JPH11133870A - ディスプレイ装置およびディスプレイ用カバー部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電磁波吸収フィルタが、熱、湿度等に起因し
て変形し、ＰＤＰユニットに接触することを防止するこ
とを課題とする。 【解決手段】 前部筺体１の正面側部分を視聴者側に凸
となるように湾曲した形状としておく。そして、電磁波
吸収フィルタ６を、両面テープ７によって、ＰＤＰユニ
ット３に対応して設けられた開口部１ａの周囲の枠の前
面（ガイド部１ｖ）に固定する。この状態では、電磁波
吸収フィルタ６も視聴者側に凸となっている。従って、
電磁波吸収フィルタ６が熱膨張した場合、電磁波吸収フ
ィルタ６は視聴者側への湾曲が強まる方向に変形する。
従って、ＰＤＰユニット３に接触することはない。ま
た、外力によって電磁波吸収フィルタ６が強制的にＰＤ
Ｐユニット３の側へ変形された場合でも、電磁波吸収フ
ィルタ６自体の反発力によって、復元する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、プラズマディス
プレイパネル等の平面型のディスプレイ装置およびディ
スプレイ用カバー部材に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】プラズマディスプレイパネル（以下「Ｐ
ＤＰ」という）の発光原理は、プラズマ放電における紫
外線を利用して発光させるというものである。画像信号
に従って、所望の位置の蛍光体を所望のタイミングで所
望量だけ発光させることで、画像を形成できる。

【０００３】ところで、上述した発光原理を用いている
関係上、ＰＤＰからはプラズマ放電による電磁波が放射
されてしまう。従って、ＰＤＰを用いた装置では、ＰＤ
Ｐ全面に電磁波吸収フィルタを設置する等して、この放
射される電磁波を遮断し装置の外部に出さないようにし
ている。また、ＰＤＰを構成するガラスは軽量化のため
に極力薄くされているため、この電磁波吸収フィルタは
ＰＤＰ自体を保護する役割も果たしている。このような
電磁波吸収フィルタの設置構造の一例を図１３に示し
た。

【０００４】図１３に示したのは、特開平９−５１４９
４号公報に開示されているＰＤＰの構成を示す部分断面
模式図である。

【０００５】ＰＤＰユニット１０３は、前部筺体１０１
と後部筺体（図示しない）とによって構成される筺体内
に納められている。前部筺体１０１には、ＰＤＰユニッ
ト１０３の画像表示面に対応する領域に開口部１０１ａ
が形成されている。

【０００６】電磁波吸収フィルタ１０６は、ＰＤＰユニ
ット１０３から放射される電磁波を吸収するためのもの
であり、開口部１０１ａを覆うように取り付けられてい
る。この取り付けは、前部筺体１０１の内側からネジ１
０４によってなされている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】電磁波吸収フィルタ１
０６としては、樹脂材料製のものが使用されている。と
ころが、このような樹脂材料製の電磁波吸収フィルタ１
０６は、ＰＤＰユニット１０３および制御回路基板（図
示しない）の発する熱によって変形してしまうことがあ
った。その結果、ＰＤＰユニット１０３の表示ガラス面
に電磁波吸収フィルタ１０６が接触しモアレ（干渉縞）
が生じるという問題があった。また、熱変形の方向が一
定していないため、電磁波吸収フィルタ１０６に凹凸が
生じるという問題があった。このような問題は熱に起因
してのみ生じるものではなく、湿気などによっても同様
の問題が生じていた。また、ユーザが電磁波吸収フィル
タ１０６を押した場合等にも同様の問題が生じていた。

【０００８】プラズマディスプレイパネル以外にも近年
大型の平面型表示装置が開発されつつあるが、これらも
その表示面は薄いガラスで構成されることが多いため、
表示面保護のために保護パネルが使用されることがあ
る。そして、このような場合にも同様にこの保護パネル
の変形に起因した問題が生じる可能性がある。

【０００９】また、近年商品化されたばかりのＰＤＰに
おいては、その外観がＣＲＴ等との差別化が十分図られ
ているとは言い難い。例えば、これまでのＰＤＰでは、
従来と同様、表示部が枠（前部筺体）にはめ込まれたよ
うな外観であった。そのため、ＰＤＰには、ＣＲＴ等の
表示装置と一線を画した新たな外観が求められていた。

【００１０】本発明は、電磁波吸収フィルタあるいは保
護パネルの変形に起因して、モアレ（干渉縞）や凹凸が
生じるのを防いだディスプレイ装置を提供することを目
的とする。

【００１１】本発明は、モアレ（干渉縞）や凹凸が生じ
にくいディスプレイ用カバー部材を提供することを目的
とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するためになされたものであり、その第１の態様として
は、画像表示面を備え、該画像表示面に画像を表示する
平面型の表示ユニットと、前記画像表示面に対応した開
口部を備え、該開口部を通じて前記画像表示面が視認さ
れるように前記表示ユニットが収容された筺体と、視聴
者側へ凸状に湾曲した状態で前記筺体に取り付けられ、
前記開口部を覆った透明なカバー部材とを有することを
特徴とするディスプレイ装置が提供される。

【００１３】前記カバー部材の湾曲は、前記画像表示面
における水平方向または垂直方向における湾曲である
か、あるいは、両方向における湾曲であってもよい。

【００１４】本発明の第２の態様としては、画像表示面
を備え、該画像表示面に画像を表示するプラズマディス
プレイ方式の表示ユニットと、前記画像表示面に対応し
た開口部を備え、該開口部を通じて前記画像表示面が視
認されるように前記表示ユニットが収容された筺体と、
その背面が前記筺体の前記開口部周囲の枠の前面に接触
した状態で前記筺体に取り付けられ、前記開口部を覆っ
た透明なカバー部材とを有することを特徴とするディス
プレイ装置が提供される。

【００１５】本発明の第３の態様としては、画像表示面
を備え、該画像表示面に画像を表示するプラズマディス
プレイ方式の表示ユニットと、前記画像表示面に対応し
た開口部を備え、該開口部を通じて前記画像表示面が視
認されるように前記表示ユニットが収容された筺体と、
前記筺体の前記開口部の周辺領域に配置された弾性を有
する接合材と、前記接合材を介して前記筺体に接合さ
れ、前記開口部を覆った透明なカバー部材とを有するこ
とを特徴とするディスプレイ装置が提供される。

【００１６】前記接合材は、両面テープであってもよ
い。

【００１７】前記カバー部材の外周縁部の少なくとも一
部において、前記カバー部材の前面側に係合して配置さ
れることで、前記カバー部材が前記筺体から解離するの
を抑止する解離抑止部材を有してもよい。

【００１８】前述した各態様における前記カバー部材
は、電磁波吸収性を有することが好ましい。

【００１９】本発明の第４の態様としては、ディスプレ
イ装置に装着されてその表示面を覆うディスプレイ用カ
バー部材において、前記表示装置に装着された状態にお
ける視聴者側へ凸状に湾曲していることを特徴とするデ
ィスプレイ用カバー部材が提供される。

【００２０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を用いて説明する。

【００２１】実施の形態１ 本実施の形態１のＰＤＰ装置は、電磁波吸収フィルタの
取り付け構造に主たる特徴を有するものである。従っ
て、以下における説明はこの特徴部分を中心に行うもの
とする。

【００２２】図１、図２に示すとおり、画像を表示する
ＰＤＰユニット３は、前部筺体１および後部筺体２によ
って構成される筺体に納められている。また、この筺体
内のＰＤＰユニット３の背後には、ＰＤＰユニット３を
駆動するための制御回路基板５が配置されている。な
お、本実施の形態では表示画面のサイズが４０インチの
ものを採用している。

【００２３】前部筺体１は、ＰＤＰユニット３の形状に
合わせてその正面側における外周輪郭が左右方向に長い
略長方形にされている。この前部筺体１は、その正面側
部分が図１、図２における左右方向の中心に近づくほど
視聴者側に迫り出すように湾曲している。そして、この
正面側部分のうちＰＤＰユニット３に対応する領域に
は、開口部１ａが形成されている。電磁波吸収フィルタ
６は、この開口部１ａの周囲の枠の前面部分に固着され
る。以下、上辺側および下辺側の枠の前面を「ガイド部
１ｈ」と呼ぶ。また、左辺側および右辺側の枠の前面を
「ガイド部１ｖ」と呼ぶ。前部筺体１の正面側部分全体
が前述したとおり湾曲している関係上、ガイド部１ｈは
その左右方向における中心付近が視聴者側に凸となるよ
う湾曲している。一方、ガイド部１ｖにはこのような湾
曲はない。但し、ガイド部１ｖは、ガイド部１ｈの左右
端部湾曲状態に合わせて傾いている。すなわち、開口部
１ａ側の領域全体が視聴者側に出ている。従って、ガイ
ド部１ｖとガイド部１ｈとの間には段差がなく、両者は
面一につながっている。

【００２４】なお、本実施の形態においては、この開口
部１ａの周囲の枠における筺体の前後方向における厚さ
Δｗが約２ｍｍにされている。また、この枠の後面とＰ
ＤＰユニット３の前面との隙間ｇが約３ｍｍにされてい
る。

【００２５】このガイド部１ｈおよびガイド部１ｖの外
周側には、視聴者側に突出した壁部１ｂが設けられてい
る。この壁部１ｂは電磁波吸収フィルタ６の外周縁部を
隠すためのものである。その突出量Δｄは、壁部１ｂの
最前部がこの前部筺体１に取り付けられた電磁波吸収フ
ィルタ６の視聴者側の面よりもさらに１〜２ｍｍ程度視
聴者側に位置するように設定されている。

【００２６】電磁波吸収フィルタ６は、ＰＤＰユニット
３から放出される電磁波を吸収することでこれが視聴者
側に放射されるのを遮断するとともに、ＰＤＰユニット
３を保護するためのものである。従って、電磁波吸収フ
ィルタ６には、可視光を透過させる透明性と、有害な電
磁波を吸収する特性と、十分な強度とが要求される。本
実施の形態では電磁波吸収フィルタ６として、図示しな
い導電膜を備えた樹脂板、具体的には厚さ３ｍｍの平板
なアクリル板が採用されている。この電磁波吸収フィル
タ６が前述したガイド部１ｈに倣って湾曲させられた状
態で、開口部１ａを覆うように取り付けられている。図
１には、この湾曲の向きを矢印で示した。この電磁波吸
収フィルタ６の外周端部と、壁部１ｂの内周面との間に
は、隙間Δｓが残される。この隙間Δｓは、電磁波吸収
フィルタ６の伸びを考慮して設けられたものであり、本
実施の形態ではこの隙間の幅を１．５ｍｍにしている。

【００２７】両面テープ７は、電磁波吸収フィルタ６を
ガイド部１ｈおよびガイド部１ｖに固着するためのもの
である。さらに、両面テープ７は、前部筺体１と電磁波
吸収フィルタ６との間における伸びの差を吸収するため
のものである。そのため、両面テープ７には、強力な粘
着力と、十分な弾性とを兼ね備えたものを採用する必要
がある。本実施の形態における両面テープ７は、具体的
には、厚さ１ｍｍのアクリルフォームを基材とし、これ
にアクリル系の粘着剤が塗布されたものである。

【００２８】なお、実際の製造工程においては、両面テ
ープ７をガイド部１ｈ及びガイド部１ｖに先に貼り付け
ておく。そして、この後、図３のように電磁波吸収フィ
ルタ６を貼り付ける。このような手順にするのは、電磁
波吸収フィルタ６は元々は平板な状態であり、これを貼
り付け時に湾曲させるからである。すなわち、平板な状
態において両面テープを貼り付けたのでは、電磁波吸収
フィルタ６を湾曲させる際に両面テープにしわができ
る。また、平板な電磁波吸収フィルタ６に外力を加えて
所定の形状にまであらかじめ曲げておいたうえで両面テ
ープを貼るのは作業が面倒だからである。

【００２９】特許請求の範囲において言う「表示ユニッ
ト」とは、本実施の形態におけるＰＤＰユニット３に相
当する。「筺体」は、前部筺体１および後部筺体によっ
て構成される。「開口部」は開口部１ａに相当する。
「カバー部材」は電磁波吸収フィルタ６に相当する。カ
バー部材の取り付けられる筺体の「開口部周囲の枠の前
面」とは、ガイド部１ｖおよびガイド部１ｈに相当す
る。「接合材」とは両面テープ７に相当する。

【００３０】作用について説明する。

【００３１】ＰＤＰが完成された状態において、電磁波
吸収フィルタ６は、前部筺体１の開口部１ａを覆うよう
に取り付けられている。この場合、電磁波吸収フィルタ
６は、ガイド部１ｈに倣ってその全体が視聴者側に凸と
なるように湾曲させられている。

【００３２】ここで、ＰＤＰ装置の使用中、ＰＤＰユニ
ット３の発する熱によって電磁波吸収フィルタ６が熱膨
張した場合について考える。電磁波吸収フィルタ６は、
その周囲が両面テープ７によってガイド部１ｖ，１ｈに
固定されており、また、図４に示すようにあらかじめ視
聴者側へ凸となるように湾曲させられている。さらに
は、ガイド部１ｖが後ろ向きの変形を妨げる。そのた
め、この熱膨張に起因して生じる変形は必ず視聴者側
へ、すなわち湾曲量（突出量）が増大する方向に生じ
る。電磁波吸収フィルタ６をあらかじめ視聴者側に湾曲
させている場合における熱変形の様子を図４（ａ）に示
した。この図４（ａ）においては、熱変形前の状態を破
線で、また熱変形後の状態を実線で描いた。また、比較
のため、ガイド部１ｈが湾曲しておらず電磁波吸収フィ
ルタ６をあらかじめ視聴者側に湾曲させていない場合に
おける熱変形の様子を図４（ｂ）に示した。図４（ｂ）
では、電磁波吸収フィルタ６が不規則な凹凸形状に湾曲
し、ＰＤＰユニット３に接触している部分もある。

【００３３】電磁波吸収フィルタ６と前部筺体１とでは
熱膨張による伸びが異なるが、この伸びの違いは両面テ
ープ７、特に、その基材によって吸収される。従って、
両面テープ７が電磁波吸収フィルタ６あるいは前部筺体
１から剥がれ、その結果、電磁波吸収フィルタ６が前部
筺体１からはずれて落ちることはない。また、逆に、両
面テープ７による固着が、湾曲量が増大する方向への電
磁波吸収フィルタ６の変形を妨げることもない。

【００３４】しかも、電磁波吸収フィルタ６は前部筺体
１の前面側から取り付けられているため、従来構造（図
１３）に比べて、電磁波吸収フィルタ６は少なくともガ
イド部１ｖおよびガイド部１ｈを構成している枠部分の
厚さ分（本実施の形態では３ｍｍ）だけはＰＤＰユニッ
ト３から離れている。従って、本実施の形態においては
電磁波吸収フィルタ６は全体として熱の影響を受け難
い。

【００３５】電磁波吸収フィルタ６の変形量はその中央
部において最も大きくなる。また、電磁波吸収フィルタ
６は視聴者側へ凸となるように湾曲させられているた
め、この中央部では、ＰＤＰユニット３と電磁波吸収フ
ィルタ６との間隔が周辺領域に比べて広くなっている。
本実施の形態では、周辺領域における間隔は５ｍｍであ
るのに対して、中央部における間隔は１３ｍｍある。従
って、この間隔が広い分だけ、電磁波吸収フィルタ６の
中央部は、周辺部に比べて熱の影響を受けにくく、熱膨
張量が小さい。

【００３６】以上のような事情から電磁波吸収フィルタ
６がＰＤＰユニット３と接触するような事態は発生し難
く、モアレ（干渉縞）が生じることもない。なお、上述
した作用効果は、熱に起因した変形のみならず湿気によ
って生じる変形に対しても同様に有効である。

【００３７】また、仮に何らかの外力が電磁波吸収フィ
ルタ６に作用して強制的に凹状に変形させられた場合、
例えば、視聴者が指等で電磁波吸収フィルタ６を押した
場合でも、電磁波吸収フィルタ６はそれ自身の反発力に
よって視聴者側へ凸となるように復元する。

【００３８】ＰＤＰ装置の最前面には電磁波吸収フィル
タ６だけが存在し、ほとんど凹凸が無い。従って、前部
筺体の存在が目立たず、前面全体が表示部であるかのよ
うな感覚を与え、平面ディスプレイであることが強調さ
れた外観が得られる。さらに、ＰＤＰユニット３と電磁
波吸収フィルタとの間隔が従来と同じでよいのであれ
ば、ＰＤＰ装置を従来よりも薄型化できる。

【００３９】本実施の形態１では、両面テープ７を介し
て電磁波吸収フィルタ６と前部筺体１とを固着していた
が、接着剤を用いて両者を接着することも考えられる。
但し、この場合には、例えば、シリコーン系の接着剤の
ごとく、硬化した状態においても十分な弾性を備えるよ
うな接着剤を使用するのが好ましい。

【００４０】実施の形態２ 実施の形態２は、ＰＤＰユニット３の上下方向について
電磁波吸収フィルタ６を湾曲させた例である。これ以外
の点は実施の形態１と同様である。

【００４１】以下においては実施の形態１との相違点を
中心に説明を行う。

【００４２】前部筺体１０は、図５、図６に示すとお
り、ＰＤＰユニット３の形状に合わせてその正面側の外
周輪郭が左右方向に長い略長方形にされている。また、
この前部筺体１０は、その正面側部分が上下方向におけ
る中心側ほど視聴者側に迫り出すように湾曲している。
そして、この正面側部分のうちＰＤＰユニット３に対応
する領域には、開口部１０ａが形成されている。電磁波
吸収フィルタ６は、この開口部１０ａの周囲の枠の前面
部分に固着される。以下、上辺側および下辺側の枠の前
面部分を「ガイド部１０ｈ」と呼ぶ。また、左辺側およ
び右辺側の枠の前面部分を「ガイド部１０ｖ」と呼ぶ。
前部筺体１０の正面側部分全体が前述したとおり湾曲さ
せられている関係上、ガイド部１０ｖはその上下方向に
おける中心付近ほど視聴者側へ凸となるように湾曲して
いる。一方、ガイド部１０ｈにはそのような湾曲はな
い。但し、ガイド部１０ｈは、ガイド部１０ｖの上下端
部の湾曲状態に合わせて傾いている。つまり、開口部１
０ａ側の領域全体が視聴者側に出ている。従って、ガイ
ド部１０ｖとガイド部１０ｈとの間には段差がなく、両
者は面一につながっている。

【００４３】壁部１０ｂの構成は、実施の形態１におけ
る壁部１ｂと同様である。

【００４４】作用を説明する。

【００４５】電磁波吸収フィルタ６は、図６に示すとお
り、両面テープ７によってガイド部１０ｖおよびガイド
部１０ｈに固着する。このようにして取り付けられた電
磁波吸収フィルタ６は、その中央付近が視聴者側へ凸と
なるように上下方向について湾曲した状態となってい
る。図５には、この湾曲の向きを矢印で示した。

【００４６】この実施の形態２によれば、上下方向につ
いての電磁波吸収フィルタ６の変形に起因して、電磁波
吸収フィルタ６がＰＤＰユニット３へ接触するのをより
確実に防止できる。また、これ以外にも実施の形態１と
同様の効果が得られる。

【００４７】実施の形態３ 上述した実施の形態１および実施の形態２では左右方向
と上下方向とのいずれか一方にのみ電磁波吸収フィルタ
６を湾曲させていた。この実施の形態３では、左右方向
と上下方向との両方向について電磁波吸収フィルタ６を
湾曲させている。これ以外の点は実施の形態１と同様で
ある。

【００４８】以下においては実施の形態１との相違点を
中心に説明を行う。

【００４９】前部筺体１１は、図７、図８に示すとお
り、ＰＤＰユニット３の形状に合わせてその正面側の外
周輪郭が左右方向に長い略長方形にされている。また、
この前部筺体１１は、その正面側部分が上下方向および
左右方向の中心ほど視聴者側に迫り出すように湾曲させ
られている。そして、この正面側部分のうちＰＤＰユニ
ット３に対応する領域には、開口部１１ａが形成されて
いる。電磁波吸収フィルタ６は、この開口部１１ａの周
囲の枠の前面部分に固着される。以下、上辺側および下
辺側の枠の前面部分を「ガイド部１１ｈ」と呼ぶ。ま
た、左辺側および右辺側の枠の前面部分を「ガイド部１
１ｖ」と呼ぶ。前部筺体１１の正面側部分全体が前述し
たとおり湾曲させられている関係上、ガイド部１１ｖは
その上下方向における中心付近ほど視聴者側へ凸となる
ように湾曲している。一方、ガイド部１１ｈは左右方向
における中心付近が視聴者側へ凸となるように湾曲して
いる。

【００５０】但し、ガイド部１１ｈおよびガイド部１１
ｖは、互いに、互いの端部の湾曲状態に合わせて傾いて
いる。つまり、ガイド部１１ｈは、ガイド部１１ｖの上
下端部の湾曲状態に合わせて傾いている。つまり、開口
部１１ａ側の領域全体が視聴者側に出ている。同様に、
ガイド部１１ｖは、ガイド部１１ｈの左右端部の湾曲状
態に合わせて傾いている。従って、ガイド部１１ｖとガ
イド部１１ｈとの間には段差がなく、両者は面一につな
がっている。

【００５１】壁部１１ｂの構成は、実施の形態１におけ
る壁部１ｂと同様である。

【００５２】作用を説明する。

【００５３】電磁波吸収フィルタ６は、図８に示すとお
り、ガイド部１１ｖおよびガイド部１１ｈにおいて両面
テープ７によって固着する。このようにして取り付けら
れた電磁波吸収フィルタ６は、その中央付近が視聴者側
へ凸となるように左右方向及び上下方向のいずれの方向
についても湾曲した状態となっている。図７にはこの湾
曲の様子を矢印で描いた。

【００５４】この実施の形態３によれば左右方向と上下
方向とのいずれについても湾曲させているため、電磁波
吸収フィルタ６のＰＤＰユニット３への接触をより確実
に防止できる。また、これ以外にも実施の形態１と同様
の効果が得られる。

【００５５】実施の形態４ 本実施の形態４は、図９に示すとおり、両面テープによ
る固着に加えて、押さえ部材８によっても電磁波吸収フ
ィルタ６の縁を押さえることで、電磁波吸収フィルタ６
の固定をより確実にしたことを主な特徴としている。こ
れ以外の点は、実施の形態１と同様である。

【００５６】筺体（前部筺体１および後部筺体２）は、
実施の形態１と同様である。但し、後部筺体２は、図１
０に示すとおり、その傾斜した側壁面に、押さえ部材８
の装着に用いられる係合穴２ａを備えている。

【００５７】押さえ部材８は、ガイド部１ｖの上側（前
面側）から電磁波吸収フィルタ６の縁を押さえるための
ものである。この押さえ部材８は、図１０に示すとお
り、板材をこのＰＤＰ装置の筺体外部形状に合わせて折
り曲げて構成されている。 押さえ部材８の前縁は、電
磁波吸収フィルタ６を押さえるために、ガイド部１ｖに
対応した長さとされている。また、押さえ部材８の後ろ
側には、後部筺体２の係合穴２ａに係合する係合突起８
ａが設けられている。本実施の形態では、この押さえ部
材８を金属で構成しているが、この他にも合成樹脂材
料、例えば、ＡＢＳ、ＰＳ等も使用可能である。

【００５８】特許請求の範囲において言う「解離抑止部
材」とは、本実施の形態においては押さえ部材８に相当
する。

【００５９】作用を説明する。

【００６０】電磁波吸収フィルタ６を両面テープ７によ
って前部筺体１に固着するのは実施の形態１と同様であ
る。

【００６１】この後、押さえ部材８によって電磁波吸収
フィルタ６の左右の縁部を押さえつつ、押さえ部材８の
後端部を後部筺体２に押しつけて位置を調節し、係合突
起８ａを係合穴２ａに係合させる。これにより押さえ部
材８をＰＤＰ装置の筺体に装着できる。

【００６２】電磁波吸収フィルタ６は両面テープ７のみ
ならずこの押さえ部材８によっても押さえられている。
つまり、電磁波吸収フィルタ６が平坦な状態に戻ろうと
する復元力に抵抗する力（湾曲状態を保とうとする力）
が、両面テープ７だけを用いている場合に較べて強い。
従って、より強度の高い、すなわち、復元力がより強い
電磁波吸収フィルタ６を採用できる。このような復元力
の強い電磁波吸収フィルタ６では、上述した効果（不規
則な凹凸の抑制効果）がより高い。

【００６３】また、押さえ部材８を併用しているため、
両面テープ７として粘着力の弱いものを採用できる。こ
のような粘着力の弱いものを採用した場合には、電磁波
吸収フィルタ６の交換が容易である。

【００６４】本実施の形態では、電磁波吸収フィルタ６
の４辺のうち湾曲させられていない辺部のみを押さえ部
材８によって押さえていた。しかし、押さえるのは、必
ずしも湾曲していない辺部である必要はない。湾曲させ
られている辺部を押さえることで、電磁波吸収フィルタ
６の湾曲形状を保つようにしてもよい。

【００６５】また、押さえ部材８は電磁波吸収フィルタ
６の辺部を必ずしも押圧している必要はない。単に、両
面テープ７が剥がれて電磁波吸収フィルタ６が前部筺体
１から解離するのを抑止できるように、単に電磁波吸収
フィルタ６に接触しているだけでもよい。

【００６６】押さえ部材８およびその装着構造は、図
９、図１０に示したものには限定されない。これ以外に
も例えば、図１１に示した構造としてもよい。この図１
１の例では、前部筺体１の一部にスリット穴１ｃを形成
し、この穴に押さえ部材１８の後端を挿入し固定してい
る。固定の方法は、折り曲げ、焼き止め、爪による嵌合
等様々な方法が考えられる。なお、ここでいう「焼き止
め」とは、一方の部材には突起を、また、他方の部材に
は穴を設けておき、この突起を穴を通した上で加熱して
つぶすことで、両部材を連結する処理である。

【００６７】押さえ部材８は、必ずしも筺体から脱着可
能である必要はない。また、押さえ部材８は、必ずしも
前部筺体１と別体に構成されている必要はない。前部筺
体１と一体に成形してもよい。

【００６８】実施の形態５ 前述した実施の形態１、２、３および４で採用していた
電磁波吸収フィルタ６は、いずれも平板なものであり、
これに外力を加えて強制的に湾曲させたうえで前部筺体
１に取り付けていた。そして、この湾曲状態を両面テー
プ７、押さえ部材８によって維持していた。これに対し
て本実施の形態５の電磁波吸収フィルタ２６は、図１２
に示すとおり、それ自身が当初から湾曲した状態に成形
されている。これ以外の点は実施の形態１と同様であ
る。

【００６９】電磁波吸収フィルタ２６は、図１２に示す
とおり、それ自身が当初から湾曲した状態に成形されて
いる。本実施の形態における電磁波吸収フィルタ２６
は、具体的には、アクリル樹脂を湾曲した板状に成形し
たものである。

【００７０】このような電磁波吸収フィルタ２６では、
ＰＤＰ装置に装着した状態において両面テープ７を剥が
そうとする方向に作用する力（復元力）がない。従っ
て、一旦取り付けた電磁波吸収フィルタ２６が外れてし
まうようなことも少ない。また、両面テープ７の粘着力
は上述した実施の形態１等で採用したものに比べて小さ
くてもよい。さらに、取り付け作業時に電磁波吸収フィ
ルタ２６を強制的に湾曲させる必要がないため、取り付
け作業は容易である。

【００７１】なお、前述した実施の形態に開示した様々
な構成を必ずしもすべて備えている必要はない。適宜組
み合わせてもよい。例えば、電磁波吸収フィルタを視聴
者側に湾曲させるという構成と、電磁波吸収フィルタを
前部筺体の前面側から装着するという構成とのうちいず
れか一方のみを備えてもよい。

【００７２】

【発明の効果】以上説明したとおり本発明によれば以下
の様な効果が得られる。

【００７３】カバー部材は筺体に取り付けられた状態に
おいて視聴者側に向けて凸となるようにあらかじめ湾曲
させられている。従って、熱、湿気等に起因してカバー
部材が変形しても、その変形は視聴者側にのみ凸となる
ものであり、不規則な凹凸形状とはならない。従って、
カバー部材が表示ユニットに接触することがなく、モア
レ（干渉縞）等が生じない。さらに、視聴者がなんらか
の外力をカバー部材に加えてカバー部材を表示ユニット
側へ凹となるように変形させたとしても、カバー部材は
それ自身の反発力によって元の状態（視聴者側へ凸の状
態）に復元する。

【００７４】カバー部材の表示ユニット側に位置する面
がディスプレイ装置の筺体の前記開口部周囲の枠の前面
に接触した状態で取り付けられる構成を採用した場合に
は、カバー部材が筺体よりも前側に位置する分だけ、表
示ユニットの発する熱のカバー部材への影響を小さくで
きる。また、ディスプレイ装置の前面に凹凸がほとんど
なく、平面ディスプレイであることが強調された外観に
なる。

【００７５】カバー部材を接合材を介して接合する構成
を採用した場合には、熱膨張等に起因したカバー部材の
伸びがこの接合材によって吸収されるため、カバー部材
の剥がれ等を防止できる。

【００７６】カバー部材の前面側に接するように解離抑
止部材を設けた構成では、カバー部材の固定が確実であ
る。従って、カバー部材が筺体から浮きあがり隙間がで
きてしまうようなことはない。また、カバー部材の交換
が容易である。

【００７７】カバー部材自身をあらかじめ湾曲させた構
成では、カバー部材の復元力が作用しないため筺体への
取り付けが容易でありまた筺体から外れるような事態も
生じにくい。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施の形態１のＰＤＰ装置の外観を
示す斜視図である。

【図２】 ＰＤＰ装置の内部構成を示す上部断面模式図
である。

【図３】 電磁波吸収フィルタの取り付けの様子を示す
斜視図である。

【図４】 （ａ）電磁波吸収フィルタを視聴者側にあら
かじめ湾曲させている場合における熱変形の様子を示す
模式図、（ｂ）電磁波吸収フィルタを視聴者側にあらか
じめ湾曲させていない場合における熱変形の様子を示す
模式図である。

【図５】 本発明の実施の形態２のＰＤＰ装置の外観を
示す全体斜視図である。

【図６】 電磁波吸収フィルタの取り付けの様子を示す
斜視図である。

【図７】 本発明の実施の形態３のＰＤＰ装置の外観を
示す全体斜視図である。

【図８】 電磁波吸収フィルタの取り付けの様子を示す
斜視図である。

【図９】 本発明の実施の形態４のＰＤＰ装置の外観を
示す全体斜視図である。

【図１０】 ＰＤＰ装置の内部構成を示す上部断面模式
図である。

【図１１】 実施の形態４の変形例を示す上部断面模式
図である。

【図１２】 本発明の実施の形態５の電磁波吸収フィル
タ及びその取り付けの様子を示す斜視図である。

【図１３】 従来のプラズマディスプレイ装置の構成を
示す上部断面を示す模式図である。

【符号の説明】

１，１０，１１ 前部筺体、 １ａ，１０ａ，１１ａ
開口部、 １ｂ，１０ｂ，１１ｂ 壁部、 １ｃ スリ
ット穴、 １ｖ，１０ｖ，１１ｖ ガイド部、１ｈ，１
０ｈ，１１ｈ ガイド部、 ２ 後部筺体、 ２ａ 係
合穴、 ３ ＰＤＰユニット、 ５ 制御回路基板、
６ 電磁波吸収フィルタ、 ７ 両面テープ、 ８ 押
さえ部材、 ８ａ 係合突起、 １８ 押さえ部材、
２６ 電磁波吸収フィルタ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大倉 献一郎 東京都千代田区丸の内二丁目２番３号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 古石 喜郎 東京都千代田区丸の内二丁目２番３号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 ▲高▼畑 誠 兵庫県尼崎市西長洲町２丁目６番25号 イ ーグルシステムエンジニアリング株式会社 内

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 画像表示面を備え、該画像表示面に画像
   を表示する平面型の表示ユニットと、 前記画像表示面に対応した開口部を備え、該開口部を通
   じて前記画像表示面が視認されるように前記表示ユニッ
   トが収容された筺体と、 視聴者側に凸に湾曲した状態で前記筺体に取り付けら
   れ、前記開口部を覆った透明なカバー部材とを有するこ
   とを特徴とするディスプレイ装置。
2. 【請求項２】 前記カバー部材の湾曲は、前記画像表示
   面における水平方向または垂直方向における湾曲、ある
   いは、両方向における湾曲であることを特徴とする請求
   項１記載のディスプレイ装置。
3. 【請求項３】 画像表示面を備え、該画像表示面に画像
   を表示する平面型の表示ユニットと、 前記画像表示面に対応した開口部を備え、該開口部を通
   じて前記画像表示面が視認されるように前記表示ユニッ
   トが収容された筺体と、 その背面が前記筺体の前記開口部周囲の枠の前面に接触
   した状態で前記筺体に取り付けられ、前記開口部を覆っ
   た透明なカバー部材とを有することを特徴とするディス
   プレイ装置。
4. 【請求項４】 画像表示面を備え、該画像表示面に画像
   を表示する平面型の表示ユニットと、 前記画像表示面に対応した開口部を備え、該開口部を通
   じて前記画像表示面が視認されるように前記表示ユニッ
   トが収容された筺体と、 前記筺体の前記開口部の周辺領域に配置された弾性を有
   する接合材と、 前記接合材を介して前記筺体に接合され、前記開口部を
   覆った透明なカバー部材とを有することを特徴とするデ
   ィスプレイ装置。
5. 【請求項５】 前記接合材は、両面テープであることを
   特徴とする請求項４記載のディスプレイ装置。
6. 【請求項６】 前記カバー部材の外周縁部の少なくとも
   一部において、前記カバー部材の前面側に係合して配置
   されることにより、前記カバー部材が前記筺体から解離
   するのを抑止する解離抑止部材を有することを特徴とす
   る請求項４または５記載のディスプレイ装置。
7. 【請求項７】 前記カバー部材は、電磁波吸収性を有す
   ることを特徴とする請求項１、２、３、４、５または６
   記載のディスプレイ装置。
8. 【請求項８】 ディスプレイ装置に装着されてその表示
   面を覆うディスプレイ用カバー部材において、 前記ディスプレイ装置に装着された状態における視聴者
   側へ凸状に湾曲していることを特徴とするディスプレイ
   用カバー部材。