以下の説明は例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定められる。
図1は、以上で説明したシールド電力伝送装置を適用した環境100のブロック図である。図1に示されたCT装置は、検査物体102に関する立体情報を求めて2次元や3次元映像を生成する。
以下、CT装置を例示して説明するが、本発明がこれに限定されないことを理解しなければならない。すなわち、実質的に本発明は特許請求の範囲を含み、回転子(例:回転する要素)と固定子(例:固定要素)を有する他のすべての装置に適用することができる。具体的に、本発明は、ある装置の回転部に電力を供給する装置や、この装置に含まれた電子要素に適用される。また、例示した環境100も一例に過ぎず、本発明の範囲を限定しないことを理解しなければならない。例えば、図1のデータ獲得機122が回転子104の一部分であったり、デテクターアレイ106の一部分であってもよい。
検査装置108は、(空港のカバンや患者のような)検査物体102を検査する。検査装置108は回転子104と固定子110を有する。検査を受ける物体102は寝床やコンベアベルトのような支持台112上に置かれ、支持台は回転子104内部の空間である検査区域114に配置されることができ、(モータや駆動軸やチェーンのような)回転装置116によって回転子104が物体102の周りを回転する。
回転子104は検査区域114の一部を取り囲み、X線発射体のような複写元118と(単に「ディテクタ」とも言う)デテクターアレイ106を有し、デテクターアレイは複写元の正反対側に位置する。
物体を検査する間、複写元118は検査装置108の検査区域114に放射線120を扇形や円錐状や楔形態で放出する。このような放射線は、連続的に放出されたり、パルス形態で断続的に放出される。
放射線120は、物体102を透過するときに物体の構造によって減衰度が変わる。このため、このような減衰率やデテクターアレイ106で感知される光子数の変化率に基づいて映像が生成される。例えば、骨や金属板のように密度が高い部分では、肌や服のように密度が小さい部分よりも放射線120がさらに大きく減衰し、デテクターアレイ106にぶつかる光子数もさらに少なくなる。
デテクターアレイ106は感知された放射線を信号に変換し、このとき、非晶質セレニウムや他の直接変換物質を利用して直接変換したり、フォトディテクタや他の間接変換物質を利用して間接変換したりし、変換した信号はデータ獲得機122に伝送されて圧縮された後、公知の技術を利用して一定時間間隔や測定間隔内に伝送される。このような測定間隔を当業界では「ビュー」といい、複写元118が物体102に対して一定角度範囲にある間に放出された放射線120で生成された信号を反映する。データ獲得機122は、このように圧縮された信号を示す投映データを生成する。
データ獲得機122で出力された投映データは映像再構成機124に入り、映像再構成機は適当な分析、追跡、その他の再構成技法を利用して投映データから映像データを生成する。このように、投映データは、映像を見るユーザー130が理解し易いドメインである映像空間に変換される。
このような映像はワークステーションやコンピュータのような端末機126に入力され、警備員や医者のようなユーザー130が見ることができるようにモニタ128にディスプレイされる。ユーザー130は映像を検査し、物体102内の関心領域を確認することができる。一方、ユーザーが端末機126に直接入力して検査装置108の動作(例:回転速度、コンベアベルトの速度など)を制御することもできる。
端末機126に連結するコントローラ132は、端末機126からユーザーの入力を受けて検査装置108が実行する命令語を生成する。例えば、ユーザー130が物体102を再検査したいときには、コントローラ132が、支持台112が逆回転させる命令をして物体102を検査区域114に戻すことができる。
図2は、(図1の回転子104に該当する)回転子202と(図1の固定子110に該当する)固定子204を備えたシールド電力伝送装置200の断面図であって、図1の2−2線の断面図である。図に示すように、回転子202と固定子204はすべて半円形であり、円筒形エアギャップ206によって互いに分離し、後述するように、固定子204から回転子202に電力が伝送されるように構成される。このように、複写元118やデテクターアレイ106のような回転子内の電気部品に、スリップリングやブラシを使用しなくても電力を供給することができる。
回転子202と固定子204はすべて3つの同軸のハーフセル(half−shell)で構成される。例えば、回転子202はエアギャップ206から順にコイル208、コア210、およびセル212で構成され、セルの少なくとも一部分がシールドとして作用し、固定子204はエアギャップから順にコイル214、コア216、およびセル218で構成され、このセルもシールドとして作用する。ハーフセルの間ごとに中間厚さのギャップ(間隙)があり、ギャップの厚さは0であってもよい。
ここで使用された「ハーフ−カップル」、「ハーフ−セル」、「ハーフ−コア」、「ハーフ−シールド」などの用語は、誘導結合、セルなどをなす全体を構成する様々(例:2つ)部分のうちの1つであると同時に、文字どおりに大きさや体積や質量などが正確に同じである2部分があることを意味する。ここで、特別に異なるように定義されない限り、このような用語は、様々な部分が全体を構成するさらに一般的な場合を代表するものとして理解されなければならない。また、このような用語において「ハーフ」とは、接頭語は便宜上により省略することもできる。
「コア」とは、磁気抵抗を低減させたり磁気的に透磁性がある物質を意味し、このような磁気抵抗低減物質は、伝統的な変圧器のようにコイル内部の中心に軸方向に位置するだけのものと狭く解釈されてはならず、むしろ従来の範囲を逸脱し、コイルの周りにドーナツ形態で磁束ルーフを強化するドーナツ形態にコアが分布される構造を有するロータリ変圧器のように広い意味で解釈されなければならない。
図3は、回転子302と固定子304を備えた電力伝送装置300の断面図であって、図1の2−2線の断面図に該当する。回転子302と固定子304は、平面形エアギャップ306の両側にそれぞれ半円形や半円筒形に配置され、後述するように、固定子304から回転子302側に電力を伝送するように構成される。このように、複写元118やデテクターアレイ106のような回転子内部の電気要素に、スリップリングやブラシを使用しなくても電力を供給することができる。
図2の実施形態と同じように、回転子302と固定子304それぞれは3つの同軸ハーフセルで構成される。例えば、回転子302はエアギャップ306から順にコイル308、コア310、およびセル312で構成され、固定子304はエアギャップから順にコイル314、コア316、およびセル318で構成される。ハーフセルの間ごとに中間厚さのギャップ(間隙)があり、ギャップ厚さは0であってもよい。
図2〜3の実施形態は例示に過ぎず、回転子と固定子を異なるように構成することもできる。例えば、図4〜8のように、回転子202、302と固定子204、304を3つの同軸ハーフセルで構成せずに、回転子や固定子の構成によってはシールド材料をまったく含まないこともある。図7の実施形態の場合、回転子202、302のセルを確張して固定子204、304のコア216、316とコイル214、314を覆うようにし、固定子は単にコイルとコアだけを有するようにする。また、図2〜3の実施形態ではエアギャップ206、306が平面形であるが、場合によってはエアギャップの角度を異なるようにすることもある。一例として、エアギャップを円錐形にし、円筒形部分は円錐角をほぼ0にし、平面部分は円錐角が180度にすることもできる。
図4は図2の4−4線の断面図であって、回転子402と固定子404の断面を見ることができる。回転子402と固定子404すべて3つの同軸ハーフセルで構成される。例えば、回転子402はエアギャップ406から順にコイル408、2次コア410、およびセル412で構成され、固定子404はエアギャップから順にコイル414、1次コア416、およびセル418で構成される。
コイル408、414は銅のような電線を円形に巻いたものである。図4の実施形態では便宜上によりコイル数を1つで表示したが、コイル2つすべてや1つが多数のコイル数を有することもできる。
それぞれのコア410、416は、回転子402のコイル408と固定子404のコイル414をそれぞれ部分的に取り囲み、両コイル間の結合を増加させる。一般的にこのようなコア410、416は、磁性体や(不導体である)誘電体で構成されるため、コアに流れる電流が減少する。
回転子402と固定子404は、変圧器と同じような機能を行う。例えば、交流電源を固定子404のコイル414に連結すればこのコイルは誘導電場を起こし、回転子402のコイル408は誘導電場を受ける。また、コア410、416は、それぞれ誘導結合の効率を高める役割を行う。
図5〜7でさらに説明するが、例えば、本発明をCTに適用する場合、電力伝送装置は20kHz以上の周波数で作動するようにし、コイル408、414とコア410、416は双極磁場を起こして強力な磁束ルーフを形成するようにすることが好ましい。コア410、416の磁性体やその他の誘電体は磁束ルーフの通路を形成するため、ここを脱する磁束はほぼない。しかし、これらのコアが相対回転できるように互いに落ちているため、両側コア410、416間のエアギャップ406を横切る磁束は変圧器領域を脱してエアギャップ付近のコア領域を脱することができ、これにより、エアギャップに近いセル412、418部分が銅のような導体である場合、この部分に電流を誘導することができる。このような部分をフリンジフィールド(fringe field)緩和区域とも呼ぶ。
マクスウェルの方程式によれば、コイル408、414に電流が流れて生じる振動磁場がセル412、418に誘導する電流は、方向と大きさは同じであるが極性はコイルの電流と正反対となる。このように誘導された電流は、コイル408、414に流れる電流と極性を除いては極めて類似するため、以下ではフィールドキャンセル電流や映像電流と呼ぶ。したがって、磁場を誘導する一方、コイルの電流のため磁場を緩和ないしキャンセルする電流がセル412、418やセルのフリンジフィールド緩和要素に流れるようになる。このようにすることで、セルやフリンジ緩和要素は、セルの外部に放射線が脱することを禁止したり緩和させるシールドの役割をする。脱出した放射線は周辺の電気要素と干渉を引き起こすことがある。
後述で詳しく説明するが、映像電流の流れが妨害されずにコイル408、414の電流に同じように流れてコイルの電流による磁場を緩和させようとすれば、セル412、418のフリンジフィールド緩和要素が閉回路をなす連続的な電流経路を形成する伝導体を有するようにすることが好ましい。一例として、このような電気経路が電力伝送装置の作動中にコイル408、411に流れる電流による磁場を緩和したりキャンセルする磁場を誘導するのに十分な電流を支援することが好ましい。このように回転軸の周りに閉回路をなす連続的な電気経路は円形や環形やドーナツ形態であって、エアギャップに隣接したりエアギャップに沿って形成されるリング形状のバンド形態を取ることができる。このような連続電気経路は、平板型や円筒形のエアギャップを有する電力伝送装置に対して環形を取ることもでき、円錐状の区間を有することもできる。
コイル408、414の電流により、各種コア/シールド形態のエアギャップ406で生じた磁場や、このような磁場がフリンジフィールド緩和要素によってシールド412、418の内面付近でどのように緩和されるかについては、図5〜7を参照しながら説明する。
図5〜7は、図4のシールド412、418に該当するシールド512、518が互いに対向するコア510、516間のコアエアギャップ506から出る磁場に属するときに電流が流れる場所を決めるシミュレーションの結果を示している。図には示されていないが、AC電源は、固定子の1次軸に配置された3つの3回転コイル514に連結する。図4のコイル408、414のコイル数は1であるが、図5〜7のコイル数はすべて多数で示されている。しかし、これはあくまでも例示に過ぎない。すなわち、固定子504と回転子502のコイル数は1つであることもでき、多数であることもできる。
磁性体や誘電体としてのコア510、516がコアエアギャップ506から不連続的であれば、コイル508、514の電流による磁場がコアに拘束されずにコアを脱して漏洩し、映像装置の敏感な電子素子と干渉を引き起こす。
磁場や磁束線は、エアギャップ516を除いてはコア510、516に乗って流れる。すなわち、コア510、516が磁束を拘束してコアエアギャップ506付近でのみ漏洩が起こるため、適切なシールドがなければ磁束の一部がコアエアギャップ506付近でコアを脱し、付近の電子装備に問題を引き起こすことがある。しかし、コアエアギャップ506や導体周辺にシールドがなければ、漏出エネルギーがシールドに電流を誘導することができ、このような誘導電流は悪影響を緩和することができる。したがって、コアエアギャップ506付近のセル512、518部分に、コイル508、514に流れる電流と大きさは同であるが方向は反対となる誘導電流が生じれば、この誘導電流が磁場を引き起こし、このような磁場は漏出する磁束で生じる磁場を緩和したりキャンセルする。誘導電流が流れて漏洩を緩和する導体を有するセル512、518部分を以下ではフリンジフィールド緩和要素と呼び、図5〜7にこの部分を黒く520表示する。
セル512、518のフリンジフィールド緩和要素520は導体で構成され、磁性体を支持する構造の小さい一部分であり(例:銅やアルミニウム電線)、固定子504のコイル514のような誘導生成要素や回転子502のコイル508のような誘導受信要素によって生じた電流に似ているが、極性は反対である誘導電流が流れるようになっている。このように、フリンジフィールド緩和要素520は、コアエアギャップ506から抜け出て誘導生成要素や誘導受信要素で生じる磁束を緩和する。
また、上述したように、フリンジフィールド緩和要素520は、固定子504から回転子502に電力が供給される間に誘導電流を維持する閉回路をなす連続電気経路を形成する。言い換えれば、不連続電気経路は、誘導電流の性質(例:方向)を変え、誘導電流による磁場を誘導生成要素や誘導受信要素の電流による磁場とは異なるようにする。したがって、不連続電気経路は誘導電流の性質を変えて誘導電流を維持することができないが、連続的な電気経路は(誘導電流の性質を変えずに)誘導電流を維持する。例えば、一例として、フリンジフィールド緩和要素520の電線や電線区間を半田付けなどによって互いに連結すれば、電流がこのような連結部を通じて(電流の性質を変えずに)絶えず流れることができる。
セル512、518で黒く表示されていない非−フリンジフィールド(non−fringe field)緩和要素は、フリンジフィールド緩和要素520とは異なる物質、例えば、誘電体(例:プラスチック、紙、パルプ、木材、複合材料など)や不連続伝導体で構成される。例えば、非−フリンジフィールド緩和要素がボルトや他の締結口に結合するアルミニウムや他の金属の区間でセル512、518の形状(例:ドーナツ形態)をなすことができる。非−フリンジフィールド緩和要素が多くの区間からなり、(半田付けなどによって)互いに締結していないのに連続的な電気経路をなすこともあるため、非−フリンジフィールド緩和要素が誘導電流や映像電流を運搬できなかったり、このような映像電流を維持できないこともある。
フリンジフィールド緩和要素(例:電線)と非−フリンジフィールド緩和要素を2つ共有するセル512、518を生成すれば、セル512、518がコアエアギャップ506付近ではない場所で電流支持能力をほぼもたなかったり不連続導体を有する場合にも、効果的なシールドを形成することができる。このため、従来に比べて遥かに低廉ながらも軽いシールド電力伝送装置を実現することができる。例えば、低廉なプラスチック成形部位を単純に嵌め込んだり、その中に導体電線を嵌め込んで締結することもできるが、これは精密な誤差範囲内で金属構造体を(数ピット直径程度に)大きく加工するものとは対照的である。このような装置は、低廉で操作が容易なだけでなく、関連慣性力やモーメンタムも減る。
図6は、セルとコアの他の例を示している。ここでは、コアエアギャップ506がセル512、518のエアギャップ522と一致しない。このため、コイル508、514の電流で生じた回転子のセル512と固定子のセル518に浸透しない。したがって、フリンジフィールド緩和要素520が2つのセル512、518のうちの1つのみにあればよい。すなわち、回転子502のセル512や固定子504のセル518のうちの1つがフリンジフィールド緩和要素をもてばよく、両セルすべてが有する必要はないが、これはコアエアギャップ506がセル512、518のエアギャップ522と一致しないためである。言い換えれば、コア510、516のギャップを抜け出るコイル508、512内の電流で生じる磁場は無視することができたり、コアエアギャップ506付近にあるフリンジフィールド緩和要素によってその影響を緩和することができる。本実施形態では回転子のセル512がコアエアギャップ506を覆うため、このセル512にのみフリンジフィールド緩和要素520があればよい。固定子のセル518や回転子のセル512のうちでも、コイルで生じた磁場をキャンセルする磁場を生成する電流が流れない部分は、誘電体や導電性不連続材料で構成されることができる。もちろん、本実施形態とは反対に、セル512を平板型にしてセル518をU型にすれば、セル518にのみフリンジフィールド緩和要素520があればよい。
図7は、さらに他の構成を示している。ここでも、コアエアギャップ506がセルのエアギャップ522と一致しない。固定子504や回転子502がセルや導電ワイヤのようなシールド材料をもたないこともある。すなわち、固定子504と回転子502のうちの1つのみがセル512を有し、このセルにフリンジフィールド緩和要素があることもある。例えば、図に示された実施形態では、固定子504のみがコイル514とコア516を有し、回転子はコイル508とコア510とセル512を有する。さらに反対に、固定子504がセル518を有し、回転子502はセルをもたないこともある。
図6で説明したように、回転子502のセル512がコアエアギャップ506を覆うため、このセル512にのみフリンジフィールド緩和要素520、すなわち、伝導体の連続物質からなる部分がある。このセル512で非−フリンジフィールド緩和要素、すなわち、映像電流が流れない部分は、誘電体や導電体連続物質で構成されることができる。
図5〜7は例示に過ぎず、他の構成も可能である。誘導電流を利用してコアエアギャップを有する変圧器のコイルの順電流で生じた電場の効果を緩和したり放射線を緩和するセルの構成を異なるようにすることもできる。例えば、セル512、518をコアエアギャップの左右側にのみ配置することができる。すなわち、セル512、518がコアギャップのないコア510、516の上下を覆わなくてもよい。
図8は、円形構成を有するシールド電力伝送装置の平面図であって、この装置は半円形であり、回転子や固定子部分のみを示している。例えば、図4や図5の平面図は回転子部分のみを示している。このような装置を製作するとき、市中で購入することができるコア810を区間別にいくつか隣接するように配列して環形やドーナツ半分形態のコアを生成し、またセル812も区間別にいくつか配置することができる。図8にはコア810とセル812のみを示し、このようなコアの溝に巻かれたコイルは便宜上により省略した。シールド電力伝送装置の組み立てを終わらせようとすれば、図8に示す側と同じように他の側(2次側)を組み立てるが、この他の側は基本的に図8の部分と鏡像をなす。本実施形態のような平面構成を有するシールド電力伝送装置をこのように組み立てるとき、1次コアと2次コアは基本的に対称軸線、すなわち、1次コアと2次コアの間を軸方向に横切るコアエアギャップを中心として同じ半径を有し、このために1次コアと2次コアは並んで配置され、対称軸線は電力伝送装置の回転中心と一致する。
セル812は、フリンジフィールド緩和要素820と、(フリンジフィールド緩和要素ではない)非−フリンジフィールド緩和要素を有する。例えば、フリンジフィールド緩和要素820は、コイル408、414の電流で生じた磁場を緩和したりキャンセルするのに十分な磁場を引き起こす誘導電流が流れるワイヤを含む。このようなワイヤや他の伝導体は、コイルの順電流の反対極性の電流を流すようにするのに十分な大きさ、厚さ、組成を有する。また、図面ではフリンジフィールド緩和要素820がコア区間810のすぐ横になく、小さい非−フリンジフィールド緩和要素がコア区間810とフリンジフィールド緩和要素820を分離することによってなされているが、図5〜7に示すように、フリンジフィールド緩和要素がコア区間のすぐ横にあることもある。
非−フリンジフィールド緩和要素は誘電体や導電体を含むが、一般的にはコイルの電流と一致する電流を流すようにする必要はない。例えば、導電体ではないポリマ、ガラス繊維、または炭素繊維強化複合材料を環形構造で成形して非−フリンジフィールド緩和要素を生成することもできる。このような場合、非−フリンジフィールド緩和要素に形成された溝にフリンジフィールド緩和要素(例:ワイヤ)を嵌め込むことができる。プラスチックでセルを生成してセルの溝にワイヤを嵌め込めば軽量化が成立し、CTマシンも軽量化することができる。
セル812を多くの区間で構成し、1つに結合して円形セルを生成することもできる。例えば、図8のように、セル812を破綻線824で区分した4区間に分け、これらの区間を接着、溶接、ボルティング、リベティング、スナップ結合、レンチングなどの方法によって結合することができる。各区間を誘電体や導電体(例:軽量金属)で構成することができる。しかし、これらの区間を1つに連結だけして連続的な電気ルーフを形成するのではないため、これらの区間に映像電流が流れることはできない。したがって、区間ごとにフリンジフィールド緩和要素(例:ワイヤ)を含ませ、区間を結合する間に結合区間のフリンジフィールド緩和要素を半田付けなどの方法によって互いに連結して連続的な電気ルーフを形成する。一方、区間を結合だけして、フリンジフィールド緩和要素をセル812に追加することもできる。例えば、アルミニウム、プラスチック、木材などの区間を結合した後、誘導電流が流れるワイヤを区間の溝に嵌め込むことができる。このように、区間を結合するときにワイヤを連結せず、ワイヤを後に結合することができる。また、ワイヤをセル812の溝の直径と同じ直径のルーフ形態に生成し、製作工程中にセルに嵌め込むこともできる。すなわち、回転子と固定子のセル812を多くの区間で生成してセルの組み立て途中にフリンジフィールド緩和要素が形成されるようにしたり、セルの製作途中にセルにフリンジフィールド緩和要素を追加する。言い換えれば、セルとフリンジフィールド緩和要素は、いかなる順序であっても一体化する。
金属セルの場合、セルを多くの区間で生成すれば特に有利となる。例えば、シールド電力伝送装置をCT装置に使用する場合、セルの直径は大略5フィートである。金属片を環形状に結合しようとすれば特殊装備が必要となり、費用と時間を多く要する。しかし、5フィート直径の構造物を多くの区間に分け、これらの区間を結合するにはさらに一般的な装備を使用することができるため、費用が節減される。このようなセルをプラスチックや複合材料のような他の材料で製作する場合、さらに有利になる。
コア区間810を嵌める溝をセルに生成することもできる。コア区間810は通常、磁気透過物質である磁性体、ケイ素鋼、ニッケル鋼合金、ステンレススチール、炭素鋼合金などで生成することができるが、これに限定されるものではない。コア区間ごとに(コイル数に合う)溝があり、ここに導電コイル408、414を配置する。コア区間それぞれは、コイル数が1つであれば「C」型であり(図4参照)、コイル数が2つであれば「E」型であることができる。また、電力伝送装置が円形であれば、コア区間810は環形に配列される。図8のように、多くのコア区間810からなるコアが1つの環形構造で形成されることもできる。すなわち、1次コアや2次コアをそれぞれ1つの磁性体を加工して環形構造で生成ことができる。
上述したように、セル812が多くの区間で構成されれば、セルを組み立てる前や後にコア区間810をセル内に締めたり配置することができる。したがって、誘電体や導電体からなるセルを生成して映像電流が流れるワイヤをセルに嵌め込んだ後、コアやコア区間810をセルの溝に結合し、コアの溝にコイルを締めて電力伝送装置の1番目半分を組み立てる。電力伝送装置の2番目半分(例:固定子部分)も同じ過程で組み立てる。
シールド電力伝送装置のコイル、コア、およびセルに他のいかなる材料との組み立て方法も適用することができる。リッツワイヤ(Litz wire)のようなワイヤをコアに巻いてコイルとして使用することができるが、モールディング、キャスティング、圧出などの他の製法と他の材料も採択することができる。以上、多くの区間で大口径磁性体コアを生成することについて説明したが、これはあくまでも例示に過ぎず、キャスト、モールディング、圧出などの他の方法もいくらでも利用することができる。コア材料として磁性体を例示したが、ケイ素鋼、ニッケル鋼合金、炭素鋼合金などの他の材料を使用することもできる。セルの材料としてアルミニウムやプラスチックポリマを例示したが、他の金属やプラスチックを使用することもできる。
図9は、固定子と回転子の間に電力を伝送するシールド電力伝送装置の製法900のフローチャートである。902段階から始まり、904段階でセルを形成する。セルは(プラスチックポリマのような)誘電体や、誘電体区間や、伝導体区間を有する。図8の例のように、回転子や固定子側のセルの各部分を多くの区間に分け、これらの区間をそれぞれ形成することができる。例えば、セルの各区間を必要に応じて加工した後、これらの区間を1つに結合して環形構造を形成する。一方、プラスチックポリマからなるセルの場合、鋳型にプラスチックポリマを注いで硬化させてセルを形成する。また、プラスチック区間および/または他の材料を結合し、シールド電力伝送装置のセルおよび/または他の部分を形成することもできる。
セルは、回転子と固定子の2区間で構成されることが普通である(図4〜8参照)。したがって、904段階でセルを形成するということは、2つの環形構造を生成することを含む。例えば、2番目の環形構造物は1番目の環形構造物の鏡像である。しかし、上述したように、セルの区間数はさらに多いこともあるし少ないこともある。図7で説明したように、回転子や固定子のいずれか一側にのみセルを有することもある。
また、環形の区間ごとにコアやコア区間を嵌め込む溝があり、この溝にコアを配置したりもする。例えば、コアに合う大きさを有するセルの溝にエポキシを使用してコアを接着することができる。一方、コアを嵌める溝がセルになく、コアやコア区間をセル上に上げて置くだけの場合もある。
図8のように、誘導フィールド生成要素と受信要素をコア内に配列することもできる。一例として、コアの1番目区間はセルの回転子部分に配列し、2番目区間は固定子部分に配列する。誘導フィールド生成要素は、コアの2番目区間内部(上に)配置し、誘導フィールド受信要素はコアの1番目区間内部(上に)配置する。リッツワイヤのような材料を各区間内に配置してリングを形成し、変圧器のコイルの役割を行うようにする。コイル数は、シールド電力伝送装置の所望する性質の関数であることができる。
誘導フィールド生成要素に電力がかかれば、誘導フィールドが生じて誘導フィールド受信要素に電流が誘導され、シールド電力伝送装置の回転子区間に電力が生じる。誘導フィールド生成要素から受信要素への電力の伝送は一般的に磁場や磁束を引き起こし、このような磁束は大部分がコアに沿って流れるが、コアエアギャップ付近では漏洩が起こる。このようなエアギャップは固定子区間と回転子区間を分離し、回転子区間を固定子区間に対して回転させる機能を行う。このような漏洩磁束は、場合によってはシールド電力伝送装置付近の敏感な電子装置と干渉を引き起こすため、このような磁束を緩和したりキャンセルすることが好ましい。
磁束を緩和ないしキャンセルするために、906段階において磁束、具体的にはコア内エアギャップを通じて抜け出る磁束を緩和するように構成された(コア用の溝に近い)セル部分にフリンジフィールド緩和要素を嵌め込む。このようなフリンジフィールド緩和要素は銅やアルミニウムのような伝導体で構成され、このような伝導体は連続的な閉ルーフを形成し、コア内エアギャップから出る磁束を緩和ないしキャンセルする電流がこの伝導体に誘導される。磁束を緩和しようとする誘導電流は、誘導フィールド生成要素や受信要素に流れる電流と大きさは同じであるが極性は反対でなければならない。
ワイヤのようなフリンジフィールド緩和要素を、セルの組み立ての前や後にセルに挿入することができる。例えば、セルの各区間にフリンジフィールド緩和要素を嵌め込んだ後、これらの区間を半田付けなどの方法によって組み立てれば、フリンジフィールド緩和要素が閉ルーフを形成する。当業者であれば分かるように、閉ルーフとは電磁気的観点からみて連続的かつ均一なものを意味する。すなわち、変圧器の電磁気要素は一般的に円対称をなし、断面形状がほぼ等しい。一方、フリンジフィールド緩和要素を完成したセルに嵌め込むこともできる。例えば、すべてのセル区間を1つに結合した後、フリンジフィールド緩和要素をセルの溝に嵌め込んだりセルに付着させる。このように形成されたフリンジフィールド緩和要素は連結点がほぼなく、さらに連続的な構造をなす。一方、セルを製作する途中、いつでもセルの一部分や全体にフリンジフィールド緩和要素を結合することもできる。
一端、シールド電力伝送装置の固定子と回転子区間を完成させれば、この電力伝送装置をCT装置に連結し、(複写元やディテクタのような)電子装置を電力伝送装置に連結し、CT装置の作動中にこのような電子装置に電力を供給することができる。例えば、CT装置の固定子部分からシールド電力伝送装置を通じてCT装置の回転子部分に電力を供給することができる。
908段階でこの方法900が終了する。