発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1と図2に示すように、本実施形態例に係る基板ケースを備えたパチンコ機(遊技機)Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた本体枠2と、本体枠2の内側に収容された遊技盤3と、本体枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられ、中央に大きく開口部8が形成されたガラス扉4と、このガラス扉4の開口部8に取り付けられた透明なガラス板10と、本体枠2の下側に開閉自在に配設され、遊技球を収容する受皿5を有する前面ボード6と、本体枠2の下部に設けられた発射装置9と、前面ボード6に取り付けられ、パチンコ球の発射強度を調整するハンドル7等を具備している。さらに、ガラス扉4の上部にはスピーカ20が左右に1個ずつ取り付けられており、遊技に関する様々な効果音を発するようになっている。また、受皿5の側部には、遊技者が押下操作するタッチボタン60が設けられている。
遊技盤3はその盤面(前面)に遊技領域31を有しており、遊技者はガラス板10を通して遊技領域31を目視できるようになっている。遊技領域31はガイドレール32と遊技球規制レール33によって略円形状に区画形成されており、発射装置9によって打ち出された遊技球はこの遊技領域31内を流下する。また、遊技領域31内には、特別図柄表示装置17、演出表示装置34、スルーチャッカ21、普通図柄表示装置22、電動チューリップ49、ステージ36、第1始動入賞口(始動口)37a、第2始動入賞口(始動口)37b、一般入賞口38、アウト口39と遊技釘(図示せず)、風車(図示せず)、アタッカー装置41等が設けられている。なお、遊技盤3に設けられたこれらの構成は公知であるため、各構成の詳しい説明は省略する。
図3に示すように、このパチンコ機Pの背面側には、主制御処理部11と、副制御処理部を構成する演出制御処理部12a、特別図柄表示制御部12b、ランプ制御処理部12c、払出制御処理部12e、および普通図柄表示制御部12fと、発射制御処理部13と、賞球払出装置14等が設けられている。
主制御処理部11は、CPU(Central Processing Unit)と、予め定められた制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、生成された処理情報の一時記憶および記憶した情報の削除を行うRAM(Random Access Memory)等が実装されたメイン基板(制御基板)120と、このメイン基板120を収納する後述の基板ケース100とを備えて構成されており、このCPUがROMに格納された各種プログラムやデータを読み込んで実行することにより、遊技に関する主要な処理が行われる。なお、基板ケース100は遊技盤3の裏面に支持部材等を介して設けられている。
副制御処理部を構成する演出制御処理部12a、特別図柄表示制御部12b、ランプ制御処理部12c、払出制御処理部12e、および普通図柄表示制御部12fは、主制御処理部11からの指令(コマンド)を受けて、演出表示装置34やスピーカ20、その他の演出装置(LED装置など)などの制御を行う装置である。この副制御処理部を構成する各装置も、遊技盤3の裏面に支持部材等を介して設けられている。
演出制御処理部12aは遊技の演出に関する制御を行うためのものであり、特別図柄表示制御部12bは主制御処理部11で決定した特別図柄に関する表示の制御を行うためのものである。普通図柄表示制御部12fは普通図柄に関する表示の制御を行うためのものであり、ランプ制御処理部12cは主制御処理部11からコマンドを受けて各種ランプや電飾の点灯制御を行うものである。また、払出制御処理部12eは、CRユニットからの信号を受けて遊技球を遊技者に貸し出すように賞球払出装置14を制御する他、主制御処理部11からの払出指令を受けて、所定個数の賞球を遊技者に対して払い出すように賞球払出装置14を制御するためのものである。さらに、発射制御処理部13は、ハンドル7の回動量に応じて発射装置9に対する作動の制御を行う装置である。
次に、本発明の第1の実施の形態例に係る基板ケース100の詳細な構造について図4〜図12を参照しながら説明すると、基板ケース100は、矩形箱状の透明な上ケース(第1ケース)101と、矩形箱状の透明な下ケース(第2ケース)130とを備えている。そして、上ケース101と下ケース130の内部に収納空間が形成されており、この収納空間にCPU、ROM、RAM等が実装された前述のメイン基板120が収納されている。
上ケース101と下ケース130はスライド嵌合によって重ね合わされるようになっており、上ケース101の長手方向の一方の側部(図5における右側の側部)には、後述するICタグユニット(シール貼付ユニット)105の一部を覆う上側タグカバー(第1被覆部)111が形成されている。また、下ケース130の同じく長手方向の一方の側部(図5における右側の側部)には、ICタグユニット105の一部を覆う下側タグカバー(第2被覆部)131が形成されている。そして、上ケース101を下ケース130に重ね合わせると、上側タグカバー111と下側タグカバー131の間の内部空間SPにICタグユニット105が配置された状態となる(図7,8等参照)。
そして、詳しくは後述するが、図11等に示すように、ICタグユニット105のほぼ全体に亘り、封印シール108が貼り付けられている。この封印シール108は裏面に粘着層が形成された矩形状のベースシートを備えた公知のものであり、粘着層にはICタグ108aが埋め込まれている。なお、ICタグ108aは、ベースシートの対角線に沿って延びる長尺状のアンテナと、アンテナの中央付近に配置されたICチップとを備えており、ICチップに記憶された固有の識別情報がリーダー機によって読み取り可能となっている。また、封印シール108のベースシートは手指を用いて簡単に破ることが可能であり、ベースシートを破ることによってICタグ108aも同時に切断される。
上ケース101に形成された上側タグカバー111は、長方形状の天板112と、この天板112の3辺を囲うように設けられた側板113a,b,cとを備えて成り(図13参照)、下ケース130に形成された下側タグカバー131は、長方形状の底板132と、この底板132の4辺を囲うように設けられた側板133a,b,c,dとを備えて成る(図14参照)ものである。そして、上側タグカバー111と下側タグカバー131とを重ね合わせると、その内部に直方体形状の空間SPが形成されるようになっている。この内部空間SPは、後述するICタグユニット105を収容するためのものである。
また、上側タグカバー111の側板113aおよび側板113cの内面には、凹部が形成されている。この凹部は、後述するICタグユニット105の爪部材152a,152bを引っ掛けるためのものであって、側板133aに形成された凹部が引っ掛け部115aであり、側板133bに形成された凹部が引っ掛け部115bである(図9,20参照)。
また、下側タグカバー131の側板133aには突起135c,135dが設けられ、側板133cには突起135a,135bが設けられている(図14,15参照)。これらの突起135a〜dは、ICタグユニット105を下側タグカバー131内にしっかりと保持するためのものである。これら突起135a〜dによって、下側タグカバー131の側板133aとICタグユニット105との間、および下側タグカバー131の側板133cとICタグユニット105との間にはそれぞれ隙間CLが形成されるが、この隙間CLには、図9に示すように、上側タグカバー111の側板113aおよび側板113cがそれぞれ入り込むようになっている。そして、詳しくは後述するが、上ケース101を下ケース130に対してスライドさせると、上側タグカバー111の側板113a,113cがこの隙間CL内を移動する。
また、本実施形態では、上ケース101の端部(図5の左側端部)に2本のかしめネジ(かしめ部材)160a,160bを有するかしめネジユニット160が設けられ、下ケース130の端部(図5の左側端部)であってかしめユニット160と向かい合う位置に、かしめネジ160a,bと締結するかしめネジ締結部170が設けられている。かしめネジ締結部170には、かしめネジ160aがねじ込まれる第1ネジ締結部170aと、かしめネジ160bがねじ込まれる第2ネジ締結部170bとが設けられている。かしめネジ160a,160bは、一度かしめネジ締結部170とネジ締結されると、破壊を伴わなければそのネジ締結を解除することができないような構成となっており、例えば、ワンウェイネジ等の公知の構成のものが用いられている。なお、本実施形態は、かしめネジが2本設けられていることにより、基板ケース100の封印を2回行うことができるものである。
次に、ICタグユニット105について説明する。ICタグユニット105は、図10〜12に示すように、封印シール108が外面に貼り付けられるタグケース(ケース本体)140と、このタグケース140に出没自在に収納されるタグカッター(カッター部材)150と、このタグカッター150をタグケース140に没入する方向に常時付勢するコイル状のバネ143a,143bとを有して構成されている。
タグカッター150は、細長い矩形プレート状を成し、その1つの長辺には先端が尖った鋭利な刃部151が形成され、2つの短辺にはそれぞれ外方に張り出した爪部材152a,152bが設けられている。爪部材152a,152bは、可撓性材料から成り、外側から押圧されると、互いに近づく方向(図20(b)のW方向)に撓んで変形するが、外力から開放されると、再び外方に張り出した状態に戻るような弾性特性を有している。
さらに、タグカッター150の刃部151の両端部には、細長い切込み153a,153bが設けられている。これら切込み153a,153bは、タグカッター150のスライド移動に伴って、後述するタグケースのガイドプレート144a,144bが入り込むためのものである。切込み153a,153b内にガイドプレート144a,144bが入り込む(図20(b)参照)と、タグカッター150は、その長手方向(スライド方向と直交する方向、つまり、図5の上下方向)への移動が規制されるようになる。つまり、切込み153a,153bとガイドプレート144a,144bとで、タグカッター150のスライド動作をガイドしているのである。
タグケース140は、天板140a、底板140b、側板140c〜fで囲まれた直方体形状から成り、側板140dには、タグカッター150を受け入れるための挿入開口143が設けられ(図11(c)参照)、側板140cには、タグカッター150の刃部151が出没するためのスリット141、および細長い板状のガイドプレート144a,144bが設けられている。また、側板140eには矩形状に長さL1の寸法で切り欠かれた係止孔142aが、側板140fには同じく矩形状に長さL1の寸法で切り欠かれた係止孔142bがそれぞれ設けられている。これら係止孔142a,142bは、タグカッター150の爪部材152a,152bの先端部がそれぞれ入り込むための孔である。
図12に示すように、タグカッター150がタグケース140内に収納された状態で、爪部材152aは、その先端部が係止孔142aから突出するようにして係止孔142a内に入り込んでいる。同様に、爪部材152bは、その先端部が係止孔142bから突出するようにして係止孔142b内に入り込んでいる。そして、バネ143a,143bの図中Z方向への付勢力によって、爪部材152aは係止孔142aの縁部142a’’と、爪部材152bは係止孔142bの縁部142b’’とそれぞれ当接している。そのため、常態では、タグカッター150は、その刃部151がスリット141から露出することなく、タグケース140内に納まっている。
そして、爪部材152aは、係止孔142a内に入り込んだ状態で、長さL1の係止孔142a内をタグカッター150の出没方向(図12の左右方向)に対して移動することが可能である。つまり、爪部材152aのうち係止孔142aから突出している部分の大きさがL1より小さくなっており、係止孔142a内の移動が許容されているのである。爪部材152bについても同様に、係止孔142b内に入り込んだ状態で、長さL1の係止孔142b内をタグカッター150の出没方向(図12の左右方向)に対して移動が可能である。
このICタグユニット105には、封印シール108が、スリット141を覆うようにして、天板140a、底板140b、および側板140cに跨って貼り付けられる。そのため、スリット141からタグカッター150の刃部151が突出すると、刃部151が封印シール108を破り、その際に、封印シール108に内蔵されているICタグ108aも破壊されることとなる。なお、封印シール108を所定の位置に貼り付けると、ちょうどICタグ108aがスリット141部分に位置するように工夫がなされており、ICタグ108aは、タグカッター150によって確実に破壊されるようになっている。
次に、上記のように構成された基板ケース100を組み立てて封印するまでの手順について、図13〜図18を参照しながら説明する。まず、上ケース101の裏面にメイン基板120をビス止めする(図13参照)。次に、外面に封印シール108が貼り付けられたICタグユニット105を、下側タグカバー131の突起135a〜dの間に手指で押し込むようにして装着する(図14参照)。このとき、タグカッター150は、タグケース140内に常時没入しているので、手指でICタグユニット105を触っても怪我する心配はない。
なお、ICタグユニット105を下側タグカバー131に装着した状態では、図15および図16に示すように、タグケース140の側板140eと下側タグカバー131の側板133aとの間に隙間CLが生じ、タグケース140の側板140fと下側タグカバー131の側板133cとの間に隙間CLが生じる。そして、上ケース101を下ケース130に対して重ね合わせる方向(図17のX方向)にスライドさせると、この隙間CLに上側タグカバー111の側板113a,113cが入り込むようになる。
そして、図18に示すように、上ケース101と下ケース130がスライド嵌合により重なり合った状態で、かしめネジ160a,160bの何れかをかしめネジ締結部170にねじ込むと両ケース101,130の封印が完了する。この状態では、ICタグユニット105は、上側タグカバー111と下側タグカバー131で覆われて、外部からアクセスできないようになる。
このように、両ケース101,130の封印が完了すると、封印シール108は、上ケース101の上側タグカバー111と下ケース130の下側タグカバー131とにより保護されており、不正に封印シール108を剥がすことは困難である。しかも、かしめネジ160a,bによっても基板ケース100のかしめ封印がなされているので、一度封印された基板ケース100を、どこも破壊せずに上ケース101と下ケース130とに分解するのは不可能である。
なお、封印が完了した状態の基板ケース100に対して、リーダー機を近付けることにより、封印シール108のICタグ108aに記憶されている識別情報をリーダー機で読取ることができる。
続いて、基板ケース100を開封して両ケース101,130を分解するまでの手順について、図19〜図22を参照しながら説明する。なお、図20(a),(b),(c)は、何れも図6のC−C断面を示しており、図21(a),(b),(c)は、何れも図5のB−B断面を示している。また、図20の(a)と図21の(a)とは同じ状態を示しており、同様に、図20(b)と図21(b)、図20(c)と図21(c)とは、それぞれ同じ状態を示している。
上ケース101を下ケース130から取り外すためには、まず、基板ケース100の封印を開封する必要がある。図19に示すように、かしめネジ160a,bのうち、かしめ固定に用いられた方をニッパー等で破壊すると封印が開封される。なお、図19では、かしめネジ160aを切除して開封した様子が示されている。封印が開封されたら、上ケース101を下ケース130から分離する方向(図19のY方向)にスライドさせる。このとき、上ケース101を図19のY方向へスライドさせていくと、封印シール108がタグカッター150によって切断される。これについて、以下、詳しく説明する。
図20(a)および図21(a)は、上ケース101をスライドさせる前の状態である。この状態では、タグカッター150は、バネ143a,143bの付勢力により、タグケース140内に没入した状態である。この状態から上ケース101を徐々にスライドさせていくと、タグカッター150の爪部材152a,152bが上側タグカバー111に形成されている引っ掛け部115a,115bに引っ掛かりながら、バネ143a,143bの付勢力に抗して、タグカッター150がタグケース140から引き出されていく。このとき、ガイドプレート144a,144bが切込み153a,153b内に入り込みながら、タグカッター150のスライド動作をガイドする。そうすると、タグカッター150の刃部151がタグケース140のスリット141から露出する。
このとき、スリット141を覆うようにして封印シール108が貼り付けられているから、タグカッター150は、封印シール108を切断しながらタグケース140から突き出てくることになる。そして、図20(b)および図21(b)の状態まで上ケース101をスライドさせると、タグカッター150は最もタグケース140から突き出た状態となり、封印シール108は、確実に切断されることとなる。つまり、図20(b)および図21(b)は、タグカッター150が最もタグケース140から引き出された状態である。
ここで、図20(a)から(b)へと上ケース101をスライドさせる過程におけるタグカッター150の爪部材152a,152bの動作について見てみると、爪部材152a,152bは、引っ掛け部115a,115bに引っ掛けられながらタグケース140の係止孔142a,142b内を図中Y方向に移動していき、上ケース101を図20(b)の位置までスライドさせると、爪部材152a,152bは係止孔142a,142bの縁部142a’,142b’にそれぞれ当接する。ここから、さらに上ケース101をY方向にスライドさせると、爪部材152a,152bは、引っ掛け部115a,115bにそれぞれ引っ掛けられたまま縁部142a’,142b’と当接しながら図中Wの方向に変形して係止孔142a,142bの内部にそれぞれ没入していく。
そして、さらに上ケース101をY方向にスライドさせていくと、爪部材152a,152bが係止孔142a,142bの内部にそれぞれ完全に没入する。そうすると、爪部材152a,152bと引っ掛かり部115a,115bとの引っ掛かりは解除され、バネ143a,143bの付勢力により、タグカッター150はZ方向に移動してタグケース140内に没入する状態となる。この状態を示したのが、図20(c)および図21(c)である。この状態では、上ケース101は爪部材152a,152bと係合していないので、さらにY方向に上ケース101をスライドさせることにより、上ケース101を下ケース130から分離することができる。
ここで、図20(a)〜(c)、図21(a)〜(c)の一連の動作から明らかなように、上ケース101を手で掴んでスライドさせるだけで封印シール108を切断することができる。そのため、封印シール108を別途切断した後に、両ケース101,130を分解する必要はない。よって、両ケース101,130の開封作業が簡単である。しかも、両ケース101,130を分解する際に作業者の手指がタグカッター150の刃部151に触れることはない。さらに、タグカッター150の刃部151が露出しているのは、上ケース101を下ケース130から取り外すまでの間であり、上ケース101を下ケース130から取り外したときには、既にタグカッター150の刃部151は、バネ143a,143bによってスリット141内に納められている。よって、図22に示すように、下ケース130の下側タグカバー131からICタグユニット105を取り外す際に、手指を怪我する心配はないのである。
以上、説明したように、本実施形態例に係る基板ケース100では、かしめネジ160a,160bが破壊されているか否かによって、開封されたことが目視確認できるうえ、上ケース101を下ケース130から分離すると、タグカッター150によって封印シール108が切断されるため、リーダー機を近付けても、ICタグ108aに記憶されている識別情報を読取ることができなくなり、それによって不正行為がなされたことを確実に発見することができる。
つまり、不正に基板ケース100を開封して、メイン基板120のROM等を交換した場合には、必ずかしめネジ160a,160bが破壊された痕跡が残るうえ、封印シール108が破れてICタグ108aが破壊する。よって、本実施形態によれば、目視とリーダー機の両方により確実に基板ケース100の封印が解除されたことを発見することができるのである。
しかも、特筆すべきは、鋭利な刃物であるタグカッター150は常時タグケース140内に収納された状態に保持されており、上ケース101を下ケース130に対してスライド動作させるときにだけタグケース140のスリット141から刃部151を覗かせるように構成されているため、刃部151に手指が触れることはまずない。よって、基板ケース100を組み立てる過程、および分解する過程において、作業者が怪我をする心配がない。つまり、本実施形態は、不正行為の発見と安全性を兼ね備えたものと言えるものである。
次に、本発明の第2の実施の形態例に係る基板ケース200の詳細な構造について図23〜図31を参照しながら説明すると、基板ケース200は、矩形箱状の透明な上ケース(第1ケース)201と、矩形箱状の透明な下ケース(第2ケース)230とを備えている。そして、上ケース201と下ケース230の内部に収納空間が形成されており、この収納空間にCPU、ROM、RAM等が実装された前述のメイン基板220が収納されている。
上ケース201と下ケース230はスライド嵌合によって重ね合わされるようになっており、上ケース201の長手方向の一方の側部(図24における右側の側部)には、後述するICタグユニット(シール貼付ユニット)205の一部を覆う上側タグカバー(第1被覆部)211が形成されている。また、下ケース230の同じく長手方向の一方の側部(図5における右側の側部)には、ICタグユニット205の一部を覆う下側タグカバー(第2被覆部)231が形成されている。そして、上ケース201を下ケース230に重ね合わせると、上側タグカバー211と下側タグカバー231の間の内部空間SP1にICタグユニット205が配置された状態となる(図26,27等参照)。
そして、詳しくは後述するが、図30等に示すように、ICタグユニット205のほぼ全体に亘り、封印シール208が貼り付けられている。この封印シール208は裏面に粘着層が形成された矩形状のベースシートを備えた公知のものであり、粘着層にはICタグ208aが埋め込まれている。なお、ICタグ208aは、ベースシートの対角線に沿って延びる長尺状のアンテナと、アンテナの中央付近に配置されたICチップとを備えており、ICチップに記憶された固有の識別情報がリーダー機によって読み取り可能となっている。また、封印シール208のベースシートは手指を用いて簡単に破ることが可能であり、ベースシートを破ることによってICタグ208aも同時に切断される。
上ケース201に形成された上側タグカバー211は、長方形状の天板212と、この天板212の3辺を囲うように設けられた側板213a,b,cとを備えて成り(図32参照)、下ケース230に形成された下側タグカバー231は、長方形状の底板232と、この底板232の4辺を囲うように設けられた側板233a,b,c,dとを備えて成る(図33参照)ものである。そして、上側タグカバー211と下側タグカバー231とを重ね合わせると、その内部に直方体形状の空間SP1が形成されるようになっている。この内部空間SP1は、後述するICタグユニット205を収容するためのものである。
また、上側タグカバー211の側板213aおよび側板213cの内面には、凹部が形成されている。この凹部は、後述するICタグユニット205の爪部材252a,252bを引っ掛けるためのものであって、側板233aに形成された凹部が引っ掛け部215aであり、側板233bに形成された凹部が引っ掛け部215bである(図28,39参照)。
また、下側タグカバー231の側板233aには突起235c,235dが設けられ、側板233cには突起235a,235bが設けられている(図33,34参照)。これらの突起235a〜dは、ICタグユニット205を下側タグカバー231内にしっかりと保持するためのものである。これら突起235a〜dによって、下側タグカバー231の側板233aとICタグユニット205との間、および下側タグカバー231の側板233cとICタグユニット205との間にはそれぞれ隙間CL1が形成されるが、この隙間CL1には、図28に示すように、上側タグカバー211の側板213aおよび側板213cがそれぞれ入り込むようになっている。そして、詳しくは後述するが、上ケース201を下ケース230に対してスライドさせると、上側タグカバー211の側板213a,213cがこの隙間CL1内を移動する。
また、本実施形態では、上ケース201の端部(図24の左側端部)に2本のかしめネジ(かしめ部材)260a,260bを有するかしめネジユニット260が設けられ、下ケース230の端部(図24の左側端部)であってかしめユニット260と向かい合う位置に、かしめネジ260a,bと締結するかしめネジ締結部270が設けられている。かしめネジ締結部270には、かしめネジ260aがねじ込まれる第1ネジ締結部270aと、かしめネジ260bがねじ込まれる第2ネジ締結部270bとが設けられている。かしめネジ260a,260bは、一度かしめネジ締結部270とネジ締結されると、破壊を伴わなければそのネジ締結を解除することができないような構成となっており、例えば、ワンウェイネジ等の公知の構成のものが用いられている。なお、本実施形態は、かしめネジが2本設けられていることにより、基板ケース200の封印を2回行うことができるものである。
次に、ICタグユニット205について説明する。ICタグユニット205は、図29〜31に示すように、封印シール208が外面に貼り付けられるタグケース(ケース本体)240と、このタグケース240に出没自在に収納されるタグカッター(カッター部材)250とを有して構成されている。
タグカッター250は、細長い矩形プレート状を成し、その1つの長辺には先端が尖った鋭利な刃部251が形成され、2つの短辺にはそれぞれ外方に張り出した爪部材252a,252bが設けられている。爪部材252a,252bは、可撓性材料から成り、外側から押圧されると、互いに近づく方向(図39(b)のW1方向)に撓んで変形するが、外力から開放されると、再び外方に張り出した状態に戻るような弾性特性を有している。
さらに、タグカッター250の刃部251の両端部には、細長い切込み253a,253bが設けられている。これら切込み253a,253bは、タグカッター250のスライド移動に伴って、後述するタグケースのガイドプレート244a,244bが入り込むためのものである。切込み253a,253b内にガイドプレート244a,244bが入り込む(図39(b)参照)と、タグカッター250は、その長手方向(スライド方向と直交する方向、つまり、図24の上下方向)への移動が規制されるようになる。つまり、切込み253a,253bとガイドプレート244a,244bとで、タグカッター250のスライド動作をガイドしているのである。
タグケース240は、天板240a、底板240b、側板240c〜fで囲まれた直方体形状から成り、側板240dには、タグカッター250を受け入れるための挿入開口243が設けられ(図30(c)参照)、側板240cには、タグカッター250の刃部251が出没するためのスリット241、および細長い板状のガイドプレート244a,244bが設けられている。また、側板240eには矩形状に長さL2の寸法で切り欠かれた係止孔242aが、側板240fには同じく矩形状に長さL2の寸法で切り欠かれた係止孔242bがそれぞれ設けられている。これら係止孔242a,242bは、タグカッター250の爪部材252a,252bの先端部がそれぞれ入り込むための孔である。
図31に示すように、タグカッター250がタグケース240内に収納された状態で、爪部材252aは、その先端部が係止孔242aから突出するようにして係止孔242a内に入り込んでいる。同様に、爪部材252bは、その先端部が係止孔242bから突出するようにして係止孔242b内に入り込んでいる。そして、タグカッター250は、タグケース240内に収納された状態において、刃部251の先端がスリット241より距離L3だけ内側に位置するように取り付けられている。具体的には、距離L3は約2mmであり、仮に爪部材252a,252bがW1方向に約1mm撓んでも、タグカッター250が約0.3mmしかスライド移動しないようにタグカッター250は形成されている。そのため、常態では、タグカッター250は、その刃部251がスリット241から露出することなく、タグケース240内に納まっている。
そして、爪部材252aは、係止孔242a内に入り込んだ状態で、長さL2の係止孔242a内をタグカッター250の出没方向(図31の左右方向)に対して移動することが可能である。つまり、爪部材252aのうち係止孔242aから突出している部分の大きさがL2より小さくなっており、係止孔242a内の移動が許容されているのである。爪部材252bについても同様に、係止孔242b内に入り込んだ状態で、長さL2の係止孔242b内をタグカッター250の出没方向(図31の左右方向)に対して移動が可能である。
このICタグユニット205には、封印シール208がスリット241を覆うようにして、天板240a、底板240b、および側板240cに跨って貼り付けられる。そのため、スリット241からタグカッター250の刃部251が突出すると、刃部251が封印シール208を破り、その際に、封印シール208に内蔵されているICタグ208aも破壊されることとなる。なお、封印シール208を所定の位置に貼り付けると、ちょうどICタグ208aがスリット241部分に位置するように工夫がなされており、ICタグ208aは、タグカッター250によって確実に破壊されるようになっている。
次に、上記のように構成された基板ケース200を組み立てて封印するまでの手順について、図32〜図37を参照しながら説明する。まず、上ケース201の裏面にメイン基板220をビス止めする(図32参照)。次に、外面に封印シール208が貼り付けられたICタグユニット205を、下側タグカバー231の突起235a〜dの間に手指で押し込むようにして装着する(図33参照)。このとき、タグカッター250は、タグケース240内に常時没入しているので、手指でICタグユニット205を触っても怪我する心配はない。
なお、ICタグユニット205を下側タグカバー231に装着した状態では、図34および図35に示すように、タグケース240の側板240eと下側タグカバー231の側板233aとの間に隙間CL1が生じ、タグケース240の側板240fと下側タグカバー231の側板233cとの間に隙間CL1が生じる。そして、上ケース201を下ケース230に対して重ね合わせる方向(図36のX1方向)にスライドさせると、この隙間CL1に上側タグカバー211の側板213a,213cが入り込むようになる。
そして、図37に示すように、上ケース201と下ケース230がスライド嵌合により重なり合った状態で、かしめネジ260a,260bの何れかをかしめネジ締結部270にねじ込むと両ケース201,230の封印が完了する。この状態では、ICタグユニット205は、上側タグカバー211と下側タグカバー231で覆われて、外部からアクセスできないようになる。
このように、両ケース201,230の封印が完了すると、封印シール208は、上ケース201の上側タグカバー211と下ケース230の下側タグカバー231とにより保護されており、不正に封印シール208を剥がすことは困難である。しかも、かしめネジ260a,bによっても基板ケース200のかしめ封印がなされているので、一度封印された基板ケース200を、どこも破壊せずに上ケース201と下ケース230とに分解するのは不可能である。
なお、封印が完了した状態の基板ケース200に対して、リーダー機を近付けることにより、封印シール208のICタグ208aに記憶されている識別情報をリーダー機で読取ることができる。
続いて、基板ケース200を開封して両ケース201,230を分解するまでの手順について、図38〜図41を参照しながら説明する。なお、図39(a),(b),(c)は、何れも図25のC1−C1断面を示しており、図40(a),(b),(c)は、何れも図24のB1−B1断面を示している。また、図39の(a)と図40の(a)とは同じ状態を示しており、同様に、図39(b)と図40(b)、図39(c)と図40(c)とは、それぞれ同じ状態を示している。
上ケース201を下ケース230から取り外すためには、まず、基板ケース200の封印を開封する必要がある。図38に示すように、かしめネジ260a,bのうち、かしめ固定に用いられた方をニッパー等で破壊すると封印が開封される。なお、図38では、かしめネジ260aを切除して開封した様子が示されている。封印が開封されたら、上ケース201を下ケース230から分離する方向(図38のY1方向)にスライドさせる。このとき、上ケース201を図38のY1方向へスライドさせていくと、封印シール208がタグカッター250によって切断される。これについて、以下、詳しく説明する。
図39(a)および図40(a)は、上ケース201をスライドさせる前の状態である。この状態では、タグカッター250は、タグケース240内に没入している。この状態から上ケース201を徐々にスライドさせていくと、タグカッター250の爪部材252a,252bが上側タグカバー211に形成されている引っ掛け部215a,215bに引っ掛かりながら、タグカッター250がタグケース240から引き出されていく。このとき、ガイドプレート244a,244bが切込み253a,253b内に入り込みながら、タグカッター250のスライド動作をガイドする。そうすると、タグカッター250の刃部251がタグケース240のスリット241から露出する。
このとき、スリット241を覆うようにして封印シール208が貼り付けられているから、タグカッター250は、封印シール208を切断しながらタグケース240から突き出てくることになる。そして、図39(b)および図40(b)の状態まで上ケース201をスライドさせると、タグカッター250は最もタグケース240から突き出た状態となり、封印シール208は、確実に切断されることとなる。つまり、図39(b)および図40(b)は、タグカッター250が最もタグケース240から引き出された状態である。
ここで、図39(a)から(b)へと上ケース201をスライドさせる過程におけるタグカッター250の爪部材252a,252bの動作について見てみると、爪部材252a,252bは、引っ掛け部215a,215bに引っ掛けられながらタグケース240の係止孔242a,242b内を図中Y1方向に移動していき、上ケース201を図39(b)の位置までスライドさせると、爪部材252a,252bは係止孔242a,242bの縁部242a’,242b’にそれぞれ当接する。ここから、さらに上ケース201をY1方向にスライドさせると、爪部材252a,252bは、引っ掛け部215a,215bにそれぞれ引っ掛けられたまま縁部242a’,242b’と当接しながら図中W1の方向に変形して係止孔242a,242bの内部にそれぞれ没入していく。
そして、さらに上ケース201をY1方向にスライドさせていくと、爪部材252a,252bが係止孔242a,242bの内部にそれぞれ完全に没入する。そうすると、爪部材252a,252bと引っ掛かり部215a,215bとの引っ掛かりは解除され、タグカッター250はその反動でZ1方向に移動してタグケース240内に没入する状態となる。この状態を示したのが、図39(c)および図40(c)である。この状態では、上ケース201は爪部材252a,252bと係合していないので、さらにY1方向に上ケース201をスライドさせることにより、上ケース201を下ケース230から分離することができる。
ここで、図39(a)〜(c)、図40(a)〜(c)の一連の動作から明らかなように、上ケース201を手で掴んでスライドさせるだけで封印シール208を切断することができる。そのため、封印シール208を別途切断した後に、両ケース201,230を分解する必要はない。よって、両ケース201,230の開封作業が簡単である。しかも、両ケース201,230を分解する際に作業者の手指がタグカッター250の刃部251に触れることはない。さらに、タグカッター250の刃部251が露出しているのは、上ケース201を下ケース230から取り外すまでの間であり、上ケース201を下ケース230から取り外したときには、既にタグカッター250の刃部251は、スリット241内に納められている。よって、図41に示すように、下ケース230の下側タグカバー231からICタグユニット205を取り外す際に、手指を怪我する心配はないのである。
以上、説明したように、本実施形態例に係る基板ケース200では、かしめネジ260a,260bが破壊されているか否かによって、開封されたことが目視確認できるうえ、上ケース201を下ケース230から分離すると、タグカッター250によって封印シール208が切断されるため、リーダー機を近付けても、ICタグ208aに記憶されている識別情報を読取ることができなくなり、それによって不正行為がなされたことを確実に発見することができる。
つまり、不正に基板ケース200を開封して、メイン基板220のROM等を交換した場合には、必ずかしめネジ260a,260bが破壊された痕跡が残るうえ、封印シール208が破れてICタグ208aが破壊する。よって、本実施形態によれば、目視とリーダー機の両方により確実に基板ケース200の封印が解除されたことを発見することができるのである。
しかも、特筆すべきは、鋭利な刃物であるタグカッター250は常時タグケース240内に収納された状態に保持されており、上ケース201を下ケース230に対してスライド動作させるときにだけタグケース240のスリット241から刃部251を覗かせるように構成されているため、刃部251に手指が触れることはまずない。よって、基板ケース200を組み立てる過程、および分解する過程において、作業者が怪我をする心配がない。つまり、本実施形態は、不正行為の発見と安全性を兼ね備えたものと言えるものである。
なお、上記の実施の形態例では、メイン基板120を収納する基板ケース100,200について説明したが、それ以外にも、上記した演出制御処理部12a、特別図柄表示制御部12b、ランプ制御処理部12c、払出制御処理部12e、および発射制御処理部13の制御基板を収納するケースとして用いることも可能である。
また、上記した実施の形態例では、本発明の基板ケース100,200をパチンコ機Pに取り付けた場合について説明したが、スロットマシン等の他の遊技機についても同様に適用可能であることは言うまでもない。