1.第1実施形態
図1に示すように、第1実施形態の遊技機は、パチンコ遊技機1であって、遊技盤2の裏面2a側に、主制御基板(遊技制御基板)5を覆った基板ケース10が配設されている。なお、本明細書中、上下方向および左右方向は、図1に示す遊技盤2の裏面2a側を基準とし、また、前後方向は、遊技盤2の裏面2a側を後方とし、遊技盤2の前面側を前方とする。
基板ケース10は、透明なポリカーボネート等の合成樹脂から形成されており、上縁10aに断面U字状の取付フック11が設けられ、この取付フック11を、盤裏カバー3に配設された二本の取付軸4,4に対して下方側から引っ掛け、下縁10b側を、後方側に移動しないように押え爪片(図示せず)に係止させている。なお、この基板ケース10は、図示しない押え爪片の係止を解除して下縁10b側を後方に引けば、取付軸4回りに後方回転させることができ、主制御基板5の裏面を確認することができる。また、基板ケース10は、盤裏カバー3に対して右方へスライドさせることにより盤裏カバー3から取り外すことができ、基板ケース10を開放すれば主制御基板5を詳しく検査することができる。
また、基板ケース10は、上縁10a側に貫通孔12を有し、この貫通孔12に、主制御基板5に設けられたターミナル部6を配設させている。ターミナル部6は、主制御基板5に各種のリード線を結線させるもので、盤裏カバー3に取り付けられた盤裏カバー蓋3aの下部に覆われている。また、基板ケース10は、左縁10c側に、他のターミナル部6を配設させる貫通孔13や、RAM消去スイッチを配設させる貫通孔14を備えている。
図2に示すように、基板ケース10は、前方側の底側ケース20と後方側の蓋側ケース30とを備えて略箱形状に構成されるとともに、右縁10d側に、封止部40、ICタグ60、及びICタグカバー(カバー部に相当する)70を備えて構成されている。この基板ケース10は、底側ケース20と蓋側ケース30との間に主制御基板5を収納して、後述するように第1の係合手段15及び第2の係合手段16を係合させることにより閉塞され、後述するように封止部40を利用して開放不能に封止されている。また、封止部40の後面にはICタグ60が貼付されており、ICタグ60は、基板ケース10から剥がされないようICタグカバー70により覆われている。
なお、基板ケース10に収納される主制御基板5は、大当たり抽選(即ち、大当たり乱数の取得とその大当たり乱数を用いた判定)や遊技状態の移行など主に利益に関わる制御を行うものである。大当たり抽選は、遊技球の始動口への入賞に対して行われる。主制御基板5には、始動口に入賞した遊技球を検知する始動口スイッチ、大当たり遊技中に大入賞口を開口させる大入賞口ソレノイド、大入賞口に入賞した遊技球を検知する大入賞口スイッチなどが接続される。この主制御基板5は、図4に示すように、裏面5a(実装面5bの反対側の面)を底側ケース20側に向けて、蓋側ケース30に固定されている。
図3に示すように、底側ケース20は、略長方形板状の底壁部22を有し、底壁部22の周縁からは、略筒形状の側壁部23が延設されている。側壁部23は、上壁部24、下壁部25、左壁部26、右壁部27を有して構成されている。
また、図3に示すように、蓋側ケース30は、略長方形板状の天井壁部32を有し、天井壁部32の周縁から、略筒形状の側壁部33が延設されている。側壁部33は、上壁部34、下壁部35、左壁部36、右壁部37を有して構成されている。なお、基板ケース10の閉塞状態では、天井壁部32は、底壁部22と前後方向で略平行に対向し、また、側壁部33は、側壁部23に接近する。
両上壁部24,34及び両下壁部25,35には、図2及び図3に示すように、第1の係合手段15及び第2の係合手段16が形成されている。
第1の係合手段15は、図2〜4に示すように、両上壁部24,34及び両下壁部25,35に、それぞれ、三箇所ずつ形成されている。具体的には、底側ケース20の上壁部24と下壁部25に、L字状の挿入溝15bを有した係止フック部15aが形成され、蓋側ケース30の上壁部34と下壁部35に、係止ピン15cが形成されている。
ここで、基板ケース10の閉塞について説明すれば、基板ケース10の閉塞は、図4に示すように、蓋側ケース30を底側ケース20に対して嵌め合わせ、係合方向(右方向)へスライドさせることにより行われる。このとき、第1の係合手段は、図5のA〜Cに示すように、係止ピン15cを、挿入溝15bに挿入させて係止フック部15aに係止させることにより係合する。なお、実施形態では、図5のAに示す状態、すなわち、蓋側ケース30が底側ケース20と分離している状態を、基板ケース10の分離状態といい、図5のBに示す状態、すなわち、蓋側ケース30の係止ピン15cを底側ケース20の挿入溝15b内に挿入させた状態を、基板ケース10の係合開始状態といい、図5のCに示す状態、すなわち、係合開始状態から蓋側ケース30を係合方向(右方向)にスライドさせて、係止ピン15cを係止フック部15aに係止させた状態を、基板ケース10の係合完了状態という。
第2の係合手段16は、図2〜4に示すように、底側ケース20の上壁部24及び下壁部25に形成された凸形状の嵌合部16aと、蓋側ケース30の上壁部34及び下壁部35に形成された凹形状の嵌合部16bとで構成され、基板ケース10が係合開始状態から係合完了状態となる際に、両嵌合部16a,16bが相互に嵌合して、蓋側ケース30の係合解除方向(左方向)への移動が規制されるように構成されている。なお、これらの嵌合部16a,16bは、強い力で蓋側ケース30を係合解除方向へ移動させれば、嵌合の解除が可能である。
封止部40は、図3及び図6に示すように、蓋側ケース30に配設される蓋側封止部42と、底側ケース20に配設される底側封止部52とを備え、両封止部42,52を相互に締結することにより、蓋側ケース30を底側ケース20に対して開き不能に封止するものである。
蓋側封止部42は、ホルダ部43と、ロックピン48とを備え、図3に示すように、蓋側ケース30の右縁側に設けられた略長方形筒形状の蓋側収納部38内に配設されている。
ホルダ部43は、図3に示すように、略円筒形状に形成され、蓋側収納部38の上壁部38aと、蓋側収納部38の下壁部38bとに対して、外周面43bから板状の連結片部(切断部に相当する)45,46を伸ばして、蓋側ケース30に連結支持されている。
また、ホルダ部43には、図6に示すように、ロックピン48が嵌挿される嵌挿孔44が形成されている。嵌挿孔44は、ホルダ部43を前後方向に貫通して形成されており、後方側から順に、六角柱穴状の大径部44aと、大径部44aより小径の円柱穴状の中径部44bと、中径部44bより小径の円柱穴状の小径部44cとにより構成され、小径部44cには、後述するロックピン48の軸部49bが嵌挿される。
ロックピン48は、図6に示すように、金属製とされ、ピン本体49と支持リング50とを備えている。ピン本体49は、後端側の円板状の頭部49aと、頭部49aから前方に延びる小径円柱状の軸部49bとを備えている。軸部49bは、外径寸法dを嵌挿孔44の小径部44cの内径寸法Dと略等しくして形成されており、ロックピン48は、ホルダ部43に摺動可能に保持されている。軸部49bの先端部49cには、環状溝49dが設けられて、円板状の支持リング50が嵌められている。
支持リング50は、基板ケース10を封止する際、ホルダ部43と後述する底側封止部52の嵌合部53との間で位置規制されて、内周縁を軸部49bの外周面に食い込ませ、ロックピン48が引き抜かれるのを規制する。
底側封止部52は、図6に示すように、ロックピン48が嵌挿される嵌合部53を備え、図3に示すように、底側ケース20の右縁側に設けられた略長方形筒形状の底側収納部28内に配設されている。
嵌合部53は、ホルダ部43の形状にあわせて略円筒形状に形成され、図6に示すように、後方側だけに開口して前方側に延びる嵌合孔54を備えている。嵌合孔54は、ピン本体49の先端部49c側を圧入可能な小径部54bと、小径部54bの開口周縁に配設されて、支持リング50を収納可能な大径部54aとを備えている。
また、嵌合部53は、図3及び図6に示すように、底側収納部28の右壁部28a(底側ケース20の右壁部27と共用)と、底側収納部28の左壁部28bとに対して、外周面53aから連結片部55,55を伸ばすとともに、底側収納部28に対して天板部56を伸ばして、底側ケース20に連結支持されている。
ここで、基板ケース10の封止について説明すれば、基板ケース10の封止は、図6のA,Bに示すように、ロックピン48を、ホルダ部43から嵌合部53に跨がるように押し込んでかしめ、軸部49bを、ホルダ部43の小径部44cと嵌合部53の小径部54bとに跨がるように配置して、蓋側封止部42と底側封止部52とを締結することにより行われる。これにより、蓋側ケース30の係合解除方向へのスライドが規制され、基板ケース10は開放不能に封止される。
なお、ホルダ部43の嵌挿孔44には、基板ケース10の封止後にロックピン48を引き抜くことができないように、後方からキャップ57が外れ不能に嵌入される。これにより、蓋側封止部42を破壊等して基板ケース10の封止を解除しない限り、基板ケース10を開放することは不可能とされる。
ICタグ60は、図7に示すように、ベースシール61にチップ部62とアンテナ部63とを設けて構成されている。ベースシール61は、表面が「開封禁止」と印字された装飾面61aとされ、裏面が粘着面61bとされている。ベースシール61には、図示しない多数のスリットや薄肉部が設けられており、小さい応力で破れるよう構成されている。
ベースシール61における粘着面61bには、識別情報が格納されたチップ部62とチップ部62から相互に逆方向に延びる長尺状のアンテナ部63が配置されている。チップ部62の識別情報は、アンテナ部63から発信可能とされ、ICタグリーダにより受信して読み取ることができる。
ICタグ60は、図8に示すように、蓋側収納部38の後面38eに貼付される。詳しくは、ICタグ60は、図8に示すように、ホルダ部43の後面43aにチップ部62を位置させ、下方側の連結片部45の後面45aにアンテナ部63の一端側部63aを位置させ、上方側の連結片部46の後面46aにチップ部62を挟んでアンテナ部63の一端側部63aと反対となる他端側部63bを位置させて、蓋側収納部38の後面38eに、周縁部60aがかかるように貼付されている。
図3及び図8,9に示すように、蓋側ケース30の天井壁部32には、ICタグ60を剥がれ不能に覆うICタグカバー70が取り付けられている。ICタグカバー70は、後壁部71と右壁部82とを備えて、下方から見て略L字形状に構成されている。後壁部71の左端にはヒンジ機構72が形成されており、ICタグカバー70は、このヒンジ機構72により、蓋側ケース30の天井壁部32に対して回動可能に取り付けられている。詳述すれば、ICタグカバー70は、後壁部71の左端に設けられた上下方向に沿う回転軸72を、天井壁部32に設けられた2つの挿通部32a,32aに挿通させて天井壁部32に取り付けられており、この回転軸72を中心に回動可能となっている。
後壁部71は、図8,9に示すように、ICタグカバー70を閉めた状態(図9に示す状態)において、後方から見て、蓋側封止部42の後面の形状に合わせて肉抜きされている。すなわち、後壁部71は、ICタグカバー70を閉めた状態において、ホルダ部43の後面43a、連結片部45,46の後面45a,46a、及び蓋側収納部38の後面38eと、前後方向において重なる部位のみを肉部74として有し、蓋側封止部42において肉抜きされていた部位と前後方向において重なる部位を肉抜き部75として切り欠いて構成されている。なお、ICタグカバー70を閉じた状態おいて、肉抜き部75からは、ICタグ60の装飾面61aの一部が視認される。
肉部74は、ICタグカバー70の閉じ状態において、ホルダ部43と前後方向で重なる円盤部76と、連結片部45,46と前後方向で重なる連結部77,77と、蓋側収納部38と前後方向で重なる周壁部78から構成されている。円盤部76及び連結部77,77は、ICタグ60が蓋側ケース30に貼付されているためにホルダ部43及び連結片部45,46が後方から目視できない場合において、ホルダ部43及び連結片部45,46の位置を示す作用を奏する。すなわち、円盤部76及び連結部77,77はホルダ部43及び連結片部45,46と前後方向で重なっていることから、基板ケース10を開放しようとする者は、円盤部76及び連結部77,77を目安として、ホルダ部43及び連結片部45,46の位置を認識することができる。このように実施形態では、円盤部76と連結部77,77とは、ホルダ部43及び連結片部45,46の位置を示す指標部79として機能している。そして、後壁部71の肉抜き部75からICタグ60を破りながらニッパなどの破断治具を挿入すれば、連結部77,77とともに連結片部45,46を切断することができる。周壁部78は、蓋側収納部38の後面38eとの間にICタグ60の周縁部60aを挟持する。これにより、ICタグ60は蓋側ケース30から剥がれるのを防止される。
右壁部82は、後壁部71の右端から前方へ向けて延設されており、前端には、ICタグカバー70を蓋側ケース30に対して離脱不能に係着させるための係合片部83,83が形成されている。係合片部83,83は、図9に示すように、ICタグカバー70を閉じたとき、蓋側収納部38の右壁部38c(蓋側ケース30の右壁部37と共用)に設けられた被係合孔部39,39に離脱不能に係合する。すなわち、ICタグカバー70を図8図示矢印aの方向に回動させて閉じれば、図9に示すように、係合片部83,83は撓んで被係合孔部39,39に嵌合し、係合片部83,83の係止爪部83a,83aが蓋側収納部38の右壁部38cの内周面38fにかかる(図9図示断面図参照)。これにより、係合片部83,83は被係合孔部39,39から抜け不能となる。このように、ICタグカバー70は、一旦係合片部83,83を被係合孔部39,39に係合させると、その係合を解除することができないよう、すなわち、蓋側ケース30に対して所謂嵌め殺しとなるよう構成されている。なお、ICタグカバー70を閉めるときに、係合片部83,83が被係合孔部39,39に係合されるのは、係合片部83,83のみならずICタグカバー70全体が撓むためであり、一方、ICタグカバー70を外すときに、係合片部83,83が被係合孔部39,39から外れることができないのは、係合片部83,83のみの撓みでは被係合孔部39,39との係合を解除可能な量の撓みとはならないためである。
なお、図9に示すように、ICタグカバー70を閉じた状態では、ICタグカバー70の円盤部76と連結部77とによって蓋側封止部42も覆われることになる。よって、ICタグカバー70の円盤部76と連結部77とを切除しなければ、蓋側封止部42の連結片部45,46を切断することができないため、基板ケース10から蓋側封止部42を切除することができない。このように実施形態では、ICタグカバー70の円盤部76と連結部77とは、蓋側封止部42の切除を規制する規制部80として機能している。また、底側封止部52は、底側収納部28の内周面から、底壁部22と略平行となるように延設された天板部56によって、底側収納部28に連結されているため、基板ケース10の前方からは、天板部56が妨げとなってニッパなどの破断治具を挿入することはできない。よって、実施形態の基板ケース10では、底側ケース20側から、蓋側封止部42を取り除くことはできないようになっている。
次に、基板ケース10の開放について、図10に基づいて説明する。主制御基板5が不正な制御基板に変更されていないか検査するために、基板ケース10を開放する場合、蓋側封止部42を、蓋側収納部38から切除して、封止部40による基板ケース10の封止を解除する必要がある。
具体的には、基板ケース10を開放する場合には、ホルダ部43から延びる二本の連結片部45,46を分断して、蓋側封止部42と蓋側収納部38との連結を断った後、蓋側封止部42を取外方向(後方)PU(図10参照)へ移動させて、ロックピン48(図9参照)を嵌合孔54(図9参照)から引き抜き、蓋側封止部42を蓋側ケース30から取り除く。
ここで、蓋側封止部42の後方には、ICタグ60が貼付されているとともに、そのさらに後方から、ICタグカバー70が覆っているため、そのままでは蓋側封止部42を切除することができない。そのため、連結片部45,46を切断する場合には、ICタグカバー70の後壁部71の肉抜き部75から破断治具を挿通し、破断治具がICタグ60を破り抜けてホルダ部43から延びる連結片部45,46に至るまで破断治具を挿通させて、それぞれの連結部77,77における円盤部76に近い側の2か所を切断するとともに、それぞれの連結片部45,46におけるホルダ部43に近い側の2か所を切断する。そして、切断したホルダ部43を円盤部76とともに、後方PUへ引き上げれば、基板ケース10の封止は解除される。
さらにこのとき、ICタグ60のアンテナ部63は、チップ部62を挟んで2箇所(アンテナ部63における一端側部63aと他端側部63bの二箇所)で切断される。アンテナ部63を切断してICタグ60を確実に読み取り不能とするためには、アンテナ部63を2箇所以上で切断することが必要とされているため、これによりICタグ60は確実に読み取り不能となる。また、ICタグ60のチップ部62は、ホルダ部43と円盤部76とに挟持されて一緒に切除される。
このようにして基板ケース10の封止を解除した後で、蓋側ケース30を、係合解除方向(図4参照)へスライドさせ、さらに、基板ケース10が分離状態(図5A参照)となるように移動させれば、基板ケース10を開放することができる。なお、封止されていた基板ケース10を一度開放させると、切断された形跡の残る封止部40と、読み取り不能となったICタグ60とが、基板ケース10を開放したことの痕跡として残るため、仮に不正行為による基板ケース10の開放があった場合には、この痕跡により不正行為があったことを発見することができる。
以上説明したように、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、蓋側ケース30を底側ケース20に取り付ける構成の基板ケース10であって、内部に主制御基板5を収納する基板ケース10を備え、基板ケース10は、蓋側ケース30と底側ケース20とを開放不能に封止する封止部40であって、基板ケース10から切除可能な封止部40を備えている。そして、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、固有の識別情報を記憶するチップ部62と、チップ部62に記憶されている識別情報を送信可能なアンテナ部63とを有するICタグ60を備え、ICタグ60は、封止部40(蓋側封止部42)を基板ケース10から切除するとき、識別情報を送信不能に破断されるように、封止部40近傍に貼付されている。
したがって、封止部40を基板ケース10から切除すれば、ICタグ60が確実に読み取り不能(識別情報を送信不能)となるとともに、基板ケース10が開放可能となる。よって、ICタグ60と封止部40による不正防止効果(開放時の痕跡性)を保ちながら、基板ケース10を開放するために必要な作業を簡単化することができる。
なお、封止部40の切除とは、基板ケース10の封止が解除されるのであれば、必ずしも封止部40全体を切除する必要はなく、一部のみを切除するものも含むものとする。この点、第1実施形態では、封止部40を構成する蓋側封止部42及び底側封止部52のうち、蓋側封止部42のみを切除することとしている。
また、第1実施形態の遊技機1では、封止部40は、蓋側ケース30と底側ケース20との封止を解除する際に切断される2つの切断部(連結片部45,46)を介して基板ケース10に設けられ、ICタグ60は、一の切断部(連結片部45)に、アンテナ部63の一端側部63aを位置させ、かつ、連結片部45とは異なる他の切断部(連結片部46)に、チップ部62を挟んでアンテナ部63の一端側部63aとは反対側に配置されたアンテナ部63の他端側部63bを位置させて、封止部40近傍に貼付されている。
したがって、基板ケース10を開放して不正行為がなされてないかチェックする際には、連結片部45,46を切断すれば、封止部40(蓋側封止部42)が切除可能となるとともに、ICタグ60のアンテナ部63も一緒に切断されるため、ICタグ60を確実に読み取り不能として、基板ケース10を開放可能にすることができる。
また、第1実施形態の遊技機1では、基板ケース10は、ICタグ60を剥がれ不能に覆うICタグカバー(カバー部)70を備え、ICタグカバー70は、ICタグ60を覆った状態において、封止部40(蓋側封止部42)の切除を規制する規制部80(円盤部76、連結部77,77)を備え、規制部80は、ICタグ60が連結片部(切断部)45,46を覆うように封止部40近傍に貼付された状態において連結片部45,46の位置を示すとともに、連結片部45,46と共に切断可能とされている。
したがって、封止部40近傍にICタグ60が貼付されて連結片部(切断部)45,46が目視できない状態となっても、ICタグカバー70が有している規制部80を目安にして、連結片部45,46の位置を認識することができるため、連結片部45,46を探す手間なく、手際よく基板ケース10の封止を解除できる。また、規制部80は、連結片部45,46とともに切断できるため、ICタグカバー70がICタグ60を覆った状態のままで(すなわち、ICタグカバー70を破壊等せずとも)、規制部80、ICタグ60、及び、連結片部45,46をまとめて切断することができ、一度の作業で、ICタグ60を確実に読み取り不能にするとともに基板ケース10を開放可能にすることができる。
また、第1実施形態の遊技機1では、ICタグカバー70は、ICタグ60を覆った状態において、蓋側ケース30に対して離脱不能に係着されている。
したがって、ICタグカバー70でICタグ60を覆った後は、ICタグカバー70を取り外すことができなくなるため、不正を行おうとする者によって、ICタグ60を剥がすためにICタグカバー70が外されることがない。よって、ICタグ60を破れないように巧妙に剥がして不正が行われるのを防止することができる。また、ICタグカバー70は、蓋側ケース30と底側ケース20とに跨ることなく、蓋側ケース30のみに係着されているので、ICタグカバー70が蓋側ケース30と底側ケース20との開きを規制してしまうことがない。よって、ICタグ60をICタグカバー70で覆ったとしても、基板ケース10の開放までにかかる作業数が増加しない。
2.第2実施形態
次に、図11〜図13に基づいて、第2実施形態の遊技機(パチンコ遊技機)1Aにおける基板ケース10Aについて説明する。上述した第1実施形態のパチンコ遊技機1における基板ケース10では、2つの連結片部45,46により蓋側収納部38にホルダ部43が連結され、連結片部45,46の後面45a,46aに、ICタグ60のアンテナ部63が位置するようにICタグ60を貼付したが、第2実施形態のパチンコ遊技機1Aにおける基板ケース10Aでは、ホルダ部43Aが1つの連結片部(切断部に相当する)45Aのみによって蓋側ケース30に連結され、連結片部45Aの後面45AaにICタグ60のチップ部62が位置するようにICタグ60が貼付される。なお、第2実施形態のパチンコ遊技機1Aにおいて、第1実施形態のパチンコ遊技機1と同様の構成については、第1実施形態のパチンコ遊技機1と同様の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態のパチンコ遊技機1Aは、図11に示すように、基板ケース10Aを備え、基板ケース10Aは、蓋側ケース30と底側ケース20とを開放不能に封止する封止部40Aを備えている。封止部40Aは、第1実施形態と同様、蓋側封止部42Aと底側封止部52とをロックピン48(図13参照)によって締結することにより、基板ケース10Aを封止するものである。
蓋側封止部42Aは、ホルダ部43Aを備え、ホルダ部43Aは、蓋側収納部38Aの左壁部38Adに対して、外周面43Abから連結片部(切断部に相当する)45Aを延ばして、蓋側ケース30に設けられている。
ICタグカバー90は、第1実施形態と同様、ヒンジ機構92により、蓋側ケース30の天井壁部32に回動可能に取り付けられている。ICタグカバー90は、後壁部91、右壁部102、および前壁部105を備える。後壁部91は、ホルダ部43Aの後面43Aa、連結片部45Aの後面45Aa、及び蓋側収納部38Aの後面38Aeと前後方向で重なる部位を肉部94とし、その他の部分を肉抜き部95としている。肉部94は、ホルダ部材43Aと重なる円盤部96と、連結片部45Aと重なる連結部97とを備えている。右壁部102は、前後方向に沿って伸びて後壁部91と前壁部105とを連結しており、前後方向の長さ寸法は、蓋側収納部38Aの右壁部38Acの前後方向の長さ寸法と略一致する。前壁部105は、右壁部102の前端から後壁部91と略平行に対向するように伸び、左端には、前後方向に沿う方向へ伸びる係合片部106が設けられている。係合片部106は、蓋側収納部38Aの右壁部38Acにおける前面側に設けられた被係合孔部39Aに対して、外れ不能に係合する。すなわち、ICタグカバー90は、蓋側ケース30に対して所謂嵌め殺しとなるように構成されている。
この基板ケース10Aは、第1実施形態の基板ケース10と同様、封止部40Aを利用して、基板ケース10Aを封止した後、図12Aに示すように、蓋側収納部38Aの後面38Aeから天井壁部32の後面に渡って、ICタグ60が貼付される。具体的には、ICタグ60は、チップ部62を連結片部45Aの後面45Aaに位置させて、蓋側収納部38Aの後面38Aeから天井壁部32の後面に渡って貼付される。
ICタグ60を貼付した後、図12Bに示すように、ICタグ60は、ICタグカバー90によって、剥がれ不能に覆われる。一旦ICタグカバー90が閉じられると、図13に示すように、係合片部106が被係合孔部39Aに外れ不能に係合する、すなわち、ICタグカバー90が、蓋側ケース30に離脱不能に係着される。ICタグカバー90が閉じられた状態では、ICタグカバー90の円盤部96と連結部97とは、蓋側封止部42Aと前後方向で重なるため、蓋側封止部42Aが蓋側ケース30から切除されるのを規制する規制部100として機能する。また、ICタグカバー90が閉じられた状態では、ICタグ60は連結片部45Aの後面に貼付されているため、後方から連結片部45Aを目視することができないが、ICタグカバー90の円盤部96及び連結部97は、蓋側封止部42Aと前後方向で重なっており後方から目視できるため、基板ケース10を開放しようとする者に対して連結片部45Aの位置を認識させる指標部99として機能する。
そして、このようにして封止部40Aにより封止され、ICタグ60が貼付されて、ICタグカバー90が閉じられた基板ケース10Aは、次のようにして開放される。
すなわち、ICタグカバー90の肉抜き部95(図12B参照)から、ニッパなどの破断治具を、ICタグ60を破り抜けて連結片部45Aに至るまで挿通させ、連結部97、ICタグ60のチップ部62、連結片部45Aを共に切断する(図13図示二点鎖線参照)。これにより、封止部40Aが基板ケース10Aから切除されるのを規制している規制部100(円盤部96及び連結部97)と、基板ケース10Aを封止している蓋側封止部42Aとを、基板ケース10Aから同時に切除することができ(図13図示二点鎖線参照)、基板ケース10Aを開放可能にすることができる。さらに、連結部97および連結片部45Aを切断する際に、連結部97と連結片部45Aとに挟まれて位置しているICタグ60のチップ部62が、ニッパなどの破断治具により破壊されるため、ICタグ60は確実に読み取り不能となる。
以上説明したように、第2実施形態の遊技機1Aでは、封止部40Aは、蓋側ケース30と底側ケース20との封止を解除する際に切断される切断部(連結片部45A)を介して基板ケース10Aに設けられ、ICタグ60は、切断部(連結片部45A)にチップ部62を位置させて、封止部40近傍に貼付されている。
したがって、基板ケース10Aを開放して不正行為がなされてないか検査する際には、切断部(連結片部45A)を切断すれば、封止部40Aが基板ケース10Aから切除可能となるとともに、ICタグ60のチップ部62も一緒に破壊されるため、ICタグ60を確実に読み取り不能として、基板ケース10Aを開放可能にすることができる。
3.変更例
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない限りにおいて種々の構成を採り得る。
例えば、実施形態では、封止部40は、ホルダ部43と嵌合部53とに跨るようにロックピン48を嵌挿させることにより、基板ケース10を開放不能に封止する構成としたが、ワンウェイネジなど、他の締結手段により、基板ケース10を開放不能に封止する構成としてもよい。
また、実施形態では、蓋側封止部42のみを基板ケース10から切除すれば、基板ケース10の封止が解除されるよう構成したため、ICタグ60を蓋側ケース30に貼付し、ICタグカバー70は蓋側ケース30に対して外れ不能に係着される構成としたが、底側封止部54を切除すれば基板ケース10の封止が解除される構成とした場合には、ICタグ60を底側ケース20に貼付し、ICタグカバー70は底側ケース20に対して外れ不能に係着されるよう構成する。
また、実施形態では、ICタグカバー70は、蓋側ケース30に対して回動可能に取り付けられている構成としたが、蓋側ケース30及び底側ケース20とは別体のICタグカバー70を蓋側ケース30又は底側ケース20に対して外れ不能に係着させる構成としてもよい。
なお、各実施形態では、遊技機を、パチンコ遊技機1,1Aとして説明したが、スロットマシンなど他の遊技機により構成してもよい。