JP2011103193A - ジョイントコネクタ及びワイヤハーネス - Google Patents

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Abstract

【課題】コネクタハウジングを共通化しながらも雌端子の挿抜を可能とする。
【解決手段】前後方向に貫通し電線10の端末に接続された雌端子11を後方から挿入可能なキャビティ21が複数並設されたハウジング20と、各キャビティ21に設けられ雌端子11に弾性的に係止して抜け止めするランス22と、ハウジング20の前面に開口して設けられランス22を係止解除方向に弾性変位させるべく治具80が挿入される治具挿入溝30と、ハウジング20に装着されキャビティ21の前方から挿入可能な雄端子55が複数並んで連結された雄端子部51の後縁側にアース部への取付用のブラケット52が連設されたジョイント端子50と、が具備されている。
【選択図】図17

Description

本発明は、アース用のジョイントコネクタと同ジョイントコネクタを用いたワイヤハーネスに関する。
従来、複数のアース用電線を一括して車両のアース部に接続することに用いるジョイントコネクタで、特にコンパクト化を図ったものとして、特許文献1に記載されたものが知られている。このものは、前後方向に貫通し後方から雌端子を挿入可能なキャビティが複数並設されたコネクタハウジングと、各キャビティの前方から挿入可能な雄端子が複数並んで連結された雄端子部の後縁側にアース部への取付用のブラケットが連設されたジョイント端子とが具備された構造である。そして、ジョイント端子がコネクタハウジングに装着されると、各雄端子がキャビティ内に前方から挿入されて待ち受け状態で収容され、係る状態からアース用電線の端末に接続された各雌端子がキャビティ内に後方から挿入されることで、対応する雌雄の端子同士が接続される一方、ジョイント端子のブラケットが車両のアース部に固定されることにより、各アース用電線のアースが一括して取られるようになっている。
特に、アース用電線の端末の雌端子と、ジョイント端子の対応する雄端子とを、共通のコネクタハウジングのキャビティ内で接続するようにし、すなわち1個のコネクタハウジングで賄うようにしたから、ジョイントコネクタのコンパクト化、軽量化を図る上で有効である。
実開平5−94980号公報
ところで上記従来のものでは、アース用電線の端末の雌端子がキャビティに挿入された際には、抜け止め部に係止して抜け止めされるのであるが、特に後から抜き取りできるようにはなっていなかった。これは、アース用電線については一括してアースを取るのであるから、雌端子のキャビティへの挿入間違い(番地間違い)を敢えて正す必要がないという理由によるが、メンテナンスや回収の場合を考慮して、雌端子をハウジングから抜き取り可能とすることも要望されるようになった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、コネクタハウジングを共通化しながらも雌端子の挿抜を可能としたところにある。
本発明のジョイントコネクタは、前後方向に貫通し電線の端末に接続された雌端子を後方から挿入可能なキャビティが複数並設されたコネクタハウジングと、前記各キャビティに設けられ前記雌端子に弾性的に係止して抜け止めするランスと、前記コネクタハウジングの前面に開口して設けられ、前記ランスを係止解除方向に弾性変位させるべく治具が挿入される治具挿入口と、前記コネクタハウジングに装着され、前記各キャビティの前方から挿入可能な雄端子が複数並んで連結された雄端子部の後縁側にアース部への取付用のブラケットが連設されたジョイント端子と、が具備されたところに特徴を有する。
また、本発明のワイヤハーネスは、複数のアース用電線の端末に上記構成のジョイントコネクタが接続されているところに特徴を有する。
上記構成によれば、コネクタハウジングにジョイント端子が装着されると、各雄端子がキャビティ内に前方から挿入されて待ち受け状態で収容される。この状態から、電線の端末に接続された雌端子がキャビティに対して後方から挿入されると、相手の雄端子と接続されるとともにランスが弾性的に係止して抜け止めされる。そののちジョイント端子のブラケットがアース部に固定されることにより、各電線のアースが一括して取られる。
メンテナンス等において雌端子を抜き取る場合は、コネクタハウジングの前面の治具挿入口から治具を挿入してランスを弾性変位させることで、雌端子への係止が解除されるから、引き続いて電線を持って引っ張ることで雌端子を抜き取ることができる。
なお、ジョイントコネクタについて、以下のような構成としてもよい。
(1)前記ジョイント端子の前記ブラケットには、同ジョイント端子が前記コネクタハウジングに装着された場合における前記治具挿入口から外れた位置に補強ビードが形成されている。補強ビードを設けたことにより、振動等を受けた場合等に抗した曲げ剛性が高められる。しかも、補強ビードは治具挿入口から外れた位置に設けたから、雌端子の抜き取り操作も担保される。
(2)前記ブラケットの基端部は、前記治具挿入口をその表面側に位置させた形態で前記コネクタハウジングの前面に挿入されて装着され、前記ブラケットの前記表面における前記治具挿入口から外れた位置に前記補強ビードが形成されている。
(3)前記ブラケットの裏面側には、表面側に形成された前記補強ビードの一部に代って別の補強ビードが形成されている。
補強ビードを治具挿入口に面したブラケットの表面側に設ける場合において、治具挿入口を避けて形成しようとすると、その幅等の大きさに制限を受けるために、増強に際して不利となる可能性がある。その点、裏面側では補強ビードの大きさに制限は受けないから、一部の表面側の補強ビードに代わって裏面側に別の補強ビードを形成することにより、ブラケットの曲げ剛性をさらに高めることができる。また、表裏両面に補強ビードが設けられることで、表裏両方向の曲げに対して有効に増強できる。
本発明によれば、コネクタハウジングを雄雌の端子が併せて挿入される共通化した構造としながらも、電線に接続された雌端子の挿抜を行うことができる。
本発明の実施形態1に係るジョイント端子の斜視図 同展開図 同平面図 同正面図 同側面図 ハウジングの正面図 ジョイント端子をハウジングに装着する動作を示す一部切欠側面図 図6のVIII−VIII線断面図 ジョイント端子がハウジングに装着された状態の側断面図 図9の部分拡大図 ジョイント端子がハウジングに装着された状態における突条の挟持部分の構造を示す側断面図 ジョイント端子がハウジングに装着された状態の正面図 図12における領域XIIIの拡大図 図12における領域XIVの拡大図 ジョイント端子がハウジングに装着された状態の背面図 治具の拡大正面図 ランスの係止解除動作を示す一部切欠側面図 ランスの係止が解除された状態を示す側断面図 本発明の実施形態2に係るジョイント端子の斜視図 同側面図
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図18によって説明する。
本実施形態のジョイントコネクタJCは、図1及び図9に示すように、コネクタハウジング20の前面側にジョイント端子50の雄端子部51が装着された構造であって、コネクタハウジング20の後面側からアース用電線10の端末に接続された雌端子11が装着されて、雄端子部51に設けられた雄端子55と接続され、ジョイント端子50のブラケット52が車両のアース部に取り付けられるようになっている。
コネクタハウジング20(以下、単にハウジング20という)は合成樹脂製であって、図6及び図7に示すように、扁平なブロック状に形成され、大まかには前部側(図7の左側)が、ジョイント端子50の雄端子部51の装着域となっている一方、後部側が雌端子11の装着域となっている。後部側には、雌端子11を後方から挿入可能としたキャビティ21が、幅方向に6個ずつ並んで上下2段に亘って形成されている。各キャビティ21の天井面には、撓み変位可能なランス22が設けられている。
雌端子11は、図9に示すように、ジョイント端子50の雄端子55が挿入されて接続される角筒状の接続部12の後方にバレル13,14を設けた形状であって、同バレル13,14がかしめ圧着されることでアース用電線10の端末に固着されている。各雌端子11は、キャビティ21内に後方から挿入されてランス22を撓み変位させつつ押し込まれ、前壁23に当たる正規位置まで押し込まれると、ランス22が復動変位して接続部12の上面に開口されたランス孔に嵌り、雌端子11が抜け止め状態に一次係止される。なお、ハウジング20の上面には、サイドタイプのリテーナ25が装着されていて、同リテーナ25が本係止位置に押し込まれると、係止部26が雌端子11における接続部12の後縁(あご部)に二次係止することで、二重に抜け止めされるようになっている。
続いて、ジョイント端子50並びにそのハウジング20への装着構造を説明する。ジョイント端子50は、金属板を素材として図2に示すような展開形状に打ち抜かれたのち、所定の曲げ加工が施されることで形成され、図3ないし図5に示すように、雄端子部51の後縁側に、車両のアース部(図示せず)に取り付けられるブラケット52が連設された形状である。
雄端子部51は展開形状では、図2に示すように、横長の帯状をなす連結部54を備えており、同連結部54が横幅方向において左右2つの領域に分けられ、左側部分と右側部分の各前縁には、タブ状をなす雄端子55が6本ずつ一定ピッチで並んで突設されている。雄端子55の配設ピッチは、上記したハウジング20のキャビティ21の配設ピッチと同一である。各雄端子55は、先端がガイド用に先細り状に形成されているとともに、根元側の約1/4の長さ領域が拡幅されて圧入部56となっている。
このような展開形状になる雄端子部51が、連結部54の横幅方向の中央部から180度折り返され、詳細には、図2の下側ある右側部分が、左側部分の上面側に、上記したハウジング20に設けられた上下のキャビティ21の間隔と同じ間隔を開けて折り返されている。したがって、曲げ成形後の雄端子部51は、扁平な横向きのチャンネル形をなす連結部54の上面部54Aと下面部54Bの前縁から、雄端子55が6本ずつ上下2段に亘り、キャビティ21と整合した配列で突設されている。
また、連結部54の上面部54Aと下面部54Bには、それぞれ各雄端子55の中心線の後方への延長線上の位置ごとに、係止突起58が下面側に叩き出して形成されている。
ブラケット52は展開形状では、同じく図2に示すように、雄端子部51の連結部54の下面部54Bにおける後縁の幅方向の中央部から、後方に延出する形態で形成されている。詳細には、基端側の半分強の長さ領域に、下面部54Bよりもやや狭い一定幅の脚部60が延出形成されているとともに、先端側に取付部65が形成されている。取付部65は、左側縁が少し張り出した形態で形成され、同取付部65の張出部寄りの位置には、取付孔66が開口されている。この取付孔66には、図示はしないが車両に設けられたアース部から立てられたスタッドボルトが挿通可能となっている。また、取付孔66の表面側の孔縁部には、別部材として備えられた他のアース端子等を重ねて取り付けることが可能な重畳部67が形成されている。さらに、取付部65の左側縁からは回り止め部68となる舌片が突設されている。
このような展開形状になるブラケット52が、図1及び図5に示すように、脚部60の途中位置で下向きに、脚部60と取付部65の継ぎ目位置で後向きに2度直角曲げされ、端的にはクランク状に曲げ形成されている。より詳細には、ブラケット52は、連結部54の下面部54Bと面一に後方に延びた水平面70(本発明の基端側の平坦面に相当)の先に、下向きの垂直面71を有するL型の脚部60と、同脚部60の垂直面71の下端に取付部65が後方に水平姿勢で突出した形態で形成されている。なお、取付部65の舌片は併せてL字形に曲げ成形され、回り止め部68が形成されている。
ハウジング20におけるジョイント端子50の雄端子部51を装着する等に機能する前部側の構造は以下のようである。
ハウジング20の前面には、各キャビティ21ごとに配されたランス22を個々に係止解除方向に撓み変位させるための治具80を挿入可能とした治具挿入溝30が形成されている。治具挿入溝30は、各ランス22の前方に開口する形態で形成されており、図14に詳細に示すように、ランス22の幅に相当する幅を持った縦部31Aの上端に横部31Bを連設してなる断面T字形に形成され、横部31Bの両端がガイド32となっている。
治具80は、図16及び図17に示すように、治具挿入溝30に倣って断面T字形に形成され、その先端面がランス22の先端に係合して押圧する押圧部81となっているとともに、横部82の両端がガイド32に嵌るようになっている。このような治具80が柄84の先端に設けられ、柄84を持って治具挿入溝30に抜き差しされるようになっている。
ハウジング20の前面には、ジョイント端子50の雄端子部51が挿入される端子挿入溝35が形成されている。この端子挿入溝35は、図6に示すように、雄端子部51の連結部54の形状に倣って、扁平な横向き(左側に開放)のチャンネル形に形成されており、上下の溝部36A,36Bがそれぞれ、上下各段のキャビティ21の下部に対応する位置、言い換えると、治具挿入溝30の縦部31Aの下端と連なる位置に形成されている。また、同端子挿入溝35の奥面35Aは、図9に示すように、ハウジング20の前面から、同ハウジング20の前面とキャビティ21の前面との間の距離の約2/3の距離入った位置にある。
端子挿入溝35における上溝部36Aと下溝部36Bの奥面には、各キャビティ21の直前に対応する位置ごとに、雄端子部51の雄端子55が圧入される端子圧入孔38が形成されている。各端子圧入孔38は各キャビティ21の前面に開口しているとともに、同端子圧入孔38の間口は、雄端子55の基端の圧入部56より少し狭くなっている。
上記した各端子圧入孔38の直下に対応する位置には、ハウジング20の前面から所定寸法(ハウジング20の前面からキャビティ21の前面までの距離の1/3弱)入った位置から、キャビティ21の前面に達するようにして係止溝40が切られており、同係止溝40の前端面が、上記したジョイント端子50の連結部54に形成された係止突起58が係止される係止面40Aとなっている。
なお、ハウジング20の前面における各係止溝40の手前側に対応する位置には、壁部41を挟んで導入口42が開口されている。
ジョイント端子50の雄端子部51がハウジング20の前面の端子挿入溝35に挿入されると、挿入の途中で各雄端子55の先端が対応する端子圧入孔38に進入し、押し込みの終盤になると、雄端子55の基端側の圧入部56が端子圧入孔38の左右の側壁に食い込み、すなわち圧入されつつ押し込まれ、図8に示すように、連結部54の前縁が端子挿入溝35の奥面35Aに当たったところで押し込みが停止される。その間、係止突起58が導入口42から進入して壁部41を通過したのち対応する係止溝40に嵌り、図9に示すように、それぞれ係止面40Aに係止されることによって雄端子部51が抜け止めされて装着される。
このとき、雄端子部51の各雄端子55は、対応するキャビティ21内に前方から所定寸法突出し、いわゆる待ち受け状態でキャビティ21内に収容される。また、ブラケット52の脚部60の水平面70が、幅方向において、下段の6個のキャビティ21のうち、中央の4個のキャビティ21からなるキャビティ列21Xの配設領域に対応して位置し、同水平面70の左右両側縁は、キャビティ列21Xの両端の各キャビティ21と、それらの外側のキャビティ21との各仕切部分に位置している。
さてブラケット52には、補強ビードが形成されている。第1の補強ビードは、ブラケット52の端縁が表面側に所定高さ直角曲げされたフランジ73によって構成されている。このフランジ73は、脚部60の水平面70から垂直面71に亘る左側縁と、同脚部60の水平面70から垂直面71に亘る右側縁から、さらに取付部65における回り止め部68の奥側の端縁に至る領域と、取付部65における手前側の端縁との3箇所においてそれぞれ形成されている。特筆すべきは、脚部60の水平面70の左右両側縁に形成されたフランジ73は、4個のキャビティ列21Xの両端のキャビティ21に付設された各治具挿入溝30の外側に外れた箇所に位置するところである。
第2の補強ビードは、表面側に叩き出されて形成された突条75から構成されている。突条75は、脚部60の幅方向の中央部において一部が取付部65に延びるようにして図示3本が形成されている。より詳細には、各突条75は、上記した4個のキャビティ列21Xの隣り合うキャビティ21の間の仕切部分に対応するようにして形成されており、それぞれ脚部60の水平面70における連結部54との繋ぎ目部分を基端としており、左側と中央部の突条75の終端は、取付部65における重畳部67の奥側に留まり、右側の突条75は重畳部67の右側を通過して手前の端縁付近にまで達している。3本の突条75は、上記したフランジ73よりも少し低い同一高さに形成されているが、中央の突条75が両端の突条75に比べてやや幅広に形成されている。ブラケット52の垂直面71の幅方向の中央部は、両側のフランジ73から最も離間した箇所であり、特に垂直面71の長さが大であると強度に劣ることが懸念されるため、同箇所に幅広の突条75を設けることで十分な強度を確保するようにしている。
ここで特筆すべきは、脚部60の水平面70の中央部に形成された3本の突条75は、4個のキャビティ列21Xの隣り合うキャビティ21の間の位置において、両側の治具挿入溝30とは干渉しない形態で配されるところである。
ハウジング20の前面における端子挿入溝35の下溝部36Bの直上位置には、言い換えると、下側の段の治具挿入溝30の縦部31Aの高さ領域と対応する位置には、上記した脚部60の水平面70に設けられたフランジ73と突条75のそれぞれの基端側が挿入可能な嵌入凹部44が形成されている。嵌入凹部44の奥面は、上記した係止溝40の係止面40Aの位置まで後退している。
嵌入凹部44の天井面は、下段の治具挿入溝30の横部31Bが開口されている関係上、図6に示すように、フランジ73並びに突条75が嵌入される位置においてのみ、所定幅が残された形態にある。5箇所に残された天井部のうち、両端の天井部45Aと嵌入凹部44の底面との間によって、フランジ73が挿入される受け部46が構成されている。このフランジ73用の受け部46では、天井部45Aにおける天井面の高さが、フランジ73の高さよりも少し低く設定されており、したがってフランジ73は、受け部46に対しては、天井面に少し食い込みつつ、すなわち圧入されるようになっている。
一方、中央の3箇所の天井部45Bと嵌入凹部44の底面との間によって、それぞれ突条75が挿入される受け部47が構成されている。この突条75用の受け部47では、天井部45Bにおける天井面の高さが、突条75の高さにほぼ等しく設定されており、したがって突条75は、受け部47に対してほぼ緊密に挿入されるようになっている。
続いて、本実施形態の作用を説明する。
ジョイントコネクタJCを組み付ける手順の一例は、以下のようである。図7に示すように、リテーナ25を仮係止位置に組み付けたハウジング20に対して、ジョイント端子50が前方から組み付けられる。簡単に繰り返すと、ジョイント端子50の雄端子部51がハウジング20の前面の端子挿入溝35に挿入されると、各雄端子55が端子圧入孔38に圧入されつつキャビティ21内に進入し、図8に示すように、雄端子部51における連結部54の前縁が端子挿入溝35の奥面35Aに当たったところで押し込みが停止され、そのとき図9に示すように、係止突起58が対応する係止溝40に嵌って係止面40Aに係止されることで、雄端子部51が抜け止めされて装着される。雄端子部51の各雄端子55は、対応するキャビティ21内に前方から所定寸法突出して待ち受け状態で収容された状態となる。
この間に、図12に示すように、ブラケット52の脚部60における水平面70の基端側が嵌入凹部44に嵌入され、特に幅方向の両端のフランジ73が、図9,図10及び図13に示すように、フランジ73用の受け部46の手前側の領域に圧入されるとともに、幅方向の中央部の3本の突条75が、図11及び図14に示すように、突条75用の受け部47の奥方まで緊密に挿入される。
一方、ワイヤハーネスWHを構成するアース用電線10の端末にはそれぞれ雌端子11が固着され、各雌端子11は、上記のようにジョイント端子50が予め組み付けられたハウジング20の対応するキャビティ21内に後方から挿入される。雌端子11はランス22を撓み変位させつつ押し込まれ、それに伴い待ち受け状態にある相手の雄端子55が接続部12内に前方から相対的に進入する。図9の鎖線に示すように、雌端子11が正規位置まで押し込まれると、ランス22が復動しつつランス孔に嵌ることで抜け止めされ、併せて雄端子55が接続部12内に正規量進入することで、雌雄の端子11,55同士が正規接続された状態となる。すべての雌端子11が正規に挿入されたら、リテーナ25が本係止位置に押し込まれて各雌端子11が二重係止される。これにより、アース用のワイヤハーネスの端末にジョイントコネクタJCが接続された状態となる。
このようにワイヤハーネスWHの端末に接続されたジョイントコネクタJCは、図示はしないが、車両の所定位置に設定されたアース部に取り付けられ、より具体的には、ジョイント端子50におけるハウジング20の前面側に突出したブラケット52の取付部65に開口された取付孔66が、アース部から突設されたスタッドボルトに挿通され、同スタッドボルトに螺合したナットを締め付けることで、取付部65がアース部に密着して固定される。このとき、回り止め部68をアース部の角部等に係合させておくと、ナットは取付部65を連れ回りさせることなく締め付けることができる。これにより、各アース用電線10が一斉にアースを取ることになる。
なお、別のアース用電線の端末に設けられたアース端子を重畳部67に重ねて接続しておくことで、同アース電線のアースも併せて取ることができる。
本実施形態のジョイントコネクタJCでは、ジョイント端子50に設けられたブラケット52の脚部60の高さが比較的高く、その上端にハウジング20が接続されているのであるから、車両走行時の振動等を受けたときに、脚部60の付け根と雄端子部51の後縁との繋ぎ目に曲げ力が作用しやすいが、脚部60の付け根である水平面70の基端には、2本のフランジ73と3本の突条75が設けられて、それらが対応する受け部46,47内に圧入または緊密に嵌合されていることで、その曲げ力が受け部46,47により受けられ、実質的に曲げ強度が高められたことになる。
メンテナンス等において、ハウジング20から雌端子11を抜き取る場合は、以下のようにして行う。まず、ジョイント端子50のブラケット52を固定していたナットを緩めて外すことによって、ジョイントコネクタJCをアース部から外す。続いて、ハウジング20に装着されたリテーナ25を仮係止位置に戻し、図17に示すように、治具80を所定の姿勢に向けて治具挿入溝30に挿入すると、所定量挿入されたところで、図18に示すように、治具80の先端の押圧部81がランス22の先端を押圧して、ランス22を係止解除方向に強制的に撓み変位させ、これによりランス22による雌端子11に対する係止が解除される。そうしたら、対応するアース用電線10を摘んで後方に引っ張ることによって、雌端子11をキャビティ21の後方に抜き取ることができる。
本実施形態によれば、アース用電線10の端末の雌端子11と、ジョイント端子50の対応する雄端子55とを、共通のハウジング20のキャビティ21内で接続するようにし、すなわち1個のハウジング20で賄うようにしたから、ジョイントコネクタJCのコンパクト化、軽量化を図る上で有効となる。その上で、治具80を用いてアース用電線10側の雌端子11をハウジング20のキャビティ21から抜き取り可能としたから、メンテナンスや回収等に際して便利なものとなる。
また、ジョイントコネクタJCをアース部に取り付けた使用状態において、車両走行に伴って振動を受けると、ジョイント端子50におけるブラケット52の脚部60の付け根と雄端子部51との繋ぎ目に対して大きな曲げ力が作用する可能性が高い。その対策として本実施形態では、ブラケット52の脚部60が、雄端子部51の後縁から面一に延出した水平面70の先に下向きの垂直面71を有するL字形に形成され、雄端子部51との繋ぎ目となる水平面70の基端側に亘って、補強ビードであるフランジ73と突条75とが形成され、これらのフランジ73と突条75の奥端が、ハウジング20に設けられた対応する受け部46,47に嵌められて挟持された構造としてある。
これにより、ブラケット52の脚部60の付け根と雄端子部51との繋ぎ目部分の曲げ剛性が実質的に高められて、折損等が未然に防止され、しかも、補強ビードであるフランジ73と突条75とは、雌端子11を外すべく治具80を挿入するため治具挿入溝30とは干渉しない位置に設けたから、雌端子11の抜き取り操作も担保される。
<実施形態2>
図19及び図20は本発明の実施形態2を示す。
上記実施形態1では、ジョイント端子50におけるブラケット52の脚部60の付け根と雄端子部51との繋ぎ目部分の増強を図るべく、補強ビードであるフランジ73と突条75とを設けるにあたり、いずれも脚部60の水平面70における治具挿入溝30に面した表面側に立ち上がり形成している。そのため、補強ビードを治具挿入溝30を避けて形成しようとすると、特に突条75において、幅等の大きさに制限を受けるため、ブラケット52全体の補強を考慮すると、不利となる可能性がある。
それに対してこの実施形態2のジョイント端子50Xでは、ブラケット52の幅方向の中央部、詳細には治具挿入溝30から外れた位置において、3本の突条75が表面側に叩き出されて形成されていることは、実施形態1とは同様であるが、3本のうち中央の突条75Aのみは、脚部60の垂直面71と取付部65との継ぎ目である屈曲部60Aに形成されているに留められている。言い換えると、脚部60の途中の屈曲部60Bから水平面70に亘っては、表面側に突出した突条は形成されていない。それに代わり同領域には、裏面側に叩き出された別の突条75Bが形成されている。なお、図示はしないが、ハウジング20の前面に、裏側の突条75Bの奥端を嵌めて受ける受け部が設けられている。
その他の構造については、上記実施形態1と同様であり、実施形態1と同一機能を有する部材、部位については、同一符号を付すことで重複した説明は省略する。
突条を特に脚部60の水平面70に形成するに際して、裏面側に叩き出して形成するようにすれば、裏面側では治具挿入溝30と干渉するおそれはないから、幅等の大きさには制約は受けない。そのため本実施形態2では、中央の裏面側に叩き出された突条75Bについては、表面側の突条75Aよりも幅が広く形成されている。
そのため、特に脚部60の途中の屈曲部60Bにおける曲げ剛性をさらに高めることができる。また、表裏両面に補強ビードが設けられることとなって、表裏両方向の曲げに対して有効に増強することができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)ジョイントコネクタをアース部に固定した場合における周囲のスペースや、コネクタの向き等の条件によっては、コネクタをアース部に固定したままで、雌端子をハウジングから拭き取る作業を行うことも可能である。
(2)突条を裏面側に叩き出して形成する場所については、上記実施形態に例示した場所に限らず、適宜に選択可能である。
(3)またフランジについても、ブラケットの裏面側に曲げ形成するようにしてもよい。
(4)ジョイント端子のブラケットの補強ビードが、脚部の付け根と雄端子部との繋ぎ目部分には設けていないものについても、本発明は同様に適用可能である。
(5)上記実施形態では、ジョイント端子において雄端子列が2段に設けられた場合を例示したが、雄端子列が1段だけのもの、逆に雄端子列が3段以上設けられたものであってもよい。
JC…ジョイントコネクタ
WH…ワイヤハーネス
10…アース用電線
11…雌端子
20…コネクタハウジング
21…キャビティ
22…ランス
30…治具挿入溝(治具挿入口)
35…端子挿入溝
38…端子圧入孔
50,50X…ジョイント端子
51…雄端子部
52…ブラケット
54…連結部
55…雄端子
60…脚部
70…(脚部60の)水平面(ブラケット52の基端部)
73…フランジ(補強ビード)
75…突条(補強ビード)
75B…突条(別の補強ビード)
80…治具

Claims (5)

  1. 前後方向に貫通し電線の端末に接続された雌端子を後方から挿入可能なキャビティが複数並設されたコネクタハウジングと、
    前記各キャビティに設けられ前記雌端子に弾性的に係止して抜け止めするランスと、
    前記コネクタハウジングの前面に開口して設けられ、前記ランスを係止解除方向に弾性変位させるべく治具が挿入される治具挿入口と、
    前記コネクタハウジングに装着され、前記各キャビティの前方から挿入可能な雄端子が複数並んで連結された雄端子部の後縁側にアース部への取付用のブラケットが連設されたジョイント端子と、
    が具備されたことを特徴とするアース用のジョイントコネクタ。
  2. 前記ジョイント端子の前記ブラケットには、同ジョイント端子が前記コネクタハウジングに装着された場合における前記治具挿入口から外れた位置に補強ビードが形成されていることを特徴とする請求項1記載のジョイントコネクタ。
  3. 前記ブラケットの基端部は、前記治具挿入口をその表面側に位置させた形態で前記コネクタハウジングの前面に挿入されて装着され、前記ブラケットの前記表面における前記治具挿入口から外れた位置に前記補強ビードが形成されていることを特徴とする請求項2記載のジョイントコネクタ。
  4. 前記ブラケットの裏面側には、表面側に形成された前記補強ビードの一部に代って別の補強ビードが形成されていることを特徴とする請求項3記載のジョイントコネクタ。
  5. 複数のアース用電線の端末に、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のジョイントコネクタが接続されていることを特徴とするワイヤハーネス。
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