JPH11145678A - 電磁波シールド性接着フィルムおよび該接着フィルムを用いた電磁波遮蔽構成体、ディスプレイ - Google Patents

電磁波シールド性接着フィルムおよび該接着フィルムを用いた電磁波遮蔽構成体、ディスプレイ

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JPH11145678A
JPH11145678A JP30846097A JP30846097A JPH11145678A JP H11145678 A JPH11145678 A JP H11145678A JP 30846097 A JP30846097 A JP 30846097A JP 30846097 A JP30846097 A JP 30846097A JP H11145678 A JPH11145678 A JP H11145678A
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electromagnetic wave
wave shielding
adhesive layer
adhesive film
conductive metal
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English (en)
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Toshishige Uehara
寿茂 上原
Hiroyuki Hagiwara
裕之 萩原
Minoru Tosaka
実 登坂
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Hitachi Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電磁波シールド性と赤外線遮蔽性、透明性・
非視認性および良好な接着特性を有する電磁波シールド
性接着フィルムおよび該フィルムを用いた電磁波遮蔽構
成体、ディスプレイを提供する。 【解決手段】 熱硬化型接着剤層を有する導電性金属付
きプラスチックフィルムをマイクロリソグラフ法により
導電性金属で描かれた幾何学図形を有し、その開口率が
50%以上となるようにした電磁波シールド性接着フィ
ルム。この電磁波シールド性接着フィルムをプラスチッ
ク板と構成し電磁波遮蔽構成体とする。そして、電磁波
シールド性接着フィルムまたは電磁波遮蔽構成体をCR
T、PDP、液晶、ELなどのディスプレイ前面に用い
たディスプレイ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はCRT、PDP(プ
ラズマ)、液晶、ELなどのディスプレイ前面から発生
する電磁波のシールド性および赤外線の遮蔽性を有する
電磁波シールド性接着フィルム及び該フィルムを用いた
電磁波遮蔽構成体、ディスプレイに関する。
【0002】
【従来の技術】近年各種の電気設備や電子応用設備の利
用が増加するのに伴い、電磁気的なノイズ妨害も増加の
一途をたどっている。ノイズは大きく分けて伝導ノイズ
と放射ノイズに分けられ、伝導ノイズの対策としては、
ノイズフィルタなどを用いる方法がある。一方、放射ノ
イズの対策としては、電磁気的に空間を絶縁する必要が
あるため、筐体を金属体または高導電体にするとか、回
路基板と回路基板の間に金属板を挿入するとか、ケーブ
ルを金属箔で巻き付けるなどの方法が取られている。こ
れらの方法では、回路や電源ブロックの電磁波シールド
効果を期待できるが、CRT、PDPなどのディスプレ
イ前面より発生する電磁波シールド用途としては、不透
明であるため適用できなかった。
【0003】電磁波シールド性と透明性を両立させる方
法として、透明性基材上に金属または金属酸化物を蒸着
して薄膜導電層を形成する方法(特開平1−27880
0号公報、特開平5−323101号公報参照)が提案
されている。一方、良導電性繊維を透明基材に埋め込ん
だ電磁波シールド材(特開平5−327274号公報、
特開平5−269912号公報参照)や金属粉末等を含
む導電性樹脂を透明基板上に直接印刷した電磁波シール
ド材料(特開昭62−57297号公報、特開平2−5
2499号公報参照)、さらには、厚さが2mm程度の
ポリカーボネート等の透明基板上に透明樹脂層を形成
し、その上に無電解めっき法により銅のメッシュパター
ンを形成した電磁波シールド材料(特開平5−2838
89号公報参照)が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】電磁波シールド性と透
明性を両立させる方法として、特開平1−278800
号公報、特開平5−323101号公報に示されている
透明性基材上に金属または金属酸化物を蒸着して薄膜導
電層を形成する方法は、透明性が達成できる程度の膜厚
(数100Å〜2、000Å)にすると導電層の表面抵
抗が大きくなりすぎるため、30MHz〜1GHzで要
求される30dB以上のシールド効果に対して20dB
以下と不十分であった。良導電性繊維を透明基材に埋め
込んだ電磁波シールド材(特開平5−327274号公
報、特開平5−269912号公報)では、30MHz
〜1GHzの電磁波シールド効果は40〜50dBと十
分大きいが、電磁波漏れのないように導電性繊維を規則
配置させるために必要な繊維径が35μmと太すぎるた
め、繊維が見えてしまい(以後視認性という)ディスプ
レイ用途には適したものではなかった。また、特開昭6
2−57297号公報、特開平2−52499号公報の
金属粉末等を含む導電性樹脂を透明基板上に直接印刷し
た電磁波シールド材料の場合も同様に、印刷精度の限界
からライン幅は、100μm前後となり視認性が発現す
るため適したものではなかった。さらに特開平5−28
3889号公報に記載の厚さが2mm程度のポリカーボ
ネート等の透明基板上に透明樹脂層を形成し、その上に
無電解めっき法により銅のメッシュパターンを形成した
シールド材料では、無電解めっきの密着力を確保するた
めに、透明基板の表面を粗化する必要がある。この粗化
手段として、一般にクロム酸や過マンガン酸などの毒性
の高い酸化剤を使用しなければならず、この方法は、A
BS以外の樹脂では、満足できる粗化を行うことは困難
となる。この方法により、電磁波シールド性と透明性は
達成できたとしても、透明基板の厚さを小さくすること
は困難で、フィルム化の方法としては適していなかっ
た。さらに透明基板が厚いと、ディスプレイに密着させ
ることができないため、そこから電磁波の漏洩が大きく
なる。また製造面においては、シールド材料を巻物等に
することができないため嵩高くなることや自動化に適し
ていないために製造コストがかさむという欠点もあっ
た。ディスプレイ前面から発生する電磁波のシールド性
については、30MHz〜1GHzにおける30dB以
上の電磁波シールド機能の他に、ディスプレイ前面より
発生する900〜1、100nmの赤外線はリモートコ
ントロールで操作する他のVTR機器等に悪影響を及ぼ
すため、これを遮蔽する必要がある。この他にも良好な
可視光透過性、さらに可視光透過率が大きいだけでな
く、電磁波の漏れを防止するためディスプレイ面に密着
して貼付けられる接着性、シールド材の存在を肉眼で確
認することができない特性である非視認性も必要とされ
る。接着性についてはガラスや汎用ポリマー板に対し比
較的低温で容易に貼付き、長期間にわたって良好な密着
性を有することが必要である。しかし、電磁波シールド
性、赤外線遮蔽性、透明性・非視認性、接着性等の特性
を同時に十分満たす接着フィルムとしては、これまで満
足なものは得られていなかった。本発明はかかる点に鑑
み、電磁波シールド性と赤外線遮蔽性、透明性・非視認
性および良好な接着特性を有する電磁波シールド性接着
フィルムおよび該フィルムを用いた電磁波遮蔽構成体、
ディスプレイを得ることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載
の発明は、電磁波シールド性と透明性および簡便な接着
性を有する電磁波シールド性接着フィルムを提供するた
め、熱硬化型接着剤層を有する導電性金属付きフィルム
において、マイクロリソグラフ法により導電性金属で描
かれた幾何学図形を有し、その開口率を50%以上とす
るものである。本発明の請求項2に記載の発明は、安価
で量産性に優れた電磁波シールド性と透明性および簡便
な接着性を有する電磁波シールド性接着フィルムを提供
するため、請求項1のマイクロリソグラフ法の微細回路
加工法にフォトリソグラフ法を使用するものである。本
発明の請求項3に記載の発明は、電磁波シールド性と透
明性,簡便な接着性および長期接着信頼性を有する電磁
波シールド性接着フィルムを提供するため、熱硬化型接
着剤層において熱硬化型接着剤層の硬化度を60%未満
とするものである。本発明の請求項4に記載の発明は、
電磁波シールド性と透明性,簡便な接着性および長期接
着信頼性を有する電磁波シールド性接着フィルムを提供
するため、熱硬化型接着剤層をなす樹脂の屈折率を硬化
度60%以上で1.45〜1.70とするものである。
本発明の請求項5に記載の発明は、電磁波シールド性と
透明性および優れた接着性を有する電磁波シールド性接
着フィルムを提供するため、熱硬化型接着剤層の厚さを
導電性金属の厚さ以上とするものである。本発明の請求
項6に記載の発明は、電磁波シールド性と透明性および
優れた赤外線遮蔽性を有する電磁波シールド性接着フィ
ルムを提供するため、熱硬化型接着剤層中に赤外線吸収
剤が含有されていることを特徴とするものである。本発
明の請求項7に記載の発明は電磁波シールド性と非視認
性に優れた電磁波シールド性接着フィルムを提供するた
め、プラスチックフィルム上に導電性金属で描かれた幾
何学図形のライン幅を40μm以下、ライン間隔が10
0μm以上、ライン厚さを40μm以下とするものであ
る。本発明の請求項8に記載の発明は、加工性や密着性
に優れ、安価な電磁波シールド性と非視認性を有する電
磁波シールド性接着フィルムを提供するため、導電性材
料の厚みが0.5〜40μmの銅、アルミニウムまたは
ニッケルを使用するものである。本発明の請求項9に記
載の発明は、電磁波シールド性と透明性に優れた電磁波
シールド性接着フィルムを安価に提供するため、フォト
リソグラフ法のうちケミカルエッチング法を使用するも
のである。本発明の請求項10に記載の発明は、透明
性、安価、耐熱性良好で取り扱い性に優れた電磁波シー
ルド性接着フィルムを提供するため、プラスチックフィ
ルムをポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリ
カーボネートフィルムとするものである。本発明の請求
項11に記載の発明は、退色性が小さく、コントラスト
の大きい電磁波シールド性接着フィルムを提供するた
め、導電性金属を銅とし、少なくともその表面が黒化処
理されていることを特徴とするものである。本発明の請
求項12に記載の発明は、磁場シールド性に優れた電磁
波シールド性接着フィルムを提供するため、導電性金属
に常磁性金属を使用するものである。
【0006】本発明の請求項13に記載の発明は、電磁
波シールド性と透明性を有する電磁波シールド性基板を
提供するため、上記の電磁波シールド性接着フィルムと
プラスチック板から構成された電磁波遮蔽構成体とする
ものである。本発明の請求項14に記載の発明は、電磁
波シールド性と透明性を有する電磁波シールド性基板を
提供するため、上記の電磁波シールド性接着フィルムを
少なくともプラスチック板の片面に貼り合わせ、熱硬化
型接着剤層の硬化度を60%以上とした電磁波遮蔽構成
体とするものである。本発明の請求項15に記載の発明
は、上記の電磁波シールド性と透明性及び赤外線遮蔽性
を有する電磁波シールド性基板を提供するため、上記の
電磁波シールド性接着フィルムをプラスチック板の片面
に貼り合わせ熱硬化型接着剤層の硬化度を60%以上と
し、他面に赤外線遮蔽性を有する接着剤または接着フィ
ルムを貼り合わせた電磁波遮蔽構成体とするものであ
る。本発明の請求項16に記載の発明は、電磁波シール
ド性と透明性を有する電磁波シールド性接着フィルムを
ディスプレイに用いたものである。本発明の請求項17
に記載の発明は、上記の電磁波シールド性と透明性を有
する電磁波シールド性接着フィルムとプラスチック板か
らなる電磁波遮蔽構成体をディスプレイに用いたもので
ある。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に使用する熱硬化型接着剤層は、熱により樹脂と
架橋剤・硬化剤とが架橋反応もしくは硬化反応を行い、
3次元網目構造となる接着剤組成物のことである。導電
性金属で描かれた幾何学図形、熱硬化型接着剤層及びプ
ラスチックフィルムを基本構成とする電磁波シールド性
接着フィルムは、これを被着体であるディスプレイやプ
ラスチック板に接着させる必要があり、そのためには接
着剤層が流動しなければならない。接着剤層は常温また
は加熱して接着剤層を流動化させ被着体と接着させるこ
とが望ましい。そして接着後あるいは接着と同時に接着
剤層を熱により架橋・硬化させることが望ましい。この
ためには熱硬化型接着剤層は、接着の際に流動すること
が必要であり、硬化度が60%未満で有ることが好まし
い。架橋・硬化した接着剤組成物でも加熱、加圧により
流動し接着性を有するもので有れば使用することができ
る。回転粘度計により200℃において10000ポイ
ズ以下の粘度を有するものであれば使用することができ
る。本発明で使用する熱硬化型接着剤層は、接着剤組成
物を溶剤に溶解ないし分散させてワニスとし、そのワニ
スをプラスチックフィルム、金属箔などの支持体上に塗
布、乾燥して得られる。この乾燥工程で接着剤組成物に
熱が付与され有る程度の架橋・硬化が進む。架橋・硬化が
進みすぎると接着剤層の流動性に乏しくなるので、適正
な条件に制御して流動性のある状態としなければならな
い。この条件として硬化度を60%未満とするのが好ま
しい。硬化度は、DSC(示差走査熱分析)を用いて測
定することができる。
【0008】DSC(示差走査熱量測定法)は、測定温
度範囲内で、発熱、吸熱の無い標準試料との温度差をた
えず打ち消すように熱量を供給または除去するゼロ位法
を測定原理とするものであり、測定装置が市販されてお
りそれを用いて測定できる。熱硬化型接着剤の反応は、
発熱反応であり、一定の昇温速度で試料を昇温していく
と、試料が反応し熱量が発生する。その発熱量をチャー
トに出力し、ベースラインを基準として発熱曲線とベー
スラインで囲まれた面積を求め、これを発熱量とする。
室温から200℃まで5〜10℃/分の昇温速度で測定
し、上記した発熱量を求める。これらは、全自動で行な
うものもあり、それを使用すると容易に行なうことがで
きる。つぎに、支持体に接着剤ワニスを塗布し、乾燥し
て得た接着剤の発熱量は、つぎのようにして求める。ま
ず、25℃で真空乾燥器を用いて溶剤を乾燥させた未架
橋・未硬化試料の全発熱量を測定し、これをA(J/
g)とする。つぎに、塗工、乾燥した試料の発熱量を測
定し、これをBとする。試料の硬化度C(%)(加熱、
乾燥により発熱を終えた状態)は、つぎの数1で与えら
れる。
【0009】
【数1】C(%)=(A−B)×100/A
【0010】硬化度が60%未満の場合、網目構造が十
分発生していないため、接着剤層の流動性があり、流動
し被着体と接着させることができる。一方、硬化度が6
0%以上では、接着剤層の流動性に乏しくまた接着性に
も劣るようになる。
【0011】熱硬化型接着剤として例えば、天然ゴム、
イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリイソブチレ
ン、ブチルゴム、ハロゲン化ブチル、アクリロニトリル
−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイ
ソブテン、カルボキシゴム、ネオプレン、ポリブタジエ
ン等の樹脂と架橋剤としての硫黄、アニリンホルムアル
デヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノールホ
ルムアルデヒド樹脂、リグリン樹脂、キシレンホルムア
ルデヒド樹脂、キシレンホルムアルデヒド樹脂、メラミ
ンホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ア
ニリン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ホルマリ
ン樹脂、金属酸化物、金属塩化物、オキシム、アルキル
フェノール樹脂等の組み合わせで用いられる。なお、架
橋反応速度を増加する目的で、汎用の加硫促進剤等の添
加剤を使用することもできる。
【0012】硬化反応系としては、カルボキシル基、水
酸基、エポキシ基、アミノ基、不飽和炭化水素基等の官
能基を有する樹脂とエポキシ基、水酸基、アミノ基、ア
ミド基、カルボキシル基、チオール基等の官能基を有す
る硬化剤あるいは金属塩化物、イソシアネート、酸無水
物、金属酸化物、過酸化物等の硬化剤との組み合わせで
用いられる。なお、硬化反応速度を増加する目的で、汎
用の触媒等の添加剤を使用することもできる。具体的に
は、アクリル樹脂(n=1.45〜1.47)、不飽和ポリエステル
樹脂(n=1.52〜1.54)、飽和ポリエステル樹脂(n=1.52〜
1.54)、ジアリルフタレート樹脂(n=1.57)、エポキシ
樹脂(n=1.55〜1.60)、フラン樹脂(n=1.55)、ポリウレタ
ン樹脂(n=1.5〜1.6)等が例示される。
【0013】また、上記の材料の他に汎用の熱可塑性樹
脂をブレンドしても良い。汎用熱可塑性樹脂としては、
たとえば天然ゴム(屈折率n=1.52)、ポリイソプレン(n=
1.521)、ポリ−1,2−ブタジエン(n=1.50)、ポリイソ
ブテン(n=1.505〜1.51)、ポリブテン(n=1.513)、ポリ−
2−ヘプチル−1,3−ブタジエン(n=1.50)、ポリ−2
−t−ブチル−1,3−ブタジエン(n=1.506)、ポリ−
1,3−ブタジエン(n=1.515)などの(ジ)エン類、ポ
リオキシエチレン(n=1.456)、ポリオキシプロピレン(n=
1.450)、ポリビニルエチルエーテル(n=1.454)、ポリビ
ニルヘキシルエーテル(n=1.459)、ポリビニルブチルエ
ーテル(n=1.456)などのポリエーテル類、ポリビニルア
セテート(n=1.467)、ポリビニルプロピオネート(n=1.46
7)などのポリエステル類、ポリウレタン(n=1.5〜1.6)、
エチルセルロース(n=1.479)、ポリ塩化ビニル(n=1.54〜
1.55)、ポリアクリロニトリル(n=1.52)、ポリメタクリ
ロニトリル(n=1.52)、ポリスルホン(n=1.633)、ポリス
ルフィド(n=1.6)、フェノキシ樹脂(n=1.5〜1.6)、ポリ
エチルアクリレート(n=1.469)、ポリブチルアクリレー
ト(n=1.466)、ポリ−2−エチルヘキシルアクリレート
(n=1.463)、ポリ−t−ブチルアクリレート(n=1.464)、
ポリ−3−エトキシプロピルアクリレート(n=1.465)、
ポリオキシカルボニルテトラメタクリレート(n=1.46
5)、ポリメチルアクリレート(n=1.472〜1.480)、ポリイ
ソプロピルメタクリレート(n=1.473)、ポリドデシルメ
タクリレート(n=1.474)、ポリテトラデシルメタクリレ
ート(n=1.475)、ポリ−n−プロピルメタクリレート(n=
1.484)、ポリ−3,3,5−トリメチルシクロヘキシル
メタクリレート(n=1.484)、ポリエチルメタクリレート
(n=1.485)、ポリ−2−ニトロ−2−メチルプロピルメ
タクリレート(n=1.487)、ポリ−1,1−ジエチルプロ
ピルメタクリレート(n=1.489)、ポリメチルメタクリレ
ート(n=1.489)などのポリ(メタ)アクリル酸エステル
が使用可能である。これらのアクリルポリマーは必要に
応じて、2種以上共重合してもよいし、2種類以上をブ
レンドして使用することも可能である。
【0014】さらにアクリル樹脂とアクリル以外との共
重合樹脂としてはエポキシアクリレート(n=1.48〜1.6
0)、ウレタンアクリレート(n=1.5〜1.6)、ポリエーテル
アクリレート(n=1.48〜1.49)、ポリエステルアクリレー
ト(n=1.48〜1.54)なども使うこともできる。特に接着性
の点から、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレー
ト、ポリエーテルアクリレートが優れており、エポキシ
アクリレートとしては、1、6−ヘキサンジオールジグ
リシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジ
ルエーテル、アリルアルコールジグリシジルエーテル、
レゾルシノールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグ
リシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ポ
リエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチ
ロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリント
リグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグ
リシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエー
テル等の(メタ)アクリル酸付加物が挙げられる。エポ
キシアクリレートなどのように分子内に水酸基を有する
ポリマーは接着性向上に有効である。これらの共重合樹
脂は必要に応じて、2種以上併用することができる。こ
れらの接着剤となるポリマーの軟化温度は、取扱い性か
ら200℃以下が好適で、150℃以下がさらに好まし
い。電磁波シールド性接着フィルムの用途から、使用さ
れる環境が通常80℃以下であるので接着剤層の軟化温
度は、加工性から80〜120℃が最も好ましい。一
方、ポリマーの重量平均分子量は、500以上のものを
使用することが好ましい。分子量が500以下では接着
剤組成物の凝集力が低すぎるために被着体への密着性が
低下するおそれがある。本発明で使用する接着剤樹脂組
成物には必要に応じて、希釈剤、可塑剤、酸化防止剤、
充填剤、着色剤、紫外線吸収剤や粘着付与剤などの添加
剤を配合してもよい。
【0015】本発明で用いる熱硬化型接着剤層の硬化後
の屈折率は1.45〜1.70のものを使用するのが好
ましい。これは本発明で使用するプラスチックフィルム
と接着剤層の屈折率、または導電性金属付きプラスチッ
クフィルムのプラスチックフィルムに導電性金属を接着
するために使用した接着剤と本発明で使用する接着剤層
の屈折率が異なると可視光透過率が低下するためであ
り、屈折率が1.45〜1.70であると可視光透過率
の低下が少なく良好で上述したポリマーの屈折率はこの
範囲内にある。
【0016】本発明の導電性金属として、銅、アルミニ
ウム、ニッケル、鉄、金、銀、ステンレス、タングステ
ン、クロム、チタンなどの金属、あるいはそれらの金属
の2種以上を組み合わせた合金を使用することができ
る。導電性や回路加工の容易さ、価格の点から銅、アル
ミニウムまたはニッケルが適しており、厚さが0.5〜
40μmの金属箔、めっき金属、蒸着などの真空下で形
成される金属が使われる。厚さが40μmを超えると、
細かいライン幅の形成が困難であったり、視野角が狭く
なる。また厚さが0.5μm未満では、表面抵抗が大き
くなり、電磁波シールド効果が劣る傾向にある。
【0017】導電性金属が銅であり、少なくともその表
面が黒化処理されたものであると、コントラストが高く
なり好ましい。また導電性金属が経時的に酸化され退色
されることが防止できる。黒化処理は、幾何学図形の形
成前後で行えばよいが、通常形成後において、プリント
配線板分野で行われている方法を用いて行うことができ
る。例えば、亜塩素酸ナトリウム(31g/l)、水酸
化ナトリウム(15g/l)、燐酸三ナトリウム(12
g/l)の水溶液中、95℃で2分間処理することによ
り行うことができる。また導電性金属が、常磁性金属で
あると、磁場シールド性に優れるために好ましい。かか
る導電性金属を上記プラスチックフィルムに密着させる
方法としては、アクリルやエポキシ系樹脂を主成分とし
た上記の加熱または加圧により流動する接着剤層を介し
て貼り合わせるのが最も簡便である。導電性金属の導電
層の厚みを小さくする必要がある場合は真空蒸着法、ス
パッタリング法、イオンプレート法、化学蒸着法、無電
解・電気めっき法などの薄膜形成技術のうちの1または
2以上の方法を組み合わせることにより達成できる。導
電性金属の厚みは40μm以下とすることが好ましく、
厚みが薄いほどディスプレイの視野角が広がり電磁波シ
ールド材料として好ましく、18μm以下とすることが
さらに好ましい。
【0018】本発明で使用するプラスチックフィルムと
しては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ
エチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリスチレン、EVAなどのポ
リオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン
などのビニル系樹脂、ポリサルホン、ポリエーテルサル
ホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ア
クリル樹脂などのプラスチックからなるフィルムで全可
視光透過率が70%以上で厚さが1mm以下のものが好
ましい。これらは単層で使うこともできるが、2層以上
を組み合わせた多層フィルムとして使用してもよい。前
記プラスチックフィルムのうち透明性、耐熱性、取り扱
いやすさ、価格の点からポリエチレンテレフタレートフ
ィルムまたはポリカーボネートフィルムが好ましい。プ
ラスチックフィルム厚さは、5〜500μmが好まし
い。5μm未満だと取り扱い性が悪くなり、500μm
を超えると可視光の透過率が低下してくる。10〜20
0μmとすることがより好ましい。
【0019】本発明の導電性金属で描かれた幾何学図形
は、正三角形、二等辺三角形、直角三角形などの三角
形、正方形、長方形、ひし形、平行四辺形、台形などの
四角形、(正)六角形、(正)八角形、(正)十二角
形、(正)二十角形などの(正)n角形(nは正の整
数)、円、だ円、星型などを組み合わせた模様であり、
これらの単位の単独の繰り返し、あるいは2種類以上組
み合わせで使うことも可能である。電磁波シールド性の
観点からは三角形が最も有効であるが、可視光透過性の
点からは同一のライン幅なら(正)n角形のn数が大き
いほど開口率が上がるが、可視光透過性の点から開口率
は50%以上が必要とされる。開口率は、60%以上が
さらに好ましい。開口率は、電磁波シールド性接着フィ
ルムの有効面積に対する有効面積から導電性金属で描か
れた幾何学図形の導電性金属の面積を引いた面積の比の
百分率である。ディスプレイ画面の面積を電磁波シール
ド性接着フィルムの有効面積とした場合、その画面が見
える割合となる。
【0020】このような幾何学図形を形成させる方法と
しては、上記導電性金属付きのプラスチックフィルムを
マイクロリソグラフ法で作製するのが回路加工の精度お
よび回路加工の効率の点から有効である。このマイクロ
リソグラフ法には、フォトリソグラフ法、X線リソグラ
フ法、電子線リソグラフ法、イオンビームリソグラフ法
などがあり、これらの他にスクリーン印刷法なども含ま
れる。これらの中でも、その簡便性、量産性の点からフ
ォトリソグラフ法が最も効率がよい。なかでも、ケミカ
ルエッチング法を使用したフォトリソグラフ法は、その
簡便性、経済性、回路加工精度などの点から最も好まし
い。フォトリソグラフ法の中ではケミカルエッチング法
の他にも無電解めっきや電気めっきによる方法、または
無電解めっきや電気めっきとケミカルエッチング法を組
み合わせて幾何学図形を形成することも可能である。
【0021】このような幾何学図形のライン幅は40μ
m以下、ライン間隔は100μm以上、ライン厚みは4
0μm以下の範囲とするのが好ましい。また幾何学図形
の非視認性の観点からライン幅は25μm以下、可視光
透過率の点からライン間隔は120μm以上、ライン厚
み18μm以下がさらに好ましい。ライン幅は、40μ
m以下、好ましくは25μm以下が好ましく、あまりに
小さく細くなると表面抵抗が大きくなりすぎてシールド
効果に劣るので1μm以上が好ましい。ライン厚みは4
0μm以下が好ましく、あまりに厚みが薄いと表面抵抗
が大きくなりすぎてシールド効果に劣るので0.5μm
以上が好ましく、さらに1μm以上がさらに好ましい。
ライン間隔は、大きいほど開口率は向上し、可視光透過
率は向上する。前述のようにディスプレイ前面に使用す
る場合、開口率は50%以上が必要であるが、60%以
上がさらに好ましい。ライン間隔が大きくなり過ぎる
と、電磁波シールド性が低下するため、ライン幅は10
00μm(1mm)以下とするのが好ましい。なお、ラ
イン間隔は、幾何学図形等の組合せで複雑となる場合、
繰り返し単位を基準として、その面積を正方形の面積に
換算してその一辺の長さをライン間隔とする。
【0022】本発明で使用する赤外線吸収剤として、酸
化鉄、酸化セリウム、酸化スズや酸化アンチモンなどの
金属酸化物、またはインジウム−スズ酸化物(以下IT
O)、六塩化タングステン、塩化スズ、硫化第二銅、ク
ロム−コバルト錯塩、チオール−ニッケル錯体またはア
ミニウム化合物、ジイモニウム化合物(日本化薬株式会
社製商品名)またはアントラキノン系(SIR−11
4)、金属錯体系(SIR−128、SIR−130、
SIR−132、SIR−159、SIR−152、S
IR−162)、フタロシアニン系(SIR−103)
(以上、三井東圧化学株式会社製商品名)などの有機系
赤外線吸収剤などが挙げられ、これらを上記接着剤層中
に含有させることが好ましい。この他にバインダー樹脂
中に分散させた組成物を接着剤としてプラスチックフィ
ルム上に形成した加熱または加圧により流動する接着剤
層の面に塗布したり、プラスチックの面に直接塗布しさ
らにその上に加熱または加圧により流動する接着剤層を
形成したり、プラスチックフィルムに形成した接着剤層
の面と反対側のフィルム背面に塗布することもできる。
また、予めプラスチックフィルム中に赤外線吸収剤を含
有させたプラスチックフィルムを使用することもでき
る。これらの赤外線吸収性化合物のうち、最も効果的に
赤外線を吸収する効果があるのは、硫化第二銅、IT
O、アミニウム化合物、ジイモニウム化合物や金属錯体
系などの赤外線吸収剤である。有機系赤外線吸収剤以外
の赤外線吸収剤の場合、これらの化合物の一次粒子の粒
径に注意する必要がある。粒径が赤外線の波長より大き
すぎると遮蔽効率は向上するが、粒子表面で乱反射が起
き、ヘイズが増大するため透明性が低下する。一方、粒
径が赤外線の波長に比べて短かすぎると遮蔽効果が低下
する。好ましい粒径は0.01〜5μmで0.1〜3μ
mがさらに好ましい。
【0023】赤外線吸収性の材料である赤外線吸収剤
は、バインダー樹脂として、例えば、ビスフェノールA
型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノ
ボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ系樹脂、ポリイ
ソプレン、ポリ−1,2−ブタジエン、ポリイソブテ
ン、ポリブテンなどのジエン系樹脂、エチルアクリレー
ト、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレ
ート、t−ブチルアクリレートなどからなるポリアクリ
ル酸エステル共重合体、ポリビニルアセテート、ポリビ
ニルプロピオネートなどのポリエステル系樹脂、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、EVAなどの
ポリオレフィン系樹脂などのバインダー樹脂中に均一に
分散される。その配合の最適量は、バインダー樹脂10
0重量部に対して赤外線吸収剤が0.01〜10重量部
であるが、0.1〜5重量部がさらに好ましい。0.0
1重量部未満では赤外線遮蔽効果が少なく、10重量部
を超えると透明性が損なわれる。
【0024】接着剤層中に、上記の赤外線吸収剤を含有
させた接着剤層はプラスチックフィルムの片面に形成さ
れ、さらにその接着剤層の面に導電性金属が被覆される
と好ましい。また、前述したように、赤外線吸収剤を含
有した組成物をプラスチックフィルム面に形成し、その
上に加熱または加圧により流動する接着剤層(赤外線吸
収剤を含有または含有してなくても良い)を形成しても
よいし、プラスチックフィルム面に接着剤層を形成し、
その上に赤外線吸収剤を含有した組成物を形成しても良
い。さらに、電磁波シールド性接着フィルムの導電性金
属の反対側の面に形成しても良い。また、電磁波シール
ド性接着フィルムとプラスチック板から構成された電磁
波遮蔽構成体のいずれかの層に形成しても良い。例え
ば、1枚の電磁波シールド性接着フィルムと1枚のプラ
スチック板から構成された電磁波遮蔽構成体であれば、
電磁波シールド性接着フィルムの面A、電磁波シールド
性接着フィルムとプラスチック板の間の面B、プラスチ
ック板の面Cのいずれの面に形成しても良い。この場
合、赤外線吸収剤を含有した組成物は、これを直接上記
のA,B,Cの少なくとも一つの面に形成しても良い。
赤外線吸収剤を含有した層が少なくとも1層は必要であ
り、それ以外の層は赤外線吸収剤を含有してなくても良
い。赤外線吸収剤を含有した層は、接着性を有していた
方が、作業性や加工性が容易となり好ましい。具体的に
は、電磁波シールド性接着フィルムの接着剤層面または
フィルム背面に0.1〜10μmの厚さで塗布される。
塗布された、赤外線吸収性の化合物を含む組成物は熱や
紫外線を使用して硬化させてもよい。一方、赤外線吸収
剤は上述した加熱硬化型接着剤層の接着剤組成物に直接
混合して使うことも可能である。その際の添加量は接着
剤の主成分となるポリマー100重量部に対して効果と
透明性から、0.01〜5重量部が最適である。
【0025】本発明で使用するプラスチック板は、プラ
スチックからなる板であり、具体的には、ポリスチレン
樹脂(n=1.59)、アクリル樹脂(n=1.46)、ポリメチルメタ
クリレート樹脂(n=1.49)、ポリカーボネート樹脂(n=1.5
8)、ポリ塩化ビニル樹脂(n=1.54)、ポリ塩化ビニリデン
樹脂(n=1.6〜1.63)、ポリエチレン樹脂(n=1.51)、ポリ
プロピレン樹脂(n=1.50)、ポリアミド樹脂(n=1.52)、ポ
リアミドイミド樹脂(n=1.5)、ポリエーテルイミド樹脂
(n=1.5)、ポリエーテルケトン樹脂(n=1.45)、ポリアリ
レート樹脂(n=1.5〜1.6)、ポリアセタール樹脂(n=1.5〜
1.6)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(n=1.57)、ポリ
エチレンテレフタレート樹脂(n=1.58)などの熱可塑性ポ
リエステル樹脂、酢酸セルロース樹脂(n=1.49)、フッ素
樹脂(n=1.4〜1.5)、ポリスルホン樹脂(n=1.63)、ポリエ
ーテルスルホン樹脂(n=1.45〜1.6)、ポリメチルペ
ンテン樹脂(n=1.45〜1.6)、ポリウレタン樹脂(n
=1.45〜1.6)、フタル酸ジアリル樹脂(n=1.45〜1.6)など
の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げれれる。これらの
中でも透明性に優れるポリスチレン樹脂、アクリル樹
脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート
樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレー
ト樹脂、ポリメチルペンテン樹脂が好適に用いられる。
本発明で使用するプラスチック板の厚みは、0.5mm
〜5mmがディスプレイの保護や強度、取扱性から好ま
しい。
【0026】本発明の電磁波遮蔽構成体は、電磁波シー
ルド性接着フィルムとプラスチック板から構成され、そ
の組合せは多数有る。図1は本発明の電磁波シールド性
接着フィルムの斜視図(a)と断面図(b)であり、加
熱または加圧により流動する接着剤層1と導電性金属で
描かれた幾何学図形2とプラスチックフィルム3から電
磁波シールド性接着フィルム4が構成される。この電磁
波シールド性接着フィルム4は、図2(a)に示すよう
にディスプレイの画面5に直接形成しても良いし、図2
(b)に示すようにプラスチック板6の片面に形成しど
ちらかの面をディスプレイ画面に接着剤又は取付治具を
介してディスプレイ画面に設ける。図2(c)は、前述
した赤外線吸収剤を含有した接着剤組成物7をプラスチ
ック板6の一方の面に、他方の面に電磁波シールド性接
着フィルム4を形成した電磁波遮蔽構成体8の例であ
る。また、図2(d)はプラスチックフィルム3の片面
に赤外線吸収剤を含有した接着剤組成物7を形成し接着
剤面をプラスチック板6に接着させ、他方の面に電磁波
シールド性接着フィルム4を形成した電磁波遮蔽構成体
8の例である。図2(e)は、電磁波シールド性接着フ
ィルム4とプラスチック板6より構成され、電磁波シー
ルド性接着フィルム4の上面に接着剤層9を形成し、こ
の接着剤層9をディスプレイ画面5に張り合わせる電磁
波遮蔽構成体8である。図2(f)は、電磁波シールド
性接着フィルム4のプラスチックフィルム面側に接着剤
層9を形成しその面にプラスチック板6を設け、電磁波
シールド性接着フィルム4の導電性金属で描かれた幾何
学図形が形成された面にプラスチック板6を形成した電
磁波遮蔽構成体8である。電磁波シールド性接着フィル
ムや電磁波遮蔽構成体のいずれかの面には、赤外線遮蔽
性を有する層、反射防止処理を有する層、防眩処理を有
する層、表面硬度の高い耐擦性を有する層を形成するこ
とができる。これらは例示であり、この他の形態で使用
することができる。ガラス板の片面に電磁波シールド性
接着フィルムを接着し、このガラス板をディスプレイ前
面に取り付けガラス面がディスプレイ装置の外側になる
ようにしても良い。
【0027】本発明の電磁波シールド性接着フィルム
は、熱硬化型接着剤層、幾何学図形を有する導電性金属
及びプラスチックフィルムから基本的に構成される。導
電性金属は金属箔の使用が好ましく、この場合接着性向
上のため金属箔の面を粗化形状にすることが多く、幾何
学図形を形成すると、除去された金属部分は、接着層に
その粗化形状を転写して金属と接している接着剤層の部
分に粗化形状が転写されてしまい可視光線がそこで散乱
されてしまうので光線透過率が低下し透明性が損なわれ
る。また、プラスチックフィルムにおいても、フィルム
の成形加工性向上のため微量のフィラーを添加しフィル
ム表面に凹凸を付与しフィルム巻き取り時のフィルム同
士の滑りを良くして巻き取り性を向上させたり、フィル
ム表面に接着剤との接着性向上のためマット加工等の粗
化処理をされることがある。このように、接着剤層の導
電性金属が除去された部分やプラスチックフィルム自体
は密着性向上等のために意図的に凹凸を有していたり、
導電性金属の背面形状を転写したりするためにその表面
で光が散乱され、透明性が損なわれるが、本発明の接着
剤層はプラスチックフィルムの凹凸面を埋めその凹凸面
にプラスチックフィルムと屈折率が近い樹脂が平滑に塗
布されると乱反射が最小限に押さえられ、また導電性金
属の粗化形状の転写は、接着剤層が流動することにより
解消され被着体の表面形状に沿って流動するので透明性
が発現するようになると考えられる。さらにプラスチッ
クフィルム上の導電性材料で形成された幾何学図形は、
ライン幅が非常に小さいため肉眼で視認されない。また
ライン間隔も十分に大きいため見掛け上透明性を発現す
ると考えられる。一方、遮蔽すべき電磁波の波長に比べ
て、幾何学図形のライン間隔は十分に小さく、優れたシ
ールド性を発現すると考えられる。
【0028】
【実施例】次に実施例に於いて本発明を具体的に述べる
が、本発明はこれに限定されるものではない。 (実施例1) <電磁波シールド性接着フィルム1及び電磁波遮蔽構成
体1作製例>プラスチックフィルムとして厚さ50μm
のPETフィルム(東洋紡績株式会社製、商品名A−4
100、屈折率n=1.575)を用い、その片面に下
記の赤外線吸収剤を含む接着剤層1を室温でアプリケー
タを用いて所定の乾燥塗布厚になるように塗布し、90
℃、5分間加熱乾燥させた。その接着剤層1を介して導
電性金属である厚さ12μmの電解銅箔を、その粗化面
が接着剤側になるようにして、90℃、10Kgf/c
2の条件で加熱ラミネートして導電性金属付きプラス
チックフィルムである銅箔付きPETフィルムを得た。
得られた銅箔付きPETフィルムにケミカルエッチング
法を使用したフォトリソグラフ工程(レジストフィルム
貼付け−露光−現像−ケミカルエッチング−レジストフ
ィルム剥離)を経て、ライン幅25μm、ライン間隔2
50μmの銅格子パターンをPETフィルム上に形成
し、電磁波シールド性接着フィルム1を得た。この電磁
波シールド性接着フィルム1の可視光透過率は20%以
下であった。この電磁波シールド性接着フィルム1を熱
プレス機を使用し市販のアクリル板(コモグラス;株式
会社クラレ製商品名、厚み3mm、n=1.49)に接
着剤層が形成されている面が接するようにして110
℃、20Kg/cm2、15分の条件で加熱圧着し電磁波
遮蔽構成体1を得た。接着剤層1の組成物を使用し、乾
燥後の接着剤層1の厚みが20μmになるようにして作
製した電磁波シールド性接着フィルムとプラスチック板
から得た電磁波遮蔽構成体1を実施例1とした。
【0029】 <接着剤層1の組成物> バイロン200(東洋紡績(株)製;飽和ポリエステル樹脂、Mn=2万) 100重量部 SIR−159(赤外線吸収剤1:三井東圧化学株式会社製商品名、金属錯体系 ) 0.5重量部 スミジュールN(住友バイエルウレタン株式会社製商品名、脂肪族3官能イソシ アネート) 5重量部 トルエン 450重量部 酢酸エチル 10重量部 上記の接着剤層1の組成物の溶媒乾燥硬化後の屈折率は
1.54、硬化前のDSCの硬化度(ラミネート後)は
10%であった。
【0030】(実施例2) <電磁波シールド性接着フィルム2及び電磁波遮蔽構成
体2作製例>厚さ25μmのPETフィルムの片面に下
記の赤外線吸収剤を含む接着剤層2を室温でアプリケー
タを用いて塗布し、90℃、5分間加熱乾燥させた。そ
の接着剤層2を介して厚さ25μmのアルミ箔を加熱ラ
ミネート(100℃、10Kgf/cm2)して接着さ
せアルミ箔付きPETフィルムを得た。このアルミ箔付
きPETフィルムに前記実施例1の電磁波シールド性接
着フィルム1及び電磁波遮蔽構成体1作製例と同様のフ
ォトリソグラフ工程を経て、ライン幅15μm、ライン
間隔125μmのアルミ格子パターンをPETフィルム
上に形成した。この電磁波シールド性接着フィルム2の
可視光透過率は20%以下であった。この電磁波シール
性接着フィルム2を市販のアクリル板(コモグラス;株
式会社クラレ製商品名、厚み3mm)に接着剤層が形成
されている面が接するようにして120℃、30Kgf
/cm2、30分の条件で熱プレス機を使用して加熱圧
着し電磁波遮蔽構成体2を得た。接着剤層2の組成物を
使用し、乾燥後の接着剤層2の厚みが40μmになるよ
うにして作製した電磁波シールド性接着フィルム2とプ
ラスチック板から得た電磁波遮蔽構成体2を実施例2と
した。
【0031】 <接着剤層2の組成物> VM−Dメジウム(大日精化工業株式会社製商品名;塩化ビニル・酢酸ビニル・ア クリル酸三元共重合体) 100重量部 UFP−HX(赤外線吸収剤2:住友金属鉱山株式会社製商品名;ITO、平均 粒径0.1μm) 0.4重量部 スミジュールN(住友バイエルウレタン株式会社製商品名、脂肪族3官能イソシ アネート) 5重量部 MEK 330重量部 シクロヘキサノン 15重量部 上記の接着剤層2の組成物の溶媒乾燥硬化後の屈折率は
1.51、硬化前のDSCの硬化度(ラミネート後)は
15%であった。
【0032】(実施例3) <電磁波シールド性接着フィルム3及び電磁波遮蔽構成
体3作製例>厚さ50μmのPETフィルムの片面に下
記の接着剤層3を室温でアプリケータを用いて塗布し、
90℃、5分間加熱乾燥させた。その接着剤層に、マス
ク層を用いて無電解ニッケルめっきを格子状に形成する
ことによりライン幅10μm、ライン間隔100μm、
厚さ1μmのニッケル格子パターンを接着剤層3上に形
成した電磁波シールド性接着フィルム3を作製した。こ
の電磁波シールド性接着フィルム3の可視光透過率は2
0%以下であった。この後電磁波シールド性接着フィル
ム3をロールラミネータを使用し市販のアクリル板(コ
モグラス、株式会社クラレ製商品名、厚み3mm)に接
着剤層が形成されている面が接するようにして110
℃、20Kgf/cm2の条件で加熱圧着し電磁波遮蔽
構成体3を得た。接着剤層3の組成物を使用し、乾燥後
の接着剤3の厚みが5μmになるようにして作製した電
磁波シールド性接着フィルム3とプラスチック板から得
た電磁波遮蔽構成体3を実施例3とした。
【0033】 <接着剤層3の組成物> S−1005(東亜合成化学工業株式会社製商品名;アクリル樹脂) 100重量部 IRG―002(赤外線吸収剤3:日本化薬株式会社製商品名;アミニウム系化 合物) 1.2重量部 スミジュールN(住友バイエルウレタン株式会社製商品名、脂肪族3官能イソシ アネート) 5重量部 MEK 285重量部 シクロヘキサノン 5重量部 上記の接着剤層3の組成物の溶媒乾燥硬化後の屈折率は
1.50、硬化前のDSCの硬化度(ラミネート前)は
5%であった。
【0034】(実施例4)下記の接着剤層4の組成物を
使用し、乾燥後の接着剤層4の厚みが20μmになるよ
うにして、実施例1と同様にして得た電磁波シールド性
接着フィルム4として、この電磁波シールド性接着フィ
ルム4とプラスチック板から電磁波遮蔽構成体4を作製
した。 <接着剤層4の組成物> ビスタネックスMML−140(トーネックス株式会社製商品名;ポリイソブチ レン) 100重量部 IRG―002(赤外線吸収剤3:日本化薬株式会社製商品名;アミニウム系化 合物) 1.2重量部 酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製) 5重量部 MEK 285重量部 シクロヘキサノン 5重量部 上記の接着剤層4の組成物の溶媒乾燥硬化後の屈折率は
1.45、硬化前のDSCによる硬化度(ラミネート
後)は3%であった。
【0035】(実施例5)下記の接着剤層5の組成物を
使用し、乾燥後の接着剤層5の厚みが20μmになるよ
うにして、実施例1と同様にして得た電磁波シールド性
接着フィルム5として、この電磁波シールド性接着フィ
ルム5とプラスチック板から電磁波遮蔽構成体5を作製
した。 <接着剤層5の組成物> VR−103(三井・デユポン・ポリケミカル株式会社製商品名;無水マレイン 酸変性EVA、酢酸ビニル変性率30重量%) 100重量部 IRG―002(赤外線吸収剤3:日本化薬株式会社製商品名;アミニウム系化 合物) 1.2重量部 スミジュールN(住友バイエルウレタン株式会社製商品名、脂肪族3官能イソシ アネート) 5重量部 MEK 285重量部 シクロヘキサノン 5重量部 上記の接着剤層5の組成物の溶媒乾燥硬化後の屈折率は
1.47、硬化前のDSCによる硬化度(ラミネート
後)は10%であった。
【0036】(実施例6)下記の接着剤層6の組成物を
使用し、乾燥後の接着剤層6の厚みが20μmになるよ
うにして、実施例1と同様にして得た電磁波シールド性
接着フィルム6として、この電磁波シールド性接着フィ
ルム6とプラスチック板から電磁波遮蔽構成体6を作製
した。 <接着剤層6の組成物> エピコートYL−983U(油化シェルエポキシ株式会社製商品名;ビスフェノ ールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量170) 100重量部 SIR−159(赤外線吸収剤1:三井東圧株式会社製商品名) 0.5重量部 スミジュールN(住友バイエルウレタン株式会社製商品名、脂肪族3官能イソシ アネート) 5重量部 トルエン 450重量部 酢酸エチル 10重量部 上記の接着剤層6の組成物の溶媒乾燥硬化後の屈折率は
1.49、硬化前のDSCによる硬化度(ラミネート
後)は5%であった。
【0037】(実施例7)プラスチックフィルムをPE
T(50μm)からポリカーボネートフィルム(50μ
m、n=1.58)に、接着剤層の厚みを20μmから
30μmにした以外は実施例2と同様にして電磁波遮蔽
構成体7を得た。
【0038】(実施例8)ライン幅を10μmから30
μmに、ライン間隔を100μmから500μmに、接
着剤層の厚みを5μmから10μmにした以外は実施例
3と同様にして得た電磁波遮蔽構成体8を実施例8とし
た。
【0039】(実施例9)フォトリソグラフ工程を経て
PETフィルム上に形成した銅格子パターンに黒化処理
を施したこと以外は実施例1と同様にして得た電磁波遮
蔽構成体9を実施例9とした。
【0040】(比較例1)実施例1の接着剤層1の組成
物を用い、厚さ50μmのPETフィルム上にアプリケ
ータを用いて乾燥後の接着剤層の厚みが20μmとなる
ように100℃で30分間、加熱乾燥させた。そのとき
のDSCによる硬化度は、80%であった。その後、実
施例1と同様にして熱プレス機を使用し110℃、20
Kg/cm2、15分の条件で加熱圧着し電磁波遮蔽構
成体10を作製した。
【0041】(比較例2)実施例2の接着剤層2の組成
物を用い、厚さ25μmのPETフィルムの片面にアプ
リケータを用いて乾燥後の接着剤層の厚みが40μmと
なるように100℃で30分間、加熱乾燥させた。その
ときのDSCによる硬化度は、85%であった。その
後、実施例2と同様にして熱プレス機を使用し120
℃、30Kg/cm2、30分の条件で加熱圧着し電磁
波遮蔽構成体11を作製した。
【0042】(比較例3)実施例3の接着剤層3の組成
物S−1005の代わりに、フェノール−ホルムアルデ
ヒド樹脂(Mw=5万)を使用し、スミジュールNを除
いて接着剤層7の組成物とした。それ以外の条件は実施
例3と同様にして得た電磁波遮蔽構成体12を比較例3
とした。上記の接着剤層7の組成物の溶媒乾燥硬化後の
屈折率は1.73、硬化前のDSCによる硬化度は5%
であった。
【0043】(比較例4)接着剤の厚みを20μmから
5μmにした以外は実施例1と同様にして電磁波遮蔽構
成体13を作製し比較例4とした。
【0044】(比較例5)ライン間隔を250μmから
50μmにした以外は実施例1と同様にして電磁波遮蔽
構成体14を作製し比較例5とした。
【0045】(比較例6)ライン幅を25μmから50
μmにライン間隔を250μmから150μmした以外
は実施例1と同様にして電磁波遮蔽構成体15を作製し
比較例6とした。
【0046】(比較例7)接着剤層2の組成物から赤外
線吸収剤を除いた以外は実施例2と同様にして電磁波遮
蔽構成体16を作製し比較例7とした。
【0047】(比較例8)導電材料として0.1μm
(1、000Å)全面蒸着させたITO蒸着PETを使
い、パターンを形成しないで、直接接着剤層1の組成物
から赤外線吸収剤を除いた組成物を塗布し、実施例1と
同様にして得た電磁波遮蔽構成体を17を比較例8とし
た。
【0048】(比較例9)接着剤としてポリジメチルシ
ロキサン(Mw=4.5万、n=1.43)を使用し、接
着剤層10の組成物とした。それ以外の条件は実施例3
と同様にして得た電磁波遮蔽構成体18を比較例9とし
た。
【0049】以上のようにして得られた電磁波シールド
性接着フィルムの導電性金属材料で描かれた幾何学図形
の開口率、電磁波シールド性、可視光透過率、非視認
性、赤外線遮蔽率、加熱処理前後の接着特性、を測定し
た。結果を表1、2に示した。
【0050】なお接着剤層の組成物の屈折率は、屈折計
(株式会社アタゴ光学機械製作所製、アッベ屈折計)で
測定した。導電性金属で描かれた幾何学図形の開口率は
顕微鏡写真をもとに実測した。DSCは、示差走査型熱
量計(デュポン社製910型−DSC)で昇温速度10
℃/分、室温(25℃)〜200℃まで測定した。電磁
波シールド性は、同軸導波管変換器(日本高周波株式会
社製、TWC−S−024)のフランジ間に試料を挿入
し、スペクトラムアナライザー(YHP製、8510B
ベクトルネットワークアナライザー)を用い、周波数3
0MHz〜1GHzで測定した。可視光透過率の測定
は、ダブルビーム分光光度計(株式会社日立製作所製、
200−10型)を用いて、400〜700nmの透過
率の平均値を用いた。非視認性は、アクリル板に電磁波
シールド性接着フィルムを貼り付けた電磁波遮蔽構成体
を0.5m離れた場所から目視して導電性金属で形成さ
れた幾何学図形を認識できるかどうかで評価し、認識で
きないものを良好とし、認識できるものをNGとした。
赤外線遮蔽率は、分光光度計(株式会社日立製作所製、
U−3410)を用いて、900〜1、100nmの領
域の赤外線吸収率の平均値を用いた。接着力は、引張り
試験機(東洋ボールドウィン株式会社製、テンシロンU
TM−4−100)を使用し、幅10mm、90°方
向、剥離速度50mm/分で測定した。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】比較例1、2は、接着剤層の硬化度が60
%以上と高く、接着剤層が流動しにくく導電性金属の銅
箔やアルミニウム箔で形成された幾何学図形の厚み相当
以上の流動性がなく被着体のプラスチック板に十分に密
着しないので接着力に劣った。また、転写された接着剤
層の表面に形成された粗化形状が流動性がないためほと
んどその形状が維持され透過光が散乱されてしまい可視
光透過率に劣った。比較例3は、接着剤層7の屈折率が
1.73と高く接着剤層とプラスチック板との界面での
散乱が大きく可視光透過率に劣った。比較例4は、接着
剤層1の厚み5μmが導電性金属である銅箔の厚み12
μmより薄いため、接着剤層1が流動してプラスチック
板との密着性は良いが、導電性金属を十分に埋めること
ができず可視光透過率に劣った。比較例5は、ライン間
隔が50μmで電磁波シールド性が良好であり、ライン
幅が25μmと細いため非視認性に優れるが、ライン間
隔が狭く開口率が50%以下の25%であるため可視光
透過率に劣った。比較例6は、ライン幅が、50μmで
あり、非視認性に劣った。比較例7は、赤外線吸収剤を
配合しない接着剤層を使用したものであり、赤外線遮蔽
性に劣った。比較例8は、PETフィルムにITO(イ
ンジウム−スズ酸化物)を蒸着したものであるが、電磁
波シールド性に劣った。比較例9は、接着剤層に屈折率
が1.43の接着剤層10を使用したものであるが、比
較例3と同様、接着剤層とプラスチック板との界面での
散乱が大きく可視光透過率に劣った。これらの比較例に
対して、本発明の実施例で示した、導電性金属で描かれ
た幾何学図形を有し、その開口率が50%以上で、接着
剤層に熱硬化型接着剤層を用いその硬化度が60%未満
であり、硬化後の屈折率が1.45〜1.70の範囲に
あり、接着剤層の厚みが導電性金属の厚さ以上で、赤外
線吸収剤が含有されている接着剤層がいずれも好ましい
値を示した。また、導電性金属で描かれたライン幅が、
40μm以下、ライン間隔が100μm以上、ライン厚
みが40μm以下の導電性金属が好ましい値を示した。
また、実施例9で示した銅を黒化処理した電磁波遮蔽構
成体は、コントラストが大きく鮮明な画像を快適に鑑賞
することができた。
【0054】
【発明の効果】本発明で得られる電磁波シールド性接着
フィルムは実施例からも明らかなように、被着体に容易
に貼付けて使用でき、しかも密着性が優れているので電
磁波漏れがなくシールド機能が特に良好である。また可
視光透過率、非視認性などの光学的特性が良好で、しか
も長時間にわたって高温での接着特性に変化が少なく良
好であり、優れた電磁波シールド性接着フィルムを提供
することができる。請求項2に記載のマイクロリソグラ
フ法をフォトリソグラフ法とすることにより、安価で量
産性に優れた電磁波シールド性と透明性、および簡便な
接着性を有する電磁波シールド性接着フィルムを提供す
ることができる。請求項3に記載の接着剤層の硬化度を
60%未満とすることにより、被着体に容易に貼付ける
ことができ、取り扱い性に優れた電磁波シールド性接着
フィルムを提供することができる。請求項4に記載の接
着剤層の硬化後の屈折率を1.45〜1.70とするこ
とにより、透明性、像鮮明性に優れた電磁波シールド性
接着フィルムを提供することができる。請求項5に記載
の接着剤層の厚さを導電性金属の厚さ以上にすることに
より、透明性、接着性に優れた電磁波シールド性接着フ
ィルムを提供することができる。請求項6に記載の接着
剤層中に赤外線吸収剤が含有されていることにより、赤
外線遮蔽性および透明性に優れた電磁波シールド性接着
フィルムを提供することができる。請求項7に記載の導
電性金属で描かれた幾何学図形のライン幅を40μm以
下、ライン間隔を100μm以上、ライン厚みを40μ
m以下とすることにより、電磁波シールド性と透明性及
び広視野角の電磁波シールド性接着フィルムを得ること
ができる。請求項8に記載の導電性金属付きプラスチッ
クフィルムの導電性金属を、厚さ0.5〜40μmの
銅、アルミニウムまたはニッケルとすることにより、電
磁波シールド性、加工性、及び安価な電磁波シールド性
接着フィルムを提供することができる。請求項9に記載
のケミカルエッチング法により導電性金属を描画するこ
とにより、安価で可視光透過率に優れた電磁波シールド
性接着フィルムを提供することができる。請求項10に
記載の導電性金属付きプラスチックフィルムのプラスチ
ックフィルムをポリエチレンテレフタレートフィルムま
たはポリカーボネートフィルムとすることにより、安価
で透明性、耐熱性に優れた電磁波シールド性接着フィル
ムを提供することができる。請求項11に記載の導電性
金属が銅であり、少なくともその表面が黒化処理されて
いることにより、コントラストと電磁波シールド性に優
れた電磁波シールド性接着フィルムを提供することがで
きる。請求項12に記載の導電性金属を常磁性金属とす
ることにより、磁場シールド性に優れた電磁波シールド
性接着フィルムを提供することができる。
【0055】請求項13に記載の電磁波シールド性接着
フィルムとプラスチック板から構成される電磁波遮蔽構
成体とすることにより、透明性を有する電磁波シールド
性に優れた基板とすることができ、ディスプレイに提供
することができる。請求項14に記載の電磁波シールド
性接着フィルムをプラスチック板の少なくとも片面に貼
り合わせ、熱硬化型接着剤層の硬化度を60%以上とし
た電磁波遮蔽構成体とすることにより、透明性を有する
電磁波シールド性に優れた基板とすることができ、取扱
性が容易で、ディスプレイに提供することができる。請
求項15に記載の電磁波シールド性接着フィルムをプラ
スチック板の片面に貼り合わせ熱硬化型接着剤層の硬化
度を60%以上とし、他面に赤外線遮蔽性を有する接着
剤または接着フィルムを貼り合わせた電磁波遮蔽構成体
とすることにより、赤外線遮蔽性、透明性を有する電磁
波シールド性基板を提供することができる。請求項16
に記載の電磁波シールド性と透明性を有する電磁波シー
ルド性接着フィルムをディスプレイに用いることによ
り、軽量、コンパクトで透明性に優れ電磁波漏洩が少な
いディスプレイを提供することができる。請求項17に
記載の電磁波シールド性と透明性を有する電磁波遮蔽構
成体をディスプレイに用いることにより、軽量、コンパ
クトで電磁波漏洩が少なくディスプレイ保護板を兼用し
たディスプレイを提供することができる。 ディスプレ
イに使用した場合、可視光透過率が大きく、非視認性が
良好であるのでディスプレイの輝度を高めることなく通
常の状態とほぼ同様の条件下で鮮明な画像を快適に鑑賞
することができる。本発明の電磁波シールド性接着フィ
ルム及び電磁波遮蔽構成体は、電磁波シールド性や透明
性に優れているため、ディスプレイの他に電磁波を発生
したり、あるいは電磁波から保護する測定装置、測定機
器や製造装置の内部をのぞく窓や筐体、特に透明性を要
求される窓のような部位に設けて使用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電磁波シールド性接着フィルムの斜
視図(a)とその断面図(b)である。
【図2】 本発明の電磁波シールド性接着フィルムのデ
ィスプレイ使用例(a)及び電磁波シールド性接着フィ
ルムとプラスチック板から構成される電磁波遮蔽構成体
((b)〜(f))の例。
【符号の説明】
1.接着剤層 2.導電性金属で描かれた幾何学図形 3.プラスチックフィルム 4.電磁波シールド性接着フィルム 5.ディスプレイの画面 6.プラスチック板 8.電磁波遮蔽構成体 9.接着剤層

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化型接着剤層を有する導電性金属付
    きプラスチックフィルムにおいて、マイクロリソグラフ
    法により導電性金属で描かれた幾何学図形を有し、その
    開口率が50%以上である電磁波シールド性接着フィル
    ム。
  2. 【請求項2】 マイクロリソグラフ法がフォトリソグラ
    フ法である請求項1に記載の電磁波シールド性接着フィ
    ルム。
  3. 【請求項3】 熱硬化型接着剤層の硬化度が60%未満
    である請求項1または請求項2に記載の電磁波シールド
    性接着フィルム。
  4. 【請求項4】 熱硬化型接着剤層の屈折率が硬化度60
    %以上で1.45〜1.70の範囲にある請求項1ない
    し請求項3のいずれかに記載の電磁波シールド性接着フ
    ィルム。
  5. 【請求項5】 熱硬化型接着剤層の厚さが導電性金属の
    厚さ以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項
    4のいずれかに記載の電磁波シールド性接着フィルム。
  6. 【請求項6】 熱硬化型接着剤層中に赤外線吸収剤が含
    有されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5
    のいずれかに記載の電磁波シールド性接着フィルム。
  7. 【請求項7】 導電性金属で描かれた幾何学図形のライ
    ン幅が40μm以下、ライン間隔が100μm以上、ラ
    イン厚さが40μm以下である請求項1ないし請求項6
    のいずれかに記載の電磁波シールド性接着フィルム。
  8. 【請求項8】 導電性金属付きプラスチックフィルムの
    金属が、厚さ0.5〜40μmの銅、アルミニウムまた
    はニッケルである請求項1ないし請求項7のいずれかに
    記載の電磁波シールド性接着フィルム。
  9. 【請求項9】 フォトリソグラフ法がケミカルエッチン
    グ法である請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の
    電磁波シールド性接着フィルム。
  10. 【請求項10】 導電性金属付きプラスチックフィルム
    のプラスチックフィルムがポリエチレンテレフタレート
    フィルムまたはポリカーボネートフィルムである請求項
    1ないし請求項9のいずれかに記載の電磁波シールド性
    接着フィルム。
  11. 【請求項11】 導電性金属が銅であり、少なくともそ
    の表面が黒化処理されていることを特徴とする請求項1
    ないし請求項10のいずれかに記載の電磁波シールド性
    接着フィルム。
  12. 【請求項12】 導電性金属が常磁性金属である請求項
    1ないし請求項10のいずれかに記載の電磁波シールド
    性接着フィルム。
  13. 【請求項13】 請求項1ないし請求項12のいずれか
    に記載の電磁波シールド性接着フィルムとプラスチック
    板から構成された電磁波遮蔽構成体。
  14. 【請求項14】 請求項1ないし請求項12のいずれか
    に記載の電磁波シールド性接着フィルムを少なくともプ
    ラスチック板の片面に貼り合わせ、熱硬化型接着剤層の
    硬化度を60%以上とした電磁波遮蔽構成体。
  15. 【請求項15】 請求項1ないし請求項12のいずれか
    に記載の電磁波シールド性接着フィルムをプラスチック
    板の片面に貼り合わせ熱硬化型接着剤層の硬化度を60
    %以上とし、他面に赤外線遮蔽性を有する接着剤または
    接着フィルムを貼り合わせた電磁波遮蔽構成体。
  16. 【請求項16】 請求項1ないし請求項12のいずれか
    に記載の電磁波シールド性接着フィルムを用いたディス
    プレイ。
  17. 【請求項17】 請求項13ないし請求項15のいずれ
    かに記載の電磁波遮蔽構成体を用いたディスプレイ。
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