JP2007208275A - 電磁波シールド性と透明性、非視認性および反り特性の良好な電磁波シールド材料及び該電磁波シールド材料を用いたディスプレイ - Google Patents

電磁波シールド性と透明性、非視認性および反り特性の良好な電磁波シールド材料及び該電磁波シールド材料を用いたディスプレイ Download PDF

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Abstract

【課題】透明性、非視認性および良好な反り特性を有し、しかも連続生産が可能なディスプレイ前面から発生する電磁波のシールド性に優れた透明性を有する電磁波シールド材料及びそれを用いたディスプレイを提供する。
【解決手段】透明プラスチック基板の両面に接着剤層を介して透明プラスチックフィルムを貼りあわせ、一方の透明プラスチックフイルムに導電性材料で形成したライン幅が25μm以下、ライン間隔が500μm以上、ライン厚みが18μm以下である幾何学図形を有した構造体とする。この電磁波シールド材料をディスプレイに用いる。
【選択図】なし

Description

本発明はCRT、PDP(プラズマ)、液晶、ELなどのディスプレイ前面から発生する電磁波をシールドするための電磁波シールド材料及びその電磁波シールド材料を用いたディスプレイに関する。
近年各種の電気設備や電子応用設備の利用が増加するのに伴い、電磁気的なノイズ妨害(Electro−Magnetic Interference;EMI)も増加の一途をたどっている。 ノイズは大きく分けて伝導ノイズと放射ノイズに分けられる。伝導ノイズの対策としては、ノイズフィルタなどを用いる方法がある。一方、放射ノイズの対策としては、電磁気的に空間を絶縁する必要があるため、筐体を金属体または高導電体にするとか、回路基板と回路基板の間に金属板を挿入するとか、ケーブルを金属箔で巻き付けるなどの方法が取られている。これらの方法では、回路や電源ブロックの電磁波シールド効果は期待できるが、CRT、PDPなどのディスプレイ前面より発生する電磁波のシールドにおいては、透明性が必須であるため適用が困難であった。
電磁波シールド性と透明性を両立させる方法として、透明性基材上に金属または金属酸化物を蒸着して薄膜導電層を形成する方法(特許文献1、特許文献2参照)が提案されている。一方、良導電性繊維を透明基材に埋め込んだ電磁波シールド材(特許文献3、特許文献4参照)や金属粉末等を含む導電性樹脂を透明基板上に直接印刷した電磁波シールド材料(特許文献5、特許文献6参照)、さらには、厚さが2mm程度のポリカーボネート等の透明基板上に透明樹脂層を形成し、その上に無電解めっき法により銅のメッシュパターンを形成した電磁波シールド材料(特許文献7参照)が提案されている。
特開平1−278800号公報 特開平5−323101号公報 特開平5−327274号公報 特開平5−269912号公報 特開昭62−57297号公報 特開平2−52499号公報 特開平5−283889号公報
電磁波シールド性と透明性を両立させる方法として、特許文献1、特許文献2に示されている透明性基材上に金属または金属酸化物を蒸着して薄膜導電層を形成する方法は、透明性が達成できる程度の膜厚(数100Å〜2、000Å)にすると導電層の表面抵抗が大きくなりすぎるため、1GHzで要求される30dB以上のシールド効果に対して20dB以下と不十分であった。良導電性繊維を透明基材に埋め込んだ電磁波シールド材(特許文献3、特許文献4)では、1GHzの電磁波シールド効果は40〜50dBと十分大きいが、電磁波漏れのないように導電性繊維を規則配置させるために必要な繊維径が35μmと太すぎるため、繊維が見えて(以後視認性という)しまったり、埋め込まれた繊維によって繊維近傍の樹脂等が変形し、シールド材を通して見える画像が歪んでしまうという欠点があるためディスプレイ用途には適したものではなかった。また、特許文献5、特許文献6の金属粉末等を含む導電性樹脂を透明基板上に直接印刷した電磁波シールド材料の場合も同様に、印刷精度の限界からライン幅は100μm前後となり、視認性が発現するため適したものではなかった。
さらに特許文献7に記載の厚さが2mm程度のポリカーボネート等の透明基板上に透明樹脂層を形成し、その上に無電解めっき法により銅のメッシュパターンを形成したシールド材料では、無電解めっきの密着力を確保するために、透明基板の表面を粗化する必要がある。この粗化手段として、一般にクロム酸や過マンガン酸などの毒性の高い酸化剤を使用しなければならず、この方法は、ABS以外の樹脂では、満足できる粗化を行うことは困難となる。また製造面においては、シールド材料を巻物等にすることができないため嵩高くなることや自動化に適していないために製造コストがかさむという欠点もある。ディスプレイ全面から発生する電磁波のシールド性の他に良好な可視光透過性、さらに可視光透過率が大きいだけでなく、シールド材の存在を肉眼で確認することができない特性である非視認性も必要とされる。
一方、フラットパネルであるPDPディスプレイではその前面パネルに反りの小さいものが要求される。一般的に反りの抑制には対称構造をとるものが有効とされ、接着剤を介して接着剤の両面に厚さが等しい透明プラスチック基板を配置した構造体が考えられる。しかし、ディスプレイの前面パネルは、ガラスの割れ防止、取扱い性等から、通常2〜5mmの厚さが必要となるため、接着剤への熱伝導を考慮すると、この構造体を製造するためにはプレス工程が必須となる。また、ディスプレイの前面パネルに、防眩処理や反射防止処理を行う場合、透明プラスチック基板に直接処理を行うことになり、バッチ式の処理方法とならざるを得ない。この2点から、上記構造体を製造するには、連続生産が困難でコストが高くなるという課題がある。本発明はかかる点に鑑み、連続生産性が可能な電磁波シールド性と透明性・非視認性および反りが小さい良好な反り特性を有する電磁波シールド材及びそれを用いたディスプレイを提供することを目的とする。
本発明の請求項1に記載の発明は、連続生産が可能な電磁波シールド性と透明性、非視認性および反り特性の良好な電磁波シールド材料を提供するため、透明プラスチック基板と、この基板の両面に接着剤層を介して貼りあわされた透明プラスチックフィルムとを備え、かつ上記一方の透明プラスチックフイルムに導電性材料で形成された幾何学図形を有し、幾何学図形を構成するラインの幅が25μm以下、ライン間隔が500μm以上、ラインの厚みが18μm以下である構造体とするものである。請求項2に記載の発明は、本構造体に防眩性または反射防止性を付与させるために、透明プラスチック基板に接着剤層を介して貼りあわされる透明プラスチックフイルムのうち、少なくとも一方の透明プラスチックフイルムの表面に防眩処理または反射防止処理を施すものである。請求項3に記載の発明は、本構造体に赤外線遮蔽性を付与させるために、透明プラスチック基板に接着剤層を介して貼りあわされる透明プラスチックフイルムのうち、少なくとも一方の透明プラスチックフイルムの背面もしくは、透明プラスチック基板に貼りあわせる接着剤中に赤外線吸収剤を添加するものである。請求項4に記載の発明は、本構造体を連続的に生産するために、透明プラスチック基板の両面に貼りあわされる透明プラスチックフイルムを、ロールラミネート法により透明プラスチック基板に貼りあわせるものである。請求項5に記載の発明は、透明性、安価、耐熱性良好で取り扱い性に優れた電磁波シールド材料を提供するため、透明プラスチックフィルムをポリエチレンテレフタレートフィルムとするものである。請求項6に記載の発明は、加工性や密着性に優れた安価な電磁波シールド材を提供するため、導電性材料の厚みが3〜18μmの銅、アルミニウムまたはニッケルの金属箔を使用するものである。請求項7に記載の発明は、退色性が小さく、コントラストの大きい電磁波シールド材料を提供するため、導電性材料を銅として、その表面が黒化処理されていることを特徴とするものである。請求項8に記載の発明は、加工性が容易で安価に製造が可能な電磁波シールド材料を提供するため、透明プラスチックフィルムの表面に導電性材料で形成された幾何学図形がケミカルエッチングプロセスにより形成されたものであることを特徴とするものである。請求項9に記載の発明は、透明性と加工性に優れた電磁波シールド材料を提供するため、透明プラスチック基板をポリメチルメタアクリレート(PMMA)とするものである。請求項10に記載の発明は、透明性に優れた電磁波シールド材料を提供するため、接着剤の屈折率と透明プラスチック基材(透明プラスチックフィルムと透明プラスチックフィルムに導電性材料を接着するための接着剤を含む)の屈折率の差を0.14以下とするものである。接着剤には、透明プラスチックフィルムに導電性材料を接着するための接着剤1や透明プラスチックフィルムを透明プラスチック基材に接着するための接着剤2が有るが、本発明でいう屈折率の差とは、接着剤2と接着剤1及び接着剤2と透明プラスチックフィルムとの屈折率の差である。請求項11に記載の発明は、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の電磁波シールド材料をディスプレイに用いたものである。また、本発明は、電磁波を発生する測定装置、測定機器や製造装置の内部をのぞく窓や筐体に設けて電磁波をシールドすることや電磁波から装置、機器を守るため筐体、特に透明性を要求される窓のような部位に設けても良い。
本発明で得られる電磁波シールド材料及びこれを用いたディスプレイは、実施例からも明らかなように、電磁波漏れがなくシールド機能が特に良好である。また可視光透過率、非視認性、像鮮明性などの光学的特性が良好で反りがなく、しかも高温で長時間にわたっての光学特性に変化が少なく良好である。また、透明プラスチック基板の両面にロールラミネートにより接着フイルムを貼りあわせることが可能であることから、生産性にも優れた電磁波シールド材料を提供することができる。また請求項2に記載の反射防止処理または防眩処理により、電磁波シールド材料に反射防止性または、防眩性を付与することができる。請求項3に記載の赤外線吸収剤の添加により赤外線遮蔽処理を行うことで、電磁波シールド材料の900〜1100nmにおける赤外線遮蔽率が90%以上となる。請求項4に記載のロールラミネート法により透明プラスチックフイルムを透明プラスチック基板に貼りあわせることで、連続生産が可能となる。請求項5に記載の透明プラスチックフィルムをポリエチレンテレフタレートフィルムとすることにより、透明性、耐熱性が良好な上、安価で取り扱い性に優れた電磁波シールド材料を提供することができる。請求項6に記載の導電性材料の厚みが、3〜18μmの銅、アルミニウムまたはニッケルの金属箔を使用することにより、加工性に優れ、安価で広視野角の電磁波シールド材料を提供することができる。請求項7に記載の導電性材料を銅として、少なくともその表面を黒化処理されたものとすることにより、退色性が小さく、コントラストの大きい電磁波シールド材料を提供することができる。請求項8に記載の透明プラスチックフィルム上の幾何学図形をケミカルエッチングプロセスにより形成させることにより、加工性に優れた電磁波シールド材料を提供することができる。請求項9に記載の透明プラスチック基板をPMMAとすることにより、透明性と加工性に優れた電磁波シールド材料を提供することができる。請求項10に記載の接着剤の屈折率と透明プラスチック基材(透明プラスチック又は導電性材料を接着剤を介して透明プラスチックに接着させている場合は、その接着剤)の屈折率の差を0.14以下とすることにより、透明性に優れた電磁波シールド材料を提供することができる。これらにより得られた電磁波シールド材料をディスプレイに用いると、電磁波シールド性に優れしかも可視光透過率が高く、非視認性が良好でヘイズ、反射が小さくいので鮮明な画像を快適に鑑賞することができる。しかも、ディスプレイから放射される赤外線を有効に遮断するのでリモコンなどを使用する機器への誤動作を与えない。
以下本発明を詳細に説明する。本発明中の透明プラスチック基板とは、無色透明性を有するものが好ましいが、淡色であっても透明性を有すれば良く特に限定されるものではない。厚みが0.5〜10mmで、全光線透過率が50%以上、好ましくは80%以上である基板が特に好ましい。これらの基板の代表的なものとしては、ポリカーボネート、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルケトン、アクリロニトリル−スチレン共重合体等が挙げられる。
本発明中の透明プラスチックフィルムとはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、EVAなどのポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂などのプラスチックからなるフィルムで全可視光透過率が70%以上のものをいう。これらは単層で使うこともできるが、2層以上を組み合わせた多層フィルムとして使ってもよい。このうち透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、価格の点からポリエチレンテレフタレートが最も適している。この基材厚みは5〜200μmが好ましい。5μm未満だと取り扱い性が悪くなり、200μmを越えると可視光の透過率が低下する。10〜100μmがより好ましく、25〜50μmが最も好ましい。本発明中の透明プラスチックフイルムとしては、必要に応じてその作製時に赤外線吸収剤を添加して成形されたプラスチックフイルムを使用してもよい。
本発明中における反射防止処理とは、可視光の反射を防止することにより可視光の透過率を増加させることをいう。この反射防止効果は塗布厚と屈折率によって最小反射波長が規定され次式(数1)によって示される。
Figure 2007208275
すなわち、nは物質によって定まるので、膜厚の調節によって反射率最小の(透過率最大)の波長を選択することができる。また、反射防止処理には、透明プラスチックフイルムとは異なる屈折率を有する単層構造または2層以上の多層構造とされたものを含む。単層構造のものでは、透明プラスチックフイルムに比べ小さな屈折率を有する材料が選定される。一方、反射防止効果により優れる多層構造とする場合、透明プラスチックフイルムに比べ大きな屈折率を有する材料層を設け、この上にこれより小さな屈折率を有する材料層を設けるというように隣接層相互間で屈折率の異なる材料構成とするのが好ましい。より好ましくは3層以上の多層構造として最外層の屈折率がこれに隣接する下層の屈折率よりも小さくなるような材料構成とするのがよい。反射防止処理により、このような反射防止層を構成させるための材料としては、公知のいかなる材料を使用してもよいが、例えば、CaF、MgF、NaAlF、Al、SiOx(x=1〜2)、ThF、ZrO、Sb、Nd、SnO、TiO、などの誘電体が挙げられ、その屈折率及び膜厚が前記関係を満たすように適宜選択される。反射防止層の形成は、上記の材料を真空蒸着、イオンプレーテング、スパッタなどの方法により行うこともできる。
本発明中の防眩処理とは、ディスプレイのちらつき感や目の疲れを防止するものであり、このような防眩処理層を構成させるための材料としては公知のいかなる材料を使用してもよいが、好ましくは無機のシリカを含む層である。かかる無機シリカ層が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ系樹脂、ポリイソプレン、ポリ−1、2−ブタジエン、ポリイソブテン、ポリブテンなどのジエン系樹脂、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、t−ブチルアクリレートなどからなるポリアクリル酸エステル共重合体、ポリビニルアセテート、ポリビニルプロピオネートなどのポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、EVAなどのポリオレフィン系樹脂及びシリコン系樹脂などの硬化型樹脂中に分散結着された硬化皮膜が防眩処理層として好ましく用いられる。
この防眩処理層の形成に際しては、まず架橋・硬化型樹脂中にシリカ粒子を配合し必要に応じて帯電防止剤、重合開始剤、硬化剤、促進剤などの各種の添加剤を加えてなる組成物を、通常溶剤で希釈して固形分が約20〜80重量%となる処理剤を調製する。ここで用いるシリカ粒子は、非晶質で多孔性のものであり、代表例としてシリカゲルを挙げることができる。平均粒子径としては、通常30μm以下、好ましくは2〜15μm程度であるのが良い。また、配合割合は樹脂100重量部に対してシリカ粒子が0.1〜10重量部となるようにするのが好ましい。少なすぎると防眩効果に乏しく、また、多いと可視光線透過率や皮膜強度を失することになる。
次に上記の処理剤を透明プラスチックフイルムの一面に適当な手段例えば一般的な溶液塗工手段であるグラビアコータ、リバースコータ、スプレーコータなどの手段により乾燥後の膜厚が通常5〜30μm程度となるように塗布し、加熱乾燥後、紫外線照射、電子線照射あるいは加熱により架橋・硬化させる。このようにして得られるシリカ粒子含有の皮膜からなる防眩処理層は、この処理層を有する透明プラスチックフイルムを透明プラスチック基板に貼りあわせたとき、この基板に対して良好な防眩性を付与し、かつ皮膜の硬度が高くて耐スクラッチ性に優れているため、透明プラスチック基板の耐摩傷性の向上に大きく寄与することになる。なお、このような防眩処理層の形成に先立って、被着面、すなわち透明プラスチックフイルムの表面に対し前処理としてコロナ放電処理、プラズマ処理、スパッタエッチング処理、易接着処理を施してもよく、これにより上記透明プラスチックフイルムと防眩処理層との密着性を高めることができる。
次に接着剤中に赤外線吸収剤を添加し赤外線遮蔽性を付与させる方法としては、酸化鉄、酸化セリウム、酸化スズや酸化アンチモンなどの金属酸化物、またはインジウム−スズ酸化物(以下ITO)、六塩化タングステン、塩化スズ、硫化第二銅、クロム−コバルト錯塩、チオール−ニッケル錯体またはアミニウム化合物、ジイモニウム化合物(日本化薬株式会社製)などの赤外線吸収剤を接着剤に添加する。赤外線吸収剤を含む接着剤あるいはバインダー樹脂中に分散させた組成物を透明プラスチックフィルムに接着剤層を形成した面の上または透明プラスチックフィルム面若しくは透明プラスチック基板面に直接塗布して使うことができる。また、赤外線吸収剤は、透明プラスチック基板や透明プラスチックフィルム中に配合しても良く、この方法も好ましい。これらの赤外線吸収剤のうち、最も効果的に赤外線を吸収する効果があるのは、硫化第二銅、ITO、アミニウム化合物、ジイモニウム化合物などである。ここで注意すべきことはこれらの赤外線吸収剤の一次粒子の粒径である。粒径が赤外線の波長より大きすぎると遮蔽効率は向上するが、粒子表面で乱反射が起き、ヘイズが増大するため透明性が低下する。一方、粒径が赤外線の波長に比べて短かすぎると遮蔽効果が低下する。好ましい粒径は0.01〜5μmで0.1〜3μmがさらに好ましい。これらの赤外線吸収剤は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ系樹脂、ポリイソプレン、ポリ−1、2−ブタジエン、ポリイソブテン、ポリブテンなどのジエン系樹脂、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、t−ブチルアクリレートなどからなるポリアクリル酸エステル共重合体、ポリビニルアセテート、ポリビニルプロピオネートなどのポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、EVAなどのポリオレフィン系樹脂などのバインダー樹脂中に均一に分散される。その配合の最適量は、バインダー樹脂100重量部に対して赤外線吸収剤が0.01〜10重量部であるが、0.1〜5重量部がさらに好ましい。0.01重量部未満では赤外線遮蔽効果が少なく、10重量部を超えると透明性が損なわれる。これらの組成物は透明プラスチックフィルムの接着剤層面またはそれと反対面の透明プラスチックフィルム背面、また、透明プラスチック基板に0.1〜10μmの厚さで塗布される。塗布された、赤外線吸収剤を含む組成物は熱やUVを使って硬化させてもよい。一方、赤外線吸収剤は接着剤層に直接混合して使うことも可能である。その際の添加量は接着剤の主成分となるポリマー100重量部に対して効果と透明性から、0.1〜5重量部が好ましい。
本発明中における、透明プラスチックフイルムを透明プラスチック基板の両面に貼りあわせる方法としては、プレス機やロールラミネート機を用いて透明プラスチック基板の両面に接着剤層を介して透明プラスチックを貼りあわせる方法が考えられるが、作業性、生産性を考慮すると、ロールラミネート機を用いて貼りあわせることが特に好ましい。貼りあわせ時の温度としては、接着剤層のTg、架橋・硬化温度及び透明プラスチック基板のTg等を考慮して適宜選択されるが、100℃〜300℃の範囲が好ましい。温度が低すぎると接着性が不十分であったり、温度が高すぎると接着剤の染み出し、透明プラスチック基板の変形が起ることがある。
本発明の導電性材料としては銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、銀、ステンレス、タングステン、クロム、チタンなどの金属の内の1種または2種以上を組み合わせた合金を使うことができる。導電性、回路加工の容易さ、価格の点から銅、アルミニウムまたはニッケルが適しており、厚みが3〜18μmの金属箔であることが好ましい。厚みが18μmを超えると、ライン幅の形成が困難であったり、視野角が狭くなり、厚みが3μm未満では、表面抵抗が大きくなり、電磁波シールド効果に劣るためである。また3μm未満の金属箔は取り扱い性が困難となる。導電性材料が銅であり、少なくともその表面が黒化処理されたものであると、コントラストが高くなり好ましい。また導電性材料が経時的に酸化され退色されることが防止できる。黒化処理は、幾何学図形の形成前後で行えばよいが、通常形成後において、プリント配線板分野で行われている方法を用いて行うことができる。例えば、亜塩素酸ナトリウム(31g/l)、水酸化ナトリウム(15g/l)、燐酸三ナトリウム(12g/l)の水溶液中、95℃で2分間処理することにより行うことができる。また導電性材料が、常磁性金属であると電場シールド性のほかに、磁場シールド性に優れるために好ましい。かかる導電性材料を透明プラスチックフィルムに密着させる方法としては、アクリルやエポキシ系樹脂を主成分とした接着剤を介して貼り合わせるのが最も簡便である。導電性材料の導電層の膜厚を小さくする必要がある場合は真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレート法、化学蒸着法、無電解・電気めっき法などの薄膜形成技術のうちの1または2以上の方法を組み合わせることにより達成できる。導電性材料の膜厚は18μm以下のものが適用できるが、膜厚が小さいほどディスプレイの視野角が広がり電磁波シールド材料として好ましく、12μm以下とすることがさらに好ましい。
本発明中の幾何学図形とは正三角形、二等辺三角形、直角三角形などの三角形、正方形、長方形、ひし形、平行四辺形、台形などの四角形、(正)六角形、(正)八角形、(正)十二角形、(正)二十角形などの(正)n角形、円、だ円、星型などを組み合わせた模様であり、これらの単位の単独の繰り返し、あるいは2種類以上組み合わせで使うことも可能である。電磁波シールド性の観点からは三角形が最も有効であるが、可視光透過性の点からは同一のライン幅なら(正)n角形のn数が大きいほど開口率が上がり、可視光透過性が大きくなるので有利である。このような幾何学図形を形成させる方法としては、上記導電性材料付きの透明プラスチックフィルムをケミカルエッチングプロセスによって作製するのが加工性の点から効果的である。その他に幾何学図形を形成したマスクを用いて透明プラスチックフィルム基材上に配した感光性樹脂層を露光、現像し、無電解めっきや電気めっきと組合せて幾何学図形を形成する方法などがある。
このような幾何学図形のラインの幅は25μm以下、ライン間隔は500μm以上、ラインの厚みは18μm以下の範囲とされる。また幾何学図形の非視認性やシールド材の外観などの観点からラインの幅は20μm以下、可視光透過率の点からライン間隔は500μm以上、ラインの厚みは12μm以下とするのがさらに好ましい。ライン間隔は、大きいほど可視光透過率は向上するが、この値が大きくなり過ぎると、電磁波シールド性が低下するため、5mm以下とするのが好ましい。なお、ライン間隔は、幾何学図形の組合せ等で複雑となる場合、繰り返し単位を基準として、その面積を正方形の面積に換算し、その一辺の長さをライン間隔とする。
本発明中の導電性材料で形成された幾何学図形を有する透明プラスチックフイルムを透明プラスチック基板に貼りあわせる方法としては、ケミカルエッチングプロセスにより幾何学図形が形成された後、さらに下記する接着剤により幾何学図形の一部または全面を被覆して、その接着剤を介してプラスチック基板に貼りあわせてもよいし、又は接着剤を被覆せずに幾何学図形が形成されている面をプラスチック基板に貼りあわせてもよい。幾何学図形を接着剤層により被覆した場合、若しくは被覆しない場合、貼りあわせるときの熱と圧力により幾何学図形が接着剤層もしくは透明プラスチック基板に埋まり込み、導電性材料と透明プラスチックフイルムを貼りあわせた接着剤層と透明プラスチック基板が接触することが可能となるため透明プラスチックフイルムと透明プラスチック基板の良好な接着性が得られる。
次に本発明で使用する導電性材料と透明プラスチックフイルムを貼りあわせるための接着剤、幾何学図形の一部または全面を被覆する接着剤及び幾何学図形の形成された透明プラスチックフイルムの反対面の透明プラスチックフイルムを透明プラスチック基板に貼りあわせる接着剤は、透明プラスチックフィルム若しくは透明プラスチック基板との屈折率の差が0.14以下のものが好ましい。これは透明プラスチックフィルム、基板と接着剤の屈折率が異なると可視光透過率が低下するためであり、屈折率の差が0.14以下であると可視光透過率の低下が少なく良好となる。そのような要件を満たす接着剤の材料としては、透明プラスチックフィルムがポリエチレンテレフタレート(n=1.575;屈折率)の場合、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ポリアルコール・ポリグリコール型エポキシ樹脂、ポリオレフィン型エポキシ樹脂、脂環式やハロゲン化ビスフェノールなどのエポキシ樹脂(いずれも屈折率が1.55〜1.60)を使うことができる。エポキシ樹脂以外では天然ゴム(n=1.52)、ポリイソプレン(n=1.521)、ポリ−1、2−ブタジエン(n=1.50)、ポリイソブテン(n=1.505〜1.51)、ポリブテン(n=1.513)、ポリ−2−ヘプチル−1、3−ブタジエン(n=1.50)、ポリ−2−t−ブチル−1、3−ブタジエン(n=1.506)、ポリ−1、3−ブタジエン(n=1.515)などの(ジ)エン類、ポリオキシエチレン(n=1.456)、ポリオキシプロピレン(n=1.450)、ポリビニルエチルエーテル(n=1.454)、ポリビニルヘキシルエーテル(n=1.460)、ポリビニルブチルエーテル(n=1. 456)などのポリエーテル類、非晶質ポリエチレンテレフタレート(n=1.575)、ポリビニルアセテート(n=1.467)、ポリビニルプロピオネート(n=1.467)などのポリエステル類、ポリウレタン(n=1.5〜1.6)、エチルセルロース(n=1.479)、ポリ塩化ビニル(n=1.54〜1.55)、ポリアクリロニトリル(n=1.52)、ポリメタクリロニトリル(n=1.52)、ポリスルホン(n=1.633)、ポリスルフィド(n=1.6)、フェノキシ樹脂(n=1.5〜1.6)などを挙げることができる。これらは好適な可視光透過率を発現する。
一方、プラスチック基材がアクリル樹脂の場合、上記の樹脂以外に、ポリエチルアクリレート(n=1.469)、ポリブチルアクリレート(n=1.466)、ポリ−2−エチルヘキシルアクリレート(n=1.463)、ポリ−t−ブチルアクリレート(n=1.464)、ポリ−3−エトキシプロピルアクリレート(n=1.465)、ポリオキシカルボニルテトラメタクリレート(n=1.465)、ポリメチルアクリレート(n=1.472〜1.480)、ポリイソプロピルメタクリレート(n=1.473)、ポリドデシルメタクリレート(n=1.474)、ポリテトラデシルメタクリレート(n=1.475)、ポリ−n−プロピルメタクリレート(n=1.484)、ポリ−3、3、5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート(n=1.484)、ポリエチルメタクリレート(n=1.485)、ポリ−2−ニトロ−2−メチルプロピルメタクリレート(n=1.487)、ポリ−1、1−ジエチルプロピルメタクリレート(n=1.489)、ポリメチルメタクリレート(n=1.490)などのポリ(メタ)アクリル酸エステルが使用可能である。これらのアクリルポリマーは必要に応じて、2種以上共重合してもよいし、2種類以上をブレンドして使うことも可能である。
さらにアクリル樹脂とアクリル以外との共重合樹脂としてはエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレートなども使うこともできる。特に接着性の点から、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートが優れており、エポキシアクリレートとしては、1、6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、アリルアルコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル等の(メタ)アクリル酸付加物が挙げられる。エポキシアクリレートは分子内に水酸基を有するため接着性向上に有効であり、これらの共重合樹脂は必要に応じて、2種以上併用することができる。接着剤の主成分となるポリマーの重量平均分子量は、1、000以上のものが使われる。分子量が1、000以下だと組成物の凝集力が低すぎるために被着体への密着性が低下する。
接着剤の架橋・硬化剤としてはトリエチレンテトラミン、キシレンジアミン、N−アミノテトラミン、ジアミノジフェニルメタンなどのアミン類、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水ドデシルコハク酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの酸無水物、ジアミノジフェニルスルホン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ポリアミド樹脂、ジシアンジアミド、イミダゾール類などを使用することができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。これらの架橋・硬化剤の添加量は上記ポリマー100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部の範囲で選択するのがよい。この量が0.1重量部未満であると架橋・硬化が不十分となり、50重量部を超えると過剰架橋・硬化となり、接着性に悪影響を与える場合がある。本発明で使用する接着剤樹脂組成物には必要に応じて、希釈剤、可塑剤、酸化防止剤、赤外線吸収剤、色素、充填剤や粘着付与剤などの添加剤を配合してもよい。そしてこの接着剤の樹脂組成物は、透明プラスチック基材の表面に導電性材料で形成された幾何学図形を含む基材の一部または全面を被覆するために、塗布され、溶媒乾燥、加熱硬化工程を経たのち、貼りあわされ本発明に係わる電磁波シールド材料にする。
本発明は、透明プラスチックフィルム上の導電性材料が除去された部分は密着性向上のために意図的に凹凸を有していたり、導電性材料の背面形状を転写したりするためにその表面で光が散乱され、透明性が損なわれるが、その凹凸面に透明プラスチックフィルムと屈折率が近い接着剤が平滑に塗布されると乱反射が最小限に押さえられ、透明性が発現するようになると考えられる。さらに透明プラスチックフィルム上の導電性材料で形成された幾何学図形は、ライン幅が非常に小さいため肉眼で視認されない。またライン間隔も十分に大きいため見掛け上透明性を発現すると考えられる。一方、遮蔽すべき電磁波の波長に比べて、幾何学図形のライン間隔は十分に小さく、優れたシールド性を発現すると考えられる。次に実施例に於いて本発明を具体的に述べるが、本発明はこれに限定されるものではない。
<表面処理フイルム作製例1>厚さ50μmで屈折率1.575の透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フイルムの片面にZrOを電子ビーム加熱法により1〜2×10−4Torrの真空度で真空蒸着して、厚さ約650Åで屈折率2.05のZrO薄膜を形成し、その上にさらに上記と同じ条件でSiOを用いて電子ビーム加熱法により厚さ約940Åで屈折率1.46のSiO薄膜を形成し、表面処理フイルム1とした。
<表面処理フイルム作製例2>フェノキシ樹脂であるYP−30(東都化成株式会社製商品名;、Mw=6万)100重量部とビスフェノールA型エポキシ樹脂であるYD−8125(東都化成株式会社製商品名)10重量部、IPDI(日立化成工業株式会社製;イソホロンジイソシアネート;マスクイソシアネート)5重量部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール0.3重量部、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)285重量部の接着剤組成物中にMEK分散コロイド状シリカゾル(日産化学工業株式会社製)20重量部、シリコーン系界面活性剤0.05重量部を添加した樹脂組成物を、ホモジナイザーを用いて十分に攪拌した。その後、厚さ25μmの透明PETフイルムにアプリケータを用いて乾燥塗布厚が2μmとなるように塗布して得たフイルムを表面処理フイルム2とした。
<電磁波シールドフィルム作製例1>透明プラスチックフイルムとして、表面処理フイルム1を用い、処理されていない面に接着層となるエポキシ系接着フィルム(ニカフレックスSAF;ニッカン工業株式会社製商品名、n=1.58、厚み20μm)を介して導電性材料である厚さ12μmの電解銅箔を、その粗化面がエポキシ系接着フィルム側になるようにして、180℃、30kgf/cmの条件で加熱ラミネートして接着させた。得られた銅箔付きPETフィルムにフォトリソ工程(レジストフィルム貼付け−露光−現像−ケミカルエッチング−レジストフィルム剥離)を経て、ラインの幅20μm、ライン間隔1.0mmの銅格子パターンをPETフィルム上に形成し、電磁波シールドフィルム1を得た。
<電磁波シールドフィルム作製例2>透明プラスチックフイルムとして、表面処理フイルム1を用い、処理されていない面にアクリル系接着フィルム(パイララックスLF−0200;デュポン社製商品名、n=1.47、厚み20μm)を介して厚さ12μmの銅箔を接着させた。この銅箔付きPETフィルムに電磁波シールドフィルム作製例1と同様のフォトリソ工程を経て、ラインの幅15μm、ライン間隔2.0mmの銅格子パターンをPETフィルム上に形成し電磁波シールドフィルム2を得た。
<電磁波シールドフィルム作製例3>透明プラスチックフイルムとして、表面処理フイルム2を用い、処理されていない面に、マスク層を用いて無電解ニッケルめっきを格子状に形成することによりラインの幅10μm、ライン間隔1.0mm、厚み3μmのニッケル格子パターンをPETフィルム上に作製し、電磁波シールドフィルム3を得た。
<電磁波シールドフィルム作製例4>電磁波シールドフイルム1に形成されている幾何学図形を後述する接着剤組成物により乾燥塗布厚が30μmとなるように被覆して電磁波シールドフイルム4を得た。
<接着剤組成物1>
TBA−HME(高分子量エポキシ樹脂、分子量約30万;日立化成工業株式会社製) 100重量部
YD−8125(ビスフェノールA型エポキシ樹脂;東都化成株式会社製商品名) 25重量部
IPDI(マスクイソシアネート;日立化成工業株式会社製) 12.5重量部
2−エチル−4−メチルイミダゾール 0.3重量部
MEK 330重量部
シクロヘキサノン 15重量部
この接着剤組成物1の溶剤乾燥後の屈折率は1.57であった。
<接着剤組成物2>
YP−30(フェノキシ樹脂;東都化成株式会社製商品名、Mw=6万) 100重量部
YD−8125(ビスフェノールA型エポキシ樹脂;東都化成株式会社製商品名) 10重量部
IPDI(マスクイソシアネート;日立化成工業(株)製) 5重量部
2−エチル−4−メチルイミダゾール 0.3重量部
MEK 285重量部
シクロヘキサノン 5重量部
この接着剤組成物2の溶剤乾燥後の屈折率は1.55であった。
<接着剤組成物3>
HTR−600LB(ポリアクリル酸エステル、Mw=70万、帝国化学産業株式会社製製商品名) 100重量部
コロネートL(3官能イソシアネート、日本ポリウレタン株式会社製商品名) 4.5重量部
ジブチル錫ジラウレート 0.4重量部
トルエン 450重量部
酢酸エチル 10重量部
この接着剤組成物3の溶剤乾燥後の屈折率は1.47であった。
<赤外線遮蔽層をなす組成物1>
YD−8125(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、東都化成株式会社製商品名) 100重量部
硫化第二銅(和光純薬(株)製;ヘンシェルミキサーにより0.5μmの平均粒径に粉砕) 4重量部
2−エチル−4−メチルイミダゾール 0.5重量部
ジシアンジアミド 5重量部
MEK 200重量部
エチレングリコールモノメチルエーテル 20重量部
室温でアプリケータを用いて塗布し、90℃、30分間加熱し硬化させた。
<赤外線遮蔽層をなす組成物2>
HTR−280(ポリアクリル酸エステル共重合体、Mw=約70万、帝国化学産業株式会社製商品名) 100重量部
UFP−HX(ITO、平均粒径0.1μm、住友金属鉱山株式会社製商品名) 0.5重量部
コロネートL(3官能イソシアネート、日本ポリウレタン株式会社製商品名) 5重量部
ジブチル錫ジラウレート 0.4重量部
トルエン 450重量部
酢酸エチル 10重量部
室温でアプリケータを用いて塗布し、90℃、30分間加熱硬化させた。
<赤外線遮蔽層をなす組成物3>
YP−30(フェノキシ樹脂、Mw=6万、東都化成株式会社製商品名) 100重量部
YD−8125(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、東都化成株式会社製商品名) 10重量部
IPDI(マスクイソシアネート、日立化成工業株式会社製) 5重量部
MEK 285重量部
IRG−022(芳香族ジイモニウム塩、日本化薬株式会社製商品名) 1重量部
室温でアプリケータを用いて塗布し、90℃、30分間加熱硬化させた。
(実施例1)電磁波シールドフィルム1と厚さ50μmの透明PETフィルムに接着剤組成物1を乾燥塗布厚が20μmとなるように塗布、乾燥して作製した接着フィルムをロールラミネータを使って、市販のアクリル板(コモグラス;株式会社クラレ製商品名、厚み1mm)の両面に110℃、20Kgf/cmの条件で加熱圧着して得た電磁波シールド材料を実施例1とした。
(実施例2)電磁波シールドフイルム2と厚さ50μmの透明PETフィルムに接着剤組成物2を乾燥塗布厚が20μmとなるようにそれぞれ塗布、乾燥して作製した接着フィルムをロールラミネータを使って、市販のアクリル板(コモグラス;株式会社クラレ製商品名、厚み1mm)の両面に110℃、10Kgf/cmの条件で加熱圧着して得た電磁波シールド材料を実施例2とした。
(実施例3)電磁波シールドフイルム3を使った以外は全て実施例1と同様にして得た電磁波シールド材料を実施例3とした。
(実施例4)接着剤組成物3を被覆した電磁波シールドフイルム4と厚さ50μmの透明PETフィルムに接着剤組成物3を乾燥塗布厚が20μmとなるように塗布、乾燥して作製した接着フィルムをロールラミネータを使って、市販のアクリル板(コモグラス;株式会社クラレ製商品名、厚み1mm)の両面に110℃、20Kgf/cmの条件で加熱圧着して得た電磁波シールド材料を実施例4とした。
(実施例5)ライン幅を20μmから12μmにした以外は全て実施例1と同様にして得た電磁波シールド材料を実施例5とした。
(実施例6)ライン間隔を2.0mmから0.5mmにし、それ以外の条件は全て実施例2と同様にして得た電磁波シールド材料を実施例6とした。
(実施例7)ライン間隔を1.0mmから5.0mmにし、それ以外の条件は全て実施例4と同様にして得た電磁波シールド材料を実施例6とした。
(実施例8)ライン厚を12μmから18μmにした以外は全て実施例2と同様にして得た電磁波シールド材料を実施例8とした。
(実施例9)導電性材料として黒化処理された銅を使った以外は全て実施例1と同様にして得た電磁波シールド材料を実施例9とした。
(実施例10)実施例1で形成した格子パターンの代わりに正三角形の繰り返しパターンを作製した以外の条件は全て実施例1と同様にして得た電磁波シールド材料を実施例10とした。
(実施例11)実施例2で形成した格子パターンの代わりに正六角形の繰り返しパターンを作製した以外の条件は全て実施例2と同様にして得た電磁波シールド材料を実施例11とした。
(実施例12)実施例3で形成した格子パターンの代わりに正八角形と正方形よりなる繰り返しパターンを作製した以外の条件は全て実施例3と同様にして得た電磁波シールド材料を実施例12とした。
(実施例13)実施例1のプラスチック基材としてPETの代りにポリサルホン(50μm)を使用した以外は全て実施例1と同様にして得た電磁波シールド材料を実施例13とした。
(実施例14)電磁波シールドフィルム1と、厚さ50μmの透明PETフィルムに赤外線遮蔽層をなす組成物1を乾燥塗布厚が20μmとなるように塗布、乾燥して作製した接着フィルムをロールラミネータを使って、市販のアクリル板(コモグラス;株式会社クラレ製商品名、厚み1mm)の両面に110℃、20Kgf/cmの条件で加熱圧着して得た電磁波シールド材料を実施例14とした。
(実施例15)赤外線遮蔽層をなす組成物2を使った以外は全て実施例14と同様にして得た電磁波シールド材料を実施例15とした。
(実施例16)赤外線遮蔽層をなす組成物3を使った以外は全て実施例14と同様にして得た電磁波シールド材料を実施例16とした。
(比較例1)透明プラスチックフイルムとして、表面処理フイルム1を用い、処理されていない面にITO膜を2、000Å全面蒸着させたITO蒸着PET(厚み50μm)を使い、パターンを形成しないで、蒸着面に直接接着剤組成物1を乾燥塗布厚が20μmになるように塗布し、そして、実施例1と同様の厚さ50μmの透明PETフィルムに接着剤組成物1を乾燥塗布厚が20μmになるように塗布し、市販のアクリル板(コモグラス;株式会社クラレ製商品名、厚み1mm)の両面に110℃、10Kgf/cmの条件で加熱圧着して得た電磁波シールド材料を比較例1とした。
(比較例2)比較例1と同様にITOに代えて全面アルミ蒸着したままパターンを形成しないで、直接接着剤組成物2を塗布し、比較例1と同様にして得た電磁波シールド材料を比較例2とした。
(比較例3)ライン幅を20μmから50μmにした以外の条件は全て実施例1と同様にして得た電磁波シールド材料を比較例3とした。
(比較例4)ライン間隔を2.0mmから0.25mmにした以外の条件は全て実施例2と同様にして得た電磁波シールド材料を比較例4とした。
(比較例5)ライン厚を12μmから70μmにした以外の条件は全て実施例2と同様にして得た電磁波シールド材料を比較例5とした。
(比較例6)接着剤組成物1の代わりにフェノール−ホルムアルデヒド樹脂(Mw=5万、n=1.73)を使った以外の条件は全て実施例1と同様にして得た電磁波シールド材料を比較例6とした。
(比較例7)接着剤組成物1の代わりにポリジメチルシロキサン(Mw=4.5万、n=1.43)を使った以外の条件は全て実施例2と同様にして得た電磁波シールド材料を比較例7とした。
(比較例8)接着剤組成物1の代わりにポリビニリデンフルオライド(Mw=12万、n=1.42)を使った以外の条件は全て実施例1と同様にして得た電磁波シールド材料を比較例8とした。
(比較例9)プラスチックフィルムとして充填剤入りポリエチレンフィルム(可視光透過率20%以下)を使った以外の条件は全て実施例1と同様にして得た電磁波シールド材料を比較例9とした。
(比較例10)電磁波シールドフイルム2だけを貼りあわせた以外は(反対面の接着剤付きPETフイルムを貼りあわせず)全て実施例2と同様にして得た電磁波シールド材料を比較例10とした。
以上のようにして得られた電磁波シールド材料の電磁波シールド性、可視光透過率、反り特性、非視認性などの外観、加熱処理前後の接着特性を測定した。結果を表1、2に示した。
なお電磁波(EMI)シールド性は、同軸導波管変換器(日本高周波株式会社製商品名、TWC−S−024)のフランジ間に試料を挿入し、スペクトロアナライザー(YHP製商品名、8510Bベクトルネットワークアナライザー)を用い、周波数1GHzで測定した。可視光透過率の測定は、ダブルビーム分光光度計(株式会社日立製作所製商品名、200−10型)を用いて、400〜800nmの透過率の平均値を用いた。赤外線遮蔽性の測定は、ダブルビーム分光光度計(株式会社日立製作所製商品名、200−10型)を用いて、900〜1100nmの領域の赤外線吸収率の平均値を用いた。非視認性は、アクリル板に貼り付けた接着フィルムをプラズマディスプレイに装着し0.5m離れた場所から導電性材料で形成された幾何学図形を肉眼観察で評価し、認識できないものを程度に応じ非常に良、良好とし、認識できるものをNGとした。接着力は、引張り試験機(東洋ボールドウィン株式会社製商品名、テンシロンUTM−4−100)を使用し、幅10mm、90°方向、剥離速度50mm/分で測定した。屈折率は、屈折計(株式会社アタゴ光学機械製作所製商品名、アッベ屈折計)を使用し、25℃で測定した。電磁波シールド材の反り測定は、650mm×100mmのサンプルを作製して、作製直後の長尺方向の反り量を測定した。ヘイズは、ヘーズメータ(濁度計COH−300A、日本電色工業株式会社製商品名)を用いて測定した。反射率は、分光測色計(CM−508d、ミノルタ株式会社製商品名)を用いて測定した。
Figure 2007208275
Figure 2007208275
比較例1、2は、導電材料としてITOとAlを蒸着させたものであるがEMIシールド性に劣る。比較例3は、ラインの幅を本発明の25μm以下にするのに対し、50μmと大きいため可視光透過率が低く、また非視認性も悪い。比較例4は、ライン間隔を本発明の500μm以上にするのに対し、250μmと間隔が狭いためライン幅が大きい比較例3と同様、可視光透過率が低く、また非視認性も悪い。比較例5は、ラインの厚みを本発明の18μm以下にするのに対し、70μmと厚いため非視認性が悪い。比較例9は、本発明の透明プラスチックフィルムの代わりに不透明な充填剤入りポリエチレンフィルム(可視光透過率20%以下)を使用したものであるが、可視光透過率が20%以下と非常に悪い。比較例10は、透明プラスチック基板の両面に接着剤層を介して透明プラスチックフィルムを貼り合わせたものである本発明に対して、片面にのみ透明プラスチックフィルムを貼り合わせたものであり、反りが大きいという欠点がある。これに対して、本発明の透明プラスチック基板の両面に接着剤層を介して貼りあわされた透明プラスチックフィルムとを備え、一方の透明プラスチックフイルムに導電性材料で形成された幾何学図形を有し、幾何学図形を構成するラインの幅が25μm以下、ライン間隔が500μm以上、ラインの厚みが18μm以下である構造を有する電磁波シールド材料である、実施例1〜16は、EMIシールド性が30dB以上と高く良好な電磁波シールド性を有する。そして、可視光線透過率が70%以上と高く、非視認性も良好である。ヘイズ、反射率の値も小さく良好である。さらに初期接着力や80℃で行う接着力の促進試験1,000h後でも接着力の低下が少なく、反りに関しても良好である。そして、赤外線遮蔽層を設けた実施例14、15、16では、赤外線遮蔽性が90%以上有り、良好である。

Claims (11)

  1. 透明プラスチック基板と、この基板の両面に接着剤層を介して貼りあわされた透明プラスチックフィルムとを備え、かつ上記一方の透明プラスチックフイルムに導電性材料で形成された幾何学図形を有し、幾何学図形を構成するライン幅が25μm以下、ライン間隔が500μm以上、ライン厚みが18μm以下である構造を有する電磁波シールド材料。
  2. 透明プラスチック基板に接着剤層を介して貼りあわされる透明プラスチックフイルムのうち、少なくとも一方の透明プラスチックフイルムの表面に防眩処理または反射防止処理が施されている請求項1に記載の電磁波シールド材料。
  3. 透明プラスチック基板に接着剤層を介して貼りあわされる透明プラスチックフイルムのうち、少なくとも一方の透明プラスチックフイルムの背面もしくは、透明プラスチック基板に貼りあわせる接着剤中に赤外線吸収剤が添加されている請求項1または請求項2に記載の電磁波シールド材料。
  4. 透明プラスチックフイルムがロールラミネート法により透明プラスチック基板の両面に貼りあわされる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電磁波シールド材料。
  5. 透明プラスチックフィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムである請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電磁波シールド材料。
  6. 導電性材料が、厚み3〜18μmの銅、アルミニウムまたはニッケルの金属箔である請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の電磁波シールド材料。
  7. 導電性材料が銅であり、少なくともその表面が黒化処理されていることを特徴とする請求項6に記載の電磁波シールド材料。
  8. 透明プラスチックフィルムの表面に導電性材料で形成された幾何学図形がケミカルエッチングプロセスにより形成されたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の電磁波シールド材料。
  9. 透明プラスチック基板がポリメチルメタアクリレート(PMMA)である請求項1に記載の電磁波シールド材料。
  10. 接着剤の屈折率と透明プラスチック基材の屈折率の差が0.14以下である請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の電磁波シールド材料。
  11. 請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の電磁波シールド材料を用いたディスプレイ。
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