵抗R8を介してオペアンプ54の反転入力端子に接続される。抵抗R6,R7の直列回路の他方の抵抗R7は、インダクタ電流信号生成用入力端子ISと接続されている。オペアンプ54は、その非反転入力端子が基準電圧電源52と接続され、出力端子が抵抗R9を介して反転入力端子に接続されている。こうした反転増幅回路25自体は周知のものであるので、その動作についての説明は省略するが、上記の構成により反転増幅回路25ではインダクタ電流信号生成用入力端子ISからの電圧信号に相似で正負が反転した信号を出力する。
電流ピーク波形生成回路50は、ピーク電流保持部50a、およびIz生成器20sに入力するための電流ピーク波形信号を生成して出力する信号出力部50bから構成されている。電流ピーク波形生成回路50のピーク電流保持部50aは、ダイオードD2、コンデンサC2、抵抗R10およびオペアンプ56から構成されている。ダイオードD2のアノード側には、反転増幅回路25の出力信号が供給され、そのカソード側にはそれぞれ一端が接地されたコンデンサC2と抵抗R10との並列回路が接続されている。さらに、オペアンプ56は、その非反転入力端子がそれぞれコンデンサC2と抵抗R10の他端と接続され、その出力信号が後段の信号出力部50bに供給されている。ここでは、反転増幅回路25の出力電圧がコンデンサC2の充電電圧より大きい場合、ダイオードD2を介して流れる電流がコンデンサC2を充電する。また、反転増幅回路25の出力電圧がコンデンサC2の充電電圧より小さくなると、抵抗R10が放電回路となってコンデンサC2を放電するように構成されている。
すなわち、インダクタ電流信号生成用入力端子ISにインダクタ電流ILに対応する電圧信号が印加されると、反転増幅回路25では、これを反転増幅したインダクタ電流信号を電流ピーク波形生成回路50のピーク電流保持部50aに入力する。そして、ピーク電流保持部50aは各スイッチング周期におけるインダクタ電流信号のピーク値をコンデンサC2に記憶し、ピーク値が過ぎると次のスイッチング周期のインダクタ電流信号のピーク値を迎えるまでの間に抵抗R10の放電回路によってコンデンサC2を徐々に放電する。そのとき、次のスイッチング周期でインダクタ電流信号のピーク値がコンデンサC2の記憶値より高ければそのピーク値をコンデンサC2に記憶させ、低ければ放電回路によるコンデンサC2の放電を続ける。これにより、コンデンサC2の両端には、インダクタ電流信号のピーク値を結ぶ包絡線電圧信号に相当する信号(以下、包絡線信号と記す。)が生成され、この包絡線信号がオペアンプ56を介して信号出力部50bに入力される。
信号出力部50bは電圧/電流変換回路であり、MOSトランジスタQ1〜Q3と抵抗R11から構成されている。MOSトランジスタQ1のゲート端子は、ピーク電流保持部50aのオペアンプ56の出力端子と接続され、そのドレイン端子は別のMOSトランジスタQ2を介して電源端子Vccに接続される。MOSトランジスタQ1のソース端子は、抵抗R11を介して接地されている。そして、そのソース端子と抵抗R11の接続点が前段のオペアンプ56の反転入力端子に接続されるとともに、その接続点からはソフトOCP用電圧信号V50を、後述する図9のIy生成器に出力している。オペアンプ56の2つの入力端子は仮想短絡(イマジナリショート)しているので、ソフトOCP用電圧信号V50はコンデンサC2の両端電圧、すなわち包絡線信号に等しい。そして、抵抗R11にはソフトOCP用電圧信号V50、すなわち包絡線信号に比例した電流が流れる。また、MOSトランジスタQ2とQ3はカレントミラー回路を構成している。したがって、このMOSトランジスタQ3のソース端子からは、MOSトランジスタQ1を介して抵抗R11に流れる電流値と等しい大きさの電流、すなわち包絡線信号に比例した電流値をもつ電流信号が、電流ピーク波形信号IaとしてIz生成器20sに出力される。
図3は、電流信号Izを生成するためのIz生成器の具体的構成を示す回路図である。
Iz生成器20sは、定電流源42,44と、4つのMOSトランジスタQ4〜Q7とから構成されている。ここでは、MOSトランジスタQ4とQ5によって前段のカレントミラー回路を構成し、MOSトランジスタQ6とQ7によって後段のカレントミラー回路を構成している。
前段のカレントミラー回路には、入力側のMOSトランジスタQ4と並列に定電流源42が設けられ、電流ピーク波形生成回路50から供給される電流ピーク波形信号Iaは、定電流源42とMOSトランジスタQ4のドレイン端子に分流するように流れる。また、後段のカレントミラー回路には出力側のMOSトランジスタQ7と並列に定電流源44が設けられている。定電流源44は、図示しない回路により生成された定電圧信号Vbiasが制御信号として入力され、定電圧信号Vbiasによりバイアス電流値(定電流)Ibiasの大きさが決められている。したがって、定電流源42の電流値I42によってソフトOCPの閾値電流が決まり、電流ピーク波形信号IaがI42を超えて流れるとき、後段のカレントミラー回路からはその差分に比例した大きさで変動する電流信号Ibが出力される。そして、定電流源42からの定電流Ibiasに電流信号Ibを加算した電流信号Izが乗算器22に出力される。
乗算器22には、ゲイン調整信号として電流信号Izが入力される。この乗算器22では、Iy生成器16からの電流信号Iyと全波整流器4の出力電圧の検出値(分圧値)に対応するVx生成器18からの電圧信号Vxとの乗算を行う。そして、電流信号Izが乗算器22のゲインを決めるバイアス電流となるが、このゲインが電流信号Izに反比例することから、電流信号Izは電圧信号Vxと電流信号Iyの積を割り算するように作用する。したがって、この乗算器22のゲインが電流ピーク波形生成回路50の電流ピーク波形信号Iaによって変化して、電流誤差増幅器24の非反転入力端子への電流基準信号Vmulを調整できる。なお、乗算器22の構成および動作の詳細については後述する。
図4は、図3のIz生成器による信号生成手順を説明する信号波形図である。
同図(A)は、インダクタ電流信号(実線)およびそのピーク値の包絡線波形(上部の破線)を示している。同図(B)は、インダクタ電流信号のピーク値の包絡線波形のみを示している。同図(C)は、電流ピーク波形生成回路50からIz生成器20sに入力する電流ピーク波形信号Iaと電流閾値(I42)の関係を示している。同図(D)は、Iz生成器20sの後段のカレントミラー回路から出力される電流信号Ibを示している。また、同図(E)は、ゲイン調整信号として乗算器22に出力される電流信号Izを示している。
図5は、ソフト過電流保護動作時の信号波形を示すタイミング図である。
ここでは、設定されたソフトOCPレベルを決める第1の閾値に対して、本発明の電流ピーク波形生成回路50(図2)およびIz生成器20s(図3)により、インダクタ電流ILがどのように調整されるかを示している。ここで第1の閾値を決めるのは、図3に示す定電流源42の電流値I42である。すなわち、図4(C)において電流ピーク波形信号Iaが電流値I42を超えるタイミングが、図5においてインダクタ電流がソフトOCPレベルを超えるタイミングとなる。図5は、実線により本実施の形態におけるインダクタ電流ILを示すとともに、点線によって従来のインダクタ電流ILを併せて示している。本実施の形態の場合は、第1の閾値を超えると乗算器22のゲインを下げて(下げる程度は、インダクタ電流ILと第1の閾値の差に対し単調増加となる。)インダクタ電流ILの上昇が抑えられることによって、電圧波形が全体として低減される。そのため、インダクタ電流ILのサブハーモニック発振による音鳴きをなくすことができる。
図5には、過電流保護回路30に設定された過電流防止のための電流レベル(OCPレベル)も示している。図1の過電流保護回路30には、第3の閾値(基準電圧Vref3)を生成する不図示の基準電圧源、および不図示のコンパレータが用いられる。このコンパレータにより、反転増幅回路25の出力を第3の閾値(基準電圧Vref3)と比較し、反転増幅回路25の出力が第3の閾値(基準電圧Vref3)以上になるとインダクタ電流ILがOCPレベルに達していると判断して過電流検出信号を出力する。
過電流保護回路30に設けられ、判定基準として第3の閾値が入力される上記のコンパレータは、ヒステリシスコンパレータとするとよい。この場合、ヒステリシスコンパレータは第3の閾値より低い値の第5の閾値(これは過電流検出信号の出力を停止させるための閾値となる。)を有し、過電流検出信号自体によりその判定基準を第3の閾値と第5の閾値との間で切り替える機能を備えている。さらに、OCPレベルを決める第3および第5の閾値は、いずれもソフトOCPレベルを決める第1の閾値に比較して高い値に設定されている。
本実施の形態の場合では、従来はインダクタ電流ILがOCPレベルを超えてしまうような場合でも、インダクタ電流信号がソフトOCPレベルを決める第1の閾値を超えるとインダクタ電流ILの上昇が抑制されるので、インダクタ電流ILがOCPレベルを超えてスイッチング素子6を停止させることがないようにすることができる。そして、さらにインダクタ電流ILが増加を続けてOCPレベルを超えてしまうと、スイッチング素子を停止させることになるが、そのような場合でも、図5において従来の過電流保護回路30のみを用いた力率改善制御回路10Aでの保護動作と比較して示すように、OCPレベルに到達してスイッチング素子6が停止している期間T1を従来の場合の期間T0より短縮することができる(T1<T0)。なお、過電流検出信号を生成するためのコンパレータをヒステリシスコンパレータとしても、上記第5の閾値を、ソフトOCPレベルを決める第1の閾値より高くしておくことにより、スイッチング素子6の停止期間の短縮という効果を強化することができる。これは、スイッチング素子6の停止期間の終了タイミングが、従来より早くなるためであり、したがって、過電流保護の動作時間を短くして、音鳴きを抑制することができる。
(第2の実施の形態)
図6は、本発明の第2の実施の形態である連続モードで動作する力率改善型スイッチング電源装置の力率改善制御回路10Bsを示す回路図である。この力率改善制御回路10Bsが第1の実施の形態のものと異なる点は、過電流保護回路30に代えて過電圧保護回路40を設けて、出力直流電圧が設定値以上に上昇した場合にスイッチング素子6のオン・オフ動作を停止したことである。また、Iz生成器20sに代えて、ソフト過電圧保護回路60を用いて乗算器22の出力を低下させることによりインダクタ電流ILを抑制して、音鳴きを防止している。
力率改善制御回路10Bsでは、過電圧保護回路40はフィードバック電圧入力端子FBと接続され、直流出力電圧Voutに比例した帰還信号が入力される。この過電圧保護回路40には、所定の大きさの第4の閾値が設定され、帰還信号が第4の閾値を超えたことを検出して、アンド回路32にL(Low)の過電圧検出信号を入力してアンド回路32の出力を強制的にLとするようにしている。力率改善制御回路10Bsの出力端子DOには、アンド回路32からドライバ回路34を介してスイッチング素子6をオン・オフするためのスイッチング信号が出力される。
また、力率改善制御回路10Bsのソフト過電圧保護回路60は、過電圧保護回路40と同様にフィードバック電圧入力端子FBと接続されている。ソフト過電圧保護回路60は図3のIz生成器20sに替って乗算器22に電流信号Izを供給するものである。ソフト過電圧保護回路60には、過電圧保護回路40に設定された第4の閾値より低い第2の閾値が設定されており、フィードバック電圧入力端子FBからの帰還信号の電圧値が第2の閾値を超えたとき、電流信号Izが過電圧防止信号として機能する。
つぎに、ソフト過電圧保護回路60とそのソフトOVP機能について説明する。
図7は、ソフトOVP機能をもったソフト過電圧保護回路の具体的構成を示す回路図である。
ソフト過電圧保護回路(以下、ソフトOVP回路という。)60は、ソフト過電圧検出電圧(以下、ソフトOVP用電圧信号という。)を検出してそれを電流信号に変換する電圧検出部60a、およびゲイン調整信号としての電流信号Izを乗算器22に入力する信号出力部60bから構成されている。電圧検出部60aは、非反転入力端子がフィードバック電圧入力端子FBと接続されたオペアンプ62と、一端が接地された抵抗R12,R13の直列回路と、MOSトランジスタQ8〜Q10とから構成されている。オペアンプ62は、その反転入力端子が抵抗R12とMOSトランジスタQ8との接続点に接続され、その出力端子がMOSトランジスタQ8のゲート端子に接続されている。MOSトランジスタQ8のドレイン端子は別のMOSトランジスタQ9を介して電源端子Vccに接続される。MOSトランジスタQ8のソース端子は、抵抗R12,R13の直列回路を介して接地されている。そして、抵抗R12とR13の接続点からは、ソフトOVP用電圧信号(ソフト過電圧検出電圧)V60が後述する図9のIy生成器16sに出力される。オペアンプ62の2つの入力端子はイマジナリショート(仮想短絡)しているので、フィードバック電圧入力端子FBに入力される直流出力電圧Voutの分圧値に等しい。そのため、抵抗R13には直流出力電圧Voutの分圧値に比例した電流が流れるので、ソフトOVP用電圧信号V60は直流出力電圧Voutに比例した値となる。
また、MOSトランジスタQ9とQ10はカレントミラー回路を構成している。したがって、MOSトランジスタQ10のソース端子からは、ソフトOVP用電圧信号V60に比例した過電圧防止電流Icが信号出力部60bに出力される。
信号出力部60bは、定電流源64および4つのMOSトランジスタQ11a,Q11b,Q12a,Q12bとから構成されている。ここでは、MOSトランジスタQ11aとQ11bによって前段のカレントミラー回路を構成し、MOSトランジスタQ12aとQ12bによって後段のカレントミラー回路を構成している。
前段のカレントミラー回路には、入力側のMOSトランジスタQ11aと並列に定電流源64が設けられ、電圧検出部60aから供給される過電圧防止電流Icは、定電流源64とMOSトランジスタQ11aのドレイン端子に分流するように流れる。また、後段のカレントミラー回路には出力側のMOSトランジスタQ12bと並列に定電流源66が設けられている。定電流源66は、図示しない回路により生成された定電圧信号Vbiasが制御信号として入力され、定電圧信号Vbiasによりバイアス電流値(定電流)Ibiasの大きさが決められている。したがって、定電流源64の電流値I64によってソフトOVPの閾値電流が決まり、過電圧防止電流IcがI64を超えて流れるとき、後段のカレントミラー回路からはその差分に比例した大きさで変動する電流信号である過電圧防止信号Idが出力される。そして、定電流源66からの定電流Ibiasに過電圧防止信号Idを加算した電流信号Izが乗算器22に出力される。
こうして乗算器22には、ゲイン調整信号として電流信号Izが入力され、その他にIy生成器16からの電流信号Iyと、全波整流器4の出力電圧の検出値(分圧値)に対応するVx生成器18(これも単なる結線である。)からの電圧信号Vxが入力されて、それらが乗算されるとともに、上述のように電流信号IzがVxとIyとの積を割り算するように作用する。そして、この乗算器22のゲインは上述のようにソフトOVP回路60の過電圧防止信号Idをバイアス電流値Ibiasに加算した電流信号Izに反比例することから、ソフトOVP用電圧信号が増大してソフトOVP機能が働くと、電流誤差増幅器24の非反転入力端子へ入力される電流基準信号Vmulを低下させることができる。これによりインダクタ電流ILを低下させて直流出力電圧Voutの上昇を抑えることができる。
図8は、ソフト過電圧保護動作を説明する信号波形を示すタイミング図である。
同図(A)には、ソフトOVP回路60からのソフトOVP用電圧信号V60がタイミングt11でソフトOVP動作の閾値(第2の閾値)を超えて上昇し、タイミングt12でOVP機能の動作を開始する閾値である過電圧レベル(第4の閾値)に到達した後に、ソフトOVP用電圧信号V60がOVP機能の動作を解除するOVP解除の閾値(第6の閾値)に達してOVP機能が解除されるタイミングt13(なお、第6の閾値が第2の閾値より高いため、タイミングt13以降でもソフトOVP動作は続いている。)までの変動の様子を示している。そして、同図(B)と(C)にそれぞれ対応する乗算器ゲインとインダクタ電流ILの波形を示す。ここで、第2の閾値を決めるのは、定電流源64の電流値I64である。すなわち、図8においてインダクタ電流がソフトOVP動作の閾値を超えるタイミングは、図7において過電圧防止電流Icが電流値I64を超えるタイミングである。
ここでは、ソフトOVP用電圧信号V60に対するソフトOVPレベルをOVPレベルより低く設定しているから、タイミングt11で乗算器22のゲインが低下し始め、インダクタ電流ILが抑制されるようになる。インダクタ電流ILが抑制されることにより直流出力電圧Voutの上昇も抑制されるため、従来ではソフトOVP用電圧信号V60が過電圧レベル(第4の閾値)を超えてしまうような場合でも、本実施例では過電圧レベル(第4の閾値)を超えないようにして、スイッチング素子の停止を避けることができる。そして、さらに直流出力電圧Vout、すなわちOVP用電圧信号V60が増加を続けて過電圧レベルを超えてしまい、スイッチング素子を停止させた場合でも、タイミングt12でOVPレベルに達して、スイッチング動作が停止するまでにインダクタ電流ILがゼロに近いレベルまで絞られているため、スイッチング素子の停止期間を短縮してスイッチング動作停止時の発振を抑制することができる。また、OVP機能が解除される第6の閾値までソフトOVP用電圧信号V60が低下するタイミングt13では、乗算器22のゲインが十分に低下しているから、スイッチング動作に復帰した時点ではインダクタ電流ILの波形が緩やかに増加することになり、スイッチング動作停止からの復帰時の音鳴きもなくすことができる。さらに、タイミングt13以降もソフトOVP動作が機能していて、インダクタ電流ILや直流出力電圧Voutの上昇が抑制されることから、音鳴きの発生も継続して抑制することができる。
(第3の実施の形態)
第1、および第2の実施の形態においては、電流ピーク波形生成回路50とIz生成器20s、あるいはソフトOVP回路60によって、乗算器22に入力される電流信号Izを増大させることにより乗算器22のゲインを低下させて、電流基準信号Vmulを調整するものであった。
第3の実施の形態では、電流ピーク波形生成回路50からのソフトOCP用電圧信号V50およびソフトOVP回路60からのソフトOVP用電圧信号V60を第1の入力信号生成回路(従来のIy生成器16に相当する。)に供給し、この電流信号生成回路において低減された電流信号Iyを生成して、それを乗算器22に出力するようにしている。
図9は、本発明の第3の実施の形態における力率改善制御回路10Csの第1の入力信号生成回路の構成を示す回路図である。
第1の入力信号生成回路(以下、Iy生成器16sという。)は、補正信号入力部16a、V/I変換部16b、および信号出力部16cから構成されている。補正信号入力部16aは、2つのオペアンプ70,72とダイオードD3,D4、および3つの直列接続された抵抗R14,R15,R16の抵抗回路を有している。オペアンプ70は、その非反転入力端子が図7に示すソフトOVP回路60と接続され、ここにソフトOVP用電圧信号V60が入力される。このオペアンプ70の出力端子はダイオードD3を介して反転入力端子と接続されている。また、オペアンプ72は、その非反転入力端子が図2に示す電流ピーク波形生成回路50と接続され、ここにソフトOCP用電圧信号V50が入力される。このオペアンプ72の出力端子はダイオードD4を介して反転入力端子と接続されている。さらに、オペアンプ70の反転入力端子とダイオードD3の接続点は、抵抗回路の抵抗R14とR15の接続点に接続され、オペアンプ72の反転入力端子とダイオードD4の接続点は、抵抗回路の抵抗R15とR16の接続点に接続されている。なお、抵抗R16の一端は接地され、抵抗R14の一端はV/I変換部16bと接続されている。
オペアンプ70とダイオードD3およびオペアンプ72とダイオードD4は、それぞれソフトOCP用電圧信号V50およびソフトOVP用電圧信号V60に対するボルテージフォロワを構成している。ダイオードD3,D4は、ボルテージフォロワの出力、すなわちソフトOCP用電圧信号V50,ソフトOVP用電圧信号V60が後述の電位V15,V16より小さいときに、ボルテージフォロワの出力が電位V15,V16に影響を与えないようするために設けられている。
Iy生成器16sのV/I変換部16bは、オペアンプ74、基準電圧Vref2を出力する基準電圧電源76、オペアンプ78、および3つの抵抗R17〜R19を有している。オペアンプ74は、その反転入力端子が前段の補正信号入力部16aの抵抗R14に接続されている。また、オペアンプ74の非反転入力端子は基準電圧電源76と接続され、出力端子が抵抗R17を介して反転入力端子に接続されている。オペアンプ74の出力端子は、抵抗R18,R19の直列回路を介して接地され、抵抗R18とR19との接続点がオペアンプ78の非反転入力端子に接続されている。ここで、オペアンプ74,基準電圧電源76,抵抗R17は、補正信号入力部16aの抵抗R14,R15,R16とともに反転増幅回路を構成している(入力は、後述の電位V15,V16もしくは接地電位である。)。
また、Iy生成器16sの信号出力部16cは、MOSトランジスタQ13〜Q15、抵抗R20、および定電流源80を有している。MOSトランジスタQ13のゲート端子は、V/I変換部16bのオペアンプ78の出力端子と接続され、そのドレイン端子は別のMOSトランジスタQ14を介して定電流源80に接続される。MOSトランジスタQ13のソース端子は、抵抗R20を介して接地されている。そして、そのソース端子と抵抗R20の接続点がオペアンプ78の反転入力端子に接続される。また、MOSトランジスタQ14とQ15はカレントミラー回路を構成し、それぞれのソース端子が定電流源80、電源端子Vccに接続されている。定電流源80は電源端子Vccに接続され、その制御信号として、直流出力電圧Voutの分圧値と電圧指令値(基準電圧源12の出力電圧)の差を増幅した電圧誤差信号Verが電圧誤差増幅器14から入力され、定電流源80の定電流値が決められる。この構成により、抵抗R20に流れる電流I20を、MOSトランジスタQ14とQ15によるカレントミラー回路でコピーした電流が電流信号Iyとして供給される。なお、定電流源80はカレントミラーの入力側に流れる電流の最大値を規定するものである。
つぎに、Iy生成器16sの動作について説明する。
ここで、Iy生成器16sの各部電位について、V/I変換部16bにおける抵抗R19のR18との接続点側の電位をV19、抵抗R18のR17との接続点側の電位をV18、補正信号入力部16aにおける抵抗R15のR14との接続点側の電位をV15、同じく抵抗R16のR15との接続点側の電位をV16とする。
図10は、図9のIy生成器16sによって生成される電流信号Iyを示す図である。
同図(A)はV/I変換部16bの電位V18を示し、同図(B)は電流ピーク波形生成回路50のOCP用電圧信号V50を示し、同図(C)にはIy生成器16sからの電流信号Iyを示している。
まず、時刻t0以前において、OCP用電圧信号V50が電位V16より小さく(図10(B)参照)、かつソフトOVP用電圧信号V60も電位V15より小さいとする。このとき、V/I変換部16bにおけるオペアンプ74の2つの入力端子がイマジナリショートとなっているので、反転入力端子の電位は基準電圧電源76の電位Vref2となる。そのため、オペアンプ74の反転入力端子から接地(GND)に向かう電流I14が、
I14=Vref2/(R14+R15+R16)
の大きさで流れ、オペアンプ74の出力端子側の電圧V18として、以下の電圧値が生じている。なお、抵抗R14〜R20のそれぞれの抵抗値もR14〜R20で示す。
V18=Vref2+I14×R17=Vref2・(R14+R15+R16+R17)/(R14+R15+R16)
このとき、電圧値V15は基準電圧電源76の電位Vrefを抵抗R14と2つの抵抗R15,R16の直列抵抗とによって分圧した大きさとなり、電圧値V16は電位Vref2を抵抗R14,R15の直列抵抗と抵抗R13で分圧した大きさとなる。上述のように、ソフトOCP用電圧信号V50,ソフトOVP用電圧信号V60が電位V15,V16より小さいと、ボルテージフォロワのダイオードD3,D4の働きでこれらのボルテージフォロワがないのと同等の状態になり、これはソフトOVP機能およびソフトOCP機能が働いていない状態ということになる。
また、オペアンプ78は2つの入力端子がイマジナリショートとなるよう機能し、イマジナリショートが実現するとオペアンプ78の反転入力端子の電位は非反転入力端子への入力電位に等しくなる。これによって、オペアンプ78の反転入力端子側の抵抗R20には、電圧値V18を抵抗R18,R19で分圧した電圧V19が印加され、この電圧V19を抵抗値R20で除した電流I20が抵抗R20に流れる。この時刻t0以前にオペアンプ78によって規定される電流値V19/R20は、電圧誤差信号Verによって決まる定電流源80の定電流値I80の最大値以上の値となるよう調整しておく。この場合、時刻t0以前にMOSトランジスタQ14とQ15によるカレントミラー回路の入力側に流れる電流値は定電流源80の定電流値I80となり、オペアンプ78の2つの入力端子のイマジナリショートは定電流源80により阻止されている状態となっている(このとき、オペアンプ78の出力がハイ側に振り切っていて、MOSトランジスタQ13がフルオンの状態となっている。)。また、カレントミラー回路が定電流I80をコピーすることにより、電流信号Iyは定電流I80に等しくなっている。
つぎに、時刻t0以降にオペアンプ70,72に入力するソフトOVP用電圧信号V60,OCP用電圧信号V50について、V60>V15、あるいはV50>V16のいずれかが成り立った場合を考える。図10はV50>V16となった場合について示してあるが、V60>V15の場合も同様である。電位V15あるいはV16がV60あるいはV50となって、時刻t0以前のV15,V16より大きくなるため、基準電圧電源76の電位Vref2との電位差が小さくなって、電流I14が小さくなるから、図10(A)に示すように、オペアンプ74の出力端子側での電圧V18(=Vref2+R17×I14)が減少し、これに比例してV19およびV19/R20も減少する。
すると、時刻t0以前には定電流源80から供給される電流値I80に等しい一定値で出力されていた電流信号Iyは、V19/R20と等しくなった時点でV19/R20の電流特性に切り換わり、図10(C)に示すように徐々に減少する。すなわち、ソフトOCP用電圧信号V50もしくはソフトOVP用電圧信号V60が増大してソフトOCP機能もしくはソフトOVP機能が働くとIy生成器16sから乗算器22に入力される電流信号Iyが減少し、これにより乗算器22から出力される電流基準信号Vmulを減少させてインダクタ電流ILを抑制することができる。
(第4の実施の形態)
図11は、本発明の第4の実施の形態における第2の入力信号生成回路の構成を示す回路図であり、図12は、図11のVx生成器によって生成される電圧信号Vxを示す図である。
第3の実施の形態では、従来のIy生成器に相当するIy生成器16sにおいて低減された第2の入力信号Iyを生成して、それを乗算器22に出力した場合を説明したが、第4の実施の形態の力率改善制御回路10Dsでは、電流ピーク波形生成回路50あるいはソフトOVP回路60からのソフトOCP用電圧信号V50、ソフトOVP用電圧信号V60を第2の入力信号生成回路(以下、Vx生成器18sという。)に供給して、低減された電圧信号Vxを生成している。
Vx生成器18sは、補正信号入力部18a、V/I変換部18b、および信号出力部18cから構成されており、補正信号入力部18aおよびV/I変換部18bはIy生成器16sの補正信号入力部16aおよびV/I変換部16bと同様の構成である。そこで、Vx生成器18sのIy生成器16sに対応する部分には同一符号を付けて、それらの説明は省略する。信号出力部18cは、MOSトランジスタQ15のドレイン端子が抵抗Routを介して接地されていて、MOSトランジスタQ15のドレイン端子と抵抗Routとの接続点の電位が電圧信号Vxとして出力される点が、信号出力部16cと異なる。この構成によって、信号出力部18cはMOSトランジスタQ15に流れる電流に比例した電圧信号Vxを出力することができる。
また、信号出力部18cにおける定電流源80への制御信号が、乗算器入力端子VDETから供給されている点で異なっている。したがって、図12(C)に示すように、Vx生成器18sでも、MOSトランジスタQ15のソース端子から出力される電圧信号Vxが抵抗R20に流れる電流値(I20)と比例した大きさとなって、乗算器22に出力される。したがって、第3の実施の形態と同様に、ソフトOCP用電圧信号V50もしくはソフトOVP用電圧信号V60が増大してソフトOCP機能もしくはソフトOVP機能が働くとVx生成器18sから乗算器22に入力される電圧信号Vxが減少し、これにより乗算器22から出力される電流基準信号Vmulを減少させてインダクタ電流ILを抑制することができる。
つぎに、上述した力率改善制御回路10(10A,10B,10As,10Bs,10Csおよび10Ds。)で使用可能なアナログ乗算器について説明する。
図13は、Vx生成器,Iy生成器およびIz生成器を含むアナログ乗算器の一例を示す回路図である。
アナログ乗算器22sは、V/I変換部22a、信号入力部22b、演算部22c、および信号出力部22dから構成され、第1の入力信号Iyと第2の入力信号Vxとの積を、さらにゲイン調整用の電流信号Izで除した商に相当する電圧信号Vmulを出力する。V/I変換部22aは、定電流源84と、抵抗R21,R22と、第1の差動対をなすMOSトランジスタQ16,Q17と、基準電圧電源86と、第1のカレントミラー回路を構成するバイポーラトランジスタQ18,Q19を有していて、MOSトランジスタQ16のゲート端子に第1の入力信号Iyを規定する電圧誤差信号Verが入力されている。この部分はIy生成器に相当する回路である。
信号入力部22bは、定電流源88と、第2のカレントミラー回路を構成するNPN型のバイポーラトランジスタQ20,Q21と、第2の差動対をなすPNP型のバイポーラトランジスタQ22,Q23と、抵抗R23,R24を有している。定電流源88はIz生成器に相当するものであり、具体的には電流ピーク波形生成回路50とIz生成器20s、またはソフト過電圧保護回路(ソフトOVP回路)60などで構成される。信号入力部22bでは、ゲイン調整用の電流信号Izに相当する制御信号が定電流源88から供給され、バイポーラトランジスタQ22のベース端子には第2の入力信号Vxが入力されて、その差動出力が次段の演算部22cに入力されている。
演算部22cは、第3のカレントミラー回路を構成するMOSトランジスタQ24,Q25と、第3の差動対をなすNPN型のバイポーラトランジスタQ26,Q27と、第4のカレントミラー回路を構成するPNP型のバイポーラトランジスタQ28,Q29を有している。ここでは、V/I変換部22aの出力電流Iyが第4のカレントミラー回路に入力され、信号入力部22bの差動出力が第3の差動対のベース端子に入力されている。
信号出力部22dは、第5のカレントミラー回路を構成するMOSトランジスタQ30,Q31と、第6のカレントミラー回路を構成するMOSトランジスタQ32,Q33と、出力用の抵抗R25を有している。この信号出力部22dには、演算部22cから出力される電流信号が第5のカレントミラー回路の入力側のMOSトランジスタQ30に供給され、第6のカレントミラー回路の出力側のMOSトランジスタQ33のドレイン端子と抵抗R25との接続点からの電圧信号Vmulが乗算結果として出力される。
さて、一般にバイポーラトランジスタでは、下記(11)式で規定されるコレクタ電流Icが流れる。
Ic=Io×exp(Vbe/Vt)…(11)
Ioは逆方向コレクタ飽和電流、Vtは熱電圧(=kT/q)であって、いずれも定数であり、Vbeはベースエミッタ間電圧値である。
いま、信号入力部22bにおいて、バイポーラトランジスタQ20,Q21のベースエミッタ間電圧値をそれぞれV20,V21、コレクタ電流をそれぞれI20,I21とする。作動対をなすバイポーラトランジスタQ20,Q21のエミッタ間の電位差△V1は、
△V1=V21−V20…(12)
である。さらに、式(11)をVbeについて書きなおすと、
Vbe=Vt×ln(Ic/Io)…(13)
となるから、式(12)は次のようにあらわすことができる。
△V1=Vt×ln(I21/Io)−Vt×ln(I20/Io)
=Vt×ln(I21/I20)…(14)
同様に、演算部22cのバイポーラトランジスタQ26,Q27では、コレクタ電流をそれぞれI26,I27、ベースエミッタ間電圧値をそれぞれV26,V27とすると、ここでもエミッタ間の電位差△V2について式(15)が成り立つ。
△V2=Vt×ln(I26/I27)…(15)
バイポーラトランジスタQ20,Q21とQ26,Q27では、エミッタ間の電位差△V1と△V2が等しいことから、コレクタ電流I20,I21とI26,I27の間に以下の関係が成立する。
(I26/I27)=(I21/I20)…(16)
a/b=c/dであれば、(a−b)/(a+b)=(c−d)/(c+d)となることから、式(16)は以下の式(17)のように書き換えることができる。
(I26−I27)/(I26+I27)=(I21−I20)/(I21+I20)
…(17)
演算部22cでは、バイポーラトランジスタQ26,Q27のコレクタ電流の差分(=I26−I27)が信号出力部22dへの電流出力Ioutとなる。そこで、I21+I20をI1、I26+I27をI2、I21−I20を△iとすると、式(17)を
Iout=I2×△i/I1…(18)
に書き換えることができる。すなわち、演算部22cは、I2×△iの乗算器として機能し、I1の除算器としても機能することがわかる。
したがって、アナログ乗算器22sは、V/I変換部22aに入力される電圧誤差信号Verで規定される第1の入力信号IyによってI2(=I27+I26)の大きさが決定され、バイポーラトランジスタQ22のベース端子に印加される第2の入力信号Vxによって△i(=I21−I20)の大きさが決定され(バイポーラトランジスタQ22,Q23はエミッタフォロワとして機能し、△V1(=V21−V20)は小さいのでこれを無視すると、△iは第2の入力信号Vxに比例する。)、信号入力部22bの定電流源88で、制御信号(Vbais)によりI1(=I21+I20)となるゲイン調整用の電流信号Izの大きさが決定される。その結果、アナログ乗算器22sの出力となる電圧信号Vmulは、第1の入力信号Iyと第2の入力信号Vxとの積をゲイン調整用の電流信号Izで除した商に相当する大きさになる。
2 商用電源
4 全波整流器
6 スイッチング素子
8 負荷
10,10A,10B,10As,10Bs,10Cs,10Ds 力率改善制御回路
12 基準電圧源
14 電圧誤差増幅器
16,16s Iy生成器(第1の入力信号生成回路)
16a 補正信号入力部
16b V/I変換部
16c 信号出力部
18,18s Vx生成器(第2の入力信号生成回路)
18a 補正信号入力部
18b V/I変換部
18c 信号出力部
20,20s Iz生成器
22,22s 乗算器
22a V/I変換部
22b 信号入力部
22c 演算部
22d 信号出力部
24 電流誤差増幅器
25 反転増幅回路
26 発振回路(OSC)
28 PWMコンパレータ
30 過電流保護回路
32 アンド回路
34 ドライバ回路
40 過電圧保護回路
42,44 定電流源
50 電流ピーク波形生成回路
50a ピーク電流保持部
50b 信号出力部
52 基準電圧電源
54 オペアンプ
56 オペアンプ
60 ソフト過電圧保護回路(ソフトOVP回路)
60a 電圧検出部
60b 信号出力部
62 オペアンプ
64 定電流源
66 定電流源
70,72 オペアンプ
74 オペアンプ
76 基準電圧電源
78 オペアンプ
80,84 定電流源
86 基準電圧電源
88 定電流源
C1〜C2 コンデンサ
D1〜D4 ダイオード
FB フィードバック電圧入力端子
Ia 電流ピーク波形信号
IS インダクタ電流信号生成用入力端子
Q1〜Q33 トランジスタ
R1〜R25,Rout 抵抗
V50 ソフトOCP用電圧信号
V60 ソフトOVP用電圧信号
VDET 乗算器入力端子

Claims (15)

  1. ダイオードブリッジにて全波整流された交流入力電圧に基づいて、インダクタとスイッチング素子と出力コンデンサとを有する昇圧型コンバータの直流出力電圧を負荷に供給する力率改善型スイッチング電源装置において、
    出力電圧の検出値と基準電圧の差を増幅した電圧誤差信号と、前記全波整流された交流入力電圧の検出値との乗算を行う乗算器と、
    該乗算器の出力および前記インダクタに流れるインダクタ電流を検出したインダクタ電流信号に基づき前記スイッチング素子をオン・オフ制御する制御回路と、
    前記インダクタ電流信号のピーク値に追随する波形もしくは該追随する波形に相似な波形の電流ピーク波形信号を生成する電流ピーク波形生成回路、並びに、前記出力電圧に比例するソフト過電圧検出電圧を生成するソフト過電圧検出電圧生成回路、の中の少なくとも1つの回路と、
    を備え、
    前記電流ピーク波形信号が第1の閾値を超えたときは前記電流ピーク波形信号に応じて前記乗算器の出力を低下させる、もしくは前記ソフト過電圧検出電圧が第2の閾値を超えたときは前記ソフト過電圧検出電圧に応じて前記乗算器の出力を低下させることを特徴とする力率改善型スイッチング電源装置。
  2. 前記電流ピーク波形信号と前記第1の閾値との差が大きくなると、前記電流ピーク波形信号が前記第1の閾値を超えたときの前記乗算器の出力の低下量が単調増加することを特徴とする請求項1記載の力率改善型スイッチング電源装置。
  3. 前記ソフト過電圧検出電圧と前記第2の閾値との差が大きくなると、前記ソフト過電圧検出電圧が前記第2の閾値を超えたときの前記乗算器の出力の低下量が単調増加することを特徴とする請求項1記載の力率改善型スイッチング電源装置。
  4. 前記制御回路は、
    前記インダクタ電流信号と前記乗算器の出力の差を増幅した電流誤差信号を出力する電流誤差増幅器と、
    前記電流誤差信号によって前記スイッチング素子のオン・オフ期間をパルス幅変調制御するPWM比較器と、
    を備えていることを特徴とする請求項1記載の力率改善型スイッチング電源装置。
  5. 前記第1の閾値より高い第3の閾値が設定され、前記インダクタ電流信号が前記第3の閾値を超えたことを検出して過電流検出信号を出力する過電流保護回路を備え、
    前記過電流検出信号により前記スイッチング素子をオフにすることを特徴とする請求項1記載の力率改善型スイッチング電源装置。
  6. 前記過電流保護回路にはさらに前記第1の閾値より高く前記第3の閾値より低い第5の閾値が設定され、前記インダクタ電流信号が前記第3の閾値を超えて前記過電流検出信号が出力されると、前記過電流検出信号が前記第5の閾値に達するまでは前記過電流検出信号を出力したままとすることを特徴とする請求項5記載の力率改善型スイッチング電源装置。
  7. 前記第2の閾値より高い第4の閾値が設定され、前記ソフト過電圧検出電圧が前記第4の閾値を超えたことを検出して過電圧検出信号を出力する過電圧保護回路を備え、
    前記過電圧検出信号により前記スイッチング素子をオフにすることを特徴とする請求項1記載の力率改善型スイッチング電源装置。
  8. 前記第2の閾値より高く前記第4の閾値より低い第6の閾値が設定され、前記ソフト過電圧検出電圧が前記第4の閾値を超えたことを検出して過電圧検出信号を出力すると、前記過電圧検出信号が第6の閾値に達するまでは前記過電圧検出信号を出力したままとすることを特徴とする請求項7記載の力率改善型スイッチング電源装置。
  9. 前記電圧誤差信号を第1の入力信号に変換して出力する第1の入力信号生成回路と、
    前記交流入力電圧の検出値を第2の入力信号に変換して出力する第2の入力信号生成回路と、
    を備え、
    前記乗算器は前記第1の入力信号および前記第2の入力信号を用いて前記乗算を行うことを特徴とする請求項1記載の力率改善型スイッチング電源装置。
  10. 前記第1の入力信号生成回路に前記電流ピーク波形信号を供給することによって、前記第1の入力信号を低減して前記乗算器の出力を低減するようにしたことを特徴とする請求項9記載の力率改善型スイッチング電源装置。
  11. 前記第2の入力信号生成回路に前記電流ピーク波形信号に応じた電圧信号を供給することによって、前記第2の入力信号を低減して前記乗算器の出力を低減するようにしたことを特徴とする請求項9記載の力率改善型スイッチング電源装置。
  12. 前記乗算器は前記乗算器のゲインを決めるバイアス電流を有し、
    前記電流ピーク波形信号が前記第1の閾値を超えたとき、前記電流ピーク波形信号の増大に応じて前記乗算器のゲインがより低下するよう前記バイアス電流を変更することを特徴とする請求項9記載の力率改善型スイッチング電源装置。
  13. 前記第1の入力信号生成回路に前記ソフト過電圧検出電圧に応じた電圧信号を供給することによって、前記第1の入力信号を低減して前記乗算器の出力を低減するようにしたことを特徴とする請求項9記載の力率改善型スイッチング電源装置。
  14. 前記第2の入力信号生成回路に前記ソフト過電圧検出電圧に応じた電圧信号を供給することによって、前記第2の入力信号を低減して前記乗算器の出力を低減するようにしたことを特徴とする請求項9記載の力率改善型スイッチング電源装置。
  15. 前記乗算器は前記乗算器のゲインを決めるバイアス電流を有し、
    前記ソフト過電圧検出電圧が前記第2の閾値を超えたとき、前記ソフト過電圧検出電圧の増大に応じて前記乗算器のゲインがより低下するよう前記バイアス電流を変更することを特徴とする請求項14記載の力率改善型スイッチング電源装置。
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