JP5069761B2 - シートベルト装置 - Google Patents
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Description
このため、車両挙動が不安定になってビークルセンサが作動すると、ロック作動ドラムが制動され、ウェビングが引き出されようとしたときに、ベルトリールとロック作動ドラムが一方向に相対回転する。これにより、ロック爪がケーシングのロック溝と噛合し、その結果、ベルトリールのウェビング引き出し方向の回転がロックされる。
また、緊急ロック機構がロック作動した後に、ウェビングの引き出し方向の力が無くなりベルトリールが戻しばねの力によって巻取り方向に回転すると、ベルトリールとロック作動ドラムが他方向に所定量相対回転したところで、ロック爪とロック溝の噛合が自動的に解除される。
この発明の場合、車両挙動が不安定になって運転席側と助手席側の緊急ロック機構がロックした後に車両挙動が安定し、両席の駆動モータが各緊急ロック機構のロック解除のためにウェビング巻取り方向に駆動されると、運転席側と助手席側の各巻取り時間推定手段は各位置検出手段の検出情報に基づいてベルトリールがロック解除し得る所定量回転するまでの時間をそれぞれ推定する。このとき、速度補正手段は、両巻取り時間推定手段の推定結果が近似するように、運転席側と助手席側の少なくとも一方の駆動モータの回転速度を補正する。この結果、運転席側と助手席側とで緊急ロック機構のロックが解除されるタイミングがほぼ同じになる。
この発明の場合、速度補正手段は、運転席側と助手席側の駆動モータのうちの、通電電流が所定の上限値を越えない側の回転速度を優先して補正することになる。なお、ここで言う所定の上限値は、それ以上通電電流を増大させてもウェビングの巻取り速度が増大しない上限電流値であることが望ましい。
この発明の場合、車両挙動が不安定になって運転席側と助手席側の緊急ロック機構がロックした後に車両挙動が安定し、両席の駆動モータが各緊急ロック機構のロック解除のためにウェビング巻取り方向に駆動されると、運転席側と助手席側の各巻取り量検出手段は各位置検出手段の検出情報に基づいて各席のウェビングの巻取り量を求める。このとき、駆動管理手段は、運転席側のウェビング巻取り量と助手席側のウェビング巻取り量がともに所定量を超えるまで両席の駆動モータの回転を継続させ、ウェビング巻取り量がともに所定量を超えた時点で両席の駆動モータの駆動を停止させる。この結果、運転席側と助手席側とで駆動モータの停止タイミングが同じになる。
最初に、図1〜図6に示す第1の実施形態について説明する。
図1は、シートベルト装置1の全体概略構成を示すものであり、同図中2は、乗員3の着座する運転席側と助手席側のシートである。このシートベルト装置1は、同様の構成の運転席側のシートベルトユニットSRと助手席側のシートベルトユニットSLを備えている。
各シートベルトユニットSR,SLは、所謂三点式のシートベルトであり、図示しないセンタピラーに取付けられたリトラクタ4からウェビング5が上方に引き出され、そのウェビング5がセンタピラーの上部側に支持されたスルーアンカ6に挿通されるとともに、ウェビング5の先端がシート2の車室外側寄りのアウタアンカ7を介して車体フロアに固定されている。そして、ウェビング5のスルーアンカ6とアウタアンカ7の間にはタングプレート8が挿通されており、そのタングプレート8は、シート2の車体内側寄りの車体フロアに固定されたバックル9に対して脱着可能となっている。
リトラクタ4は、図2に示すようにケーシング14に回転可能に支持されたベルトリール12にウェビング5が巻回されるとともに、ケーシング14の一端側にベルトリール12の軸が突出している。このベルトリール12は、クラッチ20を含む動力伝達機構13を介して駆動モータ10の回転軸10aに連動可能に接続されている。動力伝達機構13は、駆動モータ10の回転を減速してベルトリール12に伝達する。また、リトラクタ4には、ベルトリール12をウェビング巻取り方向に付勢する図示しない巻取りばねが設けられ、ベルトリール12と駆動モータ10がクラッチ20によって切り離された状態において、巻取りばねによる張力がウェビング5に作用するようになっている。なお、クラッチ20は駆動モータ10の正転時にONにされ、駆動モータ10の逆転を契機としてOFFとされる。
この場合、ベルトリール12の回転に応じてセンサ回路からコントローラ21に入力されたパルス信号は、ベルトリール12の回転量や、回転速度、回転方向等を検出するのに用いられる。つまり、コントローラ21においては、パルス信号をカウントすることによってベルトリール12の回転量(ウェビング5の巻取り量・引き出し量)を検出し、パルス信号の変化速度(周波数)を演算することによってベルトリール12の回転速度(ウェビング5の巻取り・引き出し速度)を求め、さらに、両パルス信号の波形の立ち上がりの比較によってベルトリール12の回転方向を検出する。
コントローラ21は、前後加速度センサ40や横加速度センサ41、ヨーレートセンサ42等からの入力信号を基にして緊急状態(車両挙動の不安定状態)を判定し、緊急状態であると判定したときにウェビング5を大きく引き込むように、或いは、間欠的に引き込むように駆動モータ10を通電制御する。
ケーシング14には一対の側壁14A,14Bが設けられ、一方の側壁14Aには、前述した動力伝達機構13(図2参照)と、戻しばねを収容する図示しないスプリングケースとが取り付けられ、他方の側壁14Bには、後述するロック作動ドラム23を支持するリテーナ24が取り付けられている。また、両側の側壁14A,14Bには略円形の孔25が設けられ、他方の側壁14Bの孔25の内周にはウェビング巻取り方向に傾斜したロック溝26が形成されている。
揺動アーム28は、先端側のロック爪28aが径方向外側に揺動して突出したときに、そのロック爪28aがケーシング14側のロック溝26と噛合する。揺動アーム28は、ウェビング巻取り方向に傾斜したロック溝26と噛合することにより、ベルトリール12の引き出し方向の回転をロックするとともに、ベルトリール12の巻取り方向の回転を許容する。また、揺動アーム28にはロック作動ドラム23方向に突出するガイド突起29が設けられている。
ガイド突起29は、ベルトリール12(ロッキングベース27)がロック作動ドラム23に対してウェビング引き出し方向に相対回動したときに、カム孔31による案内作用によって揺動アーム28のロック爪28aを径方向外側に突出させる。こうして、揺動アーム28のロック爪28aが径方向外側に突出すると、そのロック爪28aがケーシング14側のロック溝26に噛合される(ロック状態とされる)。また、この状態からベルトリール12がロック作動ドラム23に対してウェビング巻取り方向に相対回動すると、同様にカム孔31による案内作用によって揺動アーム28のロック爪28aを径方向内側に引き戻す。こうして、揺動アーム28のロック爪28aが径方向内側に所定量引き戻されると、ロック溝26に対するロック爪28aの噛合が解除される(ロック状態が解除される)。
こうして、係止爪36がクラッチ歯32に噛合されると、ロック作動ドラム23の回転がロックする。したがって、この状態でウェビング5が引き出されようとすると、揺動アーム28のロック爪28aがケーシング14側のロック溝26と噛合される(緊急ロック機構22がロックされる)。
なお、ロック解除のためのベルトリール12のウェビング巻取り方向の操作は基本的には戻しばねの力によって自動的に行われるが、車両挙動が不安定になって駆動モータ10によるウェビング5の緊急引き込みとともに緊急ロック機構22がロック作動した後には、駆動モータ10の駆動力によって強制的に解除が行われる。以下、この駆動モータ10によるロック解除を「強制ロック解除」と呼ぶ。
同図に示すように、コントローラ21は、回転センサ11Rの位置検出情報に基づいて運転席側のベルトリール12の回転速度を求め、その速度から強制ロック解除時に運転席側のベルトリール12がウェビング巻取り方向にロック解除可能な所定量(図6中のL1参照)回転するまでの時間を推定する運転席側の巻取り時間推定手段50と、回転センサ11Lの位置検出情報に基づいて助手席側のベルトリール12の回転速度を求め、その速度から強制ロック解除時に助手席側のベルトリール12がウェビング巻取り方向にロック解除可能な所定量回転するまでの時間を推定する助手席側の巻取り時間推定手段51と、強制ロック解除時に、運転席側の巻取り時間推定手段50の推定結果と助手席側の巻取り時間推定手段51の推定時間が近似するように、運転席側と助手席側の駆動モータ10の回転速度(ウェビング巻取り速度)を補正する速度補正手段52と、を備えている。
また、コントローラ21は、さらに運転席側の駆動モータ10の通電電流を検出する運転席側の電流検出手段53と、助手席側の駆動モータ10の通電電流を検出する助手席側の電流検出手段54と、備えている。
具体的には、速度補正手段52は、運転席側と助手席側の両電流検出手段53,54の検出値がともに所定の上限値を超える場合を除き、運転席側と助手席側のうちの、電流検出手段53,54の検出値が所定の上限値を超えない側の駆動モータ10の回転速度を補正する。この場合、推定巻取り時間の短い側の駆動モータ10の回転速度を減速することを基本とし、通電電流の関係でやむを得ない場合(通電電流が上限値を超えてしまう場合)に推定巻取り時間の長い側の駆動モータ10の回転速度を増速させる。
なお、ここでの通電電流の上限値は、それ以上通電電流を増大させてもウェビング5の巻取り速度が増大しない上限電流値である。
車両に不安定挙動が生じ、運転席側と助手席側の各シートベルトユニットSR,SLにおいて、駆動モータ10によるウェビング5の緊急引き込みが行われるとともに、緊急ロック機構22がロック作動すると、ステップS101で緊急作動有りと判定され、その結果、コントローラ21による制御はステップS102へと進む。ステップS102においては、その後に前後加速度センサ40や横加速度センサ41、ヨーレートセンサ42等の検出結果に基づいて車両状態が安定になったか否かを判定する。ここで、Yesの場合には、ステップS103に進み、Noの場合にはリターンする。ここで、ステップS103に進む場合には、運転席側と助手席側の駆動モータ10が強制ロック解除のためにウェビング巻取り方向に回転駆動される。
ステップS104においては、ロック解除条件が成立しているか否かを判定し、ここでYesの場合には、ステップS114に進んで制御を停止し、Noの場合には、ステップS103へと戻る。なお、ステップS104における解除条件とは、例えば、一方のベルトリール12がロック解除可能な所定量回転したか否かであり、このとき運転席側と助手席側の一方のみが条件を満たしているときには、その条件を満たしている側の駆動モータ10の運転を停止した後に、他方の駆動モータ10を巻取り量が所定量に達するまでそのまま運転する。
(1)運転席側の巻取り速度が基準速度よりも大きく、かつ、助手席側の巻取り速度が基準速度よりも小さい場合(ステップS108へ)。
(2)運転席側と助手席側の巻取り速度がともに基準速度よりも大きい場合(ステップS110へ)。
(3)運転席側の巻取り速度が基準速度よりも小さく、かつ、助手席側の巻取り速度が基準速度よりも大きい場合(ステップS111へ)。
(4)運転席側と助手席側の巻取り速度がともに基準速度よりも小さい場合(ステップS113へ)。
また、上記の(1),(3)の状況は、運転席側と助手席側のウェビング5の巻取り速度が基準速度を挟んで差がある状況であり、この場合には、駆動モータ10の回転速度(ウェビング5の巻取り速度)を補正するが、ステップS108,S111では、その前にさらに駆動モータ10の通電電流に応じて再度場合分けを行う。
ステップS111においては、同様に、運転席側の通電電流が上述の上限値を越えていないか否かを判定し、ここでYesの場合、つまり越えていない場合にはステップS112に進み、Noの場合にはステップS109へと進む。
ただし、ステップS108からステップS109に進んだ場合と、ステップS111からステップS112に進んだ場合には対象となる駆動モータ10の減速補正を行い、ステップS111からステップS109に進んだ場合と、ステップS108からステップS112に進んだ場合には対象となる駆動モータ10の増速補正を行う。
したがって、このシートベルト装置1の強制ロック解除では、ロックが解除されるタイミングが運転席側と助手席側とでほぼ同じになる。このため、運転席と助手席に着座した乗員は違和感なく強制ロック解除が正常通りに行われたものと認識することができる。
なお、この実施形態においては、強制ロック解除時に、速度補正手段52が運転席側と助手席側の一方の駆動モータ10の回転速度を補正するようにしているが、速度補正手段52は、運転席側と助手席側の推定巻取り時間が近似するように、両席の駆動モータ10の回転速度を補正するようにしても良い。
同図に示すように、コントローラ121は、回転センサ11Rの位置検出情報に基づいて運転席側のウェビング5の巻取り量(ベルトリール12の回転量)を求める運転席側の巻取り量検出手段60と、回転センサ11Lの位置検出情報に基づいて助手席側のウェビング5の巻取り量(ベルトリール12の回転量)を求める助手席側の巻取り量検出手段61と、強制ロック解除時に、運転席側と助手製側の巻取り量検出手段60,61による検出量がいずれもロック解除可能な所定量(図9中のL1参照)を越えるまで運転席側と助手席側の駆動モータ10の駆動を継続し、所定量を超えた後に両駆動モータ10の駆動を停止する駆動管理手段62と、を備えている。
ステップS201で緊急作動有りと判定して、次のステップS202に進むと、そこで車両状態が再び安定になったか否かを判定する。ここで、安定状態と判定した場合には、運転席側と助手席側の駆動モータ10を強制ロック解除のためにウェビング巻取り方向に回転駆動し、次のステップS203へと進む。
したがって、このシートベルト装置1の強制ロック解除では、運転席側と助手席側のウェビングの巻取りを終了するタイミングが同じになる。このため、運転席と助手席に着座した乗員は違和感なく強制ロック解除が正常通りに行われたものと認識することができる。
10…駆動モータ
11R,11L…回転センサ(位置検出手段)
12…ベルトリール
21,121…コントローラ(制御装置)
22…緊急ロック機構
50…運転席側の巻取り時間推定手段
51…助手席側の巻取り時間推定手段
52…速度補正手段
53…運転席側の電流検出手段
54…助手席側の電流検出手段
60…運転席側の巻取り量検出手段
61…助手席側の巻取り量検出手段
62…駆動管理手段
SR,SL…シートベルトユニット
Claims (3)
- ウェビングを巻回したベルトリールと、車両挙動が不安定になったときに、前記ベルトリールのウェビング引き出し方向の回転を機械的にロックし、前記ベルトリールのウェビング巻取り方向の所定量以上の回転によってロックが自動的に解除される緊急ロック機構と、前記ベルトリールに回転駆動力を付与する駆動モータと、を備えたシートベルトユニットが車両の運転席側と助手席側とにそれぞれ設けられ、
運転席側と助手席側の前記各シートベルトユニットの緊急ロック機構が車両挙動の不安定時にロックし、その後に車両挙動が安定したときに、前記各シートベルトユニットの駆動モータが制御装置により制御されて、前記緊急ロック機構のロック解除のためにウェビング巻取り方向に回転駆動されるシートベルト装置において、
前記運転席側のシートベルトユニットと助手席側のシートベルトユニットには、それぞれ前記ベルトリールの回転位置を検出する位置検出手段が設けられ、
前記制御装置は、
前記運転席側の位置検出手段の検出情報に基づいて前記運転席側のベルトリールがウェビング巻取り方向にロック解除可能な所定量回転するまでの時間を推定する運転席側の巻取り時間推定手段と、
前記助手席側の位置検出手段の検出情報に基づいて前記助手席側のベルトリールがウェビング巻取り方向にロック解除可能な所定量回転するまでの時間を推定する助手席側の巻取り時間推定手段と、
前記運転席側と助手席側の緊急ロック機構のロック解除時に、前記運転席側の巻き取り時間推定手段の推定結果と助手席側の巻取り時間推定手段の推定結果が近似するように、運転席側及び/または助手席側の駆動モータの回転速度を補正する速度補正手段と、
を備えていることを特徴とするシートベルト装置。 - 前記運転席側の駆動モータの通電電流を検出する運転席側の電流検出手段と、
前記助手席側の駆動モータの通電電流を検出する助手席側の電流検出手段と、を備え、
前記速度補正手段は、前記運転席側と助手席側の緊急ロック機構のロック解除時に、運転席側と助手席側の両電流検出手段の検出値がともに所定の上限値を越える場合を除き、運転席側と助手席側のうちの、前記電流検出手段の検出値が所定の上限値を超えない側の駆動モータの回転速度を補正することを特徴とする請求項1に記載のシートベルト装置。 - ウェビングを巻回したベルトリールと、車両挙動が不安定になったときに、前記ベルトリールのウェビング引き出し方向の回転を機械的にロックし、前記ベルトリールのウェビング巻取り方向の所定量以上の回転によってロックが自動的に解除される緊急ロック機構と、前記ベルトリールに回転駆動力を付与する駆動モータと、を備えたシートベルトユニットが車両の運転席側と助手席側とにそれぞれ設けられ、
運転席側と助手席側の前記各シートベルトユニットの緊急ロック機構が車両挙動の不安定時にロックし、その後に車両挙動が安定したときに、前記各シートベルトユニットの駆動モータが制御装置により制御されて、前記緊急ロック機構のロック解除のためにウェビング巻取り方向に回転駆動されるシートベルト装置において、
前記運転席側のシートベルトユニットと助手席側のシートベルトユニットには、それぞれ前記ベルトリールの回転位置を検出する位置検出手段が設けられ、
前記制御装置は、
前記運転席側の位置検出手段の検出情報に基づいて前記運転席側のウェビングの巻取り量を求める運転席側の巻取り量検出手段と、
前記助手席側の位置検出手段の検出情報に基づいて前記助手席側のウェビングの巻取り量を求める助手席側の巻取り量検出手段と、
前記運転席側と助手席側の緊急ロック機構のロック解除時に、前記運転席側の巻取り量検出手段による検出量と前記助手席側の巻き取り量検出手段による検出量がいずれもロック解除可能な所定量を越えるまで運転席側と助手席側の前記駆動モータの駆動を継続し、前記所定量を超えた後に前記両駆動モータの駆動を停止する駆動管理手段と、
を備えていることを特徴とするシートベルト装置。
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