JPS5819953Y2 - シ−トベルト装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は車両衝突等の緊急時に乗員を拘束して保護する
シートベルト装置に係り、特に自動的に乗員を拘束用ウ
ェビングを装着させることが可能なシートベルト装置に
関する。

乗員の着座後は自動的に乗員へシートベルト装置を装着
させて車両緊急時に確実に乗員を保護することが考慮さ
れたシートベルト装置が提案されている。

このシートベルト装置は第１図に示されるごとくインナ
ーウェビング１０の一端が車両略中央部に設けられた巻
取装置１２へ付勢力により巻取られており、先端部には
スルーリング１４が取りつけられている。

この巻取装置１２は車両緊急時にのみウェビングの巻出
しを急激に停止させるいわゆるエマ−ジエンシーロッキ
ング巻取装置である。

またアウターウェビング１６の一端はドア１８の上端部
付近へバックル装置２０を介して取りつけられており、
他端はドア１８の下端部付近へアンカー装置２２を介し
て取りつけられており、中間部は前記スルーリング１４
を通して折り返されている。

このように配置されたシートベルト装置では、乗員が乗
車するために、ドア１８を開放すればインナーウェビン
グ１０は必要量だけ巻取装置１２から巻出されると共に
乗員用シート２４との間に乗員の乗車空間を形成する。

従って乗員はシート２４へ着座後ドア１８を閉止すれば
、インナーウェビング１０が巻取装置１２の巻取力によ
り巻取られるので、スルーリング１４等を中心として折
り返されたアウターウェビング１６がそれぞれ乗員の肩
部及び腰部へ自動的に装着されるようになっている。

このように構成されたシートベルト装置の衝突時におけ
る拘束状態を第２Ａ図乃至第２Ｃ図に従って説明すると
、第２Ａ図は通常の車両走行状態が示されており、この
状態から車両が衝突状態に陥ると、巻取装置１２は瞬時
にウェビング１０の巻出しを停止すると共に、乗員は第
２Ｂ図に示されるごとく衝突慣性力によりウェビング１
０゜１６との間の隙間分だけ車両前方へ平行移動する。

次に乗員２６の頭部が乗員の腰部を中心として車両前方
へ回転移動する。

この回転移動はアウターウェビング１６がスルーリング
１４を通してバックル装置２０方向へ、すなわち乗員の
肩部拘束部方向へ移動することにより生ずる現象である
。

これにより乗員の頭部はステアリングホイル２８等へ衝
突して傷害の発生原因となる。

本考案は上記事実を考慮し、自動装着型シートベルト装
置においても乗員がその頭部を危険物へ衝突することが
なく、安全性が向上されたシートベルト装置を提供する
ことが目的である。

本考案に係るシートベルト装置は、ラップインナーウェ
ビング、ラップアウターウェビング及びショルダーウェ
ビングの端部をそれぞれ互いに連結すると共に、ラップ
アウターウェビングは巻取装置を介してドア下部へ取り
つけることにより、車両緊急時にラップアウターウェビ
ングがショルダーウェビング方向へ移動することを防止
して乗員の上体移動量を制限するようになっている。

以下本考案の実施例を図面に従い説明する。

第３図に示されるごとくラップインナーウェビング３０
の一端は従来例と同様に車両の略中央部へ取りつけられ
たエマ−ジエンシーロッキング巻取装置１２へ付勢力に
より巻取られている。

従ってラップインナーウェビング３０は車両緊急時にの
み巻取装置１２からの巻出しが停止されるようになって
いる。

一方、ショルダーウェビング３２はその一端にタングプ
レート３４が取りつけられており、このタングプレート
３４がドア１８の上部へ取りつけられたバックル装置２
０へ係合されることによりショルダーウェビング３２が
ドア１８へ係止されている。

ここにラップインナーウェビング３０とショルダーウェ
ビング３２の他端は連結されており、ラップインナーウ
ェビング３０とショルダーウェビング３２が継目のない
１本のウェビングにより、構成されるようになっている
。

このラップインナーウェビング３０とショルダーウェビ
ング３２との接続部には、ラップアウターウェビング３
６の端部が縫糸３８により縫着されており、リングプレ
ート４０を包み込んでいる。

この縫着によりラップインナーウェビング３０、ショル
ダーウェビング３２及びラップアウターウェビング３６
の端部が互いに連結されることになる。

ラップアウターウェビング３６の他端部はドア１８の下
部に取りつけられたノンロッキング巻取装置４２へ付勢
力により巻取られている。

この巻取装置４２は付勢力により、ラップアウターウェ
ビング３６を巻取軸へ巻取るようになっており、その巻
取量は１００〜１５０ｍｍである。

この巻取装置４２には特別のロック装置は設けられてお
らず、ラップアウターウェビング３６が巻出し方向に引
張力を受ければ、巻取量全量が巻取装置４２から巻出さ
れるようになっている。

なおドア１８の前方部には、フック４４が設けられてお
り、リングプレート４０を吊り下げることができるよう
になっている。

このように構成された本実施例は、乗員が乗車するため
にドア１８を開放すれば、第３図に示されるごとくラッ
プインナーウェビング３０及びラップアウターウェビン
グ３６は巻取装置１２゜４２から巻取付勢力に抗して必
要量が巻出され、乗員はラップインナーウェビング３０
とシート２４との間に身体を挿入して着座することがで
きる。

乗員は着座後にドア１８を閉止すれば、巻出されていた
ラップインナーウェビング３０及びラップアウターウェ
ビング３６はそれぞれ巻取装置１２．４２へ巻取られて
、リングプレート４０が巻取装置１２へと接近する。

従って乗員はショルダーウェビング３２とラップアウタ
ーウェビング３６とにより自動的にウェビング装着状態
となることが可能である。

車両が通常の走行状態にある場合には、巻取装置１２．
４２からウェビング３０．３６が巻出し可能であるので
乗員は運転姿勢を変更することができる。

なお通常走行状態において、ショルダーウェビング３２
の緩みが増大する場合にはノンロッキング巻取装置４２
からラップウェビングが適量巻出されて全体の緩みは巻
取装置１２が巻取るようになっている。

また逆にラップウェビングの緩みはノンロッキング巻取
装置４２が巻取り全体的に常に乗員を適切なウェビング
装着状態とするようになっている。

次に車両が衝突等の緊急状態に陥った場合の作動を説明
すると、エマ−ジエンシーロッキング巻取装置２２は車
両の加速度を検知して直ちにラップインナーウェビング
３０の巻出しを停止するがノンロッキング巻取装置４２
はロック装置が設けられていないのでラップアウターウ
ェビング３６が巻出し可能となっている。

このため第４図に示されるごとく、乗員２６の腰部はノ
ンロッキング巻取装置４２の巻取量だけ車両前方へ移動
可能であり、乗員の腰部が頭部よりも若干量車両前方へ
移動するサブマリン現象を僅かに発生することになる。

このサブマリン現象が著しく発生した場合には、拘束が
不完全となって好ましくないが、わずかなサブマリン現
象を利用して、乗員頭部の移動量を最小限に抑える。

このように乗員の頭部が腰部よりも車両後方にあり、ラ
ップインナーウェビング３０は従来例と異なりショルダ
ーウェビング３２方向へ移動することはないので、乗員
２６の頭部は車室内の危険物と衝突することはなく乗員
は安全に保護される。

通常の車両走行終了後に乗員が降車する場合にはドア１
８を開放すれば、ウェビングは第３図に示されるごとく
再び乗員を降車可能とするが、この降車時に乗員はリン
グプレート４０をフック４４へ吊り下げれば降車動作が
更に容易となり、また更に再乗車動作も容易となる。

このフック４４はドアの閉止動作に従って下方向へ反転
する構造とすれば、乗員が着座後ドアを閉止するのみで
自動的にウェビングを装着可能となる。

以上説明したごとく本考案に係るシートベルト装置はラ
ップアウターウェビングをショルダーウェビング方向へ
移動不可能とすると共に、ラップアウターウェビングは
巻取装置を介してドアへ取りつけたので、車両緊急時に
おける乗員の頭部衝突可能性を減少させて乗員の安全性
を更に向上することが可能となる優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来提案されている自動装着型シートベルト装
置の斜視図、第２Ａ図乃至第２Ｃ図は第１図の衝突時挙
動を示す側面図、第３図は本考案に係るシートベルト装
置の実施例を示す斜視図、第４図は衝突時挙動を示す側
面図である。 １２・・・・・・巻取装置、１８・・・・・・ドア、２
０・・・・・・バックル装置、２２・・・・・・アンカ
ー装置、２６・・・・・・乗員、３０・・・・・・ラッ
プインナーウェビング、３２・・・・・・ショルダーウ
ェビング、３６・・・・・・ラップアウターウェビング
、３８・・・・・・縫糸、４２・・・・・・ノンロッキ
ング巻取装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ラップインナーウェビングの一端を車両略中央部に設け
   たエマ−ジエンシーロッキング巻取装置へ付勢力により
   巻取り、ラップアウターウェビングの一端はノンロッキ
   ング巻取装置を介してドア下部へ取りつけ、ショルダウ
   ェビングの一端をドア上部へ取りつけ、これらのウェビ
   ングの他端を互いに連結したことを特徴とするシートベ
   ルト装置。