しかしながら、上記従来の第1の制御基板ケースおよび従来の第2の制御基板ケースのように、ICタグシール自体に予め切断個所を設けたり、ICタグシール自体の強度を予め低いものに設定して、不正行為者がICタグシールにアクセスした際に、簡単にICタグシールが破断等するように構成した場合には、そもそもICタグシール貼り付け時に当該ICタグシールが破断してしまい、不正行為が行われる前にICタグシールの機能が失われ、不正行為の事実の有無を検知するという目的を果たすことができなくなるという問題があった。これは、上記従来の第2の制御基板ケースのように両貼付部を跨るようにICタグシールを折り曲げて貼り付ける場合には、ICタグシールに負荷がかかるため特に顕著な問題となる。
また、仮に破断せずにICタグシールを貼り付けることができたとしても、当該ICタグシールが、制御基板ケースに剥き出しの状態で貼り付けられているため、制御基板ケースを遊技機に搭載する時や、何らかの点検等を行う際の接触などによって、前記ICタグシールが簡単に破断してしまうとゆう問題があった。
これは、発明の究極の目的が、ICタグシールが破断したこと自体を検知することではなく、不正行為者の不正な行為によってICタグシールが破断されたことを検知することであることを考えると、本末転倒な結果となる。
また、制御基板ケースへの不正開放または不正操作によって破断した前記ICタグシールの1箇所を丁寧に調整することによりICチップ部またはおよび送受信アンテナ部が修復された場合に、前記制御基板ケースへの不正開放または不正操作をリーダーによって検知出来ないという問題もあった。
そこで本発明者らは、内部に制御基板が格納される制御基板ケースであって、ICタグシール貼付部がそれぞれに形成され、互いに分離可能な複数のケース体と、前記ICタグシール貼付部間を跨ぐように張り付けられ、ICチップとアンテナとを備えるICタグシールと、前記ICタグシール貼付部の係止位置に形成された被係止部に係止部が係止され、当該ICタグシール貼付部を包囲して前記ICタグシールを保護する保護ケースと、前記保護ケース内の一部に配設され、前記保護ケースを取り外す際に前記ICタグシールを切断するICタグシール切断手段とを備え、前記ICタグシール切断手段が、前記保護ケースを取り外すために前記ICタグシール貼付部の前記係止位置から前記保護ケースが引き抜かれた際に前記ICタグシールの少なくとも一部を切断するように構成するという本発明の技術的思想に着眼して、さらに研究開発を重ねた結果、通常時には、ICタグシールを外部との接触およびアクセスから保護するとともに、前記保護ケースが引き抜かれたときには、不正行為が行われた可能性があることを適確に把握するという目的を達成する本発明に到達した。
また本発明者らは、内部に制御基板が格納される制御基板ケースであって、ICタグシール貼付部がそれぞれに形成され、互いに分離可能な複数のケース体と、前記ICタグシール貼付部間を跨ぐように張り付けられ、ICチップとアンテナとを備えるICタグシールと、前記ICタグシール貼付部の係止位置に形成された被係止部に係止部が係止され、当該ICタグシール貼付部を包囲して前記ICタグシールを保護する保護ケースと、前記保護ケース内の一部に配設され、前記保護ケースを取り外す際に前記ICタグシールを切断するICタグシール切断手段とを備え、前記ICタグシール切断手段が、前記保護ケースを取り外すために前記ICタグシール貼付部の前記係止位置から前記保護ケースが引き抜かれた際に前記ICタグシールの少なくとも2箇所を切断するように構成するという本発明の技術的思想に着眼して、さらに研究開発を重ねた結果、ICタグシール切断後に切断面を綺麗に元に戻された場合でも、ICタグシールの切断事実の有無を確実に検知し、制御基板に対する不正行為が行われた可能性があることを適確に把握するという目的を達成する本発明に到達した。
本発明(請求項1に記載の第1発明)の制御基板ケースは、
内部に制御基板が格納される制御基板ケースであって、
ICタグシール貼付部がそれぞれに形成され、互いに分離可能な複数のケース体と、
前記ICタグシール貼付部間を跨ぐように張り付けられ、ICチップとアンテナとを備えるICタグシールと、
前記ICタグシール貼付部の係止位置に形成された被係止部に係止部が係止されることにより装着され、当該ICタグシール貼付部を包囲して前記ICタグシールを保護する保護ケースと、
前記保護ケース内の一部に配設され、前記保護ケースを取り外す際に前記ICタグシールを切断するICタグシール切断手段とを備え、
前記ICタグシール切断手段が、前記保護ケースを取り外すために前記ICタグシール貼付部の前記係止位置から前記保護ケースが装着の際と同一経路にて引き抜かれた際に前記ICタグシールの少なくとも一部を切断するように構成されている
ものである。
本発明(請求項2に記載の第2発明)の制御基板ケースは、
前記第1発明において、
前記ICタグシール切断手段が、前記ICタグシールの少なくとも2箇所を切断する
ものである。
本発明(請求項3に記載の第3発明)の制御基板ケースは、
前記第1発明または前記第2発明において、
前記ICタグシール切断手段が、前記被係止部に前記保護ケースが係止される時に前記ICタグシールに当接する当接部位に平坦部が形成されるとともに、前記被係止部から前記保護ケースが引き抜かれる時に当接する当接部位にICタグシールを切断する切断部が形成されている
ものである。
本発明(請求項4に記載の第4発明)の制御基板ケースは、
前記第3発明において、
前記平坦部と前記切断部が、前記保護ケースと一体成形されている
ものである。
本発明(請求項5に記載の第5発明)の制御基板ケースは、
前記第4発明において、
前記保護ケースの一部に前記保護ケースのその他の部分に対して外方に向かって可動自在の可動部が形成され、
前記ICタグシール切断手段が、前記可動部の内面から内方に向かって突設されている
ものである。
本発明(請求項6に記載の第6発明)の制御基板ケースは、
前記第3発明において、
前記ICタグシール切断手段が、前記被係止部に前記保護ケースが係止される時に前記ICタグシールに当接する当接部位に平坦部が形成されるとともに、前記被係止部から前記保護ケースが引き抜かれる時に当接する当接部位にICタグシールを切断する切断部が形成された切断部材によって構成されている
ものである。
本発明(請求項7に記載の第7発明)の制御基板ケースは、
前記第6発明において、
前記切断部材が、前記保護ケースの内壁に対して倒立動自在な倒立部材によって構成され、
前記保護ケースを前記ICタグシール貼付部に取り付ける際には前記ICタグシール貼付部に当接すると前記倒立部材が倒れ、前記ICタグシール貼付部のICタグシールによって覆われていない部分に到達すると前記倒立部材が立ち上がり、前記保護ケースが取り外される際には前記倒立部材の立ち上がった状態が維持されるよう構成されている
ものである。
本発明(請求項8に記載の第8発明)の制御基板ケースは、
前記第6発明において、
前記切断部材が、前記保護ケースの内壁に凹設された凹部に進退自在に介挿されている進退部材によって構成されている
ものである。
本発明(請求項9に記載の第9発明)の制御基板ケースは、
前記第3発明ないし前記第8発明のいずれかにおいて、
前記ICタグシール貼付部が、前記ICタグシール切断手段の前記切断部に対応する部位に、前記ICタグシール切断手段の侵入を許容するための凹部を備えている
ものである。
上記構成より成る第1発明の制御基板ケースは、前記ICタグシール貼付部の係止位置に形成された被係止部に係止部が係止されることにより装着され、当該ICタグシール貼付部を包囲して前記ICタグシールを保護する前記保護ケースを取り外すために、互いに分離可能な複数のケース体にそれぞれに形成され、ICタグシールが跨ぐように貼り付けられた前記ICタグシール貼付部の前記係止位置から前記保護ケースが不正行為者によって装着の際と同一経路にて引き抜かれた際に、前記保護ケース内の一部に配設された前記ICタグシール切断手段が前記ICタグシールの少なくとも一部を切断するので、通常時には、ICタグシールを外部との接触およびアクセスから保護するとともに、前記保護ケースが引き抜かれたときには、不正行為が行われた可能性があることを適確に把握できるという効果を奏する。
上記構成より成る第2発明の制御基板ケースは、前記第1発明において、不正行為者によって保護ケースが引き抜かれた際に、前記ICタグシール切断手段によって前記ICタグシールの少なくとも2箇所が切断されるので、ICタグシール切断後に切断面を綺麗に元に戻された場合でも、ICタグシールの切断事実の有無を確実に検知し、制御基板に対する不正行為が行われた可能性があることを適確に把握できるという効果を奏する。
上記構成より成る第3発明の制御基板ケースは、前記第1発明または前記第2発明において、前記被係止部に前記保護ケースが係止される際には前記ICタグシール切断手段の前記平坦部がICタグシールに当接するので、当該ICタグシールを切断することなく保護ケースの取り付けができるとともに、一方前記被係止部から前記保護ケースが引き抜かれる際には前記ICタグシール切断手段の前記切断部がICタグシールに当接して切断するので、当該ICタグシールを確実に切断できるという効果を奏する。
上記構成より成る第4発明の制御基板ケースは、前記第3発明において、前記ICタグシール切断手段の前記平坦部と前記切断部が、前記保護ケースと一体成形されているので、部品点数が少なく、簡素な構成でコストダウンが可能となるという効果を奏する。
上記構成より成る第5発明の制御基板ケースは、前記第4発明において、前記ICタグシール切断手段が内面から内方に向かって突設される前記可動部が形成された前記保護ケースの一部が、前記保護ケースのその他の部分に対して外方に向かって可動するので、前記ICタグシール切断手段の前記平坦部が前記ICタグシールに当接する際の力を外方に逃がすことによって、当該ICタグシールの損傷をより確実に回避することができるという効果を奏する。
上記構成より成る第6発明の制御基板ケースは、前記第3発明において、前記被係止部に前記保護ケースが係止される際には前記ICタグシール切断手段を構成する前記切断部材によって前記平坦部がICタグシールに当接するので、より確実に当該ICタグシールを切断することなく保護ケースの取り付けができるとともに、一方前記被係止部から前記保護ケースが引き抜かれる際には前記切断部がICタグシールに当接して切断するので、当該ICタグシールをより確実に切断できるという効果を奏する。
上記構成より成る第7発明の制御基板ケースは、前記第6発明において、前記保護ケースを前記ICタグシール貼付部に取り付ける際には、前記切断部材を構成する倒立動自在な前記倒立部材が、前記ICタグシール貼付部に当接すると前記倒立部材が倒れるので、より確実にICタグシールを損傷することなく保護ケースの取り付けができるとともに、前記ICタグシール貼付部のICタグシールによって覆われていない部分に到達すると前記倒立部材が立ち上がり、保護ケースを取り外す際には、前記倒立部材の立ち上がった状態が維持されるので、より確実にICタグシールを切断できるという効果を奏する。
上記構成より成る第8発明の制御基板ケースは、前記第6発明において、保護ケースを取り付ける際には、前記切断部材を構成する前記保護ケースの内壁に凹設された凹部に進退自在に介挿された前記進退部材が、前記凹部に退避するので、より確実にICタグシールを損傷することなく保護ケースの取り付けができるとともに、保護ケースを取り外す際には、前記進退部材が前記凹部から進出するので、より確実にICタグシールを切断できるという効果を奏する。
上記構成より成る第9発明の制御基板ケースは、前記第3発明ないし前記8発明のいずれかにおいて、前記ICタグシール切断手段の前記切断部が、前記ICタグシール貼付部の前記ICタグシール切断手段に対応する部位に配設された凹部に侵入するので、ICタグシール切断手段によるICタグシールの切断をより確実に実現できるという効果を奏する。
以下、本発明の最良の実施形態について、実施例に基づき図面を用いて説明する。
本第1実施例の制御基板ケースは、図1ないし図13に示すように内部に主制御基板5が格納される主制御基板ケース3であって、ICタグシール貼付部302,312がそれぞれに形成され、互いに分離可能な前面ケース30および後面ケース31と、前記ICタグシール貼付部302,312間を跨ぐように張り付けられ、ICチップ63とアンテナ部62とを備えるICタグシール6と、前記ICタグシール貼付部302,312の係止位置に形成された被係止部としての係合凹部320a,320bに係止部としての係合爪部422a,422bが係止され、当該ICタグシール貼付部302,312を包囲して前記ICタグシール6を保護する保護ケース4と、前記保護ケース4内の一部に配設され、前記保護ケース4を取り外す際に前記ICタグシール6を切断するICタグシール切断手段41dとを備え、前記ICタグシール切断手段41dが、前記保護ケース4を取り外すために前記ICタグシール貼付部302,312の前記係止位置から前記保護ケース4が引き抜かれた際に前記ICタグシール6の少なくとも一部が切断されるように構成されている。
パチンコ遊技機1は、図2に示すように前面枠10を備え、前面枠10には、遊技者が操作ハンドル11を操作することによって発射された遊技球が流下する遊技領域12を備える。当該遊技領域12の中央部には、様々な図柄等が変動表示される図示しない図柄変動表示装置が配設され、その下部には、図示しない始動入賞口が配設されている。当該始動入賞口に遊技球が入賞することを契機として遊技制御基板による大当たり抽選が行われる。前記始動入賞口の下部には、アタッカーが配設され、当該アタッカーは、大当たり発生時に所定回数だけ開放状態となり多数の遊技球が入賞するように構成されている。
盤裏13には、図3に示すように盤裏カバー2がヒンジ部20a,20bによって揺動自在に支持され、主制御基板ケース3が、前記盤裏カバー2とその一部が前後に重なり合うように、ヒンジ部31aおよび31bによって揺動自在に配設されている。これは、前後に重なり合う部材が存在する場合において、隠れた部位を容易に確認できるようにするための工夫である。
当該主制御基板ケース3は、図4に示すように図3中手前に位置する前面ケース30と、図3中後方に位置する後面ケース31とからなり、主制御基板5が、当該前面ケース30と後面ケース31との間に介装される。前記前面ケース30および前記後面ケース31は、ともに透光性材料によって構成され、外部から内部に格納された主制御基板5を視認できるようになっている。当該主制御基板5には、図示しないCPU、ROMおよびRAM等が実装されている。また、前記前面ケース30と後面ケース31とは、前面ケース30に配設されたカシメピン301a,301bを後面ケースのカシメ受け311a,311bにかしめるとともに、ICタグシール貼付部302,312において、ネジ305をネジ穴315に螺合することによって固定するものである。
前記前面ケース30の前記ICタグシール貼付部302は、図5に示すように前記前面ケース30の図3中左側面たる前面ケース側面303の一部に突設され、その先端面302cおよび手前面302dには、後述するICタグシール切断手段41dの切断方向への移動を許容する前記主制御基板ケースの長手方向に沿って切断手段用溝部304が直線的に延在形成されている。
同様に前記後面ケース31の前記ICタグシール貼付部312は、前記後面ケース31の左側面たる後面ケース側面313の一部に突設され、前記前面ケース30のICタグシール貼付部302と向かい合うように形成されている。なお当該ICタグシール貼付部312には、前面ケース30の前記ICタグシール貼付部302とは異なり切断手段用溝部は形成されていない。
また前記ICタグシール貼付部302,312の左側面302a,312aには、後述する保護ケース4の係合爪部422aを係合支持する係合凹部320aが凹設され、同様に反対側の前記ICタグシール貼付部302,312の右側面302b,312bには、前記保護ケース4の係合爪部422bを係合支持する係合凹部320bが凹設される。
次にICタグシール6の具体的構成について、図6を用いて説明する。
前記ICタグシール6は、図6(B)中のA−A線に沿って切断した断面を示す図6(C)に示すように、ベースシートたる表面60を備え、当該表面60の背面には粘着材が塗布され粘着層65が形成されている。また、ICチップ63とその両端部に延在するアンテナ部62とからなる長尺矩形形状のインレットが、前記粘着層65の対角線上の一部に位置するように配設されている。さらに、ICタグシール6をICタグシール貼付部302,312に貼り付けるまで、前記粘着層65と他の物との粘着を防止する剥離紙64を貼り付けておく。
前記インレットは、前記ICタグシール6の裏面を示す図6(B)に示すようにICチップ63とアンテナ部62より構成され、長尺状のアンテナ部62の中央付近にICチップ63が配置されており、当該ICチップ63は、固有の識別番号、すなわちID等の各種情報を記憶・格納するためのメモリーを備える。
本第1実施例のパチンコ遊技機1で用いるICタグシール6は、周波数帯域2.45GHzのパッシブ型の無線ICタグを採用しており、リーダー・ライター側のアンテナからICタグシール6に向けて電波としてエネルギーとコマンドを送信すると、当該ICタグシール6の中のアンテナ部62で電波を受け、この電波を前記ICチップ63内の図示しない整流回路に送る。ICチップ63は、当該整流回路において電波の高周波エネルギーを整流して直流に変換し、その電流をエネルギーとして使用するものである。
前記リーダー・ライター側からのコマンドが読み出し命令であれば、前記ICチップ63は、内蔵された前記メモリーからID情報等の各種データを読み出し、ICタグシールのアンテナ部62からリーダー・ライター側のアンテナに向けて電波を送信し、リーダー・ライター側との通信を行うものである。
上述したように、前記ICタグシール6が保有する各種情報は、ICチップ63のメモリーに格納された情報をリーダー・ライターとの無線通信において確認する方法が採られるが、人間の目視による確認も可能にするため、必要に応じて、前記ICタグシール6の表面を示す図6(A)に示すようにICタグシール6の表面60の一部に各種の情報を記載する情報記載部66を設ける。
前記ICタグシール6は、図7に示すように前記前面ケース30のICタグシール貼付部302と前記後面ケース31のICタグシール貼付部312とに跨るように貼り付けられる。すなわち、ICタグシール6の短辺の断面が、略コの字状になるようにICタグシール貼付部302,312に貼り付けられるものである。また、ICタグシール貼付部302に凹設された前記切断手段用溝部304は、貼り付けられたICタグシール6によってその一部が隠れるようになっている。さらに、前記ICタグシール6のアンテナ部62の一部が、前記切断手段用溝部304上に位置するように貼り付けられるものである。
次に本第1実施例の保護ケース4の具体的構成について、図8ないし図10を用いて説明する。
前記保護ケース4は、図8に示すように透光性材料によって構成される左側面40a、右側面40b、先端面40c、手前面40dおよび奥面40eによって開放面以外を覆うように構成される。
前記保護ケース4は、その前記左側面40aおよび右側面40bにそれぞれ平行に切り欠きが形成され、部分的に外方へ拡開可能な拡開片421a,421bが形成されている。
前記拡開片421a,421bは、図8および図9に示すようにその先端部に前記ICタグシール貼付部302,312の左側面302a,312aおよび右側面302b,312bに凹設された前記係合凹部320a,320bと係合するための係合爪部422a,422bが形成され、当該係合爪部422a,422bはテーパー4220a,4220bおよび逆テーパー4230a,4230bを備える。
なお前記テーパー4220a,4220bは、前記逆テーパー4230a,4230bに比べ緩やかな傾斜面によって構成されているので、前記保護ケース4を前記ICタグシール貼付部302,312から引き抜いて取り外す場合に比べ、それよりも弱い力で前記拡開片421a,421bを外方へ拡開させ、前記保護ケース4を前記ICタグシール貼付部302,312に対して取り付けることができるものである。
さらに前記保護ケース4の手前面40dの一部には、図8に示すように両端部に切り欠き423を入れて外方へ拡開自在とした拡開片421dが形成され、当該拡開片421d内面には、ICタグシール切断手段41dが配設される。
当該ICタグシール切断手段41dは、扇形状で、保護ケース4の開放面側端部から緩やかな円弧状の傾斜面によって繋がれ、保護ケース4の先端面40c側に向かうに従って徐々に縦断面の断面積が減少する平坦部411と、前記拡開片421d内面から立ち上がる鋭いエッジで構成される切断部410とから成る。
前記拡開片421dは、その拡開支持端424を例えば図示しない切り欠きを形成するなどして、当該拡開片421dが弱い力で外方へ拡開できるように設定されている。
また前記ICタグシール切断手段41dは、図10に示すように前記保護ケース4が前記ICタグシール貼付部302,312に取り付けられた際に、前記切断手段用溝部304のうち前記ICタグシール6によって覆われていない部分の凹部に収容されるものである。
以下上記構成より成る本第1実施例の制御基板ケースの作用および効果について説明する。
前記保護ケース4を前記ICタグシール貼付部302,312に取り付ける際の過程を、図11(A)ないし(C)を用いて説明する。
上記構成より成る本第1実施例のパチンコ遊技機において、前記保護ケース4が前記ICタグシール貼付部302,312に装着するために押し込まれると、図11(A)ないし(C)に示すように前記ICタグシール切断手段41dの前記平坦部411が、前記ICタグシール貼付部302の先端面302c上に貼り付けられた前記ICタグシール6を乗り越え、前記拡開片421dが外方(図11中上方)へ拡開する。この際、前記拡開支持端424は、上述したように弱い力で外方へ拡開するように設定されているため、前記ICタグシール6を切断することなく外方へ拡開するものである。
前記ICタグシール切断手段41dは、前記保護ケース4が前記ICタグシール貼付部302,312に対して押し込まれるのに従い、前記ICタグシール貼付部302上に貼り付けられた前記ICタグシール6上を移動し、図11(C)に示すように前記保護ケース4が完全に装着されると、前記拡開片421dが拡開状態から自然状態へと復帰して、前記ICタグシール切断手段41dが前記切断手段用溝部304のうち前記ICタグシール6によって覆われていない部分の凹部に収容されるものである。
また前記保護ケース4は、この際図9に示したようにその両側面に形成された拡開片421a,421bの係合爪部422a,422bが、前記拡開片421dと同様に拡開状態から自然状態へと復帰して、前記ICタグシール貼付部302,312の両側面に形成された前記係合凹部320a,320bに係合し、前記保護ケース4が前記ICタグシール貼付部302,312に係止される係合状態となる。
次に、保護ケース4が取り外される際の動作について、図12を用いて説明する。
保護ケース4が、図12(A)に示す保護ケース4の装着状態から、図12(B)に示すように前記ICタグシール貼付部302,312から引き抜かれると、前記ICタグシール切断手段41dが前記切断手段用溝部304に沿って移動し、その移動方向の先端部に配設された前記切断部410が、前記ICタグシール6の端部に当接し、その後前記切断手段用溝部304に沿って移動するに従い前記ICタグシール6を切断する。
そして前記切断部410が、図12(C)に示すように前記ICタグシール6の前記ICタグシール貼付部302の前記先端面302c上に貼られていた一部まで切断し終わり、前記ICタグシール切断手段41dが前記切断手段用溝部304から離脱すると、前記保護ケース4が前記ICタグシール貼付部302,312から取り外される。
なお本第1実施例においては、図13に示すように前記ICタグシール切断手段41dによって切断された前記ICタグシール6を展開すると、前記ICチップ63の両端部に延びたアンテナ部62のうち、前記ICチップ63から図中右上に延びたアンテナ部62の一箇所が切断されるものである。
上記作用を奏する本第1実施例の制御基板ケースは、前記ICタグシール貼付部302,312の係止位置に形成された被係止部としての前記係合凹部320a,320bに係止部としての前記係合爪部422a,422bが係止され、当該ICタグシール貼付部302,312を包囲して前記ICタグシール6を保護する前記保護ケース4を取り外すために、互いに分離可能な複数のケース体としての前記前面ケース30および前記後面ケース31にそれぞれに形成され、ICタグシール6が跨ぐように貼り付けられた前記ICタグシール貼付部302,312の前記係止位置から前記保護ケース4が不正行為者によって引き抜かれた際に、前記保護ケース4内の一部に配設された前記ICタグシール切断手段41dが前記ICタグシール6の少なくとも一部を切断するので、通常時には、前記ICタグシール6を外部との接触およびアクセスから保護するとともに、前記保護ケース4が引き抜かれたときには、不正行為が行われた可能性があることを適確に把握できるという効果を奏する。
また本第1実施例の制御基板ケースは、前記係合凹部320a,320bに前記保護ケース4が係止される際には前記ICタグシール切断手段41dの前記平坦部411がICタグシール6に当接するので、当該ICタグシール6を切断することなく保護ケース4の取り付けができるとともに、一方前記係合凹部320a,320bから前記保護ケース4が引き抜かれる際には前記ICタグシール切断手段41dの前記切断部410がICタグシール6に当接して切断するので、当該ICタグシール6を確実に切断できるという効果を奏する。
さらに本第1実施例の制御基板ケースは、前記主制御基板ケース3が、互いに分離可能な前面ケース30と後面ケース31とによって構成されているため、当該主制御基板ケース3を開放して改竄の対象たる主制御基板5にアクセスするためには、前記前面ケース30と後面ケース31とに跨るように貼り付けられたICタグシール6の取り外しが必要なところ、このICタグシール6にアクセスするためには、当該ICタグシール6を保護する前記保護ケース4を引き抜いて取り外すことが必須となり、不正行為者によって、当該保護ケース4が引き抜かれると、確実に前記ICタグシール切断手段41dの前記切断部410が前記ICタグシール6を切断するため、不正行為の痕跡を確実に残すことができるという効果を奏する。
さらに、本第1実施例の制御基板ケースは、前記ICタグシール切断手段41dの前記平坦部411と前記切断部410が、前記保護ケース4と一体成形されているので、部品点数が少なく、簡素な構成でコストダウンが可能となるという効果を奏する。
また、本第1実施例の制御基板ケースは、前記ICタグシール切断手段41dが内面から内方に向かって突設される可動部としての前記拡開片421dが、前記保護ケース4のその他の部分に対して外方に向かって拡開するので、前記ICタグシール切断手段41dの前記平坦部411が前記ICタグシール6に当接する際の力を外方に逃がすことによって、当該ICタグシール6の損傷をより確実に回避することができるという効果を奏する。
さらに、本第1実施例の制御基板ケースは、前記ICタグシール切断手段41dの前記切断部410が、前記ICタグシール貼付部302,312の前記ICタグシール切断手段41dに対応する部位に配設された前記切断手段用溝部304に侵入するので、前記ICタグシール切断手段41dによるICタグシール6の切断をより確実に実現できるという効果を奏する。
本第2実施例の制御基板ケースは、図14ないし図22に示すように保護ケース4内に当該保護ケース4とは別部材の切断部材によって構成されるICタグシール切断手段7d,7eが配設される点、および2つの前記ICタグシール切断手段7d,7eによってICタグシール6の2箇所を切断する点が上述の第1実施例との主な相違点であり、以下相違点を中心に説明する。
本第2実施例の制御基板ケースは、図14ないし図22に示すように前記ICタグシール切断手段7d,7eが、前記被係止部としての前記係合凹部320a,320bに前記保護ケース4が係止される時に前記ICタグシール6に当接する当接部位に平坦部711が形成されるとともに、前記係合凹部320a,320bから前記保護ケース4が引き抜かれる時に当接する当接部位にICタグシール6を切断する切断部710が形成された切断部材によって構成されており、前記切断部材が、前記保護ケース4の内壁に対して倒立動自在な倒立部材71によって構成されるものである。
本第2実施例のICタグシール貼付部302,312について、図14を用いて詳細に説明する。
前記ICタグシール貼付部302は、前記前面ケース30の左側面たる前面ケース側面303の一部に突設され、その先端面302cおよび手前面302dには、後述するICタグシール切断手段7dの切断方向への移動を許容する切断手段用溝部304が形成されている。
同様に前記後面ケース31の前記ICタグシール貼付部312は、前記後面ケース31の左側面たる後面ケース側面313の一部に突設され、前記前面ケース30のICタグシール貼付部302と向かい合うように形成されている。また、前記ICタグシール貼付部312の先端面312cおよび奥面312eには、後述するもう一つのICタグシール切断手段7eの切断方向への移動を許容する切断手段用溝部314が形成されている。
ICタグシール6は、図15に示すように第1実施例と同様に前記前面ケース30のICタグシール貼付部302と前記後面ケース31のICタグシール貼付部312とに跨るように貼り付けられる。すなわち、ICタグシール6の短辺の貼り付け形状が、略コの字状になるようにICタグシール貼付部302,312に貼り付けられるものである。また、前記ICタグシール貼付部302,312の前記切断手段用溝部304,314は、貼り付けられたICタグシール6によってその一部が隠れるようになっている。
次に本第2実施例の保護ケース4の具体的構成について、図16ないし図19を用いて説明する。
前記ICタグシール貼付部302,312に装着された前記保護ケース4は、当該保護ケース4を前記ICタグシール貼付部302,312に装着した状態を示す図16に示すように、第1実施例と同様に透光性材料によって構成される左側面40a、右側面40b、先端面40c、手前面40dおよび奥面40eによって構成され、その左側面40aおよび右側面40bには拡開片421a,421bを備え、当該拡開片421a,421bの内部に配設された係合爪部422a,422bが前記ICタグシール貼付部302,312の両側面に形成された係合凹部320a,320bに係合するものである。
また前記ICタグシール切断手段7d,7eが、図17および図18に示すように前記保護ケース4内部の前記ICタグシール貼付部302,312の前記切断手段用溝部304,314に対応する位置に配設される。
具体的には倒立部材71は、図18および図19に示すように平坦部711および切断部710を備え、前記保護ケース4の前記手前面40dおよび前記奥面40eの内面に固着された前記ベース部材70に対して揺動軸72を介して揺動自在に支持されている。
前記倒立部材71は、前記保護ケース4の開放面側に前記平坦部711、その反対側に前記切断部710が位置するように前記ベース部材70に配置され、当該平坦部711および切断部710の下側に位置し、側面の下面が円弧部713によって形成された揺動支持部712が、前記平坦部711および前記切断部710と一体的に形成されるものである。
前記揺動支持部712を構成する両側面の略中央部には、前記ベース部材70の両側面701および702の略中央部に固定される前記揺動軸72が貫挿され、前記倒立部材71が前記ベース部材70に対して倒立動自在に揺動支持されるものである。
またコイルバネ73が、前記揺動軸72の周りに巻装され、前記倒立部材71が当該コイルバネ73によって前記ベース部材70に対して垂直に立ち上がる方向に付勢される。なお前記倒立部材71は、前記ベース部材70の背面700によって前記切断部710を下にして前記保護ケース4に対して倒れた状態から、前記保護ケース4に対して垂直に立ち上がる状態まででその揺動が止まるように規制されている。
以下上記構成より成る本第2実施例の制御基板ケースの作用および効果について説明する。
前記保護ケース4を前記ICタグシール貼付部302,312に取り付ける際の過程について、図20(A)ないし(D)に基づき説明する。
上記構成より成る本第2実施例の制御基板ケースにおいて、前記保護ケース4が前記ICタグシール貼付部302,312に装着するために押し込まれると、図20(A)および(B)に示すように前記保護ケース4の前記手前面40dおよび奥面40eの内面に配設された前記ICタグシール切断手段7d,7eを構成する前記倒立部材71が、当該倒立部材71の前記平坦部711が前記ICタグシール貼付部302,312の先端面302c,312cに当接して付勢されることで、前記コイルバネ73の付勢力に抗して保護ケース4に対して倒れ始める。
さらに保護ケース4が、図20(C)に示すように前記ICタグシール貼付部302,312に対して押し込まれると、前記倒立部材71が保護ケース4に対して完全に倒れた状態(図20(C)中水平状態)でICタグシール6上を移動する。
そして図20(D)に示すように、前記保護ケース4が完全に装着されると、前記倒立部材71が倒れた状態から立ち上がった状態へ前記コイルバネ73の付勢力によって復帰して、前記倒立部材71が前記切断手段用溝部304,314のうち前記ICタグシール6によって覆われていない部分の凹部に収容されるものである。
次に保護ケース4が取り外される際の動作について、図21(A)ないし(C)を用いて説明する。
前記保護ケース4が、図21(A)に示す保護ケース4の装着状態から、図21(B)に示すように前記ICタグシール貼付部302,312から引き抜かれると、前記倒立部材71が、前記コイルバネ73によって立ち上がる方向の直立状態に付勢され前記ベース部材70の前記背面700に当接して規制されているので、前記倒立部材71のナイフエッジ状の前記切断部710が、前記切断手段用溝部304,314上に貼り付けられたICタグシール6に当接し、当該ICタグシール6を前記切断手段用溝部304,314に沿って移動することにより切断する。
そして前記切断部410が、図21(C)に示すように前記ICタグシール6の前記ICタグシール貼付部302の前記先端面302c上に貼られていた一部まで切断し終わり、前記ICタグシール切断手段7d,7eが前記切断手段用溝部304,314から離脱すると、前記保護ケース4が前記ICタグシール貼付部302,312から取り外される。
なお本第2実施例においては、図22に示すように前記ICタグシール切断手段7d,7eによって切断された前記ICタグシール6を展開すると、前記ICチップ63の両端部に延びたアンテナ部62がそれぞれ一箇所ずつ切断され、合計2箇所が切断されている。
上記作用を奏する本第2実施例の制御基板ケースは、前記被係止部としての前記係合凹部320a,320bに前記保護ケース4が係止される際には、前記ICタグシール切断手段7d,7eを構成する前記切断部材の前記平坦部711がICタグシール6に当接するので、より確実に当該ICタグシール6を切断することなく保護ケース4の取り付けができるとともに、一方前記係合凹部320a,320bから前記保護ケース4が引き抜かれる際には前記切断部710がICタグシール6に当接して切断するので、当該ICタグシール6をより確実に切断できるという効果を奏する。
また本第2実施例の制御基板ケースは、保護ケース4を取り付ける際には、前記切断部材を構成する倒立動自在な前記倒立部材71が、前記ICタグシール貼付部302,312の端部との接触によりバネの付勢力に抗して前記保護ケース4に対して揺動して倒れることにより前記平坦部711がICタグシール6の表面に接触するので、より確実にICタグシール6を損傷することなく保護ケース4の取り付けができるとともに、保護ケース4を取り外す際には、前記倒立部材71が前記保護ケース4に対して立ち上がった直立状態に規制されることにより、前記ナイフエッジ状の切断部710がICタグシール6に食い込むので、より確実にICタグシール6を切断できるという効果を奏する。
さらに本第2実施例の制御基板ケースは、前記ICタグシール切断手段7d,7eのナイフエッジ状の前記切断部710が、前記ICタグシール貼付部302,312の前記ICタグシール切断手段7d,7eに対応する部位に配設された前記切断手段用溝部304,314内に侵入して前記ICタグシール6に食い込むので、前記ICタグシール切断手段7d,7eによるICタグシール6の切断をより確実に実現できるという効果を奏する。
また、上述したようにICタグシールを1箇所のみ切断した後に切断面を綺麗に元に戻された場合など、アンテナ部の有効範囲が充分に残存することに伴いICチップとアンテナ部とによる通信機能がなおも有効に働く場合があるが、本第2実施例の制御基板ケースは、2つの前記ICタグシール切断手段7d,7eによって前記ICタグシール6のアンテナ部62の2箇所を切断して、前記ICタグシール6のアンテナ部62の有効範囲をリーダー・ライターとの通信機能が働かなくなる範囲まで切断するため、上記のような問題を解消し、前記ICチップ63とアンテナ部62とによる通信機能を確実に抹消して、検査時にICタグシール6の切断事実の有無を確実に検知し、制御基板の改竄等の不正行為を的確に把握できるという効果を奏する。
さらに本第2実施例の制御基板ケースは、前記保護ケース4が透光性材料によって構成されているので、保護ケース4内部(例えばICタグシール6やICタグシール切断手段7d,7eの存在、さらには切断手段用溝部304,314の存在)をあえて外部から把握できるようにして、不正行為者に対して不正行為の痕跡が残ることへの不安感を与え、これが抑止力となり、不正行為をある程度未然に防止できるという効果を奏する。
本第3実施例の制御基板ケースは、図23ないし図27に示すように、前記切断部材が保護ケース4内に形成された穴部の軸方向に進退自在の進退部材によって構成される点、および、保護ケース4が非透光性材料によって構成される点が、上述の第2実施例との主な相違点であり、以下相違点を中心に説明する。
まず本第3実施例の保護ケース4の具体的構成について、図23ないし図25を用いて説明する。
本第3実施例の制御基板ケースは、図23および図24に示すように上記第2実施例の制御基板ケースと基本的構成を同じくして、前記保護ケース4内に配設される前記切断部材が、前記保護ケース4の内壁に穿設された穴部としての刃部用穴部43d,43eに進退自在に介挿されている進退部材77によって構成されているものである。
具体的には、上記第2実施例において前記ベース部材70が配設されていた位置に、前記進退部材77が長手方向に進退自在に移動しうる刃部用穴部43d,43eが穿設され、当該刃部用穴部43d,43eの底面に前記進退部材77を進退自在に支持する刃部用バネ44d,44eの一端が係止され、その他端が前記進退部材77の上端面770に係止される。
前記進退部材77は、図25に示すように保護ケース4の開放面側の下端部に、R面によって形成される平坦部711が形成され、その開放面側の反対側の端部にICタグシール6を切断するためのエッジ部としての切断部710が形成される。
以下上記構成より成る本第3実施例の制御基板ケースの作用および効果について説明する。
前記保護ケース4を前記ICタグシール貼付部302,312に取り付ける際の過程を図26(A)ないし(D)に基づいて説明する。
上記構成より成る本第3実施例の制御基板ケースにおいて、前記保護ケース4が前記ICタグシール貼付部302,312に装着するために押し込まれると、図26(A)および(B)に示すように、前記保護ケース4の前記手前面40dおよび奥面40eの内面に配設された前記ICタグシール切断手段7d,7eの前記進退部材77が、当該進退部材77の先端のR面によって構成される前記平坦部711が前記ICタグシール貼付部302,312の先端面302c,312cに当接し前記刃部用穴部43d,43eの内方に押圧されることで、前記刃部用バネ44d,44eの付勢力に抗して前記刃部用穴部43d,43e内に退避し始める。
さらに保護ケース4が、図26(C)に示すようにICタグシール貼付部302,312に対して押し込まれると、前記進退部材77のR面の平坦部711が、前記刃部用穴部43d,43e内に完全に退避した状態でICタグシール6上を滑らかに当接して移動する。
そして前記保護ケース4が、図26(D)に示すように完全に装着されると、前記進退部材77が、前記刃部用穴部43d,43e内に退避した状態から当該刃部用穴部43d,43e外へ突出した状態へ前記刃部用バネ44d,44eの付勢力によって復帰して突出するので、前記進退部材77が前記切断手段用溝部304,314のうち前記ICタグシール6によって覆われていない部分の凹部に収容されるものである。
次に、保護ケース4が取り外される際の動作について、図27(A)ないし(C)を用いて説明する。
前記保護ケース4が、図27(A)に示す保護ケース4の装着状態から、図27(B)に示すように前記ICタグシール貼付部302,312から引き抜かれると、前記刃部用バネ44d,44eによって前記進退部材77が前記刃部用穴部43d,43e外へ突出する方向に付勢されているので、当該進退部材77のリーディング側のエッジ状の前記切断部710が、前記切断手段用溝部304,314上に貼り付けられたICタグシール6に当接して食い込み、当該ICタグシール6を前記切断手段用溝部304,314に沿って移動して切断する。
そして前記切断部710が、図27(C)に示すように前記ICタグシール6の前記ICタグシール貼付部302の前記先端面302c上に貼られていた一部まで切断し終わり、前記ICタグシール切断手段7d,7eが前記切断手段用溝部304,314から離脱すると、前記保護ケース4が前記ICタグシール貼付部302,312から取り外される。
なお本第3実施例においても、上記第2実施例同様図22に示すように前記ICタグシール切断手段7d,7eによって切断された前記ICタグシール6を展開すると、前記ICチップ63の両端部に延びたアンテナ部62がそれぞれ一箇所ずつ切断され、合計2箇所が切断されているものである。
なお本第3実施例の制御基板ケースにおいては、前記保護ケース4を構成する部材が、上述したように、非透光性材料によって構成されているため、保護ケース4を取り外す際に当該保護ケース4内部がどのような構造になっているのか外部から把握することができない。
上記作用を奏する本第3実施例の制御基板ケースは、保護ケース4を取り付ける際には、前記切断部材を構成する前記保護ケース4の内壁に穿設された前記刃部用穴部43d,43eに進退自在に介挿された前記進退部材77が、前記刃部用穴部43d,43e内に退避してR面の平坦部711がICタグシール6に当接するので、より確実にICタグシール6を損傷することなく保護ケース4の取り付けができるとともに、保護ケース4を取り外す際には、前記進退部材77が前記刃部用穴部43d,43eから突出してナイフエッジ状の前記切断部710がICタグシール6に食い込むので、より確実にICタグシール6を切断できるという効果を奏する。
また本第3実施例の制御基板ケースは、前記保護ケースを非透光性材料によって構成して外部から視認できないようにしたので、不用意に当該保護ケース4を外した不正行為者に対して、ICタグシール6の切断により不正行為の痕跡が残ったことを認識させるので、その後の重大な不正行為(制御基板ケースの開放および制御基板の改竄等)をある程度抑制できるという効果を奏する。
上述の実施例は、説明のために例示したもので、本発明としてはそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
例えば上述した実施例において、ICタグをシールに実装させたICタグシールを用いる例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で、インレット単体を配設したり、ICカードを実装させる態様にも適用可能である。さらに、パッシブ型のICタグに限らず、セミパッシブやアクティブ型のICタグの採用も可能である。
また、ICタグシールの切断箇所として、ICチップの両側に延在するアンテナ部の1箇所もしくは2箇所を切断する例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、ICチップを直接切断および破壊する場合やその他のICタグシールの1箇所のみを切断する場合や3箇所以上を切断する場合、さらには、ICチップの両側に延在する前記アンテナ部のうち片側のアンテナ部のみ複数箇所切断する態様にも適用可能である。
さらに、ICタグシール切断手段として、例えば、刃部の形状をギザギザにしたり、刃部の材質を工夫してわざと切断面の表面性状を粗くするような刃部を採用することで、一旦切断されたICタグシールを綺麗に戻しにくくして、保護ケースの開放事実を確実に検知する態様にも適用可能である。また、ICタグシールの切断の態様として、直線的にICタグシールを切断する例について説明したが、例えば、針状の刃部でICチップを貫通する態様や、円形の刃部やジグザグ状に構成された刃部を用いることで、その他の切断態様でICタグシールを切断する例にも適用可能である。
さらに、上述の第2実施例において、前記倒立部材71をコイルバネによって立ち上がる方向に付勢する例について説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その他の弾性手段やその他の倒立機構を用いる態様にも適用可能である。同様に、上述した第3実施例において、前記進退部材77を通常のバネ部材である前記刃部用バネ44d,44eによって付勢する例について説明したが、その他の弾性手段やその他の進退機構を用いる態様にも適用可能である。
上述の第3実施例においてのみ、前記保護ケース4を不透明の非透光性材料によって構成する例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の実施例においても保護ケース4を非透光性材料によって構成することが可能であり、その逆に第3実施例において前記保護ケース4を透光性材料によって構成する態様にも適用可能である。
また、上述した実施例において、前記保護ケース4を前記ICタグシール貼付部302,312から直線的に引き抜いて取り外す例について説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、図28に示すように前記前面ケース30の前記前面ケース側面303に揺動支持端46が固定され、前記保護ケース4が前記ICタグシール貼付部302,312に対して揺動して装着または取り外しが行われる態様にも適用可能である。なおこの態様においては、前記ICタグシール貼付部302,312上に凹設された前記切断手段用溝部304,314は、前記保護ケース4内に配設された前記ICタグシール切断手段7d,7eの移動軌跡にあわせて略円弧状に形成されるものである。
また、上述の実施例において、前面ケースと後面ケースによって構成される制御基板ケースについて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、制御基板ケースの構成が如何なるものであっても、内部に格納された制御基板にアクセスするために開放される境界部位に跨るようにICタグシールを貼り付けるその他の態様にも適用可能である。
さらに上述の実施例において、本発明を適用する制御基板ケースとして、もっとも改竄の対象とされやすい主制御基板を格納する主制御基板ケースについて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えば、音声制御基板や図柄制御基板等のその他の制御基板ケースに採用する態様にも適用可能である。