JPS5845720Y2 - シ−トベルト巻取装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は緊急時ロック部材に連動し、巻取装置からのベ
ルト引き出しに抵抗を付与し、爾後のベルトの巻き締り
及び延び出しを抑制する機構を備えたシートベルト巻取
装置に関するものである。

自動車等の乗員を安全に保持するためのシートベルト巻
取装置においては通常のベルト使用状態下では引き出さ
れた拘束ベルトに適度の張りを持たせることが好ましく
、これによって乗員にベルト使用による拘束感を排除し
、かつベルトの弛みを防止しているが、その反面、巻取
装置内のシートベルトには、ばねによる残余の引き出し
力の余裕とウェビング自体の延びがあり、そのため緊急
ロック時において、パウルを作動し、ベルト巻付シャフ
ト端のラチェットホイールに係合させてロックを行なっ
たとしても、なお慣性力による延び出し現象が見られ、
乗員の拘束保持機能を充分に確保し得ない状態を醸成し
ていた。

そこで、従来、自動ベルト装置などにおいて巻取装置か
ら引き出されたベルトの経路に独立したクランプ装置を
配置し緊急時のベルトの延び出しを防止することが行な
われているが、この様にベルト巻取装置とクランプ装置
とを別体に構成したものは、装置が大型化して、例えば
自動車のドア内部やピラ一部分への取付けが面倒であり
、装置の取付は位置が制限されるばがっでなく、車体の
中央側に取付ける場合にはシートの下に上記ベルト巻取
装置とクランプ装置を配設し、ベルトの引き出し端を案
内部材により、シートの車体中央側ぺ誘導しなければな
らず、部品点数が増加して自動ベルトの製造コストを高
騰させる問題があった。

一方、かかる欠点を克服すべく巻取装置とクランプ装置
とを一体に形成したものも提案されているが、これは何
れもベルト引出し方向との関係からベルト転向用の案内
ロールを必要とし、製作面での不利を免れないものであ
った。

本考案はかかる従来のクランプ装置付設の巻取装置が有
していた問題点の是正を図り、より確実なベルトウェビ
ングの引出し並びに延び出し防止を企図して考案された
もので、フレーム本体に、回転自在に支承されたシャフ
トと同軸に固着したラチェットホイールと、該ラチェッ
トホイールに保合、離反可能なロック部材の外に、更に
該ロック部材がラチェットホイールに係合したとき、該
ロック部材の作動に連動してベルト巻着部外周に当接し
、爾後のベルト引き出し並びに延び出しを抑制するベル
ト抑止部材を具備せしめた構成を特徴とするものである
。

以下、その具体的内容を添付図面に示す実施例を参照し
つつ更に詳述する。

第１図は本考案巻取装置の概要図であり、図において１
は、コ字状に形成された基板の両側壁間において回動可
能に亘設されたベルト巻取シャフトであって、該ベルト
巻取シャフト１はシートベルト２の一端を止着して、シ
ャフト端部に取付けられた図示しないばね装置によって
巻取方向に付勢され、ベルトを引出し、巻込み可能に巻
装せしめており、前記ばね装置の反対側端部においてラ
チェットホイール３を一体に固着して有している。

そして、前記ラチェットホイール３の下方には衝突等、
緊急時に車輌に加わる加減速度によって変位する重錘な
どの変位部材４を包含する変位感知機構と、該機構の変
位部材４の変位に応じて前記ラチェットホイール３の係
合歯５と係合しロックするロック部材、即ち、図におい
てはパウル６が前記基板の間において起倒可能なる如く
亘設されている。

なお、これらラチェットホイール、パウルからなるロッ
ク機構を備えた巻取装置は従来公知のものであり、その
取付、配置に関しては図示の場合に拘泥されないことは
勿論である。

次に、前記図において７は前記シャフト１に巻着したシ
ートベルト２の外周近傍に配置された抑止部材であって
、その基端部８は前記巻取装置基板の固定部に穿設され
た扇形穴９に挿通支持され、その先端部１０が前記固定
部に穿設された長孔１１内において前記ベルト巻着部外
周に対し近接。

離反可能に挿通支持されて、全体として前記基端部８を
中心として傾動可能な構成となっていると共に、前記先
端部１０は前記ベルト２の幅方向に適当な長さを有し、
ベルト巻着部外周を押圧するとき、ベルト２に対し充分
な抑圧係止力を発揮する構造となっている。

この抑止部材は前記ロック部材、即ち、パウル６との関
連において作動するものであり、図示例においてはパウ
ル６上方で、パウル６が変位部材４の変位により傾動す
るとき、その上端によって押し上げられた状態で作動を
起すようになっている。

しかし、かかる構成はその１例であり、本考案は別設、
これに限られるものではなく、例えば、パウルとの間に
連杆を介設し、該連杆を介してパウルの傾動を抑止部材
に伝達せしめるようにしてもよく、又、変位部材４との
間に直接、連杆を介設し、その変位によってパウルと同
時に作動させるようにすることもできる。

なお、前記抑止部材７の作動に関連すべく前記説明にお
けるラチェットホイール３は、その係合歯５の基部が通
常のラチェットホイールよりも稍深く切欠され、係合歯
５の係合部分５ａが長く構成されて、前記パウル６の係
合後の回動範囲が大きくなるよう構成されている。

本考案シートベルト巻取装置は叙上の如き構成からなり
、次にその作用を前記図示例に従って説明すると、先ず
、本考案巻取装置を備えた車輌が静止状態若しくは通常
の走行状態にあるときは、第１図に示す如く、変位部材
４が静止若しくは略静止に近い位置にあって、パウル６
がラチェットホイール３と非保合状態にあり、該ラチェ
ットホイール３及び゛シャフト１は自由に回動すること
が出来るため、乗員はその動きに応じてベルト２を該巻
取装置から自由に引き出したり、その付勢ばねの作用に
より巻き込ませたりすることが可能で、ベルト２による
拘束感が回避され、好適なベルト装着状態が維持される
。

次に、急ブレーキや衝突などにより車輌に急激な加減速
度が加わると、第２図に示す如く変位部材４が慣性力に
よって変位し、その上端４ａがパウル６を押し上げ、該
パウル６をラチェットホイール３の係合歯５に噛合させ
てロックが行なわれ前記ラチェットホイール３及びシャ
フト１の回動が規制され、一応ベルト２の引き出しが阻
止されて乗員の安全が確保される。

しかし、このとき、ベルト２はその巻着部においてウェ
ブの残留伸び、付勢ばねの弾性力の余裕により巻き締り
現象を生じ、更に巻取装置から延び出そうとするが、こ
のベルトの延び゛出し力はシャフト１を通じてラチェッ
トホイール３に伝わり第３図に示す如く、前記パウル６
をラチェットホイール３の係合歯５においてその係合部
５ａに沿い係合が深くなる方向へ回動させると、これに
伴なってパウル６の先端がその上部にある抑止部材７を
押し上げ、抑止部材７の先端部１０をベルト２の巻着外
周面に押しつけ、圧接させ、ベルト２の延び出し力に対
応する抵抗力で該巻着外周面を抑止させる。

かくして、ベルト２の引き出し抵抗が増加して、ベルト
２の巻き締り現象やベルト２の急激な延び出しが抑制さ
れる。

なお、第４図はかかる本考案巻取装置における荷重とベ
ルトの延び出し長さとの関係を表わしたグラフで、図よ
り明らかなように本考案巻取装置の場合Ａは、従来のベ
ルトクランプ装置を有しない巻取装置の場合Ｂと比較し
て緊急時の延び出しが著しく抑制されていることが首肯
される。

以上述べた如く本考案の巻取装置はシャフトに巻着した
ベルトの外周近傍位置に、該ベルト巻着部外周面に当接
、離反する抑止部材を設け、該抑止部材と前記シャフト
に固着したラチェットホイールと噛合するロック部材に
関連させて、前記ベルト巻着部を接圧係止し、緊急時に
おける巻き締り現象等に起因するベルト延び出しを規制
する如くなしたものであるから、車輌衝突時等における
緊急ロック機構の作動をより有効なものにし、乗員の拘
束をさらに確実ならしめる効果を有していると共に、従
来のクランプ付巻取装置の如きベルト転向用の多くの案
内ロールを必要とせず、装置の小型化が可能であるため
自動車のドア内部やピラ一部分への収設が容易となり、
安全ベルト取付は位置の適正化を推進して、ベルトによ
る乗員の安全確保をより完全にするという顕著な効果を
発揮する。

しかも、本考案巻取装置によれば、前述した如き案内ロ
ール等が削減され、装置構成が簡素化されるため、製作
が容易となり、製造コストの低減化を図り得るという効
果も期待することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案巻取装置の構成の一例を示す概要図、第
２図及び第３図は夫々同装置の作用説明図、第４図は本
考案巻取装置と従来のクランプ装置を有しない巻取装置
における荷重とベルト延び出し長さとの関係を示す比較
グラフである。 １・・・・・・シャフト、２・・・・・・ベルト、３・
・・・・・ラチェットホイール、６・・・・・・ロック
部材、７・・・・・・抑止部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フレーム本体に回転自在に支承されたシャフトと同軸に
   固着されたラチェットホイールと、該ラチェットホイー
   ルに保合、離反可能なロック部材と、該ロック部材がラ
   チェットホイールに係合したとき、該ロック部材に連動
   して、シャフトに巻着されたベルト外周に当接し、爾後
   のベルト引き出し並びに延び出しを抑制する抑止部材と
   を備えたことを特徴とするシートベルト巻取装置。