JP5616862B2 - シートベルト装置 - Google Patents
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Description
この種のシートベルト装置としては、緊急時のウェビングの引き込みをモータによって行うだけでなく、ウェビング装着時の弛み取りや、ウェビングを外した後の収納作動もモータの動力によって助勢するものがある(例えば、特許文献1参照)。
このシートベルト装置は、ウェビングの収納時には、モータが設定電力で巻取り方向に駆動され、それによってウェビングがベルトリールに巻き取られる。
しかし、シートベルト装置に用いられるウェビングは湿度を吸収し易い化学繊維によって形成されているため、周囲の湿度が高い場合には吸収した湿気が大きな作動抵抗となる。このため、湿度の高い場合には、ウェビングの作動抵抗の増大によってウェビングが規定の巻取り位置まで収納できなくなる可能性が考えられる。
また、ウェビングの収納時にモータに付与する電力を大きくすれば、ウェビングを規定の巻取り位置まで確実に収納できるようになるが、この場合には、乾燥時にウェビングの巻取り速度が必要以上に速くなり、モータ作動音の増大を招いてしまう。
請求項1に係る発明は、シートに着座した乗員を拘束するウェビング(例えば、後述の実施形態におけるウェビング5)が巻回されるベルトリール(例えば、後述の実施形態におけるベルトリール12)と、前記ベルトリールに駆動力を伝達可能なモータ(例えば、後述の実施形態におけるモータ10)と、乗員による前記ウェビングの装着状態と非装着状態を検出する脱着状態検出手段(例えば、後述の実施形態におけるバックルスイッチ39)と、この脱着状態検出手段による検出結果が装着状態から非装着状態に切り換わったときに前記モータをウェビング巻取り方向に回転駆動する収納制御手段(例えば、後述の実施形態における収納制御手段35)と、を備えたシートベルト装置であって、前記モータに通電されている電流を検出する電流センサ(例えば、後述の実施形態における電流センサ40)と、前記ウェビングの近傍の湿度を検出する湿度検出手段と、を備え、前記湿度検出手段は、前記ベルトリールが一定速度で回転するように前記モータをウェビング巻取り方向に駆動して、その際の通電電流を前記電流センサによって検出し、前記電流センサの検出電流値に基づいて前記ウェビングの近傍の湿度を求め、前記収納制御手段は、前記湿度検出手段による検出湿度が高いほど前記ウェビングの巻取り速度が速くなるように前記モータの駆動電力を制御することを特徴とする。
これにより、ウェビングの収納時には、湿度検出手段の検出湿度が高いほど巻取り速度が速くなるようにモータの駆動電力が制御されるため、ウェビングの作動抵抗が湿度によって増大する分だけモータの巻取り速度が増速されることになる。
最初に、図1〜図3に示す第1の実施形態について説明する。
図1は、この実施形態のシートベルト装置1の全体概略構成を示す図であり、同図中2は、乗員3の着座するシートである。この実施形態のシートベルト装置1は、所謂三点式のシートベルト装置であり、図示しないセンタピラーに取付けられたリトラクタ4からウェビング5が上方に引き出され、そのウェビング5がセンタピラーの上部側に支持されたスルーアンカ6に挿通されるとともに、ウェビング5の先端がシート2の車室外側寄りのアウタアンカ7を介して車体フロアに固定されている。そして、ウェビング5のスルーアンカ6とアウタアンカ7の間にはタングプレート8が挿通されており、そのタングプレート8は、シート2の車体内側寄りの車体フロアに固定されたバックル9に対して脱着可能となっている。
ウェビング5は、初期状態ではリトラクタ4に巻取られており、乗員3が手で引き出してタングプレート8をバックル9に固定することにより、乗員3の主に胸部と腹部をシート2に対して拘束する。また、このシートベルト装置1は、緊急時や車両の挙動変化が大きいときや、ウェビング5の弛み取り時や、ウェビング5をリトラクタ4に巻取り収納するとき等に、電動式のモータ10によってウェビング5の巻取りを行う。
なお、クラッチ20は、モータ10の正転方向の回転トルクの入力を契機として動力伝達機構13を接続状態にし、モータ10の逆転方向の回転トルクの入力を契機として動力伝達機構13を遮断状態にする。
この場合、ベルトリール12の回転に応じてセンサ回路からコントローラ21に入力されたパルス信号は、ベルトリール12の回転量や、回転速度、回転方向等を検出するのに用いられる。つまり、コントローラ21においては、パルス信号をカウントすることによってベルトリール12の回転量(ウェビング5の巻取り・引き出し量)を検出し、パルス信号の変化速度(周波数)を演算することによってベルトリール12の回転速度(ウェビング5の巻取り・引き出し速度)を求め、さらに、パルス信号の波形の立ち上がりの比較によってベルトリール12の回転方向を検出する。
収納制御手段35では、例えば、湿度検出手段によって検出される湿度を、20%,50%,75%を境界として4つの領域に分け、これらの領域の湿度に応じてモータ10の駆動電力を小,中,大,極大の4段階に切り換えるとともに、電流規定値も同様に4段階に切り換える。モータ10の駆動電力と電流規定値は、湿度の増加に応じて増大するように設定されている。
ステップS101においては、バックルスイッチ39の検出信号がONからOFFに切り換わったか否かを判定し、Yesの場合にはステップS102に進んで湿度検出手段の信号を読み込み、Noの場合にはリターンする。
ステップS105においては、湿度検出手段の信号を基にして湿度が50%以下であるか否かを判定し、ここでYesの場合にはステップS106に進み、Noの場合にはステップS107へと進む。ステップS106では、収納制御手段35が中電力でモータ10をウェビング巻取方向に駆動する。
ステップS107においては、湿度検出手段の信号を基にして湿度が75%以下であるか否かを判定し、ここでYesの場合にはステップS108に進み、Noの場合にはステップS109へと進む。ステップS108では、収納制御手段35が大電力でモータ10をウェビング巻取方向に駆動し、ステップS109では、収納制御手段35が極大電力でモータ10をウェビング巻取方向に駆動する。
なお、ステップS104,S106,S108,S109の説明で用いた小電力、中電力、大電力、極大電力は、これらの各ステップでの駆動電力を比較した場合の相対的な電力の大小を意味し、各電力の大小は、小電力<中電力<大電力<極大電力であるものとする。
ステップS201おいては、バックルスイッチ39の検出信号がONからOFFに切り換わったか否かを判定し、Yesの場合にはステップS202に進み、Noの場合にはリターンする。
ステップS202においては、ベルトリール5が一定速度で回転するように(ウェビング5が一定速度で変位するように)モータ10をウェビング巻取り方向に駆動する。
ステップS205においては、モータ10の通電電流が第2の電流値(例えば、3.5A)以下であるか否かを判定し、ここでYesの場合にはステップS206に進み、Noの場合にはステップS207へと進む。
ステップS207においては、モータ10の通電電流が第3の電流値(例えば、4.0A)以下であるか否かを判定し、ここでYesの場合にはステップS208に進み、Noの場合にはステップS209へと進む。
なお、ステップS203,S205,S207の説明で用いた第1の電流値,第2の電流値,第3の電流値は、第1の電流値<第2の電流値<第3の電流値の大小関係となっている。
通電電流が第1の電流値を超え、かつ第2の電流値以下であると判定されてステップS206に進んだ場合には、ウェビング5の湿度が20%を超え50%以下の範囲であるものと推定する。
同様に、モータ10の通電電流が第2の電流値を超え、かつ第3の電流値以下であると判定されてステップS208に進んだ場合には、ウェビング5の湿度が50%を超え75%以下の範囲であるものと推定する。
また、通電電流が第3の電流値を超えると判定されてステップS209に進んだ場合には、ウェビング5の湿度が75%を超えるものと推定する。
この参考例のシートベルト装置は、全体の構成は上記の実施形態とほぼ共通であるが、図2に示すようにコントローラ21の入力側に、バックルスイッチ39と電流センサ40が接続されている他に、エアコンファンの風量モードが大である否かを検出する風量モード検出部45と、車室内のオーディオがONであるか否かを検出するためにオーディオスイッチ46が接続されている。なお、この参考例においては、風量モード検出部45とオーディオスイッチ46が、車室内の音を検出する車室音検出手段を構成している。
したがって、この参考例の収納制御手段35による制御では、湿度センサ44による検出湿度が高いほどモータ10の駆動速度が速くなり、かつ、同じ検出湿度であれば、エアコンやオーディオによる音のレベルが小さいほど駆動速度が遅くなるようにモータ10の駆動電流が制御される。また、この収納制御手段35による制御において、エアコンやオーディオによる音のレベルが大きいほど駆動速度が速くなり、かつ、同じ音のレベルであれば、湿度センサ44による検出湿度が高いほどウェビング5の巻取り速度が速くなる。
図5のステップS301においては、バックルスイッチ39の検出信号がONからOFFに切り換わったか否かを判定し、Yesの場合にはステップS302に進んで湿度センサ44の信号を読み込み、Noの場合にはリターンする。
つづくステップS303においては、車室音に応じたモータ10の駆動速度を仮決定する。
図6のステップS401においては、エアコンのファンが作動し、かつ風量モードが大であるか否かを判定し、ここでYesの場合にはステップS402に進み、Noの場合にはステップS403へと進む。
ステップS403においては、オーディオスイッチ46がONであるか否かを判定し、ここでYesの場合にはステップS404に進み、Noの場合にはステップS405へと進む。
エアコンの風量モードが大ではなく、かつオーディオスイッチ46がONの場合に、ステップS404に進んだときには、モータ10の駆動速度を中に仮決定する。
また、エアコンの風量モードが大ではなく、かつオーディオスイッチ46がOFFの状態の場合に、ステップS405に進んだときには、モータ10の駆動速度を小(通常速度)に仮決定する。
なお、この参考例においては、エアコンの送風モードが大の場合に車室内の音のレベルが最も大きく、次にオーディオスイッチ46がONの場合に音のレベルが大きくなるものとして制御の設定を行っている。
ステップS306においては、湿度センサ44の信号を基にして湿度が50%以下であるか否かを判定し、ここでYesの場合にはステップS307に進み、Noの場合にはステップS308へと進む。
ステップS308においては、湿度センサ44の信号を基にして湿度が75%以下であるか否かを判定し、ここでYesの場合にはステップS309に進み、Noの場合にはステップS310へと進む。
5…ウェビング
10…モータ
12…ベルトリール
35…収納制御手段
39…バックルスイッチ(脱着状態検出手段)
40…電流センサ
Claims (1)
- シートに着座した乗員を拘束するウェビングが巻回されるベルトリールと、
前記ベルトリールに駆動力を伝達可能なモータと、
乗員による前記ウェビングの装着状態と非装着状態を検出する脱着状態検出手段と、
この脱着状態検出手段による検出結果が装着状態から非装着状態に切り換わったときに前記モータをウェビング巻取り方向に回転駆動する収納制御手段と、を備えたシートベルト装置であって、
前記モータに通電されている電流を検出する電流センサと、前記ウェビングの近傍の湿度を検出する湿度検出手段と、を備え、
前記湿度検出手段は、前記ベルトリールが一定速度で回転するように前記モータをウェビング巻取り方向に駆動して、その際の通電電流を前記電流センサによって検出し、前記電流センサの検出電流値に基づいて前記ウェビングの近傍の湿度を求め、
前記収納制御手段は、前記湿度検出手段による検出湿度が高いほど前記ウェビングの巻取り速度が速くなるように前記モータの駆動電力を制御することを特徴とするシートベルト装置。
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