(概要)
本発明は動電型スピーカーに関連する幾つかの薄膜引っ張り方法および取り付け具を提供する。本発明の1つの態様では、振動板は動電型スピーカーのフレームに取り付けられる。次にフレームは振動板を伸長し、引っ張るために変形される。
振動板を引っ張られない状態で一時的に固定するために薄膜クランプが使用される。平坦な接触面を有する真空発生源上に振動板を置くことによって、振動板は引っ張られない状態におかれる。クランプは周辺部に沿って振動板に接触し、振動板の中心部へのアクセスが可能であるような構造である。締着された振動板は次に、振動板内に張力を生成するためにスピーカーのフレーム上方に移動される。適切な張力が生成されると、振動板はフレームに固定される。
動電型スピーカー用の振動板の張力はフィードバック制御システムを使用して制御される。1つの種類のフィードバック制御システムは引っ張り工程中に振動板を励振する。引っ張り中の実際の共振周波数が目標の共振周波数と比較される。目標の共振周波数が達成されると、引っ張り工程は完了する。別の種類のフィードバック・システムは所定の荷重をかけて振動板の撓みを測定する工程を含んでいる。振動板内の張力は、振動板の実際の撓みが振動板の目標の撓みと一致するまで変更される。
振動板を引っ張るためのシステムはハブから径方向に延びる複数個のフィンガを有する
スパイダを含んでおり、各フィンガは振動板の片面に接触するようにされたパッドを含み、一方、底板は振動板の反対面に接触する。スパイダには軸方向力が加えられる。パッド間の振動板内に張力を生成するために、軸方向力は少なくとも部分的に振動板内の横方向力に変換される。
振動板は第1プレートと第1プレートとの間に振動板を配置することによって引っ張られ、各プレートはその厚みを貫いて延在するアパーチャと、アパーチャを囲む溝とを含んでいる。第1および第2のプレートは薄膜を引っ張るために互いの方向に引っ張られる。動電型スピーカーのフレームは、張力が振動板内に保持されている間に振動板に結合される。
振動板は動電型スピーカーのフレームを弾性変形させ、荷重がフレーム上に保持されている間に振動板にフレームを結合することによって引っ張られる。振動板を引っ張るために、フレーム上の荷重は解除される。
動電型スピーカー・アセンブリ・システムはフレーム装着ステーションと、接着剤塗布ステーションと、磁石配置ステーションと、硬化ステーションと、磁化ステーションと、振動板接着剤塗布ステーションと、振動板配置ステーションと、エッジ処理剤塗布ステーションと、薄膜引っ張りおよび接着剤硬化ステーションと、電気的端子と取り付けステーションと、振動板切断ステーションと、クランプ再配置ステーションと、音響テスト・ステーションとを含んでいる。
本発明はさらに、動電型スピーカーに関連する幾つかの薄膜取り付け方法および取り付け具をも提供する。振動板は、放射線に曝されることによって硬化可能な接着剤を使用して、動電型スピーカーのフレームに取り付けられる。その後フレームは、振動板を伸長し、引っ張るために変形される。
振動板を引っ張られない状態で一時的に固定するために、薄膜クランプが使用される。振動板は平坦な接触面を有する真空発生源上に振動板を置くことによって、振動板は引っ張られない状態におかれる。クランプは周辺部に沿って振動板に接触し、振動板の中心部へのアクセスが可能であるような構造である。締着された振動板は次に、振動板内に張力を生成するためにスピーカーのフレーム上方に移動される。適切な張力が生成されると、放射線に曝すことによって硬化可能な接着剤が振動板とフレームの一方に塗布される。振動板をフレームに結合するために接着剤に照射がなされている間に、フレームは振動板とフレームとの間の接着剤を挟むように配置される。
振動板を引っ張るための装置はハブから径方向に延びる複数個のフィンガを有するスパイダを含んでおり、各フィンガは振動板の片面に接触するようにされたパッドを含み、一方、底板は振動板の反対面に接触する。スパイダには軸方向力が加えられる。パッド間の振動板内に張力を生成するために、軸方向力は少なくとも部分的に振動板内の横方向力に変換される。放射線に曝すことによって硬化可能な接着剤が振動板とフレームの少なくとも一方に塗布される。フレームは引っ張られた振動板と接触するようにされ、所定の張力が保持されている間に振動板をフレームに結合するために接着剤に照射がなされる。
振動板は第1プレートと第2プレートとの間に振動板を配置することによって引っ張られ、各プレートはその厚みを貫いて延在するアパーチャと、アパーチャを囲む溝とを含んでいる。第1および第2のプレートは薄膜を引っ張るために互いの方向に引っ張られる。動電型スピーカーのフレームは、張力が振動板内に保持されている間に、放射線に曝されることによって硬化可能な、フレームと振動板との間に配置された接着剤に照射がなされることによって振動板に結合される。
振動板は動電型スピーカーのフレームを弾性変形させ、荷重がフレーム上に保持されている間に振動板にフレームを結合することによって引っ張られる。振動板は放射線に曝されることによって硬化可能な接着剤を使用してフレームに結合される。振動板を引っ張るために、フレーム上の荷重は解除される。
振動板は据付け面から延在する複数個の突起部を有するフレームに取り付けられる。振動板は複数個の突起部と係合し、突起部を溶解させ、振動板をフレームに結合するためのエネルギが入力される。
振動板は熱可塑性材料が被覆されたフレームに結合される。振動板と熱可塑性材料との境界面は、局部的な溶解がなされるように付勢される。エネルギ源を除去したあと、振動板はフレームに接着される。
振動板は格子に結合されて格子アセンブリが形成される。複数個の磁石がフレームに結合されて、フレーム・アセンブリが形成される。格子アセンブリとフレーム・アセンブリとはその後で結合されて、動電型スピーカーが構成される。
振動板は据付け面から延在する複数個のピンを含むフレームに結合される。ピンは振動板を貫いて延在する複数のアパーチャを貫いて延在している。各ピンの先端は変形されて、振動板をフレームに保持するためのヘッド部を画成している。
電気的導体が結合されている振動板は表面から延在する複数個の突起部を有するフレームに結合される。振動板は超音波ウェルダを使用してフレームに結合される。
本発明はさらに、動電型スピーカーに関連するフレームを校正するための幾つかのフレーム構造および方法を提供する。湾曲したフレームは弾性変形され、変形位置にある間に振動板がフレームに取り付けられる。その後、振動板を伸長し、引っ張るためにフレームは緩められる。
湾曲したフレームを構成する方法は、溶解した樹脂を第1の温度でダイの第1半部を有する鋳型に注入し、第1の温度以外の温度でダイの第2半部を有する鋳型に注入する工程を含んでいる。
鋳造されたプラスチック・フレーム内に複数個の磁石が埋め込まれる。振動板はフレームに結合され、磁石から隔置される。
フレームの一部に結合されたエラストマー材料は振動板の据付け前に弾性変形される。振動板は、エラストマー材料が圧縮されている間にエラストマー材料に結合される。振動板とエラストマー材料とが互いに固定された後、エラストマー材料を圧縮する力が緩められ、それによって振動板を引っ張る。
振動板が引っ張られている間に、振動板の周囲にケースメントが鋳造される。フレームに複数の磁石が結合される。ケースメントがフレームに結合されて、動電型スピーカーが構成される。
本発明の別の態様では、ケースメントおよび振動板アセンブリを構成するための鋳型が開示される。
鋳造されたプラスチック・フレーム内に複数個の磁石が埋め込まれる。振動板はフレー
ムに結合され、磁石から隔置される。
動電型スピーカーを構成する方法は注入鋳型の空洞内に1つ以上の磁石を配置し、磁石を少なくとも部分的に溶解樹脂で囲む工程を含んでいる。振動板はフレームに結合される。
本発明はさらに、動電型スピーカー用のいくつかの導体配置構成を提供する。動電型スピーカーの振動板の表面にワイヤ・導体が取り付けられる。複数の線形部分を有する導体・パターン内にワイヤ・導体を巻き付けるための、引っ込み式のスピンドルを含む取り付け具が備えられる。次に、取り付け具が薄膜材料に近傍に配置され、引っ込み式のスピンドルが引っ込められることで、ワイヤ・導体が薄膜材料に貼付される。本発明の別の態様では、導体は振動板の表面に取り付けられ、導体は一対の側辺と一対の比較的広い面とを有するリボン形の平坦な横断面を含んでおり、振動板の表面の下に懸架され、フレームに取り付けられた磁石の方向に延びるように導体は側辺の1つに沿って取り付けられる。
導体はフレーム表面の上辺の下に懸架され、一方では振動板内に形成された溝上に支持されている。導体をフレーム表面の上辺の下に懸架させることによって、導体のトレースはフレームに取り付けられた磁石によって発生される磁界に密接して配置される。
導電体は薄膜にフォイル層を貼付し、フォイルをレーザー・エッチングして、フォイルの一部を除去し、複数の線形部分を含む導体を画成することによって形成される。
動電型スピーカーの振動板上の導電体は、フォイルから複数の線形部分を含む導体をレーザーにより切断し、導体を薄膜材料に貼付することによって形成される。
導電体はフォイル層を薄膜材料に貼付し、電極の像を薄膜の表面上に焼き付ける電子放電加工技術を利用して形成される。電極は除去されるフォイル領域の形状であり、それによって所望の導体の形状の残りのフォイル材料が残される。
導電体はフォイル上に所望の導体の形状のマスクを貼付し、覆われないフォイルが次に、研磨性スラリーを使用したウオータージェット切断のような公知の技術を利用して研磨式に除去される。
本発明はさらに、動電型スピーカーを電力増幅器に接続するための幾つかの電気コネクタの配置構成を提供する。動電型スピーカーの振動板には動電型スピーカーのフレームの周辺を越えて延びる延長部が設けられる。振動板と一体に形成される可撓性ワイヤ・ハーネスを備えるために、電気トレースが延長部の表面上に配置される。延長部の短部に電力増幅器に接続するためのハード・ブロック・コネクタが取り付けられる。
フレームにはコンデンサが取り付けられ、振動板の延長部に備えられた細長い導電性パッドの1つと、導体の終端との間にジャンパーが備えられる。
動電型スピーカーには、フレームおよび振動板を貫いて延在し、各々が振動板の表面上に配置された電気回路の終端と接触する一対のラグが備えられる。端末ラグは電気回路の終端に接触するために湾曲される変形自在の端部を含んでいる。端末ラグはさらに、動電型スピーカーを電力増幅器に接続するためにワイヤに接続されるアイレットをも含んでいる。端末ラグの変形自在の端部と、振動板上に配置された電気回路の終端との間に電気的接合材料を配置することができる。
振動板の表面上に配置される電気回路はアルミニウムから形成することができ、一方、
アルミニウムの導体パッドの終端には、半田付け工程中に溶剤を利用する必要なく従来の半田付け工程を促進するために銅がスタックされる。
振動板の表面上に配置される電気回路は、複数の線形部を画成するために銅の薄層から形成することができる。
振動板の表面上に配置される電気回路は複数の細長い部分を画成するためにアルミニウムから形成することができ、さらにアルミニウムの細長い線形部分上に配置された銅の層を含んでいる。
電気回路の終端部に一対のリード線をレーザー溶接する工程を含む、薄膜動電型スピーカーとの電気的接点を形成する方法が提供される。
薄膜動電型スピーカーとの電気的接点を形成する方法は一対のリード線を、動電型スピーカーの振動板上に備えられた電機回路の終端部に超音波半田付けする工程を含んでいる。
本発明はさらに、動電型スピーカーのような装置またはコンポーネントを自動車またはその他の乗物の据付け位置に取り付ける際に使用される実装システムを提供する。このような実装システムは、据付けられるスピーカーに取り付けられるか、これと一体のブラケット・ハードウエアを使用してもよい。実装システムはスピーカーを固定方向に配置してもよく、またはスピーカーの最適な性能を達成するために、スピーカーの向きを所望のとおりに変更することができる。
動電型スピーカーを「スナップ嵌め」またはその他の態様で取り付けることができる単一構造の取り付け用ブラケットである。この取り付け用ブラケットはスピーカーを取り付け面とほぼ平行に、定まった方向に設置する。あるいは、このような取り付け用ブラケットの特徴を、スピーカーを取り付け位置に取り付けるための動電型スピーカー用の格子構造に一体に組み込んでもよい。さらに別の代替実施形態では、スピーカーを取り付け面とほぼ平行ではない定まった角方位で設置する取り付け用ブラケットが開示される。
スピーカーの取り付けと同時に、またはそれに引き続いてスピーカーの角方位を可変的に調整する動電型スピーカー用の取り付け用ブラケットである。1つの代替実施形態では、スピーカーを内部に取り付ける取り付け用ブラケットは、スライド調整によってスピーカーの取り付け位置に対する角度を制御するように調整可能である。この実施形態の取り付け用ブラケットは単体構造であってもよく、それを支点にスピーカーの角度を変更可能な「リビング・ヒンジ」を組み込んでもよい。別の代替実施形態では、スピーカーと取り付け用ブラケットとの間のボールソケット形の構成によって、スピーカーを所望のとおりに取り付け位置に対して角度調整することが可能にされる。
本発明はさらに、装置またはコンポーネントを取り付け位置に取り付けるために利用される、スロットおよび内部および外部取り付け面を含む取り付けシステムを提供する。ブラケットがファスナによって装置またはコンポーネントの第1の端部に取り付けられる、取り付け部を有する取り付け用ブラケットである。本発明はさらに、ほぼ平行で、曲折した経路に沿って延びる第1および第2の表面を有する少なくとも1つのタブを含んでいる。タブ部は取り付け位置のスロット内に受けられて、据付け時に第1の表面と第2の表面とが取り付け位置で同時に内部と外部の表面にそれぞれ接触するように設計されている。このようにして、タブ部はスロットと連係して装置を取り付け位置に正確に位置決めし、確実に保持する。
取り付けられるコンポーネントの反対端に取り付ける2コンポーネント構造の取り付けシステムである。2コンポーネント取り付け装置の構造の特徴を単一のコンポーネント内に一体に形成してもよい。
本発明の取り付け機構を組み込んだ単体構造の取り付け用ブラケットである。本発明のさらに別の実施形態では、取り付けブラケットの特徴は、スピーカーを直に自動車に取り付けるために動電型スピーカーの一部に一体に組み込まれる。
本発明はさらに、磁束と音響上の性能とを平衡するためにフレーム内に備えられて通風孔のサイズを最適化する工程を含む、動電型スピーカー用の周波数応答の増強を提供する。具体的には、本発明は凹部と、凹部内の複数の通風孔とを有するフレームを含む動電型スピーカーを提供する。通風孔は複数の列に配列され、各列内の通風孔は複数のウエブによって分離され、列の縦の長さの通風孔を合わせた長さと、列の縦の長さのウエブを合わせた長さとが通風孔の列の全長を規定し、列の縦の長さのウエブを合わせた長さは、通風孔の列の全長の20パーセント以上である。振動板が振動すると動電型スピーカーの振動板とフレームとの間にある空気が動電型スピーカーに出入りできるように通風孔が設けられている。通風孔を流れる気流に抵抗するフェルトのような風量調整材料の層によって気流に一定の抵抗が与えられる。隣接する磁石の列の間に磁束が供給され、通風孔の間に配置されたウエブは磁石列の間の磁束を増強する。通風孔はさらに、動電型スピーカーを適切に通気できるように充分なサイズに保たれる。
動電型スピーカーはそのフレームの背後の密閉されたスペースを形成するスピーカーボックスに取り付けられる。スピーカーボックスにはポートを備えても備えなくてもよく、動電型スピーカー向きの低周波性能を最適化する。
本発明はさらに、動電型スピーカーの音響特性を増強する幾つかの構成と方法をも提供する。動電型スピーカーは一対の端壁によって相互に連結された一対の側壁を有する凹部を画成するフレームを含んでおり、側壁の少なくとも1つは側壁の長さに沿った複数の湾曲部を含んでいる。湾曲部は対向する側壁とは平行ではない、正弦曲線またはスカロップまたはその他の形状でよい。少なくとも一方の側壁に配される湾曲部は、歪みの原因になる定在波を低減するために備えられる。
動電型スピーカーはフレームに取り付けられる複数個の磁石を含むフレームを含んでいる。振動板はフレームに取り付けられ、磁気流体が振動板と磁石との間に配置され、振動板の下表面に接触する。磁気流体は液体キャリヤ中のサブドメインの磁気粒子の安定したコロイド懸濁液である。磁気流体は歪みを軽減し、周波数応答を平滑にするために振動板の共振周波数を減衰させる。
動電型スピーカーには振動板の縁部の外縁ゾーンに沿って配置された導体の短絡された巻線が備えられる。短絡された巻線は振動板のエッジ共振を動電式に制振する。
動電型スピーカーの振動板はPVDF(フッ化ビニリデン樹脂)のような圧電材料製であり、薄膜材料の両面に貼付された電流導通導体および非励振導体を備えている。非励振導体は振動板が振動すると動電力によって回路上を移動せしめられ、ひいては非励振導体を導通する電流を発生する。電流によって薄膜の圧電材料が電流に応じて膨張、伸縮せしめられ、それによって薄膜モードを減衰し、歪みを軽減し、周波数応答を平滑にする。代替として、PVDFストリップをPEN(ポリエチレンナフタレート)薄膜に接着することも可能で
ある。
本発明はさらに、動電型プレーナ・スピーカーの音響指向性特性を増強し、および/ま
たは制御する手段をも開示する。
スピーカーの音響指向性は音響レンズを使用することによって修正される。音響レンズは放射線状の音響アパーチャが貫通しているボデーを含んでいる。音響レンズはスピーカーの指向性パターンを修正するために動電型・プレーナ・スピーカーの振動板の近傍に配置されている。
スピーカーの指向性パターンはスピーカーの振動板の向きに関わりなく修正される。
スピーカーの音響指向性はスピーカーの振動板の形状に関わりなく修正される。
プレーナ・ラジエータのその他の動作特性に影響することなくその高周波の有効範囲を広げるために、プレーナ・ラジエータの高周波放射線寸法を有効に縮小する方法が記載される。具体的には、高周波での振動板の放射線寸法を有効に縮小し、その有効範囲を広げるために、指向性修正用の音響レンズはスピーカーの放射線部の一部をブロックする。中間周波から低周波では、音響レンズはパネル感度、電力操作、および最高音圧レベルにはほとんど影響を及ぼさない。
スピーカーの音響指向性の制御(すなわちビームのステアリング)を動電型スピーカーの薄膜振動板の振幅シェーディングによって達成してもよい。振幅シェーディングは磁石を振動板の予め定められた特定のゾーン内の薄膜振動板から隔置することによって達成され、それによって振動板の感度が低減され、制御されたスピーカーの音響指向性がもたらされる振動板の振幅シェーディングが可能になる。
振幅シェーディングはスピーカーの振動板上のトレースのdc抵抗(DCR)を操作するこ
とによって達成される。例えば、スピーカーの振動板は、振動板の別個の「ゾーン」内の個々の回路を形成する複数のトレースを含むことができる。選択されたゾーンでトレース内に異なるDCRを生じるために、トレースは電気的に直列でも並列でもよい。トレースの
可変感度は振動板の振幅シェーディングによってスピーカーの音響指向性に影響を及ぼす。
同じ効果を達成するために、トレースのDCRを他の方法で操作してもよい。例えば、振
動板上の複数のトレースは各々、異なる長さ、異なる幅、異なる厚さ、および断面積を含む異なる物理的寸法を有していてもよい。さらに、これらを(例えば銅またはアルミニウム合金などを含む)別の材料で形成してもよい。物理的特徴および/または特性のこのよ
うな変化の結果、異なるDCRを有するトレースが生じ、ひいてはスピーカーの音響指向性
を振幅シェーディングによって修正できる。
振幅シェーディングを介したスピーカーの音響指向性の制御は、スピーカー内の複数個の磁石を励磁して、異なる磁石の磁束密度がスピーカーの振動板に対する所定の関係で変化するようにすることで達成されてもよい。
本発明のさらに別の実施形態によれば、プレーナ・スピーカーの長さ:幅の縦横比を、例えば10:1にまで変更することによってスピーカーの音響指向性の操作が行われてもよい。このような縦横比が大きいプレーナ・スピーカーは自動車のような乗物の構造支柱内に据え付けるのに適することがある。
音響指向性を制御するためにスピーカーの縦横比を変更することに加えて、スピーカーの所定の、または好適な音響指向性を達成するために、スピーカーの形状を変えてもよい。例えば、スピーカーは台形、平行四辺形、三角形、五角形、または六角形のような方形
ではない多角形の形状を呈していてもよい。成形されたパネルは軸外音響ローブを低減するので、スピーカーからの音響出力は、特に増幅された場合は、指向性の性能と制御がさらに良好になる。スピーカーはさらに、スピーカーの所望の音響指向性を得るため、楕円や円のような環状の形状を含む他の形状に構成してもよい。
振動板の励振ゾーンに制振材料を不均一に貼付することによってスピーカーの振動板の振幅シェーディングを達成してもよい。例えば、振動板の表面にわたる振動板の質量を効果的に変化させて、振幅シェーディングによる指向性の制御を達成するために、振動板の励振部分の表面、または表面の選択された部分上に不均一および/または過剰な量の制振
材料を貼付してもよい。
本発明のその他の方法、特徴および利点は下記の図面および詳細な説明を吟味すれば、当業者には明らかになろう。このような追加のシステム、方法、特徴、および利点を本明細書に含め、それらが本発明の範囲内にあり、添付の請求項によって保護されることを企図するものである。
(発明の詳細な説明)
図1は本発明の動電型スピーカー100の斜視図である。図1に示すように、動電型スピーカーは一般に振動板104が引っ張られた状態でフレーム102に装着された、フレーム102を有するプレーナ・スピーカーである。導体106が振動板104上に位置している。導体106は、半径110によって相互に連結された振動板に沿って長手方向に延在する複数の略線形部分(すなわちトレース)108を有する蛇行状に形成されて、単一の電流経路を形成している。永久磁石202(図2に示す)がフレーム102上の振動板104の下に配置されて、磁界を生成する。
線形部分108は永久磁石202によって発生される磁束界内に配置される。線形部分108は電流を第1の方向112に導通させ、同じ方向の極性を有する磁束界内に位置している。電流が第1の方向112とは反対の第2の方向114に流れる導体106の線形部分108は、反対方向の極性を有する磁束界内に配置されている。線形部分108をこのように配置することによって、磁石202によって発生される磁界と導体106を流れる電流によって発生される磁界との相互作用によって駆動力が確実に発生される。したがって、導体106を導通する電気入力によって振動板104は移動せしめられ、それによって音響出力が生成される。
図2はq図1に示した動電型スピーカー100の分解斜視図である。図2に示すように
、平パネルのスピーカー100はフレーム2と、複数の高エネルギ磁石202と、振動板104と、音響制振部材236と、格子228とを含んでいる。図示した実施形態では、磁石202は各行に3個の磁石202を含む5行の磁石202を形成するように配置されている。行は、磁束界が各行の間に生成されるように、交番する極性で配列されている。磁束界が規定されると、振動板104はフレーム102の周囲に沿って固定される。
導体106が振動板104に結合されている。導体106は一般に振動板104に結合されたアルミニウム・フォイルとして形成される。しかし導体106別の導電性材料から形成することもできる。導体106は振動板104の一端で互いに隣接して配置された第1端204と第2端206とを有している。
図2に示すように、フレーム102は一般に、好適にはほぼ平坦な連続スチール板から構成される。フレーム102は壁210によって囲まれた底板208を含んでいる。壁210は半径方向に延在するフランジ212で終端している。壁210はさらに、フランジ212を貫いて延在して導体アセンブリ230用の空隙および取り付け手段を備えるアパ
ーチャ214および216を含んでいる。
導体アセンブリ230は端末ボード218と、第1端子220と、第2端子222とを含んでいる。端末ボード218は取り付け用アパーチャ224を含んでおり、好適にはプラスチック、グラスファイバ、またはその他の絶縁材料のような電気絶縁材料から構成される。一対のリベットまたはその他のコネクタ(図示せず)はアパーチャ214を通過して、第1端子220を導体106の第1端子204に、また第2端子222を導体106の第2端子206に電気的に結合する。リベット226のようなファスナがアパーチャ224および216を貫いて延在し、導体アセンブリ230をフレーム102に結合する。
格子228は、スピーカー100を取り付ける方法をも提供しつつ、振動板104をリスニング環境内の物体と接触しないように保護する機能を果たす。格子228は平坦なボデー238の中心部を貫いて延在する複数のアパーチャ232を有するほぼ平坦なボデー238を有している。リム234はボデー238とほぼ直交して、ボデーの周辺に沿って下方に延在し、フレーム102と係合して格子228をフレーム102に連結するように設計されている。
音響制振部材236はフレーム102の底板208のした面に取り付けられている。制振部材236は振動板104によって発生される音響エネルギを散逸させることによって、動作中の不都合な振幅ピークを最小限に抑える役割を果たす。制振部材236はフェルト、または同類の気体透過性材料から製造したものでよい。
図3は図1の線3−3に沿った動電型スピーカーの断面図である。図3は引っ張られた状態でフレーム102に取り付けられた振動板104と、振動板104の下でフレーム102上に配置された永久磁石202とを有するフレーム102を示している。導体106の線形部分108が振動板104の上に配置されていることも示されている。
図4は図3の円で囲んだ領域の拡大断面図である。図4に示すように、振動板104は第1面402と第2面404とを有する薄膜400からなっている。第1面402はフレーム102に連結されている。一般に、振動板104は放射線に曝されることによって硬化可能な接着剤406によってフレーム102に固着される。しかし、振動板104を当分野で公知の他の機構によってフレーム102に固定してもよい。
サウンドを生成可能な可動薄膜を備えるため、振動板104が引っ張られた上体で、磁石202から所定距離を隔ててフレーム102に取り付けられる。振動板104の引っ張りの度合いはスピーカーの物理的寸法、振動板104を構成するために使用される材料、および磁石202によって発生される磁界の強度に依存する。磁石202は一般に、ネオジウム鉄ボロン(NdFeB)のような高度に励磁可能な材料から構成されるが、他の磁性材
料から製造してもよい。振動板薄膜400は一般に厚さが約0.001インチのポリエチレンナフタレート・シートである。しかし、振動板薄膜400は(例えば商標「Mylar」
で知られているような)ポリエステル、(例えば商標「Kapton」で知られているような)ポリイミド、および(例えば商標「Lexan」で知られているような)ポリカーボネート、
および 振動板104を形成するための当業者には知られている他の材料から形成してもよい。
導体106は振動板薄膜400の第2面404に連結される。導体106は一般に振動板薄膜400に結合されたアルミニウム・フォイルとして形成されるが、当業者には知られている他の導電性材料から形成されてもよい。
フレーム102はプレート208からほぼ直交して上方に延在する壁210によって囲
まれた底板208を含んでいる。壁210はほぼ平坦な取り付け面414を画成する径方向に延びるフランジ212で終端している。リップ416がフランジ212から下方に、壁210とほぼ平行な方向に延在している。底板208は第1面418と、第2面420と、底板208を貫いて延在する複数のアパーチャ422とを含んでいる。アパーチャ422は振動板104の第1面とフレーム102の第1面418との間に気道を備えるような配置とサイズにされている。音響制振部材236がフレームの底板208の第2面420に取り付けられている。
図8−1から8−5は車両組み立ての据付け動作でオーディオ、コンピュータ、または車両制御コンポーネントのようなサブアセンブリおよび/またはコンポーネント8−10
2を取り付け、固定するために使用される取り付けブラケット8−100を示している。増幅器8−300は車両の垂直な構造支柱内に据付けられている。構造支柱は取り付けブラケット8−100が装着される取り付け位置8−310を供給する。取り付けブラケット8−100が車両内の多様な所望の位置のいずれかに多様なコンポーネントまたはサブアセンブリを取り付け、固定するようにしてもよい。
図8−1を参照すると、取り付け位置8−104が典型的にはシート材料から構成される車両の構造支柱の1つとして示されている。取り付け位置8−104は内表面8−106と外表面8−108とを含んでいる。取り付け位置8−104には1つ以上の穴、もしくはスロット8−110が含まれ、取り付け装置8−100と連係する。スロット8−110は、取り付けブラケット8−100が車両内の所望の位置に据付けられるコンポーネント8−102を確実に正確に位置決めするようなサイズと配置で取り付け位置8−104内に配設される。
取り付けブラケット8−112は、コンポーネント8−102を取り付けブラケット8−112に装着するために、多様なファスナ8−118のいずれかをそこを貫いて使用可能な複数の穴、またはアパーチャ8−116を含むコンポーネント装着部8−114を有している。コンポーネント8−102を仕切り、これを残りの取り付けブラケット8−112から実質的に遮断するために、取り付けブラケット8−112と一体の隆起部、すなわちボス8−120をコンポーネント装着部8−114の内表面8−112上のアパーチャ8−116の近傍に含めてもよい。典型的な組み立て手順では、車両内にコンポーネント8−102の組み立てラインを据付ける前に、取り付けブラケット8−112がサブアセンブリとして完成された事前組み立て手順でコンポーネント8−102に装着される。
例えば「スナップ嵌め」式コネクタ・アセンブリ(図示せず)のインターロックによって、取り付けブラケット8−112をコンポーネント8−102に固定する代替方法を利用してもよい。例えば、このようなインターロック・コネクタ・アセンブリは取り付けブラケット8−112のコンポーネント装着部8−114とコンポーネント8−102の各々と一体の嵌合する雄と雌の部分(例えば「クリスマスツリー」コネクタ)を含むことができよう。その場合はコンポーネント8−102への取り付けブラケット8−112の装着は、2つの部品を互いにスナップ止めするだけでよいであろう。別の固定手段は、取り付けブラケット8−112のコンポーネント装着部8−114とコンポーネント8−102の各々に接着剤によって接着されるVelcro(登録商標)のようなマジックテープ(登録商標)を含むことができよう。取り付けブラケット8−100が使用される必要性や環境にいずれかの固定装置が適するであろう(例えばコンポーネントのサイズおよび重さ、コンポーネントの性能の必要性、またはコンポーネントが受ける動作条件)。好適には、取り付けブラケット8−100またはコンポーネント8−102への振動の伝達、またはこれらからのきしみ音、がたつき音、またはハム音の発生を最小限に抑え、または除去するためにいずれかの方式が役立つであろう。
取り付けブラケット8−112はさらに少なくとも1つのタブ部8−124を有している。タブ部8−124は湾曲した経路に沿って巻回されてS形の構造が形成されるほぼ平
行な第1および第2表面8−126を含むことが示されている。タブ部(単数または複数)の数とサイズ(例えばタブ部8−124の幅、暑さ、長さ、および特定の曲率)は、取り付けられるコンポーネント8−102の構造、サイズ、重さ、および取り付け装置8−100を使用する用途の他の関連要求に基づいて決定されればよい。
取り付けブラケット8−112のタブ部8−124は取り付け位置8−104に設けられたスロット8−110内に受けられる。据付け後、タブ部8−124の第1面および第2面8−126、8−128は取り付け位置8−104で内表面8−106と外表面8−108とにそれぞれ接触する。前述のように、取り付け装置8−100が据付け用のコンポーネント8―102を確実に正確に位置決めするような配置に加えて、スロット8−104は据付け手順中にタブ部8−124を受け、かつ取り付けブラケット8−112の据付けが完了した時点でタブ部8−124を確実に保持する双方の動作が可能であるようなサイズに形成される。
図に示すように、取り付けブラケット8−112には1つ以上のガセットもしくはリブ8−130を含めてもよい。このようなリブ(単数または複数)8−130はコンポーネント装着部8−8−114と取り付けブラケット8−112のタブ部8−124との間に配置することができよう。コンポーネント8−102の重さ、または車両の使用中に取り付けブラケットが受ける動作条件などの事柄に起因する取り付けブラケット内の不要な撓みまたは変形を防ぐために、リブ8−130は取り付けブラケット8−112に付加的な構造上の完全性を付与することができよう。
本発明の代替構造では、取り付けブラケット8−112の端部とは反対のコンポーネント8−102の端部に事前組み立てするための第二の取り付けブラケット8−132を含めてもよい。上記の取り付けブラケット8−112と同様に、第二取り付けブラケット8−132もコンポーネント取り付け部8−134を含む。第二取り付けブラケット8−132は上記と同様の態様でコンポーネント8−102に装着してよい。加えて、第二取り付けブラケット8−132はコンポーネント装着ブラケット8−134から取り付け位置8−104の外表面106とほぼ平行な方向に延在する1つ以上のフランジ8−136を含むことができる。
コンポーネント8−102の据付け後、コンポーネントを所定位置に確実に固定するために、第二取り付けブラケット8−134がフランジ(単数または複数)8−136で取り付け位置8−104に装着される。取り付け位置8−104への第二取り付けブラケット8−132の装着は、ねじ山付きファスナ8−118とアパーチャ8−138との係合、または本明細書で既に記載した機構を含む多様な他の公知の装着機構のいずれかによって行えばよい。勿論、フランジ(単数または複数)8−136の個数とサイズはタブ部(単数または複数)の場合と同様に、コンポーネント8−102の重さ、または使用中の取り付け装置8−100およびコンポーネント8−102が体験する動作条件のような事柄によって決定すればよい。
取り付け装置8−100の据付けは全体として8−140で、また図8−1の矢印Aで
示されているように、取り付け位置8−140で受け用スロット8−110を通して取り付けブラケット8−112のタブ部8−124を挿入することによって達成される。このように、タブ部8−124の第1面8−126が取り付け位置8−104で外表面8−108に当接するまでタブ部8−124が取り付け位置8−104内に挿入されるように、タブ部8−124は取り付け位置8−104の外表面8−106に対してほぼ垂直な方向にスロット8−110を通過する。次に取り付けブラケット8―112は(図示のように
)矢印Bの方向に回転される。次に取り付けブラケット8−112のタブ部8−124は
スロット8−110内でさらに進んで、全体として図8−1の8−124で示すような態様で回転されてもよい。取り付けブラケット8−112のタブ部8−124の第1面8−126が取り付け位置8−104でない面8−106に当接し、同時に取り付けブラケット8−112のタブ部8−124の第2面8−128が取り付け位置8−104でない面8−106に当接すると、矢印B方向への取り付けブラケットのそれ以上の回転は終了す
る。
据付けのこの時点で、コンポーネント8−1−2は位置8−144、8−146、および8−148に示した3つの接点で取り付けブラケット8−112によって(図8−1ではほぼ垂直の向きの)取り付け位置8−1−4にて固定される。必要ならば、または所望ならば、コンポーネント8−102を取り付け位置8−104にさらに固定するために、ねじ山付きファスナのような従来型のファスナを取り付けブラケット8−112と共に使用してもよい。同様に、第2取り付けブラケット8−132を使用してもよい。
上記に基づいて容易に分かるように、コンポーネント8−1−2が取り付けブラケット8−112によって取り付け位置8−104にて充分に固定されるので、組み立てラインの据付け者はこのようなファスナを駆動するために据付けツールを操作するために両手とも空く。このように、本発明の取り付け装置8−100の重要な利点は、コンポーネント8−102はその適切な据付け位置に懸架またはセットされ、組み立てラインの据付け者の補助なしでその位置に保持されることができる。その結果、組み立てラインの据付け者は電動ドリル/ドライバ、レンチ、または他のツールのような据付けツールを両手で操作
できる。
勿論、据付けられるコンポーネント8−102の重さによって、少なくともタブ部8−124の第1面および第2面8−126、8−128と据付け面8−106、8−108との接触が開始されるならば、同様の据付けを垂直以外の向きの据付け位置8−104で達成してもよい。
第2取り付けブラケット8−132と共に使用される場合は、取り付け装置8−100をタブ部8−124で事前に引っ張られて据付けられるように設計してもよい。この点に関しては、第2取り付けブラケット8−132が取り付け位置8−104に固定されると、取り付けブラケット8−112のタブ部8−124は取り付け位置8−104およびスロット8−110で前記の3つの接点8−144、8−146,8−148での内表面8−106および外表面8−108との確実な接触状態に保たれる。この確実な接触は第2の取り付けブラケット8−132を取り付け位置8−104に固締することから生ずる力に対する反作用によって発生する力によってなされる。
取り付けブラケット8−112のタブ部8−124をスロット8−110に着座させて、取り付け位置8−104でコンポーネント8−102が外表面8−106から離れるような角度を呈し、コンポーネント8−102およびブラケット8−132の端部が外表面8−108から距離Xだけ離れるように取り付けブラケット8−112を設計してもよい
。このように、第2取り付けブラケット8−132を取り付け位置8−104に固定する前に、コンポーネント8−102が一端で自由端のままに留まり、第2ブラケット8−132は取り付け位置8−104の外表面8−108から距離Xの位置にある。このように
して、第2取り付けブラケット8−132を取り付け位置8−104に固定した後、取り付けブラケット8−112には負荷がかけられ、タブ部8−124の第1および第2の表面8−126、8−128は図8−1の8−144、8−146に示されるように、タブ部8−124の第1および第2の表面8−106、8―108へと押し付けられる。
取り付けブラケット8−112および8−132の同様の機能を組み込んだ本発明の取り付け装置8−100を(後述するような)一体構造で製造してもよい。勿論、取り付け装置8−100は据付け後に、コンポーネント8−102が取り付け位置8−104にしっかりと固定され、確実な取り付けを保持し続け、車両が体験する動作条件に耐えられることを確実にするために適した強度を有する材料で製造されなければならない。
企図される取り付けブラケット8−112、8−132の1つの製造方法は例えば一体金属打ち抜き加工である。このような取り付けブラケット8−112、8−132は量産すれば製造のコスト効率が高く、取り付け装置のすべての性能上の要求基準を容易に満たす。
取り付けブラケット8−112、8−132に付加的な望ましい特性を付与するために、金属製の取り付けブラケット8−112、8−132にはプラスチック材料を被覆してもよい。金属製の取り付けブラケット8−113、8−132へのプラスチック材料の企図される1つの被覆方法は浸漬被覆によるものである。必要な強度を付与することに加えて、プラスチック被覆された金属製取り付けブラケット8−112、8−132はコンポーネント8−102からの、またはそれへの振動の伝達を軽減する改良された制振特性を改善可能であろう。さらに、金属と金属の接触に関連することがよくあるきしみ音、がたつき音、またはハム音をプラスチック被覆された金属取り付けブラケット8−112、8−132によって除去または軽減可能である。
プラスチック被覆によって達成可能な別の特性は、取り付けブラケット8−112のタブ部8−124の第1および第2表面8−126、8−128の摩擦率を高めることである。摩擦率が高まることによって、取り付け位置8−104における内表面および外表面8−106、8−108に対する取り付けブラケット8−112の摺動運動の傾向が軽減されよう。
さらに、取り付けブラケット8−112、8−132をプラスチック被覆することによって、コンポーネントを自動車の組み立てライン上に据え付ける労働者にとってのコンポーネントおよび/または取り付けブラケット・サブアセンブリの「取り扱い能力」を付与
し、または強化することができる。プラスチック被覆は金属打ち抜き加工部分につき物の鋭いエッジの存在を最小限に抑えるであろう。
あるいは、取り付けブラケット8−112、8−132を例えばプラスチック射出成形またはその他によってプラスチックから一体に鋳造してもよい。必要な構造上の特性並びに上記の付加的な機能を合わせ持つ、このような用途に使用可能な適切な低コストの多様なプラスチック材料がある。
本発明の別の実施形態が図8−6に示されている。前述し、また図8−6に示すように、取り付け装置8−600は単体構造の取り付けブラケット8−602を備えたものでよい。図面では取り付けブラケット8−602は自動車の構造支柱のような取り付け面8−606上にスピーカー8−604を据え付けるために図示されている。
取り付けブラケット8−602はほぼ平坦な背面パネル部8−608を含むことが示されている。オプションとして、例えば取り付けブラケット8−602のコストおよび/ま
たは重さを軽減し、または必要に応じて取り付けブラケット8−602を通る気道を備えるために、背面パネル部8−608に複数のアパーチャ8−610を含めてもよい。
側壁8−612は取り付けブラケット8−602の外側の境界または周囲8−614と内部スペース8−616を形成するように、背面パネル部8−608からほぼ直交して延
びている。側壁8−612の周囲8−614から内側に、取り付けブラケット8−602の内部8−616の方向にフランジまたはリブ8−618が延在している。リブ8−618は一般に背面パネル部8−608と平行に、またこれと偏倚された平面に位置していることによって、取り付けブラケット8−602の厚みが確保されている。リブ8−618の部分8−620は位置8−620に示すように側壁8−612からさらに内側に延びている。
上記に図示し、記載したと同様に、取り付けブラケット8−602は取り付けブラケット8−602の一端で背面パネル部8−608から延びる少なくとも1つのS形のタブ部
8−624をも含んでいる。タブ部(単数または複数)8−624は既に述べた態様で取り付け位置8−606にあるスロット(単数または複数)8−626に嵌合し、取り付けブラケット8−602を固定する。取り付けブラケット80602の反対端にはフランジ8−628が位置している。フランジ8−628は例えばねじ山付きファスナ8−603を介して、またはその他の公知の、または本明細書に開示されているように、取り付けブラケット8−602を取り付け位置8−606に固定できる位置を供給する。フランジ8−628はさらに、取り付け位置8−606で表面により良く適合するように、例えば曲折または捻回によってフランジ8−628の位置および/または向きを操作できるように
するネック部8−632を含んでいてもよい。本発明の前述の他の実施形態の場合と同様に、タブ部(単数または複数)8−624およびフランジ(単数または複数)8−628の数および位置は、取り付けられる装置のサイズ、形状、および重さ、および装置が体験する動作条件、または取り付け位置8−606で利用できるスペースのような取り付け用途の要求によって決定してもよい。
取り付けブラケット8−602の一部としてさらに、取り付けブラケット8−602のリブ8−618から外側に延在する複数の雄の突起8−634が一体に含まれている。各突起8−634は2部品からなるスナップ嵌め式ファスナの半部を形成する。仕上げ装飾部品8−638を取り付けブラケット8−602に容易に直接接続して、コンポーネントの据付けを完了できるように、表縁またはカバーのような仕上げ装飾部品8−638の一部である対応する雌のリセプタクル8−636とインターロックするための突起8−634を含めてもよい。取り付けブラケット8−602には多様な適宜のインターロック連結部のいずれかを含めてもよい。
取り付けブラケット8−602は図8−6ではほぼ方形の形状で示されている。取り付けブラケット8−602は勿論、取り付けられる特定の装置に適応するどのような形状、サイズ、および構造のものでよい。
図8−6に示すように、本発明の取り付けブラケット8−602で、スピーカー8−604を例えば自動車に取り付けることができる。スピーカー8−604は一般に外側に延びるフランジ8−642を有するダッシュボード形のフレーム8−640を含んでいる。サウンドを生成可能な可動薄膜を備えるために、薄膜振動板8−644が引っ張られてフランジ8−642に装着される。
取り付けブラケット8−602を介したスピーカー8−604の据付けは、既に前述したと同様の態様で取り付け位置8−604に据付けられる取り付けブラケット8−602でスピーカー8−604を組み立てることによって達成される。好適には、スピーカー8−604は取り付け位置8−606で取り付けブラケット8−602を据え付ける前に、取り付けブラケット8−602に装着される。あるいは、先ず取り付けブラケット8−602を取り付け位置8−606に据え付け、それに続いてスピーカー8−604を取り付けブラケット8−602と共に組み立ててもよい。
スピーカー8−604は背面パネル部8−608と、スピーカー8−604のフレーム8−640上のフランジ8−643の周辺部すなわちリムと重なる、内側に延在するリブ部8−620との間の、取り付けブラケット8−602の内部スペース8−616内に保持される。この構成では、取り付けブラケット8−602の内部スペース8−616の奥行きはスピーカー8−604の厚さにぴったりと適合して、取り付けブラケット8−602がスピーカー8−604を適切に固定するようにされている。オプションとして、背面パネル部8−608およびスピーカー8−604の背面8−604に接着剤を使用して、または接着剤によって接着されるVelcro(登録商標)のようなマジックテープ(登録商標)・ファスナによって、スピーカー8−602取り付けブラケット8−602の背面パネル部8−608に直接固着してもよい。
次に、この場合は例えばスピーカー格子である装飾部品8−638を取り付けブラケット8−602に取り付けてもよい。格子8−638は、取り付けブラケット8−602の周囲8−646に位置している雌のリセプタクル8−636を取り付けブラケット8−602のリブ8−618から外側に延びる対応する雄のリセプタクル8−636とインターロックさせることによって取り付けブラケット8−602に固定される。このように、取り付けブラケット8−602は見た目が美しいようなスピーカー8−604の仕上げ据付けを容易にする。
図8−7と図8−8は図8−6に示した実施形態と同様の、本発明の別の実施形態を示す。しかし、この代替実施形態では、スピーカー8−704を取り付け位置8−706に直接取り付けることができるように、スピーカー8−704のフレーム8−740自体が取り付けブラケット機構を組み込んでいる。これに関連して、スピーカー8−704は1つ以上のS形のタブ部(単数または複数)8−724と、1つ以上のフランジ(単数また
は複数)8−728とを含んでいる。さらに、フレーム8−740は仕上げ装飾格子8−738内の対応する雌のリセプタクル8−736内に嵌り合って受けられることができる1つ以上のスナップ嵌め・コネクタ8−734を組み込んでいてもよい。前述のように、スピーカー8−704に据え付けることは簡単、迅速、かつ経済的である。明らかな付加的な利点は、本発明の構造から別個で異なる取り付けブラケット・コンポーネントが除去されることである。したがって、図8−7および8−8に示されている本発明の構造8−700では、仕上げの据付けでのコンポーネント数が減ることによって、コストと労力をさらに大幅の低減する可能性が生ずる。
図8−9および8−10は本発明のさらに別の代替実施形態8−900を示している。この場合は、本発明8−900のコンポーネント数を最小限に抑えつつ、スピーカー8−904の取り付けを可能にする取り付けブラケットの機構を組み入れているのは(スピーカー8−904ではなく)格子8−938である。図示のように、装飾・カバー8−938(すなわちスピーカーの格子)は格子8−938を取り付け位置8−906に直に据え付けることを可能にする1つ以上のS形タブ部(単数または複数)8−924および単数
または複数のフランジ(単数または複数)8−928を含んでいる。
側壁8−912の反対端の間近の位置にある格子8−938の2つ以上の側壁8−912には、格子8−938の内部の方向に突起した細長いリブ8−918が含まれている。細長いリブ8−918の構造によってスピーカー8−904をリブ8−918と格子8−938の前面8−950(図8−10を参照)との間の、スピーカーのフレーム8−940のフランジ8−942にリムにて格子8−938の内部に固定することが可能になる。次に、タブ部8−924と、取り付け位置8−906内のスロット8−926との相互作用によって、またさらにフランジ8−928を例えばねじ山付きファスナ8−930によって取り付け位置8−906に固定することによって、格子8−938を取り付け位置8−906に固定できる。この場合も、別個の取り付けブラケットの除去を達成可能である
ことによって、スピーカーの簡単で、迅速、およびさらに経済的な据付けが可能になる。
ここでスピーカー10−100の実施例を組み立てるための様々なシステムを記載する。システムの第1の例は図10−5から10−17に示されている。第1のシステムは真空プラテン10−600(図10−6から10−7)および 薄膜クランプ10−800(図10−8から10−9)を含んでいる。真空プラテン10−600および薄膜クランプ10−800は張力なしの平坦位置に振動板10−104(図10−5)を保持するために互いに連係して使用されてもよい。振動板10−104がクランプ10−800内に固定された後で、後述するように、引き続いて薄膜10−400を引っ張ってもよい。
振動板10−104を最初に平坦化および固締することで、張力を加えてもよい既知の振動板状態を組み立て者にもたらしてもよい。振動板10−104が最初にほぼ平坦な、引っ張られない状態に置かれないと、その後の組み立て動作中に再現性のある張力を得ようとする試みに困難を伴うことがある。この第1の例のシステムは反復性がある振動板状態を達成するために、真空プラテン10−600および薄膜クランプ10−800を含んでいる。別の例では、張力を加えてもよい既知の振動板状態を備えることができるいずれかの他の機構(単数または複数)および/または技術を利用してもよい。
真空プラテン10−600の例はボデー10−702、およびボデー10−702の第1の表面10−602から突起したペデスタル10−704を有するベース10−700を含んでいる。ペデスタル10−704は第1の表面10−602とほぼ平行に位置する上面10−706を含んでいる。上面10−706を真空源10−604と連結するために、真空通路10−70が8ペデスタル10−704とボデー10−702とを貫いて延在していてもよい。上面10−706に沿ってキャップ10−710をペデスタル10−704に連結してもよい。キャップ10−710は有孔アルミニウムのような通気性材料から構成されてものでよい。ベース10−700は気密性材料から構成されてものでよい。したがって、真空源10−604が真空通路10−708内に真空を引き込むと、キャップ10−710の上面10−606に沿って吸引力が生成される。
薄膜クランプ10−800の例はヒンジ10−806によって連結されたクランプ上半部10−802とクランプ下半部10−804とを含んでいる。図示したクランプ上半部10−802はほぼ長方形のボデー10−808と弾性ガスケット10−810とを含んでいる。ボデー10−808はこれを貫いて延在するアパーチャ10−900(図10−9)を含んでいる。弾性ガスケット10−810はガスケット10−810の厚みを貫いて延在する同様の形状のアパーチャ10−902(図10−9)を含んでいる。振動板10−104と係合するための圧縮可能な高摩擦表面10−812を備えるために、弾性ガスケット10−810をボデー10−808に装着してもよい。
図示したクランプ下半部10−804は、クランプ下半部10−804を貫いて延在するアパーチャ10−904を有するほぼ長方形のアルミニウム・フレーム10−814から構成されている。クランプ下半部10−804は上表面10−906と下表面10−908とを含んでいる。
スピーカーの組み立て工程中、図10−9に示すようにペデスタル10−704がクランプ下半部10−804のアパーチャ10−904に入るように、薄膜クランプ10−800を真空プラテン10−600上に配置すればよい。クランプ下半部10−804の上表面10−906は着座されると、キャップ10−710の上表面10−606とほぼ同一面上にあるようにしてもよい。振動板10−104を適切に位置決めするため、薄膜クランプ10−800が図10−8に示した開放位置に位置するようにクランプ上半部10−802を回転させてもよい。
真空源10−604を遮断して、振動板10−104を上表面10−606上に配置すればよい。振動板10−104は照準10−816を利用してクランプ下半部10−804に対して位置合わせすればよい。照準10−816は視覚的マーク、ロッド、リング、ノッチ、または位置合わせ手順を補助するために振動板10−104上に形成される他のいずれかの形態の位置合わせ機構でよい。照準10−816の位置は振動板10−104の周辺部10−818と中心部10−820とを効果的に画成する。中心部10−820は組み立て工程の完了実施形態にフレーム10−102に連結された状態に留まる材料の全てではないにせよ大部分を含んでいてもよい。
振動板10−104が適正に配置された後は、真空源10−604を介してキャップ10−710に真空を供給してもよい。キャップ10−710は通気性材料から構成されているので、振動板10−104は平坦な上表面10−606によく合致するように強制される。真空源が保持されている間、図10−10および10−11に示すように、薄膜クランプ10−800を閉鎖位置に配置するため、クランプ上半部10−802を回転させてもよい。クランプの閉鎖中、振動板10−104の厚みを考慮に入れるために弾性ガスケット10−810は局部的に変形してもよい。ラッチ10−822はクランプ上半部10−802をクランプ下半部10−804に固定する。ラッチ10−822はクランプ半部を互いに連結する装置の例であるに過ぎず、何個の固締装置を実装してもよいことを理解されたい。クランプ上半部10−802がクランプ下半部10−804に固締されてしまうと真空が遮断され、振動板10−104を引っ張られない状態に保つ薄膜クランプが真空プラテン10−600から取り外される。
フレーム10−102はアセンブリ取り付け具10−1200(10−10−12および10−13)に取り付ければよい。アセンブリ取り付け具10−1200は真空プラテン10−600とほぼ同様の形状のものでよい。しかし、アセンブリ取り付け具10−1200はフレーム10−102の一部を受けるための溝10−1300を含んでいてもよい。アセンブリ取り付け具10−1200はフレーム10−102の平坦な取り付け面10−408から所定距離10−1304だけ偏倚したゲージ面10−1302を含んでいる。振動板10−104に張力を加えるため、距離10−1304はクランプ下半部10−804の厚さよりも長い。発生される張力の大きさは、フレーム10−102および振動板10−104の物理特性と連係して距離10−1304を規定することによって最適化される。
振動板10−104はフレーム10−102と機械的に連結されてもよい。例えば、フレーム10−102の平坦な取り付け面10−408に接着剤10−406を塗布してもよい。あるいは接着剤10−406を振動板10−104に塗布してもよい。接着剤10−406を塗布した後、フレーム10−102がクランプ下半部10−804のアパーチャ10−904に入るように(図10−14および10−15)、固締された振動板10−104を含む薄膜クランプ10−800をアセンブリ取り付け具10−1200上に配置してもよい。振動板10−104は接着剤10−406およびフレーム10−102の平坦な取り付け面10−408に接触してもよい。接触はクランプ下半部10−804の下表面10−908がアセンブリ取り付け具10−1200のゲージ面10−1302に接触する前に行われてもよい。薄膜10−400内に所望の張力を生成するため、薄膜クランプ10−800はアセンブリ取り付け具10−1200の上方へと押し下げられることで、下表面10−908がゲージ面10−1302に係合する。
使用される接着剤の種類に応じて、後続の工程が必要であることがある。例えば、接着剤10−406を放射線に曝すことによって硬化させることができる。したがって、薄膜クランプ10−800がアセンブリ取り付け具10−1200に連結されている間に、接
着剤を硬化させ、振動板10−104をフレーム10−102に固着するために放射線源10−1500が付勢される。あるいは、他のいずれかの機械的連結機構が使用される場合は、適宜の工程を実行する必要があることがある。
スピーカー10−100の振動板10−104を引っ張るために使用される第2のシステムの例を図10−16および10−17を参照して記載する。このシステムでは、フレーム10−102は下方に延在するリップを含まない、径方向に延在する細長いフランジ10−1600を含んでいる。残りのプレーナ・スピーカー・コンポーネントは前述したものとほぼ同類である。組み立て工程には前述のように、振動板10−104をほぼ平坦な、引っ張らない状態で位置決めすることを含めてもよい。しかし、このシステムによってプレーナ・スピーカーを構成するために、平坦化および固締ステップは必ずしも必要ではないことを理解されたい。同様に、記載される代替の引っ張り方法は平坦化および固締工程を含めることに限定されるものではない。
接着剤10−406のビードをフレーム10−102および振動板10−104の一方または双方の周囲に沿って塗布してもよい。次に振動板10−104をフレーム10−102と位置合わせし、接着剤10−406を介して結合してもよい。前述のように、接着剤10−406は光線で硬化可能な材料、または異質な材料を互いに固着するその他のいずれかの適当なボンドでもよい。同様に、接着剤10−406は振動板10−104をフレーム10−102に機械的に結合するその他のいずれかの結合機構でもよい。
半方向に延在するフランジ10−1600は振動板10−104を引っ張るために、図10−17に示すように線10−1700から下方に外周領域を曲折することによって機械的に変形させてもよい。線10−1700は振動板10−104がそれを基点に引っ張られるフレーム10−102の周囲の支点として機能する。振動板の適切な張力は多様な方法で得られる。例えば、振動板10−104が最初にほぼ平坦な、引っ張られない状態でフレーム10−102に結合された場合は、撓み距離10−1702をテストによって経験的に決定してもよい。適切な撓み距離が決定されると、各スピーカー10−100の組み立て中にフレーム10−102を反復して変形し、径方向に延在するフランジ10−1600を所定の撓み距離10−1702だけ移動させるために金属型を作製してもよい。
薄膜の適切な張力を確実にするシステムの別の例にはフィードバック・システム10−1602が含まれる。フィードバック・システムの一例は振動板10−104の中心に既知の負荷をかけ、負荷をかけたポイントで振動板の撓みを測定する工程を含んでいてもよい。負荷当たりの所望の撓みはテストによって経験的に決定されてもよく、その場合は振動板10−104の共振周波数が所定負荷あたりの撓みに対してプロットされる。スピーカーの所定の形状について所望の共振周波数が一旦決定されると、所定負荷あたりの振動板の目標の撓みを決定できる。フィードバック・システムは撓みセンサ10−1604で既知の負荷での振動板の実際の撓みを測定することによって動作するものでよい。測定された撓みは目標の撓みと比較される。
フレーム10−102は、測定された撓みが目標の撓みとほぼ等しくなるまで変形され、それによって所望の共振周波数を生成するために振動板10−104が適宜に引っ張られるようにすればよい。引っ張り工程中にフレーム10−102の機械的撓みを制御するために、比例、積分、導関数フィードバック閉ループなどのような論理制御システムを実装してもよい。このような制御システムは薄膜の引っ張りに関して高度の反復性をもたらすことができる。
フィードバック・システム10−1704の別の例は、周波数センサ10−1706を
使用して薄膜引っ張り工程中に共振周波数を直接測定することができる。この制御方式では、振動板10−104が繰り返し励振され、共振周波数が測定される。測定された周波数は薄膜の引っ張り中に所望の目標周波数と比較されることができる。測定された共振周波数が受け入れられる公差内で目標周波数と整合するまでフレーム10−102を変形させればよい。記載のフィードバック・システムを記載のいずれかの引っ張り技術と共に使用してもよいことを理解されたい。
図10−18を参照してさらに別の薄膜引っ張りシステムを詳細に記載する。薄膜引っ張り装置10−1800の例は、上部プレート10−1802と下部プレート10−1804とを含んでいる。プレート10−1802および10−1804は整合する面取りされたアパーチャ10−1806および10−1808をそれぞれ有している。振動板10−104の中心部10−820はアパーチャ10−1806および10−1808によって画成された開港内に位置している。フレーム10−102をアパーチャ10−1806および10−1808の一方に挿入できるように、アパーチャ10−1806および10−1808のサイズおよび形状はフレーム10−102よりもやや大きい。
上部プレート10−1802は図10−18に示すように、非対称の断面を有する環状溝10−1810を含んでいてもよい。下部プレート10−1804は溝10−1810の鏡像として形成された環状溝10−1812を含んでいてもよい。第1の弾性部材10−1814を溝10−1810内に配置し、第2の弾性部材10−1816を溝10−1812内に配置してもよい。溝10−1810および10−1812は、弾性部材10−1814および10−1816がアパーチャ10−1806および10−1808の方向に移動することを制限するような形状のものでよい。加えて、溝10−1810および10−1812は、弾性部材10−1814および10−1816がアパーチャ10−1806および10−1808から離脱して移動できるような形状でもよい。具体的には、環状溝10−1810および10−1812を、上部レート10−1802および下部プレート10−1804に軸方向の力が加わってこれらを互いの方向に引き寄せると、振動板10−104の中心部10−820に横方向の力を加えるような形状にしてもよい。
上部プレート10−1802はさらにねじ山付きアパーチャ10−1818を含んでいてもよい。段つきのアパーチャ10−1820は下部プレート10−1804を貫いて延在する。上部レート10−1802および下部プレート10−1804を互いに引き寄せるために、ボルトとして示されている、ねじ山付きファスナ10−1822をアパーチャ10−1802内に挿入し、ねじ山つきアパーチャ10−1818内にねじ締めしてもよい。トグル・クランプ、ジャッキねじ、油圧シリンダ、または他のいずれかの公知の固締および力発生装置のような多様な機構を使用して、上部レート10−1802および下部プレート10−1804を互いに引き寄せてもよいことを理解されたい。
この技術例では、先ず上部レート10−1802および下部プレート10−1804を互いに引き寄せることによって、薄膜を引っ張ってもよい。接着剤10−406(またはその他の結合機構)を振動板10−104の引っ張られた部分および/またはフレーム1
0−102の平坦な取り付け面10−408上に配置してもよい。上部プレート10−1802が下部プレート10−1804に固締されている間に、フレーム10−102を振動板10−104に接触させてもよい。接着剤が硬化すると(または機械的結合が完了すると)、ねじ山付きファスナ10−1822を外し、上部プレート10−1802を下部プレート10−1804から分離してもよい。アパーチャ10−1806および10−1808のサイズは、接着剤10−406を硬化させる光波が進入でき、または必要があれば、他のいずれかの結合機構を操作できるようなサイズでよいことも理解されたい。スピーカー10−100の特定の構造に応じて、リップ10−306を越えて延びる薄膜があればそれを除去するために、振動板10−104の周辺部10−818をトリミングして
もよい。
図10−19を参照すると、薄膜引っ張り技術の別の例が示されている。この技術例を実施するために使用される取り付け手段は下部ダイ10−1902と上部ダイ10−1904とを有する取り付け具10−1900を含んでいる。取り付け手段10−1900は振動板10−104の周囲を拘束し、振動板10−104の片面と下部ダイ10−1902との間に空洞10−1906を画成する機能を果たしてもよい。液体供給源10−1908は空洞10−1906に加圧液を供給してもよい。下部ダイ10−1902は実質的に剛性の材料から構成されているので、振動板10−104を図10−19に示すように引っ張った状態で伸長させてもよい。フレーム10−102が振動板10−104と機械的に結合されている間、空洞10−1906内で圧力が維持される。機械的ファスナ、放射線により硬化可能な接着剤、マルチパート・エポキシ、熱硬化接着剤、または感圧成分を含む前述のボンド技術のいずれかを利用して、振動板10−104をフレーム10−102に固着してもよい。
振動板10−104がフレーム10−102に固定された後、上部ダイ10−1904を取り外し可能である。所望ならば、フレーム10−102の周辺を越えて延びる過剰な振動板材料を除去してもよい。
この技術例では、加圧液によって発生される張力の一部は後続のフレーム装着工程中に緩むことがある。したがって、薄膜が使用中に確実に適切に引っ張られるようにするため、最終的に希望する張力よりも大きい張力を、液体供給源10−1908を介して最初に誘発させてもよい。
図10−20から10−22は振動板10−104をフレーム10−102に装着する前に、振動板10−104を引っ張るために使用される取り付け手段の別の例を示している。スパイダ10−2000の例は振動板10−104を引っ張るために底板10−2100と共に動作できる。スパイダ10−2000は振動板10−104の第1面に配置してよく、一方、底板10−2100は振動板10−104の反対面に配置してもよい。スパイダ10−2000は10−2102の方向に加えられた軸方向の力を反対方向10−2200に発生される横方向の張力に変換することによって機能し得る。
図示したスパイダ10−2000は一般に角錐の角錐台部分の近傍に配置されたハブ10−2002を有する角錐形の部材である。複数個の脚部10−2004がハブ10−2002から角度をなして延びている。各脚部10−2004はボデー部10−2006と足部10−2008とを含んでいる。各足部10−2008は各脚部10−2004の末端から径方向に延びている。(図10−20に示すように)パッド10−2010が各足部10−2008の下表面に結合されている。パッド10−2010は、振動板10−104に損傷を生じることなく振動板10−104を把持するのに適した高摩擦の弾性材料から構成されたものでよい。
図示した底板10−2100は一般に、底板10−2100を貫いて延在するアパーチャ10−2104を有する長方形の部材である。アパーチャ10−2104はフレーム10−102の周囲と同様の形状で、フレーム10−102をアパーチャ10−2104に挿入できるサイズのものでよい。底板10−2100は、振動板10−104が上を自由に摺動可能な低摩擦の表面10−2106を含んでいる。図10−21に最も明解に示されているように、各パッド10−2010は底板10−2100の一部によって支持される。
引っ張り中に、振動板10−104を底板10−2100とスパイダ10−2000と
の間に配置してよい。スパイダ10−2000には方向10−2102に軸方向の力を加えてもよい。低摩擦面10−2106に対する脚部10−2004の角度の向きによって、方向10−2102に加えられる軸方向の力の少なくとも一部を反対方向10−2200の反対向きの力に変換できる。反対向きの力は振動板10−104を引っ張ることができる。引っ張った後、フレーム10−102は前述のように振動板10−104に機械的に結合される。
図10−23はスピーカー10−100の組み立て用のシステムのさらに別の例である。このシステムでは、フレーム10−102は振動板10−104の装着前に弾性変形されてもよい。変形されたフレーム10−1−2は仮想線で、参照番号10−2300で示されている。フレーム10−102の径方向に延びるフランジ10−304とリップ10−306(図3)とを内側に撓ませることによって、フレーム10−102を弾性変形させるために、ジャッキねじ、油圧ラム、またはその他の力発生装置のような幾つかの力発生装置またはツールを使用してもよいことを理解されたい。振動板104(図1)が平坦な取り付け面408(図4)に装着されている間、フレーム102は変形された状態に留められてよい。
振動板10−104がフレーム10−102に確実に装着され終わると、フレーム10−102を変形させる外部からの力は緩めてもよい。フレーム10−102は弾性変形されていたので、フランジ10−304およびリップ10−306は元の変形されない状態に弾性戻りする傾向がある。この傾向は振動板10−104によって抵抗される。変形されたフレームが変形されない状態に戻ろうとすると、振動板10−104は平衡状態に達するまで伸長する。フレーム10−102はスチール、アルミニウム、または変形可能ないずれかの合成材料から構成したものでよい。弾性係数が29,000KSI未満である材
料は、降伏前に比較的大きい弾性変形するように企図されている。振動板10−104をフレーム10−102に結合するための接着剤10−406またはその他の機械的結合の伸長または変形を考慮に入れるため、フレームの大幅な変形が有利である。
プレーナ・スピーカー組み立てシステム10−2400の例が図10−24に示されている。プレーナ・スピーカー組み立てシステム10−2400は様々な別個のコンポーネントから比較的小さいスペースおよび最短の時間で完全にテスト済みで、完成したプレーナ・スピーカーを構成する機能を果たす。
組み立てシステム10−2400は閉鎖ループを進む複数のパレット10−2402を使用してコンベヤ型のシステムである。各パレット10−2402は駆動ベルトまたはトラック10−2404と嵌合されて、パレット10−2402はループを逆時計回り方向に移動させる。後述する工程のステップを実行するために、複数のワークステーション10−2406がトラック10−2404に沿って配置されている。
図10−25に最も明解に示されているように、パレット10−2402は上表面10−2504から上方に突起した第1突起部10−2500と第2突起部10−2502とを含んでいる。第1突起部10−2500は溝10−2505を含んでいる。第2突起部10−2502は長方形であり、アセンブリパーチャ10−2506を囲んでいる。アパーチャ10−2506はパレット10−2402の厚みを貫いて延びている。第2突起部10−2502は段付き側壁10−2508を含んでいる。段付き側壁10−2508は下部10−2510を含んでいる。段付き側壁10−2508はフレーム10−102用の位置決め構造として機能する上部10−2512を含んでいる。図10−36に示すように、クランプ上半部10−3600は第1突起部10−2500の上方に配置される。クランプ下半部10−3602は第2突起部10−2502の上方に配置される。
図10−37を参照すると、パレット10−2402はフェルト切断および装填ステーション10−3700へと進む。フェルト切断および装填ステーション10−3700はフレーム10−3701、ディスペンサ10−3702、カッター10−3704、およびロボット10−3706に結合されたエンドエフェクタ10−3708を有するロボット10−3706を含んでいる。フェルト10−3710のロールはフレーム10−3701に回転自在に結合されている。フェルト10−3710のロールの自由端はディスペンサ10−3702内に送られる。ディスペンサ10−3702はフェルトのロールの一部をブロック10−3712上に選択的に間欠送りするように制御可能である。適切な幅のフェルトがブロック10−3712上に送り出されると、フィーダ10−3702がフェルト・ロール10−3710の動きを停止させる。カッター10−3704は単一のフェルト・パネル10−3714をロールから切り離す。この時点で、ロボット10−3706はブロック10−3712上に位置するフェルト・パネル10−3714の上方にエンドエフェクタ10−3708を配置する。真空または布地把持装置を使用して、エンドエフェクタ10−3708はフェルト・パネル10−3714を第1突起部10−2500内に位置する溝2505へと移動させる。
パレット10−2402は図10−38に示したフレーム装填ステーション10−3800へと進む。フレーム装填ステーション10−3800はダイアル表10−3801と、ホットメルト・アプリケータ10−3802と、ロボット10−3804と含んでいる。ダイアル表10−3801はベース10−3808に回転自在に取り付けられた3つのスタック10−3806を含んでいる。ロボット10−3804の下に位置するスタックは起動位置にあるものと規定される。他の2つのスタックは非起動位置に位置している。非起動位置のスタック10−3806の近傍に位置するオペレータは後に起動位置で使用するためにフレーム10−102を装填する。ダイアル表10−3801の下に位置するエレベータ(図示せず)は起動位置のスタック内の最上位のフレーム位置を所定の高さに保持する。
フレーム装填ステーション10−3800の動作中に、ロボット10−3804はスタックの起動位置の上方に磁気または真空エンドエフェクタ10−3810を配置する。エンドエフェクタは最上部のフレームを取り外して、これをホットメルト・アプリケータ10−3802に巻回する。ロボット10−3804はフレーム10−102をフェルト・パネル10−3714の上方の位置に移送し続ける。ホットメルト接着剤の被覆を含むフレーム10−102はフェルトをフレームに接着するためにフェルト・パネル10−3714と接触するように押圧される。次にエンドエフェクタ10−3810はフレームおよびフェルト・サブアセンブリを第2突起部10−2502の上部10−2512上に配置する。このようにして、起動位置のスタック内の全てのフレームが使用されるまで、フレーム装填ステーション10−3800の動作は継続される。その時点で、ダイアル表10−3801は以前には非起動位置にあったスタックの1つをスタック起動位置に配置するように間欠送りする。次にオペレータは空のスタック10−3806にフレーム10−102を充填する。
図10−26に示すように、パレット10−2402は接着剤塗布ステーション10−2600を通過して逆時計回り方向に進行し続ける。ステーション10−2600は互いに偏倚して配置された5個の接着剤バルブ10−2602を含んでいる。パレット10−2402は均一な速度で接着剤バルブ10−2602を通過する。各接着剤バルブ10−2602は配分高さまで降下し、フレーム10−102上に接着剤10−2604の等間隔を隔てた5つのリボンを配分する適宜の時点で接着剤10−2604を塗布する。バルブ10−2602の開閉はパレット10−2402の移動に対応したタイミングでおきなわれる。等しい長さの5つのリボン10−2604はパレット10−2402を停止せずにフレーム10−102上に配分される。
パレット10−2402は図10−27に示した磁石装填ステーション10−2700へと進行し続ける。磁石装填ステーション10−2700で、ボール・フィーダ10−2702が5行と3列のパターンで適正に配向された15個の磁石10−202を送り込む。磁石10−202を適正に送り込み、配向するためにその他の高速給送機構を使用してもよいことが理解されよう。図10−27を参照すると、エンドエフェクタ10−2704がステーション10−2700内で移動できるように、エンドエフェクタ10−2704がロボット、もしくは把捉および配置機構10−2706に取り付けられている。エンドエフェクタ10−2704はボール・フィーダ10−2702の位置で、配置された磁石10−202の真上に位置している。次にエンドエフェクタ10−2704は磁石10−202をエンドエフェクタ10−2704に一時的に結合するために付勢される。次にロボット10−2706はエンドエフェクタ10−2704接着剤のアクチベータ・アプリケータ・パッド10−2708の上方へと移動する。エンドエフェクタ10−2704に装着された各磁石10−202は次に、接着剤アクチベータを磁石10−202の底に塗布するために接着剤アクチベータ・アプリケータ・パッド10−2708へと押圧される。次にエンドエフェクタ10−2704は磁石10−202と共にフレーム10−102の上方の位置に間欠送りされる。磁石10−202を接着剤10−2604に押圧し、接着剤アクチベータ10−2710を接着剤10−2604と混合して、磁石10−202をフレーム10−102に固定するために、エンドエフェクタ10−2704は軸方向に降下される。接着剤10−2604と接着剤アクチベータ10−2710とは図示のとおり2成分接着剤を完成させる。2成分接着剤は単なる例であり、本発明の範囲から逸脱せずに他の多様な磁石接合方法を組み込んでもよいことが当業者には理解されよう。例えば、1成分の熱硬化接着剤、機械的ファスナ、または溶接技術を使用してもよい。
次にパレット10−2402はトラック10−2404に沿ってアクリル樹脂硬化ステーション10−2410へと進む。パレット10−2402は2成分接着剤が硬化する時間が得られるようにアクリル樹脂硬化ステーション10−2410を通過する。磁石10−202がフレーム10−102に固く固定された後、磁石は磁化ステーション10−2800で励磁される。磁化ステーション10−2800内で、フレーム10−102はエネルギ源10−2802のすぐ近傍に入るように上昇される。いずれか1行ないの各磁石は同じ極性を持って励磁される。後述する磁束界を生成するために、隣接する行内の磁石は反対の極性で励磁される。励磁後、フレーム10−102と磁石10−202とはシリンダ10−2805を介してエネルギ源10−2802から引き離され、パレット10−2402上まで降下される。具体的には、2本のポスト10−2808が各磁石に接触して、励磁された磁石とフレームとをエネルギ源10−2802から分離するように複数のポスト10−2802が降下される。
励磁後、パレット10−2402は図10−29に示す振動板接着剤塗布ステーション10−2900へと進む。ステーション10−2900は直角アーム10−2904に取り付けられた接着剤アプリケータ10−2902を含んでいる。接着剤アプリケータ10−2902は接着剤10−406をフレーム10−102の平坦な取り付け面10−414に塗布する。好適な実施形態では、接着剤の塗布中にパレット10−2402の運動は制御される。X軸に沿った移動の制御はトラック10−2404によって行われ、Y軸およびZ軸に沿った移動は直角アーム10−3204によって行われる。
パレット10−2402は次に振動板装填ステーション10−3000に進む。振動板装填ステーション10−3000は振動板10−104をフレーム10−102に装填する。好適な実施形態では、振動板10−104のロール10−3002がフレーム10−1304上に回転自在に取り付けられる。振動板10−104のロール10−3002は、隔置され、薄膜10−400の長手方向に沿って配置された複数の導体10−106を
有する薄膜10−400の連続シートからなっている。薄膜10−400の連続シートは製造環境で取り扱いに便利なように巻き込まれている。振動板ロール10−3002の自由端はフィーダ10−3006内に挿入される。フィーダ10−3006は真空プラテン10−3008の近傍に配置されている。動作中、フィーダ10−3006は材料を振動板ロール10−3002から真空プラテン10−3008の上表面10−3010上に配分するように選択的に動作可能である。視覚システム10−3012はコントローラ10−3014とカメラ10−3016とを含んでいる。カメラ10−3016は好適には、真空プラテン10−3008の上表面10−3010上に配置された振動板ロール10−3002の端部のはっきりした視野が得られるようにフレーム10−3004の上に設置される。カメラ10−3016は振動板の位置情報をコントローラ10−3014へと通信する。
振動板10−104を真空プラテン10−3008の上表面10−3010上に配置するために、振動板ロール10−3002の自由端が所望の位置に間欠送りされ終わると、コントローラ10−3014はフィーダ10−3006に対して振動板ロールの現在位置を保持するように命令する。カメラ10−3016はさらに、真空プラテン10−3008の上表面10−3010上の振動板10−104上の導体10−106の横方向位置をコントローラ10−3014に通信する。スピーカー・フレーム10−102を、真空プラテン10−3008の上表面10−3010上の導体10−106の現在位置と位置合わせするために、パレット10−2402の位置が調整される。
真空プラテン10−3008の上表面10−3010上のパレットおよび振動板10−104が上記のように配置されると、真空ププラテン10−3008に真空が供給される。このようにして、真空プラテン10−3008の上表面10−3010上に配置された振動板10−104を含む振動板ロール10−3002の端部は一時的に真空プラテン10−3008に固定される。カッター10−3018は振動板10−104を振動板ロール10−3002から切断する。
振動板10−104が振動板ロール10−3002から切断された後、エンドエフェクタ10−3020はクランプ上半部10−3600をパレット10−2402上の保管位置から拾い上げる。エンドエフェクタ10−3020は、真空が真空プラテン10−3008に供給されている間に、クランプ上半部10−3600を切断された振動板上に配置する。次にエンドエフェクタ10−3020はクランプ上半部10−3600の周囲にも同様に真空を供給する。真空プラテン10−3008への真空の供給が遮断され、真空プラテン10−3008の上表面10−3010から振動板10−104にわずかな正圧が加えられる。次に、エンドエフェクタ10−3020はクランプ上半部10−3600および振動板10−104をパレット10−2402の上方位置に移送する。エンドエフェクタ10−3020はその後、クランプ上半部10−3600および振動板10−104を降下させて、クランプ下半部10−3602と接触させ、振動板10−104を引っ張られない状態で上下のクランプ半部の間に有効に閉じ込める。エンドエフェクタ10−3020に供給される真空は遮断され、エンドエフェクタ10−3020はクランプ上半部10−3600を解放して、振動板装填ステーション10−300でのサイクルが完了する。
図10−31を参照すると、振動板装填ステーション10−3000での工程ステップが実施された後のパレット10−2402が断面図で示されている。この時点で、クランプ下半部10−3602、振動板10−104、およびクランプ上半部10−3600が1組のばねプランジャ10−3100に懸架されている。クランプ上半部10−3600の重さは弾性シール10−3102、振動板10−104、弾性シール10−3104、およびクランプ下半部10−3602を経て伝達される。この構成が振動板10−104
を引っ張られない状態に保つ。ばねプランジャ10−3100は、図10−31では完全に伸長された位置で示されている軸方向に移動可能な端部10−3106を含んでいる。端部10−3106およびクランプ下半部10−3602は、振動板10−104を接着剤およびフレーム・サブ・アセンブリの上方の平面に配置するようなサイズにされている。
パレット10−2402は次にエッジ処理剤塗布ステーション10−200に進む。エッジ処理剤塗布ステーション10−200は直角アーム10−3204に結合されたバルブ10−3202を含んでいる。パレット10−2402の移動は塗布ステーション10−3200内に制御されているので、バルブ10−3202はエッジ処理成分10−3206を振動板10−104の周囲に塗布する。X軸に沿った移動の制御はトラック10−
2404によって行われ、Y軸およびZ軸に沿った移動は直角アーム10−3204によって行われる。エッジ処理成分10−3206はスピーカの動作中の振動板10−104の不都合な倍振動またはスプリアス振動を制振する機能を果たす。好適には、エッジ処理成分10−3206は可撓性の固体へと硬化するDymax4−20539のような液体ウレタ
ン・オリゴマー・アクリル・モノマー・ブレンドである。
パレット10−2402は次に薄膜引っ張りおよび接着剤硬化ステーション10−3300に進む。ステーション10−3300で、放射線源10−3302が下方に延在しており、クランプ上半部10−3600をクランプ下半部10−3602の方向に下方に押下する。ばねプランジャ10−3100内でばねから発生された反力が、クランプ上半部10−3600とクランプ下半部10−3602との間に振動板10−104の周囲を拘束する固締力を生ずる。採用される引っ張り方法に応じて、上下のクランプ半部を所定位置まで下方に変移させてもよく、ある一定の力が発生されるまで変移させてもよく、またはある一定の共振周波数が発生されるまで、または振動板10−104の負荷単位当たりのある一定の撓みが規定されるまで変移させてもよい。
クランプ上半部10−3600が下方に移動すると、振動板10−104は降下され、平坦な取り付け面10−414上に配置された接着剤10−406と接触状態にされる。クランプ上半部10−3600は、振動板10−104に所望の張力が達成されるまで、フレーム10−102の上方で下方に伸長する薄膜10−400を移動させ続ける。引っ張り工程が完了すると、接着剤10−406およびエッジ処理成分10−3206を硬化させるために放射線源10−3302がターンオンされる。放射線への露曝が完了した後、放射線源10−3302はターンオフされ、引っ込められる。
振動板10−104をフレーム10−102に結合するために幾つかの結合剤を使用してもよい。好適な実施形態では、Loctite Corp.の3106のような可視光線スペクトル
内の光線に曝すことによって硬化可能な接着剤が使用される。しかし、紫外線またはその他の種類の放射線に曝されることで硬化可能な接着剤を使用してもよい。ある種の感圧成分を使用してもよい。有利なことに感圧成分は結合される周囲に光線が透過できるようにする光透過性振動板および取り付け手段を使用する必要がない。熱硬化接着剤を使用してもよい。
パレット10−2402は次に端末挿入ステーション10−3400に進む。端末挿入ステーション10−3400は端末クリンパ10−3404および端末挿入ツール10−3406と連係して動作する振動ボール・フィーダ10−3402を有している。振動ボール・フィーダ10−3402は大量の導体アセンブリ10−230を特定方向に向け、端末アセンブリを一時に1つずつ個々に振動ボール・フィーダ10−3402の下に位置するエスケープメントに給送する。パレット10−2402が端末挿入ステーション10−3400に入ると、加圧パッド10−3408が端末クリンパ10−3404から下方
に延びて、導体10−106の第1端部10−204および第2端部10−206の近傍でスピーカー10−100に係合する。端末挿入ツール10−3406はエスケープメントから単一の導体アセンブリ10−230を取得して、これをフレーム10−102のアパーチャ10−214および10−216を通して据付ける。挿入動作中、端末は第1端部および第2端部で振動板10−104を突き抜けて振動板との電気的接続を形成する。クリンパ10−3404は2つの電気端末を振動板10−104に圧着する。さらに、クリンパ10−3404は電気端末が圧着されるのと同時にファスナ10−226を機械的に変形することによって導体アセンブリ10−230を結合する。その後、端末挿入ツール10−3406とクリンパ10−3404が引っ込む。
パレット10−2402は次に振動板装飾・ステーション10−3500に進む。振動板装飾・ステーション10−3500はカッター10−3504を備えた直角アーム10−3502を含んでいる。パレット10−2402が振動板装飾・ステーション10−3500に到達すると、直角アーム10−3502は振動板10−104から過剰な薄膜10−400をトリミングするために、カッター10−3504を降下させて振動板10−104と係合させる。カッター10−3504のX軸方向の運動はトラック10−240
4によってなされる。Y軸およびZ軸に沿った運動は直角アーム10−3502によってなされる。
パレット10−2402は次にクランプ離脱ステーション10−2412に進む。クランプ離脱ステーション10−2412では、クランプ上半部10−3600が取り外され、パレット10−2402の突出部10−2500上に置かれる。振動板10−104から以前にトリミングされた過剰な薄膜も除去され、廃棄される。
パレット10−2402は次にテスト・ステーション10−2414に進む。テスト・ステーション10−2414で、スピーカー10−100の音響テストが行われる。音響テスト中、完成された動電型スピーカー10−100が所定の入力を用いて励振される。各スピーカー10−100からの実際の音響出力が目標の出力と比較される。実際の出力と目標出力とが比較されるのは、スピーカーがあらかじめ規定された音質基準に適合するか否かを判定するためである。テスト済みのスピーカー10−100はパレット10−2402から取り出され、音響テストの結果に応じて区分けされる。パレット10−2402はトラック10−2404に沿って進行し続け、フレーム装填ステーション10−2408に戻って工程を再開する。
ここでスピーカー11−100の実施例を組み立てるための様々なシステムを記載する。システムの第1の例は図11−5から11−17に示されている。第1のシステムは真空プラテン11−600(図11−6から11−7)および 薄膜クランプ11−800(図11−8から11−9)を含んでいる。真空プラテン11600および薄膜クランプ11800は張力なしの平坦位置に振動板11−104(図11−5)を保持するために互いに連係して使用されてもよい。振動板11−104がクランプ11−800内に固定された後で、後述するように、引き続いて薄膜11−400を引っ張ってもよい。
振動板11−104を最初に平坦化および固締することで、張力を加えてもよい既知の振動板状態を組み立て者にもたらしてもよい。振動板11−104が最初にほぼ平坦な、引っ張られない状態に置かれないと、その後の組み立て動作中に再現性のある張力を得ようとする試みに困難を伴うことがある。この第1の例のシステムは反復性がある振動板状態を達成するために、真空プラテン11−600および薄膜クランプ11−800を含んでいる。別の例では、張力を加えてもよい既知の振動板状態を備えることができるいずれかの他の機構(単数または複数)および/または技術を利用してもよい。
真空プラテン11−600の例はボデー11−702、およびボデー11−702の第1の表面11−602から突起したペデスタル11−704を有するベース11−700を含んでいる。ペデスタル11−704は第1の表面11−602とほぼ平行に位置する上面11−706を含んでいる。上面11−706を真空源11−604と連結するために、真空通路11−70が8ペデスタル11−704とボデー11−702とを貫いて延在していてもよい。上面11−706に沿ってキャップ11−710をペデスタル11−704に連結してもよい。キャップ11−710は有孔アルミニウムのような通気性材料から構成されてものでよい。ベース11−700は気密性材料から構成されてものでよい。したがって、真空源11−604が真空通路11−708内に真空を引き込むと、キャップ11−710の上面11−606に沿って吸引力が生成される。
薄膜クランプ11−800の例はヒンジ11−806によって連結されたクランプ上半部11−802とクランプ下半部11−804とを含んでいる。図示したクランプ上半部11−802はほぼ長方形のボデー11−808と弾性ガスケット11−810とを含んでいる。ボデー11−808はこれを貫いて延在するアパーチャ11−900(図11−9)を含んでいる。弾性ガスケット11−810はガスケット11−810の厚みを貫いて延在する同様の形状のアパーチャ11−902(図11−9)を含んでいる。振動板11−104と係合するための圧縮可能な高摩擦表面11−812を備えるために、弾性ガスケット11−810をボデー11−808に装着してもよい。
図示したクランプ下半部11−804は、クランプ下半部11−804を貫いて延在するアパーチャ11−904を有するほぼ長方形のアルミニウム・フレーム11−814から構成されている。クランプ下半部11−804は上表面11−906と下表面11−908とを含んでいる。
スピーカーの組み立て工程中、図11−9に示すようにペデスタル11−704がクランプ下半部11−804のアパーチャ11−904に入るように、薄膜クランプ11−800を真空プラテン11−600上に配置すればよい。クランプ下半部11−804の上表面11−906は着座されると、キャップ11−710の上表面11−606とほぼ同一面上にあるようにしてもよい。振動板11−104を適切に位置決めするため、薄膜クランプ11−800が図11−8に示した開放位置に位置するようにクランプ上半部11−802を回転させてもよい。
真空源11−604を遮断して、振動板11−104を上表面11−606上に配置すればよい。振動板11−104は照準11−816を利用してクランプ下半部11−804に対して位置合わせすればよい。照準11−816は視覚的マーク、ロッド、リング、ノッチ、または位置合わせ手順を補助するために振動板11−104上に形成される他のいずれかの形態の位置合わせ機構でよい。照準11−816の位置は振動板11−104の周辺部11−818と中心部11−820とを効果的に画成する。中心部11−820は組み立て工程の完了実施形態にフレーム11−102に連結された状態に留まる材料の全てではないにせよ大部分を含んでいてもよい。
振動板11−104が適正に配置された後は、真空源11−604を介してキャップ11−710に真空を供給してもよい。キャップ11−710は通気性材料から構成されているので、振動板11−104は平坦な上表面11−606によく合致するように強制される。真空源が保持されている間、図11−10および11−11に示すように、薄膜クランプ11−800を閉鎖位置に配置するため、クランプ上半部11−802を回転させてもよい。クランプの閉鎖中、振動板11−104の厚みを考慮に入れるために弾性ガスケット11−810は局部的に変形してもよい。ラッチ11−822はクランプ上半部11−802をクランプ下半部11−804に固定する。ラッチ11−822はクランプ半
部を互いに連結する装置の例であるに過ぎず、何個の固締装置を実装してもよいことを理解されたい。クランプ上半部11−802がクランプ下半部11−804に固締されてしまうと真空が遮断され、振動板11−104を引っ張られない状態に保つ薄膜クランプが真空プラテン11−600から取り外される。
フレーム11−102はアセンブリ取り付け具11−1200(11−12および11−13)に取り付ければよい。アセンブリ取り付け具11−1200は真空プラテン11−600とほぼ同様の形状のものでよい。しかし、アセンブリ取り付け具11−1200はフレーム11−102の一部を受けるための溝11−1300を含んでいてもよい。アセンブリ取り付け具11−1200はフレーム11−102の平坦な取り付け面11−408から所定距離11−1304だけ偏倚したゲージ面11−1302を含んでいる。振動板11−104に張力を加えるため、距離11−1304はクランプ下半部11−804の厚さよりも長い。発生される張力の大きさは、フレーム11−102および振動板11−104の物理特性と連係して距離11−1304を規定することによって最適化される。
振動板11−104はフレーム11−102と機械的に連結されてもよい。例えば、フレーム11−102の平坦な取り付け面11−408に接着剤11−406を塗布してもよい。あるいは接着剤11−406を振動板11−104に塗布してもよい。接着剤11−406を塗布した後、フレーム11−102がクランプ下半部11−804のアパーチャ11−904に入るように(図11−14および11−15)、固締された振動板11−104を含む薄膜クランプ11−800をアセンブリ取り付け具11−1200上に配置してもよい。振動板11−104は接着剤11−406およびフレーム11−102の平坦な取り付け面11−408に接触してもよい。接触はクランプ下半部11−804の下表面11−908がアセンブリ取り付け具11−1200のゲージ面11−1302に接触する前に行われてもよい。薄膜11−400内に所望の張力を生成するため、薄膜クランプ11−800はアセンブリ取り付け具11−1200の上方へと押し下げられることで、下表面11−908がゲージ面11−1302に係合する。
使用される接着剤の種類に応じて、後続の工程が必要であることがある。例えば、接着剤11−406を放射線に曝すことによって硬化させることができる。したがって、薄膜クランプ11−800がアセンブリ取り付け具11−1200に連結されている間に、接着剤を硬化させ、振動板11−104をフレーム11−102に固着するために放射線源11−1500が付勢される。あるいは、他のいずれかの機械的連結機構が使用される場合は、適宜の工程を実行する必要があることがある。
スピーカー11−100の振動板11−104を引っ張るために使用される第2のシステムの例を図11−16および11−17を参照して記載する。このシステムでは、フレーム11−102は下方に延在するリップを含まない、径方向に延在する細長いフランジ11−1600を含んでいる。残りのプレーナ・スピーカー・コンポーネントは前述したものとほぼ同類である。組み立て工程には前述のように、振動板11−104をほぼ平坦な、引っ張らない状態で位置決めすることを含めてもよい。しかし、このシステムによってプレーナ・スピーカーを構成するために、平坦化および固締ステップは必ずしも必要ではないことを理解されたい。同様に、記載される代替の引っ張り方法は平坦化および固締工程を含めることに限定されるものではない。
接着剤11−406のビードをフレーム11−102および振動板11−104の一方または双方の周囲に沿って塗布してもよい。次に振動板11−104をフレーム11−102と位置合わせし、接着剤11−406を介して結合してもよい。前述のように、接着剤11−406は光線で硬化可能な材料、または異質な材料を互いに固着するその他のい
ずれかの適当なボンドでもよい。同様に、接着剤11−406は振動板11−104をフレーム11−102に機械的に結合するその他のいずれかの結合機構でもよい。
半方向に延在するフランジ11−1600は振動板11−104を引っ張るために、図11−17に示すように線11−1700から下方に外周領域を曲折することによって機械的に変形させてもよい。線11−1700は振動板11−104がそれを基点に引っ張られるフレーム11−102の周囲の支点として機能する。振動板の適切な張力は多様な方法で得られる。例えば、振動板11−104が最初にほぼ平坦な、引っ張られない状態でフレーム11−102に結合された場合は、撓み距離11−1702をテストによって経験的に決定してもよい。適切な撓み距離が決定されると、各スピーカー11−100の組み立て中にフレーム11−102を反復して変形し、径方向に延在するフランジ11−1600を所定の撓み距離11−1702だけ移動させるために金属型を作製してもよい。
薄膜の適切な張力を確実にするシステムの別の例にはフィードバック・システム11−1602が含まれる。フィードバック・システムの一例は振動板11−104の中心に既知の負荷をかけ、負荷をかけたポイントで振動板の撓みを測定する工程を含んでいてもよい。負荷当たりの所望の撓みはテストによって経験的に決定されてもよく、その場合は振動板11−104の共振周波数が所定負荷あたりの撓みに対してプロットされる。スピーカーの所定の形状について所望の共振周波数が一旦決定されると、所定負荷あたりの振動板の目標の撓みを決定できる。フィードバック・システムは撓みセンサ11−1604で既知の負荷での振動板の実際の撓みを測定することによって動作するものでよい。測定された撓みは目標の撓みと比較される。
フレーム11−102は、測定された撓みが目標の撓みとほぼ等しくなるまで変形され、それによって所望の共振周波数を生成するために振動板11−104が適宜に引っ張られるようにすればよい。引っ張り工程中にフレーム11−102の機械的撓みを制御するために、比例、積分、導関数フィードバック閉ループなどのような論理制御システムを実装してもよい。このような制御システムは薄膜の引っ張りに関して高度の反復性をもたらすことができる。
フィードバック・システム11−1704の別の例は、周波数センサ11−1706を使用して薄膜引っ張り工程中に共振周波数を直接測定することができる。この制御方式では、振動板11−104が繰り返し励振され、共振周波数が測定される。測定された周波数は薄膜の引っ張り中に所望の目標周波数と比較されることができる。測定された共振周波数が受け入れられる公差内で目標周波数と整合するまでフレーム11−102を変形させればよい。記載のフィードバック・システムを記載のいずれかの引っ張り技術と共に使用してもよいことを理解されたい。
図11−18を参照してさらに別の薄膜引っ張りシステムを詳細に記載する。薄膜引っ張り装置11−1800の例は、上部プレート11−1802と下部プレート11−1804とを含んでいる。プレート11−1802および11−1804は整合する面取りされたアパーチャ11−1806および11−1808をそれぞれ有している。振動板11−104の中心部11−820はアパーチャ11−1806および11−1808によって画成された開港内に位置している。フレーム11−102をアパーチャ11−1806および11−1808の一方に挿入できるように、アパーチャ11−1806および11−1808のサイズおよび形状はフレーム11−102よりもやや大きい。
上部プレート11−1802は図11−18に示すように、非対称の断面を有する環状溝11−1810を含んでいてもよい。下部プレート11−1804は溝11−1810
の鏡像として形成された環状溝11−1812を含んでいてもよい。第1の弾性部材11−1814を溝11−1810内に配置し、第2の弾性部材11−1816を溝11−1812内に配置してもよい。溝11−1810および11−1812は、弾性部材11−1814および11−1816がアパーチャ11−1806および11−1808の方向に移動することを制限するような形状のものでよい。加えて、溝11−1810および11−1812は、弾性部材11−1814および11−1816がアパーチャ11−1806および11−1808から離脱して移動できるような形状でもよい。具体的には、環状溝11−1810および11−1812を、上部レート11−1802および下部プレート11−1804に軸方向の力が加わってこれらを互いの方向に引き寄せると、振動板11−104の中心部11−820に横方向の力を加えるような形状にしてもよい。
上部プレート11−1802はさらにねじ山付きアパーチャ11−1818を含んでいてもよい。段つきのアパーチャ11−1820は下部プレート11−1804を貫いて延在する。上部レート11−1802および下部プレート11−1804を互いに引き寄せるために、ボルトとして示されている、ねじ山付きファスナ11−1822をアパーチャ11−1802内に挿入し、ねじ山つきアパーチャ11−1818内にねじ締めしてもよい。トグル・クランプ、ジャッキねじ、油圧シリンダ、または他のいずれかの公知の固締および力発生装置のような多様な機構を使用して、上部レート11−1802および下部プレート11−1804を互いに引き寄せてもよいことを理解されたい。
この技術例では、先ず上部レート11−1802および下部プレート11−1804を互いに引き寄せることによって、薄膜を引っ張ってもよい。接着剤11−406(またはその他の結合機構)を振動板11−104の引っ張られた部分および/またはフレーム1
1−102の平坦な取り付け面11−408上に配置してもよい。上部プレート11−1802が下部プレート11−1804に固締されている間に、フレーム11−102を振動板11−104に接触させてもよい。接着剤が硬化すると(または機械的結合が完了すると)、ねじ山付きファスナ11−1822を外し、上部プレート11−1802を下部プレート11−1804から分離してもよい。アパーチャ11−1806および11−1808のサイズは、接着剤11−406を硬化させる光波が進入でき、または必要があれば、他のいずれかの結合機構を操作できるようなサイズでよいことも理解されたい。スピーカー11−100の特定の構造に応じて、リップ11−306を越えて延びる薄膜があればそれを除去するために、振動板11−104の周辺部11−818をトリミングしてもよい。
図11−19を参照すると、薄膜引っ張り技術の別の例が示されている。この技術例を実施するために使用される取り付け手段は下部ダイ11−1902と上部ダイ11−1904とを有する取り付け具11−1900を含んでいる。取り付け手段11−1900は振動板11−104の周囲を拘束し、振動板11−104の片面と下部ダイ11−1902との間に空洞11−1906を画成する機能を果たしてもよい。液体供給源11−1908は空洞11−1906に加圧液を供給してもよい。下部ダイ11−1902は実質的に剛性の材料から構成されているので、振動板11−104を図11−19に示すように引っ張った状態で伸長させてもよい。フレーム11−102が振動板11−104と機械的に結合されている間、空洞11−1906内で圧力が維持される。機械的ファスナ、放射線により硬化可能な接着剤、マルチパート・エポキシ、熱硬化接着剤、または感圧成分を含む前述のボンド技術のいずれかを利用して、振動板11−104をフレーム11−102に固着してもよい。
振動板11−104がフレーム11−102に固定された後、上部ダイ11−1904を取り外し可能である。所望ならば、フレーム11−102の周辺を越えて延びる過剰な振動板材料を除去してもよい。
この技術例では、加圧液によって発生される張力の一部は後続のフレーム装着工程中に緩むことがある。したがって、薄膜が使用中に確実に適切に引っ張られるようにするため、最終的に希望する張力よりも大きい張力を、液体供給源11−1908を介して最初に誘発させてもよい。
図11−20から11−22は振動板11−104をフレーム11−102に装着する前に、振動板11−104を引っ張るために使用される取り付け手段の別の例を示している。スパイダ11−2000の例は振動板11−104を引っ張るために底板11−2100と共に動作できる。スパイダ11−2000は振動板11−104の第1面に配置してよく、一方、底板11−2100は振動板11−104の反対面に配置してもよい。スパイダ11−2000は11−2102の方向に加えられた軸方向の力を反対方向11−2200に発生される横方向の張力に変換することによって機能し得る。
図示したスパイダ11−2000は一般に角錐の角錐台部分の近傍に配置されたハブ11−2002を有する角錐形の部材である。複数個の脚部11−2004がハブ11−2002から角度をなして延びている。各脚部11−2004はボデー部11−2006と足部11−2008とを含んでいる。各足部11−2008は各脚部11−2004の末端から径方向に延びている。(図11−20に示すように)パッド11−2010が各足部11−2008の下表面に結合されている。パッド11−2010は、振動板11−104に損傷を生じることなく振動板11−104を把持するのに適した高摩擦の弾性材料から構成されたものでよい。
図示した底板11−2100は一般に、底板11−2100を貫いて延在するアパーチャ11−2104を有する長方形の部材である。アパーチャ11−2104はフレーム11−102の周囲と同様の形状で、フレーム11−102をアパーチャ11−2104に挿入できるサイズのものでよい。底板11−2100は、振動板11−104が上を自由に摺動可能な低摩擦の表面11−2106を含んでいる。図11−21に最も明解に示されているように、各パッド11−2010は底板11−2100の一部によって支持される。
引っ張り中に、振動板11−104を底板11−2100とスパイダ11−2000との間に配置してよい。スパイダ11−2000には方向11−2102に軸方向の力を加えてもよい。低摩擦面11−2106に対する脚部11−2004の角度の向きによって、方向11−2102に加えられる軸方向の力の少なくとも一部を反対方向11−2200の反対向きの力に変換できる。反対向きの力は振動板11−104を引っ張ることができる。引っ張った後、フレーム11−102は前述のように振動板11−104に機械的に結合される。
図11−23はスピーカー11−100の組み立て用のシステムのさらに別の例である。このシステムでは、フレーム11−102は振動板11−104の装着前に弾性変形されてもよい。変形されたフレーム11−1−2は仮想線で、参照番号11−2300で示されている。フレーム11−102の径方向に延びるフランジ11−304とリップ11−306(図3)とを内側に撓ませることによって、フレーム11−102を弾性変形させるために、ジャッキねじ、油圧ラム、またはその他の力発生装置のような幾つかの力発生装置またはツールを使用してもよいことを理解されたい。振動板104(図1)が平坦な取り付け面11−408(図4)に装着されている間、フレーム102は変形された状態に留められてよい。
振動板11−104がフレーム11−102に確実に装着され終わると、フレーム11
−102を変形させる外部からの力は緩めてもよい。フレーム11−102は弾性変形されていたので、フランジ11−304およびリップ11−306は元の変形されない状態に弾性戻りする傾向がある。この傾向は振動板11−104によって抵抗される。変形されたフレームが変形されない状態に戻ろうとすると、振動板11−104は平衡状態に達するまで伸長する。フレーム11−102はスチール、アルミニウム、または変形可能ないずれかの合成材料から構成したものでよい。弾性係数が29,000KSI未満である材
料は、降伏前に比較的大きい弾性変形するように企図されている。振動板11−104をフレーム11−102に結合するための接着剤11−406またはその他の機械的結合の伸長または変形を考慮に入れるため、フレームの大幅な変形が有利である。
プレーナ・スピーカー組み立てシステム11−2400の例が図11−24に示されている。プレーナ・スピーカー組み立てシステム11−2400は様々な別個のコンポーネントから比較的小さいスペースおよび最短の時間で完全にテスト済みで、完成したプレーナ・スピーカーを構成する機能を果たす。
組み立てシステム11−2400は閉鎖ループを進む複数のパレット11−2402を使用してコンベヤ型のシステムである。各パレット11−2402は駆動ベルトまたはトラック11−2404と嵌合されて、パレット11−2402はループを逆時計回り方向に移動させる。後述する工程のステップを実行するために、複数のワークステーション11−2406がトラック11−2404に沿って配置されている。
図11−25に最も明解に示されているように、パレット11−2402は上表面11−2504から上方に突起した第1突起部11−2500と第2突起部11−2502とを含んでいる。第1突起部11−2500は溝11−2505を含んでいる。第2突起部11−2502は長方形であり、アセンブリパーチャ11−2506を囲んでいる。アパーチャ11−2506はパレット11−2402の厚みを貫いて延びている。第2突起部11−2502は段付き側壁11−2508を含んでいる。段付き側壁11−2508は下部11−2510を含んでいる。段付き側壁11−2508はフレーム11−102用の位置決め構造として機能する上部11−2512を含んでいる。図11−41に示すように、クランプ上半部11−4100は第1突起部11−2500の上方に配置される。クランプ下半部11−4102は第2突起部11−2502の上方に配置される。
図11−42を参照すると、パレット11−2402はフェルト切断および装填ステーション11−4200へと進む。フェルト切断および装填ステーション11−4200はフレーム11−4201、ディスペンサ11−4202、カッター11−4204、およびロボット11−4206に結合されたエンドエフェクタ11−4208を有するロボット11−4206を含んでいる。フェルト11−4211のロールはフレーム11−4201に回転自在に結合されている。フェルト11−4210のロールの自由端はディスペンサ11−4202内に送られる。ディスペンサ11−4202はフェルトのロールの一部をブロック11−4212上に選択的に間欠送りするように制御可能である。適切な幅のフェルトがブロック11−4212上に送り出されると、フィーダ11−4202がフェルト・ロール11−4210の動きを停止させる。カッター11−4204は単一のフェルト・パネル11−4214をロールから切り離す。この時点で、ロボット11−4206はブロック11−4212上に位置するフェルト・パネル11−4214の上方にエンドエフェクタ11−4208を配置する。真空または布地把持装置を使用して、エンドエフェクタ11−4208はフェルト・パネル11−4214を第1突起部11−2500内に位置する溝2505へと移動させる。
パレット11−2402は図11−43に示したフレーム装填ステーション11−4300へと進む。フレーム装填ステーション11−4300はダイアル表11−4301と
、ホットメルト・アプリケータ11−4302と、ロボット11−4304と含んでいる。ダイアル表11−4301はベース11−4308に回転自在に取り付けられた3つのスタック11−4306を含んでいる。ロボット11−4304の下に位置するスタックは起動位置にあるものと規定される。他の2つのスタックは非起動位置に位置している。非起動位置のスタック11−4306の近傍に位置するオペレータは後に起動位置で使用するためにフレーム11−102を装填する。ダイアル表11−4301の下に位置するエレベータ(図示せず)は起動位置のスタック内の最上位のフレーム位置を所定の高さに保持する。
フレーム装填ステーション11−4300の動作中に、ロボット11−4304はスタックの起動位置の上方に磁気または真空エンドエフェクタ11−4310を配置する。エンドエフェクタは最上部のフレームを取り外して、これをホットメルト・アプリケータ11−4302に巻回する。ロボット11−4304はフレーム11−102をフェルト・パネル11−4214の上方の位置に移送し続ける。ホットメルト接着剤の被覆を含むフレーム11−102はフェルトをフレームに接着するためにフェルト・パネル11−4214と接触するように押圧される。次にエンドエフェクタ11−4310はフレームおよびフェルト・サブアセンブリを第2突起部11−2502の上部11−2512上に配置する。このようにして、起動位置のスタック内の全てのフレームが使用されるまで、フレーム装填ステーション11−4300の動作は継続される。その時点で、ダイアル表11−4301は以前には非起動位置にあったスタックの1つをスタック起動位置に配置するように間欠送りする。次にオペレータは空のスタック11−4306にフレーム11−102を充填する。
図11−26に示すように、パレット11−2402は接着剤塗布ステーション11−2600を通過して逆時計回り方向に進行し続ける。ステーション11−2600は互いに偏倚して配置された5個の接着剤バルブ11−2602を含んでいる。パレット11−2402は均一な速度で接着剤バルブ11−2602を通過する。各接着剤バルブ11−2602は配分高さまで降下し、フレーム11−102上に接着剤11−2604の等間隔を隔てた5つのリボンを配分する適宜の時点で接着剤11−2604を塗布する。バルブ11−2602の開閉はパレット11−2402の移動に対応したタイミングでおきなわれる。等しい長さの5つのリボン11−2604はパレット11−2402を停止せずにフレーム11−102上に配分される。
パレット11−2402は図11−27に示した磁石装填ステーション11−2700へと進行し続ける。磁石装填ステーション11−2700で、ボール・フィーダ11−2702が5行と3列のパターンで適正に配向された15個の磁石11−202を送り込む。磁石11−202を適正に送り込み、配向するためにその他の高速給送機構を使用してもよいことが理解されよう。図11−27を参照すると、エンドエフェクタ11−2704がステーション11−2700内で移動できるように、エンドエフェクタ11−2704がロボット、もしくは把捉および配置機構11−2706に取り付けられている。エンドエフェクタ11−2704はボール・フィーダ11−2702の位置で、配置された磁石11−202の真上に位置している。次にエンドエフェクタ11−2704は磁石11−202をエンドエフェクタ11−2704に一時的に結合するために付勢される。次にロボット11−2706はエンドエフェクタ11−2704接着剤のアクチベータ・アプリケータ・パッド11−2708の上方へと移動する。エンドエフェクタ11−2704に装着された各磁石11−202は次に、接着剤アクチベータを磁石11−202の底に塗布するために接着剤アクチベータ・アプリケータ・パッド11−2708へと押圧される。次にエンドエフェクタ11−2704は磁石11−202と共にフレーム11−102の上方の位置に間欠送りされる。磁石11−202を接着剤11−2604に押圧し、接着剤アクチベータ11−2710を接着剤11−2604と混合して、磁石11−20
2をフレーム11−102に固定するために、エンドエフェクタ11−2704は軸方向に降下される。接着剤11−2604と接着剤アクチベータ11−2710とは図示のとおり2成分接着剤を完成させる。2成分接着剤は単なる例であり、本発明の範囲から逸脱せずに他の多様な磁石接合方法を組み込んでもよいことが当業者には理解されよう。例えば、1成分の熱硬化接着剤、機械的ファスナ、または溶接技術を使用してもよい。
次にパレット11−2402はトラック11−2404に沿ってアクリル樹脂硬化ステーション11−2410へと進む。パレット11−2402は2成分接着剤が硬化する時間が得られるようにアクリル樹脂硬化ステーション11−2410を通過する。磁石11−202がフレーム11−102に固く固定された後、磁石は磁化ステーション11−2800で励磁される。磁化ステーション11−2800内で、フレーム11−102はエネルギ源11−2802のすぐ近傍に入るように上昇される。いずれか1行ないの各磁石は同じ極性を持って励磁される。後述する磁束界を生成するために、隣接する行内の磁石は反対の極性で励磁される。励磁後、フレーム11−102と磁石11−202とはシリンダ11−2805を介してエネルギ源11−2802から引き離され、パレット11−2402上まで降下される。具体的には、2本のポスト11−2808が各磁石に接触して、励磁された磁石とフレームとをエネルギ源11−2802から分離するように複数のポスト11−2802が降下される。
励磁後、パレット11−2402は図11−29に示す振動板接着剤塗布ステーション11−2900へと進む。ステーション11−2900は直角アーム11−2904に取り付けられた接着剤アプリケータ11−2902を含んでいる。接着剤アプリケータ11−2902は接着剤11−406をフレーム11−102の平坦な取り付け面11−414に塗布する。好適な実施形態では、接着剤の塗布中にパレット11−2402の運動は制御される。X軸に沿った移動の制御はトラック11−2404によって行われ、Y軸およびZ軸に沿った移動は直角アーム11−3204によって行われる。
パレット11−2402は次に振動板装填ステーション11−3000に進む。振動板装填ステーション11−3000は振動板11−104をフレーム11−102に装填する。好適な実施形態では、振動板11−104のロール11−3002がフレーム11−1304上に回転自在に取り付けられる。振動板11−104のロール11−3002は、隔置され、薄膜11−400の長手方向に沿って配置された複数の導体11−106を有する薄膜11−400の連続シートからなっている。薄膜11−400の連続シートは製造環境で取り扱いに便利なように巻き込まれている。振動板ロール11−3002の自由端はフィーダ11−3006内に挿入される。フィーダ11−3006は真空プラテン11−3008の近傍に配置されている。動作中、フィーダ11−3006は材料を振動板ロール11−3002から真空プラテン11−3008の上表面11−3011上に配分するように選択的に動作可能である。視覚システム11−3012はコントローラ11−3014とカメラ11−3016とを含んでいる。カメラ11−3016は好適には、真空プラテン11−3008の上表面11−3010上に配置された振動板ロール11−3002の端部のはっきりした視野が得られるようにフレーム11−3004の上に設置される。カメラ11−3016は振動板の位置情報をコントローラ11−3014へと通信する。
振動板11−104を真空プラテン11−3008の上表面11−3010上に配置するために、振動板ロール11−3002の自由端が所望の位置に間欠送りされ終わると、コントローラ11−3014はフィーダ11−3006に対して振動板ロールの現在位置を保持するように命令する。カメラ11−3016はさらに、真空プラテン11−3008の上表面11−3010上の振動板11−104上の導体11−106の横方向位置をコントローラ11−3014に通信する。スピーカー・フレーム11−102を、真空プ
ラテン11−3008の上表面11−3010上の導体11−106の現在位置と位置合わせするために、パレット11−2402の位置が調整される。
真空プラテン11−3008の上表面11−3010上のパレットおよび振動板11−104が上記のように配置されると、真空ププラテン11−3008に真空が供給される。このようにして、真空プラテン11−3008の上表面11−3010上に配置された振動板11−104を含む振動板ロール11−3002の端部は一時的に真空プラテン11−3008に固定される。カッター11−3018は振動板11−104を振動板ロール11−3002から切断する。
振動板11−104が振動板ロール11−3002から切断された後、エンドエフェクタ11−3020はクランプ上半部11−3600をパレット11−2402上の保管位置から拾い上げる。エンドエフェクタ11−3020は、真空が真空プラテン11−3008に供給されている間に、クランプ上半部11−3600を切断された振動板上に配置する。次にエンドエフェクタ11−3020はクランプ上半部11−3600の周囲にも同様に真空を供給する。真空プラテン11−3008への真空の供給が遮断され、真空プラテン11−3008の上表面11−3010から振動板11−104にわずかな正圧が加えられる。次に、エンドエフェクタ11−3020はクランプ上半部11−3600および振動板11−104をパレット11−2402の上方位置に移送する。エンドエフェクタ11−3020はその後、クランプ上半部11−3600および振動板11−104を降下させて、クランプ下半部11−3602と接触させ、振動板11−104を引っ張られない状態で上下のクランプ半部の間に有効に閉じ込める。エンドエフェクタ11−3020に供給される真空は遮断され、エンドエフェクタ11−3020はクランプ上半部11−3600を解放して、振動板装填ステーション11−3000でのサイクルが完了する。
図11−31を参照すると、振動板装填ステーション11−300での工程ステップが実施された後のパレット11−2402が断面図で示されている。この時点で、クランプ下半部11−3602、振動板11−104、およびクランプ上半部11−3600が1組のばねプランジャ11−3100に懸架されている。クランプ上半部11−3600の重さは弾性シール11−3102、振動板11−104、弾性シール11−3104、およびクランプ下半部11−3602を経て伝達される。この構成が振動板11−104を引っ張られない状態に保つ。ばねプランジャ11−3100は、図11−31では完全に伸長された位置で示されている軸方向に移動可能な端部11−3106を含んでいる。端部11−3106およびクランプ下半部11−3602は、振動板11−104を接着剤およびフレーム・サブ・アセンブリの上方の平面に配置するようなサイズにされている。
パレット11−2402は次にエッジ処理剤塗布ステーション11−200に進む。エッジ処理剤塗布ステーション11−200は直角アーム11−3204に結合されたバルブ11−3202を含んでいる。パレット11−2402の移動は塗布ステーション11−3200内に制御されているので、バルブ11−3202はエッジ処理成分11−3206を振動板11−104の周囲に塗布する。X軸に沿った移動の制御はトラック11−
2404によって行われ、Y軸およびZ軸に沿った移動は直角アーム11−3204によって行われる。エッジ処理成分11−3206はスピーカの動作中の振動板11−104の不都合な倍振動またはスプリアス振動を制振する機能を果たす。好適には、エッジ処理成分11−3206は可撓性の固体へと硬化するDymax4−20539のような液体ウレタ
ン・オリゴマー・アクリル・モノマー・ブレンドである。
パレット11−2402は次に薄膜引っ張りおよび接着剤硬化ステーション11−3300に進む。ステーション11−3300で、放射線源11−3302が下方に延在して
おり、クランプ上半部11−3600をクランプ下半部11−3602の方向に下方に押下する。ばねプランジャ11−3100内でばねから発生された反力が、クランプ上半部11−3600とクランプ下半部11−3602との間に振動板11−104の周囲を拘束する固締力を生ずる。採用される引っ張り方法に応じて、上下のクランプ半部を所定位置まで下方に変移させてもよく、ある一定の力が発生されるまで変移させてもよく、またはある一定の共振周波数が発生されるまで、または振動板11−104の負荷単位当たりのある一定の撓みが規定されるまで変移させてもよい。
クランプ上半部11−3600が下方に移動すると、振動板11−104は降下され、平坦な取り付け面11−414上に配置された接着剤11−406と接触状態にされる。クランプ上半部11−3600は、振動板11−104に所望の張力が達成されるまで、フレーム11−102の上方で下方に伸長する薄膜11−400を移動させ続ける。引っ張り工程が完了すると、接着剤11−406およびエッジ処理成分11−3206を硬化させるために放射線源11−3302がターンオンされる。放射線への露曝が完了した後、放射線源11−3302はターンオフされ、引っ込められる。
振動板11−104をフレーム11−102に結合するために幾つかの結合剤を使用してもよい。好適な実施形態では、Loctite Corp.の11−3106のような可視光線スペ
クトル内の光線に曝すことによって硬化可能な接着剤が使用される。しかし、紫外線またはその他の種類の放射線に曝されることで硬化可能な接着剤を使用してもよい。ある種の感圧成分を使用してもよい。有利なことに感圧成分は結合される周囲に光線が透過できるようにする光透過性振動板および取り付け手段を使用する必要がない。熱硬化接着剤を使用してもよい。
パレット11−2402は次に端末挿入ステーション11−3400に進む。端末挿入ステーション11−3400は端末クリンパ11−3404および端末挿入ツール11−3406と連係して動作する振動ボール・フィーダ11−3402を有している。振動ボール・フィーダ11−3402は大量の端末導体アセンブリ11−230を特定方向に向け、端末アセンブリを一時に1つずつ個々に振動ボール・フィーダ11−3402の下に位置するエスケープメントに給送する。パレット11−2402が端末挿入ステーション11−3400に入ると、加圧パッド11−3408が端末クリンパ11−3404から下方に延びて、導体11−106の第1端部11−204および第2端部11−206の近傍でスピーカー11−100に係合する。端末挿入ツール11−3406はエスケープメントから単一の導体アセンブリ11−230を取得して、これをフレーム11−102のアパーチャ11−214および11−216を通して据付ける。挿入動作中、端末は第1端部および第2端部で振動板11−104を突き抜けて振動板との電気的接続を形成する。クリンパ11−3404は2つの電気端末を振動板11−104に圧着する。さらに、クリンパ11−3404は電気端末が圧着されるのと同時にファスナ11−226を機械的に変形することによって導体アセンブリ11−230を結合する。その後、端末挿入ツール11−3406とクリンパ11−3404が引っ込む。
パレット11−2402は次に振動板装飾・ステーション11−3500に進む。振動板装飾・ステーション11−3500はカッター11−3504を備えた直角アーム11−3502を含んでいる。パレット11−2402が振動板装飾・ステーション11−3500に到達すると、直角アーム11−3502は振動板11−104から過剰な薄膜10−400をトリミングするために、カッター11−3504を降下させて振動板11−104と係合させる。カッター11−3504のX軸方向の運動はトラック11−240
4によってなされる。Y軸およびZ軸に沿った運動は直角アーム11−3502によってなされる。
パレット11−2402は次にクランプ離脱ステーション11−2412に進む。クランプ離脱ステーション11−2412では、クランプ上半部11−3600が取り外され、パレット11−2402の突出部11−2500上に置かれる。振動板11−104から以前にトリミングされた過剰な薄膜も除去され、廃棄される。
パレット11−2402は次にテスト・ステーション11−2414に進む。テスト・ステーション11−2414で、スピーカー11−100の音響テストが行われる。音響テスト中、完成された動電型スピーカー11−100が所定の入力を用いて励振される。各スピーカー11−100からの実際の音響出力が目標の出力と比較される。実際の出力と目標出力とが比較されるのは、スピーカーがあらかじめ規定された音質基準に適合するか否かを判定するためである。テスト済みのスピーカー11−100はパレット11−2402から取り出され、音響テストの結果に応じて区分けされる。パレット11−2402はトラック11−2404に沿って進行し続け、フレーム装填ステーション11−2408に戻って工程を再開する。
図11−36を参照すると、代替の動電型スピーカー11−3600は第1サブアセンブリ11−3602と第2サブアセンブリ 11−3604とから構成される。第1サブアセンブリ11−3602は格子11−220に結合された振動板11−104を含んでいる。格子11−220は好適には強化プラスチックまたは熱可塑性成分から構成された射出成形コンポーネントである。格子11−220はアルミニウム、スチールまたはその他の合成材料から構成してもよい。好適には、振動板11−104は引っ張られた状態で格子11−220に結合される。振動板11−104内の張力は前述の各技術を含む幾つかの技術を介して発生できる。しかし、振動板11−104を格子11−220に結合した後で引っ張ってもよい。
第2サブアセンブリ11−3604はフレーム11−102と、磁石11−202と、制振部材11−228とを含んでいる。2つのサブアセンブリが製造されるので、スピーカー11−3600を製造する総時間を短縮できる。2つのサブアセンブリの構造を平衡することで、製造のフレキシビリティが高まり、組み立てラインが最適化される。その上、格子および振動板サブアセンブリを使用することによって、薄膜と磁石との空隙が異なる同類のスピーカーを構成する機会が得られる。振動板11−104と磁石11−202との間隔を増すことによって、周波数限度が極めて低い拡張された帯域幅を呈するスピーカーを開発できる。
図11−37および11−38は振動板11−3700をフレーム11−3702に装着するための代替方法を示している。好適には、フレーム11−3702は強化射出成形された合成材料から形成される。フレーム11−3702は外面11−3706を有するボデー11−3704を含んでいる。複数のピン11−3708が外面11−3706から突起している。ピン11−3708はフレーム11−3702のボデー11−3704と一体に成形されている。
振動板11−3700は前述の振動板104と同様のサブアセンブリである。しかし、振動板11−3700は厚みを貫いて延在する複数のアパーチャ11−3710を含んでいる。アパーチャ11−3710は外面11−3706から延びる複数のピン11−3708の位置に対応するパターンを形成する位置に配設されている。
振動板11−3700はアパーチャ11−3710を通してピン11−3708を挿入することによってフレーム11−3702に結合される。ピン11−3708は振動板11−3700の上面11−3712から所定距離だけ突出するようなサイズである。振動板11−3700はヒート・ステーキング方法を介してフレーム11−3702に結合さ
れ、その際に各ピン11−3708は溶解され、成形されて、アパーチャ11−3710のエッジを越えて延びるヘッド部11−3800を形成する。
図11−39は振動板をフレームまたは格子に装着する別の代替方法を示している。フレーム11−3900は取り付け面3904から延びる複数の突起部11−3902を含んでいる。振動板11−104は振動板10−104を各突起部11−3902と接触させ、アセンブリを付勢して、材料を局部的に溶解および融解させることによってフレーム11−3900に結合される。各突起部11−3902での局部的な接合を、振動板11−104とフレーム11−3900とを互いに振動させることによって達成してもよい。さらに、振動板11−104を各突起部11−3902と係合させる軸方向の力と連係して超音波エネルギ源を利用して突起部11−3902を励振させてもよい。
図11−40は薄膜10−104をフレーム10−102に装着するための代替方法を示している。フレーム10−102はフレーム10−102の外表面に被覆されたコーティング11−4000を含んでいる。好適には、コーティング11−4000は電力被覆法によって被覆される熱可塑性材料である。薄膜11−104をフレーム10−102に装着するため、薄膜11−104の周囲はコーティング11−4000の外表面11−4002と接触される。コーティング11−4000と振動板11−104との局部的な溶解を生成するため、接合部にエネルギが印加される。薄膜11−104をフレーム11−102に対して振動させてエネルギを供給してもよい。あるいは、フレームを高周波加熱させ、コーティング11−4000を溶解させるためにフレーム11−104を磁界内に配置してもよい。次にエネルギ源がターンオフされ、コーティング11−4000を介して薄膜11−104が効果的にフレーム11−104に接合される。
オーディオ電流を電力増幅器から印加できるように、薄膜12−400上の導体12−106はコネクタへと終端されなければならない。好適には、終端は迅速組み立て工程によって達成され、機械的および電気的に強靭な接続をもたらす。さらに、過酷な温度および湿度に耐えるために、接続は環境に対しても強靭である必要がある。
図12−6に示すように、薄膜12−600がフレーム10−102の周囲を越えて延びる延長部12−602を含む電気コネクタの第1実施形態が示されている。延長部12−602は2つの電気トレース部12−604および12−606を備えており、その各々が端末部12−604aおよび12−606aを備えている。振動板の延長部12−602はワイヤ・ハーネスとして機能する。胴体12−106のトレースの構造により、導体12−106の端末部12−608は端末部12−608と導体12−106の外周との間に配置されたトレース12−108の干渉半径を有している。端末12−608を細長いトレース12−606に接続するため、フレーム10−102上にはコンデンサ12−610が配置され、導体12−106の端末12−608と振動板12−600の延長部12−602上に備えられたトレース12−606との間の接続用ジャンパとして利用される。コンデンサ12−610は半田付けまたはその他の接続方法によって端末12−608およびトレース12−606に接続可能である。コンデンサ12−610は干渉フォイル・トレース12−108を越えるジャンパとして機能する他、低周波信号が所定の周波数、またはそれ以上で交差することを防止することによって、歪みを除去することができる。
ハードブロック・コネクタ12−612は電気トレース12−604,12−606の端末12−604a、12−606aと電気的に接触する延長部12−602の端部に接続されている。ハードブロック・コネクタ12−612はトレース12−604を突き抜けてこれと電気的に接続される。コネクタ12−612は図12−7に示すように、動電型スピーカー12−700の導体12−106に電気的に接続されるように、対応するリセ
プタクルにスナップ嵌めされることができる。図12−7に示すように、振動板12−600の延長部12−602にはテープ層、または延長部12−602を強化可能なその他の材料を含む裏当て12−702を備えることができる。
図12−6および12−7のコネクタは構造が簡単で、容易に組み立てられる機械的、電気的に強靭な接続システムを供給する。
ここで図12−8および12−11を参照して、本発明の第2実施形態による電気コネクタ・アセンブリ12−800を説明する。電気コネクタ・アセンブリ12−800は中心に位置する取り付け用アパーチャ12−804と一対の端末アパーチャ12−806とを含む端末底部材12−802を含んでいる。端末底部材12−802は一対の端末アパーチャ12−806の周囲に延在する一対のボス12−808を含んでいる。一対の端末ラグ12−810にはそれぞれアイレット部12−812とボデー部12−814とが備えられている。ボデー部12−814は形状が円筒形であり、または平坦な側面を有しており、好適には複数の尖鋭な先端部12−816を含んでいる。
組み立て中、図12−12に最も明解に示されているように、ボス12−808がアパーチャ12−214内に受けられるように、端末底部材12−802はフレーム10−102の裏面に配置されている。次に、端末ラグ12−810の尖鋭な先端12−816が薄膜12−400および導体12−106の端末部12−204および12−206を突き抜けるように、端末ラグ12−810が端末アパーチャ12−806を貫いて挿入される。図12−10に最も明解にしめされているように、端末12−204,12−206を覆うように尖鋭な先端部12−816が外側に圧着される。
ファスナ12−820が端末底部12−802の取り付けアパーチャ12−804、およびこれも薄膜12−400を突き抜けるようにフレーム10−102内の取り付けアパーチャ12−216を貫いて挿入される。次に端末底部材12−802をフレーム10−102に固定するために、ファスナ12−810も外側に圧着される。各端末ラグ12−810は端末底部材12−802の裏面に着座するようにボデー部12−814から延びた、径方向に延在する外部フランジ部12−814aを含んでいる。同様に、図12−1
1および12−12に最も明解に示されるように、ファスナ12−820は、これも端末底部材12−802の裏面に着座する径方向に延在する外部フランジ部12−82aを含
んでいる。端末の底部材12−802、端末ラグ12−810、およびファスナ12−820は、フレーム12−102上に組み立てられる前に、端末ラグ12−810とファスナ12−820が端末底部材内に圧入またはその他の方法で固定されて、事前組み立て可能であることに留意されたい。
図12−18は第1および第2取り付けアパーチャ12−1804、12−1806および一対の端末アパーチャ12−1808、12−1810を含む端末底部材を含む代替の電気コネクタ・アセンブリを示している。端末底部材12−1802は一対の端末アパーチャ12−1808および12−1810の周囲に延在する一対のボス12−1812を含んでいる。
一対の端末ラグ12−1814には各々、アイレット部12−1816とボデー部12−1818とが備えられている。端末ラグ12−1814は端末アパーチャ12−1808,12−1810内に受けられている。ボデー部12−814は形状が円筒形であり、または平坦な側面を有している。アイレット部12−1816には、熱伝導率を低下させ、半田付けエリアから電気的アイレット12−1816への熱伝達を制限するために、断面積を縮小する側縁部に設けられたノッチの形式の熱遮断部12−1820が備えられている。一対の機械的アイレット12−1822、12−1824は取り付けアパーチャ1
2−1804、12−1806内に受けられ、電気コネクタ・アセンブリ12−1800をフレームに機械的に接続するためのスチール製フレームの上に圧着される。第2の機械的アイレット12−1824には歪み逃がしブレード12−1826が備えられ、これはハーネスからの機械的力を半田付けラグ接続ぶではなくフレームに伝達するためにワイヤ・ハーネスの周囲に圧着されている。
オプションとして、図12−12に示されているように、胴体12−106の端末12−204 、12−206と圧着されたリベット、またはファスナの先端12−816との間に電気的接合成分12−1200を備えることができる。伝記的接合成分12−1200はALNOXの製品名で市販されており、端末12−204、12−2026との間に圧
着されるとこれらを貫いて電気的に接続される金属製の、または導電性の粒子を含むガスケット上の材料を含んでいる。導体12−106の端末12−204、12−206の表面を突き抜け、または変形して双方を電気的に接続することが可能な比較的尖鋭なエッジを有する導電性粒子に備えるために、粒子は典型的にはニッケルめっきの酸化アルミニウム砥粒を含んでいる。
アルミニウム導体12−106の動作に関連する問題点の1つは、表面上の酸化物によって半田付けが極めて困難になることである。そこで、酸化物層を突破して半田をアルミニウム層上で湿らせることができるように、溶剤が使用される。しかし、溶剤物質はアルミニウムを腐食させるので、使用後は完璧かつ徹底的に洗浄して除去されなければならない。溶剤物質の洗浄には水とブラシが必要であり、時間がかかり、面倒である。それによって組み立て皇帝に追加のステップ、ひいてはコストが加わる。図12−13に示されているように、導体12−106の端末12−1300、12−1302に銅の薄層が備えられ、従来の半田付け工程を使用して(1つが図12−14に示されている)一対のリード線12−1402を端末12−1300、12−1302に接続可能であるように、代替のコネクタ配置が備えられている。
あるいは、従来の半田付け技術も可能であるように、アルミニウム・フォイル・トレース全体に薄い銅めっきを施すこともできる。アルミニウムへの終端に伴う困難さを軽減するため、導体12−106もより薄い銅フォイルで製造してもよい。銅はアルミニウムよりも大幅に重いので、銅トレースはアルミニウム・トレースと比較して厚みと幅の双方とも少ない。銅の厚みと幅とが少ないことによって、振動板12−104を低い移動質量に保たれるので、振動板12−104によるサウンドの生成を妨げない。
リード・ワイヤが図12−15に示すように導体の端末12−204、12−206に直接半田付けされ、または溶接される場合は、ワイヤ12−1502が引っ張られ、リード・ワイヤ12−1402と導体12−106の端末12−204、12−206との電気接続が損傷することを防止するため、好適には歪み逃がしマウント12−1500が使用される。歪み逃がしファスナ12−1500はフレーム12−102に固締されたクランプの形式でもよく、またはワイヤ12−1502に加わる力が電気コネクタ12−106に接続されたリード・ワイヤ12−1402に加わることを防止する他のいずれかの機械的コネクタの形式であってもよい。
図12−16に示されるように、電気的接続を形成するための代替工程について概観する。ステップ12−1601で、薄膜12−400にアルミニウム層が貼付される。ステップ12−1602で、導体トレースを形成するため、アルミニウムが選択的にエッチングで除去される。次に薄膜12−400が引っ張られた状態でフレーム12−102に貼付される(ステップ12−1603)。ステップ12−1604で、リード・ワイヤの形式でよい端子が薄膜上のアルミニウム・フォイルに超音波半田付けされる。超音波半田付け工程はアルミニウムの場合に使用される従来の半田付け工程に必要な反応性溶剤を必要
とせず、したがって従来の半田付け工程に必要であったブラッシングおよび清掃工程は必要ない。超音波半田付け工程によってアルミニウムの空洞化が生じ、これは表面上の酸化物を除去し、半田を湿らせることが可能である。この種類の超音波半田付け工程を実行するための超音波半田は市販されている。この種類の電気接続で好適には、力がリード・ワイヤに作用し、接続を損傷する可能性を防止するために、図12−15に示されているような歪み逃がし装置12−1500も望ましい。
図12−17は代替のレーザー溶接による電気接続の方法のステップを示している。ステップ12−1701で、薄膜12−400にアルミニウム層が貼付される。ステップ12−1602で、導体12−206を形成するため、アルミニウムが選択的にエッチングで除去される(ステップ12−1702)。次にステップ12−1703で薄膜12−400が引っ張られた状態でフレーム12−102に貼付される。ステップ12−1704で、リード・ワイヤの形式の端子が薄膜上のアルミニウム・トレースの端末12−204、12−206にレーザー溶接される。レーザー溶接はワイヤとアルミニウム端末とを互いに溶解する。この場合も図12−15に示されているように好適には、力がリード・ワイヤに作用し、レーザー溶接接続を損傷する可能性を防止するために、歪み逃がし装置12−1500が使用される。歪み逃がしはクランプ、リベット、ファスナ、またはフレーム12−102上に備えられた鋳造スナップ機構で備えることができる。
動電型スピーカー13−100を据え付けるために使用される本発明の取り付け装置の1実施形態が図13−5に示されている。取り付け装置13−500は単体構造の取り付けブラケット13−502を備えたものでよい。取り付けブラケット13−502はたとえな自動車またはその他の構造支柱のような取り付け面または取り付け位置13−506上にスピーカー13−100を据え付けるために使用されることが図示されている。
取り付けブラケット13−502はほぼ平坦な背面パネル部13−508を含むことが示されている。オプションとして、例えば取り付けブラケット13−502のコストおよび/または重さを軽減し、または必要に応じて取り付けブラケット13−502を通る気
道を備えるために、背面パネル部13−508に複数のアパーチャ13−510を含めてもよい。
側壁13−512は取り付けブラケット13−502の外側の境界または周囲13−514と内部スペース13−516を形成するように、背面パネル部13−508からほぼ直交して延びている。側壁13−512の周囲13−514から内側に、取り付けブラケット13−502の内部スペース13−516の方向にフランジまたはリブ13−518が延在している。リブ13−518は一般に背面パネル部13−508と平行に、またこれと偏倚された平面に位置していることによって、取り付けブラケット13−502の厚みが確保されている。リブ13−518の部分13−520は側壁13−512からさらに内側に延びている。
取り付けブラケット13−502の反対端には、アパーチャ13−529を有するフランジ13−528が位置している。フランジ13−528は例えばねじ山付きファスナ13−530およびアパーチャ13−529および13−531を介して、またはその他の公知の、または本明細書に開示されているように、取り付けブラケット13−502を取り付け位置13−506に固定できる位置を供給する。フランジ13−528はさらに、取り付け位置13−506で表面により良く適合するように、例えば曲折または捻回によってフランジ13−528の位置および/または向きを操作できるようにするネック部1
3−532を含んでいてもよい。勿論、フランジ(単数または複数)13−528の数および位置は、取り付けられる装置のサイズ、形状、および重さ、および装置が体験する動作条件、または取り付け位置13−506で利用できるスペースのような取り付け用途の
要求によって決定してもよい。
取り付けブラケット13−502の一部としてさらに、取り付けブラケット13−502のリブ13−518から外側に延在する複数の雄の突起13−534が一体に含まれている。各突起13−534は2部品からなるスナップ嵌め式ファスナの半部を形成する。仕上げ装飾部品13−538を取り付けブラケット13−502に容易に直接接続して、コンポーネントの据付けを完了できるように、表縁またはカバーのような仕上げ装飾部品13−538の一部である対応する雌のリセプタクル13−536とインターロックするための突起13−534を含めてもよい。取り付けブラケット13−50と装飾部品13−538には多様な適宜のインターロック連結部のいずれかを含めてもよい。
取り付けブラケット13−502は図13−5ではほぼ方形の形状で示されている。取り付けブラケット13−502は勿論、取り付けられる特定の装置に適応するどのような形状、サイズ、および構造のものでよい。
取り付けブラケット13−502を介したスピーカー13−100の据付けは、ステップ13−100を取り付けブラケット13−502の前側(矢印Aの方向)から据え付け
ることによって達成される。ステップ13−100は取り付けブラケット13−502に「スナップ嵌め」される。スピーカー13−100は背面パネル部13−508と、スピーカー13−100のフレーム13−102上のフランジ13−412の周辺部と重なる、内側に延在するリブ部13−520との間の、取り付けブラケット13−502の内部スペース13−516内に保持される。この構成では、取り付けブラケット13−502の内部スペース13−516の奥行きはスピーカー13−100の厚さにぴったりと適合して、取り付けブラケット13−502がスピーカー13−100を適切に固定するようにされている。オプションとして、スピーカー13−100を例えば取り付けブラケット13−502の背面部13−508に直接装着してもよい。さらに、接着剤を使用して、または接着剤によって接着されるVelcro(登録商標)のようなマジックテープ(登録商標)・ファスナを使用してもよい。このような構成をリブ13−518に加えて、またはその代わりに使用してもよい。
次に、この場合は例えばスピーカー格子である装飾部品13−538を取り付けブラケット13−502に取り付けてもよい。格子13−538は、取り付けブラケット13−502の周囲13−546に位置している雌のリセプタクル13−536を取り付けブラケット13−502のリブ13−618から外側に延びる対応する雄のリセプタクル13−536とインターロックさせることによって取り付けブラケット13−502に固定される。このように、取り付けブラケット13−502は見た目が美しいようなスピーカー13−504の仕上げ据付けを容易にする。
取り付けブラケット13−502を介したスピーカー13−100の据え付けは、取り付けブラケット13−502でスピーカー13−100を組み立て、アセンブリをファスナ13−530で取り付け位置13−506に据え付けることによって達成される。好適には、スピーカー13−100は取り付け位置13−506で取り付けブラケット13−502を据え付ける前に、取り付けブラケット13−502に装着される。しかしその代わりに、先ず取り付けブラケット13−502を取り付け位置13−506に据え付け、それに続いてスピーカー13−100を取り付けブラケット13−502と共に組み立ててもよい。
図13−6は本発明の取り付け装置13−600の別の実施形態を示す。この場合は、取り付け装置13−600内のコンポーネント数を最小限に抑えつつ、スピーカー13−100の取り付けを可能にする取り付けブラケットの機構を組み入れているのは(別個の
取り付けブラケットではなく)仕上げ装飾部品、もしくは格子13−638である。図示のように、格子13−638はこれを取り付け位置13−606に直接装着できるように1つ以上のフランジ(単数または複数)13−628を含んでいる。
格子13−638の2つ以上の側壁13−612の反対端の間近の位置にある2つ以上の側壁13−612には、格子13−638の内部の方向に突起した細長いフランジまたはリブ13−618が含まれている。細長いリブ13−618の構造によってスピーカー13−100をリブ13−618と格子13−638の前面13−650との間の、スピーカー13−100のフレーム13−102(例えばフランジ13−412)の周囲部の周りの格子13−638の内部スペース13−616内に保持することが可能になる。次に、取り付け位置13−606内のアパーチャ13−629と格子13−638のアパーチャ13−631との連係によるねじ山付きファスナ13−630によって格子13−638をフランジ(単数または複数)13−628における取り付け位置13−606に固定してもよい。この場合も、別個の取り付けブラケットの除去を達成可能であることによって、スピーカー13−100の簡単で、迅速、およびさらに経済的な据付けが可能になる。
図13−5および13−600に示されている取り付け装置13−500を参照すると、取り付け位置13−506,13−606がほぼ平坦な構造の表面であることが示されている。取り付け位置13−606は例えば自動車またはその他の乗物内の構造支柱またはその他のスペースを要する部分でよい。取り付け位置13−506,13−606にはアパーチャ13−529,13−629が含まれており、スピーカー13−100を取り付けるためにねじ山付きファスナ13−530、13−630と連係する。したがって、スピーカー13−100が車内の所望位置に正確に位置決めされることを確実にするため、アパーチャ13−529、13−629は取り付け位置13−506、13−606に配置される。
取り付け装置13−500、13−600は、据え付け後にコンポーネントが取り付け位置に確実に固定され、確実な取り付け状態を保持し、またスピーカー13−100が車内で体験する動作条件に耐えることを保証する強度を持ついずれかの適宜の材料から構成されればよい。さらに好適には、材料によって・・・可能になる。
取り付けブラケット13−502および格子13−538、13−638の企図される1つの製造方法は、例えばプラスチック射出成形などによってプラスチックから一体に成形されることにある。必要な構造上の特性と軽量のような付加的な所望の特徴の双方を有する、上記のような用途に使用できる適切な低コストの多様なプラスチック材料がある。
本発明の別の実施形態が図13−7および13−8に示されている。図13−7および13−8は動電型スピーカー13−100を取り付け位置13−706に対する固定された平行ではない向きで据え付けるための取り付け装置13−700を示している。取り付け装置13−700は、スピーカー13−700がリスニング環境で最適な性能を達成するために必要な、または好適であるような、取り付け位置に対する所望の、または所定の固定角度θでスピーカー13−100を取り付け位置13−706に取り付け、配向するように動作可能である。
取り付け装置13−700は(上記の図13−5に示された)取り付けブラケット13−502の構造上の特徴と類似する多くの特徴を共用する取り付けブラケット13−702を備えている。この点に関して、取り付けブラケット13−502および13−702の同様の機構には対応する参照番号を付してある。
取り付けブラケット13−702の反対端13−750、13−752には第1脚部13−754および第2脚部13−756が位置している。脚部13−754、13−756は各々、基本的に取り付けブラケット13−702から取り付け位置13−706の方向に延在している。脚部13−754、13−756は各々、取り付けブラケット13−702を取り付け位置13−706に固定できるようにするフランジ13−728で終端している。フランジ13−728は各々、取り付けブラケット13−702を取り付け位置13−706に固定するために、ねじ山付きファスナ13−730のような適宜のいずれかの固締装置を受けるように動作可能なアパーチャ13−731を有している。
図13−8に最も明解に示されているように、第1脚部13−754は長さL1を有し
、第2脚部13−756は長さL2を有している。長さL1、およびL2は互いに異なり、
第1脚部13−754(長さL1)は第2脚部13−756(長さL2)よりも長い。その結果、取り付けブラケット13−702が取り付け位置13−706に取り付けられると、スピーカー13−100は取り付け位置13−706に対して角度θの向きになる。第1脚部および第2脚部13−754,13−756の相対長さL1およびL2を変更することによって、取り付けブラケット13−702と共に組み立てられるスピーカー13−100は取り付け位置13−706に対して所望の任意の角度θで配置できる。一般に、角度θは約0°から約45°である場合が多いであろう。
スピーカーを角度θに配向することは、リスニング環境で所望のオーディオ効果、または性能を達成する上で重要または必要である。勿論、スピーカー13−100が取り付け位置13−706に対して角度を呈していないことが望ましい場合は(例えばスピーカー13−100が取り付け位置13−706と平行である)、第1および第2脚部13−754、13−756は同じ長さでもよい。すなわち、L1とL2は等しい。
スピーカー13−100を取り付けブラケット13−702と共に組み立てることは、取り付けブラケット13−500を参照して前述したように、取り付けブラケット13−702の前側から達成される。スピーカー13−100/取り付けブラケット13−70
2のアセンブリは次にファスナ13−730を介して取り付け位置13−706に固定してよい。ファスナ13−730はフランジ13−728内のアパーチャ13−731を通過し、アパーチャ13−729内の取り付け位置に装着される。勿論、取り付けブラケット13−702を取り付け位置13−706に固定するためにその他の適宜の固締方法または装着方法を利用してもよい。
図13−8に示すように、取り付け装置13−700は、取り付け位置13−806が組み立てられた取り付けブラケット13−702とスピーカー13−100を受けるのに適する形状とサイズの空洞13−858を備えている場合に特に適しており、使用できる。
取り付け位置13−806は外部取り付け面13−860、内部取り付け面13−862、および内部取り付け面13−862と外部取り付け面13−860との間の距離にわたる複数の内部側壁13−864を含んでいる。外部取り付け面13−860、内部取り付け面13−862、および内部側壁13−864は組み合わせて空洞13−858を形成し、これはスピーカー13−100および取り付け装置13−700のためのスペース、すなわちスピーカー13−100と取り付け装置13−700とによって占められる三次元位置の必要性を満たす役割を果たす。
取り付け位置13−806はたとえば、自動車またはその他の乗物の客室内でよい。これに関連して、取り付け位置はドア・パネルの一部、ヘッドライナ、座席ユニット、天井または床置きキャビネット、構造支柱、インテリア・装飾・パネル、ダッシュボード、計
器クラスタなどでよい。その結果、空洞13−858の奥行き(例えば内部側壁13−864の長さ)は1インチから2インチ(25mm−50mm)の間程度の短さでよい。
スピーカー13−100用の防護カバーを備え、取り付け位置13−806での見栄えのよさを作り出すため、取り付け位置13−806の外部取り付け面13−860に装飾部品13−866を装着してもよい。図13−8に示されているように、装飾部品13−866は例えば、スピーカー格子を備えていてもよい。格子13−866は本明細書で前述したものを含む多様な方法のいずれかによって、外部取り付け面13−860に固定してもよい。図13−8および13−17は外部取り付け面13−860への格子13−866の「スナップ嵌め」連結を示している。行使13−866上の複数の雄の突起部13−868が、外部取り付け面13−860に位置する対応する数の雌のリセプタクル、すなわちスロット13−870とインターロックする。複数の雄の突起部13−868と雌のリセプタクル13−870は格子13−866と空洞13−858の周辺にそれぞれ位置している。
本発明のさらに別の実施形態が図13−9に示されている。取り付け装置13−900は図13−9では、図13−7および13−8に示されていると同様の取り付けブラケット13−902を備えているものとして図示されており、したがって取り付けブラケット13−902の同様の機構には対応する参照番号を付してある。
取り付けブラケット13−902と上記の取り付けブラケット13−702の相違は、取り付け装置によって、スピーカーを取り付けブラケット13−902の側面から「すべり嵌め」を介して取り付けブラケット13−902と共に組み立てることが可能であるということである。これに関連して、側壁13−912は取り付けブラケット13−902の3つの側面だけから背面パネル部13−908から延在している。その結果、取り付けブラケット13−902は開放端13−971の状態に留められる。
次に、スピーカー13−100を取り付けブラケット13−902と共に組み立てるには、スピーカー13−100を矢印Bの方向に内部スペース13−916内に滑らせるだ
けでよい。スピーカー13−100は取り付けブラケット13−902の内部スペース13−916内の、背面パネル部908と内側に延在するリブ13−918およびスピーカー13−100のフレーム13−102上のフランジ13−412の周辺部と重なるリブ部13−920との間に保持される。
図13−10および13−11は本発明の取り付け装置13−1000のさらに追加の実施形態を示している。取り付け装置13−1000も図13−7および13−8に示された取り付け装置13−700と同様である。これまでと同様に、図面中の同様の参照番号は取り付け装置の同様の機構および/または特徴を特定するものである。
取り付け装置13−1000によって、スピーカー13−100を、図13−11の矢印CおよびDによって示されるように、取り付けブラケット13−1002の前面と背面のどちらからも取り付けブラケット13−1002と共に組み立てることができる。図示のように、取り付けブラケット13−1002には前述の他の取り付けブラケット13−502、13−702、13−902に含まれていた背面パネル部がない。その代わりに、取り付けブラケット13−1002は側壁13−1012から内側に延び、リブ13−1018から偏移している付加的なリブ13−1072を含んでいる。リブ13−1018および12−1072は一般に互いに平行であり、スピーカー13−100のフレーム13−102上のフランジ13−412の厚さとほぼ等しい距離だけ離れている。
リブ13−1018と13−1072はそれぞれ共に、スピーカー13−100が取り
付けブラケット13−1002と「スナップ嵌め」のために通過できる取り付けブラケット13−1002内のアパーチャ13−1074、13−1076を形成する。前述の組み立て方法と同様に、スピーカー13−100はスピーカー13−100のフレーム13−102上のフランジ13−412の周辺部と重なる内側に延在するリブ13−1018、13−1072によって取り付けブラケット13−1002内に保持される。しかし、この実施形態では、取り付けブラケット13−1002はフランジ13−412をスピーカー13−100のフレーム13−102上でしか保持せず、一方、残りのフレーム13−102は取り付けブラケット13−1002の背面で露出される。
本発明のさらに別の実施形態が図13−12から13−20で取り付け装置13−1200内に示されている。取り付け装置13−1200は動電型スピーカー13−100を取り付けるように動作可能であり、取り付け位置13−806に対するスピーカーの調整可能な可変角度の配向がなされる。図13−12、13−13、13−14、および13−16に最も明解に示されるように、取り付け装置13−1200は一般に取り付けブラケット13−1402、装飾カバーまたは格子13−1266、およびガイド・ブラケット、もしくはスライド13−600を含んでいる。
図13−14は取り付け装置13−1200と共に使用される取り付けブラケット13−1402を示している。取り付けブラケット13−1402は「リビング・ヒンジ」13−1411によって下部支持部または第2パネル部13−1409に結合されるほぼ平坦な第1パネル部13−1408を含んでいる。ヒンジ13−1411は第1パネル部13−1408と第2パネル部13−1409との間の取り付けブラケット13−1402内に一体に形成されたV形溝13−1413を備えている。ヒンジ13−1411によっ
て第1パネル部13−1408と第2パネル部13−1409とは角度ψだけ互いに枢動することができる。図13−12および13−13に示されているように、角度ψは約120°と約145°との間の最大値を有していてもよい。勿論、ヒンジ13−1411は第1パネル部13−1408と第2パネル部13−1409との相対的な向きの所望の任意の角度範囲に適応するように設計できる。
側壁13−1412は取り付けブラケット13−1402の第1のパネル部分13−1408の3面からほぼ直交して延在し、第1パネル部分の外側の境界と内部スペース13−1416とを形成している。オプションとして、例えば取り付けブラケット13−1402のコストおよび/または重さを低減し、または必要に応じて取り付けブラケット13
−1402を貫く気道を備えるために、(図13−5および13−7に示したような)複数のアパーチャを含んでいてもよい。
側壁13−1412から内側に、取り付けブラケット13−1402の内部スペース13−1416の方向にフランジまたはリブ13−1418が延在している。リブ13−1418は一般に第1パネル部分13−1408と平行に、またそれからスピーカーの厚さとほぼ同じ距離だけ偏倚した平面に位置している。リブ13−1418の一部13−1420は側壁13−1412からさらに内側に延在している。
図13−9に示された本発明の実施形態に関して上に記載したと同様に、第1パネル部分13−1408の側壁13−1412は第1パネル部分13−1408の3面だけから延びているので、取り付けブラケット13−1402は開放端13−1471を含んでいる。そこで、開放端13−1471によって取り付けブラケット13−1402は「すべり嵌め」アセンブリによって内部スペース13−1416にスピーカー13−100を受けることができる。スピーカー13−100は好適には、取り付けブラケット13−1402を取り付け位置13−806に据え付ける前に取り付けブラケット13−1402に装着される。
図13−14および13−15を参照すると、取り付けブラケット13−1402はさらに側壁13−1412から延びている細長いアーム13−1415を含んでいる。アーム13−1415は図13−13および13−14に最も明解に示されるように、ヒンジ13−1411と反対側の側壁13−1412上の位置にある。アーム13−1415は、アーム13−1415の周囲を囲むV形溝13−1513によってアーム13−141
5と側壁13−1412との間の取り付けブラケット13−1402内に一体に形成された「リビング・ヒンジ」13−1511によって一端が側壁13−1412に枢支されている。好適な実施形態では、アーム13−1415は側壁13−1412に対して全方向で少なくとも90°だけヒンジ13−1511を支点に枢動可能である。ヒンジ13−1511の反対側のアーム13−1415の端部にはハンドル部13−1517がある。ハンドル部13−1517は図13−15に見られるように、アーム13−1415の縦の長さに対して横向きにT形構造に延在している。
第2パネル部分13−1409は第2パネル部分の底面13−1421から突起した複数のファスナ13−1419を含んでいる。ファスナ13−1419は取り付け位置806で対応するアパーチャ13−829内に受けられるように設計された「クリスマスツリー」式の雄の突起部であることが示されている。ファスナ13−1419は後にさらに記載するように、取り付け位置13−806で取り付けブラケット13−1402を固定する役割を果たす。あるいは、取り付けブラケット13−1402を取り付け位置13−806に固定するために、例えばねじ山付きファスナ、マジックテープ(登録商標)・ファスナ、または接着剤のような他のいずれかの適当な固定手段を使用してもよい。
さらに、第2パネル部分13−1409は中実のパネルとして示されているが、これはアパーチャ、または複数のアパーチャを含んでいてもよい。あるいは、第2パネル部分13−1409は単に骨組みのフレーム構造を備えているだけでもよい。このような修正は取り付けブラケット13−1402の重さまたはコストを軽減する役割を果たし得る。
取り付けブラケット13−1402は一体構造として示されている。取り付けブラケット13−1402はプラスチックから一体に鋳造されることが企図されている。しかし、特に板金打ち抜き加工を含むその他の公知の材料および製造技術も取り付けブラケット13−1402を製造するために利用可能であろう。
スピーカー13−100用の防護カバーを備え、取り付け位置13−806に据え付けるために見栄えのよい外見を作成するために、取り付け装置13−1200にはスピーカー格子13−1266も含まれる。
格子13−1266は一般に装置13−1200用の平坦な前面パネルを形成する。格子13−1266は格子13−1266の片側に偏倚した狭い、垂直に延在するスロット13−1269を含んでいる。図13−12に最も明解に示されるように、スロット13−1269はスロット13−1269の対向する側壁13−1272から張り出した一群の突起部13−1270を含むように形成されている。突起部13−1270は、以下により詳細に記載するように、スロット13−1269の長さに沿って確実な停止位置13−1271を作成する水平向きの対として構成されている。
格子13−1266はさらに、格子の周囲に配置された複数の雄の突起部13−1268をも含んでいる。対応する複数の雌のリセプタクル13−870が取り付け位置13−806の外部取り付け面13−860内に位置している。格子13−1266を前述の態様で取り付け位置に装着するために、雄の突起部13−1268が雌のリセプタクル13−870内に受けられる。
格子13−1266の前面からスロット13−1268内にガイド・ブラケット、またはスライド13−1600が受けられる。図13−16、13−18、および13−19に最も明解に示されているように、スライド13−1600は前面13−1804と背面13−1806とを有する長方形の底部13−1602を含んでいる。アパーチャ13−1608はスライド13−1600の中心部を通過する。底部13−1602の中心の近傍の、アパーチャ13−1608の反対側には半球形の2つの溝13−1811が位置している。溝13−1811の形状は各々、取り付けブラケット13−1402のアーム13−1415のハンドル部13−1517の形状とほぼ適合している。
一対の脚部13−1810が底部13−1602の背面13−1806から外側に、これと直交して延びている(図13−18および13−19を参照)。各脚部13−1810の端部には、スライド13−1600が格子13−1266の背面13−1814内に「スナップ嵌め」され、これと嵌合できるようにする「クリスマスツリー」式の突起部13−1812が含まれている。
格子13−1266とスライド13−1600の双方とも各々プラスチックから成形されてよい。
取り付け装置13−1200を据え付ける好適な方法では、スピーカー13−100はこれを第1のパネル部分13−1408の内部スペース13−1416内にスライドさせることによって取り付けブラケット13−1402と共に事前組み立てされる。次に、取り付け位置13−806の内部側壁13−864内のアパーチャ13−1365内に受けられ、保持される第2パネル部分13−1409上のファスナ13−1419によって、スピーカー100/取り付けブラケット13−1402のアセンブリを取り付け位置13
−806の空洞13−858内に据付けてもよい。空洞13−858内に一旦据付けられると、第2パネル部分13−1409は取り付け位置13−806に固定的に保持され、一方、第1パネル部分13−1408は自由にヒンジ13−1411を支点に枢動できる。
格子13−1266およびスライド13−1600も事前組み立てされる。これに関連して、スライド13−1600の脚部13−1810は格子13−1266の前面13−1816からスロット13−1268を通過して、脚部13−1810がスロット13−1268内に「スナップ嵌め」され、講師13−1266の背面13−1814に嵌合する突起部13−1812によってそこに保持される。格子13−1266と共に一旦組み立てられると、スライド13−1600はすとっと13−1268内を、またこれに沿って自由に移動できる。
格子13−1266/スライド13−1600のアセンブリは次に取り付け位置13−
806に据付けられる。しかし、格子13−1266の雄の突起部13−1268を外部取り付け面23−860内の雌のリセプタクル13−870内に挿入する前に、アーム13−1415が格子13−1266のスロット13−1268およびスライド13−1600のアパーチャ13−1608の双方を通過せしめられる。このステップを達成するためには、格子13−1266/および/またはアーム13−1415の向きを操作する必要がある。アーム13−1415が格子13−1266/スライド13−1600のアセン
ブリを一旦通過すると、図13−6に最も明解に示されているように、アーム13−1415のハンドル部13−1517はスライド13−1600の溝13−1811内に置かれる。ハンドル部13−1517と溝13−1811との相対的回転運動を同時に可能にしつつ、ハンドル部13−1517を溝13−1811に保持するために「スナップ嵌め」を利用してもよい。
最後に、格子13−1266は必要に応じた向きを変え、雄の突起部13−1268と雌のリセプタクル13−870とによって取り付け一13−806に装着してもよい。そこで取り付け装置13−1200の据付が完了する。
一旦据付けがなされると、スピーカー13−100の角度の向きをスライド13−1600で制御できる。具体的には、図13−12、および13−13に示されるように、スロット13−1268内のスライド13−1600の位置が、取り付け位置13−806につぃするスピーカー13−100の角度を決定する。
スライド13−1600がスロット13−1268内の1つの停止位置13−1271から隣接する停止位置13−1271に進行すると、スライド13−1600の脚部13−1810は突起部13−1270と接触し、接合する。図13−19に示されているように、脚部13−1810が内側に撓み、それによって突起部13−1270を乗り越えることができれば、スライド13−1600の継続した進行が達成される。スライド13−1600が隣接する停止位置13−1271に移動すると、脚部13−1810は撓まない状態に戻る。
図13−13を再度参照すると、スライド13−1600の垂直移動によってスピーカー13−100の角度の向きが変化する。図示のように、スライド13−1600が矢印Xの方向に下方に移動すると、取り付けブラケット13−1402のアーム13−141
5上のハンドル13−1517はスライド13−1600と共に移動し、アーム13−1415を矢印Yの方向に回転させる。アーム13−1415が回転すると、第1パネル部
分13−1408が矢印Zの方向に引かれ、ヒンジ13−1411を支点に枢動し、第1
パネル部分1408と第2パネル部分13−1409との間に含まれる角度が縮小する。反対方向へのスライド13−1600の垂直移動は逆の効果を示し、第1パネル部分1408と第2パネル部分13−1409との間に含まれる角度が拡大する。
スライド13−1600の位置は例えばユーザーによっていずれか1つの停止位置13−1271で手動的に設定されることができ、それによってスピーカーの配向角度が調整される。あるいは、スライドの位置を電子的に、または電気機械的に制御してもよく、また例えば個人的な座席とミラーの位置決めの制御のような自動車内で一般に利用できるメモリ位置決め装置と関連付けることさえできる。
本発明の取り付け装置13−2000のさらに追加の実施形態が図13−20から13−22に示されている。図13−20は全体としてスピーカー13−2001、取り付けブラケット13−2002、および装飾部品13−2066を含む取り付け装置13−2000を図示している。取り付け装置13−2000は取り付け位置13−2006に据え付けられていることが示されている。図13−22は本明細書で前述したように、取り付け位置13−806に据え付けられている取り付け装置13−2000を示している。概して、取り付け装置13−2000は、6自由度を備え、スピーカー13−2001を取り付け位置13−2006、13−806のx軸、y軸およびz軸を支点に可変的に配向
できるボール・ソケット型構造を備えている。
スピーカー13−100のコンポーネントおよび機構に加えて、スピーカー13−2001はさらにボール部品13−2003を含んでいる。ボール13−2003は球形の雄のヘッド部13−2005と、ヘッド部13−2005およびスピーカー13−2001に近接して位置しているネック部13−2007とを備えている。ネック部13−2007はボール13−2003をスピーカー13−2001に装着する装着点として機能し、またヘッド部13−2005をスピーカー13−2001のフレーム13−2009から
短い距離だけ偏倚させる役割を果たす。
ボール部品13−2003はスピーカー13−2001のフレーム13−2009の一部として一体に形成してもよく、またはスピーカー13−2001のフレーム13−2009に装着される別個の部品として形成されてもよい。別個の部品の場合は、ボール13−2003の部品は例えば接着剤またはねじによってスピーカー13−2001に装着すればよい。ボール部品13−2003はプラスチックから鋳造されることが企図されるが、他の適宜の製造材料および方法を使用してもよい。
取り付けブラケット13−2002はベース13−2011、複数のフランジ13−2028、複数の支持脚部13−2013、およびソケット部品13−2015を有するフレームワークを備えているものとして示されている。ベース13−2011は取り付けブラケット13−2002を取り付け位置13−2006で支持する。複数のフランジ13−2028はベース13−2011から延在し、例えばねじ山付きファスナ13−2030、またはその他の公知の、または本明細書に記載の手段を介して、取り付けブラケット13−2002を取り付け位置13−2006に固定できる位置を供給する。フランジ13−2028はさらに、取り付け位置で表面により良好に適合するように、例えば曲折または捻回によってフランジ13−2028の位置および/または向きを操作できるように
するネック部13−2032も含んでいてよい。勿論、フランジ13−2028の個数と位置はスピーカー13−2001、または取り付けられるその他の装置のサイズ、形状、および重さ、および動作条件、または取り付け位置2006で利用できるスペースのような取り付け装置13−2000の要求基準によって決定されればよい。
複数の支持脚部2013はベース13−2011からソケット部品13−2015まで上方に突出している。ソケット部品13−2015はフレームワークのほぼ中心で、ベース13−2011から偏倚した位置に支持脚部13−2013によって支持されている。ソケット部品13−2015はボール部品13−2003のヘッド部13−2005の直径と厳密に一致する直径を有する球形の雌のリセプタクル部13−2017を備えている。
スピーカー13−2001および取り付けブラケット13−2002は、スピーカー13−2001上のボール部品13−2003のヘッド部13−2005をソケット部品13−2015のリセプタクル13−2017内に挿入することによって組み立てられる。このような組み立てはソケット13−2015へのボール13−2003のスナップ嵌めを含む幾つかの公知の方法のいずれかによって達成できる。スピーカー13−2001を取り付けブラケット13−2002と共に組み立てることは、取り付けブラケット13−2002を取り付け位置13−2006に固定する前でも後でもよい。
図13−22に示されているように、スピーカーは一旦組み立てられると、取り付けブラケット13−2002に対してどの方向にも回転および/または枢転可能である。さら
に、リセプタクル13−2017および/またはヘッド部13−2005のそれぞれの表
面は、リセプタクル13−2017とヘッド部13−2005との摩擦度を高める適宜の材料から形成され、それによって被覆され、または処理されてもよい。このようにして、スピーカー13−2001は単に摩擦によって任意の特定の向きに固定的に保持されることができる。
取り付けブラケット2002は図13−21ではほぼ長方形の形状であることが示されている。勿論、取り付けブラケット13−2002は取り付けられる特定の装置、または取り付け一13−2006で利用できるスペースに順応するのに適した任意のサイズ、形状、または構造のものでもよい。同様に、前述の通り、取り付けブラケット13−200
2は一体構造であることが示されており、プラスチックから一体に鋳造されることが企図されている。
前述の本発明の他の実施形態と同様に、据付け用の防護カバーおよび見栄えがする外見の双方を備えるために、装飾部品13−2066の周囲から延びる雄の突起部13−2034を取り付け位置13−2006にある雌のリセプタクル13−2036内にインターロックさせることによって、装飾部品13−2066を取り付け位置13−2006に装着してもよい。図13−22に示すように、格子13−866も同様に取り付け位置13−806に装着される。
図14−6から14−10は磁性ワイヤ14−602を薄膜14−604に装着することによる導体14−600の形成を示している。磁性ワイヤからなる導体14−600は蛇紋状に配列され、接着剤によって薄膜14−604に貼付されてもよい。図14−1から14−5を参照して前述した動電型スピーカーの場合と同様に、動電型スピーカー14−606は前述のように複数の磁石14−610を取り付けたフレーム14−1を含んでいる。薄膜14−604は接着剤14−612によってフレーム14−608に装着されている。
図14−8から14−10には、図14−8および14−9に示されているように磁性ワイヤ14−602が周囲に蛇紋上に巻回されている複数のリセプタクル・スピンドル14−802を有する取り付け具14−800を含む、蛇紋構造の磁性ワイヤ14−602の形成方法が示されている。取り付け具14−800は上部プレート14−900と、スピンドル14−802が固定的に連結された引っ込み可能なプレート14−902とを含んでいる。スピンドル14−802は上部プレート14−900に備えられたアパーチャを通過する。磁性ワイヤ14−602がスピンドル14−802の周囲に巻回された後、取り付け具14−800が薄膜材料の近傍に配置され、引っ込み可能なプレート14−902は上部プレート14−900から離れて移動し、スピンドル14−802を引っ込ませる。延長が磁性ワイヤ14−602の直径未満である地点までスピンドル14−802が引っ込められると、磁性ワイヤ14−602は薄膜材料と接触する。好適な実施形態では、磁性ワイヤ14−602にはこれを蛇紋構成で薄膜材料に固着させる接着剤が被覆される。オプションとして、接着剤をより迅速に硬化させるために磁性ワイヤに塗布される接着剤の硬化工程をスピードアップするため、薄膜材料に光線を照射することができる。接着剤に硬化のための適宜の時間が与えられた後、スピンドル14−802は完全に引っ込むので、スピンドルは磁性ワイヤ14−602から解放される。スピンドル14−802と磁性ワイヤ14−602との摩擦を低減するため、スピンドル14−802を自己潤滑材料から形成してもよく、または高度に研磨されてもよく、または双方でもよい。加えて、磁性ワイヤ14−602に塗布された接着剤との固着を防止するために、スピンドル14−802に化学処理を施してもよい。導体14−600は薄膜が動電型スピーカーのフレーム14−102に取り付けられる前でもその後でも薄膜14−400に貼付できる。
図14−11および14−12では、動電型スピーカー14−1100にはリボン形ワイヤ14−1104によって形成された導体14−1102が備えられ、前記リボン形ワイヤには2つの狭い側辺14−1200、14−1202、および比較的広い一対の正面14−1204、14−1206が備えられている。リボン形導体は好適にはフレーム14−1210の上部装着面14−1208の下に延在している。リボン形導体をフレーム14−1210の上部装着面14−1208の下に懸架させることによって、導体14−1102は磁石14−1212の方向に延びるので、磁石14−1212によって発生される磁界線にさらに接近する。リボン形導体14−1102は接着剤14−1214によって薄膜14−1106に装着され、前述のワイヤ導体14−600と同様に形成可能で
ある。言い換えると、リボン形ワイヤ14−1104は図14−8から14−10に開示されているように取り付け具の周囲に巻き付けられ(図14−12から14−10はリボン形ワイヤ14−1104を示している)、前述したと同様の態様で薄膜14−1102に貼付される。リボン形導体14−1102を磁界のさらに近傍に配することによって磁界線の強度が増すので、より強度が低い磁石14−1212を使用できるようになり、その結果、動電型スピーカー14−1100の製造コストが節減される。あるいは、リボン形導体を磁界のさらに近傍に配してより強い磁束密度を利用することによって、性能を増強することが可能である。
図14−17では、オプションとして磁界線を導体14−1102に対する好適な方向に集束するため、磁石14−1212の上面にキャップ部材14−1700を備えることができる。キャップ部材はリボン形導体14−1102と組み合わせて示されているが、所望の磁界を供給するためにキャップ部材14−1700の形状とサイズは変更可能である。図14−18に示すように、より小さいキャップ14−1800によって異なる構造の導体と共に使用される異なる形状の磁界が可能になる。キャップ部材14−1700、14−1800は好適には鉄材料からなり、磁石14−1212の上表面上に接着または その他の方法で保持される。
図14−13は振動板14−1302内に形成されたチャネル14−1304を有し、かつ角度を呈して配置されたチャネル14−1304の対向面14−1310、14―1312上に配置された導体14−1308の電気トレース14−1306を有する動電型スピーカー14−1300を示している。チャネル14−1304によってトレース14−1306はフレーム14−1316の上部装着面14−1314の下に懸架されることができるので、トレース14−1306を磁石14−1318によって発生される、強度がより高い磁界線内に配置することができる。チャネル14−1304を形成するための適宜の剛性を備えるために、薄膜14−1302は好適には2−5millsの厚さを有して
いる。薄膜部材14−1302を図14−13に示した構造へと持久的に変形するように、チャネル14−1304は、一方のダイ部材にはチャネル形の突起部を備え、他方のダイ部材にはチャネル形の溝を備えた上下のダイ部材を備えている加熱鋳型内に薄膜14−1302を入れることによって形成される。薄膜14−1302は導体14−1308が薄膜に貼付される前に変形されても、その後で変形されてもよい。導体トレース14−1306を密度がより高い磁界線内に配置することができることによって、動電型スピーカーに一般に必要である磁石よりも弱い磁石を使用し易くなる。したがって、強度が低減された磁石14−1318は動電型スピーカー14−1300がより安価になることに寄与する。
図14−14は動電型スピーカーの薄膜上の導体を形成する代替方法のフローチャートを示す。ステップ14−1400で、アルミニウム・フォイル層が接着剤を使用して薄膜に貼付される。ステップ14−1401で、導体のトレースを形成するためにレーザーを利用して薄膜の表面からアルミニウムがエッチングで除去される。レーザー・エッチング工程中、レーザー・エッチング工程によって発生される熱による薄膜材料への損傷を防止するためにこれを冷却するため、薄膜材料に冷却液を噴霧することができる。この種類のレーザーは現在、プリント基板でバイアを穿孔するために使用されているが、薄層から導電性材料を除去するためには使用されてこなかった。
図14−15および14−16は平坦なトレース14−1600を形成するために導体がアルミニウム・フォイルからレーザー・カットされる、代替の導体形成方法を示している。ステップ14−1501で、導体トレース14−1600は薄膜14−1602に貼付される。レーザー・カット前に接着剤がアルミニウム・フォイルの表面に塗布され、接着剤をより迅速に硬化させるために、選択された光線帯域が薄膜材料14−1602を透過することによって接着剤を硬化させる。
図14−19は電子放電加工(EDM)工程を利用して、薄膜上に導電体を形成する方法
を示す。薄膜14−1900にはフォイル層と、所望の形状の導電体内に空隙14−1904(図14−9ではプレート14−1902の下側に幻想線で示されている)を設けた面構造を有する電極板14−1902とが備えられている。電極板14−1902は薄膜14−1900上のフォイル層の間近に置かれ、公知の「焼成」工程を介して、電極板からアークが発生され、残りのフォイルが、図14−19に示すように導電体14−1906の所望の形状である空隙14−1904の形状になるようにフォイル材料を「焼き落とし」、またはその他の態様で除去する。電子放電加工工程は、誘電体、すなわち絶縁媒体である加工液内に浸漬された電極および加工物で実施される。2つの部品間にスパークを発生するために、ギャップの放電破壊電圧よりも高い電圧が印加される。この破壊電圧は最も近接するポイントでの2つの電極の間隔、誘電磁界、およびギャップ内の汚染レベルによって左右される。
電界強度が最高であるギャップのポイントで、放電が開始され、それは次に下記のように展開する。
電界の効果で、正の自由イオンおよび電子が加速され、高い速度を獲得し、それらは極めて迅速に導電性のイオン化チャネルを形成する。
この段階で、電流はチャネルを導通可能である。電極の間でスパークが開始され、プラズマが生成される。これは極めて急激に高温に達し、荷電粒子の強い衝撃の作用で膨張し、双方の導体の表面で材料の瞬時の局部的溶解を生ずる。
同時に、電極および誘電液の蒸発により、気泡が膨張し、その圧力が上昇する。電流が遮断された瞬間に、気泡は温度の急激な低下によって急激に縮小し、動的力が発生する結果、クレータから溶解した材料が噴出する。この溶解した材料は小さい球として誘電液内で再固化し、洗い流される。
図14−20は薄膜上に導電体を形成する方法を示す。工程中、アルミニウムのようなフォイルが薄膜14−2000に貼付される。所望の形状の導体内のマスク14−2002がフォイルに貼付される。次に研磨除去工程を利用してマスキングされていない領域が除去される。好適には、薄膜14−2000上にマスキングされた導体の形状のフォイルを残しておくため、マスキングされないフォイル面を研磨で除去するための研磨用スラリと共にウオータージェット装置14−2004を使用することができる。マスキングされない領域からフォイルを研磨除去するために他の公知の研磨および磨削式の工程も使用できる。
ここで、スピーカー100を組み立てるための様々なシステムを記載する。システムの第1の例は図15−5から15−17に示されている。第1のシステムは真空プラテン15−600(図15−6から15−7)および 薄膜クランプ15−800(図15−8から15−9)を含んでいる。真空プラテン15−600および薄膜クランプ15−800は張力なしの平坦位置に振動板15−104(図15−5)を保持するために互いに連係して使用されてもよい。振動板15−104がクランプ15−800内に固定された後で、後述するように、引き続いて薄膜15−400を引っ張ってもよい。
振動板15−104を最初に平坦化および固締することで、張力を加えてもよい既知の振動板状態を組み立て者にもたらしてもよい。振動板15−104が最初にほぼ平坦な、引っ張られない状態に置かれないと、その後の組み立て動作中に再現性のある張力を得ようとする試みに困難を伴うことがある。この第1の例のシステムは反復性がある振動板状
態を達成するために、真空プラテン15−600および薄膜クランプ15−800を含んでいる。別の例では、張力を加えてもよい既知の振動板状態を備えることができるいずれかの他の機構(単数または複数)および/または技術を利用してもよい。
真空プラテン15−600の例はボデー15−702、およびボデー15−702の第1の表面15−602から突起したペデスタル15−704を有するベース15−700を含んでいる。ペデスタル15−704は第1の表面15−602とほぼ平行に位置する上面15−706を含んでいる。上面15−706を真空源15−604と連結するために、真空通路15−708がペデスタル15−704とボデー15−702とを貫いて延在していてもよい。上面15−706に沿ってキャップ15−710をペデスタル15−704に連結してもよい。キャップ15−710は有孔アルミニウムのような通気性材料から構成されてものでよい。ベース15−700は気密性材料から構成されてものでよい。したがって、真空源15−604が真空通路15−708内に真空を引き込むと、キャップ15−710の上面15−606に沿って吸引力が生成される。
薄膜クランプ15−800の例はヒンジ15−806によって連結されたクランプ上半部15−802とクランプ下半部15−804とを含んでいる。図示したクランプ上半部15−802はほぼ長方形のボデー15−808と弾性ガスケット15−810とを含んでいる。ボデー15−808はこれを貫いて延在するアパーチャ15−900(図15−9)を含んでいる。弾性ガスケット15−810はガスケット15−810の厚みを貫いて延在する同様の形状のアパーチャ15−902(図15−9)を含んでいる。振動板15−104と係合するための圧縮可能な高摩擦表面15−812を備えるために、弾性ガスケット15−810をボデー15−808に装着してもよい。
図示したクランプ下半部15−804は、クランプ下半部15−804を貫いて延在するアパーチャ15−904を有するほぼ長方形のアルミニウム・フレーム15−814から構成されている。クランプ下半部15−804は上表面15−906と下表面15−908とを含んでいる。
スピーカーの組み立て工程中、図15−9に示すようにペデスタル15−704がクランプ下半部15−804のアパーチャ15−904に入るように、薄膜クランプ15−800を真空プラテン15−600上に配置すればよい。クランプ下半部15−804の上表面15−906は着座されると、キャップ15−710の上表面15−606とほぼ同一面上にあるようにしてもよい。振動板15−104を適切に位置決めするため、薄膜クランプ15−800が図15−8に示した開放位置に位置するようにクランプ上半部15−802を回転させてもよい。
真空源15−604を遮断して、振動板15−104を上表面15−606上に配置すればよい。振動板15−104は照準15−816を利用してクランプ下半部15−804に対して位置合わせすればよい。照準15−816は視覚的マーク、ロッド、リング、ノッチ、または位置合わせ手順を補助するために振動板15−104上に形成される他のいずれかの形態の位置合わせ機構でよい。照準15−816の位置は振動板15−104の周辺部15−818と中心部15−820とを効果的に画成する。中心部15−820は組み立て工程の完了実施形態にフレーム15−102に連結された状態に留まる材料の全てではないにせよ大部分を含んでいてもよい。
振動板15−104が適正に配置された後は、真空源15−604を介してキャップ15−710に真空を供給してもよい。キャップ15−710は通気性材料から構成されているので、振動板15−104は平坦な上表面15−606によく合致するように強制される。真空源が保持されている間、図15−10および15−11に示すように、薄膜ク
ランプ15−800を閉鎖位置に配置するため、クランプ上半部15−802を回転させてもよい。クランプの閉鎖中、振動板15−104の厚みを考慮に入れるために弾性ガスケット15−810は局部的に変形してもよい。ラッチ15−822はクランプ上半部15−802をクランプ下半部15−804に固定する。ラッチ15−822はクランプ半部を互いに連結する装置の例であるに過ぎず、何個の固締装置を実装してもよいことを理解されたい。クランプ上半部15−802がクランプ下半部15−804に固締されてしまうと真空が遮断され、振動板15−104を引っ張られない状態に保つ薄膜クランプが真空プラテン15−600から取り外される。
フレーム15−102はアセンブリ取り付け具15−1200(15−12および15−13)に取り付ければよい。アセンブリ取り付け具15−1200は真空プラテン15−600とほぼ同様の形状のものでよい。しかし、アセンブリ取り付け具15−1200はフレーム15−102の一部を受けるための溝15−1300を含んでいてもよい。アセンブリ取り付け具15−1200はフレーム15−102の平坦な取り付け面15−408から所定距離15−1304だけ偏倚したゲージ面15−1302を含んでいる。振動板15−104に張力を加えるため、距離15−1304はクランプ下半部15−804の厚さよりも長い。発生される張力の大きさは、フレーム15−102および振動板15−104の物理特性と連係して距離15−1304を規定することによって最適化される。
振動板15−104はフレーム15−102と機械的に連結されてもよい。例えば、フレーム15−102の平坦な取り付け面15−408に接着剤15−406を塗布してもよい。あるいは接着剤15−406を振動板15−104に塗布してもよい。接着剤15−406を塗布した後、フレーム15−102がクランプ下半部15−804のアパーチャ15−904に入るように(図15−14および15−15)、固締された振動板15−104を含む薄膜クランプ15−800をアセンブリ取り付け具15−1200上に配置してもよい。振動板15−104は接着剤15−406およびフレーム15−102の平坦な取り付け面15−408に接触してもよい。接触はクランプ下半部15−804の下表面15−908がアセンブリ取り付け具15−1200のゲージ面15−1302に接触する前に行われてもよい。薄膜15−400内に所望の張力を生成するため、薄膜クランプ15−800はアセンブリ取り付け具15−1200の上方へと押し下げられることで、下表面15−908がゲージ面15−1302に係合する。
使用される接着剤の種類に応じて、後続の工程が必要であることがある。例えば、接着剤15−406を放射線に曝すことによって硬化させることができる。したがって、薄膜クランプ15−800がアセンブリ取り付け具15−1200に連結されている間に、接着剤を硬化させ、振動板15−104をフレーム15−102に固着するために放射線源15−1500が付勢される。あるいは、他のいずれかの機械的連結機構が使用される場合は、適宜の工程を実行する必要があることがある。
スピーカー15−100の振動板15−104を引っ張るために使用される第2のシステムの例を図15−16および15−17を参照して記載する。このシステムでは、フレーム15−102は下方に延在するリップを含まない、径方向に延在する細長いフランジ15−1600を含んでいる。残りのプレーナ・スピーカー・コンポーネントは前述したものとほぼ同類である。組み立て工程には前述のように、振動板15−104をほぼ平坦な、引っ張らない状態で位置決めすることを含めてもよい。しかし、このシステムによってプレーナ・スピーカーを構成するために、平坦化および固締ステップは必ずしも必要ではないことを理解されたい。同様に、記載される代替の引っ張り方法は平坦化および固締工程を含めることに限定されるものではない。
接着剤15−406のビードをフレーム15−102および振動板15−104の一方または双方の周囲に沿って塗布してもよい。次に振動板15−104をフレーム15−102と位置合わせし、接着剤15−406を介して結合してもよい。前述のように、接着剤15−406は光線で硬化可能な材料、または異質な材料を互いに固着するその他のいずれかの適当なボンドでもよい。同様に、接着剤15−406は振動板15−104をフレーム15−102に機械的に結合するその他のいずれかの結合機構でもよい。
半方向に延在するフランジ15−1600は振動板15−104を引っ張るために、図15−17に示すように線15−1700から下方に外周領域を曲折することによって機械的に変形させてもよい。線15−1700は振動板15−104がそれを基点に引っ張られるフレーム15−102の周囲の支点として機能する。振動板の適切な張力は多様な方法で得られる。例えば、振動板15−104が最初にほぼ平坦な、引っ張られない状態でフレーム15−102に結合された場合は、撓み距離15−1702をテストによって経験的に決定してもよい。適切な撓み距離が決定されると、各スピーカー15−100の組み立て中にフレーム15−102を反復して変形し、径方向に延在するフランジ15−1600を所定の撓み距離15−1702だけ移動させるために金属型を作製してもよい。
薄膜の適切な張力を確実にするシステムの別の例にはフィードバック・システム15−1602が含まれる。フィードバック・システムの一例は振動板15−104の中心に既知の負荷をかけ、負荷をかけたポイントで振動板の撓みを測定する工程を含んでいてもよい。負荷当たりの所望の撓みはテストによって経験的に決定されてもよく、その場合は振動板15−104の共振周波数が所定負荷あたりの撓みに対してプロットされる。スピーカーの所定の形状について所望の共振周波数が一旦決定されると、所定負荷あたりの振動板の目標の撓みを決定できる。フィードバック・システムは撓みセンサ15−1604で既知の負荷での振動板の実際の撓みを測定することによって動作するものでよい。測定された撓みは目標の撓みと比較される。
フレーム15−102は、測定された撓みが目標の撓みとほぼ等しくなるまで変形され、それによって所望の共振周波数を生成するために振動板15−104が適宜に引っ張られるようにすればよい。引っ張り工程中にフレーム15−102の機械的撓みを制御するために、比例、積分、導関数フィードバック閉ループなどのような論理制御システムを実装してもよい。このような制御システムは薄膜の引っ張りに関して高度の反復性をもたらすことができる。
フィードバック・システム15−1704の別の例は、周波数センサ15−1706を使用して薄膜引っ張り工程中に共振周波数を直接測定することができる。この制御方式では、振動板15−104が繰り返し励振され、共振周波数が測定される。測定された周波数は薄膜の引っ張り中に所望の目標周波数と比較されることができる。測定された共振周波数が受け入れられる公差内で目標周波数と整合するまでフレーム15−102を変形させればよい。記載のフィードバック・システムを記載のいずれかの引っ張り技術と共に使用してもよいことを理解されたい。
図15−18を参照してさらに別の薄膜引っ張りシステムを詳細に記載する。薄膜引っ張り装置15−1800の例は、上部プレート15−1802と下部プレート15−1804とを含んでいる。プレート15−1802および15−1804は整合する面取りされたアパーチャ15−1806および15−1808をそれぞれ有している。振動板15−104の中心部15−820はアパーチャ15−1806および15−1808によって画成された開港内に位置している。フレーム15−102をアパーチャ15−1806および15−1808の一方に挿入できるように、アパーチャ15−1806および15
−1808のサイズおよび形状はフレーム15−102よりもやや大きい。
上部プレート15−1802は図15−18に示すように、非対称の断面を有する環状溝15−1810を含んでいてもよい。下部プレート15−1804は溝15−1810の鏡像として形成された環状溝15−1812を含んでいてもよい。第1の弾性部材15−1814を溝15−1810内に配置し、第2の弾性部材15−1816を溝15−1812内に配置してもよい。溝15−1810および15−1812は、弾性部材15−1814および15−1816がアパーチャ15−1806および15−1808の方向に移動することを制限するような形状のものでよい。加えて、溝15−1810および15−1812は、弾性部材15−1814および15−1816がアパーチャ15−1806および15−1808から離脱して移動できるような形状でもよい。具体的には、環状溝15−1810および15−1812を、上部レート15−1802および下部プレート15−1804に軸方向の力が加わってこれらを互いの方向に引き寄せると、振動板15−104の中心部15−820に横方向の力を加えるような形状にしてもよい。
上部プレート15−1802はさらにねじ山付きアパーチャ15−1818を含んでいてもよい。段つきのアパーチャ15−1820は下部プレート15−1804を貫いて延在する。上部レート15−1802および下部プレート15−1804を互いに引き寄せるために、ボルトとして示されている、ねじ山付きファスナ15−1822をアパーチャ15−1802内に挿入し、ねじ山つきアパーチャ15−1818内にねじ締めしてもよい。トグル・クランプ、ジャッキねじ、油圧シリンダ、または他のいずれかの公知の固締および力発生装置のような多様な機構を使用して、上部レート15−1802および下部プレート15−1804を互いに引き寄せてもよいことを理解されたい。
この技術例では、先ず上部レート15−1802および下部プレート15−1804を互いに引き寄せることによって、薄膜を引っ張ってもよい。接着剤15−406(またはその他の結合機構)を振動板15−104の引っ張られた部分および/またはフレーム1
5−102の平坦な取り付け面15−408上に配置してもよい。上部プレート15−1802が下部プレート15−1804に固締されている間に、フレーム15−102を振動板15−104に接触させてもよい。接着剤が硬化すると(または機械的結合が完了すると)、ねじ山付きファスナ15−1822を外し、上部プレート15−1802を下部プレート15−1804から分離してもよい。アパーチャ15−1806および15−1808のサイズは、接着剤15−406を硬化させる光波が進入でき、または必要があれば、他のいずれかの結合機構を操作できるようなサイズでよいことも理解されたい。スピーカー15−100の特定の構造に応じて、リップ15−306を越えて延びる薄膜があればそれを除去するために、振動板15−104の周辺部15−818をトリミングしてもよい。
図15−15から図15−19を参照すると、薄膜引っ張り技術の別の例が示されている。この技術例を実施するために使用される取り付け手段は下部ダイ15−1902と上部ダイ15−1904とを有する取り付け具15−1900を含んでいる。取り付け手段15−1900は振動板15−104の周囲を拘束し、振動板15−104の片面と下部ダイ15−1902との間に空洞15−1906を画成する機能を果たしてもよい。液体供給源15−1908は空洞15−1906に加圧液を供給してもよい。下部ダイ15−1902は実質的に剛性の材料から構成されているので、振動板15−104を図15−19に示すように引っ張った状態で伸長させてもよい。フレーム15−102が振動板15−104と機械的に結合されている間、空洞15−1906内で圧力が維持される。機械的ファスナ、放射線により硬化可能な接着剤、マルチパート・エポキシ、熱硬化接着剤、または感圧成分を含む前述のボンド技術のいずれかを利用して、振動板15−104をフレーム15−102に固着してもよい。
振動板15−104がフレーム15−102に固定された後、上部ダイ15−1904を取り外し可能である。所望ならば、フレーム15−102の周辺を越えて延びる過剰な振動板材料を除去してもよい。
この技術例では、加圧液によって発生される張力の一部は後続のフレーム装着工程中に緩むことがある。したがって、薄膜が使用中に確実に適切に引っ張られるようにするため、最終的に希望する張力よりも大きい張力を、液体供給源15−1908を介して最初に誘発させてもよい。
図15−20から15−22は振動板15−104をフレーム15−102に装着する前に、振動板15−104を引っ張るために使用される取り付け手段の別の例を示している。スパイダ15−2000の例は振動板15−104を引っ張るために底板15−2100と共に動作できる。スパイダ15−2000は振動板15−10415−104の第1面に配置してよく、一方、底板15−2100は振動板15−104の反対面に配置してもよい。スパイダ15−2000は15−2102の方向に加えられた軸方向の力を反対方向15−2200に発生される横方向の張力に変換することによって機能し得る。
図示したスパイダ15−2000は一般に角錐の角錐台部分の近傍に配置されたハブ15−2002を有する角錐形の部材である。複数個の脚部15−2004がハブ15−2002から角度をなして延びている。各脚部15−2004はボデー部15−2006と足部15−2008とを含んでいる。各足部15−2008は各脚部15−2004の末端から径方向に延びている。(図15−20に示すように)パッド15−2010が各足部15−2008の下表面に結合されている。パッド15−2010は、振動板15−104に損傷を生じることなく振動板15−104を把持するのに適した高摩擦の弾性材料から構成されたものでよい。
図示した底板15−2100は一般に、底板15−2100を貫いて延在するアパーチャ15−2104を有する長方形の部材である。アパーチャ15−2104はフレーム15−102の周囲と同様の形状で、フレーム15−102をアパーチャ15−2104に挿入できるサイズのものでよい。底板15−2100は、振動板15−104が上を自由に摺動可能な低摩擦の表面15−2106を含んでいる。図15−21に最も明解に示されているように、各パッド15−2010は底板15−2100の一部によって支持される。
引っ張り中に、振動板15−104を底板15−2100とスパイダ15−2000との間に配置してよい。スパイダ15−2000には方向15−2102に軸方向の力を加えてもよい。低摩擦面15−2106に対する脚部15−2004の角度の向きによって、方向15−2102に加えられる軸方向の力の少なくとも一部を反対方向15−2200の反対向きの力に変換できる。反対向きの力は振動板15−104を引っ張ることができる。引っ張った後、フレーム15−102は前述のように振動板15−104に機械的に結合される。
図15−23はスピーカー15−100の組み立て用のシステムのさらに別の例である。このシステムでは、フレーム15−102は振動板15−104の装着前に弾性変形されてもよい。変形されたフレーム15−1−2は仮想線で、参照番号15−2300で示されている。フレーム15−102の径方向に延びるフランジ15−304とリップ15−306(図3)とを内側に撓ませることによって、フレーム15−102を弾性変形させるために、ジャッキねじ、油圧ラム、またはその他の力発生装置のような幾つかの力発生装置またはツールを使用してもよいことを理解されたい。振動板104(図1)が平坦
な取り付け面408(図4)に装着されている間、フレーム102は変形された状態に留められてよい。
振動板15−104がフレーム15−102に確実に装着され終わると、フレーム15−102を変形させる外部からの力は緩めてもよい。フレーム15−102は弾性変形されていたので、フランジ15−304およびリップ15−306は元の変形されない状態に弾性戻りする傾向がある。この傾向は振動板15−104によって抵抗される。変形されたフレームが変形されない状態に戻ろうとすると、振動板15−104は平衡状態に達するまで伸長する。フレーム15−102はスチール、アルミニウム、または変形可能ないずれかの合成材料から構成したものでよい。弾性係数が29,000KSI未満である材
料は、降伏前に比較的大きい弾性変形するように企図されている。振動板15−104をフレーム15−102に結合するための接着剤15−406またはその他の機械的結合の伸長または変形を考慮に入れるため、フレームの大幅な変形が有利である。
鋳造プラスチックまたは合成材料から構成されたフレームによって、図15−24に示されるようにフレームを横切って円弧または湾曲部を組み込む付加的な機会が得られる。図示した実施形態では、スピーカー15−2400は湾曲したフレーム15−2402を含んでいる。
スピーカー15−2400の組み立て中、フレーム15−2402は強制的にほぼ平坦な状態にある。フレームがほぼ平坦な状態にある間に、振動板15−104がフレーム15−2402に結合される。振動板15−104が一旦フレーム15−2402に固定的に装着されると、フレーム15−2402をほぼ平坦な状態に保持する外力が解除される。フレーム15−2402は弾性変形しているので、フレームは元の湾曲した形状に弾性戻りする傾向がある。この傾向は振動板15−104によって抵抗される。フレームが湾曲した形状に戻ろうとすると、振動板15−104は平衡状態に達するまで伸長する。平衡状態になると、振動板15−104は引っ張られた状態にあり、振動板15−104とフレーム15−2402がそれ以上移動することはない。
湾曲したフレームは図15−25に示したような射出成形装置を使用して製造してもよい。射出鋳型は鋳型上半部15−2502と鋳型下半部15−2504とを含んでいる。型割線15−2506がフレーム15−2402の長さに沿って延びている。型割線15−2506の位置は鋳型上半部15−2502と鋳型下半部15−2504との境界位置によって規定される。鋳型の第1半部15−2502と鋳型の第2半部15−2504との間に温度差を加えることによって、円弧または湾曲部が形成される。部品を湾曲させるために異なる鋳型温度を利用することはコンセプト上、あらゆる成形樹脂に有効である。しかし、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリプロピレン(PP)、およびこれらの材料の混合のような半結晶樹脂は特に顕著な湾曲部を生ずる。
湾曲したフレーム15−2402は内部に湾曲した空洞面が加工された鋳型から製造してもよいことが理解されよう。その場合は標準的な温度制御技術を利用すればよい。最後に、双方のコンセプトを組み合わせて利用することを考えてもよい。具体的には、鋳型半部の温度差を保持し、所望の湾曲フレームを得るために、湾曲面を有する鋳型が制御されてもよい。
図15−16、および15−27を参照すると、代替のフレーム15−2600が示されている。フレーム15−2600は好適には強化プラスチックから構成されている。フレーム15−2600はベース15−2602からほぼ直交して延びる壁15−2604によって囲まれたベース15−2602を有するほぼ皿形の部材である。壁15−2604は
ほぼ平坦な取り付け面15−2700を画成する径方向に延びるフランジ15−2606で終端している。組み立て中、振動板15−104は平坦な取り付け面15−2608に沿ってフレーム15−2600に連結される。ベース15−2602は第1の面15−2702と、第2の面15−2608と、ベースを貫通して延びる複数個のアパーチャ15−2610とを含んでいる。アパーチャ15−2610は第1面15−2702と振動板15−104との間の空気が流れるための所望の気道を設けるような配置とサイズである。
複数個の磁石15−2704がフレーム15−2600内に一体に成形されている。図15−28に最も明解に示されているように、各磁石15−2704は、磁石15−2704の両端部を横切って延びるスロット15−2800を含んでいる。図15−29はオーバーモールディング工程が完了した後にフレーム15−2600の合成材料で充填されるスロット15−2800を示している。したがって、スロット15−2800は各磁石15−2704をフレーム15−2600内に固定する保持機能を果たす。各磁石15−2704はフレーム15−2600の表面15−2702と同一平面上に位置する上表面15−2802を含んでいる。磁石15−2704はボデー15−2600内の窪みに収まっているので、フレーム15−2600の全高が縮小され、薄型のフレームおよびスピーカー・アセンブリが得られる。
加えて、埋め込み式の磁石設計によって磁石15−2704に関してコストが節減される。スチール・フレームに取り付けられた磁石は、各磁石の上表面が確実に振動板15−104から適切な間隔を隔てて位置するようにするため、厳密に制御された厚みを有していなければならない。磁石15−2704の表面15−2802は、成形機械内でフレーム15−2600の表面15−2702とほぼ同一平面上にあるように設計されている。成形中、磁石は磁石15−2704の各上表面15−2802を単一平面内で互いに位置合わせするために、ばね付勢されたツール15−2900(図15−29に仮想線で示す)上に配置される。射出された樹脂は磁石およびばね付勢されたツールの周囲を流れるので、磁石15−2704の厚みは厳密に制御される必要がない。例えば、図15−29は第1の厚み15−2902を有する磁石15−2704を示している。磁石15−2904は異なる厚み15−2906を有している。磁石の厚みの相違はフレーム15−2600のボデー内で順応される。厚みの寸法の許容差がより大きい磁石を使用することによってコスト節減になる。
図15−26に最も明解に示されているように、一対の電気端子15−2612がフレーム15−2600内にオーバーモールドされている。各電気端子15−2612は雄の端片15−2614とプレート部15−2616とを含んでいる。ソケット15−2618がフレーム15−2600と一体に成形されている。ソケット15−2618は表面15−2608から延在する壁15−2620を含んでいる。壁15−2620は雄の端片15−2614を囲み、スピーカーを電源に電気的に結合するために使用される雌の端片(図示せず)と嵌合するような形状を呈している。
各プレート部15−2616はこれを貫通するアパーチャ15−2622を含んでいる。アパーチャ15−2622もフランジ15−2606を貫いて延びている。振動板15−104が取り付け面15−2700に結合された後、プレート部15−2616と振動板15−104の導体106との間の電気的接続がなされる。
図15−30を参照してフレーム15−3000の代替実施形態を示す。フレーム15−3000はフレーム15−3004内に成形された一対の電気端子15−3002を含んでいる。各電気端子15−3002は雄の端片部15−3006および内側に延びる部分15−3008を含んでいる。内側に延びる部分15−3008は、振動板がフレーム
15−3004に結合された後、振動板15−104の導体106に半田付けされる。このように、追加のファスナまたは電気的な相互接続部を作製する必要がない。
前述のような一体に成形された金属部品を有するフレーム15−2600を構成するため、好適にはオーバーモールディング技術が利用される。先ず磁石15−2704と電気端子15−2612が開放された射出鋳型の空洞内に配置される。融解したプラスチック樹脂が確実に各金属部品の少なくとも一部を覆って、これをフレーム15−2600内に保持するようにするため、磁石15−2704および電気端子15−2612が鋳型内に配置される。射出鋳型はさらに、金属部品の一部をマスクで遮蔽して、選択された部分が融解した樹脂によって接触されないようにする機能をも含んでいる。鋳型が閉じられ、樹脂が注入されて空洞が充填される。この工程が完了すると、磁石15−2704と電気端子15−2612とがフレーム15−2600内に固定される。磁石15−2704および電気端子15−2612は前述の目的のため露出された表面を含んでいる。
図15−31乃至15−33を参照して、スピーカーの代替実施形態を参照番号15−3100で示す。スピーカー15−3100は振動板15−3104が結合されるケースメント15−3102を含んでいる。スピーカー15−3100はさらにフレーム15−3106のボデー部15−3110に結合された複数個の磁石15−3108を有するフレーム15−3106を含んでいる。
ケースメント15−3102はほぼ平行な一対のエンドレール15−3114によって直交して交差するほぼ平行な一対のサイドレール15−3112を含んでいる。振動板15−3104はサイドレール15−3112とエンドレール15−3114の各々の一部内に埋め込まれている。ケースメント15−3102は、振動板15−3104を磁石15−3108から所定距離を隔てて配置するためにフレーム15−3106に結合されている。超音波溶接、スナップ嵌め接続、機械式ファスナ、接着剤による固着、またはその他の適宜の接続方法のような多様な技術を利用して、ケースメント15−3102をフレーム15−3106に結合できることを当業者は理解しよう。
1つの種類の固定装置が図15−35に示されている。代替のスピーカー15−3500は保持器15−3502と、ケースメント15−3504と、フレーム15−3506とを含んでいる。ケースメント15−3504はその周囲から径方向に突出したフランジ15−3508を含んでいる。同様に、フレーム15−3506はそのボデー部15−3512から径方向に突出したフランジ15−3510を含んでいる。保持器15−3502はケースメント15−3504とフレーム15−3506とを連結するため、フランジ15−3508および15−3510と係合するほぼC字形の断面を有している。
図15−35の右側に示されているように、保持器15−3502はさらに、貫通するアパーチャ15−3516を有するフランジ15−3514のようなスピーカーの取り付け手段を含んでいてもよい。保持器15−3502上のスピーカーの取り付け手段を利用することで設計上のフレキシビリティが向上する。例えば、ある種の乗物またはボックス内にスピーカーを取り付けるように構成された多様な異なる形状の保持器と共に使用するように包括的なフレームおよび磁石アセンブリを設計してもよい。好適には、共通の、または包括的な部品の使用によってコストと製品の拡散が低減される。
保持器15−3502を備えたスピーカーを組み立てるには、フレーム15−3506とケースメント15−3504とが射出鋳型の空洞内に配置される。融解した樹脂は空洞内に注入されて保持器15−3502が形成される。樹脂が固化した後、完成したスピーカー15−3500が鋳型の空洞から取り出される。
特に図15−36および15−37を参照すると、代替のスピーカー15−3600はケースメントおよび振動板サブアセンブリ15−3602と、フレームおよび磁石アセンブリ15−3604とを含んでいる。ケースメントおよび振動板サブアセンブリ15−3602はケースメント15−3606と振動板15−3608とを含んでいる。ケースメント15−3606は互いに連結されてアパーチャ15−3614を形成する一対のサイドレール15−3610と一対のエンドレール15−3612とを含んでいる。サイドレール15−3610およびエンドレール15−3612はこれらを貫通するアパーチャ15−3615を含んでいる。
フレームおよび磁石サブアセンブリ15−3604は複数の杭15−3618が突起したボデー15−3617を有するフレーム15−3616を含んでいる。フレーム15−3616はさらにボデー15−3617から延びている複数の止め具15−3620を含んでいる。止め具15−3620は突刺15−3622を含んでいる。ケースメントおよび振動板サブアセンブリ15−3602をフレームおよび磁石サブアセンブリ15−3604に組み立て中に、突刺15−3622はケースメント15−3606に係合する。さらに、杭15−3618はアパーチャ15−3615を貫いて突起する。その後の加熱ピン打ちまたは融解工程でピン15−3618の端部が変形してキャップ15−3700を形成し、さらにケースメントおよび振動板サブアセンブリ15−3602をフレームおよび磁石サブアセンブリ15−3604に結合する。
スピーカー15−3600を製造するため、図15−34に示したような射出鋳型15−3400が使用される。射出鋳型15−3400は固定プレート15−3402と可動プレート15−3404とを含んでいる。固定プレート15−3402と可動プレート15−3404とはゲート15−3408と連通する空洞15−3406を形成する。ゲート15−3408は融解した樹脂材料15−3410の入り口の役割を果たす。可動プレート15−3404は気密性のダイ・ボデー15−3414内に挿入された通気性のプレート15−3412を含んでいる。プレート15−3412の背面15−3418に沿って真空チャネル15−3416が配置されている。真空チャネル15−3416は真空供給源(図示せず)に連結されている。可動プレート15−3404はほぼ平坦な表面15−3421から上方に延在する複数のピン15−3420を含んでいる。各ピン15−3420は、射出鋳型15−3400が閉じられると固定プレート15−3402の下表面15−3424と係合する上表面15−3422を含んでいる。
オーバーサイズの、作業工程中の振動板15−3425が射出鋳型15−3400内に挿入される。オーバーサイズの振動板15−3425は周辺部15−3428によって囲まれた中心部15−3426を含んでいる。周辺部15−3428は空洞15−3406の縁部を越えて延びるオフェージ(offage)部15−3430を含んでいる。図15−36および15−37に示されている仕上がった振動板15−3608はオーバーサイズの振動板15−3425からオフェージ部15−3430をトリミングすることによって作製される。振動板15−3608は複数のアパーチャ3432を含んでいる。振動板15−3425に挿入すると、複数のピン15−3420がアパーチャ3432を貫いて延び、振動板15−3425は平坦面15−3421上に載る。ケースメントおよび振動板サブアセンブリの製造中、振動板15−3425の周辺部15−3428、特にオフェージ部15−3430は射出鋳型15−3400の固定プレート15−3402と可動プレート15−3404との間に固締される。周辺部15−3428が固締されたあと、中心部15−3426は変移されて振動板15−3425に張力を誘発する。振動板が引っ張られている間、融解したプラスチックが空洞15−3406に注入されてサイドレール15−3610とエンドレール15−3612とを形成する。注入工程中、周辺部15−3428は部分的に融解し、ケースメントを形成する材料と固着する。次にケースメント材料は冷却され、固化される。ケースメント15−3606に鋳込まれた、引っ張られている
振動板15−3608はこの時点で射出鋳型から取り出される。オフェージ部15−3430がトリミングされ、図15−36に示されているように最終的なケースメントおよび振動板アセンブリ15−3602が作製される。ケースメントおよび振動板アセンブリは、前述の金属フレームまたはフレーム15−3616と同類の成形されたフレームを有するスピーカーを含む、異なる多くのスピーカーの設計の範囲内のコンポーネントとして使用できる。
中心部15−3426が引っ張られている間、オフェージ部15−3430を一時的に固定しておくためにピン、クランプ、ノッチ、またはストッパのような幾つかの異なる装置を使用してもよいことが理解されよう。1つの保持装置が図15−38に示されている。ピン15−3800はオフェージ部15−3430内に位置する振動板15−3425を貫いて延在するアパーチャ15−3802を貫通して延びている。
図15−38を引き続いて参照すると、代替の射出鋳型の一部が参照番号15−3804で示されている。鋳型15−3804は下方に突起したリッジ15−3808を有する固定半部15−3806を含んでいる。鋳型15−3804はさらに、鋳型の周囲に延在するトラフ15−812を有する可動半部33810を含んでいる。鋳型の閉鎖中、リッジ15−3808は振動板10−10415−3425に接触し、振動板15−3425を強制的にトラフ15−3812に入らせる。この工程中、振動板15−3425は引っ張られ、引っ張られた状態に保持される。振動板15−3425に充分な張力が確実に発生されるようにするため、引っ張り中に振動板15−3425の周辺部を保持するためにオプションとして位置決めピン15−3800をリッジとトラフの外側寄りに配置してもよい。鋳型の閉鎖および引っ張り中に、振動板15−3425の周辺部を位置決めし、保持するためにクランプ、ピン、または止め具のような様々な装置を使用してもよいことが当業者には理解されよう。前述のように、その後、融解した樹脂が注入されてケースメント15−3606が形成される。
図15−39を参照すると、スピーカーの代替実施形態が参照番号15−3900で示されている。スピーカー15−3900はフレーム15−3902のボデー部15−3906に結合された複数の磁石15−3904を有するフレーム15−3908を含んでいる。弾性バンパ15−3908がフレーム15−3902に連結されている。弾性バンパ15−3908はフレーム15−3902のほぼ周囲に延在している。弾性バンパ15−3908はフレームの周辺部に連結された固体の弾性部材として示されている。バンパ15−3908は密閉セルのフォームまたはその他の弾性材料から構成されてもよいことが理解されよう。
弾性バンパ15−3908は接着剤または機械式ファスナを使用してフレーム15−3902に便利に装着してもよい。弾性バンパ15−3908はさらに、射出鋳型を使用してフレーム15−3902に鋳込まれてもよい。1実施形態では、フレームは射出成形プラスチックから構成される。先ずフレーム15−3902が鋳型内に形成される。バンパ15−3908をフレーム15−3902に鋳込むために第2の弾性材料が注入される。あるいは、経済的に有利ならば、バンパ15−3908を別の鋳型内で形成してもよい。
スピーカー15−3900の組み立て中、線15−3908の方向に外部からの力を加えることによって、バンパ15−3908が圧縮される。振動板15−3912がバンパ15−3908に結合されている間、圧縮力は保持される。振動板15−3912がバンパ15−3908に固定されてしまうと、バンパ15−3908を圧縮する外部からの力が取り除かれる。バンパ15−3908は弾性部材であるので、バンパ15−3908は元の変形されない形状に戻ろうとする傾向があるが、振動板15−3912によって抵抗される。平衡状態に達すると、振動板15−3912が引っ張られる。バンパ15−39
08はフレーム15−3902の周囲全体に延在していてもよく、またはフレーム15−3902の反対側に沿って位置している複数の弾性の小部分であってもよいことが当業者には理解されよう。
図15−40はフレーム15−3902の周辺部に連結された中空の弾性バンパ15−4002を含むスピーカー15−4000の代替実施形態を示している。
スピーカー15−4000の組み立て中、バンパ15−4002は線15−4004の方向に外部からの力を加えることによって圧縮される。振動板15−3912がバンパ15−4002に結合されている間、圧縮力は保持される。振動板15−3912がバンパ15−4002に固定されてしまうと、バンパ15−4002を圧縮する外部からの力が取り除かれる。バンパ15−4002は弾性部材であるので、バンパ15−4002は元の変形されない形状に戻ろうとする傾向がある。この傾向は振動板15−3912によって抵抗される。平衡状態に達すると、振動板15−3912が引っ張られる。
図16−6を参照すると、一対の端壁16−608、16―610によって相互に連結された一対の側壁16−604、16−606を有する溝切り部16−602を形成する代替のフレーム16−600が備えられている。前述のように、動電型プレーナ・スピーカーの磁石はフレームに取り付けられ、振動板は上部装着面16−612に取り付けられる。1つ以上の側壁16、604、16−606または端壁16−608、16―610は、振動板を横切る横向きの定常波を軽減するため、壁の長さに沿って複数の曲線を含んでいる。湾曲した側壁16−604または16−606は正弦曲線(図16−6A)、波
状模様16−614(図16−6B)、三角形のピーク16−616(図16−6C)、または平行な壁の長さを最小限にすることによって振動板を横切る横定常波を軽減するために、長手方向の長さに沿ったフレームの直径を変更することによって定常波を軽減する他のいずれかの構成でもよい。
図16−7を参照すると、本発明の第2実施形態によるフレーム16−702は一対の端壁16−708、16―710によって相互に連結された一対の側壁16−704、16−706を有する溝切り部16−702を有している。複数個の磁石がフレーム16−700に取り付けられ、振動板がフレーム16−700の装着面16−712に取り付けられている。横の定常波を軽減するために、側壁16−704は側壁16−706と平行ではない。具体的には、側壁16−704は側壁16−706に対して角度をなすことができる。長手方向の長さに沿ったフレーム16−700の長さを変更することによって、定常波の発生が軽減される。
ここで図16−8を参照して、本発明の別の実施形態を説明する。図16−8では、フレーム16−802に取り付けられた複数個の磁石16−804(1個を図示)を有するフレーム16−802を含む動電型スピーカー16−800が備えられている。振動板16−806は接着剤16−810によってフレーム16−802の装着面16−808に取り付けられている。振動板はこれに取り付けられた複数の細長いトレース16−812を含む導体を含んでいる。振動板16−806と磁石16−804との間に磁性流体16−814が供給されている。磁性流体16−814は振動板16−806と接触するので、振動板16−806が振動すると、磁性流体16−814との接触が振動を緩和する。図16−8Aに示されているように、薄膜16−806が上方に移動すると、磁性流体1
6−814は薄膜との接触を保ちつつ上方に「広がり」、また、図16−8Bに示されて
いるように、薄膜16−806が下方に移動すると、磁性流体16−814は圧縮される。磁性流体16−814はこれを引き付ける磁界によって磁石16−804の表面上に保持される。磁石16−804の上表面上の磁性流体16−814を遮断するために、壁構造16−816が磁石16−804を囲んでいる。磁性流体16−814は磁石16−8
04の全て、または選択された1つに供給することができる。特に、最も外側の磁石16−804上だけに磁性流体を注ぐことで充分な制振がなされる。磁性流体はフレームの背面にフェルト、またはその他の制振材料を使用する代わりに、薄膜16−806の共振周波数を制振するための機械的制振手段を供給する。
図16−9および16−10を参照すると、動電型スピーカー16−900用の代替の制振装置が備えられている。図16−10に示すように、動電型スピーカー16−900は前述のように複数個の磁石16−1002が取り付けられているフレーム16−1000を含んでいる。薄膜16−1004は接着剤16−1006によってフレームに取り付けられている。図16−1を参照して前述したと同様に、導体16−1008が薄膜16−1004上に備えられている。薄膜16−1004は商標KYNARで市販されているポリ
フッ化ビニリデン(PVDF)のような圧電材料から製造される。KYNARは、反対面に装着さ
れた導体に電気が加えられると材料が収縮または膨張することで圧電効果を発揮する。薄膜の対向縁部に沿って薄膜16−1004の両面に一対の非励振導体16−1010、16−1012(導体16−1008の一部ではない)が貼付される。上下の非励振導体16−1010、16−1012は各々、薄膜16−1004を貫いて延びるリベット16−902によって互いに連結されている。非励振導体は薄膜の振動モードを制振するために配置される。具体的には、薄膜16−906が振動すると、非励振導体16−912、16−914が磁石16−1002によって発生される磁界に対して移動され、磁界を貫く電流が発生して、電流が変化すると薄膜材料が収縮したり膨張したりするので、導体16−1010、16−1012は薄膜の振動モードを制振し、エッジ処理(edgedtreat)のような特性を呈する。圧電効果によって、PVDF薄膜は関係式dta=d33*Vtに基づいて厚みが結果として変化する。ただし、dtaは厚みの変化であり、d33は材料に適した圧電係数であり、Vtは印加される電圧である。逆に言えばVt=dta/d33である。
図16−11および16−12を参照すると、動電型スピーカー16−1100用の代替の制振装置が備えられている。図16−12に示すように、動電型スピーカー16−1100は複数個の磁石16−1202が取り付けられているフレーム16−1200を含んでいる。振動板16−1204は接着剤16−1206によってフレーム1200に取り付けられている。図16−1を参照して前述したと同様に、導体16−1208が振動板16−1204上に備えられている。図16−11に最も明解に示されているように、薄膜16−204の縁部の外縁ゾーンに導体の短絡された巻き(shorted turn)16−1102が別個に備えられている。短絡された巻き16−1102は制振起電力を供給することによって薄膜16−1204の縁部の共振を動電式に制振する。
スピーカーの音響指向性を制御するため、スピーカーの薄膜振動板の振幅シェーディングを生成するようにスピーカーの様々な構造上の態様を修正してもよい。振幅シェーディングは(i)導体トレースでの磁束密度を変更する(図17−5乃至17−7)、(ii)
振動板のトレースの抵抗を変更する(図17−8乃至17−12)、および/または(iii)振動板の励振部の上の質量を変更する(図17−13)ことによって達成可能である。あるいは、図17−14乃至17−30に示されているように、スピーカーのサイズを変更することによって音響指向性を制御することができる。
図17−5乃至17−7は導体トレースでの磁束密度を変更することによるスピーカーの薄膜振動板の振幅シェーディングの様々な例を示している。図17−5は図1の線5−5に沿った断面図である。図17−5では、スピーカー17−500の振動板17−104の振幅シェーディングは、スピーカー17−500の長さ「l」にわたる振動板17−
104の特定の、所定ゾーン17−508、17−510、17―512内の異なる距離17−502、17−504、17―506で薄膜振動板17−104から離れている磁石17−202の間隔を変更することによって達成される。これに関連して、磁石17−
202は約0.1mmから約1mm以上の距離だけ振動板17−104から間隔を隔てていてもよい。
図示のように、磁石17−202はスピーカーの長さ「l」にわたって振動板17−1
04に対して可変的に接近して隔置されてもよい。この構成は、振動板17−104から異なる距離17−502、17−504、17−506に同じサイズの磁石17−202を位置決めするスピーカー17−500のフレーム17−102の構造によって達成されてもよい。
あるいは、図1の線5−5に沿った断面図である図17−6に示すように、スピーカー17−600のフレーム17−102は変更しないままに留め、異なる物理的寸法を有する磁石17−602、17−604、および17−606を使用して振動板17−104に対するそれぞれの位置を変更してもよい。いずれの実施形態の場合も(図17−5、または図17−6)、磁石の間隔構成が修正された結果、トレース17−108の位置での磁界の磁束密度(およびひいては磁界強度)がスピーカー17−500および17−600の長さ「l」にわたって変化する。これに関連して、各磁石17−202ごとのトレー
ス17−108での磁束密度は、磁石17−202と振動板17−104との距離が短縮すると共に大きくなる。その結果、振動板17−104の感度は励振ゾーンにわたって変化し、振動板17−104の振幅シェーディング、およびスピーカー17−500および17−600の制御可能な音響指向性が得られる。
図17−7はスピーカー17−700内の複数個の磁石17−702、17−704、17−706を異なるエネルギ密度へと励磁することによって、スピーカー17−700の固有の音響指向性を変更するための振幅シェーディングの別の実施例を示す断面図である。磁石のエネルギ密度はガウス−エルステッド(GOe)単位で測定される。例えば、磁
石17−702を磁石17−704の強度の半分の強度まで励磁してもよく、一方、磁石17−704を磁石17−706のエネルギ密度の半分のエネルギ密度を有していてもよい。
この場合、異なる磁石17−702、17−704、17−706の各々によって発生されるテスラ(T)と呼ばれる単位で測定される磁束は、振動板17−104からの磁石
17−702、17−704、17−706の物理的間隔によってではなく、最終的にこれらの材料成分によって決定されるそれらの磁石の個々の磁場強度によって、導電性トレース17−108の位置でのスピーカー17−700の長さ「l」にわたって変化する。
スピーカー17−700の振動板17−104上の幾つかのゾーン17−708、17−710、17−712にわたる導電性トレース17−108の位置における磁石17−702、17−704、17−706の磁束密度間のこのような所定の、また制御可能な関係によって、スピーカー17−700の制御可能な指向性応答を生成可能な振幅シェーディングが生成される。
図17−5乃至17−7の様々な磁石の実施形態は各行に3個の磁石17−202を有する5行の磁石17−202によって規定されているが、行内の磁石数、および行数は用途に応じて変更してもよい。特定の用途で使用される磁石17−202の数に関わりなく、磁石17−202と振動板との間隔を変更すること、磁石17−202のサイズを変更すること、およびスピーカー17−100の振動板17−104を横切る磁石17−202のエネルギ密度を変更することによって、スピーカーの音響指向性を変更、制御、または増強するために振幅シェーディングを依然として達成可能である。
図17−8乃至17−12は振動板17−104の導電性とレース17−108の抵抗を変更することによる、スピーカーの薄膜振動板の振幅シェーディングの様々な例を示し
ている。図17−8は動電型スピーカー17−800の振動板上の導電性トレースを示した概略図である。図17−8では、振幅シェーディングはスピーカー17−800の振動板17−804上の複数のトレース17−801、17−803、17−805のdc抵抗(DCR)を操作することによって達成される。例えば振動板17−804は、振動板17
−804の別個のゾーン17−812、17−814、17−816内に位置する個々の回路17−806、17−808、17−810をそれぞれ形成する複数のトレース17−801、17−803、17−805を含む導体17−820を備えていてもよい。選択されたゾーン内で、振動板17−804を横切るトレース17−801、17−803、17−805内の異なるDCRの結果を達成するため、トレース17−801、17−8
03、17−805は(図17−8に示すように)電気的に直列、または並列(図17−12を参照)であってよい。トレース17−801、17−803、17−805の可変的な指向性は振動板17−804の振幅シェーディングによるスピーカー17−800の音響指向性に影響を及ぼす。
トレースの電気的な関係(例えば直列または並列)に加えて、同じ効果を達成するためにトレースのDCRを他の方法で操作してもよい。例えば、図17−9乃至17−11の断
面図に示すように、振動板17−804上の複数のトレース17−801、17−803、17−805は各々、異なる幅w9、w10、w11、異なる厚みt9、t10、t11(高さ)および断面積a9、a10、a11を含む異なる物理的寸法を有していてもよい。
図17−9は導体17−820の回路17−808に沿った導電性トレース17−803の寸法断面図を示す図17−8の線9−9に沿った断面図である。図17−10は導体17−820の回路17−806に沿った導電性トレース17−801の寸法断面図を示す図17−8の線10−10に沿った断面図である。図17−10に示すように、回路17−804内の導電性トレース17−803の幅w10、厚みt10(高さ)および断面積a10は回路17−808(図17−9)内の導電性トレース17−803の幅w9、厚みt9(高さ)および断面積a9よりも大きい。
同様に、図17−11は導体17−820の回路17−810に沿った導電性トレース17−805の寸法断面図を示す図17−8の線11−11に沿った断面図である。図17−11に示すように、回路17−810内の導電性トレース17−805の幅w11、
厚みt11(高さ)および断面積a11は回路17−808(図17−9)内の導電性トレース17−803の幅w9、厚みt9(高さ)および断面積a9、ならびに回路17−80
4(図17−10)内の導電性トレース17−803の幅w10、厚みt10(高さ)および断面積a10よりも小さい。
図17−12は動電型スピーカーの振動板上の導電性トレースの代替実施例を示す概略図である。図17−12に示されているように、電気とレース17−1201、17−1203、および17−1205は並列である。さらに、スピーカー17−1200のトレースも異なる長さを有していて、その結果、それぞれのDCRが異なっていてもよい。前述
の例と同様に、スピーカー17−1200は例えば振動板17−1204を横切る3つのトレース17−1201、17−1203、および17−1205を有している。それぞれのトレース1201、17−1203、および17−1205は、電気的に並列に接続され、振動板17−1204の別個のゾーン17−1212、17−1214、17−1216に位置する個々の回路17−1206、17−1208、17−1210を形成する。しかしトレース1201、17−1203、および17−1205の長さは所望の通り変更してもよい。
この実施例は3つの回路17−1206、17−1208、および17−1210を形成する3つのトレース1201、17−1203、および17−1205を示しているが
、トレースの数、およびトレースによって形成される回路の数は用途に応じて変更してもよい。加えて、スピーカー17−100のトレース17−108は、それらに限定されるものではないが、異なるDCR値を有する銅、アルミニウム合金、またはその他の導電性材
料を含む幾つかの異なる材料から形成してもよい。振動板17−104上の複数のトレース17−108の物理的特徴および/または特性のこのような変化によって、スピーカー
の音響指向性を、それにしたがって振幅シェーディングによって修正できるようになる。
図17−13は動電型スピーカーの別の例を示す図1の線5−5に沿った断面図である。図17−13では、スピーカー17−1300の振動板17−104の振幅シェーディングは、振動板17−104の第2の面17−404上に制振材料17−1302を不均一に貼付することによって達成できる。例えば、制振材料17−1302を表面17−404に不均一に、および/または過剰な量を貼付してもよく、またはゾーン17−130
4、17−1306、および17−1308へと分離できる振動板104の励振部分の上方の表面17−404の選択された部分だけに貼付してもよい。これに関連して、制振材料17−1302は制振材料の物理特性、および/または特徴に応じて約0.1mmから3mmまたはそれ以上に変化する厚さに貼付してもよい。制振材料17−1302をこのよう
に貼付することによって、励振ゾーン17−1304、17−1306、および17−1308にわたる振動板17−104の質量が効率よく変化し、振幅シェーディングによる指向性の制御が達成される。制振材料は例えば、可撓性の固体へと硬化するDymax4−2
0539のような液体ウレタン・オリゴマー・アクリル・モノマー・ブレンド、または薄膜振動板上の制振材用として使用できる、当業者には公知の他の材料から製造してもよい。
図17−14乃至17−30に示されているように、動電型スピーカーの音響指向性はスピーカーのサイズと構造によっても制御可能である。図17−14は音響指向性を変更するためにスピーカーのサイズに対してなされる変更の1例を示している。
図17−14は長さと幅の縦横比が高い動電型スピーカー17−1400の平面図である。図17−15乃至17−29に示すポーラ特性曲線に示されているように、プレーナ・スピーカー17−1400の長さと幅の縦横比を例えば約10:1の比率に変更することによって、プレーナ・スピーカー17−1400は従来のスピーカーとは大きく異なる指向性特性を呈することができる。例示として、スピーカー17−1400の長さは約200mmから約400mm程度の範囲でよく、また幅は約20mmから約65mm程度の範囲でよい。このように縦横比が高いプレーナ・スピーカー17−1400は自動車のような乗物の構造支柱に据え付けるのに特に適している。
スピーカーの指向性の特性は、スピーカーからの可聴出力がリスニング環境によって変化するので、可聴出力の音圧レベル(SPL)の大きさのデシベル(dB)単位の尺度である
。スピーカーの可聴出力のSPLがリスニング環境のいずれかの所定位置で、スピーカーの
方向(角度)およびその特定の位置からの距離、およびスピーカーからの可聴出力の周波数によって変化することがあることはよく知られている。スピーカーの指向性パターンはポーラ特性曲線と呼ばれるグラフ上にプロットされることができる。この曲線はスピーカーとの入射角でdBによって表され、ただし軸上の角度は0°である。
例示として、図17−15は可聴出力がスピーカーのサイズの割には極めて低周波にあるスピーカーのポーラ特性曲線を示している。この低周波でのスピーカーのポーラ特性はほぼ全方向性であることが示されている。スピーカーからの可聴出力がスピーカーのサイズの割りに増大すると、スピーカーのポーラ特性は指向性を高める。高周波でのスピーカーの指向性が高まると、ポーラ特性曲線内に軸外れローブおよびヌル(null)領域が生じ、これは「フィンガリング」、または「ロービング」と呼ばれる。
図17−16乃至17−22は、多様な周波数での図17−14に示した縦横比が高い動電型スピーカーの水平ポーラ特性プロットH対、従来のシングル・ツイータ・スピーカ
ーの水平ポーラ特性のプロットHCを示している。図17−16は1kHzでのスピーカーの
水平ポーラ特性プロットの比較を示している。図17−17は1.6kHzでの水平ポーラ
特性プロットの比較を示している。図17−18は3.15kHzでの水平ポーラ特性プロ
ットの比較を示している。図17−19は5kHzでの水平ポーラ特性プロットの比較を示
している。図17−20は8kHzでのプロットであり、一方、図17−21および17−
22はそれぞれ12.5kHZと16kHzでのプロットである。
同様に、図17−23乃至17−29は、図17−14に示した縦横比が高い動電型スピーカーの垂直ポーラ特性プロットV対、多様な周波数での従来のシングル・ツイータ・
スピーカーの垂直ポーラ特性のプロットVCを示している。図17−23は1kHzでのスピ
ーカーの垂直ポーラ特性プロットの比較を示している。図17−24は1.6kHzでの垂
直ポーラ特性プロットの比較を示している。図17−25は3.15kHzでの垂直ポーラ
特性プロットの比較を示している。図17−26は5kHzでの垂直ポーラ特性プロットの
比較を示している。図17−27は8kHzでのプロットであり、一方、図17−28およ
び17−29はそれぞれ12.5kHzと16kHzでのプロットである。
音響指向性を制御するためにスピーカーの縦横比を変更することに加えて、図17−30に示すように、所定の、または好適な音響指向性の性能を達成するため、スピーカー17−3000の形状を修正してもよい。図17−30は非方形である多角形の形状を有する動電型スピーカー17−3000の平面図を示している。図17−30に示すように、スピーカー17−3000は台形のような非方形の多角形の形状をとってよい。成形されたパネルは軸外れローブを軽減するので、スピーカーからの音響出力は、特に増幅された場合、指向性の性能と制御がより向上する。同じ結果を達成するため、スピーカーを他の多角形、または他の非伝統的な構造に構成してもよいことも企図される。
図18−6はフレーム18−102の平面図である。フレーム18−102は磁石18−202の間に整列された列内に配列された複数のアパーチャ、または通気孔18−422を含んでいる。列は通気孔18−600a、18−600b、18−600c、18−6
00dの内側の列と、一対の外縁部の列18−602a、18−602bとを含んでいる。
通気孔の内側の列18−600a、18−600b、18−600c、18−600dは各々、長さL1を有しており、外側の列18−602a、18−602bは長さL2を有している。内側の列18−600a、18−600b、18−600c、18−600dは各々、ウエブ長さW1を有するウエブ部18−604によって分離されている。通気孔の外側の列1
8−602a、18−602bは各々、ウエブ長さW2を有するウエブ部18−606によ
って分離されている。内側の通気孔の列18−600a、18−600b、18−600c
、18−600dの各通気孔は長さX1を有し、一方、外側の列18−602a、18−6
02bの通気孔は長さX2を有している。通気孔18−422が備えられているのは、振動板が振動すると、振動板18−104の間にある空気がフレーム18−102の溝切り部から逸出することができるようにするためである。空気が通気孔18−422を通過することをややよくしすることによって制振機能が得られるように、フレーム18−102の背面にフェルト材18−236の層を配置してもよい。通気孔18−422の間に備えられたウエブ部18−604および18−606によって、異なる列の磁石18−202の間での磁束線の形成が増強される。
磁束密度と気流の抵抗とを平衡するためのウエブ18−604の最適なサイズは、ウエブ領域内の金属の量、および孔18−422のサイズに基づいて決定してもよい。幅Wを
有するウエブ18−604と、幅X1を有する通気孔とが複合されて長手方向の全長L1を
なす。列内のウエブの長さを、列18−600a、18−600b、18−600c、18
−600dの1つの長さL1に複合されたウエブの長さWが全長L1の約20%以上で、約45%未満になるように最適化してもよい。図示した1実施例では、列18−600a、1
8−600b、18−600c、18−600dの長さL1は約147ミリメートルであり、一方、通気穴18−422の幅X1は7.25ミリメートルであり、ウエブの長さW1は5.45ミリメートルである。このように、複合されたウエブ長さW1は約60ミリメート
ル(11*5.45mm)であり、列の全長L1の約41%の複合されたウエブ長さを生じ
る。ウエブのおおよその厚さは約1.2ミリメートルである。ウエブの距離が増すと、磁気経路が増すので磁束が約6%増大し、したがってエネルギがより低い磁石を使用できる。通気孔18−422を有する外側の列18−602a、18−602bは、通気孔18−422の間により狭いウエブ18−606を有している。外側の列18−602a、18
−602bの1つのウエブは外側の列18−602a、または18−602bの全長の20
%未満を構成する。ウエブ18−606は磁石の列の間に備えられていないので、狭いウエブは磁束線に影響を及ぼさず、したがって狭い長さに留めておくことができる。1実施例では、外側の列18−602a、18−602bの全長L2は約150ミリメートルであ
り、通気孔18−422は約10.25ミリメートルに等しい長さX2を有し、各通気孔
18−422の間のウエブ18−606の長さW2は約2.45ミリメートルである。し
たがって、外側の列18−602a、18−602bの通気孔の間に備えられたウエブ18−422の残長(2.45mm*11=26.95mm)は外側の列の全長L2の約18%(
26.95/150=18%)である。フレーム内により厚いスチールを使用しても同様
の効果が得られるが、よりコストがかかり、重く、形成することが困難である。
図18−7では、本発明による動電型スピーカー18−100はポートなしの(unported)ボックス18−700に取り付けられる。ボックス18−700は動電型スピーカー18−100の低周波性能を最適化する。ボックスの材料、サイズ、および形状はそれぞれ用途に応じて特有である。
図18−8を参照すると、動電型スピーカー18−100はポート18−802を含むポート付きボックス18−800を備えている。ポート18−802は動電型スピーカーのリア出力がシステムの総出力に寄与するようにする手段を提供する。しかし、ボックス18−800は極めて狭い周波数範囲にしか寄与しない。実際には、ボックス18−800は歪みを低減し、極めて低い周波数でのパワー・ハンドリングを高める。ポート付き、およびポートなしのボックスとも低周波応答を広げ、共振での歪みを低減するために使用可能である。
ここでスピーカー100の実施例を組み立てるための様々なシステムを記載する。システムの第1の例は図20−5から20−17に示されている。第1のシステムは真空プラテン20−600(図20−6から20−7)および 薄膜クランプ20−800(図20−8から20−9)を含んでいる。真空プラテン20−600および薄膜クランプ20−800は張力なしの平坦位置に振動板20−104(図20−5)を保持するために互いに連係して使用されてもよい。振動板20−104がクランプ20−800内に固定された後で、後述するように、引き続いて薄膜20−400を引っ張ってもよい。
振動板20−104を最初に平坦化および固締することで、張力を加えてもよい既知の振動板状態を組み立て者にもたらしてもよい。振動板20−104が最初にほぼ平坦な、引っ張られない状態に置かれないと、その後の組み立て動作中に再現性のある張力を得ようとする試みに困難を伴うことがある。この第1の例のシステムは反復性がある振動板状態を達成するために、真空プラテン20−600および薄膜クランプ20−800を含んでいる。別の例では、張力を加えてもよい既知の振動板状態を備えることができるいずれかの他の機構(単数または複数)および/または技術を利用してもよい。
真空プラテン20−600の例はボデー20−702、およびボデー20−702の第1の表面20−602から突起したペデスタル20−704を有するベース20−700を含んでいる。ペデスタル20−704は第1の表面20−602とほぼ平行に位置する上面20−706を含んでいる。上面20−706を真空源20−604と連結するために、真空通路20−70が8ペデスタル20−704とボデー20−702とを貫いて延在していてもよい。上面20−706に沿ってキャップ20−710をペデスタル20−704に連結してもよい。キャップ20−710は有孔アルミニウムのような通気性材料から構成されてものでよい。ベース20−700は気密性材料から構成されてものでよい。したがって、真空源20−604が真空通路20−708内に真空を引き込むと、キャップ20−710の上面20−606に沿って吸引力が生成される。
薄膜クランプ20−800の例はヒンジ20−806によって連結されたクランプ上半部20−802とクランプ下半部20−804とを含んでいる。図示したクランプ上半部20−802はほぼ長方形のボデー20−808と弾性ガスケット20−810とを含んでいる。ボデー20−808はこれを貫いて延在するアパーチャ20−900(図20−9)を含んでいる。弾性ガスケット20−810はガスケット20−810の厚みを貫いて延在する同様の形状のアパーチャ20−902(図20−9)を含んでいる。振動板20−104と係合するための圧縮可能な高摩擦表面20−812を備えるために、弾性ガスケット20−810をボデー20−808に装着してもよい。
図示したクランプ下半部20−804は、クランプ下半部20−804を貫いて延在するアパーチャ20−904を有するほぼ長方形のアルミニウム・フレーム20−814から構成されている。クランプ下半部20−804は上表面20−906と下表面20−908とを含んでいる。
スピーカーの組み立て工程中、図20−9に示すようにペデスタル20−704がクランプ下半部20−804のアパーチャ20−904に入るように、薄膜クランプ20−800を真空プラテン20−600上に配置すればよい。クランプ下半部20−804の上表面20−906は着座されると、キャップ20−710の上表面20−606とほぼ同一面上にあるようにしてもよい。振動板20−104を適切に位置決めするため、薄膜クランプ20−800が図20−8に示した開放位置に位置するようにクランプ上半部20−802を回転させてもよい。
真空源20−604を遮断して、振動板20−104を上表面20−606上に配置すればよい。振動板20−104は照準20−816を利用してクランプ下半部20−804に対して位置合わせすればよい。照準20−816は視覚的マーク、ロッド、リング、ノッチ、または位置合わせ手順を補助するために振動板20−104上に形成される他のいずれかの形態の位置合わせ機構でよい。照準20−816の位置は振動板20−104の周辺部20−818と中心部20−820とを効果的に画成する。中心部20−820は組み立て工程の完了実施形態にフレーム20−102に連結された状態に留まる材料の全てではないにせよ大部分を含んでいてもよい。
振動板20−104が適正に配置された後は、真空源20−604を介してキャップ20−710に真空を供給してもよい。キャップ20−710は通気性材料から構成されているので、振動板20−104は平坦な上表面20−606によく合致するように強制される。真空源が保持されている間、図20−10および20−11に示すように、薄膜クランプ20−800を閉鎖位置に配置するため、クランプ上半部20−802を回転させてもよい。クランプの閉鎖中、振動板20−104の厚みを考慮に入れるために弾性ガスケット20−810は局部的に変形してもよい。ラッチ20−822はクランプ上半部2
0−802をクランプ下半部20−804に固定する。ラッチ20−822はクランプ半部を互いに連結する装置の例であるに過ぎず、何個の固締装置を実装してもよいことを理解されたい。クランプ上半部20−802がクランプ下半部20−804に固締されてしまうと真空が遮断され、振動板20−104を引っ張られない状態に保つ薄膜クランプが真空プラテン20−600から取り外される。
フレーム20−102はアセンブリ取り付け具20−1200(20−12および20−13)に取り付ければよい。アセンブリ取り付け具20−1200は真空プラテン20−600とほぼ同様の形状のものでよい。しかし、アセンブリ取り付け具20−1200はフレーム20−102の一部を受けるための溝20−1300を含んでいてもよい。アセンブリ取り付け具20−1200はフレーム20−102の平坦な取り付け面20−408から所定距離20−1304だけ偏倚したゲージ面20−1302を含んでいる。振動板20−104に張力を加えるため、距離20−1304はクランプ下半部20−804の厚さよりも長い。発生される張力の大きさは、フレーム20−102および振動板20−104の物理特性と連係して距離20−1304を規定することによって最適化される。
振動板20−104はフレーム20−102と機械的に連結されてもよい。例えば、フレーム20−102の平坦な取り付け面20−408に接着剤20−406を塗布してもよい。あるいは接着剤20−406を振動板20−104に塗布してもよい。接着剤20−406を塗布した後、フレーム20−102がクランプ下半部20−804のアパーチャ20−904に入るように(図20−14および20−15)、固締された振動板20−104を含む薄膜クランプ20−800をアセンブリ取り付け具20−1200上に配置してもよい。振動板20−104は接着剤20−406およびフレーム20−102の平坦な取り付け面20−408に接触してもよい。接触はクランプ下半部20−804の下表面20−908がアセンブリ取り付け具20−1200のゲージ面20−1302に接触する前に行われてもよい。薄膜20−400内に所望の張力を生成するため、薄膜クランプ20−800はアセンブリ取り付け具20−1200の上方へと押し下げられることで、下表面20−908がゲージ面20−1302に係合する。
使用される接着剤の種類に応じて、後続の工程が必要であることがある。例えば、接着剤20−406を放射線に曝すことによって硬化させることができる。したがって、薄膜クランプ20−800がアセンブリ取り付け具20−1200に連結されている間に、接着剤を硬化させ、振動板20−104をフレーム20−102に固着するために放射線源20−1500が付勢される。あるいは、他のいずれかの機械的連結機構が使用される場合は、適宜の工程を実行する必要があることがある。
スピーカー100の振動板20−104を引っ張るために使用される第2のシステムの例を図20−16および20−17を参照して記載する。このシステムでは、フレーム20−102は下方に延在するリップを含まない、径方向に延在する細長いフランジ20−1600を含んでいる。残りのプレーナ・スピーカー・コンポーネントは前述したものとほぼ同類である。組み立て工程には前述のように、振動板20−104をほぼ平坦な、引っ張らない状態で位置決めすることを含めてもよい。しかし、このシステムによってプレーナ・スピーカーを構成するために、平坦化および固締ステップは必ずしも必要ではないことを理解されたい。同様に、記載される代替の引っ張り方法は平坦化および固締工程を含めることに限定されるものではない。
接着剤20−406のビードをフレーム20−102および振動板20−104の一方または双方の周囲に沿って塗布してもよい。次に振動板20−104をフレーム20−102と位置合わせし、接着剤20−406を介して結合してもよい。前述のように、接着
剤20−406は光線で硬化可能な材料、または異質な材料を互いに固着するその他のいずれかの適当なボンドでもよい。同様に、接着剤20−406は振動板20−104をフレーム20−102に機械的に結合するその他のいずれかの結合機構でもよい。
半方向に延在するフランジ20−1600は振動板20−104を引っ張るために、図20−17に示すように線20−1700から下方に外周領域を曲折することによって機械的に変形させてもよい。線20−1700は振動板20−104がそれを基点に引っ張られるフレーム20−102の周囲の支点として機能する。振動板の適切な張力は多様な方法で得られる。例えば、振動板20−104が最初にほぼ平坦な、引っ張られない状態でフレーム20−102に結合された場合は、撓み距離20−1702をテストによって経験的に決定してもよい。適切な撓み距離が決定されると、各スピーカー100の組み立て中にフレーム20−102を反復して変形し、径方向に延在するフランジ20−1600を所定の撓み距離20−1702だけ移動させるために金属型を作製してもよい。
薄膜の適切な張力を確実にするシステムの別の例にはフィードバック・システム20−1602が含まれる。フィードバック・システムの一例は振動板20−104の中心に既知の負荷をかけ、負荷をかけたポイントで振動板の撓みを測定する工程を含んでいてもよい。負荷当たりの所望の撓みはテストによって経験的に決定されてもよく、その場合は振動板20−104の共振周波数が所定負荷あたりの撓みに対してプロットされる。スピーカーの所定の形状について所望の共振周波数が一旦決定されると、所定負荷あたりの振動板の目標の撓みを決定できる。フィードバック・システムは撓みセンサ20−1604で既知の負荷での振動板の実際の撓みを測定することによって動作するものでよい。測定された撓みは目標の撓みと比較される。
フレーム20−102は、測定された撓みが目標の撓みとほぼ等しくなるまで変形され、それによって所望の共振周波数を生成するために振動板20−104が適宜に引っ張られるようにすればよい。引っ張り工程中にフレーム20−102の機械的撓みを制御するために、比例、積分、導関数フィードバック閉ループなどのような論理制御システムを実装してもよい。このような制御システムは薄膜の引っ張りに関して高度の反復性をもたらすことができる。
フィードバック・システム20−1704の別の例は、周波数センサ20−1706を使用して薄膜引っ張り工程中に共振周波数を直接測定することができる。この制御方式では、振動板20−104が繰り返し励振され、共振周波数が測定される。測定された周波数は薄膜の引っ張り中に所望の目標周波数と比較されることができる。測定された共振周波数が受け入れられる公差内で目標周波数と整合するまでフレーム20−102を変形させればよい。記載のフィードバック・システムを記載のいずれかの引っ張り技術と共に使用してもよいことを理解されたい。
図20−18を参照してさらに別の薄膜引っ張りシステムを詳細に記載する。薄膜引っ張り装置20−1800の例は、上部プレート20−1802と下部プレート20−1804とを含んでいる。プレート20−1802および20−1804は整合する面取りされたアパーチャ20−1806および20−1808をそれぞれ有している。振動板20−104の中心部20−820はアパーチャ20−1806および20−1808によって画成された開港内に位置している。フレーム20−102をアパーチャ20−1806および20−1808の一方に挿入できるように、アパーチャ20−1806および20−1808のサイズおよび形状はフレーム20−102よりもやや大きい。
上部プレート20−1802は図20−18に示すように、非対称の断面を有する環状溝20−1810を含んでいてもよい。下部プレート20−1804は溝20−1810
の鏡像として形成された環状溝20−1812を含んでいてもよい。第1の弾性部材20−1814を溝20−1810内に配置し、第2の弾性部材20−1816を溝20−1812内に配置してもよい。溝20−1810および20−1812は、弾性部材20−1814および20−1816がアパーチャ20−1806および20−1808の方向に移動することを制限するような形状のものでよい。加えて、溝20−1810および20−1812は、弾性部材20−1814および20−1816がアパーチャ20−1806および20−1808から離脱して移動できるような形状でもよい。具体的には、環状溝20−1810および20−1812を、上部レート20−1802および下部プレート20−1804に軸方向の力が加わってこれらを互いの方向に引き寄せると、振動板20−104の中心部20−820に横方向の力を加えるような形状にしてもよい。
上部プレート20−1802はさらにねじ山付きアパーチャ20−1818を含んでいてもよい。段つきのアパーチャ20−1820は下部プレート20−1804を貫いて延在する。上部レート20−1802および下部プレート20−1804を互いに引き寄せるために、ボルトとして示されている、ねじ山付きファスナ20−1822をアパーチャ20−1802内に挿入し、ねじ山つきアパーチャ20−1818内にねじ締めしてもよい。トグル・クランプ、ジャッキねじ、油圧シリンダ、または他のいずれかの公知の固締および力発生装置のような多様な機構を使用して、上部レート20−1802および下部プレート20−1804を互いに引き寄せてもよいことを理解されたい。
この技術例では、先ず上部レート20−1802および下部プレート20−1804を互いに引き寄せることによって、薄膜を引っ張ってもよい。接着剤20−406(またはその他の結合機構)を振動板20−104の引っ張られた部分および/またはフレーム2
0−102の平坦な取り付け面20−408上に配置してもよい。上部プレート20−1802が下部プレート20−1804に固締されている間に、フレーム20−102を振動板20−104に接触させてもよい。接着剤が硬化すると(または機械的結合が完了すると)、ねじ山付きファスナ20−1822を外し、上部プレート20−1802を下部プレート20−1804から分離してもよい。アパーチャ20−1806および20−1808のサイズは、接着剤20−406を硬化させる光波が進入でき、または必要があれば、他のいずれかの結合機構を操作できるようなサイズでよいことも理解されたい。スピーカー20−100の特定の構造に応じて、リップ20−306を越えて延びる薄膜があればそれを除去するために、振動板20−104の周辺部20−818をトリミングしてもよい。
図20−19を参照すると、薄膜引っ張り技術の別の例が示されている。この技術例を実施するために使用される取り付け手段は下部ダイ20−1902と上部ダイ20−1904とを有する取り付け具20−1900を含んでいる。取り付け手段20−1900は振動板20−104の周囲を拘束し、振動板20−104の片面と下部ダイ20−1902との間に空洞20−1906を画成する機能を果たしてもよい。液体供給源20−1908は空洞20−1906に加圧液を供給してもよい。下部ダイ20−1902は実質的に剛性の材料から構成されているので、振動板20−104を図20−19に示すように引っ張った状態で伸長させてもよい。フレーム20−102が振動板20−104と機械的に結合されている間、空洞20−1906内で圧力が維持される。機械的ファスナ、放射線により硬化可能な接着剤、マルチパート・エポキシ、熱硬化接着剤、または感圧成分を含む前述のボンド技術のいずれかを利用して、振動板20−104をフレーム20−102に固着してもよい。
振動板20−104がフレーム20−102に固定された後、上部ダイ20−1904を取り外し可能である。所望ならば、フレーム20−102の周辺を越えて延びる過剰な振動板材料を除去してもよい。
この技術例では、加圧液によって発生される張力の一部は後続のフレーム装着工程中に緩むことがある。したがって、薄膜が使用中に確実に適切に引っ張られるようにするため、最終的に希望する張力よりも大きい張力を、液体供給源20−1908を介して最初に誘発させてもよい。
図20から22は振動板20−104をフレーム20−102に装着する前に、振動板20−104を引っ張るために使用される取り付け手段の別の例を示している。スパイダ20−2000の例は振動板20−104を引っ張るために底板20−2100と共に動作できる。スパイダ20−2000は振動板20−104の第1面に配置してよく、一方、底板20−2100は振動板20−104の反対面に配置してもよい。スパイダ20−2000は20−2102の方向に加えられた軸方向の力を反対方向20−2200に発生される横方向の張力に変換することによって機能し得る。
図示したスパイダ20−2000は一般に角錐の角錐台部分の近傍に配置されたハブ20−2002を有する角錐形の部材である。複数個の脚部20−2004がハブ20−2002から角度をなして延びている。各脚部20−2004はボデー部20−2006と足部20−2008とを含んでいる。各足部20−2008は各脚部20−2004の末端から径方向に延びている。(図20−20に示すように)パッド20−2010が各足部20−2008の下表面に結合されている。パッド20−2010は、振動板20−104に損傷を生じることなく振動板20−104を把持するのに適した高摩擦の弾性材料から構成されたものでよい。
図示した底板20−2100は一般に、底板20−2100を貫いて延在するアパーチャ20−2104を有する長方形の部材である。アパーチャ20−2104はフレーム20−102の周囲と同様の形状で、フレーム20−102をアパーチャ20−2104に挿入できるサイズのものでよい。底板20−2100は、振動板20−104が上を自由に摺動可能な低摩擦の表面20−2106を含んでいる。図20−21に最も明解に示されているように、各パッド20−2010は底板20−2100の一部によって支持される。
引っ張り中に、振動板20−104を底板20−2100とスパイダ20−2000との間に配置してよい。スパイダ20−2000には方向20−2102に軸方向の力を加えてもよい。低摩擦面20−2106に対する脚部20−2004の角度の向きによって、方向20−2102に加えられる軸方向の力の少なくとも一部を反対方向20−2200の反対向きの力に変換できる。反対向きの力は振動板20−104を引っ張ることができる。引っ張った後、フレーム20−102は前述のように振動板20−104に機械的に結合される。
図20−23はスピーカー20−100の組み立て用のシステムのさらに別の例である。このシステムでは、フレーム20−102は振動板20−104の装着前に弾性変形されてもよい。変形されたフレーム20−1−2は仮想線で、参照番号20−2300で示されている。フレーム20−102の径方向に延びるフランジ20−304とリップ20−306(図3)とを内側に撓ませることによって、フレーム20−102を弾性変形させるために、ジャッキねじ、油圧ラム、またはその他の力発生装置のような幾つかの力発生装置またはツールを使用してもよいことを理解されたい。振動板104(図1)が平坦な取り付け面20−408(図4)に装着されている間、フレーム102は変形された状態に留められてよい。
振動板20−104がフレーム20−102に確実に装着され終わると、フレーム20−102を変形させる外部からの力は緩めてもよい。フレーム20−102は弾性変形さ
れていたので、フランジ20−304およびリップ20−306は元の変形されない状態に弾性戻りする傾向がある。この傾向は振動板20−104によって抵抗される。変形されたフレームが変形されない状態に戻ろうとすると、振動板20−104は平衡状態に達するまで伸長する。フレーム20−102はスチール、アルミニウム、または変形可能ないずれかの合成材料から構成したものでよい。弾性係数が29,000KSI未満である材
料は、降伏前に比較的大きい弾性変形するように企図されている。振動板20−104をフレーム20−102に結合するための接着剤20−406またはその他の機械的結合の伸長または変形を考慮に入れるため、フレームの大幅な変形が有利である。
鋳造プラスチックまたは合成材料から構成されたフレームによって、図20−24に示されるようにフレームを横切って円弧または湾曲部を組み込む付加的な機会が得られる。図示した実施例では、スピーカー20−2400は湾曲したフレーム20−2402を含んでいる。フレーム20−2402は振動板20−104を引っ張るばねワッシャとして機能してもよい。
スピーカー20−2400の組み立て中、フレーム20−2402は強制的にほぼ平坦な状態にある。フレーム20−2402がほぼ平坦な状態にある間に、振動板20−104がフレーム20−2402に結合される。振動板20−104が一旦フレーム20−2402に固定的に装着されると、フレーム20−2402をほぼ平坦な状態に保持する外力が解除される。フレーム20−2402は弾性変形しているので、フレームは湾曲した形状に戻る傾向がある。この傾向は振動板20−104によって抵抗される。フレーム20−2402が元の湾曲した形状に戻ろうとすると、振動板20−104は平衡状態に達するまで伸長する。平衡状態になると、振動板20−104は引っ張られた状態にあり、振動板20−104および/またはフレーム20−2402がそれ以上移動することはな
い。
湾曲したフレーム20−2402は図20−25に示したような射出成形装置を使用して製造してもよい。射出鋳型20−2500の実施例は鋳型上半部20−2502と鋳型下半部20−2504とを含んでいる。型割線2506がフレーム20−2402の長さに沿って延びている。型割線20−2506の位置は鋳型上半部20−2502と鋳型下半部20−2504との境界位置によって規定される。鋳型の第1半部20−2502と鋳型の第2半部20−2504との間に温度差を加えることによって、円弧または湾曲部が形成される。フレーム20−2402を湾曲させるために異なる鋳型温度を利用することはコンセプト上、あらゆる成形樹脂に有効である。しかし、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリプロピレン(PP)、およびこれらの材料の混合のような半結晶樹脂は特に顕著な湾曲部を生ずる。
あるいは、湾曲したフレーム20−2402は湾曲した空洞面を有する鋳型から製造してもよい。その場合は標準的な温度制御技術を利用すればよい。別の代替案では、双方のコンセプトを組み合わせて利用してもよい。具体的には、鋳型半部の温度差を保持し、所望の湾曲したフレーム20−2402を得るために、湾曲面を有する鋳型が制御されてもよい。
図20−26、および20−27を参照すると、別のフレーム20−2600の実施例が示されている。図20−26はフレーム20−2600の底部を示し、一方、図20−27はフレーム20−2600の上部を示している。フレーム20−2600は強化プラスチックまたはその他の同様の材料から構成されたものでよい。図示されているフレーム20−2600は基本的に、ベース20−2602からほぼ直交して延びる壁20−2604によって囲まれたベース20−2602を有するほぼ皿形の部材である。壁20−2604はほぼ平坦な取り付け面20−2700を画成する径方向に延びるフランジ20−
2606で終端している。組み立て中、振動板104(図1)は平坦な取り付け面20−2700に沿ってフレーム20−2600に連結される。ベース20−2602は第1の面20−2702と、第2の面20−2608と、ベース20−2602を貫通して延びる複数個のアパーチャ20−2610とを含んでいる。アパーチャ20−2610は第1面20−2702と振動板20−104との間の空気が流れるための所望の気道を設けるような配置とサイズである。
複数個の磁石20−2704がフレーム20−2600内に一体に成形されていてもよい。図20−28に最も明解に示されているように、各磁石20−2704は磁石20−2704の各端部を横切って延びるスロット20−2800を含んでいてもよい。図20−29はオーバーモールディング工程が完了した後にフレーム20−2600の合成材料で充填されるスロット20−2800を示している。したがって、スロット20−2800は各磁石20−2704をフレーム20−2600内に固定する保持機能を果たす。各磁石20−2704はフレーム20−2600の表面20−2702と同一平面上に位置する上表面20−2802を含んでいる。磁石20−2704はベース20−2602内の窪みに収まっているので、フレーム20−2600の全高が縮小され、薄型のフレームおよびスピーカー・アセンブリが得られる。
加えて、埋め込み式の磁石設計によって磁石20−2704に関して経済的な利点が得られる。スチール・フレームに取り付けられた磁石は、各磁石の上表面が確実に振動板20−104から適切な間隔を隔てて位置するようにするため、厳密に制御された厚みを有している。前述のように、磁石20−2704の表面はフレーム20−2600の表面20−2702とほぼ同一平面上にあるように設計されている。
成形中、磁石20−2704は磁石20−2704の各上表面20−2802をほぼ単一平面内で互いに位置合わせするために、ばね付勢されたツール20−2900(図20−29に仮想線で示す)上に配置される。磁石20−2704は振動板20−104(図1)からほぼ均一な距離を保つために、ほぼ単一の平面内に配置される。射出された樹脂は磁石20−2704およびばね付勢されたツールの周囲を流れるので、磁石20−2704の厚みは厳密に制御される必要がない。例えば、図20−29は第1の厚み20−2902を有する磁石20−2704を示している。第2の磁石20−2904は異なる厚み20−2906を有している。磁石の厚みの相違はフレーム20−2600のボデー内で順応される。厚みの寸法の許容差がより大きい磁石を使用することによってコスト節減になる。
図20−26に最も明解に示されているように、一対の電気端子20−2612がフレーム20−2600内にオーバーモールドされてもよい。したがって、電気端子20−2612はフレーム20−2600内に部分的に埋め込まれている。各電気端子20−2612は雄の端片部20−2614と端部20−2616とを含んでいる。雄の端片部20−2614と端部20−2616との間に位置する中間部はフレーム20−2600内に埋め込まれている。ソケット20−2618がフレーム20−2600と一体に成形されている。ソケット20−2618は表面20−2608から延在する壁20−2620を含んでいる。壁20−2620は雄の端片部20−2614を囲み、雌のプラグ(図示せず)と嵌合するような形状を呈していてもよい。雌のプラグはスピーカー100を電源に電気的に結合するために使用されてもよい。
各端部20−2616は端部20−2616を貫通するアパーチャ20−2622を含んでいてもよい。アパーチャ20−2622もフランジ20−2606を貫いて延びていてもよい。振動板20−104が取り付け面20−2700に結合された後、導電性ジャンパまたはファスナ(図示せず)を端部20−2616および導体20−106に結合す
ることによって端部20−2616と振動板20−104の導体106との間の電気的接続がなされてもよい。
図20−30を参照してフレーム20−3000の別の実施例を示す。フレーム20−3000はフレーム20−3004の実施例内に成形された一対の電気端子20−3002の実施例を含んでいる。各電気端子20−3002は雄の端片部20−3006、中間部20−3007、および端部20−3008を含んでいる。中間部20−3007はオスの端片部20−3006と端部20−3008との間でフレーム20−300内に埋め込まれている。内側に延びる端部20−3008は、振動板20−104がフレーム20−3004に結合された後、振動板20−104の導体106に電気的に結合されてもよい。電気的結合は半田付け、コネクタ、摩擦接触、または電気端子20−3002を導体20−106に電気的に接続するその他の機構であってよい。
図20−26、20―27および20−30を参照して前述したような一体に成形された金属部品を有するフレーム20−2600および20−3000の実施例を構成するため、オーバーモールディング技術を利用してもよい。図20−41はフレーム20−2600またはフレーム20−3000と類似したフレームを有する動電型スピーカーを構成する工程を示している。
ステップ20−4102で先ず、磁石20−2704と電気端子20−2612が開放された射出鋳型の空洞内に配置される。融解したプラスチック樹脂が確実に各金属部品の少なくとも一部を覆って、これをフレーム20−2600内に保持するようにするため、磁石20−2704および電気端子20−2612が鋳型内に配置される。射出鋳型はさらに、金属部品の一部をマスクで遮蔽して、選択された部分が融解した樹脂によって接触されないようにする機能をも含んでいる。ステップ20−4104で鋳型が閉じられる。ステップ20−4106で、空洞を充填するため樹脂が注入されてもよい。この工程が完了すると、ステップ20−4108で樹脂が固化され、磁石20−2704と電気端子20−2612とがフレーム20−2600内に固定される。磁石20−2704および電気端子20−2612は前述の目的のため露出された表面を含んでいる。
図20−31乃至20−33を参照すると、スピーカーの別の実施例が参照番号20−3100で示されている。スピーカー20−3100はケースメント20−3102に結合された振動板20−3104を有するケースメント20−3102を含んでいる。スピーカー20−3100はさらに、フレーム20−3106のボデー部20−3110に結合された複数個の磁石20−3108を有するフレーム20−3106をも含んでいる。
ケースメント20−3102はほぼ平行な一対のエンドレール20−3114によって直交して交差するほぼ平行な一対のサイドレール20−3112を含んでいる。振動板20−3104はサイドレール20−3112とエンドレール20−3114の各々の一部内に埋め込まれてもよい。ケースメント20−3102は、振動板20−3104を磁石20−3108から所定距離を隔てて配置するためにフレーム20−3106に結合されている。超音波溶接、スナップ嵌め接続、機械式ファスナ、接着剤による固着、またはその他の適宜の接続方法のような多様な技術を利用して、ケースメント20−3102をフレーム20−3106に結合してもよい。
あるいは、図20−35に示すように、ケースメントを保持器の形式の固定装置によってフレームと結合してもよい。スピーカー20−3500の実施例は保持器20−3502と、ケースメント20−3504と、フレーム20−3506とを含んでいる。ケースメント20−3504はケースメント20−3504の周囲から径方向に突出したフランジ20−3508を含んでいる。同様に、フレーム20−3506はそのボデー部20−3512から径方向に突出したフランジ20−3510を含んでいる。保持器20−35
02はケースメント20−3504をフレーム20−3506と連結するための固定装置である。図示した実施例では、保持器20−3502はフランジ20−3508および20−3510と係合するほぼC字形の断面を有している。フランジ20−3508および
20−3510との固い係合がケースメント20−3504とフレーム20−3506とを相互に連結する。
図20−35の右側に示されているように、保持器20−3502の別の実施例はさらに、スピーカーの取り付け手段を含んでいてもよい。図示した保持器20−3502はフランジ20−3514を貫通するアパーチャ20−3516を有するフランジ20−3514を含んでいる。保持器20−3502上のスピーカーの取り付け手段を利用することで設計上のフレキシビリティが向上する。例えば、ある種の乗物またはボックス内にスピーカーを取り付けるように構成された多様な異なる形状の保持器と共に使用するようにフレームおよび磁石アセンブリを設計してもよい。
保持器20−3502を備えたスピーカーを組み立てるには、フレーム20−3506とケースメント20−3504とが射出鋳型の空洞内に配置されてもよい。保持器20−3502を形成するために、融解した樹脂が空洞内に注入されてもよい。樹脂が固化した後、完成したスピーカー20−3500を鋳型の空洞から取り出すことができる。
特に図20−36および20−37を参照すると、スピーカー20−3600の別の実施例はケースメントおよび振動板サブアセンブリ20−3602の実施例と、フレームおよび磁石アセンブリ20−3604の実施例とを含んでいる。ケースメントおよび振動板サブアセンブリ20−3602はケースメント20−3606と振動板20−3608とを含んでいる。ケースメント20−3606は互いに連結されてアパーチャ20−3614を形成する一対のサイドレール20−3610と一対のエンドレール20−3612とを含んでいる。サイドレール20−3610およびエンドレール20−3612はサイドレール20−3610とエンドレール20−3612とを貫通するアパーチャ20−3615を含んでいる。
フレームおよび磁石サブアセンブリ20−3604は複数の杭20−3618がボデー3617から突起したボデー3617を有するフレーム20−3616を含んでいる。フレーム20−3616はさらにボデー3617から延びている複数の止め具20−3620を含んでいる。図示した止め具20−3620は突刺20−3622を含んでいる。ケースメントおよび振動板サブアセンブリ20−3602をフレームおよび磁石サブアセンブリ20−3604に結合中に、突刺20−3622はケースメント20−3606に係合できる。加えて、杭20−3618はアパーチャ20−3615を貫いて突起していてもよい。杭20−3618の端部を変形させてキャップ20−3700を形成するために、その後で加熱ピン打ちまたは融解工程を実施してもよい。キャップ20−3700がケースメントおよび振動板サブアセンブリ20−3602とフレームおよび磁石サブアセンブリ20−3604との結合を保持してもよい。別の実施例では、ケースメントおよび振動板サブアセンブリ20−3602をフレームおよび磁石サブアセンブリ20−3604に結合するために、接着剤、ラッチ、フック、溶接、スナップ嵌め接続などの他のいずれかの形式の固締機構を使用してもよい。
スピーカー20−3600を製造するため、図20−34に示したような射出鋳型20−3400の実施例が使用される。射出鋳型20−3400は固定プレート20−3402と可動プレート20−3404とを含んでいる。固定プレート20−3402と可動プレート20−3404とはゲート20−3402と連通する空洞20−3406を形成する。ゲート20−3408は融解した樹脂材料20−3410の入り口の役割を果たす。可動プレート20−3404は気密性のダイ・ボデー20−3414内に挿入された通気
性のプレート20−3412を含んでいる。プレート20−3412の背面20−3418に沿って真空チャネル20−3416が配置されている。真空チャネル20−3416は真空供給源(図示せず)に連結されている。可動プレート20−3404はほぼ平坦な表面20−3421から上方に延在する複数のピン20−3420を含んでいる。各ピン20−3420は、射出鋳型20−3400が閉じられると固定プレート20−3402の下表面20−3424と係合する上表面20−3422を含んでいる。
オーバーサイズの、作業工程中の振動板20−3425が射出鋳型20−3400内に挿入されることが図20−34に示されている。オーバーサイズの振動板20−3425は周辺部20−3428によって囲まれた中心部20−3426を含んでいる。周辺部20−3428は空洞20−3406の縁部を越えて延びるオフェージ部20−3430を含んでいる。図20−36および20−37に示されている仕上がった振動板20−3608はオーバーサイズの振動板20−3425からオフェージ部20−3430をトリミングすることによって作製される。振動板20−3608はさらに複数のアパーチャ3432を含んでいる。振動板20−3425に挿入すると、複数のピン20−3420がアパーチャ20−3432を貫いて延び、振動板20−3425は平坦面20−3421上に載る。
ケースメントおよび振動板サブアセンブリの製造中、振動板20−3425の周辺部20−3428、特にオフェージ部20−3430は射出鋳型20−3400の固定プレート20−3402と可動プレート20−3404との間に固締されてもよい。周辺部20−3428が固締されたあと、中心部20−3426は振動板20−3425に張力を誘発するために変移されてもよい。振動板が引っ張られている間、融解したプラスチックが空洞20−3406に注入されてサイドレール20−3610とエンドレール20−3612とを形成する。注入工程中、周辺部20−3428は部分的に融解し、ケースメントを形成する材料と固着されてもよい。次にケースメント材料は冷却され、固化される。ケースメント20−3606に鋳込まれた、引っ張られている振動板20−3608はこの時点で射出鋳型から取り出される。オフェージ部20−3430がトリミングされ、図20−36に示されているように最終的なケースメントおよび振動板アセンブリ20−3602が作製される。ケースメントおよび振動板アセンブリは、前述の金属フレームまたはフレーム20−3616と同類の成形されたフレームを有するスピーカーを含む、異なる多くのスピーカーの設計の範囲内のコンポーネントとして使用されてもよい。
中心部20−3426が引っ張られている間、オフェージ部20−3430を一時的に固定しておくためにピン、クランプ、ノッチ、またはストッパのような幾つかの異なる装置を使用してもよいことが理解されよう。保持装置の1実施例がピン20−3800の形式で図20−38に示されている。ピン20−3800はアパーチャ20−3802と振動板20−3425とを貫いて延在していてもよい。アパーチャ20−3802はオフェージ部20−3430内に位置していてもよい。ピン20−3800は振動板10−10420−3425が引っ張られている間にその周辺部を保持するように配置されてもよい。ピンとして示されているが、振動板20−3425が引っ張られている間にその周辺部を位置決め振動板、保持するためクランプ、ピン、または止め具のような多様な装置を使用してもよい。
図20−38はさらに、参照番号20−3804で示されている射出鋳型の実施例を示している。鋳型20−3804は固定半部20−3806から下方に突起したリッジ20−3808を有する固定半部20−3806を含んでいる。鋳型20−3804はさらに、鋳型の周囲に延在するトラフ20−812を有する可動半部33810を含んでいる。鋳型の閉鎖中、リッジ20−3808は振動板10−10420−3425に接触し、振動板20−3425を強制的にトラフ20−3812に入らせる。この工程中、振動板2
0−3425は引っ張られ、引っ張られた状態に保持される。振動板20−3425に充分な張力が確実に発生されるようにするため、引っ張り中に振動板20−3425の周辺部を保持するためにピン20−3800をリッジ20−3808とトラフ20−3812の外側寄りに配置してもよい。前述のように、その後、融解した樹脂が注入されてケースメント20−3606が形成される。
図20−39を参照すると、スピーカーの別の実施例が参照番号20−3900で示されている。スピーカー20−3900はフレーム20−3902のボデー部20−3906に結合された複数の磁石20−3904を有するフレーム20−3902を含んでいる。弾性バンパ20−3908の実施例がフレーム20−3902に連結されていてもよい。弾性バンパ20−3908はフレーム20−3902のほぼ周囲に延在している。弾性バンパ20−3908は固体弾性部材、密閉セルのフォームまたはその他の弾性材料のような、変形後にサイズと形状を回復可能な材料から製造されてもよい。弾性版パ20−3908はフレーム20−3902の周囲に結合され、ほぼ周辺に延在していてもよい。
弾性バンパ20−3908は接着剤または機械式ファスナを使用してフレーム20−3902に装着してもよい。弾性バンパ20−3908はさらに、射出鋳型を使用してフレーム20−3902に鋳込まれてもよい。例えば、フレームが射出成形されたプラスチックから構成されている場合は、先ずフレーム20−3902を鋳型内で形成してもよい。次に、フレーム20−3902上に弾性バンパ20−3908を形成するために、ポリビニルのような弾性材料を鋳型に注入してもよい。あるいは、弾性バンパ20−3908を別の鋳型内で形成して、接着剤、機械式ファスナ、溶接などによってフレーム20−3902と結合してもよい。
スピーカー20−3900の実施例の組み立て中、矢印20−3910で示される方向に外部からの力を加えることによって、弾性バンパ20−3908が圧縮される。振動板20−3912が接着剤、機械式ファスナ、溶接などによってバンパ20−3908に結合されている間、圧縮力が保持されてもよい。振動板20−3912が弾性バンパ20−3908に固定的に結合されてしまうと、弾性バンパ20−3908を圧縮する外部からの力は取り除かれてもよい。次に弾性バンパ20−3908は元の圧縮されない形状に戻ろうとするが、振動板20−3912によって抵抗される。平衡状態に達し、その結果、振動板20−3912が引っ張られる。弾性バンパ20−3908はフレーム20−3902の周囲全体に延在していてもよい。あるいは、弾性バンパ20−3908はフレーム20−3902の反対側に沿って選択的に位置している複数の弾性の小部分であってもよい。
図20−40は少なくとも1つの弾性バンパ20−4002の別の実施例を含むスピーカー20−4000の別の実施例を示している。この実施例の弾性バンパ20−4002は弾性材料で形成された中空部材でもよい。図20−39と同様に、弾性バンパ20−4002はフレーム20−3902の周辺部に結合されてもよい。
スピーカー20−4000の組み立て中、弾性バンパ20−4002は矢印20−4004の方向に外部からの力を加えることによって圧縮されてもよい。振動板20−3912がバンパ20−20−4002に結合されている間、圧縮力は保持されてもよい。振動板20−3912が弾性バンパ20−4002に固定的されてしまうと、バンパ20−4002を圧縮する外部からの力は取り除かれてもよい。弾性バンパ20−4002が圧縮されない形状に戻ろうとする傾向は振動板20−3912によって抵抗される。平衡状態に達し、その結果、振動板20−3912が引っ張られる。
図28−5を参照すると、本発明の1実施形態が示されている。この実施形態では、指
向性の修正は振動板28−204の近傍に音響レンズ28−500を配置することによって達成される。音響レンズ28−500はボデーを貫通して延びる放射音響アパーチャ28−504を有するほぼ平坦なボデー28−502を含んでいる。アパーチャ28−504はほぼ、長さ28−506と幅28−508とを有する細長いスロットの形状である。リップ28−510はボデー28−502の周囲に延在し、フレーム28−200の一部と選択的に係合可能である。このように、音響レンズ28−500のボデー28−502は振動板28−204の近傍に、これと間隔を隔てて配置されている。音響レンズ28−500は前述の格子28−228と同様に機能してもよく、または振動板28−204と格子28−228との間に配置されてもよい。好適には、ボデー28−502は射出成形プラスチックのような音響的に実質的に不透過性の材料から形成される。音響レンズ28−500はさらに、音響レンズ28−500を所望の環境に取り付けるための複数のフランジ28−512を含んでいる。
図28−7は図28−6に示したと同じであるが、音響レンズ28−500を振動板の前に配置した動電型スピーカーの水平ポーラ特性を示している。比較の根拠として、スピーカー28−100は約53ミリメートルである放射振動板の幅を呈している。音響レンズなしのスピーカーの指向性は周波数の上昇と共に狭まり、約5kHzから始まる。振動板
28−204の近傍に音響レンズ28−500を配置した場合、細長い音響アパーチャ28−504の幅28−508がスピーカー28−100の有効な放射アパーチャを規定する。図示した実施例では、アパーチャの幅と放射は幅のサイズは16ミリメーターである。図28−7に示したように、音響レンズ28−500を備えたスピーカーの指向性は、周波数が12kHz以上になるまでは狭くなり始めない。さらに、放射幅は15kHzで比較的広い。スピーカー28−100およびレンズ28−500の形状とサイズは例示したものであるに過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解されよう。
より詳細な比較のため、図28−8乃至28−14は直接放射式動電型スピーカーと、振動板の近傍に音響レンズ28−500を配置した同じスピーカーのポーラ特性グラフを並置して示している。図28−8乃至28−14では、ビーム幅の角度は、音圧レベルが最大振幅からわずか6デシベルしか低下しない角度として示されている。中間周波から低周波では、レンズ28−500はスピーカーの感度、パワー・ハンドリング、および最高音圧レベルには最小限の効果しかない。
スピーカーの指向性パターンは振動板の放射領域の寸法によって、またレンズの場合は放射音響アパーチャの寸法によって規定される。下記の方程式は放射領域の幅または長さの寸法に対する特定の距離および角度での音圧を定義するものである。
ただし、d=放射領域の長さである。
i. θ=放射面に対して垂直で、dと平行な平面上の観察点に対する放射面の中心から
の角度
ii. ρ
0=角度θ=0におけるアレイからの距離r1.でのrms音圧の大きさ
iii. λ=波長
図28−15は指向性の修正が音響レンズを貫いて延びるアパーチャのサイズ、形状、および配向によって左右されることを示している。これは測定装置に対して音響アパーチャ28−504の位置を保持しつつ、動電型スピーカー28−100を回転させることによって実証される。図示した5つの各ポーラ特性グラフはスピーカー28−100の異なる角位置に対応している。グラフが示すように、指向性はスピーカーの角配向に関わりなく実質的に一定に保たれる。したがって、ドライバの振動板の近傍への音響アパーチャの適切な位置決めとサイズの設定によって指向性の修正の成功が達成される。ドライバの物理的サイズと形状は、本発明の音響レンズと共に使用される場合、指向性の制御にほとんど、もしくは全く寄与しない。したがって、スピーカーの指向性の修正は音響レンズをスピーカーの振動板の近傍に配置することによって達成できる。
動電型プレーナ・スピーカーの三次元の指向性パターンをモデリングしてもよい。下記の方程式は無数のバッフル内での方形ラジエータについての指向性パターンを定義している。
指向性パターン:=
ただし、d
1=放射領域の長さ
i. d
2=放射波長の幅
ii. θ
1=放射面に対して垂直で、d
1と平行な平面上の観察点に対する放射面の中
心からの角度
iii. θ
2=d1にd2を代入したθ
1と同じ
iv. λ=波長
図28−16乃至28−25は長さ165mmX幅53mmのラジエータを有するスピーカ
ーと、長さ165mmX幅16mmのラジエータを有するスピーカーとの比較を示す。前述の
ように、グラフは寸法が約165mmX幅53mmの方形の振動板を有する動電型プレーナ・
スピーカーを表している。第2組のグラフは貫通する長さ165mmX幅16mmのスロット
を有する本発明の音響レンズ28−500を備えた同じスピーカーを表している。幅53mmの放射アパーチャは約5kHzで始まり、狭まってゆく水平指向性を生ずることが当業者
には理解されよう。幅16mmの放射アパーチャを有する音響レンズを備えたスピーカーは16kHzまで広い指向性を維持する。双方の装置の垂直指向性は、周波数の上昇と共に狭
まりながら、互いに同様の状態を保つ。
さらに、本明細書の発明的コンセプトを利用することによって、当業者は所定の周波数範囲の指向性を修正するために適応された多様な音響レンズを構成できることが示されてきた。さらに、本発明による音響レンズを繊維、金属、プラスチック、複合材料、またはその他の適宜の材料を含むいずれかの材料から構成してもよいことが理解されよう。
本発明の様々な実施形態を記載してきたが、本発明の範囲内で他の実施形態および実装が可能であることが当業者には明らかであろう。したがって、本発明は添付の請求項およびそれと同等の内容に照らす以外には限定されない。
本発明は下記の図面を参照することでより明解に理解することが可能である。図中の構成部品は必ずしも縮尺どおりではなく、本発明の原理を説明するために強調が加えられている。図中、同様の参照番号は異なる図面を通して対応する部品を示す。