JP2010529128A - レット症候群および他の障害の処置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、IGF1、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子を用いる、レット症候群およびシナプスの機能および成熟の障害の処置のための方法に関する。

Description

関連出願
本願は、米国仮出願60/933,738、2007年6月8日出願の35 U.S.C. § 119(e)における利益を主張し、その完全な開示が本明細書に参照により包含される。
政府補助
本発明は、一部National Institutes of Healthからの政府補助(グラントRO1-CA087869およびRO1-HD045022)によりなされた。政府は本発明に対して特定の権利を有する。
発明の分野
本発明は、レット症候群ならびに、シナプスの機能および成熟のその他の障害(disorder)の処置のための方法に関する。
発明の背景
レット症候群(RTT)は、X染色体の遺伝子であるメチル化CpG結合タンパク質2(MeCP2)における変異に関連した発達障害である。MeCP2は転写を調節するタンパク質をコードする。それはメチル化遺伝子配列に結合する転写抑制複合体を形成し、クロマチン凝縮を誘起する。
レット症候群の患者は、ほとんど例外なく女性であり、独特の手の動き、遅延した脳の発達、言語および運動スキルの退行、発作、認知障害、ならびに精神遅滞を示す。皮質構造は比較的保存されているが、樹状構造は変化し、樹状突起スパインは構造的に未成熟に見える。
レット症候群のマウスモデルが作製されている(Chen et al., Nat Genet. 27(3):327-31, 2001、Guy et al., Nat Genet. 27(3):322-6, 2001、Shahbazian et al., Neuron 35(2):243-54, 2002)。MeCP2ノックアウト(KO)マウスは、運動性および呼吸性の表現型(movement and respiratory phenotype)、通常より小さい錐体神経細胞、ならびにシナプスおよび神経細胞の未成熟を示唆する電気生理学的異常を示す。MeCP2の切断変異は、運動および社会性障害、シナプス可塑性および記憶能力の変化をもたらす。
条件的MeCP2 KOマウスにおけるMeCP2レベルの回復は、運動機能を回復する(Guy et al., Science 315(5815):1143-7, 2007)。KOマウスにおける増強したBDNF発現は、運動および電気生理学的表現型を逆転させる(Chang et al., Neuron 49(3):341-8, 2006)。これらおよび他のデータは、マウスモデルにおいてシナプスが未成熟状態のままであり、適切な治療が、発達の後期においてさえ、機能を回復できることを示唆している。
レット症候群、ならびに、シナプスおよび神経細胞の未成熟性、またはシナプス可塑性における変化を有する他の障害、例えば自閉症スペクトラム障害等のための新規かつ/またはより優れた処置の選択肢を特定するための強い動機付けが存在する。
シナプス成熟を促進する遺伝子および分子が、MeCP2 KOマウスにおいてシナプスおよび行動機能を回復させるかもしれないという仮説の下で研究する中、本発明者らはインスリン様成長因子(IGF1)、または、IGF1のペプチドフラグメントである(1−3)IGF−1(グリシル−L−プロリル−L−グルタミン酸、グリシン−プロリン−グルタメート、およびGPEとしても知られる)が、予期せずMeCP2 KOマウスにおける機能回復のための、およびヒトのRTT治療法のための、有望な候補であることを見出した。これらの分子の両方、および他の類縁体分子、例えば(1−3)IGF−1類縁体等(これらも本発明に用いることができる)は、血液脳関門を通過し、そしてそれゆえRTTおよび他の障害のための小分子治療剤として全身投与することができる。対照的に、脳由来神経栄養因子(BDNF)等のより大きい分子および大半の他のシナプス可塑性分子は血液脳関門を通過せず、したがって、直接の脳への注入を要し、これはヒトにおいて現実的ではない。
本発明の1側面により、レット症候群を処置するための方法が提供される。本方法は、かかる処置を要する対象に、有効量のインスリン様成長因子(IGF1)、(1−3)IGF−1、および/または(1−3)IGF−1類縁体を、対象を処置するために投与することを含む。
いくつかの態様において、IGF1が投与される。好ましくは、IGF1は組換えIGF1またはヒトIGF1である。好ましい態様において、投与されるIGF1の量は約0.1〜10mg/kg/日であり、より好ましくは、約0.1〜2mg/kg/日である。
他の態様において、(1−3)IGF−1が投与される。好ましい態様において、投与される(1−3)IGF−1の用量は約0.1〜100mg/kg/日であり、より好ましくは、約6〜20mg/kg/日である。
さらに他の態様において、(1−3)IGF−1類縁体が投与される。好ましくは、(1−3)IGF−1類縁体は、Gly−Pro、Pro−Glu、Gly−Pro−GluのGlyがAla、Ser、ThrもしくはProのいずれかで置換されているかまたは、Gly−Pro−GluのProがAla、Ser、ThrもしくはGlyのいずれかで置換されているかまたは、Gly−Pro−GluのGluがAsn、AspもしくはGlnのいずれかで置換されている(1−3)IGF−1置換類縁体、(1−3)IGF−1アミド、(1−3)IGF−1ステアレート、1個もしくは2個のD−アミノ酸を有する(1−3)IGF−1類縁体、または1個もしくは2個の非加水分解性ペプチド結合を有する(1−3)IGF−1類縁体である。
追加の態様において、関連する治療分子が投与される。好ましくは、関連治療分子がIGF−1分泌促進因子、成長ホルモンもしくは前駆体、成長ホルモン分泌促進因子、成長ホルモン放出ペプチドまたは成長ホルモン放出ホルモンもしくは類縁体である。
本方法の好ましい態様において、対象はヒトである。
本方法の特定の態様において、IGF1、(1−3)IGF−1および/または(1−3)IGF−1類縁体は、経口、静脈内、筋肉内、鼻内、腹腔内、皮下または髄腔内(intrathecally)投与される。
IGF1、(1−3)IGF−1および/または(1−3)IGF−1類縁体は、レット症候群の診断後に投与することが可能であり、または、レット症候群の診断前に予防的に投与され得る。
さらなる態様において、対象は、IGF1、(1−3)IGF−1または(1−3)IGF−1類縁体での処置を必要とする症状を有しない。
さらなる態様において、本方法はメチル化CpG結合タンパク質2(MeCP2)をコードする遺伝子における変異に関し最初に対象をテストすることも含む。
いくつかの態様において、本方法は第2の治療分子の対象への投与を含み、ここで、第2の治療分子は、tPA、BDNF、阻害を調節する分子、例えばベンゾジアゼピン等、または神経伝達物質アゴニスト、アンタゴニストもしくは類縁体である分子であり、かつ、第2の治療分子ならびにIGF1、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子が対象を処置するために有効な合計量で投与される。
前記方法において、IGF1、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子の量は、シナプスの機能および/もしくは成熟を修復し、シナプスを強化し(consolidate)、かつ/または神経細胞可塑性を調節するのに有効である。
本発明の別の側面において、対象におけるシナプスの機能および/または成熟の障害を処置するための方法が提供される。本方法は、かかる処置が必要な対象に、有効量のインスリン様成長因子(IGF1)、グリシル−L−プロリル−L−グルタミン酸((1−3)IGF−1)および/または(1−3)IGF−1類縁体を、前記対象を処置するために投与することを含む。
いくつかの態様において、IGF1が投与される。好ましくは、IGF1は組換えIGF1またはヒトIGF1である。好ましい態様において、投与されるIGF1の用量は約0.1〜10mg/kg/日であり、より好ましくは、0.1〜2mg/kg/日である。
他の態様において、(1−3)IGF−1が投与される。好ましい態様において、投与される(1−3)IGF−1の用量は約0.1〜100mg/kg/日、より好ましくは6〜20mg/kg/日である。
さらに他の態様において、(1−3)IGF−1類縁体が投与される。好ましくは、(1−3)IGF−1類縁体は、Gly−Pro、Pro−Glu、Gly−Pro−GluのGlyがAla、Ser、ThrもしくはProのいずれかで置換されているかまたは、Gly−Pro−GluのProがAla、Ser、ThrもしくはGlyで置換されているかまたは、Gly−Pro−GluのGluがAsn、AspもしくはGlnのいずれかで置換されている(1−3)IGF−1置換類縁体、(1−3)IGF−1アミド、(1−3)IGF−1ステアレート、1個もしくは2個のD−アミノ酸を有する(1−3)IGF−1類縁体、または1個もしくは2個の非加水分解性ペプチド結合を有する(1−3)IGF−1類縁体である。
追加の態様において、関連治療分子が投与される。好ましくは、関連治療分子はIGF−1分泌促進因子、成長ホルモンもしくは前駆体、成長ホルモン分泌促進因子、成長ホルモン放出ペプチド、または成長ホルモン放出ホルモンもしくは類縁体である。
本方法の好ましい態様において、対象はヒトである。
本方法の特定の態様において、IGF1、(1−3)IGF−1および/または(1−3)IGF−1類縁体は、経口、静脈内、筋肉内、鼻内、腹腔内、皮下または髄腔内投与される。
IGF1、(1−3)IGF−1および/または(1−3)IGF−1類縁体は、障害の診断後に投与することができ、または、障害の診断前に予防的に投与することができる。
好ましい態様において、障害は、自閉症、自閉症スペクトラム障害、アンジェルマン症候群、結節硬化症、脆弱性X症候群、統合失調症、うつ病、パーキンソン病、ハンチントン病およびアルツハイマー病を含む神経変性疾患、脳卒中または外傷である。
さらなる態様において、対象は、IGF1、(1−3)IGF−1または(1−3)IGF−1類縁体による処置を必要とする症状を有しない。
いくつかの態様において、本方法は、障害の遺伝的基礎である遺伝子またはかかる遺伝子の標的である遺伝子、もしくはかかる遺伝子の下流の遺伝子における変異に関し、最初に対象をテストすることも含む。
他の態様において、本方法は、対象に第2の治療物質を投与することも含み、ここで、第2の治療物質は、tPA、BDNF、阻害を調節する分子、例えばベンゾジアゼピン等、ならびに/または神経伝達物質アゴニスト、アンタゴニストもしくは類縁体である分子である。かかる態様において、第2の治療物質ならびにIGF1、(1−3)IGF−1および/または(1−3)IGF−1類縁体は、対象を処置するために有効な合計量で投与される。
上記方法において、IGF1、(1−3)IGF−1および/または(1−3)IGF−1類縁体の量は、シナプスの機能および/もしくは成熟を修復し、シナプスを強化し、かつ/または神経細胞可塑性を調節するのに有効である。
本発明の第3の態様において、シナプス成熟を増進するための方法が提供される。本方法は、1個または2個以上のシナプスを含む1個または2個以上の神経細胞を、該1個または2個以上の神経細胞の該1個または2個以上のシナプスの成熟を増進するために有効な量のIGF1、(1−3)IGF−1、および/または(1−3)IGF−1類縁体と接触させることを含む。
いくつかの態様において、1個または2個以上の神経細胞はIGF1と接触させられる。好ましくは、IGF1は組換えIGF1またはヒトIGF1である。
他の態様において、1個または2個以上の神経細胞は、(1−3)IGF−1または(1−3)IGF−1類縁体と接触させられる。好ましくは、(1−3)IGF−1類縁体は、Gly−Pro、Pro−Glu、Gly−Pro−GluのGlyがAla、Ser、ThrもしくはProのいずれかで置換されているか、またはGly−Pro−GluのProがAla、Ser、ThrもしくはGlyで置換されているか、またはGly−Pro−GluのGluがAsn、AspもしくはGlnのいずれかで置換されている(1−3)IGF−1置換類縁体、(1−3)IGF−1アミド、(1−3)IGF−1ステアレート、1個もしくは2個のD−アミノ酸を有する(1−3)IGF−1類縁体、または1個もしくは2個の非加水分解性ペプチド結合を有する(1−3)IGF−1類縁体である。
追加の態様において、関連治療分子が投与される。好ましくは、関連治療分子は、IGF−1分泌促進因子、成長ホルモンもしくは前駆体、成長ホルモン分泌促進因子、成長ホルモン放出ペプチドまたは成長ホルモン放出ホルモンもしくは類縁体である。
好ましい態様において、1個または2個以上の神経細胞は、ヒトの神経細胞である。
特定の態様において、1個または2個以上の神経細胞はin vitroで接触させられる。他の態様において1個または2個以上の神経細胞はin vivoで接触させられる。好ましくは、in vivoでの接触はIGF1、(1−3)IGF−1および/または(1−3)IGF−1類縁体を対象に投与することにより行われる。好ましくは、IGF1、(1−3)IGF−1および/または(1−3)IGF−1類縁体は、経口、静脈内、筋肉内、鼻内、腹腔内、皮下または髄腔内投与される。
本明細書中に記載の障害を処置するための同様に用いることができる他の関連治療分子は、IGF−1分泌促進因子、成長ホルモンもしくは前駆体、成長ホルモン分泌促進因子、成長ホルモン放出ペプチド、成長ホルモン放出ホルモンおよびその類縁体を含む。
本明細書中に記載の処置方法は、阻害を上方制御または増強する分子、例えばベンゾジアゼピンもしくは当業者に知られた他の分子の投与も含み得る。阻害を上方制御または増強する分子は、単体でまたは本明細書中に記載のIGF1、(1−3)IGF−1および/または(1−3)IGF−1類縁体等と組み合わせて用いることができる。
本発明のこれらまたは他の側面、ならびに様々な利点または実用性は、発明の詳細な記述を参照してより明らかになるであろう。本発明の各側面は、以下の記載により理解されるとおり、様々な態様を包含し得る。
図1A−Bは、(1−3)IGF−1で処置したMeCP2 KO動物における、5層錐体神経細胞のシナプス電流の振幅増大を示した図である。 図1C−Dは、(1−3)IGF−1で処置したMeCP2 KO動物における、5層錐体神経細胞のシナプス電流の振幅増大を示した図である。 図2A−Cは、樹状突起スパイン密度と形態の構造定量化を示した図である。 図2D−Eは、樹状突起スパイン密度と形態の構造定量化を示した図である。 図3A−Bは、成体MeCP2ヘテロ接合マウスにおける視覚皮質可塑性が(1−3)IGF−1により妨げられることを示した図である。 図3C−Dは、成体MeCP2ヘテロ接合マウスにおける視覚皮質可塑性が(1−3)IGF−1により妨げられることを示した図である。 図4A−Cは、心機能、運動機能および生存がMeCP2ノックアウトにおいて損なわれ、(1−3)IGF−1処置後に救済されることを示した図である。 図5A−Bは、視覚皮質における眼優位性可塑性を測定するための内因性シグナルの光学画像化を示した図である。 図5C−Eは、視覚皮質における眼優位性可塑性を測定するための内因性シグナルの光学画像化を示した図である。 図6は、若齢MeCP2ヌルマウスにおける(1−3)IGF処置および運動機能を示した図である。 図7は、(1−3)IGF−1が海馬における神経細胞体のサイズを増加させたことを示した図である。 図8A−Bは、(1−3)IGF−1がBDNFおよびtPAの発現と生物学的活性を増加させることを示した図である。 図8C−Dは、(1−3)IGF−1がBDNFおよびtPAの発現と生物学的活性を増加させることを示した図である。 図8Eは、(1−3)IGF−1がBDNFおよびtPAの発現と生物学的活性を増加させることを示した図である。 図9A−Bは、組換えヒトIGF1(rhIGF1)が(1−3)IGF−1と同様の有効性を示すことを示した図である。
図1:(1−3)IGF−1で処置したMeCP2 KO動物における、5層錐体神経細胞のシナプス電流の振幅。
A.皮質の急性スライスにおける自発性興奮性シナプス後電流(EPSC)の細胞内記録からの代表的トレース。トレースは、野生型(WT)、ノックアウト(KO)または2週間(1−3)IGF−1で処置したKO(KO−T)について示す。マウスは28〜32日齢であった。
B.測定した全ての細胞にわたるEPSC振幅の累積分布である。分布は、KOにおけるWTに対して小さい振幅の事象の増加したパーセンテージを示す。(1−3)IGF−1処置は、部分的にだが顕著にこの傾向を逆転した。
C.WT、KO、KO−Tに関する、記録した全ての細胞にわたる、神経細胞ごとに観察されたEPSCの平均EPSC振幅である。平均EPSC振幅は、KO神経細胞において、WTのものに比較して顕著に減少した。平均EPSC振幅はKO−TにおいてKOのものと比べて軽度だが、顕著に増加した。
D.EPSC周波数を反映した、EPSC事象間の間隔の分布は、WT群と、KO群およびKO−T群との間で微妙ではあるが顕著に変化した。
図2:樹状突起スパイン密度と形態の構造定量化。
A.神経細胞およびスパイン形態の薄い標識を可能にするための、生後28日における運動皮質中の5層錐体細胞のゴルジ染色。
B.高倍率(100X)での共焦点イメージングにより、フィロポディア(F)、キノコ型(M)、隆起型(stubby)(S)および薄型(thin)(T)のクラスのスパインを含む、種々の樹状突起スパインのサブクラスの明確な描画が可能となった。
C.神経細胞ごとに定量した樹状突起長で分けた、観察されたこれらスパイン数をプールすることにより、ノックアウト組織中の神経細胞が、野生型組織と比較して減少したスパイン密度を示すという傾向を得た。(1−3)IGF1で処置したノックアウト組織は、野生型の値により近いスパイン密度を示した。
D.各処置における特定のタイプのスパインの%。キノコ型あるいは「成熟した」スパインは、野生型および(1−3)IGF−1で処置したノックアウトと比較して、ノックアウトにおいて減少した。また、ノックアウトでは「薄型」スパインの過剰出現があり、これは処置により回復しなかった。
E.樹状分岐の平均厚みは、野生型、ノックアウトおよび(1−3)IGF1で処置したノックアウトの間で変化がなかった。
図3:成体MeCP2ヘテロ接合マウスにおける視皮質可塑性は(1−3)IGF−1により妨げられる。
4日間単眼の入力を遮蔽した(WT MD)、またはしていない(WT)若齢(生後28日)動物からの、各眼に伝達される刺激に対する皮質表面の相対的活性化を追跡した、眼優位性指数(ODI)分布。分析領域は典型的には皮質表面の900〜1300ピクセルを含み、そしてODI値は2つの眼によって動作する各ピクセルにおける視覚シグナル強度に由来した(方法参照)。各動物からの平均ODI値はパートDの集団分析(population analyses)に用いた。
A.ここに示される若齢動物において、非遮蔽動物(実線)と比較して、WT MD動物(点線)において、開いていた目への集団ODIシフトが観察された。
B.対側眼を単眼遮蔽(MD、点線)した、またはMDしていない(実線)成体野生型(黒線)およびMeCP2ヘテロ接合マウス(ピンク線)。
C.(1−3)IGF−1で処置していない(紫色点線)または処置した(赤色実線)、MD後の成体MeCP2+/−マウス。未処置マウスは、成長中の動物に類似した(Aにおけるような)、ODIにより測定される、閉じた眼から開いた眼に向かう視覚ドライブ(visual drive)のシフトを示すが、これは拡大した可塑性を示すとともに、成体における未成熟シナプスの残存を示している。MDの期間中の(1−3)IGF−1処置はこの可塑性を失わせ、成体動物に典型的な(Bにおけるような)眼優位性プロファイルが保たれる。
D.成長中の野生型マウス(〜生後28日、左)および成体野生型マウス(〜生後60日、右)の平均ODI値。陰性値は同側眼からのより高いドライブ、そしてそれゆえ変化した回路を示すのに対し、陽性のODI値は対側眼からのより高いドライブ、そしてそれゆえ組織(organization)の保持を示す。野生型「wt」、単眼遮蔽後の野生型「wt MD」、MeCP2+/−「+/−」、単眼遮蔽後のMeCP2+/−「+/− MD」および単眼遮蔽の間(1−3)IGF−1で処置したMeCP2+/−「+/− MD−t」。MD後、成体MeCP2+/−マウスにおいて対側眼のドライブの著しい減少と、同側眼に向けたODIのシフトがあるのに対し、野生型成体動物の視覚皮質は、依然対側眼が優位である。MD中のMeCP2+/−マウスにおける(1−3)IGF−1での処置は、同側眼に向けた眼優位性シフトを防ぐ。生後28日の野生型動物のODI値は、Tropea et al.から得た。(Tropea et al., 2006)。
図4:心機能、運動機能および生存はMeCP2ノックアウトにおいて損なわれ、(1−3)IGF−1処置後に救済される。
A.(1−3)IGF−1はMeCP2ヌルマウスにおける徐脈の頻度を減少させる。1分あたりの拍動数(bpm)で表示した、様々な処置からのマウス間で観察された、プールされた心拍数分布。Y軸は、実験グループ内における所与のbpm値(X軸)を超える観察のパーセントを示す。比較は、8週齢の動物(WTまたはKO)間であり、そのいくつかは、6週間の間(1−3)IGF−1処置を受けた(KO−T)。KO分布(ピンク色)は、野生型分布(黒)と比較して左方シフトしており、心拍数の分布の顕著な減少を示している。KO−T分布(緑色)は、2つの曲線の間にあり、KO表現型のより正常な野生型分布への部分的な救済を示している。
B.(1−3)IGF−1処置はMeCP2ヌルマウスにおいて運動機能を改善する。ベースラインの夜間行動は行動検出器(赤外線ビーム)を備えたケージ内に動物を配置することにより測定した。Y軸は10時間の間のビーム遮断数を示し、各バーは異なる実験群を表す。夜間行動は、6〜17週齢の間、毎週記録した。なお、より若い動物からのデータを図6に示してある。期待されたとおり、MeCP2 KOマウスは、野生型同腹子よりも顕著に低い活動性を示した。(1−3)IGF−1で処置したKOマウスは、しかしながら、ビヒクルで処置したKO動物(KO)よりも活動的ではあったが、WT程ではなかった。(1−3)IGF−1で処置した野生型マウス(WT−T)は、WTよりは有意に活動的ではなかった。「N」=1群あたりの動物数。
C.(1−3)IGF−1処置されたMeCP2 KOマウスはビヒクルで処置した対照より長い平均余命を有している。ビヒクルで処置したMeCP2−/yマウス(KO、赤線)または(1−3)IGF−1(KO−T、緑線)のカプラン・マイヤー生存曲線。X軸は生後日数、そしてY軸は生存確率を示す。(1−3)IGF−1で処置されたMeCP2−/yマウスは、ビヒクルで処置されたその同腹子よりも有意に長い平均余命を示した(P=0.54*10−7、ログランク検定)。MeCP2−/yマウスは、2週齢以降毎日、日ごとの(1−3)IGF−1のIP注射(0.01mg/体重g/日)を受けた。「n」は1実験群あたりのマウス数である。
図5:視覚皮質における眼優位性可塑性を測定するための内因性シグナルの光学画像化。
A.内因性シグナルの光学画像化は一次視覚皮質(V1)における各眼からのドライブの強度を得るために用いることができる。
i.各眼からV1への入力を示している、視覚伝導路の概略図。
ii.光学画像化セットアップのスキーム。麻酔したマウスを、周期変動バー刺激(periodic drifting bar stimulus)を表示するモニターの前に配置する。頭蓋表面を赤色光(630nm)で照らし、CCDカメラで画像化する。
iii.対側眼(左、赤シグナル)または同側眼(右、青シグナル)が刺激された際の、代表的な視覚的シグナルレベルを伴うV1の両眼領域における血管パターン(白円)。対側眼からのシグナルは、同側眼からのものよりも強い。
B.若齢マウスにおける単眼遮蔽後の眼優位性シフト
i.単眼の眼瞼縫合を4日間。
ii.眼瞼縫合を除去後、各眼を交互に刺激し、V1における視覚反応を記録する。
iii.短期間の単眼遮蔽は、遮蔽された対側眼からの入力の減弱(赤)、および、遮蔽されていない同側眼からの入力の強化(青)を引き起こす。
C〜D.野生型動物において、各眼が異なる条件下で刺激された時の、V1の両眼領域におけるシグナル強度の概略図。赤および青の円は、それぞれ対側眼および同側眼によりドライブされる視覚シグナルの強度を表す。右側の眼優位性指数(ODI)分布は、各ピクセルの各眼からのドライブの相対強度に由来する。3つの条件が示されている。:正常な成体野生型マウス(C)、4日間の単眼遮蔽後の若齢マウス(D)および4日のMD後の成体マウス。野生型マウスにおいて、成長中の対側眼のMDは、シグナル強度のシフト、および開いた同側眼へのODIのシフトを引き起こす。かかる可塑性は成体動物における同様の期間のMDの後には見られない。
図6:若齢MeCP2ヌルマウスにおける(1−3)IGF処置および運動機能。
ベースライン夜間行動は、行動検出器(赤外線ビーム)を備えたケージ内に動物を配置することにより測定した。Y軸は、10時間の間のビーム遮断数を示し、各バーは異なる実験群を表す。夜間行動は、4〜5週齢の間、週ごとに記録された。ここで、より高齢の動物における場合(図4B参照)と対照的に、MeCP2 KOマウスは野生型同腹子よりも少ない活動性をまだ示しておらず、処置は活動レベルを変化させなかった。「N」=1群あたりの動物数。
図7:(1−3)IGF−1は海馬における神経細胞体のサイズを増加させた。
海馬のCA3領域の神経細胞の細胞体サイズ(細胞周囲長、μm)は、野生型(WT)と比べ、MeCP2 KO動物において顕著に損なわれた。(1−3)IGF−1処置は、KO動物における平均細胞体サイズを増加させた(KO_T)。この処置は、野生型動物における細胞体サイズに影響しなかった(WT_T)。
図8:(1−3)IGF−1はBDNFおよびtPAの発現と生物学的活性を増加させる。
A.(1−3)IGF−1(GPE)処置のmRNAレベルでのBDNFの発現レベルに対する影響。単眼遮蔽は顕著に対側V1におけるBDNF発現レベルを減少させる。(1−3)IGF−1処置は、対照のレベルまでではないが、発現を増加させ得る。RNAレベルはTropea et al., 2006に記載されたマイクロアレイ解析で得た。
B:NeuN(緑)およびproBDNF(赤)抗体による二重染色。タンパク質発現は、(1−3)IGF−1(GPE)処置が、対照レベルまでではないが、BDNFタンパク質発現を増加させることにより、単眼遮蔽の効果を緩和し得ることを確認する。抗proBDNFおよび抗NeuNはCHEMICONから得、1:500の濃度で用いた。溶液と培養期間は以下の通りである:5%BSA、0.1%トライトン、10%血清、PBSにおけるプレインキュベーション。一次抗体でのインキュベーションは4度で3日間以下の溶液中で行った:2%BSA、5%血清、0.1%トライトン、PBS。PBS中で洗浄後、ビオチン化(proBDNF用)またはAlexa結合(NeuN用)二次抗体(1:200)を、一次抗体と同じ溶液中で2時間インキュベートした。pro−BDNF標識は、エクストラビジンTRITC(Sigma 1:300)を加えて検出した。
C:tPAのmRNA発現レベルに対する(1−3)IGF−1(GPE)処置の効果。GPE処置は、対照および遮蔽動物のいずれに対しても顕著にtPA mRNA発現を上方調節する。
D:NeuN(赤)およびtPA(緑)抗体による二重染色。タンパク質発現を示すtPA染色は、細胞体に点状に(in puncta)存在し、また、MDにおいて、対照に対して顕著な変化を示さない。しかし、tPAの発現レベルは(1−3)IGF−1(GPE)処置により強く増加するように見える。抗tPAはOxford Biomedical Researchから購入し、1:500の濃度で用いた。インキュベーションの条件は、次の通りだった:浮遊切片をブロッキング溶液中予備インキュベーションした:10%血清、0.3%トライトン、PBS。その後、以下の一次抗体混合物中で一晩放置した:1%血清、0.3%トライトン、PBS、抗tPA 1:500、抗Neu−N 1:500。染色はAlexa488およびAlexa594に結合した二次抗体で可視化した。
E:BDNF活性化における(1−3)IGF−1(GPE)の作用モデル:GPEはBDNFの活性化を、その発現に直接影響すること、およびtPA(これはproBDNFを切断し、成熟BDNFにすることが知られている)を介してその生物学的活性を制御することの両方により促進する。
図9:組換えヒトIGF1(rhIGF1)は(1−3)IGF−1と同様の有効性を示す。
rhIGF1は、60日齢MeCP2 KOマウスにおいて、(A)シナプス伝達レベル、および(B)回路安定性(眼優位性可塑性を阻害することによる)を含む測定した全ての成熟徴候について、(1−3)IGF−1と同様の改善をもたらした。
図面は例示のためだけのものであり、そして、本発明の実施可能性のための要件ではないと解される。
発明の詳細な説明
レット症候群は、メチル化CpG結合タンパク質2(MeCP2)をコードする遺伝子の変異により起こされる、X連鎖精神遅滞の重篤な形態である。
合理的な証拠が存在し、レット症候群(RTT)のモデルとして作られたMeCP2ノックアウト(KO)マウスにおいて、シナプスが未成熟な状態にある。MeCP2の潜在的標的は、IGFBP3であるように見受けられる。IGFBP3レベルはMeCP2 KOマウスにおいて、また、ヒトのRTT患者において上方調節されており、IGFBP3トランスジェニックマウスはMeCP2 KOマウスの脳病変のいくつかを有する。
加えて、RTT患者における遅延した脳の成長および身体発育の遅滞は、IGF1/成長ホルモンの欠乏を示唆しているかもしれない。
IGF1の低い濃度は、自閉症患者(ならびに脳症および白質疾患を有する患者)の脳脊髄液(CSF)中に検出されている。RTT患者のCSF中にIGF1の欠乏は検出されていないが、サンプル数は小さい。
ここで、我々は成体Mecp2変異マウスが、in vitroでのより弱いシナプス機能およびin vivoでの残存する皮質可塑性を含む、未成熟な皮質神経回路を示す、生理学的兆候を表すことを示す。インスリン様成長因子1の3アミノ酸活性フラグメントである、GPEとも呼ばれる(1−3)IGF−1を用いた全身処置は、成体RTTマウスの神経回路を、シナプス機能を刺激すること、および神経回路可塑性を安定化することにより、より成熟したレベルまで回復した。加えて、トリペプチドによる処置は、徐脈を改善し、運動機能を向上させ、そしてノックアウトマウスの寿命を延ばしたが、それは、これらの領域で顕著に損なわれていると我々が観察したことである。我々の結果は、(1−3)IGF−1がレット症候群の、また潜在的に、遅延したシナプス成熟により起こる他のCNS障害の、薬学的処置のための候補であることを示唆する。
これらの観察に基づき、我々は、インスリン様成長因子(IGF1)、またはIGF1の末端フラグメントである(1−3)IGF−1(グリシル−L−プロリル−L−グルタミン酸、グリシン−プロリン−グルタメートまたはGPEと呼ばれる)が、意外にもMeCP2 KOマウスの機能を回復し、そして、その結果、ヒトのRTT治療剤として有用であることを見出した。これらの分子の両方、および他の類縁体分子、例えば本発明において用いることができる(1−3)IGF−1類縁体等は、血液脳関門を通過し、そしてそれゆえRTTおよび他の障害の低分子治療剤として全身投与され得る。
いかなる特定のIGF1作用の理論または機構により拘束されることを意図することなく、IGF1はMeCP2欠損の影響を相殺し得ることが信じられており、それは、BDNFを直接におよびBDNFのtPAによる切断を通して上方調節することにより、PI3Kを通して作用し、シナプスを強化もしくは広範な神経細胞機能を調節することにより、IGFBPに対するMeCP2の影響を相殺することにより、阻害および阻害回路を上方調節することにより、または直接アセチル化(例、H3およびH4ヒストンの)もしくはMeCP2媒介性の転写に影響することによりなされる。
したがって、本発明は、いくつかの側面において、有効量のIGF1、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子を、対象の処置のために対象に投与することを含む。用語「処置」または「処置する」は、病状の予防、改善、防止または治療を含むことを意図する。病状発症後の処置は、該病状および/または1種もしくは2種以上のその関連する症状を低減、改善もしくは完全に除去することまたはそれが悪化することを防ぐことを目的とする。病状発症前の対象の処置は、病状が進行するリスクの低減および/または病状が後に進行した場合のその重篤度の軽減(即ち、予防処置)を目的とする。
本明細書中で用いられる場合、用語「防止する」は、対象の予防処置を指し、該対象は、病状発現のリスクがあり、該処置が該病状進行確率の低減をもたらすか、または、該処置を行わなかった場合よりも該病状の重篤度が小さくなる確率の増大をもたらす。処置は、本明細書中に記載されたように、本発明に従い処置されなかった対象と比較した病状を有する対象の死亡率を低減するか、または平均余命を延長してもよい。
「対象」は、ヒトまたはイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、齧歯類、例えばラットおよびマウス、ならびに霊長類、例えばサルを含むが、これらに限定されない動物を意味する。好ましい対象はヒト対象である。ヒト対象は、小児、成人または老人であってよい。
本発明の方法はレット症候群に加え、障害に対してより広範な用途を有する。脳の発達そしてそれゆえの脳の発達障害は、神経新生、神経細胞移動、細胞分化および成長ならびにシナプス成熟を含む。本明細書中に記載されたデータは、シナプス機能および成熟に関するIGF1/(1−3)IGF−1の効果および、シナプスの伝達およびシグナリングに関連した分子に関する効果に関連しているため、シナプスに関連する障害、病状または疾患(機能喪失の回復の手段としてのシナプスの再組織化を含む)が、本発明により処置可能である。
したがって、本発明の方法および組成物により処置可能な障害、病状または疾患の例は、レット症候群、自閉症および自閉症スペクトラム障害、アンジェルマン症候群、結節硬化症、脆弱性X症候群、統合失調症、うつ病、パーキンソン病、ハンチントン病およびアルツハイマー病を含む神経変性疾患、脳卒中または脳外傷を含む。好ましい態様において、障害、病状または疾患は、シナプスの機能および/または成熟が障害、病状または疾患における原因因子として関係しているものである。特に好ましい態様において、該障害、病状または疾患はレット症候群である。
対象は、かかる治療に適した特定の障害、病状または疾患を有していることが知られていてもよく、または、かかる障害、病状または疾患を有することが疑われていてもよい。いくつかの態様において、対象は、IGF1、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子による処置を必要とする症状を有しない。
自閉症および自閉症スペクトラム障害は、単一遺伝子病因および複合的な複数遺伝子病因の両方を有する臨床的に診断される障害である。単一遺伝子疾患、例えばレット症候群および脆弱性X症候群等は、自閉症の症例のごく一部に直接寄与している(約5〜10%)。しかしながら、単一遺伝子もまた複数遺伝子疾患に寄与し得るため、単一遺伝子疾患の治療剤は、自閉症のはるかに広い部分に影響を及ぼす可能性がある。
特定の障害、病状または疾患に対する本発明の治療方法の適用可能性は、ホスホイノシトール−3キナーゼ(PI3K)およびAkt/PKBを含むIGF1情報伝達経路の理解により支持される。
PI3Kは結節硬化症、およびPTEN遺伝子に関連する自閉症の特定の形態に直接関係している。BDNFがPI3Kを通してPSD95を変化させるという最近の証拠は、PI3Kの潜在的重要性を増大する。したがって、IGF1、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子によるPI3K濃度の増加は認知力低下またはパーキンソン病およびアルツハイマー病を含む神経変性疾患による記憶喪失を補填するかもしれない。PSD95における変化は脆弱性X症候群等のシナプス機能不全の発達障害に関与しているため、IGF1、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子はかかる障害の処置に用いられ得る。
Aktは抗アポトーシス経路の中心部分である。それは、脳卒中およびアルツハイマー病による神経細胞の損失への対抗、および脳の損傷および傷害後の神経保護に関与している。AktはGSK3ベータ経路に影響し、それは、統合失調症に関与している(リチウムがこの経路で作用する)。IGF1の適用は、Aktの直接作用またはPI3Kの間接作用のいずれかにより、海馬の歯状回における神経新生を増大させる。かかる神経新生は抗うつ作用のための主要な潜在的機構である。したがって、IGF1、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子は統合失調症またはうつ病を処置するために用いることができる。
より幅広く、IGF1は神経新生および細胞の生存、神経細胞の成長および分化ならびにシナプスの成熟を促進する。したがって、IGF1、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子での治療は、広範な領域の多様な病因の神経変性疾患、パーキンソン病、ハンチントン病およびアルツハイマー病、多発性硬化症ならびにALS等の脊髄の疾患に有用である可能性を有する。
特定の症例において、障害は併用療法で処置される。(1−3)IGF−1/IGF1はシナプスを強化し、ある種の可塑性を促進する(それは潜在的に利用可能な広範なセットから数個の弱いシナプスを安定化することに依存する)。後者は、脳卒中後の機能再組織化促進のために、特に、(IGF1、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子に加えて)リハビリテーション療法およびtPA、BDNF、ベンゾジアゼピン等の阻害を調節する分子または神経伝達物質アゴニスト、アンタゴニストもしくは類縁体である分子等、他分子の投与等の併用療法において重要である。かかる分子は相乗的に処置のための有益な影響を提供する。
多くのベンゾジアゼピンは、催眠性ベンゾジアゼピンおよび抗不安性ベンゾジアゼピンを含めて、当該技術分野においてよく知られている。同様に、ベンゾジアゼピン受容体と相互作用する関連する薬のクラスである「非ベンゾジアゼピン」もまた本明細書中に記載の方法においてベンゾジアゼピンと同様に用いられ得る。
特定の態様において、下記例に示されるように、(1−3)IGF−1はtPAを上方調節する。tPAはシナプスでの機能的および構造的再組織化を促進する。したがって、(1−3)IGF−1およびtPAは正のフィードバックで働く。同様に、(1−3)IGF−1はBDNFを上方調節し、IGF1、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子ならびにBDNFは単独でよりも複合した時に極めてよく働く。
本発明は、特定の態様において、有効量の(1−3)IGF−1類縁体の投与を含む処置方法を含む。本明細書で用いる場合、「(1−3)IGF−1類縁体」(または「GPE類縁体」)は、(1−3)IGF−1に実質的に類似した薬学的特性および治療活性を有する化合物を含む。
当該技術分野で知られた(1−3)IGF−1類縁体を、本発明で用いることができる。EP 0 366 638は、(1−3)IGF−1類縁体Gly−ProおよびPro−Gluを記載している。WO02/16408は、Gly−Pro、Pro−Glu、Gly−Pro−GluのGlyがAla、Ser、ThrもしくはProのいずれかで置換されているか、またはGly−Pro−GluのProがAla、Ser、ThrもしくはGlyで置換されているか、または、Gly−Pro−GluのGluがAsn、AspもしくはGlnのいずれかで置換されている置換体を包含するものを含む、多種の(1−3)IGF−1を記載している。WO02/16408に記載された追加の(1−3)IGF−1類縁体は、アミドとステアレートを含む。WO02/16408に記載された特定の類縁体は次のものも含む:(1−3)IGF−1アミド、(1−3)IGF−1ステアレート、Gly−Pro−D−グルタメート(GP−D−E)、Gly−Pro−Thr(GPT)、Gly−Glu−Pro(GEP)、Glu−Gly−Pro(EGP)、Glu−Pro−Gly(EPG)。これらの全てが標準的な技術を用いてすぐに合成できる。米国特許7,041,314は、本発明に従い有用な、追加の(1−3)IGF−1類縁体およびペプチド類似物質を記載している。
(1−3)IGF−1類縁体はまた、非加水分解性、例えば、1個または2個以上の(即ち、1個または2個の)非加水分解性ペプチド結合またはアミノ酸を有する、本明細書中に記載されたペプチドであってもよい。好ましい非加水分解性ペプチドは、D−アミノ酸を含むペプチド、−ψ[CHNH]−還元アミドペプチド結合を含むペプチド、−ψ[COCH]−ケトメチレンペプチド結合を含むペプチド、−ψ[CH(CN)NH]−(シアノメチレン)アミノペプチド結合を含むペプチド、−ψ[CHCH(OH)−ヒドロキシエチレンペプチド結合を含むペプチド、−ψ[CHO]−ペプチド結合を含むペプチド、−ψ[CHS]−チオメチレンペプチド結合を含むペプチドを含む。
本発明により用いることができる追加の(1−3)IGF−1類縁体は、1種または2種以上の、本明細書に記載された特性等の(1−3)IGF−1と少なくとも実質的に同等の特性または血液脳関門を通過する能力等の定量法等で当業者に知られた多種の定量法により測定され得る(1−3)IGF−1の特性を有することが認識され得る。
IGF1、(1−3)IGF−1および/または(1−3)IGF−1類縁体と同様の方法で、本明細書に記載の障害を処置するために用いられ得る他の「関連治療分子」は、IGF−1分泌促進因子、成長ホルモンもしくは前駆体、成長ホルモン分泌促進因子、成長ホルモン放出ペプチド、成長ホルモン放出ホルモンおよびその類縁体を含む。
IGF−1分泌促進因子は当該技術分野で知られており、例えば、米国公開特許出願2006/0100287に記載されている。
成長ホルモンまたはその前駆体は、Nutropin (Genentech)、Protropin (Genentech)、Humatrope (Lilly)、Genotropin (Pfizer)、Norditropin (Novo)、Saizen (Merck Serono)およびOmnitrope (Sandoz)等のヒト成長ホルモン(hGH)を含む。
成長ホルモン分泌促進因子、成長ホルモン放出ペプチド、成長ホルモン放出ホルモンおよび類縁体は、イパモレリンおよびその誘導体(例えば、イパモレリン由来の成長ホルモン分泌促進因子はAnkersen et al. Eur. J. Med. Chem. 34(10): 783-790, 1999に記載されている)、MK677(Merck、N−[1(R){[1,2−ジヒドロ−1−メタンスルホニルスピロ−(3H−インドール−3,4’−ピペリジン)−1’−イル]カルボニル}−2−(フェニルメトキシ)−エチル]−2−アミノ−2−メチルプロパンアミド メタンスルホネート)、NN703(タビモレリン、Novo Nordisk)およびその誘導体(NN703のC末端における修飾に基づくGH分泌促進因子は、Ankersen et al. Eur. J. Med. Chem. 35(5): 487-497, 2000に記載されている)、SM 130686(Sumitomo)、カプロモレリン(Pfizer)、セルモレリン(Salk Institute, Bio-Technology General)、グレリン(ghrelin)、ヘキサレリン(エキサモレリン)、タビモレリン、CP 464709 (Pfizer)、LY 426410 (Lilly)、LY 444711(Lilly、IGF−1濃度増加が示されている(Seyler et al., Drug Devel. Res. 49(4): 260-265 , 2000))、WO2002057241中に開示された8−(アミノアルコキシアミノ)−8H−ジベンゾ[a,e]トリアゾロ[4,5−シクロヘプタン、WO2002056873に記載された2−置換ジベンゾ[a,e]1,2,3−トリアゾロ[4,5−c][7]アヌレン−8−オン、米国特許第4,411,890号および公報WO 89/07110、WO 89/07111に記載された成長ホルモン放出ペプチドGHRP−1、GHRP−2およびGHRP−6、B−HT920、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH、GRFとしても示される)およびその類縁体、ならびに米国特許6,559,150に記載された追加の成長ホルモン分泌促進因子を含む。
IGF1、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子は、対象における障害、病状または疾患を処置するために有効な量で投与される。有効量は、医学的に所望の反応を提供するに十分な治療薬の用量である。例えば、所望の反応は障害、病状または疾患の進行を阻止することであってよい。これは、障害、病状または疾患の進行を単に減速させることを含むが、より好ましくは、障害、病状または疾患の進行を永久に停止することを含む。これは、当業者に知られた所定の診断方法により観察され得る。
本発明の治療薬は、障害、病状または疾患を治療または防止するために用いられるを理解すべきである。つまり、それらは、予防的に、障害、病状または疾患の進行のリスクがある対象において用いてもよい。したがって、有効量は、リスクを減少させるか、重篤度を軽減するか、またはおそらく障害、病状または疾患の進行を完全に防止し得る量である。
有効量の確定に関与する因子は、当業者によく知られており、ルーチンを超えない実験により対処することができる。それは、一般に、本発明の治療薬の最大用量(単体または他の治療薬との複合)、つまり、健全な医学的判断に従う最大安全用量を用いることが好ましい。患者が、より少量または許容量を、医学的理由、心理学的理由または仮想上の何か他の理由により、主張するかもしれないことが、当業者には理解されるであろう。
IGF1、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子は、単体で、医薬組成物にて、または他の治療薬もしくはレジメンと組み合わせて投与されてもよい。任意に、他の治療薬は、同時にまたは連続して投与してもよい。他の治療薬が同時に投与される場合、同じまたは別の製剤において投与されてもよいが、同時に投与される。他の治療薬は、その投与と、IGF1、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子の投与とが時間的に分かれている場合、相互におよびIGF1、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子と共に、順次投与してもよい。これら化合物の投与間の時間間隔は、ほんの数分でもよく、またはよく長く、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12時間またはそれ以上(1、2、3、4、5、6、7日もしくはそれ以上を含む)であってもよい。
本発明の方法に用いられる医薬組成物は、好ましくは無菌であり、有効量の所望の反応を起こすためのIGF1、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子を、対象への投与に適当な重量または体積の単位で含む。対象に投与される1種または2種以上の薬剤の用量は様々なパラメータに従い、特に、用いられる投与様式および対象の病状に従い選択される。他の因子は所望の処置期間を含む。対象における反応が初回用量で不十分な際、より多い用量(または別のより局所的な送達経路による有効程度より多い量)が、患者の耐容性が許容する程度まで採用されてもよい。薬剤の用量は個々の内科医または獣医師により、特に何らか複雑な事情の際、調整されてもよい。治療有効量は0.01mg/kg〜約1000mg/kg、好ましい量で0.1mg/kg〜約200mg/kgおよび最も好ましい量で0.2mg/kg〜20mg/kg、1日1回または2回以上の投与回投与、1日または2日以上の間である。
数種の研究がなされ、その中、(1−3)IGF−1またはIGF1が全身投与され脳機能への影響を生じた。
Tropea et al. (Nat Neurosci 9, 660-8, 2006)において、(1−3)IGF−1は単眼遮蔽されると同時に、腹腔内注入された。(1−3)IGF−1は約20μg/gr/日で7日間注射された。
発育中(生後21日)のラットに関し実施された別の研究(Sizonenko et al., Brain Res 922, 42-50, 2001)においては、2時間の惹起された虚血の後、1回の単一(1−3)IGF−1(6.7μg/gr)注射が実施された。
別の研究(Lupien et al., J Neurosci Res 74, 512-23, 2003)において、糖尿病ラットはIGF1で、糖尿病において通常観察される学習欠損を改善するために処置された。成体ラット(約400gr)が、1体ごとに20μg/日放出する小型ポンプを移植された、それは1日当たり約0.05μg/grに相当する。この場合放出は皮下で7.5週間であった。
運動学習の改善を観察しているまた1つの研究(Saatman et al., Exp Neurol 147, 418-27, 1997)において、IGF1は14日間送達され、それは、サルにおいて12時間毎1μg/gr(1日2μg/grに相当)の皮下注射か、または皮下ポンプ(4μg/gr/日)かのどちらかによる。
Aberg et al. (J Neurosci 20, 2896-903, 2000)は組換えIGF1(Genentech, South San Francisco, CA)を生後50日ラットに対し、6日または20日間、それぞれ1.25mg/kg/日および0.9mg/kg/日の用量を用いて小型ポンプで皮下送達した。
FDAは、Increlex (Tercica, rhIGF1)の用量0.08〜0.12mg/kg/BIDを承認しており、それは、0.16〜0.24mg/kg/日に相当する。
本明細書に記載の方法のために、好ましいIGF1の用量は約0.01〜50mg/kg/日であり、より好ましくは約0.1〜10mg/kg/日、1回でまたは1日複数回で投与される。IGF1は好ましくはヒトIGF1(hIGF1)、より好ましくは組換えで作られ(rIGF1)、最も好ましくは組換えヒトIGF1(rhIGF1)である。最も好ましくは、組換えIGF1の用量は約0.1〜2mg/kg/日である。FDAが承認したrhIGF1用量は、より多量またはより少量も考慮され、本明細書中別箇所に記載されているが、特に発明の方法における使用のため考慮されている。
本明細書中記載の発明の方法のため、好ましい(1−3)IGF−1の用量は約0.1〜100mg/kg/日、1回または1日複数回で投与される。より好ましくは、(1−3)IGF−1の用量は約6〜20mg/kg/日である。
多様な投与様式が当業者に知られ、効率的に本発明の薬剤を所望する組織、細胞または体液に送達する。本発明の分子の投与は、静脈点滴、皮下注射、筋肉内、局所的、デポ注射、移植、持続放出様式、腔内、経鼻、吸入、腫瘍内、眼球内および制御放出を含むが、これらに限定されない。本発明の医薬組成物は非経口的に、経粘膜的に(例、口腔で)、経鼻的に、経直腸的に、膣内的に、舌下に、粘膜下にまたは経皮的に導入してもよい。好ましくは、投与は非経口、即ち、消化管を経由するのではなく、いくつかの他のルートを経由する、例えば、静脈的、皮下、筋肉内、腹腔内、眼窩内、嚢内、髄腔内、胸骨内、動脈内または皮内である。当業者は、投与様式の選択において考慮すべき特定の利点および問題点を評価できる。
本発明は、本明細書中に開示された特定の投与様式により限定されない。当該技術分野における標準的参考書(例:Remington’s Pharmaceutical Sciences, 20th Edition, Lippincott, Williams and Wilkins, Baltimore MD, 2001)は、薬学的担体中の多様な医薬調製物および製剤の送達のための投与様式および製剤を提供する。本発明の薬剤投与のために有用な他の手順は当業者に知られるであろうし、該手順中、用量、投与スケジュール、投与箇所、投与様式等は、本明細書中に示されたものから変更される。
本発明の薬剤の、ヒト以外の哺乳動物への投与、例えば、試験目的または獣医学的治療目的のためのものは、実質的に上述と同じ条件下でなされる。本発明がヒトおよび動物の疾患両方に適用可能であることが、当業者により理解されるであろう。
投与時、本発明の医薬調製物は、薬学的許容量および薬学的許容組成において適用される。用語「薬学的に許容し得る」は、活性成分の生物学的活性の有効性を阻害しない非毒性物質を意味する。かかる調製物は通常、塩、緩衝剤、保存料、適合担体および任意に他の治療試薬を含むかもしれない。薬物中に用いられた場合、薬学的に許容し得るが非薬学的に許容され得ない塩は、好都合にその薬学的に許容し得る塩を調製するために用いられるかもしれず、本発明の範囲から除外されない。かかる薬理学的におよび薬学的に許容可能な塩は、次の酸から調製されるものを含むが、これらに限定されない:塩酸、臭素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸等。また、薬学的に許容可能な塩は、ナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩等のアルカリ金属またはアルカリ土類塩であり得る。
薬剤または組成物は、所望される場合薬学的に許容し得る担体と混合されてもよい。本明細書中に用いられる用語「薬学的に許容し得る担体」は、1種またはそれ以上の適合可能な、ヒトへの投与に適切な固体もしくは液体の増量剤、希釈物または封入物質である。用語「担体」は有機または無機成分、天然または合成であり、該成分により活性成分が適用促進のため混合される。医薬組成物の組成もまた、互いに、実質的に所望される薬学的効率性を損なわない相互作用が無い方法で、本発明の薬剤と共に互いに混合可能である。
医薬組成物は、酢酸、リン酸、クエン酸、グリシン、ホウ酸、炭酸、重炭酸、水酸化物(および他の塩基)ならびに前出の化合物の薬学的に許容し得る塩を含む、上述の適切な緩衝剤であってよい。医薬組成物は任意に、塩化ベンザルアルコニウム、クロロブタノール、パラベンおよびチメロサール等の適切な保存料も含んでもよい。
医薬組成物は好都合に単位投与形態において示され、そして薬学の当業者においてよく知られた方法のいずれかにより調製されてもよい。全ての方法は活性試薬を担体と混合する過程を含み、担体は1種または2種以上の付属成分の構成要素となる。一般に、組成物は一様におよび丁寧に活性化合物を液状担体、微細に分割された固形担体、または両方との混合に導くことにより調製され、その後必要である場合、製品を形成する。
化合物は、全身投与を所望する場合、注射による非経口投与のために製剤されてもよく、例は、急速静注または連続的点滴によるものである。注射のための製剤は、単位投与形態において、例としてアンプルまたは複数投与容器において、追加された保存料と共に提示されてもよい。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液または乳濁液等の形態をとってよく、懸濁、安定および/または調剤試薬などの賦型試薬を含んでもよい。
非経口投与のための医薬製剤は、水溶性形態における活性化合物の水性溶液を含む。追加的に、活性化合物の懸濁液は、適切な油性注射懸濁液として調製されてもよい。適切な親油性溶媒またはビヒクルは、ゴマ油等の脂肪性油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリド等の合成脂肪酸エステル、またはリポソームを含む。水性注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストラン等の懸濁液の粘性を増加する物質を含んでもよい。任意に懸濁液も、化合物の溶解性を高濃度溶液の調製が可能であるように増加する適切な安定化剤または試薬を含んでもよい。
代替的に、化合物は使用前に、適切なビヒクルとの構成物のための粉末状形態であってよい(例、生理食塩水、緩衝液または無菌発熱物質不含水)。
経口投与のために適切な組成物は、カプセル、錠剤、丸薬、トローチ等、事前確定量の活性化合物をそれぞれ含む分離した形態として示されてもよい。他の組成物は、シロップ、エリキシル、乳濁液またはゲル等の水性液体または非水性液体中の懸濁液を含む。
経口用の医薬調製物は、所望される場合錠剤または糖衣錠コアを得るために適切な補助物の付加後、任意に生成混合物の粉砕および細粒混合物の加工を行い、固形賦型剤として得られる。適切な賦型剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトールを含む糖等の増量剤または、例えばトウモロコシ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、ジャガイモ澱粉、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチル、および/またはポリピニルピロリドン(PVP)等のセルロース調製物である。所望される場合、崩壊剤は、架橋ポリビニルピロリドン、寒天またはアルギン酸ナトリウム等のアルギン酸もしくはその塩が加えられてもよい。任意に経口製剤も生理食塩水または緩衝液、即ち、内部酸性状態の中和のためのEDTA中で製剤してもよく、または全く担体を伴わずに投与してもよい。
上述の組成物または複数組成物の経口投与形態も、特に考慮される。組成物または複数組成物は、誘導体の経口送達が効果的であるように化学修飾されてもよい。一般に、考慮される化学修飾は少なくとも1つの構成分子それ自体に対しての部分であり、該部分が(a)タンパク質分解の阻害を許容し、および(b)胃または小腸からの血流への摂取する。もまた所望される。成分または複数成分全体の安定性の増加および体内循環時間における増加もまた所望される。
組成物(または誘導体)のための放出位置は胃、小腸(十二指腸、空腸または回腸)、または大腸であってよい。当業者は胃内で分解せず腸内の十二指腸または他の箇所において物質を放出する利用可能な製剤を有している。好ましくは、放出は胃内環境の有害効果を、分子の保護によるかまたは腸等の胃内より先の環境での生物学的活性分子の放出により回避する。
完全な胃内耐性を確保するため、少なくともpH5.0に非浸透性のコーティングは必須である。腸溶性コーティングとして用いられるさらに共通の不活性成分の例は、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、HPMCP50、HPMCP55、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、Eudragit L30D、Aquateric、セルロースアセテートフタレート(CAP)、Eudragit L、Eudragit SおよびShellacである。これらのコーティングは混合フィルムとして用いられてもよい。
コーティングまたはコーティング混合物は錠剤上でも用いられ得、それは胃に対する保護を意図されない。これは糖衣または錠剤を容易に燕下できるようにするコーティングを含み得る。カプセルは乾燥治療物質、即ち粉末の送達のための硬質殻(ゼラチン等の)からなってよく、液状形態のためには軟質ゼラチン殻が用いられてもよい。カプセルの殻材料は厚い澱粉または他の食用紙であってもよい。丸薬、トローチ、成型錠または錠剤粉薬のためには、湿性集合化技術が用いられ得る。
不活性物質と共に治療試薬は、希釈または体積増加してよい。これら希釈剤は、炭水化物、特にマンニトール、a−ラクトース、無水ラクトース、セルロース、スクロース、修飾デキストランおよび澱粉を含んでもよい。特定の無機塩は、三リン酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよび塩化ナトリウムを含む増量剤としても用いられてもよい。いくつかの市販の希釈剤はFast-Flo, Emdex, STA-Rx 1500, EmcompressおよびAvicellである。
崩壊剤は固形投与形態の治療物質の製剤に含めてもよい。物質は、Explotabを含む澱粉を含むがしかしこれに限定されない澱粉をベースとした商用崩壊剤として用いられる。ナトリウム澱粉グリコール酸、アンバーライト、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ウルトラミロペクチン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、オレンジの皮、酸カルボキシメチルセルロース、天然海綿およびベントナイトはすべて用いられてもよい。もう1つの形態の崩壊剤は不溶性カチオン交換樹脂である。崩壊剤としておよび結合材として用いられてもよく、そしてこれらは寒天、カラヤ(Karaya)またはトラガカント等の粉末化ガムも含んでもよい。アルギン酸およびそのナトリウム塩も崩壊剤として有用である。
結合材は治療試薬を共に保持するために用いられ、硬質錠剤を形成するために用いられ、アカシア、トラガカント、澱粉およびゼラチン等の天然物からの物質を含んでもよい。他のものはメチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)を含む。ポリビニルピロリドン(PVP)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は共に治療物質を細粒化するためのアルコール性溶液中で用いられる。
反摩擦材が治療物質の製剤中に含まれ、製剤過程中粘着を防いでもよい。潤滑剤が治療物質および金型壁の間の層として用いられてもよく、これらは限定されずに次を含んでもよい:そのマグネシウムおよびカルシウム塩を含むステアリン酸、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、液状パラフィン、植物油ならびにワックス。可溶性潤滑剤もまた用いられてもよく、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、多様な分子量のポリエチレングリコール、Carbowax 4000および6000等である。
流動促進剤であって製剤時に薬物の流動特性および圧縮時の再配置の補助を改善し得る剤が加えられてもよいことがあり得る。流動促進剤は澱粉、タルク、発熱性シリカおよび水和ケイアルミン酸を含んでもよい。
治療物質の水性環境への溶解を補助するため、界面活性剤が湿潤化剤として加えられてもよい。界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムスルホスクシネートおよびジオクチルナトリウムスルホネート等のアニオン洗浄剤を含んでもよい。カチオン洗浄剤が用いられてもよく、そして塩化ベンザルアルコニウムまたは塩化ベンゼトニウムを含み得る。界面活性剤としての製剤中含まれ得る潜在的な非イオン性洗剤のリストは、lauromacrogel 400、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシエチレン、水素化ヒマシ油10、50および60、グリセロールモノステアレート、ポリソルベート40、60、65および80、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースである。これら界面活性剤は単体でまたは様々な比率の混合物としてのどちらかで製剤中存在し得る。
経口的に用いられ得る医薬調製物は、ゼラチン製の押し込み型カプセルをも、軟質の封をしたゼラチンならびにグリセロールまたはソルビトール等の可塑剤製のカプセルだけに限らず含む。前記押し込み型カプセルは、ラクトース等の増量剤、澱粉等の結合剤および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤および任意に安定化剤との混合物中の活性成分を含み得る。軟質カプセルにおいて、活性化合物は、脂肪油、液体パラフィンまたは液体ポリエチレングリコール等の適切な液体に溶解または懸濁していてよい。加えて、安定化剤が加えられる。
経鼻投与のためまたは吸入により本発明に従う使用のための化合物は好都合に、適切な高圧ガス、例としてジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切な気体、の使用と共に圧縮されたパックまたは噴霧器からのエアロゾル噴霧の体裁の形態で送達されてもよい。圧縮エアロゾルの場合、投与単位は計量された量を送達する弁を提供することにより確定されてもよい。吸入器(inhaler)または注入器(insufflator)における使用のためのゼラチン等のカプセルおよびカートリッジは、化合物およびラクトースまたは澱粉等の適切な粉末基剤の粉末混合物を含み製剤されてもよい。
分子の肺への送達も、本明細書中考慮される。分子は、吸入中哺乳類の肺へ送達され、肺上皮層を越えて血流に入る。
治療物質の肺送達のために設計された広範な領域の機械装置は、噴霧器、定量吸入器および粉末吸入器を含むが、これらに限定されず、それら全ては当業者が詳しく知るものであり、本発明の実施における使用のため考慮される。
本発明の医薬組成物の鼻(または経鼻)送達もまた考慮される。鼻送達は本発明の医薬組成物の血流への通過を可能にし、それは治療製品の鼻への投与直後であり、肺内での製品の沈着の必要がない。
経鼻投与のため、有用なデバイスは、小型の硬質のボトルであって定量噴霧器が取付けられたボトルである。1つの態様において、計量された用量は、本発明溶液の医薬組成物を規定された容積の部屋へ引き込むことにより送達され、該部屋はエアロゾル化する寸法の隙間および該部屋内の液体が圧縮される際、噴霧を形成することによるエアロゾル製剤を有する。部屋は本発明の医薬組成物投与のため圧縮される。特定の態様において、部屋はピストン配置である。かかるデバイスは市販されている。
代替的に、プラスチックスクイーズボトルが用いられ、圧搾時に噴霧を形成することによりエアロゾル製剤をエアロゾル化する寸法の隙間または開口部を備えている。開口部は通常瓶の上端に見られ、上端は一般にテーパー状になりエアロゾル製剤の有効な投与のための鼻道内に部分的にフィットする。好ましくは、鼻吸入器は計量された量のエアロゾル製剤を、薬の量った量の投与のために提供される。
先に記載された製剤に加え、化合物はデポ調製物としても製剤されてもよい。かかる長時間活性製剤は適切な高分子もしくは疎水性物質(許容し得る油中の乳濁液)またはイオン交換樹脂と共に、または難溶性誘導体、例えば、難溶性塩として製剤されてもよい。
医薬組成物も適切な固形またはゲル状相担体または賦型剤を含んでもよい。かかる担体または賦型剤の例は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、多様な糖、澱粉、セルロース誘導体、ゼラチンおよびポリエチレングリコールなどの高分子である。
分子は多様な薬物伝達系における使用に適切である。薬物送達方法の簡易な概説に関し、Langer, Science 249:1527-1533, 1990参照、それは参照としてここに含まれる。
治療試薬は制御放出系中に含まれてもよい。用語「制御放出」はあらゆる薬物含有製剤を示すことを意図し、それにおいては製剤からの薬物放出の方法と特徴が制御される。これは非即時だけでなく即時の、製剤放出を示し、非即時製剤放出は徐放性放出および遅延放出製剤を含むが、これらに限定されない。用語「徐放性放出」(「延長放出」とも示される)は、その慣用的な意味において用いられ、延長された期間に渡る薬物の漸次的放出のために提供する薬物製剤を示し、好ましくは、必ずではないが、実質的に延長された期間に渡り一定の薬物の血中濃度をもたらす。用語「遅延放出」は、その慣用的な意味において用いられ、製剤投与およびそこからの薬物放出の間時間遅延がある薬物製剤を示す。「遅延放出」は延長された時間に渡る漸次的薬物放出を含んでも含まなくてもよく、したがって「徐放性放出」であってもなくてもよい。
長期徐放性放出インプラントの使用は慢性症状の処置のため特に適切であり得る。「長期」放出は本明細書中用いられ、インプラントが設置され少なくとも7日以上、好ましくは30−60日の間治療濃度の活性成分を送達するよう調整されることを意味する。長期徐放性放出インプラントは当業者によく知られ、上述の放出系のいくつかを含む。
本発明もキットの使用を考慮する。本発明のいくつかの態様において、キットは医薬調製物小瓶、医薬調製物希釈剤小瓶および本明細書中記載された発明の分子を含み得る。医薬調製物のための希釈剤を入れる小瓶は任意である。希釈剤小瓶は、濃縮溶液または分子の凍結乾燥粉末であり得るものを希釈する生理学的生理食塩水等の希釈剤を含む。
説明書は特定量の希釈剤を特定量の濃縮医薬調製物を混合するための説明を含み得、それにより注射または点滴のための最終製剤が調製される。該説明書は有効量の分子で対象を処置するための説明を含んでもよい。調製物を入れる容器が、該容器が瓶、セプタム付小瓶、セプタム付アンプル、点滴袋等のいずれであっても、調製物が加圧滅菌または他の方法で滅菌されている時に変色する慣用的目印等の印を含み得ることが解されるであろう。
治療と共に組み合わせた診断方法の使用も考慮される。例えば、レット症候群が大多数の症例でMeCP2をコードする遺伝子中の変異または変化と結びつき、そして引き起こされることが知られていることを所与のものとして、対象はかかる変異に関し最初に検査される。これは、本明細書中に記載のIGF1、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子での処置のための対象の適切性を確定するために行われ得る。遺伝子的基礎を有し、本明細書中記載の治療に適した他の疾患、症状および障害も、同様に診断および処置され得る。特にMeCP2の標的またはMeCP2の下流となる遺伝子中の変異または変化との対象は本明細書中記載された治療に適し、同様に診断および処置され得る。
標準的臨床診断方法は、当該技術分野でよく知られている。典型的にこれらの方法は対象からのサンプル取得を含み、それは非限定に組織サンプル、生体組織検査、流体サンプル(例、血液、尿、唾液、脳脊髄液)等であってよく、そしてその後サンプルに診断過程を施す。多数のよく知られた方法論が、実務家に対し、ポリメラーゼ連鎖反応を基とする方法を含む多様な核酸検出および増幅法ならびに抗体を基とする検出方法を含む多様なタンパク質検出法等のサンプルを分析するために利用可能である。他の例において画像化技術を非侵襲性診断のために用いることが可能であってもよい。
診断的方法も治療中の疾患の経過追跡および適切な治療選択における補助のため治療方法と組み合わせられてもよい。治療方法と組み合わせたかかる診断方法の適用は通常医療技術において実施される。
本発明は後に続く実施例によりさらに例示され、それは全くさらなる限定と解釈されるべきでない。
例1:
レット症候群はX連鎖神経細胞障害であり、10,000〜15,000の出生中1件に影響を及ぼす(Chahrour and Zoghbi, 2007)。障害は、見かけ上通常の生後発達に続く、後天的な運動および言語能力の進行的喪失、特徴のある手の動き、筋緊張低下、自律機能不全および重篤な認知欠損と結びついた急な成長減速を特徴とする。RTTのための特別な処置は残っておらず、管理は主として症候性および個別的である。
〜85%のRTTに苦しむ患者において、原因はメチル化CpG結合タンパク質2(MECP2)(Amir et al., 1999)、神経細胞成熟およびシナプス形成開始(Cohen et al., 2003、Shahbazian et al., 2002b)に続き中枢神経系(CNS)において強く発現するグローバル転写抑制因子(Nan et al., 1998)をコードする遺伝子における変異である。
マウスモデルが生成され、該マウスモデル中MeCP2のCNS−特定欠落がレット様症状を起こすのに十分であり(Gemelli et al., 2006、Guy et al., 2001、Shahbazian et al., 2002a)、そしてMeCP2タンパク質の活性化が疾患の後期段階においてさえも変異体表現型を救済し得る。(Giacometti et al., 2007、Guy et al., 2001)。マウスモデルにより示唆されるRTTの重要な特徴はしたがって可逆的でもある−関連するCNS回路が明らかに萎縮せずむしろ不安定で未成熟な段階のままであり、該段階により結果生じる回路の活性化が症候群の結果を修復し得る。MeCP2変異体マウスの皮質および海馬の脳回路は、例えばより弱い興奮性シナプスを特徴とし、(Chao et al., 2007、Dani et al., 2005、Nelson et al., 2006)普通の未成熟回路のものに類似している。
Mecp2標的遺伝子であってこの表現型に対し貢献し得るものは、同定が困難であった(Tudor et al., 2002)が、最良の特徴を有するMeCP2調節の標的は脳由来神経栄養因子BDNF(Chen et al., 2003)とされ、該因子は一般に成熟の端緒となることおよびより強いシナプス(Schuman, 1999)を促進することが知られ、そして変異体マウスにおける活性レベルを回復し、変異体表現型のいくつかの症状を軽減する(Chang et al., 2006)ことがまさに可能である。不都合にも、BDNFの治療有用性は血液脳関門通過の際の乏しい効率により妨げられる。しかしながら、ヒトにおける治療介入はシナプス成熟を同様に刺激可能な試薬の同定から、かくして生じ得る。
第2の多面的成長因子であってCNS治療における同様の見込みを有するものはインスリン様成長因子1(IGF−1)である。BDNFの様に、IGF1はCNSにおいて通常の発達の間に幅広く発現し(Bondy, 1991)、ニューロン細胞生存およびシナプス成熟を強く促進し(Liu et al., 1993)、発達皮質における機能的可塑性の成熟を促進する(Tropea et al., 2006)。BDNFはPI3K/pAkt/PSD95(Yoshii and Constantine-Paton, 2007)に関連する経路を経てシナプス強化を刺激し、シナプス後の器官を支持およびシナプス機能への貢献を行うが、IGF1は同じ経路も刺激する(Tropea et al., 2006、 Zheng and Quirion, 2004)、そして興奮性シナプス後電流を顕著に上昇する(Ramsey et al., 2005、Xing et al., 2007)。
IGF1の生物学的作用も、IGF結合タンパク質(IGFBP1−6)の結合により調節され、それはRTTおよび他障害に対し重要であり得る。IGFBF3は例えば、MeCP2タンパク質のための結合サイトを有し、そして、MeCP2ヌルマウスおよびレット患者がこのメチル化抑制因子を欠くため、異常に高いレベルの、IGFBP3を発現(Itoh et al., 2007)しIGF1を順番に阻害する−低下したIGF1レベルはまさにASD(Riikonen et al., 2006)の数種の形態を横断的に観察されている。
BDNFと異なり、IGF1は血液脳関門を通過可能で、特にそのトリペプチド型(1−3)IGF−1において顕著であり(Baker et al., 2005)、そこではその強い神経栄養効率を残している(Guan et al., 2004、Itoh et al., 2007、Saura et al., 1999、Sizonenko et al., 2001)。この多用途性およびIGF1が既にヒト臨床試験(引用必要)が承認されているという事実を所与のものとすると、IGF−1シグナリングは、シナプス成熟の刺激およびRTT表現型の反転を行う鍵分子経路の保証のためBDNFに対し同程度の標的を提供し、しかしそれはよりRTT患者に対する治療投与に適した型式においてなされる。したがって我々は、RTT生理病理学(Johnston et al., 2001、Kaufmann et al., 1997)の特徴であるシナプスおよび神経細胞の未成熟性を克服し、また疾患のマウスモデルにおけるレット様症状を改善するため、(1−3)IGF−1の潜在性を調査し、全身に送達した。
実験手順
マウスの交配およびジェノタイピング:我々はChen et al. (Chen et al., 2001)からのMeCP2生殖細胞系列ヌル対立遺伝子を用いた。ジェノタイピングはChen et al. (Chen et al., 2001)におけるように行った。
(1−3)IGF−1処置:生存測定、夜間行動分析および免疫ブロット分析のため、(1−3)IGF−1(Bachem Biosciences # H22468)は日毎に腹膜内注射を通し投与した(0.01mg/g体重、ビヒクル=生理食塩水、0.01%BSA)。処置は生後15日で開始し、実験の経過を通し維持した。細胞内生理学的実験のため、マウスは日毎(0.01mg/g体重、ビヒクル=生理食塩水、0.01%BSA)生後15日から生後28〜32日まで急性スライスの調製に用いる際2週の間注射した。光学画像化実験のため、マウスは(1−3)IGF−1(0.02mg/g体重、ビヒクル=生理食塩水、0.01%BSA)で眼瞼縫合の日から画像化の日まで日毎注射した。
スライス生理学的調製物:感覚運動皮質におけるまたは近くの冠状切片(300μm厚)を<4℃人工脳脊髄液(ACSF)中ビブラトームを用いて切除した。スライスは切除後37℃で20分間、そして室温で残りの実験の間インキュベートした。スライスをワーナーチャンバー(Warner chamber)に移し、そして、記録を視覚的に認識された5層に位置する錐体神経細胞から得た。人工脳脊髄液(ACSF)は126mM NaCl、25mM NaHCO3、1mM NaHPO4、3mM KCl、2mM MgSO4、2mM CaCl2および14mM デキストロースを含み、315〜320mOsmおよび7.4pHに調整し、そして95%O2/5%CO2でバブリングした。細胞内ピペット溶液は100mMカリウムグルコネート、20mM KCl、10mM HEPES、4mM MgATP、0.3mM NaGTPおよび10mM Na−ホスホクレアチンを含んだ。
細胞内ホールセル記録:ホウケイ酸ピペット(3〜5MΩ、WPI)は
Sutter P-80 puller (Sutter Instruments)を用い引いた。細胞は、赤外−DIC光学(infrared-DIC optics)(Zeiss)を備えたアクロプラン 40x水中レンズ(Achroplan 40x water-immersion lens)で可視化し、赤外カメラ(Hamamatsu)でビデオモニターに映写して検出した。実験を行なうに当たり、Matlab (Mathworks, Natick, MA)作成のカスタム取得およびリアルタイム分析ソフトにより、マルチクランプ700B 700B増幅器 (Axon Instruments)を用い、該増幅器はBNC-2110コネクターブロック およびM−シリーズデュアルチャンネル取得カード(M-Series dual-channel acquisition card)(National Instruments)に接続した。ギガシールおよび破断を達成し、そしてホールセル記録は、低レベルリークおよびシリーズ抵抗を連続的に確認した。
各記録用に、5mV試験パルスを電圧固定において〜10回与え、入力およびシリーズ抵抗を測定した。その後電圧固定において〜10パルス(500ms、10pAで40−140pA)を与え、誘発発火性および細胞興奮性を定量化した。接触抵抗、リークおよび細胞内因性興奮性を確認し、群横断的に一貫性を有した。最終的に、60mVでの電圧固定下自発的EPSCを10kHzでサンプル取得および1kHzで低域通過フィルター化した。自動的閾値化に従い全て検出され、各事象が個別に試験機により何も疑わず確認された事象で、Matlab作成のカスタムソフトパッケージを用い分析を行った。
ゴルジ染色:生後28日マウスからのサンプル(<1cm)を10%ホルマリンおよび3%二クロム酸カリウム中24時間固定した。組織をその後2%硝酸銀の中へ2日間暗中室温で移した。これらサンプルからの切片をその後50μm厚で蒸留水中へ切った。運動皮質に対応する切片をスライドガラス上に載せ、10分間空気乾燥、そしてその後95%アルコール、100%アルコールおよびキシレンで連続的すすぎを通して脱水し、そしてその後カバーガラスで封着した。画像は10×(全細胞)および100×(スパイン画像)で、Zeiss Pascal 5 Exciter共焦点顕微鏡を用い取得した。
内因性シグナルの光学画像化:成体(>生後60日)野生型(SVEVまたはBL6)およびMeCP2(+/−)変異体雌(BL6)が本実験に用いた。野生型対照群はMeCP2+/−雌の野生型同腹子または野生型齢適合SVEV雌の両方を処置した。単眼遮蔽のため、動物をAvertin(0.016ml/g)で麻酔され、そして1つの眼の眼瞼を4日間縫合した。画像化の前、縫合は除去し遮蔽された眼を再開眼した。遮蔽縫合がそのままで遮蔽された眼の条件が健康と見られる動物のみが画像化セッションのために用いた。IGF−1シグナリング活性化のため、(1−3)IGF−1を含む溶液を毎日遮蔽の全期間腹腔内注射(IP)した。
画像化セッションのためマウスはウレタンで麻酔した(1.5g/kg、20%の完全量が20〜30分毎最終量まで腹腔内投与し、0.02mlのクロルプロチキセン1%も最初の投与と共に注射した)。頭蓋骨を露出し、特製のプレートを運動最小化のために頭部に接着した。頭蓋骨を、V1上でドレメルドリル(dremel drill)で薄くし、生理食塩水(1.5)中のアガロース溶液およびカバーガラスで覆った。画像化セッションの間、動物には定常的に酸素供給し、その温度は加熱毛布で維持し、そして眼はシリコンオイルで定期的に処置した。生理学的条件は定常的に監視した。
麻酔したマウスはいずれかの眼、単眼に対し示される定期的刺激を表示するモニターの前に配置した。刺激は9秒/周期で、均一に灰色の背景上を移動する、移動垂直または水平白棒で寸法は9°×72°からなる。頭蓋骨表面は赤色光を照射し、照明の変化はCCDカメラ(Cascade 512B, Roper Scientific)により、15フレーム/秒の割合で各25分の刺激セッションの間捕捉される。
時間的広域通過フィルター(135フレーム)を用い、低速信号ノイズを除去し、その後信号は、各ピクセルで、刺激周波数に対応する時間的高速フーリエ変換(FFT)部分を抽出するためコンピュータ処理した。FFT振幅は各眼に対し視覚的に誘起した反応の強度測定に用いた。眼優位性指数は各ピクセルでの各眼の反応(R)からODI=(Rcontra−Ripsi)/(Rcontra−Ripsi)として導出した。両眼領域は画像化した半球と同側眼の刺激により活性化した領域として定義した。
心拍数測定:リアルタイム心臓パルス速度(cardiac pulse rate)を末端クリップセンサー(Mouse OX Oximeter -Oakmont, PA)を用い測定した。マウスは麻酔せず、適合した開放プラスチック管内に物理的に拘束した。記録セッションの前、管は一晩、実験動物が順化できるよう住まわせるケージ内に配置した。体温は記録時間を通じ華氏82〜84°以下に維持した。我々は各マウスに対し15分間の3試験を記録し、マウスは8週齢でありビヒクルまたは生後15日からの(1−3)IGF−1で処置した。
夜間活動性測定:自発的運動活動性を赤外ビーム活性化運動監視チャンバー(movement-monitoring chamber)を用いて計測した(Opto-Varimax-MiniA、Columbus Instruments, Columbus, OH)。各実験のために、マウスは記録開始前少なくとも3時間チャンバー内に配置した。運動は通常12時間暗闇の周期(午後7時〜午前7時)の間監視した。動物毎時間点毎の1暗闇周期が集計した。
結果
(1−3)IGF−1処置がRTT疾患の心臓の特徴発達に影響するか試験するため、2週齢変異体動物が毎日腹腔内注射を寿命進行の間施した。シナプス生理学、シナプス分子組成および皮質可塑性はその後下記に詳細を記載したように、心拍数、運動活動性レベルおよび寿命等の健康関連測定と共に得た。
MeCP2変異マウスのシナプス生理学に関する(1−3)IGF−1の影響
最近の研究はMeCP2−/yマウスの複数脳領域横断的な神経細胞の自発的活動における意味深い減少(Chang et al., 2006、Chao et al., 2007、Dani et al., 2005、Nelson et al., 2006)、BDNFの過剰発現により救護される表現型を見せることを報告している(Chang et al., 2006)。同様に、IGF−1誘導体の急激な適用は、ラット海馬培養物により誘起興奮性後シナプス電流(EPSC)振幅を40%上昇させることが示されている(Ramsey et al., 2005、Xing et al., 2007)。かくしてMeCP2−/y生理学的表現型の救護における(1−3)IGF−1の効率性を試験するため、我々は急性脳スライスにおける細胞内ホールセル記録を、5層皮質神経細胞において興奮性シナプス動因(自発性EPSC振幅および周波数)を測定し、得た(図1A)。
ここに、−/y動物から記録されたEPSCは、野生型動物において測定されたEPSCに比して顕著に振幅が減少した(図1B)。傾向は、(1−3)IGF−1で処置されたMeCP2−/y動物から記録されたEPSCにおいて部分的に逆転し、該EPSCはビヒクルで処置したMeCP2−/yマウスからのEPSCよりも振幅において顕著に大きかった(図1B)。これらの差は、細胞間横断的な平均化時にも見られる(図1C)。これらの測定を通し、接触抵抗、リークおよび細胞内因性興奮性も群横断的に一貫していることが確認された(データ示さず)。EPSC間隔の定量化も、EPSC事象(減少EPSC周波数)間の間隔において、野生型およびMeCP2−/y動物(P=0.04、コルモゴロフ・スミルノフ検定、図1D)の間で僅かな増加を示した。したがって我々の見出したことは、MeCP2−/yマウスの皮質細胞における興奮性シナプス動因の減少および(1−3)IGF−1処置に次ぐその部分的救済を示し、この領域における興奮性伝達を媒介するシナプス強度における変化の結果として、部分的にEPSC振幅における変化によるものである。
(1−3)IGF−1処置は皮質スパイン成熟を刺激する
我々はRTTがシナプスの成熟および安定化の欠陥から起こると仮説を立てた、そのことは、樹状結合構造において物理的に明白である。また、ノックアウトが(1−3)IGF1での処置により部分的に改善する興奮性シナプス伝達の欠落を特徴とすることを所与のものとして、我々は潜在的に樹状スパインの構造および密度における適合した変化があることを期待した。したがって我々は低密度および明確に神経細胞をラベルするためゴルジ染色を用い、そして高解像度共焦点画像を適用しラベルされた細胞内の樹状細胞密度および形態を測定し、危険期マウス(生後28日)からの運動皮質の切片における5層錐体神経細胞対する分析に限定した。
低拡大画像が明確にこれら錐体細胞の樹状性の程度を描写しているのに対し(図2A)、我々はより高拡大をシナプス結合(図2B)を数えるために用い、各スパインの形態分類を確定した。我々はスパインを大型かつ球根状(“mushroom”、M)および隆起型(“stubby”、S)、小型かつ薄型(“thin”、T)またはフィロポディア(F)として分類した。単位枝毎のスパイン密度比較により、処置したノックアウトにおいて大きく改善するノックアウト神経細胞におけるスパイン密度の減少の傾向を明らかにした(図2C)。各条件に存在する各スパイン型の比率(図2D)の分析は、処置により部分的に救済されるノックアウトにおけるマッシュルーム型(成熟)スパインにおける欠落、および処置により影響されていないノックアウトにおける薄型(未成熟)スパインの過剰発現を示した。最後に、枝厚さの(図2E)定量化は条件間での差を全く検出しなかった。
これらの結果は併せて、(1−3)IGF1での処置に従い部分的に救済され得る形での興奮性伝達における機能欠陥を支持するノックアウトの樹状結合数および成熟状態における欠落の可能性を示唆する。
MeCP2欠損が成体マウスにおける異常な眼優位性可塑性を引き起こす
これまでに示された機能的データ(図1)および構造的データ(図2)は、MeCP2発現のタイミング(Shahbazian et al., 2002b)および救済実験からのデータ(Giacometti et al., 2007、Guy et al., 2007)と共にMeCP2欠損が不完全なシナプスおよび神経細胞の成熟(Johnston et al., 2001、Kaufmann et al., 1997)を引き起こし得ることを示唆する。レットの症状がシナプスを発達途中または退行の状態のままにする脳内回路の未成熟から起こる場合、我々は、追加の結果がMeCP2 KOマウスの皮質回路が安定した表現を維持できず、そしてシナプスはさらに不安定で環境に応じて変化しやすいものであるだろうという仮説を立てた。
我々は皮質可塑性を試験するための「眼優位性可塑性」(Hofer et al., 2006)として知られる十分に確立されたモデルを用いてこれを評価したが、その中では2つの眼のそれぞれに対する視覚皮質の反応を測定し(図5A)、より優位な眼をその後2〜3日遮蔽し(単眼遮蔽、MD)、その後に皮質反応を再度測定し2〜3日の修正した入力がどれだけ一様に2つの眼への反応を変化させ得たかを観測する。マウスにおいて対側眼は通常皮質において優位である(図5Aおよび5C)、しかし、優位な眼の遮蔽は、回路がまだ未成熟および不安定(Gordon and Stryker, 1996)である場合もう一方の眼による皮質の「引継ぎ」に到り得、したがって「眼優位性指数」(ODI)(図5Bおよび5D)における移動に到る。脳内回路が成熟および安定している場合、しかし、成体マウスにおけるように、ODIに変化はないであろう(図5E)。
我々は、シナプスの発達がMeCP2欠損マウスにおいて停止される場合、成体マウスの視覚皮質におけるシナプスは簡易MDにまだ感受性があると理由付けた。眼の刺激により引き出された皮質反応測定のため、我々は内因性シグナルの光学画像化を用い、それは脱酸素ヘモグロビン濃度を検出する技術であり、神経細胞の活性に密接に関係し、そして高度に感受性および信頼できる皮質可塑性の測定である。(Hofer et al., 2006、Smith and Trachtenberg, 2007)。
成体MeCP2マウスはこの分析に要求される麻酔に耐性がないため、我々はより穏やかな症状を発現するMeCP2ヘテロ接合雌を用いた(図3)。我々は最初に若齢WTマウス(生後28日)における眼優位性可塑性を測定し、4日のMDが個体群ODIの強固な移動を誘導することを見出した(図3A)しかしながら、この理論的枠組のWT成体マウス(生後60日)に対する繰り返しは、非遮蔽マウス(黒実線)を単眼遮蔽の対応個体(黒点線)に対し比較した時、個体群ODI(図3B)に移動を生じなかった。
対照的に、齢適合MeCP2変異体(+/−)は開眼のための視覚動因反応における顕著な移動を示した(図3B、ピンク線)。これらの結果は、急速なシナプス可塑性の残存であり、それは成体MeCP2変異体視覚皮質における不均衡視覚動因に続くものであり、未成熟皮質に典型的な特徴であり、そしてMeCP2欠損に次ぐシナプス成熟または安定化の欠陥と一貫性があることを明らかする。
成体MeCP2+/−マウスにおける眼優位性は(1−3)IGF−1処置により妨げられる
OD可塑性における発達変化は IGF−1経路の活性化により部分的に制御され、(1−3)IGF−1の投与は野生型若齢マウスのOD可塑性を撤廃する(Tropea et al., 2006)。したがって我々は(1−3)IGF−1処置が成体MeCP2変異体において観察される持続するOD可塑性を安定化させ得るか否か試験した。雌MeCP2+/−マウス、齢生後60日またはそれ以上を4日間単眼遮蔽し、(1−3)IGF−1で一斉に処置した。図3Cは、(1−3)IGF−1処置が成体Mecp2+/−マウスにおけるOD可塑性を妨げたことを示し、まさに(1−3)IGF−1がシナプスの安定化または成熟を急速に誘導することを示唆している。全動物横断的に、眼優位性可塑性は若齢(生後28日)マウスまたは成体(生後60日)MeCP2欠損マウスにおいて観察されたが、通常の成体マウスまたは(1−3)IGF−1で処置されたMeCP2欠損マウスにおいて観察されなかった(図3D)。
MeCP2−/yマウスにおける除脈は(1−3)IGF−1処置により部分的に救済される
神経生理学的症状の改善における(1−3)IGF−1の効率の検査に加え、組織の一般的健康に関するその効果を特徴付けるため探索した。臨床的および実験的証拠は、レット症候群患者における不安定な呼吸リズムおよび心臓の迷走神経緊張等の自律系機能不全を示す(Julu et al., 2001)。交感神経系を通じた血圧ホメオスタシスを調節するフィードバック機構の貧弱な制御、例えば過呼吸誘発心拍数減少はレット症候群に共通でありそして生命を脅かす心臓不整脈を引き起こし得る(Acampa and Guideri, 2006、Julu et al., 2001)。
心臓自律神経障害の病因論は、十分に理解されていないが、脳幹における未成熟神経連絡が原因であり得ることを示唆する。MeCP2−/yマウスにおける心拍異常および(1−3)IGF−1処置の効果を検査するため、我々はビヒクルまたは(1−3)IGF−1で処置した非麻酔野生型およびMeCP2 −/y動物におけるリアルタイム心臓パルス速度を監視した。野生型マウスは750回毎分近くを中心とした心拍測定の定期的分布を示した(図4A)。対照的に、MeCP2 −/yマウスはより低い平均拍数でのより不定期な心拍を示し、その発生は(1−3)IGF−1での処置に続き顕著に減少した。
(1−3)IGF−1投与は運動活動性および寿命を改善する
MeCP2 −/yマウスは進行的に嗜眠になる齢4〜6週間で始まるレット様症状を発現、失調性歩行を発現、齢10〜12週で死亡する(Chen et al., 2001)。したがってベースライン運動活動性も6週後マウスにおいてケージ内の夜間赤外ビーム通過事象の計数により記録した(図4B)。ここに、MeCP2ノックアウトマウス(KO)は、野生型マウス(WT)に比べて顕著に減少した運動活動性レベルを示し、しかし(1−3)IGF−1での処置(KO−T)はこれらレベルを上昇した。この上昇はノックアウト動物に特徴的で、処置では野生型動物(WT−T)における活動性は上昇しない。これらの結果はより若齢動物におけるこれら測定と対照的であり(図6)、その中では活動性における変化がノックアウトマウスにおいてまだ検出されず、疾患の進行的発現と共に線上に出現する表現型を示唆する。
最後に、MeCP2 KO同腹子と比べ、(1−3)IGF−1で処置したMeCP2 −/yマウスも平均寿命において〜50%上昇を示した(〜60日から90日まで、0.5確率生存率の上昇)。
我々は海馬内の神経細胞体に関する(1−3)IGF1処置の影響も測定した。マウスを上述のように(1−3)IGF−1で運動活動性に監視処置した。図7に示されるように、海馬のCA3領域における神経細胞における細胞体サイズは、野生型動物と相対的にMeCP2 KO動物において顕著に損なわれた。(1−3)IGF−1処置はKO動物における平均細胞体サイズを上昇したが、しかし野生型動物における細胞体サイズに関する影響はなかった。
論考
本研究において我々は(1−3)IGF−1が疾患のマウスモデルにおけるRTTの症状を改善する証拠を提供する。数種の証拠が、MeCP2変異体動物が成体まで残存するCNSにおける未熟な回路の特徴を見せるという仮説を支持する。第1に単一神経細胞およびシナプスは興奮性シナプス後電流の減少を示し、シナプス結合の未成熟または不安定を示した。第2にPSD−95、すなわち成熟機能性シナプスのマーカーおよびそれらの強度は、MeCP2ヌル脳内で下方調節された。第3に成体MeCP2 +/−マウスにおける視覚皮質連絡は普通若齢マウスに特徴的な単眼遮蔽に次ぐシナプス変化を見せた。MeCP2ノックアウトマウスの(1−3)IGF−1での全身処置は、IGF−1シグナリングの刺激ならびに神経細胞およびシナプス成熟促進におけるBDNF経路の模倣で知られているが、これら評価指標のスペクトルを横断的に実質的改善をもたらし、そしてノックアウトにおいて観察される心拍数、運動活動性および寿命の欠陥をも改善した。
これら効果は非常に影響が大きいが、(1−3)IGF−1で処置されたMeCP2ノックアウトマウスはなお全領域の症状を発現し、未成熟なまま死亡することを強調することは重要である。マウスにおける疾患の進行は、患者においてと同様、ほぼ無症状の早期期間に続く、4から8週にかけての進行的悪化、それに伴う普通10〜12週で起こる死亡を含む。(1−3)IGF−1処置マウスは対照と同齢で症状を発現し、しかし顕著に長く生存および疾患後期フェーズにおける増加した活動量を維持する。IGF−1レベルは通常齢と共に減少し、齧歯類およびヒトにおけるIGF−1レベルの人工的増加は筋肉喪失の減少および改善された運動性(Rudman et al., 1990)と関連付けられてきた。同様の影響は(1−3)IGF−1により媒介され得、そして食物および水への(1−3)IGF−1処置マウスの接近が促進された。(1−3)IGF−1処置も樹状成長または成体神経新生を増加し、(Aberg et al., 2000、Aberg et al., 2003)、そしてそれゆえ全体の強固さならびにシクナリングおよび回路の安定化に貢献し得る可能性がある。ノックアウトまたは処置の結果としての細胞体のサイズに変化が観察されなかったが、ノックアウトおよび処置の結果として全体の脳重量において小さな変化が見られた。
我々の結果は、成体MeCP2 +/−脳における皮質連絡の未成熟な状態の残存のための最初の機能的証拠を構成する。雌MeCP2変異体マウスはほぼ通常の寿命(8〜10月)を有し、そして雄変異体マウスよりも寿命中非常に遅くより穏やかな症状を発現する。シナプス可塑性に関し言明される効果は、したがって、予期しないものである。ランダムなX不活性化により、野生型MeCP2タンパク質を発現する雌MeCP2 +/−マウスの脳内の概して50%の神経細胞が、野生型MeCP2タンパク質を発現する。このことは変異体神経細胞のシナプスネットワーク全体に関する優性効果を主張し、>70%の神経細胞におけるMeCP2発現の再活性化がMeCP2 −/yマウスにおける症状の進行を妨げないことを実証したより早期の遺伝子救済実験の結果と整合している(Giacometti et al., 2007)。
我々は、シナプス連絡の数もまた増加し得るが、(1−3)IGF−1が成体変異体マウスにおいてシナプス結合を安定化することによりOD可塑性を減少することを推測した。単眼遮蔽実験に用いられたマウスが光学画像化化の前4日間だけしか処置されていないため、(1−3)IGF−1は視覚皮質におけるシナプス結合の安定化において急速に活動することも明らかになる。我々は、(1−3)IGF−1が非神経細胞に影響する可能性を除外できない。例えば(1−3)IGF−1処置のために脳内の血管密度およびグルコース使用が増加するかまたは、末梢組織における追加的効果を有し得る。記載された実験において、(1−3)IGF−1は腹腔内注射を通じマウスに投与した。静脈内注射または心室送達等の他の送達方法は、より効果的であり、潜在的に症状の救済の程度をさらに改善する。
結論として、我々は(1−3)IGF−1の全身送達がMeCP2変異体マウスにおける生理学的挙動および生存を顕著に改善し得ることを示した。我々はMeCP2欠損が未成熟なシナプス機能および組織に到り、それは、PI3K/Akt/PSD−95経路を含み得る機構を通じて、(1−3)IGF−1により部分的に救済され得るという直接的証拠も提供する。(1−3)IGF−1活動の厳密な機構を解明するためにさらなる研究が必要であるが、ここに示された結果は、レット症候群処置に向けた(1−3)IGF−1およびIGF1シグナリングの潜在的有用性を指摘する。RTTの成功した治療は他の自閉症スペクトラム障害および神経発達障害にも、影響の大きい意味を有するが、それは表現型、遺伝子的感受性および提起された根底にある神経生物学的機構において該影響の大きい重なりを所与のものとしている。
例2:(1−3)IGF−1はBDNFおよびtPAの発現および生物学的活性を増加する。
MD中のBDNFおよびtPA発現および生物学的活性に関する処置の影響を検査した。マウスは上述のようにMD実施および(1−3)IGF−1処置した。
図8AはmRNAレベルでのBDNF発現レベルに関する(1−3)IGF−1処置の影響を示す。単眼遮蔽は対側V1におけるBDNF発現レベル顕著に減少したことを示す。(1−3)IGF−1処置はMD実施された動物における発現を、対照レベルまでではないが、増加させ得た。
図8BはNeuN(緑)およびproBDNF(赤)抗体に対する2重染色を示す。そのタンパク質発現は(1−3)IGF−1処置が MDの影響を対照レベルまでではないがBDNFタンパク質発現を増加したことにより変調し得たことを確認した。
図8CはmRNAレベルでのtPAのmRNA発現レベルに関する(1−3)IGF−1処置の影響を示す。(1−3)IGF−1処置は顕著に対照および遮蔽動物両方に対し相対的にtPAmRNA発現を上方調節した。
図8DはNeuN(赤)およびtPA(緑)抗体に対する2重染色を示す。tPA染色はタンパク質発現を指し示しており、細胞体内の斑点に存在した、そして、MD対対照において顕著な変化示さない。しかし、tPAの発現レベルは(1−3)IGF−1処置により強く増加したように見える。
図8EはBDNF活性化に関する(1−3)IGF−1の活動様式を示す。(1−3)IGF−1はBDNF活性をその発現への直接影響およびtPAを通じ生物学的活性を制御の両方により促進する(それはproBDNFを開裂して成熟BDNFにすることが知られている)。
例3:IGF1は(1−3)IGF−1と同じ効果を示す
上記データはIGF1の(1−3)IGF1フラグメントに焦点を当て、IGF1シグナリングを促進している。我々は、既にヒト患者における小児投与のために承認された(低身長に適用)完全長のIGF1ペプチドの効果を試験した。我々は(1−3)IGF−1および組換えヒトIGF1(rhIGF1)の効果における一致を確認した。我々は2分子の直接適用間のシナプス伝達に対する効果を測定し、それらはそれぞれシナプス活性の著しい補強を誘発することに比較的成功した(図9A)。また、眼優位性可塑性の間の皮質回路成熟(即ち、例1に示されるように)が(1−3)IGF−1またはrhIGF1(180μg/kg/日IP送達2週で開始、図9Bに示される)を用いて類似程度まで促進された。
参照:
Figure 2010529128
Figure 2010529128
Figure 2010529128
Figure 2010529128
Figure 2010529128
採用された用語および表現は記載のそして非限定形式の用語として用いられ、かかる用語および表現の使用において示され記載された特徴のどんな均等物またはその部分の除外も意図せず、多様な修正が発明の範囲内において可能である。
本願を通じ引用された全ての参照の内容全体(文献、参照、付与済特許、公開特許出願を含む)は、本明細書中引用された目的のための参照により、本明細書により明示的に含まれる。

Claims (57)

  1. レット症候群の処置方法であって、かかる処置が必要な対象に対し、該対象を処置するための有効量のインスリン様成長因子1(IGF1)、(1−3)IGF−1、1種もしくは2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子を投与することを含む、前記方法。
  2. IGF1が投与される、請求項1に記載の方法。
  3. IGF1が組換えIGF1である、請求項2に記載の方法。
  4. IGF1がヒトIGF1である、請求項2または請求項3に記載の方法。
  5. 投与されるIGF1の用量が約0.1〜10mg/kg/日である、請求項2〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 投与されるIGF1の用量が約0.1〜2mg/kg/日である、請求項5に記載の方法。
  7. (1−3)IGF−1が投与される、請求項1に記載の方法。
  8. 投与される(1−3)IGF−1の用量が約0.1〜100mg/kg/日である、請求項7に記載の方法。
  9. 投与される(1−3)IGF−1の用量が約6〜20mg/kg/日である、請求項8に記載の方法。
  10. (1−3)IGF−1類縁体が投与される、請求項1に記載の方法。
  11. (1−3)IGF−1類縁体が、Gly−Pro、Pro−Glu、Gly−Pro−GluのGlyがAla、Ser、ThrもしくはProのいずれかで置換されているか、またはGly−Pro−GluのProがAla、Ser、ThrもしくはGlyのいずれかで置換されているか、またはGly−Pro−GluのGluがAsn、AspもしくはGlnのいずれかで置換されている(1−3)IGF−1置換類縁体、(1−3)IGF−1アミド、(1−3)IGF−1ステアレート、1個もしくは2個のD−アミノ酸を有する(1−3)IGF−1類縁体、または1個もしくは2個の非加水分解性ペプチド結合を有する(1−3)IGF−1類縁体である、請求項10に記載の方法。
  12. 関連治療分子が投与される、請求項1に記載の方法。
  13. 関連治療分子が、IGF−1分泌促進因子、成長ホルモンもしくは前駆体、成長ホルモン分泌促進因子、成長ホルモン放出ペプチドまたは成長ホルモン放出ホルモンもしくは類縁体である、請求項12に記載の方法。
  14. 対象がヒトである、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
  15. IGF1、(1−3)IGF−1、1種もしくは2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子が、経口、静脈内、筋肉内、鼻内、腹腔内、皮下または髄腔内投与される、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
  16. IGF1、(1−3)IGF−1、1種もしくは2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子が、レット症候群の診断後に投与される、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
  17. IGF1、(1−3)IGF−1、1種もしくは2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子が、レット症候群の診断前に予防的に投与される、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
  18. 対象が、IGF1、(1−3)IGF−1、1種もしくは2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子による処置を必要とする症状を有しない、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
  19. メチル化CpG結合タンパク質2(MeCP2)をコードする遺伝子における変異に関して、対象を最初に試験することをさらに含む、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
  20. 対象に第2の治療分子を投与することをさらに含み、前記第2の治療分子がtPA、BDNF、阻害を調節する分子、例えばベンゾジアゼピン等、または神経伝達物質アゴニスト、アンタゴニストもしくは類縁体である分子であり、前記第2の治療分子と、IGF1、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子とが前記対象を処置するために有効な合計量で投与される、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
  21. IGF1、(1−3)IGF1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子の量が、シナプス機能および/もしくは成熟の回復、シナプスの強化ならびに/または神経細胞可塑性の調節のために有効である、請求項1〜20に記載の方法。
  22. 対象におけるシナプスの機能および/または成熟の障害の処置方法であって、かかる処置の必要な対象に、対象を処置するための有効量のインスリン様成長因子1(IGF1)、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子を投与することを含む、前記方法。
  23. IGF1が投与される、請求項22に記載の方法。
  24. IGF1が組換えIGF1である、請求項23に記載の方法。
  25. IGF1がヒトIGF1である、請求項23または請求項24に記載の方法。
  26. 投与されるIGF1の用量が約0.1〜10mg/kg/日である、請求項23〜25のいずれかに記載の方法。
  27. 投与されるIGF1の用量が約0.1〜2mg/kg/日である、請求項26に記載の方法。
  28. (1−3)IGF−1が投与される、請求項22に記載の方法。
  29. 投与される(1−3)IGF−1の用量が約0.1〜100mg/kg/日である、請求項28に記載の方法。
  30. 投与される(1−3)IGF−1の用量が約6〜20mg/kg/日である、請求項29に記載の方法。
  31. (1−3)IGF−1類縁体が投与される、請求項22に記載の方法。
  32. (1−3)IGF−1類縁体が、Gly−Pro、Pro−Glu、Gly−Pro−GluのGlyがAla、Ser、ThrもしくはProのいずれかで置換されているか、またはGly−Pro−GluのProがAla、Ser、ThrもしくはGlyのいずれかで置換されているか、またはGly−Pro−GluのGluがAsn、AspもしくはGlnのいずれかで置換されている(1−3)IGF−1置換類縁体、(1−3)IGF−1アミド、(1−3)IGF−1ステアレート、1個もしくは2個のD−アミノ酸を有する(1−3)IGF−1類縁体、または1個もしくは2個の非加水分解性ペプチド結合を有する(1−3)IGF−1類縁体である、請求項31に記載の方法。
  33. 関連治療分子が投与される、請求項22に記載の方法。
  34. 関連治療分子が、IGF−1分泌促進因子、成長ホルモンもしくは前駆体、成長ホルモン分泌促進因子、成長ホルモン放出ペプチドまたは成長ホルモン放出ホルモンもしくは類縁体である、請求項33に記載の方法。
  35. 対象がヒトである、請求項22〜34のいずれかに記載の方法。
  36. IGF1、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子が、経口、静脈内、筋肉内、鼻内、腹腔内、皮下または髄腔内投与される、請求項22〜35のいずれかに記載の方法。
  37. IGF1、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子が障害の診断後に投与される、請求項22〜36のいずれかに記載の方法。
  38. IGF1、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子が障害の診断前に予防的に投与される、請求項22〜36のいずれかに記載の方法。
  39. 障害が自閉症、自閉症スペクトラム障害、アンジェルマン症候群、結節硬化症、脆弱性X症候群、統合失調症、うつ病、パーキンソン病、ハンチントン病およびアルツハイマー病を含む神経変性疾患、脳卒中または外傷である、請求項22〜38のいずれかに記載の方法。
  40. 対象が、IGF1、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子による処置を必要とする症状を有しない、請求項22〜39のいずれかに記載の方法。
  41. 障害の遺伝的基礎である遺伝子またはかかる遺伝子の標的である遺伝子、もしくはかかる遺伝子の下流の遺伝子における変異に関し、対象を最初に試験することをさらに含む、請求項22〜40のいずれかに記載の方法。
  42. 第2の治療分子の対象への投与をさらに含み、前記第2の治療分子が、tPA、BDNF、阻害を抑制する分子、例えばベンゾジアゼピン等、または神経伝達物質アゴニスト、アンタゴニストもしくは類縁体である分子であり、前記第2の治療分子と、IGF1、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子とが対象を処置するために有効な合計量で投与される、請求項22〜41のいずれかに記載の方法。
  43. IGF1、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体ならびに/または関連治療分子の量が、シナプスの機能および/もしくは成熟の回復、シナプスの強化ならびに/または神経細胞可塑性の調節のために有効である、請求項22〜42に記載の方法。
  44. シナプスの成熟を増進するための方法であって、1個または2個以上のシナプスを含む1個または2個以上の神経細胞を、該1個または2個以上の神経細胞の1個または2個以上のシナプスの成熟を増進するための有効量のインスリン様成長因子1(IGF1)、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体および/または関連治療分子と接触させることを含む、前記方法。
  45. 1個または2個以上の神経細胞をIGF1と接触させる、請求項44に記載の方法。
  46. IGF1が組換えIGF1である、請求項45に記載の方法。
  47. IGF1がヒトIGF1である、請求項45または請求項46に記載の方法。
  48. 1個または2個以上の神経細胞を(1−3)IGF−1と接触させる、請求項44の方法。
  49. 1個または2個以上の神経細胞を(1−3)IGF−1類縁体と接触させる、請求項44の方法。
  50. (1−3)IGF−1類縁体が、Gly−Pro、Pro−Glu、Gly−Pro−GluのGlyがAla、Ser、ThrもしくはProのいずれかで置換されているか、またはGly−Pro−GluのProがAla、Ser、ThrもしくはGlyのいずれかで置換されているか、またはGly−Pro−GluのGluがAsn、AspもしくはGlnのいずれかで置換されている(1−3)IGF−1置換類縁体、(1−3)IGF−1アミド、(1−3)IGF−1ステアレート、1個もしくは2個のD−アミノ酸を有する(1−3)IGF−1類縁体、または1個もしくは2個の非加水分解性ペプチド結合を有する(1−3)IGF−1類縁体である、請求項49に記載の方法。
  51. 1個または2個以上の神経細胞を関連治療分子と接触させる、請求項44に記載の方法。
  52. 関連治療分子が、IGF−1分泌促進因子、成長ホルモンもしくは前駆体、成長ホルモン分泌促進因子、成長ホルモン放出ペプチドまたは成長ホルモン放出ホルモンもしくは類縁体である、請求項51に記載の方法。
  53. 1個または2個以上の神経細胞がヒト神経細胞である、請求項44〜52に記載の方法。
  54. 1個または2個以上の神経細胞をin vitroで接触させる、請求項44〜53の方法。
  55. 1個または2個以上の神経細胞をin vivoで接触させる、請求項44〜53のいずれかに記載の方法。
  56. in vivoでの接触を、対象へのIGF1、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体ならびに/または関連治療分子を投与することにより行う、請求項55に記載の方法。
  57. IGF1、(1−3)IGF−1、1種または2種以上の(1−3)IGF−1類縁体ならびに/または関連治療分子が経口、静脈内、筋肉内、鼻内、腹腔内、皮下または髄腔内投与される、請求項56に記載の方法。
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