JP2010271509A - 光干渉縞緩和性に優れた湾曲面を有する光透過型電磁波シールド材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リタデーション値が一定値以上の高延伸光透過型有機高分子材料を電磁波シールド層のベース基材として用いることにより、光干渉縞緩和性に優れた湾曲面を有する光透過型電磁波シールド材料を得ることが出来る。
【選択図】なし
Description
リタデーション値の上限はなく、一般的には20000nm以下である。2000nmよりも低いリタデーション値のベース基材を用いると湾曲面においてリタデーション値が増加するため強い光干渉縞が発生し、その値が500〜1500nmの範囲において着色が最大となり、光干渉縞の発生が著しく顕著になる。
本発明における前記リタデーション値を有するポリカーボネートベース基材は例えば下記の方法によって製造することが出来る。すなわち、ポリカーボネートフィルムまたはシートは通常の押し出し法あるいはキャスティング法によってシート化し、ガラス転移温度より若干高い温度(例えば140〜180℃位)に加熱しながら、実質的に一方向に延伸することにより製造することが出来る。この場合シートの厚みと延伸倍率が実質的にリタデーション値を決定する。
延伸倍率は例えばポリカーボネートシートの延伸前の厚みが1mm以上の場合には1.1〜2.0倍、シートの厚みが0.4〜1.0mmの場合で1.2〜3.0倍、フィルムの厚みが200μm以下の場合には3〜5倍が一般的に採用される。
前記の電磁波シールド性能を達成するためには、電磁波シールド層の表面抵抗率(シート抵抗値)は10[Ω/□]以下であることが好ましい。より好ましくは1[Ω/□]以下であり、更に好ましくは0.1[Ω/□]以下であることが好ましい。
接着剤としては、公知の光硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、ホットメルト型接着剤などが挙げられる。
活性エネルギー線の照射による硬化性を有する光硬化型(メタ)アクリレート系接着剤組成物は、硬化時間、安全性の面から特に好ましく、活性エネルギー線としては可視光線または紫外線が好ましい。
これらの高延伸光透過型有機高分子材料の中で、透明性や耐衝撃性および汎用性の観点から、特にポリカーボネート樹脂が好ましい。
これらの被膜には紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤のほか、必要に応じて、有機溶剤、着色防止剤などの各種安定剤やレベリング剤、消泡剤、増粘剤、帯電防止剤、防曇剤などの界面活性剤等を適宜添加してもよい。
これらの被膜には前述した紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤のほか、必要に応じて、有機溶剤、着色防止剤などの各種安定剤やレベリング剤、消泡剤、増粘剤、帯電防止剤、防曇剤などの界面活性剤等を適宜添加してもよい。
エリプソメーター(溝尻光学所製ELP−200ADT)を用いて、測定波長(λ)632.8nmのリタデーション値を測定した。
偏光板または位相差板を含む液晶ディスプレイの前面に曲率半径50mmに曲げ加工した湾曲面を持つ光透過型電磁波シールド材料を配置し、偏光特性を有するサングラスを介して、光干渉縞の発生の有無を目視評価した。
[目視評価]
○:湾曲面での強い光干渉縞はほとんど認められず、薄い着色あるが視認性良好
△:湾曲面での強い光干渉縞が僅かに発生、着色あるが視認性あり
×:強い光干渉縞が発生して顕著な着色があり、視認性が著しく低下
電磁波シールド性能測定装置(アドバンテスト社製)を用いて100MHz〜1GHzの周波数範囲の電磁波シールド性能を測定した。
[電磁波シールド性能評価]
周波数100MHzと1GHzの電磁波シールド性能が30dB以上を示すものを合格(○)とし、30dB未満のものを不合格(×)とした。
リタデーション値(Re)が10500nmの高延伸ポリカーボネート(PC)フィルム(50μm厚)上にアクリル系接着フィルム(デュポン社製パイララックスLF−0200)を介して厚さ10μmの銅箔を接着させた。得られた銅箔付きPCフィルムにフォトリソ工程(レジストフィルム貼付け−露光−現像−ケミカルエッチング−レジストフィルム剥離)を経て、ライン幅10μm、ライン間隔300μmの銅薄膜メッシュをPCフィルム上に形成し、サンプルを得た。
前記「電磁波シールド性能試験」によるサンプルの電磁波シールド性能は良好であった。金型温度175℃のプレス機にて曲率半径50mmに成形後、前記「光干渉縞試験」において湾曲面での強い光干渉縞はほとんど認められず、薄い着色あるが視認性は良好であった。
リタデーション値(Re)が5500nmの高延伸ポリカーボネート(PC)フィルム(100μm厚)上にアクリル系接着フィルム(デュポン社製パイララックスLF−0200)を介して厚さ10μmの銅箔を接着させた。得られた銅箔付きPCフィルムにフォトリソ工程(レジストフィルム貼付け−露光−現像−ケミカルエッチング−レジストフィルム剥離)を経て、ライン幅10μm、ライン間隔300μmの銅薄膜メッシュをPCフィルム上に形成し、サンプルを得た。
前記「電磁波シールド性能試験」によるサンプルの電磁波シールド性能は良好であった。金型温度175℃のプレス機にて曲率半径50mmに成形後、前記「光干渉縞試験」において湾曲面での強い光干渉縞はほとんど認められず、薄い着色あるが視認性は良好であった。
リタデーション値(Re)が3200nmの高延伸ポリカーボネート(PC)フィルム(200μm厚)上にアクリル系接着フィルム(デュポン社製パイララックスLF−0200)を介して厚さ10μmの銅箔を接着させた。得られた銅箔付きPCフィルムにフォトリソ工程(レジストフィルム貼付け−露光−現像−ケミカルエッチング−レジストフィルム剥離)を経て、ライン幅10μm、ライン間隔300μmの銅薄膜メッシュをPCフィルム上に形成し、サンプルを得た。
前記「電磁波シールド性能試験」によるサンプルの電磁波シールド性能は良好であった。金型温度175℃のプレス機にて曲率半径50mmに成形後、前記「光干渉縞試験」において湾曲面での強い光干渉縞はほとんど認められず、薄い着色あるが視認性は良好であった。
リタデーション値(Re)が5400nmの高延伸ポリカーボネート(PC)フィルム(300μm厚)上にアクリル系接着フィルム(デュポン社製パイララックスLF−0200)を介して厚さ10μmの銅箔を接着させた。得られた銅箔付きPCフィルムにフォトリソ工程(レジストフィルム貼付け−露光−現像−ケミカルエッチング−レジストフィルム剥離)を経て、ライン幅10μm、ライン間隔300μmの銅薄膜メッシュをPCフィルム上に形成し、サンプルを得た。
前記「電磁波シールド性能試験」によるサンプルの電磁波シールド性能は良好であった。金型温度175℃のプレス機にて曲率半径50mmに成形後、前記「光干渉縞試験」において湾曲面での強い光干渉縞はほとんど認められず、薄い着色あるが視認性は良好であった。
リタデーション値(Re)が6100nmの高延伸ポリカーボネート(PC)シート(500μm厚)上にアクリル系接着フィルム(デュポン社製パイララックスLF−0200)を介して厚さ10μmの銅箔を接着させた。得られた銅箔付きPCフィルムにフォトリソ工程(レジストフィルム貼付け−露光−現像−ケミカルエッチング−レジストフィルム剥離)を経て、ライン幅10μm、ライン間隔300μmの銅薄膜メッシュをPCフィルム上に形成し、サンプルを得た。
前記「電磁波シールド性能試験」によるサンプルの電磁波シールド性能は良好であった。金型温度175℃のプレス機にて曲率半径50mmに成形後、前記「光干渉縞試験」において湾曲面での強い光干渉縞はほとんど認められず、薄い着色あるが視認性は良好であった。
リタデーション値(Re)が3400nmの高延伸ポリカーボネート(PC)シート(1000μm厚)上にアクリル系接着フィルム(デュポン社製パイララックスLF−0200)を介して厚さ10μmの銅箔を接着させた。得られた銅箔付きPCフィルムにフォトリソ工程(レジストフィルム貼付け−露光−現像−ケミカルエッチング−レジストフィルム剥離)を経て、ライン幅10μm、ライン間隔300μmの銅薄膜メッシュをPCフィルム上に形成し、サンプルを得た。
前記「電磁波シールド性能試験」によるサンプルの電磁波シールド性能は良好であった。金型温度175℃のプレス機にて曲率半径50mmに成形後、前記「光干渉縞試験」において湾曲面での強い光干渉縞はほとんど認められず、薄い着色あるが視認性は良好であった。
リタデーション値(Re)が2050nmの高延伸ポリカーボネート(PC)フィルム(200μm厚)上にアクリル系接着フィルム(デュポン社製パイララックスLF−0200)を介して厚さ10μmの銅箔を接着させた。得られた銅箔付きPCフィルムにフォトリソ工程(レジストフィルム貼付け−露光−現像−ケミカルエッチング−レジストフィルム剥離)を経て、ライン幅10μm、ライン間隔300μmの銅薄膜メッシュをPCフィルム上に形成し、サンプルを得た。
前記「電磁波シールド性能試験」によるサンプルの電磁波シールド性能は良好であった。金型温度175℃のプレス機にて曲率半径50mmに成形後、前記「光干渉縞試験」において湾曲面での強い光干渉縞が僅かに発生し、着色があるものの視認性は問題ない程度であった。
リタデーション値(Re)が4800nmの延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡社製100μm厚)上にアクリル系接着フィルム(デュポン社製パイララックスLF−0200)を介して厚さ10μmの銅箔を接着させた。得られた銅箔付きPETフィルムにフォトリソ工程(レジストフィルム貼付け−露光−現像−ケミカルエッチング−レジストフィルム剥離)を経て、ライン幅10μm、ライン間隔300μmの銅薄膜メッシュをPETフィルム上に形成し、サンプルを得た。
前記「電磁波シールド性能試験」によるサンプルの電磁波シールド性能は良好であった。金型温度175℃のプレス機にて曲率半径50mmに成形後、前記「光干渉縞試験」において湾曲面での強い光干渉縞はほとんど認められず、薄い着色あるが視認性は良好であった。
リタデーション値(Re)が5400nmの高延伸ポリカーボネート(PC)フィルム(300μm厚)上にアクリル系接着フィルム(デュポン社製パイララックスLF−0200)を介して厚さ3μmのアルミ箔を接着させた。得られたアルミ箔付きPCフィルムにフォトリソ工程(レジストフィルム貼付け−露光−現像−ケミカルエッチング−レジストフィルム剥離)を経て、ライン幅20μm、ライン間隔300μmのアルミ薄膜メッシュをPCフィルム上に形成し、サンプルを得た。
前記「電磁波シールド性能試験」によるサンプルの電磁波シールド性能は良好であった。金型温度175℃のプレス機にて曲率半径50mmに成形後、前記「光干渉縞試験」において湾曲面での強い光干渉縞はほとんど認められず、薄い着色あるが視認性は良好であった。
リタデーション値(Re)が5400nmの高延伸ポリカーボネート(PC)フィルム(300μm厚)上にマスク層を用いて無電解ニッケルめっきを格子状に形成することによりライン幅10μm、ライン間隔300μm、ライン厚み3μmのニッケル薄膜メッシュをPCフィルム上に形成し、サンプルを得た。
前記「電磁波シールド性能試験」によるサンプルの電磁波シールド性能は良好であった。金型温度175℃のプレス機にて曲率半径50mmに成形後、前記「光干渉縞試験」において湾曲面での強い光干渉縞はほとんど認められず、薄い着色あるが視認性は良好であった。
リタデーション値(Re)が5400nmの高延伸ポリカーボネート(PC)フィルム(300μm厚)上にAgC導電性ペースト用いてライン幅100μm、ライン間隔300μm、ライン厚み10μmの導電性印刷メッシュをスクリーン印刷で形成し、サンプルを得た。
前記「電磁波シールド性能試験」によるサンプルの電磁波シールド性能は良好であった。金型温度175℃のプレス機にて曲率半径50mmに成形後、前記「光干渉縞試験」において湾曲面での強い光干渉縞はほとんど認められず、薄い着色あるが視認性は良好であった。
リタデーション値(Re)が1390nmの延伸ポリカーボネート(PC)フィルム(3000μm厚)上にアクリル系接着フィルム(デュポン社製パイララックスLF−0200)を介して厚さ10μmの銅箔を接着させた。得られた銅箔付きPCフィルムにフォトリソ工程(レジストフィルム貼付け−露光−現像−ケミカルエッチング−レジストフィルム剥離)を経て、ライン幅10μm、ライン間隔300μmの銅薄膜メッシュをPCフィルム上に形成し、サンプルを得た。
前記「電磁波シールド性能試験」によるサンプルの電磁波シールド性能は良好であった。金型温度175℃のプレス機にて曲率半径50mmに成形後、前記「光干渉縞試験」において強い光干渉縞が発生して顕著な着色があり、視認性が著しく低下した。
リタデーション値(Re)が540nmの延伸ポリカーボネート(PC)シート(200μm厚)上にアクリル系接着フィルム(デュポン社製パイララックスLF−0200)を介して厚さ10μmの銅箔を接着させた。得られた銅箔付きPCシートにフォトリソ工程(レジストフィルム貼付け−露光−現像−ケミカルエッチング−レジストフィルム剥離)を経て、ライン幅10μm、ライン間隔300μmの銅薄膜メッシュをPCシート上に形成し、サンプルを得た。
前記「電磁波シールド性能試験」によるサンプルの電磁波シールド性能は良好であった。金型温度175℃のプレス機にて曲率半径50mmに成形後、前記「光干渉縞試験」において強い光干渉縞が発生して顕著な着色があり、視認性が著しく低下した。
リタデーション値(Re)が600nmの延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(500μm厚)上にアクリル系接着フィルム(デュポン社製パイララックスLF−0200)を介して厚さ10μmの銅箔を接着させた。得られた銅箔付きPETフィルムにフォトリソ工程(レジストフィルム貼付け−露光−現像−ケミカルエッチング−レジストフィルム剥離)を経て、ライン幅10μm、ライン間隔300μmの銅薄膜メッシュをPETフィルム上に形成し、サンプルを得た。
前記「電磁波シールド性能試験」によるサンプルの電磁波シールド性能は良好であった。金型温度175℃のプレス機にて曲率半径50mmに成形後、前記「光干渉縞試験」において強い光干渉縞が発生して顕著な着色があり、視認性が著しく低下した。
Claims (10)
- 高延伸光透過型有機高分子材料を電磁波シールド層のベース基材に用いることを特徴とする光干渉縞緩和性に優れた湾曲面を有する光透過型電磁波シールド材料。
- 高延伸光透過型有機高分子材料がポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂またはポリエステル樹脂である請求項1記載の光透過型電磁波シールド材料。
- 高延伸光透過型有機高分子材料のリタデーション値が2000nm以上である請求項1〜2記載の光透過型電磁波シールド材料。
- 高延伸光透過型有機高分子材料のリタデーション値が3000nm以上である請求項3記載の光透過型電磁波シールド材料。
- 高延伸光透過型有機高分子材料の厚みが25μm〜5mmである請求項1〜4記載の光透過型電磁波シールド材料。
- 電磁波シールド層に、金属薄膜メッシュまたは導電性印刷メッシュを用いる請求項1〜5記載の光透過型電磁波シールド材料。
- 金属薄膜メッシュまたは導電性印刷メッシュが、銀、銅、アルミ、ニッケル、カーボン、ITO(酸化インジウム/酸化錫)、ZnO(酸化亜鉛)、錫、亜鉛、チタン、タングステンおよびステンレスから選ばれた少なくとも1つ以上の金属成分を含有する金属化合物を用いる請求項6記載の光透過型電磁波シールド材料。
- 電磁波シールド層の電磁波シールド性能が30デシベル以上である請求項1〜7記載の光透過型電磁波シールド材料。
- 偏光板または位相差板を有するディスプレイに使用することを特徴とする請求項1〜8記載の光透過型電磁波シールド材料。
- 偏光板または位相差板を含むカーナビゲーションまたは車載パネルに使用することを特徴とする請求項1〜9記載の光透過型電磁波シールド材料。
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