しかしながら、上記従来の第1の制御基板ケースおよび従来の第2の制御基板ケースのように、ICタグシール自体に予め切断個所を設けたり、ICタグシール自体の強度を予め低いものに設定して、不正行為者がICタグシールにアクセスした際に、簡単にICタグシールが破断等するように構成した場合には、そもそもICタグシール貼り付け時に当該ICタグシールが破断してしまい、不正行為が行われる前にICタグシールの機能が失われ、不正行為の事実の有無を検知するという目的を果たすことができなくなるという問題があった。これは、上記従来の第2の制御基板ケースのように両貼付部を跨るようにICタグシールを折り曲げて貼り付ける場合には、ICタグシールに負荷がかかるため特に顕著な問題となる。
また、仮に破断せずにICタグシールを貼り付けることができたとしても、当該ICタグシールが、制御基板ケースに剥き出しの状態で貼り付けられているため、制御基板ケースを遊技機に搭載する時や、何らかの点検等を行う際の接触などによって、前記ICタグシールが簡単に破断してしまうとゆう問題があった。
これは、発明の究極の目的が、ICタグシールが破断したこと自体を検知することではなく、不正行為者の不正な行為によってICタグシールが破断されたことを検知することであることを考えると、本末転倒な結果となる。
また、制御基板ケースへの不正開放または不正操作によって破断した前記ICタグシールの1箇所を丁寧に調整することによりICチップ部またはおよび送受信アンテナ部が修復された場合に、前記制御基板ケースへの不正開放または不正操作をリーダーによって検知出来ないという問題もあった。
そこで本発明者らは、内部に制御基板が格納される制御基板ケースであって、ICタグシール貼付部がそれぞれに形成され、互いに分離可能な複数のケース体と、前記ICタグシール貼付部間を跨ぐように張り付けられ、ICチップとアンテナとを備えるICタグシールと、前記ICタグシール貼付部の係止位置に形成された被係止部に係止部が係止され、当該ICタグシール貼付部を包囲して前記ICタグシールを保護する保護ケースと、前記保護ケース内の一部に配設され、前記保護ケースを取り外す際に前記ICタグシールを切断するICタグシール切断手段とを備え、前記ICタグシール切断手段が、前記保護ケースを取り外すために前記ICタグシール貼付部の前記係止位置に対して前記保護ケースが押し込まれた際に前記ICタグシールの少なくとも一部を切断するように構成するという本発明の技術的思想に着眼して、さらに研究開発を重ねた結果、通常時には、ICタグシールを外的な衝撃等から適切に保護するとともに、不正行為が行われた時には、制御基板の改竄等の不正行為を容易かつ的確に把握するという目的を達成する本発明に到達した。
また本発明者らは、内部に制御基板が格納される制御基板ケースであって、ICタグシール貼付部がそれぞれに形成され、互いに分離可能な複数のケース体と、前記ICタグシール貼付部間を跨ぐように張り付けられ、ICチップとアンテナとを備えるICタグシールと、前記ICタグシール貼付部の係止位置に形成された被係止部に係止部が係止され、当該ICタグシール貼付部を包囲して前記ICタグシールを保護する保護ケースと、前記保護ケース内の一部に配設され、前記保護ケースを取り外す際に前記ICタグシールを切断するICタグシール切断手段とを備え、前記ICタグシール切断手段が、前記保護ケースを取り外すために前記ICタグシール貼付部の前記係止位置に対して前記保護ケースが押し込まれた際に前記ICタグシールの少なくとも2箇所を切断するように構成するという本発明の技術的思想に着眼して、さらに研究開発を重ねた結果、ICタグシール切断後に切断面を綺麗に元に戻された場合でも、ICタグシールの切断事実の有無を確実に検知し、制御基板に対する不正行為が行われた可能性があることを的確に把握するという目的を達成する本発明に到達した。
本発明(請求項1に記載の第1発明)の制御基板ケースは、
内部に制御基板が格納される制御基板ケースであって、
ICタグシール貼付部がそれぞれに形成され、互いに分離可能な複数のケース体と、
前記ICタグシール貼付部間を跨ぐように張り付けられ、ICチップとアンテナとを備えるICタグシールと、
前記ICタグシール貼付部の係止位置に形成された被係止部に係止部が係止され、当該ICタグシール貼付部を包囲して前記ICタグシールを保護する保護ケースと、
前記保護ケース内の一部に配設され、前記保護ケースを取り外す際に前記ICタグシールを切断するICタグシール切断手段とを備え、
前記ICタグシール切断手段が、前記保護ケースを取り外すために前記ICタグシール貼付部の前記係止位置に対して前記保護ケースが押し込まれた際に前記ICタグシールの少なくとも一部を切断するように構成されている
ものである。
本発明(請求項2に記載の第2発明)の制御基板ケースは、
前記第1発明において
前記ICタグシール切断手段が、前記ICタグシールの少なくとも2箇所を切断する
ものである。
本発明(請求項3に記載の第3発明)の制御基板ケースは、
前記第1発明または第2発明において、
前記ICタグシール貼付部の前記係止位置に形成された係止穴に係合されている前記保護ケースの前記係止部が、前記係止位置から押し込まれると前記保護ケースの取り外しが可能になる取り外し位置に移動するように構成されている
ものである。
本発明(請求項4に記載の第4発明)の制御基板ケースは、
前記第1発明または前記第2発明において、
前記保護ケースが、固定部に対して可動自在に支持され押し込み可能な可動部と、当該可動部が押し込まれることにより前記保護ケースの係止部と前記ICタグシール貼付部の被係止部との係止状態を解除する係止解除機構とを備え、
前記ICタグシール切断手段が、前記可動部の内面に前記ICタグシール貼付部の先端部に対向して配設されている
ものである。
本発明(請求項5に記載の第5発明)の制御基板ケースは、
前記第1発明または前記第2発明において、
前記保護ケースが、当該保護ケースの係止部が凸状態の時に前記ICタグシール貼付部の被係止部に係止され、一方前記保護ケースが前記係止位置から押し込まれることにより前記保護ケースの係止部が反転して凹状態となり前記ICタグシール貼付部の被係止部との係止が解除される係止解除機構を備え、
前記ICタグシール切断手段が、前記保護ケースの内面に前記ICタグシール貼付部の先端部に対向して配設されている
ものである。
本発明(請求項6に記載の第6発明)の制御基板ケースは、
前記第1発明ないし前記第5発明のいずれかにおいて、
前記ICタグシール貼付部が、前記ICタグシール切断手段に対応する部位に、前記ICタグシール切断手段の侵入を許容するための凹部を備えている
ものである。
本発明(請求項7に記載の第7発明)の制御基板ケースは、
前記第1発明ないし前記第6発明のいずれかにおいて、
前記保護ケースの前記係止部が、遮蔽部によって遮蔽されている
ものである。
本発明(請求項8に記載の第8発明)の制御基板ケースは、
前記第1発明ないし前記第7発明のいずれかにおいて、
前記保護ケースが、透光性材料によって構成されている
ものである。
本発明(請求項9に記載の第9発明)の制御基板ケースは、
前記第1発明ないし前記第7発明のいずれかにおいて、
前記保護ケースが、非透光性材料によって構成されている
ものである。
上記構成より成る第1発明の制御基板ケースは、不正行為者が、前記ICタグシール貼付部の係止位置に形成された被係止部に係止部が係止され、当該ICタグシール貼付部を包囲して前記ICタグシールを保護する前記保護ケースを取り外すために、互いに分離可能な複数のケース体にそれぞれに形成され、ICタグシールが跨ぐように貼り付けられた前記ICタグシール貼付部の前記係止位置に対して前記保護ケースを押し込んだ際に、前記保護ケース内の一部に配設された前記ICタグシール切断手段が前記ICタグシールの少なくとも一部を切断するので、通常時には、ICタグシールを外部との接触およびアクセスから保護するとともに、前記保護ケースが押し込まれたときには、不正行為が行われた可能性があることを的確に把握できるという効果を奏する。
上記構成より成る第2発明の制御基板ケースは、前記第1発明において、不正行為者が保護ケースを押し込んだ際に、前記ICタグシール切断手段によって前記ICタグシールの少なくとも2箇所が切断されるので、ICタグシール切断後に切断面を綺麗に元に戻された場合でも、ICタグシールの切断事実の有無を確実に検知し、制御基板に対する不正行為が行われた可能性があることを的確に把握できるという効果を奏する。
上記構成より成る第3発明の制御基板ケースは、前記第1発明または前記第2発明において、不正行為者によって保護ケースが押し込まれると、前記ICタグシール貼付部の前記係止位置に形成された係止穴に係合されている前記保護ケースの前記係止部が、前記係止位置から前記保護ケースの取り外しが可能になる取り外し位置に移動して、この際ICタグシール切断手段がICタグシールを切断するので、簡素な構成で、通常時にはICタグシールを外部との接触およびアクセスから適切に保護するとともに、前記保護ケースが取り外し位置まで押し込まれて取り出され、前記複数のケース体が分離され、前記制御基板に対して不正行為が行われた可能性があることを的確に把握できるという効果を奏する。
上記構成より成る第4発明の制御基板ケースは、前記第1発明または前記第2発明において、不正行為者によって固定部に対して可動自在に支持され押し込み可能な可動部が押し込まれると、それに連動して前記係止解除機構が、前記保護ケースの係止部と前記ICタグシール貼付部の被係止部との係止状態を解除して、この際可動部の内面に前記ICタグシール貼付部の先端部に対向して配設されたICタグシール切断手段がICタグシールを切断するので、ROMの交換などの制御基板に対する不正をする目的で、制御基板ケースを開放しようとして保護ケースを取り外す行為を確実に検知するという効果を奏する。
上記構成より成る第5発明の制御基板ケースは、前記第1発明または前記第2発明において、不正行為者によって保護ケースが押し込まれると、前記係止解除機構が、当該保護ケースの係止部を前記ICタグシール貼付部の被係止部に係止される凸状態から、前記ICタグシール貼付部の被係止部との係止が解除される凹状態へと反転させ、この際前記保護ケースの内面に前記ICタグシール貼付部の先端部に対向して配設された前記ICタグシール切断手段によってICタグシールが切断されるので、前記保護ケースを一旦取り付けた後は、当該保護ケースによってICタグシールを適切に保護するとともに、不正行為者が制御基板にアクセスする際に前提となる前記保護ケースの前記係止部の凹状態によって前記保護ケースを取り外す行為を確実に検知するという効果を奏する。
上記構成より成る第6発明の制御基板ケースは、前記第1発明ないし前記第5発明のいずれかにおいて、前記ICタグシール切断手段が、前記ICタグシール貼付部の前記ICタグシール切断手段に対応する部位に配設された凹部に侵入するので、ICタグシール切断手段によるICタグシールの切断をより確実に実現できるという効果を奏する。
上記構成より成る第7発明の制御基板ケースは、前記第1発明ないし前記第6発明のいずれかにおいて、前記遮蔽部が前記保護ケースの前記係止部を遮蔽するので、前記保護ケースの前記係止部への外部からのアクセスを阻止するという効果を奏する。
上記構成より成る第8発明の制御基板ケースは、前記第1発明ないし前記第7発明のいずれかにおいて、前記保護ケースが、透光性材料によって構成されているので、保護ケース内部の前記ICタグシール貼付部の状態を外部から把握できるようにすることで、不正行為に対する抑止力を働かせ、不正行為を未然に防止するという効果を奏する。
上記構成より成る第9発明の制御基板ケースは、前記第1発明ないし前記第7発明のいずれかにおいて、前記保護ケースが、非透光性材料によって構成されているので、保護ケース内部の前記ICタグシール貼付部の状態を外部から把握できないようにするという効果を奏する。
以下、本発明の最良の実施形態について、実施例に基づき図面を用いて説明する。
本第1実施例の制御基板ケースは、図1ないし図13に示すように、内部に主制御基板5が格納される主制御基板ケース3であって、ICタグシール貼付部302,312がそれぞれに形成され、互いに分離可能な前面ケース30および後面ケース31と、前記ICタグシール貼付部302,312間を跨ぐように張り付けられ、ICチップ63とアンテナ部62とを備えるICタグシール6と、前記ICタグシール貼付部302,312の係止位置に形成された第1の係合凹部321a,321bに係合爪部422a,422bが係止され、前記ICタグシール貼付部302,312を包囲して前記ICタグシール6を保護する保護ケース4と、前記保護ケース4内の一部に配設され、前記保護ケース4が取り外された際に前記ICタグシール6を切断するICタグシール切断手段7とを備え、前記ICタグシール切断手段7が、前記保護ケース4を取り外すために前記ICタグシール貼付部302,312の前記係止位置に対して前記保護ケース4が押し込まれた際に前記ICタグシール6の少なくとも一部を切断するように構成され、前記ICタグシール貼付部302,312の前記係止位置に形成された前記第1の係合凹部321a,321bに係合されている前記保護ケース4の前記係合爪部422a,422bが、前記係止位置から押し込まれると前記保護ケース4の取り外しが可能になる取り外し位置としての第2の係合凹部322a,322bに移動するように構成されるものである。
パチンコ遊技機1は、図2に示すように、前面枠10を備え、前面枠10には、遊技者が操作ハンドル11を操作することによって発射された遊技球が流下する遊技領域12を備える。当該遊技領域12の中央部には、様々な図柄等が変動表示される図示しない図柄変動表示装置が配設され、その下部には、図示しない始動入賞口が配設されている。当該始動入賞口に遊技球が入賞することを契機として遊技制御基板による大当たり抽選が行われる。前記始動入賞口の下部には、アタッカーが配設され、当該アタッカーは、大当たり発生時に所定回数だけ開放状態となり多数の遊技球が入賞するように構成されている。
図3は、本第1実施例の主制御基板が適用されるパチンコ遊技盤の背面図である。
盤裏13には、盤裏カバー2がヒンジ部20a,20bによって揺動自在に支持され、主制御基板ケース3が、前記盤裏カバー2とその一部が前後に重なり合うように、ヒンジ部31aおよび31bによって揺動自在に配設されている。これは、前後に重なり合う部材が存在する場合において、隠れた部位を容易に確認できるようにするための工夫である。
図4は、本第1実施例のパチンコ遊技機1における主制御基板ケース3の構成を示す分解斜視図である。
当該主制御基板ケース3は、図3中手前に位置する前面ケース30と、図3中後方に位置する後面ケース31とからなり、主制御基板5が、当該前面ケース30と後面ケース31との間に介装される。前記前面ケース30および前記後面ケース31は、ともに透光性材料によって構成され、外部から内部に格納された主制御基板5を視認できるようになっている。当該主制御基板5には、図示しないCPU、ROMおよびRAMが実装されている。また、前記前面ケース30と後面ケース31とは、前面ケース30に配設されたカシメピン301a,301bを後面ケースのカシメ受け311a,311bにかしめるとともに、ICタグシール貼付部302,312において、ネジ305をネジ穴315に螺合することによって固定するものである。
図5は、前面ケース30および後面ケース31に各々突設された前記ICタグシール貼付部302,312を詳細に説明する斜視図である。
前記前面ケース30の前記ICタグシール貼付部302は、前記前面ケース30の図5中左側面たる前面ケース側面303の一部に突設され、その先端面302eおよび側面302fには、後述するICタグシール切断手段7の刃部70の押し込み方向の侵入および上方向への離脱を許容する切断手段用凹部304が形成されている。
同様に前記後面ケース31の前記ICタグシール貼付部312は、前記後面ケース31の左側面たる後面ケース側面313の一部に突設され、前記前面ケース30のICタグシール貼付部302と向かい合うように形成されている。なお当該ICタグシール貼付部312には、前面ケース30の前記ICタグシール貼付部302とは異なり切断手段用凹部は形成されていない。
また図5中A−A線に沿って切断した断面図である図6に示すように、前記ICタグシール貼付部302,312の幅方向の面積の小さな両側面には、後述する保護ケース4の係合爪部422a,422bをガイドする深さの異なる保護ケースの押し込み方向に延在する係合部用ガイド溝323a,323b,323aa,323bbと、前記係合爪部422a,422bを係止する第1の係合凹部321a,321bと、前記保護ケース4を取り外す際に前記係合爪部422a,422bを移動させる、図5中上端が開放された第2の係合凹部322a,322bとが形成されている。
次に、ICタグシール6の具体的構成について図7を用いて説明する。
図7(A)は、前記ICタグシール6の表面を示す説明図、図7(B)は、前記ICタグシール6の裏面を示す説明図、図7(C)は、図7(B)中のA−A線に沿って切断した断面を示す断面図である。
図7(C)に示すように、前記ICタグシール6は、ベースシートたる表面60を備え、当該表面60の背面には粘着材が塗布され粘着層65が形成されている。また、ICチップ63とその両端部に延在するアンテナ部62とからなる長尺矩形形状のインレットが、前記粘着層65の対角線上の一部に位置するように配設されている。さらに、ICタグシール6をICタグシール貼付部302,312に貼り付けるまで、前記粘着層65と他の物との粘着を防止する剥離紙64を貼り付けておく。
前記インレットは、図7(B)に示すように、ICチップ63とアンテナ部62より構成され、長尺状のアンテナ部62の中央付近にICチップ63が配置されており、当該ICチップ63は、固有の識別番号、すなわちID等の各種情報を記憶・格納するためのメモリーを備える。
本第1実施例のパチンコ遊技機1で用いるICタグシール6は、周波数帯域2.45GHzのパッシブ型の無線ICタグを採用しており、リーダー・ライター側のアンテナからICタグシール6に向けて電波としてエネルギーとコマンドを送信すると、当該ICタグシール6の中のアンテナ部62で電波を受け、この電波を前記ICチップ63内の図示しない整流回路に送る。ICチップ63は、当該整流回路において電波の高周波エネルギーを整流して直流に変換し、その電流をエネルギーとして使用するものである。
前記リーダー・ライター側からのコマンドが読み出し命令であれば、前記ICチップ63は、内蔵された前記メモリーからID情報等の各種データを読み出し、ICタグシールのアンテナ部62からリーダー・ライター側のアンテナに向けて電波を送信し、リーダー・ライター側との通信を行うものである。
上述したように、前記ICタグシール6が保有する各種情報は、ICチップ63のメモリーに格納された情報をリーダー・ライターとの無線通信において確認する方法が採られるが、人間の目視による確認も可能にするため、必要に応じて、図7(A)に示すようにICタグシール6の表面60の一部に各種の情報を記載する情報記載部66を設ける。
前記ICタグシール6は、図8に示すように、前記前面ケース30のICタグシール貼付部302と前記後面ケース31のICタグシール貼付部312とに跨るように貼り付けられる。すなわち、ICタグシール6の短辺の断面が、略コの字状になるようにICタグシール貼付部302,312に貼り付けられるものである。また、ICタグシール貼付部302に凹設された前記切断手段用凹部304は、貼り付けられたICタグシール6によって全体が隠れるようになっている。さらに、ICタグシール6の中央部に配設された前記ICチップ63が前記切断手段用凹部304の後述するICタグシール切断手段7の刃部70が最初に侵入する位置に配置されるように、ICタグシール6を貼り付けるものである。
次に、本第1実施例の保護ケース4の具体的構成について図9および図10を用いて説明する。
図9は、保護ケース4の開放面を上にして保護ケース4の構造を説明した斜視図であり、図10は、図9中のA−A線に沿った切断した断面を示す断面図である。
図9に示すように、前記保護ケース4は、透光性材料によって構成される右側面40a、左側面40bおよび先端面40cによって構成され、図9中上部の面は開放されている。前記右側面40aおよび左側面40bには、それぞれ切り欠きを入れて外方へ拡開可能な拡開片421a,421bが形成されている。
図10に示すように、前記拡開片421a,421bの先端部には、前記ICタグシール貼付部302,312に凹設された前記第1の係合凹部321a,321bと係合するための係合爪部422a,422bが形成され、当該係合爪部422a,422bはテーパー4220a,4220bを備える。また、保護ケース4の前記先端面40cの内面400cには、前記ICタグシール6を切断するためのICタグシール切断手段7を構成する長尺矩形形状の刃部70が配設され、前記先端面40cの内面400cの長手方向に延在するように突出形成されている。
以下上記構成より成る本第1実施例の制御基板ケースの作用および効果について説明する。
上記構成より成る本第1実施例のパチンコ遊技機において、前記保護ケース4を前記ICタグシール貼付部302,312に装着するために押し込まれると、図11(A)ないし(C)に示すように、保護ケース4の係合爪部422a,422bの前記テーパー4220a,4220bと前記ICタグシール貼付部302,312の両側面に形成された前記係合部用ガイド溝323a,323bとが接触し、前記拡開片421a,421bが外方へ拡開する。これにより保護ケース4をICタグシール貼付部302,312に対してさらに押し込むことが可能となり、拡開片421a,421bの前記係合爪部422a,422bが、ICタグシール貼付部302,312の前記第1の係合凹部321a,321bに到達するまで前記ガイド溝323a,323bに沿って保護ケース4が押し込まれる方向に移動する。拡開片421a、422bの前記係合爪部422a,422bが、前記第1の係合凹部321a,321bに到達すると、当該第1の係合凹部321a,321b内に侵入して当該拡開片421a,421bの拡開状態が自然状態に復帰して係合状態となり、保護ケース4がICタグシール貼付部302,312に対して装着され、手前に引っ張っても取り外すことができない状態になる。
次に、保護ケース4が取り外される際の動作について、図11(D)、(E)および図12を用いて説明する。
図11(C)に示す保護ケース4の装着状態から、図11(D)に示すように
さらに保護ケース4が押し込まれると、再度前記拡開片421a,421bの係合爪部422a,422bに設けられた前記テーパー4220a,4220bと前記ICタグシール貼付部302,312の両側面に形成され、前記ガイド溝323a,323bに比べ深さが深い前記係合部用ガイド溝323aa,323bbとが接触し、前記拡開片421a,421bが外方へ拡開する。これにより拡開片421a,421bの前記係合爪部422a,422bがICタグシール貼付部302,312の前記第2の係合凹部322a,322bに到達するまで保護ケース4がさらに押し込まれることが可能となる。拡開片421a、422bの前記係合爪部422a,422bが前記第2の係合凹部322a,322bに到達すると、当該第2の係合凹部322a,322b内に侵入して当該拡開片421a,421bの拡開状態が再度自然状態へと復帰して係合状態となる。
しかし上述したように、前記第2の係合凹部322a,322bは、図12中上方に向かって端部が開放された上下方向に延在するスライド溝によって形成されているとともに、保護ケース4の図12中下方の面が開放面となっているため、図12中の矢印に示すように、前記第2の係合凹部322a,322bのスライド溝に沿って上方に向かって保護ケース4の取り外しが可能となる。
なお、前記第1の係合凹部321a,321bから前記第2の係合凹部322a,322bに移動する際に、保護ケース4の先端面40cの内面400cに形成された前記ICタグシール切断手段7を構成する刃部70が前記ICタグシール6のICチップ63を切断する。この際、ICタグシール貼付部302には前記切断手段用凹部304が形成されているため、ICタグシール6を切断および貫通した前記刃部70が、保護ケース4の押し込み動作に伴い当該切断手段用凹部304に侵入するようになっている。そして、保護ケース4が、前記第2の係合凹部322a,322bのスライド溝に沿って上方に向かって取り外されると、前記刃部70が、ICタグシール貼付部302の前記側面302f上に貼られているICタグシール6のその他の部分を剥ぎ取るように切断するものである。
上記作用を奏する本第1実施例の制御基板ケースは、内部に主制御基板5が格納される主制御基板ケース3であって、ICタグシール貼付部302,312がそれぞれに形成され、互いに分離可能な前面ケース30と後面ケース31と、前記ICタグシール貼付部302,312間を跨ぐように張り付けられ、ICチップ63とアンテナ部62とを備えるICタグシール6と、前記ICタグシール貼付部302,312の係止位置に形成された第1の係合凹部321a,321bに係合爪部422a,422bが係止され、前記ICタグシール貼付部302,312を包囲して前記ICタグシール6を保護する保護ケース4と、前記保護ケース4内の一部に配設され、前記保護ケース4を取り外した際に前記ICタグシール6を切断するICタグシール切断手段7とを備え、前記ICタグシール切断手段7が、前記保護ケース4を取り外すために前記ICタグシール貼付部302,312の前記係止位置に対して前記保護ケース4を押し込んだ際に前記ICタグシール6の少なくとも一部を切断するように構成され、前記ICタグシール貼付部302,312の前記係止位置に形成された前記第1の係合凹部321a,321bに係合されている前記保護ケース4の前記係合爪部422a,422bが、前記係止位置から押し込まれると前記保護ケース4の取り外しが可能になる取り外し位置としての第2の係合凹部322a,322bに移動するように構成されているため、簡素な構成で、通常時には、ICタグシール6を外的な衝撃等から保護ケース4によって適切に保護するとともに、前記保護ケースが押し込まれて前記ICタグシール6が切断された時には、不正行為が行われた可能性があることを的確に把握できるという効果を奏する。
また、例えばICタグシールのアンテナ部を1箇所のみ切断した後に切断面を綺麗に元に戻された場合など、アンテナ部の切断した箇所が接触することもありICチップとアンテナ部とによる通信機能がなおも一時的に有効に働く場合があるが、本第1実施例の制御基板ケースは、前記ICタグシール切断手段7刃部70が、ICタグシール6の識別情報等を記憶するメモリーを備えたICチップ63を確実に切断、破壊するとともに、保護ケース4の抜き取り動作に伴い、ICタグシール6のその他の部分(アンテナ部を含む)も剥ぎ取るように切断するため、ICタグシール6の通信機能を確実に抹消するとともに、切断面を綺麗に戻すことも不可能にするという効果を奏する。
さらに、本第1実施例の制御基板ケースは、前記主制御基板ケース3が、互いに分離可能な前面ケース30と後面ケース31とによって構成されているため、当該主制御基板ケース3を開放して改竄の対象たる主制御基板5にアクセスするためには、前記前面ケース30と後面ケース31とに跨るように貼り付けられたICタグシール6の取り外しが必要なところ、このICタグシール6にアクセスするためには、当該ICタグシール6を保護する前記保護ケース4を押し込むことによる取り外しが必須となり、不正行為者が、当該保護ケース4を取り外すために押しまれると、確実に前記ICタグシール切断手段7が前記ICタグシール6を切断、破壊するため、不正行為の痕跡を確実に残すことができるという効果を奏する。
また、本第1実施例の制御基板ケースは、ICタグシール貼付部302,312のICタグシール切断手段7の刃部70に対応する位置に切断手段用凹部304を形成し、ICタグシール6を切断した後の前記刃部70の逃げの空間を確保したので、前記ICタグシール切断手段7による前記ICタグシール6の切断をより確実に実現できるという効果を奏する。
さらに、本第1実施例の制御基板ケースは、前記保護ケース4を構成する部材が透光性材料によって構成されているので、保護ケース4内部(例えばICタグシール6や、ICタグシール切断手段7の存在)をあえて外部から把握できるようにして、不正行為者に対して不正行為の痕跡が残ることへの恐怖感を与え、これをもって抑止力とし、不正行為を未然に防止するという効果を奏する。
また、本第1実施例の制御基板ケースは、前記保護ケース4と前記ICタグシール貼付部302,312の形状を工夫することで、追加部品が無いので少ない部品数で不正行為の検知を実現するものであるため、省スペース、低コストを実現するという効果を奏する。
本第2実施例の制御基板ケースは、図13ないし図20に示すように、保護ケース4が可動部たるPUSH部41と固定部たるベース部材42とから構成される点、ICタグシール切断手段7の刃部が2つ配設される点、さらに、ICタグシール貼付部302,312に切断手段用凹部が2つ配設される点が
上述の第1実施例との主な相違点であり、以下相違点を中心に説明する。
本第2実施例の制御基板ケースは、図13ないし図20に示すように、前記保護ケース4が、固定部たるベース部材42に対して可動自在に支持され押し込み可能な可動部としてのPUSH部41と、当該PUSH部41が押し込まれることにより前記保護ケース4の係合爪部422a,422bと前記ICタグシール貼付部302,312の係合凹部320a,320bとの係合状態を解除する係合解除機構とを備え、前記ICタグシール切断手段7が、前記PUSH部41の内面に前記ICタグシール貼付部302,312の先端部に対向して配設されるものである。
図13は、前記ICタグシール貼付部302,312を詳細に説明する斜視図である。
前記ICタグシール貼付部302は、前記前面ケース30の左側面たる前面ケース側面303の一部に突設され、先端面302a、傾斜面302b、垂直面302cおよび側面302dによって構成されている。当該先端面302aには、後述するICタグシール切断手段7の刃部70aの侵入を許容する、長尺矩形形状の切断手段用凹部304が形成されている。
同様に前記ICタグシール貼付部312は、前記後面ケース31の左側面たる後面ケース側面313の一部に突設され、先端面312a、傾斜面312b、垂直面312cおよび側面312dによって構成されている。当該先端面312aには、後述するICタグシール切断手段7のもう一つの刃部70bの侵入を許容する、長尺矩形形状の切断手段用凹部314が形成されている。
ICタグシール6は、図14に示すように、前記前面ケース30のICタグシール貼付部302と前記後面ケース31のICタグシール貼付部312とに跨るように貼り付けられる。すなわち、ICタグシール6の短辺の断面が、略コの字状になるようにICタグシール貼付部302,312に貼り付けられるものである。また、ICタグシール貼付部302,312の先端面302a、312aに凹設された前記切断手段用凹部304,314は、貼り付けられたICタグシール6によって全体が隠れるようになっている。
次に、本第2実施例の保護ケース4の具体的構成について図15ないし図17を用いて説明する。
図15は、保護ケース4を前記ICタグシール貼付部302,312に装着した状態を示す斜視図、図16は、保護ケース4の具体的構成を説明するための分解斜視図、図17は、図15中のA−A線に沿った断面を示す断面図である。
図15に示すように、ICタグシール貼付部302,312に装着された保護ケース4は、大きく分けて、他の部分に対して押し込み可能に構成された可動部たるPUSH部41と、当該PUSH部41を押し込み自在に支持する固定部たるベース部材42とから構成される。また、これらのPUSH部41およびベース部材42は、ともに透光性材料によって構成されている。
図16に示すように、前記PUSH部41は、外面に「PUSH」と記され、自身が押し込まれる際に押されるプレート410と、当該プレート410の長手方向両端部の中央から垂直方向に突設された係合解除バー411a、411bとからなり、ICタグシール切断手段7の2つの刃部70a、70bが、前記プレート410の内面(保護ケースの内側)の長手方向に亘って平行に並んで延在する。
一方、前記ベース部材42は、前記ICタグシール貼付部302,312の四方を取り囲むように包囲する包囲部材420と、当該包囲部材の左側面420aおよび右側面420bに切り欠きを入れて拡開可能とした拡開片421a,421bと、前記包囲部材420の内壁の四隅に一端が段部に係止され、前記PUSH部41の四隅に他端が係止されたバネ43a,43b,43c,43dによって弾性的に支持するバネ支持部424a,424b,424c,424dとから構成される。
前記拡開片421a、421bは、前記包囲部材420の左側面420aおよび右側面420bの下端から上端までの一部を残すように切り欠きを入れて作成し、所定の力が加わった際に一定の範囲で拡開可能に構成されている。
また前記拡開片421a、421bの内面(保護ケースの内側)には、図17に示すように、前記ICタグシール貼付部302,312に凹設された係合凹部320a,320bと係合する係合爪部422a,422bと、当該係合爪部422a,422bと一定の間隔を隔てて突設された係合解除部423a,423bとが配設されている。
前記係合爪部422a,422bは、テーパー4220a,4220bを有し、一方、前記係合解除部423a,423bは、前記係合爪部のテーパー4220a,4220bとは逆向きの傾斜面で構成される係合解除テーパー4230a,4230bを有する。
前記バネ43a,43b,43c,43dによって弾性的に支持されたプレート410は、自由状態では前記包囲部材420の頂面と同じ高さに位置するようにバネの長さが調整されており、当該自由状態からバネの付勢力に抗して保護ケース内方に押し込み可能に前記包囲部材420に介挿されている。
以下上記構成より成る本第2実施例の制御基板ケースの作用および効果について説明する。
上記構成より成る本第2実施例の制御基板ケースにおいて、前記保護ケース4が前記ICタグシール貼付部302,312に装着するために押し込まれると、図18(A)ないし(C)に示すように、保護ケース4の係合爪部422a,422bの前記テーパー4220a,4220bと前記ICタグシール貼付部302,312の傾斜面302a,312bとが接触し、前記拡開片421a,421bが外方へ拡開する。これにより、保護ケース4がICタグシール貼付部302,312に対してさらに押し込まれることが可能となり、拡開された拡開片421a,421bの前記係合爪部422a,422bが、ICタグシール貼付部302,312の前記係合凹部320a,320bに到達するまで保護ケース4を押し込む。前記係合爪部422a,422bが前記係合凹部320a,322bに到達すると、当該凹部内に侵入して前記拡開片421a,421bが拡開状態から自然状態に戻り、係合状態となって保護ケース4の装着が完了する。
次に、保護ケース4が取り外される際の動作について図19を用いて説明する。
図19(A)に示す保護ケース4の装着状態から、図19(B)に示すように前記保護ケース4の外面に「PUSH」と記された前記PUSH部41のプレート410が押されると、当該プレート410の四隅を弾性的に支持するバネ43a,43b,43c,43dの付勢力に抗してプレート410が前記包囲部材420に対して内部に押し込まれる。当該プレート410の内面には、係合解除バー411a,411bが突設されているため、当該プレート410の移動に伴い、前記係合解除バー411a,411bがともに内部に押し込まれる。すると、当該係合解除バー411a,411bの先端部が前記拡開片421a,421bの係合解除テーパー4230a,4230bと当接し、さらに押し込むと前記係合解除バー411a,411bが前記係合解除テーパー4230a,4230bの傾斜面を押すため、拡開片421a,421bが外方に拡開する。
これにより、図19(B)および(C)に示すように、前記拡開片421a、421bの係合爪部422a、422bが前記ICタグシール貼付部302,312の係合凹部320a,320bから離脱して、その係合状態が解除され、保護ケース4の抜き取りが可能となる。したがって、保護ケース4を完全に抜き終わるまで、前記プレート410を前記包囲部材420に対して押し込んだ状態を維持したまま保護ケース4の抜き取りを行うものである。
なお図19(B)および図20に示すように、前記プレート410が押し込まれた際に、当該プレート410の内面に配設された前記ICタグシール切断手段7の2つの刃部70a,70bが、ICタグシール6を切断、貫通し、前記ICタグシール貼付部302,312の切断手段用凹部304,314まで侵入する。このとき、前記2つの刃部70a,70bは、前記ICタグシール貼付部302の前記アンテナ部62のICチップ63を挟んで対角線上に対向する2つの切断部位62a,62bを確実に切断する。
上記作用を奏する本第2実施例の制御基板ケースは、不正行為者によって固定部たる前記包囲部材420に対して可動自在に支持され押し込み可能な可動部たるPUSH部41が押し込まれると、それに連動して前記係止解除機構が、前記保護ケース4の拡開片421a,421bと前記ICタグシール貼付部302,312の係合凹部320a,320bとの係止状態を解除して、この際前記PUSH部41の内面に前記ICタグシール貼付部302,312の先端部に対向して配設されたICタグシール切断手段7の刃部70a,70bがICタグシール6を切断するので、ROMの交換などの制御基板に対する不正をする目的で、制御基板ケースを開放しようとして保護ケースを取り外す行為を確実に検知するという効果を奏する。
また、上述したようにICタグシールを1箇所のみ切断した後に切断面を綺麗に元に戻された場合など、アンテナ部の有効範囲が充分に残存することに伴いICチップとアンテナ部とによる通信機能がなおも有効に働く場合があるが、本第2実施例のパチンコ遊技機1は、前記ICタグシール切断手段7が2つの刃部70a,70bを備え、前記ICタグシール6のアンテナ部62の2箇所を切断して、前記ICタグシール6のアンテナ部62の有効範囲をリーダー・ライターとの通信機能が働かなくなる範囲まで切断するため、上記のような問題を解消し、前記ICチップ63とアンテナ部62とによる通信機能を確実に抹消して、検査時にICタグシールの切断事実の有無を確実に検知し、制御基板の改竄等の不正行為を的確に把握できるという効果を奏する。
さらに、本第2実施例の制御基板ケースは、前記主制御基板ケース3が、互いに分離可能な前面ケース30と後面ケース31とによって構成されているため、改竄の対象たる主制御基板5にアクセスするためには、前記前面ケース30と後面ケース31とに跨るように取り付けられた保護ケース4の取り外しが必須となるところ、不正行為者が、保護ケース4を取り外そうとして可動部たる前記PUSH部41を押し込んだ際には、前記ICタグシール切断手段7が必ず前記ICタグシール6を切断するため、不正行為の痕跡を確実に残すことができるという効果を奏する。
また、本第2実施例の制御基板ケースは、ICタグシール貼付部302,312のICタグシール切断手段7の2つの刃部70a,70bに対応する位置に切断手段用凹部304,314を形成し、ICタグシール6を切断した後の前記刃部70a,70bの逃げの空間を確保したので、前記ICタグシール切断手段7による前記ICタグシール6の切断をより確実に実現できるという効果を奏する。
さらに、本第2実施例の制御基板ケースは、前記保護ケース4を構成する前記PUSH部41およびベース部材42等が透光性材料によって構成されているので、保護ケース4内部(例えばICタグシール6やICタグシール切断手段7の存在、さらには係合状態および係合解除機構)をあえて外部から把握できるようにして、不正行為者に対して不正行為の痕跡が残ることへの不安感を与え、これが抑止力となり、不正行為を未然に防止するという効果を奏する。
また本第2実施例の制御基板ケースにおいては、前記PUSH部41の係合解除バー411a,411bは、前記ICタグシール切断手段7と前記プレート410を介して一体的に連動するが、当該係合解除バー411a,411bと前記包囲部材420の拡開片421a,421bとが独立した部材によって構成されているため、保護ケース4を取り付ける際には前記拡開片421a,421bのみが自由に動くだけでICタグシール6が切断されることはないが、保護ケース4を取り外そうとした際はその取り外し動作に連動して確実にICタグシール6を切断して、保護ケース4を取り外そうとする不正行為発生時にのみICタグシール6を切断するため、何も不正行為が起こっていない場合や、不正行為を行うために遊技盤の裏まで確認しつつも、保護ケース4を取り外す前に断念した場合など、重大な不正行為(主制御基板ケース3の開放、主制御基板5の改竄等)が行われなかった場合には、正常状態を保ち、保護ケース4の取り外しが行われる重大な不正行為の発生のみを正確に検知できるという効果を奏する。
本第3実施例の制御基板ケースは、図21ないし図24に示すように、前記拡開片421a,421bに直接アクセスできないよう外部カバー部を設ける点と、拡開片421a,421bの拡開動作を滑らかにするために当該拡開片421a,421bをバネ材を介して前記包囲部材420に配設する点、さらに、保護ケース4の構成部材を非透光性材料によって構成する点が、上述の第2実施例との主な相違点であり、以下相違点を中心に説明する。
図21および図22に示すように、本第3実施例の制御基板ケースは、上記第2実施例のパチンコ遊技機と基本的構成を同じくして、前記拡開片421a,421bを包囲すべく、不透明な非透光性材料を射出成形して一体成形した遮蔽カバー45a,45bが付設される構成より成るものである。
具体的には、前記拡開片421a、421bは、前記包囲部材420の略コの字状の形状をした左側面420aおよび右側面420bの空隙部にそれぞれ配設され、拡開支持端に配設され、前記拡開片421a,421bの拡開を許容する連結変形バネ44a,44bによって当該左側面420aおよび右側面420bに固定されるとともに、保護ケース外方への拡開が規制されている。当該連結変形バネ44a,44bは、板バネによって構成されており、弾性変形することによって前記拡開片421a,421bと前記左側面420a、420bとのヒンジ部としても実質的に機能するものである。
また、本第3実施例の制御基板ケースは、前記拡開片421a,421b等の構造を外部から視認できないよう遮蔽する遮蔽カバー45a,45bを備え、前記包囲部材420の両端部にそれぞれ接続される。
さらに、本第3実施例の制御基板ケースは、前記遮蔽カバー45a,45bのみならず、前記包囲部材420や前記プレート410等、保護ケースを構成する部材を非透光性材料に構成するものである。
以下上記構成より成る本第3実施例の制御基板ケースの作用および効果について説明する。
上記構成より成る本第3実施例の制御基板ケースにおいて、前記保護ケース4を前記ICタグシール貼付部302,312に装着しようとすると、図23(A)ないし(C)に示すように、第2実施例同様、保護ケース4の係合爪部422a,422bの前記テーパー4220a,4220bと前記ICタグシール貼付部302,312の傾斜面302a,312bとが接触し、前記拡開片421a,421bを前記連結変形バネ44a,44bの規制力に抗って外方へ拡開させる。これにより、保護ケース4をICタグシール貼付部302,312に対してさらに押し込むことが可能となり、前記拡開片421a、421bの拡開状態を保ったままさらに押し込まれる。当該拡開片421a,421bの前記係合爪部422a,422bがICタグシール貼付部302,312の前記係合凹部320a,320bにまで到達し、前記連結変形バネ44a,44bの規制力によって前記係合凹部320a,320bに係合することで、保護ケース4の装着が完了する。
なお、前記拡開片421a,421bの拡開動作の障害とならぬよう、当該拡開片421a、421bと前記遮蔽カバー45a,45b内壁との距離dを適正な距離に設定するものである。
保護ケース4が取り外される際の動作は、図24に示すように、基本的に第2実施例と同様であり、前記プレート410を押し込んだ際に、前記係合爪部422a,422bの係合が解除されるとともに、ICタグシール切断手段7によってICタグシール6が切断されるものである。
なお本第3実施例の制御基板ケースにおいては、前記遮蔽カバー45a,45bをはじめとする保護ケース4を構成する部材が、上述したように、非透光性材料によって一体成形されているため、保護ケース4を取り外す際に当該保護ケース4内部がどのような構造になっているのか外部から把握することができない。
上記作用を奏する本第3実施例の制御基板ケースは、第2実施例と基本的構成を同じくするので、通常時には、ICタグシール6を外部との直接的接触から保護ケース4によって適切に保護するとともに、不正行為を行うために保護ケースが押し込まれる時には、外部から直接前記拡開片421a,421bにアクセスすることを回避するとともに、主制御基板5の改竄等の不正行為が行われた可能性があることを適確に把握できるという効果を奏する。
また本第3実施例の制御基板ケースは、前記拡開片421a,421bの周辺機構を遮蔽カバー45a,45bによって覆い隠し、外部から視認できないようにするとともに、直接アクセスすることができないように構成したので、当該拡開片421a,421bを外部から直接こじ開ける等して、不正行為検知機能を滅殺するような行為にも対応することができるという効果を奏する。
さらに、本第3実施例の制御基板ケースは、前記遮蔽カバー45a,45bをはじめとする保護ケース4を構成する部材を非透光性材料によって構成したので、外部から保護ケース4内部の構造が把握できないとともに、それゆえに油断して不用意に当該保護ケース4を外した不正行為者に対して、ICタグシールの切断により不正行為の痕跡が残ったことを認識させるので、その後の重大な不正行為(制御基板ケースの開放および制御基板の改竄等)を抑制するという効果を奏する。
本第4実施例の制御基板ケースは、図25ないし図28に示すように、保護ケース4の係合部を反転機構によって構成する点が、上述の実施例との主な相違点であり、以下相違点を中心に説明する。
図21および図22に示すように、本第4実施例の制御基板ケースは、保護ケース4が、当該保護ケース4の係合爪部422a,422bを備えた反転部材46a,46bが凸状態の時に前記ICタグシール貼付部302,312の係合凹部320a,320bに係止され、一方前記保護ケース4を前記係止位置から押し込むことにより前記反転部材46a,46bが反転して凹状態となり係合が解除される係合解除機構を備え、前記ICタグシール切断手段7が、前記保護ケース4の内面に前記ICタグシール貼付部302,312の先端部に対向して配設されるものである。
図25に示すように、保護ケース4は、大きく非透光性材料によって構成される左側面40a,右側面40b,先端面40c、手前面40dおよび奥面40eによって構成され、ICタグシール貼付部302,312を覆うように取り付けられる。また、前記左側面40aおよび右側面40bの略中央部には、後述する反転部材46a,46bを復帰させるための復帰部材47a,47bが貫挿されている。
また図26に示すように、保護ケース4の前記左側面40aおよび右側面40bの内面には、前記反転部材46a,46bを介挿するための反転部材用凹部48a,48bが凹設され、当該反転部材用凹部48a,48b端部に配設された反転部材支持部49a,49bによって反転部材46a,46bが把持される。
当該反転部材46a,46bは、それぞれ例えばステンレス等の薄板を折り曲げて形成したバネ材より成る板バネによって構成され、長手方向略中央部に保護ケース4内方に向かって突出した略V字状の係合爪部422a,422bを備える。当該係合爪部422a,422bには、係合凹部320a,320bと平行な垂直面と傾斜面によって構成されるテーパー4220a,4220bとが形成されている。
また前記反転部材46a,46bは、当該係合爪部422a,422bが図26中左右方向に一定以上の力が作用して一定量の変位を越える変位が生ずるとそれぞれ反転して凸状態と凹状態の切り替えが可能なように構成されている。例えば、前記係合爪部422a,422bが後述するICタグシール貼付部302,312の係合凹部320a,320bと係合する凸状態から反転して凹状態に切り替わった場合には、保護ケース4の外面の前記左側面40aおよび右側面40bに貫挿された前記復帰部材47a,47bを保護ケース4の内方に向かって押すことによって再度凸状態へと反転させて復帰させることができる。なお、このように外力を加えない限り、当該反転部材46a,46bは、自身の現在の形状である凸状態または凹状態を維持するよう構成されている。
また、保護ケース4の先端面40cの内面には、第2実施例および第3実施例同様に2つの刃部70a,70bを備えたICタグシール切断手段7が延在するように突出形成されている。
一方、ICタグシール貼付部302,312の左側面324aおよび右側面324bは、第1の垂直面324a1,324b1と、前記保護ケース4の係合爪部422a,422bと係合する係合凹部320a,320bと、傾斜面324a2,324b2と、第2の垂直面324a3,324b3によって構成されている。
また、ICタグシール貼付部302,312の先端面324cには、第2実施例および第3実施例同様、前記2つの刃部70a,70bに対応する位置に切断手段用凹部304,314が形成され、当該切断手段用凹部304,314を覆い隠すようにICタグシール貼付部302,312に跨ってICタグシール6が貼り付けられる。
また、ICタグシール貼付部302,312の基端部には、その四方を取り囲むように凹設され、前記保護ケース4の底面40fの進入を許容するための保護ケース用凹部300が周設されている。当該保護ケース用凹部300には、前記保護ケース4の底面40fを当接支持する支持プレート300Bと、当該支持プレート300Bを弾性的に支持する支持バネ300Sが介挿されている。
以下上記構成より成る本第4実施例の制御基板ケースの作用および効果について説明する。
上記構成より成る本第4実施例の制御基板ケースにおいて、前記保護ケース4を前記ICタグシール貼付部302,312に装着しようとすると、図27(A)ないし(C)に示すように、保護ケース4の係合爪部422a,422bの前記テーパー4220a,4220bと前記ICタグシール貼付部302,312の両側面の第1の垂直面324a1,324b1とが接触し、板バネによって構成される前記支持部材46a,46bの凸状態を維持しようとする力に抗い、前記係合爪部422a,422bが外方へ向かって付勢される。これにより、図27(B)に示すように保護ケース4をICタグシール貼付部302,312に対してさらに押し込むことが可能となり、前記支持部材46a,46bは、前記係合爪部422a,422bを少しだけ外方に押しやられながら、しかし凸状態は維持したままで前記ICタグシール貼付部302,312の係合凹部320a,320bへと移動する。
図27(C)に示すように、前記係合爪部422a,422bがICタグシール貼付部302,312の前記係合凹部320a,320bにまで到達すると、支持部材46a,46bを構成する板バネの付勢力によって、前記係合爪部422a,422bと前記係合凹部320a,320bとが係合し、保護ケース4の装着が完了する。なお、この際保護ケース4の前記底面40fが、前記支持プレート300Bによって当接支持される。
保護ケース4が取り外される際の動作は、図28(A)ないし(C)に示すように、前記保護ケース4の先端面40cがさらに押し込まれた際に、前記係合爪部422a,422bの前記テーパー4220a,4220bが、ICタグシール貼付部302,312の傾斜面324a2,324b2と当接し、保護ケース4が押し込まれるに従って前記係合爪部422a,422bが外方に向かって徐々に押されて変位され、前記係合爪部422a,422bがICタグシール貼付部302,312の第2の垂直面324a3,324b3に差し掛かるまでに、変位量が一定量を越えると前記反転部材46a,46bが凹状態へと反転する。
これにより保護ケース4とICタグシール貼付部302,312との係合状態が解除されるとともに、前記反転部材46a,46bの凹状態が維持されるため、保護ケース4をICタグシール貼付部302,312から取り外すことが可能となる。なお、この際ICタグシール切断手段7の2つの刃部70a,70bによってICタグシール6が切断されるものである。
上記作用を奏する本第4実施例の制御基板ケースは、上述した実施例と同様、保護ケース4とその内部にICタグシール切断手段7を備えるため、前記保護ケース4を一旦取り付けた後は、当該保護ケース4によってICタグシール6を適切に保護するとともに、不正行為者が主制御基板5にアクセスしようとして、その前提として前記保護ケース4を取り外す行為が行われたことを確実に検知するという効果を奏する。
また本第4実施例の制御基板ケースは、保護ケース4に反転部材を付設するだけで良いので、前記反転部材の反転状態から保護ケースを取り外す行為があったことを確実に把握でき、部品点数を減らして、コストダウンを可能にするとともに、係合解除機構を構成する前記反転部材46a,46bに金属を採用しているため、耐久性に優れているという効果を奏する。
さらに、本第4実施例の制御基板ケースは、前記第3実施例同様、前記保護ケース4を構成する部材を非透光性材料によって構成したので、外部から保護ケース4内部の構造を悟られることがないとともに、それゆえに油断して当該保護ケース4を外した不正行為者に対して、不正行為の痕跡(ICタグシールの切断)が残ったことを認識させ、その後の重大な不正行為(制御基板ケースの開放および制御基板の改竄等)を防止するという効果を奏する。
上述の実施例は、説明のために例示したもので、本発明としてはそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
上述の第1実施例においては、ICタグシール貼付部のガイド溝323aaの深さをガイド溝323aより深くする例について説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、ガイド溝323aaの深さをガイド溝323aより浅くするか、または徐々に浅くなるように傾斜溝として、保護ケース4が押し込まれると拡開片421a,421bの根元が折損するようにして、目視でも保護ケース4が取り外されたことを確認できるようにする実施形態も採用可能である。
例えば上述した実施例において、ICタグをシールに実装させたICタグシールを用いる例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で、インレット単体を配設したり、ICカードを実装させる態様にも適用可能である。さらに、パッシブ型のICタグに限らず、セミパッシブやアクティブ型のICタグの採用も可能である。
また、ICタグシールの切断箇所として、ICチップを直接切断および破壊する場合や、ICチップの両側に延在するアンテナ部の2箇所を切断する例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その他のICタグシールの1箇所のみを切断する場合や3箇所以上を切断する場合、さらには、ICチップの両側に延在する前記アンテナ部のうち片側のアンテナ部のみを切断する態様にも適用可能である。
さらに、ICタグシール切断手段として、例えば、刃部の形状をギザギザにしたり、刃部の材質を工夫してわざと切断面を粗くするような刃部を採用することで、一旦切断されたICタグシールを綺麗に戻しにくくして、保護ケースの開放事実を確実に検知する態様にも適用可能である。また、ICタグシールの切断の態様として、直線上に延在する刃部で直線上にICタグシールを切断する例について説明したが、例えば、針状の刃部でICチップを貫通する態様や、円形の刃部やジグザグ状に構成された刃部を用いることで、その他の切断態様でICタグシールを切断する例にも適用可能である。
また、上述の実施例において、切断手段用凹部の全体がICタグシールによって覆い隠される例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、切断手段用凹部の一部をICタグシールからはみ出る構成として、ICタグシールの長さよりも長い刃部と切断手段用凹部を用いることで、ICタグシールを確実に破断させる態様にも適用可能である。
上述の第2実施例および第3実施例において、前記プレート410の四隅を前記43a,43b,43c,43dを単純に弾性的に支持する例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、図29に示すように、保護ケース4の前記包囲部材420内部に把持機構4000を設けて、前記プレート410の内面に突設された前記係合解除バー411a,411bの先端の位置決め機構としての径大部4110aが介挿される中空筒状部4000aの肩部4000bによって係止して、前記係合解除バー411a,411bの長さを調整することによって前記プレート410と包囲部材420の端面とが面一となり、外方への飛び出しを規制する態様にも適用可能である。なおこの態様において、前記係合解除バー411a,411bは、前記プレート410と前記把持機構4000の間に配設されたバネ430a,430bに介挿されるものである。
前記第2実施例においては、プレート410を押し込みながら前記保護ケース4を取り外す例について説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、プレート410が押し込まれたら拡開片を拡開状態に保持する保持機構を用いて、取り外しが容易になる実施態様も採用可能である。
上述の第3実施例において、拡開片や遮蔽カバーを全て不透明の非透光性材料によって構成する例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、保護ケースを構成する部材のうち、例えば、2色成形によって遮蔽カバーのみ非透光性材料によって構成し、その他を透光性材料によって構成するといった、目的に応じて選択的に非透光性材料および透光性材料を使い分ける態様にも適用可能である。
前記第3実施例においては、前記拡開片421a,421bをバネ材を介して弾性的に係止する例について説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、前記バネ材を用いることなく第2実施例と同様前記拡開片を保護ケースに一体成形する態様も採用可能であり、そうすれば部品点数を増やすことなく安価に製造可能となる。
さらに、拡開片の拡開を板バネによって構成される連結変形バネによって規制する例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、当該連結変形バネをねじりコイルバネ等のその他の弾性手段によって構成する態様にも適用可能である。同様に、上述した第4実施例において、反転部材をバネ材より成る板バネによって構成する例について説明したが、その他の弾性手段やその他の反転機構を用いる態様にも適用可能である。
また、上述の実施例において、前面ケースと後面ケースによって構成される制御基板ケースについて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、制御基板ケースの構成が如何なるものであっても、内部に格納された制御基板にアクセスするために開放される境界部位に跨るようにICタグシールを貼り付けるその他の態様にも適用可能である。
さらに上述の実施例において、本発明を適用する制御基板ケースとして、もっとも改竄の対象とされやすい主制御基板を格納する主制御基板ケースについて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えば、音声制御基板や図柄制御基板等のその他の制御基板ケースに採用する態様にも適用可能である。