JP2011029299A - 巻線用ボビン及び回転電機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この発明に係る巻線用ボビン50では、円筒形状の巻線部49の両側に第1の鍔部51及び第2の鍔部52が設けられており、第2の鍔部52には巻線部49に奇数層数で巻回された導線の巻き終わり部45を係止する第2の係止部58が設けられている。
【選択図】図4
Description
このものの場合、導線を巻線部において第1の鍔部から第2の鍔部に向かって巻回し、第2の鍔部まで巻回したところで、逆に第2の鍔部から第1の鍔部に向かって導線を巻回しており、導線の巻回層数が偶数の場合には、導線の巻き始め側口出し線と巻き終わり側口出し線とは同じ方向に導出される。
そして、導線の層数が奇数の場合にも、巻き始め側の口出し線と巻き終わり側の口出し線とを同じ方向に導出させたい場合には、導線をわざわざ引き返して一層分余計に巻回して外径寸法の増大したコイルを作製し、または一層分巻回数を減らして外径寸法の縮小したコイルを製作するのを防止するために、巻線部に溝が形成されている。
即ち、この場合には、導線の巻き始め部を溝に沿って第2の鍔部まで走らせ、導線の巻回開始位置を第2の鍔部から開始することで、導線の層数が奇数の場合にも、所望のコイルの外径寸法を確保しつつ巻き始め側口出し線と巻き終わり側口出し線とを同じ方向に導出させることを可能にしている。
図1はこの発明の実施の形態1の車両用交流発電機(以下、交流発電機と略称する)を示す側断面図である。
この交流発電機では、アルミニウム製のフロントブラケット1及びリヤブラケット2から構成されたケース3内に、一端部にプーリ4が固定されたシャフト5が回転自在に設けられている。このシャフト5にはランドル型の回転子6が固定されている。回転子6の外周には回転子6を囲むようにして固定子9がケース3の内壁面に固定されている。
シャフト5の他端部には、回転子6に電流を供給するスリップリング10が固定されている。このスリップリング10の表面には、ブラシホルダ12内に収納された一対のブラシ11が摺接するようになっている。
ブラシホルダ12には、固定子9で生じる交流電圧の大きさを調整する電圧調整器13が固定されている。また、リヤブラケット2内には、固定子9に電気的に接続され交流を直流に整流する整流器14が設けられている。
フロントブラケット1には、内径側に複数の吸入孔1aが形成され、外径側に複数の排出孔1bが形成されている。リヤブラケット2には、内径側に複数の吸入孔2aが形成され、外径側に複数の排出孔2bが形成されている。
固定子コイル21は、3相Y形結線された二つの3相交流巻線により構成され、二つの3相交流巻線には位相差が与えられている。
アルミニウム製の第1のヒートシンク30の裏面上には複数の放熱性フィン30aが放射状に形成されている。第1の一方向性通電素子体31は、ダイオードが絶縁性樹脂によりインサートモールド成形で形成されている。
アルミニウム製の第2のヒートシンク32の裏面の一部はリヤブラケット2と面接触している。第2の一方向性通電素子体33は、ダイオードが絶縁性樹脂によりインサートモールド成形で形成されている。
サーキットボード34は、複数のターミナル35がインサートモールド成形されて形成されている。このターミナル35により、第1の一方向性通電素子体31と第2の一方向性通電素子体33とはブリッジ回路を構成するように接続されている。また、ターミナル35により、固定子コイル21と整流器14は接続されている。
巻線用ボビン50は、円筒形状の巻線部49と、この巻線部49のスリップリング10側には第1の鍔部51が形成されており、反スリップリング10側には第2の鍔部52が形成されている。第1の鍔部51及び第2の鍔部52には、それぞれ周方向に沿って軸線方向に突出した回り止め部53が等分間隔で形成されている。この回り止め部53は、フロント側爪状磁極18、リヤ側爪状磁極19の各根元部に嵌着された嵌着部54と、この嵌着部54よりも肉厚が厚く、隣接したフロント側爪状磁極18の基端部間及び隣接したリヤ側爪状磁極19の基端部間にそれぞれ位置した回り止め本体55とから構成されている。各嵌着部54には凹部56が形成されており、この凹部56には接着剤が充填、固化している。
一方、エンジンによってプーリ4は駆動され、シャフト5によって回転子6が回転するため、固定子コア20には回転磁界が与えられ、固定子コイル21には起電力が生じる。
この交流の起電力は、回転子6に流れる電流を調整する電圧調整器13によりその大きさが調整される。また、この交流の起電力により生じる交流は、整流器14を通って直流に整流されて、バッテリに充電される。
また、図1中の矢印C、Dで示されるように、フロントブラケット1側においては、外気は、吸入孔1aを通じて吸い込まれた後フロント側ファン7により遠心方向に曲げられて固定子コイル21のコイルエンドを冷却し、排出孔1bから外部に排出される。
この巻回作業を順次繰り返し、導線の巻回層数が偶数の場合には、最後には巻き終わり部45は第1の鍔部51の他方の第1の係止部57に係止され、巻き終わり部45に接続された巻き終わり側口出し線59は、導線の巻き始め側口出し線60と同じ方向に導出され、巻き始め側口出し線60及び巻き終わり側口出し線59はそれぞれスリップリング10に電気的に接続される。
この例では、巻線用ボビン50Aに対して所望の導線の巻回層数よりも一層分少ない偶数層導線が巻回されており、図8に示すように、導線の巻き始めと巻き終わりは同じ第1の鍔部51側である。
従って、巻き始め側口出し線60及び巻き終わり側口出し線59は共にスリップリング10側に導出され、それぞれの口出し線60,59はスリップリング10に容易に接続される。
しかしながら、このものの場合、本来、爪状磁極18,19とコイル15の外周面とのスペースにさらに一層分の導線の巻回スペースがあるものの、口出し線60,59はスリップリング10に導出させなければならないために、導線の巻回数を1層分減らしている。
そのため、導線の巻回数を減らしたことにより、コイル15の電気抵抗値が低下し、それだけコイル15には界磁電流が過大となり、コイルの温度上昇値が大きくなるという不都合が生じる。
このものの場合、奇数層を巻回した後の導線の巻き終わり部45は、実施の形態1と異なり、第2の係止部58で係止されることなく、図11に示すように、複数の爪状磁極18,19の径方向の内側を走らせなければならない。
従って、例えば巻き終わり部45及び最外層の導線が、回転子6の振動等の影響を受けて第1の鍔部51側に偏り、緊締して巻回された導線が弛み、複数の爪状磁極18,19に衝突し、ひいては断線するおそれがある。
従って、導線の巻回層数が奇数層の場合でも、簡単な構成で、緊締して巻回された導線が弛むことなく所望のコイルの外径寸法を確保しつつ、巻き始め側口出し線59と巻き終わり側口出し線60とを同じ方向に導出させることができ、回転子6に隣接したスリップリング10に容易に接続することができる。
また、巻き終わり部45及び最外層の導線が、複数の爪状磁極18,19に衝突し、ひいては断線するおそれもない。
また、巻き終わり部45は、爪状磁極18,19を横切るものであっても、緊締して巻回された導線が弛むことなく所望のコイル15の外径寸法が確保される。
また、巻線用ボビンは、車両用交流発電機以外の、例えば電動機にも適用できるのは勿論である。
Claims (6)
- 導線が巻回されてコイルが形成される巻線部と、この巻線部の両側にそれぞれ設けられた、第1の鍔部及び第2の鍔部とを備え、
前記第1の鍔部及び前記第2の鍔部には、前記導線を係止する、第1の係止部及び第2の係止部がそれぞれ設けられ、
前記第1の鍔部に設けられた前記第1の係止部は、一対あり、一方の第1の係止部には前記導線の巻き始め部が係止され、他方の第1の係止部には前記導線の巻き終わり部が係止され、
前記第2の鍔部に設けられた前記第2の係止部は、前記巻線部に奇数層数で巻回された前記導線の前記巻き終わり部が係止され、
前記導線は、前記巻き始め部と接続された巻き始め側口出し線、前記巻き終わり部と接続された巻き終わり側口出し線がそれぞれ前記第1の鍔部から導出していることを特徴とする巻線用ボビン。 - 前記第2の係止部は、前記第2の鍔部に複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の巻線用ボビン。
- ケース内に回転自在に設けられたシャフトと、
このシャフトに固定され回転方向に沿ってN極、S極が交互に形成されるランドル型の回転子と、
前記シャフトの端部に固定されたスリップリングと、
この回転子を囲った固定子とを備え、
前記回転子は、請求項1または2に記載の前記巻線用ボビン、この巻線用ボビンに前記導線が巻回されて構成されているとともに前記巻き始め側口出し線及び前記巻き終わり側口出し線と電気的に接続された前記スリップリングを通じて電流が供給されて磁束が発生する前記コイル、及びこのコイルを覆い前記磁束により前記N極、前記S極に着磁される複数の爪状磁極が互いに噛み合うように対向して構成された第1及び第2のポールコア体を含む回転電機であって、
前記導線の前記巻き終わり部は、前記第2の係止部及び前記他方の前記第1の係止部に係止されていることを特徴とする回転電機。 - 前記巻き終わり部は、隣接した前記爪状磁極間を走っていることを特徴とする請求項3に記載の回転電機。
- 前記第1の鍔部及び前記第2の鍔部は、前記第1のポールコア体の隣接した爪状磁極間の根元部に、接着剤が充填、固化された凹部を有する嵌着部を有していることを特徴とする請求項3または4に記載の回転電機。
- 前記回転電機は、車両用交流発電機であることを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載の回転電機。
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