JP2005028970A - 車両用シートベルト装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロック機構のロックやクラッチ機構の作動を解除するときに電動モータに生じる作動音を低減可能なシートベルト装置を提供する。
【解決手段】シートベルト装置は、電動モータ17、ロック機構およびクラッチ機構Cを有するリトラクタ12と、巻き取り制御プログラムを実行するマイクロコンピュータ35とを備えている。マイクロコンピュータ35は、センサ42からの信号に基づき車両緊急状態を判定し、電動モータ17を正転させてシートベルト11を巻き取る。緊急状態回避後、センサ43,44からの信号に基づき減速状態を判定し、ロック機構のロック解除のためにロック解除電流を流して電動モータ17を正転させる。クラッチ機構Cの作動解除のためにロック解除電流より小さい電流値のクラッチ解除電流を流して電動モータ17を逆転させる。電動モータ17の電流値の変化に基づきその作動を停止させることも可能である。
【選択図】 図1
【解決手段】シートベルト装置は、電動モータ17、ロック機構およびクラッチ機構Cを有するリトラクタ12と、巻き取り制御プログラムを実行するマイクロコンピュータ35とを備えている。マイクロコンピュータ35は、センサ42からの信号に基づき車両緊急状態を判定し、電動モータ17を正転させてシートベルト11を巻き取る。緊急状態回避後、センサ43,44からの信号に基づき減速状態を判定し、ロック機構のロック解除のためにロック解除電流を流して電動モータ17を正転させる。クラッチ機構Cの作動解除のためにロック解除電流より小さい電流値のクラッチ解除電流を流して電動モータ17を逆転させる。電動モータ17の電流値の変化に基づきその作動を停止させることも可能である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の緊急時にシートベルトを巻き取って乗員を拘束可能な車両用シートベルト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、衝突予測、急操舵、急制動などの車両の緊急時に、シートベルトを電動モータで巻き取って乗員を拘束するようにした車両用シートベルト装置が知られている(下記特許文献1)。また、この種のシートベルト装置として、通常時には乗員によるシートベルトの自由な引き出しを許容するとともに、車両の緊急時には電動モータによるシートベルトの巻き取りを許容するようにしたクラッチ機構を備えたものも知られている。一方、車両の緊急時には、ブレーキの踏み込み操作により通常、車両が減速状態になるが、この場合にシートベルトの引き出しを禁止するようにしたロック機構を備えたものがある(下記特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−247008号公報
【特許文献2】
特開2001−270423号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の装置においては、車両が緊急状態を回避した後に、乗員をシートベルトによる拘束から解放するために、ロック機構のロックやクラッチ機構の作動を解除することが考えられる。この場合、ロック機構のロックやクラッチ機構の作動を解除するために、通常電動モータが駆動されるが、この電動モータの駆動により作動音が生じるので、車両が緊急状態を回避した後においては、この作動音が乗員に不快感を与えるという問題がある。
【0005】
【発明の概要】
本発明は、上記問題に対処するためになされたものであり、その目的は、ロック機構のロックやクラッチ機構の作動を解除するとき、電動モータの駆動により生じる作動音を低減可能なシートベルト装置を提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、車両の緊急時にシートベルトを巻き取る電動モータと、車両の減速状態時にシートベルトの引き出しが禁止されるようにロックして同ロックを維持するとともに、同ロックが電動モータによるシートベルトの巻き取り方向への回転によって解除されるロック機構と、電動モータによるシートベルトの巻き取り方向への回転によってシートベルトの巻き取りが許容されるように作動して作動を維持するとともに、同作動が電動モータによるシートベルトの引き出し方向への回転によって解除されるクラッチ機構とを有するリトラクタを備えた車両用シートベルト装置において、ロック機構のロックを解除するために電動モータにロック解除電流を流して電動モータをシートベルトの巻き取り方向へ回転させるロック解除手段と、クラッチ機構の作動を解除するために電動モータにロック解除電流の電流値より小さい電流値であるクラッチ解除電流を流して電動モータをシートベルトの引き出し方向へ回転させるクラッチ解除手段とを設けたことにある。
【0007】
この本発明の特徴によれば、クラッチ解除手段がロック解除電流の電流値より小さい電流値であるクラッチ解除電流を電動モータに流してクラッチ機構の作動を解除する。すなわち、ロック機構のロックを解除するためには電動モータをシートベルトの巻き取り方向へ回転させるが、この状態ではシートベルトが既に所定の張力に維持されている。したがって、同ロックを解除するためには少なくともシートベルトの張力に応じた程度に大きなトルクで電動モータを駆動する必要があるので、電動モータに対して同トルクに応じた電流を供給する必要がある。これに対して、クラッチ機構の作動を解除するためには電動モータをシートベルトの引き出し方向へ回転させるが、この場合はシートベルトの張力とは関係がないので、ロック解除電流の電流値より小さい電流値のクラッチ解除電流を電動モータに供給すれば足りる。このように、クラッチ解除電流を小さくできるので、電動モータの作動音を小さくできる。
【0008】
この場合、電動モータにおける電流値の変化を検出する電流値変化検出手段と、電流値変化検出手段によってクラッチ機構の作動解除前後における電動モータの電流値の変化が検出されたとき、クラッチ解除手段を制御して電動モータにクラッチ解除電流を流すことを停止する停止手段とを設ける構成にするとよい。
【0009】
これによれば、電流値変化検出手段によってクラッチ機構の作動解除前後における電動モータの電流値の変化が検出されたとき、停止手段によって電動モータにクラッチ解除電流を流すことが停止される。すなわち、クラッチ機構の作動が解除されるときには、同作動が解除される前よりも電動モータの角速度が大きくなるので、これに応じて電動モータの逆起電圧が大きくなる。したがって、クラッチ機構の作動が解除される前後で電動モータ17の電流値が変化するので、この電流値の変化を検出すれば、クラッチ機構の作動が解除されたことを検出できる。これにより、クラッチ機構の作動を解除するための通電時間を最小にできるので、さらに電動モータの作動音を小さくできる。
【0010】
また、本発明の他の特徴は、車両の緊急時にシートベルトを巻き取る電動モータと、電動モータによるシートベルトの巻き取り方向への回転によってシートベルトの巻き取りが許容されるように作動して同作動を維持するとともに、同作動が電動モータによるシートベルトの引き出し方向への回転によって解除されるクラッチ機構とを有するリトラクタを備えた車両用シートベルト装置において、クラッチ機構の作動を解除するために前記電動モータにクラッチ解除電流を流して同電動モータをシートベルトの引き出し方向へ回転させるクラッチ解除手段と、クラッチ機構の作動が解除されたことを検出するクラッチ解除検出センサと、クラッチ解除検出センサによってクラッチ機構の作動が解除されたことが検出されたとき、クラッチ解除手段を制御して電動モータにクラッチ解除電流を流すことを停止する停止手段とを設けたことにある。
【0011】
これによれば、クラッチ解除検出センサによってクラッチ機構の作動が解除されたことが検出されたとき、停止手段によって電動モータにクラッチ解除電流を流すことが停止される。これにより、クラッチ機構の作動を解除するために電動モータに対して必要以上の通電をしなくて済むので、電動モータの作動音を小さくできる。
【0012】
また、本発明の他の特徴は、車両の緊急時にシートベルトを巻き取る電動モータと、車両の減速状態時にシートベルトの引き出しが禁止されるようにロックして同ロックを維持するとともに、同ロックが電動モータによるシートベルトの巻き取り方向への回転によって解除されるロック機構とを有するリトラクタを備えた車両用シートベルト装置において、ロック機構のロックを解除するために電動モータにロック解除電流を流して同電動モータをシートベルトの巻き取り方向へ回転させるロック解除手段と、ロック機構のロックが解除されたことを検出するロック解除検出センサと、ロック解除検出センサによってロック機構のロックが解除されたことが検出されたとき、ロック解除手段を制御して電動モータにロック解除電流を流すことを停止する停止手段とを設けたことにある。
【0013】
これによれば、ロック解除検出センサによってロック機構のロックが解除されたことが検出されたとき、停止手段によって電動モータにロック解除電流を流すことが停止される。これにより、ロック機構のロック解除のために電動モータに対して必要以上の通電をしなくて済むので、電動モータの作動音を小さくできる。
【0014】
【発明の実施の形態】
a.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態について図面を用いて説明すると、図1は、同第1実施形態に係る車両用シートベルト装置を概略的に示している。この車両用シートベルト装置は、車両の緊急時にシートベルトを巻き取って乗員を保護するものであり、シートベルト機構SBおよび電気制御装置ELを備えている。
【0015】
シートベルト機構SBは、シートSに着座した乗員を保護するシートベルト11を備えている。シートベルト11は、シートSの一方側に設けたリトラクタ12から引き出されて、その中間部位にてショルダベルトアンカ13によって摺動可能に支持され、その他端にてシートSの一方の側に固定されている。シートベルト11の中間部位にはタングプレート15が移動可能に組み付けられている。タングプレート15は、シートSの他方の側に固定されたバックル16に脱着可能に勘合される。
【0016】
リトラクタ12は、図2に模式的に示すように、電動モータ17、クラッチ機構C、巻き取り機構Kおよびロック機構Lを備えている。電動モータ17は、回転軸17aにて中間ギヤを含む減速機構Gおよびクラッチ機構Cを介して巻き取り機構Kに連結されている。巻き取り機構Kは、ケース18に回転可能に支持されたシャフト19と、同シャフト19に一体回転可能に組み付けられてシートベルト11の一端を固定しているスプール20とを備えている。
【0017】
クラッチ機構Cは、常に電動モータ17によるシートベルト11の巻き取りが許容されるように作動するものであり、ギヤ21、ラチェット22、一対のクラッチ爪23、クラッチ爪規制板24およびクラッチ爪当接部材25をそれぞれ備えている。ギヤ21は、シャフト19の外周上にその軸線回りに回転可能に組み付けられ、外周縁に減速機構Gの中間ギヤに噛み合った歯を有するとともに、有底円筒状のケース21aを備えていて、同ケース21a内にてラチェット22を収容するとともに、各一対のクラッチ爪23、クラッチ爪規制板24およびクラッチ爪当接部材25を収容している。ラチェット22は、シャフト19に固定されていて、クラッチ爪23の各爪に噛み合い可能な歯22aを有している。各一対のクラッチ爪23、クラッチ爪規制板24およびクラッチ爪当接部材25は、それぞれギヤ21の中心に対してほぼ対称に配設されている。各クラッチ爪23は、それぞれ中間部にてケース21aの軸線方向に固定された固定軸21a1に回動可能に組み付けられ、前端部にラチェット22の歯22aに噛み合い可能な爪23aを有するとともに後端部に凸部23bを有している。各クラッチ爪規制板24は、それぞれケース21aの内周面に沿って回動可能に組み付けられ、一端側にクラッチ爪23の凸部23bに係合可能な凹部24aを有するとともに他端側にコイルスプリング26およびクラッチ爪当接部材25を備えている。
【0018】
電動モータ17が駆動されていない場合には、図2に示すように、クラッチ爪23の爪23aがラチェット22の歯22aと噛み合っていない状態にある。この状態では、ラチェット22の自由な回転が許容されてシートベルト11の自由な引き出しが許容される。この状態から電動モータ17が正転駆動されると、同モータ17の動力が減速機構Gを介してギヤ21に伝達され、ギヤ21およびクラッチ爪23が図示反時計回りに回転する。この場合、クラッチ爪規制板24は慣性により原位置に留まろうとするので、クラッチ爪23の凸部23bとクラッチ爪規制板24の凹部24aとの係合が解除される。これにより、クラッチ爪23は、クラッチ爪当接部材25によりラチェット22側へと誘導されて、図3に示すように、爪23aがラチェット22の歯22aと噛み合う。なお、クラッチ爪規制板24は、後方のクラッチ爪23、クラッチ爪当接部材25およびコイルスプリング26により押されてギヤ21の回転に遅れて図示反時計回りに回動する。このようにして、クラッチ機構Cは、電動モータ17の動力をギヤ21、クラッチ爪23、ラチェット22およびシャフト19を介して巻き取り機構Kに伝達する作動状態になる。
【0019】
一方、図3に示す状態から電動モータ17が逆転駆動されると、ギヤ21およびクラッチ爪23が図示時計回りに回転する。この場合、クラッチ爪23は、クラッチ爪当接部材25と当接しながらラチェット22の歯22aとの噛み合いが解かれる方向に回動し、凸部23bがクラッチ爪規制板24の凹部24aと係合することでその回動を阻止される。これにより、図2に示すように、クラッチ爪23の爪23aとラチェット22の歯22aとの噛み合いが解かれ、クラッチ機構Cは、その作動を解除されてシートベルト11の自由な引き出しを許容する。
【0020】
ロック機構Lは、シートベルト11の引き出しが禁止されるようにロックするものであり、ブラケット支持台27、ブラケット28、センサボール29、パウル30およびラチェット31を備えている。ブラケット支持台27はケース18に固定されている。ブラケット28は、中空の半円筒状をなし、ブラケット支持台27にて固定されている。センサボール29は、ブラケット28内にて転がり可能に収容されていて、車両の減速状態時にブラケット28の内壁面を登り、非減速状態時にブラケット28の下部に位置する。パウル30は、一端にてブラケット支持台27に回動可能に支持されていて、他端にてラチェット31の歯に噛み合い可能な爪30hを有している。ラチェット31は、スプール20に固定されていて、パウル30の爪30hに噛み合い可能な歯31hを有している。歯31hは、爪30hとの噛み合い時にシートベルト11の引き出し方向への回転を禁止するが、シートベルト11の巻き取り方向への回転を許容する歯形を有している。
【0021】
このため、図3に示すように、車両の減速状態時にはセンサボール29が慣性力を受けて、ブラケット28の内壁面を登りパウル30を押し上げる。これにより、パウル30の爪30hがラチェット31の歯31hに噛み合い、ラチェット31およびスプール20によるシートベルト11の引き出し方向への回転がロックされてシートベルト11の引き出しが禁止される。このロックは、車両が減速状態にありセンサボール29がパウル30を押し上げる位置にて安定する限り、維持される。
【0022】
この状態から車両が非減速状態になると、センサボール29はブラケット28の下部に移動する。この状態では、パウル30の爪30hはラチェット31の歯31hに噛み合ったままであるが、シートベルト11の巻き取り方向への回転によってラチェット31の歯31hとパウル30の爪30hとの噛み合いが解かれる。そして、パウル30は自重によって図2の状態に戻る。これにより、上記ロックが解除されてシートベルト11の引き出しが許容されることになる。
【0023】
電気制御装置ELは、電動モータ17の作動を制御するマイクロコンピュータ35と、電動モータ17に電流を供給する駆動回路36とを備えている。
【0024】
マイクロコンピュータ35は、後述するイグニッションスイッチ41のオン後の所定時間ごとに図4の巻き取り制御プログラムを繰り返し実行して車両の緊急時に駆動回路36を介して電動モータ17の作動を制御する。また、車両の緊急状態が回避された後に、ロック機構Lのロックを解除するために電動モータ17をシートベルト11の巻き取り方向へ回転させるとともに、クラッチ機構Cの作動を解除するために電動モータ17をシートベルト11の引き出し方向へ回転させる。駆動回路36は、マイクロコンピュータ35の制御信号に応答して電動モータ17を作動させ、またその作動を解除する。
【0025】
このマイクロコンピュータ35には、駆動回路36に加えて、イグニッションスイッチ41、緊急状態検出用センサ群42、ブレーキ踏込みスイッチ43およびブレーキマスタシリンダ液圧検出センサ44も接続されている。
【0026】
イグニッションスイッチ41は、車両のエンジンを始動させるために操作されるスイッチである。緊急状態検出用センサ群42は、車両の緊急状態を検出するために利用されるもので、前方車両との距離を検出する車間距離センサ、車速を検出する車速センサ、急ブレーキを検出する急ブレーキセンサ、車両の加速度を検出する加速度センサ、ハンドルの操舵角を検出する操舵角センサなどで構成されている。ブレーキ踏込みスイッチ43は、ブレーキペダルの踏み込み操作によりオン状態になり同ペダルの踏み込み操作の解除によりオフ状態になる常開型スイッチである。ブレーキマスタシリンダ液圧検出センサ44は、ブレーキマスタシリンダの液圧を検出するものである。
【0027】
上記のように構成した第1実施形態に係るシートベルト装置の作動を説明する。乗員がイグニッションキーを操作してイグニッションスイッチ41がオンすると、マイクロコンピュータ35は、図4の巻き取り制御プログラムを所定の短時間ごとに繰り返し実行し始める。
【0028】
この巻き取り制御プログラムの実行はステップ100にて開始され、ステップ102にて、モータフラグMTFが“4”であるか否かを判定する。このモータフラグMTFは、図示しない初期設定によって“0”に設定されていて、“1”により車両の緊急時にシートベルト11を巻き取るために電動モータ17が正転状態にあることを表す。また、“2”によりシートベルト11を巻き取り終えて電動モータ17が停止状態にあることを表す。また、“3”によりロック機構Lのロックを解除するために電動モータ17が正転状態にあることを表す。また、“4”によりクラッチ機構Cの作動を解除するために電動モータ17が逆転状態にあることを表す。
【0029】
現段階ではモータフラグMTFは“0”に設定されているため、ステップ102〜108のすべてにおいて「No」と判定して、ステップ110にて、車両が前方物体に衝突する可能性が高い、車両が横転する可能性が高い、車両が急制動状態であるなどの緊急状態にあるかを判定する。具体的には、前述した緊急状態検出用センサ群42からの信号を入力して、車両の前方物体への衝突の可能性、車両の横転の可能性、車両の急制動中などの車両の緊急状態を判定する。
【0030】
車両が緊急状態になければ、ステップ110にて「No」と判定して、ステップ150にてこの巻き取り制御プログラムの実行を終了する。一方、車両が緊急状態にあれば、ステップ110にて「Yes」と判定し、ステップ112にて電動モータ17を正転させる。すなわち、マイクロコンピュータ35は、駆動回路36を介して電動モータ17に正方向の電流を供給してシートベルト11を巻き取り始める(図5参照)。そして、ステップ114にてカウント値MTMを「0」に設定して計時を開始させ、ステップ116にてモータフラグMTFを“1”に設定する。なお、このカウント値MTMは、タイマによって制御される図示しないプログラムの実行により時間経過に従ってカウントアップされて経過時間を表す。
【0031】
前記ステップ116の処理後、ステップ118にてカウント値MTMが所定時間t1以上を示しているか否かを判定する。この所定時間t1は、図5に示すように、シートベルト11を所定量だけ巻き取り可能な時間に設定されている。この場合、カウント値MTMが所定時間t1以上を示していなければステップ118にて「No」と判定して、ステップ150にてこの巻き取り制御プログラムの実行を一旦終了する。この場合、モータフラグMTFは“1”に設定されているから、以後、この状態が続く限り、ステップ102〜108,118,150の処理が繰り返し実行され、電動モータ17の正転状態が維持される。
【0032】
カウント値MTMが所定時間t1以上を示すようになると、ステップ118にて「Yes」と判定し、ステップ120にて電動モータ17の回転を停止させる。これにより、シートベルト11が所定量だけ巻き取られ、車両が前方物体に衝突しても、車両が横転しても、車両が急停止しても、運転者はシートベルト11により拘束されて保護される。そして、車両の緊急状態が続く限り、ステップ121にて「Yes」と判定され、シートベルト11が巻き取られた状態が維持される。この状態から、車両の緊急状態が判定されなくなると、ステップ121にて「No」と判定し、ステップ122にてカウント値MTMを「0」に設定して電動モータ17の停止時から計時動作を開始させ、ステップ124にてモータフラグMTFを“2”に設定して、ステップ126以降の処理を実行する。
【0033】
一方、上記のような車両の緊急状態においては、運転者によりブレーキペダルが踏み込み操作されて、通常、車両が減速状態にある。この場合、前述したようにセンサボール29の移動によりパウル30の爪30hがラチェット31の歯31hに噛み合ってロック機構Lが作動し、シートベルト11の引き出しが禁止されたロック状態にある。しかし、車両の緊急状態が回避された後には、運転者をシートベルト11による拘束から解放するために、同ロックを解除することが必要である。また、一方では、前述したように電動モータ17を正転させてロックを解除しようとしても、車両が減速状態にある限り、センサボール29がパウル30を押し上げているためにロックは解除されない。
【0034】
このようなロック解除の要求およびロック解除の制限を踏まえ、ステップ126においては、シートベルト11の巻き取り終了からの経過時間が所定時間t2を経過していること、および車両が減速状態にないことを条件とするロック解除条件の成立の有無を判定する。なお、前記所定時間t2は、シートベルト11の巻き取り終了から運転者をシートベルト11による拘束から解放すべき時間値(例えば、1秒)に予め設定されている。
【0035】
具体的には、前述したブレーキ踏込みスイッチ43がオフ状態にあるかを判定する。また、ブレーキ踏込みスイッチ43がオン状態にあっても、ブレーキペダルが踏み込み操作される度にカウント「0」から計時が開始されるブレーキ踏込み時間が所定時間すなわち、車両が減速状態にある可能性が高い時間より小さいかを判定する。また、ブレーキマスタシリンダ液圧検出センサ44によって検出された液圧を入力して、同検出液圧が所定液圧すなわち、ブレーキが作動状態にあり車両が減速状態にある可能性が高い液圧より小さいかを判定する。また、同検出液圧から算出された液圧変化速度が所定値すなわち、ブレーキが作動状態にあり車両が減速状態にある可能性が高い値より小さいかを判定する。
【0036】
そして、前記ロック解除条件のうちの少なくとも一つでも満足しない場合は、ステップ126にて「No」と判定し、ステップ150にてこの巻き取り制御プログラムの実行を一旦終了する。この場合、モータフラグMTFは“2”に設定されているから、以後、この状態が続く限り、ステップ102〜106,126,150の処理を繰り返し実行し、電動モータ17の停止状態が維持されてロック解除のための電動モータ17の制御が禁止される。
【0037】
一方、前記ロック解除条件のすべてを満足した場合は、車両が減速状態にないものと判定され、ステップ126にて「Yes」と判定して、ステップ128以降の処理を実行する。
【0038】
ステップ128〜134においては、ロック機構Lのロックを解除するために電動モータ17を正転させる。すなわち、マイクロコンピュータ35は、駆動回路36を介して電流値ILの大きさのロック解除電流を電動モータ17に供給して電動モータ17を正転させる。この場合、電流値ILは、ステップ112にて電動モータ17に供給される電流値とほぼ同じ大きさである。これは、ステップ128にて電動モータ17を正転させる状態では、シートベルト11が既に巻き取られて所定の張力に維持されているので、ロック機構Lのロックを解除するためには少なくともシートベルト11の張力に応じた程度に大きなトルクで電動モータ17を正転させる必要があり、同トルクに応じた大きさの電流値の電流を供給する必要があるからである。
【0039】
ステップ128の処理後、ステップ130にてカウント値MTMを「0」に設定して計時を開始させ、ステップ132にてモータフラグMTFを“3”に設定して、ステップ134にてカウント値MTMが所定時間t3以上を示しているか否かを判定する。この所定時間t3は、ラチェット31の回転によりラチェット31の歯31hとパウル30の爪30hとの噛み合いが解かれて、ロック機構Lのロックを解除できる時間に設定されている。カウント値MTMが所定時間t3以上を示していなければステップ134にて「No」と判定して、ステップ150にてこの巻き取り制御プログラムの実行を一旦終了する。この場合、モータフラグMTFは“3”に設定されているから、以後、この状態が続く限り、ステップ102,104,134,150の処理を繰り返し実行し、電動モータ17の正転状態が維持される。
【0040】
一方、カウント値MTMが所定時間t3以上を示すようになると、ステップ134にて「Yes」と判定し、ステップ136にてクラッチ機構Cの作動を解除するために電動モータ17を逆転させる。すなわち、マイクロコンピュータ35は、駆動回路36を介して電流値ICの大きさのクラッチ解除電流を電動モータ17に供給して電動モータ17を逆転させる。この場合、クラッチ解除電流の電流値ICは、ロック解除電流の電流値ILよりも小さい値に設定されている。これは、クラッチ機構Cの作動を解除する場合は、シートベルト11を引き出し方向へ回転させるが、この場合は既に巻き取られたシートベルト11の張力とは関係がないので、ロック解除電流の電流値ILより小さい電流値ICのクラッチ解除電流を電動モータ17に供給すれば足りるからである。このように、本実施形態によれば、クラッチ解除電流を小さくしたので、電動モータ17の作動音を小さくできる。
【0041】
そして、上記ステップ114,122,130の処理と同様、ステップ138にてカウント値MTMによる時間計測を「0」から開始させ、ステップ140にてモータフラグMTFを“4”に設定し、ステップ142にてカウント値MTMが所定時間t4以上を示しているか否かを判定する。この所定時間t4は、ギヤ21の回転によりクラッチ爪23の爪23aとラチェット22の歯22aとの噛み合いが解かれて、クラッチ機構Cの作動を解除できる時間に設定されている。この場合、カウント値MTMが所定時間t4以上を示していなければステップ142にて「No」と判定して、ステップ150にてこの巻き取り制御プログラムの実行を一旦終了する。この場合、モータフラグMTFは“4”に設定されているから、以後、この状態が続く限り、ステップ102,142,150の処理を繰り返し実行し、電動モータ17の逆転状態が維持される。
【0042】
カウント値MTMが所定時間t4以上を示すようになると、ステップ142にて「Yes」と判定し、ステップ144にて電動モータ17を停止させる。これにより、シートベルト11の自由な引き出しが許容されるようになり、シートベルト11による拘束から運転者が解放される。そして、ステップ146にてカウント値MTMを「0」に設定し、ステップ148にてモータフラグMTFを“0”に設定して、ステップ150にてこの巻き取り制御プログラムの実行を終了する。
【0043】
(変形例)
次に、上記第1実施形態の変形例について説明する。この変形例は、上記第1実施形態とほぼ同様に構成されているが、図1に破線で示すように、駆動回路36は、電動モータ17の電流値を検出する電流検出回路36aを備えている。また、この変形例においては、マイクロコンピュータ35は、図4の巻き取り制御プログラムにおけるステップ138の処理を省略して実行するとともに、ステップ142の処理に代えて以下に述べる処理を実行する。なお、その他の処理については、第1実施形態と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0044】
ステップ142においては、電流検出回路36aによって検出された電流値に基づいて、クラッチ機構Cの作動解除前後における電動モータ17の電流値が変化したか否かを判定する。具体的には、今回のプログラムの実行による入力電流値を今回電流値ICnewとして設定し、今回電流値ICnewから前回のプログラムの実行時に入力した前回電流値IColdを減算した減算値をこの巻き取り制御プログラムの実行時間間隔Δtで除算することにより検出された電流変化速度dI/dtが所定値I0より大きいか否かを判定する。この所定値I0は、クラッチ機構Cの作動が解除される可能性が高い値に設定されている。
【0045】
このように、電動モータ17の電流値の変化に基づいてクラッチ機構Cの作動の解除を判定するのは、クラッチ機構Cの作動が解除されるときには、同作動が解除される前よりも電動モータ17の角速度が大きくなるので、これに応じて電動モータ17の逆起電圧が大きくなる。したがって、図6のXで示すように、クラッチ機構の作動が解除される前後で電動モータ17の電流値が変化するので、電流値の変化を検出すれば、クラッチ機構Cの作動が解除されたことを検出できるからである。
【0046】
この場合、電流変化速度dI/dtが所定値I0より小さければ、ステップ142にて「No」と判定して、ステップ150にてこの巻き取り制御プログラムの実行を一旦終了する。この場合、モータフラグMTFは“4”に設定されているから、以後、この状態が続く限り、ステップ102,142,150の処理を繰り返し実行し、電動モータ17の逆転状態が維持される。
【0047】
この状態から電流変化速度dI/dtが所定値I0より大きくなれば、ステップ142にて「Yes」と判定し、ステップ144にて電動モータ17を停止させる。この状態では、クラッチ機構Cの作動が解除されているので、シートベルト11の自由な引き出しが許容される。また、クラッチ機構Cの作動を解除するための通電時間を最小にできるので、ステップ136にてクラッチ解除電流の電流値ICをロック解除電流の電流値ILより小さくしたことに加えて、さらに電動モータ17の作動音を小さくできる。
【0048】
b.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、上記第1実施形態とほぼ同様に構成されているが、図1に破線で示すように、マイクロコンピュータ35には、ロック解除検出センサ45およびクラッチ解除検出センサ46が接続されている。ロック解除検出センサ45は、ロック機構Lのロックが解除されたことを検出するものであり、パウル30の爪30hとラチェット31の歯31hとの噛み合いが解かれたときオン状態になり、噛み合っているときオフ状態になる。クラッチ解除検出センサ46は、クラッチ機構Cの作動が解除されたことを検出するものであり、クラッチ爪23の爪23aとラチェット22の歯22aとの噛み合いが解かれたときオン状態になり、噛み合っているときオフ状態になる。また、この第2実施形態のマイクロコンピュータ35は、図4の巻き取り制御プログラムにおけるステップ130,138の処理を省略して実行するとともに、ステップ134,142の処理に代えて、以下に述べる処理をそれぞれ実行する。なお、その他の処理については、第1実施形態と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0049】
車両の緊急状態が回避された後に、車両が減速状態にないものと判定されると、ステップ126にて「Yes」と判定し、ステップ128にてロック機構Lのロックを解除するために電流値ILの大きさのロック解除電流を電動モータ17に供給して電動モータ17を正転させる。ステップ128の処理後、ステップ132にてモータフラグMTFを“3”に設定して、ステップ134にてロック解除検出センサ45によってロック機構Lのロックが解除されたことが検出されたか否かを判定する。同ロックが解除されたことが検出されていなければ、ステップ134にて「No」と判定して、ステップ150にてこの巻き取り制御プログラムの実行を一旦終了する。この場合、モータフラグMTFは“3”に設定されているから、以後、この状態が続く限り、ステップ102,104,134,150の処理を繰り返し実行し、電動モータ17の正転状態が維持される。
【0050】
一方、ロック機構Lのロックが解除されたことが検出されると、ステップ134にて「Yes」と判定し、ステップ136にてクラッチ機構Cの作動を解除するために、電流値ICの大きさのクラッチ解除電流を電動モータ17に供給して電動モータ17を逆転させる。ステップ136の処理後、ステップ140にてモータフラグMTFを“4”に設定し、ステップ142にてクラッチ解除検出センサ46によってクラッチ機構Cの作動が解除されたことが検出されたか否かを判定する。同作動が解除されたことが検出されていなければ、ステップ142にて「No」と判定して、ステップ150にてこの巻き取り制御プログラムの実行を一旦終了する。この場合、モータフラグMTFは“4”に設定されているから、以後、この状態が続く限り、ステップ102,142,150の処理を繰り返し実行し、電動モータ17の逆転状態が維持される。
【0051】
一方、クラッチ機構Cの作動が解除されたことが検出されると、ステップ142にて「Yes」と判定し、ステップ144にて電動モータ17を停止させる。これにより、シートベルト11の自由な引き出しが許容されるようになり、シートベルト11による拘束から運転者が解放される。
【0052】
このように、上記第2実施形態によれば、ステップ136にてクラッチ解除電流の電流値ICをロック解除電流の電流値ILより小さくしたことに加えて、ロック機構Lのロックおよびクラッチ機構Cの作動を解除するために電動モータ17に対して必要以上の通電をしなくて済むので、電動モータ17の作動音を小さくできる。
【0053】
なお、上記第2実施形態においては、ロック解除検出センサ45およびクラッチ解除検出センサ46の二つのセンサを用いたが、同センサ45,46のうちのいずれか一方のみを用いることによっても、電動モータ17の作動音を小さくできる。
【0054】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の実施にあたっては、上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0055】
例えば、クラッチ機構Cの作動を解除するためには電動モータ17をシートベルト11の引き出し方向へ回転させるが、同機構Cの作動解除後の電動モータ17にはわずかな負荷しかかからないので、電流の供給を停止した後も電動モータ17は慣性により空転を続けようとする。電動モータ17の空転時にも多少の作動音は生じるので、この作動音をなくすために電動モータ17をブレーキ制御して空転を阻止することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1および第2実施形態ならびに第1実施形態の変形例に係る車両用シートベルト装置の全体を示す概略図である。
【図2】リトラクタのロック機構およびクラッチ機構の解除状態を模式的に示す正面図である。
【図3】リトラクタのロック機構およびクラッチ機構の作動状態を模式的に示す正面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係り、図1のマイクロコンピュータによって実行される巻き取り制御プログラムのフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態に係り、図4の巻き取り制御プログラムのフローチャートに従って電動モータを制御する場合の電流値と時間との関係を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態の変形例に係り、図4の巻き取り制御プログラムを一部変更したフローチャートに従って電動モータを制御する場合の電流値と時間との関係を示す図である。
【符号の説明】
SB…シートベルト機構、EL…電気制御装置、S…シート、11…シートベルト、12…リトラクタ、C…クラッチ機構、K…巻き取り機構、L…ロック機構、17…電動モータ、35…マイクロコンピュータ、36…駆動回路、36a…電流検出回路、41…イグニッションスイッチ、42…緊急状態検出用センサ群、43…ブレーキ踏込みスイッチ、44…ブレーキマスタシリンダ液圧検出センサ、45…ロック解除検出センサ、46…クラッチ解除検出センサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の緊急時にシートベルトを巻き取って乗員を拘束可能な車両用シートベルト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、衝突予測、急操舵、急制動などの車両の緊急時に、シートベルトを電動モータで巻き取って乗員を拘束するようにした車両用シートベルト装置が知られている(下記特許文献1)。また、この種のシートベルト装置として、通常時には乗員によるシートベルトの自由な引き出しを許容するとともに、車両の緊急時には電動モータによるシートベルトの巻き取りを許容するようにしたクラッチ機構を備えたものも知られている。一方、車両の緊急時には、ブレーキの踏み込み操作により通常、車両が減速状態になるが、この場合にシートベルトの引き出しを禁止するようにしたロック機構を備えたものがある(下記特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−247008号公報
【特許文献2】
特開2001−270423号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の装置においては、車両が緊急状態を回避した後に、乗員をシートベルトによる拘束から解放するために、ロック機構のロックやクラッチ機構の作動を解除することが考えられる。この場合、ロック機構のロックやクラッチ機構の作動を解除するために、通常電動モータが駆動されるが、この電動モータの駆動により作動音が生じるので、車両が緊急状態を回避した後においては、この作動音が乗員に不快感を与えるという問題がある。
【0005】
【発明の概要】
本発明は、上記問題に対処するためになされたものであり、その目的は、ロック機構のロックやクラッチ機構の作動を解除するとき、電動モータの駆動により生じる作動音を低減可能なシートベルト装置を提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、車両の緊急時にシートベルトを巻き取る電動モータと、車両の減速状態時にシートベルトの引き出しが禁止されるようにロックして同ロックを維持するとともに、同ロックが電動モータによるシートベルトの巻き取り方向への回転によって解除されるロック機構と、電動モータによるシートベルトの巻き取り方向への回転によってシートベルトの巻き取りが許容されるように作動して作動を維持するとともに、同作動が電動モータによるシートベルトの引き出し方向への回転によって解除されるクラッチ機構とを有するリトラクタを備えた車両用シートベルト装置において、ロック機構のロックを解除するために電動モータにロック解除電流を流して電動モータをシートベルトの巻き取り方向へ回転させるロック解除手段と、クラッチ機構の作動を解除するために電動モータにロック解除電流の電流値より小さい電流値であるクラッチ解除電流を流して電動モータをシートベルトの引き出し方向へ回転させるクラッチ解除手段とを設けたことにある。
【0007】
この本発明の特徴によれば、クラッチ解除手段がロック解除電流の電流値より小さい電流値であるクラッチ解除電流を電動モータに流してクラッチ機構の作動を解除する。すなわち、ロック機構のロックを解除するためには電動モータをシートベルトの巻き取り方向へ回転させるが、この状態ではシートベルトが既に所定の張力に維持されている。したがって、同ロックを解除するためには少なくともシートベルトの張力に応じた程度に大きなトルクで電動モータを駆動する必要があるので、電動モータに対して同トルクに応じた電流を供給する必要がある。これに対して、クラッチ機構の作動を解除するためには電動モータをシートベルトの引き出し方向へ回転させるが、この場合はシートベルトの張力とは関係がないので、ロック解除電流の電流値より小さい電流値のクラッチ解除電流を電動モータに供給すれば足りる。このように、クラッチ解除電流を小さくできるので、電動モータの作動音を小さくできる。
【0008】
この場合、電動モータにおける電流値の変化を検出する電流値変化検出手段と、電流値変化検出手段によってクラッチ機構の作動解除前後における電動モータの電流値の変化が検出されたとき、クラッチ解除手段を制御して電動モータにクラッチ解除電流を流すことを停止する停止手段とを設ける構成にするとよい。
【0009】
これによれば、電流値変化検出手段によってクラッチ機構の作動解除前後における電動モータの電流値の変化が検出されたとき、停止手段によって電動モータにクラッチ解除電流を流すことが停止される。すなわち、クラッチ機構の作動が解除されるときには、同作動が解除される前よりも電動モータの角速度が大きくなるので、これに応じて電動モータの逆起電圧が大きくなる。したがって、クラッチ機構の作動が解除される前後で電動モータ17の電流値が変化するので、この電流値の変化を検出すれば、クラッチ機構の作動が解除されたことを検出できる。これにより、クラッチ機構の作動を解除するための通電時間を最小にできるので、さらに電動モータの作動音を小さくできる。
【0010】
また、本発明の他の特徴は、車両の緊急時にシートベルトを巻き取る電動モータと、電動モータによるシートベルトの巻き取り方向への回転によってシートベルトの巻き取りが許容されるように作動して同作動を維持するとともに、同作動が電動モータによるシートベルトの引き出し方向への回転によって解除されるクラッチ機構とを有するリトラクタを備えた車両用シートベルト装置において、クラッチ機構の作動を解除するために前記電動モータにクラッチ解除電流を流して同電動モータをシートベルトの引き出し方向へ回転させるクラッチ解除手段と、クラッチ機構の作動が解除されたことを検出するクラッチ解除検出センサと、クラッチ解除検出センサによってクラッチ機構の作動が解除されたことが検出されたとき、クラッチ解除手段を制御して電動モータにクラッチ解除電流を流すことを停止する停止手段とを設けたことにある。
【0011】
これによれば、クラッチ解除検出センサによってクラッチ機構の作動が解除されたことが検出されたとき、停止手段によって電動モータにクラッチ解除電流を流すことが停止される。これにより、クラッチ機構の作動を解除するために電動モータに対して必要以上の通電をしなくて済むので、電動モータの作動音を小さくできる。
【0012】
また、本発明の他の特徴は、車両の緊急時にシートベルトを巻き取る電動モータと、車両の減速状態時にシートベルトの引き出しが禁止されるようにロックして同ロックを維持するとともに、同ロックが電動モータによるシートベルトの巻き取り方向への回転によって解除されるロック機構とを有するリトラクタを備えた車両用シートベルト装置において、ロック機構のロックを解除するために電動モータにロック解除電流を流して同電動モータをシートベルトの巻き取り方向へ回転させるロック解除手段と、ロック機構のロックが解除されたことを検出するロック解除検出センサと、ロック解除検出センサによってロック機構のロックが解除されたことが検出されたとき、ロック解除手段を制御して電動モータにロック解除電流を流すことを停止する停止手段とを設けたことにある。
【0013】
これによれば、ロック解除検出センサによってロック機構のロックが解除されたことが検出されたとき、停止手段によって電動モータにロック解除電流を流すことが停止される。これにより、ロック機構のロック解除のために電動モータに対して必要以上の通電をしなくて済むので、電動モータの作動音を小さくできる。
【0014】
【発明の実施の形態】
a.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態について図面を用いて説明すると、図1は、同第1実施形態に係る車両用シートベルト装置を概略的に示している。この車両用シートベルト装置は、車両の緊急時にシートベルトを巻き取って乗員を保護するものであり、シートベルト機構SBおよび電気制御装置ELを備えている。
【0015】
シートベルト機構SBは、シートSに着座した乗員を保護するシートベルト11を備えている。シートベルト11は、シートSの一方側に設けたリトラクタ12から引き出されて、その中間部位にてショルダベルトアンカ13によって摺動可能に支持され、その他端にてシートSの一方の側に固定されている。シートベルト11の中間部位にはタングプレート15が移動可能に組み付けられている。タングプレート15は、シートSの他方の側に固定されたバックル16に脱着可能に勘合される。
【0016】
リトラクタ12は、図2に模式的に示すように、電動モータ17、クラッチ機構C、巻き取り機構Kおよびロック機構Lを備えている。電動モータ17は、回転軸17aにて中間ギヤを含む減速機構Gおよびクラッチ機構Cを介して巻き取り機構Kに連結されている。巻き取り機構Kは、ケース18に回転可能に支持されたシャフト19と、同シャフト19に一体回転可能に組み付けられてシートベルト11の一端を固定しているスプール20とを備えている。
【0017】
クラッチ機構Cは、常に電動モータ17によるシートベルト11の巻き取りが許容されるように作動するものであり、ギヤ21、ラチェット22、一対のクラッチ爪23、クラッチ爪規制板24およびクラッチ爪当接部材25をそれぞれ備えている。ギヤ21は、シャフト19の外周上にその軸線回りに回転可能に組み付けられ、外周縁に減速機構Gの中間ギヤに噛み合った歯を有するとともに、有底円筒状のケース21aを備えていて、同ケース21a内にてラチェット22を収容するとともに、各一対のクラッチ爪23、クラッチ爪規制板24およびクラッチ爪当接部材25を収容している。ラチェット22は、シャフト19に固定されていて、クラッチ爪23の各爪に噛み合い可能な歯22aを有している。各一対のクラッチ爪23、クラッチ爪規制板24およびクラッチ爪当接部材25は、それぞれギヤ21の中心に対してほぼ対称に配設されている。各クラッチ爪23は、それぞれ中間部にてケース21aの軸線方向に固定された固定軸21a1に回動可能に組み付けられ、前端部にラチェット22の歯22aに噛み合い可能な爪23aを有するとともに後端部に凸部23bを有している。各クラッチ爪規制板24は、それぞれケース21aの内周面に沿って回動可能に組み付けられ、一端側にクラッチ爪23の凸部23bに係合可能な凹部24aを有するとともに他端側にコイルスプリング26およびクラッチ爪当接部材25を備えている。
【0018】
電動モータ17が駆動されていない場合には、図2に示すように、クラッチ爪23の爪23aがラチェット22の歯22aと噛み合っていない状態にある。この状態では、ラチェット22の自由な回転が許容されてシートベルト11の自由な引き出しが許容される。この状態から電動モータ17が正転駆動されると、同モータ17の動力が減速機構Gを介してギヤ21に伝達され、ギヤ21およびクラッチ爪23が図示反時計回りに回転する。この場合、クラッチ爪規制板24は慣性により原位置に留まろうとするので、クラッチ爪23の凸部23bとクラッチ爪規制板24の凹部24aとの係合が解除される。これにより、クラッチ爪23は、クラッチ爪当接部材25によりラチェット22側へと誘導されて、図3に示すように、爪23aがラチェット22の歯22aと噛み合う。なお、クラッチ爪規制板24は、後方のクラッチ爪23、クラッチ爪当接部材25およびコイルスプリング26により押されてギヤ21の回転に遅れて図示反時計回りに回動する。このようにして、クラッチ機構Cは、電動モータ17の動力をギヤ21、クラッチ爪23、ラチェット22およびシャフト19を介して巻き取り機構Kに伝達する作動状態になる。
【0019】
一方、図3に示す状態から電動モータ17が逆転駆動されると、ギヤ21およびクラッチ爪23が図示時計回りに回転する。この場合、クラッチ爪23は、クラッチ爪当接部材25と当接しながらラチェット22の歯22aとの噛み合いが解かれる方向に回動し、凸部23bがクラッチ爪規制板24の凹部24aと係合することでその回動を阻止される。これにより、図2に示すように、クラッチ爪23の爪23aとラチェット22の歯22aとの噛み合いが解かれ、クラッチ機構Cは、その作動を解除されてシートベルト11の自由な引き出しを許容する。
【0020】
ロック機構Lは、シートベルト11の引き出しが禁止されるようにロックするものであり、ブラケット支持台27、ブラケット28、センサボール29、パウル30およびラチェット31を備えている。ブラケット支持台27はケース18に固定されている。ブラケット28は、中空の半円筒状をなし、ブラケット支持台27にて固定されている。センサボール29は、ブラケット28内にて転がり可能に収容されていて、車両の減速状態時にブラケット28の内壁面を登り、非減速状態時にブラケット28の下部に位置する。パウル30は、一端にてブラケット支持台27に回動可能に支持されていて、他端にてラチェット31の歯に噛み合い可能な爪30hを有している。ラチェット31は、スプール20に固定されていて、パウル30の爪30hに噛み合い可能な歯31hを有している。歯31hは、爪30hとの噛み合い時にシートベルト11の引き出し方向への回転を禁止するが、シートベルト11の巻き取り方向への回転を許容する歯形を有している。
【0021】
このため、図3に示すように、車両の減速状態時にはセンサボール29が慣性力を受けて、ブラケット28の内壁面を登りパウル30を押し上げる。これにより、パウル30の爪30hがラチェット31の歯31hに噛み合い、ラチェット31およびスプール20によるシートベルト11の引き出し方向への回転がロックされてシートベルト11の引き出しが禁止される。このロックは、車両が減速状態にありセンサボール29がパウル30を押し上げる位置にて安定する限り、維持される。
【0022】
この状態から車両が非減速状態になると、センサボール29はブラケット28の下部に移動する。この状態では、パウル30の爪30hはラチェット31の歯31hに噛み合ったままであるが、シートベルト11の巻き取り方向への回転によってラチェット31の歯31hとパウル30の爪30hとの噛み合いが解かれる。そして、パウル30は自重によって図2の状態に戻る。これにより、上記ロックが解除されてシートベルト11の引き出しが許容されることになる。
【0023】
電気制御装置ELは、電動モータ17の作動を制御するマイクロコンピュータ35と、電動モータ17に電流を供給する駆動回路36とを備えている。
【0024】
マイクロコンピュータ35は、後述するイグニッションスイッチ41のオン後の所定時間ごとに図4の巻き取り制御プログラムを繰り返し実行して車両の緊急時に駆動回路36を介して電動モータ17の作動を制御する。また、車両の緊急状態が回避された後に、ロック機構Lのロックを解除するために電動モータ17をシートベルト11の巻き取り方向へ回転させるとともに、クラッチ機構Cの作動を解除するために電動モータ17をシートベルト11の引き出し方向へ回転させる。駆動回路36は、マイクロコンピュータ35の制御信号に応答して電動モータ17を作動させ、またその作動を解除する。
【0025】
このマイクロコンピュータ35には、駆動回路36に加えて、イグニッションスイッチ41、緊急状態検出用センサ群42、ブレーキ踏込みスイッチ43およびブレーキマスタシリンダ液圧検出センサ44も接続されている。
【0026】
イグニッションスイッチ41は、車両のエンジンを始動させるために操作されるスイッチである。緊急状態検出用センサ群42は、車両の緊急状態を検出するために利用されるもので、前方車両との距離を検出する車間距離センサ、車速を検出する車速センサ、急ブレーキを検出する急ブレーキセンサ、車両の加速度を検出する加速度センサ、ハンドルの操舵角を検出する操舵角センサなどで構成されている。ブレーキ踏込みスイッチ43は、ブレーキペダルの踏み込み操作によりオン状態になり同ペダルの踏み込み操作の解除によりオフ状態になる常開型スイッチである。ブレーキマスタシリンダ液圧検出センサ44は、ブレーキマスタシリンダの液圧を検出するものである。
【0027】
上記のように構成した第1実施形態に係るシートベルト装置の作動を説明する。乗員がイグニッションキーを操作してイグニッションスイッチ41がオンすると、マイクロコンピュータ35は、図4の巻き取り制御プログラムを所定の短時間ごとに繰り返し実行し始める。
【0028】
この巻き取り制御プログラムの実行はステップ100にて開始され、ステップ102にて、モータフラグMTFが“4”であるか否かを判定する。このモータフラグMTFは、図示しない初期設定によって“0”に設定されていて、“1”により車両の緊急時にシートベルト11を巻き取るために電動モータ17が正転状態にあることを表す。また、“2”によりシートベルト11を巻き取り終えて電動モータ17が停止状態にあることを表す。また、“3”によりロック機構Lのロックを解除するために電動モータ17が正転状態にあることを表す。また、“4”によりクラッチ機構Cの作動を解除するために電動モータ17が逆転状態にあることを表す。
【0029】
現段階ではモータフラグMTFは“0”に設定されているため、ステップ102〜108のすべてにおいて「No」と判定して、ステップ110にて、車両が前方物体に衝突する可能性が高い、車両が横転する可能性が高い、車両が急制動状態であるなどの緊急状態にあるかを判定する。具体的には、前述した緊急状態検出用センサ群42からの信号を入力して、車両の前方物体への衝突の可能性、車両の横転の可能性、車両の急制動中などの車両の緊急状態を判定する。
【0030】
車両が緊急状態になければ、ステップ110にて「No」と判定して、ステップ150にてこの巻き取り制御プログラムの実行を終了する。一方、車両が緊急状態にあれば、ステップ110にて「Yes」と判定し、ステップ112にて電動モータ17を正転させる。すなわち、マイクロコンピュータ35は、駆動回路36を介して電動モータ17に正方向の電流を供給してシートベルト11を巻き取り始める(図5参照)。そして、ステップ114にてカウント値MTMを「0」に設定して計時を開始させ、ステップ116にてモータフラグMTFを“1”に設定する。なお、このカウント値MTMは、タイマによって制御される図示しないプログラムの実行により時間経過に従ってカウントアップされて経過時間を表す。
【0031】
前記ステップ116の処理後、ステップ118にてカウント値MTMが所定時間t1以上を示しているか否かを判定する。この所定時間t1は、図5に示すように、シートベルト11を所定量だけ巻き取り可能な時間に設定されている。この場合、カウント値MTMが所定時間t1以上を示していなければステップ118にて「No」と判定して、ステップ150にてこの巻き取り制御プログラムの実行を一旦終了する。この場合、モータフラグMTFは“1”に設定されているから、以後、この状態が続く限り、ステップ102〜108,118,150の処理が繰り返し実行され、電動モータ17の正転状態が維持される。
【0032】
カウント値MTMが所定時間t1以上を示すようになると、ステップ118にて「Yes」と判定し、ステップ120にて電動モータ17の回転を停止させる。これにより、シートベルト11が所定量だけ巻き取られ、車両が前方物体に衝突しても、車両が横転しても、車両が急停止しても、運転者はシートベルト11により拘束されて保護される。そして、車両の緊急状態が続く限り、ステップ121にて「Yes」と判定され、シートベルト11が巻き取られた状態が維持される。この状態から、車両の緊急状態が判定されなくなると、ステップ121にて「No」と判定し、ステップ122にてカウント値MTMを「0」に設定して電動モータ17の停止時から計時動作を開始させ、ステップ124にてモータフラグMTFを“2”に設定して、ステップ126以降の処理を実行する。
【0033】
一方、上記のような車両の緊急状態においては、運転者によりブレーキペダルが踏み込み操作されて、通常、車両が減速状態にある。この場合、前述したようにセンサボール29の移動によりパウル30の爪30hがラチェット31の歯31hに噛み合ってロック機構Lが作動し、シートベルト11の引き出しが禁止されたロック状態にある。しかし、車両の緊急状態が回避された後には、運転者をシートベルト11による拘束から解放するために、同ロックを解除することが必要である。また、一方では、前述したように電動モータ17を正転させてロックを解除しようとしても、車両が減速状態にある限り、センサボール29がパウル30を押し上げているためにロックは解除されない。
【0034】
このようなロック解除の要求およびロック解除の制限を踏まえ、ステップ126においては、シートベルト11の巻き取り終了からの経過時間が所定時間t2を経過していること、および車両が減速状態にないことを条件とするロック解除条件の成立の有無を判定する。なお、前記所定時間t2は、シートベルト11の巻き取り終了から運転者をシートベルト11による拘束から解放すべき時間値(例えば、1秒)に予め設定されている。
【0035】
具体的には、前述したブレーキ踏込みスイッチ43がオフ状態にあるかを判定する。また、ブレーキ踏込みスイッチ43がオン状態にあっても、ブレーキペダルが踏み込み操作される度にカウント「0」から計時が開始されるブレーキ踏込み時間が所定時間すなわち、車両が減速状態にある可能性が高い時間より小さいかを判定する。また、ブレーキマスタシリンダ液圧検出センサ44によって検出された液圧を入力して、同検出液圧が所定液圧すなわち、ブレーキが作動状態にあり車両が減速状態にある可能性が高い液圧より小さいかを判定する。また、同検出液圧から算出された液圧変化速度が所定値すなわち、ブレーキが作動状態にあり車両が減速状態にある可能性が高い値より小さいかを判定する。
【0036】
そして、前記ロック解除条件のうちの少なくとも一つでも満足しない場合は、ステップ126にて「No」と判定し、ステップ150にてこの巻き取り制御プログラムの実行を一旦終了する。この場合、モータフラグMTFは“2”に設定されているから、以後、この状態が続く限り、ステップ102〜106,126,150の処理を繰り返し実行し、電動モータ17の停止状態が維持されてロック解除のための電動モータ17の制御が禁止される。
【0037】
一方、前記ロック解除条件のすべてを満足した場合は、車両が減速状態にないものと判定され、ステップ126にて「Yes」と判定して、ステップ128以降の処理を実行する。
【0038】
ステップ128〜134においては、ロック機構Lのロックを解除するために電動モータ17を正転させる。すなわち、マイクロコンピュータ35は、駆動回路36を介して電流値ILの大きさのロック解除電流を電動モータ17に供給して電動モータ17を正転させる。この場合、電流値ILは、ステップ112にて電動モータ17に供給される電流値とほぼ同じ大きさである。これは、ステップ128にて電動モータ17を正転させる状態では、シートベルト11が既に巻き取られて所定の張力に維持されているので、ロック機構Lのロックを解除するためには少なくともシートベルト11の張力に応じた程度に大きなトルクで電動モータ17を正転させる必要があり、同トルクに応じた大きさの電流値の電流を供給する必要があるからである。
【0039】
ステップ128の処理後、ステップ130にてカウント値MTMを「0」に設定して計時を開始させ、ステップ132にてモータフラグMTFを“3”に設定して、ステップ134にてカウント値MTMが所定時間t3以上を示しているか否かを判定する。この所定時間t3は、ラチェット31の回転によりラチェット31の歯31hとパウル30の爪30hとの噛み合いが解かれて、ロック機構Lのロックを解除できる時間に設定されている。カウント値MTMが所定時間t3以上を示していなければステップ134にて「No」と判定して、ステップ150にてこの巻き取り制御プログラムの実行を一旦終了する。この場合、モータフラグMTFは“3”に設定されているから、以後、この状態が続く限り、ステップ102,104,134,150の処理を繰り返し実行し、電動モータ17の正転状態が維持される。
【0040】
一方、カウント値MTMが所定時間t3以上を示すようになると、ステップ134にて「Yes」と判定し、ステップ136にてクラッチ機構Cの作動を解除するために電動モータ17を逆転させる。すなわち、マイクロコンピュータ35は、駆動回路36を介して電流値ICの大きさのクラッチ解除電流を電動モータ17に供給して電動モータ17を逆転させる。この場合、クラッチ解除電流の電流値ICは、ロック解除電流の電流値ILよりも小さい値に設定されている。これは、クラッチ機構Cの作動を解除する場合は、シートベルト11を引き出し方向へ回転させるが、この場合は既に巻き取られたシートベルト11の張力とは関係がないので、ロック解除電流の電流値ILより小さい電流値ICのクラッチ解除電流を電動モータ17に供給すれば足りるからである。このように、本実施形態によれば、クラッチ解除電流を小さくしたので、電動モータ17の作動音を小さくできる。
【0041】
そして、上記ステップ114,122,130の処理と同様、ステップ138にてカウント値MTMによる時間計測を「0」から開始させ、ステップ140にてモータフラグMTFを“4”に設定し、ステップ142にてカウント値MTMが所定時間t4以上を示しているか否かを判定する。この所定時間t4は、ギヤ21の回転によりクラッチ爪23の爪23aとラチェット22の歯22aとの噛み合いが解かれて、クラッチ機構Cの作動を解除できる時間に設定されている。この場合、カウント値MTMが所定時間t4以上を示していなければステップ142にて「No」と判定して、ステップ150にてこの巻き取り制御プログラムの実行を一旦終了する。この場合、モータフラグMTFは“4”に設定されているから、以後、この状態が続く限り、ステップ102,142,150の処理を繰り返し実行し、電動モータ17の逆転状態が維持される。
【0042】
カウント値MTMが所定時間t4以上を示すようになると、ステップ142にて「Yes」と判定し、ステップ144にて電動モータ17を停止させる。これにより、シートベルト11の自由な引き出しが許容されるようになり、シートベルト11による拘束から運転者が解放される。そして、ステップ146にてカウント値MTMを「0」に設定し、ステップ148にてモータフラグMTFを“0”に設定して、ステップ150にてこの巻き取り制御プログラムの実行を終了する。
【0043】
(変形例)
次に、上記第1実施形態の変形例について説明する。この変形例は、上記第1実施形態とほぼ同様に構成されているが、図1に破線で示すように、駆動回路36は、電動モータ17の電流値を検出する電流検出回路36aを備えている。また、この変形例においては、マイクロコンピュータ35は、図4の巻き取り制御プログラムにおけるステップ138の処理を省略して実行するとともに、ステップ142の処理に代えて以下に述べる処理を実行する。なお、その他の処理については、第1実施形態と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0044】
ステップ142においては、電流検出回路36aによって検出された電流値に基づいて、クラッチ機構Cの作動解除前後における電動モータ17の電流値が変化したか否かを判定する。具体的には、今回のプログラムの実行による入力電流値を今回電流値ICnewとして設定し、今回電流値ICnewから前回のプログラムの実行時に入力した前回電流値IColdを減算した減算値をこの巻き取り制御プログラムの実行時間間隔Δtで除算することにより検出された電流変化速度dI/dtが所定値I0より大きいか否かを判定する。この所定値I0は、クラッチ機構Cの作動が解除される可能性が高い値に設定されている。
【0045】
このように、電動モータ17の電流値の変化に基づいてクラッチ機構Cの作動の解除を判定するのは、クラッチ機構Cの作動が解除されるときには、同作動が解除される前よりも電動モータ17の角速度が大きくなるので、これに応じて電動モータ17の逆起電圧が大きくなる。したがって、図6のXで示すように、クラッチ機構の作動が解除される前後で電動モータ17の電流値が変化するので、電流値の変化を検出すれば、クラッチ機構Cの作動が解除されたことを検出できるからである。
【0046】
この場合、電流変化速度dI/dtが所定値I0より小さければ、ステップ142にて「No」と判定して、ステップ150にてこの巻き取り制御プログラムの実行を一旦終了する。この場合、モータフラグMTFは“4”に設定されているから、以後、この状態が続く限り、ステップ102,142,150の処理を繰り返し実行し、電動モータ17の逆転状態が維持される。
【0047】
この状態から電流変化速度dI/dtが所定値I0より大きくなれば、ステップ142にて「Yes」と判定し、ステップ144にて電動モータ17を停止させる。この状態では、クラッチ機構Cの作動が解除されているので、シートベルト11の自由な引き出しが許容される。また、クラッチ機構Cの作動を解除するための通電時間を最小にできるので、ステップ136にてクラッチ解除電流の電流値ICをロック解除電流の電流値ILより小さくしたことに加えて、さらに電動モータ17の作動音を小さくできる。
【0048】
b.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、上記第1実施形態とほぼ同様に構成されているが、図1に破線で示すように、マイクロコンピュータ35には、ロック解除検出センサ45およびクラッチ解除検出センサ46が接続されている。ロック解除検出センサ45は、ロック機構Lのロックが解除されたことを検出するものであり、パウル30の爪30hとラチェット31の歯31hとの噛み合いが解かれたときオン状態になり、噛み合っているときオフ状態になる。クラッチ解除検出センサ46は、クラッチ機構Cの作動が解除されたことを検出するものであり、クラッチ爪23の爪23aとラチェット22の歯22aとの噛み合いが解かれたときオン状態になり、噛み合っているときオフ状態になる。また、この第2実施形態のマイクロコンピュータ35は、図4の巻き取り制御プログラムにおけるステップ130,138の処理を省略して実行するとともに、ステップ134,142の処理に代えて、以下に述べる処理をそれぞれ実行する。なお、その他の処理については、第1実施形態と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0049】
車両の緊急状態が回避された後に、車両が減速状態にないものと判定されると、ステップ126にて「Yes」と判定し、ステップ128にてロック機構Lのロックを解除するために電流値ILの大きさのロック解除電流を電動モータ17に供給して電動モータ17を正転させる。ステップ128の処理後、ステップ132にてモータフラグMTFを“3”に設定して、ステップ134にてロック解除検出センサ45によってロック機構Lのロックが解除されたことが検出されたか否かを判定する。同ロックが解除されたことが検出されていなければ、ステップ134にて「No」と判定して、ステップ150にてこの巻き取り制御プログラムの実行を一旦終了する。この場合、モータフラグMTFは“3”に設定されているから、以後、この状態が続く限り、ステップ102,104,134,150の処理を繰り返し実行し、電動モータ17の正転状態が維持される。
【0050】
一方、ロック機構Lのロックが解除されたことが検出されると、ステップ134にて「Yes」と判定し、ステップ136にてクラッチ機構Cの作動を解除するために、電流値ICの大きさのクラッチ解除電流を電動モータ17に供給して電動モータ17を逆転させる。ステップ136の処理後、ステップ140にてモータフラグMTFを“4”に設定し、ステップ142にてクラッチ解除検出センサ46によってクラッチ機構Cの作動が解除されたことが検出されたか否かを判定する。同作動が解除されたことが検出されていなければ、ステップ142にて「No」と判定して、ステップ150にてこの巻き取り制御プログラムの実行を一旦終了する。この場合、モータフラグMTFは“4”に設定されているから、以後、この状態が続く限り、ステップ102,142,150の処理を繰り返し実行し、電動モータ17の逆転状態が維持される。
【0051】
一方、クラッチ機構Cの作動が解除されたことが検出されると、ステップ142にて「Yes」と判定し、ステップ144にて電動モータ17を停止させる。これにより、シートベルト11の自由な引き出しが許容されるようになり、シートベルト11による拘束から運転者が解放される。
【0052】
このように、上記第2実施形態によれば、ステップ136にてクラッチ解除電流の電流値ICをロック解除電流の電流値ILより小さくしたことに加えて、ロック機構Lのロックおよびクラッチ機構Cの作動を解除するために電動モータ17に対して必要以上の通電をしなくて済むので、電動モータ17の作動音を小さくできる。
【0053】
なお、上記第2実施形態においては、ロック解除検出センサ45およびクラッチ解除検出センサ46の二つのセンサを用いたが、同センサ45,46のうちのいずれか一方のみを用いることによっても、電動モータ17の作動音を小さくできる。
【0054】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の実施にあたっては、上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0055】
例えば、クラッチ機構Cの作動を解除するためには電動モータ17をシートベルト11の引き出し方向へ回転させるが、同機構Cの作動解除後の電動モータ17にはわずかな負荷しかかからないので、電流の供給を停止した後も電動モータ17は慣性により空転を続けようとする。電動モータ17の空転時にも多少の作動音は生じるので、この作動音をなくすために電動モータ17をブレーキ制御して空転を阻止することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1および第2実施形態ならびに第1実施形態の変形例に係る車両用シートベルト装置の全体を示す概略図である。
【図2】リトラクタのロック機構およびクラッチ機構の解除状態を模式的に示す正面図である。
【図3】リトラクタのロック機構およびクラッチ機構の作動状態を模式的に示す正面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係り、図1のマイクロコンピュータによって実行される巻き取り制御プログラムのフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態に係り、図4の巻き取り制御プログラムのフローチャートに従って電動モータを制御する場合の電流値と時間との関係を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態の変形例に係り、図4の巻き取り制御プログラムを一部変更したフローチャートに従って電動モータを制御する場合の電流値と時間との関係を示す図である。
【符号の説明】
SB…シートベルト機構、EL…電気制御装置、S…シート、11…シートベルト、12…リトラクタ、C…クラッチ機構、K…巻き取り機構、L…ロック機構、17…電動モータ、35…マイクロコンピュータ、36…駆動回路、36a…電流検出回路、41…イグニッションスイッチ、42…緊急状態検出用センサ群、43…ブレーキ踏込みスイッチ、44…ブレーキマスタシリンダ液圧検出センサ、45…ロック解除検出センサ、46…クラッチ解除検出センサ
Claims (4)
- 車両の緊急時にシートベルトを巻き取る電動モータと、車両の減速状態時にシートベルトの引き出しが禁止されるようにロックして同ロックを維持するとともに、同ロックが前記電動モータによるシートベルトの巻き取り方向への回転によって解除されるロック機構と、前記電動モータによるシートベルトの巻き取り方向への回転によってシートベルトの巻き取りが許容されるように作動して同作動を維持するとともに、同作動が前記電動モータによるシートベルトの引き出し方向への回転によって解除されるクラッチ機構とを有するリトラクタを備えた車両用シートベルト装置において、
前記ロック機構のロックを解除するために前記電動モータにロック解除電流を流して同電動モータをシートベルトの巻き取り方向へ回転させるロック解除手段と、
前記クラッチ機構の作動を解除するために前記電動モータに前記ロック解除電流の電流値より小さい電流値であるクラッチ解除電流を流して同電動モータをシートベルトの引き出し方向へ回転させるクラッチ解除手段とを設けたことを特徴とする車両用シートベルト装置。 - 前記請求項1に記載した車両用シートベルト装置において、
前記電動モータにおける電流値の変化を検出する電流値変化検出手段と、
前記電流値変化検出手段によって前記クラッチ機構の作動解除前後における前記電動モータの電流値の変化が検出されたとき、前記クラッチ解除手段を制御して前記電動モータにクラッチ解除電流を流すことを停止する停止手段とを設けた車両用シートベルト装置。 - 車両の緊急時にシートベルトを巻き取る電動モータと、前記電動モータによるシートベルトの巻き取り方向への回転によってシートベルトの巻き取りが許容されるように作動して同作動を維持するとともに、同作動状態が前記電動モータによるシートベルトの引き出し方向への回転によって解除されるクラッチ機構とを有するリトラクタを備えた車両用シートベルト装置において、
前記クラッチ機構の作動を解除するために前記電動モータにクラッチ解除電流を流して同電動モータをシートベルトの引き出し方向へ回転させるクラッチ解除手段と、
前記クラッチ機構の作動が解除されたことを検出するクラッチ解除検出センサと、
前記クラッチ解除検出センサによって前記クラッチ機構の作動が解除されたことが検出されたとき、前記クラッチ解除手段を制御して前記電動モータにクラッチ解除電流を流すことを停止する停止手段とを設けた車両用シートベルト装置。 - 車両の緊急時にシートベルトを巻き取る電動モータと、車両の減速状態時にシートベルトの引き出しが禁止されるようにロックして同ロックを維持するとともに、同ロックが前記電動モータによるシートベルトの巻き取り方向への回転によって解除されるロック機構とを有するリトラクタを備えた車両用シートベルト装置において、
前記ロック機構のロックを解除するために前記電動モータにロック解除電流を流して同電動モータをシートベルトの巻き取り方向へ回転させるロック解除手段と、
前記ロック機構のロックが解除されたことを検出するロック解除検出センサと、
前記ロック解除検出センサによって前記ロック機構のロックが解除されたことが検出されたとき、前記ロック解除手段を制御して前記電動モータにロック解除電流を流すことを停止する停止手段とを設けた車両用シートベルト装置。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20050216 |
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A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20050218 |