JP2022104448A - 認知症治療薬 - Google Patents

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Abstract

【課題】バゾプレシン又はそのアナログを有効成分として含有する認知症の予防・治療剤を提供する。【解決手段】バゾプレシン及びそのアナログが、8-アルギニン-バゾプレシン、8-リジン-バゾプレシン、2-フェニルアラニン-バゾプレシン、1-デスアミノ-D-アルギニン-バゾプレシン、グリシナミド-アルギニン-バゾプレシン、N3-トリグリシル-8-リジン-バゾプレシン、AVPフラグメント、AVPメタボライト及びV1aRアゴニストからなる群から選択される、認知症治療薬とする。【選択図】なし

Description

本発明は、バゾプレシン又はそのアナログを有効成分として含有する認知症の予防・治療剤といった医薬に関する。本発明の医薬は、認知機能の維持・改善作用、学習・記憶への有益な効果、脳内老廃物の排泄・浄化作用、神経保護作用を有し、認知症をはじめ、神経の傷害や損傷からの回復作用、脳障害や脳の病的な症状の改善作用を有する。
世界中でアルツハイマー病をはじめとする認知症が問題とされるようになっている。アミロイドβ(Aβ)、リン酸化タウをはじめとする脳内老廃毒物が様々な種類の認知症の原因であると同定されてきている。
ところで、アルツハイマー型認知症(AD病)の治療薬としては、コリン仮説(Ach E阻害)やグルタミン酸仮説(興奮性アミノ酸グルタミン酸の毒性効果の抑制)に基づいて、AD病等の傷害により欠乏した神経情報伝達物質を補強しようとするものであったり、Aβとタウ(リン酸化タウ)の凝集蓄積を問題にして、神経毒性効果を持つこの原因物質の生成阻止並びに分解排除を治療戦略としたものが、提供されたり、開発中である。
こうして、この認知症に対する薬物治療も進んできてはいるが、根治治療に至るような治療薬は未だ出来ていないのが現状である。
バゾプレシン、特にアルギニンバゾプレシン(AVP)は、腎臓に働き、尿崩症治療薬として使われており、血管平滑筋に作用して、血管収縮、昇圧効果などを示す。過去、一部の研究者達の間では、熱狂的に「バゾプレシンと記憶」が研究されていたが、記憶・長期増強・シナプス可塑性に関する知見が一般化することで、記憶に関してはCREB転写因子等にその主役を譲り、1990年を過ぎた頃からはその熱気のピークは終りを迎えたように考えられる。
また、AVPは、脳浮腫を憎悪させ、AVPアンタゴニストは脳浮腫を軽減させると言われている。ところで、ヒトでのAVPについての実験は、動物実験と異なり、どのような試験モデルを対象とするべきか、如何なる患者を被検者とすべきか、その評価をどのように把握し、解析すべきかなど難しく、動物実験モデルのように線形的評価で済ますことの出来ないもので、認知機能にしろ、記憶学習行動にしろ、ヒトの脳内現象は非線形的パターンが多く、これを単純化して評価するのは困難である。
さて、動物及び臨床研究で、バソプレシン誘導体が、対照研究で学習と記憶を増強することが報告され、注意・学習障害のある17人の小児において、バソプレシン誘導体を10日間毎日投与し、無作為化、クロスオーバー、二重盲検のデザインで、プラセボ治療の10日間毎日投与と比較し、物語記憶と位置学習は、プラセボと比較して、バソプレシン誘導体により有意に改善したこと、そして、9人のダウン症患者においても、同様の改善傾向が認められたが、他の注意及び学習障害のある15人の小児においては、ランダム化、クロスオーバー、二重盲検のデザインで、バソプレシン誘導体の単回投与を、プラセボと比較したが、有益性は認められなかった(非特許文献1)。このように、動物実験やヒトでの臨床試験で、バゾプレシンの記憶・学習に及ぼす効果としては、ポジティブな報告がある反面、ヒトの場合には、ネガティブなものや効果なしとの報告もある。
Hamburger-Bar R, Eisenberg J, Belmaker RH., "Animal and clinical studies of vasopressin effects on learning and memory", Isr J Med Sci 1987;23:12-18.
現在、日本で臨床医が処方できる抗認知症薬は、脳内の神経伝達物質をターゲットに、それらを調整する治療薬で、AD病やレビー小体型認知症ではアセチルコリンの減少、活性の低下が知られ、また、興奮性情報伝達物質であるグルタミン酸の過剰毒性効果が知られていることから、それらを代償的に補ったり、毒性効果を減弱させたりするという治療法で、アセチルコリン分解酵素(Ach E)阻害剤やグルタミン酸受容体拮抗剤といったものである。
AD病やレビー小体病の患者では、神経伝達物質アセチルコリンが減少し、神経ネットワークが上手く働かないために、記憶・認知に機能障害が起こるとされ、Ach分解酵素阻害薬は、アセチルコリンが減少しないようにする薬物である。
また、興奮性情報伝達物質である興奮性アミノ酸のグルタミン酸が過剰にNMDA受容体を活性化させ、細胞傷害を来たすのを抑制し、さらに、無用な電気シグナルが持続的に発生し、記憶を形成する神経伝達シグナルを隠してしまう状態を起こしてしまうのを抑制するのが、グルタミン酸(NMDA)受容体拮抗薬であるが、いずれも対症的に使用され、限界があり、その効果も満足いくものでない。そもそも、根治を狙った治療薬でないという問題がある。
認知症には種々のものがあるが、神経変性疾患に伴う認知症や血管性認知症というものが主なもので、なかでも、AD病などの神経変性疾患認知症は、その発症メカニズムや病理学的知見から毒性脳内老廃物の凝集・沈着が脳細胞機能の障害を招くというのが原因とされている。
こうした毒性脳内老廃物としてAβ、タウ蛋白、αシヌクレイン、TCD-43などが挙げられている。
また、この老廃物とも言える物質が脳内に蓄積することで、神経細胞の死をも進行する。
「アミロイドカスケード仮説」からは、Aβ凝集プラークは神経毒性が高いとされてきた。
原因物質であるAβやタウを標的にし、それらを作らせないための、酵素阻害薬、並びに、分解除去するための、免疫療法用の各種のワクチンや抗体の開発が進められてきているが、脳炎などの副作用の出現などもあり、未だ開発成功には至っていない。
また、最近では、「オリゴマー仮説」により、不溶性Aβプラーク凝集体より、可溶性Aβオリゴマーが高い神経毒性を有しており、オリゴマー形成抑制をすることが、AD病治療の戦略になるとの報告もあり、緑茶フェノール化合物などが注目されている。
こうした目的で、セレクターゼ阻害薬、抗アミロイドβ抗体、抗タウ蛋白抗体などが研究されているが、これも未だ満足した結果が得られていないのが実情である。
本発明者は、上記問題を解決するために、バゾプレシン又はそのアナログにつき、それらが発揮する認知機能の維持・改善に対する作用効果に焦点を当てて研究を推し進めた。
先ず、本発明者は、アルギニンバゾプレシン(AVP)やそのアナログ(例えば、1-デスアミノ-D-アルギニン-バゾプレシン(DDAVP)、NC1900(pGlu-Asn-Ser-Pro-Arg-Gly-NH2 acetate)など)が、海馬やその他の皮質ニューロンへの働きに関連し、海馬での神経可塑性や長期増強(LTP)に対する促進作用を示し、記憶の生成、保持で、好ましい結果を得ることを可能にし、社会認知・行動へも影響を与えることを明らかにした。
また、本発明者は、AVPやそのアナログが、バゾプレシン受容体であるV1aR受容体(V1aR)を活性化し、水チャンネルであるアクアポリン-4(AQP4)の発現を促して、水の流れを良くして、脳内老廃物の排泄洗浄を促進することを見出した。特に、本発明者は、AVPフラグメント、例えば、AVP(4-8)、AVP(4-9)、AVP(5-8)、AVP(5-9)、NC1900(pGlu-Asn-Ser-Pro-Arg-Gly-NH2 acetate)など、特には、AVP(4-9)が、優れたV1aRアゴニストであって、オリジナルAVPより数倍優れたものであることも見出した。
以上の結果をもとに、本発明を完成した。すなわち、本発明は、1) 視床下部ホルモンの一つであるAVPやそのアナログを学習・認知機能の維持・改善に用いることを特徴とし、さらに、2) AVPやそのアナログを脳内老廃物洗浄排泄機能の維持・改善の目的に使用するという、上記1)と2)の両者の作用を兼ね備えて利用する認知症治療技術を提供する。実際の所、バゾプレシン又はそのアナログが、直接アミロイドβ、リン酸化タウなどの脳内老廃物を洗浄・排泄するのに機能していることは、これまで示されていない。
代表的な態様では、本発明は、次のものを提供している。
〔1〕バゾプレシン及びそのアナログからなる群から選択されたものを有効成分として含有することを特徴とする認知症治療薬、
〔2〕バゾプレシン及びそのアナログが、8-アルギニン-バゾプレシン(AVP)、8-リジン-バゾプレシン(LVP)、2-フェニルアラニン-バゾプレシン、1-デスアミノ-D-アルギニン-バゾプレシン(Desmopressin)、グリシナミド-アルギニン-バゾプレシン(DGAVP)、N3-トリグリシル-8-リジン-バゾプレシン(Terlipresin)、AVPフラグメント、AVPメタボライト及びV1aRアゴニストからなる群から選択されたものであることを特徴とする上記〔1〕記載の治療薬、
〔3〕AVPフラグメントが、AVP(4-8)、AVP(4-9)、AVP(5-8)、AVP(5-9) 及びNC1900からなる群から選択されたものであることを特徴とする上記〔2〕記載の治療薬、
〔4〕経鼻投与、髄液注入及び脳室内注入からなる群から選択された薬物送達ルートに適した投与形態の製剤調製物であることを特徴とする上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の治療薬、及び
〔5〕オキシトシン及びそのアナログからなる群から選択されたものとの配合剤の形態にされていることを特徴とする上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の治療薬。
別の代表的な態様では、本発明は、次のものを提供している。
〔6〕バゾプレシン及びそのアナログからなる群から選択されたものの有効量を対象に投与することを特徴とする認知症治療法、
〔7〕バゾプレシン及びそのアナログが、AVP、LVP、2-フェニルアラニン-バゾプレシン、1-デスアミノ-D-アルギニン-バゾプレシン(Desmopressin)、グリシナミド-アルギニン-バゾプレシン(DGAVP)、N3-トリグリシル-8-リジン-バゾプレシン(Terlipresin)、AVPフラグメント、AVPメタボライト及びV1aRアゴニストからなる群から選択されたものであることを特徴とする上記〔6〕記載の治療法、
〔8〕AVPフラグメントが、AVP(4-8)、AVP(4-9)、AVP(5-8)、AVP(5-9) 及びNC1900からなる群から選択されたものであることを特徴とする上記〔7〕記載の治療法、
〔9〕経鼻投与、髄液注入及び脳室内注入からなる群から選択された薬物送達ルートを使用することを特徴とする上記〔6〕~〔8〕のいずれかに記載の治療法、及び
〔10〕オキシトシン及びそのアナログからなる群から選択されたものとの併用で行うことを特徴とする上記〔6〕~〔9〕のいずれかに記載の治療法、
〔11〕a) 学習・記憶機能の維持又は改善作用、b) 脳内老廃物洗浄排泄機能の維持又は改善作用、及びc) 神経保護作用からなる群から選択された作用・効果を得ることを特徴とする上記〔6〕~〔10〕のいずれかに記載の治療法。
さらに、別の代表的な態様では、本発明は、次のものを提供している。
〔12〕認知症治療薬を製造するための、バゾプレシン及びそのアナログからなる群から選択されたものあるいはそれを有効成分として含有する医薬組成物の使用、
〔13〕バゾプレシン及びそのアナログが、AVP、LVP、2-フェニルアラニン-バゾプレシン、1-デスアミノ-D-アルギニン-バゾプレシン(Desmopressin)、グリシナミド-アルギニン-バゾプレシン(DGAVP)、N3-トリグリシル-8-リジン-バゾプレシン(Terlipresin)、AVPフラグメント、AVPメタボライト及びV1aRアゴニストからなる群から選択されたものであることを特徴とする上記〔12〕記載の使用、
〔14〕AVPフラグメントが、AVP(4-8)、AVP(4-9)、AVP(5-8)、AVP(5-9) 及びNC1900からなる群から選択されたものであることを特徴とする上記〔13〕記載の使用、
〔15〕医薬組成物が、経鼻投与、髄液注入及び脳室内注入からなる群から選択された薬物送達ルートに適した投与形態の製剤調製物であることを特徴とする上記〔12〕~〔14〕のいずれかに記載の使用、及び
〔16〕上記治療薬が、オキシトシン及びそのアナログからなる群から選択されたものとの配合剤の形態にされていることを特徴とする上記〔12〕~〔15〕のいずれかに記載の使用。
本発明に係るバゾプレシン及びそのアナログからなる群から選択されたものを有効成分として含有するものは、アルツハイマー型認知症などを含めた認知症の予防や治療に優れていると期待される。
本発明の薬物は、脳の海馬などのニューロンに働きかけて、学習・記憶に関する機能を向上せしめ、さらに、脳のアストロサイトで水チャンネルであるAQP4の発現を促して、脳脊髄液-脳組織間液における水の流れを良くして、脳内老廃物の排泄洗浄を促進する働きを示し、医薬品として、その効果が優れるばかりでなく、安全性が高いという利点が期待できる。
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。
本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
本発明は、バゾプレシン及びそのアナログからなる群から選択されたものを有効成分とする認知症予防・治療薬剤、及び/又は、それを、対象者に投与することを特徴とする認知症などの予防・治療法を提供している。
本発明は、A) バゾプレシン及びそのアナログからなる群から選択されたものを有効成分とすることを特徴とする認知症予防・治療医薬、及びB) バゾプレシン及びそのアナログからなる群から選択されたものの認知症予防・治療医薬としての有効量と、薬剤学的に許容される添加物とを含有していることを特徴とする医薬組成物も提供する。
上記バゾプレシン(vasopressin)は、下垂体後葉ホルモン(posterior pituitary hormone)として知られており、血管収縮作用があるが、腎に対する作用が強く、尿量を減少させるので、抗利尿ホルモン(antidiuretic hormone, ADH)とも、血圧上昇ホルモンとも呼ばれることがある。当該バゾプレシンとしては、次式:
Figure 2022104448000001
を有する8-アルギニン-バゾプレシン(Arginine vasopressin, Argipressin, AVP)、次式:
Figure 2022104448000002
を有する8-リジン-バゾプレシン(Lysine vasopressin, Lypressin, LVP)、次式:
Figure 2022104448000003
を有する2-フェニルアラニン-バゾプレシン(Phenylalanine vasopressin, Phenypressin)が挙げられるが、好ましくはアルギニンバゾプレシンが挙げられる。
バゾプレシンのアナログは、次式:
Figure 2022104448000004
を有する1-デスアミノ-D-アルギニン-バゾプレシン(1-desamino-D-arginine-vasopressin, Desmopressin, DDAVP)、グリシナミド-アルギニン-バゾプレシン(glycinamide-arginine-vasopressin, DGAVP)、N3-トリグリシル-8-リジン-バゾプレシン(N3-triglycyl-8-lysine-vasopressin, Terlipresin)、AVPフラグメント(AVP fragments)、AVPメタボライト(AVP metabolites)、V1aRアゴニスト(V1aR agonists)などが挙げられ、そして、該AVPフラグメントは、AVP(4-8)、AVP(4-9)、AVP(5-8)、AVP(5-9)、NC1900(pGlu-Asn-Ser-Pro-Arg-Gly-NH2 acetate)などが挙げられ、アルギニンバゾプレシンよりも優れた効力を示したり、及び/又は、末梢性の作用が殆どなくなっていたりして、好適に使用できると期待される。
また、本発明に従えば、最終的にはV1aRに作用して、学習・記憶等の脳活動が発現することから、この受容体に働くすべてのバゾプレシン受容体アゴニストを、有利に挙げることができる。バゾプレシンには、V1aR受容体(V1aR)、V1bR受容体(V1bR)、V2R受容体(V2R)の3種の受容体があることが、知られている。
上記バゾプレシン及びそのアナログは、公知のペプチド合成法などの化学的合成法を適用して合成することができる。さらに、遺伝子工学や醗酵法を利用した手法で得ることも出来るし、こうして得られたものを化学修飾するなどして得ることもできる。
また、これらの化合物は、哺乳動物へ投与した場合の生体内代謝物から通常の生化学的手法および化学的手法を用いて単離、精製することも可能である。
ポリペプチドの構造の修飾・改変などは、例えば日本生化学会編、「新生化学実験講座1、タンパク質 VII、タンパク質工学」、東京化学同人(1993)を参考にし、そこに記載の方法あるいはそこで引用された文献記載の方法、さらにはそれらと実質的に同様な方法で行うことができる。
該修飾・改変のうちには、脱アミノ化、ヒドロキシル化、カルボキシル化、リン酸化、硫酸化、メチル化などのアルキル化、アセチル化などのアシル化、エステル化、アミド化、開環、閉環、グリコシル化、糖鎖の付与又は糖鎖の種類を違うものに変えること、含有糖鎖の数を増減すること、脂質結合、D-体アミノ酸残基への置換などであってもよい。
それらの方法は、当該分野で知られている(例えば、T. E. Creighton, Proteins: Structure and Molecular Properties, pp.79-86 W.H. Freeman & Co., San Francisco, USA (1983)等)。
上記の有効成分である化合物の中で、造塩可能な場合、適当な塩としては、薬理学的に許容し得る塩、例えば無機または有機塩基との塩、中性、塩基性または酸性アミノ酸との塩等が挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム,カリウム等のアルカリ金属、カルシウム,マグネシウム等のアルカリ土類金属、ならびにアルミニウム、アンモニウム等との塩が挙げられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N-ジベンジルエチレンジアミン等との塩が挙げられる。
中性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばグリシン、バリン、ロイシン等との塩が挙げられ、塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチン等との塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸等との塩が挙げられる。
本発明の活性成分を含有する薬物は、第一に、認知機能に好ましい影響を及ぼす、例えば、学習・記憶に関して好ましい影響を及ぼすという作用や効果を発揮し、第二に、脳内洗浄・排泄作用、例えば、脳内老廃物洗浄・排泄作用を示すことにより、記憶・学習機能改善薬、認知症の予防/治療剤などとして有用である。
本発明の活性成分を含有する薬物の示す第一の機能は、アルツハイマー型認知症(AD病)などでの神経変性疾患の原因とは直接関係するようなものでなく、海馬やその他の皮質ニューロンへの働きに関連したもので、既存の治療薬が主として標的としており、AD病の原因物質とされているアミロイドβ(Aβ)やタウ(リン酸化タウ)を、その直接の対象とするものではない。
本発明の薬物は、海馬での神経可塑性や長期増強(long term potentiation: LTP)に対する促進作用を示し、記憶の生成・保持で、好ましい結果を得ることを可能にし、社会認知・行動へも影響を与えることができる。
本発明の活性成分を含有する薬物の示す第二の機能は、老廃物(例えば、Aβを含めたアミロイド、タウ蛋白、αシヌクレイン、TCD-43など)の脳内蓄積を予防する脳内排泄・洗浄作用を利用するものである。
脳には、脳にある血管周囲腔を介する脳の老廃物の処理システムがあり、それはグリンパティック・システム(Glymphatic System: GLS)として知られている。本GLSにおいて、水輸送を担う水チャンネルであるアクアポリン-4(AQP4)は、血管を囲うアストロサイトの足突起(endfeets)にあるといった、血管周囲あるいは脳血液関門(Blood Brain Barrier: BBB)近傍に局在するもの(高度の局在性を持つもの)で、脊髄液(Cerebrospinal Fluid: CSF)といった水移動を促進し、脳組織の細胞外環境を清掃する役割を担っている、すなわち、脳での対流輸送に重要な役割を担っている。
かくして、このGLSとは、脳動脈周囲腔(傍脳動脈周囲腔)から髄液中の水分子がAQP4を介して脳組織に流入してゆき、更に髄液と組織間液が混ざり老廃物を洗浄しつつ静脈周囲腔(傍脳静脈周囲腔)まで流れていく対流システムである。
AQP4チャンネルを介して水分子と老廃物が脳静脈周囲腔→脳外リンパ系に帰って行くが、この老廃物にはAβやタウなどの物質が含まれるのである。このGLSは、種々の神経疾患との関係でその研究が進められている。アルツハイマー病や特発性正常圧水頭症でもGLSの障害が強く示唆されている。
こうした状況下、そのAQP4と関連しているのがV1aRであり、AVPであることを見出した。
かくして、本発明に従えば、AVPが、V1aRを介して、AQP4発現を誘導し、それによりGLSの活性化を誘導し、脳内の水の流れを促進し、更に、脳組織の細胞外空隙を広げることと相俟って、脳内老廃物の排泄・浄化作用を達成できる。
一般的に、老化と共にAQP4の発現が減少してゆき、AQP4の極在(polarization)が失われていく。その最たる状態がAD病で見られる。通常ではAQP4は血管周囲のアストロサイトの限界膜終足部に極在し、神経細胞側に局在することは少ないのであるが、加齢でAQP4極在性が崩壊しつつあるということになる。
その原因の一つがAβと言われている。あるいは動脈硬化の亢進により血流拍動作用が低下しCSF-組織間液(Interstitial Fluid: ISF)の流動が減少して、GLS機能が低下している可能性がある。そのGLSの機能低下が脳内老廃物の蓄積に進行増悪を来す結果となる。
すなわち、加齢と共にGLS機能が低下してゆくのは、A:若年健康成人ではCSF-ISFの対流(Convective flow)は良好でAQP4の発現も血管周囲に多く見られるが、B:加齢に伴いAQP4の発現は減少し、血管周囲だけに限局せず(極性喪失: depolarization)、アストロサイトの至る所で見られるようになり、CSF-ISFの流れは悪くなる。
そして、C:アルツハイマー病者ではGSLの洗浄排出機能は低下して、Aβなどの老廃物は貯留してゆき、血管周囲腔までAβの凝集蓄積が進み、さらにGLS機能が低下していくと考えられる。
本発明では、AVPはAQP4の発現を促し、GLSの水の流れ(water flow)を促進して、老廃物の洗浄作用を促進する。かくして、Aβやタウなどの老廃物の洗浄に役立つ。投与AVPではそのBBB透過性が亢進しないおそれがあるが、血管内投与より、経鼻投与が有用であり、さらに、髄液中への投与も有望である。
脳は1300-1400g(全体重の2.5%程度)しかないが、全血液の15%が灌流し、酸素消費量は全体の20%、脳のエネルギーであるブドウ糖は全摂取量の25%近くを脳で消費すると言われている。
その消費で産生される糖化産物や活性酸素、フリーラジカルなども大量であり、その除去も必要になってくる〔fMRIなどで示されるように、使われた(脱分極の起こった)神経細胞領域では脳血流が増加する(神経血管カップリング: Neurovascular coupling)が、それはそこで生じた活性酸素・フリーラジカルなどの有毒作用を有する物質を洗浄除去(スカベンジ)するために血流が増加している現象と言われている〕。
それ故、脳に代謝物や老廃物を排泄洗浄するシステムの存在を想定するのはキーポイントである。
本発明の活性成分(または有効成分)であるバゾプレシン及びそのアナログからなる群から選択されたものは、睡眠改善作用を有し、GLS活性化を示し、脳内老廃物洗浄作用を促進するし、細胞外空隙や組織間空隙を広げてGLSの流れを良くする。
かくして、脳内老廃物であるAβなどのAD病関連毒物の脳内濃度低下に有用である。
こうして脳機能の低下を防ぎ、AD病などの認知症の予防や治療、認知機能の改善が可能となる。
更に、本発明の活性成分であるバゾプレシン及びそのアナログからなる群から選択されたものは、各種神経保護作用を発揮し、これも認知症の改善作用に役立つ。
例えば、AVPは、V1a受容体を介して海馬ニューロンなどの神経を保護し、さらに、ニューロンなどの神経細胞に直接作用するだけでなく、アストロサイトを介してニューロンなどの神経細胞を保護することが可能である。AVPは、アポトーシスを防ぐ作用を示し、神経損傷を低減せしめ、神経保護作用を示して、脳保護作用を発揮するのに有用で、かくして、認知機能の低下あるいは認知症の増悪を防止したり、認知機能の改善に役立つ。
よって、血管性認知症(Vascular dementia: VaDあるいはVascular Congnitive Impairment: VCI)の治療や予防にも有望である。
本発明の活性成分を含有する薬物は、認知機能障害の改善並びにその予防に有用で、記憶・学習の改善に役立つし、AD病に限らず脳内毒性老廃物の排泄洗浄による認知機能の改善・予防に寄与すると期待される。
さらには、当該薬物は、社会認知や行動の改善に寄与し、自閉症や統合失調症、うつ病 不安症などの症状軽減にも寄与する。
また本発明の活性成分(例えば、バゾプレシンなど)とオキシトシンの合剤などは、優れた効能を示すと期待できる。また、当該薬物は、現在開発中のAβに対するモノクロナール抗体治療によって分解されたアミロイド斑などからでる可溶性アミロイドの排出洗浄にも貢献できる可能性もあり、混合治療薬としても有望である。
アミロイドオリゴマーやアミロイド凝集斑の分解産物である可溶性アミロイドが排出路である血管壁に集合してCAA脳アミロイド血管症に到る場合もあり、その治療や予防にも有望である。
本発明の活性成分を含有する薬物は、認知機能障害全般に適応可能であり、 神経変性疾患、AD病、DLB病、FTL認知症、その他、さらに、血管性認知症VaDや、精神疾患に伴う認知障害などに適応するものである。
当該薬物は、学習・記憶に係る機能に作用し、認知形成に、有用な働きを示し、感情並びに社会行動に好ましい影響を及ぼし、神経学的ストレスに対して保護作用を示し、記憶傷害を緩和又は回復せしめ、うつ、不安、自閉症、分裂病の予防及び/又は治療効果を示し、睡眠障害の改善にも有用である。
本発明の活性成分を含有する薬物は、単独で、もしくは、他の薬剤(例えば、認知症の予防又は治療の目的をもって、公知の処置法で利用される薬物など)と組み合わせて、好ましくは薬剤学的に許容される添加物を加えた製剤の形で、その治療又は処置の目的を達成する。
本明細書で「配合剤」とは、一緒に投与した場合にそれらの別々の効果を生じるといった、いくつかの成分またはいくつかの薬物を含有する薬剤組成物を指しており、それらは疾患などを処置するために一緒に投与された場合に相乗効果を生じるようなものを指してよい。
好ましくは、配合剤中のいくつかの成分またはいくつかの薬物のそれぞれにより得られる別々の作用効果は、より大きな処置効果、例えば、認知機能の維持あるいは改善、記憶・学習機能の維持・改善効果が得られるようにそれを組み合わせることができるのである。
配合剤を投与して得られる効果の例としては、短期での症状の回復と長期投与の後に得られる症状の回復との組み合わせとか、患者における特定の認知機能及び/又は記憶・学習機能の維持や改善の効果といったような効果の組み合わせが挙げられる。
種々の薬物は、それを同時に供与することもできるし、例えば、治療を効率化するよう、必要に応じて個々の薬物の1つまたはすべてを繰り返し投与するものであってよく、同一の薬学的に許容される担体中に入れて投与することもできる。
本明細書で「患者」とは、生きている生物で任意の治療又は予防処置可能なものをさしてよく、好ましくは哺乳動物で、例えば、ヒトが挙げられる。
本発明の活性成分〔例えば、バゾプレシン及びそのアナログ(バゾプレシン受容体アゴニストを包含する)からなる群から選択されたもの〕を医薬として用いる場合、通常単独或いは薬理的に許容される各種製剤補助剤と混合して、医薬組成物又は医薬調製物などとして投与することができる。
好ましくは、経口投与、局所投与、または非経口投与等の使用に適した製剤調製物の形態で投与され、目的に応じていずれの投与形態(吸入法、経皮投与、経鼻投与(薬物を浸み込ませた綿パッドなどの挿入)あるいは直腸投与も包含される)によってもよい。
また、本発明の活性成分は、各種医薬、例えば認知症改善剤、アルツハイマー病治療剤、セクレターゼ阻害薬、抗アミロイドβ抗体、脳神経細胞保護剤、タウ蛋白分解薬、オキシトシンなどのホルモンあるいはそれらのアナログ、浮腫改善剤、消炎剤、免疫調節剤、免疫抑制剤などからなる群から選択されたものと配合して使用することもでき、それらは、有利な働きを持つものであれば制限なく使用でき、例えば当該分野で知られたものの中から選択することができる。特に、オキシトシン又はそのアナログとの併用剤は、有用性が優れている。
非経口的な投与形態としては、局所、経皮、経鼻、静脈内、筋肉内、皮下、皮内もしくは腹腔内投与を包含し得るが、患部への直接投与も可能であり、またある場合には好適でもある。
好ましくはヒトを含む哺乳動物に経口的に、あるいは非経口的(例、細胞内、組織内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内、胸腔内、脊髄腔内、点滴法、注腸、経直腸、点耳、点眼や点鼻、歯、皮膚や粘膜への塗布など)に投与することができる。
具体的な製剤調製物の形態としては、溶液製剤、分散製剤、半固形製剤、粉粒体製剤、成型製剤、浸出製剤などが挙げられ、例えば、錠剤、被覆錠剤、糖衣を施した剤、丸剤、トローチ剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、マイクロカプセル剤、埋込剤、粉末剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、注射剤、液剤、エリキシル剤、エマルジョン剤、灌注剤、シロップ剤、水剤、乳剤、懸濁剤、リニメント剤、ローション剤、エアゾール剤、スプレー剤、吸入剤、噴霧剤、軟膏製剤、硬膏製剤、貼付剤、パスタ剤、パップ剤、クリーム剤、油剤、坐剤(例えば、直腸坐剤)、チンキ剤、皮膚用水剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、塗布剤、輸液剤、注射用液剤などのための粉末剤、凍結乾燥製剤、ゲル調製品等が挙げられる。
医薬用の組成物は通常の方法に従って製剤化することができる。例えば、適宜必要に応じて、生理学的に認められる担体、医薬として許容される担体、アジュバント剤、賦形剤、補形剤、希釈剤、香味剤、香料、甘味剤、ベヒクル、防腐剤、安定化剤、結合剤、pH調節剤、緩衝剤、界面活性剤、基剤、溶剤、充填剤、増量剤、溶解補助剤、可溶化剤、等張化剤、乳化剤、懸濁化剤、分散剤、増粘剤、ゲル化剤、硬化剤、吸収剤、粘着剤、弾性剤、可塑剤、崩壊剤、噴射剤、保存剤、抗酸化剤、遮光剤、保湿剤、緩和剤、帯電防止剤、無痛化剤などを単独もしくは組み合わせて用い、それとともに本発明のペプチド等を混和することによって、一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態にして製造することができる。
非経口的使用に適した製剤としては、活性成分と、水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る媒体との無菌性溶液、または懸濁液剤など、例えば注射剤、輸液、人工髄液等が挙げられる。
一般的には、水、食塩水、デキストロース水溶液、ブドウ糖液、その他関連した糖の溶液、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール類が好ましい液体担体として挙げられる。注射剤や輸液を調製する際は、蒸留水(例えば、注射用蒸留水)、細胞外液補充液、例えば、リンゲル液(乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液、重炭酸リンゲル液、糖加乳酸リンゲル液、糖加酢酸リンゲル液などを含む)、生理食塩液、生理食塩液を5%ブドウ糖液で希釈した液、人工髄液のような担体、適当な分散化剤または湿化剤及び懸濁化剤などを使用して当該分野で知られた方法で、溶液、懸濁液、エマルジョンのごとき注射しうる形、あるいは腰椎穿刺投与しうる形などに調製する。
注射用(穿刺投与用も含む)の水性液としては、例えば生理食塩液、リンゲル液、ブドウ糖やその他の補助薬(例えば、D-ソルビトール、D-マンニトール、塩化ナトリウムなど)を含む等張液などが挙げられ、薬理的に許容される適当な溶解補助剤、たとえばアルコール(たとえばエタノールなど)、ポリアルコール(たとえばプロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、非イオン性界面活性剤(たとえばポリソルベート 80 TM, HCO-50など)などと併用してもよい。
油性液としてはゴマ油、大豆油などが挙げられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。
また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液など)又は浸透圧調節のための試薬、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、アスコルビン酸などの酸化防止剤、吸収促進剤などと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填される。
非経口投与には、界面活性剤及びその他の薬学的に許容される助剤を加えるか、あるいは加えずに、水、エタノール又は油のような無菌の薬学的に許容される液体中の溶液あるいは懸濁液の形態に製剤化される。
製剤に使用される油性ベヒクルあるいは溶剤としては、天然あるいは合成あるいは半合成のモノあるいはジあるいはトリグリセリド類、天然、半合成あるいは合成の油脂類あるいは脂肪酸類が挙げられ、例えばピーナッツ油、トウモロコシ油、大豆油、ゴマ油などの植物油が挙げられる。
例えば、この注射剤は、通常本発明化合物を0.1 ~10重量%程度含有するように調製されることができる。
局所的、例えば口腔、又は直腸的使用に適した製剤としては、例えば洗口剤、歯磨き剤、口腔噴霧剤、吸入剤、軟膏剤、歯科充填剤、歯科コーティング剤、歯科ペースト剤、坐剤等が挙げられる。洗口剤、その他歯科用剤としては、薬理的に許容される担体を用いて慣用の方法により調製される。口腔噴霧剤、吸入剤としては、本発明化合物自体又は薬理的に許容される不活性担体とともにエアロゾル又はネブライザー用の溶液に溶解させるかあるいは、吸入用微粉末として口腔などへ投与できる。治療薬はエアロゾルを投与してもよく、有利には、例えば、鼻用スプレーまたはエアロゾルスプレーによって反復投与することもできる。軟膏剤は、通常使用される基剤、例えば、軟膏基剤(白色ワセリン、パラフィン、オリーブ油、マクロゴール400、マクロゴール軟膏など)等を添加し、慣用の方法により調製される。
歯、皮膚への局所塗布用の薬品は、適切に殺菌した水または非水賦形剤の溶液または懸濁液に調剤することができる。
添加剤としては、例えば亜硫酸水素ナトリウムまたはエデト酸二ナトリウムのような緩衝剤;酢酸または硝酸フェニル水銀、塩化ベンザルコニウムまたはクロロヘキシジンのような殺菌および抗真菌剤を含む防腐剤およびヒプロメルローズのような濃厚剤が挙げられる。
坐剤は、当該分野において周知の担体、好ましくは非刺激性の適当な補形剤、例えばポリエチレングリコール類、ラノリン、カカオ脂、脂肪酸トリグリセライド等の、好ましくは常温では固体であるが腸管の温度では液体で、直腸内で融解し薬物を放出するものなどを使用して、慣用の方法により調製されるが、通常本発明化合物を0.1 ~95重量%程度含有するように調製される。
使用する賦形剤および濃度によって薬品は、賦形剤に懸濁させるかまたは溶解させることができる。
局部麻酔剤、防腐剤および緩衝剤のような補助薬は、賦形剤に溶解可能である。
経口的使用に適した製剤としては、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、トローチのような固形組成物や、液剤、シロップ剤、懸濁剤のような液状組成物等が挙げられる。
製剤調製する際は、当該分野で知られた製剤補助剤などを用いる。錠剤及び丸剤はさらにエンテリックコーティングされて製造されることもできる。調剤単位形態がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。
特にマイクロカプセル剤においては、カプセル化するためのリポソームを使用するものが挙げられる。
本発明の活性成分〔例えば、バゾプレシン及びそのアナログ(バゾプレシン受容体アゴニストを包含する)からなる群から選択されたもの〕を、脳内のターゲットに送達するには、脳血液関門(Blood Brain Barrier: BBB)を越えることが必要である。
これを解決する薬物送達ルートとしては、経鼻投与、髄液への注入、脳室内注入などが挙げられる。例えば、髄液注入のルートでは、くも膜下腔の髄液中に薬物を入れて、脳内への移行を拡散とGLS体液流により比較的良好に行うことも可能である。また、髄液への注入においては、直接髄注法や、器具を内臓せしめて持続的に注入することも可能である。さらに、腰椎穿刺で髄腔内注射することもできる。
経鼻投与では、投与された薬物は、鼻腔上部の嗅粘膜を介する嗅神経束からの直接的な脳内移行、嗅神経や三叉神経などの神経系からの脳脊髄液(CSF)への移行、鼻粘膜全体に存在する毛細血管周囲組織を介する直接的な脳への薬物漏出など、CSFや細胞外神経チャンネルを介した脳実質組織への薬物移行が期待できる。
経鼻投与は、脳内への速やかな薬物送達、初回通過効果の回避、全身循環血流薬物排泄機構の回避および全身性副作用の低減が可能であり、BBBを介する投与経路に比べ、効率的かつ非侵襲的な脳への薬物送達には理想的な投与経路の一つといえる。
一般に、鼻腔内に投与された物質は、1.嗅粘膜上皮組織の嗅神経への移行、2.鼻粘膜・呼吸粘膜上皮組織の三叉神経への移行、3.鼻粘膜組織内の毛細血管やリンパ管への移行、4.脳脊髄液(CSF)への移行、5.鼻粘膜繊毛運動による排泄などの経路をたどり、分布・排泄されることが知られている.
本発明の活性成分〔例えば、バゾプレシン及びそのアナログ(バゾプレシン受容体アゴニストを包含する)からなる群から選択されたもの〕を経鼻投与した後の薬物の脳内移行動態を以下のように解析した。
すなわち、経鼻投与後の薬物脳移行動態を脳4部位(嗅球、海馬、大脳、小脳)および脳脊髄液(CSF)に分割することで脳部位別に定量評価した結果、薬物は鼻腔から嗅神経周辺部のCSF中へ移行した後、CSFと共に脳内を循環し、脳実質内部まで取込まれる可能性が示された。
近年、脳内CSFは、脳周辺部から脳動脈周辺腔を介して脳実質内へと流入した後、静脈血周辺腔から流出して、くも膜下腔へと再流入することで脳内を循環するという脳内体液循環システム(glymphatic system; GLS)が報告されており、従って、上記研究成果から得られた経鼻投与後の薬物脳移行動態の知見から、薬物はまず鼻腔からCSFに移行することで、GLSにより脳実質内まで送達される可能性が示唆される。
本発明の薬物を利用した認知症治療は、哺乳動物が示しているかもしれない特定の疾患・病気などに関して適切であるように、当該哺乳動物を診断することによってその実施が開始される。
診断はまた、処置の進行をモニターするため、例えば、行われている治療における投与量または投与回数のようなパラメータ一を変えるか否かを判断するために、治療手順として治療の間継続されることができる。
本発明の認知症治療薬の投与についての適切性を決定することを助けることができるような診断手法としては、哺乳動物における学習・記憶機能のレベルの分析、およびMRIなどを使用して評価された脳内のアミロイドβ、タウ蛋白、その他の傷害を誘導するとされる老廃物のレベルの比較などが挙げられる。処置されるべき哺乳動物の疾患・病気、そしてその状態などは、脳内のAβ、タウ蛋白、その他の老廃物を検出することによってモニターされることができる。
本発明は、認知症などの疾患や病気に悩む哺乳動物、認知症発症リスクの高い哺乳動物を、バゾプレシン及びそのアナログからなる群から選択されたものを有効成分とする認知症予防・治療薬剤(例えば、治療活性成分としてバゾプレシン及びそのアナログからなる群から選択されたものなどを含む組成物)の投与により処置する方法を開示するものである。
本明細書中で使用する「投与」または「投与する」とは、治療剤または治療剤の配合物を哺乳動物に送達するプロセスをいう。投与プロセスは、治療剤(単数または複数の治療剤)および所望の効果により変えることができる。投与は、例えば、非経口的送達または経口的送達など、治療剤に適した任意の手段により達成することができる。
非経口的送達としては、例えば、皮下、静脈内、筋肉内、動脈内送達、器官組織への注射、鼻などの粘膜、肺、局所的、またはカテーテルによる送達などが挙げられる。
経口的手段は口を経由してなされるものであり、例えば、錠剤またはその他の胃腸経由の送達手段(飲用可能な液体を含む) を使用するなどして行われる。
粘膜経由の送達としては、例えば、鼻腔内送達などが挙げられる。肺経由の送達としては、薬剤の吸入させることであってよい。
投与は、一般的に、薬学的に許容される担体(例えば、緩衝液、ポリペプチド、ペプチド、ポリサッカライドコンジュゲート、リポソーム、リピッドなど)を用いた送達によりなされてよい。このような投与手段は、処置される疾患に適しているように選択される。
併用投与とは、ある患者に加えられている治療において1つあるいはそれ以上の治療剤を投与することをいう。
治療剤は、同じ薬学的担体を用いて投与されることができるし、または異なる担体を用いて投与されることもできる。それらは、同じまたは異なる投与手段により投与されることもできる。
薬剤は、同じ型の薬剤であっても、または異なる型の薬剤であってよく、例えば、異なる型としては、ポリペプチド、または低分子のものが挙げられる。
投与時間は、正確に同じ時間であってもよいし、1つの治療剤は、別の薬剤の前または後に投与されてもよい。
従って、併用投与は、同時であってもよいし、連続的であってもよい。治療剤を所定の組合せとするための正確なプロトコルは、薬剤およびその他の考慮の中で処置される状態を考慮して決定される。
治療的に有効な量としては、所望の治療結果を生じるような量のことをいう。例えば、所望の治療効果が認知機能の回復である場合、治療的に有効な量とは、認知機能の回復を容易にするような量をさす。
治療的に有用な量とは、例えば、数日または数週間の投与を含むような投薬プロトコルにおいて投与されるような量であってよい。治療効果が、例えば、脳内のAβなどの老廃物蓄積亢進の徴候が出現している間に、哺乳動物の脳内の老廃物の悪影響を低減せしめるものである場合、哺乳動物においてこれを達成するための薬剤の有効量とは、脳内の老廃物の蓄積徴候の低減をもたらすような量をいう。
用語「薬学的に許容される担体」とは、治療剤(例えば、バゾプレシン及びそのアナログからなる群から選択されたものなど)を投与するための担体を指しており、それ自体が組成物を受け取る個体に有害な抗体の産生を誘導せず、そして問題とされるような毒性がなくてそれを投与することができるような任意の薬学的に許容される担体をいう。
本発明の別の態様では、薬学的に許容される担体または希釈剤と組合せて上記のようなV1aRアゴニストなどを含んでいる薬学的組成物が提供される。
このような薬学的組成物は、液体溶液の形態のものであってよく、投与前に溶液に懸濁されることのできるような固体形態(例えば、凍結乾燥された固体)のものとして調製されていてよい。
さらに、組成物は、鼻粘膜などの表面へ投与したり、髄液内あるいは脳室内に注射したりするのに適した担体または希釈剤を用いて調製されることができる。
薬学的に許容される担体または希釈剤は、使用される投与量および濃度でそれを受け取る者に対して実質的に無毒であるものである。
粘膜投与可能な溶液や注射可能な溶液のための担体または希釈剤の代表的な例としては、水、等張生理食塩水溶液(好ましくは、生理学的pHに緩衝化されているもので、例えば、リン酸緩衝化生理食塩水またはTris緩衝化生理食塩水などが挙げられる)、マンニトール、デキストロース、グリセロール、エタノール、ポリペプチドまたはタンパク質(例えば、ヒト血清アルブミンなど)が挙げられる。特に好ましい組成物としては、10mg/mlマンニトール、1mg/ml HSA、20mM Tris(pH7.2)、および150mM NaCl中にペプチドを含むものが挙げられる。
この場合、ペプチドは約1mgの物質を示すものであってよく、高分子物質が1%未満で、総物質量(水を含む)の1/100,000未満であってよい。この組成物は、少なくとも6ヶ月間約20℃で安定である。
ペプチドおよびそのアナログの投与では、効力はまた投与量により変わり、約1μg/kg~約500mg/kg哺乳動物体重、および約100μg/kg~約5mg/kg、および約1μg/kg~約50μg/kgの範囲であってよい。
そして通常の用量は約10μg/kgであってよい。低分子治療薬の投与については、低分子の効力に応じて、投与量を変えることができる。
本発明の活性成分は、その投与量を広範囲にわたって選択して投与できるが、その投与量及び投与回数などは、処置患者の性別、年齢、体重、一般的健康状態、食事、投与時間、投与方法、排泄速度、薬物の組み合わせ、患者のその時に治療を行なっている病状の程度に応じ、それらあるいはその他の要因を考慮して決められる。
本発明の活性成分〔例えば、バゾプレシン及びそのアナログ(バゾプレシン受容体アゴニストを包含する)からなる群から選択されたもの〕の投与量としては、例えば、8-アルギニン-バゾプレシン(AVP)の場合、1~100単位、好ましくは10~80単位、より好ましくは20~40単位が挙げられ、また、ある場合には、一回当たり1~50単位で、1日当たり1~5回の投与、好ましくは一回当たり1~40単位で、1日当たり2~3回の投与、より好ましくは一回当たり2~20単位で、1日当たり2~3回の投与が挙げられる。
1-デスアミノ-D-アルギニン-バゾプレシン(Desmopressin, DDAVP)の場合、0.1~600μg、好ましくは1~80μg、より好ましくは5~40μgが挙げられ、また、ある場合には、1日当たり0.1μg~1mgで、好ましくは1日当たり1~100μgで、より好ましくは一日当たり1~4μgの投与が挙げられる。N3-トリグリシル-8-リジン-バゾプレシン(Terlipresin)の場合、0.01~100mg、好ましくは0.1~10mg、より好ましくは1~2mgが挙げられ、また、ある場合には、一回当たり0.1~100mgで、1日当たり1~10回の投与、好ましくは一回当たり0.1~20mgで、1日当たり2~8回の投与、より好ましくは一回当たり1~2mgで、1日当たり4~6回の投与が挙げられる。
医薬品製造にあたっては、その添加剤等や調製法などは、例えば日本薬局方解説書編集委員会編、第十四改正 日本薬局方解説書、平成13年6月27日発行、株式会社廣川書店;一番ヶ瀬 尚 他編 医薬品の開発12巻(製剤素剤〔I〕)、平成2年10月15日発行、株式会社廣川書店;同、医薬品の開発12巻(製剤素材〔II〕)平成2年10月28日発行、株式会社廣川書店などの記載を参考にして、それらのうちから必要に応じて適宜選択して適用することができる。
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。本発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。
全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
〔経鼻スプレー用剤〕
アルギニンバゾプレシン 20単位
クロロブタノール 5 mg
上記を、pH調節剤を含んだ注射用蒸留水で、pH3.0~4.0の無色澄明の溶液1mlにする。次にこれを、5%ブドウ糖液と混和し、10~20mlにし、経鼻スプレーに充填して、使用する。
〔経鼻スプレー用剤〕
アルギニンバゾプレシン20単位を、pH調節剤として酢酸を含んだ注射用蒸留水で、pH3.0~4.0の無色澄明の溶液1mlにする。次にこれを、リンゲル液と混和し、50~100mlにし、経鼻スプレーに充填して、使用する。
〔髄注用剤〕
アルギニンバゾプレシン20単位を、pH調節剤を含んだ注射用蒸留水で、pH3.0~4.0の無色澄明の溶液1mlにする。次にこれを、乳酸リンゲル液と混和し、100~200mlにし、腰椎穿刺法で、髄液中に投与する。
〔髄注用剤〕
アルギニンバゾプレシン20単位を、pH調節剤を含んだ注射用蒸留水で、pH3.0~4.0の無色澄明の溶液10mlにする。次にこれを、乳酸リンゲル液と混和し、500~1000mlにし、腰椎穿刺法で、アルギニンバゾプレシンを3~4ミリ単位投与となるように髄液中に投与する。
〔モデル動物試験〕
高齢ラット及びAD病モデルラットを用いて、アルギニンバゾプレシン(AVP)脳内濃度とAQP4濃度を測定する。プラセボ群とAVP経鼻スプレー投与群との間で、AQP4の発現量を測定し、同時にアミロイドβ(Aβ)(及び/又はタウ蛋白)の測定をおこなう。AQP4とAβの測定は、免疫蛍光抗体法にて行う。測定は、投与前、投与後1週間、投与後1ヶ月、投与後3ヶ月の時点での、それぞれのAβ(及び/又はタウ)濃度の測定(脳全体と各部位)での比較をする。
AVP脳内濃度とAQP4の発現量とは、相関関係があり、さらに、Aβの減少量との間にも相関関係が観察される。
本試験においては、AVP血管内投与群との間でも、その比較を行う。AVP経鼻投与が有効であることが確認される。
本発明の活性成分〔例えば、バゾプレシン及びそのアナログ(バゾプレシン受容体アゴニストを包含する)からなる群から選択されたもの〕を、神経モジュレーター(Modulator)として脳の海馬に働きかけると、記憶の強化を促すことができ、さらに、学習機能を向上させることが可能であり、また、脳のアストロサイトでアクアポリン-4の発現を促すことができ、脳脊髄液-脳組織間液の流れを促すことができ、脳の老廃物を洗浄排出させる働きを発揮せしめることができ、認知機能の維持・改善に有用で、認知症の進行を防ぐことが可能になる。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。

Claims (5)

  1. バゾプレシン及びそのアナログからなる群から選択されたものを有効成分として含有することを特徴とする認知症治療薬。
  2. バゾプレシン及びそのアナログが、8-アルギニン-バゾプレシン、8-リジン-バゾプレシン、2-フェニルアラニン-バゾプレシン、1-デスアミノ-D-アルギニン-バゾプレシン、グリシナミド-アルギニン-バゾプレシン、N3-トリグリシル-8-リジン-バゾプレシン、AVPフラグメント、AVPメタボライト及びV1aRアゴニストからなる群から選択されたものであることを特徴とする請求項1記載の治療薬。
  3. AVPフラグメントが、AVP(4-8)、AVP(4-9)、AVP(5-8)、AVP(5-9) 及びNC1900からなる群から選択されたものであることを特徴とする請求項2記載の治療薬。
  4. 経鼻投与、髄液注入及び脳室内注入からなる群から選択された薬物送達ルートに適した投与形態の製剤調製物であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の治療薬。
  5. オキシトシン及びそのアナログからなる群から選択されたものとの配合剤の形態にされていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の治療薬。
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