JP4597754B2 - シートベルト装置 - Google Patents
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Description
このような状況の場合、従来のシートベルト装置は、衝突の回避後にもウェビングの緊急引き込みが所定時間行われ、その後に緊急引き込み制御が解除される。このため、従来のシートベルト装置においては、衝突回避後の緊急引き込みの解除にタイムラグが生じやすい。
この場合、ロック解除モードが選択された状態で、シートベルト制御手段にウェビングの緊急引き込み制御を解除すべき指令が発されると、ウェビングの引き込み移動が一度停止して緊急ロック機構がロック作動した後、緊急引き込み制御時のウェビングの累積引き込み量に応じた力とウェビングをさらに引き込む力を加算した力でウェビングが引き込まれ、それによって緊急ロック機構がロック解除されるようになる。
この場合、ウェビングの張力が完全にゼロになる前のタイミングでロック解除用のウェビングの引き込みが行われると、ウェビングの引き込み移動が一度停止した後にも乗員が断続的な引き込みと感じにくくなる。
図1は、この発明にかかるシートベルト装置1の全体概略構成を示すものであり、同図中2は、乗員3の着座するシートである。この実施形態のシートベルト装置1は、いわゆる三点式のシートベルト装置であり、図示しないセンタピラーに取り付けられたリトラクタ4からウェビング5が上方に引き出され、そのウェビング5がセンタピラーの上部側に支持されたスルーアンカ6に挿通されるとともに、ウェビング5の先端がシート2の車室外側寄りのアウタアンカ7を介して車体フロアに固定されている。そして、ウェビング5のスルーアンカ6とアウタアンカ7の間にはタングプレート8が挿通されており、そのタングプレート8は、シート2の車体内側寄りの車体フロアに固定されたバックル9に対して脱着可能となっている。
ウェビング5は、初期状態でリトラクタ4に巻き取られており、乗員3が手で引き出してタングプレート8をバックル9に固定することにより、乗員3の主に胸部と腹部をシート2に対して拘束する。このシートベルト装置1の場合、衝突時におけるウェビング5の緊急引き込みが電動式のモータ10によって行われ、このモータ10がプリテンション機構を構成するようになっている。
クラッチ20は、図示しないケーシングに回動可能に支持され、先端部に係止爪28を有するパウル29と、このパウル29を操作するクラッチスプリング30と、パウル29の係止爪28に係合可能な前記リングギヤ14のラチェット歯19と、を備え、係止爪28は、パウル29がラチェット歯19方向に操作されたときに、ラチェット歯19の傾斜面とほぼ直交する面に突き当たり、リングギヤ14の一方向の回転をロックするようになっている。
このようにリングギヤ18の回転がロックされると、前述のようにサンギヤ14に伝達された回転力がすべてキャリア17の回転となってリール12に伝達されるようになる(クラッチオン状態)。
このようにリングギヤ18のロックが解除されると、前述のようにサンギヤ14に伝達された回転力がプラネタリギヤ16を自転させ、このときリングギヤ18を空転させてキャリア17(リール12)側に動力が伝達されないようにする(クラッチオフ状態)。
シートベルト制御手段40は、衝突可能性判定手段38が衝突の可能性有りと判定したときに、モータ10を正転方向に回転させ、それによってウェビング5を設定量引き込んで実際の衝突に備える(このときの制御を「緊急引き込み制御」と呼ぶ)。なお、このときクラッチ20はモータ10の正転駆動によって自動的にオンになる。
ウェビング5の緊急引き込み制御からロック解除用のウェビング5の引き込み制御に移行し、その後に引き込み制御を終了する。具体的には、緊急引き込み制御によるウェビング5の移動を停止して、緊急ロック機構33の機械的なロックの後にロック解除のための引き込み制御に移行し、ここでロック作動を解除し得る所定量のウェビング5の引き込みを行った後にモータ10を逆転させてクラッチ20を解除する。
ロック解除のための引き込みにおいては、緊急引き込み制御時のウェビング5の累積引き込み量を基に、その累積引き込み量に応じた力と、ロック解除のための力αを加算した引き込み力となるようにモータ10の電流を制御する。なお、ロック解除のための力αは解除信号の入力からの経過時間等に応じて変化されるようにしても良い。また、緊急引き込み制御時にモータ10に流す電流値は、累積引き込み量から演算するのに代えて、実引き込み時間等から予測するようにしても良い。
<通常解除モード>
ウェビング5の緊急引き込み制御からモータ10の回転を停止し、設定時間の経過後にモータ10を逆転させてクラッチ20を解除する。なお、モータ10の停止時に即時にクラッチを解除せずに設定時間の経過を待つのは、この間にモータ側動力伝達系22の慣性質量による負荷をウェビング5に作用させ、乗員に対する拘束力が急激に抜けないようにするためである。
S101において緊急引き込み制御が開始されると、次に、S102において、緊急引き込み解除手段41からの解除信号(指令)の入力があったかどうかを判断する。ここで、解除信号の入力があった場合には、S103に進み、解除信号の入力が無かった場合には、S104に進んで緊急引き込み制御を継続する。
S103においては、解除信号が入力されるまでの間に、ロック作動判定手段39でロック作動有りの信号が出力されたか否かを判定し、ロック作動有りの信号が出力された場合には、S105に進み、ロック作動有りの信号出力がない場合には、S106へと進む。ここでの判定は解除モード選択部42の機能に相当する。
S105においては、ウェビング5の引き込み移動を一時的に停止した後に上述のロック解除用の引き込み制御に移行し、ロック解除後にモータ10を停止させて、次のS107においてクラッチ20を解除して制御を終了する。
一方、S106においては、モータ10を停止してウェビング5の引き込みを停止し、設定時間ウェビング5に負荷を作用させた後に、S107においてクラッチ20を解除して制御を終了する。
この場合、ウェビング張力が高まった状態のまま緊急引き込み制御からロック解除用の引き込み制御に連続的に移行しているため、乗員に二度引き感を与えることなく、速やかに緊急引き込み制御を解除することができる。
この場合、ウェビング張力が完全にゼロになる前に緊急引き込み制御からロック解除用の引き込み制御に連続的に移行するため、速やかに、かつ乗員に与える二度引き感を抑制した状態で緊急引き込み制御を解除することができる。
この場合、緊急引き込み制御の解除の際にロック解除用の引き込みがまったく行われないため、不要な張力を乗員に与えることがない。
5…ウェビング
33…緊急ロック機構
38…衝突可能性判定手段
39…ロック作動判定手段
40…シートベルト制御手段
41…緊急引き込み解除手段
42…解除モード選択部
Claims (3)
- シートに着座した乗員を拘束するウェビングと、
衝突の危険性の高い所定運転状況時にウェビングの引き出しを機械的にロックする緊急ロック機構と、
車両の衝突可能性を判定する衝突可能性判定手段と、
この衝突可能性判定手段が衝突の可能性有りと判定したときにウェビングの緊急引き込み制御を行うシートベルト制御手段と、
を備えたシートベルト装置において、
前記シートベルト制御手段のウェビングの緊急引き込み制御開始後に前記衝突可能性判定手段が衝突可能性なしと判定したならば、シートベルト制御手段にウェビングの緊急引き込み制御の解除指令を発する緊急引き込み解除手段と、
前記緊急ロック機構のロック作動の有無を判定するロック作動判定手段と、
前記シートベルト制御手段による緊急引き込み制御の解除時に、前記ロック作動判定手段がロック作動有りと判定した場合には、ロック解除用のウェビング引き込み制御に移行して引き込み制御を終了するロック解除モードを選択し、前記ロック作動判定手段がロック作動なしと判定した場合には、ロック解除用のウェビング引き込み制御に移行せずに引き込み制御を終了する通常解除モードを選択する解除モード選択部と、
を設けたことを特徴とするシートベルト装置。 - 前記ロック解除モードの選択時におけるロック解除用のウェビングの引き込みは、緊急引き込み制御時のウェビングの累積引き込み量を基に引き込み力を制御することを特徴とする請求項1に記載のシートベルト装置。
- 前記ロック解除モードの選択時におけるロック解除用のウェビングの引き込みは、ウェビングの張力がゼロになる前のタイミングで行うことを特徴とする請求項1または2に記載のシートベルト装置。
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