以下、発明を実施するための最良の形態を示す実施例について図面に基づいて説明する。以下に示す各実施例では、各請求項に係る発明を、「セブン機」と称する遊技機(パチンコ機)1に適用した各具体例について説明する。
(1)機械的な構造
a.遊技機の全体構造
先ず、この遊技機1の全体構造について、図1〜図3等を参照して説明する。この遊技機1は、図1及び図2に示すように、外枠2と、この外枠2に装着された遊技機本体H(機体)と、を備えている。また、外枠2は、図2に示すように、パチンコホールの島設備に設けられた設置部位に固定されると共に遊技機本体Hを支持するためのものである。この外枠2は、略矩形状の枠状体によって構成される外枠本体21と、外枠本体21の前面下部を覆う前板部22とを備えている。
遊技機本体Hは、外枠2の左端側上下のヒンジH1、H2(図1及び図2を参照)を用いて、外枠2の左端側に回動自在に組み付けてられている。この遊技機本体Hは、遊技機1のうちで外枠2を除く部分であって、図2に示すように、本体枠3と、前面枠4と、前面枠4に一体化された皿部材(上皿部材5及び下皿部材6)5Aと、遊技盤10(図4を参照)と、裏機構盤102(図7を参照)等を主要部としている。
また、本体枠3は、図3に示すように、外枠2に嵌めこまれ、外枠2に対して開閉可能に軸支されている。尚、図1に示すように、本体枠3の右端側には、施錠装置7が装着されている。また、図2においては、外枠2、本体枠3と、前面枠4と、皿部材5A(上皿部材5、下皿部材6)を図示し、遊技盤10と、裏機構盤102の図示を省略している。
本体枠3は、全体がプラスチック製であり、図3に示すように、枠状体によって構成されている。この本体枠3は、上半部に窓部3Mを備える枠本体部3bと、枠本体部3bの裏面部から略矩形枠状に突出する突出部3cとを備える。そして、本体枠3は、この突出部3cを用いて遊技盤10を保持するための保持部を構成している。つまり、突出部3cの突端面であって、窓部3Mの左方側の上下と、窓部3Mの右方側の上下には保持具3fが回動可能な状態で装着され、保持具3fの突端部を遊技盤10の後面部に当接させることで遊技盤10が本体枠3により保持されている。
本体枠3が遊技盤10を保持したとき、「遊技盤10の前面部10aに構成される遊技領域11」を、窓部3Mによって本体枠3の前方から視認することができる。また、遊技盤10の背面部には、裏機構盤102(図7参照)が装着され、この背面部を覆う状態とされている。なお、遊技球を上皿部材5に払い出すための遊技球払出装置109が、裏機構盤102に配設されている(図7を参照)。
前面枠4は、図2に示すように、本体枠3の前面側に配置され、本体枠3の左端に開閉可能に支持されている。この前面枠4はその中央部に視認窓41aを備えている。この視認窓41aは前面枠4の前後に貫通する状態に設けられ、遊技盤10の盤面に形成された遊技領域11(正面視で略円形の遊技領域11)を前方から視認可能な形状に開設(略吊り鐘形状に開設)され、前面枠4を閉じたときにその背後に位置する遊技領域11が、この視認窓41aによって前方から視認可能とされる。
前面枠4は、図1に示すように、枠本体41と、この枠本体41に装着されるガラス板43(図3を参照)と、ガラス板43を枠本体41に保持させるための保持具(図示を省略)と、を備えている。また、本遊技機1では、図2に示すように、「上皿部材5及び下皿部材6を一体化した皿部材5A」が、前面枠4に一体化され、本体枠3に対して前面枠4と一体で開閉可能とされている。但し、本実施例と異なり、皿部材5Aを、本体枠3における前面枠4の装着部位よりも下方に装着し、前面枠4とは別に開閉可能としてもよい。また、上皿部材5及び下皿部材6を別体に設け、本体枠3における前面枠4の装着部位よりも下方に配置し、上方に配置される上皿部材5を前面枠4とは別に開閉可能とし、下方に配置される下皿部材6を開閉不可能としてもよい。
図1及び図2に示すように、前面枠4の前面部の上方側の左右には、スピーカSP1、SP2(図9参照)が装着され、前板部22の左右両端にも、スピーカSP3、SP4(図9参照)が内蔵されている。そして、本遊技機1においては、これらのスピーカSP1〜SP4を用いて、遊技状態に応じた効果音や、その他の音(音声)を発生させる。
図2に示すように、前面枠4の前面部において、上皿部材5の配置部位を構成する箇所には、遊技機1から排出される遊技球を受け入れるための受入口5bを備えている。更に、上皿部材5の裏側には、球貸表示基板410(図8参照)及び演出ボタン基板228(図9参照)が設けられ、上皿部材5の上面部には「演出ボタンSW」が配置されている(図2を参照)。
図2に示すように、皿部材5Aにおいて上皿部材5の下方の部位が、下皿部材6を構成している。この下皿部材6の略中央には、その略容器形状とされる内部に上皿部材5から排出される遊技球を受け入れるための受入口6aを備えている。また、下皿部材6の右端側には発射ハンドル9が設けられている。そして、本体枠3の前面部裏側(本体枠3の内部)であって、遊技盤10よりも下方の左端側に位置する部位には、発射装置ユニット90(図4を参照)が配設されており、この発射装置ユニット90に、下皿部材6の右端に位置する発射ハンドル9が接続されている。
ここで、発射装置ユニット90は、球送り装置(図示を省略)から送り出される遊技球を略鉛直上方に発射する。この発射された遊技球は、発射装置ユニット90と一体化された球通路部材96と、誘導経路Yとを介して遊技領域11に到達する。また、発射ハンドル9には、遊技者が触れていることを検出するタッチスイッチ(タッチセンサ)9aが装着されており、その近傍には、遊技球の発射を一時的に停止するための発射停止スイッチ9bが装着されている。
b.遊技盤10の構成
次に、遊技盤10の構成について図4を用いて説明する。この遊技盤10は正面視で略矩形状の合板を用いて構成される遊技盤本体10Aと、この遊技盤本体10Aに装着される各種の盤部品(外側レール12、内側レール13、メイン役物装置20等)が装着されている。尚、この遊技盤本体10Aの前面部には、セル画が印刷されたシート状物が貼着されているが図示を省略する。
遊技盤本体10Aは、正面視で略円形とされる領域形成部10Bと、領域形成部10Bの周囲に位置する領域外部10Cとを備える。また、遊技盤本体10Aの前面部には、ともに帯状の金属板を用いて構成される外側レール12と、内側レール13とが配設されている。そして、領域形成部10Bの前面部(遊技盤面)は、この外側レール12及び内側レール13が形成する略円形の周壁によって略包囲されつつ、遊技領域11を構成している。
内側レール13は略U字形状に配置されつつ、左端部を遊技盤本体10Aは左上部に配置されるとともに、その左側方に位置する「外側レール12の左上部」との間に「遊技球が通過可能な隙間」を設け、球進入口11Sを形成している。
外側レール12の左端部は、「球通路部材96の出口部96j」の斜め左上に近接配置されている。そして、外側レール12において、内側レール13の外側に配置される部分は、外側レール12の左端部から左斜め上方に上がる経路を描き、内側レール13の右端部の側方に到達したところで、その経路を内側レール13と略平行な円弧状の経路に改めつつ上昇し、球進入口11Sの側方を越えて、遊技盤本体10Aの右上部まで到達している。
内側レール13の外側面部には、補助レール13Bの上端部が一体化されている。そして、「補助レール13Bと、これに略平行な外側レール12の部分の間に形成される通路」と、その上方の「外側レール12と内側レール13とに挟まれつつ球進入口11Sに至る通路」とが連続して誘導経路Yを構成している。この誘導経路Yは下端部が「球通路部材96の出口部96j」と連通するとともに、下端部から左上がり傾斜状に「内側レール13の外側(左側方)」を上昇した後、内側レール13の外側を時計回転方向に通過して、球進入口11Sに到達している。
領域形成部10B(つまり、遊技盤10において遊技領域11内に位置する部位)には、メイン役物装置20と、普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16と、始動入賞装置17と、下部装置30と、左下表示装置50と、右下表示装置60と、4個の一般入賞装置40、41、43、44と、多数の障害釘(図示を省略)と、風車19等が配設されている。
メイン役物装置20は、取付部材(化粧板)21と、演出表示装置27とを備えている。このうち、取付部材21は、領域形成部10Bの前面部に装着される板状体によって構成され、遊技領域11の上半部のうちで、左端側を除く部位を構成している。この取付部材(化粧板)21には窓部形成孔21dが設けられ、この窓部形成孔21dによって正面視で略矩形状の表示窓21eを構成している。
取付部材21の頂部から右側縁部の下端に至る部位は、外側レール12に近接し、頂部から左側縁部の上端に至る部位には、上部装飾部材21nが前方に突出する状態に装着されている。また、取付部材21の左側縁部には、左側装飾部材21qが前方に突出する状態に装着され、取付部材21の下縁部には、ステージ部材21pが前方に突出する状態に装着されている。更に、左側装飾部材21qは、内部に遊技球通路(図示を省略)が形成された造形物21rを備えている。この遊技球通路の進入口は左斜め上方に向かって開口し、遊技領域11を流下する遊技球を、この進入口で受け入れ、メイン役物装置20の内部に進入させる。
ステージ部材21pは、その上面部によって遊技球の転動面を構成するが、この転動面は左右の端部から中央部に向かって下る傾斜面とされている。但し、転動面の中央部では上方に向かって僅かに隆起する隆起部とされている。また、ステージ部材21pには、転動面上の遊技球をメイン役物装置20の外部に排出するための排出通路が設けられている。尚、排出通路の入口部21uは、転動面の中央部の背後において、この中央部と連続する位置で開口し、排出通路の出口部21vは、この中央部よりも下方の位置で開口している。
本実施例では、遊技領域11を流下し、メイン役物装置20の内部に進入した遊技球は転動面の左端部に到達し、転動面上を右方向に転動し、更に、左方向に転動する。そして、遊技球の勢いが衰えたところで、この遊技球は排出通路を通過してメイン役物装置20外に排出されるか、或いは、転動面の前縁部から、メイン役物装置20外に排出される。尚、出口部21vの直下に、後述する始動入賞装置17が位置している。
演出表示装置27は、液晶表示装置によって構成されるものであり、後述する右下表示装置60と同様に、特別図柄の変動表示及び停止表示を行う。但し、この演出表示装置27においては、右下表示装置60における特別図柄の変動表示および停止表示に連動する演出表示(図柄変動表示)を実行する。尚、本実施例では、右下表示装置60が、本図柄(特別図柄の一具体例を示す。)を表示するための表示装置を構成し、演出表示装置27が疑似図柄(特別図柄の他の具体例を示す。)を表示する。
演出表示装置27の表示画面27aは、その全体、若しくは、一部を用いて種々の図柄を表示可能である。この演出表示装置27には、図5(b)に示すように、3つの疑似図柄表示部27b〜27dと、その他の部分で構成される背景画面表示部27hとが出現することがある。この場合、この疑似図柄表示部27b〜27dは、表示画面27aにおいて横方向に3つ並んで配置される。このように出現する各疑似図柄表示部27b〜27dでは、「疑似図柄」を用いた演出表示(変動表示)と、停止表示等がなされる。
また、表示画面27aに疑似図柄表示部27b〜27dが表示されるときには、この表示画面27aのその他の部位によって背景画面表示部27hが表示される。そして、この背景画面表示部27hには、背景を示す図柄(以下、背景図柄という)を表示したり、この背景図柄と共にキャラクタを示す図柄(以下、キャラクタ図柄という)を表示することができる。これら「疑似図柄」や「背景図柄」や「キャラクタ図柄」は、演出表示装置27の表示画面27aに表示される「演出図柄」の一具体例を示すものであり、これら「疑似図柄」や「背景図柄」や「キャラクタ図柄」により「図柄変動演出表示」が実現される。
普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16は、遊技領域11において、メイン役物装置20の左側方に位置する部位に配設されている。また、この普通図柄作動ゲート16内には普通図柄作動ゲート通過検出スイッチ16s(図8参照)が配設されている。そして、普通図柄作動ゲート通過検出スイッチ16sにより遊技球が検出されることを前提に「普通図柄の変動開始条件(普通図柄の抽選実行条件)」が成立すると、左下表示装置50(後述する。)において、普通図柄変動表示(具体的には、普通図柄用のランプ装置の点滅表示)を開始する。そして、普通図柄の変動表示開始後、所定の変動時間が経過すると、普通図柄確定表示(点滅、若しくは、消滅)がなされる。そして、普通図柄の当り表示(点灯表示等)がなされると、普通電動役物17dが所定時間(例えば、0.5秒)開放駆動される。
始動入賞装置17は、ステージ部材21pの遊技球排出路21uの直下に位置する部位に配設されている。そして、第1の始動入賞部17aと、第2の始動入賞部17bとを上下に配設した構成を備える。このうち、第1の始動入賞部17aは、上方に開口部、つまり、第1の始動口を開口させたポケット形状を備えている。この第1の始動口は、排出通路の出口部21vの直下に位置するため、排出通路を通過した遊技球は、この第1の始動口を通じて、始動入賞装置17に入賞する確率が高くされている。
第2の始動入賞部17bは、第1の始動入賞部17aの略直下に位置すると共に、入口側部分に普通電動役物17dを備えている。この普通電動役物17dは、いわゆるチューリップ式で左右に一対の翼片部が開閉するべく形成されている。つまり、第2の始動入賞部17bは、この一対の翼片部を作動させるための普通電動役物ソレノイド17c(図7参照)を備えている。そして、この一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が高くなる開放状態となり、一対の翼片部が立設され、遊技球の入球可能性が低くなる通常状態となる。
始動入賞装置17の内部には、第1の始動入賞部17a、若しくは、第2の始動入賞部17bを遊技球の通過を検出する始動口入賞検出スイッチ17s(図8参照)が配設されている。つまり、第1の始動入賞部17aに入賞した遊技球と、第2の始動入賞部17bに入賞した遊技球は、始動入賞装置17内の同一の通路(図示を省略)を通過し、この通路の経路途中に配設された始動口入賞検出スイッチ17sによって検出される。
大入賞装置31は、大入賞口31aを開放・閉鎖するための開閉板31bと、この開閉板31bを駆動するための大入賞口ソレノイド31c(図8参照)と、大入賞口31aへの遊技球の入賞を検出するための大入賞口入賞検出スイッチ31s(図8参照)と、を備える。また、開閉板31bは、その下端部が軸支されることで、傾動可能とされている。そして、開閉板31bが起立姿勢となると、この開閉板31bが大入賞口31aを閉鎖するため、大入賞装置31への遊技球の入賞が不可能となり、開閉板31bが、その下端部を支点に前方に傾動して前傾姿勢となると、大入賞口31aが開放される。
図4に戻り、左下表示装置50は、大入賞装置31の左側方に配置されている。この左下表示装置50は、図6(a)に示すように、略円弧状に構成されると共に、遊技盤10の前面部に取り付けられる取付板51を備えている。そして、この取付板51には、普通図柄保留表示部52と、特別図柄保留表示部53と、遊技状態表示部55と、普通図柄表示部56とが設けられている。
普通図柄保留表示部52は、2個のLEDを用いて構成され、所謂「普通図柄に関する保留数」を、4個を上限として表示するものである。つまり、普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16を通過したが、未だ、未消化の遊技球の数(即ち、保留球)を、4個を上限数として表示すると共に、未消化の遊技球が消化される毎に「未消化の遊技球の数(即ち、保留球)」を、順次、デクリメントして表示するものである。ここで、普通図柄に関する「未消化の遊技球(つまり、保留球)」とは、普通図柄作動ゲート16を通過したが、後述する普通図柄表示部56において、当該通過に伴う当否抽選の結果の表示と、これに先行する変動表示(本実施例では、LEDを用いて点滅表示)とがなされていない遊技球を指す。
特別図柄保留表示部53も、2個のLEDを用いて構成され、所謂「特別図柄に関する保留数」を、4個を上限として表示するものである。つまり、始動入賞装置17に入賞したが、未だ、「未消化の遊技球の数(即ち、保留球)を、4個を上限数として表示すると共に、未消化の遊技球が消化される毎に「未消化の遊技球の数(即ち、保留球)」を、順次、デクリメントして表示するものである。ここで、特別図柄に関する「未消化の遊技球(つまり、保留球)」とは、始動入賞装置17に入賞したが、後述する特別図柄表示部82において、当該通過に伴う当否抽選(当否判定)の結果の表示と、これに先行する変動表示とがなされていない遊技球を指す。
普通図柄保留表示部52及び特別図柄保留表示部53においては、同様な態様で、保留数の表示を行う。つまり、(a)2個のLEDを消灯させて「保留数」が「ゼロ」であることを、(b)1個のLEDを点灯させ、1個のLEDを消灯させて「保留数」が「1」であることを、(c)2個のLEDを点灯させて「保留数」が「2」であることを、(d)1個のLEDを点滅させ、1個LEDを点灯させて「保留数」が「3」であることを、(e)2個のLEDを点滅させて「保留数」が「4」であることを各々示す。
遊技状態表示部55は、1個のLEDを用いて構成され、遊技機1の電源投入時(遊技機1の起動時)の遊技状態(遊技モード)を表示するために用いられる。具体的には、LEDを消灯させることで「遊技状態が通常遊技状態(通常モード)である」旨が表示され、LEDを点灯させることで「遊技状態が確変遊技状態(高確率モード)である」旨が表示される。つまり、遊技状態表示部55のLEDは、電源投入時(起動時)に遊技モードが高確率モードとなっている場合に限り、点灯するものである。この場合、特別図柄の当否判定の結果として「大当り」が得られると、以後、遊技状態表示部55のLEDは消灯する。そして、遊技機1の電源を切るまでの間(遊技機1が稼働している間)に遊技状態が確変モードになったとしても、遊技状態表示部55のLEDが点灯することはない。
ここで、本実施例では、遊技機1の遊技モード(遊技状態)が「通常モード」から「高確率モード」に移行すると、当否抽選判定で大当り判定がなされる確率を通常に比べ高い確率に設定する確変手段と、特別図柄や普通図柄の変動時間を通常(変動時間短縮手段の非作動時)に比べ短い時間に設定される可能性を高くする変動時間短縮手段と、普通電動役物17dの開放時間を通常に比べ長い時間に設定したり、開放回数を通常に比べ多い回数に設定する開放延長手段とが作動する。そして、遊技機1の遊技モードが「高確率モード」から「時短モード」に移行すると、変動時間短縮手段および開放延長手段が作動を継続し、確変手段のみが作動を停止する。更に、遊技機1の遊技モードが「時短モード」から「通常モード」に戻されると、変動時間短縮手段および開放延長手段が作動を停止する。
次に、右下表示装置60は、前述のように、特別図柄表示部62と、大当り態様表示部63とを備える。このうち、特別図柄表示部62は、図6(b)に示すように、7個のLED62a〜62gを用いて構成され、「始動入賞装置17への遊技球の入賞(以下、「始動入賞」という)に伴う当否判定の結果の表示」を、変動表示(本実施例では、複数のLEDを用いて点灯表示)を経て実行する。つまり、図5(a)に示すように、この「当否判定に関する結果の表示に、先行する変動表示」の実行時期が到来すると、「7個のLED62a〜62g」を順次、点灯させる。そして、この変動表示(以下、「LED62b〜62gを用いた循環表示」という)を実行し、「特別図柄の当否判定に関する結果の表示」の実行時期が到来すると、特別図柄表示部62において、特別図柄の停止表示(確定表示)が実行される。
大当り態様表示部63は、2個のLED63a、63bを用いて構成され、主に、「特別図柄の当否判定の結果が当選(大当り)である場合、それに基づいて発生する大当りの種類」を表示するために用いられる。つまり、特別図柄表示部62において大当り表示がなされていない場合には、2個のLED63a、63bは消灯状態とされる。そして、特別図柄表示部62において大当り表示がなされる場合、何れかのLED63a、63bを点灯させて、当該大当りの種類が表示される。
図6(a)に示すように、2個の一般入賞装置40、41は、左下表示装置50を構成する取付板51に一体化されている。そして、各一般入賞装置40、41の内部には、遊技球の入賞を検出するための入賞検出スイッチ40s、41s(図7参照)が配設されている。
図4に戻り、多数の障害釘(図示を省略)は、以上説明した各盤部品との位置バランスを考慮して、遊技領域11にパチンコ遊技に適するべく配設され、遊技盤10の下方にはアウト口18が設けられている。更に、アウト口18の下部にはバック球防止部材(図示を省略)が設けられている。
c.遊技機1の裏面構造
次に、本実施例の遊技機1の裏面構造について図7を参照して説明する。つまり、遊技機1の裏面構造は、大きな裏パック102の上に各種装置が搭載された構造となっており、裏パック102は、一対のヒンジ103によって中枠3に開閉可能に軸支されている。
裏パック102には、遊技球が蓄えられる遊技球タンク105と、賞球または貸球としての遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置109と、「主制御部200Aを構成する主制御基板200」を主制御基板ケースに収納して構成される主制御基板装置70と、「発射装置ユニットを制御する発射制御基板260」を発射装置制御基板ケースに格納して構成される発射装置制御基板装置130と、「遊技球払出装置109を制御する払出制御基板240」を払出制御基板ケースに格納して構成される払出制御基板装置と、主制御基板200と各種スイッチ類とを中継する中継端子板などが搭載されている。また、遊技球タンク105には底部にタンクスイッチが設けられており、球切れを検出することができる。また、遊技球タンク105と遊技球払出装置109とは、タンクレール106によって接続されている。更に、図7において、タンクレール106の右側には球抜きレバーが設けられ、タンクレール106の下流側には補給球切れ検知スイッチが設けられている。
ここで、主制御基板ケースは、各請求項に示す「基板収納ケース」の具体例を構成するが、その他の制御基板ケース(「後述する演出制御基板220を収納するケース」、「発射装置制御基板ケース」、「払出制御基板ケース」等)が各請求項の発明に示す「基板収納ケース」の具体例を構成してもよい。なお、主制御基板ケースの詳細については後述する。
(2)制御回路の構成
次に、図8及び図9を用いて本実施例の遊技機1の制御回路の構成について説明する。本遊技機1の制御回路は、主制御部200Aと、複数の副制御部(220A、240A、260A)とを含んで構成されている。つまり、主制御基板200を用いて構成されると共に遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御部200Aと、複数の副制御部(220A、240A、260A)とを備えている。
副制御部としては、(a)サブ制御基板220を用いて構成されると共に、「図柄表示、ランプの発光、効果音、可動物の動作等を用いた遊技の各種の演出の制御を司るサブ制御部220Aと、(b)演出表示制御基板222を用いて構成されると共に、「図柄表示、ランプの発光、効果音、可動物の動作等を用いた遊技の各種の演出の制御を司る演出制御部222Aと、(c)払出制御基板240を用いて構成されると共に貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御部240Aと、(d)発射制御基板260を用いて構成されると共に遊技球の発射に関する制御を司る発射制御部260Aを備える。尚、副制御部には、主制御部140に直に接続された第1次副制御部(220A、240A)と、この第1次副制御部を介して主制御部200Aに接続された第2次副制御部(260A)とが存在する。
これらの制御部(200A、220A、240A、260A)を構成する制御基板(200、220、240、260)は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM、周辺機器とのデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェース(PIO)、CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器、CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ、定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマ・サーキット)など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。尚、図8及び図9中の矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。また、図8においては、主制御基板200に搭載されたCPU201、RAM202、ROM203のみ図示されており、主制御基板200に搭載されているPIO、更には、他の制御基板に搭載されているCPUや、RAM、ROMなどについては図示を省略している。
主制御部200A(主制御基板200)は、普通図柄作動ゲート通過検出スイッチ16s、始動口入賞検出スイッチ17s、一般入賞検出スイッチ40s、41s、43s、44s、大入賞口入賞検出スイッチ31s等から遊技球の検出信号を受け取って、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否を決定した後、サブ制御部200A(サブ制御基板220)や、払出制御部240A(払出制御基板240)、発射制御部260A(発射制御基板260)等に向かって、後述する各種の信号(コマンド)を出力する。また、主制御部200A(主制御基板200)には、発射装置ユニットから発射された遊技球を検出するカウントスイッチ8sも接続されている。
また、主制御部200A(主制御基板200)は、普通電動役物ソレノイド17cや、大入賞口ソレノイド31c、左下表示装置50、右下表示装置60に信号を出力することにより、これらの動作を直接制御している。つまり、主制御部200A(主制御基板200)は、「始動入賞に起因して大当りか否かを当否判定する当否判定手段」と、「大当り遊技を実行する大当り遊技実行手段」として機能することになる。また、主制御部200A(主制御基板200)を構成するCPU201により決定された所定の信号(コマンド)は、サブ制御基板220や払出制御基板240に対してそれぞれ送信される。
サブ制御部220A(サブ制御基板220)は、主制御部200A(主制御基板200)からの各種信号(コマンド)を受け取ると、信号(コマンド)の内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。つまり、サブ制御部220A(サブ制御基板220)は、主制御部200A(主制御基板200)からの制御信号に基づいて遊技の演出の制御を司るものである。このサブ制御部220A(サブ制御基板220)には、図22に示すように、演出表示制御部222A(演出表示制御基板222)と、アンプ基板224と、装飾駆動基板226と、演出ボタン基板228と、にそれぞれ電気的に接続されている。サブ制御基板220は、CPUと、ROMと、RAMとを備えている。
サブ制御基板220のCPUは、主制御基板200からの制御信号を受けて演出表示制御基板222、アンプ基板224、装飾駆動基板226及び演出ボタン基板228などの各基板を制御する。また、ROMには、各基板の制御に必要なデータ(特に遊技の装飾に関する情報)が記憶されている。また、CPUは、主制御部200A(主制御基板200)から送出された表示制御コマンド(つまり、表示制御信号)を受信すると共に、ROMに記憶されたプログラムに従って解析する。そして、サブ制御部220A(サブ制御基板220)を構成するCPUは、このCPUにより決定された所定の表示制御コマンドや、主制御部200A(主制御基板200)から送信されたままの表示制御コマンドを演出表示制御部222A(演出表示制御基板222)に対して送信する。
アンプ基板224には、所定の効果音を出力するスピーカSP1〜SP4が電気的に接続されている。また、装飾駆動基板226には、前面枠4や遊技盤10等に設けられる装飾用の各種LED(ランプ)を搭載した各種LED基板が接続されている。また、装飾駆動基板226は、サブ制御基板220Aからの信号を受けて遊技の装飾に関する制御を行うものである。
払出制御部240Aには、発射制御部260A及び主制御部200Aが双方向通信可能な状態に接続されている。この払出制御部240Aは、所謂、貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が貸出スイッチ5cや返却スイッチ5qを操作すると、その操作信号は、球貸表示基板410から中継端子板を介して払出制御基板240に伝達され、その操作信号に基づいて払出モータ109mを駆動させるための駆動信号が、遊技球払出装置(払出装置)109(払出モータ109m)に伝達される。
また、主制御部200Aが賞球の払出コマンドを出力すると、このコマンドを払出制御部240Aが受け取って、払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。また、払い出される遊技球は、2つの払出スイッチ(前側払出スイッチ109a、後側払出スイッチ109b)によって検出されて、払出制御部240Aに入力される。更に、払い出された賞球数はカウントスイッチ109cによっても検出されて、主制御部200Aでも計数されている。
(3)主制御基板装置70の構成
主制御基板装置70は、図10〜図13を用いて示されるように、主制御基板200と、主制御基板ケース71と、封印シール78と、封印シールカバー80と、連結部材85と、防犯キャップ86と、を備える。
主制御基板200は、図11に示すように、導体パターン部及びスルーホール部(図示を省略)等が形成された絶縁基板201と、この絶縁基板201に実装された電子部品202(「IC、トランジスタ、ダイオード、オペアンプ等の能動素子」、「抵抗、コイル、コンデンサ等の受動素子」、「コネクタ等の接続端子」等)と、を備える。また、絶縁基板201の4隅には、この基板を主制御基板ケース71に取付けるための取付孔203が、肉厚方向に貫通する状態に設けられている。
主制御基板ケース71は、「基板収納ケース」の具体例を構成するものであり、図10及び図11に示すように、ケース本体72とケース蓋75とを備える。このケース本体72とケース蓋75とを組み合わせて、内部に主制御基板200が収納される収納空間71Kを形成する。また、この主制御基板ケース71は正面形状は横長の略矩形とされるが、ケース本体72が遊技者に近接する側に配置され、ケース蓋75がケース本体72の後方に配置される。そして、主制御基板ケース71の長手方向が左右を向き、主制御基板ケース71の短手方向が上下を向くようにしつつ、裏パック102に装着されている。
なお、各図に「上の文字と矢印」を併記した部分では、主制御基板ケース71が裏パック102に装着されたときの「鉛直上方」を当該矢印が指し示している。また、各図に「Bの文字と矢印」を併記した部分では、「一端側」を当該矢印が指し示し、各図に「Cの文字と矢印」を併記した部分では、「他端側」を当該矢印が指し示している。更に、以下の説明においては、主制御基板ケース71が裏パック102に装着されたときに、遊技者に近接する方向を「前方」と称し、遊技者に近接する「面」を「前面」と称し、各図に「前の文字と矢印」を併記した場合、この「前方」を当該矢印が指し示している。また、遊技者に離間する方向を「後方」と称し、遊技者に離間する「面」を「後面」と称し、各図に「後の文字と矢印」を併記した場合、この「後方」を当該矢印が指し示している。
ケース本体72は透明な合成樹脂を用いた一体成形品であり、「第1のケース部材」の一具体例を構成する。また、図14に示すように、開口部72Aが後方に向けて配置され(図19を参照)、略矩形板状に構成される基板部72aと、基板部72aの上端縁を除く縁部から立ち上げられた周壁部72bとを備える。つまり、この周壁部72bは、基板部72aの一端縁から立ち上げられた側壁部(以下、「一端壁D1」という)と、基板部72aの下端縁から立ち上げられた側壁部(以下、「下端壁D2」という)と、基板部72aの他端縁から立ち上げられた側壁部(以下、「他端壁D3」という)とを備え、ケース本体72の上端縁は壁部を備えない開放部E1とされている。なお、基板部72aは、後面部72d(図14において上方に向けられた面)をケース蓋75の基板部75a(後述する)と前後に対向しつつ収納空間71Kを形作る面部分とするとともに、その前面部72e(図14において、後面部72dの裏側に位置する面)を裏パック102に対向する面部分としている(図11を参照)。
図14に示すように、基板部72aの後面部72dにおいて、上縁側の3カ所には、係合突起72fが設けられている。これらの係合突起72fは、基板部72aの上縁に沿って所定の間隔(一端側、他端側及び略中央)をおいて後方に向かって突出する状態に設けられている。また、各係合突起72fは略L字状に構成され、基端側の部分を後面部72dから後方に突出する略矩形板状に構成し、突端側の部分(以下、「係合本体部721f」という)を、基端側の部分の突端から上方に突出する略矩形板状に構成している。
図14に示すように、基板部72aの後面部72dにおいて、一端壁D1側に位置する部位には、2個のスライド突起72gが設けられている。これらのスライド突起72gは、基板部72aの一端側において上下に並設されている。また、これらのスライド突起72gは略L字状に構成されるとともに、基端側の部分を後面部72dから後方に突出する略矩形板状に構成し、突端側の部分を基端側の部分の突端から「基板部72aの他端方向」に突出する略矩形板状に構成している。
図14に示すように、基板部72aの後面部72dにおいて、係合突起72fよりも下方であって、スライド突起72gよりも「基板部72aの他端方向」に位置する部位の4隅からは、主制御基板200を支持するための支持部72hが突出している。これらの支持部72hの突端部で開口する略筒形状(例えば、略円筒形状)とされるとともに、その内壁部にはビス72Bを螺合させるための雌ネジ部721hが設けられている(図11を参照)。
図11に示すように、主制御基板装置70においては、主制御基板200の裏面部を基板部72aの後面部72dに対向させつつ、主制御基板200の4隅の取付孔203を対応する支持部72hの雌ネジ部721hに位置合わせする。そして、主制御基板200の表面部側から雌ネジ部721hに向かって、ビス72Bの雄ネジ部721Bを螺合することで、主制御基板200はケース本体72に固定されている。
図14に示すように、他端壁D3からは略コの字状の延設部72kが突出している。つまり、延設部72kの一方の端部が他端壁D3の上端部に一体化され、延設部72kの他方の端部が他端壁D3の上下方向中間部と一体化されることで、他端壁D3及び延設部72kが略矩形の枠形状を形成している。また、他端壁D3において、延設部72kで取り囲まれた部位からは、3個のケース側封止部72mが突出している。すなわち、3個のケース側封止部72mは所定の間隔をおいて上下方向に並設されている。これらのケース側封止部72mは、略筒状に構成される封止本体72nと、各封止本体72nと延設部72kとの間に2個ずつ配置されるリブ72pとを備える。
封止本体72nは、図13に示すように、軸心を前後(他端壁D3の立ち上げ方向)に向けた略筒形状に構成され、内壁に雌ネジ部72qが設けられている。また、リブ72pは封止本体72nと他端壁72Dとの間に掛け渡される肉薄の板状体で構成されるとともに、各封止本体72nに2個ずつ配置されている。なお、リブ72pを工具(ニッパー等)で切断することで、各封止本体72nと、他端壁D3とを分離することができる。
図14及び図15に示すように、下端壁D3は左右方向中間部に下端壁D3の他の部位よりも「基板部72aからの突出量」が多くなるように隆起した隆起部72rを備える。この隆起部72rは、横長の略直方体形状とされるとともに、上面部(基板部72aの下端縁から遠ざかる位置の面)の両端側には、上方に向かって薄板状に突出する突出部72s、72tが設けられている。そして、これらの突出部72s、72tにおいて対向する面(以下、「対向面」という)721s、721tには、係合孔72v、72vが設けられている。なお、係合孔72vは「被係合部」の具体例を構成する。
ケース蓋75も、透明な合成樹脂を用いた一体成形品であり、「第2のケース部材」の一具体例を構成する。また、図16に示すように、前方に開口部75Aを向けて配置される略容器形状に構成され(図11、図19を参照)、略矩形板状に構成される基板部75aと、周縁部から前方に向けて立ち上げられた周壁部75bとを備える。つまり、ケース蓋75は、基板部75aと、その4個の縁部(上縁、下縁、左右の両側縁)を包囲する略4角枠状の周壁部75bとを備える。なお、図11に示すように、基板部75aは、その前面部75dが収納空間71Kを形作る面部分とされ、前面部75eが遊技機1の後方を向く面部分とされている。
図16に示すように、基板部75aにおいて、「他端側」に位置する部位には、主制御基板ケース71に収納される主制御基板200と接続するためのコネクタ(図示を省略)を挿通する挿通孔75fが設けられている。また、図11及び図17に示すように、基板部75aの前面部75dにおいて、上縁側に位置する部位からは被係合用リブ75gが突出している。この被係合用リブ75gは、基板部75aと略直交する矩形板状に構成され、周壁部75bにおいて基板部75aの上端縁から突出する部分(以下、「上端壁75h」という)と略平行に配置されている。そして、この被係合用リブ75gには、ケース本体72に形成された各係合突起72f(係合本体部721f)が係合される係合孔751gが貫通状に設けられている。
図18及び図19に示すように、基板部75aの前面部75dにおいて、基板部75aの一端側に位置する部位には、2個のスライド突起75jが設けられている。これらのスライド突起75jは、基板部75aの一端側において上下に並設されている。また、これらのスライド突起75jは略L字状に構成されるとともに、基端側の部分を前面部75dから前方に突出する略矩形板状に構成し、突端側の部分を、基端側の部分の突端から「基板部75aの一端方向」に突出する略矩形板状に構成している。そして、上方のスライド突起75jがケース本体72の上方のスライド突起72jにスライド係合可能とされ、下方のスライド突起75jがケース本体72の下方のスライド突起72jにスライド係合可能とされている。
図16に示すように、ケース蓋75の周壁部75bにおいてケース蓋75の他端側に位置する部位(以下、「他端壁75D」という)からは略コの字状の延設部75kが突出している。つまり、延設部75kの一方の端部を他端壁75Dの上端部と一体化し、延設部75kの他方の端部を他端壁75Dの上下方向中間部と一体化することで他端壁75D及び延設部75kが略矩形の枠形状を形成している。
他端壁75Dにおいて、延設部75kで取り囲まれた部位からは、3個の蓋側封止部75mが突出している。すなわち、3個の蓋側封止部75mは所定の間隔をおいて上下方向に並設されている。これらの蓋側封止部75mは、略筒状に構成される封止本体75nと、各封止本体75nと他端壁75Dとの間に2個ずつ配置されるリブ75pとを備える。
封止本体75nは、図13に示すように、軸心を前後に向けた略筒形状に構成され、上下方向に向かって内径を3段階に変化させている。つまり、内径が一番大きい大内径部751nと、内径が大内径部751nよりも段差状に小さい中内径部752nと、内径が中内径部752nよりも段差状に小さい小内径部755nと、を備える。また、小内径部755nの内壁に雌ネジ部756nが設けられている。また、リブ75pは封止本体75nと他端壁75Dとの間に掛け渡される肉薄の板状体で構成されるとともに、封止本体75n毎に2個ずつ配置されている。なお、リブ75pを工具(ニッパー等)で切断することで、各封止本体75nと、他端壁75Dとを分離することができる。
図16に示すように、ケース蓋75の下端側の左右方向中間部において、基板部75a及び周壁部75bを段差状に凹ませて封止用凹部75Rが形成されている。この封止用凹部75Rは、周壁部75bにおいてケース蓋75の下端側に位置する部位(以下、「下端壁75E」という)の左右方向中間部を上方に向かって段差状に凹ませるとともに、基板部75aにおいてケース蓋75の下端側に位置する部位の左右方向中間部を前方に向かって段差状に凹ませることによって構成されている。
この封止用凹部75Rでは、基板部75a及び周壁部75bの一部を用いて段部75qが形成されている。この段部75qは、基板部75aよりも前方に位置する第1の板状部75rと、下端壁75Eよりも上方に後退する第2の板状部75sとを備える。そして、第1の板状部75r及び第2の板状部75sは略矩形板状に構成されるとともに、第1の板状部75rの下端縁と第2の板状部75sの後端縁とが略L字状に略直交している。また、第1の板状部75rは、基板部75aのその他の部位よりも前方に後退する状態とされ、第2の板状部75sは下端壁75Eを構成する他の部位よりも上方に後退する状態とされている。
封印シール78は、図18(b)に示すように、不透明なシート材で構成される略矩形で長尺状のシール本体78aを備え、このシール本体78aの裏面部(貼付面)に粘着剤を塗布して粘着剤層78bが形成されている。但し、図18(b)中において、粘着剤層78bを実際よりも肉厚に誇張して記載しているとともに、図18(b)を除く各図において、封印シール78を図示する場合には、粘着剤層78bの図示を省略している。
なお、粘着剤層78bの一部にアンテナ付きのICタグ(アンテナ部付きのICチップ)を貼り付けてもよい。また、このICタグを構成するチップ部(ICチップ)には、当該主制御基板装置70に関する固有の識別情報(例えば、識別用ID)を予め記憶し、この識別情報をアンテナ部で発信する。そして、このアンテナ部で発信された識別情報をリーダーライター等の外部読取機によって読み取って、主制御基板装置70が正規品であるか否かを確認可能としてもよい。更に、封印シール78がカッター部82fで破壊されたときに、ICタグが破壊されることとしてもよい。この場合、リーダーライター等の外部読取機は識別情報を受信不能となるため、主制御基板ケース71を閉じたままの状態で、封印シール78が破壊されたことを発見することができる。
封印シールカバー80は、樹脂を用いて構成された一体成形品であり、図20〜図22を用いて示すように、カバー本体部81と、カバー本体部81の裏面部81bから突出する挿入部82とを備える。なお、カバー本体部81の裏面部81bとは、封印シールカバー80を主制御基板ケース71に装着させる際に、主制御基板ケース71における封印シール78の貼付部位88V(図23を参照)に対向する面である。
カバー本体部81は、4角枠形状に構成されるとともに、表面部81a及び裏面部81bを平滑面とし、内側に略矩形の空間部81cを貫通させている。このカバー本体部81は、所定の間隔をおいて平行に配置される一組の縦枠部81d、81eと、所定の間隔をおいて平行に配置される1組の横枠部81g、81hとを用いて、4角枠形状に構成されるものである。また、縦枠部81d、81e及び横枠部81g、81hは、何れも断面が略矩形で肉厚が等しい棒状に構成されている。
このカバー本体部81では、一組の縦枠部81d、81eの端部間を一方の横枠部81gが連結し、一組の縦枠部81d、81eの他端部間を他方の横枠部81hが連結する構造を備える。また、縦枠部81d、81eの短手幅は横枠部81g、81hの短手幅よりも大きくされ、縦枠部81d、81eの長手幅は横枠部81g、81hの長手幅よりも小さくされている。
挿入部82は、両縦枠部81d、81eの裏面部から突出する状態に設けられている。この挿入部82は、図20に示すように、挿入本体部82aと、挿入本体部82aの両側に配置される係合脚82b、82cとを備える。このうち、挿入本体部82aは、図22に示すように、略板状に構成されつつ、カバー本体部81に略直交する状態に配置される。また、挿入本体部82aは、両端から延出部82d、82eを突出させ、一方の延出部82dの突端部を一方の縦枠部81dの長手方向及び短手方向に沿った中間部と一体化し、他方の延出部82eの突端部を他方の縦枠部81dの長手方向及び短手方向に沿った中間部と一体化している。
図22に示すように、挿入本体部82aにおいて、両延出部82d、82eで挟まれた部位には、カッター部82fが設けられている。このカッター部82fは、挿入本体部82aにおいて、両延出部82d、82eで挟まれるとともに、カバー本体部81の裏面部81bと対向する端部側の部位82gに刃部(刃先部)82hを設けて構成される(図22を参照)。つまり、この部位82gをカバー本体部81の裏面部81bの方向に向かって尖らせることで、この部位82gに刃部(刃先部)82hを設けている。
図22に示すように、この刃部(刃先部)82hは、両延出部82d、82eの突端部よりも、カバー本体部81の裏面部81bから離間する方向に後退しているため、刃部(刃先部)82hとカバー本体部81の裏面部81bとの間には、前述の封印シール78を挿入可能な隙間部(以下、「挿通用間隙部」という)82jが設けられている。また、両延出部82d、82eの間隔は、封印シール78の短手幅よりも僅かに大きくされている。
このため、封印シール78の短手方向を、両延出部82d、82eを掛け渡す方向に向けることで、封印シール78を挿通用間隙部82jに向かって挿通することが可能である。そして、両縦枠部81d、81eの裏面部において、対応する延出部82d、82eが突出する部位よりも、空間部81c側に位置する部位(以下、「縦側当接部81m、81m」という)は、両横枠部81h、81hの裏面部(以下、「横側当接部81n、81n」という)とともに、封印シール78に当接することができる。
図22に示すように、係合脚82b、82cは、対応する縦枠部81d、81eの裏面部において、対応する延出部82d、82eが突出する部位よりも、カバー本体部81の周縁部寄りの箇所から突出している。これらの係合脚82b、82cの突端部には、空間部81cから遠ざかる方向に突出する係合突起821b、821cが設けられている。なお、係合突起821b、821cは「係合部」の具体例を構成する。
連結部材85は、図13に示すように、頭部85aと、軸部85bとを備えている。また、軸部85bには雄ネジ85cが刻まれている。また、防犯キャップ86は透明な合成樹脂を用いた一体成形品である。
(4)主制御基板装置70の組立方法
次に、本実施例の主制御基板装置70の組立方法の一具体例を説明する。先ず、前述のように、主制御基板200をケース本体72に固定した後、ケース本体72に対してケース蓋75を組み付ける作業を行う。
具体的には、図19に示すように、ケース本体72の開口部72Aと、ケース蓋75の開口部75Aとを僅かに上下にずらした状態で対向させ、ケース本体72のスライド突起72jと、ケース蓋75のスライド突起75jとが係合するようにしつつ、ケース本体72に対して、ケース蓋75をスライドさせる(ケース本体72をケース蓋75に対してスライドさせてもよい。)。
つまり、上方に位置するスライド突起72j、75j同士がスライド係合し、下方に位置するスライド突起72j、75j同士がスライド係合するようにしつつ、ケース本体72に対してケース蓋75をスライドさせる。
このケース本体72に対するケース蓋75のスライドは、図11に示すように、ケース本体72の基板部72aの上端部72Uが、ケース蓋75の周壁部75bに当接(近接でもよい。)するとともに、ケース本体72の各係合突起72fがケース蓋75の対応する係合孔751gに係合(嵌合)するまで行われる(図17を参照)。これにより、ケース本体72に対するケース蓋75の組付を完了し、ケース本体72及びケース蓋75によって収納空間71Kが形成される。このとき、ケース本体72の上端側の開放部72cは、ケース蓋75の周壁部75bのうちで、ケース蓋75の上端側に位置する部位によって閉鎖された状態となる。
ケース本体72に対するケース蓋75の組付を完了すると、図13に示すように、主制御基板ケース71の他端側において、ケース側封止部72mを構成する封止本体72nと、蓋側封止部75mを構成する封止本体75nとのうちで対応関係にあるものが前後に重ね合わされた状態となる。つまり、最上部の封止本体72n、75n同士、上下方向中間部の封止本体72n、75n同士、最下部の封止本体72n、75n同士が重ね合わされた状態となる。そして、前後に重ね合わされる3組の封止本体72n、75nのうちの一組が、連結部材85及び防犯キャップ86を用いて封止される。例えば、最上部の封止本体72n、75nを、ケース蓋75の手前側(ケース本体72とは反対の方向)から装着される連結部材85を用いて連結する。
つまり、連結部材85をその軸部85bの側から大内径部751nに挿入し、この軸部85bを小内径部755nの雌ネジ部756nと、雌ネジ部721hに螺合する。そして、連結部材85の頭部85aが中内径部752nに進入し、頭部85aが中内径部752nの底面に当接することで、最上部の封止本体72n、75nの連結を完了する。この後、大内径部751nに向かって防犯キャップ86が圧入される。なお、この防犯キャップ86を大内径部751nの内壁に係合したり、接着すること等もできる。
このような封止本体72n、75n間の連結の解除は、対応するリブ72p、リブ75pを工具(ニッパー等)で切断し、封止本体72n、75nを主制御基板ケース71から分離することで行うことができる。例えば、最上部の封止本体72n、75nが連結されている場合には、最上部の封止本体72nをケース本体72に支持するリブ72pと、最上部の封止本体75nをケース蓋75に支持するリブ75pと、を工具(ニッパー等)で切断すればよい。
なお、封止本体72n、75nを再度連結する場合には、主制御基板ケース71から分離されていない「1組の封止本体72n、75n(例えば、「上下方向中間部の封止本体72n、75n同士」若しくは「最下部の封止本体72n、75n同士」)」が、連結部材85を用いて連結される。また、本実施例では、図12に示すように、ケース本体72及びケース蓋75における他の箇所(例えば、主制御基板ケース71の下端側)を、ビス77B等の連結部材を用いて連結している。
また、ケース本体72に対するケース蓋75の組付が完了すると、図23に示すように、主制御基板ケース71の下端側において、ケース蓋75の封止用凹部75rに対して、ケース本体72の隆起部72rが進入する。この進入は、ケース本体72の突出部72s、72tが、第2の板状部75sに当接するまで行われる。そして、隆起部72rが封止用凹部75rに進入すると、両突出部72s、72tの上面部72wと、第2の板状部75sの下面部75wとが略当接する状態とされ、隆起部72rの上面部のうちで両突出部72s、72tに挟まれた部位と、下面部75wとの間に隙間部(以下、「挿入用間隙部」という)88が形成される。なお、隆起部72rと、段部75q(第1の板状部75r及び第2の板状部75sで構成され、図16を参照)とが対向する部分が、「ケース本体72とケース蓋75との境界部から選択される特定部位」の具体例を構成する。
つまり、突出部72s、72tの肉厚(突出量)に相当する間隔の挿入用間隙部88が形成される。また、図23及び図24に示すように、第1の板状部75rの後面部75xと、隆起部72rの後面部72xとは、挿入用間隙部88を挟んで略同一平面上に並ぶことになる。そして、後面部75x、後面部72xは、封印シール78が貼付される貼付部位88vを構成する。
ケース本体72に対するケース蓋75の組付が完了すると、封印シール78及び封印シールカバー80は、主制御基板ケース71に対して以下のように装着される。なお、「封止本体72n、75nの連結」と、「封印シール78及び封印シールカバー80の装着」とのうちの何れを先に行ってもよい。
先ず、図24及び図25に示すように、封印シールカバー80の挿通用間隙部82jに向かって封印シール78の端部を挿通する。このとき、封印シール78の粘着剤層78bをカバー本体部81とは反対の方向を向けた状態とする。また、封印シール78の端部を一方の横枠部81gの外縁部に位置合わせし、封印シール78の他端部側を、他方の横枠部81hよりも突出させた状態とする。そして、挿入部82の突端部を先頭側としつつ、挿入部82を挿入用間隙部88に向かって挿入する。なお、この挿入を、例えば、嵌入状態で行ったり、圧入状態で行うことができる。
この挿入部82の挿入を行うと、図26(a)に示すように、各係合脚82b、82cを、その係合突起821b、821cを対応する対向面721s、721tに摺接させつつ、対向する係合突起821b、821cの間隔を狭めるように弾性変形する。そして、図26(b)に示すように、係合突起821b、821cが対応する係合孔72v、72vの側方に到達すると、各係合突起821b、821cは係合孔72v、72vと係合するため、係合突起821b、821cは弾性変形前の状態となる。そして、この係合突起821b、821cと係合孔72v、72vの係合(係合脚82b、82cの弾性を用いた係合)によって、挿入部82の挿入用間隙部88からの抜け止めが図られる。
係合突起821b、821cが係合孔72v、72vに係合すると、図12に示すように、カバー本体部81が、「第1の板状部75rの後面部75x」及び「隆起部72rの後面部72x」によって封印シール78を挟持した状態となる。これにより、封印シール78の端部が、挿入用間隙部88を跨ぐ状態で、後面部75x及び後面部72xに貼付された状態となる。そして、封印シール78の他端部側を、隆起部72rの下面部72yに貼付することで、主制御基板ケース71に対する封印シール78を用いた封印を完了する。
(5)実施例の効果
主制御基板装置70によると、封印シールカバー80を基板収納ケース71に装着する作業によって、封印シール78を基板収納ケース71に貼付することができる。従って、「基板収納ケース71を封印シール78によって封印する作業」の効率化を図ることができる。
また、主制御基板装置70においては、封印シール78の端部が、カバー本体部81を構成する4角枠状に並ぶ4個の当接部(一対の縦側当接部81m、81m及び一対の横側当接部81n、81n)と、貼付部位(第1の板状部75rの後面部75x及び隆起部72rの後面部72x)88vとによって挟持された状態となっている。このため、封印シールカバー80を主制御基板ケース71に装着したままの状態では、たとえ、粘着剤層78bを溶かす溶剤等を用いたとしても、封印シール78を綺麗に剥がすことは困難である。
また、図27(a)に示すように、封印シールカバー80を主制御基板ケース71から取り外すと、封印シール78が刃部82hによって破断される。つまり、封印シールカバー80を主制御基板ケース71から取り外すと、挿入部82が挿入用間隙部88から抜け出る際に、貼付部位(第1の板状部75rの後面部75x及び隆起部72rの後面部72x)88vに貼付された封印シール78を刃部82hが破断するため、封印シール78に痕跡が残ることになる。
すなわち、「刃部82hを一体的に備える封印シールカバー80」を主制御基板ケース71から取り外すと、封印シール78が破断され大きな痕跡が残ることになる。特に、本実施例では、封印シールカバー80を取り外す際に、係合突起821b、821cの係合孔72v、72vに対する係合を解除するために、封印シールカバー80を大きな力で引っ張る必要がある。そのため、封印シールカバー80を引っ張った際の力と刃部の作用とが相俟って、封印シール78が刃部82hにより破断され、より大きく目立ち易い痕跡が形成されることになる。
更に、図27(b)に示すように、不正な工具F1を用いて、封印シールカバー80(特に、カバー本体部81)を破壊し、封印シール78を綺麗に剥がそうとしても、封印シールカバー80(特に、カバー本体部81)が主制御基板ケース71に封印シール78を挟んで当接する状態とされているため、工具F1が主制御基板ケース71に接触し、封印シール78や主制御基板ケース71に痕跡を残す可能性が高い。
このように、本遊技機1によると、不正行為の痕跡を残し易くした主制御基板装置70を備えるため、不正行為の発見が容易である。また、基板収納ケース71を封印シール78によって封印する作業の効率化を図ることができる。