JP4082223B2 - 車両用シートベルト装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の減速状態時にシートベルトの引き出しが禁止されるようにロックし、同ロックが巻き取りモータによるシートベルトの巻き取り方向への回転によって解除されるロック機構を有する車両用シートベルト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、衝突予測、急操舵、急制動などの車両の緊急時に、モータの駆動によりシートベルトを巻き取って乗員を拘束するようにした車両用シートベルト装置が知られている。一方、車両の緊急時には、ブレーキの踏み込み操作により通常、車両が減速状態になるので、ロック機構が作動してシートベルトの引き出しが禁止される。このため、ロック機構によるロックを解除してシートベルトによる拘束から乗員を解放するために、例えば下記特許文献1に記載の構成を採用したシートベルト装置がある。すなわち、同装置は、簡単な構成で、しかも不必要にシートベルトによる拘束を続けないために、モータの駆動停止から所定時間が経過したときには、車両の緊急状態が回避されたと判定して、モータの駆動により同ロックを解除するようにしている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−104135号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の装置においては、モータの駆動停止から所定時間が経過したときには、車両が緊急状態を回避したと判定されて、ロック機構によるロック解除のためにモータが駆動される。しかし、車両が緊急状態を回避しても、車両が減速状態にあるときには同ロックを解除することができないという問題がある。
【0005】
【発明の概要】
本発明は、上記問題に対処するためになされたものであり、その目的は、確実にロックが解除されるシートベルト装置を提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、シートベルトを巻き取る巻き取りモータと、車両の減速状態時にシートベルトの引き出しが禁止されるようにロックして同ロックを維持するとともに、同ロックがシートベルトの巻き取り方向への回転によって解除されるロック機構とを有するリトラクタと、車両の緊急時に、シートベルトの張力を上昇させるため、巻き取りモータを制御してシートベルトを巻き取る第1巻き取り制御手段と、第1巻き取り制御手段によるシートベルトの巻き取り制御後、ロック機構によるシートベルトのロックを解除するために巻き取りモータを制御してシートベルトを巻き取る第2巻き取り制御手段とを備えた車両用シートベルト装置において、車両が減速状態にあることを検出する減速状態検出手段と、減速状態検出手段によって車両の減速状態が検出されているとき、第2巻き取り制御手段によるシートベルトの巻き取り制御を禁止する禁止手段とを設けたことにある。
【0007】
この本発明の特徴によれば、車両が減速状態にあるときには、禁止手段によって第2巻き取り制御手段によるロック解除のためのシートベルトの巻き取りが禁止される。したがって、ロックの解除時には同ロックが確実に解除される状態にあるので、巻き取りモータによるシートベルトの巻き取り方向への回転によって同ロックを無駄なく確実に解除することができる。
【0008】
この場合、第2巻き取り制御手段を、第1巻き取り制御手段によるシートベルトの巻き取り制御から所定時間が経過した後に、シートベルトのロックを解除するためのシートベルトの巻き取りを行うように構成するとよい。
【0009】
また、減速状態検出手段を、ブレーキが作動状態にあることを検出するブレーキ作動検出手段で構成するとよい。これによれば、車両が減速状態にあることを確実に検出することができる。
【0010】
また、ブレーキ作動検出手段を、ブレーキペダルが踏込まれたことを検知するブレーキ踏込みスイッチと、ブレーキマスタシリンダの液圧を検出するブレーキマスタシリンダ液圧検出手段と、ブレーキマスタシリンダの液圧変化状態を検出するブレーキマスタシリンダ液圧変化状態検出手段とのうちの少なくとも一つで構成するとよい。これによれば、ブレーキが作動状態にあることを確実に検出することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態について図面を用いて説明すると、図1は、同実施形態に係る車両用シートベルト装置の全体を概略的に示すブロック図である。このシートベルト装置は、車両緊急時に各乗員シートベルトの張力を上昇させるためにシートベルトを巻き取るもので、各乗員用シートS1,S2,S3,S4に対応してそれぞれ設けられた運転席シートベルト装置10A、助手席シートベルト装置10B、後列右側シートベルト装置10Cおよび後列左側シートベルト装置10Dを備えている。
【0012】
各シートベルト装置10A,10B,10C,10Dの具体的な構成を、運転席シートベルト装置10Aを例にして説明する。運転席シートベルト装置10Aは、シートベルト11a、バックル12aおよびリトラクタRAを備えている。シートベルト11aは、その一端にて運転席シートS1の側方にて車両に固定されていて、その他端にてリトラクタRAに進入しており、その中間部にタングプレート13aが組み付けられている。バックル12aは、運転席シートS1の側方にて同シートS1のフレームに固定されていて、タングプレート13aを脱着可能とする。
【0013】
リトラクタRAは、運転席シートS1の側方にて車両に設置されていて、図2に模式的に示すように、電動モータMとロック機構Lとを備えている。電動モータMは、ケース14に固定され、回転軸にて中間ギヤを含む減速機構Gを介して巻き取り機構Kに連結されている。巻き取り機構Kは、ケース14にて回転可能に支持されたシャフト15と、同シャフト15と一体に組み付けられシートベルト11aの一端を固定しているスプール16とを備えている。また、巻き取り機構Kは、図示を省略するクラッチを備えている。このクラッチは、電動モータMが正転駆動される場合には同モータMの動力を巻き取り機構Kに伝達するが、電動モータMが逆転駆動されることでその作動を解除される。すなわち、電動モータMの正転駆動により、中間ギヤを含む減速機構Gを介して巻き取り機構Kが回転されてシートベルト11aを巻き取り、電動モータMの逆転駆動により、巻き取り機構Kのクラッチが解除されてシートベルト11aを引き出し可能とする。
【0014】
ロック機構Lは、シートベルト11aの引き出しが禁止されるようにロックするものであり、ブラケット支持台17、ブラケット18、センサボール19、パウル20およびラチェット21を備えている。ブラケット支持台17はケース14に固定されている。ブラケット18は、中空の半円筒状をなし、ブラケット支持台17にて固定されている。センサボール19は、ブラケット18内にて転がり可能に収容されていて、車両の減速状態時にブラケット18の内壁面を登り、非減速状態時にブラケット18の下部に位置する。パウル20は、一端にてブラケット支持台17に回動可能に支持されていて、他端にてラチェット21の歯に噛み合い可能な爪20hを有している。ラチェット21は、スプール16に固定されていて、パウル20の爪20hに噛み合い可能な歯21hを有している。歯21hは、爪20hとの噛み合い時にシートベルト11aの引き出し方向への回転を禁止するが、シートベルト11aの巻き取り方向への回転を許容する歯形を有している。
【0015】
このため、図3に示すように、車両の減速状態時にはセンサボール19が慣性力を受けて、ブラケット18の内壁面を登りパウル20を押し上げる。これにより、パウル20の爪20hがラチェット21の歯21hに噛み合い、ラチェット21およびスプール16によるシートベルトの引き出し方向への回転がロックされてシートベルト11aの引き出しが禁止される。このロックは、車両が減速状態にありセンサボール19がパウル20を押し上げる位置にて安定する限り、維持される。
【0016】
この状態から車両が非減速状態になると、センサボール19はブラケット18の下部に移動する。この状態では、パウル20の爪20hはラチェット21の歯21hに噛み合ったままであるが、シートベルト11aの巻き取り方向への回転によってラチェット21の歯21hとパウル20の爪20hとの噛み合いが解かれる。そして、パウル20は自重によって図2の状態に戻る。これにより、上記ロックが解除されてシートベルト11aの引き出しが許容されることになる。
【0017】
図1に戻って、助手席シートベルト装置10B、後列右側シートベルト装置10Cおよび後列左側シートベルト装置10Dに関しても、運転席シートベルト装置10Aの構成と実質的に同じであるため、対応する個所には同一数字に異なるアルファベット記号a〜d、および同一アルファベット記号Rに異なるアルファベット記号A〜Dをそれぞれ付して説明は省略する。
【0018】
次に、このシートベルト装置の電気制御装置について説明する。この電気制御装置は、車両の緊急状態を検出するために、ハンドル操舵角センサ31、距離センサ32、ブレーキ踏込量センサ33および車速センサ34を有する。ハンドル操舵角センサ31は、ハンドルの操舵角θを検出するものである。距離センサ32は、車両の前端から前方物体(主に前方車両)までの距離Dを検出するものである。ブレーキ踏込量センサ33は、ブレーキの踏込量Bを検出するものである。車速センサ34は、車速Vを検出するものである。
【0019】
また、電気制御装置は、上記各種センサ31〜34に加えて、ブレーキ踏込みスイッチ35、ブレーキマスタシリンダ液圧センサ36を有する。ブレーキ踏込みスイッチ35は、ブレーキペダルの踏み込み操作により第1状態としてのオン状態になり同ペダルの踏み込み操作の解除により第2状態としてのオフ状態になる常開型スイッチである。ブレーキマスタシリンダ液圧センサ36は、ブレーキマスタシリンダの液圧を検出するものである。
【0020】
これらの各種センサ等31〜36は、電子制御ユニット40に接続されている。電子制御ユニット40は、CPU、ROM、RAM、タイマなどからなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするもので、図4の巻き取り制御プログラムを所定の短時間毎に実行することにより、車両の緊急時に、運転席シートベルト装置10A、助手席シートベルト装置10B、後列右側シートベルト装置10Cおよび後列左側シートベルト装置10Dにおける各シートベルト11a〜11dを張力上昇のために巻き取り、またロック機構Lによるロックを解除するために各シートベルト11a〜11dを巻き取るようにリトラクタRA〜RDを制御する。この電子制御ユニット40には、駆動回路41a〜41dが接続されている。駆動回路41a〜41dは、電子制御ユニット40からの制御信号に応じてリトラクタRA〜RDの各電動モータMをそれぞれ作動させる。
【0021】
上記のように構成した実施形態に係るシートベルト装置の作動を、運転席シートベルト装置10Aを例にして説明すると、イグニッションスイッチの投入により、電子制御ユニット40は、図4の巻き取り制御プログラムを所定の短時間毎に繰り返し実行し始める。
【0022】
この巻き取り制御プログラムの実行はステップ100にて開始され、ステップ102にて、モータフラグMTFが“4”であるか否かを判定する。このモータフラグMTFは、図示しない初期設定によって“0”に設定されていて、“1”により車両の緊急時にシートベルト11aを巻き取るために電動モータMが正転状態にあることを表す。また、“2”によりシートベルト11aを巻き取り終えて電動モータMが停止状態にあることを表す。また、“3”によりロック機構Lによるロックを解除するために電動モータMが正転状態にあることを表す。また、“4”により巻き取り機構Kのクラッチを解除して、よりシートベルト11aを引き出し可能とするために電動モータMが逆転状態にあることを表す。
【0023】
現段階ではモータフラグMTFは“0”に設定されているため、ステップ102〜108のすべてにおいて「No」と判定して、ステップ110にて、車両が前方物体に衝突する可能性が高い、車両が横転する可能性が高い、車両が急制動状態であるなどの緊急状態にあるかを判定する。具体的には、前述した距離センサ32、車速センサ34、ハンドル操舵角センサ31、ブレーキ踏込量センサ33からの信号を入力して、車両の前方物体への衝突の可能性、車両の横転の可能性、車両の急制動中などの車両の緊急状態を判定する。
【0024】
車両が緊急状態になければ、ステップ110にて「No」と判定して、ステップ150にてこの巻き取り制御プログラムの実行を終了する。一方、車両が緊急状態にあれば、ステップ110にて「Yes」と判定し、ステップ112にて電動モータMを正転させる。すなわち、電子制御ユニット40は、駆動回路41aを介して電動モータMに正方向の電流を供給してシートベルト11aを巻き取り始める(図6(A)参照)。そして、ステップ114にてカウント値MTMを「0」に設定して計時を開始させ、ステップ116にてモータフラグMTFを“1”に設定する。なお、このカウント値MTMは、タイマによって制御される図示しないプログラムの実行により時間経過に従ってカウントアップされて経過時間を表す。
【0025】
前記ステップ116の処理後、ステップ118にてカウント値MTMが所定時間t1以上を示しているか否かを判定する。この所定時間t1は、図6(A)に示すように、シートベルト11aを所定量だけ巻き取り可能な時間に設定されている。この場合、カウント値MTMが所定時間t1以上を示していなければステップ118にて「No」と判定して、ステップ150にてこの巻き取り制御プログラムの実行を一旦終了する。この場合、モータフラグMTFは“1”に設定されているから、以後、この状態が続く限り、ステップ102〜108,118,150の処理が繰り返し実行され、電動モータMの正転状態が維持される。
【0026】
カウント値MTMが所定時間t1以上を示すようになると、ステップ118にて「Yes」と判定し、ステップ120にて電動モータMの回転を停止させる。これにより、シートベルト11aが所定量だけ巻き取られ、車両が前方物体に衝突しても、車両が横転しても、車両が急停止しても、運転者はシートベルト11aにより拘束されて保護される。そして、ステップ122にてカウント値MTMを「0」に設定して電動モータMの停止時から計時動作を開始させ、ステップ124にてモータフラグMTFを“2”に設定して、ステップ126以降の処理を実行する。
【0027】
一方、上記のような車両の緊急状態においては、運転者によりブレーキペダルが踏み込み操作されて、通常、車両が減速状態にある。この場合、前述したようにセンサボール19の移動によりパウル20の爪20hがラチェット21の歯21hに噛み合ってロック機構Lが作動し、シートベルト11aの引き出しが禁止されたロック状態にある。しかし、車両の緊急状態が回避された後には、運転者をシートベルト11aによる拘束から解放するために、同ロックを解除することが必要である。また、一方では、前述したように電動モータMを正転させてロックを解除しようとしても、車両が減速状態にある限り、センサボール19がパウル20を押し上げているためにロックは解除されない。
【0028】
このようなロック解除の要求およびロック解除の制限を踏まえ、ステップ126においては、シートベルト11aの巻き取り終了からの経過時間が所定時間t2を経過していること、および車両が減速状態にないことを条件とするロック解除条件の成立の有無を判定する。なお、前記所定時間t2は、シートベルト11aの巻き取り終了から運転者をシートベルト11aによる拘束から解放すべき時間値(例えば、1秒)に予め設定されている。
【0029】
このステップ126の判定処理について具体的に説明する。この判定処理は、図5のフローチャートに詳細に示すようにステップ126a〜126eからなり、
ステップ126aにてカウント値MTMが所定時間t2以上を示しているか否かを判定する。カウント値MTMが所定時間t2以上を示していなければ、ステップ126aにて「No」と判定して、ステップ150にて巻き取り制御プログラムの実行を一旦終了する。そして、このカウント値MTMが所定時間t2以上を示すまで、ステップ100〜106,126,150の処理を繰り返し実行し続ける。カウント値MTMが所定時間t2以上を示すようになると、ステップ126aにて「Yes」と判定して、ステップ126b〜126eの判定処理を実行する。
【0030】
ステップ126bにおいては、ブレーキマスタシリンダ液圧センサ36によって検出された液圧BPを入力して、同検出液圧BPが所定液圧BP0より小さいか否かを判定する。この所定液圧BP0は、ブレーキが作動状態にあり車両が減速状態にある可能性が高い液圧に設定されている。
【0031】
ステップ126cにおいては、今回のプログラムの実行による入力液圧を今回液圧BPnewとして設定し、今回液圧BPnewから前回のプログラムの実行時に入力した前回液圧BPoldを減算した減算値をこの巻き取り制御プログラムの実行時間間隔Δtで除算することにより検出された液圧変化状態としての液圧変化速度dBP/dtが所定値BP1より小さいか否かを判定する。この所定値BP1は、ブレーキが作動状態にあり車両が減速状態にある可能性が高い値に設定されている。
【0032】
ステップ126dにおいては、ブレーキ踏込みスイッチ35がオフ状態にあるかを判定する。ステップ126eにおいては、ブレーキ踏み込み時間BTMが所定時間BTM0以下であるかを判定する。ここで、ブレーキ踏み込み時間BTMは、図示を省略するプログラムによりブレーキペダルが踏み込み操作される度にカウント「0」から計時が開始される。また、所定時間BTM0は、車両が減速状態にある可能性が高い時間に設定されている。これらのステップ126d,126eの判定処理により、ブレーキ踏込みスイッチ35がオフ状態にあるか、またはブレーキ踏込みスイッチ35がオン状態にあってもブレーキ踏込み時間BTMが所定時間BTM0以下であれば、車両が非減速状態にあると判定される。
【0033】
そして、車両が減速状態にあるときには、ステップ126b,126cのいずれかにて「No」、またはステップ126d,126eにて共に「No」と判定されて、ステップ150にてこの巻き取り制御プログラムの実行を一旦終了する。この場合、モータフラグMTFは“2”に設定されているから、以後、この状態が続く限り、ステップ102〜106,126,150の処理を繰り返し実行し、電動モータMの停止状態が維持されてロック解除のための電動モータMの制御が禁止される。
【0034】
この状態から、減速状態にあることが判定されなくなると、上記のようにステップ126b〜126dのすべてにて「Yes」と判定されるか、またはステップ126dにて「No」と判定されてもステップ126b,126c,126eにて「Yes」と判定され、すなわち図4のステップ126にて「Yes」と判定されて、ステップ128以降の処理を実行する。これにより、図6(B)に示すように、車両の減速状態が検出されると上記所定時間t2は延長されることになる。
【0035】
ステップ128〜134においては、上記ステップ112〜118の処理の実行と同様に、ステップ128にて電動モータMを正転させ、ステップ130にてカウント値MTMを「0」に設定して計時を開始させる。そして、ステップ132にてモータフラグMTFを“3”に設定して、ステップ134にてカウント値MTMが所定時間t3以上を示しているか否かを判定する。この所定時間t3は、ラチェット21の回転によりラチェット21の歯21hとパウル20の爪20hとの噛み合いが解かれて、ロック機構Lのロックを解除できる時間に設定されている。カウント値MTMが所定時間t3以上を示していなければステップ134にて「No」と判定して、ステップ150にてこの巻き取り制御プログラムの実行を一旦終了する。この場合、モータフラグMTFは“3”に設定されているから、以後、この状態が続く限り、ステップ102,104,134,150の処理を繰り返し実行し、電動モータMの正転状態が維持される。
【0036】
一方、カウント値MTMが所定時間t3以上を示すようになると、ステップ134にて「Yes」と判定し、ステップ136にて電動モータMを逆転させる。すなわち、電動モータMによる所定時間t3の正転によりロック機構Lのロックが解除されているので、同モータMの逆転により巻き取り機構Kのクラッチが解除されてシートベルト11aを引き出し可能とする。そして、上記ステップ114,122,130の処理と同様、ステップ138にてカウント値MTMによる時間計測を「0」から開始させ、ステップ140にてモータフラグMTFを“4”に設定し、ステップ142にてカウント値MTMが所定時間t4以上を示しているか否かを判定する。この所定時間t4は、シートベルト11aを所定量だけ引き出してシートベルト11aの張力を低減できる時間に設定されている。この場合、カウント値MTMが所定時間t4以上を示していなければステップ142にて「No」と判定して、ステップ150にてこの巻き取り制御プログラムの実行を一旦終了する。この場合、モータフラグMTFは“4”に設定されているから、以後、この状態が続く限り、ステップ102,142,150の処理を繰り返し実行し、電動モータMの逆転状態が維持される。
【0037】
カウント値MTMが所定時間t4以上を示すようになると、ステップ142にて「Yes」と判定し、ステップ144にて電動モータMを停止させる。これにより、シートベルト11aが所定量だけ引き出され、シートベルト11aによる拘束から運転者が解放される。そして、ステップ146にてカウント値MTMを「0」に設定し、ステップ148にてモータフラグMTFを“0”に設定して、ステップ150にてこの巻き取り制御プログラムの実行を終了する。
【0038】
このように本実施形態によれば、車両が減速状態にあるときには、ステップ126(具体的にはステップ126b〜126e)の判定処理によってステップ128〜134の処理によるロック解除のためのシートベルト11aの巻き取りが禁止される。したがって、ロックの解除時には同ロックが確実に解除される状態にあるので、電動モータMによるシートベルト11aの巻き取り方向への回転によって同ロックを無駄なく確実に解除することができる。
【0039】
また、本実施形態によれば、車両緊急時の電動モータMの巻き取り制御から所定時間t2が経過した後に、ロック解除のために電動モータMを巻き取り制御するので、簡単な構成で、しかも不必要に乗員をシートベルト11a〜11dにより拘束しないことが可能であったが、所定時間t2を予め設定せず、車両緊急時の電動モータMの巻き取り制御後、車両が減速状態にあることが判定されないときには、直ちにロック解除のために電動モータMを巻き取り制御してもよい。
【0040】
また、本実施形態によれば、ブレーキ踏込みスイッチ35、ブレーキマスタシリンダ液圧センサ36および液圧変化速度の検出手段がブレーキ作動検出手段を構成し、同踏込みスイッチ35、同液圧センサ36および液圧変化速度検出手段によりブレーキが作動状態にあることを検出するので、車両が減速状態にあることを確実に検出することができる。ただし、上記踏込みスイッチ35、液圧センサ36等を用いる場合に限らず、車速センサ34、加速度センサを併用または単独に用いて、このセンサ34等により検出された車両の減速度に基づいて車両が減速状態にあることを検出してもよい。
【0041】
また、本実施形態によれば、ブレーキ踏込みスイッチ35、ブレーキマスタシリンダ液圧センサ36を用いてフットブレーキによるブレーキが作動状態にあることを検出したが、いわゆるエンジンブレーキの作動によっても車両が減速状態になるので、このエンジンブレーキによるブレーキの作動状態を検出して車両が減速状態にあることを検出してもよい。
【0042】
また、本実施形態によれば、ブレーキ踏込みスイッチ35、ブレーキマスタシリンダ液圧センサ36および液圧変化速度検出手段を用いて、同液圧センサ36によって検出された液圧が所定液圧より大きいとき、同液圧変化速度が所定値より大きいとき、および同踏込みスイッチ35のオン状態が所定時間以上であるときのいずれか一つの判定条件を満たす場合には、ブレーキが作動状態にあり、車両が減速状態にあるものと判定したが、ブレーキ踏込みスイッチ35、ブレーキマスタシリンダ液圧センサ36および液圧変化速度検出手段のうちの少なくとも一つを用いてブレーキが作動状態にあることを検出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る車両用シートベルト装置を適用したシートベルト装置の全体を概略的に示すブロック図である。
【図2】 リトラクタのロック機構の構成を模式的に示す正面図である。
【図3】 リトラクタのロック機構の作動を模式的に示す正面図である。
【図4】 本発明の実施形態に係り、図1の電子制御ユニットによって実行される巻き取り制御プログラムのフローチャートである。
【図5】 図4のロック解除条件が成立するか否かの判定処理を詳細に表すフローチャートである。
【図6】 (A)は、減速状態にあることが判定されなかったときに電動モータを制御する場合の電流値と時間との関係を示す図である。(B)は、減速状態にあることが判定されたときに電動モータを制御する場合の電流値と時間との関係を示す図である。
【符号の説明】
11a〜11d…シートベルト、RA〜RD…リトラクタ、K…巻き取り機構、L…ロック機構、M…電動モータ、31…ハンドル操舵角センサ、32…距離センサ、33…ブレーキ踏込量センサ、34…車速センサ、35…ブレーキ踏込みスイッチ、36…ブレーキマスタシリンダ液圧センサ、40…電子制御ユニット、41a〜41d…駆動回路
Claims (4)
- シートベルトを巻き取る巻き取りモータと、車両の減速状態時にシートベルトの引き出しが禁止されるようにロックして同ロックを維持するとともに、同ロックがシートベルトの巻き取り方向への回転によって解除されるロック機構とを有するリトラクタと、
車両の緊急時に、シートベルトの張力を上昇させるため、前記巻き取りモータを制御してシートベルトを巻き取る第1巻き取り制御手段と、
前記第1巻き取り制御手段によるシートベルトの巻き取り制御後、前記ロック機構によるシートベルトのロックを解除するために前記巻き取りモータを制御してシートベルトを巻き取る第2巻き取り制御手段とを備えた車両用シートベルト装置において、
車両が減速状態にあることを検出する減速状態検出手段と、
前記減速状態検出手段によって車両の減速状態が検出されているとき、前記第2巻き取り制御手段によるシートベルトの巻き取り制御を禁止する禁止手段とを設けたことを特徴とする車両用シートベルト装置。 - 前記請求項1に記載した車両用シートベルト装置において、
前記第2巻き取り制御手段を、前記第1巻き取り制御手段によるシートベルトの巻き取り制御から所定時間が経過した後に、シートベルトのロックを解除するためのシートベルトの巻き取りを行うように構成した車両用シートベルト装置。 - 前記請求項1または2に記載した車両用シートベルト装置において、
前記減速状態検出手段を、ブレーキが作動状態にあることを検出するブレーキ作動検出手段で構成した車両用シートベルト装置。 - 前記請求項3に記載した車両用シートベルト装置において、
前記ブレーキ作動検出手段を、ブレーキペダルが踏込まれたことを検知するブレーキ踏込みスイッチと、ブレーキマスタシリンダの液圧を検出するブレーキマスタシリンダ液圧検出手段と、ブレーキマスタシリンダの液圧変化状態を検出するブレーキマスタシリンダ液圧変化状態検出手段とのうちの少なくとも一つで構成した車両用シートベルト装置。
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