本開示は、シールド付き電力結合装置に関し、より詳細には、たとえば、医療応用またはセキュリティ応用等で用いられるようなコンピュータ断層撮影(CT)スキャナのような文脈で、または、相対的に回転するように係合できる部材の間で電力の伝達が望まれるような他の応用に関する文脈で、RF放射および/または他の電磁的干渉を低減させることができ、および/または、電力の誘導伝達の効率を改善することができるシールド付き電力結合装置に関する。
本明細書において、「電磁的干渉」、「ラジオ周波数(RF)放射」等の語は最も一般的な意味で用いられ、本発明の実施形態による電力結合装置の運転に影響を与えるような、周囲の装置からの干渉を含むが、これらの語は、特に、本発明の実施形態による電力結合装置により生成される干渉を参照することを意図しており、特に、CTスキャナの一部または複数の部分や、CTスキャナに関して使用されるもの、あるいは、本発明の実施形態による電力結合装置の文脈において用いられるその他のシステムのような、敏感な電子機器に影響を与える干渉を参照することを意図している。
「体(body)」、「物体(object)」、「ステーター(stator)」、「ローター(rotor)」、「空気ギャップ(airgap)」、「シールド(shield)」、「コア(core)」、「巻部(winding)」、「中心(center)」、「軸(axis)」等のような語を便宜的に単数形で用いるが、同様の状況は当然に存在し、そして、本発明は原則としてこれらの特徴が複数存在するような場合にも適用可能であると理解されたい。また、逆に、複数のものとして説明されていても、それは必ずしも単体であることを排除するものではない。また、「〜の間」、「〜の中」のような表現に関し、文脈から明らかである場合を除いて、「〜の間」との表現は必ずしも2つの物体に限定することを意図しておらず、また「〜の中」との表現はかならずしも2つより多いという限定を意図するものではない。
本明細書で「非接触」との語は、相対的に回転することができる部材の間または中で誘導的な方法で電力を伝達する能力を参照するために用いられており、必ずしも、他の目的のためにこれらの部材が接触する可能性を排除するものではないことを理解されたい。たとえば、他の目的は、静電放出、データの交換または伝達、機械的な駆動または支持、制動機構および安全機構、低伝達電力伝達、または、ここで開示される電力結合装置のタイプの誘導電圧電力に加えて必要とされるかもしれない高電圧電力伝達などを含む。
図1を参照すると、電気伝導性のワイヤ110、160(以下「巻部」ともいう)等を備える、概ね等しい直径の概ね円形の2つのコイルが互いに近接して示されており、これらの巻部110、160は、回転軸上に中心決めされ、回転軸に概ね垂直な平行面内に位置する。つまり、巻部110、160は回転軸と同軸であるということができる。回転軸に中心決めされ且つ巻部の曲率半径に等しい大きな半径(major radius)を備えるトーラスを仮定すれば、このトーラスの大きな円に沿う電流の流れは、いわゆる右手の法則(親指が電流の流れる方向を指すようにワイヤを右手でつかむ場合に、誘導磁束はワイヤの周りに指の巻方向に生じる)に従ってトーラスの小さい円(minor circle)に沿う磁束ループの流れを生じさせる。なお、図面において、電流または磁束の流れの向き符号に関して、すなわち前方/後方または時計回り/反時計回り等に関して、正確な描写をしているわけではなく、ここでは、一方において電流による横断による、他方において磁束の横断による互いの経路を示すことだけを意図している。また、ワイヤを流れる電流は交流電流であり、電流および磁束の流れの方向は経時的に変化し、これを正確に描写しているものではない。文脈から明らかでない限り、本明細書で用いられる「電流」との語は交流電流を参照する。
1回転の巻部110、160が示されているけれども、巻部110、160の一方または両方を複数回転または端数回転(「端数回転」とは、360°より少ない回転、または、1回転または複数回転に端数回転が加えられたものを意味する)としてもよい。巻部110、160が互いに対して相対的に回転する場合、巻部の一方が静止しているように見える参照フレームが想定され、この場合、アセンブリを静止側(たとえば巻部110)および回転側(たとえば巻部160)として観察することができ、その間にある空気ギャップが相対回転を許容する。
本明細書において、文脈から明らかでない限り、「ギャップ(gap)」および「空気ギャップ(airgap)」との語は、概ね交換可能に用いられる。ここでは「空気ギャップ」との語が用いられるがこれは単なる慣習的な表現に過ぎず、このようなギャップは空気に限定されず、真空、油、および/または他の流体、および/またはスライド部および/または回転ベアリング、または、これらの空間を完全にまたは部分的に満たす相対的な運動を許容するその他の機構とすることが可能である。
たとえば、静止側と回転側との間の電気接続として、スライド接触部または摩擦接触部(たとえば、ブラシ等)の代わりにまたはそれに追加して、電力が回転部にまたは回転部から伝達されなければならない場合において、このような一対の巻部を採用することは便宜であり、静止側を介して静止する電子回路構成への電気接続を形成し、回転側を介して回転する電子回路構成への電気接続を形成し、トランスフォーマーの方式の後の相互誘導により空気ギャップを横切って電力を伝達する。このような場合、2つの巻部110、160は、磁束線により誘導的に結合され、振動する電流が一方の巻部に与えられるときに、起電力が他方の巻部に現れる。
ここで図2を参照すると、図2は図1に示される巻部110、160の断面図であり、巻部110、160を相互リンクする磁束線が通る経路の磁気抵抗を低減させることにより巻部110、160間の相互誘導結合を改善する、C形状の強磁性体の半コア115、165、または他のこのような磁気抵抗を低減させる材料の分配、の外形が破線で示されている。他の方法として、巻部間の結合を増強するためにフェライト(非電気伝導性の強磁性セラミック材料)等のトロイダルシェルを巻部110、160の周りに配置してもよく、これは、2つの巻部110、160が互いに対して運動することができることが望まれ、静止巻部110に固定された半コアと回転巻部160とともに運動する他方の半コアとの間の運動を許容するようにフェライトシェルが分割される場合に便宜である。このような場合、2つの巻部110、160を相互リンクする磁束線のループが通る経路が、フェライトを通る2つのセグメントおよび空気を通る2つのセグメントを備えることになる。
ここで用いられる、「半結合部」、「半シェル」、「半コア」、「半シールド」等の語は、誘導結合、およびシェル等の全体を構成する複数(たとえば2つ)の部分のうちの1つの部分を参照するための略語として用いられており、これらの部品が正確に2つでなければならないとか、これらの部品が等しい寸法、体積、質量等でなければならないなどというように、過度に文言通りに解釈すべきでなく、また、「結合」との語から、正確に2つのこのような部品がある、というように解釈すべきでない。むしろ、ここでは、文脈から明らかでない限り、このような語は、複数の部分が全体を構成しているようなより一般的な場合の総称であると理解すべきである。「回転トランスフォーマー半結合部」との語は、ここでは、回転トランスフォーマーの一方または他方の側(主側または副側)の構造を参照するために用いられており、それ自身では回転トランスフォーマーの機能ではなく、主側および副側が一緒になって機能する回転トランスフォーマーを構成する両者の結合構造から区別している。さらに、特に半コア、半シールドに関する接頭語「半」は説明の便宜のために省略されることがある。
「コア」との語の使用に関して、この語はここでは、磁気抵抗を低減させる(代替的に磁気透過性ともいう)材料を総称的に参照するために用いられており、巻部等に関するこれらの材料の配置に関わりなく用いられる。すなわち、「コア」との語は、従来のトランスフォーマーの場合は、これらの磁気抵抗低減材料が軸方向に方向付けられまたは巻部の回転内の中心に位置決めされることを提案しているかのうように狭く解釈されるかもしれないが、実施形態では、トロイダルの長円の方向に巻かれた巻部の周りのトロイダルの短円の平面内における磁束ループを補強するように、コア材料が概ねトロイダル様に分配される、いわゆる逆トポロジーを備える回転トランスフォーマーが採用されているが、「コア」との語は、ここでは、従来の慣習の外で用いられている。
図2を参照すると、静止巻部110が、たとえば、トランスフォーマー主巻部の型で交流電流電源に接続されると、負荷が接続される回転巻部160はトランスフォーマーの副巻部として機能する。このような回転トランスフォーマーにおいて、主巻部は、誘導場生成素子として機能し、副巻部は誘導結合場受け取り素子として機能し、磁気抵抗低減材料は誘導結合効率増加素子として機能する。ここで用いられる「トランスフォーマー」との語は、相互誘導により電力を伝達する装置を参照するために用いられ、この語は、磁気抵抗低減材料が存在するかどうかに関係なく、また、インダクタンスの漏れが存在するかどうかまたはその量如何にも関係なく、そして、一方の側の巻数(すなわち、主または副側、または図2の空気ギャップ102の上側または下側)と、他の側の巻数との比が、ステップアップ、ステップダウン、または1対1の電力伝達を形成するか、すなわち、各巻部における静電力がステップアップ、ステップダウン、または1対1になるかどうかに関係ない。
図2を参照し、このような回転トランスフォーマー構造は、この場合、主(たとえば静止)巻部110、副(たとえば回転)巻部160、主コア(たとえばフェライト半コア)115、副コア(たとえばフェライト半コア)165、および空気ギャップ102を有し、空気ギャップ102は、副巻部160および副コア165が主巻部110および主コア115に対して回転できるようにする。図2に関する説明において、半コアが言及されるときであっても図2の説明の便宜のために接頭語「半」はときどき省略されることがあることに注意されたい。図2は、巻部およびコア半シェルにより形成される概ね線対称のトロイダル構造を通る、メリジオナル断面(「半径方向断面」とも言及される)である。図2は、概ね等しい半径の2つの巻部を備える図1に示されるような「重ねられた(stacked)」または「軸方向にずれた」巻部の構造として参照される構造を示しているので、結果として、概ね線対称のトロイダル構造は線対称の軸を備え、この軸は図2に示されるように垂直である。仮に、図1において、代わりに、互いに異なる半径の2つの同軸に配置された(半径方向にずらされたとも言及される)巻部があり、且つ、2−2の断面が図2に示す断面に対して90°で取られた場合、結果として、概ね線対称のトロイダル構造は、線対称の軸を備え、これは図2に示すように水平である。他の方法を示せば、図2に示される断面プロファイルは、図1に示すような軸方向にずれた構成を得るために、図2に示すような垂直の線対称の軸を備える回転固体を形成するために用いられる。あるいは、図2に示される断面プロファイルは、回転固体が図2に示すような水平な線対称軸を備え、巻部が同軸に配置される半径方向にずれ、フェライト半コアが内側に面する開いた側部を備える大きな半径の巻部にあり、フェライト半コアが外側に面する開いた側部を備える小さな半径の巻部にあり、フェライト半コアの各開いた側部がその間の空気ギャップを挟んで向かい合う、ような構成を得るために用いられる。回転トランスフォーマーの運転中に、コア空気ギャップ102により掃引され、且つ、仮想表面145および195により境界付けられた、強磁性体半コア115、165のコア空気ギャップ界面が概ね一致する空間の容積は、軸方向にずれた構成の場合でも、または半径方向にずれた構成の場合でも、環状であるが、軸方向にずれた構成の場合は、コア空気ギャップ102により掃引された空間の容積、およびコア空気ギャップ102を境界付ける仮想表面145および195は、回転トランスフォーマーの運転中に平面(沈下(squat)、平坦、およびワッシャ状)に近づき、この構成は、ときどき「平面構成」(「平面円形(plane circular)」構成とも参照される)と参照され、また、半径方向にずれた構成の場合は、コア空気ギャップ102により掃引された空間の容積、および空気ギャップ102を境界付ける仮想表面145および195は、回転トランスフォーマーの運転中に円筒形に近づき、この構成はときどきここでは「円筒構成」と参照される。
ここで、もし回転軸が巻部110、160、および強磁性体半コア115、165の対称軸であるならば、結合は、この軸を中心とする回転運動により実質的に影響を受けないであろう。ここで議論される回転トランスフォーマーの文脈において、回転トランスフォーマーが線対称の構成であるので、回転トランスフォーマーの線対称軸は、回転トランスフォーマーの回転軸と実質的に同一線上にあると理解される。すなわち、文脈から他の意味であることが明らかでない限り、これらの線対称軸または回転軸の一方が言及されるときは、一般に他方の軸のことも示唆していると理解することができる。ここで用いられる「回転トランスフォーマー」との語は、たとえば静止した外部の点に対して一方または両方の側が回転可能であるかどうかに関わらず、一方の側が他方の側に対して回転可能である誘導電力伝達装置を参照するために用いられている。
上述の議論は、図1に示されるような垂直または水平な線対称軸を備える回転固体が、どのように、図2に示されるような断面プロファイルから得られるかについて説明したが、一般に、任意の方向における線対称軸および回転軸を備えることが可能である(しかし、線対称軸および回転軸を任意に選択できるが、線対称軸は概ね回転軸と同一線上であることが好ましい)。線対称軸および回転軸が図1に示すような水平または垂直ではない場合、コア空気ギャップにより掃引される空間の容積、およびコア空気ギャップの界面が概ね一致するコア空気ギャップを境界付ける仮想表面は、回転トランスフォーマーの運転中に概ね円錐形状になり、このような構成はここではしばしば「円錐構成」(たとえば図16参照)と言及される。線対称性に加えて、空気ギャップに対するある程度の対称性が存在し、たとえば図2に示されているように、回転トランスフォーマーの一方の側(たとえば副側)は、巻部/コア構造の空気ギャップを挟んで、回転トランスフォーマーの他方の側(主側)の反射像として理解することができる。このような対称性の結果として、主側および副側は、ある程度、空気ギャップを挟んで互いに反射像となり、このような場合、寸法は、円筒形または円錐形の構成の場合、一方が半径方向内側に回転軸に向かって動くときに縮み、一方が半径方向外側に回転軸から離れるように動くときに広がる。
特に本発明の1つまたは複数の実施形態による実際の駆動に好ましいので、このような電力結合装置は、20kHz以上の周波数で駆動できるように構成され、図2に示される構造、つまりフェライトおよび銅(これはコア半シェル115、116および巻部110、160の特定の材料の例である)は、双極場を生成し、周りの空間に強い放射を生成するであろう。このような放射が望ましくない場合、フェライトシェルはシールド(図4参照)として機能する電気伝導性シェルにより取り囲まれ、また、巻部内の正味の電流による電磁場を概ね正確に相殺するような磁場を誘導することができる電流を伝達するように設計される。これが達成されるので、シールドの外への放射の漏れを減少または除去し得る。
ここで用いられる「シールド」との語は、以降文脈に依存して、狭くは、ファラデー型のシールドまたは電気伝導により電磁場を相殺する傾向を備える他のこのようなシールドを参照し、また、より一般的には、適切な巻部の配置、および/または、所定の配置のコアまたは他の磁気抵抗材料の使用を通じて、磁場をそらすおよび/または整列させることを含むシールドを参照し、あるいは、本技術分野でこの語が用いられる様々な通常なまたは特定の意味を参照する。「シールド」、「シールドする」との語は、ここでは、電気伝導部分による電磁場の相殺だけを参照するのではなく、さらに、電気伝導部による電磁場の相殺を促進し、または、他の方法で磁束の外への漏れを防止またはその支援をするための、磁気抵抗低減部による磁束の整列、チャネリング、閉じ込め、そらし、および/または案内を参照する。
図3を参照すると、同図は図1の巻部110、160の斜視図であり、巻部110、160を形成するワイヤの周りの閉じた線積分の経路を示している。図3は、様々な状況における構造から生成されるであろう放射を評価するための議論の基礎として示されている。ここでは、H、dlはベクトル量であり、積分は、2つの巻部により境界付けられる中心領域を通る経路の周りにおけるこれらのスカラー積の閉路線積分である。
図4を参照すると、同図は、図2の巻部/コアシステムが単一の共通シールド104により完全に囲まれた構造を示す断面図である。図4において、シールド104は、たとえば、金属シェル(たとえばアルミニウム合金であるが、任意の電気伝導性材料を用いることもできる)とすることができる。巻部領域110、160は、図4の紙面に垂直に電流を伝達するワイヤを含む。コア領域115、165は強磁性体材料を含み、好ましくはフェライトであるが、20kHz以上の周波数において非電気伝導性の強磁性体セラミックである。コア領域115および165は、相対回転を許容するための空気ギャップの存在を想定しているので、図面において2つの別々の部分としてい示されているが、ここでの説明の目的においては、コア領域115および165は単一の連続部分から形成されていてもよい。
ここで、マックスウェル方程式によれば、振動する磁場は、振動する電場を磁場に対して直角に誘導する。金属において、たとえば、この電場はこの磁場を相殺するように流れる電流を発生させる。そのため、振動する磁場は、金属中の深くまで進入することができるようにすべきではない。シールド104は、シールド内で振動する磁場が所定の進入深さをこえると実質的にゼロになる程度に十分に厚い。図3から、図4におけるシールドに誘導される電流の合計は、領域110および160のワイヤ内の正味の電流と符号は異なるが同一の向きおよび大きさになることが予想され、すなわち、シールド104内に誘導される電流は、巻部110、160内を流れる電流により生成される磁場を相殺するような大きさおよび方向である。すなわち、Hは、シールド104として機能するアルミニウムシェルの外側表面においてゼロになると予想され、閉じた表面内の総電流はゼロになると予想され、シールド104の内側表面上またはその付近に誘導される電流の合計は、巻部110、160内を流れる電流の合計と大きさが等しくなり、符号は反対になる。この事実に基づき、シールド104内の電流の流れは、図4の紙面に垂直な方法になると予想され、つまり、シールド104内の電流が、巻部110、160におけるワイヤ内を流れる正味の電流と符号が異なるが概ね同方向になるといえる。
図4に示す断面プロファイルから導かれる三次元的に線対称な回転固体は、概ねトロイダル形状であり、電力結合装置の運転中に、巻部110、160内の電流は概ね長円(major circle)に沿って(または長円に同軸な円に沿って)円周方向に流れ、このときに生成される磁束線は、線対称構造全体のメリジオナル平面内に位置すると理解することができ、コア領域115および165における磁気抵抗低減材料の分配の任意の方向性が好ましくはこの磁束線を変更せずに増強するように設計されることが好ましく、主および副巻部を相互リンクする磁束のループが、概ね線対称構造により占有されるトロイダル容積の短円(minor circle)の面内に位置すると理解できるので、図1に関して述べたのと類似の状況が得られる。図4において、この場合、巻部110、160におけるワイヤ内を流れる電流およびそれにより誘導されるシールド104内の電流は、図4における紙面に垂直に出入りし、これらの電流は紙面から出るとき、線対称構造全体により占有されるトロイダル容積の長円に追従するように(長円に対する幾何関係を維持するように)湾曲し、トロイダル形状の長円が延びる特定の方向は、線対称軸が図4に示す断面に関する位置に依存し、また、図4に示す断面が上述のような平面形状、円筒形状、または円錐形状の構成を備える回転トランスフォーマーの一部であるかどうかに依存する。
図5を参照すると、同図は、図4に示されているシールド104が2つの半シールド120、170に分割され、その間にシールド空気ギャップ101が形成されている状況を示す断面図である。図5において、2つの互いに向かい合う3回転巻部が、それぞれ向かい合うC形状のコア凹部に配置されている。このとき、もし、シールド空気ギャップ101によるシールド104の半シールド120、170への分割が、回転トランスフォーマーの運転中における、シールド空気ギャップ101により掃引される空間の容積が、図4の紙面に垂直であるようになされるならば、上述の議論により、シールド空気ギャップ101の存在は一般に、必ずしも、電力結合装置の運転中にシールドシェル内に誘導される上述の電流の流れを妨害する必要はないと期待される。これは、このような電流が、上述の説明のようにふるまう限りにおいて、シールド空気ギャップ101を横切る誘導電流を発生させる傾向をもつ成分を持たないと予想されるからである。図5に関する説明において、半コアが言及されるとき、接頭語の「半」は説明の便宜のために省略されることがあることに注意されたい。
再び、図5に示される断面プロファイルから引き出される三次元の線対称回転固体は、概ねトロイダル形状であり、巻部110、160内の電流は、電力結合装置の運転中に、概ね長円(または長円に同軸の円)に沿って円周方向に流れ、そしてこの場合、巻部110、160内に電流が流れ、それにより図4で説明したシールド104内に場を相殺する電流が誘導され、そして、巻部110、160内の電流、それにより誘導される場を相殺する電流、および図5の半シールド120、170内を流れる電流は、同様に、図5の紙面に垂直に出入りすると理解される。ただし、これらの電流は、紙面から現れ、線対称構造の全体により占有されるトロイダル形状の長円に追従するように(長円に関する幾何関係を保存するように)曲がっており、トロイダルの長円の特定の方向は、線対称軸の図5の断面上での位置に依存し、また、図5に示す断面が、上述した平面構成、円筒構成、または円錐構成を備える回転トランスフォーマーであるかどうかに依存する。
このような図4で説明したシールド104内を流れる場を相殺する電流、図5で説明した半シールド120、170内を流れる電流は、符号を除いて巻部110、160内を流れる電流と同様であるので、「仮想電流(image currents)」と呼ばれることがある。より詳細には、「仮想電流」との語は、ここでは、仮定される電流により形成される磁場を相殺することができる電流を参照するために用いられている。
このような場を相殺する仮想電流が、線対称構造の全体により占められるトロイダル容積の長円と同軸の円に沿って概ね円周方向に流れるようにするために、好ましくは、半シールド120、170は、回転軸の周りに閉じた回路を構成する実質的に連続な電気通路、たとえば線対称構造の全体により占められるトロイダル容積の長円に同軸な円に沿う円形の通路、を構成する電気伝導性の材料を有する。さらに好ましくは、このような連続的な電気通路は、電力結合装置の運転中に巻部110、160内を流れる電流による磁場を実質的に相殺するような磁場を誘導するのに十分な程度に、電流を支持することができる。
図5に示される断面プロファイルから導かれるような線対称の回転固体は、線対称固体の全体に関して「グローバル」特性との語で説明でき、また、代表的なメリジオナル断面に関して「ローカル」特性との語で説明される。すなわち、全体またはグローバルな特性に関して、図5に示される断面プロファイルから導かれる線対称の回転固体は、概ねトロイダル形状であり、巻部110、160内を流れる電流;半シールド120、170内を流れる電流;およびシールド空気ギャップ101により掃引される空間の容積は、図5における紙面に垂直に出て、ただし、紙面から出るときにトロイダル形状の長円に追従するように曲がり;さらに、コア115、165により整列された磁束のループは、トロイダル形状の短円の平面内に位置する。断面またはローカルな特性に関して、図5における平面内に存在している状況に限定して説明するならば、半シールド120、170内を流れる場を相殺する電流;巻部110、160内を流れる電流;およびシールド空気ギャップ101により掃引される空間の容積;に関してそれぞれ、図5の紙面から垂直に出現し、これらは全て、たとえば図5の断面内において互いに平行であるということができ;さらに、図5における紙面内に位置する整列された磁束のループに関して、整列した磁束線は、たとえば図5の断面内において、半シールド120、170内を流れる場を相殺する電流に垂直であるということができ、また、シールド空気ギャップ101により掃引される空間の容積を境界付ける仮想表面に対して垂直であるということができる。
以上から、コア領域115、165における時間変化する磁場の磁束線は、たとえば図5に示す断面において、概ね巻部110、160内を流れる電流に概ね垂直になり;また、半シールド120、170内の電流に垂直になり;また、シールド空気ギャップ101により掃引される空間の容積を境界付ける表面に垂直になり;そして、このような磁束線は、シールド空気ギャップ101を横切る電流を誘導する傾向をもたないことが分かる。換言すれば、このような場合、シールド空気ギャップ101を橋渡しするような方向に電流を流す傾向をもたないということを期待でき;つまり、電力結合装置の運転中に、シールド空気ギャップ101により掃引される空間を境界付ける仮想表面に垂直な方向に電流を流す傾向をもたないといえる。つまり、図4に示すシールド104が、図5に示すように2つの半シールドに分割されると、たとえば図5の断面図に示されているようなその間に介在するシールド空気ギャップ101は、磁場に垂直になり(すなわち、電力結合装置の運転中に空気ギャップ101により掃引される空間の容積を境界付ける仮想表面は、磁場に垂直になる)、また、半シールド120、170を小さな量に分割することにより、半シールド120、170内を流れる電流が、図4に示される分割されていない共通シールド104内を流れる電流と本質的に同一であることを期待できるので、シールドのロスを僅かにするまたは全くなくすことを期待できる。すなわち、たとえば図5に示される断面において、磁場がシールドギャップ101に平行な成分を持たず(すなわち、電力結合装置の運転中の、空気ギャップ101により掃引される空間の容積を境界付ける仮想表面に平行な成分をもたず)、また、半シールド120、170内を流れる正味の電流が、シールド空気ギャップ101に垂直な成分を持たない(すなわち、電力結合装置の運転中の、空気ギャップ101により掃引される空間の容積を境界付ける仮想表面に垂直な成分をもたない)場合、半シールド120、170は、シールド空気ギャップ101の存在にも関わらず、シールドの外側に到達する放射をほとんどなくすまたは全くなくすように設計できることを期待できる。
図5を参照し続け、図面に示されたシールドされたトランスフォーマー状のシステム内を流れる電流は、磁化電流プラス2つの負荷電流であり、この2つの負荷電流は大きさにおいて実質的に等しく、位相が反対になる(一方の負荷電流を主電流とすると他方の負荷電流はそれにより誘導される副電流である)。コア領域115、165におけるフェライトは、コア領域115および165が単一の連続部分から形成されるならば、わずかな磁束がそこから逃げるように磁束ループをチャネリングさせ且つそらす。しかし、コア領域115および165は、相対的に回転できるように2つの分割部分に分割されているので、符号103で示された領域の周囲において、コア領域115、165に出入りするほとんどの磁束はコア空気ギャップの隣接領域でそのようになり、そこから放出されるフリンジする場(「フリンジ場」ともいう)が図面において概略的に示されている。
このとき、フリンジ場103がぶつかるコア空気ギャップ周縁の近隣において、電流が半シールド120、170内に、および半シールド120、170の内側表面近傍に誘導され、誘導電流はフリンジ場103を相殺する傾向を持つ。このような現象に関して、コア領域115および165のミスアライメント、コア領域115および165内の磁気抵抗低減材料の不均一な分布、コア空気ギャップにおける表面トポロジーまたは表面幾何のずれ等は、フリンジ場103が、シールド空気ギャップ101を横切る誘導電流を発生させる成分を備える原因となり、電力結合装置の外側への放射の放出を防止するためのシールドフリンジ場103の問題は、より困難になることを予想される。フリンジ場103がシールド空気ギャップ101を横断する誘導電流を発生さえる傾向をもつ成分を含まない限り、半シールド120、170が十分な厚さおよび電気伝導度を備える場合、一般に、磁場が半シールド120、170の外側表面に導かれる前に、このような誘導電流に応答して磁場を相殺することが可能である。
この場合において、本発明の1つまたはそれ以上の実施形態において、好ましくは、半シールド120、170は、コア空気ギャップに隣接してフリンジ場相殺領域を備え、フリンジ場相殺領域は、コア空気ギャップから出てくる磁束によるフリンジ場を、磁束の出現による効果が半シールド120、170の外側表面に到達する前に、たとえば半シールド120、170内に生成される電流が半シールド120、170の外側に導かれる前に、実質的に相殺する程度に十分な、厚さ、電気伝導度、伝導性を備える。さらに好ましくは、フリンジ場相殺領域が存在する場合、これは、回転軸の周りに閉じた電気回路を形成する実質的に連続する電気通路、たとえば、線対称構造全体により占められるトロイダル容積の長円と同軸な円に沿った円周方向の通路、を形成する電気伝導性材料を有する。さらに好ましくは、フリンジ場相殺領域における連続する電気通路が存在する場合、これは、電力結合装置の運転中に巻部110、160内を流れる電流による磁場お実質的に相殺するのに、十分な磁場を誘導する電流を支持することができる。
様々なコア/シールド幾何において、コア空気ギャップから出てくるフリンジ場をよりよく理解するため、および、このようなフリンジ場が、シールドの内側表面上またはその近傍で、フリンジ場相殺領域によりどのように相殺されるのかをよりよく理解するために、ここで図6−図10を参照する。
図6乃至図10を参照すると、これらの図は、シールドが互いに向かい合うフェライトEコアの間のコア空気ギャップから出てくるフリンジ場にされされたときに、シールド内のどこに、すなわちフリンジ場相殺領域のどの位置および範囲に、電流が流れるかを決定するための有限要素シミュレーションの結果を示している。図6から10において、シールドの一部だけが示されており、コアおよび巻部は概ね図5に示されているものである。但し、図5に示すものは互いに向かい合う3回転巻部の単一のペアが向かい合うようにC形状のコア凹部に配置されているが、図6から図10においては、2つのペアの対向する3回転巻部が向かい合うE形状のコア凹部内に配置されている。なお、図6から図10に関する説明において、半コアが言及されるときでも、接頭語「半」は説明の便宜のために省略されることがある。
巻部/コアの幾何的配置は図5から図10において同一であるので、生成される磁場は全ての場合において実質的に同一であり、この共通する磁場プロファイルが図6に示されている。シールド120、170が図6に示されているが(このシールドはたまたま図8に示される構成であるが)、これは参照目的のためだけに提供されており、図示された磁場の生成とは関係ない。
図6から図10から分かるように、コア材料はコア空気ギャップのところで不連続であり(すなわち、磁束線はコア−空気−コア界面を横断しなければならず)、コア材料内に閉じ込められる(分岐する)磁束線は、フリンジ場を形成するように漏れ出す。図6から図10において、コア空気ギャップは、シールド空気ギャップよりも狭く示されており、これは一般に、本発明のいくつかの実施形態において好ましく、主側と副側との間の結合を改善し、インダクタンスの漏れを低減し、フリンジを低減するなどのために狭いコア空気ギャップが望まれ、しかし、キャパシタンスを低減し、回転中の相互に近接する部品の寸法的な緩い交差を許容するなどのために幾分広いシールド空気ギャップ(および、図示されていないが場合によっては幾分広い巻部ギャップ)が望まれる場合において好ましい。
図6を参照すると、磁束線はコアにより大きくそれ(コア内に閉じ込められ)、但し磁束がコアからコア空気ギャップの近傍において逃げ;そのため、図示の巻部/コア構成は、コア空気ギャップの近傍以外の位置においてシールドが比較的小さな電流支持能力を持つときでも、効果的なシールドを達成できることを期待できる。たとえば、磁束はコアにより十分にそらされる場合、図9に示される2つのカットバック非隣接空気ギャップシールド構成は十分なシールドを提供し、他の例として、図8に示す、上半分シールド120が2部品ラップアラウンド非隣接空気ギャップシールド構成から省略された構成においても、十分なシールドが提供される。
図6を参照し続け、コア空気ギャップ近傍の磁束線のひずみの程度を低減するために、本発明の1つまたはそれ以上の実施形態において、好ましくは、コア空気ギャップにより分離される対向するコア表面(すなわちコア空気ギャップ界面)は、なめらかであり且つ互いに平行であり、そして、コア−空気ギャップ界面の表面は、コア空気ギャップを橋渡しする磁束線の支配的な方向に垂直である。
図6を参照し続け、E形状コアの使用による2組の磁束ループのタンデム流れを生成し、すなわち、EコアはCコアが隣り合わせに配置された状況とほぼ同じであると考えることができる。図6に示されるような複数の組の磁束ループの生成するためにEコアまたは他の構成の磁気抵抗低減材料が使用されるが、トロイダルの幾何配置、その短円等に関するここでの説明および特許請求の範囲の参照に関して、このような複数の組の磁束ループの使用の可能性を排除するものと理解すべきではなく、一般に、本発明の様々な側面をここに適用することができると理解すべきである。たとえば、複数の組の磁束ループが存在する場合、このような磁束ループは、線対称構造全体のメリジオナル平面内に位置することが想定され、コア空気ギャップから逃げるフリンジ場を形成する、このような磁束ループのシールドに対するアライメントの幾何配置は、シールド内のフリンジ場相殺電流を本質的に変化させない、そして、任意の場合に、本発明の様々な側面を、独立に、コア材料のトロイダル分配(たとえば、図6に示す対向するE形状コアの凹部内に配置される巻部の各組)によりそらされた磁束ループの各組に適用することができる。さらに、図面はC形状コアおよびE形状コアだけを示しているが、より高次のコア(すなわち、2より多くの凹部を備えるコア;または3つより多くのアーム状の極部材を備えるコア)ももちろん可能であり、必要に応じた適切な修正によりここに本発明の様々な側面を適用できる。たとえばE形状コアが用いられる場合、Eコア極部材の中心においてコア空気ギャップ(たとえば図6の中心のコア空気ギャップ)から出る磁束線は、図6の両端におけるEコアの極部材におけるコア空気ギャップから出る磁束線よりも、一般に、RF放射に関して小さな役割を演ずるであろう。そして、シールドは、このような場合、コア空気ギャップの周縁の極部材(すなわち遠位の極部材、ここで遠位とは図13とともに以下で定義される)から出るフリンジ場への注意に集中することを期待できる。
図6から図10には示されていないが、好ましくはAC電源が、図面のEコアの左上の凹部内に配置される3回転主巻部に接続され、また、図面のEコアの右上の凹部内に配置される3回転主巻部に接続され、ここで、これらの巻部内を流れる瞬間的な正味の電流がゼロになるように接続される。すなわち、巻部の数およびそこを流れる交流電流の選択(たとえば2相、3相、多相など)等が主巻部を流れる正味の電流が瞬間的にゼロになるようにされる場合、シールド付き電力結合装置の運転中に半シールド120、170内に誘導される電流の大きさは、たとえば、単相AC電流が、たとえば、主側および副側のそれぞれにおいてC形状断面を備える半コアの凹部内に巻きつけられた単一巻部とともに用いられる場合よりも、小さくなることを期待できる。これは、主巻部内における磁化電流は、単相/単巻部の場合においては相殺されないままになるからである。
すなわち、シールドが説明したように機能する限りにおいて、シールド内の正味の電流は、巻部内を流れる正味の電流と大きさが等しく、符号が逆になることが期待される。回転トランスフォーマーの主側および副側はそれぞれ単一の巻部を有し、この場合、3回転巻部が図5における主側および副側のCコアの単一の凹部内に配置され、主巻部および副巻部において逆位相で現れる負荷電流は互いに相殺するので、巻部内の正味の電流は主巻部内に存在する磁化電流になる。しかし、回転トランスフォーマーの主側および副側がそれぞれ複数の巻部を持つ場合、この場合、図6から図10における主側および副側において、2つの3回転巻部がそれぞれEコアの2つの凹部に配置され、複数の主巻部内に現れるそれぞれの磁化電流が互いに相殺し、主巻部において瞬間的な正味の電流がゼロになる状態を得ることを可能にするであろう。巻部内の正味の電流がゼロである場合でも、これらの巻部内の電流は完全には1つにされず(lumped)に空間分布を持つという事実は、シールド内に電流が流れることを意味し、この電流はフリンジ場等を相殺する磁場を誘導し、この場合のこの場を相殺する電流は合計するとゼロになるが電力を消費(dissipate)する。
図7から図10に示されるシールドは、図面に示されているように実質的にフリンジ場を相殺でき、より詳細には、図7から図10に示されるシールドは、電気伝導性材料を備え、電力結合装置の運転中に、フリンジ場がシールドの外側に到達する前に、フリンジ場を実質的に相殺することができる磁場を誘導する電流の流れを許容するような、位置、電気伝導度および厚さで電気伝導性材料を備える。
図7に示す有限要素シミュレーションにおいて、図面の左側および右側の両方で、コア空気ギャップの周縁から出るフリンジ場が、コア空気ギャップに隣接するシールド空気ギャップを備える2部品ラップアラウンドシールドの各部分120、170にぶつかるときに、場を相殺する電流が流れ;図7に示すシールドによるフリンジ場の相殺の間、図面に斜線で示される4つの領域において、場を相殺する電流が半シールド120、170内で紙面に垂直な方向に流れる。図8に示す有限要素シミュレーションにおいて、コア空気ギャップから出るフリンジ場が、コア空気ギャップと非隣接関係にあるシールド空気ギャップを備える2部品ラップアラウンドシールドの同一の部分170にぶつかるときに、場を相殺する電流が流れ;図8に示されるシールドによるフリンジ場の相殺の間、図面において斜線で示される2つの領域において、場を相殺する電流が半シールド170内で紙面に垂直な方向に流れる。図9に示される有限要素シミュレーションにおいて、図面の左側および右側の両方において、コア空気ギャップの周縁から出るフリンジ場が、コア空気ギャップに対して非隣接関係にあるシールド空気ギャップを備える2部品カットバックシールドの一方または両方の部分120、170にぶつかるとき、場を相殺する電流が流れ;図9に示されるシールドによるフリンジ場の相殺の間、図面において斜線で示される2つの領域において、場を相殺する電流が、半シールド120、170内で紙面に垂直な方向に流れる。図10に示される有限要素シミュレーションにおいて、コア空気ギャップの周縁から出るフリンジ場が、コア空気ギャップに対して非隣接関係にあるシールド空気ギャップを備える1部品ラップアラウンドシールドの単一部品170にぶつかるときに、場を相殺する電流が流れ;図10に示されるシールドによるフリンジ場の相殺の間、図面において斜線で示される2つの領域において、場を相殺する電流がシールドの単一部分170内で紙面に垂直な方向に流れる。図10に示される1部品ラップアラウンド隣接空気ギャップシールドにおいて、図面の上側の単一シールド空気ギャップは、機械的な支持および電気的な接続を可能にする程度に十分に大きくすることができる。
図7に示される構成において、図面の左側および右側のそれぞれにおいて、シールド空気ギャップはコア空気ギャップに隣接し、つまりコア空気ギャップとシールド空気ギャップとは概ね実質的に同一の仮想表面に一致しているといえる。すなわち、コア空気ギャップにより掃引される空間は、シールド空気ギャップにより掃引される空間(これは概ね上述のように平面、円筒形、円錐形である)と概ね同一の広がりをもつ。
図8から図10に示される構成において、図の左側および右側において、シールド空気ギャップはコア空気ギャップに隣接しておらず、シールドは、シールドの電気伝導性材料が少なくとも部分的にコア空気ギャップをシールド外面から塞ぐような、かぶさるプロファイルまたは塞ぐプロファイルを備えているといえる。すなわち、コア空気ギャップおよびシールド空気ギャップは、同一の仮想表面上に一致せず、コア空気ギャップにより掃引される空間は、シールド空気ギャップにより掃引される空間と同一の広がりをもたない。
図7に示されるような小さなシールドギャップにおいては、シールド空気ギャップが図7に示すようにコア空気ギャップに隣接する場合でも、フリンジ場の減衰があるけれども、図7に示すようにシールド空気ギャップがコア空気ギャップに隣接して配置される場合は、シールド空気ギャップが図8から図10に示すようにコア空気ギャップから取り除かれた位置に配置される場合よりも、フリンジ場がシールド空気ギャップに深く延び、シールド空気ギャップを越えてシールド外部へ出ようとすることが分かる。ここで、シールドの厚さ、電気伝導度、電力、周波数等は、シールドがフリンジ場相殺電流を支持する能力を備えるように構成され、これは、シールド空気ギャップが図7のようにコア空気ギャップに隣接するように配置される場合は、シールド空気ギャップが図8から図10のようにコア空気ギャップからより離れて配置される場合よりも、RFノイズ放射に関してより有害な効果を持つかもしれない。それは、後者の場合において(すなわちシールド空気ギャップとコア空気ギャップとが隣接しない場合)、一般に、フリンジ場の領域(すなわちコア空気ギャップ)とシールド空気ギャップの領域との間でシールド内に誘導される電流は、フリンジ場がシールドの外に到達する前にフリンジ場を相殺することができる磁場を誘導するより多くの機会があるからである。それゆえ、図8から図10に示される非隣接型の構成は高電力および/または薄いシールドを含む応用により適しているが、図7に示す隣接型の構成は実際の製造により便宜的である。
さらに、磁束ループが完全にはメリジオナル平面内に閉じ込められない場合、または、磁束ループが完全にはトロイダルの短円の面内に閉じ込められない場合、あるいは、磁束線が、シールド空気ギャップにより掃引される空間を境界付ける表面に平行な成分を含む場合などのように、フリンジ場および/または他の磁場がミスアライメントされた場合、図8から図10に示される場合のようにシールド空気ギャップがコア空気ギャップから取り除かれた位置に配置された構成は、図7に示される構成のようなシールド空気ギャップがコア空気ギャップに隣接する構成の場合よりも、よりよいシールドを提供することが期待される。これは、図8から図10に示されるような非隣接型の構成は、トロイダル短円方向におけるフリンジ場の成分を相殺する磁場を誘導する方向のトロイダル長円方向の電流のシールド電流だけを許容するのではなく、多かれ少なかれ、トロイダル長円方向において存在し得るフリンジ場の成分を相殺する磁場を誘導するトロイダル短円方向のシールド電流の流れをも許容するからである。すなわち、図4および図5に関する説明においては、磁束のアライメントは、シールド内に誘導される電流がシールド空気ギャップ101を横断する傾向をもつ成分を持たないことを想定していたが、実際の装置においては、実際には、コアギャップの周縁から出てくるミスアライメントされた磁束線が存在し、これはトロイダル短円方向の成分を持つ電流を誘導する傾向があり、このような誘導電流がシールド空気ギャップ101の存在により流れることができないならば、シールドが電荷双極子のように放射をするからである。シールドがトロイダル長円方向の方向に延びる部分を備える限り、すなわち、図7から図10のメリジオナル断面に示されるように、シールドがコア/巻部システムの周りを角度方向に包む限り、それゆえ、シールド空気ギャップは、図7に示すようにコア空気ギャップに隣接するように配置するよりも、図8から図10に示すようにコア空気ギャップに隣接しないように配置することが好ましい。
シールド空気ギャップが大きい場合におけるシールド空気ギャップの定義に関して、図9においては、2つの大きなシールド空気ギャップが存在し、これらは図面の上部分および下部分にあり、一方、図10においては、単一の大きなシールド空気ギャップが存在し、これは図の上部分に存在する。
特に、図7に示す隣接型の構成が採用され、シールドがアルミニウムで構成される場合、シールド空気ギャップは、アルミニウムのシールドの厚さの2分の1より大きくならないようにすることが好ましく、より好ましくは、シールド空気ギャップはアルミニウムのシールドの厚さの4分の1より大きくならないようにすることが好ましい。これを一般化すると、様々な電気伝導性材料から形成されるシールドは、特に、図7に示すような隣接型の構成を採用する場合、コア空気ギャップ領域におけるシールドの厚さは、シールド空気ギャップの厚さの2倍より小さくない厚さのアルミニウムの場合と等価な電気伝導度を達成する程度に十分であることが好ましい。より好ましくは、コア空気ギャップの領域におけるシールドの厚さは、シールド空気ギャップの4倍よりも小さくないアルミニウムの厚さの場合と等価な電気伝導度を達成する程度に十分な厚さであることが好ましい。
図8から図10に示すような非隣接型の構成を採用する場合、好ましくは、シールド付き電力結合装置の運転中にコア空気ギャップにより掃引される空間の容積を境界付ける仮想表面に垂直な方向に計って、コア空気ギャップの最も近いところからのシールド空気ギャップへの最も近い距離は、コア空気ギャップの厚さの3倍より小さくない。より好ましくは、この間の距離は、コア空気ギャップの5倍よりも小さくない。
図7に示す隣接型の構成を採用する場合でも、図8から図10に示される非隣接型の構成を採用する場合でも、好ましくは、コア空気ギャップの領域におけるシールドの厚さは、コア空気ギャップの5倍より小さくない厚さのアルミニウムの場合と等価な電気伝導度を達成するのに十分であることが好ましく、より好ましくは、コア空気ギャップの領域のシールドの厚さは、コア空気ギャップの10倍より小さくない厚さのアルミニウムの場合と等価な電気伝導度を達成でき程度に十分であることが好ましい。
隣接型の構成および非隣接型の構成が図7から図10に示されているけれども、もちろん部分的に隣接する構成または部分的に非隣接型である構成、つまり、図7に示す構成と図8から図10に示す構成の概ね中間的な構成を採用することに対するなんらの妨げはない。
さらに、望ましさに関して、本発明のいくつかの実施形態において、電気伝導性材料を有するフリンジ場相殺領域は、回転軸の周りに閉じた電気回路を構成する実質的に連続な電気経路を形成し、図7の隣接型構成においてはフリンジ場は4つの場所にぶつかり、図8から図10の非隣接構成においてはフリンジ場は2つの領域だけにぶつかるという事実は、隣接型の構成においては、フリンジ場相殺領域として機能するこのような連続的な電気経路が4つあることが好ましく、非隣接型の構成においては、このようなフリンジ場相殺領域として機能する連続的な電気経路は2つで十分であろうということを示唆している。回転軸の周りで閉じた回路を構成するこのような連続的な電気経路は、たとえば、円形、環状、半トロイダルであるか、および/またはコア空気ギャップに隣接または横並びの環状のバンドの形状である。このような連続的な電気経路がコア空気ギャップに隣接し且つ横並びのリング状のバンドの形態である場合、このような環状のバンドは、電力結合装置が平面構成または円筒構成の場合に、実質的にリング状とすることができ、また、リング状のバンドは、電力結合装置が円錐構成の場合は実質的に円錐領域とすることができる。
図11を参照すると、本発明の実施形態による回転トランスフォーマーの構造に適合的な同図は、線対称の回転固体を生成するのに用いることができるいくつかの代表的な断面プロファイルの側面図を示している。図11において、同様の符号で示された部品は、上述した機能を備える。図11においてA〜Eで分類された5つの構成のそれぞれは、概ね線対称の回転固体を生成する断面プロファイルとして用いられたときに、十分なシールドを提供することができると期待される。このとき、本発明の様々な実施形態の概ね線対称回転トランスフォーマー構造を得るために掃引される断面プロファイルの回転軸は、断面プロファイルの外側に位置するが、断面プロファイルから任意の半径に位置することができ、また、断面プロファイルに対して任意の向きとすることができる。参照符号が部品を示すために示されているが、静止側と回転側とに関して限定する意図はなく、また主側と副側等に関しても限定する意図はなく、これらは互いに変更可能である。
図11において、図11Aは、単一の主巻部と単一の副巻部とがそれぞれC形状の断面を持つ対向するコア内に配置されており、シールド空気ギャップがコア空気ギャップに隣接するシールド構成を示している。図11Bは、単一の主巻部と単一の副巻部とがそれぞれC形状の断面を持つ対向するコア内に配置されており、シールド空気ギャップがコア空気ギャップに隣接していないシールド構成を示している。図11Cは、2つの主巻部と2つの副巻部とがそれぞれE形状の断面を持つ共通のコア構造を備える対向するコア内に配置されており、シールド空気ギャップがコア空気ギャップに隣接するシールド構成を示している。図11Dは、3相交流電流に適合する共通のコア構造を備える巻部/コア構成を示しており、また、シールド空気ギャップがコア空気ギャップに隣接するシールド構成を示している。図11Eは、3相交流電流に適合する3つの分離したコア構造を備える巻部/コア構成を示しており、また、シールド空気ギャップがコア空気ギャップに隣接するシールド構成を示している。ここで、巻部の数、巻部を流れる交流電流の選択(たとえば、2相、3相、多相等)などは、実質的にゼロの正味の瞬間的な電流が主巻部内に達成されるようにされ(すなわち、各台1巻部における各磁化電流が相互に相殺するようにされ)、これは、図11C、11D、11Eに示される各主側および副側において、多数の巻部を備える巻部/コア構成にとって可能であり、図6から図10に関して上述したようなシールド電流の有意な低減が可能である。
図7から図10とともに上述したように、図11における全ての構成は、シールドに用いられるアルミニウムまたは他の電気伝導性材料が十分な厚さおよび位置に存在する場合に、十分にシールドできることが期待され、この位置は、場相殺電流を支持するのに必要であり、場相殺電流に応答する磁場の効果がシールドの外側に到達する前に、たとえばこのような場相殺電流がシールドの外側表面に伝達される前に、場相殺電流に応答する、磁場を相殺することができる磁場を誘導するような位置である。一方、この場合に必要な電気伝導性材料の厚さは、一般に、周波数と電気伝導度の積の二乗根の逆数に応じて変化し、好ましい範囲は、複数のコア空気ギャップおよびシールドギャップの寸法に関するアルミニウムの厚さと等価な厚さとして、図7から図10とともに上述した。さらに、回転軸のまわりに閉じた電気回路を構成する実質的に連続な電気経路の形成は、図7から図10とともに説明された。
図面において、特定の線対称構成が議論および図示されてきたが、本発明はこれらに限定することを意図しておらず、上述の説明および任意の線対称構造に、必要に応じて適当な修正を施すことが可能である。
図12は、理想化された円筒構成200の斜視図であり、本発明の実施形態による回転トランスフォーマーにより構成されおよび近似されている。この構成は、異なる曲率半径の半結合部205、255が、概ね同軸に、回転軸を中心に半径方向にずれて配置されており、この構成は、相互に分離した半結合部205、255との間で半径方向に介在し且つ仮想表面245および295(図13参照)を境界付ける空気ギャップ202により掃引される空間の容積のおよその形状により「円筒」と参照される。より厳密には、図2とともに説明したように、回転トランスフォーマーの運転中に空気ギャップ202により掃引される空間の容積が環状であり、しかし平面というよりも円筒に近く、この構成はここでは円筒構成と言及される。「半径方向にずれて」と記載しているが、これは、外側の半結合部の曲率半径は、一般に内側の半結合部の曲率半径よりも大きいので、平行移動であることを示唆しているのではなく、上述したように、より正確には、2つの半結合部は(この理想化された図示の例においては)、空気ギャップを横切る極座標系において互いに鏡像になると考えることができる。
図13は、図12に示す円筒構成200のメリジオナル断面を示している。円筒構成200は、相対的な回転を許容するように空気ギャップ202により外側半結合部205と内側半結合部255とに分割されたトロイダル構造であり、外側半結合部205は、外側仮想表面245により、円筒構成の近位側(以下において、近位および遠位は、メリジオナル断面でみて空気ギャップ202内の中間位置の中心から見て判断される)の上に境界付けられ、内側半結合部255は、仮想表面295により円筒構成の近位側上に境界付けられる。
外側半結合部205は、3つの同軸の半シェルまたは層210、215、220を有し、これらは、空気ギャップ202から順に、巻部210、コア215、およびシールド220である。巻部210の近位表面は、概ね外側仮想表面245に一致するように示されており、不確定な厚さのギャップ(ゼロのギャップ、すなわち連続な配置、を含むことを意図している)が、巻部210の遠位表面とコア215の近位表面との間、およびコア215の遠位表面216とシールド220の近位表面219との間、に介在するように示されている。外側半結合部205は、シールド220の遠位表面221により遠位側に境界付けられる。図13に関する説明において、半コアおよび半シールドに関する接頭語「半」は説明の便宜のためにときどき省略される。
内側半結合部255は、3つの同軸の半シェルまたは層260、265、270を有し、これらは空気ギャップ202から順に、巻部260、コア265、シールド270である。巻部260の近位表面259は、概ね内側仮想表面295に一致するように示されており;不確定な厚さのギャップ(ゼロのギャップ、すなわち連続な構成、を含むことを意図している)が、巻部260の遠位表面261とコア265の近位表面との間、およびコア265の遠位表面とシールド270の近位表面269との間に介在するように示されている。内側半結合部255は、シールド270の遠位表面271により遠位方向に境界付けられる。
外側半結合部205の巻部および内側半結合部255の巻部260は、空気ギャップ202を挟んで対向するように配置され、その間で相互に誘導結合を可能にする。図13の左側に示される外側コア215の空気ギャップの界面213(以下「外側コア左空気ギャップ界面213」という)は、空気ギャップ202を挟んで、図13の左側に示される内側コア265の空気ギャップ界面263(以下「内側コア左空気ギャップ界面263」)と互いに向かい合うように配置され、図13の右側に示される外側コア215の空気ギャップ界面217(以下「外側コア右空気ギャップ界面217」)は、空気ギャップ202を挟んで、図13の右側に示される内側コア265の空気ギャップ界面267(以下「内側コア右空気ギャップ界面267」)と互いに向かい合うように配置され、図2とともに上述したように、外側半結合部205の巻部210および内側半結合部255の巻部260の周りに生成される磁束をリンクする磁気回路を完成させ磁気抵抗を低減させる。磁束のループがメリジオナル平面に位置するように磁場のアライメントを容易にするために、対向するコア空気ギャップ界面の表面は滑らかであり、互いに平行であり、また、コア空気ギャップを架橋する磁束線の支配的な方向に垂直であることが好ましい。図13の左側に示される外側シールド220の空気ギャップ界面218(以下「外側シールド左空気ギャップ界面218」)は、空気ギャップ202を挟んで、図13の左側に示される内側シールド270の空気ギャップ界面268(以下「内側シールド左空気ギャップ界面268」)と互いに向かい合うように配置され、図13の右側に示される外側シールド220の空気ギャップ界面222(以下「外側シールド右空気ギャップ界面222」)は、空気ギャップ202を挟んで、図13の右側に示される内側シールド270の空気ギャップ界面272(以下「内側シールド右空気ギャップ界面272」)と互いに向かい合うように配置され、シールド220、270は、空気ギャップ202を除いて、概ねその中に巻部210、260、およびコア215、265をその中に完全に包み囲む。すなわち、巻部210、260およびコア215、265は、空気ギャップ202を除いて、シールド220、270の中にあり且つ囲まれている。さらに、外側半結合部205のシールド220の空気ギャップ界面218、222、外側半結合部205のコア215の空気ギャップ界面213、217、および、外側半結合部205の巻部210の近位表面209は、全て、概ね外側仮想表面245に一致する。また、内側半結合部225のシールド270の空気ギャップ界面268、272、内側半結合部255のコア265の空気ギャップ界面263、267、および内側半結合部255の巻部260の近位表面259は、全て、概ね内側仮想表面295に一致する。
図14は、本発明の実施形態による回転トランスフォーマーにより構成および近似される理想化された平面構成300の斜視図である。この構成は、同一の曲率半径の半結合部305、355が回転軸に沿って軸方向にずれて隣り合うように配置されており、これは、互いに分割された半結合部305、355の間に軸方向に介在し(図15参照)且つ仮想表面345および395により境界付けられる空気ギャップ302により掃引される空間の容積のおおよその形状により「平面」と言及される。より厳密には、図2とともに説明されたように、回転トランスフォーマーの運転中に空気ギャップ302により掃引される空間の容積が環状であり、しかし円筒形というよりむしろ平面に近い場合、この構成はここでは平面構成(またはしばしば平面円形構成)と言及される。「軸方向にずれ」と記載しているが、これは平行移動を示唆しているのではなく、より詳細には、2つの半結合部は(この理想化された図示の例においては)、空気ギャップを横切る直交座標系において互いに鏡像であると考えることができる。
図15は、図14に示す平面構成300のメリジオナル断面である。平面構成300は、相対的な回転を許容するように、空気ギャップ302により、図14および図15の左側に示された半結合部305(以下「左半結合部305」)と、図14および図15の右側に示された半結合部355(以下「右半結合部355」)とに分割される。左半結合部305は、左側の仮想表面345により近位側(以下、近位および遠位とは、メリジオナル断面でみて空気ギャップ302内の中間位置から判断される)上に境界付けられる。右半結合部355は、右側の仮想表面395により近位側上で境界付けられる。
左半結合部305は3つの同軸の半シェルまたは層310、315、320を有し、これらは空気ギャップ302から順に、巻部310、コア315、シールド320である。巻部310の近位表面309は、左仮想表面345に概ね一致するように示されている。不確定な厚さのギャップ(ゼロのギャップ、すなわち連続な構成、の可能性を含むことを意図している)が、巻部310の遠位表面311とコア315の近位表面314との間、およびコア315の遠位表面316とシールド320の近位表面319との間に介在するように示されている。左半結合部305は、シールド320の遠位表面321によい遠位側が境界付けられている。図15に関する説明において、半コアおよび半シールドに関して、接頭語「半」は説明の便宜のために省略されることがある。
右半結合部355は3つの同軸の半シェルまたは層360、365、370を有し、これらは空気ギャップから順に、巻部360、コア365、シールド370である。巻部360の近位表面359は概ね右仮想表面395に一致するように示されている。不確定な厚さのギャップ(ゼロのギャップ、すなわり連続な構成、の可能性を含むことを意図している)が、巻部360の遠位表面361とコア365の近位表面364との間、およびコア365の遠位表面366とシールド370の近位表面369との間に介在するように示されている。右半結合部355は、シールド370の遠位表面371により遠位側が境界付けられる。
左半結合部305の巻部310および右半結合部355の巻部360は、空気ギャップ302を挟んで向かい合うように配置され、その間の誘導結合を可能にする。図15の回転軸から離れるに示される左コア315の空気ギャップ界面313(以下「左コア外側空気ギャップ界面313」)は、空気ギャップ302を挟んで、図15の回転軸から離れる側に示される右コア365の空気ギャップ界面363(以下「右コア外側空気ギャップ界面363」)と互いに向かい合うように配置され;図15の回転軸に向かう側に示される左コア315の空気ギャップ界面317(以下「左コア内側空気ギャップ界面317」)は、空気ギャップ302を挟んで、図15の回転軸に向かう側に示される右コア365の空気ギャップ界面367(以下「右コア内側空気ギャップ界面367」)と互いに向かい合うように配置され;図2とともに上述したように、左半結合部305の巻部310および右半結合部355の巻部360の周りに生成される磁束をリンクする磁気回路を完成させ、および/または磁気抵抗を低減させる。メリジオナル平面内に磁束ループが位置するように磁場のアライメントを容易にするために、対向するコア空気ギャップ界面は、なめらかであり、互いに平行であり、また、コア空気ギャップ間を架橋する磁束線の支配的な方向に垂直であることが好ましい。図15の回転軸から離れる方向に示される左シールド320の空気ギャップ界面318(以下「左シールド外側空気ギャップ界面318」)は、空気ギャップ302を挟んで、図15の回転軸から離れる方向に示される右シールド370の空気ギャップ界面368(以下「右シールド外側空気ギャップ界面368」)と互いに向かい合うように配置される。また、図15の回転軸に向かう側に示される左シールド320の空気ギャップ界面322(以下「左シールド内側空気ギャップ界面322」)は、空気ギャップ302を挟んで、図15の回転軸に向かう側に示される右シールド370の空気ギャップ界面372(以下「右シールド内側空気ギャップ界面372」)と互いに向かい合うように配置される。従って、シールド320、370は、空気ギャップ302を除いて、巻部310、360およびコア315、365を概ね、完全に包み囲む。すなわち、巻部310、360、およびコア315、365は、空気ギャップ302を除いて、シールド320、370の内側にあり且つ囲まれる。さらに、左半結合部305のシールド320の空気ギャップ界面318、322、左半結合部305のコア315の空気ギャップ界面313、317、および左半結合部305の巻部310の近位表面309は、全て、概ね左仮想表面345に一致する。また、右半結合部355のシールド370の空気ギャップ界面368、372、右半結合部355のコア365の空気ギャップ界面363、367、および右半結合部355の巻部360の近位表面359は、全て、概ね右仮想表面395に一致する。
図16は、円錐構成400を理想化して描写した斜視図であり、本発明の実施形態による回転トランスフォーマーを構成または近似する。この構成は、回転軸に対して軸方向および半径方向にずれて配置された半結合部405、455が配置され、この構成は、軸方向および半径方向に分離するように半結合部405、455の間に介在する空気ギャップにより掃引される空間の容積のおおよその形状により「円錐」と言及される。円錐構成400は、半径方向にずれた特徴に関しては図13に示す円筒構成200とともに説明され、また、軸方向にずれた特徴に関しては図15に示す平面構成300とともに説明されているので、円錐構成400のメリジオナル断面の説明は、ここでは簡略化のための省略するが、類似の符号が付された部分は類似の機能を備える図13、15に関する説明と類似していることが理解できよう。
図12から図16は図示の目的のために理想化された構成としてい示されているが、そこに示されている様々な特徴は、必ずしも特定の幾何配置や寸法を意図しているのではなく、円筒構成、平面構成、円錐構成を含む回転トランスフォーマーの文脈におけるこれらの特徴の概略的な配置を提案するものである。すなわち、実際に、電力結合装置を図12から図16に示されているように正確に製造してもよく、たとえば、固体の1回転巻部がC形状断面を備える均一な半コア内に配置され、半コアがC形状断面を備える半シールド内に配置され、図示されたような半トロイダル半結合部を形成するようにしてもよい。しかし、より一般的に、「巻部」、「コア」、「シールド」(または「半コア」、「半シールド」)が言及される場合、これは必ずしも連続的または均一であることを示唆するものではなく、また、特定の寸法または組成を備える構造物が必ずしも図12から図16に示される領域に配置されなければならないものではなく、むしろこれらの用語は、特に明示しない限り、寸法、幾何学的配置、組成、構造等に関わらず回転トランスフォーマー内における巻部、コア、およびシールドのそれぞれの機能を果たす概略的または概念的な層を示している。さらに、少なくとも図12から図16の理想化された構成に関する説明に関しては、文脈から明らかでない限り、「巻部」は「巻部層」と交換可能であり、「コア」は「コア層」と交換可能であり、また、「シールド」は「シールド層」と交換可能である。
図12から図16において、回転トランスフォーマーを構成する各半結合部は、円筒空気ギャップ、平面空気ギャップ、円錐空気ギャップを挟んで互いに鏡像であり(すなわち、空気ギャップの中間の仮想表面に関して対称である)、巻部、コア、およびシールドの配置も線対称(たとえばトロイダル)であり、対称軸は回転軸と同軸である。ここでは、巻部およびシールドは好ましくは、回転軸を中心とする円周方向(たとえば、トロイダルの長円の円に沿う方向)の電流の流れを支持し、巻部/コア構成は好ましくは、メリジオナル平面内(たとえば、トロイダル短円の平面内)に位置する半結合部を互いにリンクする磁束ループを生成する。ここでは、コア層がない場合または十分な磁気抵抗低減能力を備えない場合、巻部の向きが支配的になり、これが好ましくはメリジオナル平面内に位置する半結合部を相互リンクする磁束ループを発生させる。しかし、コア層が存在し且つ十分な磁気抵抗能力を備える材料が採用される場合、コア層内の磁気抵抗低減材料の分配が支配的になり、好ましくは、コア層がメリジオナル平面内に位置する半結合部を相互リンクする磁束ループを発生させる。図12から図16の巻部は、半結合部において、C形状の断面を持つコアの単一の凹部内に配置された半円の断面を備える単一の特徴により示されているが、これらは概略的な図示であると理解すべきであり、巻部/コアの配置は任意の適当な構成とでき、たとえば、巻部/コアの構成は、追加のアーム状の極部材が、複数の巻部間に介在し、たとえば、図6から図10および図11Cに示すようなEコア構成であり、または、図11Dおよび図11Eに示すような3相ACに適合的な構成である3つの巻部を備える構成である。図12から図16のシールドは、コア空気ギャップに隣接するシールド空気ギャップを備える2部品ラップアラウンド構成としてい示されているが、これらは概略的な図であり、たとえば図6から図11とともに説明された任意の適当なシールド構成(たとえば、単一部品、多部品、隣接空気ギャップ、非隣接空気ギャップ、カットバック、ラップアラウンド、など)とすることができると理解すべきである。
すなわち、本発明のいくつかの実施形態において、シールド220、270、320、70は、電気伝導性材料が少なくとも、巻部210、260、310、360および/またはコア215、265、315、365からの磁束が内側層から逃げてシールド層上にぶつかる場所、および/または磁束がミスアライメントされる場所、に存在するようにすれば十分である。ここで、「磁束の逃げ」とは、巻部210、260、310、360からの磁束を、そらすのを失敗しれおよびコア215、265、315、365内に閉じ込めるのを失敗した場合を言及しており、すなわち、巻部210、260、310、360の周りのコア215、265、315、365内の磁気抵抗低減材料の存在により、インダクタンスの漏れが低減されおよびコア215、265、315、365を越えて磁束が逃げるのが防止されると期待されるが、磁気抵抗低減材料がない場合または不十分である場合、磁気抵抗低減材料の分配が不連続である場合、などに、磁束が逃げシールド層にぶつかり得る。ここで、「磁束のミスアライメント(不整列)」とは、磁束ループがメリジオナル平面内にない場合を言及しており、すなわち、図1および図2に示されるような概ねトロイダルなシステムの長円に沿って電流が流れる場合、磁束はメリジオナル平面内に位置する短円の周りを循環すると期待されるが、磁気抵抗低減材料の分配が不連続である場合(たとえば空気ギャップ)、および線対称性からのズレなどにより、メリジオナル平面以外の平面内に磁束が位置することがあり得、これはミスアライメントされた磁束ループがメリジオナル平面に垂直な成分を備えることを意味し、回転トランスフォーマーの円周方向に磁束成分が存在するといえる。
たとえば、本発明の実施形態においてコア層がない場合、または、コア215、265、315、365の磁気抵抗が磁束をそらすのに十分なほど小さくない場合、磁束は実質的にあらゆる方向に逃げ(コア空気ギャップは実質的にコア層内に延びこれを占有する)るので、本発明のこのような実施形態において、電気伝導性材料は、相対回転を許容するのに必要な小さなシールド空気ギャップを除いて、実質的に全体を覆うシールド層が必要である。
しかし、本発明の実施形態において、コア215、265、315、365の磁気抵抗が磁束を有意にそらすのに十分なほど小さな効果的なコア層を備える場合、つまり、コア材料分配が適当に線対称に分配されている場合、図5の領域103に示されるコア空気ギャップからフリンジ場が逃げる場所にだけ、電気伝導性材料が存在すれば十分であろう。また、コア空気ギャップは、各半結合部の対応する部分の間に引かれる仮想線の方向に垂直な方向上に、回転トランスフォーマーの半結合部205、255、305、355の間の円周に沿って存在するので、電気伝導性材料は、コア空気ギャップの近傍の円周領域内にだけ存在すれば十分であろう。
たとえば、このような電気伝導性材料の円周領域は、円筒構成200のコア215、265に隣接して配置され、この場所の近傍で、外側半結合部205の左空気ギャップ界面213は、内側半結合部255の左空気ギャップ界面268に対向し、また、外側半結合部205の右空気ギャップ界面217が、内側半結合部255の右空気ギャップ界面267に対向している。または、電気伝導性材料の円周領域は、平面構成300のコア315、365に隣接して配置され、この場所の近傍で、左半結合部305の外側空気ギャップ界面313は、左半結合部305の外側空気ギャップ界面368に対向し、また、左半結合部305の内側空気ギャップ界面317が、右半結合部355の内側空気ギャップ界面367に対向する。
このような電気伝導性材料の円周領域は、概ね上述のフリンジ場相殺領域に対応しており、また、図7から図10に示した有限要素シミュレーションにおける場相殺電流が流れる斜線を施した領域に概ね対応している。上述したメリジオナル断面でみて空気ギャップ内の中心位置を基準とした「遠位」の定義によれば、これらの電気伝導性材料の円周領域は、コア空気ギャップに関して隣接するように遠位方向に位置すると説明してもよい。
たとえば、図12および図13(円筒構成200)を参照し、図7に示される構成に類似のコア空気ギャップに隣接する複数シールド構成を考慮すると、これは、各シールド220、270(図7の半シールド120、170に対応する)における2つの電気伝導性材料の円周領域を意味し、全部で4つの電気伝導性材料の円周領域があることになる。あるいは、図12および図13(円筒構成200)を参照し、今度は、図8または図10に示されるような非隣接空気ギャップ型のシールドを考慮すると、これは、下側のシールド270(図8および図10の半シールド170に対応する)にだけ、電気伝導性材料の2つの円周領域があることを意味し、全部で2つの電気伝導性材料の円周領域があることになる。図12および図13に示される円筒構成200に関して特定の説明がされたが、同様の特徴は、図14および図15に示される平面構成300、および図16に示される円錐構成400にも適用できるであろう。
すなわち、図9から図10に示されるような非隣接空気ギャップ構成の場合、シールド空気ギャップは大きいけれども、コア空気ギャップから十分に離れており、漏れた磁束の効果がシールド空気ギャップに到達する前に磁束の漏れの効果を相殺するように、コア空気ギャップから逃げる磁束により生成される場相殺電流がシールドの電気伝導性材料内を流れる。すなわち、フリンジ場相殺領域はシールド空気ギャップまでは延びず、上述のように円周領域にだけ電気伝導性材料が存在する場合でも十分なシールドを達成できる。この場合、図9に示されるカットバック型のシールドが採用される場合でも、十分なシールドが可能であり、また、半シールドの一方を省略して、図8および図10に示されている下側の半シールド170のような1部品シールドを採用する場合でも、十分なシールドが可能である。
あるいは、コア215、265、315、365の磁気抵抗が磁束をその中にそらすのに十分なほど小さい効果的なコア層を備えるが、局所的な磁束のミスアライメント(たとえばコア215、265、315、365が完全な線対称性を備えない場合)があるような本発明の実施形態においては、シールド220、270、320、370は、磁束のミスアライメントが存在する場所の近傍にだけ、電気伝導性材料が存在するようにすれば十分であり、このような場所がシールド空気ギャップから十分に離れている場合(および、シールドの厚さが、漏れた磁束がシールドの外側表面に到達するのを防止する程度に厚い場合)、漏れた磁束の効果がシールド空気ギャップまたはシールドの不連続領域に到達する前に漏れた磁束の効果を相殺するように、場相殺電流がシールド220、270、320、370の電気伝導性材料内を流れることを許容する。
図7から図10に関して説明した、シールドの厚さおよび電気伝導度に関する好ましい範囲につていの一般的な説明に一致して、図12から図16に示されるシールドについても同様に、磁束がぶつかる場所におけるシールドの厚さは、ぶつかる磁束の効果がシールドの外側表面および/またはシールド空気ギャップに到達する前に、ぶつかる磁束の効果を相殺するように場相殺電流がシールドの電気伝導性材料内を流れることを許容する程度に十分な厚さである。文脈から明らかである場合を除いて、図7から図10に関するあらゆる好ましい範囲およびそれに伴う説明は、図12から図16に示される構成にも適用できると理解されたい。
上述のように、図12から図16は説明のために理想化された構成を示しており、また、本発明は、図示の構成によく似た構成の文脈において実施可能であるが、本発明の範囲内において、図示の構成から大きく離れた構成の文脈においても本発明の側面は実施可能である。いくつかの代表的なトロイダルの回転固体が説明のために選択されたが、他の適当な断面に基づく、異なる形状または向きのトロイダル回転固体、または、環状回転固体、トロイド、回転固体を容易に用いることができる。以上の構成は説明の目的のために存在し、本発明のいくつかの実施形態の様々な特徴を紹介および説明するための便宜的な手段に過ぎず、本発明は、たとえば環状の断面を持つ回転固体に限定するように解釈すべきではない。
次の説明は、電力結合装置の全体として線対称の構造を、商業的に入手できる部品および方法を用いて実際に実現する実際的な例を説明する。たとえば、大きな直径のフェライトリング等は商業的に入手できない場合、多数のCコアセグメントおよび/または商業的に入手可能なコアセグメントからコアを製造することが望まれる。もちろん、電力結合装置の任意の様々な部品を得るために任意のときこのよううな方法を用いることができる。たとえば、限定しないが、型成形、鋳造、押し出し成形などは、以下に図17および図18とともに説明され、互いに向かい合う環状コアは、多数のフェライトコアセグメントが互いに隣接されるように配置して、環状および/または半トロイダル形状のコア構成、図17に示す円筒構成、および図18に示す平面構成、に集合的に実質的に近似するように形成される。ここで、「円筒」、「平面」との語は、回転トランスフォーマーの静止側および運動側の間に介在する空気ギャップにより占有される空間の容積の形状を参照しており;図1において説明したように、円筒構成は代替的に「半径方向にずれた」構成と言及され、平面構成は代替的に「軸方向にずれた」構成と言及される。
ここで図17を参照すると、同図は実際的な例の断面図であり、図12および図13に示される構造に近似した円筒構成を備える電力結合装置が、本発明の1つまたはそれ以上の実施形態により、どのように製造されるかを示しており、商業的に入手可能な複数のフェライトコアセグメント230、280の互いに隣接するような配置を通じて、集合的に互いに向かい合う実質的に環状および/または半トロイダル状のコアに近似させ、断面プロファイルは、図5または図13に示されるものに類似している。図17において、電力結合装置は、構成部品(巻部、コア、およびシールド)が見えるように半分に切り取られて示されている。図17の説明において、半コアおよび半シールドが言及されるときでも、接頭語「半」は説明の便宜のためにときどき省略される。
ここで、電力結合装置は主コア230および副コア280を含む。主コア230は、主コア凹部または溝を画定し、ここに主電気伝導性巻部210が配置される。図17に示される実施形態において、主コア230および副コア280は、それぞれ実質的に半トロイダル構成を備え、すなわちこれらは半トロイダルシェルの形状である。本実施形態において、コア230およびコア280により画定される主および副コア凹部は実質的に環状である。ここでは、外側コアは回転トランスフォーマーの主コアに対応し、また、内側コアが回転トランスフォーマーの副コアに対応することを想定しているが、内側コアが回転トランスフォーマーの主コアに対応し、また、外側コアが回転トランスフォーマーの副コアに対応するようにすることも容易である。
図17に示されているように、副コア280は主コア230に隣接して配置され、主および副コアはその間に空気ギャップ202を形成するように配置される(図の断面には示されていないが、Cコアセグメントのアーム状の極部材の端部がコア230、280を形成し、巻部210、260を部分的にラップアラウンドし空気ギャップ202に到る)。副コア凹部は、主コア凹部に対向するようにそこから離れて配置される。空気ギャップ202は、コアの回転軸を中心とする相対的な回転を許容する。このようにして、少なくとも1つのコアはシステムの回転ユニット上に配置される。たとえば、CTスキャナーの回転ガントリ上に、回転ユニットと一緒に回転し電力をユニットに伝達するように配置される。コアは、たとえば、磁気透過性材料から形成され、限定するわけではないがフェライト、シリコン鉄、ニッケル鉄合金、ステンレス鋼、およびコバルト鉄合金などを含む。
図17に示す実施形態において、主コア230および副コア280は、共通の線対称軸を中心とする異なる曲率半径を持ち、主コア230と副コア280との間に空気ギャップ202が半径方向に介在し、線対称軸は、電力結合装置の回転トランスフォーマーの回転軸と実質的に同軸である。つまり、図17に示す構成において、回転トランスフォーマーを構成する各半結合部は互いに円筒空気ギャップを挟んで鏡象になり(すなわち、空気ギャップの中間における仮想線に関して対称である)、巻部、コア、およびシールドの配置は、さらに線対称であり(たとえばトロイダル)、対称軸は回転軸と同軸である。
図17に示すシールド付き電力結合装置は、最も単純な形状において、巻部として機能する2つのアーチ形の電気伝導性素子210および260として理解でき、この巻部はコアとして機能するトロイダル半シェル230および280を構成するフェライトセグメントにより囲まれ、以下に説明するように電力結合装置の周縁においてシールド220および270を備える。図17における半トロイダルコア230および280は、実質的にC形状の断面であり、または、E形状の断面であり、あるいは他の適当な構成であり、限定するわけではないが、たとえば、図6から図16に関して説明したコアの構成とすることができる。図17に示す実施形態において、巻部210および260は1回転の巻部であるが、これは純粋に説明の目的のためであり、端数および/または多数回転の巻部は、図1とともに説明したように本発明の様々な側面の範囲内である。さらに、回転トランスフォーマーの主側および副側のそれぞれにおける複数の凹部の形成を容易にする、E形状の断面または他の断面形状のコアが採用される場合、主側および副側のそれぞれに複数の巻部を配置でき、図6から図11に関して説明したように主巻部を通って流れる瞬間的な正味の電流が実質的にゼロになるように(すなわち、主巻部における各磁化電流が互いに相殺するように)、交流電流(たとえば、2相、3相、多相等)の応用を可能にする。図17において、巻部導線210および260が出入りする領域において、トロイダルコア半シェル230および280はフェライトコア領域が省略して示されているが、これは単に図示の便宜のためであり、磁束のアライメントの観点およびシールドの機能からは、フェライトコアセグメントの配置の線対称性の中断は最小限であることが好ましい。これは図19から図22とともにより詳細に説明される。
図17において、主コアおよび副コアは、シールド空気ギャップが相対回転を許容することを除いて、集合的に、電気伝導性シールド220および270により囲まれる(図面の断面では見えないが、半シールド220および270は、巻部/コアシステムを空気ギャップ202に到達するまで部分的にラップアラウンドする)。図17において、電気伝導性シールド220および270は、巻部導線210および260がコア半シェル230および280に出入りする領域において、円周方向に中断して示されているが、これは単に図示の便宜のためであり、シールドの機能の観点からは、好ましくは、半シールド220および270は、巻部/コアシステムから逃げる磁束がシールドにぶつかる場所において電気伝導性材料を備え、たとえば、コア空気ギャップの周縁におけるフリンジ場相殺領域において電気伝導性材料を備える(たとえば、フリンジ場相殺領域は、図12から16において説明したように、コア空気ギャップに関して遠位方向に隣接して位置し、コア空気ギャップが円周の全長にわたって延び、フリンジ場相殺領域が好ましくはコア空気ギャップに沿う円周の全長にわたって延びる)。また、シールドの機能の観点からは、好ましくは、半シールド220および270は、図5から図16において説明したように、回転軸を中心とする閉じた電気回路を構成する実質的に連続な電気経路を形成する電気伝導性材料を備える。
図17に示される構成において、巻部およびシールドは好ましくは、回転軸を中心とする円周方向(たとえば、トロイダルの長円と同軸の円に沿う方向)の電流の流れを支持し、巻部/コア配置は、好ましくは、メリジオナル平面(たとえば、トロイダル短円の平面)内に位置する半結合部を相互リンクする磁束のループを発生させる。図7から図10に関して説明したシールドの厚さおよび電気伝導度の好ましい範囲に関する一般的な説明に一致して、図17に示した半シールド220および270は、同様に、好ましくは、磁束がぶつかる領域におけるシールドの厚さは、ぶつかる磁束による効果がシールドの外側表面および/またはシールド空気ギャップに到達する前にその効果を相殺するように、シールドの電気伝導性材料内に場相殺電流が流れることを許容する程度に十分な厚さである。文脈から明らかである場合を除いて、図7から図10に関して与えられたあらゆる好ましい範囲および関連する説明は、図17に示される構成に適用できると理解されたい。図17に示されるシールドは、コア空気ギャップに隣接するシールド空気ギャップを備える半シールド220および270を有する2部品ラップアラウンドシールドであるが、代替的にまたは追加的に、任意のシールド構成を採用することが可能であり、図6から図11を参照して説明した任意の構成を含む(たとえば、一部品構成、多数部品構成、隣接空気ギャップ構成、非隣接ギャップ構成、カットバック構成、ラップアラウンド構成等)。
ここで図18を参照すると、同図は実際的な例の側面図であり、図14および図15に示される構成に近似される平面構成を備えるシールド付き電力結合装置がどのように製造されるかを示しており、本発明の1つまたはそれ以上の実施形態により、実質的に環状および/または半トロイダル状の互いに向かい合うコアに集合的に近似するように、商業的に入手可能な複数のフェライトコアセグメント330、380を互いに隣接するように配置する。図18において、シールド付き電力結合装置を形成する回転トランスフォーマーの一方の側だけが示されており;さらに、コアおよびシールドだけが視認でき、組み立てのときにコア凹部に沿って配置される巻部は同図において省略されている。軸方向にずれた回転トランスフォーマーの組み立てを完成させるために、他の側(副側)も図18で示された側と同様に組み立てられる。ただし、この他の側は、実質的に図18に示された側の鏡像であり、巻部が凹部に配置されるとき、半トロイダルコアおよび巻部の開いた面は互いに反対に向くように形成され、図5または図15に示されるような断面プロファイルが得られる。本実施形態におけるような平面構成を備える回転トランスフォーマーがこのような方法で組み立てられるとき、主コアおよび副コアは、共通の線対称軸を中心に同一の曲率半径を備えることになり、主コアおよび副コアが横並びに配置されて、空気ギャップが主コアと副コアとの間に軸方向に介在し、線対称軸は実質的に電力結合装置の回転軸と同軸になる。図18に関して与えられる説明において、半コアおよび半シールドが言及されるときでも、接頭語「半」は説明の便宜のためにときどき省略される。
ここで、このような電力結合装置は、上述のように組み立てられた後、主コア330および副コア380を含む。このような場合、主コアは、主コア凹部または溝を画定し、ここに主電気伝導性巻部310が位置する。副コアは、副コア凹部または溝を画定し、ここに副電気伝導性巻部360が位置する。図18に示される実施形態において、主コア330および副コア380は、前述のように組み立てられた後、各コアは、実質的に半トロイダル構成を備え、すなわち、これらのコアは半トロイダル形状シェルのように形状付けられる。本実施形態において、コア330およびコア380により画定される主コア凹部および副コア凹部は、上述のように組み立てられた後、実質的に環状となる。ここで、図18に示される半コアは、図5または図15に示すような断面プロファイルを得るために、2つの鏡像半コアがそれぞれの巻部およびシールドとともに軸方向にずれるように横並びに組み立てられたとき、縁を前にして見た場合に左コアとなるように選択され、また、たとえば、回転トランスフォーマーの主コアに対応し、図示されていない半コアは、2つの鏡像半コアが上述のような手法で軸方向にずれて横並びに組み立てられたときに縁を前にして見たときに右コアとなるように選択され、また、たとえば、回転トランスフォーマーの副コアに対応する。代替的に、右コアは回転トランスフォーマーの主コアに対応し、左コアが回転トランスフォーマーの副コアに対応するようにしてもよい。図18において、半コア330は空気ギャップ界面313および空気ギャップ界面317を備えるように示され、左シールド320は空気ギャップ界面318および空気ギャップ界面322を備えるように示され、これらは図15とともに説明された。
上述のように図5または図15に示されるような断面プロファイルを得るために、図18に示すように巻部を挿入し鏡像の半結合部を組み立てた後、副コア380が主コア330に隣接するように配置され、主コアおよび副コアはその間に空気ギャップ302を形成するように配置される。副コア凹部は、主コア凹部に対向するように、主コア凹部から離れて配置される。空気ギャップ302により、コアの回転軸を中心とする相対的な回転が可能になる。このようにして、少なくとも一方のコアがシステムの回転ユニット上に配置され、たとえばCTスキャナーの回転ガントリ上に配置され、回転ユニットとともに回転して電力をユニットに伝達する。コアは、たとえば、磁気透過性材料から形成され、限定するわけではないが、磁気透過性材料は、フェライト、シリコン鉄、ニッケル鉄合金、ステンレス鋼、およびコバルト鉄合金などである。
上述したように図18に示されるように巻部を挿入して鏡像の半結合部を組み立てた後、主コア330および副コア380は、共通の線対称軸を中心に同一の曲率半径を備え、空気ギャップ302が、主コア330と副コア380との間に軸方向に介在し、線対称軸は、電力結合装置を構成する回転トランスフォーマーの回転軸と実質的に同軸となる。すなわち、上述のように鏡像の半結合部を組み立てた後、回転トランスフォーマーを構成するそれぞれの半結合部は、互いに平面空気ギャップを挟んで鏡像となり(すなわち、空気ギャップの中心線における仮想面について互いに対称である)、巻部、コア、およびシールドの配置はさらに線対称となり(たとえばトロイダル)、対称軸は回転軸と同軸となる。
図5または図15に示すような断面プロファイルを得るために、図18に示すように巻部を挿入して鏡像の半結合部を組み立てることにより得られるシールド付き電力結合装置は、最も単純な形状において、巻部として機能する2つのアーチ形の電気伝導性素子310および360として理解することができ、これらはコアとし機能するトロイダル半シェル330および380を構成するフェライトセグメントにより取り囲まれ、以下に説明するように周縁においてシールド320および370を備える。組み立てられた電力結合装置内の半トロイダルコア330および380は実質的にC形状断面、またはE形状断面であり、あるいは、他の適当な構成であり、限定するわけではないが、図6から図16とともに説明された任意のコアの構成を含む。図1とともに説明したように、単一巻部310および360として、回転巻部、端数回転巻部、および/または複数回転巻部のいずれも採用可能である。さらに、E形状断面を備えるコア、または回転トランスフォーマーの主および副側のそれぞれにおいて複数の凹部を形成するのを容易にする他の断面形状のコアが採用される場合、複数の巻部が主および副側のそれぞれに配置され、主巻部を通る瞬間的な正味の電流が実質的にゼロになるような(すなわち、それぞれの主巻部における各磁化電流が互いに相殺するような)交流電流の応用(たとえば、2相、3相、多相など)を可能にし、これについては図6から図11とともに説明した。巻部導線310および360がトロイダルコア半シェル330および380に出入りする領域に関して、磁束のアライメントの観点からおよびそれによるシールドの機能の観点から、フェライトコアセグメントのアライメントの線対称性の中断を最小限にすることが好ましく、これについては、図19から図22とともにより詳細に説明する。
上述のように図18に示されるように巻部を挿入し、鏡像の半結合部を組み立てた後、主コアおよび副コアは、シールド空気ギャップが相対回転を許容することを除いて、集合的に、電気伝導性シールド320および370により取り囲まれる。上述のように組み立てた後、シールドの機能の観点から、好ましくは、半シールド320および370は、巻部/コアシステムから逃げる磁束がシールドにぶつかる場所に、電気伝導性材料を備え、たとえば、コア空気ギャップの周縁におけるフリンジ場相殺領域に電気伝導性材料を備え(たとえば、図12から図16とともに説明したようなコア空気ギャップに関して遠位方向に隣接する位置;コア空気ギャップは円周の全長を延びるので、フリンジ場相殺領域は、好ましくはコア空気ギャップに沿う円周の全長に延びる)、また、シールドの機能の観点から、好ましくは、半シールド320および370は、回転軸を中心とする閉じた電気回路を構成する実質的に連続する電気経路を形成する電気伝導性材料を備え、これについては図5から図16おともに説明した。
上述のような図5または図15に示すような断面プロファイルを得るために、図18に示すように巻部を挿入して鏡像の半結合部を組み立てた後に得られる構成において、巻部およびシールドは好ましくは、回転軸を中心とする円周方向(たとえば、トロイダル長円に同軸な円に沿う方向)の電流の流れを支持し、巻部/コアシステムの配置は好ましくは、メリジオナル平面(たとえば、トロイダルの短円平面)内に位置する半結合部を相互リンクする磁束ループを発生させるようにされる。図7から図10とともに説明されたシールドの厚さおよび電気伝導度の好ましい範囲に関する一般的な説明に一致して、半シールド320および370は、同様に、磁束がシールドにぶつかる場所におけるシールドの厚さが、シールドにぶつかる磁束の効果がシールドの外側表面および/またはシールド空気ギャップに到達する前に、シールドにぶつかる磁束の効果を相殺するように、シールドの電気伝導性材料内に場相殺電流の十分な流れを許容することが好ましい。文脈から明らかである場合を除いて、図7から図10とともに説明された好ましい範囲およびその関連説明は、上述のような図18のような巻部を挿入して鏡像の半結合部を組み立てた後に得られる構成にも適用できると理解できる。上述のように組み立てられた後に得られる構成のシールドは、コア空気ギャップに隣接するシールド空気ギャップを備える半シールド320および370を有する2部品ラップアラウンドシールドであるが、代替的にまたは追加的に、任意の適当なシールド構成を採用することも可能であり、たとえば、図6から図11とともに説明した任意の構成(たとえば、単部品構成、多部品構成、隣接空気ギャップ構成、非隣接空気ギャップ構成、カットバック構成、ラップアラウンド構成など)を含む。
円筒形および平面の構成を備えるシールド付き電力結合装置が、複数のフェライトコアセグメントの配置を通じてどのように製造できるかを示す実際の例は、図17および図18とともに説明され、複数のフェライトコアの配置による、実際的な円錐構成を備えるシールド付き電力結合装置の製造は、説明しないが本発明の範囲内において可能である。
ここで図19を参照すると、図18に示すような複数のフェライトコアセグメント330、380からなる互いに向かい合うコアを備える平面構成の電力結合装置は、図18の紙面内で縁を前にして見た場合として示されている(すなわち、図18に示すようの巻部を挿入して鏡像の半結合部を組み立てることにより得られる電力結合装置が、このような方法で示される)。図19において平面構成が示されているが、同様のことは、コアが複数のフェライトコアセグメントからなる場合、または他の線対称の中断がある場合における、円筒形または円錐形の構成を備える回転トランスフォーマーによっても示される。図19において、符号A、B、およびCは、電力結合装置の運転中の転トランスフォーマーにより想定される異なる3つの位置において、磁束線がコア空気ギャップをどのようにブリッジするかを示している。
図19において、空気ギャップ302をブリッジ磁束線が、電力結合装置の回転中に、それぞれのコア330、380を形成する互いに隣接するフェライトコアセグメントの間の空間の存在により、どのように交互にアライメントされおよびミスアライメントされるかを示している(「ミスアライメント(不整列)」とは、ここでは、主コアと副コアとを互いにリンクする磁束が、メリジオナル平面に位置しないことを意味し、たとえばトロイダルの短円の平面内に位置しないことを意味する)。すなわち、図17から図18による説明により示したように、図面に示された実施形態の任意のコアは、複数のコアセグメントを備えることができ、たとえば、集合的に実質的に環状および/または半トロイダル構成に近似するCコアフェライトセグメントを備えることができる。このような互いに隣接するコアセグメントの配置の使用が、線対称性からはずれるセグメント化されたコアを導く限り、これは、磁束ループのミスアライメントを発生させることが予期され、つまり、コア空気ギャップの一方の側の高磁気抵抗領域が、電力結合装置の運転中に、交互に、コア空気ギャップの他の側の高いおよび低い磁気抵抗性領域とアライメント状態になり、たとえば、磁束ループが間欠的に閉じ込められ、そして、トロイダル短円の平面またはメリジオナル平面に閉じ込められない。
複数のコアセグメントからコアを製造するときに、入手可能であるなら、もちろん矩形のプロファイルを備えるコアセグメントよりも適切な寸法のウェッジ形状のコアセグメントを用いることが好ましく、図19に示すような磁束線のミスアライメントを発生させるコア間の空間の寸法を低減できる。さらに、たとえば、同一のCコア寸法が与えられる場合、図17に示す円筒構成は、図18に示す平面構成の場合よりも磁束線のミスアライメントが小さくなることが期待され、これは、パイ形状のコアセグメントのウェッジが、曲がった表面に近似させるために矩形のプロファイルを備えるコアセグメントの使用のアーチファクトとして発生させる、図17に示す円筒構成にとって小さく影響するという事実による。しかし、たとえば、製造製の理由により、整数個のコアセグメントが用いられる場合、コアセグメントは全て同一の寸法であり、矩形のプロファイルを備えるコアセグメントが湾曲した表面に近似させるために用いられ、または、他の理由により、互いに隣接するコアセグメント間の空間が回転トランスフォーマーの各側部(主側および副側)に存在し、このような空間は、交互に、コアセグメントおよび回転トランスフォーマーの他の側(たとえば、副側)上に存在するその間の空間をライニングし、電力結合装置の運転中の相対回転の結果として、磁束線のひずみはRF放射を増加させ、これは、このようなひずみは、図5から図11とともに説明したシールドの運転に干渉するからである。さらに、磁束線ひずみの効果は、コアセグメントの間の空間が、回転方向におけるコアセグメント自身の寸法と同程度またはそれよりも大きくなるときにより影響し、この場合、たとえばコアセグメントが完全に省略される(これは、図17に関する説明における注意的な説明のための理由であり、フェライトコアセグメントが図17に示されているが、巻部導線210および260がそれぞれのコアに出入りする領域において省略され、これは単に説明の便宜のためであり、フェライトコアセグメントの配置の線対称の最小限の中断にすることがこのましい)。
このような磁束ループのミスアライメントを最小限にするために、および、図5から図18に示されたようなシールドの機能を改良するために、コアが複数のコアセグメントを有する場合、コアセグメントの選択およびこれらのコアセグメントの配置は、任意の互いに隣接する2つのセグメントの円周方向(回転方向)における間に介在する空間が、任意の1つのコアセグメントの円周方向における幅より大きくならないようにすることが好ましい。より好ましくは、このような空間は、任意の1つのコアセグメントの円周方向における幅の二分の一より大きくならないようにすることが好ましい。
ここで図20を参照すると、他の線対称性の喪失の可能性があり、たとえば、巻部310、360の導線をコア凹部に出し入れする必要がある場合である。図20において、図18に示されているように、複数のコアセグメント330、380からなる互いに向かい合うコアを備える平面構成の電力結合装置が、図18の紙面内で縁を前にして見た場合に、巻部310、360を示すように切り出して図示されている(すなわち、図18に示されるような、巻部を挿入して、鏡像の半結合部を組み立てることで得られる電力結合装置が、このように示されている)。平面構成が図20に示されているが、同様のことが、巻部の導線がコア凹部に出入りする円筒形または円錐形の構成を備える回転トランスフォーマーによっても示される。
上述したように、一般に、巻部導線ワイヤのための空間を形成するために、コアセグメントを省略することは好ましくなく、また、互いに隣接するコアセグメントの間の空間を有意に増大させることは好ましくない。これは、そうすると、コアの線対称性を中断させて、磁束線のミスアライメントを増加させる可能性があり、図19に示すような状況を発生させる。
また、図20は、磁束線のミスアライメントを引き起こす他の可能性を示しており、それゆえ、好ましいシールドの性能および/またはRF放射の増大の可能性への考えら得る干渉を示している。すなわち、図20において、仮想的な電流ループ197がどのように形成されるかが示され、巻部導線ワイヤ310がコア凹部に出入りするところで、概ね等辺三角形の2つの脚部を形成し、三角形の3番目の脚部が、対向する巻部360の存在により形成され、対向する巻部360は、このような仮想的な電流ループ197の形成に関して状況を悪化させ可能性がある。対になった巻部導線ワイヤの磁場は、これらの導線ワイヤが互いに近接して対になる場所において(特に、これらの導線ワイヤがねじれ集合的にシールドされる場合)互いに相殺しようとするので、対になった導線ワイヤが互いに分岐する場所(図20に示されている)において、このような仮想電流ループ197が概ね形成され、仮想電流ループ197により示される問題の大きさは概ね、これらの分岐する導線ワイヤにより形成される概ね等辺三角形の寸法に応じて増加する。図14および図15において示されるような、1回転巻部を備える理想的な回転トランスフォーマーにおいては、間に空間が存在しないように巻部導線をコア凹部に完全な直角で出入りさせることが可能であるかも知れないが、現実的な実施形態においては、このような仮想的な電流ループ197の形成を避けることは困難である。このような仮想電流ループ197内を流れる電流は、電力結合装置による伝達される高出力に基づいて想定される電流に対応し、単なる磁化電流に基づくものではない。すなわち、このような仮想電流内を流れる電流は、電力結合装置により伝達される電力に対応する電流に対して小さな割合ではあるが、電力結合装置により大容量の電流が伝達される場合、仮想電流ループ197内を流れる電流はとても大きくなるであろう。さらに、仮想電流ループ197により生成される磁場は、一般に、磁束線がメリジオナル平面内に位置するようにはアライメントされておらず、このようなミスアライメントされた磁束は、シールドの性能に有意に悪影響を与え得る。
巻部導線ワイヤのためにコアセグメントを省略しおよび/または互いに隣接するコアセグメントの間の空間を増大させる必要を無くすために、本発明の1つまたはそれ以上の実施形態において、複数のコアセグメントを線対称コアに近似さえるために用いる場合、コアセグメントは巻部導線ワイヤを通過させることができる通路を備えることが好ましい。さらに、図20に示されるような仮想電流ループの形成を最小化するために、および、図5から図18に示されるようなシールドの性能を向上させるために、本発明の1つまたはそれ以上の実施形態において、仮想電流ループの形成を取り除くまたは最小化するような方法および位置で、巻部の導線ワイヤがコアを通ることが好ましい。たとえば、この両者の目的を達成するために、図21に示すように通路277を備えるコアセグメント280を採用することができる。図21において、切り欠きのついた通路277が示されているが、穴またはそれ類似の通路277を使用することを妨げるものではない。
図21を参照すると、商業的に入手可能な複数のコアセグメント280を用いて、線対称コアに近似させる場合、通路277の採用は、互いに隣接するコアセグメント間の空間を増加させずに、または、他に有意なコアの線対称性の中断を発生させずに、巻部導線ワイヤがコア凹部に出入りするのを可能にする。さらに、図21に示されるような導線のための通路277を備えるコアセグメント280を、巻部導線が分岐することにより形成される概ね三角形の領域の寸法を最小化することにより、仮想電流ループの形成を実質的に取り除くまたは最小化するために用いることができる。通路277を備えるコアセグメント280は、たとえば図21に示される単一巻部のための単一の凹部を形成するCコアセグメント用として示されているが、もちろん、このような通路を、たとえば複数回転巻部(たとえば、図22は、互いに隣接するEコアセグメントにより形成された各凹部内の3回転巻部を示している)用のEコアセグメントまたは複数の凹部を形成する他のコアセグメントの文脈において採用することも可能である。この場合、巻部導線ワイヤのための通路を備えるコアセグメントを、巻部導線が分岐することにより形成される概ね三角形の領域の寸法を最小化することにより、仮想電流ループの形成を実質的に取り除くまたは最小化するために用いることができ、同時に、図22とともの説明したように介在するワイヤの直径を収容する。
図21において、図17に示す円筒構成を備える電力結合装置の内側コアの一部を形成するフェライトコアセグメント280は、図17の紙面内で縁を前にして見たように図示されている。ここで、巻部導線ワイヤの通行を許容する1対の通路277が隣接するコアセグメントの対角線上なるように配置された好ましい実施形態が示されている。図21は、互いに隣接するコアセグメント上で対角線上に配置された1対の通路277を示しているが、このような通路を、互いに隣接するコアセグメントの対角線上に配置せずに、代わりに、巻部がコア凹部内で巻きつく方向における両方の端部において、同一のコアセグメントの対角線上の位置に配置する場合でも、同様の効果が得られるであろう。すなわち、この場合、図21の最左のコアセグメントにおける通路277が、図21の中央のコアセグメント対応する位置に配置されて、両方の通路277が同一のコアセグメント上に配置されることになる。円筒構成のためのコアに近似させるために用いられるコアセグメントが図21に示されているが、同様の構造および性能は、コアが複数のフェライトコアセグメントから形成される場合における平面構成または円錐構成を備える回転トランスフォーマーにおいても可能である。さらに、Cコアセグメントが図21に示されているが、同様の構造および性能が、Eコアセグメントまたは他の適当な任意の断面プロファイルを備えるコアセグメント(たとえば、図22にEコアセグメントが示されており、ここで巻部および導線ワイヤの配置が示されている)においても可能であろう。
図22を参照すると、ここでは、図18に示される平面構成を備える電力結合装置の半結合部の1つのコアの一部を形成するコアセグメント330が、図18における側面図としてい示され、ただし、図22のコアは、図18において採用されているCコアセグメントの代わりにEコアセグメントが採用されている。図22において、複数のEコアフェライトセグメントのコア凹部の一方(ここでは、図の上側の凹部を参照する)内の3回転巻部310が、凹部に沿ってどのように配置されるかを示しており、また、巻部が図20に示すような方法で互いに隣接するコアセグメント330の後ろ側から出てくるように、巻部が、図21に示されるような互いに隣接するコアセグメント330上に対角線上に配置された通路をどのように通過するのかを示している。図22に示される3回転巻部の場合における、対角配置の通路は、巻部の凹部内で巻きつくような配置を容易にし、これはとくに、巻部ワイヤの直径を収容するように許容差が形成されなければならない場合であり、この場合、巻部は、各1回転ごとに巻部を導線ワイヤが凹部に出入りする場所に近づくように、「レーン変更」するために曲げられなければならない(たとえば、図22において、通路間の距離は、導線ワイヤが凹部に出入りする場所の間に、2つ分のワイヤの直径が配置される程度に十分な距離でなければならない)。
図20および図21を参照し、ここで通路277は上述のように巻部導線ワイヤの通行のために採用され、このとき、通路227は、電力結合装置の運転中に、磁束線が通る経路の磁気抵抗を実質的に変更しないような位置および方法で、コアセグメント(たとえば図20におけるコアセグメント330または図21におけるコアセグメント280)上に配置されることが好ましい。すなわち、フェライトの磁気抵抗は、たとえば、50から100倍以上空気よりも小さく、磁束密度は概ねコア空気ギャップ付近で最大になる。さらに、シールドは、磁束がコア空気ギャップから逃げる場所であるフリンジ場の近傍の磁束線の幾何構造に特に敏感であるので、通路277を形成するために穴、切り欠き等を形成する場合、空気ギャップに対面するコアセグメント表面から材料を取り除かないようにすることが好ましい。すなわち、コア空気ギャップ界面は、なめらか且つ均一であることが好ましく、コア空気ギャップ界面の機械的な欠落、中断、または乱れがないようにすることが好ましい。さらに好ましくは、通路277は、コアセグメントの裏面、または、相対的にコア空気ギャップから離れた他の位置に存在するようにすることが好ましく、この場所では、コア材料の欠落が、空気ギャップを架橋する磁束線に対して殆ど悪影響を与えないであろう。
図21において、通路277は、電力結合装置の運転中に極面(コアギャップ界面)として機能する表面から離れて、コアセグメント280の裏面に存在する。さらに、図20から図22において、通路277は必要な場所、すなわち巻部導線が実際にコア材料を通過する場所にだけ存在するが、コアセグメントの裏面またはコア空気ギャップから安全に離れた他の好ましい場所における通路277の存在が、有意に、通路277の、電力結合装置の運転中の磁束線が通る磁気経路に対する悪影響を低減するので、コストを低減し、製造性を改善などのために、巻部の導線ワイヤが実際に通過する場所におけるコアセグメント上だけでなく、コアを形成する全てのコアセグメント上に通路277を提供することへの妨げは特にない。
上述のように、巻部の配置および/またはコアにおける磁気抵抗低減材料の分配は、磁束ループがメリジオナル平面内に、たとえば線対称構造の全体が概ねトロイダルである場合の短円平面内に位置するように磁束をアライメントするようになされることが好ましい。さらに、特にコアが複数のコアセグメントからなる場合、たとえば、コアセグメントの空間配置を含む配置による、または、巻部の導線ワイヤがコア凹部に出入りする方法による線対称性の中断は最小限にすることが好ましく、たとえば通路が採用されることが好ましい。さらに、巻部の導線は、たとえば、仮想電流ループの形成を実質的に取り除くまたは最小化するような方法および位置で、コアを通過することが好ましい。図5から図18とともに説明したような効果的なシールドのために、本発明の1つまたはそれ以上の実施形態において、フリンジ場によるものおよび仮想電流ループによるものを含むミスアライメントされた磁束は、電力結合装置の運転中のコアをリンクする全磁束の1/100より大きくないことが好ましい。さらに、ミスアライメントされた磁束は、電力結合装置の運転中にコアをリンクする全磁束の1/1000より大きくないことがさらに好ましい。さらに、ミスアライメントされた磁束は、電力結合装置の運転中にコアをリンクする全磁束の1/10000より大きくないことがさらに好ましい。
端数回転の巻部が採用される場合、電力結合装置の全体の線対称構造の円周方向における異なる位置での電流密度の変化が、磁束線のひずみを生じさせる状況、すなわち各コアをリンクする磁束のループがメリジオナル平面からそれる状況になることを避けるために、端数回転は、集合的に完全な1回転を構成するように配置されることが好ましい(たとえば、それぞれがトロイダル長円の円周の三分の1を占める3つの端数回転巻部を採用できる)。また、シールド付き電力結合装置の運転中に、電流は、線対称構造の全体円周の周りの実質的に全ての場所で、概ね均一な磁束を達成するように、全ての端数回転を通って流れるようにすることが好ましい。
任意の材料および組み立て方法を、電力結合装置の巻部、コア、およびシールドに用いることができる。コアの周りに巻きつけられるワイヤ、たとえばリッツ(Litz)ワイヤ、は、典型的には巻部として機能するが、他の適当な材料および製造方法、たとえば、型成形、押し出し成形等を採用することができる。大きな直径のフェライトコアが複数のコアセグメントから形成される実際的な例が説明されたが、本発明はこれに限定されず、入手可能な鋳造、型成形、押し出し成形によるコア素子を採用することもできる。さらに、フェライトが、好ましいコア材料の1つの例として言及されているが、本発明はこれに限定されず、シリコン鉄、ニッケル鉄合金、ステンレス鋼、コバルト鉄合金、またはその他の適当な材料を使用することも可能である。アルミニウムが好ましいシールド材料の1つの例として言及されたが、本発明はこれに限定されず、代替的にまたは追加的に、他の金属、他の電気伝導性材料、および/またはシールドのための他の適当な材料を採用することも可能である。本技術分野における当業者は、シールド付き電力結合装置を様々な方法で製造できることを認識できるであろう。一例として、巻部として機能するワイヤは、図17および図18とともに説明したような線対称構造に近似するように配置された複数のコアセグメントの凹部内に巻きつけることができ、コアセグメントは、図5から図18とともに説明した線対称軸の周りで、連続的な電気経路として機能する電気伝導性材料の中に埋め込まれる。このとき、図5から図18ともに説明したような線対称シールドに近似させる、シート状の金属、チャネルまたは他の押し出し物などが、アーチ状またはらせん状に巻きつけられて、電気伝導性エポキシ等により一緒に保持される。このとき、電力結合装置の運転中に磁場がメリジオナル平面からそれるのを最小限にし、適切なシールドの性能のために、コア材料、コア空気ギャップの幾何配置、コアセグメントの空間配置、巻部導線ワイヤの出入りのための通路、等の配置/分配に適切な注意が向けられることが好ましい。さらに、シールド空気ギャップの向きおよび位置に適切な注意が向けられることがさらに好ましく、フリンジ場相殺領域における十分な電流伝達能力のためにシールド内の電気伝導性材料の配置に適切な注意が向けられることが好ましく、コア空気ギャップの周縁から出てくるフリンジ場に対するこの領域の位置に適切な注意が向けられることが好ましく、線対称軸および回転軸を中心とする閉じた電気回路を構成する円形の連続的な電気経路の形成に適切な注意が向けられることが好ましい。
特定の線対称構成が説明され且つ図面に示されたが、本発明はこれらに限定することを意図しておらず、必要に応じた適切な修正とともに、任意の適当な線対称構成の上述の説明に適用することが可能である。さらに、「線対称」、「トロイダル」等の語が電流、磁束線等の向きなどの議論において一般的な枠組みを提供するために用いられてきたが、このような枠組みは、過度に文言通りに捉えるべきではなく、本発明のシールド付き電力結合装置から得られる利点のために、線対称またはトロイダルな幾何形状が厳密であることを意味するように捉えるべきではなく、また、厳密な線対称またはトロイダル幾何形状からのずれが、必要的に特許請求の範囲の外であると捉えるべきではない。例えばシールドの形状に関して、シールド付き電力結合装置の性能を有意に損なうことなく、線対称および/またはトロイダル幾何形状からの有意な逸脱も可能であり、これらも特許請求の範囲の中にあり、および/またはたとえば図5から図22とともに説明されたシールド能力を満足するために説明された基本的なパラメータの範囲内である。
さらに、少なくとも1つのシールド空気ギャップ(図10に示されるような1つの大きなシールド空気ギャップを備える構成を含む)は、一般に、半結合部間の相対運動を許容することが必要であり、複数のシールド空気ギャップおよび/またはコア空気ギャップを備えることに特に妨げはない。さらに、相対回転を許容するために、複数の空気ギャップとともに、組になったおよび/または入れ子にされた半結合部の組を採用することに妨げはなく、いくつかの代表的な例が図23に示されている。
図23は、いくつかの代表的な断面プロファイルを示しており、これらは、回転する線対称固体を生成するために用いることができ、これに、本発明の実施形態による回転トランスフォーマーの構造を一致させることができ、この図は、特に、複数の組にされたまたは入れ子にされた回転トランスフォーマーの半結合部が、どのように、様々な統合構造に結合されるかを示している。図面において、類似の参照符号で示された部分は、上述の機能を備え、ただし、ラベリングにおいて便宜的に静止側および回転側の間の区別はしていない(すなわち、静止側の参照符号が両方の側の半結合部に用いられているが、実際には、これらの一方は典型的には回転トランスフォーマーの主側として機能し、他方が典型的には回転トランスフォーマーの副側として機能する)。図23のAからCまでの3つの構成の各々は、概ね線対称の回転固体を生成するための断面プロファイルとして用いられたときに、十分なシールドを提供することができると期待される。図面において、垂直線、水平線、斜線は、回転軸を示す概略的な方法として図示されており、本発明の様々な実施形態の概ね線対称な回転トランスフォーマーの構造を得るために、これらの線を中心に断面プロファイルが掃引される。これらの線は断面プロファイルの外側に位置すべきであるが、任意の半径および任意の向きとすることができる。
本発明の電力結合装置は、CTスキャナーのような少なくとも1つの回転ユニットを含むシステムにおいて電力を伝達するのに有効である。静止部材、および静止部材に結合される回転部材を含むシステムにおいて、本発明の電力結合装置は、電源から静止部材または回転部材あるいはその両者に電力を伝達できる。たとえば、静止部材をCTスキャナの静止ガントリとし、回転部材をCTスキャナの回転ガントリとでき、X線源を含むことができる。
本発明が、特定の好ましい実施形態を参照しながら図示および説明されてきたが、添付の特許請求の範囲により画定される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本技術分野における当業者により、形状および詳細における様々な変更が可能であると理解されたい。