JP5272036B2 - 車両用シートベルト装置 - Google Patents
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Description
このシートベルト装置は、ウェビングの引き出しに伴ってモータで発電される発電電流を検出する電流検出手段が設けられ、電流検出手段で検出される電流を監視することによって、モータの電気系統のショートや固着を検出するようになっている。
このため、現在、この種のシートベルト装置において、回転センサの故障時にも支障なくモータの制御を行えるようにすることが望まれているが、上記従来のシートベルト装置は、モータの電気系統の故障診断を行うものであり、この課題を解決し得るものではない。
請求項1に係る発明は、ウェビングが巻回されるベルトリール(例えば、実施形態のベルトリール12)と、前記ベルトリールの回転を検出する回転センサ(例えば、実施形態の回転センサ11)と、前記ベルトリールを回転駆動するモータ(例えば、実施形態のモータ10)と、前記回転センサの検出信号に基づいて前記モータを制御するモータ制御手段(例えば、実施形態のモータ制御手段36)と、を備えた車両用シートベルト装置であって、前記回転センサの異常を検知するセンサ異常検知手段(例えば、実施形態のセンサ異常検知手段35)と、前記ウェビングの引き出しに伴って前記モータで発電される電流を検出する電流検出手段(例えば、実施形態の電流センサ40)と、前記電流検出手段の検出信号を用いて前記モータを制御する非常用モータ制御手段(例えば、実施形態の非常用モータ制御手段37)と、前記センサ異常検知手段によって前記回転センサの異常が検知された後に、前記モータ制御手段による前記モータの制御を前記非常用モータ制御手段による制御に切換える制御切換手段(例えば、実施形態の制御切換手段38)と、をさらに備えていることを特徴とするものである。
これにより、センサ異常検知手段によって回転センサの異常が検知されない正常時には、モータ制御手段が、回転センサの検出信号に基づいてモータを制御する。一方、センサ異常検知手段が回転センサの異常を検知すると、制御切換手段がモータ制御手段による制御から非常用モータ制御手段による制御に切換え、非常用モータ制御手段が電流検出手段の検出信号に基づいてモータを制御するようになる。
これにより、通常時にモータを用いない場合には、クラッチによってモータとベルトリールの間の動力伝達を遮断しておくことができる。そして、モータによってベルトリールを駆動するときと、発電電流を検出するときには、クラッチが接続状態に操作される。センサ異常検知手段が回転センサの異常を検知したときには、クラッチが接続状態に操作されることにより、ウェビングの引き出しに伴うベルトリールの回転がモータに伝達され、モータが発電を行うようになる。
これにより、センサ異常検知手段が回転センサの異常を検知した後に、装着状態検出手段による検出結果が非装着から装着に変わると、電流検出手段によって連続して発電電流が検出されない時間が所定時間以上になったか否かの判定が行われ、所定時間以上になったとき、つまり、乗員の着座が安定してウェビングの引き出し方向の振れが停止したときには、非常用モータ制御手段によるモータの制御によってウェビングの弛みが除去されるようになる。
これにより、センサ異常検知手段が回転センサの異常を検知した後に、装着状態検出手段による検出結果が非装着である場合に、ウェビングの引き出しに伴う発電電流が一度検出された(ウェビングが引き出された)後に発電電流が検出されない時間が所定時間以上継続したか否かの判定が行われ、発電電流が検出されない時間が所定時間以上継続したとき、つまり、ウェビングが完全に装着されずに引き出されたままとなっているものと推定されるときには、非常用モータ制御手段によるモータの制御によってウェビングの収納が行われるようになる。
これにより、センサ異常検知手段が回転センサの異常を検知した後に、走行状態検出手段により走行状態が不安定と検出された場合には、非常用モータ制御手段によるモータの制御によって電流検出手段で検出される発電電流に応じた反力をウェビングに作用させるようになる。
図1は、この発明にかかるシートベルト装置1の全体概略構成を示すものであり、同図中2は、乗員3の着座するシートである。この実施形態のシートベルト装置1は、所謂三点式のシートベルト装置であり、図示しないセンタピラーに取付けられたリトラクタ4からウェビング5が上方に引き出され、そのウェビング5がセンタピラーの上部側に支持されたスルーアンカ6に挿通されるとともに、ウェビング5の先端がシート2の車室外側寄りのアウタアンカ7を介して車体フロアに固定されている。そして、ウェビング5のスルーアンカ6とアウタアンカ7の間にはタングプレート8が挿通されており、そのタングプレート8は、シート2の車体内側寄りの車体フロアに固定されたバックル9に対して脱着可能となっている。
ウェビング5は、初期状態ではリトラクタ4に巻き取られており、乗員3が手で引き出してタングプレート8をバックル9に固定することにより、乗員3の主に胸部と腹部をシート2に対して拘束する。また、このシートベルト装置1は、車両の走行状況等に応じて電動式のモータ10によって自動的にウェビング5の巻取り調整を実行する。
この場合、ベルトリール12の回転に応じてセンサ回路からコントローラ21に入力されたパルス信号は、ベルトリール12の回転量(回転位置)や、回転速度、回転方向等を検出するのに用いられる。つまり、コントローラ21においては、パルス信号をカウントすることによってベルトリール12の回転量(ウェビング5の巻取り量・引き出し量)を検出し、パルス信号の変化速度(周波数)を演算することによってベルトリール12の回転速度(ウェビング5の巻取り・引き出し速度)を求め、さらに、両パルス信号の波形の立ち上がりの比較によってベルトリール12の回転方向を検出する。
動力伝達機構13は、サンギヤ14が駆動入力用の外歯15に一体に結合されるとともに、複数のプラネタリギヤ16を支持するキャリア17がベルトリール12の軸に結合されている。そして、プラネタリギヤ16に噛合したリングギヤ18の外周側には複数のラチェット歯(図示省略)が形成され、このラチェット歯がクラッチ20の一部を構成するようになっている。このクラッチ20は、コントローラ21によるモータ10の駆動力の制御によってモータ10とベルトリール12の間の動力伝達系を適宜断接する。
この実施形態の場合、電流センサ40は、モータ10の通電電流をコントローラ21にフィードバックするためのセンサが兼用されている。
これらの図に示すように、A相,B相のパルス波形は、回転センサ11が正転(一方向に回転)するときのものであるとすると、A相とB相の加算値は…3→2→0→1…と変化し、回転センサが逆転する場合には、A相とB相の加算値は…3→1→0→2…と変化する。
また、この例では、A相とB相の加算値が…3→2→0→1…と変化する場合(正転時)には、加算値の変化(前回値−今回値)を+1とし、A相とB相の加算値が…3→1→0→2…と変化する場合には、加算値の変化(前回値−今回値)を−1としており、図4の(F)は、正転時における加算値の変化(前回値−今回値)の様子を示している。また、図4の(G)は、A相とB相の加算値変化をカウントした値を示している。パルスの総カウント値はベルトリール12の回転量に応じて変化し、正転時には増加し、逆転時には減少する。
この回転センサ11のB相の故障時には、図5の(D)に示すように、B相のパルスの対応値は常に1となり、A相とB相の加算値は、図5の(E)に示すように…1→3→1…と変化し、加算値の変化(前回値−今回値)は、図5の(F)に示すように1の場合と−1の場合がある。このため、図5の(G)に示すように、パルスの総カウント値は、ベルトリール12が回転しても1以上に増加することがなく、−1以下に減少することもない。
なお、ここでは図示は省略するが回転センサ11のA相が故障した場合も同様である。
この実施形態のセンサ異常検知手段35は、パルスの総カウント値が−1以上1以下の範囲で変動するときに、回転センサ11のA相、B相の一方に異常があるものと判定する。
また、モータ制御手段36は、乗員3の姿勢保持制御を行う場合には、前後加速度センサ30や横加速度センサ31、ヨーレートセンサ32等から出力される車両状態信号を基にして基準目標電流を設定し、その基準目標電流を、ベルトリール12の目標回転位置と現在位置との差や、ベルトリール12の目標巻取速度と現在の実際の巻取速度との差等を加味して逐次補正し、その補正後の値を最終目標電流としてモータ10の通電電流を制御する。すなわち、モータ制御手段36においては、ベルトリール12の現在位置と現在速度(いずれも回転センサ11の出力信号に基づいて検出。)をフィードバックパラメータとして用いている。
バックルスイッチ33の検出信号がOFFからONに変わった後に、モータ10の発電電流が電流センサ40によって検出されない時間が所定時間T1以上継続したときにモータ10の通電を開始し、ウェビング5が乗員3の体に密着してモータ10の駆動電流が規定値I1Aに達したところでモータ10の通電を停止する。
バックルスイッチ33の検出信号がOFFである場合に、モータ10の発電電流が電流センサ40によって一度検出された後に、所定時間T2以上モータ10の発電電流が電流センサ40によって検出されないときに、ウェビング5の収納が完了してモータ10の駆動電流が規定値I2Aに達するまでモータ10に通電を行う。
車両の走行状態を検出する各センサ30,31,32の検出信号に基づいて走行状態が不安定であると判定したときに、電流センサ40によって検出されるモータ10の発電電流に応じた反力をウェビング5に作用させるようにモータ10に通電を行う。
図7に示す回転センサ11の故障判定制御では、最初に、ステップS100において、回転センサ11のパルス出力があるか否かを判定し、Yesの場合には、ステップS101に進み、Noの場合には、ステップS102に進む。ステップS102では、回転センサ11のA相、B相のいずれからもパルスが出力されないため、異常フラグを有効にした後にリターンする。
ステップS201では、モータ10を瞬時正転方向に駆動してクラッチ20を接続状態にする。
つづく、ステップS203においては、バックルスイッチ33がONであるか否かを判定し、Yesの場合には、ステップS204に進み、NOの場合には、ステップS205へと進む。
なお、以下で説明するステップS204以後の処理は、ウェビング5の弛み除去制御であり、ステップS205以後の処理は、ウェビング5の収納制御である。
ステップS206では、モータ10を正転方向に連続作動させてウェビング5の弛み除去を実行し、つづく、ステップS207では、モータ10の駆動電流が規定電流I1A以上になったか否かを判定し、Yesの場合には、ステップS208に進んでモータ制御を停止し、Noの場合には、ステップS206に戻ってウェビング5の弛み除去を継続する。
ステップS210に進んだ場合には、ウェビング5を引き出したがタングプレート8をバックル9に完全に装着せずにウェビング5から手を離したような場合であり、このときステップS210において、モータ10を正転方向に連続作動させ、ウェビング5をベルトリール12に巻取り収納する。つづく、ステップS211では、モータ10の駆動電流が規定電流I2A以上になったか否かを判定し、Yesの場合には、ステップS208に進んでモータ制御を停止し、Noの場合には、ステップS210に戻ってウェビング5の巻取り収納を継続する。
ステップS301では、モータ10を瞬時正転方向に駆動してクラッチ20を接続状態にする。
ステップS304においては、電流センサ40での発電電流の検出が無いか否かを判定し、Yesの場合には、ステップS305に進んでモータ10を停止状態に維持し、Noの場合、つまり発電電流の検出がある場合には、ステップS306に進み、モータ10を正転方向に回転駆動させてステップS304に戻る。ステップS307では、車両の走行状態を検出する各センサ30,31,32の検出信号に基づいて車両が安定状態になったか否かを判定し、Yesの場合には、ステップS308に進んでモータ制御を停止し、Noの場合には、ステップS304に戻る。
すなわち、ステップS304,S305,S306では、ウェビング5の引き出し(発電電流の検出)が無い場合には、作動停止したモータ10側の負荷のみをウェビングの引き出しを抑制するように機能させ、ウェビング5の引き出しがあった場合には、その引き出し力に応じた反力をモータ10からウェビング5に作用させる。したがって、乗員3の姿勢はこの制御によって保持されることになる。
10…モータ
11…回転センサ
12…ベルトリール
20…クラッチ
30…前後加速度センサ(走行状態検出手段)
31…横加速度センサ(走行状態検出手段)
32…ヨーレートセンサ(走行状態検出手段)
33…バックルスイッチ(装着状態検出手段)
35…センサ異常検知手段
36…モータ制御手段
37…非常用モータ制御手段
38…制御切換手段
40…電流センサ(電流検出手段)
Claims (5)
- ウェビングが巻回されるベルトリールと、
前記ベルトリールの回転を検出する回転センサと、
前記ベルトリールを回転駆動するモータと、
前記回転センサの検出信号に基づいて前記モータを制御するモータ制御手段と、
を備えた車両用シートベルト装置であって、
前記回転センサの異常を検知するセンサ異常検知手段と、
前記ウェビングの引き出しに伴って前記モータで発電される電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段の検出信号を用いて前記モータを制御する非常用モータ制御手段と、
前記センサ異常検知手段によって前記回転センサの異常が検知された後に、前記モータ制御手段による前記モータの制御を前記非常用モータ制御手段による制御に切換える制御切換手段と、
をさらに備えていることを特徴とする車両用シートベルト装置。 - 前記モータとベルトリールの間の動力の断接を操作するクラッチを備え、
前記制御切換手段は、前記クラッチを接続状態にして前記電流検出手段による電流検出を実行することを特徴とする請求項1に記載の車両用シートベルト装置。 - 前記ウェビングが装着状態であるか否かを検出する装着状態検出手段を備え、
前記非常用モータ制御手段は、前記装着状態検出手段による検出結果が非装着から装着に変わった後に、前記電流検出手段によって連続して発電電流が検出されない時間が所定時間以上になったときには、前記ウェビングの弛みを除去するように前記モータを制御することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用シートベルト装置。 - 前記ウェビングが装着状態であるか否かを検出する装着状態検出手段を備え、
前記非常用モータ制御手段は、前記装着状態検出手段による検出結果が非装着である場合に、前記電流検出手段によって発電電流が一度検出された後に所定時間以上、前記電流検出手段によって発電電流が検出されないときには、前記ウェビングを収納するように前記モータを制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用シートベルト装置。 - 車両の走行状態を検出する走行状態検出手段を備え、
前記非常用モータ制御手段は、前記走行状態検出手段により走行状態が不安定と検出された場合に、前記電流検出手段で検出される発電電流に応じた反力をウェビングに作用させるように前記モータを制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用シートベルト装置。
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