JP5438608B2 - シートベルト装置 - Google Patents
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Description
このため、車両挙動が不安定になってビークルセンサが作動すると、ロック作動ドラムが制動され、ウェビングが引き出されようとしたときに、ベルトリールとロック作動ドラムが一方向に相対回転する。これにより、ロック爪がケーシングのロック溝と噛合し、その結果、ベルトリールのウェビング引き出し方向の回転がロックされる。
また、緊急ロック機構がロック作動した後に、ウェビングの引き出し方向の力が無くなりベルトリールが戻しばねの力によって巻取り方向に回転すると、ベルトリールとロック作動ドラムが他方向に所定量相対回転したところで、ロック爪とロック溝の噛合が自動的に解除される。
このようなモータを備えたシートベルト装置では、緊急ロック機構のロック解除をモータで行うことが検討されている。この場合、緊急ロック機構が作動してベルトリールのウェビング引き出し方向の回転がロックされているときに、モータでベルトリールを巻取り方向に所定量以上回転させることにより、緊急ロック機構のロックを強制的に解除する(例えば、特許文献1参照)。
請求項1に係る発明は、ウェビング(例えば、実施形態のウェビング5)を巻回したベルトリール(例えば、実施形態のベルトリール12)と、車両挙動が不安定になったときに、前記ベルトリールのウェビング引き出し方向の回転を機械的にロックし、前記ベルトリールのウェビング巻取り方向の所定量以上の回転によってロックが自動的に解除される緊急ロック機構(例えば、実施形態の緊急ロック機構22)と、前記ベルトリールに回転駆動力を付与するモータ(例えば、実施形態のモータ10)と、このモータを制御する制御装置(例えば、実施形態のコントローラ21)と、を備えたシートベルト装置において、前記制御装置は、前記緊急ロック機構のロック解除時に、前記モータをウェビング巻き取り方向に低速で駆動し、ウェビングの張力が所定値以上になったときに、前記モータの駆動速度を高速に切り換えることを特徴とする。
この場合、車両挙動が不安定になって緊急ロック機構がロックし、その後に車両状態が安定すると、制御装置が、最初にモータをウェビング巻き取り方向に低速で駆動する。こうしてウェビングを低速で巻き取っている間に、ウェビングの張力が所定値以上になると、制御装置がその時点でモータの駆動速度を高速に切り換える。
図1は、シートベルト装置1の全体概略構成を示すものであり、同図中2は、乗員3の着座する運転席側のシートである。
このシートベルト装置1は、所謂三点式のシートベルトであり、図示しないセンタピラーに取付けられたリトラクタ4からウェビング5が上方に引き出され、そのウェビング5がセンタピラーの上部側に支持されたスルーアンカ6に挿通されるとともに、ウェビング5の先端がシート2の車室外側寄りのアウタアンカ7を介して車体フロアに固定されている。そして、ウェビング5のスルーアンカ6とアウタアンカ7の間にはタングプレート8が挿通されており、そのタングプレート8は、シート2の車体内側寄りの車体フロアに固定されたバックル9に対して脱着可能となっている。
リトラクタ4は、図2に示すようにケーシング14(図3参照。図2では省略。)に回転可能に支持されたベルトリール12にウェビング5が巻回されている。ベルトリール12は、クラッチ20を含む動力伝達機構13を介してモータ10の回転軸10aに連動可能に接続されている。動力伝達機構13は、モータ10の回転を減速してベルトリール12に伝達する。また、リトラクタ4には、ベルトリール12をウェビング巻取り方向に付勢する図示しない巻取りばねが設けられ、ベルトリール12とモータ10がクラッチ20によって切り離された状態において、巻取りばねによる張力がウェビング5に作用するようになっている。なお、クラッチ20はモータ10の正転時にONにされ、モータ10の逆転を契機としてOFFとされる。
この場合、ベルトリール12の回転に応じてセンサ回路からコントローラ21に入力されたパルス信号は、ベルトリール12の回転量や、回転速度、回転方向等を検出するのに用いられる。つまり、コントローラ21においては、パルス信号をカウントすることによってベルトリール12の回転量(ウェビング5の巻取り量・引き出し量)を検出し、パルス信号の変化速度(周波数)を演算することによってベルトリール12の回転速度(ウェビング5の巻取り・引き出し速度)を求め、さらに、両パルス信号の波形の立ち上がりの比較によってベルトリール12の回転方向を検出する。
コントローラ21は、前後加速度センサ40や横加速度センサ41、ヨーレートセンサ42、他のコントローラ等からの入力信号を基にして緊急状態(車両挙動の不安定状態)を判定し、緊急状態であると判定したときにウェビング5を大きく引き込むように、或いは、間欠的に引き込むようにモータ10を通電制御する。
ケーシング14には一対の側壁14A,14Bが設けられ、一方の側壁14Aには、前述した動力伝達機構13(図2参照)と、戻しばねを収容する図示しないスプリングケースとが取り付けられ、他方の側壁14Bには、後述するロック作動ドラム23を支持するリテーナ24が取り付けられている。また、両側の側壁14A,14Bには略円形の孔25が設けられ、他方の側壁14Bの孔25の内周にはウェビング巻取り方向に傾斜したロック溝26が形成されている。
揺動アーム28は、先端側のロック爪28aが径方向外側に揺動して突出したときに、そのロック爪28aがケーシング14側のロック溝26と噛合する。揺動アーム28は、ウェビング巻取り方向に傾斜したロック溝26と噛合することにより、ベルトリール12の引き出し方向の回転をロックするとともに、ベルトリール12の巻取り方向の回転を許容する。また、揺動アーム28にはロック作動ドラム23方向に突出するガイド突起29が設けられている。
ガイド突起29は、ベルトリール12(ロッキングベース27)がロック作動ドラム23に対してウェビング引き出し方向に相対回動したときに、カム孔31による案内作用によって揺動アーム28のロック爪28aを径方向外側に突出させる。こうして、揺動アーム28のロック爪28aが径方向外側に突出すると、そのロック爪28aがケーシング14側のロック溝26に噛合される(ロック状態とされる)。また、この状態からベルトリール12がロック作動ドラム23に対してウェビング巻取り方向に相対回動すると、同様にカム孔31による案内作用によって揺動アーム28のロック爪28aを径方向内側に引き戻す。こうして、揺動アーム28のロック爪28aが径方向内側に所定量引き戻されると、ロック溝26に対するロック爪28aの噛合が解除される(ロック状態が解除される)。
こうして、係止爪36がクラッチ歯32に噛合されると、ロック作動ドラム23の回転がロックする。したがって、この状態でウェビング5が引き出されようとすると、揺動アーム28のロック爪28aがケーシング14側のロック溝26と噛合される(緊急ロック機構22がロックされる)。
なお、ロック解除のためのベルトリール12のウェビング巻取り方向の操作は、基本的にはモータ10の駆動力によって行われる。以下では、「ロック解除」とは、モータ10によるロック解除を意味するものとする。
同図に示すように、コントローラ21は、緊急ロック機構22のロック解除時に、モータ10をウェビング巻き取り方向に低速の第1の速度(一定速度)で駆動する低速巻き取り手段50と、モータ10をウェビング巻き取り方向に高速の第2の速度(一定速度)で回転させる高速巻き取り手段51と、モータ10の通電電流を検出する電流検出手段52と、を備えている。そして、コントローラ21は、ロック解除時には、低速巻き取り手段50によるモータ10の駆動を最初に実行し、電流検出手段52で検出されるモータ10の通電電流が所定値以上になると、その時点でモータ10の駆動を高速巻き取り手段51による駆動に切り換える。
また、ロック解除時には、コントローラ21はロック解除の開始からのベルトリール12(モータ10)の総巻き取り時間を管理し、総巻き取り時間が所定時間に達したときに、モータ10の巻き取り駆動を停止するようになっている。ここで、モータ10の巻き取り駆動を停止するまでの所定時間は、ロック解除を開始した後に緊急ロック機構22が再度ロックする可能性の小さく時間に設定されている。
図4は、コントローラ21によるメインフローを示すものであり、図4は、メインフロー中の緊急巻き取り処理S102のフローを示し、図5は、メインフロー中の緊急ロック機構解除処理S104を示している。
図4に示すメインフローのステップS101においては、前後加速度センサ40や横加速度センサ41、ヨーレートセンサ42、他のコントローラ等からの信号を基にして、シートベルト装置1による乗員拘束が必要であるか否かを判定し、Yesの場合にのみ次の緊急巻き取り処理S102へと進む。なお、以下のステップにおいては、実際には、ステップS101と同様に拘束の要否の判定やロック解除の判定に、前後加速度センサ40や横加速度センサ41、ヨーレートセンサ42、他のコントローラ等の信号が用いられることもあるが、ステップS102以下では、前後加速度センサ40のみが用いられる例について説明するものとする。
つづく、ステップS202においては、ステップS201で読み込んだウェビング5の現在の巻き取り位置Xが目標巻き取り位置X1と等しくないか否かを判定し、ここでYes(等しくない)場合には、ステップS203に進み、Noの場合には、ステップS206へと進む。
ステップS206では、車両に作用する現在の加速度Gを基にウェビング5による乗員拘束が必要であるか否かを判定し、ここでYesの場合には、ステップS201に戻り、Noの場合には、緊急巻き取り処理S102を終了してメインフローに戻る。
ステップS203では、ウェビング5の現在の巻き取り位置Xが目標巻き取り位置X1よりも小さいか否かを判定し、Yesの場合、つまり、目標巻き取り位置X1よりも小さい場合には、ステップS204でモータ10に対する通電電流Iを微小量ΔI増加してステップS206に進み、Noの場合、つまり、目標巻き取り位置X1よりも大きい場合には、ステップS205で逆にモータ10に対する通電電流Iを微小量ΔI減少させてステップS206に進む。
したがって、この緊急巻き取り処理S102においては、常に、ウェビング5の巻き取り位置Xが目標巻き取り位置X1に近づくようにモータ10の通電電流Iを制御し、この制御が車両状態が安定するまで継続される。
つづく、ステップS302においては、緊急ロック解除処理104の開始からの経過時間Tが所定時間T1以上であるか否かを判定し、ここでYesの場合には、緊急ロック機構解除処理S104を終了し、Noの場合には、ステップS303へと進む。
ステップS303においては、モータ10に対する通電電流Iが閾値電流I1以上であるか否かを判定し、ここでYesの場合には、ステップS304に進み、Noの場合には、ステップS301に戻る。つまり、第1の速度でモータ10によるウェビング5の引き込みを開始してからウェビング5に作用する張力がある程度の力(閾値電流I1でモータ10を通電したときのモータトルクに対応する力)に達するまでは第1の速度でモータ10を回転させる。
ステップS304においては、モータ10の回転速度を高速の第2の速度に切り換え、第2の速度でウェビング5の巻き取りを実行する。
つづく、ステップS305においては、緊急ロック解除処理104の開始からの経過時間Tが所定時間T1以上であるか否かを判定し、ここでYesの場合には、緊急ロック機構解除処理S104を終了し、Noの場合には、ステップS304に戻る。つまり、緊急ロック解除処理104の開始から所定時間T1が経過するまでは、第2の速度でモータ10によるウェビング5の引き込みが継続され、所定時間T1の経過をもってウェビング5の引き込みを終了する。
ここで、所定時間T1は、ロック解除時のウェビング5の総巻き取り時間であり、この所定時間T1は、前述のようにロック解除を開始した後に緊急ロック機構22が再度ロックする可能性の小さい時間に設定されている。したがって、緊急ロック機構解除処理S104を終了した後には、緊急ロック機構22が再度ロックする可能性は極めて小さくなる。
5…ウェビング
10…モータ
12…ベルトリール
21…コントローラ(制御装置)
22…緊急ロック機構
50…低速巻き取り手段
51…高速巻き取り手段
52…電流検出手段
Claims (2)
- ウェビングを巻回したベルトリールと、
車両挙動が不安定になったときに、前記ベルトリールのウェビング引き出し方向の回転を機械的にロックし、前記ベルトリールのウェビング巻取り方向の所定量以上の回転によってロックが自動的に解除される緊急ロック機構と、
前記ベルトリールに回転駆動力を付与するモータと、
このモータを制御する制御装置と、を備えたシートベルト装置において、
前記制御装置は、前記緊急ロック機構のロック解除時に、前記モータをウェビング巻き取り方向に低速で駆動し、ウェビングの張力が所定値以上になったときに、前記モータの駆動速度を高速に切り換えることを特徴とするシートベルト装置。 - 前記制御装置は、
前記モータをウェビング巻き取り方向に低速の第1の速度で駆動する低速巻き取り手段と、
前記モータをウェビング巻き取り方向に高速の第2の速度で回転させる高速巻き取り手段と、
前記モータの通電電流を検出する電流検出手段と、を備え、
前記緊急ロック機構のロック解除時には、前記低速巻き取り手段による前記モータの駆動を実行し、前記電流検出手段が所定値以上の電流値を検出したときに、前記高速巻き取り手段による前記モータの駆動に切り換えることを特徴とする請求項1に記載のシートベルト装置。
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