JP2011025764A - 車両のシートベルト装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】前後加速度センサ41や横加速度センサ42、ヨーレートセンサ43等の検出信号を基にして、車両に第1の閾値加速度以上の加速度が作用した後に所定時間の間に車両に設定値以上の加速度が作用したか否かを判定する加速状態判定手段36を設ける。加速状態判定手段36の判定結果に基づいてモータ10の駆動電流を制御する電流制御手段35を設ける。電流制御手段35は、加速状態判定手段36が所定時間の間に車両に設定値以上の加速度が作用したものと判定したときに、ウェビング5を設定量巻取るようにモータ10の駆動電流を制御する。
【選択図】図2
Description
この場合、車両に作用する加速度をセンサによって検出し、検出される加速度に応じてウェビングを巻き取ることが考えられる。しかし、例えば、車両に作用する加速度が閾値を超えたときにモータによってウェビングを設定量巻き取るようにした場合、閾値を低く設定すると、ウェビングによる乗員拘束が頻繁に行われて乗員の快適性が損なわれる可能性があり、逆に、閾値を高く設定すると、旋回走行の状況下等でウェビングによる乗員拘束が得られなくなる可能性がある。
これにより、運転中の車両に第1の閾値加速度以上の加速度が作用すると、加速状態判定手段が、その後に所定時間の間に車両に設定値以上の加速度が作用したか否かを判定する。そして、加速状態判定手段が所定時間の間に車両に設定値以上の加速度が作用したものと判定すると、電流制御手段による駆動電流の制御によってモータがウェビングを設定量巻取り、その結果、シートに着座した乗員にウェビングが密着し、ウェビングによる乗員拘束が迅速に行われるようになる。
これにより、モータがウェビングを設定量巻き取った後には、乗員の上体の振れによってウェビングが引き出されようとすると、そのウェビングの引き出しを戻すようにモータが駆動されるようになる。このため、乗員の上体の振れによってウェビングが引き出されない限りはウェビングから乗員に不要な拘束力が作用しないようになる。
これにより、加速状態判定手段が所定時間の間に車両に設定値以上の加速度が作用しなかったものと判定したときには、ウェビングの弛みをとる設定量の巻取りを行わずに、乗員の上体移動に応じたモータの駆動電流の制御が行われるようになる。
これにより、車両に作用する加速度が第2の閾値加速度以上で第1の閾値加速度未満のとき、例えば、現在、乗員の上体が振れられるほどではないが、上体が振れる状況に移行する可能性が高いときには、モータの駆動電流の制御によってクラッチが接続状態に維持され、モータがウェビングの巻取りを行わずにウェビングの引き出しに抗する負荷として機能するようになる。
図1は、この発明にかかるシートベルト装置1の全体概略構成を示すものであり、同図中2は、乗員3の着座するシートである。この実施形態のシートベルト装置1は、所謂三点式のシートベルト装置であり、図示しないセンタピラーに取付けられたリトラクタ4からウェビング5が上方に引き出され、そのウェビング5がセンタピラーの上部側に支持されたスルーアンカ6に挿通されるとともに、ウェビング5の先端がシート2の車室外側寄りのアウタアンカ7を介して車体フロアに固定されている。そして、ウェビング5のスルーアンカ6とアウタアンカ7の間にはタングプレート8が挿通されており、そのタングプレート8は、シート2の車体内側寄りの車体フロアに固定されたバックル9に対して脱着可能となっている。
ウェビング5は、初期状態ではリトラクタ4に巻き取られており、乗員3が手で引き出してタングプレート8をバックル9に固定することにより、乗員3の主に胸部と腹部をシート2に対して拘束する。また、このシートベルト装置1は、緊急時や車両の挙動変化が大きいときに、電動式のモータ10によって自動的にウェビング5の引き込みを行う。
この場合、ウェビングリール12の回転に応じてセンサ回路からコントローラ21に入力されたパルス信号は、ウェビングリール12の回転量や、回転速度、回転方向等を検出するのに用いられる。つまり、コントローラ21においては、パルス信号をカウントすることによってウェビングリール12の回転量(ウェビング5の引き出し量)を検出し、パルス信号の変化速度(周波数)を演算することによってウェビングリール12の回転速度(ウェビング5の巻取り・引き出し速度)を求め、さらに、両パルス信号の波形の立ち上がりの比較によってウェビングリール12の回転方向を検出する。
動力伝達機構13は、サンギヤ14が駆動入力用の外歯15に一体に結合されるとともに、複数のプラネタリギヤ16を支持するキャリア17がウェビングリール12の軸に結合されている。そして、プラネタリギヤ16に噛合したリングギヤ18の外周側には複数のラチェット歯19(図4参照)が形成され、このラチェット歯19がクラッチ20の一部を構成するようになっている。このクラッチ20は、コントローラ21によるモータ10の駆動力の制御によってモータ10とウェビングリール12の間の動力伝達系を適宜断切する。
クラッチ20は、図示しないケーシングに回動可能に支持され、先端部に係止爪28を有するパウル29と、このパウル29を操作するクラッチスプリング30と、パウル29の係止爪28に係合可能な前記リングギヤ14のラチェット歯19と、を備え、係止爪28は、パウル29がラチェット歯19方向に操作されたときに、ラチェット歯19の傾斜面とほぼ直交する面に突き当たり、リングギヤ14の一方向の回転をロックする。
このようにリングギヤ18の回転がロックされると、前述のようにサンギヤ14に伝達された回転力がすべてキャリア17の回転となってウェビングリール12に伝達されるようになる(クラッチオン状態)。
このようにリングギヤ18のロックが解除されると、前述のようにサンギヤ14に伝達された回転力がプラネタリギヤ16を自転させ、このときリングギヤ18を空転させてキャリア17(ウェビングリール12)側に動力が伝達されないようにする(クラッチオフ状態)。
(a)車両に作用する加速度Gが第2の閾値加速度G2(G2<G1)に満たないときにモータ10に対する通電を停止する。
(b)車両に作用する加速度Gが第2の閾値加速度G2以上で第1の閾値加速度G1未満のときには、ウェビングリール12を巻取り駆動させずにクラッチ20を接続状態に維持し得る駆動電流Iw(接続状態に維持し得るほぼ最小の電流)をモータ10に通電する。
(c)車両に作用する加速度Gが第1の閾値加速度G1以上になった後に、所定時間t1の間に車両に設定値G2以上の加速度が作用したときには、ウェビング5を設定量(例えば、10mm)巻き取った後に、乗員3の上体移動(ウェビング5の引き出し)に応じてモータ10の駆動電流を制御する。
(d)車両に作用する加速度Gが第1の閾値加速度G1以上になった後に、所定時間t1の間に車両に設定値G2以上の加速度が作用しなかったときには、乗員3の上体移動(ウェビング5の引き出し)に応じてモータ10の駆動電流を制御する。
なお、コントローラ21の電流制御手段35は、緊急時やウェビング5の収納時には上記とは別の電流制御を行うが、ここでは、これらの制御についての説明を省略するものとする。
図6は、制御のメインフローを示すフローチャートである。
ステップS101においては、走行時におけるウェビングリール12の巻取り位置を計測し、計測値の平均値等を利用して巻取り基準位置XAを設定する。
ステップS102においては、現在の車速が規定値車速V1(例えば、40km/h)を越えているか否かを判定し、Yesの場合にはステップS103に進み、Noの場合にはリターンする。
ステップS103においては、後に使用するタイマー値をリセットし、つづくステップS104においては、現在の車両の加速度Gが第2の閾値加速度G2以上であるか否かを判定する。ここでYesの場合にはステップS105に進み、Noの場合にはリターンする。
ステップS105においては、現在の車両の加速度Gが第1の閾値加速度G1以上であるか否かを判定し、Yesの場合にはステップS106に進み、Noの場合にはステップS107に進む。
ステップS107においては、モータ10に対し、クラッチ20を接続状態に維持し得る最小の電流Iwで通電する。
また、ステップS106においては、現在の車両の加速度Gが第1の閾値加速度G1以上になった後に、所定時間t1の間に(タイマー値がt1になるまでに)車両に設定値G2以上の加速度が作用したか否かを判定し、Yesの場合には、ステップS108の弛み取り・姿勢保持制御に進み、Noの場合には、ステップS109の姿勢保持制御に進む。弛み取り・姿勢保持制御と姿勢保持制御については後に詳述する。
ステップS108,S109の各制御を終了した後にはステップS110に進み、現在の車両の加速度Gが第2の閾値加速度G2よりも小さい第3の閾値加速度G3(例えば、0.25G)以下であるか否かを判定し、Yesの場合にはステップS111に進み、Noの場合にはステップS106に戻る。すなわち、車両の加速度Gが第3の閾値加速度G3以下になって車両が安定状態になるまでは、ステップS108の弛み取り・姿勢保持制御、若しくは、ステップS109の姿勢保持制御が実行される。
ステップS111においては、モータ10を微小時間逆転させてクラッチ20をオフにし、モータ10とウェビングリール12の接続を遮断する。この後、ステップS112で制御を停止した後にリターンする。
図7のフローチャートに示す弛み取り・姿勢保持制御では、最初に、ステップS201でウェビングリール12の目標位置X1(目標回転位置)を設定する。ここで設定する目標位置X1は、基準位置XAに設定量a(巻取り代a。例えば、10mm)を加算した値とする。
つづく、ステップS202においては、ウェビングリール12の現在位置Xが目標位置X1と等しくないか否かを判定し、Yesの場合(等しくない場合)にはS203に進み、Noの場合(等しい場合)には処理を終了する。
ステップS203においては、現在位置Xが目標位置X1よりも小さいか否かを判定する。ここでYesの場合にはステップS204に進み、モータ10の目標通電量Iを微小量ΔI増加する補正を行ってモータ10の通電を実行する。また、Noの場合にはステップS205に進み、モータ10の目標通電量Iを微小量ΔI減少させる補正を行ってモータ10の通電を実行する。
したがって、この弛み取り・姿勢保持制御においては、設定量のウェビング5の巻取りを行って乗員3にウェビング5を密着させ、その状態が保持されるように乗員3の上体移動に応じてモータ10によるウェビング5の引き込みが制御される。
すなわち、弛み取り・姿勢保持制御のステップS201においては、基準位置XAに設定量a(巻取り代a)を加算した値を、ウェビングリール12の目標位置X1として設定しているが、姿勢保持制御のステップS301においては、基準位置XAをそのままウェビングリール12の目標位置X1として設定している。なお、ステップS302以降の処理については、弛み取り・姿勢保持制御のステップS202以降の処理と同様であるため、ここでは説明を省略する。
この姿勢保持制御においては、ウェビングリール12の位置が基準位置XAに保持されるように、乗員3の上体移動に応じてモータ10によるウェビング5の引き込みが制御される。
そして、弛み取り・姿勢保持制御では、ウェビング5を設定量巻き取った後には乗員3の上体移動に応じてモータ10が引き込み駆動されるため、乗員3の上体の触れによってウェビング5が引き出されない限りは乗員3に不要な拘束力が作用することがない。したがって、乗員3の快適性と高い乗員拘束性能を両立させることができる。
そして、姿勢保持制御では、ウェビング5の設定量の巻取りを行わずに、乗員3の上体移動に応じてモータ10が引き込み駆動されるため、乗員3の上体が振られない間のウェビング5による不要な乗員3の圧迫を抑制しつつ、乗員の上体が振られたときにはウェビング5によって乗員3を確実に保持することができる。
10…モータ
12…ウェビングリール
20…クラッチ
35…電流制御手段
36…加速状態判定手段
41…前後加速度センサ(加速度検出手段)
42…横加速度センサ(加速度検出手段)
43…ヨーレートセンサ(加速度検出手段)
Claims (4)
- ウェビングが巻回されるウェビングリールと、
前記ウェビングリールを回転駆動するモータと、を備えた車両のシートベルト装置であって、
車両に作用する加速度を検出する加速度検出手段と、
前記モータの駆動電流を制御する電流制御手段と、
前記加速度検出手段の検出信号を基にして、車両に第1の閾値加速度以上の加速度が作用した後に所定時間の間に車両に設定値以上の加速度が作用したか否かを判定する加速状態判定手段と、を備え、
前記電流制御手段は、前記加速状態判定手段が所定時間の間に車両に設定値以上の加速度が作用したものと判定したときに、前記ウェビングを設定量巻取るように前記モータの駆動電流を制御することを特徴とする車両のシートベルト装置。 - 前記電流制御手段は、前記加速状態判定手段が所定時間の間に車両に設定値以上の加速度が作用したものと判定して、前記ウェビングを設定量巻取るように前記モータの駆動電流を制御した後に、乗員の上体移動に応じて前記モータの駆動電流を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両のシートベルト装置。
- 前記電流制御手段は、前記加速状態判定手段が所定時間の間に車両に設定値以上の加速度が作用しなかったものと判定したときに、乗員の上体移動に応じて前記モータの駆動電流を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の車両のシートベルト装置。
- 前記モータのウェビング巻取り方向の設定値以上の回転トルクを受けて前記モータとウェビングリールを接続状態に維持するクラッチを備え、
前記電流制御手段は、車両に作用する加速度が前記第1の閾値加速度よりも小さい第2の閾値加速度以上で前記第1の閾値加速度未満のときに、前記ウェビングリールを巻取り駆動させずに前記クラッチを接続状態に維持するように前記モータの駆動電流を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両のシートベルト装置。
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