JPH0323400Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の技術分野］ 本考案は、自動車等の各種乗物に装備されるシ
ートベルトを車輌衝突或いは横転事故等の緊急時
に緊急ロツクすると共にシートベルトの延び出し
を阻止するシートベルト巻取り装置に関する。

［考案の技術的背景とその問題点］ 乗員拘束用シートベルトを通常時は乗員の身体
の動きに応じて自由に引出せるように巻着収納
し、かつ、車輌衝突、横転等の緊急時に自動ロツ
クしてシートベルトの引き出しを阻止して乗員拘
束状態を確保する緊急ロツク機構を備えたシート
ベルト巻取り装置のうちでも、とりわけシートベ
ルトの着脱を自動化すべく、巻取装置から引き出
されたシートベルトの装着使用部分を乗降の際、
ドアの開閉等に応動して乗降動作を妨げない位置
まで自動的に転位させるようにした、所謂自動ベ
ルトシステムに使用されるシートベルト巻取り装
置が従来提供されている。しかしながらこの装置
においては、乗員拘束状態時におけるシートベル
トの余剰長さ分がシートベルト巻取り装置のリー
ルに巻装され、巻径が大きくなつていることか
ら、緊急時にロツク機構が正常に作動し、リール
の回転を停止させても、シートベルト自体に巻き
締り現象を生じ、このときの巻締り長さ分だけシ
ートベルトが余分にシートベルト巻取り装置から
延び出されて乗員の拘束状態が不完全になる不都
合があつた。

そのため、従来の自動ベルトシステムに用いら
れるシートベルト巻取り装置においては、かかる
緊急時のベルト延び出しの問題を克服するため、
第６図に示す如く、車体に固定されたフレーム１
に対し断面コ字状の移動ベース２を長孔３に挿通
したボルト４の相対移動範囲内において摺動可能
に設け、かつ、該移動ベース２の対向壁間にシー
トベルト５の固定端側を止着したリール６を図示
なきスプリングによりベルト巻取り方向に付勢し
つつ回動可能に支承するとともに、該リール６の
端部に設けたラチエツトホイール７の隣接位置に
車体の加速度を検知して爪部材８をラチエツトホ
イール７に係合させる振子９を含む緊急ロツク機
構１０を設け、更に、前記移動ベース２の側壁に
設けた孔１１に沿つてシートベルト５の表裏面に
対し接離方向に移動する２個のクランプ部材１
２，１２′の両端を前記固定フレーム１の両側壁
に設けた楔形案内孔１３に挿通することにより、
車両衝突等の緊急時に前記緊急ロツク機構１０が
作動してリール６の回転が停止し、ベルトの引出
し力により移動ベース２がスプリング１５に抗し
て同方向に移動したとき、クランプ部材１２，１
２′が前記楔形案内孔１３の傾斜面１３ａ，１３
ｂに沿つて互いに内方へ接近し、両クランプ部材
１２，１２′の係止面１４，１４′間にシートベル
ト５を挾着し、該シートベルト５の移動を阻止す
るようにしたシートベルト巻取り装置が提案され
ている。

ところが、この種、従来の楔式クランプ機構を
付設したシートベルト巻取り装置は、一般に、緊
急時のベルトロツク作用にすぐれ、シートベルト
の延び出し防止に多大な威力を発揮するが、緊急
時にベルトを挾着した際における各部材間の摩擦
力が大きいため、クランプ機構を解除することが
困難であるという問題があつた。

［考案の目的］ 本考案は上記事情に鑑みて成されたものでその
目的とするところは、比較的簡単な構成でありな
がら、緊急ロツク時におけるシートベルトの延び
出しを防止することができると共に延び出し防止
のためのロツクを容易に解除することができ、ひ
いては操作性の向上を達成することができるシー
トベルト巻取り装置を提供することである。

［考案の概要］ 本考案は上記目的を達成するため、リールにシ
ートベルトが引出し及び巻取り自在に巻回され、
緊急時にリールからのシートベルトの引出しを阻
止するロツク機構を備えたシートベルト巻取り装
置において、シートベルトの一方の面に対向して
固定配置された第１のクランプ部材と、シートベ
ルトを挾んで該第１のクランプ部材の方向へ接近
隔離移動する第２のクランプ部材と、シートベル
トの先端に連結されていてシートベルトが引出し
方向にテンシヨンを受けることにより変位して第
２のクランプ部材を押圧し、この第２のクランプ
部材と第１のクランプ部材とで上記シートベルト
を挾着させる起動部材とを設けることにより、シ
ートベルトの延び出しを防止し、かつ延び出し防
止のためのロツクを容易に解除することができる
ようにしたものである。

［考案の実施例］ 次に本考案の実施例について説明する。

第１図は本考案の第１の実施例装置の全体を示
す斜視図、第２図は同実施例装置の要部を示示す
ものでありＡは延び出し防止機構による非ロツク
状態を説明する概略断面図、Ｂは延び出し防止機
構によるロツク状態を説明する概略断面図であ
る。

本実施例装置の全体構成は第１図に示すように
なつており、図示しないシートを挾んで車床の窓
側に巻取り装置本体２０が固定され、この巻取り
装置本体２０から引出されたシートベルト２１は
その中間部に結合片（以下スルータングとも称す
る）２２を有し、車床の中央部に固定配置された
固定バツクル２３に上記スルータング２２を着脱
できるようになつている。上記シートベルト２１
は、スルータング２２を固定バツクル２３に連結
装着したとき、このスルータング２２を境にして
基端側が肩ベルト２１Ａとして機能し、先端側が
腰ベルト２１Ｂとして機能する腰拘束ベルトと肩
拘束ベルトとの両拘束ベルトが連結した一本のベ
ルトよりなる３点式シートベルトである。尚、上
記シートベルト２１は車窓側ピラー上方に固定配
置されたスルーアンカー２４を介して引出される
ようになつている。

上記巻取り装置本体２０の詳細は第２図Ａ，Ｂ
に示す通りである。すなわち金属板等を断面コ字
状に屈曲形成して成るフレーム３０がボルト３１
等を介して車床に固定され、先ず上記フレーム３
０の側壁３１Ａ間にはシートベルト２１の一端を
止着したリール３２が枢支されている。このリー
ル３２は、側壁３１Ａ外面に添設された図示しな
いスプリングにより上記シートベルト２１を巻取
る方向、即ち矢印Ａ方向に回動付勢されている。

また衝突等の緊急時に上記リール３２の回転を
規制するため、このリール３２の端面に固着した
ラチエツトホイル３５の周縁近傍において、重錘
３６の傾き角度に応じて爪部材３７が回動し、ラ
チエツトホイル３５に係合してリール３２の回転
を阻止する緊急ロツク機構３８が設けられてい
る。

そして上記緊急ロツク機構の作動時にシートベ
ルト２１の延び出しを防止する延び出し防止機構
４０が設けられている。この延び出し防止機構４
０は、リール３２から引出されたシートベルト２
１の一方の面に対向して第１のクランプ部材４１
が上記側壁３１Ａに固定され、この側壁３０Ａに
穿設された一対の長孔４２にはピン４３を介して
第２のクランプ部材４４が上記シートベルト２１
を挾んで第１のクランプ部材４１の方向へ接近隔
離移動自在に設けられ、さらにシートベルト２１
の先端に連結されていて衝突或いは横転等の際、
シートベルト２１が引出し方向にテンシヨンを受
けたとき変位して上記第２のクランプ部材４４を
押圧し、この第２のクランプ部材４４と第１のク
ランプ部材４１で上記シートベルト２１を挾着さ
せる起動部材としての作動レバー４５が側壁３０
Ａに枢支され、この作動レバー４５は上記第２の
クランプ部材４４から離間する方向に捩りコイル
スプリング４６を介して回動付勢されて構成され
ている。尚、上記両クランプ部材４１，４４のシ
ートベルト対向面には凹凸波形状の係合歯４１
Ａ，４４Ａが形成され、シートベルト２１の延び
出し防止の確実性が期されている。また作動レバ
ー４５に結合されているシートベルト２１は、フ
レーム３０に固定されたスルーアンカー４７に挿
通されて延在している。

以上のように構成されたシートベルト巻取り装
置の作用について説明する。

まず車輌が正常な走行状態にあり、緊急ロツク
機構３８の垂錘３６が正立して爪部材３７がラチ
エツトホイル３５と係合していないときには、シ
ートベルト２１の腰ベルト２１Ｂにはテンシヨン
が作用されておらず、作動レバー４５は捩りコイ
ルスプリング４６により反時計方向に回動付勢さ
れているため、第２図Ａに示すように第２のクラ
ンプ部材４４は第１のクランプ部材４１から離間
し、その結果シートベルト２１の肩ベルト２１Ａ
は第１のクランプ部材４１と第２のクランプ部材
４４との対向間隙を自由に通過し、乗員の上半身
の動きに応じてリール３２から円滑に引出し又は
巻込みされ、肩ベルト２１Ａによる拘束感を排除
することになる。

次に車輌の衝突、横転などの緊急時には第２図
Ｂに示す如く緊急ロツク機構３８の重錘３６が傾
いて爪部材３７がラチエツトホイル３５と係合し
てリール３２からのシートベルト２１の引出しが
抑止されて緊急ロツクされる。またこのとき、乗
員に慣性力が作用するのでシートベルト２１には
テンシヨンが作用し、特に腰ベルト２１Ｂにテン
シヨンが作用すると、第２図Ｂに示す如く作動レ
バー４５が捩りコイルスプリング４６の付勢力に
抗して時計方向に回動され、第２のクランプ部材
４４をシートベルト２１側へ押圧するため、シー
トベルト２１は両クランプ部材４１，４４にて波
形屈曲状に挾着保持され、以後のシートベルトの
延び出しを阻止してシートベルトによる乗員拘束
状態を確実なものとする。

車輌が緊急状態を脱したときには腰ベルト２１
Ｂに作用していたテンシヨンが解除される結果、
作動レバー４５は捩りコイルスプリング４６の付
勢力により反時計方向に回動され、第２のクラン
プ部材４４が第１のクランプ部材４１から離反し
てシートベルトの挾着を解除し、第２図Ａに示す
ようにシートベルト２１は再び両クランプ部材４
１，４４の対向間隙を通過できようになり、通常
の引出し巻込み自由な状態に容易に復帰できるこ
ととなる。

次に本考案の第２の実施例を説明する。第３図
は本考案の第２の実施例装置の要部を示すもので
Ａは延び出し防止機構による非ロツク状態を説明
する概略断面図、Ｂは延び出し防止機構によるロ
ツク状態を説明する概略断面図である。上記第１
の実施例装置と異なる点は延び出し防止機構の構
成である。すなわち、第２のクランプ部材５０に
形成されている凹凸波形状の係合歯５０Ａの背面
側には斜面５０Ｂが形成され、さらに側壁３０Ａ
に穿設された一対の長孔５１にはピン５２を介す
ることにより起動部材としての摺動ブロツク５３
が第２のクランプ部材５０の変位方向に直交する
方向に摺動自在に設けられ、この摺動ブロツク５
３には上記第２のクランプ部材５０上の斜面５０
Ｂに係合する斜面５３Ａが形成されているととも
にこの摺動ブロツク５３に結合されたシートベル
トからのテンシヨンに抗する圧縮コイルスプリン
グ５４が設けられて構成されている。尚、その他
の構成は第１の実施例と同様であるのでその詳細
な構成説明を省略する。

このように構成されたシートベルト巻取り装置
は次のように作用する。すなわち、車輌が正常な
走行状態にあり、緊急ロツク機構３８の重錘３６
が正立して爪部材３７がラチエツトホイル３５と
係合していないときは、シートベルト２１の腰ベ
ルト２１Ｂにはテンシヨンが作用されておらず、
摺動ブロツク５３は圧縮コイルスプリング５４に
より押圧付勢されているため、第３図Ａに示すよ
うに第２のクランプ部材５０は第１のクランプ部
材４１から離間し、その結果シートベルト２１の
肩ベルト２１Ａは第１のクランプ部材４１と第２
のクランプ部材５０との対向間隙を自由に通過
し、乗員の上半身の動きに応じてリール３２から
円滑に引出し又は巻込みされ、肩ベルト２１Ａに
よる拘束感を排除することになる。車輌の衝突、
横転などの緊急時には第３図Ｂに示す如く緊急ロ
ツク機構３８の重錘３６が傾いて爪部材３７がラ
チエツトホイル３５と係合してリール３２からの
シートベルト２１の引出しが抑止されて緊急ロツ
クされる。またこのとき、乗員に慣性力が作用す
るのでシートベルト２１Ｂにはテンシヨンが作用
し、特に腰ベルト２１Ｂにテンシヨンが作用する
と、第３図Ｂに示す如く摺動ブロツク５３が圧縮
コイルスプリング５４の付勢力に抗して変位さ
れ、第２のクランプ部材５０をシートベルト２１
側へ押圧するため、シートベルト２１は両クラン
プ部材４１，５０にて波形屈曲状に挾着保持さ
れ、以後のシートベルトの延び出しを阻止してシ
ートベルトによる乗員拘束状態を確実なものとす
る。

車輌が緊急状態を脱したときには腰ベルト２１
Ｂに作用していたテンシヨンが解除される結果、
摺動ブロツク５３は圧縮コイルスプリング５４の
付勢力により変位され、第２のクランプ部材５０
が第１のクランプ部材４１から離反してシートベ
ルトの挾着を解除し、第３図Ａに示すようにシー
トベルト２１は再び両クランプ部材４１，５０の
対向間隙を通過できようになり、通常の引出し巻
込み自由な状態に容易に復帰できることとなる。

次に本考案の第３の実施例を説明する。第４図
は本考案の第３の実施例装置を示す断面図であ
る。上記第１の実施例装置と異なる点は延び出し
防止機構の構成である。すなわち、第２のクラン
プ部材６０に形成されている凹凸波形状の係合歯
６０Ａの背面側には斜面６０Ｂが形成され、さら
にフレーム３０の底面３０Ｂをスライドするスラ
イドバー６４の先端には起動部材としての摺動ブ
ロツク６３が結合され、この摺動ブロツク６３に
は上記第２のクランプ部材６０上の斜面６０Ｂに
係合する斜面６３Ａが形成されていると共に上記
スライドバー６４の中間部はフレーム３０の底面
３０Ｂに穿設されている開口３０Ｃから突出され
た連結具６５を介してシートベルト２１の先端に
結合され、かつ上記摺動ブロツク６３にはシート
ベルト２１からのテンシヨンに抗する引張コイル
スプリング６６が設けられて構成されている。
尚、その他の構成は第１の実施例と同様である。

以上のように構成した場合にも上記第２の実施
例とほぼ同様の作用、効果を得ることができる。

次に本考案の変形例について説明する。第５図
は本考案の変形例を示す外観斜視図である。上記
各実施例と異なる点はシートベルト２１と起動部
材としての作動レバー４５との連結構造である。
すなわち、車床に固定されているホルダ７０に上
記固定バツクル２３が摺動自在に支持され、この
固定バツクル２３と作動レバー４５とがチユーブ
ドインナーワイヤ７１で連結され、シートベルト
２１の先端すなわち腰ベルト２１Ｂの先端は車床
に固定して構成されている。しかして車輌の衝突
などの緊急時には乗員に慣性力が作用してシート
ベルト２１にテンシヨンが作用し、固定バツクル
２３はチユーブドインナーワイヤ７１を引張る方
向へ変位するので、この動きに連動して作動レバ
ー４５が回動されてシートベルト２１の延び出し
が防止される。

［考案の効果］ 以上詳述したことから明らかなごとく本考案の
シートベルト巻取り装置は比較的簡単な構成であ
りながら、緊急ロツク時におけるシートベルトの
延び出しを防止することができると共に延び出し
防止のためのロツクを容易に解除することがで
き、ひいては操作性の向上を達成することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１の実施例装置の全体を示
す斜視図、第２図は同実施例装置の要部を示すも
のでＡは延び出し防止機構による非ロツク状態を
説明する概略断面図、Ｂは延び出し防止機構によ
るロツク状態を説明する概略断面図、第３図は本
考案の第２の実施例装置の要部を示すものでＡは
延び出し防止機構による非ロツク状態を説明する
概略断面図、Ｂは延び出し防止機構によるロツク
状態を説明する概略断面図、第４図は本考案の第
３の実施例装置を示す断面図、第５図は本考案の
変形例を示す外観斜視図、第６図は従来装置を示
す断面図である。 ２１……シートベルト、２１Ａ……肩ベルト、
２１Ｂ……腰ベルト、２３……固定バツクル、３
２……リール、３５……ラチエツトホイル、３６
……重錘、３７……爪部材、４１……第１のクラ
ンプ部材、４４……第２のクランプ部材、４５…
…起動部材、５０……第２のクランプ部材、５３
……起動部材、６０……第２のクランプ部材、６
３……起動部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートを挾んでシートの一方の側面に設けた緊
   急ロツク機構付シートベルト巻取り装置より引出
   され、その上方に設けたスルーアンカーを通つて
   シートの他方の側面に設けたバツクルに中間部が
   スルータングを介して係脱可能に連結され先端部
   が前記巻取装置近傍に連結された腰、肩拘束用の
   連続一本ベルトよりなる３点式シートベルトにお
   いて、前記巻取装置がシートベルト引出し側にお
   いてシートベルトの一方の面に対向して固定配置
   された第１のクランプ部材とシートベルトを挾ん
   で該第１のクランプ部材の方向へ接近隔離移動可
   能な第２クランプ部材とシートベルトの前記先端
   部に連結され該連結部にシートベルトの引張力が
   生じた時変位して第２のクランプ部材を押圧し、
   この第２のクランプ部材と第１のクランプ部材と
   で上記シートベルトを挾着させる起動部材とを設
   けたことを特徴とするシートベルト巻取装置。