JP3870485B2 - 透明性と非視認性を有する電磁波シールド性フィルムの製造方法 - Google Patents

透明性と非視認性を有する電磁波シールド性フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はCRT、PDP(プラズマ)、液晶、ELなどのディスプレイ前面から発生する電磁波を遮蔽する電磁波シールドフィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年各種の電気設備や電子応用設備の利用が増加するのに伴い、電磁気的なノイズ妨害も増加の一途をたどっている。
ノイズは大きく分けて伝導ノイズと放射ノイズに分けられ、伝導ノイズの対策としては、ノイズフィルタなどを用いる方法がある。一方、放射ノイズの対策としては、電磁気的に空間を絶縁する必要があるため、筐体を金属体または高導電体にするとか、回路基板と回路基板の間に金属板を挿入するとか、ケーブルを金属箔で巻き付けるなどの方法が取られている。これらの方法では、回路や電源ブロックの電磁波シールド効果を期待できるが、CRT、PDPなどのディスプレイ前面より発生する電磁波シールド用途としては、不透明であるため適用できなかった。
【0003】
電磁波シールド性と透明性を両立させる方法として、透明性基材上に金属または金属酸化物を蒸着して薄膜導電層を形成する方法(特開平1−278800号公報、特開平5−323101号公報参照)が提案されている。
一方、良導電性繊維を透明基材に埋め込んだ電磁波シールド材(特開平5−327274号公報、特開平5−269912号公報参照)や金属粉末等を含む導電性樹脂を透明基板上に直接印刷した電磁波シールド材料(特開昭62−57297号公報、特開平2−52499号公報参照)、さらには、厚さが2mm程度のポリカーボネート等の透明基板上に透明樹脂層を形成し、その上に無電解めっき法により銅のメッシュパターンを形成した電磁波シールド材料(特開平5−283889号公報参照)が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
電磁波シールド性と透明性を両立させる方法として、特開平1−278800号公報、特開平5−323101号公報に示されている透明性基材上に金属または金属酸化物を蒸着して薄膜導電層を形成する方法は、透明性が達成できる程度の膜厚(数100Å〜2、000Å)にすると導電層の表面抵抗が大きくなりすぎるため、1MHz〜1GHzで要求される30dB以上のシールド効果に対して20dB以下と不十分であった。良導電性繊維を透明基材に埋め込んだ電磁波シールド材(特開平5−327274号公報、特開平5−269912号公報)では、1MHz〜1GHzの電磁波シールド効果は40〜50dBと十分大きいが、電磁波漏れのないように導電性繊維を規則配置させるために必要な繊維径が35μmと太すぎるため、繊維が見えてしまい(以後視認性という)ディスプレイ用途には適したものではなかった。また、特開昭62−57297号公報、特開平2−52499号公報の金属粉末等を含む導電性樹脂を透明基板上に直接印刷した電磁波シールド材料の場合も同様に、印刷精度の限界からライン幅は、100μm前後となり視認性が発現するため適したものではなかった。さらに特開平5−283889号公報に記載の厚さが2mm程度のポリカーボネート等の透明基板上に透明樹脂層を形成し、その上に無電解めっき法により銅のメッシュパターンを形成したシールド材料では、無電解めっきの密着力を確保するために、透明基板の表面を粗化する必要がある。この粗化手段として、一般にクロム酸や過マンガン酸などの毒性の高い酸化剤を使用しなければならず、この方法は、ABS以外の樹脂では、満足できる粗化を行うことは困難となる。この方法により、電磁波シールド性と透明性は達成できたとしても、透明基板の厚さを小さくすることは困難で、フィルム化やウエブ化の方法としては適していなかった。さらに透明基板が厚いと、ディスプレイに密着させることができないため、そこから電磁波の漏洩が大きくなる。また製造面においては、シールド材料を巻物等にすることができないため嵩高くなることや自動化に適していないために製造コストがかさむという欠点もある。ディスプレイ前面から発生する電磁波のシールド性については、1MHz〜1GHzにおける30dB以上の電磁波シールド機能の他に、ディスプレイ前面より発生する900〜1、100nmの赤外線は他のVTR機器等に悪影響を及ぼすため、これを遮蔽する必要がある。この他にも良好な可視光透過性、さらに可視光透過率が大きいだけでなく、電磁波の漏れを防止するためディスプレイ面に密着して貼付けられる接着性、シールド材の存在を肉眼で確認することができない特性である非視認性も必要とされる。接着性についてはガラスや汎用ポリマー板に対し比較的低温で容易に貼付き、長期間にわたって良好な密着性を有することが必要である。しかし、電磁波シールド性、赤外線遮蔽性、透明性、非視認性、接着性等の特性を同時に十分満たし、これをウエブ状にした接着フィルムとしては、これまで満足なものは得られていなかった。本発明はかかる点に鑑み、電磁波シールド性および透明性を有する電磁波シールド性フィルムをウエブ状(巻物状)で製造する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、電磁波シールド性、赤外線遮蔽性および透明性を有する電磁波シールド性フィルムをウエブ状(巻物状)で製造する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、電磁波シールド性、赤外線遮蔽性、透明性および非視認性を有する電磁波シールド性フィルムをウエブ状(巻物状)で製造する方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、電磁波シールド性、赤外線遮蔽性、透明性、非視認性および良好な接着特性を有する電磁波シールド性フィルムをウエブ状(巻物状)で製造する方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、プラスチックフィルムからなる基材に接着剤を介して、転写されると透明性を損なう程度の背面形状を有する導電性金属箔をその背面形状が前記接着剤に転写されるように貼り付ける工程、前記接着剤を介してプラスチックフィルムに貼り付けられた導電性金属箔エッチング法により開口率が80%以上となる幾何学図形を形成する工程、折率が1.45〜1.60の範囲であり、かつ、前記導電性金属箔の背面形状が転写される接着剤と屈折率の差が0.14以下である接着剤組成物を、前記幾何学図形を含み、導電性金属箔の背面形状が転写された部分の接着剤に塗布する工程、900〜1、100nmにおける赤外線吸収率が50%以上の樹脂組成物を、前記接着剤組成物が塗布された面またはその反対側の面に塗布する工程を含み、各工程でフィルム巻き出しからフィルム巻き取りまでを連続的に行うことを特徴とする透明性と非視認性を有する電磁波シールド性フィルムの製造方法である。また、本発明は、前記屈折率が1.45〜1.60である接着剤組成物が900〜1、100nmにおける赤外線吸収率が50%以上の樹脂組成物である透明性と非視認性を有する電磁波シールドフィルムの製造方法である。そして、本発明は、プラスチックフィルムからなる基材に接着剤を介して、転写されると透明性を損なう程度の背面形状を有する導電性金属箔をその背面形状が前記接着剤に転写されるように貼り付ける工程、前記接着剤を介してプラスチックフィルムに貼り付けられた導電性金属箔にエッチング法により開口率が80%以上となる幾何学図形を形成する工程、屈折率が1.45〜1.60の範囲であり、かつ、前記導電性金属箔の背面形状が転写される接着剤と屈折率の差が0.14以下である接着剤組成物を、前記幾何学図形を含み、導電性金属箔の背面形状が転写された部分の接着剤に塗布する工程を含み、各工程でフィルム巻き出しからフィルム巻き取りまで連続的に行うことを特徴とする透明性と非視認性を有する電磁波シールドフィルムの製造方法である。更に、本発明は、プラスチックフィルム上に導電性金属箔で形成された幾何学図形のライン幅が40μm以下、ライン間隔が200μm以上、ライン厚みが40μm以下である透明性と非視認性を有する電磁波シールドフィルムの製造方法である。また、本発明は、プラスチックフィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムである透明性と非視認性を有する電磁波シールドフィルムの製造方法である。そして、本発明は、導電性金属が、厚み3〜40μmの、アルミニウムまたはニッケルの導電性金属で、プラスチックフィルムへの接着面が表面粗さ1μm以上の粗面である透明性と非視認性を有する電磁波シールドフィルムの製造方法である。更に、本発明は、導電性金属が銅であり、少なくともその表面が黒化処理されている透明性と非視認性を有する電磁波シールドフィルムの製造方法である。また、本発明は、導電性金属が常磁性金属である透明性と非視認性を有する電磁波シールドフィルムの製造方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明でいうプラスチックフィルムとはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、EVAなどのポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂などのプラスチックからなるフィルムで全可視光透過率が70%以上のものをいう。これらは単層で使うこともできるが、2層以上を組み合わせた多層フィルムとして使ってもよい。このうち透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、価格の点からポリエチレンテレフタレートが最も適している。この基材厚みは5〜200μmが好ましい。5μm未満だと取り扱い性が悪くなり、200μmを越えると可視光の透過率が低下する。10〜100μmがより好ましく、25〜50μmが最も好ましい。
【0007】
本発明の導電性金属として使用可能な金属は銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、銀、ステンレス、タングステン、クロム、チタンなどの金属の内の1種または2種以上を組み合わせた合金を使うことができる。導電性、回路加工の容易さ、価格の点から銅、アルミニウムまたはニッケルが適しており、厚みが3〜40μmの金属箔を使用すると好ましい。厚みが40μmを超えると、細かいライン幅の形成が困難であったり、視野角が狭くなる。また厚みが3μm未満では、表面抵抗が大きくなり、電磁波シールド効果が劣るためである。導電性金属が銅であり、少なくともその表面が黒化処理されたものであると、コントラストが高くなり好ましい。また導電性金属が経時的に酸化され退色されることが防止できる。黒化処理は、幾何学図形の形成前後で行えばよいが、通常形成後において、プリント配線板分野で行われている方法を用いて行うことができる。例えば、亜塩素酸ナトリウム(31g/l)、水酸化ナトリウム(15g/l)、燐酸三ナトリウム(12g/l)の水溶液中、95℃で2分間処理することにより行うことができる。また導電性金属が、常磁性金属であると、磁場シールド性に優れるために好ましい。
かかる導電性金属を上記プラスチックフィルムに密着させ導電性金属付きプラスチックフィルムとするには、導電性金属の箔あるいは、プラスチックフィルムにアクリルやエポキシ系樹脂を主成分とした接着剤を塗布し、その接着剤を介して貼り合わせるのが最も簡便である。導電性金属の導電層の膜厚を小さくする必要がある場合は連続した巻物のプラスチックフィルムに真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレート法、化学蒸着法、無電解・電気めっき法などの薄膜形成技術のうちの1または2以上の方法を組み合わせることにより達成できる。導電性金属の膜厚は40μm以下のものが適用できるが、膜厚が小さいほどディスプレイの視野角が広がり電磁波シールド材料として好ましく、18μm以下とすることがさらに好ましい。導電性金属付きプラスチックフィルムは、連続した巻物で有ることが必要であり、このためには導電性金属の箔やプラスチックフィルムが連続した巻物であると好ましい。導電性金属の箔の上に接着剤組成物である接着剤ワニスを均一に塗布し、溶剤を乾燥させ、その後プラスチックフィルムとロールラミネータを使用し貼り合わせ導電性金属付きプラスチックフィルムとする。あるいは、プラスチックフィルム上に接着剤組成物である接着剤ワニスを均一に塗布し、溶剤を乾燥させ、その後導電性金属とロールラミネータを使用し貼り合わせ導電性金属付きプラスチックフィルムとし紙、プラスチックあるいは金属製の芯管に巻いた巻物とする。
【0008】
そして得られた導電性金属付きプラスチックフィルムは、導電性金属をエッチング法により、開口率が80%以上となるよう幾何学図形を形成する工程を行う。 本発明中の幾何学図形とは正三角形、二等辺三角形、直角三角形などの三角形、正方形、長方形、ひし形、平行四辺形、台形などの四角形、(正)六角形、(正)八角形、(正)十二角形、(正)二十角形などの(正)n角形、円、だ円、星型などを組み合わせた模様であり、これらの単位の単独の繰り返し、あるいは2種類以上組み合わせで使うことも可能である。電磁波シールド性の観点からは三角形が最も有効であるが、可視光透過性の点からは同一のライン幅なら(正)n角形のn数が大きいほど開口率が上がり、可視光透過性が大きくなるので有利である。
このような幾何学図形を形成させる方法としては、プリント配線板分野で実施されているケミカルエッチングプロセスを用いて行うことができる。この方法は、上記導電性金属付きプラスチックフィルムの導電性金属表面にスクリーン印刷で幾何学図形を形成するパターンにレジストインクを塗布しエッチングレジストを形成する。レジストパターンの形成は、逐次的に行い一定間隔で塗布してはずらす操作を繰り返し、乾燥工程が必要で有れば乾燥を行う工程を付加しレジストパターンを形成する。また、レジストパターンを感光性樹脂フィルムで形成する場合は、導電性金属付きプラスチックフィルムの導電性金属の上に感光性樹脂フィルムをラミネートし、幾何学図形を形成したネガあるいはポジフィルムを密着させ露光、現像を行いレジストパターンを連続的に形成する。その後、レジストパターンが形成された電性金属付きプラスチックフィルムを連続してエッチング液に浸漬したりエッチング液をシャワーリングし導電性金属をエッチングする。エッチングした後、水洗、乾燥を行い連続した巻物とする。もちろんエッチングレジスト形成工程とエッチング工程を連続した工程で行う方法でも良く、効率が良い。この様にケミカルエッチングプロセスによって作製し、ウエブ状(巻物)のまま巻き取るのが加工効率の点から効果的である。その他に幾何学図形を形成したマスクを用いて透明プラスチックフィルム上に配した感光性樹脂層を露光、現像し、無電解めっきや電気めっきと組合せて幾何学図形を形成することも可能である。
【0009】
このような幾何学図形のライン幅は40μm以下、ライン間隔は200μm以上、ライン厚みは40μm以下の範囲とされる。また幾何学図形の非視認性の観点からライン幅は25μm以下、可視光透過率の点からライン間隔は250μm以上、ライン厚み18μm以下がさらに好ましい。ライン間隔は、大きいほど開口率は向上し、可視光透過率は向上する。ディスプレイ前面に使用する場合、開口率は80%以上が必要であるが、この値が大きくなり過ぎると、電磁波シールド性が低下するため、ライン間隔は1mm以下とするのが好ましい。なお、ライン間隔は、幾何学図形の組合せ等で複雑となる場合、繰り返し単位を基準として、その面積を正方形の面積に換算し、その一辺の長さをライン間隔とする。
【0010】
次にこの幾何学図形を被覆する接着剤の屈折率は1.45〜1.60のものが使用される。これはプラスチックフィルムと接着剤の屈折率、またはプラスチックフィルムに導電性金属を貼り合わせるために用いた接着剤層と接着剤の屈折率が異なると可視光透過率が低下するためであり、屈折率が1.45〜1.60であると可視光透過率の低下が少なく良好となる。幾何学図形を被覆する接着剤とプラスチックフィルムに導電性金属を貼り合わせるため用いた接着剤層と接着剤との屈折率の差が0.14以下のものが特に好ましい。これはプラスチックフィルム若しくはプラスチックフィルムに導電性金属を接着剤を介して貼り合わせた場合、プラスチックフィルム、導電性金属貼り合わせ接着剤と被覆する接着剤の屈折率が異なると可視光透過率が低下するためであり、屈折率の差が0.14以下であると可視光透過率の低下が少なく良好となる。そのような要件を満たす接着剤の材料としては、プラスチックフィルムがポリエチレンテレフタレート(n=1.575;屈折率)の場合、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ポリアルコール・ポリグリコール型エポキシ樹脂、ポリオレフィン型エポキシ樹脂、脂環式やハロゲン化ビスフェノールなどのエポキシ樹脂(いずれも屈折率が1.55〜1.60)を使うことができる。 エポキシ樹脂以外では天然ゴム(n=1.52)、ポリイソプレン(n=1.521)、ポリ−1、2−ブタジエン(n=1.50)、ポリイソブテン(n=1.505〜1.51)、ポリブテン(n=1.5125)、ポリ−2−ヘプチル−1、3−ブタジエン(n=1.50)、ポリ−2−t−ブチル−1、3−ブタジエン(n=1.506)、ポリ−1、3−ブタジエン(n=1.515)などの(ジ)エン類、ポリオキシエチレン(n=1.4563)、ポリビニルエチルエーテル(n=1.454)、ポリビニルヘキシルエーテル(n=1.4591)、ポリビニルブチルエーテル(n=1. 4563)などのポリエーテル類、ポリビニルアセテート(n=1.4665)、ポリビニルプロピオネート(n=1.4665)などのポリエステル類、ポリウレタン(n=1.5〜1.6)、エチルセルロース(n=1.479)、ポリ塩化ビニル(n=1.54〜1.55)、ポリアクリロニトリル(n=1.52)、ポリメタクリロニトリル(n=1.52)、ポリスルフィド(n=1.6)、フェノキシ樹脂(n=1.5〜1.6)などを挙げることができる。これらは好適な可視光透過率を発現する。
【0011】
一方、プラスチックフィルムがアクリル樹脂の場合、上記の樹脂以外に、ポリエチルアクリレート(n=1.469)、ポリブチルアクリレート(n=1.466)、ポリ−2−エチルヘキシルアクリレート(n=1.463)、ポリ−t−ブチルアクリレート(n=1.464)、ポリ−3−エトキシプロピルアクリレート(n=1.465)、ポリオキシカルボニルテトラメタクリレート(n=1.465)、ポリメチルアクリレート(n=1.472〜1.480)、ポリイソプロピルメタクリレート(n=1.473)、ポリドデシルメタクリレート(n=1.474)、ポリテトラデシルメタクリレート(n=1.475)、ポリ−n−プロピルメタクリレート(n=1.484)、ポリ−3、3、5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート(n=1.484)、ポリエチルメタクリレート(n=1.485)、ポリ−2−ニトロ−2−メチルプロピルメタクリレート(n=1.487)、ポリ−1、1−ジエチルプロピルメタクリレート(n=1.489)、ポリメチルメタクリレート(n=1.489)などのポリ(メタ)アクリル酸エステルが使用可能である。これらのアクリルポリマーは必要に応じて、2種以上共重合してもよいし、2種類以上をブレンドして使うことも可能である。
【0012】
さらにアクリル樹脂とアクリル以外との共重合樹脂としてはエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレートなども使うこともできる。特に接着性の点から、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートが優れており、エポキシアクリレートとしては、1、6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、アリルアルコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル等の(メタ)アクリル酸付加物が挙げられる。エポキシアクリレートは分子内に水酸基を有するため接着性向上に有効であり、これらの共重合樹脂は必要に応じて、2種以上併用することができる。接着剤の主成分となるポリマーの重量平均分子量は、1、000以上のものが使われる。分子量が1、000以下だと組成物の凝集力が低すぎるために被着体への密着性が低下する。
【0013】
接着剤の架橋・硬化剤としてはトリエチレンテトラミン、キシレンジアミン、N−アミノテトラミン、ジアミノジフェニルメタンなどのアミン類、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水ドデシルコハク酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの酸無水物、ジアミノジフェニルスルホン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ポリアミド樹脂、ジシアンジアミド、エチルメチルイミダゾールなどを使うことができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。これらの架橋・硬化剤の添加量は上記ポリマー100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部の範囲で選択するのが好ましい。この量が0.1重量部未満であると架橋・硬化が不十分となり、50重量部を超えると過剰架橋となり、接着性に悪影響を与える場合がある。本発明で使用する樹脂組成物には必要に応じて、希釈剤、可塑剤、酸化防止剤、充填剤や粘着付与剤などの添加剤を配合してもよい。そしてこの接着剤の樹脂組成物は、ウエブ状(巻物)のプラスチックフィルムの表面に導電性金属で形成された幾何学図形を含む基材の一部または全面を被覆するため、塗布され、溶剤乾燥、加熱一部架橋・硬化工程を経たのち、ウエブ状(巻物)で巻き取られ、本発明に係わる電磁波シールド性フィルムにする。この屈折率が1.45〜1.60の範囲である接着剤組成物を幾何学図形を含む基材の一部または全面に塗布する工程は、ロールコーター、カーテンコーター、グラビアコーター等の塗工機により一定厚みに塗布され、接着剤組成物中の溶剤を加熱などにより除去し幾何学図形を含む基材の一部または全面に接着剤層を形成する。また、必要により前記接着剤組成物が塗布された面の反対側の面にも同様に塗布し接着剤層を形成する。
【0014】
次に接着フィルムの900〜1、100nmの領域における赤外線吸収率が平均で50%以上の接着剤樹脂組成物とする方法としては、酸化鉄、酸化セリウム、酸化スズや酸化アンチモンなどの金属酸化物、またはインジウム−スズ酸化物(以下ITO)、六塩化タングステン、塩化スズ、硫化第二銅、クロム−コバルト錯塩、チオール−ニッケル錯体またはアミニウム化合物、ジイモニウム化合物(日本化薬株式会社製)またはアントラキノン系(SIR−114)、金属錯体系(SIR−128、SIR−130、SIR−132、SIR−159、SIR−152、SIR−162)、フタロシアニン系(SIR−103)(以上三井東圧化学株式会社製商品名)などの有機系赤外線吸収剤などを上記接着剤組成物に含有させたり、バインダー樹脂中に分散させた組成物を前記の接着剤組成物が塗布された面またはその反対側の面に塗布し、赤外線吸収剤層を設ける。ディスプレイから放射される赤外線は、他のTV、VTR、ラジオ、パソコン等に使用される赤外線を利用したリモコンに誤動作を与えるおそれがあるが、赤外線吸収層を設けることにより誤動作を防止することができる。
これらの赤外線吸収性化合物のうち、最も効果的に赤外線を吸収する効果があるのは、硫化第二銅、ITO、アミニウム化合物、ジイモニウム化合物や金属錯体系などの赤外線吸収剤である。有機系赤外線吸収剤以外の赤外線吸収剤の場合注意すべきことは、これらの化合物の一次粒子の粒径である。粒径が赤外線の波長より大きすぎると遮蔽効率は向上するが、粒子表面で乱反射が起き、ヘイズが増大するため透明性が低下する。一方、粒径が赤外線の波長に比べて短かすぎると遮蔽効果が低下する。好ましい粒径は0.01〜5μmで0.1〜3μmがさらに好ましい。この赤外線吸収性の材料は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ系樹脂、ポリイソプレン、ポリ−1、2−ブタジエン、ポリイソブテン、ポリブテンなどのジエン系樹脂、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、t−ブチルアクリレートなどからなるポリアクリル酸エステル共重合体、ポリビニルアセテート、ポリビニルプロピオネートなどのポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、EVAなどのポリオレフィン系樹脂などのバインダー樹脂中に均一に分散される。その配合の最適量は、バインダー樹脂100重量部に対して赤外線吸収性の材料が0.01〜10重量部であるが、0.1〜5重量部がさらに好ましい。0.01重量部未満では赤外線遮蔽効果が少なく、10重量部を越えると透明性が損なわれる。これらの組成物は導電性金属付プラスチックフィルムの幾何学図形上に形成された接着剤面またはその反対面のフィルム背面に0.1〜10μmの厚さで塗布される。塗布された、赤外線吸収性の化合物を含む組成物は熱やUVを使って硬化させてもよい。
一方、赤外線吸収性の化合物は上述した接着剤組成物に直接混合して使うことも可能である。その際の添加量は接着剤の主成分となるポリマー100重量部に対して効果と透明性から、0.01〜5重量部が最適である。
【0015】
本発明は、プラスチックフィルム上の導電性金属が除去された部分は密着性向上のために意図的に凹凸を有していたり、導電性金属の背面形状を転写したりするためにその表面で光が散乱され、透明性が損なわれるが、その凹凸面にプラスチックフィルムまたはプラスチックフィルムに導電性金属を貼り合わせる為の接着剤と屈折率が近い接着剤が平滑に塗布されると乱反射が最小限に押さえられ、透明性が発現するようになると考えられる。さらにプラスチックフィルム上の導電性金属で形成された幾何学図形は、ライン幅が非常に小さいため肉眼で視認されない。またピッチも十分に大きいため見掛け上透明性を発現すると考えられる。一方、遮蔽すべき電磁波の波長に比べて、幾何学図形のピッチは十分に小さく、優れたシールド性を発現すると考えられる。上記のように(a)導電性金属付きプラスチックフィルムの導電性金属をエッチング法により、開口率が80%以上となる幾何学図形を形成する工程、(b)該幾何学図形上に、屈折率が1.45〜1.60の範囲である接着剤組成物を、該幾何学図形を含む基材の一部または全面に塗布する工程、(c)900〜1、100nmにおける赤外線吸収率が50%以上の樹脂組成物を、前記接着剤組成物が塗布された面またはその反対側の面に塗布する工程を含み、各工程でフィルム巻き出しからフィルム巻き取りまでを連続的に行う電磁波シールド性フィルムの製造方法では、各工程で連続的に作業ができ材料やエネルギーの無駄がないため、歩留まりが良く、加工性に優れ効率よく品質の安定した電磁波シールド性フィルムを製造することができる。また、(a)導電性金属付きプラスチックフィルムの導電性金属をエッチング法により、開口率が80%以上となる幾何学図形を形成する工程、(b)該幾何学図形上に、屈折率が1.45〜1.60の範囲にあり、900〜1、100nmにおける赤外線吸収率が50%以上の樹脂組成物を該幾何学図形を含む基材の一部または全面に塗布する工程を含み、各工程でフィルム巻き出しからフィルム巻き取りまでを連続的に行う電磁波シールド性フィルムの製造方法でも、上記と同様の各工程で連続的に作業ができ材料やエネルギーの無駄がないため、歩留まりが良く、加工性に優れ効率よく品質の安定した電磁波シールド性接着フィルムを製造することができる。本発明では、プラスチックフィルムに導電性金属を貼り合わせる工程、幾何学図形を形成する工程、接着剤を塗布し接着剤層を設ける工程を連続して行ったり、各工程を一部連続して行っても良い。このようにして得られた電磁波シールド性フィルムは、アクリル板やポリエステル板等のプラスチック基板の片面に貼り付けたり、2枚のプラスチック基板の間に貼り付け外形加工を行いディスプレイとする。さらに、得られた電磁波シールド性フィルムは、その接着剤面を直接PDV等の画面に密着性良く貼り付けて使用することもできる。電磁波シールド性フィルムとプラスチック基板は、ロールラミネータを用いてプラスチック基板を連続的に供給しながら連続して積層することができる。プラスチック基板は、無色透明性を有するものが好ましいが、淡色であっても透明性を有すれば良く特に限定されるものではない。厚みが0.5〜10mmで、全光線透過率が50%以上、好ましくは80%以上である基板が特に好ましい。これらの基板の代表的なものとしては、ポリカーボネート、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルケトン、アクリロニトリル−スチレン共重合体等が挙げられる。
【0016】
【実施例】
次に実施例に於いて本発明を具体的に述べるが、本発明はこれに限定されるものではない。
<電磁波シールド性接着フィルム1作製例>
プラスチックフィルムとして厚さ50μm、巻長さ300mの透明PETフィルム(東洋紡績株式会社製商品名、A−4100、屈折率n=1.575)を用い、その上に接着層となるエポキシ系接着フィルム(ニカフレックスSAF;ニッカン工業株式会社製商品名、n=1.58、厚み20μm)を介して導電性金属である厚さ18μmの電解銅箔を、その粗化面がエポキシ系接着フィルム側になるようにして、180℃、30kgf/cmの条件で巻き出しから巻き取りまで連続して加熱ラミネートして接着させた導電性金属付きプラスチックフィルムの巻物を得た。
得られた銅箔付きPETフィルムの巻物にフォトリソ工程(レジストフィルム貼付け−露光−現像−ケミカルエッチング−レジストフィルム剥離)を経て、塩化鉄エッチング液によりスプレーしてライン幅25μm、ライン間隔500μmの銅格子パターンをPETフィルム上に形成し、レジストフィルムを剥離、水洗、乾燥して巻き出しから巻き取りまで連続して構成材料1の巻物を得た。得られた巻物にはしわ等の外観不良は観察されなかった。この構成材料1の可視光透過率は20%以下であった。この構成材料1に赤外線吸収剤を含む後述の接着剤組成物を乾燥塗布厚が約40μmになるように連続的に塗布、乾燥して電磁波シールド性と透明性を有する巻き出しから巻き取りまで連続して電磁波シールド性接着フィルム1の巻物を得た。その後、電磁波シールド性接着フィルム1をロールラミネータを使用し市販のアクリル板(コモグラス;株式会社クラレ製商品名、厚み3mm)を供給して接着剤が塗布されている面が接するようにして110℃、20Kg/cmの条件で加熱圧着しディスプレイ素材を連続製造し、アクリル板とアクリル板の継ぎ目でカットした。そして外形加工をしてディスプレイを作製した。
【0017】
<電磁波シールド性接着フィルム2作製例>
厚さ25μm、巻長さ400mの透明PETフィルム上にアクリル系接着フィルム(パイララックスLF−0200;デュポン社製、n=1.47、厚み20μm)を介して厚さ25μmのアルミ箔を接着させた。このアルミ箔付きPETフィルムに電磁波シールド性接着フィルム1作製例と同様のフォトリソ工程を経て、塩酸エッチング液によりスプレーしてライン幅25μm、ライン間隔250μmのアルミ格子パターンをPETフィルム上に形成し、レジストフィルムを剥離、水洗、乾燥して巻き出しから巻き取りまで連続して構成材料2の巻物を得た。この構成材料の可視光透過率は20%以下であった。この構成材料2に赤外線吸収剤を含む後述の接着剤を乾燥塗布厚が約30μmになるように連続的に塗布、乾燥して巻き出しから巻き取りまで連続して電磁波シールド性と透明性を有する電磁波シールド性接着フィルム2の巻物を得た。得られた巻物にはしわ等の外観不良は観察されなかった。その後、電磁波シールド性接着フィルム2を熱プレス機を使用し市販のアクリル板(コモグラス;株式会社クラレ製商品名、厚み3mm)の接着剤が塗布されている面が接するようにして110℃、30Kg/cm2、30分の条件で加熱圧着し、外形加工をしてディスプレイを作製した。
【0018】
<電磁波シールド性接着フィルム3作製例>
厚さ50μm、巻長さ300mのPETフィルム上に厚み20μmのアディテイブ接着剤(n=1.57)を用い厚み2μmの無電解ニッケルめっきを形成した巻物を得、電磁波シールド性接着フィルム1作製例と同様のフォトリソ工程を経て、エッチング液として塩化第二銅液によりスプレーしてライン幅12μm、ライン間隔500μm、厚み2μmのニッケル格子パターンをPETフィルム上に形成し、レジストフィルムを剥離、水洗、乾燥して巻き出しから巻き取りまで連続して構成材料3の巻物を得た。この構成材料3の可視光透過率は20%以下であった。この構成材料3の幾何学図形が形成されている面に後述の接着剤を乾燥塗布厚が約70μmになるように連続的に塗布、乾燥し、さらに接着剤が塗布されている面とは反対側の面に、乾燥塗布厚が3μmになるように後述の赤外線遮蔽層(1)を連続的に塗布、乾燥して電磁波シールド性と透明性を有する電磁波シールド性接着フィルム3の巻物を得た。この電磁波シールド性接着フィルム3の得られた巻物にはしわ等の外観不良は観察されなかった。
その後、電磁波シールド性接着フィルム3をロールラミネータを使って市販のアクリル板(コモグラス;株式会社クラレ製商品名、厚み3mm)を連続して供給し、幾何学図形を被覆した接着剤が塗布されている面が接するようにして110℃、20kgf/cmの条件で加熱圧着しディスプレイ素材を連続製造し、アクリル板とアクリル板の継ぎ目でカットした。そして外形加工をしてディスプレイを作製した。
【0019】
Figure 0003870485
この接着剤組成物1の溶剤乾燥後の屈折率は1.57であった。
【0020】
Figure 0003870485
この接着剤組成物2の溶剤乾燥後の屈折率は1.55であった。
【0021】
Figure 0003870485
この接着剤組成物3の溶剤乾燥後の屈折率は1.47であった。
【0022】
Figure 0003870485
ロールコーターを用いて塗布し、90℃、20分間加熱硬化させた。そのときの屈折率は、1.49であった。
【0023】
<赤外線遮蔽層をなす組成物2>
赤外線遮蔽層をなす組成物1のUFP−HXの代わりに硫化第二銅(和光純薬株式会社製;ヘンシェルミキサーにより0.5μmの平均粒径に粉砕)1重量部を用いた以外は同じにした組成物を赤外線遮蔽層をなす組成物2とした。得られた組成物2の屈折率は、1.50であった。
【0024】
(実施例1)
接着剤組成物1を使用して電磁波シールド性接着フィルム1作製例の手順で得たディスプレイを実施例1とした。
(実施例2)
接着剤組成物2を使用して電磁波シールド性接着フィルム2作製例の手順で得たディスプレイを実施例2とした。
(実施例3)
接着剤組成物3、赤外線遮蔽層をなす組成物1を使用し電磁波シールド性接着フィルム3の手順で得たディスプレイを実施例3とした。
(実施例4)
ライン幅を25μmから35μmとした以外は全て実施例1と同様にして得たディスプレイを実施例4とした。
(実施例5)
ライン幅を25μmから12μmとした以外は全て実施例2と同様にして得たディスプレイを実施例5とした。
(実施例6)
ライン間隔を500μmから800μmにし、赤外線遮蔽層をなす組成物1を赤外線遮蔽層をなす組成物2とした以外は全て実施例3と同様にして得たディスプレイを実施例6とした。
(実施例7)
ライン間隔を500μmから250μmにし、それ以外の条件は全て実施例1と同様にして得たディスプレイを実施例7とした。
(実施例8)
ライン厚を25μmから35μmにした以外は全て実施例2と同様にして得たディスプレイを実施例8とした。
(実施例9)
導電性金属として黒化処理された銅を使用した以外は全て実施例1と同様にして得たディスプレイを実施例9とした。
(実施例10)
実施例1で形成した格子パターンの代わりに正三角形の繰り返しパターンを作製した以外の条件は全て実施例1と同様にして得たディスプレイを実施例10とした。
(実施例11)
実施例1で形成した格子パターンの代わりに正六角形の繰り返しパターンを作製した以外の条件は全て実施例1と同様にして得たディスプレイを実施例11とした。
(実施例12)
実施例1で形成した格子パターンの代わりに正八角形と正方形よりなるの繰り返しパターンを作製した以外の条件は全て実施例1と同様にして得たディスプレイを実施例12とした。
【0025】
(比較例1)
銅箔の代わりにITO膜を2、000Å全面蒸着させたITO蒸着PETを使い、パターンを形成しないで、直接接着剤組成物1を塗布した。その後、実施例1と同様にして得たディスプレイを比較例1とした。
(比較例2)
比較例1と同様にITOに代えて全面アルミ蒸着したままパターンを形成しないで、直接接着剤組成物2を塗布した。その後比較例1と同様にして得たディスプレイを比較例2とした。
(比較例3)
ライン幅を25μmから50μmにした以外の条件は全て実施例1と同様にして得たディスプレイを比較例3とした。
(比較例4)
ライン間隔を250μmから150μmにした以外の条件は全て実施例2と同様にして得たディスプレイを比較例4とした。
(比較例5)
ライン厚を25μmから70μmにした以外の条件は全て実施例2と同様にして得たディスプレイを比較例5とした。
【0026】
以上のようにして得られた電磁波シールド性接着フィルムやディスプレイの赤外線遮蔽率、電磁波シールド性、可視光透過率、非視認性、加熱処理前後の接着特性、退色特性、巻物の外観を測定し、その結果を表1、表2に示した。
【0027】
なお赤外線遮蔽率は、分光光度計( U−3410;株式会社日立製作所製商品名)を用いて、900〜1、100nmの領域の赤外線吸収率の平均値を用いた。
電磁波シールド性は、同軸導波管変換器( TWC−S−024;日本高周波株式会社製商品名)のフランジ間に試料を挿入し、スペクトロアナライザー(8510Bベクトルネットワークアナライザー;YHP製商品名)を用い、周波数1GHzで測定した。
可視光透過率の測定は、ダブルビーム分光光度計(200−10型;株式会社日立製作所製商品名)を用いて、400〜800nmの透過率の平均値を用いた。
非視認性は、ディスプレイを0.5m離れた場所から目視して導電性金属で形成された幾何学図形を認識できるかどうかで評価し、認識できないものを程度に応じ非常に良、良好とし、認識できるものをNGとした。
接着力は、引張り試験機(テンシロンUTM−4−100;東洋ボールドウィン株式会社製商品名)を使用し、幅10mm、90度方向、剥離速度50mm/分で測定した。
屈折率は、屈折計(アッベ屈折計;株式会社アタゴ光学機械製作所製商品名)を使用し、25℃で測定した。
【0028】
【表1】
Figure 0003870485
【0029】
【表2】
Figure 0003870485
【0030】
比較例1、2は、導電性金属としてITOとAlを蒸着させたものであるが、ITOの場合電磁波シールド性に劣り、Alの場合可視光透過率に劣る。比較例3は、ライン幅を本発明の開口率80%以上で好ましくは40μm以下にするのに対し、50μmと大きいため可視光透過率が低く、また非視認性も悪い。比較例4は、ライン間隔を本発明の開口率80%以上で好ましくは200μm以上にするのに対し、150μmと間隔が狭いためライン幅が大きい比較例3と同様、可視光透過率が低く、また非視認性も悪い。比較例5は、開口率80%以上で好ましくはラインの厚みを本発明の40μm以下にするのに対し、70μmと厚いため非視認性が悪い。これに対して、本発明の実施例1〜12は、電磁波シールド性が30dB以上と高く良好な電磁波シールド性を有する。そして、可視光線透過率が68%以上と高く、非視認性も良好である。さらに初期接着力や80℃で行う接着力の促進試験1,000h後でも接着力の低下が少なく、ウエブの外観に関しても良好である。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、電磁波シールド性および透明性を有する電磁波シールド性フィルムをウエブ状(巻物状)で製造するができる。また、本発明によれば、電磁波シールド性、赤外線遮蔽性および透明性を有する電磁波シールド性フィルムをウエブ状(巻物状)で製造することができる。また、本発明によれば、電磁波シールド性、赤外線遮蔽性、透明性および非視認性を有する電磁波シールド性フィルムをウエブ状(巻物状)で製造することができる。さらに、本発明によれば、電磁波シールド性、赤外線遮蔽性、透明性、非視認性および良好な接着特性を有する電磁波シールド性フィルムをウエブ状(巻物状)で製造することができる。

Claims (8)

  1. プラスチックフィルムからなる基材に接着剤を介して、転写されると透明性を損なう程度の背面形状を有する導電性金属箔をその背面形状が前記接着剤に転写されるように貼り付ける工程、前記接着剤を介してプラスチックフィルムに貼り付けられた導電性金属箔エッチング法により開口率が80%以上となる幾何学図形を形成する工程、折率が1.45〜1.60の範囲であり、かつ、前記導電性金属箔の背面形状が転写される接着剤と屈折率の差が0.14以下である接着剤組成物を、前記幾何学図形を含み、導電性金属箔の背面形状が転写された部分の接着剤に塗布する工程、900〜1、100nmにおける赤外線吸収率が50%以上の樹脂組成物を、前記接着剤組成物が塗布された面またはその反対側の面に塗布する工程を含み、各工程でフィルム巻き出しからフィルム巻き取りまでを連続的に行うことを特徴とする透明性と非視認性を有する電磁波シールド性フィルムの製造方法。
  2. 前記屈折率が1.45〜1.60である接着剤組成物が900〜1、100nmにおける赤外線吸収率が50%以上の樹脂組成物である請求項1記載の透明性と非視認性を有する電磁波シールドフィルムの製造方法。
  3. プラスチックフィルムからなる基材に接着剤を介して、転写されると透明性を損なう程度の背面形状を有する導電性金属箔をその背面形状が前記接着剤に転写されるように貼り付ける工程、前記接着剤を介してプラスチックフィルムに貼り付けられた導電性金属箔にエッチング法により開口率が80%以上となる幾何学図形を形成する工程、屈折率が1.45〜1.60の範囲であり、かつ、前記導電性金属箔の背面形状が転写される接着剤と屈折率の差が0.14以下である接着剤組成物を、前記幾何学図形を含み、導電性金属箔の背面形状が転写された部分の接着剤に塗布する工程を含み、各工程でフィルム巻き出しからフィルム巻き取りまで連続的に行うことを特徴とする透明性と非視認性を有する電磁波シールドフィルムの製造方法。
  4. プラスチックフィルム上に導電性金属箔で形成された幾何学図形のライン幅が40μm以下、ライン間隔が200μm以上、ライン厚みが40μm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明性と非視認性を有する電磁波シールドフィルムの製造方法。
  5. プラスチックフィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムである請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明性と非視認性を有する電磁波シールドフィルムの製造方法。
  6. 導電性金属が、厚み3〜40μmの、アルミニウムまたはニッケルの導電性金属で、プラスチックフィルムへの接着面が表面粗さ1μm以上の粗面である請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明性と非視認性を有する電磁波シールドフィルムの製造方法。
  7. 導電性金属が銅であり、少なくともその表面が黒化処理されている請求項1〜のいずれか1項に記載の透明性と非視認性を有する電磁波シールドフィルムの製造方法。
  8. 導電性金属が常磁性金属である請求項1〜のいずれか1項に記載の透明性と非視認性を有する電磁波シールドフィルムの製造方法。
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