JPH0421724Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、オートマチツクシートベルト装置の
肩部拘束用ウエビングと腰部拘束用ウエビングと
の干渉を防止する腰部拘束用ウエビングのアンカ
構造に関する。

〔従来技術及び考案が解決しようとする問題点〕

現在、乗員へ自動的にウエビングを装着又は解
除するオートマチツクシートベルト装置が提案さ
れている。

このオートマチツクシートベルト装置として、
それぞれ別個に設置された肩部拘束用ウエビング
と腰部拘束用ウエビングとを有し、自動的に肩部
拘束用ウエビングの装着を完了させた後に、手動
により腰部拘束用ウエビングを装着するようにな
つている。

このシートベルト装置は肩部拘束用ウエビング
の巻取装置と腰部拘束用ウエビングのアンカ構造
とが車両中央部のセンタコンソール近傍に配置さ
れている。

従つて、前記巻取装置とアンカ部近傍のウエビ
ング同志が干渉する原因となる。このため、例え
ば、腰部拘束用ウエビングのアンカポイントを車
両前方にずらし、互いに干渉しないように配置す
ると正規のアンカポイントからずれ、かつウエビ
ングが正規の装着位置からずれることになり、乗
員をシートへ確実に拘束することができない場合
がある。

本考案は上記事実を考慮し、肩部及び腰部拘束
用ウエビングの自動装着、解除時に干渉すること
なく、かつ車両急減速時には乗員を正規のウエビ
ング装置位置として確実にシートへ拘束すること
ができる腰部拘束用ウエビングのアンカ構造を得
ることが目的である。

〔問題点を解決するための手段及び作用〕

本考案に係る腰部拘束用ウエビングのアンカ構
造は、一端部が車両のルーフサイドに沿つて車両
前後方向に移動可能とされ他方が座席の内側の側
部に設けられた巻取装置に巻き取られた肩部拘束
用ウエビングと、一方が座席の外側の側部に係止
され他方が座席の内側の側部の前記巻取装置より
も車両前方に配設されたバツクル装置に係合され
乗員の腰部を拘束する腰部拘束用ウエビングと、
前記バツクル装置を支持する支持部材と、一方が
前記巻取装置近傍に車両上下方向に回転可能に支
持それ他方が車両前方へ延設され前記支持部材と
車両上下方向に相対回転可能に連結されたアンカ
部材と、前記アンカ部材と車体との間に設けられ
前記アンカ部材を車体床面と平行状態で仮止し車
両急減速時にはこれが解除されて支持部材とアン
カ部材とを直線的な連結状態とする仮止手段と、
を有している。

本考案によれば、通常状態ではアンカ部材が仮
止め手段によつて車体床面と平行状態とされ、そ
の車両前方側端部にバツクル装置を支持する支持
部材が回転可能に支持されている。このため、バ
ツクル装置を支持する支持部材は、座席の内側の
側部に設けられた肩部拘束用ウエビング用の巻取
装置よりも前方でアンカ部材と所定の角度をもつ
て連結されることになり、肩部拘束用ウエビング
と腰部拘束用ウエビングとが干渉することが防止
される。

ところで、支持部材を単に巻取装置よりも前方
側でアンカ部材に連結し、この連結点をアンカポ
イントとすると、腰部拘束用ウエビングによる乗
員の拘束を確実に行うことはできない。しかし、
本考案では、車両急減速時には、仮止め手段によ
るアンカ部材の仮止めが解除され、支持部材とア
ンカ部材とが直線的な連結状態となる。これによ
り、アンカポイントが従来通りの適正な位置とな
り、確実に乗員を拘束することができる。

〔実施例の構成〕

第１図には本考案に係る腰部拘束用ウエビング
のアンカ構造が適用されたオートマチツクシート
ベルト装置１０が示されている。

座席１２に着座した乗員１４はそれぞれ別体と
された肩部拘束用ウエビング１６と腰部拘束用ウ
エビング１８を装着している。

肩部拘束用ウエビング１６はその一端部が車両
センタコンソール２０近傍に設置された巻取装置
２２に巻取られ、他方の端部はアンカプレート２
４に係止されている。

このアンカプレート２４は車両ルーフサイドへ
設置されたガイドレール２６に沿つて摺動可能な
スライダ２８にボルト３０等で取付けられてい
る。

ガイドレール２６の下端面には車両前後方向に
亘り図示しない溝が形成されており、スライダ２
８はこの溝に沿つて図示しない駆動手段により車
両前後方向へ移動するようになつている。

図示しない駆動手段は乗員１４が乗車した後に
スライダ２８を車両後方へ移動して乗員へ肩部拘
束用ウエビング１６を装着させ、降車する場合に
は車両前方へ移動して肩部拘束用ウエビング１６
を座席１２との間に空間を生じさせるので、乗員
１４は容易に乗降することができる（第１図想像
線参照）。

また、この肩部拘束用ウエビング１６とは別体
とされた腰部拘束用ウエビング１８は、乗員１４
が座席１２に着座後、バツクル装置３２へタング
プレート３４を係合させることにより、装着状態
となることができるようになつている。

タングプレート３４には腰部拘束用ウエビング
１８の一方の端部が係止されており、腰部拘束用
ウエビング１８の他方の端部は座席１２の車外側
の車体へ直接に又は図示しない巻取装置を介して
取付けられている。

上記、巻取装置２２及び腰部拘束用ウエビング
１８の巻取装置には車両急減速時にこれを加速度
センサで感知して、ウエビングの引き出し方向回
転を阻止するロツク機構が内蔵されている。

ここで、タングプレート３４を係合させたバツ
クル装置３２は支持部材３６及びアンカ部材３８
を介して車体へ固着されている。

第２図に示される如く支持部材３６はその一端
部にバツクル装置が固着され、他方の端部はピン
４０を介してアンカ部材３８の一端部へ軸支され
ている。

これにより、支持部材３６はピン４０を中心と
して車両上下方向へ回転可能とされ、図示しない
付勢手段により、第２図時計回転方向に付勢さ
れ、支持部材３６に取付けられたピン４１とアン
カ部材３８の突起部３８Ａとが当接され、保持さ
れている。

アンカ部材３８の他方の端部は、車両後方へ延
設されピン４２を介して車体へ軸支されて、この
ピン４２を中心に回転可能とされている。

ここで、ピン４２は肩部拘束用ウエビング１６
の巻取装置２２の近傍に配設されているが、アン
カ部材３８が長尺とされているため、肩部拘束用
ウエビング１６と腰部拘束用ウエビング１８とが
干渉しないようになつている。

また、このアンカ部材３８の中間部下端面に
は、仮止手段の一部である一対の爪部４４，４６
が一体的に形成されている。

この爪部４４，４６は弾性力を有しており、そ
れぞれ先端部が対向されるように湾曲され、アン
カ部材３８の下面３８Ｂとの間に空間部を形成し
ている。

この空間部に爪部４４，４６と共に仮止手段を
構成するバー４８が係合されている。

バー４８は、軸方向両端部が車体側へ固着さ
れ、爪部４４，４６と係合することにより、アン
カ部材３８をピン４２と共に車体へ２点で支持
し、このアンカ部材３８を水平状態に仮止状態で
保持するようになつつている。

ここで、バツクル装置３２へ係合したタングプ
レート３４へ腰部拘束用ウエビング１８の大きな
張力が作用すると、すなわち第２図矢印Ａ方向に
荷重が加わると、この荷重により爪部４４，４６
が弾性変形して、バー４８と離間されるようにな
つている。爪部４４，４６とバー４８との離間後
は支持部材３６がピン４０を中心に矢印Ｂ方向
に、アンカ部材３８がピン４２を中心に矢印Ｃ方
向に回転し、第２図想像線の如く支持部材３６と
アンカ部材３８とが直線的に配置されるようにな
つている。

すなわち、この状態では矢印Ａ方向の力は矢印
Ｄで示されるように、車体へ固着されたピン４２
へ直線的に伝達されるようになつている。

〔実施例の作用〕

乗員１４が座席１２へ着座する際には、肩部拘
束用ウエビング１６はスライダ２８がガイドレー
ル２６の前方へ移動して座席１２との間に充分な
乗車スペースが確保されているので、容易に着座
することができる。

乗員１４が着座すると、スライダ２８は駆動手
段によりガイドレール２６に沿つて車両後方へ移
動し、乗員１４は肩部拘束用ウエビング１６の装
着状態となることができる。

また、この車両には肩部拘束用ウエビング１６
とは別体とされた、腰部拘束用ウエビング１８が
配置されており、乗員はタングプレート３４をバ
ツクル装置３２へ係合させることにより、この腰
部拘束用ウエビング１８の装着状態となる。

ここで、肩部拘束用ウエビング１６の巻取装置
２２と腰部拘束用ウエビングのバツクル装置３２
の車体への取付部は車両中央部で近接されている
が、バツクル装置３２が支持部材３６及び水平状
態に保持されたアンカ部材３８を介して配置され
ているので、肩部拘束用ウエビング１６と腰部拘
束用ウエビング１８とが干渉されない。

従つて、乗員１４は正規のウエビング装着状態
となることができる。

ここで、車両が急減速状態に陥ると、巻取装置
に内蔵されたロツク機構が作動し、ウエビングの
引出方向回転が阻止され、乗員１４の慣性力によ
り肩部及び腰部拘束用ウエビング１６，１８への
荷重が加わる。

肩部拘束用ウエビング１６の場合はこの荷重が
タングプレート２４及びスライダ２８を介してガ
イドレール２６へ伝達されるので、乗員１４の肩
部は確実に拘束することができる。

腰部拘束用ウエビング１８の張力はアンカ部材
を第２図矢印Ｃ方向に回転させ、爪部４４，４６
を弾性変形させバー４８と離間させる。これと同
時に支持部材３６がピン４０を中心に矢印側壁Ｂ
方向へ回転する。

これにより、支持部材３６とアンカ部材３８と
は第２図想像線で示される如く直線的に配置され
る。

従つて、矢印Ａ方向で示された荷重は、矢印Ｄ
の如くピン４２まで直線的に伝達され、支持部材
３６及びアンカ部材３８を変形させることなく、
車体へ伝達することができる。

また、アンカ部材３８の回転範囲を座席１２へ
設けるピン４９で制限し、支持部材３６及びアン
カ部材３８を第２図１点鎖線で示される如く、直
線となる前に保持してもよい。

なお、本実施例では仮止手段に爪部４４，４６
及びバー４８を用いたが、第３図、第４図に示さ
れる如くアンカ部材３８にリング形状の突起５０
を設け車体側にこのリング内に挿入され弾性力を
有する略Ｕ字状の爪部５１を設置したり（第３図
参照）、アンカ部材３８に略Ｌ字状のフツク５２
を設け車体側にこれと対応された同形状のフツク
５４を設置して（第４図参照）、仮止手段として
もよい。また、アンカ部材３８に貫通孔を設け、
シエアピン等で車体へ仮止めし、車両緊急時にこ
れを変形させて離間させる等の仮止手段を用いて
もよい。

〔考案の効果〕

以上説明した如く本考案に係る腰部拘束用ウエ
ビングのアンカ構造は、肩部及び腰部拘束用ウエ
ビングの自動装着、解除時に干渉することなく、
かつ車両急減速時には乗員を正規のウエビング装
置位置として確実にシートへ拘束することができ
るという優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る腰部拘束用ウエビングの
アンカ構造が適用された車両の側面図、第２図は
本実施例に係る腰部拘束用ウエビングのアンカ構
造を示す拡大図、第３図及び第４図は仮止め手段
の他の実施例を示す斜視図である。 １０……オートマチツクシートベルト装置、１
８……腰部拘束用ウエビング、３２……バツクル
装置、３６……支持部材、３８……アンカ部材、
４４，４６……爪部、４８……バー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一端部が車両のルーフサイドに沿つて車両前後
   方向に移動可能とされ他方が座席の内側の側部に
   設けられた巻取装置に巻き取られた肩部拘束用ウ
   エビングと、一方が座席の外側の側部に係止され
   他方が座席の内側の側部の前記巻取装置よりも車
   両前方に配設されたバツクル装置に係合され乗員
   の腰部を拘束する腰部拘束用ウエビングと、前記
   バツクル装置を支持する支持部材と、一方が前記
   巻取装置近傍に車両上下方向に回転可能に支持さ
   れ他方が車両前方へ延設され前記支持部材と車両
   上下方向に相対回転可能に連結されたアンカ部材
   と、前記アンカ部材と車体との間に設けられ前記
   アンカ部材を車体床面と平行状態で仮止し車両急
   減速時にはこれが解除されて支持部材とアンカ部
   材とを直線的な連結状態とする仮止手段と、を有
   する腰部拘束用ウエビングのアンカ構造。