本発明が適用されたスロットマシンの実施例1を図面を用いて説明すると、本発明の遊技機の一例であるスロットマシン1は、前面が開口する筐体1aと、この筐体1aを正面から見て左側の前端辺に回動自在に枢支され、該筐体1aの前面開口を開閉可能な前面扉1bと、から構成されている。
本実施例のスロットマシン1の筐体1aの内部には、図2に示すように、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リール)が水平方向に並設されており、図1に示すように、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉1bに設けられた透視窓3から見えるように配置されている。
リール2L、2C、2Rの外周部には、それぞれ「黒7」、「白7」、「BAR」、「リプレイ」、「ベル」、「スイカ」、「黒チェリー」、「白チェリー」、「網チェリー」、「オレンジ」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で、それぞれ21個ずつ描かれている。リール2L、2C、2Rの外周部に描かれた図柄は、透視窓3において各々上中下三段に表示される。
各リール2L、2C、2Rは、各々対応して設けられリールモータ32L、32C、32R(図3参照)によって回転させることで、各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示されるとともに、各リール2L、2C、2Rの回転を停止させることで、透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示されるようになっている。
リール2L、2C、2Rの内側には、リール2L、2C、2Rそれぞれに対して、基準位置を検出するリールセンサ33L、33C、33Rと、リール2L、2C、2Rを背面から照射するリールLED55と、が設けられている。また、リールLED55は、リール2L、2C、2Rの連続する3つの図柄に対応する12のLEDからなり、各図柄をそれぞれ独立して照射可能とされている。
前面扉1bの各リール2L、2C、2Rの手前側(遊技者側)の位置には、液晶表示器51(図1参照)の表示領域51aが配置されている。液晶表示器51は、液晶素子に対して電圧が印加されていない状態で、透過性を有するノーマリーホワイトタイプの液晶パネルを有しており、表示領域51aの透視窓3に対応する透過領域51b及び透視窓3を介して遊技者側から各リール2L、2C、2Rが視認できるようになっている。また、表示領域51aの透過領域51bを除く領域の裏面には、背後から表示領域51aを照射するバックライト(図示略)が設けられているとともに、さらにその裏面には、内部を隠蔽する隠蔽部材(図示略)が設けられている。
前面扉1bには、メダルを投入可能なメダル投入部4、メダルが払い出されるメダル払出口9、クレジット(遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)を用いてメダル1枚分の賭数を設定する際に操作される1枚BETスイッチ5、クレジットを用いて、その範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数のうち最大の賭数(本実施例では遊技状態がレギュラーボーナス(ビッグボーナス)の場合には1、リプレイタイム(以下、RTと略称する)では3)を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットとして記憶されているメダル及び賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジット及び賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L、2C、2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8R、が遊技者により操作可能にそれぞれ設けられている。
また、前面扉1bには、クレジットとして記憶されているメダル枚数が表示されるクレジット表示器11、後述するビッグボーナス中のメダルの獲得枚数やエラー発生時にその内容を示すエラーコード等が表示される遊技補助表示器12、入賞の発生により払い出されたメダル枚数が表示されるペイアウト表示器13が設けられている。
また、前面扉1bには、賭数が1設定されている旨を点灯により報知する1BETLED14、賭数が2設定されている旨を点灯により報知する2BETLED15、賭数が3設定されている旨を点灯により報知する3BETLED16、メダルの投入が可能な状態を点灯により報知する投入要求LED17、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が有効である旨を点灯により報知するスタート有効LED18、ウェイト(前回のゲーム開始から一定期間経過していないためにリールの回転開始を待機している状態)中である旨を点灯により報知するウェイト中LED19、後述するリプレイゲーム中である旨を点灯により報知するリプレイ中LED20が設けられている。
MAXBETスイッチ6の内部には、1枚BETスイッチ5及びMAXBETスイッチ6の操作による賭数の設定操作が有効である旨を点灯により報知するBETスイッチ有効LED21(図3参照)が設けられており、ストップスイッチ8L、8C、8Rの内部には、該当するストップスイッチ8L、8C、8Rによるリールの停止操作が有効である旨を点灯により報知する左、中、右停止有効LED22L、22C、22R(図3参照)がそれぞれ設けられている。
前面扉1bの内側には、所定のキー操作により後述するエラー状態及び後述する打止状態を解除するためのリセット操作を検出するリセットスイッチ23、後述する設定値の変更中や設定値の確認中にその時点の設定値が表示される設定値表示器24、メダル投入部4から投入されたメダルの流路を、筐体1a内部に設けられた後述のホッパータンク34a(図2参照)側またはメダル払出口9側のいずれか一方に選択的に切り替えるための流路切替ソレノイド30、メダル投入部4から投入され、ホッパータンク34a側に流下したメダルを検出する投入メダルセンサ31を有するメダルセレクタ(図示略)、前面扉1bの開放状態を検出するドア開放検出スイッチ25(図3参照)が設けられている。
筐体1a内部には、図2に示すように、前述したリール2L、2C、2R、リールモータ32L、32C、32R、各リール2L、2C、2Rのリール基準位置をそれぞれ検出可能なリールセンサ33L、33C、33R(図3参照)からなるリールユニット2、外部出力信号を出力するための外部出力基板1000、メダル投入部4から投入されたメダルを貯留するホッパータンク34a、ホッパータンク34aに貯留されたメダルをメダル払出口9より払い出すためのホッパーモータ34b、ホッパーモータ34bの駆動により払い出されたメダルを検出する払出センサ34cからなるホッパーユニット34、電源ボックス100が設けられている。
また、筐体1aを構成する背板1cの内面上部には、後述する遊技制御基板40が収容された基板ケース200が、遊技制御基板40の電子部品の実装面40aの裏面40b側が視認不可となる第1の回動規制位置A(第1の位置)と、遊技制御基板40の裏面40b側が視認可能となる第2の回動規制位置B(第2の位置)と、の間で回動可能に設けられている(図22参照)。尚、基板ケース200の詳細な構造については後述することとする。
ホッパーユニット34の側部には、ホッパータンク34aから溢れたメダルが貯留されるオーバーフロータンク35が設けられている。オーバーフロータンク35の内部には、貯留された所定量のメダルを検出可能な高さに設けられた左右に離間する一対の導電部材からなる満タンセンサ35aが設けられており、導電部材がオーバーフロータンク35内に貯留されたメダルを介して接触することにより導電したときに内部に貯留されたメダル貯留量が所定量以上となったこと、すなわちオーバーフロータンクが満タン状態となったことを検出できるようになっている。
電源ボックス100の前面には、後述のビッグボーナス終了時に打止状態(リセット操作がなされるまでゲームの進行が規制される状態)に制御する打止機能の有効/無効を選択するための打止スイッチ36a、後述のビッグボーナス終了時に自動精算処理(クレジットとして記憶されているメダルを遊技者の操作によらず精算(返却)する処理)に制御する自動精算機能の有効/無効を選択するための自動精算スイッチ36b、設定変更状態または設定確認状態に切り替えるための設定キースイッチ37、通常時においてはエラー状態や打止状態を解除するためのリセットスイッチとして機能し、設定変更状態においては後述する内部抽選の当選確率(出玉率)の設定値を変更するための設定スイッチとして機能するリセット/設定スイッチ38、電源をON/OFFする際に操作される電源スイッチ39が設けられている。
本実施例のスロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するには1枚BETスイッチ5またはMAXBETスイッチ6を操作すれば良い。遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1〜L5(図1参照)が有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。本実施例では、規定数の賭数として遊技状態がレギュラーボーナス(ビッグボーナス)では1枚、通常遊技状態では3枚が定められている。尚、遊技状態に対応する規定数のうち最大数を超えてメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。
入賞ラインとは、各リール2L、2C、2Rの透視窓3に表示された図柄の組合せが入賞図柄の組合せであるかを判定するために設定されるラインである。本実施例では、図1に示すように、各リール2L、2C、2Rの中段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL1、各リール2L、2C、2Rの上段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL2、各リール2L、2C、2Rの下段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL3、リール2Lの上段、リール2Cの中段、リール2Rの下段、すなわち右下がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL4、リール2Lの下段、リール2Cの中段、リール2Rの上段、すなわち右上がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL5の5種類が入賞ラインとして定められている。
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示される。
そして全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、有効化されたいずれかの入賞ラインL1〜L5上に予め定められた図柄の組合せ(以下、役とも呼ぶ)が各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。また、クレジットが上限数(本実施例では50)に達した場合には、メダルが直接メダル払出口9(図1参照)から払い出されるようになっている。尚、有効化された複数の入賞ライン上にメダルの払出を伴う図柄の組合せが揃った場合には、有効化された入賞ラインに揃った図柄の組合せそれぞれに対して定められた払出枚数を合計し、合計した枚数のメダルが遊技者に対して付与されることとなる。ただし、1ゲームで付与されるメダルの払出枚数には、上限(本実施例では15枚)が定められており、合計した払出枚数が上限を超える場合には、上限枚数のメダルが付与されることとなる。また、有効化されたいずれかの入賞ラインL1〜L5上に、遊技状態の移行を伴う図柄の組合せが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には図柄の組合せに応じた遊技状態に移行するようになっている。
図3は、スロットマシン1の構成を示すブロック図である。スロットマシン1には、図3に示すように、遊技制御基板40、演出制御基板90、電源基板101が設けられており、遊技制御基板40によって遊技状態が制御され、演出制御基板90によって遊技状態に応じた演出が制御され、電源基板101によってスロットマシン1を構成する電気部品の駆動電源が生成され、各部に供給される。
電源基板101には、外部からAC100Vの電源が供給されるとともに、このAC100Vの電源からスロットマシン1を構成する電気部品の駆動に必要な直流電圧が生成され、遊技制御基板40及び遊技制御基板40を介して接続された演出制御基板90に供給されるようになっている。
また、電源基板101には、前述したホッパーモータ34b、払出センサ34c、満タンセンサ35a、打止スイッチ36a、自動精算スイッチ36b、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38、電源スイッチ39が接続されている。
遊技制御基板40には、前述した1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、精算スイッチ10、リセットスイッチ23、投入メダルセンサ31、ドア開放検出スイッチ25、リールセンサ33L、33C、33Rが接続されているとともに、電源基板101を介して前述した払出センサ34c、満タンセンサ35a、打止スイッチ36a、自動精算スイッチ36b、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38が接続されており、これら接続されたスイッチ類の検出信号が入力されるようになっている。
また、遊技制御基板40には、前述したクレジット表示器11、遊技補助表示器12、ペイアウト表示器13、1〜3BETLED14〜16、投入要求LED17、スタート有効LED18、ウェイト中LED19、リプレイ中LED20、BETスイッチ有効LED21、左、中、右停止有効LED22L、22C、22R、設定値表示器24、流路切替ソレノイド30、リールモータ32L、32C、32Rが接続されているとともに、電源基板101を介して前述したホッパーモータ34bが接続されており、これら電気部品は、遊技制御基板40に搭載された後述のメイン制御部41の制御に基づいて駆動されるようになっている。
遊技制御基板40には、メインCPU41a、ROM41b、RAM41c、I/Oポート41dを備えたマイクロコンピュータからなり、遊技の制御を行うメイン制御部41、所定範囲(本実施例では0〜65535)の乱数を生成する乱数回路42、一定周波数のクロック信号を乱数回路42に供給するパルス発振器43、遊技制御基板40に直接または電源基板101を介して接続されたスイッチ類から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路44、リールモータ32L、32C、32Rの駆動制御を行うモータ駆動回路45、流路切替ソレノイド30の駆動制御を行うソレノイド駆動回路46、遊技制御基板40に接続された各種表示器やLEDの駆動制御を行うLED駆動回路47、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をメイン制御部41に対して出力する電断検出回路48、電源投入時またはメインCPU41aからの初期化命令が入力されないときにメインCPU41aにリセット信号を与えるリセット回路49、その他各種デバイス、回路等の電子部品が搭載されている。
メインCPU41aは、計時機能、タイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備え、ROM41bに記憶されたプログラム(後述)を実行して、遊技の進行に関する処理を行うととともに、遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。ROM41bは、メインCPU41aが実行するプログラムや各種テーブル等の固定的なデータを記憶する。RAM41cは、メインCPU41aがプログラムを実行する際のワーク領域等として使用される。I/Oポート41dは、メイン制御部41が備える信号入出力端子を介して接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
また、メイン制御部41には、停電時においてもバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、RAM41cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
メインCPU41aは、基本処理として遊技制御基板40に接続された各種スイッチ類の検出状態が変化するまでは制御状態に応じた処理を繰り返しループし、各種スイッチ類の検出状態の変化に応じて段階的に移行する処理を実行する。また、メインCPU41aは、前述のように割込機能を備えており、割込の発生により基本処理に割り込んで割込処理を実行できるようになっており、電断検出回路48から出力された電圧低下信号の入力に応じて電断割込処理(メイン)を実行し、一定時間間隔(本実施例では、約0.56ms)毎にタイマ割込処理(メイン)を実行する。尚、タイマ割込処理(メイン)の実行間隔は、基本処理において制御状態に応じて繰り返す処理が一巡する時間とタイマ割込処理(メイン)の実行時間とを合わせた時間よりも長い時間に設定されており、今回と次回のタイマ割込処理(メイン)との間で必ず制御状態に応じて繰り返す処理が最低でも一巡することとなる。
メインCPU41aは、I/Oポート41dを介して演出制御基板90に、各種のコマンドを送信する。遊技制御基板40から演出制御基板90へ送信されるコマンドは一方向のみで送られ、演出制御基板90から遊技制御基板40へ向けてコマンドが送られることはない。遊技制御基板40から演出制御基板90へ送信されるコマンドの伝送ラインは、ストローブ(INT)信号ライン、データ伝送ライン、グラウンドラインから構成されているとともに、演出中継基板80を介して接続されており、遊技制御基板40と演出制御基板90とが直接接続されない構成とされている。
演出制御基板90には、スロットマシン1の前面扉1bに配置された液晶表示器51(図1参照)、演出効果LED52、スピーカ53、54、前述したリールLED55等の演出装置が接続されており、これら演出装置は、演出制御基板90に搭載された後述のサブ制御部91による制御に基づいて駆動されるようになっている。
尚、本実施例では、演出制御基板90に搭載されたサブ制御部91により、液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55等の演出装置の出力制御が行われる構成であるが、サブ制御部91とは別に演出装置の出力制御を直接的に行う出力制御部を演出制御基板90または他の基板に搭載し、サブ制御部91がメイン制御部41からのコマンドに基づいて演出装置の出力パターンを決定し、サブ制御部91が決定した出力パターンに基づいて出力制御部が演出装置の出力制御を行う構成としても良く、このような構成では、サブ制御部91及び出力制御部の双方によって演出装置の出力制御が行われることとなる。
また、本実施例では、演出装置として液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55を例示しているが、演出装置は、これらに限られず、例えば、機械的に駆動する表示装置や機械的に駆動する役モノなどを演出装置として適用しても良い。
演出制御基板90には、メイン制御部41と同様にサブCPU91a、ROM91b、RAM91c、I/Oポート91dを備えたマイクロコンピュータにて構成され、演出の制御を行うサブ制御部91、演出制御基板90に接続された液晶表示器51の表示制御を行う表示制御回路92、演出効果LED52、リールLED55の駆動制御を行うLED駆動回路93、スピーカ53、54からの音声出力制御を行う音声出力回路94、電源投入時またはサブCPU91aからの初期化命令が一定時間入力されないときにサブCPU91aにリセット信号を与えるリセット回路95、日付情報及び時刻情報を含む時間情報を出力する時計装置97、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をサブCPU91aに対して出力する電断検出回路98、その他の回路等、が搭載されており、サブCPU91aは、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を行うための各種の制御を行うとともに、演出制御基板90に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。
サブCPU91aは、メインCPU41aと同様に、割込機能(割込禁止機能を含む)を備える。サブ制御部91の割込端子の1つは、コマンド伝送ラインのうち、メイン制御部41がコマンドを送信する際に出力するストローブ(INT)信号線に接続されており、サブCPU91aは、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させて、メイン制御部41からのコマンドを取得し、バッファに格納するコマンド受信割込処理を実行する。また、サブCPU91aは、クロック入力数が一定数に到達する毎、すなわち一定間隔毎に割込を発生させて後述するタイマ割込処理(サブ)を実行する。また、サブ制御部91の割込端子の1つは、電断検出回路98と接続されており、サブCPU91aは、電断検出回路98から出力された電圧低下信号の入力に応じて電断割込処理(サブ)を実行する。また、サブCPU91aにおいても未使用の割込が発生した場合には、もとの処理に即時復帰させる未使用割込処理を実行するようになっている。
また、サブ制御部91にも、停電時においてバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、RAM91cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
本実施例のスロットマシン1では、前述のように遊技の制御を行うメイン制御部41が設けられた遊技制御基板40などの各種基板が搭載されており、これらの基板には、図4に示すように、遊技者による遊技の進行操作が可能なスイッチ類等からなる電気部品がケーブルを介して接続されている。
遊技制御基板40には、前述したように、1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、投入メダルセンサ31、リールモータ32L、32C、32R、リールセンサ33L、33C、33R、ホッパーモータ34b、払出センサ34c、演出制御基板90が接続されている。
具体的には、図4に示すように、スタートスイッチ7は遊技制御基板40と配線接続され、1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6、ストップスイッチ8L、8C、8R、投入メダルセンサ31、ドア開放検出スイッチ25は、操作部中継基板110を経由して遊技制御基板40と配線接続され、リールモータ32L、32C、32R及びリールセンサ33L、33C、33Rは、リール中継基板120を経由して遊技制御基板40と配線接続され、ホッパーモータ34b及び払出センサ34cは、電源基板101を経由して遊技制御基板40と配線接続され、演出制御基板90は、演出中継基板80を経由して遊技制御基板40と配線接続されている。
操作部中継基板110、リール中継基板120、電源基板101、演出制御基板90には、遊技制御基板40と各電気部品とを接続するための配線パターン(図示略)が設けられており、各電気部品から遊技制御基板40に対して出力される検出信号または遊技制御基板40から供給(入力)される電力や信号等を中継可能とされている。
このようにスタートスイッチ7を除く各種電気部品と遊技制御基板40とを、スロットマシン1の本体(本実施例では、筐体1a)所定箇所に取り付けた各基板110、120、101、80を経由して配線接続することで、遊技制御基板40からスロットマシン1の本体所定箇所に個々に配設される複数の電気部品との配線の取りまとめが容易になるとともに、コネクタ接続部が常に中継基板または遊技制御基板40に設けられることになり、これにより各電気部品それぞれのコネクタ接続部が固定されるため、配線接続作業時においてコネクタ接続部を探したり、接続する配線の種類を間違うこと等が防止される。
1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、投入メダルセンサ31、リールモータ32L、32C、32R、リールセンサ33L、33C、33R、ホッパーモータ34b、払出センサ34cは、ゲームの進行に関わる信号を遊技制御基板40に入出力する電気部品である。ゲームの進行に関わる信号とは、例えば、ゲームを開始可能な状態とするための賭数の設定操作、ゲームを開始させるための操作、リール2L、2C、2Rの表示結果を導出させるための操作等、ゲームの進行操作に応じて遊技制御基板40に出力される信号や、投入メダルの検出、リールの基準位置の検出、払出メダルの検出等、ゲームの進行に応じて遊技用電気部品から出力されて遊技制御基板40に入力される信号と、スタート操作の検出に応じてリール2L、2C、2Rを駆動させるための駆動信号や、入賞の発生に伴いメダルを払い出すホッパーを駆動するための駆動信号等、ゲームの進行に応じて遊技制御基板40から出力されて遊技用電気部品に入力される信号と、を含む。
そして、これら遊技用電気部品は、ゲームの進行に応じて遊技制御基板40に信号を出力する第1の電気部品と、ゲームの進行に応じて遊技制御基板40からの信号が入力される第2の電気部品と、からなる。
遊技用電気部品と基板とはケーブルを介して接続されており、遊技用電気部品と基板とを接続するケーブルは、スロットマシンの製造時における組み付け作業や配線作業を容易にするため、コネクタ同士の接続を解除することで分離可能とされている。また、これら遊技用電気部品は、基本的には複数の機種に共通して継続使用される電気部品であり、故障等が発生しない限り本体から取り外して交換する機会は少ないので、スロットマシンの本体所定箇所に固設されている。これに対して遊技制御基板40や演出制御基板90等は、機種変更の際には交換が必要となるため、その際には本体から取り外される。つまり、遊技制御基板40を取り外す際には遊技用電気部品や演出制御基板90との接続を解除する必要があるため、これら基板同士及び基板と遊技用電気部品とを接続するケーブルと基板とは、ケーブルの端部に設けられたケーブル側コネクタと基板の配線パターンと電気的に接続された基板側コネクタとの接続により電気的に接続されており、基板側コネクタからケーブル側コネクタを抜脱して接続を解除することで、遊技制御基板40を本体から容易に取り出して交換できるようになっている。
しかし、このように遊技制御基板40と遊技用電気部品との配線接続をコネクタの抜脱により容易に解除できる状態のままスロットマシンをメーカから遊技店に出荷すると、例えば遊技店において、基板側コネクタからケーブル側コネクタを抜脱し、これに替えていわゆる打ち込み器具等の不正な器具に接続されたケーブル側コネクタを基板側コネクタに容易に接続することが可能となってしまう。
打ち込み器具とは、例えば遊技用電気部品から遊技制御基板40に入出力される信号を擬似的に再現した信号を遊技制御基板40に入出力させることで、スロットマシンに設けられた各種スイッチ等を操作することなく、ゲームを自動的に進行させることができるものである。従って、例えば遊技店等において、遊技制御基板40に設けられた基板側コネクタに接続されている正規なコネクタを抜脱し、これに替えて打ち込み器具に接続された不正なコネクタを接続して、各種信号を適宜タイミングで遊技制御基板40に入出力して遊技を自動的に進行させることで、例えば特別役が当選した状態等を容易に設定することができる。よって、このような不正な打ち込み器具を使用して特別役が当選した状態に設定したスロットマシン、さらにはRB、BBのうちより有利度の高いBBが当選している可能性が高い状態に設定したスロットマシンを、例えば遊技店の営業開始時等において遊技客に提供するといった不正営業が実施された場合、遊技の公平性が損なわれる虞がある。
このため本実施例では、前述したように、遊技用電気部品のうちスタートスイッチ7のみを遊技制御基板40に直接配線接続するとともに、遊技制御基板40とスタートスイッチ7との間のコネクタ接続、すなわち遊技制御基板40の基板側コネクタ620bとケーブル600bのケーブル側コネクタ610bとの接続及びスタートスイッチ7の部品側コネクタ640bとケーブル側コネクタ630bとの接続について、コネクタ同士の接続の解除をコネクタ規制部材650によって規制できるようになっている。
ここで、基板側コネクタ620bとケーブル600bのケーブル側コネクタ610bとの接続の解除を規制するコネクタ規制部材650は、例えば図5に示すように、一面が開口する箱形状に形成された本体部650aと、該本体部650aの側部に一体的に設けられ、下端外周に係合穴650cが形成された円筒状の取付部650bと、から構成され、基板側コネクタ620bに接続されたケーブル側コネクタ610bの上方から本体部650aで覆った状態で、取付部650bを後述するカバー部材202の係合筒237内に嵌合することで、該係合筒237内に設けられた弾性爪237aが係合穴650cに係合されてカバー部材202に取り付けられるようになっている。
このようにコネクタ規制部材650の取付部650bを係合筒237に嵌合することで、その内部で弾性爪237aが係合穴650cに係合され、これにより、カバー部材202を開封するか係合部を破壊しない限り係合状態を外部から解除することができなくなるので、遊技制御基板40とスタートスイッチ7との間のコネクタ接続を解除するためには、解除規制部位を破壊しなければならず、これにより、遊技制御基板40とスタートスイッチ7との間のコネクタ接続が解除されると、その痕跡が残るとともに、その痕跡を消すことはきわめて困難であるため、上記不正営業をより効果的に抑制することができる。
尚、スタートスイッチ7の部品側コネクタ640bとケーブル側コネクタ630bとの接続の解除を規制するコネクタ規制部材650は特に図示しないが、接続の解除に関連する所定の解除規制部位を破壊しない限り取り外すことができない取付状態で取り付け可能に構成されていればよい。
尚、本実施例では、遊技制御基板40とスタートスイッチ7とは中継基板を経由することなく接続され、コネクタ接続を遊技制御基板40及び電気部品(スタートスイッチ7)側でのみ行えば済むため、配線接続が簡素化されているが、1つまたは複数の中継基板を経由して接続される場合には、その間に存在するコネクタ接続全てについて抜脱を規制することが好ましく、このようにすることで遊技制御基板40とスタートスイッチ7との間のいずれかのコネクタの接続を解除することが困難となるため、上記不正営業をより効果的に防止できる。
また、本実施例では、ゲームの進行に応じて遊技制御基板40に対して信号を入力する第1の電気部品5、6、7、8、31、33L、33C、33R、35及びゲームの進行に応じて遊技制御基板40から信号が出力される第2の電気部品32L、32C、32R、34のうち、スタートスイッチ7と遊技制御基板40との間のコネクタ接続のみコネクタ規制部材650を設けてコネクタ同士の接続の解除を規制している。すなわちその信号がなければ遊技を進行させることができない電気部品の一つであるスタートスイッチ7(スタートスイッチ7からの信号が入力されなければゲームを開始することが不可能となる)と遊技制御基板40との間のコネクタ接続のみコネクタ規制部材650を設けてコネクタ同士の接続の解除を規制しており、他の電気部品と遊技制御基板40との間でコネクタ同士の接続を解除して打ち込み器具のコネクタに差し替えた場合でも、実質的に遊技を自動的にゲームを進行させることができなくなるため、最小限の規制で不正行為を防止することが可能となり、これらコネクタ同士の接続を解除するための部品点数を減らすことができる。
尚、本実施例では、スタートスイッチ7と遊技制御基板40との間のコネクタ接続のみコネクタ規制部材650を設けてコネクタ同士の接続の解除を規制しているが、投入メダルセンサ31と遊技制御基板40との間のコネクタ接続のみコネクタ規制部材を設けてコネクタ同士の接続の解除を規制するようにしても同様の効果が得られる。また、本実施例のようにリールの回転開始後、リールの停止操作がなされるまでリールが停止する構成でないものであれば、ストップスイッチ8L、8C、8Rのいずれかと遊技制御基板40との間のコネクタ接続のみコネクタ規制部材を設けてコネクタ同士の接続の解除を規制するようにしても同様の効果が得られる。
また、本実施例では、ドア開放検出スイッチ25がケーブルを介して遊技制御基板40と接続されているが、ドア開放検出スイッチ25と遊技制御基板40との間に設けられるケーブルのコネクタのうちいずれかのコネクタでの接続が解除されると、前面扉1bが開放された際に、その旨を遊技制御基板に搭載されたメイン制御部41が検出することができず、ドア開放報知やドア開放信号の出力が行われなくなるため、前面扉1bが開放されて不正行為がなされてもその発見が遅れてしまう虞があるため、遊技制御基板40とドア開放検出スイッチ25との間のコネクタ接続にコネクタ規制部材を設けてコネクタ同士の接続の解除を規制するようにしてもよく、このようにすることで、遊技制御基板40とドア開放検出スイッチ25との間のいずれかのコネクタ同士の接続を解除することが困難となるため、前面扉1bの開放された旨の報知がされない状態で、前面扉1bが開放されてしまうことを効果的に防止できる。
また、本実施例では、メイン制御部41とゲームの進行上必要な信号の入出力が行われるスタートスイッチ7を除く複数の電気部品及びドア開放検出スイッチ25とを接続する複数の信号線が、遊技制御基板40と操作部中継基板110との間では1本のケーブル600aで接続されているため、遊技制御基板40の基板側コネクタ620aとケーブル側コネクタ610aとのコネクタ接続、すなわち1カ所のコネクタ接続のみ接続の解除を規制することで、複数の信号線同士の接続の解除を規制することが可能となり、これらコネクタ接続の解除を規制するための部品を複数用意する必要がなく、これらの部品点数を削減できる。
尚、メイン制御部41とゲームの進行上必要な信号の入出力が行われる複数の電気部品及びドア開放検出スイッチ25とを接続する複数の信号線が、複数のケーブルを介して接続される場合でも、基板側コネクタを近接する位置に配置するとともに、1つの部品でこれら複数の基板側コネクタと複数のケーブル側コネクタとの接続の解除を規制することで、これらコネクタ接続の解除を規制するための部品を複数用意する必要がなく、これらの部品点数を削減できる。
本実施例のスロットマシン1は、遊技状態やエラーの発生状況などを示す外部出力信号を出力する。これら外部出力信号は、メインCPU41aの制御により遊技制御基板40より出力され、外部出力基板1000、スロットマシン1が設置される遊技店(ホール)の情報提供端子板(図示略)を介してホールコンピュータ(図示略)などのホール機器に出力されるようになっている。
遊技制御基板40から外部出力基板1000に対しては、賭数の設定に用いられたメダル数を示すメダルIN信号、入賞の発生により遊技者に付与されたメダル数を示すメダルOUT信号、遊技状態が後述するRB中の旨を示すRB中信号、遊技状態が後述するBB中の旨を示すBB中信号、前面扉1bが開放中の旨を示すドア開放信号、後述する設定変更モードに移行している旨を示す設定変更信号、メダルセレクタの異常を示す投入エラー信号、ホッパーユニット34の異常を示す払出エラー信号がそれぞれ出力される。
本実施例のスロットマシン1は、設定値に応じてメダルの払出率が変わるものである。詳しくは、後述する内部抽選において設定値に応じた当選確率を用いることにより、メダルの払出率が変わるようになっている。設定値は1〜6の6段階からなり、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど払出率が低くなる。すなわち設定値として6が設定されている場合には、遊技者にとって最も有利度が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど有利度が段階的に低くなる。
設定値を変更するためには、設定キースイッチ37をON状態としてからスロットマシン1の電源をONする必要がある。設定キースイッチ37をON状態として電源をONすると、設定値表示器24にRAM41cから読み出された設定値が表示値として表示され、リセット/設定スイッチ38の操作による設定値の変更操作が可能な設定変更状態に移行する。設定変更状態において、リセット/設定スイッチ38が操作されると、設定値表示器24に表示された表示値が1ずつ更新されていく(設定6からさらに操作されたときは、設定1に戻る)。そして、スタートスイッチ7が操作されると表示値を設定値として確定する。そして、設定キースイッチ37がOFFされると、確定した表示値(設定値)がメイン制御部41のRAM41cに格納され、遊技の進行が可能な状態に移行する。
また、設定値を確認するためには、ゲーム終了後、賭数が設定されていない状態で設定キースイッチ37をON状態とすれば良い。このような状況で設定キースイッチ37をON状態とすると、設定値表示器24にRAM41cから読み出された設定値が表示されることで設定値を確認可能な設定確認状態に移行する。設定確認状態においては、ゲームの進行が不能であり、設定キースイッチ37をOFF状態とすることで、設定確認状態が終了し、ゲームの進行が可能な状態に復帰することとなる。
本実施例のスロットマシン1においては、メインCPU41aが電断検出回路48からの電圧低下信号を検出した際に、電断割込処理(メイン)を実行する。電断割込処理(メイン)では、レジスタを後述するRAM41cのスタックに退避し、RAM41cにいずれかのビットが1となる破壊診断用データ(本実施例では、5AH)、すなわち0以外の特定のデータを格納するとともに、RAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0となるようにRAMパリティ調整用データを計算し、RAM41cに格納する処理を行うようになっている。尚、RAMパリティとはRAM41cの該当する領域(本実施例では、全ての領域)の各ビットに格納されている値の排他的論理和として算出される値である。このため、RAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0であれば、RAMパリティ調整用データは0となり、RAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが1であれば、RAMパリティ調整用データは1となる。
そして、メインCPU41aは、その起動時においてRAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算するとともに、破壊診断用データの値を確認し、RAMパリティが0であり、かつ破壊診断用データの値も正しいことを条件に、RAM41cに記憶されているデータに基づいてメインCPU41aの処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAMパリティが0でない場合(1の場合)や破壊診断用データの値が正しくない場合には、RAM異常と判定し、RAM異常エラーコードをレジスタにセットしてRAM異常エラー状態に制御し、遊技の進行を不能化させるようになっている。尚、RAM異常エラー状態は、他のエラー状態と異なり、リセットスイッチ23やリセット/設定スイッチ38を操作しても解除されないようになっており、前述した設定変更状態において新たな設定値が設定されるまで解除されることがない。
尚、本実施例では、RAM41cに格納されている全てのデータが停電時においてもバックアップ電源により保持されるとともに、メインCPU41aは、電源投入時においてRAM41cのデータが正常であると判定した場合に、RAM41cの格納データに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成であるが、RAM41cに格納されているデータのうち停電時において制御状態の復帰に必要なデータのみをバックアップし、電源投入時においてバックアップされているデータに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成としても良い。
また、電源投入時において電断前の制御状態に復帰させる際に、全ての制御状態を電断前の制御状態に復帰させる必要はなく、遊技者に対して不利益とならない最低限の制御状態を復帰させる構成であれば良く、例えば、入力ポートの状態などを全て電断前の状態に復帰させる必要はない。
また、サブCPU91aも電断検出回路98からの電圧低下信号を検出した際に、電断割込処理(サブ)を実行する。電断割込処理(サブ)では、レジスタを後述するRAM91cのスタックに退避し、RAM91cにいずれかのビットが1となる破壊診断用データを格納するとともに、RAM91cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0となるようにRAMパリティ調整用データを計算し、RAM91cに格納する処理を行うようになっている。
そして、サブCPU91aは、その起動時においてRAM91cの全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算し、RAMパリティが0であることを条件に、RAM91cに記憶されているデータに基づいてサブCPU91aの処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAMパリティが0でない場合(1の場合)には、RAM異常と判定し、RAM91cを初期化するようになっている。この場合、メインCPU41aと異なり、RAM91cが初期化されるのみで演出の実行が不能化されることはない。
尚、本実施例では、RAM91cに格納されている全てのデータが停電時においてもバックアップ電源により保持されるとともに、サブCPU91aは、電源投入時においてRAM91cのデータが正常であると判定した場合に、RAM91cの格納データに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成であるが、RAM91cに格納されているデータのうち停電時において制御状態の復帰に必要なデータのみをバックアップし、電源投入時においてバックアップされているデータに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成としても良い。
また、電源投入時において電断前の制御状態に復帰させる際に、全ての制御状態を電断前の制御状態に復帰させる必要はなく、遊技者に対して不利益とならない最低限の制御状態を復帰させる構成であれば良く、入力ポートの状態や、演出が途中で中断された場合の途中経過などを全て電断前の状態に復帰させる必要はない。例えば、ビッグボーナス中か、通常遊技状態か、などの遊技状態を示すデータのみをバックアップするとともに、遊技状態に対応する演出(ビッグボーナス中であればビッグボーナス中演出、通常遊技状態であれば通常演出)以外の特定の演出(小役告知など)の実行中に電断が発生した場合に、次回電源投入時において電断時に実行されていた特定の演出を再開するのではなく、電源投入時においてバックアップされている遊技状態に対応する演出を最初から実行するようにしても良い。
次に、メイン制御部41のRAM41cの初期化について説明する。メイン制御部41のRAM41cの格納領域は、重要ワーク、一般ワーク、特別ワーク、設定値ワーク、非保存ワーク、未使用領域、スタック領域に区分されている。
重要ワークは、各種表示器やLEDの表示用データ、I/Oポート41dの入出力データ、遊技時間の計時カウンタ等、ビッグボーナス終了時に初期化すると不都合があるデータが格納されるワークである。一般ワークは、停止制御テーブル、停止図柄、メダルの払出枚数、ビッグボーナス中のメダル払出総数等、ビッグボーナス終了時に初期化可能なデータが格納されるワークである。特別ワークは、演出制御基板90へコマンドを送信するためのデータ、各種ソフトウェア乱数(後述する判定値加算用乱数、初期値変更用乱数)等、設定変更前にも初期化されないデータが格納されるワークである。設定値ワークは、内部抽選処理で抽選を行う際に用いる設定値が格納されるワークである。非保存ワークは、各種スイッチ類の状態を保持するワークであり、起動時にRAM41cのデータが破壊されているか否かに関わらず必ず値が設定されることとなる。未使用領域は、RAM41cの格納領域のうち使用していない領域であり、後述する複数の初期化条件のいずれか1つでも成立すれば初期化されることとなる。スタック領域は、メインCPU41aのレジスタから退避したデータが格納される領域であり、このうちの未使用スタック領域は、未使用領域と同様に、後述する複数の初期化条件のいずれか1つでも成立すれば初期化されることとなるが、使用中スタック領域は、プログラムの続行のため、初期化されることはない。
本実施例においてメインCPU41aは、RAM異常エラー発生時、設定キースイッチ37がONの状態での起動時、ビッグボーナス終了時、設定キースイッチ37がOFFの状態での起動時においてRAM41cのデータが破壊されていないとき、1ゲーム終了時の5つからなる初期化条件が成立した際に、各初期化条件に応じて初期化される領域の異なる5種類の初期化を行う。
初期化0は、RAM異常エラー発生時に行う初期化であり、初期化0では、RAM41cの格納領域のうち、使用中スタック領域を除く全ての領域(未使用領域及び未使用スタック領域を含む)が初期化される。初期化1は、起動時において設定キースイッチ37がONの状態であり、設定変更状態へ移行する場合において、その前に行う初期化であり、初期化1では、RAM41cの格納領域のうち、特別ワーク、非保存ワーク及び使用中スタック領域以外の領域(未使用領域及び未使用スタック領域を含む)が初期化される。初期化2は、ビッグボーナス終了時に行う初期化であり、初期化2では、RAM41cの格納領域のうち、一般ワーク、未使用領域及び未使用スタック領域が初期化される。初期化3は、起動時において設定キースイッチ37がOFFの状態であり、かつRAM41cのデータが破壊されていない場合において行う初期化であり、初期化3では、非保存ワーク、未使用領域及び未使用スタック領域が初期化される。初期化4は、1ゲーム終了時に行う初期化であり、初期化4では、RAM41cの格納領域のうち、未使用領域及び未使用スタック領域が初期化される。
尚、本実施例では、初期化1を設定変更状態の移行前に行っているが、設定変更状態の終了時に行ったり、設定変更状態移行前、設定変更状態終了時の双方で行うようにしても良い。この場合、設定値ワークを初期化してしまうと確定した設定値が失われてしまうこととなるので、設定変更状態終了時の初期化では、設定値ワークの初期化は行われない。
本実施例のスロットマシン1は、前述のように遊技状態に応じて設定可能な賭数の規定数が定められており、遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されたことを条件にゲームを開始させることが可能となる。本実施例では、遊技状態として、レギュラーボーナス(以下ではRBと称す)(ビッグボーナス(以下ではBBと称す))、RT(0)〜(6)があり、このうちRB(BB)では賭数の規定数として1が定められており、RT(0)〜(6)では賭数の規定数として3が定められている。このため、遊技状態がRB(BB)であれば、賭数として1が設定されるとゲームを開始させることが可能となり、RT(0)〜(6)であれば、賭数として3が設定されるとゲームを開始させることが可能となる。尚、本実施例では、遊技状態に応じた規定数の賭数が設定された時点で、入賞ラインLが有効化されるようになっており、RB(BB)では賭数として1が設定された時点で全ての入賞ラインL1〜L5が有効化されることなり、RT(0)〜(4)では賭数として3が設定された時点で全ての入賞ラインL1〜L5が有効化されることとなる。
本実施例のスロットマシン1は、全てのリール2L、2C、2Rが停止した際に、有効化された入賞ライン(以下では、有効化された入賞ラインを単に入賞ラインと呼ぶ)上に役と呼ばれる図柄の組合せが揃うと入賞となる。役は、同一図柄の組合せであっても良いし、異なる図柄を含む組合せであっても良い。入賞となる役の種類は、遊技状態に応じて定められているが、大きく分けて、メダルの払い出しを伴う小役と、賭数の設定を必要とせずに次のゲームを開始可能となる再遊技役と、遊技状態の移行を伴う特別役と、がある。以下では、小役と再遊技役をまとめて一般役とも呼ぶ。遊技状態に応じて定められた各役の入賞が発生するためには、後述する内部抽選に当選して、当該役の当選フラグがRAM41cに設定されている必要がある。
尚、これら各役の当選フラグのうち、小役及び再遊技役の当選フラグは、当該フラグが設定されたゲームにおいてのみ有効とされ、次のゲームでは無効となるが、特別役の当選フラグは、当該フラグにより許容された役の組合せが揃うまで有効とされ、許容された役の組合せが揃ったゲームにおいて無効となる。すなわち特別役の当選フラグが一度当選すると、例え、当該フラグにより許容された役の組合せを揃えることができなかった場合にも、その当選フラグは無効とされずに、次のゲームへ持ち越されることとなる。
内部抽選は、上記した各役への入賞を許容するか否かを、全てのリール2L、2C、2Rの表示結果が導出表示される以前に(実際には、スタートスイッチ7の検出時)決定するものである。内部抽選では、まず、内部抽選用の乱数(0〜65535の整数)が取得される。そして、遊技状態及び特別役の持ち越しの有無に応じて定められた各役について、取得した内部抽選用の乱数と、遊技状態、賭数及び設定値に応じて定められた各役の判定値数に応じて行われる。
本実施例では、遊技状態が、RT(0)(1)(特別役の非持越中)であるか、RT(2)(4)(5)(特別役の非持越中)であるか、RT(3)(特別役の非持越中)であるか、RT(6)(特別役の持越中)であるか、RB(BB)であるか、によって内部抽選の対象となる役が異なる。
内部抽選では、内部抽選の対象となる役、現在の遊技状態及び設定値に対応して定められた判定値数を、内部抽選用の乱数に順次加算し、加算の結果がオーバーフローしたときに、当該役に当選したものと判定される。このため、判定値数の大小に応じた確率(判定値数/65536)で役が当選することとなる。
そして、いずれかの役の当選が判定された場合には、当選が判定された役に対応する当選フラグをRAM41cに割り当てられた内部当選フラグ格納ワークに設定する。内部当選フラグ格納ワークは、2バイトの格納領域にて構成されており、そのうちの上位バイトが、特別役の当選フラグが設定される特別役格納ワークとして割り当てられ、下位バイトが、一般役の当選フラグが設定される一般役格納ワークとして割り当てられている。詳しくは、特別役が当選した場合には、当該特別役が当選した旨を示す特別役の当選フラグを特別役格納ワークに設定し、一般役格納ワークに設定されている当選フラグをクリアする。また、一般役が当選した場合には、当該一般役が当選した旨を示す一般役の当選フラグを一般役格納ワークに設定する。尚、いずれの役及び役の組合せにも当選しなかった場合には、一般役格納ワークのみクリアする。
次に、リール2L、2C、2Rの停止制御について説明する。
メインCPU41aは、リールの回転が開始したとき、及びリールが停止し、かつ未だ回転中のリールが残っているときに、ROM41bに格納されているテーブルインデックス及びテーブル作成用データを参照して、回転中のリール別に停止制御テーブルを作成する。そして、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作が有効に検出されたときに、該当するリールの停止制御テーブルを参照し、参照した停止制御テーブルの滑りコマ数に基づいて、操作されたストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる制御を行う。
テーブルインデックスには、内部抽選による当選フラグの設定状態(以下、内部当選状態と呼ぶ)別に、テーブルインデックスを参照する際の基準アドレスから、テーブル作成用データが格納された領域の先頭アドレスを示すインデックスデータが格納されているアドレスまでの差分が登録されている。これにより内部当選状態に応じた差分を取得し、基準アドレスに対してその差分を加算することで該当するインデックスデータを取得することが可能となる。尚、役の当選状況が異なる場合でも、同一の制御が適用される場合においては、インデックスデータとして同一のアドレスが格納されており、このような場合には、同一のテーブル作成用データを参照して、停止制御テーブルが作成されることとなる。
テーブル作成用データは、停止操作位置に応じた滑りコマ数を示す停止制御テーブルと、リールの停止状況に応じて参照すべき停止制御テーブルのアドレスと、からなる。
リールの停止状況に応じて参照される停止制御テーブルは、全てのリールが回転しているか、左リールのみ停止しているか、中リールのみ停止しているか、右リールのみ停止しているか、左、中リールが停止しているか、左、右リールが停止しているか、中、右リールが停止しているか、によって異なる場合があり、更に、いずれかのリールが停止している状況においては、停止済みのリールの停止位置によっても異なる場合があるので、それぞれの状況について、参照すべき停止制御テーブルのアドレスが回転中のリール別に登録されており、テーブル作成用データの先頭アドレスに基づいて、それぞれの状況に応じて参照すべき停止制御テーブルのアドレスが特定可能とされ、この特定されたアドレスから、それぞれの状況に応じて必要な停止制御テーブルを特定できるようになっている。尚、リールの停止状況や停止済みのリールの停止位置が異なる場合でも、同一の停止制御テーブルが適用される場合においては、停止制御テーブルのアドレスとして同一のアドレスが登録されているものもあり、このような場合には、同一の停止制御テーブルが参照されることとなる。
停止制御テーブルは、停止操作が行われたタイミング別の滑りコマ数を特定可能なデータである。本実施例では、リールモータ32L、32C、32Rに、168ステップ(0〜167)の周期で1周するステッピングモータを用いている。すなわちリールモータ32L、32C、32Rを168ステップ駆動させることでリール2L、2C、2Rが1周することとなる。そして、リール1周に対して8ステップ(1図柄が移動するステップ数)毎に分割した21の領域(コマ)が定められており、これらの領域には、リール基準位置から0〜20の領域番号が割り当てられている。一方、1リールに配列された図柄数も21であり、各リールの図柄に対して、リール基準位置から0〜20の図柄番号が割り当てられているので、0番図柄から20番図柄に対して、それぞれ0〜20の領域番号が順に割り当てられていることとなる。そして、停止制御テーブルには、領域番号別の滑りコマ数が所定のルールで圧縮して格納されており、停止制御テーブルを展開することによって領域番号別の滑りコマ数を取得できるようになっている。
前述のようにテーブルインデックス及びテーブル作成用データを参照して作成される停止制御テーブルは、領域番号に対応して、各領域番号に対応する領域が停止基準位置(本実施例では、透視窓3の下段図柄の領域)に位置するタイミング(リール基準位置からのステップ数が各領域番号のステップ数の範囲に含まれるタイミング)でストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出された場合の滑りコマ数がそれぞれ設定されたテーブルである。
次に、停止制御テーブルの作成手順について説明すると、まず、リール回転開始時においては、そのゲームの内部当選状態に応じたテーブル作成用データの先頭アドレスを取得する。具体的には、まずテーブルインデックスを参照し、内部当選状態に対応するインデックスデータを取得し、そして取得したインデックスデータに基づいてテーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データから全てのリールが回転中の状態に対応する各リールの停止制御テーブルのアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されている各リールの停止制御テーブルを展開して全てのリールについて停止制御テーブルを作成する。
また、いずれか1つのリールが停止したとき、またはいずれか2つのリールが停止したときには、リール回転開始時に取得したインデックスデータ、すなわちそのゲームの内部当選状態に応じたテーブル作成用データの先頭アドレスに基づいてテーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データから停止済みのリール及び当該リールの停止位置の領域番号に対応する未停止リールの停止制御テーブルのアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されている各リールの停止制御テーブルを展開して未停止のリールについて停止制御テーブルを作成する。
次に、メインCPU41aがストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出したときに、該当するリールに表示結果を導出させる際の制御について説明すると、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出すると、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数に基づいて停止操作位置の領域番号を特定し、停止操作が検出されたリールの停止制御テーブルを参照し、特定した停止操作位置の領域番号に対応する滑りコマ数を取得する。そして、取得した滑りコマ数分リールを回転させて停止させる制御を行う。具体的には、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数から、取得した滑りコマ数引き込んで停止させるまでのステップ数を算出し、算出したステップ数分リールを回転させて停止させる制御を行う。これにより、停止操作が検出された停止操作位置の領域番号に対応する領域から滑りコマ数分先の停止位置となる領域番号に対応する領域が停止基準位置(本実施例では、透視窓3の下段図柄の領域)に停止することとなる。
本実施例のテーブルインデックスには、一の遊技状態における一の内部当選状態に対応するインデックスデータとして1つのアドレスのみが格納されており、更に、一のテーブル作成用データには、一のリールの停止状況(及び停止済みのリールの停止位置)に対応する停止制御テーブルの格納領域のアドレスとして1つのアドレスのみが格納されている。すなわち一の遊技状態における一の内部当選状態に対応するテーブル作成用データ、及びリールの停止状況(及び停止済みのリールの停止位置)に対応する停止制御テーブルが一意的に定められており、これらを参照して作成される停止制御テーブルも、一の遊技状態における一の内部当選状態、及びリールの停止状況(及び停止済みのリールの停止位置)に対して一意となる。このため、遊技状態、内部当選状態、リールの停止状況(及び停止済みのリールの停止位置)の全てが同一条件となった際に、同一の停止制御テーブル、すなわち同一の制御パターンに基づいてリールの停止制御が行われることとなる。
また、本実施例では、滑りコマ数として0〜4の値が定められており、停止操作を検出してから最大4コマ図柄を引き込んでリールを停止させることが可能である。すなわち停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5コマの範囲から図柄の停止位置を指定できるようになっている。また、1図柄分リールを移動させるのに1コマの移動が必要であるので、停止操作を検出してから最大4図柄を引き込んでリールを停止させることが可能であり、停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5図柄の範囲から図柄の停止位置を指定できることとなる。
本実施例では、いずれかの役に当選している場合には、当選役をいずれかの入賞ライン上に4コマの範囲で最大限引き込み、当選していない役がいずれの入賞ライン上に揃わないように引き込む滑りコマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行う一方、いずれの役にも当選していない場合には、いずれの役も入賞ライン上に揃わない滑りコマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行う。これにより、停止操作が行われた際に、いずれかの入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行われ、当選していない役は、最大4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行われることとなる。
特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で小役が当選した場合や特別役が持ち越されていない状態で特別役と小役が同時に当選した場合など、特別役と小役が同時に当選している場合には、当選した小役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように滑りコマ数が定められているとともに、当選した小役を入賞ラインに最大4コマの範囲で引き込めない停止操作位置については、当選した特別役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように滑りコマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行う。これにより、停止操作が行われた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している小役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行われ、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している小役を引き込めない場合には、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している特別役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行われ、当選していない役は、4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行われることとなる。すなわちこのような場合には、特別役よりも小役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、小役を引き込めない場合にのみ、特別役を入賞させることが可能となる。
尚、本実施例では、特別役と小役が同時に当選している場合に、特別役よりも小役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、小役を引き込めない場合にのみ、特別役を入賞させることが可能となる構成であるが、小役よりも特別役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、特別役を引き込めない場合にのみ、小役を入賞させることが可能となる構成としても良い。
特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で再遊技役が当選した場合や特別役が持ち越されていない状態で特別役と再遊技役が同時に当選した場合など、特別役と再遊技役が同時に当選している場合には、停止操作が行われた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で再遊技役の図柄を揃えて停止させる制御が行われる。尚、この場合、再遊技役を構成する図柄は、リール2L、2C、2Rのいずれについても5図柄以内、すなわち4コマ以内の間隔で配置されており、4コマの引込範囲で必ず任意の位置に停止させることができるので、特別役と再遊技役が同時に当選している場合には、遊技者によるストップスイッチ8L、8C、8Rの操作タイミングに関わらずに、必ず再遊技役が揃って入賞することとなる。すなわちこのような場合には、特別役よりも再遊技役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、必ず再遊技役が入賞することとなる。
本実施例においてメインCPU41aは、リール2L、2C、2Rの回転が開始した後、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されるまで、停止操作が未だ検出されていないリールの回転を継続し、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されたことを条件に、対応するリールに表示結果を停止させる制御を行うようになっている。尚、リール回転エラーの発生により、一時的にリールの回転が停止した場合でも、その後リール回転が再開した後、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されるまで、停止操作が未だ検出されていないリールの回転を継続し、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されたことを条件に、対応するリールに表示結果を停止させる制御を行うようになっている。
尚、本実施例では、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されたことを条件に、対応するリールに表示結果を停止させる制御を行うようになっているが、リールの回転が開始してから、予め定められた自動停止時間が経過した場合に、リールの停止操作がなされない場合でも、停止操作がなされたものとみなして自動的に各リールを停止させる自動停止制御を行うようにしても良い。この場合には、遊技者の操作を介さずにリールが停止することとなるため、例え、いずれかの役が当選している場合でもいずれの役も構成しない表示結果を導出させることが好ましい。
本実施例では、メインCPU41aが演出制御基板90に対して、BETコマンド、クレジットコマンド、内部当選コマンド、リール回転開始コマンド、リール停止コマンド、入賞判定コマンド、払出開始コマンド、払出終了コマンド、遊技状態コマンド、待機コマンド、打止コマンド、エラーコマンド、復帰コマンド、設定開始コマンド、確認開始コマンド、確認終了コマンド、操作検出コマンドを含む複数種類のコマンドを送信する。
これらコマンドは、コマンドの種類を示す1バイトの種類データとコマンドの内容を示す1バイトの拡張データとからなり、サブCPU91aは、種類データからコマンドの種類を判別できるようになっている。
次に、遊技制御基板40を収納する基板ケース200の構造及び基板ケース200の筐体1aに対する取付構造について説明する。尚、以下の説明においては、図2に示すように筐体1aの背板1cに取り付けられた状態の基板ケース200を筐体1aの正面から見た場合を基準として、基板ケース200の上下、左右、前後方向を示すものとする。
図5に示すように、遊技制御基板40が収容された基板ケース200は、筐体1aの背板1c内面上部に取り付けられる固定ベース301及び係止部材303と、固定ベース301に回動可能に支持される可動ベース302と、から主に構成されるケース支持装置300における可動ベース302の前面側に取り付けることにより、背板1cの内面上部に、上下方向を向く軸周りに回動可能に取り付けられる。
(基板ケース)
基板ケース200は、図6に示すように、回路基板の一例である遊技制御基板40の裏面(他面)40b側を覆うベース体としてのベース部材201と、遊技制御基板40の実装面(一面)40a側を覆うカバー体としてのカバー部材202と、から構成され、遊技制御基板40を挟持するように組み付けられるものである。尚、遊技制御基板40の実装面40aには、特に詳細な図示はしないが、メインCPU41a、ROM41b、RAM41c等の電子素子や、他の基板からのケーブルの一端に設けられたケーブル側コネクタ等が接続される基板側コネクタ620a〜620d等が多数実装されている。
(ベース部材)
ベース部材201は、図6及び図7に示すように、透明な熱可塑性合成樹脂からなり、略長方形状に形成されるベース板201aを有し、該ベース板201aの上下長辺には、前向きに立設された一対の側壁201b,201bがそれぞれ長手方向に沿って延設されている。側壁201b,201bには、カバー部材202に設けられた後述する係合片220が摺動自在に挿通される係合溝250が、長手方向の中央及び左右位置にそれぞれ形成されている。これら係合溝250は、側面視略L字形に形成され、その前端は側壁201bの前端にて前方に開放され、後述するように各係止片203,203を前方から挿通し、ベース板201aに沿って右側に移動させることで、カバー部材202を封止位置に係止できるようになっている。
また、各側壁201b,201bの外面後部位置には、カバー部材202の下端が当接する当接片204,204が長手方向に沿って延設されているとともに、各側壁201b,201bの内側近傍位置には、遊技制御基板40の裏面40bの上下辺部を当接支持する支持片205,205が側壁201b,201bに沿って延設されている。
ベース部材201の左側の短辺201cには、後述するカバー部材202に形成される挿通穴222,222に挿通可能な係止片203,203が、長手方向の両側からそれぞれ外向きに突設されている。また、短辺201cに対向する短辺201dの中央部には、ベース板201aの一部を前面側に向けて隆起させてなる隆起部206が形成されており、該隆起部206の前面にはベース体側封止部としてのベース側溶着部207が形成されている。このベース側溶着部207は、ベース部材201とカバー部材202とが位置合わせされたときに後述するカバー部材202のカバー体側溶着部としてのカバー側溶着部223の後面側に対向するようになっている。尚、ベース側溶着部207の詳細な構造に関しては後述することとする。
短辺201dにおける隆起部206上側方部には、後述する閉鎖ネジ226が取り付けられるネジ孔209が形成されたベース側封印部229が設けられており、隆起部206下側方部には、後述するワンウェイネジ240cが取り付けられるネジ孔210が設けられた予備用封止片211が外向きに突設されている。尚、ベース側封印部229の詳細な構造は後述することとする。
(カバー部材)
カバー部材202は、図6及び図8に示すように、透明な熱可塑性合成樹脂からなり、中央が外向きに膨出する略長方形状のカバー板202aと、該カバー板202aの長辺に沿って後向きに立設された一対の側壁202b,202bと、短辺に沿って後向きに立設された一対の側壁202c,202dとにより、後面側が開放するとともに、下長辺側に横長の凹部202eが形成された凸型の箱状に成形されている。側壁202b,202bの内面における中央位置及び左右側には、ベース部材201の係合溝250に係合可能な係合片220(図6参照)が内向きに突設されている。
また、カバー板202aの前面周囲には、カバー板202aの前面から突設するリブ202gが四角枠状に形成され、カバー板202aの前面側を設置面に向けて設置した状態において該カバー板202aの前面が設置面と接触することが回避されている。これにより、例えば後述する溶着部を溶着する際において、カバー板202aの前面が治具の設置面と摺接して傷が付くことや、該前面に貼付される管理シール等の損傷が防止されるようになっている。また、カバー板202aの角部(実装面40aに搭載されたメインCPU41aやROM41b等から極力離れた位置)には、放熱用の小孔202fが複数形成されている。
カバー部材202の一方の短辺の側壁202c外面の長手方向の両端部には、後述する回動軸333に当接し、該回動軸333の軸支溝320からの離脱を規制するとともに、回動軸333を前面側から被覆可能な一対の板状片221,221が外向きに突設されているとともに、その後面側には、ベース部材201の係止片203,203が挿通可能な長方形状の挿通穴222,222が形成されている。
他方の短辺の側壁202dの長手方向の中央部には、カバー体側封止部としての板状のカバー側溶着部223が外向きに延設され、ベース部材201とカバー部材202とが位置合わせされたときに、ベース部材201のベース側溶着部207の上面側に対向するとともに、カバー側溶着部223の右端部が規制片208に当接して移動規制されるようになっている。尚、カバー側溶着部223の詳細な構造については後述することとする。
側壁202dの長手方向の上側方位置には、ベース部材201とカバー部材202とが位置合わせされたときに、ベース部材201のネジ孔209の前面側に対向して配置されるカバー側封印部224が形成されている。カバー側封印部224の前面は、後述する封印シール400(図6参照)を貼着可能な平坦状の封印シール貼付面とされているとともに、ネジ孔209に対向する位置には、閉鎖ネジ226(図6参照)を取り付け可能な取付穴227が底面に形成された有底円筒状の凹部227aが形成されており、該凹部227a内に閉鎖ネジ226の頭部を収容できるようになっている。尚、カバー側封印部224の詳細な構造については後述することとする。
側壁202dの長手方向の下側方位置には、取付封止片230、予備用取付封止片231、予備用封止片232がそれぞれ側壁202dの外面から外向きに突設されている。取付封止片230及び予備用取付封止片231は、後述する可動ベース302に基板ケース200を設置したときに、該可動ベース302に取り付けられる後述する取付台座315に対向する位置に設けられている。予備用封止片232は、ベース部材201とカバー部材202とが位置合わせされたときに、ベース部材201の予備用封止片211に対向する位置に設けられている。
取付封止片230、予備用取付封止片231、予備用封止片232は、特に図10(a)に示すように、後述するワンウェイネジ240a〜240cを収容可能な筒状部と、筒状部と側壁202dとを連接する切断片(カバー部材202の一部)233とで構成されている。そして、切断片233を介して筒状部が側壁202dから所定距離離間した状態で配置されている。よって、切断片233は、ニッパ等の工具で切断(破壊)できるとともに、カバー部材202の一側縁である側壁202dの外面から外方に向けて複数突設され、各切断片233の先端に筒状部である取付封止片230、予備用取付封止片231、予備用封止片232が設けられている。
取付封止片230、予備用取付封止片231、予備用封止片232の筒状部は、上面が開口する有底四角筒状に形成され、内部にワンウェイネジ240a〜240cを収納可能な大きさを有し、ワンウェイネジ240a〜240cの上部を収納可能な大きさに形成されているとともに、底部には、ワンウェイネジ240a〜240cの頭部の直径よりも小径の取付孔234、235が形成されている。取付孔234は、封止状態において、ネジ孔210の対向位置に配置される。取付孔235,235は、後述する取付状態において、取付穴316a,316bの対向位置に配置される。
尚、特に図示はしないが、取付封止片230、予備用取付封止片231、予備用封止片232の上面にはキャップが装着可能とされており、例えばキャップと各封止片230〜232とを接着剤で接着したり、各筒状部の内面上端に形成した段部に係止することによって、キャップにより各封止片230〜232の上面開口を閉塞してもよい。
凹部202eには、当該カバー部材202の裏面側に取り付けられる遊技制御基板40に設けられた複数の基板側コネクタ620それぞれを外方に挿通するためのコネクタ用開口236a〜236gがそれぞれ形成されている。また、前述したスタートスイッチ7が接続される基板側コネクタ620bに対応するコネクタ用開口236cの側部には、前述したコネクタ規制部材650の取付部650bの一部が嵌合可能に形成され、取付部650bの外周に設けられた係合穴650c(図5参照)に係合する弾性爪237aが内部に形成された係合筒237が突設されている。
また、カバー部材202の裏面側には、図6に示すように、遊技制御基板40が、4つの取付ネジ238によって四隅を止着することにより取り付けられる。遊技制御基板40は、電子部品等が実装(搭載)される実装面40a(搭載面)をカバー部材202の裏面に対向させた状態で、カバー部材202の裏面側に取り付けられ、取り付けられた状態において、実装面40aの裏面40bが側壁202b〜202dの下端よりも上方に位置するように収容される。
(基板ケースの封止)
次に、ベース部材201とカバー部材202との封止状況について説明する。まず、図6に示されるように、カバー部材202の裏面側に取付ネジ238を介して遊技制御基板40を取り付ける。この際、遊技制御基板40の実装面40aをカバー部材202の裏面に対向させた状態で、遊技制御基板40をカバー部材202内に嵌め込んで位置決めし、遊技制御基板40の四隅に取付ネジ238を取り付け、カバー部材202のネジ穴(図示略)に取り付ける。
このように、カバー部材202の裏面側に、実装面40aが被覆されるように遊技制御基板40を取り付けた状態で収容することで、万が一カバー部材202が不正に開放された場合でも、カバー部材202から遊技制御基板40を取り外さない限り、実装面40aに実装されたメインCPU41aやROM41b等の電子部品に不正行為を施すことができなくなるので、手間がかかるようになる。
次いで、カバー部材202の裏面側に取り付けられた遊技制御基板40裏面40bをベース部材201のベース板201aの前面と対向させ、ベース部材201の短辺201cからカバー部材202の側壁202cがはみ出すようにカバー部材202をベース部材201に近接し、カバー部材202の各係合片220をベース部材201の各係合溝250の開放端部から挿通する。このとき、カバー部材202の側壁202cによりベース部材201の側壁201bの外面が覆われる。そしてこの状態で、カバー部材202を右側に向けて長手方向(図6中右側に向けて)にスライドさせる。
そして、各係合片220が各係合溝250の端部に当接するとともに、カバー側溶着部223の右端部が規制片208に当接してスライド移動が規制されると、左側の短辺では、ベース部材201の係止片203,203がカバー部材挿通穴222,222内に挿通される。このように、各係合片220が各係合溝250に係合され、カバー側溶着部223の右端部が規制片208に係止され、係止片203,203がカバー部材挿通穴222,222内に挿通されることによりベース部材201にカバー部材202が組み付けられ、ベース部材201に対するカバー部材202の組付位置が決定し、ベース部材201とカバー部材202とが位置合わせされてベース部材201の開口が閉鎖された閉鎖状態(係止状態)となり、後述する封止が可能な状態となる(図9及び図10参照)。
このように本実施例の基板ケース200は、前記閉鎖状態からカバー部材202を開放するためには、まずベース部材201のベース板201aに沿ってカバー部材202をスライド移動させなければ、ベース部材201に対してカバー部材202を係止または係止状態を解除することができず、係止作用によりベース部材201からのカバー部材202の離脱、つまり浮き上がりが効果的に規制される。
また、閉鎖状態において、予備用封止片232の取付孔234がネジ孔210の対向位置に配置されるとともに、取付穴227がネジ孔209の対向位置に配置され、また、カバー側溶着部223がベース側溶着部207の対向位置に配置される(図10(a)参照)。
ここで、例えばメーカ等により、遊技制御基板40を基板ケース200内に収納して遊技店等に出荷する際等においては、溶着部であるカバー側溶着部223とベース側溶着部207とを溶着(かしめ)する(第1封止状態とも言う)。また、閉鎖ネジ226は、外周に雄ネジ部(取付部)が形成された棒状部と、該棒状部の一端に形成され凹部227aに収納される頭部と、からなる一般的なネジであり、凹部227aの開口227bから取付穴227に閉鎖ネジ226の棒状部を挿通してネジ孔209に螺入した後、カバー側封印部224とベース側封印部229とに跨るように封印シール400を貼付して封止状態(第2封止状態または封印状態とも言う)を構成するとともに、該貼着した封印シール400を覆うように、合成樹脂材からなるコ字形のシール保護カバー228をカバー部材202とベース部材201とを挟み込むように装着し、封印シール400を保護した状態で出荷する。
(溶着構造)
以下、ベース側溶着部207及びカバー側溶着部223の詳細な構造について説明する。図23は、(a)はベース側溶着部207の拡大正面図であり、(b)は(a)のJ−J断面図であり、(c)は(a)のK−K断面図である。図24は、(a)はカバー側溶着部223の拡大後面図であり、(b)は(a)のL−L断面図であり、(c)は(a)のM−M断面図であり、(d)は(a)のN−N断面図である。図25は、(a)はベース側溶着部207とカバー側溶着部223とが溶着位置に配置された状態を示す部分拡大断面図であり、(b)は(a)のQ−Q断面図である。図26は、溶着状況を示す断面図である。図27は、同じく溶着状況を示す断面図である。
図7及び図23に示すように、ベース側溶着部207は、ベース部材201の短辺201dの中央部に形成された右方及び下方に開口する箱状の隆起部206の前面側に形成されている。隆起部206の前面板部260の一部は前面側に向けて突出して溶着板部261が形成され、この溶着板部261の後面側には、後述する溶着装置のホーンが入り込む凹部262が形成されている。
溶着板部261の前面は、後述するカバー側溶着面271a(接合面)と対向する平面視長方形状をなす平坦面状のベース側溶着面261a(接合面)と、該ベース側溶着面261aの上下側(周辺部)に配設され、縦断面三角形状をなす上下一対の凸条263,263が左右方向に向けて延設された非溶着面261b,261bと、からなる。ベース側溶着面261aは、非溶着面261bよりも前面側で、かつ、凸条263の頂部よりも後面側となる位置に所定寸法L4分突出して配置されている(図25(b)中拡大図参照)。このようにベース側溶着面261aは、非溶着面261bよりも後述するベース側溶着板部271の後面271a側に突出した突出位置に配置されているため、後述するようにベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとが溶着した状態において、非溶着面261bとカバー側溶着面271aにおける非接合領域とは互いに離間して対向配置されるようになっている。
図8及び図24に示すように、カバー側溶着部223は、側壁202dの外面から外方に向けて突設された上下一対のガイド片270,270間に配置される溶着板部271と、該溶着板部271の左辺及び上下辺外側に枠状に形成されるコ字形のガイド枠272と、から構成されている。ガイド枠272は、溶着板部271の後面から後面側、つまり溶着板部261との対向面側に向けて突設されており、溶着板部261,271が対向配置されたときに該溶着板部261の上下及び左側面を覆うように形成されている。
溶着板部271は、溶着板部261とほぼ同形に形成され、溶着板部261との対向面側には、ベース側溶着面261aに対向するカバー側溶着面271a及び非溶着面261bに対向する非溶着面271b(図24(a)中1点差線で囲まれた領域の外側の領域)が平坦面状に連続して形成されている。尚、カバー側溶着面271aと非溶着面271bとは連続する平坦面にて構成されているが、ベース側溶着面261aと非溶着面261bと同様に、非溶着面271bに対してカバー側溶着面271aをベース側溶着面261a側に突出させた位置に配置するようにしてもよい。カバー側溶着面271aには、コ字形の凹条溝273が凹設されており、該凹条溝273における上下辺部273a,273aは、前述した上下一対の凸条263,263に対応する位置に配置され、ベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとが対向配置されたときに、凸条263,263が凹条溝273における上下辺部に遊嵌される。
また、溶着板部271は、全域にわたり肉厚が均等な板材にて構成されており、カバー側溶着面271aに凹条溝273が形成されることで、該凹条溝273の配置位置が最も肉薄となるように形成されている。
また、上下辺部273a,273aは、右端が溶着板部271の右側辺まで延設されて溶着板部271の右側面271c(図8、図24(a)参照)に臨むように開口して形成されているとともに、左端が左辺部273bの端部に連接されている。このように一端が溶着板部271の右側辺まで延設されて側方に開口する上下辺部273a,273aの他端がそれぞれ左辺部273bに連接されてコ字形に形成されていることで、溶着板部271におけるカバー側溶着面271aの上下側部及び左側部の厚みが肉薄になって脆弱化するため、溶着面を剥離するために無理な負荷がかかった場合、凹条溝273の形成部位が破壊されてカバー側溶着面271aが溶着板部271から切り離されやすくなる。
さらに、凹条溝273は、凸条263,263を遊嵌可能な大きさ、つまり遊びを持った状態で嵌り合う大きさ(非接触状態で収容可能な大きさ)に形成されているため、後述する溶着の際において凹条溝273の内面と凸条263,263の外面とが当接しないようになっている。
カバー側溶着面271aには、略長方形枠状に形成された外側溶着突条274が突設されるとともに、その内側には、略円形枠状に形成された内側溶着突条275が突設されている。これら外側溶着突条274及び内側溶着突条275は、それぞれの中心P3が同位置に配置されているとともに、この中心Pを通る左右方向を向く仮想直線上においてそれぞれ二分割されている。すなわち、これら外側溶着突条274及び内側溶着突条275それぞれにおける中心Pを通る左右方向を向く仮想直線上には、溶着の際に外側溶着突条274により囲まれる内部領域Yの空気を該内部領域Y外へ逃がすための逃がし通路276,277が形成されている。
逃がし通路276,277は所定幅を有し、外側溶着突条274及び内側溶着突条275それぞれに2箇所ずつ形成されている。そしてこれらは全て中心P3を通る左右方向を向く仮想直線上に配設されているため、外側溶着突条274及び内側溶着突条275は、中心Pを通る左右方向を向く仮想直線に対して線対称に配置されている。また、外側溶着突条274及び内側溶着突条275は、ベース側溶着面261aに向けて先細りとなる縦断面略三角形状に形成され(図24(c)の拡大図参照)、その頂部がベース側溶着面261aに当接するようになっている。
このように形成されたカバー側溶着部223は、ガイド片270,270及び側壁202dとの間に所定幅のコ字形の間隙S1が形成されるように離間配置され、ガイド枠272の側周面に複数設けられた連結片278を介して、ガイド片270,270及び側壁202dに連結されている。つまり、これら連結片278をニッパ等の工具により切断することで、カバー部材202本体から分離することができるようになっている。
尚、これら連結片278の縦断面は、図24(d)に示すように、前面が三角形状に突出し、かつ、後面が三角形状に凹む形状とされている。これにより、図中点線で示すニッパ等の工具により連結片278を両側から挟みこむように切断した場合、縦断面四角形状や円形状の連結片に比べて角部が多いことから、切断部近傍が変形(両側から押し潰されるような変形)しやすくなり、これにより、連結片278におけるガイド片270,270及び側壁202d側とガイド枠272側との切断部にずれが生じやすくなるため、切断された痕跡を目視により確認しやすくなる。
また、特に連結片278の前面側に形成される頂部は、図24(a)に示すように前面側から連結片278を視認した場合に長手方向を向く直線状辺276aを形成することから、上記のように切断した際に直線状辺276aのずれが顕著に現れることになるため、切断された痕跡をより効果的に確認することができる。
次に、このように構成されたベース側溶着部207とカバー側溶着部223を溶着する状況を、図25にもとづいて説明する。
上述のように構成されたカバー側溶着部223とベース側溶着部207とは、例えば超音波溶着機等を用いて超音波溶着する。具体的に説明すると、まず、カバー部材202の各係合片220をベース部材201の各係合溝250の開放端部から挿通して、カバー部材202を右側に向けて長手方向(図6中右側に向けて)にスライドさせると、図25(a)(b)に示すように、溶着板部261の前面上に溶着板部271が乗り上げるように配置され、ベース部材201にカバー部材202が組み付けられて閉鎖状態となる。この閉鎖状態において、ベース側溶着面261aとカバー側溶着面271a、非溶着面261bと非溶着面271bとがそれぞれ対向配置されるとともに、外側溶着突条274及び内側溶着突条275の頂部がベース側溶着面261aに当接する。
また、図25(b)に示すように、ベース側溶着面261aとカバー側溶着面271a、非溶着面261bと非溶着面271bとが対向配置された状態において、凹条溝273における上下一対の上下辺部273a,273a内に上下一対の凸条263,263の先端部は入り込んでいない、つまり上下辺部273a,273aと凸条263,263とは非接触状態であるが、非接触状態で入り込むようにしてもよい。
次いで、図26及び図27に示すように、カバー部材202のカバー側溶着部223を溶着機の治具Jの設置面上にセットし、凹部262の開口からホーンHを差し込み、ベース側溶着部207の後面側を治具Jに向けて押圧して超音波振動(本実施例では水平振動)させる。このとき、互いに平坦なベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとは直接当接しておらず、外側溶着突条274及び内側溶着突条275の頂部のみがベース側溶着面261aに当接していることで、常に外側溶着突条274及び内側溶着突条275の頂部が溶け出すことになるので、平坦面状に形成されたベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとを直接当接した状態で超音波振動を付与する場合に比べて均一な溶融状態をもたらすことができ、また安定した溶着強度を得ることが可能になるとともに、溶着部の発熱は急激で、短時間での溶着が可能となる為、樹脂の劣化も起きにくくなる。
そして外側溶着突条274及び内側溶着突条275が融解変形することで、ホーンHによりベース側溶着面261aがカバー側溶着面271aに向けて押圧されるが、このときに外側溶着突条274及び内側溶着突条275に囲まれた内部領域Y内の空気が逃がし通路276,277から内部領域Y外に押し出され、これにより外側溶着突条274及び内側溶着突条275に囲まれた内部領域Yの空気が閉じ込められたまま溶着されて硬化することがないので、溶着部内に気泡が形成されて溶着強度が低下することがない。また、所定以上の圧力を加えなくても、ベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとの密着性、特に外側溶着突条274及び内側溶着突条275が溶解した溶着部周囲における密着性が効果的に高まるため、ベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとの側面から該ベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとの間にカッター等を差し込まれにくくなり、剥離しにくくなる。
また、外側溶着突条274及び内側溶着突条275が融解変形してベース側溶着面261aがカバー側溶着面271aに向けて押圧されて互いに近接することで、凸条263,263の先端部が凹条溝273における上下辺部に遊嵌されるが、上下辺部273a,273aは凸条263,263よりも大きいため、超音波振動の実行中に凸条263,263が上下辺部273a,273a内に入り込んだ状態でも両者が互いに接触することはない。すなわち、凸条263,263が上下辺部273a,273a内面に当接して超音波振動により摩擦が生じて凸条263,263が溶解変形することがないので、ベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとの溶着が完了した状態、つまり封止状態が形成されたときに、凸条263,263は上下辺部273a,273a内に確実に遊嵌、つまり入り込んだ状態となる。
このようにベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとが融解変形して溶着されて互いに一体化されるため、両者を剥離させることが極めて困難となる。そしてこのようにベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとが固着されることで、ベース部材201に対するカバー部材202のスライド移動が規制されるため、ベース部材201に対するカバー部材202の係止状態を解除することができなくなる。すなわち、ベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとの固着状態を解除しない限り、カバー部材202を開放することができない封止状態が形成される。
ここで、例えばカバー部材202をベース部材201に対して係止解除方向に強制的にスライド移動させることでカバー側溶着部223とベース側溶着部207とを剥離する場合、互いの対向面同士が融解して変形していることから、カバー側溶着部223及びベース側溶着部207双方、つまりベース部材201及びカバー部材202双方に傷や変形痕が残ることになるため、カバー部材202が開放(開封)された可能性があることを確実に発見することができる。
そしてベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとを溶着により接合することにより封止状態が形成された場合、封止状態を解除してカバー部材202を開封した際にはベース部材201やカバー体202の接合部としての溶着板部261,271が破壊されてその痕跡が確実に残るため、不正行為が行われた可能性があることを発見することが可能となる。
また、ベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとを溶着により接合することで、ネジ等により接合する場合に比べて基板ケース200の側辺の長手方向に接合面が広がるため、封止状態において基板ケース200の短辺部を強引に撓ませてベース部材201とカバー部材202との間に隙間を形成し、該隙間から針金等の異物を進入させることが困難となる。
また、封止状態において、ベース側溶着面261a及びカバー側溶着面271aの周辺部近傍に配置される非溶着面261b,271bに形成された上下辺部273a,273a内に凸条263,263が入り込むことで、ベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aと間にカッター等の切刃を差し込んで内部の溶着部を分離しようとしても、溶着部の周囲に配置された凸条263,263が邪魔になって溶着部を分離して封止状態を解除することが困難となるため、不正行為を効果的に抑制することができる。
また、上下辺部273a,273a及び凸条263,263が、ベース側溶着面261a及びカバー側溶着面271aを挟んでその上下側の周辺部近傍に非溶着面261b,271bに配置されることで、溶着部の上方だけでなく下方からカッター等の切刃を差し込む際にも凸条263が邪魔になり、溶着部の分離に手間がかかるため、不正行為を抑制することができる。
また、非溶着面261b、271bとが当接しないように、一方の非溶着面261bをベース側溶着板部261から所定幅L4分退避させることで、超音波溶着による溶着時において非溶着面同士の溶着を確実に回避できるばかりか、溶着面の周辺部近傍に配置される非溶着面261b,271b間に隙間が形成されることで、透明なガイド枠272を通して、ベース側溶着板部261とカバー側溶着板部271との側面からも凸条263,263を目視にて確認することが可能となる。
また、封止状態において、非溶着面271bに形成された凹条溝273の上下辺部273a,273a内に非溶着面261bに形成された凸条263,263が入り込むことで、溶着面間にカッター等の切刃を差し込んで溶着部を分離する際に凸条263,263が邪魔になってことが困難となるだけでなく、凸条263,263を切削して溶着部を分離した場合、再度溶着部同士を溶着して封止状態を実現しても、凸条263,263が切除されているか否かを、カバー側溶着板部271の右側辺に形成された上下辺部273a,273aの一端開口から目視にて確認できるため、不正に封止状態が解除された可能性があることを発見することができる。
本実施例1では、封止状態において、カバー側溶着板部271の右側面271cに形成された上下辺部273a,273aの一端開口はベース部材201の規制部208aにより覆われるが、該規制部208aは透明である(透光性を有する)ため、規制部208aを通して上下辺部273a,273aの一端開口から内部の凸条263,263があるか否かを目視にて確認することができる。
さらに、溶着板部261,271はそれぞれ透明な合成樹脂材にて構成されている、つまり溶着板部261,271全体が透光部であることで、封止状態においても、これら溶着板部261,271を通して、上下辺部273a,273a内部の凸条263,263があるか否かを目視にて確認することができる。
尚、本実施例においては、溶着板部261,271全体が透光部(透明)に形成されていたが、封止状態において上下辺部273a,273a内部の凸条263,263があるか否かを目視にて確認することができる領域のみが部分的に透光部(透明)に形成されていればよい。また、溶着板部261,271のうちいずれか一方のみが透光部を有していてもよい。
また、溶着板部261,271の右側面は規制部208aにより覆われているとともに、前後側面はカバー部材202のガイド枠272により覆われているため、ベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとの溶着面間にカッター等を差し込むことが極めて困難とされている。
また、凹条溝273における一対の上下辺部273a,273a及び一対の凸条263,263は、ベース側溶着面261a及びカバー側溶着面271aを挟んでその周辺部近傍に対向配置されているため、仮にカバー部材202のガイド枠272を切断してベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとの溶着面間の前側方または後側方からカッターを差し込んだとしても、左右方向に延びる上下一対の凸条263,263が凹条溝273内に遊嵌されていることで該凸条263,263が邪魔になり、カッターを溶着面まで深く差し込むことが困難である。また、仮にベース部材201の規制部208aを切断してベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとの溶着面間の右側方からカッターを差し込んだとしても、左右方向に延びる前後一対の凸条263,263が凹条溝273内に遊嵌されていることで該凸条263,263が邪魔になり、これら前後一対の凸条263,263及び凹条溝273の前後幅以上の幅を有する大きなカッターを差し込むことは困難であるため、切断作業に手間がかかることになる。
また、封止状態において、溶着板部261,271の右側面は規制部208aにより覆われているとともに、前後側面はカバー部材202のガイド枠272により覆われているため、ベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとの溶着面間にカッター等を差し込むことが極めて困難とされている。
また、仮にカバー部材202のガイド枠272を切断してベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとの溶着面間の前側方または後側方からカッターを差し込んだり、としても、左右方向に延びる上下一対の凸条263,263が凹条溝273内に遊嵌されているから、カッターを深く差し込むことが困難である。
また、仮にベース部材201の規制部208aを切断してベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとの接合面間の右側方からカッターを差し込んだとしても、左右方向に延びる前後一対の凸条263,263が凹条溝273内に遊嵌されているから、これら前後一対の凸条263,263及び凹条溝273の前後幅以上の幅を有する大きなカッターを差し込むことは困難であるため、切断作業に手間がかかることになる。
さらに、溶着板部271に凹条溝273が凹設されていることにより溶着板部271が脆弱化するため、ベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとの接合面間にカッター等を差し込む等、無理な力がかかると破壊され痕跡が残りやすくなるため、不正行為が行われたことを発見しやすくなる。
また、本実施例では、ベース側溶着面261aに枠状の外側溶着突条274及び内側溶着突条275が形成され、これらが溶解することで溶着部が形成されるようになっていることで、溶着の際に融解して押し潰されることにより形成される溶着部も略枠状のままとなり、しかも溶着板部261,271が透明な合成樹脂材にて構成されていることで、これら略枠状の溶着部を外部から視認することができる。これに対し不正に封止状態を構成する場合、切削により外側溶着突条274及び内側溶着突条275は切除されてしまっており、互いに平坦面状をなすベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとを超音波溶着することになるので、硬化後の溶着部の形状が略枠状に形成される正規な溶着部と異なるため、硬化後の溶着部の形状の違いによって不正行為が行われた可能性があることを確認することが可能となる。また、平坦面同士の溶着になることで、均一な溶融状態をもたらすことができず、また安定した溶着強度を得ることができない。
(封印構造)
次に、封印部及び封印シールの詳細な構造について説明する。図28は、封印シールの構成を示す断面図である。図29は、(a)は封印シールの構成を示す正面図、(b)は封印シールの構成を示す背面図である。図30は、(a)は封印シールの構成を示す背面図であり、(b)は(a)の要部拡大図である。図31は、(a)は封印シール周辺を拡大して示す正面図、(b)は封印シール周辺を拡大して示す側面図、(c)は封印シール周辺を拡大して示す背面図である。図32は、図31(a)のR−R断面図である。図33は、図32のT−T断面図である。
図28〜図30に示すように、封印シール400は、略矩形状のベースシート401を備えており、ベースシート401の背面には粘着剤が塗布され粘着層402が形成されている。粘着層402には不正監視用の電子タグとしてのICタグ403が埋め込まれている。なお、粘着層402の背面側に剥離シート404が示してある。この剥離シート404は封印シール400を基板ケース200に貼り付ける際に剥離される。
ベースシート401は、ポリエステル系フィルムなどの可撓性樹脂フィルムにより形成され、適度な脆性を有し、さらに溶剤や熱に対して反応性を有する。具体的には、粘着層402を構成する粘着剤に対して溶解性を備えたトルエンなどがベースシート401に塗布されると、ベースシート401は変色する。また、粘着層の粘着力が低下する温度(例えば、50℃)以上の熱が加えられた場合にもベースシート401は変色する。これにより、基板ケース200の封印部224,229から封印シール400を不正に剥がそうとして溶剤がかけられたり、熱が加えられたりした場合、ベースシート401が変色することで当該不正行為の痕跡を残すことができる。
ベースシート401の表面には、図29(a)に示すように、インク塗布部401a、識別番号部401b及び機種情報部401cが設けられている。インク塗布部401aには、紫外線などといった特定の波長の光が照射されることにより模様が表れる特殊インクが塗布されている。識別番号部401bには、複数の数字が記載されており、当該識別番号部401bに記載される数字はスロットマシン1毎に異なっている。機種情報部401cには、当該遊技機の機種名や当該遊技機の製造メーカ名などが記載されている。なお、後述するように、インク塗布部401a及び識別番号部401bが設けられた上部領域R1はカバー側封印部224の前貼付面224aに位置し、機種情報部401cが設けられた中間領域R2は右上貼付面224b及び右下貼付面229bに位置し、下部領域R3はベース側封印部229の後貼付面229aに位置する。
粘着層402の粘着剤は、従来の封印シールと同様に、一旦貼り付けされた後に剥がされるとベースシート401から剥がれる程度の粘着力を有している。したがって、封印シール400が剥がされた場合には再度貼り付けすることが不可能なものであり、さらには粘着層の一部がベース側封印部229及びカバー側封印部224側に残ることとなる。よって、封印シール400を不正に剥がした痕跡を残すことができる。
ICタグ403は、ICチップ405及びアンテナ部406より構成されており、長尺状のアンテナ部406の中央付近にICチップ405が配置されている。ICチップ405は集積回路として形成されるものであり、制御部及びメモリ領域(記憶部)を有する。メモリ領域は、データ書き換え不可な不揮発性メモリ(ROM)により構成されており、その記憶容量は例えば128bitとなっている。メモリ領域には、識別情報としてのID情報が格納されている。具体的には、製造メーカ名(又は複数のメーカごとに付されたメーカ固有番号)、遊技機固有のID番号が格納されている。ICチップ405のメモリ領域はデータ書き換え不可であるため、ID情報が不正に改ざんされる等の不都合が抑制できるようになっている。
アンテナ部406は、アルミ等の金属薄層で形成されており、その厚みはICチップ405の厚みよりも薄い。また、アンテナ部406は、共振周波数が2.45GHz等の一定周波数となるようにアンテナパターンとして作製されている。
ICチップ405のID情報は、制御部によって呼び出されてアンテナ部406から発信することができるように構成されており、アンテナ部406から発信されたID情報を、リーダ装置で受信して読み取ることができるようになっている。詳細には、リーダ装置からは前記周波数の電波で呼び出しが行われるようになっており、この電波により誘導電磁界が形成される。そして、誘導電磁界内にアンテナ部406が含まれると、アンテナ部406に電磁誘導で起電力が発生する。ICチップ405ではこの起電力を電源として、メモリ領域に格納されているID情報を制御部で呼び出してアンテナ部406から発信する。
ICタグ403(アンテナ部406)は、図29(b)に示すように、ベースシート401においてその一隅部側からその対角方向の隅部側に亘って斜めに配置されている。この場合、長尺状のアンテナ部406はその長手方向がベースシート401のすべての辺方向と交差することとなる。そして、封印シール400がベース側封印部229及びカバー側封印部224に跨って貼り付けられているのに伴って、アンテナ部406もベース側封印部229及びカバー側封印部224に跨っている。また、ICタグ403は、矩形状のベースシート401の中心に対して点対称となるように配置されている。
封印シール400には、アンテナ部406の長手方向に沿って等間隔で並ぶ多数のアンテナ用切り込み407が形成されている。アンテナ用切り込み407は、アンテナ部406の長手方向に対して略直交する方向に延びる直線状であり、ベースシート401の表面側から粘着層402の背面側まで貫通している(なお、図29(a)ではアンテナ用切り込み407を省略して示してある)。
アンテナ用切り込み407が延びる方向は、アンテナ部406の長手方向に対して略直交する方向であるため、ベースシート401のすべての辺方向と交差している。また、アンテナ用切り込み407は、アンテナ部406に若干掛かる構成となっている。この場合に、アンテナ部406はアンテナ用切り込み407により分断されていないため、ID情報の出力に関して弊害は生じない。また、アンテナ用切り込み407がアンテナ部406を挟んで直線状に並ばないように、アンテナ部406の一側に位置するアンテナ用切り込み407と他側に位置するアンテナ用切り込み407とは、アンテナ部406の長手方向にずらして形成されている。
封印シール400の4隅には、ベースシート401の表面側から粘着層402の背面側まで貫通する隅側切り込み408がそれぞれ形成されている。隅側切り込み408は、封印シール400の隅角に沿うようにしてL字状に形成されている。また、封印シール400の外縁には、図29に示すように、外側端部から内側に向けて多数の外縁切り込み409が形成されている。これら外縁切り込み409は、内側から外側に向けて開くようにして鋭角のV字状となっており、さらに封印シール400の外周に沿って等間隔で形成されている。
また、封印シール400の4隅は斜めに切り欠かれることにより切欠辺410がそれぞれ形成されている。これら各切欠辺410は、後述する位置決め面412a,422aに合致させることで、封印シール400の貼付位置及び貼付方向が決定されるようになっている。このように互いに隣り合う一対の切欠辺410,410が互いに異なる方向を向くため、該一対の切欠辺410,410をそれぞれに対応する位置決め面412a,422aに合わせて配置するだけで、封印シール400の貼付位置及び貼付方向を確実に決定できるばかりか、封印シール400の角部外側に位置決め面412a,422aが配置されることで、封印シール400を角部から捲り上げて剥離することが困難になるため、封印シール400を容易に剥離できないようになっている。
封印シール400をベース側封印部229及びカバー側封印部224から剥がそうとする場合、封印シール400をその隅角から剥がす場合と、封印シール400の一辺に沿う方向に剥がす場合とが想定される。前者の場合、剥がす力に伴う応力が隅側切り込み408や外縁切り込み409に集中するため、封印シール400の破断が生じ易い。一方、後者の場合、この剥がす方向はアンテナ部406の延びる方向に対して交差する方向である。したがって、剥がす力に伴う応力がアンテナ用切り込み407の端部に集中することで、アンテナ用切り込み407を介してベースシート401が破断され、アンテナ部406が分断される。アンテナ部406が分断された場合において、特にその分断箇所が後述する発信不可能部(領域R4)である場合にはID情報が出力されなくなるので、ID情報をリーダ装置で読み取ることができなくなる。尚、発信不可能部(領域R4)以外の箇所で分断された場合にもID情報が出力されなくなる、あるいは出力されにくくなることがある。よって、遊技制御基板40に対して不正行為が行われた場合には、それを容易に発見することができる。
次に、ベース側封印部229は、図32及び図33に示すように、短辺201dから右方に向けて突出するように形成される略長方形状の後貼付面229a及び該後貼付面229aの右端から後面側に向けて屈曲形成される右下貼付面229bとから構成されるベース側貼付面を有している。後貼付面229a及び右下貼付面229bの上下には、後貼付面229a及び右下貼付面229bから外向きに突出する上下一対の位置決め凸条411,411が各上下辺に沿って延設されている。位置決め凸条411,411は、後述するように後貼付面229a及び右下貼付面229bに封印シール400が貼付された状態において、該封印シール400の表面400aよりも外方に向けて突出する所定高さを有しており、後貼付面229a及び右下貼付面229bから垂設される内面は封印シール400の位置決め面411aとされている。
また、位置決め凸条411,411における短辺201d側の端部には、互いに内向きに突出する三角形状の位置決め角部412,412がそれぞれ形成され、これら位置決め角部412,412の内面は、封印シール400の角部の切欠辺410に対向する位置決め面412aとされている。
位置決め凸条411,411及び位置決め角部412,412の端面は、後述するシール保護カバー228の内面に当接する当接規制面413とされており、当接規制面413における位置決め角部412,412の近傍には、シール保護カバー228に形成された係合凹部228aに係合する係合凸部414,414がそれぞれ形成されている。
また、ベース側封印部229の前面側における略中央位置には、後述する閉鎖ネジ226が取り付けられるネジ孔209が形成されている。このベース側封印部229の前面側には、ベース部材201にカバー部材202が組み付けられて閉鎖状態となった場合にカバー側封印部224の後面側が対向配置されることで、ネジ孔209は取付穴227と合致するようになっている。
カバー側封印部224は、図32及び図33に示すように、側壁202dから右方に向けて突出するように形成される略長方形状の前貼付面224a及び該前貼付面224aの右端から前面側に向けて屈曲形成される右上貼付面224bとから構成されるカバー側貼付面を有している。前貼付面224a及び右上貼付面224bの上下には、前貼付面224a及び右上貼付面224bから外向きに突出する上下一対の位置決め凸条421,421が各上下辺に沿って延設されている。位置決め凸条421,421は、後述するように前貼付面224a及び右上貼付面224bに封印シール400が貼付された状態において、該封印シール400の表面400aよりも外方に向けて突出する所定高さを有しており、前貼付面224a及び右上貼付面224bから垂設される内面は封印シール400の位置決め面421aとされている。
また、位置決め凸条421,421における側壁202d側の端部には、互いに内向きに突出する三角形状の位置決め角部412,412がそれぞれ形成され、これら位置決め角部422,422の内面は、封印シール400の角部の切欠辺410に対向する位置決め面422aとされている。
位置決め凸条421,421及び位置決め角部422,422の端面は、後述するシール保護カバー228の内面に当接する当接規制面423とされており、当接規制面423における位置決め角部422,422の近傍には、シール保護カバー228に形成された係合凹部228aに係合する係合凸部414,414がそれぞれ突設されている。
また、カバー側封印部224の略中央位置には、前述した閉鎖ネジ226が取り付けられる取付穴227が底面に形成されるとともに、閉鎖ネジ226の頭部を収容可能な有底円筒状の凹部227a(開口部)が形成されている。この凹部227aの一端側の開口227b(図32参照)は、前貼付面224aの略中央位置に臨むように開口形成されており、該開口227bから閉鎖ネジ226の取付穴227及びネジ孔209への取り付け、取り外しを行うことができるようになっている。
このように構成されたベース側封印部229及びカバー側封印部224に封印シール400を貼付するには、封印シール400の上部領域R1または下部領域R3の角部に形成された一対の切欠辺410,410を、一対の位置決め面412a,412aまたは位置決め面422a,422aに沿うように合致させて配置する。尚、ICタグ403は、前述したように矩形状のベースシート401の中心に対して点対称となるように配置されているため、封印シール400の長手方向の端部を反転させてもアンテナ部406は同様に配置される。
このように切欠辺410を位置決め面412aに合致させて配置することで、切欠辺410と位置決め面412aとが線接触するため、封印シール400の貼付位置を確実に決定できるばかりか、封印シール400の角部外側に位置決め面412a,412aが立設されていることで、封印シール400を角部から捲り上げて剥離することが困難になるため、封印シール400を剥離して不正に開封することを防止できる。また、これら隣り合う一対の位置決め面412a,412aまたは位置決め面422a,422aは、互いに「ハ」の字形、つまり非平行に配置されているため、一対の切欠辺410,410を一対の位置決め面412a,412aまたは位置決め面422a,422aに合わせて配置するだけで、封印シール400の貼付位置及び貼付方向(向き)を容易に決定することができる。
また、封印シール400の長辺部の長さ寸法は、ベース側貼付面及びカバー側貼付面双方の長辺部の長さ寸法の合計値とほぼ一致するため、4つの切欠辺410のうち上部領域R1または下部領域R3の切欠辺410,410の貼付位置を決定してしまえば、4つの切欠辺410全てが位置決め面412a,422aに合致することになる。
このように、封印シール400は略長方形状をなし、ベース側貼付面及びカバー側シール貼付面とにおける一対の長辺部間の幅寸法及び一対の短辺部間の幅寸法が合致しているとともに、アンテナ部406を封印シール400の中心位置に対して点対象に配置していることで、封印シール400をベース側貼付面とカバー側貼着面とに貼付する際に、幅寸法が合致する辺部を合わせれば、封印シール400の向きが上下または左右反転してもアンテナ部406が閉鎖ネジ226を被覆する位置に配置されることがない。
尚、本実施例では、ベース側貼付面及びカバー側シール貼付面とにおける一対の長辺部間の幅寸法及び一対の短辺部間の幅寸法が合致しているが、ベース側貼付面及びカバー側シール貼付面とにおける一対の長辺部間の幅寸法または一対の短辺部間の幅寸法のうちいずれかが合致していれば、上記したような効果を得ることができる。
さらに本実施例では、位置決め面412a,422aが封印シール400の角部に配置されるだけでなく、封印シール400の長辺部に沿って位置決め面411a,421aが配置されているとともに、短辺部に沿ってベース部材201及びカバー部材202の側壁が位置決め面として機能するため、封印シール400の貼付位置を正確に決定できるようになっている。また、これら位置決め面412a,422a、411a,421a及び側壁は、ベース側貼付面及びカバー側貼付面から垂設されており、かつ、封印シール400の表面400aよりも外側に突出する長さを有していることから、ベース側貼付面及びカバー側貼付面と封印シール400との対向面間にカッター等を差し込むことが困難とされているため、封印シール400を一度貼付した後は、封印シール400を破損しないように剥離することは極めて困難となる。
次に、封印シール400のアンテナ部406と各封印部224,229を締結する閉鎖ネジ226との位置関係について説明する。
アンテナ部406の両端部406a,406bは、図31等に示すように、前貼付面224a及び後貼付面229aにおいて、閉鎖ネジ226の軸心上、特には取付穴227における開口227bを跨がないようにして配置されている。このようにアンテナ部406の両端部406a,406bは、閉鎖ネジ226の軸線方向の端部と対峙しないように配置されている。言い換えると、取付穴227における開口227bは、封印シール400におけるアンテナ部406が配置されていないアンテナ非配置領域にて被覆されている。
さらに、閉鎖ネジ226の頭部の頂上の位置は、封印シール400に対して凹部277a内に入り込んだ位置となっているとともに、閉鎖ネジ226の頭部と反対側の先端部の位置も封印シール400に対して内側に入り込んでいる。よって、アンテナ部406と閉鎖ネジ226とは図32に示すように離間されている。また、アンテナ部406と閉鎖ネジ226との間には両者を介在する介在部材が設けられていない。つまり、アンテナ部406と閉鎖ネジ226との間には空間が設けられ、これにより、アンテナ部406が閉鎖ネジ226に接触することが防止されている。
例えば、アンテナ部406が閉鎖ネジ226に接触するまたは近接すると、設定された共振周波数(本実施の形態では、2.45GHz)が変化してしまい、ICチップ405に記憶されたID情報がリーダ装置によって読み取れなくなる虞があるが、本実施例のように、閉鎖ネジ226が取り付けられる取付穴227における開口227bを、封印シール400におけるアンテナ部406が配置されていないアンテナ非配置領域にて被覆することで、閉鎖ネジ226を取り外すと封印シール400が破損してその痕跡が残るだけでなく、ICチップ405に記憶されたID情報がリーダ装置によって読み取れなくなるといった不都合の発生を防止することができる。
また、各貼付面229a,224aの周囲には位置決め面411a,412a、421a,422aが形成されて、封印シール400の周縁がこれら位置決め面411a,412a、421a,422aに近接して貼付されているため、封印シール400の貼り付け作業に際しては、封印シール400が位置決め面411a,412a、421a,422aによって囲まれた領域内からはみ出ないように貼り付けることで、アンテナ部406の両端部406a,406bが開口227bを跨がない非アンテナ配置領域に配置され、閉鎖ネジ226と対峙しないように極力離間した離間位置に配置される。
そしてこのように金属製の閉鎖ネジ226から極力離れた位置にアンテナ部406が配置されることで、ICチップ405に記憶されたID情報がリーダ装置によって読み取れなくなるといった不都合の発生が防止される。
また、このICタグ403は、封印シール400を各貼付面229a,224aに貼着した状態において、ベース部材201とカバー部材202との分離部Z(図31(b)参照)を跨るように貼付され、特に帯状のアンテナ部406の長手方向の中央位置に配置されたICチップ405がベース部材201とカバー部材202との分離部Z(境界位置)に跨るように配置されることで、ベース部材201に対してカバー部材202を不正に開放したときにICタグ403が破壊されやすくなっているため、封印シール400からICタグ403を取り出し、不正に製造された封印シールに貼付して不正に封印する際に使用されることが防止される。
尚、本実施例では、アンテナ部406は、図30に示すように、破損が生じても電波を発信可能な発信可能部及び破損が生じると電波を発信不可となる発信不可能部と、を有している。詳しくは、アンテナ部406の長手方向略中央位置に配置されるICチップ405の配置位置の側端部からは帯状の溝部406cが略L字形に切り欠き形成されており、該溝部406cの屈曲部にICチップ405が配置されている。そしてこのICチップ405は、該溝部406cを挟んでその両側に設けられた接続部405a,405bにてアンテナ部406と接続されているため、例えば溝部406cにおけるアンテナ部406の長手方向に延設されている領域R4の所定箇所にてアンテナ部406が切断(破損)されて接続部405a,405bが分離されてしまうと、電波を発信不可となる。つまりこのアンテナ部406における領域R4は発信不可能部を構成している。
よって、封印シール400を貼着した状態において、特にこの発信不可能部(領域R4)をベース部材201とカバー部材202との分離部Zとの境界位置に配置することで、カバー部材202を開封することでアンテナ部406が確実に破損されてID情報をリーダ装置等により読み取ることができなくなるため、カバー部材が開封された可能性があることを容易に発見することができる。尚、アンテナ部406における発信不可能部(領域R4)以外の発信可能部においても、破損の程度等により電波を発信できなくなることがある。
尚、本実施例では、アンテナ部406に溝部406cを形成することによりアンテナ部406が切断されやすくなるようにしているが、このような溝部406cを形成しなくても、アンテナ自体を上記溝部406cの配置位置を避けるように配置するだけでも同様の効果を得ることができる。
そして、このように各封印部224,229に貼付された封印シール400は、該封印シール400の表面400aを被覆するシール保護カバー228により被覆され、封印シール400やICタグ403に何らかの外力が加わってこれらが損傷することが防止される。
シール保護カバー228は、図6及び図31〜図33に示すようにコ字形に形成され、基板ケース200の側面から外方に向けて突出する板状の封印部224,229を前後から挟み込むように装着される。シール保護カバー228の前後幅寸法は、前後一対の位置決め凸条411,411、421,421の離間幅寸法よりも幅広に形成されており、封印部224,229に装着した際において、シール保護カバー228の内面における前後側の端縁部が、位置決め凸条411,411、421,421の当接規制面413,423にそれぞれ当接するようになっている。
このようにシール保護カバー228の内面における前後側の端縁部が当接規制面413,423にそれぞれ当接することで、封印シール400の表面400aとシール保護カバー228の内面との対向面が互いに離間配置されて非接触状態に維持される。つまり、封印シール400の表面400aとシール保護カバー228の内面との対向面間に所定の隙間SPが設けられるため、シール保護カバー228を当接規制面413,423に当接した状態で左右にスライドさせて封印部224,229に対して着脱する際においても、封印シール400やICタグ403に接触することがないとともに、装着した状態において、シール保護カバー228に何らかの外力が付与されても、封印シール400やICタグ403に直接伝わることがないので、封印シール400やICダグ403の破損が防止される。
また、シール保護カバー228を封印部224,229に嵌め込むことで、シール保護カバー228の内面に形成された係合凹部228aに係合凸部414,414が係合することで、一度装着した後は係合を解除しない限り取り外すことができない。このようにカバー部材202を不正に開放する際に時間がかかるようにすることで、不正行為を行うことを極力困難としている。
このように封印シール400の外面がシール保護カバー228により被覆されることにより、封印状態において封印シール400の表面400aがシール保護カバー228により保護され、封印シール400やICタグ403に直接触れることができなくなるため、封印シール400やICタグ403に対する不正行為を極力防止できるとともに、基板ケース200の筐体1aへの取り付け、取り外し作業時や使用時等において、ICタグ403に何らかの外力が加わって破損が生じることを回避することができる。
さらに、封印シール400の周縁に突設された位置決め凸条411,411、421,421の当接規制面413,423によりシール保護カバー228が当接支持されることで、封印シール400とシール保護カバー228との対向面を非接触状態に維持することができ、シール保護カバー228に加わった外力が封印シール400やICタグ403に直接伝わることがないので、封印シール400やICダグ403に破損が生じることを防止できる。
また、本実施例1では、ベース部材201にカバー部材202を組み付ける組付手段としての溶着部と、ベース側封印部229及びカバー側封印部224とは、基板ケース200の左側辺側、つまり後述する可動ベース302の回動軸333側に配置される左側辺と対向する右側辺(対向側辺)に並設されている。
また、カバー部材202は、位置合わせされた状態からベース部材201に対して係止解除方向にスライド移動させなければベース部材201から離脱させることができない構造とされている。すなわち、ベース部材201に対するカバー部材202の離脱方向に対して略直交する方向に向けてスライド移動案内するスライド移動案内手段を備え、このスライド移動案内手段によりスライド移動案内されている状態で係止されるようになっていることで、カバー側溶着部223とベース側溶着部207とを互いに反対側に向けて引き離そうとする際に係止作用が働くため、カバー側溶着部223とベース側溶着部207とを剥離させることが極めて困難となる。
また、従来のように基板ケース200と同種の2つの基板ケースを入手したとしても、いずれもカバー部材202を開放する際に、ベース部材201及びカバー部材202双方に傷が残り、傷のないベース部材201とカバー部材202とを得ることができないので、新規な基板ケース200を不正に構成することが極めて困難となる。
このように、カバー側溶着部223とベース側溶着部207とが互いに溶着(固着)されることで、ベース部材201に対するカバー部材202のスライド移動が規制されることになる。すなわち、ベース部材201の一方の短辺に形成された係止片203,203がカバー部材202の挿通穴222,222に係止された状態で、他方の短辺のカバー側溶着部223とベース側溶着部207とが固着されることで、ベース部材201の上面がカバー部材202により閉鎖される封止状態が構成される。この封止状態は、カバー部材202のカバー側溶着部223及びベース部材201のベース側溶着部207の溶着部双方を切断(破壊)しない限り解除することができなくなるので、カバー部材202が開放された場合にはその痕跡、つまり基板ケース200の一部が破壊された痕跡が確実に残り、これにより、基板ケース200内に収納された遊技制御基板40に対して何らかの不正行為が行われた可能性があることを発見することが可能となる。
尚、本実施例では、ベース部材201とカバー部材202とが閉鎖位置に位置合わせされたときに、カバー側溶着部223とベース側溶着部207とが当接するようになっていたが、互いに溶着可能に配置されていれば、カバー側溶着部223とベース側溶着部207とが互いに離間して配置されてもよい。この場合、例えばホーンHの先端に形成したボス(図示略)を下方のベース側溶着部207を溶解させながら上方のカバー側溶着部223まで押し込むスポット溶着等が適用可能である。
次に、ケース支持装置300の構成について、図6及び図11〜図16に基づいて説明する。
(ケース支持装置)
ケース支持装置300は、図6に示すように、筐体1aの背板1c内面上部に取り付けられる固定ベース301と、固定ベース301の右側方に取り付けられる係止部材303と、固定ベース301に回動可能に支持される可動ベース302と、から主に構成される。可動ベース302は、前面側に基板ケース200が取り付けられるとともに、固定ベース301に対して上下方向を向く回動軸周りに回動可能に支持されている。
そして可動ベース302の前面側に基板ケース200を取り付けることにより、基板ケース200が、遊技制御基板40の裏面40b側が背板1cに対向配置されて視認不可となる第1の回動規制位置A(第1の位置)と、遊技制御基板40の裏面40b側が視認可能となる第2の回動規制位置B(第2の位置)と、の間で回動可能となるように、背板1c内面上部にて支持される(図20(a)参照)ため、基板ケース200を背板1cに取り付けた状態でも、基板ケース200に収容された遊技制御基板40の実装面40a及び裏面40bを、透明な基板ケース200及び可動ベース302を通して視認できるようになっている。
図11に示すように、可動ベース302は、透明な熱可塑性合成樹脂からなり、略長方形状の底板310aを有し、該底板310aの上下長辺には、前向きに立設された一対の側壁310b,310bがそれぞれ長手方向に延設され、左側短辺部の長手方向両側には短辺の側壁310c,310cが側壁310b,310bの端部から連設され、右側短辺部には短辺の側壁310dが長手方向に延設されている。
上方の側壁310bの右側端部には、底板310aの前面側に取り付けられる基板ケース200におけるカバー部材202の所定箇所を係止可能な弾性係止爪311が内向きに形成されており、基板ケース200を係止できるようになっている。
下方の側壁310bの左側端部には、遊技制御基板40の基板側コネクタ620c(図9参照)及び該基板側コネクタ620cに接続されるケーブル側コネクタ610c、ケーブル600cを保護する保護部材660を取り付けるための取付用スリット312が形成されている。取付用スリット312は、側壁310bの一部を膨出させることにより形成され、保護部材660の取付片660aを挿通可能とされている。また、取付用スリット312の外面には、取付片660aに形成された外向きの弾性係止爪660bが係止される係止穴312aが形成されており、挿通される取付片660aの逸脱を規制できるようになっている。
このように取付用スリット312に取付片660aを挿通して弾性係止爪660bが係止穴312aに係止されることで、取付片660aに対して屈曲形成されたガード片660c及びガード側片660dにより、基板側コネクタ620c及び該基板側コネクタ620cに接続されるケーブル側コネクタ610c、ケーブル600cの周囲が覆われて保護されるようになっている。
底板310aにおける右側の短辺部近傍には、基板ケース200の取付封止片230及び予備用取付封止片231に挿通されるワンウェイネジ240a,240bが取り付けられる取付穴316a,316bが形成された取付台座315が装着される台座装着穴317が形成されている。取付台座315は、底板310aの裏面側から台座装着穴317内に嵌合により装着されるようになっている。装着時においては、図19(a)に示すように、取付穴316a,316bは底板310aの前面よりも前方に突出した状態で取付封止片230及び予備用取付封止片231の取付孔235,235に対向配置されるようになっている。
このように取付台座315は、可動ベース302に対して着脱可能に装着されていることで、後述するように例えば取付封止片230や予備用取付封止片231が基板ケース200から切断されて可動ベース302側に取り残された場合等において、取付台座315のみを新規なものに交換できるようになっている。
可動ベース302の右側の短辺部には、該可動ベース302の遊端部を背板1cの前面側に係止するための係止部材303の係止ピン303a,303aが挿通可能な挿通穴318,318が形成されているとともに、各挿通穴318,318の近傍には、係止ピン303a,303aの先端に係止可能な係止フック319,319が、前後方向を向く軸周りに回動可能に取り付けられている。
可動ベース302の左側の短辺部の長手方向両側からは、後述する固定ベース301に形成される回動軸333を受支する略U字形状をなす軸支溝320が形成された板状の軸支板321,321が、短辺部に対して直交する方向に外向きに突設されている。軸支溝320は、軸支板321,321の前端辺から後方に向けて延設され、前側の開放部から回動軸333を取り付け、取り外しできるようになっている。
可動ベース302の左側の短辺部の長手方向中央位置には、後述する固定ベース301を背板1cに取り付けるためのベース取付ネジ335を被覆する被覆部322が形成されている。この被覆部322は、底板310aの短辺部から前方に向けて垂直に立設される垂直片322bと、該垂直片322bの先端から外方に向けて屈曲される底板310aに対して平行な屈曲片322aと、これら屈曲片322a及び垂直片322bの側方を覆う側片322c,322cと、屈曲片322aの先端から外側に向けて傾斜する外片322dと、から形成されている(図16(b)参照)。また、屈曲片322aは、図16(b)に示すように、固定ベース301の回動軸333に軸支溝320を軸支した状態において、ベース取付ネジ335の直上を被覆可能な長さを有している。
上下の側片322cと軸支板321とは所定距離離間して配置されており、これら側片322cと軸支板321との間に、カバー部材202の板状片221を挿通可能な挿通部324,324が形成されている。挿通部324,324は、板状片221,221の上下幅寸法よりも若干長寸の上下幅寸法に形成されているため、後述するように可動ベース302の前面側に基板ケース200を取り付けた状態において、挿通部324,324に挿通された板状片221,221の上下側部が側片322cと軸支板321とによりガイドされるようになっている。また、垂直片322bは、カバー部材202の側壁202cと当接し、可動ベース302に対する基板ケース200の左右方向の位置を決定する。
挿通部324,324の先端部には、該挿通部324,324に挿通される板状片221,221の先端部前面側を係止する帯板状の係止板323,323が、軸支板321と側片322cとの間に架設されている。つまり、上下の軸支板321と側片322cとは、それぞれ係止板323,323により連結されている。また、係止板323,323は、軸支溝320,320よりも外側に配置されているため、軸支溝320,320に回動軸333,333を着脱する際に干渉することがない。
次に、固定ベース301は、図12及び図13に示すように、背板1cの内面に取り付けられる上下方向を向く帯板状の取付片330aと、取付片330aの上下端部からそれぞれ前方に向けて屈曲される上下一対の軸片330b、330bと、取付片330aの左側辺から前方に向けて屈曲される保護片330cと、から構成される板状の金属材からなる本体部と、軸片330b,330bそれぞれの対向面から、互いの軸心が同一線上に位置するようにそれぞれ内向きに突設される、上下方向を向く円柱状の回動軸333,333と、から構成されている。
これら上下一対の回動軸333,333は、互いの先端部間が所定距離離間するように、取付片330aの前方位置に該取付片330aに対して平行に配置される。また、取付片330aにおけるこれら回動軸333,333の先端部間には、この固定ベース301を背板1cに取り付けるためのベース取付ネジ335,335の取付穴331,331が上下に形成されているとともに、これら取付穴331,331の間には、後述するカバー部材336の裏面に形成された位置決め凸部336eが嵌合される位置決め穴332,332が形成されている。
尚、ベース取付ネジ335は、外周に雄ネジ部が形成されたネジ部335aと、該ネジ部335aの先端に形成され、表面にドライバによる操作が可能な操作溝335c(操作部)が形成された頭部335bと、からなり、ドライバの先端を操作溝335cに嵌合して正逆回転することで、取り付け、取り外しが可能な所謂一般的なネジである。
カバー部材336は、ベース取付ネジ335の頭部335bを収容可能な有底円筒状の収容部336a,336aと、これら一対の収容部336a,336aを連結する連結部336cと、から構成されている。各収容部336aの底面には、ベース取付ネジ335が取り付けられる取付穴336bが形成されているとともに、各収容部336aの周面には、該収容部336aの開口を閉鎖可能なカバーキャップ337に形成された弾性係止爪337a,337aが係止される係止部336d,336dが形成されている。
このように構成された固定ベース301は、図12に示すように、カバー部材336の取付穴336b,336bそれぞれに挿通した2つのベース取付ネジ335,335を、固定ベース301の取付穴331,331に取り付けた状態で、図13に示すように、背板1cに埋設されたナット338のネジ孔338aに螺入することで、背板1cの内面に取り付けて固定できるようになっている。
固定ベース301に取り付けられたベース取付ネジ335,335は、図13(a)(b)に示すように、それらの軸心P2,P2がそれぞれ回動軸333,333を結ぶ軸心P1と直交する位置であり、かつ、上下一対に設けられた回動軸333,333の先端部間に配置される。また、カバー部材336の長手幅寸法L2は,回動軸333,333の先端部の離間幅L1よりも小寸(L1>L2)であるため、固定ベース301を背板1cに取り付けるときに、ベース取付ネジ335やカバー部材336が回動軸333,333に干渉することがない。
すなわち、上下一対の回動軸333,333の軸心P1に沿うようにベース取付ネジ335,335が配置されることで、回動軸333,333により近い位置で固定ベース301が背板1cに取り付けられるので、回動軸333,333の支持強度を高めることができる一方、ベース取付ネジ335やカバー部材336は上下一対の回動軸333,333間に配置されることで、回動軸333,333に干渉することなく、容易に取り付け、取り外しを行うことができる。
また、固定ベース301を背板1cに取り付けたときに外部に露呈する露呈部位となるベース取付ネジ335の頭部335bがカバー部材336の収容部336aに収容され、さらにカバーキャップ337により収容部336aの開口が閉鎖されることで、特に図13(b)に示すように、ベース取付ネジ335は、背板1cに取り付けられた状態において外部に露呈する頭部335bの周囲が完全に被覆され、ドライバを操作溝335cや頭部335bと背板1cとの間に差し込むことが困難となる。尚、カバー部材336はベース取付ネジ335に装着され、ベース取付ネジ335を取り外さない限り取り外すことはできないため、別途取付ネジにて取り付ける必要がないばかりか、被覆状態が簡単に解除されることがない。また、保護片330cは、カバー部材336よりも前後幅寸法が長寸であるため、カバー部材336の外側方が確実に被覆される。
(固定ベースへの可動ベースの取り付け)
次に、固定ベース301に対する可動ベース302の取り付け方法を、図14〜図16に基づいて説明する。
まず、図14に示すように、固定ベース301を前述したようにベース取付ネジ335,335にて背板1cの内面上部左側に取り付けるとともに、係止部材303を、固定ベース301の右側方位置に取り付ける。固定ベース301を取り付けた状態において、回動軸333,333の軸心P1は上下方向を向く。
尚、係止部材303は、特に詳細な図示はしないが、ベース取付ネジ335と同種の取付ネジ339,339により両端部が背板1cに取り付けられる帯板状の取付片303bと、取付片303bの上下位置から前方に向けて立設される係止ピン303a,303aと、から構成されている。そして、後述するように固定ベース301に軸支した可動ベース302の挿通穴318,318に対応して係止ピン303a,303aが配置されるように背板1cに取り付けられる。
可動ベース302を固定ベース301に取り付ける場合、まず、図14に示すように、可動ベース302の左右端部を前後方向に向けて、背板1cに対して直交するように縦向き姿勢とする。これにより軸支溝320,320の開放部が回動軸333,333に対向するため、この姿勢のまま可動ベース302を固定ベース301に接近させ、軸支溝320,320を回動軸333,333に差し込んだ後、回動軸333,333を中心に可動ベース302の手前側を背板1cに向けて押し込む。
そして可動ベース302が、その後面が背板1cの内面に対向する横向き姿勢、つまり第1の回動規制位置Aに配置されると、係止部材303の係止ピン303a,303aが可動ベース302の挿通穴318,318に挿通され、該係止ピン303a,303aの先端が挿通穴318,318から前方に突出した係止ピン303a,303aの先端に、係止フック319,319を回転して係止する。これにより、可動ベース302の左側端部が回動軸333,333に軸支され、右側端部が係止ピン303a,303aに係止されることにより、可動ベース302の背板1cからの離脱及び回動軸333,333周りの回動が規制され、背板1cと略平行な第1の回動規制位置Aに仮止めされる。
図15及び図16には、固定ベース301に対して可動ベース302を回動可能に軸支する軸支部の詳細が示されている。このように固定ベース301の回動軸333,333に可動ベース302の軸支溝320,320を軸支して該可動ベース302を第1の回動規制位置Aに配置すると、軸支溝320,320は前後方向を向いて前方に開放するが、可動ベース302の後面に背板1cが近接していることにより、回動軸333,333に対する軸支溝320,320の後方移動が規制されるので、回動軸333,333から軸支溝320,320が離脱することはない。
逆に言えば、固定ベース301に対して可動ベース302を回動可能に軸支しただけでは、可動ベース302を上記縦向き姿勢となる着脱位置C(第1の回動規制位置Aから約63度以上回動させた位置。図20(a)参照)に配置することにより、固定ベース301に対する可動ベース302の離脱方向への移動を規制するものがなくなるため、固定ベース301に対して着脱可能となる。尚、図16(a)に示すように、回動軸333と係止板323とは前後方向に離間して配置され、両者の間にカバー部材202の板状片221を挿通可能な隙間が形成される。
また、固定ベース301を背板1cに取り付けるベース取付ネジ335の前面側が可動ベース302の被覆部322により覆われるとともに、左外側方が保護片330cにより覆われることで、特に図16(b)に示すように、保護片330cと外片322dの先端との間には僅かな隙間しか形成されていない。従って、ベース取付ネジ335に対してドライバや指を接触させようとしても接触が困難となるだけでなく、ベース取付ネジ335の軸心P2の延長線上にドライバを配置することはできなくなる。
(可動ベースへの基板ケースの取り付け)
次に、固定ベース301に回動可能に支持された可動ベース302への基板ケース200の取り付け方法を図17〜図22に基づいて説明する。
図17に示すように、第1の回動規制位置Aに仮止めされた可動ベース302に、前述したように封止状態とされた基板ケース200を取り付けるには、ベース部材201の裏面側を可動ベース302の前面に対向させるように配置した状態で左側にスライドさせて、カバー部材202の左側短辺に設けられた一対の板状片221,221を、図17上図中の矢印で示されるように、回動軸333,333と係止板323,323との間に形成された隙間(図16(a)参照)に差し込んだ後、図17下図中の太矢印で示されるように、基板ケース200の右側短辺を可動ベース302に向けて押し込む。
このとき、板状片221,221の先端が係止板323,323に係止されるとともに(図19(b)参照)、カバー部材202の右端部側の上方が可動ベース302の弾性係止爪311に係止される。そして基板ケース200は、可動ベース302の側壁310b、310c、310dにより覆われることで、可動ベース302の底板310a上でのスライド移動が規制されることで、可動ベース302からの離脱が規制される。
但しこの仮止め状態では、弾性係止爪311によるカバー部材202の係止状態を解除すれば、可動ベース302から簡単に基板ケース200を取り出すことができる。
また、仮止め状態としたときに、カバー部材202における取付封止片230及び予備用取付封止片231が取付台座315に対向配置され、取付封止片230及び予備用取付封止片231の取付孔235,235が取付台座315の取付穴316a,316bに合致する。ここで、図19(a)に示すように、取付封止片230内に収容されていたワンウェイネジ240aをドライバにより取付穴316aに螺入すると、可動ベース302に対して基板ケース200が離脱不能に取り付けられる。
すなわち、ワンウェイネジ240aは、一度取付穴316aに取り付けられると、ドライバー等の工具を操作溝に差し込んでも、ワンウェイネジ240aを逆回転させることができない、つまり二度と取付穴316aから取り外すことはできない取付部材であるため、基板ケース200は、該基板ケース200または可動ベース302等の所定部位(例えば取付封止片230の切断片233等)を切断(破壊)しない限り可動ベース302から取り外すことができない取付状態で取り付けられる。
また、遊技制御基板40の検査等のために基板ケース200を可動ベース302から取り外す場合、取付封止片230の切断片233を切断する必要があるばかりか、取付穴316aにねじ込まれたワンウェイネジ240a及び基板ケース200から切断された取付封止片230を取付台座315から取り外すことができず、可動ベース302に保持されて残存するため、当該取付封止片230にワンウェイネジ240aを取り付け、同じように可動ベース302に取り付けることはできない。すなわち、一度可動ベース302に対する基板ケース200の取付状態を解除した後は、一度取付に使用した取付封止片230とは別の予備用取付封止片231に予備のワンウェイネジ240bを取り付け、別の取付穴316bに取り付けることになる。
また、この取付状態において、図19(b)に示すように、板状片221,221が回動軸333,333と係止板323,323との間に形成された隙間に差し込まれていることで、回動軸333,333の軸支溝320,320からの離脱が、可動ベース302に取り付けられた基板ケース200の板状片221,221により規制されることになる。これにより、可動ベース302を回動させて前述した着脱位置Cに配置したとしても、固定ベース301に対する可動ベース302の軸支状態を解除できなくなる。
そして、基板ケース200を可動ベース302から取り外さない限り、回動軸333,333と係止板323,323との間に形成された隙間に差し込まれた板状片221,221を該隙間から取り出すこと、つまり回動軸333,333からの軸支溝320,320の離脱規制を解除することはできないため、可動ベース302から基板ケース200を取り外すことだけでなく、固定ベース301に対する可動ベース302をどのような回動位置に配置したとしても、可動ベース302を固定ベース301から取り外すことができなくなる。
また、回動軸333,333と係止板323,323との間に形成された隙間に差し込まれた板状片221,221により、回動軸333,333が被覆される。詳しくは、係止板323,323は、軸支板321と側片322cとの離間幅よりも若干小寸の幅寸法を有していることで、回動軸333,333と係止板323,323との間に形成された隙間に差し込まれた状態において、回動軸333,333の長手方向にわたり被覆するため、回動軸333,333を切断することにより可動ベース302を固定ベース301から取り外すといった不正行為が防止される。
また、この取付状態において、図20及び図21に示すように、固定ベース301に対する可動ベース302をどのような回動位置に配置したとしても、固定ベース301を背板1cに取り付けるベース取付ネジ335の前面側が、可動ベース302の被覆部322により覆われる、つまりベース取付ネジ335の前面側に被覆部322が対向配置されるとともに、左外側方が保護片330cにより覆われることで、ベース取付ネジ335に対してドライバや指を接触させようとしても接触が困難となるだけでなく、ベース取付ネジ335の軸心P2の延長線上にドライバを配置することはできなくなる。
具体的に説明すると、図20(a)に示すように、固定ベース301に対して可動ベース302を、可動ベース302が背板1cに沿って配置される第1の回動規制位置A(第1の位置)と、回動軸333を中心に可動ベース302の右側を手前に向けて約83度回転させたときに回動が規制される回転規制位置B(第2の位置)と、の回動可能範囲(θ≒0〜83度)内の任意の位置に配置した場合でも、保護片330cと外片322dの先端との間には僅かな隙間が形成されてしまう(図21参照)。
しかし、図21(a)〜(c)に示すように、ベース取付ネジ335の軸心P2上には常に被覆部322が配置され、しかもこれらベース取付ネジ335の頭部335bから被覆部322までの離間距離は最大でも約3cm程度であるため、保護片330cと外片322dの先端との間の隙間からドライバの先端を差し込むことはできるものの、ドライバの先端を操作溝335cに差し込み、かつドライバを軸心P2に沿った垂直姿勢に配置しようとしても、ドライバが被覆部322に干渉する、つまり取り外し操作が阻止されるので極めて困難となる。
特にベース取付ネジ335は、回動軸333の軸心P1の直下に配置され、かつ、被覆部322はベース取付ネジ335の軸心P2上に配置されることで、回動軸333周りに可動ベース302を回動させても、被覆部322は常にベース取付ネジ335の軸心P2上を通る軸周りにて回動することにより、被覆部322とベース取付ネジ335との位置関係(離間距離)が大きく変化することがないので、可動ベース302が回動可能範囲内のどの位置に配置されているときでも、ベース取付ネジ335の頭部335bと被覆部322との間にドライバ等を配置することは困難である。
よって、取付状態においては、基板ケース200を可動ベース302から取り外さない限り、ベース取付ネジ335を背板1cから取り外すことはできないため、可動ベース302から基板ケース200を取り外したり、固定ベース301から可動ベース302を取り外したりすることができないだけでなく、背板1cから固定ベース301を取り外すことができないため、基板ケース200をケース支持装置300ごと背板1cから取り外してしまうことが防止される。
このように背板1cに取り付けられたケース支持装置300に取り付けられた基板ケース200は、図20及び図22に示すように、遊技制御基板40の電子部品の実装面40aが前面側を向くとともに裏面40b側が背板1cの内面に対向して筐体1aの前面側から視認不可となる第1の回動規制位置A(第1の位置)と、実装面40aが筐体1aの左側板の内面に対向して遊技制御基板40の裏面40b側が筐体1aの前面側から視認可能となる第2の回動規制位置B(第2の位置)と、の間の回動可能範囲(約83度)内で回動可能に支持される。
従って、基板ケース200を第1の回動規制位置Aに位置させている場合には、遊技制御基板40の実装面40aが前面側を向くため、基板ケース200を可動ベース302から取り外さなくても、筐体1aの前面側から透明なカバー部材202を通して実装面40aを視認することが可能となる。
また、基板ケース200を第2の回動規制位置B付近に位置させている場合には、遊技制御基板40の裏面40bが背板1cから離れて右側方を向くため、基板ケース200を可動ベース302から取り外さなくても、筐体1aの前面側から透明なベース部材201及び透明な可動ベース302を通して裏面40bを視認することが可能となる。よって、基板ケース200を筐体1aに取り付けた状態でも、基板ケース200を回動させるだけで内部に収容された遊技制御基板40の実装面40a及び裏面40bに不正な改造等が施された痕跡があるか否かを目視により簡単に確認することが可能となる。
図22中上図に示すように、基板ケース200は、通常、第1の回動規制位置Aに配置されている。この状態において、カバー部材202に形成された各コネクタ用開口236a〜236gに臨むように配置された各基板側コネクタには、各種ケーブルのケーブル側コネクタが接続される。
カバー部材202に形成された各コネクタ用開口236a〜236gのうち、基板側コネクタ620a〜620cが臨むコネクタ用開口236d〜236cは、図8に示すように、カバー部材202の左右方向の中央位置よりも左側の領域、つまり回動軸333,333の配設位置側に設けられている。そしてこれらコネクタ用開口236a〜236cに臨む基板側コネクタ620a〜620cのうち、電源基板101に一端が接続されるケーブル側コネクタ610cと基板側コネクタ620cとの接続部は、前述した保護部材660により覆われるとともに、スタートスイッチ7に一端が接続されるケーブル側コネクタ610bと基板側コネクタ620bとの接続部は、前述したコネクタ規制部材650により覆われ、特にコネクタ規制部材650により覆われたケーブル側コネクタ610bは、基板側コネクタ620bからの抜脱が規制されている。
このように、カバー部材202の左右方向の中央位置よりも左側の領域に設けられた基板側コネクタ620a〜620cに接続されるケーブル600a〜600cは、左側板内面にまとめて配線されている。そしてこれらケーブル600a〜600cに設けられるケーブル側コネクタ610a〜610cは、基板側コネクタ620a〜620cから抜脱しなくても、基板ケース200を第2の回動規制位置Bまで回動させることができるようになっている。また、カバー部材202の左右方向の中央位置よりも右側の領域に設けられた基板側コネクタに接続されるケーブル側コネクタは、基板側コネクタから抜脱しないと、基板ケース200を第2の回動規制位置Bまで回動させることができるようになっている。
つまり、回動軸333に近い左側領域に配置される基板側コネクタ620a〜620cは、回動軸333を中心に基板ケース200を回転させたときの移動距離が、回動軸333から遠い右側領域に配置される基板側コネクタに比べて小さいため、接続されるケーブル600a〜600cの余剰長さを、回動軸333から遠い右側領域に配置される基板側コネクタに接続されるケーブルに比べて短くて済む。
よって、特に保護部材660やコネクタ規制部材650により覆われて抜脱に手間がかかる基板側コネクタ620a〜620c等を、回動軸333に近い左側領域に配置しておけば、基板ケース200を回動させるたびにケーブル側コネクタ610a〜610cを逐次基板側コネクタ620a〜620cから抜脱する必要がないので、遊技制御基板40の確認作業を煩雑にすることがないとともに、ケーブルを基板側コネクタ620a〜620cから取り外さずに基板ケース200を回動可能とする場合に、ケーブル600a〜600cを極力短くすることができる。
尚、本実施例では、基板側コネクタ620a〜620c以外の基板側コネクタ及びこれら基板側コネクタに対応するコネクタ用開口236a〜236gが、実装面40aにおける回動軸333から遠い右側領域にも配設されていたが、例えば図25に示すように、実装面40aに設けられる全ての基板側コネクタ及び各基板側コネクタに対応するコネクタ用開口236a〜236gを実装面40aにおける左側領域に設けることが好ましい。
さらに本実施例では、基板側コネクタ620a〜620cを含む全ての基板側コネクタ及び各基板側コネクタに対応するコネクタ用開口236a〜236gが、実装面40aにおける長辺に沿って配設されていたが、例えば図25に示すように、全ての基板側コネクタ及び各基板側コネクタに対応するコネクタ用開口236a〜236gの少なくとも一部(ここでは基板側コネクタ620a〜620c以外の基板側コネクタ及びコネクタ用開口236d〜236g)を回動軸333に近い左側短辺に沿って配設することが好ましい。つまり、回動軸333に沿って基板側コネクタ及びコネクタ用開口236d〜236gを配設すれば、各基板側コネクタの移動距離が全て同じになるので、これらのケーブルを極力短くすることができる。
また、特に図示はしないが、少なくとも保護部材660やコネクタ規制部材650により覆われて抜脱に手間がかかる基板側コネクタ620a〜620cを回動軸333に近い左側短辺に沿って配設することが好ましい。つまり、回動軸333に沿って基板側コネクタ620a〜620cを配設すれば、各基板側コネクタ620a〜620cの移動距離が全て同じになるので、ケーブル600a〜600cを極力短くすることができる。
以上説明したように、本実施例1としてのスロットマシン1にあっては、基板ケース200を筐体1aに取り付けた状態でも、固定ベース301に対して可動ベース302を回動させることで遊技制御基板40の表裏面側を視認することができるだけでなく、組付手段としての溶着部及び封印シール400を含む封印部双方が回動軸333の反対側の右側辺に配置されるため、カバー部材202が開封されたか否か、つまり遊技制御基板40に不正な改造が施されているか否かの確認作業を簡単に行うことができる。また、組付状態においては、カバー部材202を開封した場合にはその痕跡が残ることになるため、不正な遊技制御基板40を収容した基板ケース200に掏りかえるといった不正行為が行われた可能性があることを発見することができる。さらに、ICタグ403のICチップ405に記憶されているID情報をリーダ装置により読み取ることで、遊技制御基板40の交換等の不正行為が行われた可能性があることを容易に発見できるとともに、閉鎖ネジ226を開口227bから取り外したり、封止状態を解除してカバー部材202を開封すると封印シール400に破損が生じてその痕跡が確実に残るだけでなく、ICタグ403に破損が生じてID情報をリーダ装置等により読み取ることができなくなるため、カバー部材202が開封された可能性があることを容易に発見することができるとともに、該ICタグ403の不正使用が防止される。
図22に示すように、特に本実施例1では、第2の回動規制位置Bに可動ベース302及び基板ケース200が配置されたときに、基板ケース200の右側辺部側、つまり溶着部及び封印部が筐体1aの前面開口から外側に突出して配置されることで、溶着部や封印部の状態を筐体1aの外側で、しかも表裏面側を目視により確認することができるため、検査時における確認作業性が向上する。さらに、封印シール400のICタグ403が筐体1aの前方位置に配置されることになるので、リーダ装置によるID情報の読み取り作業を容易に行うことができるばかりか、筐体1aに設けられている金属製の遊技用部品等から離れることになるため、ID情報を確実に読み取ることが可能となる。
また、本実施例1では、ベース部材201にカバー部材202を組み付ける組付手段として溶着部が適用されていたが、このような溶着手段に限定されるものではなく、例えばワンウェイネジやラッチ等の組付部材により組み付ける手段であってもよい。
また、本実施例1では、溶着部及び封印部が基板ケース200の一方の短辺部に設けられていたが、一方の長辺部側に回動軸333が配置されている場合は、他方の長辺部側に溶着部及び封印部を設ければよい。
また、基板ケース200を背板1cに取り付けた状態でも、基板ケース200を第1の回動規制位置Aから第2の回動規制位置Bまで回転させることで遊技制御基板40の裏面40b側を視認することができるため、遊技制御基板40に不正な改造が施されているか否かの確認作業を簡単に行うことができる。また、可動ベース302に基板ケース200が取り付けられた組付状態において、固定ベース301から可動ベース302を取り外したり、可動ベース302から基板ケース200を取り外したりした場合には、切断片233や板状片221等が切断されるなどしてその痕跡が残るだけでなく、ベース取付ネジ335を取り外して背板1cから固定ベース301を取り外した場合、つまり基板ケース200を可動ベース302から取り外すために切断片233を切断するあるいは可動ベース302の被覆部322やカバー部材336等を破壊した場合にもその痕跡が残るため、背板1cから基板ケース200を取り外し、不正な遊技制御基板40を収容した基板ケース200に掏りかえるといった不正行為が行われた可能性があることを発見することができる。
言い換えると、可動ベース302に対する基板ケース200の取り付けや、可動ベース302に対する固定ベース301の取り付けや、背板1cに対する固定ベース301の取り付けは、それらの取り付けに関連する取付関連部位を破壊(切断や剥離等を含む)しない限り各々の取り付け状態を解除することができない取付手段にて行われることで、各々の取付状態を解除した場合には確実にその痕跡が残り、これにより不正行為が行われた可能性があることを確実に発見することができる。
また、特に本実施例では、前面扉1bが筐体1aの左側辺に回動可能に枢支されていることにより、前面扉1bを開放した状態において、基板ケース200も前面扉1bと同様に左側辺を中心に回動するため、基板ケース200の裏面40bを視認する際に、裏面40bが前面扉1bがない右方に開放するため、確認を行う際に前面扉1bが邪魔になることがない。
また、基板ケース200が第1の回動規制位置Aと第2の回動規制位置Bとの間の回動可能範囲内に位置している状態では、常に操作阻止部としての被覆部322が操作溝335cに対向配置されて操作することができなくなるため、ワンウェイネジ等の特殊な取付部材を用いることなく、背板1cから固定ベース301を取り外し不能とすることができるばかりか、被覆部322は、固定ベース301に一体に組み付けられる可動ベース302に設けられていることで、組付状態において簡単に取り外されることがない。尚、本実施例では、操作阻止部としての被覆部322が可動ベース302に設けられていたが、基板ケース200に設けられていてもよい。また、ベース取付ネジ335はカバー部材366により覆われた状態で取り付けられるため、ドライバ等の工具を容易にアクセスすることができない。
また、可動ベース302は、固定ベース301に対して着脱位置Cから取り付け、取り外しできるように構成されているため、固定ベース301をベース取付ネジ335により簡単に取り付け、取り外すことができるとともに、ワンウェイネジ240aにより可動ベース302に基板ケース200を取り付けることにより、該取り付けられた基板ケース200に設けられている板状片221により軸支溝320からの回動軸333の離脱が規制され、固定ベース301から取り外すことができなくなった可動ベース302に設けられた被覆部322により、回動可能範囲内において常にベース取付ネジ335による取付状態を解除することができなくなるため、固定ベース301等が破壊されて交換の必要が生じた場合においても、筐体1a等を破壊して固定ベース301を背板1cから取り外したりする必要がないので、筐体1aを使い回すことが可能となる。
また、可動ベース302は、基板ケース200が取り付けられなければ固定ベース301に対して着脱可能であるため、何らかの理由(例えば回動操作したり不正行為されることにより所定部位が破損もしくは破壊されたり、回動軸333との摩擦により軸支溝320が磨耗した場合等)により交換が必要になった場合において、簡単に固定ベース301から取り外すことができる。
また、固定ベース301からの可動ベース302の離脱を、ワンウェイネジ240aによる基板ケース200の可動ベース302への取り付けを利用して規制できるので、基板ケース200を可動ベース302から取り外すだけで可動ベース302を固定ベース301から取り外して交換することができるばかりか、可動ベース302に基板ケース200を取り付けるためのワンウェイネジ240aとは別個に、回動軸333の軸支溝320からの離脱を規制する手段を新たに設ける必要がないので、ケース支持装置300の構造を簡素化できるばかりか、作業負荷を低減することができる。
また、可動ベース302への基板ケース200の取り付けを、一度取付台座315に取り付けると取り外すことができないワンウェイネジ240aにて行うため、切断片233を切断して取付封止片230を基板ケース200の本体部から分離するか、あるいは可動ベース302の一部である取付台座315等を破壊するなどしない限り、基板ケース200を可動ベース302から取り外すことができないが、切断片233を切断して取付封止片230を基板ケース200の本体部から分離することにより基板ケース200を可動ベース302から取り外した場合には、基板ケース200から切り離された取付封止片230がワンウェイネジ240aとともに取付台座315に保持され、取付封止片230が単体の部材とはならずに可動ベース302の取付台座315に残存するので、取付台座315とともに廃棄することができる。
尚、本実施例では、基板ケース200の被取付部としての取付封止片230、予備用取付封止片231が取り付けられる可動ベース302の取付部としての取付穴316a,316bを有する取付台座315は、可動ベース302に対して取り付け、取り外し可能に設けられているため、基板ケース200を2回取り外した場合でも、取付台座315のみを交換すれば、可動ベース302を交換せずに使いまわすことが可能であるが、これら取付穴316a,316bは可動ベース302に直接形成されていてもよい。
また、可動ベース302は、着脱位置C(第3の位置)まで回動させる、つまり特殊な取り外し作業を行うことなく、基板ケース200を回転させるのと同じ操作を行うだけで固定ベース301から簡単に取り外すことができるばかりか、軸規制部としての板状片221は少なくとも着脱位置において回動軸333に直接当接することにより軸支溝320からの離脱を規制することで、基板ケース200の回動可能範囲外に着脱位置を設ける必要がないので、基板ケース200の回動可能範囲を極力小さくすることができる。
また、回動軸333を被覆する板状片221を、離脱規制部として利用することができるため、基板ケース200の構造を簡素化することができるばかりか、板状片221は、基板ケース200がワンウェイネジ240aにより可動ベース302に取り付けられた状態において、該基板ケース200の左側が係止部としての係止板323に係止されるため、左辺及び右辺双方にワンウェイネジ240aを設けることなく、基板ケース200の左右短辺部を可動ベース302に取り付けることができる。
また、ワンウェイネジ240aによる基板ケース200の可動ベース302への取り付けを利用して回動軸333を軸被覆部としての板状片221により被覆できることで、固定ベース301等に予め軸被覆部を形成しておく必要がないので、製造時において固定ベース301に可動ベース302を簡単に組み付けることができるとともに、ワンウェイネジ240aとは別個に軸被覆部を取り付ける手段等を設ける必要がないので、構造を簡素化できるばかりか、作業負荷を低減することができる。
また、本実施例では、可動ベース302とともに基板ケース200を回動させることにより、遊技制御基板40の実装面40a及び裏面40b(一面及び他面(表裏面))が視認可能となれば、実装面40aまたは裏面40bのうち一方が視認可能となる位置において、必ずしも他方が筐体1aの所定部位(背板や側板の内面等)に対向配置される必要はない。
また、本実施例では、基板ケース200の一側辺を可動ベース302に係止する板状片221が、軸支溝320からの回動軸333の離脱を規制する規制部及び回動軸333を被覆する被覆部を構成していたが、軸支溝320からの回動軸333の離脱を規制する規制部及び回動軸333を被覆する被覆部は、基板ケース200の一側辺を可動ベース302に係止する板状片221とは別の部位にて構成されていてもよい。
また、本実施例では、可動ベース302に対して基板ケース200がワンウェイネジ240a,240bにて取り付けられるようになっていたが、係止ピン等の取付部材や、接着剤等の取付部材、つまり一度取り付けると取り外すことができない取付部材を介して取り付けられるようにしてもよい。さらに、可動ベース302に対して基板ケース200を取り付けるための係止ピン等が、予め基板ケース200または可動ベース302に一体的に形成されていてもよい。
また、本実施例では、カバー部材202とベース部材201との封止を、熱溶着及び封印シールにて行っているが、ワンウェイネジや係止ピン等の固着部材や、接着剤等の固着部材を介して固着されるようにしてもよい。
また、本実施例では、基板ケース200は、ケース支持装置300を介して筐体1aの背板1cの内面上部に回動可能に支持されていたが、背板1cに取り付けられるものに限定されるものではなく、筐体1aの左右の側板内面等に取り付けられていてもよいし、あるいは前面扉1bの裏面等に取り付けられていてもよい。さらには、これら筐体1aまたは前面扉1bに設けられる付属部材等に取り付けられていてもよい。
また、本実施例では、基板ケース200は、回路基板としての遊技制御基板40の裏面40b側を被覆可能なベース部材201と、該ベース部材201の開口を開閉可能であり、遊技制御基板40の実装面40a側を被覆可能なカバー部材202と、から構成されていたが、遊技制御基板40の表裏面を被覆可能に収容するケース体と蓋体とから構成されていてもよく、この場合、ケース体に実装面40aを透視可能な第1の透視部及び裏面40bを透視可能な第2の透視部双方が設けられていればよい。
また、本実施例では、カバー側溶着部223及びベース側溶着部207からなる溶着部と取付封止片230及びワンウェイネジ240aからなる取付封止部とを含む組付手段と、ベース側封印部229及びカバー側封印部224からなる封印部とは、基板ケース200におけるケース支持装置300の回動軸333(軸部)側に配置される左側辺と対向する右側辺に並設されている。よって、基板ケース200を可動ベース302に取り付けた状態において、可動ベース302を第2の規制位置Bまで回動させることにより、溶着及びワンウェイネジ240a等の組付手段による封止状態及び封印シール400による封印部の封印状態双方を一度に目視することができるため、封止状態が解除されてカバー部材202が開封された痕跡があるか否か、つまり遊技制御基板40に不正な改造が施されているか否かの確認作業を簡単に行うことができる。
また、固定ベース301を金属板にて構成して強度を向上させている場合においても、ICタグ403を有する封印シール400が該固定ベース301側の側辺と反対側の対向側辺に配置されることで、金属製の固定ベース301の影響でアンテナ部406に対して設定された周波数が変化するなどしてリーダ装置へのID情報の発信が阻害されることを回避できる。
また、本実施例では、遊技機の一例であるスロットマシン1の筐体1aの内部に、筐体1aの前面側から遊技制御基板40の実装面40a及び裏面40bを選択的に視認可能となるようにケース支持装置300を介して可動ベース302が回動可能に支持されていたが、例えば上記パチンコ遊技機にケース支持装置300を介して基板ケース200を回動可能に支持する場合、パチンコ遊技機を開放したときに、該パチンコ遊技機の裏面側にケース支持装置300を介して回動可能に支持された遊技制御基板40の実装面40a及び裏面40bを選択的に視認可能となるようにしてもよい。
次に、本発明の実施例2としてのパチンコ遊技機1001について、図34〜図46にもとづいて説明する。
まず、遊技機の他の一例であるパチンコ遊技機1001の全体の構成について説明する。図34はパチンコ遊技機1001を正面からみた正面図である。パチンコ遊技機1001は、縦長の方形状に形成された外枠(図示略)と、外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠とで構成される。また、パチンコ遊技機1001は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠1002を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示略)と、機構部品等が取り付けられる機構板(図示略)と、それらに取り付けられる種々の部品(後述する遊技盤1006を除く)とを含む構造体である。
ガラス扉枠1002の下部表面には打球供給皿(上皿)1003がある。打球供給皿1003の下部には、打球供給皿1003に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿1004や、打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)1005が設けられている。また、ガラス扉枠1002の背面には、遊技盤1006が着脱可能に取り付けられている。なお、遊技盤1006は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤1006の前面には、打ち込まれた遊技球が流下可能な遊技領域1007が形成されている。
遊技領域1007の中央付近には、液晶表示装置(LCD)で構成された演出表示装置1009が設けられている。演出表示装置1009では、第1特別図柄または第2特別図柄の可変表示に同期した演出図柄(飾り図柄)の可変表示(変動)が行われる。よって、演出表示装置1009は、識別情報としての演出図柄(飾り図柄)の可変表示を行う可変表示装置に相当する。演出表示装置1009は、演出制御基板に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。演出制御用マイクロコンピュータが、第1特別図柄表示器1008aで第1特別図柄の可変表示が実行されているときに、その可変表示に伴って演出表示装置1009で演出表示を実行させ、第2特別図柄表示器1008bで第2特別図柄の可変表示が実行されているときに、その可変表示に伴って演出表示装置で演出表示を実行させるので、遊技の進行状況を把握しやすくすることができる。
遊技盤1006における演出表示装置1009の上部の左側には、識別情報としての第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器(第1可変表示手段)1008aが設けられている。この実施例では、第1特別図柄表示器1008aは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器1008aは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。遊技盤1006における演出表示装置1009の上部の右側には、識別情報としての第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器(第2可変表示手段)1008bが設けられている。第2特別図柄表示器1008bは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器1008bは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。
この実施例では、第1特別図柄の種類と第2特別図柄の種類とは同じ(例えば、ともに0〜9の数字)であるが、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器1008aおよび第2特別図柄表示器1008bは、それぞれ、例えば、00〜99の数字(または、2桁の記号)を可変表示するように構成されていてもよい。
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器1008aと第2特別図柄表示器1008bとを特別図柄表示器と総称することがある。
第1特別図柄または第2特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第1始動条件または第2始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口1013または第2始動入賞口1014に入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
演出表示装置1009は、第1特別図柄表示器1008aでの第1特別図柄の可変表示時間中、および第2特別図柄表示器1008bでの第2特別図柄の可変表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄(飾り図柄ともいう)の可変表示を行う。第1特別図柄表示器1008aにおける第1特別図柄の可変表示と、演出表示装置1009における演出図柄の可変表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器1008bにおける第2特別図柄の可変表示と、演出表示装置1009における演出図柄の可変表示とは同期している。同期とは、可変表示の開始時点および終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であって、可変表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であることをいう。また、第1特別図柄表示器1008aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器1008bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置1009において大当りを想起させるような演出図柄の組み合わせが停止表示される。
演出表示装置1009の下方には、第1始動入賞口1013を有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口1013に入賞した遊技球は、遊技盤1006の背面に導かれ、第1始動口スイッチ1013aによって検出される。
また、第1始動入賞口(第1始動口)1013を有する入賞装置の下方には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口1014を有する可変入賞球装置1015が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)1014に入賞した遊技球は、遊技盤1006の背面に導かれ、第2始動口スイッチ1014aによって検出される。可変入賞球装置1015は、ソレノイド1016によって開状態とされる。可変入賞球装置1015が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口1014に入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置1015が開状態になっている状態では、第1始動入賞口1013よりも、第2始動入賞口1014に遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置1015が閉状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口1014に入賞しない。なお、可変入賞球装置1015が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
以下、第1始動入賞口1013と第2始動入賞口1014とを総称して始動入賞口または始動口ということがある。
可変入賞球装置1015が開放状態に制御されているときには可変入賞球装置1015に向かう遊技球は第2始動入賞口1014に極めて入賞しやすい。そして、第1始動入賞口1013は演出表示装置1009の直下に設けられているが、演出表示装置1009の下端と第1始動入賞口1013との間の間隔をさらに狭めたり、第1始動入賞口1013の周辺で釘を密に配置したり、第1始動入賞口1013の周辺での釘配列を、遊技球を第1始動入賞口1013に導きづらくして、第2始動入賞口1014の入賞率の方を第1始動入賞口1013の入賞率よりもより高くするようにしてもよい。
第1特別図柄表示器1008aの下部には、第1始動入賞口1013に入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する4つの表示器(例えば、LED)からなる第1特別図柄保留記憶表示器1018aが設けられている。第1特別図柄保留記憶表示器1018aは、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器1008aでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。
第2特別図柄表示器1008bの下部には、第2始動入賞口1014に入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する4つの表示器(例えば、LED)からなる第2特別図柄保留記憶表示器1018bが設けられている。第2特別図柄保留記憶表示器1018bは、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器1008bでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。
また、演出表示装置1009の表示画面には、第1保留記憶数を表示する第1保留記憶表示部1018cと、第2保留記憶数を表示する第2保留記憶表示部1018dとが設けられている。なお、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計である合計数(合算保留記憶数)を表示する領域(合算保留記憶表示部)が設けられるようにしてもよい。そのように、合計数を表示する合算保留記憶表示部が設けられているようにすれば、可変表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。
なお、この実施例では、図34に示すように、第2始動入賞口1014に対してのみ開閉動作を行う可変入賞球装置1015が設けられているが、第1始動入賞口1013および第2始動入賞口1014のいずれについても開閉動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
また、図34に示すように、可変入賞球装置1015の下方には、特別可変入賞球装置1020が設けられている。特別可変入賞球装置1020は開閉板を備え、第1特別図柄表示器1008aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器1008bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド1021によって開閉板が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ1023で検出される。
遊技盤1006の右側方下部には、普通図柄表示器1010が設けられている。普通図柄表示器1010は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を可変表示する。
遊技球がゲート1032を通過しゲートスイッチ1032aで検出されると、普通図柄表示器1010の表示の可変表示が開始される。この実施例では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器1010における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置1015が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、可変入賞球装置1015の状態は、普通図柄の停止図柄が当り図柄である場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口1014に遊技球が入賞可能な状態)に変化する。普通図柄表示器1010の近傍には、ゲート1032を通過した入賞球数を表示する4つの表示器(例えば、LED)を有する普通図柄保留記憶表示器1041が設けられている。ゲート1032への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ1032aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器1041は点灯する表示器を1増やす。そして、普通図柄表示器1010の可変表示が開始される毎に、点灯する表示器を1減らす。さらに、通常状態に比べて大当りとすることに決定される確率が高い状態である確変状態では、普通図柄表示器1010における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、可変入賞球装置1015の開放時間が長くなり、かつ、開放回数が増加される。すなわち、遊技球が始動入賞しやすくなる(つまり、特別図柄表示器1008a,1008bや演出表示装置1009における可変表示の実行条件が成立しやすくなる)ように制御された遊技状態である高ベース状態に移行する。また、この実施例では、時短状態(特別図柄の可変表示時間が短縮される遊技状態)においても、可変入賞球装置1015の開放時間が長くなり、かつ、開放回数が増加される。
なお、可変入賞球装置1015が開状態となる時間を延長する(開放延長状態ともいう)ことによって、遊技球が始動入賞口に進入しやすくなる(つまり、特別図柄表示器108a,108bや演出表示装置1009における可変表示の実行条件が成立しやすくなる)ように制御された遊技状態である高ベース状態に移行してもよい。
また、可変入賞球装置1015が開状態となる時間を延長するのでなく、普通図柄表示器1010における停止図柄が当り図柄になる確率が高められる普通図柄確変状態に移行することによって、高ベース状態に移行してもよい。普通図柄表示器1010における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)となると、可変入賞球装置1015が所定回数、所定時間だけ開状態になる。この場合、普通図柄確変状態に移行制御することによって、普通図柄表示器1010における停止図柄が当り図柄になる確率が高められ、可変入賞球装置1015が開状態となる頻度が高まる。従って、普通図柄確変状態に移行すれば、可変入賞球装置1015の開放時間と開放回数が高められ、始動入賞しやすい状態(高ベース状態)となる。すなわち、可変入賞球装置1015の開放時間と開放回数は、普通図柄の停止図柄が当り図柄であったり、特別図柄の停止図柄が確変図柄である場合等に高められ、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(始動入賞しやすい状態)に変化する。なお、開放回数が高められることは、閉状態から開状態になることも含む概念である。
また、普通図柄表示器1010における普通図柄の変動時間(可変表示期間)が短縮される普通図柄時短状態に移行することによって、高ベース状態に移行してもよい。普通図柄時短状態では、普通図柄の変動時間が短縮されるので、普通図柄の変動が開始される頻度が高くなり、結果として普通図柄が当りとなる頻度が高くなる。従って、普通図柄が当りとなる頻度が高くなることによって、可変入賞球装置1015が開状態となる頻度が高くなり、始動入賞しやすい状態(高ベース状態)となる。
また、特別図柄や演出図柄の変動時間(可変表示期間)が短縮される時短状態に移行することによって、特別図柄や演出図柄の変動時間が短縮されるので、有効な始動入賞が発生しやすくなり大当り遊技が行われる可能性が高まる。
さらに、上記に示した全ての状態(開放延長状態、普通図柄確変状態、普通図柄時短状態および特別図柄時短状態)に移行させることによって、始動入賞しやすくなる(高ベース状態に移行する)ようにしてもよい。また、上記に示した各状態(開放延長状態、普通図柄確変状態、普通図柄時短状態および特別図柄時短状態)のうちのいずれか複数の状態に移行させることによって、始動入賞しやすくなる(高ベース状態に移行する)ようにしてもよい。
遊技盤1006の遊技領域1007の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾LED1025が設けられ、下部には、入賞しなかった打球が取り込まれるアウト口1026がある。また、遊技領域1007の外側の左右上部には、所定の音声出力として効果音や音声を発声する2つのスピーカ1027R,1027Lが設けられている。遊技領域1007の外周上部、外周左部および外周右部には、前面枠に設けられた天枠LED1028a、左枠LED1028bおよび右枠LED1028cが設けられている。また、左枠LED1028bの近傍には賞球残数があるときに点灯する賞球LED1051が設けられ、右枠LED1028cの近傍には補給球が切れたときに点灯する球切れLED1052が設けられている。天枠LED1028a、左枠LED1028bおよび右枠LED1028cおよび装飾LED1025は、パチンコ遊技機1001に設けられている演出用の発光体の一例である。なお、上述した演出用(装飾用)の各種LEDの他にも演出のためのLEDやランプが設置されている。
また、打球供給皿1003を構成する部材に、遊技者が操作可能な操作手段としての操作部1050が設けられている。操作部1050には、遊技者が押圧操作することが可能とされ、内部にLED(図示略)を内在することで点灯可能な透明樹脂部材から成る押圧操作部が設けられ、その押圧操作部の下方には、押圧操作部の押圧操作を検出するための操作スイッチ(図示略)が設けられている。
遊技機には、遊技者が打球操作ハンドル1005を操作することに応じて駆動モータを駆動し、駆動モータの回転力を利用して遊技球を遊技領域1007に発射する打球発射装置(図示略)が設けられている。打球発射装置から発射された遊技球は、遊技領域1007を囲むように円形状に形成された打球レールを通って遊技領域1007に入り、その後、遊技領域1007を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口1013に入り第1始動口スイッチ1013aで検出されると、第1特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器1008aにおいて第1特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置1009において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の可変表示は、第1始動入賞口1013への入賞に対応する。第1特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
遊技球が第2始動入賞口1014に入り第2始動口スイッチ1014aで検出されると、第2特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器1008bにおいて第2特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置1009において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の可変表示は、第2始動入賞口1014への入賞に対応する。第2特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
主基板1031には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1001を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)1560が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ1560は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM1054、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM1055、プログラムに従って制御動作を行うCPU1056およびI/Oポート部1057を含む。この実施例では、ROM1054およびRAM1055は遊技制御用マイクロコンピュータ1560に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ1560は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともCPU1056のほかRAM1055が内蔵されていればよく、ROM1054は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部1057は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ1560には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路1053が内蔵されている。
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ1560においてCPU1056がROM1054に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ1560(またはCPU1056)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU1056がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板1031以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
乱数回路1053は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路1053は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路1053は、数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能によって、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ1560は、乱数回路1053が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。例えば、ROM1054等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ1560のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ1560の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行なって得られた数値データを、乱数回路1053が更新する数値データの初期値として設定する。そのような処理を行うことによって、乱数回路1053が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。
遊技制御用マイクロコンピュータ1560は、第1始動口スイッチ1013aまたは第2始動口スイッチ1014aへの始動入賞が生じたときに乱数回路1053から数値データをランダムRとして読み出し、特別図柄および演出図柄の変動開始時にランダムRにもとづいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを決定する。そして、大当りとすると決定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。
また、RAM1055は、その一部または全部が電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM1055の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグや合算保留記憶数カウンタの値など)と未払出賞球数を示すデータは、バックアップRAMに保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。なお、この実施例では、RAM1055の全部が、電源バックアップされているとする。
遊技制御用マイクロコンピュータ1560のリセット端子には、電源基板からのリセット信号(図示略)が入力される。電源基板には、遊技制御用マイクロコンピュータ1560等に供給されるリセット信号を生成するリセット回路が搭載されている。なお、リセット信号がハイレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ1560等は動作可能状態になり、リセット信号がローレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ1560等は動作停止状態になる。従って、リセット信号がハイレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ1560等の動作を許容する許容信号が出力されていることになり、リセット信号がローレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ1560等の動作を停止させる動作停止信号が出力されていることになる。なお、リセット回路をそれぞれの電気部品制御基板(電気部品を制御するためのマイクロコンピュータが搭載されている基板)に搭載してもよい。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ1560の入力ポートには、電源基板からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力される。すなわち、電源基板には、遊技機において使用される所定電圧(例えば、DC30VやDC5Vなど)の電圧値を監視して、電圧値があらかじめ定められた所定値にまで低下すると(電源電圧の低下を検出すると)、その旨を示す電源断信号を出力する電源監視回路が搭載されている。また、遊技制御用マイクロコンピュータ1560の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号(図示略)が入力される。
また、ゲートスイッチ1032a、第1始動口スイッチ1013a、第2始動口スイッチ1014aおよびカウントスイッチ1023からの検出信号を遊技制御用マイクロコンピュータ1560に与える入力ドライバ回路58も主基板1031に搭載されている。また、可変入賞球装置1015を開閉するソレノイド1016、および大入賞口を形成する特別可変入賞球装置1020を開閉するソレノイド1021を遊技制御用マイクロコンピュータ1560からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板1031に搭載されている。さらに、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号をホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路(図示略)も主基板1031に搭載されている。
この実施例では、演出制御基板1080に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板1077を介して遊技制御用マイクロコンピュータ1560から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を可変表示する演出表示装置1009との表示制御を行う。
演出制御基板1080は、演出制御用CPUおよびRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板1080において、演出制御用CPUは、内蔵または外付けのROM(図示略)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板1077を介して入力される主基板1031からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバおよび入力ポートを介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPUは、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)に演出表示装置1009の表示制御を行わせる。
演出制御用CPUは、受信した演出制御コマンドに従ってキャラクタROM(図示略)から必要なデータを読み出す。キャラクタROMは、演出表示装置1009に表示されるキャラクタ画像データ、具体的には、人物、文字、図形または記号等(演出図柄を含む)をあらかじめ格納しておくためのものである。演出制御用CPUは、キャラクタROMから読み出したデータをVDP(図示略)に出力する。VDPは、演出制御用CPUから入力されたデータにもとづいて表示制御を実行する。
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板1080において、まず、入力ドライバ(図示略)に入力する。入力ドライバは、中継基板1077から入力された信号を演出制御基板1080の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板1080の内部から中継基板1077への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。
中継基板1077には、主基板1031から入力された信号を演出制御基板1080に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板1080から中継基板1077への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路(図示略)が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。また、単方向性回路は、各信号毎に設けられる。さらに、単方向性回路であるI/Oポート部10571を介して主基板1031から演出制御コマンドおよび演出制御INT信号が出力されるので、中継基板1077から主基板1031の内部に向かう信号が規制される。すなわち、中継基板1077からの信号は主基板1031の内部(遊技制御用マイクロコンピュータ1560側)に入り込まない。なお、I/Oポート部10571は、図35に示されたI/Oポート部1057の一部である。また、I/Oポート部10571の外側(中継基板1077側)に、さらに、単方向性回路である信号ドライバ回路が設けられていてもよい。
さらに、演出制御用CPUは、出力ポート(図示略)を介してランプドライバ基板1035に対してLEDを駆動する信号を出力する。また、演出制御用CPUは、出力ポート(図示略)を介して音声出力基板1070に対して音番号データを出力する。
ランプドライバ基板1035において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ(図示略)を介してLEDドライバ(図示略)に入力される。LEDドライバ(図示略)は、駆動信号を天枠LED1028a、左枠LED1028b、右枠LED1028cなどの枠側に設けられている各LEDに供給する。また、遊技盤側に設けられている装飾LED1025に駆動信号を供給する。なお、LED以外の発光体が設けられている場合には、それを駆動する駆動回路(ドライバ)がランプドライバ基板1035に搭載される。
音声出力基板1070において、音番号データは、入力ドライバ(図示略)を介して音声合成用IC(図示略)に入力される。音声合成用ICは、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路(図示略)に出力する。増幅回路は、音声合成用ICの出力レベルを、ボリュームで設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ1027R,1027Lに出力する。音声データROM(図示略)には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば演出図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
また、演出制御用CPUは、入出力ポートを介して操作部1050に接続されており、該入出力ポートを介して操作部1050内のLED(図示略)を駆動する信号を出力するとともに、操作部1050内の操作スイッチ(図示略)から遊技者の押圧操作に応じて出力される操作信号が入力される。
(主基板ケース)
次に、主基板1031を収容した主基板ケース1200の構造について、図37〜図43にもとづいて説明する。図37は、主基板ケースの構造を示す分解斜視図である。図38は、ベース部材を示す図である。図39は、カバー部材を示す図である。図40は、カバー部材とベース部材とが組み付けられた主基板ケースを示す斜視図である。図41は、(a)はシール保護カバーを示す斜視図であり、(b)は(a)のX−X断面図であり、(c)は(a)のW−W断面図である。図42は、主基板ケースの封印部を封印した状態を示す右側面図であり、(b)は主基板ケースの封印部を示す後面図である。図43は、(a)は図42のV−V断面図であり、(b)は(a)のY−Y断面図である。
尚、主基板ケース1200について、実施例1の基板ケース200と同様の構成部位に関しては、基板ケース200に付与した符号に1000を加算した符号を付与することでその詳細な説明は省略することとする。尚、以下の説明においては、図35に示すようにパチンコ遊技機1001の背面に取り付けられた状態の主基板ケース1200をパチンコ遊技機1001の背面側から見た場合を基準として、主基板ケース1200の上下、左右、前後方向を示すものとする。
主基板ケース1200における実施例1に記載の基板ケース200との主な相違点は、
1.ベース部材1201とカバー部材1202との封止及びパチンコ遊技機1001への取付構造、2.封印シール1400及び封印部1224,1229の構造であり、以下においては、上記1,2について主に説明することとする。図37〜図39に示すように、主基板ケース1200は、ベース部材1201とカバー部材1202とからなり、内部に主基板1031を収容した状態で封止することができるように構成されている。
ベース部材1201の左短辺1201cには、ベース側封印部1229が形成されているとともに、右短辺1201dには、中央にベース側溶着部1207が設けられているとともに、ベース側溶着部1207の上側には、予備用ワンウェイネジ1240bを収容する収容部1600が設けられ、下側には、取付封止用のワンウェイネジ1240aが挿通される取付封止用孔1601が形成されている。
図38に示すように、ベース部材1201の右短辺1201dに形成される右側壁外面には、断面略三角形状をなすとともに右側壁の高さ方向に向けて延設される複数の凹溝1630が、右側壁の長手方向に向けて複数離間配設されている。このような凹溝1630を複数形成して右側壁を脆弱化させることで、該右側壁に形成されたベース側溶着部1207及びカバー側溶着部1223を溶着した封止状態において、例えばベース部材1201とカバー部材1202との間に工具等を不正に差し込んで強引に開封しようとした場合に右側壁が破壊されやすくなる。これにより、該破壊されたベース部材1201を用いて封止状態を再現することができなくなるため、不正行為を抑止することができる。
尚、このような凹溝は、ベース部材1201の右側壁だけでなく、他の側壁や他の部位等に形成してもよいし、あるいはカバー部材1202側に形成してもよいが、特に封止部や溶着部等の近傍等の不正器具が差し込まれやすい箇所に形成することが好ましい。
図39に示すように、カバー部材1202の左側壁1202cには、カバー側封印部1224が形成されているとともに、右側壁1202dには、中央にカバー側溶着部1223が設けられているとともに、カバー側溶着部1223の上側には、予備用ワンウェイネジ1240bを被覆するネジ被覆片1602が設けられ、下側には、取付封止用のワンウェイネジ1240aが挿通される取付封止片1230及び係止片1603が形成されている。尚、ネジ被覆片1602は、閉鎖状態においてベース部材1201の被係止片1602aに係止され、係止片1603は、閉鎖状態においてベース部材1201の被係止片1603aに係止される。
尚、ベース側溶着部1207及びカバー側溶着部1223からなる溶着部及び取付封止用孔1601及び取付封止片1230からなる封止取付部は、形状等が異なるだけで機能的には実施例1の基板ケース200の溶着部及び封止取付部とほぼ同様に構成され、同様の作用・効果を奏するため、ここでの詳細な説明は省略する。
図41及び図43に示すように、ベース側封印部1229は、後貼付面1229aと左下貼付面1229bとからなるベース側貼付面を有し、これら各貼付面1229a,1229bの上下には、位置決め凸条1411,1411及び位置決め角部1412,1412が形成されている。後貼付面1229aには、閉鎖ネジ1226を取り付けるための取付穴1610の一端側に形成される頭部収納用の凹部1610aの開口1610bが臨むように形成されており、閉鎖ネジ1226を該開口1610bから取付穴1610に挿通して取り付けることができるようになっている。
カバー側封印部1224は、左上貼付面1224bのみからなるカバー側貼付面を有し、左上貼付面1224bの上下には、位置決め凸条1421,1421及び位置決め角部1422,1422が形成されている。カバー側封印部1224の後端面には、閉鎖ネジ1226が取り付けられるネジ孔1611が形成されており、取付穴1610に挿通された閉鎖ネジ1226が螺入されるようになっている。
主基板ケース1200の左側面に沿って形成される左下貼付面1229b及び左上貼付面1224bは、ベース部材1201とカバー部材1202とが閉鎖状態となった場合に(図40参照)、主基板ケース1200の左側面に沿って連続する平坦面状の第1貼付面を構成するようになっており、これら各貼付面1229b,1224bからなる第1貼付面の面積は、主基板ケース1200の左側面から側方に突設される後貼付面1229aからなる第2貼付面の面積よりも大とされている。
このように、主基板ケース1200の左側面に対してほぼ平行に配設される第1貼付面を主基板ケース1200のカバー板1202a及びベース板1201aに対してほぼ平行に配設される第2貼付面よりも大きく形成し、かつ、図41に示すように、第1貼付面の周縁が主基板ケース1200の側面の周縁よりも内側に配置されることで、主基板ケース1200の左側面から第2貼付面を側方に向けて大きく突出させなくても、主基板ケース1200の側面の範囲内で第1貼付面を極力大型化することで広いシール貼付面を確保できるため、主基板ケース1200をコンパクト化できるばかりか、アンテナ部406が主基板ケース1200の側方に突出して周辺の装置や部品等に接触しやすくなることを回避できる。
尚、本実施例の主基板ケース1200にあっては、第1貼付面の一部がベース板1201aの左側辺から後面側に向けて突出するように配置されているが、ベース板1201aの左側辺からは、側面の一部を構成する壁部が後面側に向けて突設されており、この壁部の後端辺よりも内側に第1貼付面の後辺が配置されているため、第1貼付面は側面の範囲内に配置されていることになる。つまり、主基板ケース1200の周面に沿って配設される第1貼付面は、該周面の縁部から外側に突出しないようにコンパクトに配設されていれば、周辺の装置や部品等に接触することを回避できる。
また、ベース部材1201とカバー部材1202との境界位置Zを挟んで連続する第1貼付面と、該第1貼付面とは異なる方向を向くとともに開口1610bが形成される第2貼付面とによりシール貼付面が構成され、封印シール1400は境界位置Zと開口1610bとを被覆するように貼付されることで、ベース部材1201とカバー部材1202との組み付けが解除された場合だけでなく、ベース部材1201とカバー部材1202との組み付けを解除するために閉鎖ネジ1226がネジ孔1611から取り外された場合にも痕跡が残るため、封止状態が解除された可能性があることを発見しやすくなるばかりか、第1貼付面と第2貼付面との間に約90度の屈曲部(角部)が形成されるため、封印シール1400を剥離しようとする際に破損が生じやすくなる。
尚、図41に示すように、これら貼付面には、上記実施例1の封印シール400と同様に角部の切欠辺1410を位置決め面1412a,1422aに合致させて貼付することで、開口1610bから露呈する閉鎖ネジ1226の頭部が非アンテナ配置領域にて被覆されることで、封止状態(封印状態)が構成される。また、この封止状態(封印状態)において、アンテナ部1406における発信不可能部(領域R4)をベース部材1201とカバー部材1202との分離部Zとの境界位置に配置されるようにしていることで、カバー部材1202を開封することでアンテナ部1406が確実に破損されてID情報をリーダ装置等により読み取ることができなくなるため、カバー部材1202が開封された可能性があることを容易に発見することができる。
また、主基板ケース1200における封印部1229,1224に形成される封印シール1400の貼付面は、実施例1の貼付面のようにコ字形ではなくL字形とされていることで、左側面に沿って形成される第1貼付面を極力大とすることができ、かつ、アンテナ部406の折り曲げ箇所が2箇所でなく1箇所になるため、ICチップ1405に記憶されたID情報を確実に発信できるようになる。
また、取付穴1610の開口1610bは、図41(b)に示すように封印シール1400における非アンテナ配置領域にて被覆されることで、アンテナ部1406を金属製の閉鎖ネジ1226から極力離間させることができるため、金属製の閉鎖ネジ1226の影響でアンテナ部1406に対して設定された周波数が変化するなどしてリーダ装置へのID情報の発信が阻害されることを回避できる。
シール保護カバー1228は、図42に示すように、第1貼付面の外側を被覆する第1被覆片1620と、第2貼付面の外側を被覆する第2被覆片1621とから略L字形に形成されている。第1被覆片1620の端部側の幅寸法は、該第1被覆片1620の基部側及び第2被覆片1621の幅寸法よりも短寸に形成されている。
第2被覆片1621の上下短辺部からは、前面側に向けて上下一対の弾性係止片1622,1622が延設されており、この弾性係止片1622,1622を、カバー部材1202におけるカバー側封印部1224の上下側部にそれぞれ形成された係止片挿通部1623,1623の後端開口から挿通し、弾性係止片1622,1622の先端に外向きに突設された係止爪1622a,1622aを係止穴1624,1624に係止することで、カバー部材1202に係止することができるようになっている。また、係止穴1624,1624に係止された係止爪1622a,1622aを外側から押圧することで係止状態を簡単に解除することができる。
このようにシール保護カバー1228は、カバー部材1202の後面側から前面側に向けて押し込むことでカバー部材1202に係止することができるようになっている。そして係止された装着状態において、第1被覆片1620及び第2被覆片1621の内面周縁が位置決め凸条1411,1421及び位置決め角部1412,1422それぞれの当接規制面1413,1423に当接することで、第1被覆片1620及び第2被覆片1621の内面側辺部と封印シール1400の表面1400aとの対向面が互いに離間配置されて非接触状態に維持される。よって、シール保護カバー1228を当接規制面1413,1423に当接した状態で前後にスライドさせて封印部1224,1229に対して着脱する際においても、封印シール1400やICタグ1403に接触することがないとともに、装着した状態において、シール保護カバー1228に何らかの外力が付与されても、封印シール1400やICタグ1403に直接伝わることがないので、封印シール1400やICダグ1403の破損が防止される。
また、シール保護カバー1228は、L字形の第1被覆片1620及び第2被覆片1621のみから構成されていることで、カバー部材1202に係止したままでも、ベース部材1201に対してカバー部材1202を開閉可能である。よって、例えば主基板1031の検査を行うために封止状態を解除する際には、被係止部である係止穴1624と係止部としての係止爪1622aとの係止状態を解除することでシール保護カバー1228を簡単に取り外すことができる。また、封止状態を解除するためにシール保護カバー1228を取り外してしても、シール保護カバー1228をカバー部材1202に係止することができるので、シール保護カバー1228の紛失を防止できるばかりか、係止状態のままカバー部材1202を開閉できるので、開閉作業を容易に行うことができる。
また、シール保護カバー1228は、主基板ケース1200のカバー部材1202に対して、後面側から着脱自在に取り付けできる。そして、主基板ケース1200をパチンコ遊技機1に設けられたケース配置位置(図35参照)に配置した(取り付けた)状態(本実施例では、ベース部材1201の後面を配置面に対向させた状態で配置する)において、シール保護カバー1228の第2被覆片1621の後面が該配置面と当接または近接して対向配置されているため、ケース配置位置に配置した状態でシール保護カバー1228をカバー部材1202から取り外そうとしても、第2被覆片1621の後面が配置面に当接規制されて主基板ケース1200から取り外すことができない。
よって、主基板ケース1200をケース配置位置に配置し、前述した取付封止片1230にワンウェイネジ1240aを挿通してケース配置位置に形成された取付部に螺入して取り付けることで、シール保護カバー1228の取り外し方向への移動が配置面との当接により規制され、主基板ケース1200から取り外すことができなくなるため、封印シール1400やICタグ1403への不正行為を効果的に防止できる。
さらに、閉鎖ネジ1226の頭部を収納する凹部1610aの開口1610bは、ベース板1201aに対して平行な第2貼付面に臨むように形成されているため、上記のように主基板ケース1200をパチンコ遊技機1に設けられたケース配置位置(図35参照)に配置した(取り付けた)状態(本実施例では、ベース部材1201の後面を配置面に対向させた状態で配置する)において、開口1610bが配置面に対向配置されるため、ケース配置位置に配置した状態のまま閉鎖ネジ1226を取り外すことは不可能であるため、カバー部材1202を開封することが困難となる。
尚、主基板ケース1200が配置される配置面は、パチンコ遊技機1を構成する構成部位または該パチンコ遊技機1に配設された遊技用部品等、どのような部位で構成されていてもよい。
また、シール保護カバー1228は、主基板ケース1200が配置位置に配置された状態で前記配置面に当接することで取り外しが規制されるものに限定されるものではなく、配置面以外の箇所に配設されたパチンコ遊技機1を構成する構成部位または該パチンコ遊技機1に配設された遊技用部品等により当接規制されてもよい。
(払出基板ケース)
次に、払出制御基板1037を収容した払出基板ケース2200の構造について、図44及び図45にもとづいて説明する。図44は、払出基板ケースの構造を示す分解斜視図である。図45は、(a)は閉鎖状態における払出基板ケースの右側辺中央位置における断面図であり、(b)は閉鎖状態における払出基板ケースの右側辺上下位置における断面図である。
尚、払出基板ケース2200について、主基板ケース1200と同様の構成部位に関しては、主基板ケース1200に付与した符号に1000を加算した符号を付与することでその詳細な説明は省略することとする。尚、以下の説明においては、図35に示すようにパチンコ遊技機1001の背面に取り付けられた状態の払出基板ケース2200をパチンコ遊技機1001の背面側から見た場合を基準として、払出基板ケース2200の上下、左右、前後方向を示すものとする。
図44に示すように、払出基板ケース2200は、ベース部材2201とカバー部材2202とからなり、内部に払出制御基板1037を収容した状態で封止することができるように構成されている。
ベース部材2201の左短辺2201cの下側にはベース側溶着部2207が設けられている。左短辺2201cの上側には予備用ワンウェイネジ2240bを収容する収容部2600が設けられるとともに、その側方には取付封止用のワンウェイネジ2240aが挿通される取付封止用孔2601が形成されている。
カバー部材2202の左側壁2202cの下側にはカバー側溶着部2223が設けられている。左側壁2202cの上側には、閉鎖状態において収容部2600に収容された予備用ワンウェイネジ2240bを被覆するネジ被覆片2602が突設されており、このネジ被覆片2602には、取付封止用のワンウェイネジ2240aが取り付けられる取付封止孔2230が形成されている。
尚、ベース側溶着部2207及びカバー側溶着部2223からなる溶着部及び取付封止用孔2601及び取付封止孔2230からなる封止取付部は、形状等が異なるだけで機能的には実施例1の基板ケース200の溶着部及び封止取付部とほぼ同様に構成され、同様の作用・効果を奏するため、ここでの詳細な説明は省略する。
ベース部材2201の右短辺2201dの上下端部には、カバー部材2202の右側壁2202dに形成された挿通穴2222,2222に挿通可能な上下一対のベース側係止片2203,2203が外向きに突設されている。また、右短辺2201dの中央位置には、カバー部材2202の右側壁2202dから内向きに突出するカバー側係止片2500が挿通可能な係止穴2501が側方に開口して形成されている。
よって、払出基板ケース2200は、図44中矢印で示すようにベース部材2201に対してカバー部材2202をスライド移動させて組み付ける際に、ベース部材2201のベース側係止片2203,2203がカバー部材2202の挿通穴2222,2222に挿通されるだけでなく、カバー側係止片2500がベース部材2201に形成された係止穴2501に挿通して係止される。
このように、ベース部材2201とカバー部材2202とを閉鎖状態に係止する係止片及び係止穴からなる係止手段が、ベース部材2201及びカバー部材2202双方にそれぞれ形成されている。そして、特に一方のベース側係止片2203,2203はケース本体の側辺から外向きに突出され、他方のカバー側係止片2500はケース本体の側辺から内向きに突出されていることで、ベース部材2201にカバー部材2202を組み付けたときに互いに反対方向に突出する係止片が係止穴に挿通して係止されるため、閉鎖状態におけるベース部材2201に対するカバー部材2202の右短辺側の浮き上がりを確実に規制することができ、これにより、ベース部材2201とカバー部材2202との間から針金等の異物を進入させることによる不正行為を防止できる。
また、複数の係止穴をベース部材2201またはカバー部材2202のいずれかにのみ形成することなく、ベース部材2201及びカバー部材2202双方に分散して形成することができるため、ベース部材2201またはカバー部材2202の強度低下を回避することができる。
また、この払出基板ケース2200にも、上記実施例1,2に記載したベース側封印部及びカバー側封印部を設け、これら封印部を封印シールにて封印できるようにしてもよい。
以上説明したように、上記実施例1の基板ケース200(及び実施例2の主基板ケース1200)にあっては、ベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとを溶着により接合することにより形成される封止状態において、非溶着面261bと非溶着面271bとの間(非接合面間)に形成された凹条溝273の上下辺部273a,273a内に凸条263,263が入り込むことで、溶着面間にカッター等の切刃を差し込んで溶着部を分離する際に凸条263,263が邪魔になってことが困難となるばかりか、凸条263,263を切削して溶着部を分離した場合、再度溶着部同士を溶着して封止状態を実現しても、凸条263,263が切除されているか否かを、カバー側溶着板部271の右側面271cに臨むように形成された上下辺部273a,273aの一端開口から目視にて確認できるため、不正に封止状態が解除された可能性があることを発見することができる。
また、基板ケース200及び主基板ケース1200は、スロットマシン1の背板1cに取り付けた可動ベース302やパチンコ遊技機1001の背面等に設けたケース配置面に対してベース部材201,1201の後面を対向させて配置される、つまり可動ベース302の前面やパチンコ遊技機1001の背面に対してカバー側溶着板部271,1271におけるカバー側溶着面271a,1271aの後面(反対側面)を対向させた状態で配置されており、ベース部材201側の非接合面である前面260aに凸条263,263を形成し、カバー部材202側の非接合面であるカバー側溶着面271aの非溶着面271bに凹条溝263を形成していることで、基板ケース200,1200をケース配置位置に配置した状態において、凹条溝273が形成されたカバー側溶着板部271がベース側溶着板部261とケース配置面との間に挟まれて配置されることがないので、基板ケース200,1200をケース配置面に配置したままでも、凹条溝273が形成されたカバー側溶着板部271が破壊されているか否かを容易に確認することができる。
また、基板ケース200にあっては、可動ベース302を第2の回動規制位置Bまで回動させて、基板ケース200の右側辺を前面側に配置することができるので、基板ケース200を筐体1aに取り付けたまま、凸条263,263が切除されているか否かを、カバー側溶着板部271の右側面271cに臨むように形成された上下辺部273a,273aの一端開口から目視にて容易に確認することができる。
また、実施例1,2では、ベース部材201とカバー部材202とを封止状態とするために接合される接合部としてのベース側溶着板部261とカバー側溶着板部271との対向面同士を超音波溶着装置(溶着手段)による溶着にて接合していたが、本発明は溶着手段による溶着にて接合部が接合されるものに限定されるものではなく、例えば接着剤等の接着手段にて接着することにより接合するものであってもよい。
このように接着手段による接着にて接合する場合、封止状態において、凹部としての凹条溝273と凸部としての凸条263,263とが接着により接合されてもよい。
また、実施例1,2では、封止状態において非溶着部261bと非溶着面271bとが互いに離間して配置されていたが、例えば接着手段により溶着面同士を接着する場合等においては、非溶着部261bと非溶着面271bとを互いに当接してもよい。
また、実施例1,2では、凸部としての凸条263,263及び凹部としての凹条溝273は所定長さを有する帯状に形成されていたが、例えば凸部及び凹部は点状(非線状)であってもよく、溶着面の周辺部に複数配置してもよい。さらに、ベース側溶着面261aの周辺部近傍である上下側にのみ、つまり溶着面の周辺部の一部に部分的に凸条263,263が形成されていたが、ベース側溶着面261aの周囲を囲むように枠状の凸条263,263を形成するとともに、カバー側溶着面271aの周囲を囲むように枠状の凹条溝273を形成してもよい。
また、実施例1,2では、第1接合面としてのベース側溶着面261a及び凸部としての凸条263,263が、ベース部材201の側面から外向きに突設されたベース側溶着板部261に形成され、第2接合面としてのカバー側溶着面271a及び凹条溝273がカバー部材202の側面から外向きに突設されたカバー側溶着板部271に形成されていたが、第1接合面及び凸部はベース部材201の任意の箇所に形成してもよく、第2接合面及び凹部はカバー部材202の任意の箇所に形成してもよい。
また、実施例1,2では、凸条263,263がベース側溶着板部261に形成され、凹条溝273がカバー側溶着板部271に形成されていたが、凸条263,263をカバー側溶着板部271に形成し、凹条溝273をベース側溶着板部261に形成してもよい。さらに、ベース側溶着板部261及びカバー側溶着板部271それぞれに凸条263,263及び凹条溝273双方を形成してもよい。
また、実施例1,2では、ベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとの周辺部近傍の非溶着面261b,271bにのみ凸条263,263及び凹条溝273が形成されていたが、これらに加えてベース側溶着面261aとカバー側溶着面271aとの間に凸部及び凹部を形成してもよい。
また、ICタグ403のICチップ405に記憶されているID情報をリーダ装置により読み取ることで、遊技制御基板40の交換等の不正行為が行われた可能性があることを容易に発見できるとともに、閉鎖ネジ226を開口227bから取り外したり、封止状態を解除してカバー部材202を開封すると封印シール400に破損が生じてその痕跡が確実に残るだけでなく、ICタグ403に破損が生じてID情報をリーダ装置等により読み取ることができなくなるため、カバー部材202が開封された可能性があることを容易に発見することができるとともに、取り出したICタグ403を不正に再使用されることが防止される。
尚、実施例1では、閉鎖ネジ226を基板ケース200に取り付けるための開口227bがカバー側貼付面である前貼付面224aに形成されていたが、実施例2の主基板ケース1200のように、ベース側貼付面である後貼付面229a側に開口を形成し、ベース部材201側から閉鎖ネジ226を取り付け、取り外しできるようにしてもよい。逆に、実施例2では、ベース側貼付面である後貼付面1229aに開口1610bが形成されていたが、カバー側貼付面に開口1610bを形成してもよい。あるいは、ベース側貼付面及びカバー側貼付面双方に開口を形成し、いずれの開口からでも閉鎖ネジ226を取り付け、取り外しできるようにしてもよい。
また、実施例1,2では、ベース側貼付面またはカバー側貼付面に閉鎖ネジ226,1226の頭部を収容可能な凹部227a、1610aを形成し、該凹部227a、1610a内に閉鎖ネジ226の頭部を収容した状態で開口部となる開口227b,1610bを封印シール400,1400にて被覆していたが、このような凹部227a、1610aを形成せずに、取付穴227,1610のみをベース側貼付面またはカバー側貼付面に形成してもよい。この場合、閉鎖ネジ226,1226を取付穴227,1610に取り付けた状態において、その頭部がベース側貼付面またはカバー側貼付面上に露呈した状態で配置されるため、開口部となる取付穴227,1610から露呈する露呈部位となる頭部を直接被覆するように封印シール400,1400を貼付すればよい。
また、ベース部材201にカバー部材202に組み付ける組付部材としては、閉鎖ネジ226のようなネジ部材に限定されるものではなく、ベース部材201またはカバー部材のうち一方に形成される挿通部(例えば取付穴227)に挿通され他方に形成される被取付部に係止される係止部(取付部)と、前記挿通部に連通し前記一方のシール貼付部に臨むように形成される開口部に収納される頭部と、からなるラッチ等の係止部材等であってもよい。
また、開口227bを封印シール400にて閉鎖した状態において、金属製の閉鎖ネジ226が収納される開口部(例えば開口227b)を被覆する位置にアンテナ部406を配置しないことにより、金属製の閉鎖ネジ226の影響でアンテナ部406に対して設定された周波数が変化するなどしてリーダ装置へのID情報の発信が阻害されることを回避できる。
また、本実施例1,2の封印シール400,1400にあっては、ICタグ403,1403が一体的に設けられていたが、それぞれ別個であってもよく、その場合、貼付面に配置したICタグを封印シールにより被覆するように貼付すればよい。
また、本実施例1,2の封印シール400,1400にあっては、アンテナ部406,1406が細長帯状をなし、略長方形状の貼付面の対角線上に沿って配置されていたが、アンテナ部406,1406の配置位置は任意であり、長辺部または短辺部のいずれかに沿って配置してもよいし、あるいは貼付面の周縁に沿って枠状に配置してもよく、配置形態は種々に変更可能である。
さらに、封印シール400,1400を貼付するベース側貼付面及びカバー側貼付面の形状は長方形状に限定されるものではなく、円形状や正方形状等、種々に変更可能である。また、ベース側貼付面及びカバー側貼付面の配置位置も基板ケース200,1200の短辺部ではなく、長辺部に配置されていてもよい。
また、上記実施例1,2では、ベース側貼付面とカバー側貼付面とは、ベース部材201とカバー部材202とが組み付けられた閉鎖状態において、互いに連続する一連の貼付面を構成するようになっていたが、互いに離間した状態で配置されてもよいし、ベース側貼付面とカバー側貼付面との間に段部が生じてもよい。また、ベース側貼付面とカバー側貼付面との境界位置はベース部材201とカバー部材202との境界位置と一致していなくてもよい。
また、封止状態において封印シール400の表面400aがシール保護カバー228により保護されることで、封印シール400やICタグ403に直接触れることができなくなるため、封印シール400やICタグ403に対する不正行為を極力防止できるとともに、基板ケース200の遊技機への取り付け、取り外し作業時や使用時等においてICタグに何らかの外力が加わって破損が生じることを回避することができる。
さらに、ベース側封印部229及びカバー側封印部224には、封印シール400を貼付する貼付位置を決定する位置決め部としての位置決め凸条411,421、位置決め角部412、422が突設されていることで、封印シール400を突部に形成された位置決め面411a,421a,412a,422aに付き合せるだけで正確に位置決めできるばかりか、封印シール400の周縁に設けられた当接規制面413,424によりシール保護カバー228が当接支持されることで、封印シール400とシール保護カバー228との対向面を非接触状態に維持することができ、シール保護カバー228に加わった外力が封印シール400やICタグ403に直接伝わることがないので、封印シール400やICダグ403に破損が生じることを防止できる。
尚、上記実施例1,2では、シール保護カバー228,1228はベース部材及びカバー部材の双方またはいずれか一方に着脱自在に装着できるようになっていたが、貼付面に貼付される封印シールの表面を開閉可能に、ベース部材またはカバー部材のいずれか一方に予め設けられていてもよい。
また、シール保護カバー228,1228は透明な合成樹脂材にて構成されているため、被覆した封印シール400,1400の表面をシール保護カバー228,1228を通して視認できるようになっていたが、非透過性部材にて構成されていてもよい。
また、上記実施例1,2では、封印シールの位置決め部が、シール貼付面の周縁に沿って連続して延設される位置決め凸条411,421及び位置決め角部412、422にて構成されていたが、シール貼付面の周縁に沿って所定間隔おきに配設されていてもよい。
また、上記実施例1,2では、封印シール400,1400の4隅の角部全てが斜めに切り欠かれることにより切欠辺410,1410がそれぞれ形成され、これらに対応してシール貼付面の四隅に位置決め面412a,422a、1412a,1422aが配置されていたが、4角の角部のうち、対角線上に対向配置される一対の角部ではなく、少なくとも互いに隣り合う一対の角部に位置決め面412a,422a、1412a,1422aを配置し、封印シール400,1400における位置決め面412a,422a、1412a,1422aに対応する角部に切欠辺410,1410を形成すれば、これら互いに隣り合う一対の切欠辺410,410、1410,1410が互いに異なる方向を向くため、該一対の切欠辺410,410、1410,1410をそれぞれに対応する位置決め面412a,422a、1412a,1422aに合わせて配置するだけで、封印シール400、1400の貼付位置及び貼付方向を確実に決定できる。
さらに、封印シール及びシール貼付面は長方形状に形成されていたが、方形状に形成されていればよく、このような場合において上記一対の切欠辺は、互いに異なる方向を向くように配置されれば、封印シールの位置や向きを一度に決定できるため、四隅の角部のうち対角線上に対向配置される2つの角部に少なくとも形成されていてもよい。また、3つ以上の角部に形成されていてもよい。
また、位置決め部としての位置決め凸条411,421及び位置決め角部412、422の前端面がシール保護カバー228,1228を当接規制する当接規制面413,423、1413,1423とされていたが、封印シールの位置決め部とシール保護カバー228,1228の当接規制面とをそれぞれ別個に設けてもよい。
また、所定の超音波溶接機にて外側溶着突条274及び内側溶着突条275(溶着突部)を溶解してベース側溶着板部261とカバー側溶着板部271とを溶接することにより封止状態が形成された場合、カバー部材201を開封した際にはベース部材201及びカバー部材202双方が確実に破壊され、その痕跡が確実に残るため、不正行為が行われた可能性があることを発見することが可能となるとともに、スロットマシン1やパチンコ遊技機1001等の中古機から同種の基板ケース200を入手しても、新規なベース部材201とカバー部材202とを得ることはできないため、同種の基板ケース200を流用した不正行為を効果的に防止できる。
また、外側溶着突条274及び内側溶着突条275を内部領域Yを囲むように形成することで、均一な溶融状態をもたらすことができ、また安定した溶着強度を得ることが可能になるとともに、溶融温度まで極めて短時間で発熱し、効率良く溶着を行わせることができるばかりか、内部領域Y内の空気が逃がし通路276,277から内部領域Y外に逃げやすくなり、残留したままその周囲が溶着されてしまうことが防止されるので、溶着強度の低下を回避できる。
また、上記実施例1,2では、溶着突部としての外側溶着突条274及び内側溶着突条275がカバー側溶着板部271側に設けられていたが、ベース側溶着板部261側に設けてもよいし、あるいはベース側溶着板部261及びカバー側溶着板部271双方に設けてもよい。
また、上記実施例1,2では、所定長さを有する外側溶着突条274及び内側溶着突条275が、逃がし通路276,277を挟んでその両側に内部領域Yを囲むように枠状(コ字状や円弧状)に配設されていたが、溶着突部は、内部領域Yを囲むように枠状に配設されていれば、外側溶着突条274及び内側溶着突条275のように所定長さを有する帯状に形成されなくてもよく、例えば突起状の溶着突部を内部領域Yの周縁に沿って複数突設してもよい。この場合、隣り合う突起状の溶着突部間に逃がし通路が形成されることになるので、内部領域Yの空気を複数の逃がし通路から効率よく逃すことができる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれることは言うまでもない。
例えば、前記実施例1では、回路基板の一例としての遊技制御基板40を収納するベース部材201とカバー部材202とを開放不能な封止状態とすることができるとともに、可動ベース302に対して取り外し不能な取付状態とすることができる基板ケース200について説明したが、遊技制御基板40以外の演出制御基板90等をこのような基板ケース200に収納してスロットマシン1に取り付けてもよい。
また、前記実施例2では、回路基板の一例としての主基板1031を収納するベース部材1201とカバー部材1202とを開放不能な封止状態とすることができる基板ケース1200や払出基板ケース2202について説明したが、主基板1031や払出制御基板1037以外の演出制御基板1080等をこのような基板ケース1200に収納してパチンコ遊技機1001に取り付けてもよい。