JP3805982B2 - エネルギー処理安全ベルトリトラクタ - Google Patents
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Description
本発明は、一般に、自動車用の安全ベルト拘束システムに関する。より正確には、本発明は、衝突時にリトラクタにエネルギーを伝達することが可能なエネルギー処理機構と、このエネルギー処理機構によって吸収されるエネルギーの量が最大許容限界を超えた時にリトラクタを本質的に無効化することが可能なモード切換機構とを有する安全ベルトリトラクタに関する。
【0002】
自動車で広く使用されている乗員拘束システムの一部として、乗員の快適性の向上および/または異なる機能モードを提供する、幾つかの異なったタイプの安全ベルトリトラクタが利用可能である。例えば、非常用ロッキングリトラクタ(ELM)と呼ばれることが多いタイプの安全ベルトリトラクタは、安全ベルトの繰り出し(payout)を阻止するために、ある高加速状態に応答して自動的に起動されるラッチ機構を含む。一般的に、このラッチ機構は、車両がある減速レベルを受けた時に慣性感知アクチュエータによって起動され、および/または、指定されたレベルを超える割合でスプールから安全ベルトが引き出された時にウェブ感知アクチュエータによって起動される。自動ロッキングリトラクタ(ALR)と一般に呼ばれている別のタイプの安全ベルトリトラクタは、安全ベルトの予め決められた長さが引き出されることによって選択的に起動されるラッチ機構を含む。安全ベルトの予め決められた長さが一旦引き出されると、このラッチ機構は安全ベルトの引っ込みを可能にするが、安全ベルトがさらに繰り出されることを阻止する。この後で、予め決められた量の安全ベルトがその収容位置に引っ込むことに応答して、この自動ロッキング機能が解除される。さらに別の変形例として、幾つかのデュアルモード安全ベルトリトラクタがあり、この安全ベルトリトラクタは、通常はELRリトラクタとして動作するが、例えば可搬式チャイルドシートを車両座席に固定する必要がある時には、ALRリトラクタとして動作するように選択的に切り換えることが可能である。これらのリトラクタはELR/ALRリトラクタと呼ばれることが多い。
【0003】
これらの異なる安全ベルトリトラクタは、さらに、衝突時に安全ベルトから座席上の乗員に伝達されるエネルギー(すなわち、衝撃荷重)の一部を吸収する役割を果たすエネルギー処理機構を含んでもよい。例えば、エネルギー処理リトラクタの中には、スプールに固定された第1の端部を有するねじり棒を含むものがある。衝突時にはラッチ機構がねじり棒の第2の端部に係合する。このようにして、座席上の乗員により安全ベルトに及ぼされる衝撃力がスプールに伝わり、ねじり棒が、ラッチ止めされた第2の端部に対して相対的にねじれることになる。こうしたねじり棒のねじれ降伏の結果として、スプールが制御されて余分な回転量だけ回転し、このスプールの余分な回転によって、次々に、この余分な回転に対応する安全ベルトの余分な長さがリトラクタから引き出されることになる。安全ベルトに対する荷重に応答して余分な安全ベルトの繰り出しが制御されることにより、座席上の乗員に伝わる衝撃エネルギーの量が効果的に減少し、乗員の前方移動が抑制される。ねじり棒の物理的寸法と材料特性とは、そのねじり棒の降伏率を規定するように、かつ、予め決められたねじれ回数だけねじり棒が回転可能なように選択される。より正確には、この予め決められたねじれ回数は、1回の激しい衝突または複数回の比較的軽度の衝突の累積効果に耐えるためにねじり棒に要求されるねじれ回数よりも多くなるように選択される。
【0004】
本発明の目的は、1回以上の衝突時に衝撃エネルギーの一部をリトラクタに伝達することが可能なエネルギー処理機構と、このエネルギー処理機構によって吸収されるエネルギーの量に応じて衝突の激しさを判定することが可能なモード切換機構とを有する、安全ベルトリトラクタを提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は、エネルギー処理機構によって吸収されるエネルギーの量が最大許容限界を超えた時に安全ベルトリトラクタを無効化することが可能なモード切換機構を提供することである。
【0006】
本発明のさらに別の目的は、モード切換機構を非常用ロッキングリトラクタの自動ロッキング機構と一体化することである。
【0007】
(発明の詳細な説明)
下記の詳細な説明と添付図面との分析から、本発明がより充分に理解できるだろう。
【0008】
図面を参照すると、これらの図には、自動車で一般的に使用されているタイプの安全ベルト拘束システムと共に使用される安全ベルトリトラクタ10が示されている。詳細に後述するように、リトラクタ10はエネルギー処理機構12を含む。このエネルギー処理機構12は、自動車の衝突時に座席上の乗員が安全ベルトに及ぼす衝撃エネルギーの一部を、この座席上の乗員に対して及ぼされる反作用荷重の一部を効果的に吸収する(すなわち、減衰させる)ための降伏可能な構造に伝達する働きをする。リトラクタ10は、さらに、ベルト感知式の非常用ロッキング機構14と、車両感知式の非常用ロッキング機構16とを含み、これらは両方とも公知であり、ベルトまたは車両の加速/減速条件が予め決められたレベルを上回る時に、安全ベルトの繰り出しを阻止する働きをする。最後に、リトラクタ10は、自動ロッキング機構18を含み、この自動ロッキング機構は、例えば自動車座席への可搬式チャイルドシートの固定に使用するため、加速状態の有無または度合いとは無関係に、安全ベルトの繰り出しを阻止するように選択的に起動されることが可能である。したがって、この自動ロッキング機構18は、リトラクタ10をELRモード及びALRモードのどちらかで動作可能とする働きをする。本発明によれば、自動ロッキング機構18は、さらに、エネルギー処理機構12によって吸収されたエネルギーの合計量が最大許容限界を超えた時に安全ベルトがその収容状態から繰り出されることを阻止し、それによりリトラクタ10を無効にし、リトラクタ10を交換すべきであるという表示を行うロックアウトモードを確立する働きをする。
【0009】
図1に最も明瞭に示されているように、リトラクタ10は、座席アセンブリまたは車両の適切なフレーム構造に固定されるように適合されたフレーム22を含み、このフレーム22は、対応する開口26A,26Bをそれぞれに備え横方向に所定の間隔を介して配置された1対の壁24A,24Bを有する。リトラクタ10はスプール28も含み、このスプール28は、管状の軸部分30と、スプール28の両端部にそれぞれ固定されている1対の円板状のエンドプレートまたはフランジ32,34とを有する。孔36は、スプール28の軸部分30とエンドプレート32,34とを貫通するように形成されており、エンドプレート32の付近に形成されている内側のスプライン38を含む。この図から明らかなように、スプールは複数の部分から形成された構造、または、一体状のアルミニウム部品として形成されるような単一の構造とすることが可能である。この図に示しているように、安全ベルト40の一方の端部がスプール28の軸部分30に公知の形で固定されている。図には示していないが、安全ベルト上にスライド自在に取り付けられ自動車座席に対して人間または可搬式チャイルドシートを固定するためにベルトバックルに着脱自在にラッチ止めされる舌状プレートを使用する、公知の3点式安全ベルトを構成するように、安全ベルト40の他方の端部が従来通りの方法で固定されている。
【0010】
フレーム22にスプール28を回転自在に取り付けるために、ねじり棒44の第1の端部部分42は、ねじり棒44の外側のスプライン46が内側のスプライン38と噛み合うように、壁24B内の開口26と、スプール28を貫通する孔36と、壁24B内の開口24Aとを貫通している。このように、ねじり棒44は、スプール28と共に回転するように取り付けられている。つめロック車48は、ねじり棒44の第2の端部部分50の付近に取り付けられている。これに加えて、巻き戻しばね52は、壁24Aの外側表面の付近に備えられており、その中央がねじり棒44の第1の端部部分42またはエンドプレート32に固定されており、かつ、その外側の端部がフレーム22に固定されている。巻き戻しばね52は、通常、スプール28が第1の方向またはベルト巻き戻し方向(すなわち、図では時計回り方向)に回転するようにスプール28を付勢(bias)し、かつ、スプール28上でのベルト40の巻き付きを補助する引き込み力をベルト40に対して及ぼす働きをする。
【0011】
続けて図1を参照すると、リトラクタ10は、例えば開口58の中にスナップ留めされたポスト56によって、フレーム22の壁24Bに固定されたハウジング54を含む形で示されている。ハウジング54は、ベルト感知式の非常用ロッキング機構14と車両感知式の非常用ロッキング機構16とが内部に配置されている密閉空間を、壁24Bと共に画定する。車両感知式の非常用ロッキング機構16は、従来通りの機構であり、第1のロックつめ60がつめ車48の歯62から外れている第1の位置とつめ車48上の歯62と噛み合う第2の位置との間を移動するように、つめ車48に作動的に組み合わされている。第1のロックつめ60は、フレーム22の壁24Bから延びるポスト64上に回転自在に支持されており、通常はその第1の位置に付勢されている。第1のロックつめ60がその第1の位置にある時には、ベルト感知式の非常用ロッキング機構14の解除モードを設定するように、スプール28の双方向の回転が可能となる。ベルト感知式の非常用ロッキング機構14は、さらに、ベルト40の急速な引き出しによって生じるスプール28の加速が予め決められた加速度値を超えた時に、第1のロックつめ60をその第2の位置に移動させるように働くことも可能である。第1のロックつめ60がその第2の位置にある時には、スプール28が第2の回転方向またはベルト繰り出し方向(すなわち、図では反時計回り方向)に回転することが阻止され、それにより安全ベルト40の繰り出しが阻止される。しかしながら、スプール28は依然としてそのベルト巻き戻し方向に回転可能である。したがって、第1のロックつめ60のその第2の位置への移動により、ベルト感知式の非常用ロッキング機構14のロックモードが設定される。ベルト感知式の非常用ロッキング機構14の具体的な構造は本発明にとって重要ではないが、図には、このベルト感知式の非常用ロッキング機構14は、ロックリングまたはロックカップ66、慣性リング67およびつめ車68を含む形で示されている。つめ車48の第2の端部部分50から軸方向に延びるポスト70は、ロックリング66、慣性リング67およびつめ車68の内部に形成されている開口を貫通して延びている。駆動リング72は、ポスト70内に形成されているキー溝開口74内に保持される第1のキー(不図示)を有する。駆動リング72は、さらに、ハウジング54内に形成されている開口78内を通過する第2のキー76を含む。ベルト40が十分に早い速度で引き出される時には、慣性リング67が移動してつめ車68をロックリング66に結合させる。ベルト40がさらに引き出されると、スプール38の回転のためにロックリング66が回転し、それにより第1のロックつめ60が移動してつめ車またはロック車48の歯66とロック係合する。明らかなように、上記のウェブベルト感知機構の代わりに、他のウェブベルト感知機構を使用することが可能である。
【0012】
車両感知式の非常用ロッキング機構16も従来通りの機構であり、仮想線で示してある慣性塊体を含む。この慣性塊体は、車両(およびリトラクタ10)が予め決められた加速レベルを超えるレベルの(正または負の)加速を受けると、第2のロックまたはつめ(不図示)を、つめ車68のつめ歯90から外れている第1の位置から、つめ車68上のつめ歯90に係合している第2の位置に移動させる。第2のロックつめがその第1の位置にある時には、スプール28は双方向に回転することが可能になり、それにより車両感知式の非常用ロッキング機構16の解除モードが設定される。対照的に、第2のロックつめがその第2の位置に移動することによって、つめ車68の回転が阻止され、それにより慣性リング67の相対移動が引き起こされ、さらに、ロックリング66がスプール38に結合することによって、第1のロックつめ60が歯66に係合してリトラクタをロックし、それにより車両感知式の非常用ロッキング機構16のロックモードが設定される。こうしたウェブベルトおよび車両感知ロッキング機構の一例が、欧州特許出願第0,228,729A1号に開示されている。この車両感知機構の代わりに、他の車両感知機構を使用することが可能である。
【0013】
自動ロッキング機構18は、非ラッチ止め位置とラッチ止め位置との間のピボット運動のために、ロックリング66から延びるピン82(図2参照)の上に取り付けられている第3のロックつめ80を含む形で示されている。第3のロックつめ80は、ラッチ部分84と加動部分86とを含む。第1のねじりばねまたは付勢ばね88は、通常は第3のロックつめ80をその非ラッチ止め位置に向けて付勢するように、第3のロックつめ80とロックリング66との間で作用する。第3のロックつめ80がその非ラッチ止め位置にある時には、ラッチ部分84はつめ車またはロック車48上の歯62から外れている。後述するように、自動ロッキング機構18は、第3のロックつめ80をその非ラッチ止め位置からラッチ止め位置に移動させてリトラクタ10を非常用ロッキングリトラクタ(ELR)モードでの動作から自動ロッキングリトラクタ(ALR)モードに切り換えるために、選択的に起動されることが可能なモード切換機構である。同様に、このモード切換機構は、第3のロックつめ80をそのラッチ止め位置から非ラッチ止め位置に移動させてリトラクタ10をそのALRモードからELRモードに切り換えることによって、選択的に作動解除されることが可能である。
【0014】
リトラクタ10をそのELRモードとALRモードとの間で切り換えるための手段を提供するために、自動ロッキング機構18はカムアセンブリ92(図1および図2〜図4参照)を含む。このカムアセンブリ92は、ベルト40の予め決められた長さがスプール28から繰り出された後に、第1のねじりばね88の付勢に抗して第3のロックつめ80をその非ラッチ止め位置からラッチ止め位置に選択的に移動させる働きをする。これに加えて、カムアセンブリ92は、ベルト40の予め決められた長さがその後でスプール28上に巻き戻された後に、第1のねじりばね88が第3のロックつめ80をそのラッチ止め位置から非ラッチ止め位置に移動させることを可能にする働きもする。図示した実施形態によれば、カムアセンブリ92は、中央の開口98及びアーチ形の空動きスロット100を具備するカム車96と、ハウジング54から延びるポスト104の上に回転自在に支持されているカム従動子102とを含む。カム従動子102は、第1の脚部106と、ハウジング54内に形成されている穴110を通って延びる第2の脚部108とを含む。第2のねじりばね112は、第1の脚部106を付勢してカム車96の外周エッジの一部と連続的に係合させるように、ハウジング54とカム従動子102との間で働く。特に、カム車96の外周エッジはカム表面114を画定し、このカム表面114の輪郭は、カム従動子102の第2の脚部108が第3のロックつめ80の加動部分86に係合するか否かを制御する。
【0015】
自動ロッキング機構18は、さらに、ベルト40の予め決められた長さがスプール28から繰り出されたかまたはスプール28上に引っ込められたかどうかに基づいてカムアセンブリ92の駆動を制御するベルトカウンタまたはタイミングアセンブリ94を含む。特に、タイミングアセンブリ94は、スプール28上に巻き付けられているベルト40の長さに応じてカム従動子102の第1の脚部106とカム表面114との係合を制御する働きをするジェロータ(gerotor)タイプの減速機構を含む。タイミングアセンブリ94は、駆動リング72の第2のキー76を回転不能な形で受ける中央キー溝開口(不図示)を具備する偏心リング120を含む。これに加えて、偏心軸支ピン122が偏心リング120から外方に延び、カム車96の中央開口98内に支持されるようになっている。タイミングアセンブリ94は、さらに、ハウジング54内に一体に形成されているリングギア124を含む。固定子リング126は、リングギア124の内側のギア歯130と噛み合っている外側のギア歯128を有する。固定子リング126は、さらに、偏心リング120が内部で回転自在に支持されている中央開口132を含む。駆動リング72が偏心リング120に結合してスプール28と共に回転するため、および、軸支ピン122がカム車96の中央開口98内に保持されているため、スプール28の回転により、偏心リング120が偏心回転し、さらには、次々に、固定子リング126が低下した比率でかつスプール28に対して反対方向にリングギア124の内周を偏心回転する。カバープレート134は、カムアセンブリ92とタイミングアセンブリ94とをハウジング54内に閉じこめるように、ハウジング54に取り付けられている。
【0016】
次に、図2から図8を参照して、安全ベルトリトラクタ10を利用可能な動作モードについて説明する。特に、図2は、自動ロッキング機構18が非起動モードにあり、かつ、安全ベルト40がスプール28上に巻き付けられ元の位置または収容位置に完全に引っ込められている時の、カムアセンブリ92及びタイミングアセンブリ94に関連した構成要素の位置を示している。この非起動モードでは、リトラクタ10は、ベルト40の自由な引き出しと引き込みとを可能にするようにそのELRモードで動作する。図に示すように、第3のロックつめ80は、非ラッチ止め位置に第1のねじりばね88によって保持されており、一方、カム従動子102の第1の脚部106は、カム車96のカム表面114に形成されている第1の移動止め140との係合位置に、第2のねじりばね112によって付勢されている。第1の移動止め140の深さは、カム従動子102の第2の脚部108を第3のロックつめ80の加動部分86から離れた位置にて維持するように選択されている。これに加えて、固定子リング126から延びるカムポスト142は、カム車96の空動きスロット100の第1の末端部144の付近においてこの空動きスロット100内に位置している形で示されている。安全ベルト40がその収容位置から引き出されるにつれて、スプール28とつめ車48とが反時計回り方向に回転し、それにより、固定子リング126が時計回り方向にかつ低下した割合で偏心回転するとともに、次々に、カムポスト142が空動きスロット100内を移動してその第1の末端部144から離れる。
【0017】
図3は、自動ロッキング機構18が依然としてその非起動モードにあり、かつ、カム従動子102の第1の脚部106が第1の移動止め140との係合状態に維持されると同時に、カムポスト142をスロット100の第2の末端部146の付近に位置させるようにベルト40の長さが引き出される時の、カムアセンブリ92及びタイミングアセンブリ94の構成要素を示している。したがって、カムポスト142が図2に示される位置と図3に示される位置との間を移動するように、スプール28を十分に回転させるための必要なベルト40の長さは、その非起動モード内で自動ロッキング機構18を維持するためにスプール28から引き出すことが可能な最大の長さである。
【0018】
リトラクタ10をそのALRモードに切り換える必要がある場合には、カムポスト142が空動きスロット100の第2の末端部146に係合して、カム車96が図4に示した位置に時計回り方向に回転するのに十分なベルト40の長さをリトラクタ10から引き出すことによって、自動ロッキング機構18をその起動モードに切り換える。こうしたカム車96の回転により、カム従動子102の第1の脚部106が第1の移動止め140を出て、カム表面114内に形成されたロック移動止め148の中に入ることになる。カム従動子102の第1の脚部106が第2のねじりばね112によってロック移動止め148との係合状態に付勢されている時には、カム従動子102の第2の脚部108が第3のロックつめ80の加動部分86に係合し、その結果として第1のねじりばね88の付勢に逆らって第3のロックつめ80をその非ラッチ止め位置からラッチ止め位置に強制的に移動させ、それにより自動ロッキング機構18をその非起動モードから起動モードに切り換える。さらに明確に述べると、上記の動作は、ロックリング66をスプールに結合させ、それにより、上述したようにベルト引き出し方向にロックリング66がスプールと共に回転することになる。ロックリング66の動きが、ロックつめを動かしてロック車48とロック係合させる。第2のねじりばね112の付勢力が第1のねじりばね88の付勢力よりも大きいため、カム従動子102は第3のロックつめ80をそのラッチ止め位置に保持する。上述したように、第3のロックつめ80がそのラッチ止め位置に移動することにより、ラッチ部分84をつめ車48上の歯62との係合状態に移動させてベルト40がさらに繰り出されることを阻止し、これと同時に、その後のベルト40の引き込みを可能にする。カムポスト142が図2に示される位置から図4に示される位置に移動するように、スプール28を十分に回転させるための必要なベルト40の長さは、自動ロッキング機構18をその起動モードに切り換えるためにスプール28から引き出されなければならない安全ベルト40の予め決められた長さに規定する。上述したように、自動ロッキング機構18がその起動モードにある時には、リトラクタ10はそのALRモードで動作する。
【0019】
リトラクタ10をそのELRモードでの動作に戻す必要がある場合には、ベルト40をその収容位置に完全に引っ込めることにより、自動ロッキング機構18をその非起動モードに切り換える。このようにベルト40を完全に引っ込めることにより、スプール28及びつめ車48の時計回りの回転と、これに対応する固定子リング126の反時計回りの回転とが生じる。固定子リング126のこの反時計回りの回転により、カムポスト142が空動きスロット100内を移動して空動きスロット100の第1の末端部144と係合し、それにより、図2に示した位置に向けてカム車96が反時計回り方向に回転する。カム車96のこの回転により、カム従動子102の第1の脚部106がロック移動止め148の外で第1の移動止め140と係合し、それにより、カム従動子102の第2の脚部108が第3のロックつめ80の加動部分86から外れた位置に移動する。したがって、第1のねじりばね88は、第3のロックつめ80をその非ラッチ止め位置に向けて付勢し、それにより自動ロッキング機構18をその起動モードから非起動モードに切り換える。
【0020】
本発明によれば、自動ロッキング機構18は、さらに、エネルギー処理機構12が指定可能な最大許容量のエネルギーを吸収した後で、ベルト40がその収容位置から繰り出されることを阻止するためのロックアウトモードで動作することも可能である。ここで説明する実施形態では、自動ロッキング機構18をそのロックアウトモードに切り換えることを目的として、エネルギー処理機構12によって吸収されなければならない最大許容量のエネルギーを、ねじり棒44のねじり降伏の最大許容量として規定している。したがって、予め決められたねじれ回数よりも多くねじり棒44がねじれた場合には、ロック車48に対するねじり棒44のねじり降伏の結果として生じるスプール28の余分な回転を、車両衝突事故の後にベルト40がその収容位置に戻ることに応答して自動ロッキング機構18をその非起動モードからロックアウトモードに切り換えるために利用する。特に、このロックアウトの特徴は、衝突後にベルト40の余分な長さをスプール28上に巻き付けることによって生じる固定子リング126の余分な回転(すなわち、過剰な動き)を利用して、カム従動子102の第1の脚部106がカム表面114のロックアウト部分と係合する位置へとカム車96を回転させ、第3のロックつめ80をそのラッチ止め位置に動かすことにある。
【0021】
次に、図5から図8を参照して、ロックアウトの特徴をさらに詳細に説明する。特に、図5は、ベルト40の長さがリトラクタ10から引き出されて座席上の乗員の胴体上を横切る形でラッチ止めされており、かつ、自動ロッキング機構18がその非起動モードで動作している時の、カムアセンブリ92及びタイミングアセンブリ94に関連した構成要素の位置を示している。車両衝突の発生時には、非常用ロッキング機構14,16の少なくとも一方が起動され、そのロックモードに切り換えられる。エネルギー処理機構12がリトラクタ10内に組み込まれているため、衝撃時に座席上の乗員によってベルト40に対して及ぼされる荷重により、スプール28とねじり棒44の第1の端部部分42とが、動かないようにラッチ止めされたつめ車またはロック車48に対して相対的に反時計回り方向にねじれ降伏する(すなわち、ねじれる)。このねじれによって、制御された方法でベルト40の余分な長さがリトラクタ10から繰り出され、座席上の乗員に及ぼされる衝撃荷重の一部を吸収することが可能になる。衝突後のベルト40の解除時には、ベルト40の元の長さの引き込みに加えて余分な長さの引き込みにより、これに対応する量の固定子リング126の反時計回り方向の余分な回転が生じる。固定子リング126のこの過剰な動きにより、カムポスト142が空動きスロット100の第1の末端部144と係合してカム車96が反時計回り方向に強制的に回転し、それにより、カム従動子102の第1の脚部106が第1の移動止め140(図6参照)から出てカム表面114のドウェル部分150に噛み合うことになる。固定子リング126の過剰な動きの許容限界を規定する第2の移動止め152(図7参照)が、ドウェル部分150の反対側に形成されている。したがって、移動止め140と移動止め152との間のドウェル部分150の長さは、ねじり棒44のねじれによって生じる固定子リング126の予め決められた量の過剰な動きに適合するように選択される。
【0022】
特に図6を参照すると、この図には、対応する量のねじり棒44のねじれによって生じたある固定子リング126の過剰な動きの結果、カム表面114のドウェル部分150に係合するカム従動子102の第1の脚部106が示されている。これを直接比較するために、図7には、対応するより多くの量のねじり棒44のねじれによって生じたより多くの量の固定子リング126の過剰な動きの結果、第2の移動止め152に係合するカム従動子102の第1の脚部106が示されている。図7に示した過剰な動きは、単一の激しい事故の結果でもあり得るし、あるいは、その代わりに、ねじり棒44の余分な降伏を生じさせた1つ以上の追加の事故が累積された図6に示した過剰な動きを生じさせた事故の結果でもあり得る。どちらの場合にも、ドウェル部分150の輪郭と第2の移動止め152とが第1の移動止め140と共に働いて、カム従動子102の第2の脚部108が第3のロックつめ80の加動部分86から外れている位置にカム従動子102を維持することで、第3のロックつめ80をその非ラッチ止め位置に維持し、それにより、自動ロッキング機構18をその非起動モードに保持する。リトラクタ10の連続使用を可能にするためには、カム表面114上の第2の移動止め152の位置を、予め決められた回数のねじり棒44のねじれによって生じる固定子リング126の過剰な動きの量に対応するように選択することが好ましい。
【0023】
図8に示されているように、カム表面114は、第2の移動止め152の付近に形成されている細長いロックアウト移動止め156を含む。このロックアウト移動止め156の深さは、カム従動子102の第2の脚部108が第3のロックつめ80の加動部分86に係合して第3のロックつめ80をそのラッチ止め位置に強制的にピボット運動させる位置にて、カム従動子102がピボット運動するように選択される。動作時には、衝突後にベルト40がその収容位置に引っ込められ、かつ、エネルギー処理機構12の降伏によってスプール28の上に巻き付けられるベルト40の余分な長さが、予め決められた回数を超えてねじり棒のねじれ回数に相当する時には、固定子リング126の過剰な動きにより、カムポスト132が空動きスロット100の第1の端部144と係合してカム車96を反時計回り方向に回転させ、それにより、カム従動子102の第1の脚部106がロックアウト移動止め156内に入ることになる。カム従動子102の第1の脚部106がこのようにロックアウト移動止め156と係合することによって、自動ロッキング機構18がその非起動モードからロックアウトモードに切り換えられる。このロックアウトモードでは、自動ロッキング機構18は、ベルト40がその収容位置から引き出されることを阻止し、それにより、リトラクタ10を無効化し、ウェブベルトが引き出されることを阻止し、リトラクタ10の交換が必要であることを示す。この場合にも同様に、予め決められたねじり回数を超えてねじり棒44をねじるために必要なエネルギーの合計は、単一の激しい事故または複数の比較的軽度の事故の合計の累積的結果とすることが可能である。したがって、リトラクタ10によって吸収された累積エネルギーが予め決められたねじり回数を超えた後に、(このエネルギーをねじり棒44のねじり回数を単位として測定した場合に)ベルト40はその収容位置に引っ込められることが可能であるが、第3のロックつめ80のラッチ部分84がつめ車48の歯62と係合しているため、その後でベルト40を引き出すことは不可能である。したがって、ロックアウトの特徴は、リトラクタ10がさらに使用されることを不可能にして、リトラクタ10の交換が必要であることを明確に示すことにある。最初に非起動モードで動作する自動ロッキング機構18を示す図5から図8を参照してロックアウトの特徴について説明してきたが、このロックアウトの特徴は、自動ロッキング機構18が最初にその起動モードで動作している時にも機能するということを理解されたい。
【0024】
次に図9を参照すると、この図には、モード切換機構18’の構成要素が、ロック移動止め148が取り除かれていることと、空動きスロット100の円弧長さが増大していることとを除いて、自動ロッキング機構18の構成要素と本質的に同様であることが示されている。モード切換機構18は、例えば前部運転者側座席のような、ALRモードが不要な車両座席用途で使用するための安全ベルトリトラクタ10内に装着されることが可能である。したがって、モード切換機構18’は、エネルギー処理機構12によって吸収された累積エネルギーが最大許容限界を超えた時に、リトラクタ10をELRモードからロックアウトモードに切り換える働きをする。モード切換機構18をそのELRモードからロックアウトモードに切り換えるために必要とされる事象のシーケンスの説明に関しては、図5から図8に関連して提示した上記の説明を参照することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による安全ベルトリトラクタの分解斜視図である。
【図2】 ELRモードとALRモードとの間で切り換えるように自動ロッキング機構を選択的に起動するための、安全ベルトリトラクタの様々な構成要素の位置を示す図である。
【図3】 ELRモードとALRモードとの間で切り換えるように自動ロッキング機構を選択的に起動するための、安全ベルトリトラクタの様々な構成要素の位置を示す図である。
【図4】 ELRモードとALRモードとの間で切り換えるように自動ロッキング機構を選択的に起動するための、安全ベルトリトラクタの様々な構成要素の位置を示す図である。
【図5】 ELRモードとALRモードとの間で切り換えるように自動ロッキング機構を選択的に起動するための、安全ベルトリトラクタの様々な構成要素の位置を示す図である。
【図6】 自動ロッキング機構をロックアウトモードに切り換えるための、安全ベルトリトラクタの様々な構成要素の位置を示す図である。
【図7】 自動ロッキング機構をロックアウトモードに切り換えるための、安全ベルトリトラクタの様々な構成要素の位置を示す図である。
【図8】 自動ロッキング機構をロックアウトモードに切り換えるための、安全ベルトリトラクタの様々な構成要素の位置を示す図である。
【図9】 ELRモードとロックアウトモードとの間でモード切換機構を切り換えるための非常用ロッキングリトラクタの構成要素の位置を示す説明図であり、図2と同様であるが一部が変更されている。
Claims (10)
- スプール(28)と、
前記スプール(28)上に巻き付けられているベルト(40)と、
つめ車(48)と、
通常は前記ベルト(40)の繰り出しを可能にする解除モードで動作可能であり、かつ、予め決められた加速状態の発生に応答して前記ベルト(40)の繰り出しを阻止するように前記つめ車(48)の回転をロックするロックモードに自動的に切り換えられる非常用ロッキング機構(14)と、
前記つめ車(48)を前記スプール(28)に連結し、かつ、前記つめ車(48)が回転しないようにロックされた時に前記ベルト(40)に及ぼされる荷重に応答して降伏するエネルギー処理機構(44)と、
通常は前記非常用ロッキング機構(14)の動作を可能にする非起動モードで動作可能であり、かつ、前記エネルギー処理機構(44)上に前記ベルト(40)によって及ぼされる荷重により、前記エネルギー処理機構(44)が、指定可能な許容限界を超えて降伏した時に、前記スプール(28)上に指定可能な量だけ前記ベルト(40)が巻き付けられることに応答して、前記つめ車(48)の回転をロックして前記ベルト(40)の繰り出しを阻止するようにロックアウトモードに自動的に切り換えられるモード切換機構(18’)とを有する安全ベルトリトラクタ。 - 前記モード切換機構(18’)は、
前記つめ車(48)上の歯(62)との係合から外れている非ラッチ止め位置と前記つめ車(48)上の歯(62)に係合しているラッチ止め位置との間を移動可能なロックつめ(80)と、
前記非ラッチ止め位置に向けて前記ロックつめ(80)を付勢する第1のばね(88)と、
カム表面(114)を備えるカム部材(96)と、前記カム表面(114)に係合するように第2のばね(112)によって付勢されたカム従動子(102)とを含むカムアセンブリ(92)であって、前記カム表面(114)は、前記ロックつめ(80)から外れた位置に前記カム従動子(102)を位置させる第1の部分(140,150,152)と、前記カム従動子(102)を前記ロックつめ(80)との係合位置に位置させ、前記ロックつめ(80)をそのラッチ止め位置に移動させる第2の部分(156)とを具備する、カムアセンブリ(92)と、
前記エネルギー処理機構(44)の降伏の量に比例して前記カム部材(96)を移動させるように前記つめ車(48)によって駆動されるタイミング部材(126)であって、前記エネルギー処理機構(44)の降伏の量が最大の前記許容限界を超えた時に、前記ベルト(40)が前記スプール(28)上に完全な巻き付け位置に巻き付くことに応答した、前記タイミング部材(126)の移動により、前記カム部材(96)は、前記カム従動子(102)を前記カム表面(114)の前記第1の部分(140,150,152)との係合から前記カム表面(114)の前記第2の部分(156)との係合に移行させるように移動させられる、タイミング部材(126)とを有する、請求項1に記載の安全ベルトリトラクタ。 - 前記エネルギー処理機構(44)の降伏により、前記スプール(28)が前記つめ車(48)に対してベルト巻出方向に回転するのに起因して、余分な長さの前記ベルト(40)の、制限された繰り出しが生じ、かつ、前記ベルト(40)の前記余分な長さが予め決められた長さを超えた時に、続いて、前記スプール(28)が、前記スプール(28)上への前記ベルト(40)の完全な巻き付けに応答してベルト巻き付け方向に回転することにより、前記タイミング部材(126)が、前記カム従動子(102)を前記カム表面(114)の前記第2の部分(156)と係合させるように前記カム部材(96)を動かし、それにより、前記ロックつめ(80)がそのラッチ止め位置に移動さ せられ、前記つめ車(48)と前記スプール(28)とが前記ベルト巻出方向に回転することを阻止して前記ベルト(40)の繰り出しを阻止する、請求項2に記載の安全ベルトリトラクタ。
- 前記カム部材(96)は、回転するように支持され、前記タイミング部材(126)は、前記つめ車(48)によって回転自在に駆動されて、前記カム部材(96)上に形成された第2のカム表面(144)に係合し、それによって、前記エネルギー処理機構(44)の降伏により、前記スプール(28)が前記つめ車(48)に対してねじれる結果として、前記スプール(28)上への前記ベルト(40)の完全な巻き戻しにより、前記タイミング部材(126)が前記第2のカム表面(144)に係合して前記カム部材(96)を回転させる、請求項2に記載の安全ベルトリトラクタ。
- スプール(28)と、
前記スプール(28)上に巻き付けられているベルト(40)と、
つめ車(48)と、
前記スプール(28)に固定されている第1の端部(46)と前記つめ車(48)に固定されている第2の端部(50)とを具備するねじり棒(44)と、
高加速状態に応答して起動され、前記つめ車(48)をベルト繰り出し方向に回転しないように、解除可能にロックする非常用ロッキング機構(14)であって、前記つめ車(48)のこうしたロッキングにより、前記ねじり棒(44)が、前記スプール(28)上に前記ベルト(40)によって及ぼされる荷重の関数としてねじれ、これに対応して前記スプール(28)が前記つめ車(48)に対してベルト繰り出し方向に回転させられることができるようにする、非常用ロッキング機構(14)と、
前記つめ車(48)から外れている非ラッチ止め位置と前記つめ車(48)と係合して、前記ベルト繰り出し方向への前記つめ車(48)の回転を阻止するラッチ止め位置との間を移動することが可能なロックつめ(80)と、
前記ロックつめ(80)をその非ラッチ止め位置に向けて付勢するばね(88)と、
前記ベルト(40)が前記スプール(28)上にその完全引き込み位置に巻き付けられた時に、前記スプール(28)がベルト巻き戻し方向に回転する量を判定するように動作可能なモード切換機構(18’)であって、さらに、前記ねじり棒(44)のねじれによって生じる、前記スプールの余分な回転の量が最大許容限界を超えた時に、前記ロックつめ(80)をその非ラッチ止め位置からラッチ止め位置に移動させるように動作可能である、モード切換機構(18’)とを有する安全ベルトリトラクタ。 - 前記モード切換機構(18’)は、
カム表面(114)を備えるカム部材(96)と、前記カム表面(114)に係合するように第2のばね(112)によって付勢されたカム従動子(102)とを含むカムアセンブリ(92)であって、前記カム表面(114)は、前記ロックつめ(80)から外れた位置に前記カム従動子(102)を位置させる第1の部分(140,150,152)と、前記カム従動子(102)を前記ロックつめ(80)との係合位置に位置させ、前記ロックつめ(80)をそのラッチ止め位置に移動させる第2の部分(156)とを具備する、カムアセンブリ(92)と、
前記ねじり棒(44)の降伏の量に比例して前記カム部材(96)を移動させるように前記つめ車(48)によって駆動されるタイミング部材(126)であって、前記ねじり棒(44)の降伏の量が最大許容限界を超えた時に、前記ベルト(40)が前記スプール(28)上に完全な巻き付け位置に巻き付くことに応答した、前記タイミング部材(126)の移動により前記カム部材(96)が移動させられ、この移動が、前記カム従動子(102)を前記カム表面(114)の前記第1の部分(140,150,152)との係合から前記カム表面(114)の前記第2の部分(156)との係合に移行させる、タイミング部材(126)とを有する請求項5に記載の安全ベルトリトラクタ。 - 前記ねじり棒(44)の降伏により、前記スプール(28)が前記つめ車(48)に対して前記ベルト繰り出し方向に回転することにより、余分な長さの前記ベルト(40)の、制限された繰り出しが生じ、かつ、前記ベルト(40)の前記余分な長さが予め決められた長さを超えた時に、続いて、前記スプール(28)が、前記スプール(28)上への前記ベルト(40)の完全な巻き付けに応答して前記ベルト巻き戻し方向に回転することにより、前記タイミング部材(126)が、前記カム従動子(102)を前記カム表面(114)の前記第2の部分(156)と係合させるように前記カム部材(96)を動かし、それにより、前記ロックつめ(80)がそのラッチ止め位置に移動し、前記つめ車(48)と前記スプール(28)とが前記ベルト繰り出し方向に回転することを阻止して前記ベルト(40)の繰り出しを阻止する、請求項6に記載の安全ベルトリトラクタ。
- 前記カム部材(96)は、回転するように支持され、前記タイミング部材(126)は、前記つめ車(48)によって回転自在に駆動され、かつ、前記カム部材(96)上に形成された第2のカム表面(144)に係合し、それによって、前記ねじり棒(44)の降伏により、前記スプール(28)が前記つめ車(48)に対して回転する結果として、前記スプール(28)上への前記ベルト(40)の完全な巻き戻しにより、前記タイミング部材(126)が前記第2のカム表面(144)に係合して前記カム部材(96)を回転させる、請求項6に記載の安全ベルトリトラクタ。
- スプール(28)と、
前記スプール(28)上に巻き付けられているベルト(40)と、
つめ車(48)と、
前記つめ車(48)を前記スプール(28)に連結し、かつ、前記つめ車(48)が回転しないようにロックされた時に前記ベルト(40)に及ぼされる荷重に応答して降伏するエネルギー処理機構(44)と、
通常は前記ベルト(40)の繰り出しを可能にする解除モードで動作可能であり、かつ、予め決められた加速状態の発生に応答して前記ベルト(40)の繰り出しを阻止するように前記つめ車(48)の回転をロックするロックモードに自動的に切り換えられる非常用ロッキング機構(14)と、
通常は前記非常用ロッキング機構(14)の動作を可能にする非起動モードで動作可能であり、かつ、前記スプール(28)から予め決められた長さの前記ベルト(40)が繰り出されるのに応答して、前記ベルト(40)の繰り出しを阻止するように前記つめ車(48)の回転をロックする起動モードに選択的に切り換えることが可能なモード切換機構(18)であって、続いて、前記予め決められた長さの前記ベルト(40)が、前記スプール(28)上に巻き付けられるのに応答して、前記つめ車(48)をその起動モードから解除する非起動モードに切り換えられ、かつ、前記エネルギー処理機構(44)上に前記ベルト(40)によって及ぼされる荷重により、前記エネルギー処理機構(44)が最大許容限界を超えて降伏した時に、衝突事故の後に前記ベルト(40)が前記スプール(28)上に完全に巻き付けられることに応答して、前記ベルト(40)の繰り出しを阻止するように前記つめ車(48)の回転をロックするためにロックアウトモードに自動的に切り換えられる、モード切換機構(18)とを有する安全ベルトリトラクタ。 - 前記モード切換機構(18)は、
前記つめ車(48)との係合から外れている非ラッチ止め位置と前記つめ車(48)に係合しているラッチ止め位置との間を移動可能なロックつめ(80)と、
前記非ラッチ止め位置に向けて前記ロックつめ(80)を付勢する第1のばね(88)と、
第1のカム表面(150)および第2のカム表面(156)を備えるカム部材(96)と、前記カム表面(150,156)の一方に係合するように第2のばね(112)によって付勢されたカム従動子(102)とを含むカムアセンブリ(92)であって、前記第1のカム表面(150)は、前記ロックつめ(80)から外れた位置に前記カム従動子(102)を位置させ、前記第2のカム表面(156)は、前記カム従動子(102)を前記ロックつめ(80)との係合位置に位置させ、前記ロックつめ(80)をそのラッチ止め位置に移動させる、カムアセンブリ(92)と、
前記エネルギー処理機構(44)の降伏の量に比例して前記カム部材(96)を移動させるように前記つめ車(48)によって駆動されるタイミング部材(126)であって、それによって、前記エネルギー処理機構(44)の降伏の量が前記最大許容限界を超えた時に、前記ベルト(40)が前記スプール(28)上に完全な巻き付け位置に巻き付くことに応答した、前記タイミング部材(126)の移動により、前記カム部材(96)が移動させられ、この移動が、前記カム従動子(102)を前記第1のカム表面(150)との係合から前記第2のカム表面(156)との係合に移行させる、タイミング部材(126)とを有する請求項9に記載の安全ベルトリトラクタ。
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