JP2010503728A - イカリシドiiの製造方法、これを含有する化粧料組成物及びその皮膚美白用としての用途 - Google Patents

イカリシドiiの製造方法、これを含有する化粧料組成物及びその皮膚美白用としての用途 Download PDF

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Abstract

本発明は、イカリシドIIの製造方法及びこれを含有する美白用化粧料組成物に関し、より詳細には、チロシナーゼのグリコシレーション過程で重要な酵素であるアルファ−グルコシダーゼの酵素活性を抑制することによって、糖タンパク酵素であるチロシナーゼを合成するグリコシレーションを抑制する下記化学式1(但し、上記式中、R1はラムノピラノースである。)
Figure 2010503728

で表されるイカリシドIIの製造方法及びこれを含有する美白用組成物に関する。

Description

本発明は、イカリシドIIの製造方法、これを含有する化粧料組成物及びその皮膚美白用としての用途に関し、より詳細には、チロシナーゼのグリコシレーション過程で重要な酵素であるアルファ−グルコシダーゼの酵素活性を抑制することによって、糖タンパク酵素であるチロシナーゼを合成するグリコシレーションを抑制する下記化学式1(但し、上記式中、R1はラムノピラノースである。)
Figure 2010503728
で表されるイカリシドIIの製造方法、これを含有する化粧料組成物及びその皮膚美白用としての用途に関する。
ヒトの皮膚色を決定するにはさまざまな要因が関与するが、それらのうちメラニン色素を作るメラノサイトの活動性、血管の分布、皮膚の厚さ及びカロチノイド、ビリルビンなどの人体内外の色素含有有無などの要因が重要である。
これらのうち特に最も重要な要因は、人体内のメラノサイトでチロシナーゼなどの様々な酵素が作用して生成されるメラニンという黒色色素である。このメラニン色素の形成には、遺伝的要因、ホルモン分泌、ストレスなどと関連した生理的要因及び紫外線の照射などのような環境的要因などが影響を及ぼす。
身体皮膚のメラニン細胞で生成されるメラニン色素は、黒い色素とタンパク質の複合体形態を有するフェノール系高分子物質であって、太陽から照射される紫外線を遮断し、真皮以下の皮膚器官を保護すると同時に、皮膚生体内に生じた自由ラジカルなどを除去するなど皮膚内タンパク質と遺伝子を保護する有用な役目を担当する。
このように皮膚内外部のストレス的刺激によって生じたメラニンは、ストレスが消えても皮膚角質化を通じて外部に排出される前までは消えない安定した物質である。しかし、メラニンが必要以上に多く生ずるようになれば、染みやそばかす、斑点などのような過色素沈着症を誘発し、美容上、良くない結果をもたらすようになる。
また、レジャー人口の増加に伴って、外部で活動することを楽しむ人々が多くなるにつれて、紫外線によるメラニン色素沈着を抑えようとする要求が増えるようになった。
このような要求に応じて、従来、アスコルビン酸、コウジ酸、アルブチン、ヒドロキノン、グルタチオンまたはこれらの誘導体、またはチロシナーゼ阻害活性を有する物質を化粧料や医薬品に配合して使用してきたが、これらは、その不十分な美白効果、皮膚に対する安定性問題、化粧料に配合時に現われる剤形化及び安定性の問題などに起因して、その使用が制限されている。
メラニンを生合成する酵素であるチロシナーゼは、糖蛋白質であって、生体内の糖蛋白質合成過程であるグリコシレーション過程を通じて作られる。このグリコシレーション過程に問題が生じ、チロシナーゼの糖部分に異常が生じる場合、チロシナーゼは、細胞内メラニン生合成場所であるメラノソームに移動せず、移動するとしても、チロシナーゼの活性を示すことができず、したがって、メラニンが生成されることができなくなる(The Journal of Investigated Dermatology, 83, 196-201, 1984, The Journal of Biological Chemistry, 272(25), 15796-15803, 1997)。グリコシレーション過程には多くの酵素が関与するが、それらのうち重要な酵素がアルファ−グルコシダーゼである(The Journal of Biological Chemistry, 272(25), 15796-15803, 1997)。もし、この酵素の酵素活性を抑制することができれば、チロシナーゼのグリコシレーションを抑制することができ、美白効果を奏することができる。
The Journal of Investigated Dermatology, 83, 196-201, 1984, The Journal of Biological Chemistry, 272(25), 15796-15803, 1997 The Journal of Biological Chemistry, 272(25), 15796-15803, 1997
これより、本発明者らは、上記問題点を解決し、さらに優秀な美白剤原料を捜そうとする研究の一環として、様々な天然物から微生物のアルファ−グルコシダーゼ酵素活性抑制能を検索したところ、エピメディウム属植物抽出物のフラボノイド成分であるイカリシドIIが優秀なアルファ−グルコシダーゼ酵素活性抑制効能を示すことによって、美白剤としての効果に優れているを知見し、本発明を完成するに至った。
したがって、本発明の目的は、化学式1で表されるイカリシドIIの製造方法及びこれを有効成分として含有する美白用化粧料組成物を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、下記化学式1(但し、上記式中、R1はラムノピラノースである。)
Figure 2010503728
で表されるイカリシドIIの製造方法、これを含有する化粧料組成物及びその皮膚美白用としての用途を提供する。
以下、本発明でイカリシドIIを製造する過程をさらに詳しく説明する。
本発明による化粧料組成物に含有されるイカリシドIIは、下記の2つの方法で製造することができる。
まず、イカリシドIIを含む植物から直接精製して製造することができる。
本発明によるイカリシドIIを含有する植物は、エピメディウム属来由の植物抽出物であることを特徴とし、より具体的には、例えば、Epimedium brevicornum Maxim., Epimedium grandiflorum Morr., Epimedium koreanum Nakai, Epimedium pubescens Maxim., Epimedium sagittatum Maxim.及びEpimedium wushanenseの抽出物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、本発明では、有機溶媒としてエタノール、メタノール、ブタノール、エーテル、エチルアセテート及びクロロホルムよりなる群から選択された1つ以上の有機溶媒、またはこれら有機溶媒と水との混合溶媒を使用することができ、好ましくは、80%エタノールを使用することができる。
本発明において、植物から水または有機溶媒を利用してイカリシドIIを収得する方法は次の通りである。すなわち、植物に約1乃至6倍、好ましくは約3倍の水;またはエタノール、メタノール、ブタノール、エーテル、エチルアセテート及びクロロホルムよりなる群から選択された1つ以上の有機溶媒;またはこれら有機溶媒と水との混合溶媒として有機溶媒の比が10乃至50%(v/v)である混合溶媒を入れ、常温で1乃至5回撹拌しながら抽出して脱脂させた後、脱脂された植物に約1乃至8倍、好ましくは、約4倍の水または有機溶媒を入れ、1乃至5回還流抽出した後、10乃至20℃で1乃至3日間沈積させる。
上記沈積物を濾過と遠心分離を通じて残渣と濾液とに分離し、分離した濾液を減圧濃縮して得た抽出物を水に懸濁した後、エーテルなどを利用して色素を除去した後、水層をブタノールなどを使用して1乃至5回抽出した後、収得した有機溶媒層を減圧濃縮してブタノールなどの抽出物を得、これを少量のメタノールなどに溶解した後、大量のエチルアセテートなどを追加して生成された沈殿物を乾燥させて、イカリシドIIを含む抽出物を収得することができる。この抽出物からシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離する過程を通じてイカリシドIIを収得することができる。
次に、イカリンを含有する植物抽出物を収得し、イカリンのグルコース部分を除去する方法を通じて得ることができる。イカリンまたはこれを含有する植物抽出物は、本発明で提示したイカリシドIIを得る方法と同一の方法で獲得することができ、イカリンのグルコース部分を除去する方法は、ラムノースに作用せず、グルコースを選択的に除去することができる酵素または上記酵素を生産する微生物を利用する方法によって製造することができる。
本発明による酵素または上記酵素を生産する微生物は、糖結合を分解する酵素または上記糖結合を分解する酵素を生産する微生物を使用することができ、上記酵素は、イカリンからラムノースを分解せず、グルコース部分のみを選択的に除去し、イカリシドIIを製造する。
上記酵素としては、アミラーゼ、グルコシダーゼ、アラビノシダーゼ、キシロシダーゼ、セルラーゼ、グルクロニダーゼ、ガラクトシダーゼ及びアミログルコシダーゼよりなる群から選択された1種以上を使用することができる。
また、上記酵素を生産する微生物は、アスペルギルス属、バチルス属、ペニシリウム属、クモノスカビ(Rhizopus)属、ケカビ(Mucor)属、タラロミセス属、ビフィドバクテリウム属、 クサレケカビ(Mortierella)属、クリプトコックス属及びミクロバクテリウム属よりなる群から選択された1種以上を使用することができる。
上記酵素を利用する場合、イカリンまたはこれを含有する植物抽出物を5乃至20倍、好ましくは約10倍の酸性緩衝溶液に溶解させた後、酵素を添加し、得られた溶液について、約37℃で約40乃至55時間、好ましくは約48時間撹拌しながら、薄層クロマトグラフィーで基質の消去率を確認し、基質が完全に消失されれば、熱水(80〜100℃)中で5乃至15分間加熱して加水分解反応を終了させ、反応液を収得することができる。
上記酵素を生産する微生物を利用する場合、イカリンまたはこれを含有する植物抽出物を5乃至10倍、好ましくは約10倍のイオン水に溶解させた後、約121℃で30分間滅菌し、約30℃に冷却した後、あらかじめ培養された微生物を液体量に対して5〜10%に接種し、30℃で2乃至5日、好ましくは5日間培養した後、薄層クロマトグラフィーで基質の消去率を確認し、基質が完全に消失されれば、加水分解反応を終了し、培養液を5,000乃至10,000rpmで遠心分離して回収した沈殿物を蒸留水で3回洗浄した後、遠心分離し、沈殿物として反応液を収得することができる。
上記のように、酵素、または上記酵素を生産する微生物を利用して加水分解した後、収得した反応液を減圧濃縮して溶媒を除去し、残渣にアルコールを加えて1乃至5回撹拌した後、沈殿された塩を濾過を通じて除去し、濾過された濾液を減圧濃縮して粗生成物を収得し、収得された粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離し、イカリシドIIを収得することができる。
本発明によって製造されたイカリシドIIは、チロシナーゼグリコシレーションに作用するアルファ−グルコシダーゼ活性抑制効能に優れていて、これによるメラニン生成を抑制させる美白効能に優れている。
また、本発明では、上記イカリシドIIを有効成分として含む化粧料組成物及びその皮膚美白用としての用途を提供する。
本発明による化粧料組成物は、その剤形において特に限定されるものではなく、例えば、柔軟化長水、栄養化粧水、マッサージクリーム、栄養クリーム、パック、ゼルまたは皮膚粘着タイプ化粧料に剤形化されることができ、組成物内において上記イカリシドIIの含量は、組成物の全体重量に対して0.0001〜10重量%で含有されることができる。
また、各剤形の化粧料組成物において、上記イカリシドII以外の他の成分は、その他の化粧料の剤形または使用目的などによって当業者が困難性なしに適宜選定して配合することができる。
以上説明したように、本発明では、エピメディウム属植物抽出物から分離されるか、またはイカリンから酵素または上記酵素を生産する微生物を利用して生成されたイカリシドIIを含有する化粧料組成物がアルファ−グルコシダーゼの活性を抑制し、これにより、チロシナーゼの正常的なグリコシレーションを妨害し、紫外線(UV)によって生成された色素沈着を改善する効果に起因した美白効果を示すことができることを確認した。したがって、本発明によるイカリシドIIは、美白用化粧料組成物または薬学組成物として非常に有用に使用されることができる。
図1は、対照群(a)、デオキシノジリマイシン(b)、イカリン(c)及びイカリシドII(d)の電気泳動写真である。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。しかし、このような実施例は、本発明を具体的に説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の権利範囲が制限されるわけではない。
[実施例1:抽出法を活用したイカリシドIIの製造]
エピメディウム属植物である三枝九葉草(Epimedium koreanum Nakai)の乾燥した葉2kgにヘキサン6Lを入れ、常温で3回撹拌抽出して脱脂させた後、脱脂された三枝九葉草の葉1kgに80%メタノール4Lを入れ、3回還流抽出した後、15℃で1日間沈積させた。次に、 濾過布を用いた濾過と遠心分離を通じて残渣と濾液とに分離し、分離した濾液を減圧濃縮して得た抽出物を水に懸濁した後、エーテル1Lで5回抽出して色素を除去し、水層を1-ブタノール500mLで1回抽出した。得られた全体1-ブタノール層を減圧濃縮して1-ブタノール抽出物を得、これを少量のメタノールに溶解した後、大量のエチルアセテートに追加し、生成された沈殿物を乾燥することによって、イカリシドIIが含有された抽出物を収得した。収得した抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル500g充填)で精製した。この時、展開溶媒としては、クロロホルムとメタノールを使用し、クロロホルムとメタノールの比を10:1から2:1まで濃度勾配を高めて分画を収得し、これら分画からイカリシドII 1.5gを収得した。
[実施例2:セルラーゼを活用したイカリシドIIの製造]
イカリン10gを500mLの0.1M酢酸緩衝溶液(pH4.5)に溶解させ、これにセルラーゼ0.5g(Sigma社製造)を添加して37℃水浴上で48時間撹拌しながら、薄層クロマトグラフィーによって周期的に確認し、イカリンが完全に消失された後、熱水(80〜100℃)中で10分間加熱して反応を終了させ、次いで反応液を減圧濃縮して溶媒を除去し、残渣にエタノール200mLを加えて撹拌させた後(3回)、濾過して沈殿物を除去した後、濾過された濾液を減圧濃縮して粗生成物を収得した。収得した粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離し、イカリシドII 7.5gを収得した。
[実施例3:ベタグルコシダーゼを活用したイカリシドIIの製造]
イカリン10gを500mLの0.1M酢酸緩衝溶液(pH5.5)に溶解させ、これにベタグルコシダーゼ0.5g(Sigma社製造)を添加して25℃水浴上で48時間撹拌しながら、薄層クロマトグラフィーによって周期的に確認し、イカリンが完全に消失された後、熱水(80〜100℃)中で10分間加熱して反応を終了させ、得られた反応液を減圧濃縮して溶媒を除去し、残渣にエタノール200mLを加えて撹拌させた後(3回)、濾過して沈殿物を除去し、得られた濾液を減圧濃縮して粗生成物を収得した。収得した粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離し、イカリシドII 6.9gを収得した。
[実施例4:アミラーゼを活用したイカリシドIIの製造]
イカリン10gを500mLの0.1M酢酸緩衝溶液(pH5.5)に溶解させて、これにアミラーゼ0.5g(Sigma社製造)を添加して25℃水浴上で48時間撹拌しながら、薄層クロマトグラフィーによって周期的に確認して、イカリンが完全に消失された後、熱水(80〜100℃)中で10分間加熱して反応を終了させ、得られた反応液を減圧濃縮して溶媒を除去し、残渣にエタノール200mLを加えて撹拌させた後(3回)、濾過して沈殿物を除去し、得られた濾液を減圧濃縮して粗生成物を収得した。収得した粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離し、イカリシドII 7.3gを収得した。
[実施例5:アスペルギルスニガーを活用したイカリシドIIの製造]
イカリン10gを100mLのイオン水に溶解させ、121℃で30分間滅菌して30℃に冷却した後、あらかじめ培養されたアスペルギルスニガー(Aspergillus niger)KCCM 11885を液体量に対して5〜10%に接種し、30℃で5日間培養させた後、薄層クロマトグラフィーでイカリンの消去率を確認し、完全に消失された後に反応を終了させ、培養液を5,000乃至10,000rpmで遠心分離して沈殿物を回収し、回収された沈殿物を蒸留水で3回洗浄した後に遠心分離し、沈殿物として反応液を得た後、上記沈殿物にエタノール200mLを加えて撹拌させた後(3回)、濾過して沈殿物を除去し、得られた濾液を減圧濃縮して粗生成物を収得し、上記収得した粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離し、イカリシドII 6.5gを収得した。
[試験例1:イカリシドIIの同定]
上記実施例1〜5で収得した生成物を同定した結果(Varian Gemini 2000 300MHz, Varian社)、下記のような特性を示した。
<イカリシドIIの物理化学的性状>
性状:淡い微黄色の微細結晶
陽性FAB−MS:515[M+H]
1H NMR:(DMSO-d6)δ: 0.79(3H, d, 6, Me-5"), 1.63 & 1.68(6H, brs, Me-11), 3.03(1H, qd, 6, 9.5, H5"), 3.14(1H, dd, 9, 9.5, H4"), ca3.4(2H-9, overlapping with the signals of H2O), 3.47(1H, br, H3"), 3.85(3H, s, OMe-4'), 3.98(1H, br, H2"), 5.15(1H, brt, 7, H10), 5.26(1H, d, 1.5, H1"), 6.31(1H, s, H6), 7.12(2H, d, 9, H3', 5'), 7.86(2H, d, 9, H2', 6'), 12.52(1H, s, OH-5)
13C-NMR:(DMSO-d6)δ: 156.2, 133.8, 177.1, 103.6, 158.1, 97.8, 160.9, 105.4, 153.8, 21.0, 121.7, 130.3, 17.6, 25.2, 121.8, 129.7, 113.5, 160.5, 55.2, 101.4, 69.7, 70.0, 70.2, 70.8, 17.3
酸加水分解物:イカリチン、ラムノース
[試験例2:イカリシドIIの効能試験]
(1)アルファ−グルコシダーゼ阻害効能実験
アルファ−グルコシダーゼ(Sigma製造)を50U/mLの助酵素液1mLに10mg/mLで製造したイカリン、実施例1〜5のイカリシドII及びデオキシノジリマイシン0.01mLを加えて5分間放置した。この時、デオキシノジリマイシンは、陽性対照群として使用した。各サンプルを405nmで吸光度を測定して初期の吸光度を求め、これに基質として5mM p-ニトロフェニル-α-D-グルコピラノサイド0.05mLを加えて37℃で5分間酵素反応をさせた後、405nmで吸光度をさらに測定し、下記の数式1を利用して酵素活性阻害率を求めた。
[数式1]
アルファ−グルコシダーゼ活性阻害率(%)
=100−(各試験物質の吸光度/対照群の吸光度×100)
Figure 2010503728
上記表1に示されたように、本発明の実施例1〜5で同定したイカリシドIIは、デオキシノジリマイシンと類似な程度のアルファ−グルコシダーゼの活性抑制能があることを確認した。
(2)人間メラノマ細胞チロシナーゼのグリコシレーションに及ぶ影響
人間メラノマ細胞が有しているチロシナーゼのグリコシレーションに及ぶイカリシドIIの効果を調べるために下記のような実験を行った。
先ず、人間メラノマ細胞であるHM3KO細胞(Y.Funasaka, Department of dermatology,Kobe university school of medicine, 5-1 Kusunoki-cho 7-chrome, Chuo-ku, Kobe 650, Japan)を牛胎児血清が10%含有されたたMEM(Minimum Essential Medium)培地に入れ、37℃、5%CO2条件下で培養した。このように培養した細胞を細胞数が各フラスコ当たり3×105となるように75cm2フラスコに配置し、ひと晩の間に細胞がフラスコ壁に付着されることを待った後、翌日からイカリン、上記実施例1のイカリシドII及びデオキシノジリマイシンが0.05%入っている新しい培地にそれぞれ交替した。ここで、デオキシノジリマイシンは、陽性対照群として使用した。試料が入っている新しい培地は、1乃至2日に一回ずつ交替し、細胞がフラスコに一杯になるまで培養した。細胞がすべて成長すれば、細胞を集めて細胞溶解液(lysis buffer:2%CHAPS in 50mM Hepes及び200mM NaCl,pH7.5,プロテアーゼ抑制剤)を入れ、超音波で破砕した後、細胞破砕液を4℃、12000rpmで10分間遠心分離し、壊れない細胞とメラニンを分離して除去し、上層液だけを取った後、この上層液(タンパク質量:20g)にエンドグリコシダーゼH(125units)を入れ、37℃で1時間酵素反応させた後、電気泳動で上層液にあるタンパク質をサイズ別に分離した。上記のように電気泳動で分離したタンパク質のうちチロシナーゼは、抗体を利用した免疫反応で確認することができた。すなわち、糖残基が正常的に形成されたチロシナーゼは、エンドグリコシダーゼHによって糖残基が酵素分解されず、約72kDサイズの糖蛋白質として現われ、グリコシレーション過程に関与するアルファ−グルコシダーゼの酵素活性が抑制され、正常的な糖残基が形成されないチロシナーゼは、エンドグリコシダーゼHによって糖残基が加水分解され、約60kDのサイズでタンパク質が現われるようになる。
図1を参照すれば、試料が入らない培地である対照群(a)とイカリン(c)が処理されたチロシナーゼは、エンドグリコシダーゼによって糖が分解されないため、大きいサイズ(約72kD)で現われるのに対し、デオキシノジリマイシン(b)とイカリシドII(d)を処理したメラノサイトのチロシナーゼは、糖部分がエンドグリコシダーゼ によって完全に分解され、小さい(約60kD)サイズで現われることを確認することができる。このような結果は、イカリシドIIがチロシナーゼの糖蛋白質の形成に問題を起こし、チロシナーゼの酵素活性を抑制させることができることを示す。
(3)人体皮膚に対する美白効果実験
本発明によるイカリシドIIの人体皮膚に対する美白効果を調べるために下記のような実験を行った。
先ず、元気な12人の男性を対象にして被検者の上膊部位に直径1.5cmの孔が形成された不透明テープを付着した後、各被検者の最小紅斑量(Minimal Erythema Dose)の1.5〜2倍程度の紫外線(UVB)を照射し、皮膚の黒化を誘導した。
上記紫外線の照射後、上記実施例1で同定したイカリシドIIの1%溶液(溶媒は1,3-ブチレングリコール:エタノール=7:3)、ヒドロキノンの1%溶液、溶媒(陰性対照群)1%だけを塗布し、1ヶ所は何も塗布せずに、10週間状態変化を観察した。1週単位で皮膚の色を色差計CR2002(日本国、ミノルタ社)で測定した。
次に、上記各試験物質の塗布開始時点と塗布完了時点で測定された皮膚色の差異(ΔL*)を下記数式2によって計算し、これを下記表2に示した。一方、美白効果は、試料塗布部位と対照群部位のΔL*の比較として判定するが、ΔL*値が2程度である場合は、沈着された色素の美白化が明らかな場合であり、1.5程度以上なら、美白効果があると判定することができる。
[数式2]
ΔL*=塗布完了時点でのL*値−塗布開始時点でのL*
Figure 2010503728
上記表2に示されたように、本発明の実施例1で同定したイカリシドIIは、ヒドロキノンと類似な程度の皮膚色の明るさ程度を示すことを確認した。
以下、上記組成物の剤形化を製剤例により説明するが、これらは、本発明の理解を助けるための例示に過ぎず、本発明がこれらに限定されるものではない。
Figure 2010503728
上記成分に精製水を満たして全量を100にし、上記配合比によってせっけんを製造した。
Figure 2010503728
上記成分に精製水を満たして全量を100にし、上記配合比(%)によってローションを製造した。
Figure 2010503728
上記成分に精製水を満たして全量を100にし、上記配合比(%)によってクリームを製造した。
Figure 2010503728
上記成分に精製水を満たして全量を100にし、上記配合比(%)によってパックを製造した。
Figure 2010503728
上記成分に精製水を満たして全量を100にし、上記配合比(%)によって美容液を製造した。
Figure 2010503728
上記成分を混合して気密袋に充填し、散剤を製造した。
Figure 2010503728
上記成分を混合した後、通常の錠剤の製造方法によって打錠し、錠剤を製造した。
Figure 2010503728
通常のカプセル剤の製造方法によって上記の成分を混合し、ゼラチンカプセルに充填し、カプセル剤を製造した。
Figure 2010503728
通常の注射剤の製造方法によって1アンプル当たり(2mL)上記成分含量で製造した。
Figure 2010503728
通常の液剤の製造方法によって精製水にそれぞれの成分を加えて溶解させ、レモン香を適量加えた後、上記成分を混合し、精製水を加えて全体100mLに調節した後、茶色瓶に充填して滅菌させ、液剤を製造した。
イカリシドIIを含有する組成物は、アルファ−グルコシダーゼの活性を抑制し、これを通じてチロシナーゼの正常的なグリコシレーションを妨害し、色素沈着を改善させることによって、美白用化粧料組成物または薬学組成物として有用に使用されることができる。

Claims (8)

  1. エピメディウム属植物から、有機溶媒、または有機溶媒と水との混合物を溶媒として利用して、イカリシドIIを抽出することを特徴とする下記化学式1(但し、上記式中、R1はラムノピラノースである。)
    Figure 2010503728
    で表されるイカリシドIIの製造方法。
  2. 上記有機溶媒は、エタノール、メタノール、ブタノール、エーテル、エチルアセテート及びクロロホルムよりなる群から選択されるものであることを特徴とする請求項1に記載のイカリシドIIの製造方法。
  3. 上記エピメディウム属の植物は、Epimedium brevicornum Maxim., Epimedium grandiflorum Morr., Epimedium koreanum Nakai, Epimedium pubescens Maxim., Epimedium sagittatum Maxim.及びEpimedium wushanenseよりなる群から選択されるものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 酵素、または上記酵素を生産する微生物を利用して、イカリンからラムノースを分解することなくグルコース部分を選択的に除去し、下記化学式1(但し、上記式中、R1はラムノピラノースである。)
    Figure 2010503728
    で表されるイカリシドIIを製造する方法。
  5. 上記酵素は、グルコシダーゼ、アラビノシダーゼ、キシロシダーゼ、セルラーゼ、グルクロニダーゼ、ガラクトシダーゼ及びアミログルコシダーゼよりなる群から選択された1種以上であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 上記微生物は、アスペルギルス属、バチルス属、ペニシリウム属、(クモノスカビ(Rhizopus)属、ケカビ(Mucor)属、タラロミセス属、ビフィドバクテリウム属、クサレケカビ(Mortierella)属、クリプトコックス属及びミクロバクテリウム属よりなる群から選択された1種以上であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  7. 下記化学式1(但し、上記式中、R1はラムノピラノースである。)
    Figure 2010503728
    で表されるイカリシドIIを有効成分として含有する化粧料組成物。
  8. 下記化学式1(但し、上記式中、R1はラムノピラノースである。)
    Figure 2010503728
    で表されるイカリシドIIを有効成分として含有する化粧料組成物の皮膚美白用としての用途。
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