JP2000323890A - 電磁波シールド性接着フィルム、電磁波遮蔽構成体及び電磁波シールド性ディスプレイの製造法 - Google Patents

電磁波シールド性接着フィルム、電磁波遮蔽構成体及び電磁波シールド性ディスプレイの製造法

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JP2000323890A
JP2000323890A JP12789099A JP12789099A JP2000323890A JP 2000323890 A JP2000323890 A JP 2000323890A JP 12789099 A JP12789099 A JP 12789099A JP 12789099 A JP12789099 A JP 12789099A JP 2000323890 A JP2000323890 A JP 2000323890A
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electromagnetic wave
wave shielding
adhesive film
conductive metal
film
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English (en)
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Toshishige Uehara
寿茂 上原
Hiroyuki Hagiwara
裕之 萩原
Minoru Tosaka
実 登坂
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Hitachi Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電磁波シールド性、透明性・非視認性および
良好な接着特性を有する電磁波シールド性接着フィルム
の製造法を提供する。 【解決手段】 透明基材上に活性エネルギー線を照射す
ることにより硬化する接着剤層を介して導電性金属層が
積層されてなる導電性金属付きプラスチックフィルムに
おいて、スクリーン印刷法又はオフセット印刷法により
作製したエッチングレジストパターンを形成し、導電性
金属層をエッチングすることにより導電性金属からなる
幾何学図形を形成することを特徴とする電磁波シールド
性接着フィルムの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はCRT、PDP(プ
ラズマ)、液晶、ELなどのディスプレイ前面から発生
する電磁波のシールド性を有する電磁波シールド性接着
フィルム、電磁波遮蔽構成体及び電磁波シールド性ディ
スプレイの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年各種の電気設備や電子応用設備の利
用が増加するのに伴い、電磁気的なノイズ妨害も増加の
一途をたどっている。ノイズは大きく分けて伝導ノイズ
と放射ノイズに分けられ、伝導ノイズの対策としては、
ノイズフィルタなどを用いる方法がある。一方、放射ノ
イズの対策としては、電磁気的に空間を絶縁する必要が
あるため、筐体を金属体または高導電体にするとか、回
路基板と回路基板の間に金属板を挿入するとか、ケーブ
ルを金属箔で巻き付けるなどの方法が取られている。こ
れらの方法では、回路や電源ブロックの電磁波シールド
効果を期待できるが、CRT、PDPなどのディスプレ
イ前面より発生する電磁波シールド用途としては、不透
明であるため適用できなかった。
【0003】電磁波シールド性と透明性を両立させる方
法として、透明性基材上に金属または金属酸化物を蒸着
して薄膜導電層を形成する方法(特開平1−27880
0号公報、特開平5−323101号公報参照)が提案
されている。一方、良導電性繊維を透明基材に埋め込ん
だ電磁波シールド材(特開平5−327274号公報、
特開平5−269912号公報参照)や金属粉末等を含
む導電性樹脂を透明基板上に直接印刷した電磁波シール
ド材料(特開昭62−57297号公報、特開平2−5
2499号公報参照)、さらには、厚さが2mm程度の
ポリカーボネート等の透明基板上に透明樹脂層を形成
し、その上に無電解めっき法により銅のメッシュパター
ンを形成した電磁波シールド材料(特開平5−2838
89号公報参照)が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】電磁波シールド性と透
明性を両立させる方法として、特開平1−278800
号公報、特開平5−323101号公報に示されている
透明性基材上に金属または金属酸化物を蒸着して薄膜導
電層を形成する方法は、透明性が達成できる程度の膜厚
(数100Å〜2、000Å)にすると導電層の表面抵
抗が大きくなりすぎるため、30MHz〜1GHzで要
求される30dB以上のシールド効果に対して20dB
以下と不十分であった。良導電性繊維を透明基材に埋め
込んだ電磁波シールド材(特開平5−327274号公
報、特開平5−269912号公報)では、30MHz
〜1GHzの電磁波シールド効果は40〜50dBと十
分大きいが、電磁波漏れのないように導電性繊維を規則
配置させるために必要な繊維径が35μmと太すぎるた
め、繊維が見えてしまい(以後視認性という)ディスプ
レイ用途には適したものではなかった。また、特開昭6
2−57297号公報、特開平2−52499号公報の
金属粉末等を含む導電性樹脂を透明基板上に直接印刷し
た電磁波シールド材料の場合も同様に、印刷精度の限界
からライン幅は、100μm前後となり視認性が発現す
るため適したものではなかった。さらに特開平5−28
3889号公報に記載の厚さが2mm程度のポリカーボ
ネート等の透明基板上に透明樹脂層を形成し、その上に
無電解めっき法により銅のメッシュパターンを形成した
シールド材料では、無電解めっきの密着力を確保するた
めに、透明基板の表面を粗化する必要がある。この粗化
手段として、一般にクロム酸や過マンガン酸などの毒性
の高い酸化剤を使用しなければならず、この方法は、A
BS以外の樹脂では、満足できる粗化を行うことは困難
となる。この方法により、電磁波シールド性と透明性は
達成できたとしても、透明基板の厚さを小さくすること
は困難で、フィルム化の方法としては適していなかっ
た。さらに透明基板が厚いと、ディスプレイに密着させ
ることができないため、そこから電磁波の漏洩が大きく
なる。また製造面においては、シールド材料を巻物等に
することができないため嵩高くなることや自動化に適し
ていないために製造コストがかさむという欠点もあっ
た。ディスプレイ前面から発生する電磁波のシールド性
については、30MHz〜1GHzにおける30dB以
上の電磁波シールド機能の他に、ディスプレイ前面より
発生する900〜1、100nmの赤外線はリモートコ
ントロールで操作する他のVTR機器等に悪影響を及ぼ
すため、これを遮蔽する必要がある。この他にも良好な
可視光透過性、さらに可視光透過率が大きいだけでな
く、電磁波の漏れを防止するためディスプレイ面に密着
して貼付けられる接着性、シールド材の存在を肉眼で確
認することができない特性である非視認性も必要とされ
る。接着性についてはガラスや汎用ポリマー板に対し比
較的低温で容易に貼付き、長期間にわたって良好な密着
性を有することが必要である。しかし、電磁波シールド
性、赤外線遮蔽性、透明性・非視認性、接着性等の特性
を同時に十分満たす接着フィルムとしては、これまで満
足なものは得られていなかった。本発明はかかる点に鑑
み、電磁波シールド性、透明性・非視認性および良好な
接着特性を有する電磁波シールド性接着フィルム、電磁
波遮蔽構成体及び電磁波シールド性ディスプレイの製造
法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、次のものに関
する。 (1) 透明基材上に活性エネルギー線を照射すること
により硬化する接着剤層を介して導電性金属層が積層さ
れてなる導電性金属付きプラスチックフィルムにおい
て、スクリーン印刷法又はオフセット印刷法により作製
したエッチングレジストパターンを形成し、導電性金属
層をエッチングすることにより導電性金属からなる幾何
学図形を形成することを特徴とする電磁波シールド性接
着フィルムの製造法。 (2) 活性エネルギー線が紫外線もしくは電子線であ
る(1)に記載の電磁波シールド性接着フィルムの製造
法。 (3) 活性エネルギー線を照射することにより硬化す
る接着剤層の硬化後の屈折率が1.40〜1.70の範
囲にある(1)又は(2)に記載の電磁波シールド性接
着フィルムの製造法。 (4) 活性エネルギー線を照射することにより硬化す
る接着剤層の厚さが導電性金属の厚さ以上であることを
特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の電磁波シ
ールド性接着フィルムの製造法。 (5) 活性エネルギー線を照射することにより硬化す
る接着剤層中に赤外線吸収剤が含有されていることを特
徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の電磁波シー
ルド性接着フィルムの製造法。 (6) 導電性金属で描かれた幾何学図形のライン幅が
40μm以下、ライン間隔が100μm以上、ライン厚
さが40μm以下である(1)〜(5)のいずれかに記
載の電磁波シールド性接着フィルムの製造法。 (7) 導電性金属付きプラスチックフィルムの金属
が、厚さ0.5〜40μmの銅、アルミニウムまたはニ
ッケルである(1)〜(6)のいずれかに記載の電磁波
シールド性接着フィルムの製造法。 (8) 導電性金属付きプラスチックフィルムのプラス
チックフィルムがポリエチレンテレフタレートフィルム
またはポリカーボネートフィルムである(1)〜(7)
のいずれかに記載の電磁波シールド性接着フィルムの製
造法。 (9) 導電性金属が銅であり、少なくともその表面が
黒化処理されていることを特徴とする(1)〜(8)の
いずれかに記載の電磁波シールド性接着フィルムの製造
法。 (10) 導電性金属が常磁性金属である(1)〜
(9)のいずれかに記載の電磁波シールド性接着フィル
ムの製造法。 (11) 加圧と同時に又はその後、透明基材とは反対
側に剥離可能な保護フィルムを積層する(1)〜(1
0)のいずれかに記載の電磁波シールド性接着フィルム
の製造法。 (12) (1)〜(11)のいずれかに記載の電磁波
シールド性接着フィルムの製造法を行った後、得られた
電磁波シールド性接着剤フィルムとプラスチック板を貼
り合わせることを特徴とする電磁波遮蔽構成体の製造
法。 (13) (12)に記載の電磁波シールド性接着フィ
ルムの製造法を行った後、得られた電磁波シールド性接
着剤フィルムの保護フィルムを剥離しつつ又は剥離した
後、プラスチック板を貼り合わせることを特徴とする電
磁波遮蔽構成体の製造法。 (14) (1)〜(11)のいずれかに記載の電磁波
シールド性接着フィルムの製造法を行った後、得られた
電磁波シールド性接着剤フィルムをディスプレイ表面に
貼り合わせることを特徴とする電磁波シールド性ディス
プレイの製造法。 (15) (12)に記載の電磁波シールド性接着フィ
ルムの製造法を行った後、得られた電磁波シールド性接
着剤フィルムの保護フィルムを剥離しつつ又は剥離した
後、ディスプレイ表面に貼り合わせることを特徴とする
電磁波シールド性ディスプレイの製造法。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明で使用する透明基材は、プ
ラスチック板、ガラス板等であっても良いが、可とう性
のあるものが好ましく、例えば、プラスチックフィルム
を使用することが好ましい。プラスチックフィルムとし
ては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエ
チレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリスチレン、EVAなどのポリ
オレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンな
どのビニル系樹脂、ポリサルホン、ポリエーテルサルホ
ン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、アク
リル樹脂などのプラスチックからなるものがある。透明
基材は、全可視光透過率が70%以上で厚さが1mm以
下のものが好ましい。透明基材は単層で使うこともでき
るが、2層以上を組み合わせて多層体として使用しても
よい。前記プラスチックフィルムのうち透明性、耐熱
性、取り扱いやすさ、価格の点からポリエチレンテレフ
タレートフィルムまたはポリカーボネートフィルムが好
ましい。透明基材の厚さは、特にプラスチックフィルム
の厚さは、5〜500μmが好ましい。5μm未満にな
ると取り扱い性が悪くなる傾向があり、500μmを超
えると可視光の透過率が低下してくる傾向がある。透明
基材の厚さは、特にプラスチックフィルムの厚さは、1
0〜200μmとすることがより好ましい。
【0007】本発明に用いる活性エネルギー線を照射す
ることにより硬化する接着剤層は、紫外線もしくは電子
線等の活性エネルギー線を照射することにより硬化する
接着剤組成物のことで、好適には導電性金属で描かれた
幾何学図形、接着剤層及びプラスチックフィルムを基本
構成とする電磁波シールド性接着フィルムを被着体であ
るディスプレイやプラスチック板に接着した後、活性エ
ネルギー線を照射して硬化させることが望ましい。活性
エネルギー線を被着体に接着させる前に照射して予め硬
化の程度を進めておくこともできる。この場合、硬化の
程度を進めた後の接着剤層の溶融粘度が、200℃にお
ける回転粘度計により測定した数値で、10000ポイ
ズ以下であることが好ましい。これは、接着剤層の硬化
の程度を進めた後でも貼り付けによる接着等の加工を可
能とするため接着剤層の流動性を確保しておくためであ
る。硬化を完全にした状態でも接着剤層が流動性や接着
性を発現できるものであればそれでも良い。
【0008】本発明で使用する活性エネルギー線である
紫外線、電子線等により硬化する接着剤層の材料として
は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、
ウレタン樹脂等をベースポリマとし、各々にラジカル重
合性あるいはカチオン重合性官能基を付与させた材料が
例示できる。ラジカル重合性官能基として、アクリル基
(アクリロイル基),メタクリル基(メタクリロイル
基),ビニル基,アリル基などの炭素−炭素二重結合が
あり、反応性の良好なアクリル基(アクリロイル基)が
好適に用いられる。カチオン重合性官能基としては、エ
ポキシ基(グリシジルエーテル基、グリシジルアミン
基)が代表的であり、高反応性の脂環エポキシ基が好適
に用いられる。具体的な材料としては、アクリルウレタ
ン、エポキシ(メタ)アクリレート、エポキシ変性ポリ
ブタジエン、エポキシ変性ポリエステル、ポリブタジエ
ン(メタ)アクリレート、アクリル変性ポリエステル等
が挙げられる。
【0009】活性エネルギー線が紫外線の場合、紫外線
硬化時に添加される光増感剤あるいは光開始剤として
は、ベンゾフェノン系、アントラキノン系、ベンゾイン
系、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、オニウム塩、ハ
ロニウム塩等の公知の材料を使用することができる。
【0010】また、上記の材料の他に汎用の熱可塑性樹
脂をブレンドしても良い。汎用熱可塑性樹脂としては、
たとえば天然ゴム(屈折率n=1.52)、ポリイソプレン(n=
1.521)、ポリ−1,2−ブタジエン(n=1.50)、ポリイソ
ブテン(n=1.505〜1.51)、ポリブテン(n=1.513)、ポリ−
2−ヘプチル−1,3−ブタジエン(n=1.50)、ポリ−2
−t−ブチル−1,3−ブタジエン(n=1.506)、ポリ−
1,3−ブタジエン(n=1.515)などの(ジ)エン類、ポ
リオキシエチレン(n=1.456)、ポリオキシプロピレン(n=
1.450)、ポリビニルエチルエーテル(n=1.454)、ポリビ
ニルヘキシルエーテル(n=1.459)、ポリビニルブチルエ
ーテル(n=1.456)などのポリエーテル類、ポリビニルア
セテート(n=1.467)、ポリビニルプロピオネート(n=1.46
7)などのポリエステル類、ポリウレタン(n=1.5〜1.6)、
エチルセルロース(n=1.479)、ポリ塩化ビニル(n=1.54〜
1.55)、ポリアクリロニトリル(n=1.52)、ポリメタクリ
ロニトリル(n=1.52)、ポリスルホン(n=1.633)、ポリス
ルフィド(n=1.6)、フェノキシ樹脂(n=1.5〜1.6)、ポリ
エチルアクリレート(n=1.469)、ポリブチルアクリレー
ト(n=1.466)、ポリ−2−エチルヘキシルアクリレート
(n=1.463)、ポリ−t−ブチルアクリレート(n=1.464)、
ポリ−3−エトキシプロピルアクリレート(n=1.465)、
ポリオキシカルボニルテトラメチレン(n=1.465)、ポリ
メチルアクリレート(n=1.472〜1.480)、ポリイソプロピ
ルメタクリレート(n=1.473)、ポリドデシルメタクリレ
ート(n=1.474)、ポリテトラデシルメタクリレート(n=1.
475)、ポリ−n−プロピルメタクリレート(n=1.484)、
ポリ−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリ
レート(n=1.484)、ポリエチルメタクリレート(n=1.48
5)、ポリ−2−ニトロ−2−メチルプロピルメタクリレ
ート(n=1.487)、ポリ−1,1−ジエチルプロピルメタ
クリレート(n=1.489)、ポリメチルメタクリレート(n=1.
489)などのポリ(メタ)アクリル酸エステルが使用可能
である。これらのアクリルポリマーは必要に応じて、2
種以上共重合してもよいし、2種類以上をブレンドして
使用することも可能である。
【0011】さらにアクリル樹脂とアクリル以外との共
重合樹脂としてはエポキシアクリレート(n=1.48〜1.6
0)、ウレタンアクリレート(n=1.5〜1.6)、ポリエーテル
アクリレート(n=1.48〜1.49)、ポリエステルアクリレー
ト(n=1.48〜1.54)なども使うこともできる。特に接着性
の点から、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレー
ト、ポリエーテルアクリレートが優れており、エポキシ
アクリレートとしては、1、6−ヘキサンジオールジグ
リシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジ
ルエーテル、アリルアルコールジグリシジルエーテル、
レゾルシノールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグ
リシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ポ
リエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチ
ロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリント
リグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグ
リシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエー
テル等の(メタ)アクリル酸付加物が挙げられる。エポ
キシアクリレートなどのように分子内に水酸基を有する
ポリマーは接着性向上に有効である。これらの共重合樹
脂は必要に応じて、2種以上併用することができる。こ
れらの接着剤となるポリマーの軟化温度は、取扱い性か
ら200℃以下が好適で、150℃以下がさらに好まし
い。電磁波シールド性接着フィルムの用途から、使用さ
れる環境が通常80℃以下であるので接着剤層の軟化温
度は、加工性から80〜120℃が最も好ましい。一
方、ポリマーの重量平均分子量(ゲツパーミエーション
クロマトグラフィーにより標準ポリスチレンの検量線を
使用して測定したもの)は、500以上のものを使用す
ることが好ましい。分子量が500以下では接着剤組成
物の凝集力が低すぎるために被着体への密着性が低下す
るおそれがある。本発明で使用する接着剤には必要に応
じて、希釈剤、可塑剤、酸化防止剤、充填剤、着色剤、
紫外線吸収剤や粘着付与剤などの添加剤を配合してもよ
い。接着剤の層の厚さは、10〜80μmであることが
好ましく、導電層の厚さ以上で20〜50μmとするこ
とが特に好ましい。
【0012】本発明で用いる活性エネルギー線を照射す
ることにより硬化する接着剤層の硬化後の屈折率は1.
40〜1.70のものを使用するのが好ましい。これは
本発明で使用するプラスチックフィルムと接着剤層の屈
折率、または導電性金属付きプラスチックフィルムのプ
ラスチックフィルムに導電性金属を接着するために使用
した接着剤と本発明で使用する接着剤層の屈折率が異な
ると可視光透過率が低下するためであり、屈折率が1.
40〜1.70であると可視光透過率の低下が少なく良
好で上述したポリマーの屈折率はこの範囲内にある。
【0013】本発明の導電性金属として、銅、アルミニ
ウム、ニッケル、鉄、金、銀、ステンレス、タングステ
ン、クロム、チタンなどの金属、あるいはそれらの金属
の2種以上を組み合わせた合金を使用することができ
る。導電性や回路加工の容易さ、価格の点から銅、アル
ミニウムまたはニッケルが適しており、金属箔、めっき
金属、蒸着などの真空下で形成される金属が使われる。
導電性金属の厚さは0.5〜40μmが好ましい。40
μmを超えると、細かいライン幅の形成が困難であった
り、視野角が狭くなる。また厚さが0.5μm未満で
は、表面抵抗が大きくなり、電磁波シールド効果が劣る
傾向にある。加工性、電磁波シールド性の観点から1〜
20μmがさらに好ましい。
【0014】導電性金属が銅であり、少なくともその表
面が黒化処理されたものであると、コントラストが高く
なり好ましい。また導電性金属が経時的に酸化され退色
されることが防止できる。黒化処理は、幾何学図形の形
成前後で行えばよいが、通常形成後において、プリント
配線板分野で行われている方法を用いて行うことができ
る。例えば、亜塩素酸ナトリウム(31g/l)、水酸
化ナトリウム(15g/l)、燐酸三ナトリウム(12
g/l)の水溶液中、95℃で2分間処理することによ
り行うことができる。また、導電性金属が、ニッケル、
鉄、ステンレス、チタン等の常磁性金属であると、磁場
シールド性に優れるために好ましい。導電性金属を上記
透明基材に密着させる方法としては、活性エネルギー線
を照射することにより硬化する接着剤層を介して貼り合
わせるのが最も簡便である。導電性金属の導電層の厚み
を小さくする必要がある場合は、活性エネルギー線を照
射することにより硬化する接着剤層の上に真空蒸着法、
スパッタリング法、イオンプレート法、化学蒸着法、無
電解・電気めっき法などの薄膜形成技術のうちの1また
は2以上の方法を組み合わせることにより導電性金属の
層を形成することができる。導電性金属の厚みは40μ
m以下とすることが好ましく、厚みが薄いほどディスプ
レイの視野角が広がり電磁波シールド材料として好まし
く、18μm以下とすることがさらに好ましい。
【0015】本発明の導電性金属で描かれた幾何学図形
は、正三角形、二等辺三角形、直角三角形などの三角
形、正方形、長方形、ひし形、平行四辺形、台形などの
四角形、(正)六角形、(正)八角形、(正)十二角
形、(正)二十角形などの(正)n角形(nは正の整
数)、円、だ円、星型などを組み合わせた模様であり、
これらの単位の単独の繰り返し、あるいは2種類以上組
み合わせで使うことも可能である。電磁波シールド性の
観点からは三角形が最も有効であるが、可視光透過性の
点からは同一のライン幅なら(正)n角形のn数が大き
いほど開口率が上がるが、可視光透過性の点から開口率
は50%以上が必要とされる。開口率は、60%以上が
さらに好ましい。開口率は、電磁波シールド性接着フィ
ルムの有効面積に対する有効面積から導電性金属で描か
れた幾何学図形の導電性金属の面積を引いた面積の比の
百分率である。ディスプレイ画面の面積を電磁波シール
ド性接着フィルムの有効面積とした場合、その画面が見
える割合となる。
【0016】また、導電性金属上にめっきを施すことに
よって、さらに電磁波シールド性を向上させることがで
きる。金属めっきを施す方法として常法による電解めっ
き、無電解めっきのいずれの方法でも可能である。めっ
き金属の種類は金、銀、銅、ニッケル、アルミ等が可能
であるが、導電性、価格の点から銅、またはニッケルが
最も適している。めっき厚みの範囲は0.1〜100μ
mが適当で、0.1μm未満では導電性が不十分なた
め、十分なシールド性が発現しないおそれがある。また
めっき厚みが100μmを超えると、視野角が狭くなる
ため好ましくない。0.5〜50μmがさらに好まし
い。
【0017】このような幾何学図形を形成させる方法と
しては、前記のように透明基材に導電性金属が張り合わ
されている場合、スクリーン印刷法、凹版オフセット印
刷法等の印刷法を利用してエッチングレジストパターン
作製した後、導電性金属をエッチングする方法がある。
これらの方法が回路加工の精度および回路加工の効率の
点から有効である。エッチングする方法としては、ケミ
カルエッチング法等がある。ケミカルエッチングとは、
エッチングレジストで保護された導体部分以外の不要導
体をエチング液で溶解し、除去する方法である。エッチ
ング液としては、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶
液、アルカリエッチング液等がある。これらの中でも、
低汚染性で再利用が可能な塩化第二鉄又は塩化第二銅の
水溶液が好適である。エチング液の濃度は、被エッチン
グ物の厚さ、処理速度にもよるが、通常150〜250
g/リットルである。また、液温は、60〜80℃の範
囲が好ましい。被エッチング物をエッチング液に暴露す
る方法は、エッチング液中への被エッチング物の浸漬、
エッチング液中の被エッチング物へのシャワーリング、
エッチング剤の気相中への被エッチング物の暴露などが
ある。エッチング精度の安定性からはエッチング液中の
被エッチング物へのシャワーリングが好ましい。
【0018】スクリーン印刷法又は凹版オフセット印刷
法は、透明基材、接着剤及び導電性金属層を含む積層体
の導電性金属の層表面にエッチングレジストインクを印
刷し、硬化させた後エッチング処理により導電性金属の
幾何学図形を形成し、この後レジストを剥離する方法が
ある。 スクリーン印刷では、メッシュに乳剤を付け乳
剤に所望のパターン穴を形成して作製されたメッシュ
版、メッシュレスメタル板に乳剤を付け、乳剤に所望の
パターン穴を形成して作製されたメッシュレスメタル版
等の版を通して導電性金属層にスキージを使用してパタ
ーンが印刷されるのが一般的である。
【0019】エッチングレジストインキとしては、硬化
物が導電性金属のエッチング処理に対して耐性を有する
ものであればよく、一般にしられたものを使用すること
ができる。エッチングレジストインキとしては、ネガ型
フォトレジスト組成物、感光性樹脂組成物、熱硬化性樹
脂組成物等がある。
【0020】ネガ型フォトレジスト組成物としては、ア
ルカリ水溶液可溶性樹脂、アミノ樹脂及び酸発生剤を含
有してなるものがあり、印刷乾燥後、紫外線、遠紫外
線、あるいはX線、電子線等の活性放射線照射を行い、
さらに必要に応じて加熱することにより硬化させること
ができる。アルカリ水溶液可溶性樹脂としてはアルカリ
水溶液に可溶な樹脂であれば特に制限はないが、フェノ
ール類とアルデヒド類とを縮合させたノボラック樹脂が
好ましい。酸発生剤としては、たとえば、ハロゲン含有
化合物、キノンジアジド化合物、スルホン酸エステル化
合物、オニウム塩が挙げられる。
【0021】これらの配合は、アルカリ水溶液可溶性樹
脂100重量部に対し、酸発生剤は5〜40重量部含有
させるのが好ましく、アミノ樹脂は3〜50重量部の割
合で含有させることが好ましい。溶剤は、通常、アルカ
リ水溶液可溶性樹脂100重量部に対して200〜20
00重量部の範囲で用いられる。溶剤としては、アセト
ン、ジエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキ
サノン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香
族系溶剤、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセタ
ート、エチルセロソルブアセタート等のセロソルブ系溶
剤、乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、プロピ
レングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレン
グリコールエチルエーテルアセテート、ピルビン酸メチ
ル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル等のエステ
ル系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、プ
ロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコ
ールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエ
ーテル等のアルコール系溶剤などを単独で又は2種類以
上組み合わせて用いることができる。
【0022】感光性樹脂組成物としては、バインダー樹
脂に、重合性モノマーおよび光開始剤を含むものがあ
る。バインダー樹脂としては、以下に示すものが挙げら
れる。天然ゴム、ポリイソプレン、ポリ−1、2−ブタ
ジエン、ポリイソブテン、ポリブテン、ポリ−2−ヘプ
チル−1,3−ブタジエン、ポリ−2−t−ブチル−
1、3−ブタジエン、ポリ−1、3−ブタジエンなどの
(ジ)エン類、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピ
レン、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルヘキシル
エーテル、ポリビニルブチルエーテルなどのポリエーテ
ル類、ポリビニルアセテート、ポリビニルプロピオネー
トなどのポリエステル類、ポリウレタン、エチルセルロ
ース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリメ
タクリロニトリル、ポリスルホン、ポリスルフィド、ポ
リエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリ
−2−エチルヘキシルアクリレート、ポリ−t−ブチル
アクリレート、ポリ−3−エトキシプロピルアクリレー
ト、ポリオキシカルボニルテトラメタクリレート、ポリ
メチルアクリレート、ポリイソプロピルメタクリレー
ト、ポリドデシルメタクリレート、ポリテトラデシルメ
タクリレート、ポリ−n−プロピルメタクリレート、ポ
リ−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレ
ート、ポリエチルメタクリレート、ポリ−2−ニトロ−
2−メチルプロピルメタクリレート、ポリ−1,1−ジ
エチルプロピルメタクリレート、ポリメチルメタクリレ
ートなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、またはこ
れらの共重合体を使用することができる。
【0023】重合性モノマーとしては、アクリルモノマ
ー、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポ
リエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレートな
ども使用できる。特に支持体への密着性の点から、ウレ
タンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテ
ルアクリレートが優れており、エポキシアクリレートと
しては、1、6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテ
ル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ア
リルアルコールジグリシジルエーテル、レゾルシノール
ジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステ
ル、フタル酸ジグリシジルエステル、ポリエチレングリ
コールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパン
トリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエ
ーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテ
ル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル等の(メ
タ)アクリル酸付加物が挙げられる。エポキシアクリレ
ートなどのように分子内に水酸基を有するポリマーは支
持体への密着性向上に有効である。これらは、汎用溶剤
に溶解させるか、または無溶剤のまま金属分散剤などと
ともに攪拌・混合して使用することができる。
【0024】熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、
メラミン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂のようなな
どが適用可能で、これらのポリマーは必要に応じて、2
種以上共重合してもよいし、2種類以上をブレンドして
使用することも可能である。これらは、通常、汎用溶剤
に溶解させるか、または無溶剤のまま金属分散剤などと
ともに攪拌・混合して使用することができる。上記感光
性樹脂組成物は、マイクロリソグラフ法を行うときの感
光層の作製にも使用することができる。
【0025】本発明で使用するこれらの組成物には必要
に応じて、分散剤のほかに、チクソトロピー性付与剤、
消泡剤、レベリング剤、希釈剤、可塑化剤、酸化防止
剤、金属不活性化剤、カップリング剤や充填剤などの添
加剤を配合してもよい。
【0026】導電性金属で描かれた幾何学図形の線幅は
40μm未満が好ましい。また、その線ピッチは100
μm以上、線厚は40μm以下の範囲とするのが好まし
い。また、幾何学図形の非視認性の観点から線幅は、3
0μm未満がより好ましく、25μm以下がさらに好ま
しい。可視光透過率の点から線ピッチは120μm以
上、線厚18μm以下がさらに好ましい。線幅は、電気
的に導通していれば、可視光透過性の観点から細い方が
好ましい。細すぎると製造が困難になる傾向があるた
め、10μm以上とされることが好ましい。線厚は、電
磁波シールド性の観点から1μm以上とされることが好
ましい。線ピッチは、大きいほど開口率は向上し、可視
光透過率は向上するが、電磁波シールド性が低下するた
め、線ピッチは1mm以下とするのが好ましい。なお、
線ピッチは、幾何学図形等の組合せで複雑となる場合、
繰り返し単位を基準として、その面積を正方形の面積に
換算してその一辺の長さを線ピッチとする。ライン間隔
は、大きいほど開口率は向上し、可視光透過率は向上す
る。前述のようにディスプレイ前面に使用する場合、開
口率は50%以上が必要であるが、60%以上がさらに
好ましい。ライン間隔が大きくなり過ぎると、電磁波シ
ールド性が低下するため、ライン幅は1000μm(1
mm)以下とするのが好ましい。なお、ライン間隔は、
幾何学図形等の組合せで複雑となる場合、繰り返し単位
を基準として、その面積を正方形の面積に換算してその
一辺の長さをライン間隔とする。
【0027】本発明における電磁波シールド性接着フィ
ルムには、赤外線吸収剤を介在させることができる。赤
外線吸収剤としては、酸化鉄、酸化セリウム、酸化スズ
や酸化アンチモンなどの金属酸化物、またはインジウム
−スズ酸化物(以下ITO)、六塩化タングステン、塩
化スズ、硫化第二銅、クロム−コバルト錯塩、チオール
−ニッケル錯体またはアミニウム化合物、ジイモニウム
化合物(日本化薬株式会社製商品名)またはアントラキ
ノン系(SIR−114)、金属錯体系(SIR−12
8、SIR−130、SIR−132、SIR−15
9、SIR−152、SIR−162)、フタロシアニ
ン系(SIR−103)(以上、三井東圧化学株式会社
製商品名)などの有機系赤外線吸収剤などが挙げられ、
これらを上記接着剤層中に含有させることが好ましい。
この他にバインダー樹脂中に分散させた組成物を接着剤
としてプラスチックフィルム上に形成した加熱または加
圧により流動する接着剤層の面に塗布したり、プラスチ
ックの面に直接塗布しさらにその上に加熱または加圧に
より流動する接着剤層を形成したり、プラスチックフィ
ルムに形成した接着剤層の面と反対側のフィルム背面に
塗布することもできる。また、予めプラスチックフィル
ム中に赤外線吸収剤を含有させたプラスチックフィルム
を使用することもできる。これらの赤外線吸収性化合物
のうち、最も効果的に赤外線を吸収する効果があるの
は、硫化第二銅、ITO、アミニウム化合物、ジイモニ
ウム化合物や金属錯体系などの赤外線吸収剤である。有
機系赤外線吸収剤以外の赤外線吸収剤の場合、これらの
化合物の一次粒子の粒径に注意する必要がある。粒径が
赤外線の波長より大きすぎると遮蔽効率は向上するが、
粒子表面で乱反射が起き、ヘイズが増大するため透明性
が低下する。一方、粒径が赤外線の波長に比べて短かす
ぎると遮蔽効果が低下する。好ましい粒径は0.01〜
5μmで0.1〜3μmがさらに好ましい。
【0028】赤外線吸収性の材料である赤外線吸収剤
は、バインダー樹脂として、例えば、ビスフェノールA
型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノ
ボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ系樹脂、ポリイ
ソプレン、ポリ−1,2−ブタジエン、ポリイソブテ
ン、ポリブテンなどのジエン系樹脂、エチルアクリレー
ト、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレ
ート、t−ブチルアクリレートなどからなるポリアクリ
ル酸エステル共重合体、ポリビニルアセテート、ポリビ
ニルプロピオネートなどのポリエステル系樹脂、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、EVAなどの
ポリオレフィン系樹脂などのバインダー樹脂中に均一に
分散される。その配合の最適量は、バインダー樹脂10
0重量部に対して赤外線吸収剤が0.01〜10重量部
であるが、0.1〜5重量部がさらに好ましい。0.0
1重量部未満では赤外線遮蔽効果が少なく、10重量部
を超えると透明性が損なわれる。
【0029】接着剤層中に、上記の赤外線吸収剤を含有
させた接着剤層はプラスチックフィルムの片面に形成さ
れ、さらにその接着剤層の面に導電性金属が被覆される
と好ましい。また、前述したように、赤外線吸収剤を含
有した組成物をプラスチックフィルム面に形成し、その
上に加熱または加圧により流動する接着剤層(赤外線吸
収剤を含有または含有してなくても良い)を形成しても
よいし、プラスチックフィルム面に接着剤層を形成し、
その上に赤外線吸収剤を含有した組成物を形成しても良
い。さらに、電磁波シールド性接着フィルムの導電性金
属の反対側の面に形成しても良い。また、電磁波シール
ド性接着フィルムとプラスチック板から構成された電磁
波遮蔽構成体のいずれかの層に形成しても良い。例え
ば、1枚の電磁波シールド性接着フィルムと1枚のプラ
スチック板から構成された電磁波遮蔽構成体であれば、
電磁波シールド性接着フィルムの面A、電磁波シールド
性接着フィルムとプラスチック板の間の面B、プラスチ
ック板の面Cのいずれの面に形成しても良い。この場
合、赤外線吸収剤を含有した組成物は、これを直接上記
のA,B,Cの少なくとも一つの面に形成しても良い。
赤外線吸収剤を含有した層が少なくとも1層は必要であ
り、それ以外の層は赤外線吸収剤を含有してなくても良
い。赤外線吸収剤を含有した層は、接着性を有していた
方が、作業性や加工性が容易となり好ましい。具体的に
は、電磁波シールド性接着フィルムの接着剤層面または
フィルム背面に0.1〜10μmの厚さで塗布される。
塗布された、赤外線吸収性の化合物を含む組成物は熱や
紫外線を使用して硬化させてもよい。一方、赤外線吸収
剤は上述した加熱硬化型接着剤層の接着剤組成物に直接
混合して使うことも可能である。その際の添加量は接着
剤の主成分となるポリマー100重量部に対して効果と
透明性から、0.01〜5重量部が最適である。
【0030】以上のようにして得られ、透明基材の上に
活性エネルギー線を照射することにより硬化する接着剤
層が積層されており、この接着剤層に幾何学図形の導電
性金属層が描かれている電磁波シールド性接着フィルム
の表面には、剥離可能な保護フィルムを積層してもよ
い。このようなフィルムとしては前記したプラスチック
フィルムのなかから適宜選択して使用される。このフィ
ルムの接着剤層に向かう面には剥離処理が施されていて
もよい。剥離処理としては、シリコーンポリマー等の離
型剤を塗布する方法がある。保護フィルムの積層は前記
した加熱加圧の条件と同様に行うことができる。また、
別個に接着剤を使用して保護フィルムを張り合わせても
よい。このときの接着剤としては、前記した熱可塑性接
着剤を使用することができる。
【0031】前記のようにして得られ、透明基材の上に
活性エネルギー線を照射することにより硬化する接着剤
層が積層されており、この接着剤層に幾何学図形の導電
層が描かれている電磁波シールド性接着フィルムは、ガ
ラス板、プラスチック板等の別の基板に張り合わせて、
電磁波遮蔽体とすることができる。このとき、別の基板
と本発明おける電磁波シールド性接着フィルムをそのま
ま積層して、加圧してもよい。加圧条件は前記したのと
同様である。また、別の基板と電磁波シールド性接着フ
ィルムの向かいあう面の少なくとも一方の表面に別個に
接着剤を使用して保護フィルムを張り合わせてもよい。
このときの接着剤としては、前記したのと同様のものが
使用できる。このときの接着方法としては、プレス機を
使用してもラミネーターを使用してもよい。また、上記
の電磁波シールド性接着フィルムが保護フィルムを有す
るときは、この保護フィルムをはがした後、又は剥がし
つつ上記のように張り合わせて電磁波遮蔽体とすること
ができる。また、別の基板の代わりにディスプレイ表面
に直接張り合わせてもよい。
【0032】前記のプラスチック板は、プラスチックか
らなる板であり、具体的には、ポリスチレン樹脂(n=1.5
9)、アクリル樹脂(n=1.46)、ポリメチルメタクリレート
樹脂(n=1.49)、ポリカーボネート樹脂(n=1.58)、ポリ塩
化ビニル樹脂(n=1.54)、ポリ塩化ビニリデン樹脂(n=1.6
〜1.63)、ポリエチレン樹脂(n=1.51)、ポリプロピレン
樹脂(n=1.50)、ポリアミド樹脂(n=1.52)、ポリアミドイ
ミド樹脂(n=1.5)、ポリエーテルイミド樹脂(n=1.5)、ポ
リエーテルケトン樹脂(n=1.45)、ポリアリレート樹脂(n
=1.5〜1.6)、ポリアセタール樹脂(n=1.5〜1.6)、ポリブ
チレンテレフタレート樹脂(n=1.57)、ポリエチレンテレ
フタレート樹脂(n=1.58)などの熱可塑性ポリエステル樹
脂、酢酸セルロース樹脂(n=1.49)、フッ素樹脂(n=1.4〜
1.5)、ポリスルホン樹脂(n=1.63)、ポリエーテルスルホ
ン樹脂(n=1.45〜1.6)、ポリメチルペンテン樹脂(n=1.45
〜1.6)、ポリウレタン樹脂(n=1.45〜1.6)、フタル酸ジ
アリル樹脂(n=1.45〜1.6)などの熱可塑性樹脂や熱硬化
性樹脂が挙げれれる。これらの中でも透明性に優れるポ
リスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレ
ート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹
脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメチルペン
テン樹脂が好適に用いられる。本発明で使用するプラス
チック板の厚みは、0.5mm〜5mmがディスプレイ
の保護や強度、取扱性から好ましい。
【0033】本発明の電磁波シールド性接着フィルム
は、幾何学図形を有する導電性金属、活性エネルギー線
を照射することにより硬化する接着剤層及び透明基材か
ら基本的に構成される。導電性金属は金属箔の使用が好
ましく、この場合接着性向上のため金属箔の面を粗化形
状にすることが多く、幾何学図形を形成すると、除去さ
れた金属部分は、接着層にその粗化形状を転写して金属
と接している接着剤層の部分に粗化形状が転写されてし
まい可視光線がそこで散乱されてしまうので光線透過率
が低下し透明性が損なわれる。また、プラスチックフィ
ルムにおいても、フィルムの成形加工性向上のため微量
のフィラーを添加しフィルム表面に凹凸を付与しフィル
ム巻き取り時のフィルム同士の滑りを良くして巻き取り
性を向上させたり、フィルム表面に接着剤との接着性向
上のためマット加工等の粗化処理をされることがある。
このように、接着剤層の導電性金属が除去された部分や
プラスチックフィルム自体は密着性向上等のために意図
的に凹凸を有していたり、導電性金属の背面形状を転写
したりするためにその表面で光が散乱され、透明性が損
なわれるが、本発明の接着剤層はプラスチックフィルム
の凹凸面を埋めその凹凸面にプラスチックフィルムと屈
折率が近い樹脂が平滑に塗布されると乱反射が最小限に
押さえられ、また導電性金属の粗化形状の転写は、接着
剤層が流動することにより解消され被着体の表面形状に
沿って流動するので透明性が発現するようになると考え
られる。さらにプラスチックフィルム上の導電性材料で
形成された幾何学図形は、ライン幅が非常に小さいため
肉眼で視認されない。またライン間隔も十分に大きいた
め見掛け上透明性を発現すると考えられる。一方、遮蔽
すべき電磁波の波長に比べて、幾何学図形のライン間隔
は十分に小さく、優れたシールド性を発現すると考えら
れる。
【0034】
【実施例】次に実施例に於いて本発明を具体的に述べる
が、本発明はこれに限定されるものではない。 (実施例1) <電磁波シールド性接着フィルム1及び電磁波遮蔽構成
体1作製例>プラスチックフィルムとして厚さ50μm
のPETフィルム(東洋紡績株式会社製、商品名A−4
100、屈折率n=1.575)を用い、その片面に下
記の赤外線吸収剤を含む接着剤層1を室温でアプリケー
タを用いて所定の乾燥塗布厚(厚さ20μm)になるよ
うに塗布し、90℃、5分間加熱乾燥させた。その接着
剤層1を介して導電性金属である厚さ12μmの電解銅
箔を、その粗化面が接着剤側になるようにして、90
℃、10Kgf/cm2の条件で加熱ラミネートして導
電性金属付きプラスチックフィルムである銅箔付きPE
Tフィルムを得た。得られた銅箔付きPETフィルムに
スクリーン印刷法〔スクリーン印刷機(ニューロング精
密工業株式会社製、アライメント装置付きLS−34G
X)、ニッケル合金製メッシュレスメタル版(メッシュ
工業株式会社製、厚み50μm、パターン寸法8mm×
8mm)及びパーマレックスメタルスキージ(巴工業株
式会社輸入品)〕を利用して、銅の薄膜上にエッチング
レジスト(日立化成工業株式会社製商品名、RAYCA
ST)を用いて、ライン幅40μm、ライン間隔250
μmのエッチングレジストパターンを形成した。その
後、200g/リットルの塩化第二鉄水溶液(液温60
℃)を3分間噴霧してケミカルエッチング(エッチング
速度2.0mm/分)してライン幅25μm、ライン間
隔250μmの銅格子パターンをPETフィルム上に形
成し、電磁波シールド性接着フィルム1を得た。この電
磁波シールド性接着フィルム1の可視光透過率は20%
以下であった。この電磁波シールド性接着フィルム1を
熱プレス機を使用し、保護フィルムとして片面を剥離処
理した厚さ50μmのPETフィルム(東セロ(株)製
離型コートPET)の剥離面に接着剤層が形成されてい
る面が接するようにして110℃、20Kgf/c
2、15分の条件で加熱圧着し、紫外線照射装置によ
り保護フィルムでないPETフィルム側から3J/cm
2の紫外線により接着剤層を硬化させ電磁波シールド性
フィルムを得た。このようにして作製した電磁波シール
ド性接着フィルム1の保護フィルムを剥離し、市販のア
クリル板(コモグラス;株式会社クラレ製商品名、厚み
3mm、n=1.49)に接着剤層が形成されている面
が接するようにして110℃、20Kg/cm2 15分
の条件で加熱圧着し電磁波遮蔽構成体1を得た。
【0035】 <接着剤層1の組成物> バイロンBK−4103(東洋紡績株式会社製商品名;アクリル変性ポリエステ ル樹脂、Mn=4万) 100重量部 SIR−159(赤外線吸収剤1:三井東圧株式会社製商品名) 0.5重量部 ベンゾフェノン(和光純薬工業株式会社製) 5重量部 トルエン 450重量部 酢酸エチル 10重量部 上記の接着剤層1の組成物の溶媒乾燥後の屈折率は1.
52、200℃の溶融粘度は1500ポイズであった。
【0036】(実施例2) <電磁波シールド性接着フィルム2及び電磁波遮蔽構成
体2作製例>厚さ25μmのPETフィルムの片面に下
記の赤外線吸収剤を含む接着剤層2を室温でアプリケー
タを用いて塗布し、90℃、5分間加熱乾燥させた。そ
の接着剤層2(厚さ40μm)を介して厚さ25μmの
アルミ箔を加熱ラミネート(100℃、10Kgf/c
2)して接着させアルミ箔付きPETフィルムを得
た。このアルミ箔付きPETフィルムに前記実施例1と
同様のスクリーン印刷法によりライン幅40μm、ライ
ン間隔125μmのエッチングレジストパターンを形成
した。その後、200g/リットルの塩化第二鉄水溶液
(液温60℃)を噴霧してケミカルエッチングして、ラ
イン幅15μm、ライン間隔125μmのアルミ格子パ
ターンをPETフィルム上に形成した。この電磁波シー
ルド性接着フィルム2の可視光透過率は20%以下であ
った。この電磁波シールド性接着フィルム1を熱プレス
機を使用し、実施例1と同じ片面を剥離処理した厚さ5
0μmのPETフィルム(保護フィルム)の剥離面に接
着剤層が形成されている面が接するようにして120
℃、30Kgf/cm2、30分の条件で熱プレス機を
使用し加熱圧着し、紫外線照射装置により保護フィルム
でないPETフィルム側から3J/cm2の紫外線を照
射して接着剤層を硬化させ電磁波シールド性接着フィル
ム2を得た。このようにして作製した電磁波シールド性
接着フィルム2の保護フィルムを剥離して市販のアクリ
ル板(コモグラス;株式会社クラレ製商品名、厚み3m
m)に接着剤層が形成されている面が接するようにして
120℃、30Kgf/cm2、30分の条件で熱プレ
ス機を使用して加熱圧着し電磁波遮蔽構成体2を得た。
【0037】 <接着剤層2の組成物> バイロンEP−2940(東洋紡績株式会社製商品名;エポキシ変性ポリエステ ル樹脂、Mn=4万) 100重量部 UFP−HX(赤外線吸収剤2:住友金属鉱山株式会社製商品名;ITO、平均 粒径0.1μm) 0.4重量部 サイラキュアUVI−6970(ユニオンカーバイド日本株式会社商品名、芳香 族スルホニウム塩化合物) 5重量部 MEK 330重量部 シクロヘキサノン 15重量部 上記の接着剤層2組成物の溶媒乾燥後の屈折率は1.5
4、200℃の溶融粘度は1200ポイズであった。
【0038】(実施例3) <電磁波シールド性接着フィルム3及び電磁波遮蔽構成
体3作製例>実施例1と同様の銅箔付きPETフィルム
(但し、接着剤は下記の接着剤層3を使用、接着剤層の
厚さは5μm)の銅箔の上に、凹版オフセット印刷機
〔ガラス版;ソーダライムガラス、溝の平均深さ10μ
m、内部の平均表面粗さ1μm、シリコーンポリマー離
型層の厚さ0.5μm−ブランケット;エポキシ変性シ
リコーンゴム製、JIS K 6253による硬度50
度、平均表面粗さ(Rz)0.5μm〕を利用して、エ
ッチングレジスト(日立化成工業株式会社製商品名、R
AYCAST)を用いて、ライン幅30μm、ライン間
隔250μmのエッチングレジストパターンを作製し
た。この後、実施例1同様のケミカルエッチングによ
り、銅格子格子パターンを接着剤層3上に形成した。こ
れをロールラミネータを使用し、実施例1と同じ片面を
剥離処理した厚さ50μmのPETフィルム(保護フィ
ルム)の剥離面に接着剤層が形成されている面が接する
ようにして110℃、20Kgf/cm2の条件で加熱
圧着し、紫外線照射装置により保護フィルムでないPE
Tフィルム側から3J/cm2の紫外線を照射して接着
剤層を硬化させ電磁波シールド性接着フィルム3を作製
した。この電磁波シールド性接着フィルム3の可視光透
過率は20%以下であった。この後電磁波シールド性接
着フィルム3の保護フィルムを剥離し、ロールラミネー
タを使用し市販のアクリル板(コモグラス、株式会社ク
ラレ製商品名、厚み3mm)に接着剤層が形成されてい
る面が接するようにして110℃、20Kgf/cm2
の条件で加熱圧着し電磁波遮蔽構成体3を得た。 <接着剤層3の組成物> ポリベックR−45ACR−LC(出光石油化学株式会社製商品名;アクリロイ ル変性ポリブタジエン樹脂) 100重量部 IRG―002(赤外線吸収剤3:日本化薬株式会社株製商品名;アミニウム系 化合物) 1.2重量部 ベンゾフェノン(和光純薬工業株式会社製) 5重量部 MEK 285重量部 シクロヘキサノン 5重量部 上記の接着剤層3の組成物の溶媒乾燥後の屈折率は1.
50、200℃での溶融粘度は70ポイズであった。
【0039】(実施例4)実施例1の電磁波シールド性
接着フィルム1及び電磁波遮蔽構成体1作製例におい
て、接着剤層1の組成物からベンゾフェノンを除き、下
記の接着剤層4の組成物とし、紫外線照射装置に代えて
電子線照射装置を使用し、PETフィルム側から5Mr
ad照射して接着剤層4を硬化させ電磁波遮蔽構成体4
を得た。接着剤層4の組成物を使用し、乾燥後の接着剤
層4の厚みが20μmになるようにし、その他は電磁波
シールド性接着フィルム1及び電磁波遮蔽構成体1と同
様にして作製した電磁波シールド性接着フィルム4とプ
ラスチック板から得た電磁波遮蔽構成体4を作製した。 <接着剤層4の組成物> バイロンBK−4103(東洋紡績株式会社製商品名;アクリル変性ポリエステ ル樹脂、Mn=4万) 100重量部 SIR−159(赤外線吸収剤1:三井東圧株式会社製商品名) 0.5重量部 トルエン 450重量部 酢酸エチル 10重量部 上記の接着剤層4の組成物の溶媒乾燥後の屈折率は1.
52、200℃の溶融粘度は1500ポイズであった。
【0040】(実施例5)下記の接着剤層5の組成物を
使用し、乾燥後の接着剤層5の厚みが20μmになるよ
うにして、実施例1と同様にして得た電磁波シールド性
接着フィルム5として、この電磁波シールド性接着フィ
ルム5とプラスチック板から電磁波遮蔽構成体5を作製
した。 <接着剤層5の組成物> BAC45(出光石油化学株式会社製商品名;ダイレクトアクリロイル変性ポリ ブタジエン樹脂) 100重量部 IRG―002(赤外線吸収剤3:日本化薬株式会社製商品名;アミニウム系化 合物) 1.2重量部 MEK 285重量部 シクロヘキサノン 5重量部 上記接着剤層5の組成物の溶媒乾燥後の屈折率は1.5
1、200℃での溶融粘度は60ポイズであった。
【0041】(実施例6)プラスチックフィルムをPE
T(50μm)からポリカーボネートフィルム(50μ
m、n=1.58)に、接着剤層の厚みを20μmから
30μmにした以外は実施例2と同様にして電磁波シー
ルド性接着フィルム6及び電磁波遮蔽構成体6を得た。
【0042】(実施例7)ライン幅を10μmから30
μmに、ライン間隔を100μmから500μmに、接
着剤層の厚みを5μmから10μmにした以外は実施例
3と同様にして電磁波シールド性接着フィルム7及び電
磁波遮蔽構成体7を得た。
【0043】(実施例8)PETフィルム上に形成した
銅格子パターンに黒化処理を施したこと以外は実施例1
と同様にして電磁波シールド性接着フィルム8及び電磁
波遮蔽構成体8を得た。
【0044】(実施例9) <電磁波シールド性接着フィルム9及び電磁波遮蔽構成
体9の作製例>プラスチックフィルムとして厚さ50μ
mのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム
(東洋紡績株式会社製、商品名A−4100、屈折率n
=1.575)を用い、その片面に実施例1の接着剤層
1(但し、赤外線吸収剤を含まない)を室温でアプリケ
ータを用いて所定の乾燥塗布厚になるように塗布し、9
0℃、20分間加熱乾燥させた。その接着剤層1を介し
て導電性金属である厚さ12μmの電解銅箔を、その粗
化面が接着剤層側になるようにして、180℃、30K
gf/cm2の条件で加熱ラミネートして導電性金属付
きプラスチックフィルムである銅箔付きPETフィルム
を得た。得られた銅箔付きPETフィルムの銅箔上に、
実施例1に準じたスクリーン印刷法を利用してライン幅
40μm、ライン間隔250μmのエッチングレジスト
パターンを形成した。その後、塩化第二鉄水溶液を用い
るケミカルエッチング法により、ライン幅25μm、ラ
イン間隔250μmの銅格子パターンをPETフィルム
上に形成し、電磁波シールド性接着フィルム1を得た。
この電磁波シールド性接着フィルム1の可視光透過率は
20%以下であった。この電磁波シールド性接着フィル
ム1を熱プレス機を使用し、実施例1と同じ片面を剥離
処理した厚さ50μmのPETフィルム(保護フィル
ム)の剥離面に接着剤層が形成されている面が接するよ
うにして110℃、20Kgf/cm2、15分の条件
で加熱圧着し電磁波シールド性フィルム9を得た。この
ようにして作製した電磁波シールド性接着フィルム9の
保護フィルムを剥離し、市販のアクリル板(コモグラ
ス;株式会社クラレ製商品名、厚み3mm、n=1.4
9)と110℃、20Kgf/cm2、15分の条件で
加熱圧着して張り合わせて電磁波遮蔽構成体9を得た。
【0045】(比較例1)導電材料として0.1μm
(1、000Å)全面蒸着させたITO蒸着PETを使
用し、パターンを形成しないで、直接接着剤層1の組成
物から赤外線吸収剤を除いた組成物を塗布し、活性エネ
ルギー線の照射はせず、それ以外は実施例1と同様にし
て得た電磁波遮蔽構成体を作製した。
【0046】以上のようにして得られた電磁波シールド
性接着フィルムの導電性金属材料で描かれた幾何学図形
の開口率、電磁波シールド性、可視光透過率、非視認
性、赤外線遮蔽率および電磁波遮蔽体の加熱処理前後の
接着特性を測定した。結果を表1に示した。
【0047】なお接着剤層の組成物の屈折率は、屈折計
(株式会社アタゴ光学機械製作所製、アッベ屈折計)で
測定した。導電性金属で描かれた幾何学図形の開口率は
顕微鏡写真をもとに実測した。DSCは、示差走査型熱
量計(デュポン社製910型−DSC)で昇温速度10
℃/分、室温(25℃)〜200℃まで測定した。電磁
波シールド性は、同軸導波管変換器(日本高周波株式会
社製、TWC−S−024)のフランジ間に試料を挿入
し、スペクトラムアナライザー(YHP製、8510B
ベクトルネットワークアナライザー)を用い、周波数3
0MHz〜1GHzで測定した。可視光透過率の測定
は、ダブルビーム分光光度計(株式会社日立製作所製、
200−10型)を用いて、400〜700nmの透過
率の平均値を用いた。非視認性は、アクリル板に電磁波
シールド性接着フィルムを貼り付けた電磁波遮蔽構成体
を0.5m離れた場所から目視して導電性金属で形成さ
れた幾何学図形を認識できるかどうかで評価し、認識で
きないものを良好とし、認識できるものをNGとした。
赤外線遮蔽率は、分光光度計(株式会社日立製作所製、
U−3410)を用いて、900〜1、100nmの領
域の赤外線吸収率の平均値を用いた。接着力は、引張り
試験機(東洋ボールドウィン株式会社製、テンシロンU
TM−4−100)を使用し、幅10mm、90°方
向、剥離速度50mm/分で測定した。
【0048】
【表1】
【0049】比較例1は、PETフィルムにITO(イ
ンジウム−スズ酸化物)を蒸着したものであるが、電磁
波シールド性に劣った。本発明の実施例で示した、導電
性金属で描かれた幾何学図形を有し、その開口率が50
%以上で、接着剤層に熱硬化型接着剤層を用いその硬化
度が60%未満であり、硬化後の屈折率が1.40〜
1.70の範囲にあり、接着剤層の厚みが導電性金属の
厚さ以上で、赤外線吸収剤が含有されている接着剤層が
いずれも好ましい値を示した。また、導電性金属で描か
れたライン幅が、40μm以下、ライン間隔が100μ
m以上、ライン厚みが40μm以下の導電性金属が好ま
しい値を示した。また、実施例9で示した銅を黒化処理
した電磁波遮蔽構成体は、コントラストが大きく鮮明な
画像を快適に鑑賞することができた。
【0050】
【発明の効果】本発明で得られる電磁波シールド性接着
フィルムは実施例からも明らかなように、被着体に容易
に貼付けて使用でき、しかも密着性が優れているので電
磁波漏れがなくシールド機能が特に良好である。また可
視光透過率、非視認性などの光学的特性が良好で、しか
も長時間にわたって高温での接着特性に変化が少なく良
好であり、優れた電磁波シールド性接着フィルムを提供
することができる。本発明の電磁波シールド性接着フィ
ルム及び電磁波遮蔽構成体は、電磁波シールド性や透明
性に優れているため、ディスプレイの他に電磁波を発生
したり、あるいは電磁波から保護する測定装置、測定機
器や製造装置の内部をのぞく窓や筐体、特に透明性を要
求される窓のような部位に設けて使用することができ
る。本発明おけるディスプレイは、電磁波漏洩が少な
く、しかも、軽量、コンパクトで透明性に優れ可視光透
過率が大きく、非視認性が良好である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 登坂 実 茨城県下館市大字小川1500番地 日立化成 工業株式会社下館研究所内 Fターム(参考) 5E321 AA04 AA23 BB23 CC16 GG05 GH01 5G435 AA00 AA12 AA16 AA18 GG33 HH02 HH12 KK07

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基材上に活性エネルギー線を照射す
    ることにより硬化する接着剤層を介して導電性金属層が
    積層されてなる導電性金属付きプラスチックフィルムに
    おいて、スクリーン印刷法又はオフセット印刷法により
    作製したエッチングレジストパターンを形成し、導電性
    金属層をエッチングすることにより導電性金属からなる
    幾何学図形を形成することを特徴とする電磁波シールド
    性接着フィルムの製造法。
  2. 【請求項2】 活性エネルギー線が紫外線もしくは電子
    線である請求項1または請求項1に記載の電磁波シール
    ド性接着フィルム
  3. 【請求項3】 活性エネルギー線を照射することにより
    硬化する接着剤層の硬化後の屈折率が1.40〜1.7
    0の範囲にある請求項1又は2に記載の電磁波シールド
    性接着フィルムの製造法。
  4. 【請求項4】 活性エネルギー線を照射することにより
    硬化する接着剤層の厚さが導電性金属の厚さ以上である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電磁
    波シールド性接着フィルムの製造法。
  5. 【請求項5】 活性エネルギー線を照射することにより
    硬化する接着剤層中に赤外線吸収剤が含有されているこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電磁波
    シールド性接着フィルムの製造法。
  6. 【請求項6】 導電性金属で描かれた幾何学図形のライ
    ン幅が40μm以下、ライン間隔が100μm以上、ラ
    イン厚さが40μm以下である請求項1〜5のいずれか
    に記載の電磁波シールド性接着フィルムの製造法。
  7. 【請求項7】 導電性金属付きプラスチックフィルムの
    金属が、厚さ0.5〜40μmの銅、アルミニウムまた
    はニッケルである請求項1〜6のいずれかに記載の電磁
    波シールド性接着フィルムの製造法。
  8. 【請求項8】 導電性金属付きプラスチックフィルムの
    プラスチックフィルムがポリエチレンテレフタレートフ
    ィルムまたはポリカーボネートフィルムである請求項1
    〜7のいずれかに記載の電磁波シールド性接着フィルム
    の製造法。
  9. 【請求項9】 導電性金属が銅であり、少なくともその
    表面が黒化処理されていることを特徴とする請求項1〜
    8のいずれかに記載の電磁波シールド性接着フィルムの
    製造法。
  10. 【請求項10】 導電性金属が常磁性金属である請求項
    1〜9のいずれかに記載の電磁波シールド性接着フィル
    ムの製造法。
  11. 【請求項11】 加圧と同時に又はその後、透明基材と
    は反対側に剥離可能な保護フィルムを積層する請求項1
    〜10のいずれかに記載の電磁波シールド性接着フィル
    ムの製造法。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれかに記載の電
    磁波シールド性接着フィルムの製造法を行った後、得ら
    れた電磁波シールド性接着剤フィルムとプラスチック板
    を貼り合わせることを特徴とする電磁波遮蔽構成体の製
    造法。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載の電磁波シールド性
    接着フィルムの製造法を行った後、得られた電磁波シー
    ルド性接着剤フィルムの保護フィルムを剥離しつつ又は
    剥離した後、プラスチック板を貼り合わせることを特徴
    とする電磁波遮蔽構成体の製造法。
  14. 【請求項14】 請求項1〜11のいずれかに記載の電
    磁波シールド性接着フィルムの製造法を行った後、得ら
    れた電磁波シールド性接着剤フィルムをディスプレイ表
    面に貼り合わせることを特徴とする電磁波シールド性デ
    ィスプレイの製造法。
  15. 【請求項15】 請求項12に記載の電磁波シールド性
    接着フィルムの製造法を行った後、得られた電磁波シー
    ルド性接着剤フィルムの保護フィルムを剥離しつつ又は
    剥離した後、ディスプレイ表面に貼り合わせることを特
    徴とする電磁波シールド性ディスプレイの製造法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005072551A (ja) * 2003-08-06 2005-03-17 Hitachi Chem Co Ltd 電磁波シールド性透明フィルムの製造方法
KR100543587B1 (ko) * 2003-12-11 2006-01-20 엘지전자 주식회사 전자파 차폐 필터 제조 방법
JP2006124546A (ja) * 2004-10-29 2006-05-18 Hitachi Chem Co Ltd 印刷インキ組成物、レジストパターンの形成法、電子部品の製造法及び電子部品
US7338752B2 (en) 2003-05-13 2008-03-04 Samsung Electronics Co., Ltd. Method for forming metal pattern and electromagnetic interference filter using pattern formed by the method
JP2009267417A (ja) * 2008-04-28 2009-11-12 Ind Technol Res Inst フレキシブル基板上に導電パターンを作製する方法およびそれに用いる保護インク
US8012362B2 (en) 2005-06-02 2011-09-06 Toppan Printing Co., Ltd. Electromagnetic shielding light-transmitting member and method for manufacturing same

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