JP2010257828A - リチウム一次電池およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属リチウムまたはリチウム合金を含む負極を備えるリチウム一次電池において、放電特性の向上と、高温保存特性の向上とを両立させることを目的とする。
【解決手段】金属リチウムまたはリチウム合金を含む負極12と、正極活物質を含む正極11と、負極12と正極11との間を隔離するセパレータ13と、非水電解質と、を備えるリチウム一次電池10において、負極12の正極11と対向する対向面に、フッ素含有微粒子を表面に備える炭素粒子を含んだ被覆層17を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム一次電池とその製造方法に関し、さらに詳しくは、主として、リチウム一次電池における負極の改良に関する。
リチウム一次電池は、起電力が高く、エネルギー密度が高いことから、例えば、携帯機器、車載用電子機器などの電子機器の主電源や、メモリーバックアップ用電源として、幅広く用いられている。このリチウム一次電池は、一般に、二酸化マンガン、フッ化炭素などを正極活物質として含む正極と、リチウムまたはリチウム合金からなる負極と、正極および負極の間を隔離するセパレータと、これら正極、負極およびセパレータと接触する非水電解質と、を含んでいる。
リチウム一次電池は、一般に、放電初期において電圧が一旦降下し、その後、緩やかに上昇する。この放電初期の電圧降下の度合が大きいほど、リチウム一次電池の放電性能が低下する。そこで、リチウム一次電池の放電特性を改良するため、負極の表面抵抗を低減させることが試みられている。しかしながら、負極表面が活性化されたリチウム一次電池は、特に高温での保存後に電池特性が著しく低下する。これは、高温では、活性化された負極と非水電解質との反応が促進され、反応生成物が負極表面に堆積して、負極の抵抗を上昇させるからである。
一方、負極がリチウムまたはリチウム合金を含む二次電池(以下、「リチウム二次電池」という。)では、充放電によって負極のリチウムが溶解と析出とを繰り返す。従って、リチウム二次電池の負極表面においては、充放電の度に新生面が露出することになり、抵抗が低い状態が維持される。
なお、リチウム二次電池では、充放電の繰り返しにより、負極表面でリチウムの樹枝状結晶(デンドライト)が析出するおそれがある。デンドライトは、二次電池のサイクル特性や信頼性を著しく低下させる。そこで、金属リチウムまたはリチウム合金の表面に、炭素質粉末の層(特許文献1参照)や、金属フッ化物層や、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ化炭化水素を含有する層(特許文献2参照)を形成することが提案されている。
特開平11−135116号公報 特開2002−141058号公報
リチウム一次電池の負極表面に特許文献1に記載の炭素質粉末層を形成したときには、リチウムと非水電解質との反応が抑制される。さらに、炭素質粉末層の炭素が、リチウムの活性が低下している部分で導電剤として作用することから、負極の抵抗が低減される。このため、リチウム一次電池の放電特性は向上する。しかしながら、負極の抵抗が低く、その活性が高くなっているため、高温保存時に炭素質粉末層の表面で非水電解質との反応を抑制することが不十分になる。このため、リチウム一次電池を高温で保存した後には、負極の抵抗が上昇する。
また、リチウム一次電池の負極表面に特許文献2に記載の金属フッ化物層や、フッ化炭化水素を含有する層を形成した場合は、金属フッ化物やフッ化炭化水素が絶縁体であるため、負極の抵抗が著しく上昇する。また、負極の抵抗が高く、その活性が低いために、高温保存後における負極の抵抗上昇は抑制される。しかしながら、保存前においても負極の抵抗が高く、放電特性は低い。
それゆえ、使用時に充電を行わないリチウム一次電池においては、従来、放電特性の向上と、保存特性の向上とを両立させることが困難であった。
本発明は、金属リチウムまたはリチウム合金を含む負極を備えるリチウム一次電池において、放電特性の向上と、保存特性の向上とを両立させることを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係るリチウム一次電池は、金属リチウムまたはリチウム合金を含む負極と、正極活物質を含む正極と、上記負極と上記正極との間を隔離するセパレータと、非水電解質と、を備え、上記負極が、上記正極と対向する対向面に被覆層を有しており、上記被覆層が、フッ素含有微粒子を表面に備える炭素粒子を含んでいることを特徴とする。
上記リチウム一次電池において、負極の被覆層は炭素粒子を含んでいる。この炭素粒子によって負極表面の導電性が向上することから、負極の表面抵抗が低下し、放電特性が向上する。また、この炭素粒子は、表面にフッ素含有微粒子を備えている。このフッ素含有微粒子は、リチウムまたはリチウム合金と非水電解質との反応を抑制することから、高温での保存後においても、負極の抵抗の上昇を抑制することができる。しかも、フッ素を含有する粒子は絶縁体であるため、本来、負極の抵抗を上昇させるものであるが、上記リチウム一次電池の被覆層では、微粒子として炭素粒子の表面に存在しているため、負極の抵抗上昇が抑制される。
すなわち、上記リチウム一次電池によれば、負極の対向面に形成されている被覆層の炭素粒子によって、放電特性を向上させることができ、しかも、上記炭素粒子の表面に存在するフッ素含有微粒子によって、高温保存後における負極の抵抗上昇を抑制することができる。
なお、例えば、特許文献2における金属フッ化物層や、PVDFなどのフッ化炭化水素を含有する層を負極表面に形成した場合は、負極表面が広い範囲にわたって絶縁性物質で覆われることとなり、導電性の高い部分が少なくなる。このため、負極の抵抗上昇を抑制することができない。
上記リチウム一次電池において、被覆層に含まれる炭素粒子は、フッ素含有微粒子に覆われている領域と、炭素粒子自体の表面が現れている領域と、を表面に有していることが好ましい。このように、炭素粒子自体の表面が現れている領域を十分に確保することで、負極の抵抗および活性の適度に調整することができる。
上記リチウム一次電池は、フッ素含有微粒子がフッ化リチウムを含んでいることが好ましい。
また、上記リチウム一次電池は、正極活物質がフッ化炭素および二酸化マンガンの少なくともいずれかであることが好ましい。本発明において、フッ化炭素(carbon fluoride)は、カーボン(carbon)や黒鉛(graphite)をフッ素化して得られる常温で固体の物質をいう。
上記課題を解決するための本発明に係るリチウム一次電池の製造方法は、正極活物質を含む正極を作製する正極作製工程と、金属リチウムまたはリチウム合金を含む負極のうち上記正極と対向するように配置される対向面に、フッ化炭素を含む被覆層前駆体を形成する被覆層前駆体形成工程と、上記負極の対向面が上記正極と対向するように、かつ、上記正極と上記負極との間がセパレータで隔離されるように、上記正極と、上記負極と、上記セパレータとを重ね合わせて電極群を形成する電極群形成工程と、上記負極を非水電解質と接触させる非水電解質接触工程と、を含むことを特徴とする。
上記リチウム一次電池の製造方法では、非水電解質接触工程において、上記電極群と非水電解質とが接触し、負極の対向面に形成された被覆層前駆体のフッ化炭素と、金属リチウムまたはリチウム合金とが反応する。そして、このことにより、負極の対向面に、フッ素含有微粒子を表面に備える炭素粒子を含む被覆層を形成することができる。それゆえ、上記リチウム一次電池の製造方法によれば、放電特性の向上と、保存特性の向上とが両立したリチウム一次電池を得ることができる。
上記リチウム一次電池の製造方法においては、正極活物質がフッ化炭素または二酸化マンガンの少なくともいずれかであることが好ましい。
本発明によれば、金属リチウムまたはリチウム合金を含む負極を備えるリチウム一次電池において、放電特性の向上と、保存特性の向上とを両立させることができる。
本発明の一実施形態に係るコイン型リチウム一次電池の概略縦断面図である。 図1の被覆層17を模式的に示す拡大断面図である。
以下、本発明の一実施形態を示す図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るコイン型リチウム一次電池を概略的に示す縦断面図である。図1を参照して、コイン型リチウム一次電池10は、正極11と、負極12と、正極11と負極12との間に配置されたセパレータ13と、を備えている。また、これら正極11、負極12およびセパレータ13には、図示しない非水電解質が接触している。
正極11は、円盤状に形成された正極合剤のペレットであって、一方の表面が正極ケース14と接している。正極合剤は、正極活物質を含み、さらに必要に応じて、導電剤、結着剤などの添加剤を含む。
正極活物質としては、リチウム一次電池の分野で公知の各種活物質が挙げられ、具体的には、フッ化炭素、例えば、MO2(Mは、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、銅(Cu)などの、少なくとも1種の遷移金属を示す)や、MoO3、V25、Mn24などの複合酸化物、例えば、TiS2、MoS2などの金属カルコゲン化合物、などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。正極活物質は、上記例示のなかでも特に、フッ化炭素や、二酸化マンガン(上記MO2のMがMnである場合)が好ましい。これらはリチウム一次電池で汎用されており、入手が容易である。
フッ化炭素は、正極活物質として、長期にわたる信頼性や、高温での安定性が優れている。このフッ化炭素は、例えば、石油コークス、人造黒鉛などをフッ素化することによって得られる。具体的には、石油コークス、人造黒鉛などの炭素系材料(C)と、フッ素(F)とを、例えば、両原子のモル比として、1:x(0.9≦x≦1.1)の割合で反応させる。これにより、CとFとが1:xの割合で結合した物質の集合体(フッ化炭素)を得ることができる。
正極合剤に含まれる導電剤としては、放電時における正極活物質の電位範囲において化学変化を起こさないものが挙げられる。具体的には、グラファイト、カーボンブラック、炭素繊維、金属繊維、有機導電性材料などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極合剤中での導電剤の含有割合は、特に限定されないが、例えば、正極活物質100重量部に対し、30重量部以下が好ましく、5〜30重量部がさらに好ましい。
正極合剤に含まれる結着剤としては、放電時における正極活物質の電位範囲において化学変化を起こさないものが挙げられる。具体的には、フッ素樹脂、フッ素系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸、ポリフッ化ビニリデンなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極合剤中での結着剤の含有割合は、特に限定されないが、例えば、正極活物質100重量部に対し、3〜15重量部が好ましい。
正極ケース14は、正極11や、後述するセパレータ13を収容する部材であって、さらに、正極集電体と正極端子とを兼ねている。正極ケース14の形成材料には、リチウム一次電池の分野で公知の各種材料が挙げられる。具体的には、例えば、ステンレス鋼が挙げられる。
以上の説明では、正極12を、円盤状に形成された正極合剤のペレットとして説明したが、リチウム一次電池の正極はこれに限定されない。例えば、正極は、上記正極合剤をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの適当な液状成分に分散または溶解させた後、得られたスラリーを、Al箔などの集電体(芯材)の表面に塗布し、乾燥させたものであってもよい。
負極12は、金属リチウムまたはリチウム合金を円盤状に形成したものであって、一方の表面が負極ケース15と接している。負極12の負極ケース15側と反対側の表面は、正極11と対向する対向面であって、この対向面には、被覆層17が形成されている。
リチウム合金としては、リチウム一次電池の分野で公知の各種リチウム合金が挙げられる。リチウムと合金を形成する金属としては、例えば、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)、マグネシウム(Mg)、インジウム(In)、カルシウム(Ca)、Mnなどが挙げられる。これらリチウムと合金を形成する金属は、リチウム合金に単独で含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
リチウム合金は、リチウムと合金を形成する金属の含有比率を適宜調整することで、金属リチウムと比べて、物性や表面状態が改良される。リチウムと合金を形成する金属の含有比率は、特に限定されないが、リチウム合金全体に対し、5重量%以下であることが好ましい。上記範囲を上回ると、リチウム合金の融点や硬度が上昇して、負極12の加工性の低下などを招くおそれがある。
図2は、図1に示す被覆層17を模式的に示す拡大断面図である。図2を参照して、被覆層17は、負極12の、正極11(図1参照)との対向面に形成されている。この被覆層17は、炭素粒子18で形成されており、この炭素粒子18は、その表面に、フッ素含有微粒子19を備えている。
表面にフッ素含有微粒子19を備える炭素粒子18は、例えば、金属リチウムまたはリチウム合金からなる負極12の表面に、被覆層前駆体としてのフッ化炭素粉末層を形成し、これに非水電解質を接触させることによって、形成される。
フッ化炭素粉末層は、金属リチウムまたはリチウム合金と、非水電解質とに接触した状態で、リチウムと反応し、炭素粒子と、この炭素粒子の表面に付着したフッ化リチウムの微粒子と、を形成する。
被覆層前駆体を形成するためのフッ化炭素粉末の平均粒径(体積平均粒径)は、好ましくは、0.1〜100μmであり、さらに好ましくは、1〜10μmである。
フッ化炭素粉末の粒子径が上記範囲を上回ると、金属リチウムまたはリチウム合金の表面に、フッ化炭素粉末層を均一に形成することが困難になるか、あるいは、フッ化炭素粉末層の厚みが過剰に厚くなるおそれがある。そして、フッ化炭素粉末層が均一に形成されていないときには、負極12の表面で被覆層17が均一に形成されなくなり、金属リチウムまたはリチウム合金と電解液との反応を抑制する効果が低下するおそれがある。また、フッ化炭素粉末層の厚みが過剰に厚いときは、被覆層17の容積が増加し、これに伴い、負極活物質の容積を低減させるといった処置が必要になる。このため、電池の容量低下を招くおそれがある。
一方、フッ化炭素粉末の粒子径が上記範囲を下回ると、金属リチウムまたはリチウム合金と非水電解質との接触によって得られる炭素粒子18の粒径が小さくなり、この炭素粒子18の表面がフッ化リチウム微粒子(フッ素含有微粒子19)で被覆されやすくなる。このため、炭素粒子18自体の表面が露出している領域が減少し、負極12の抵抗が上昇するおそれがある。
フッ化炭素粉末は、その粒子径が上記範囲に設定されること以外は特に限定されない。フッ化炭素粉末の原料としては、正極活物質として例示したものと同様のものが挙げられる。被覆層前駆体の原料として使用する場合は、フッ化炭素粉末を粉砕、分級して、その粒子径が上記範囲内となるように調整すればよい。
被覆層17における炭素とフッ素との分布状態や、被覆層17内で炭素粒子18自体の表面が現れている領域と、炭素粒子18がフッ素含有微粒子19に覆われている領域との分布は、例えば、電子線プローブマイクロアナライザ(EPMA)による元素分布分析(波長分散法)などの方法によって確認することができる。
被覆層17の形成は、金属リチウムまたはリチウム合金を所定の径に打ち抜き、円盤状に成形した後であってもよい。この場合、負極12の対向面に被覆層前駆体を形成し、その状態で、正極11、および後述するセパレータ13とともに電極群を形成する。そして、リチウム一次電池10を組み立てた後、電極群に非水電解質を接触させることによって、被覆層前駆体を被覆層17とすることができる。
また、成形前の金属リチウムまたはリチウム合金の表面に被覆層前駆体を形成し、この被覆層前駆体を非水電解質と接触させてもよい。この場合、負極12の対向面には予め被覆層17が形成されており、この負極12を所定の径に打ち抜くことで、円盤状に成形される。こうして成形された負極12は、被覆層17(または被覆層前駆体)が正極11と対向面になるようにして、負極ケース15内に配置される。
被覆層17の形成材料としてフッ化炭素を用いた場合には、フッ素含有微粒子として、上述のとおり、フッ化リチウムの微粒子が形成される。フッ化リチウムは極めて安定であり、電池の高温保存時において、負極と電解液との過度の反応を抑制することができる。
被覆層17の形成材料は、上述のフッ化炭素に限定されず、フッ素含有微粒子を表面に備える炭素粒子を、負極12の表面に形成させることができる材料であればよい。このような材料としては、例えば、フッ化リチウムの微粒子と、カーボン(carbon)または黒鉛(graphite)の粒子との混合物などが挙げられる。
カーボンとしては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラックなどの各種カーボンブラックが挙げられる。黒鉛は、天然黒鉛および人造黒鉛のいずれであってもよい。
被覆層17の形成材料に上記混合物を用いる場合において、フッ化リチウム微粒子、カーボン粒子、および黒鉛粒子の粒子径は特に限定されない。上記混合物を用いて形成される被覆層17においては、フッ化リチウム微粒子と、カーボン粒子または黒鉛粒子とが、それぞれ、上述のフッ化炭素粉末から形成された被覆層17におけるフッ素含有微粒子19と、炭素粒子18とに相当する。このため、フッ化リチウム微粒子や、カーボン粒子または黒鉛粒子の粒子径は、上述のフッ素含有微粒子19や炭素粒子18の粒子径に併せて設定することが好ましい。
フッ化炭素などの被覆層17形成材料をリチウムまたはリチウム合金の表面に配置し、被覆層前駆体を形成する方法としては、例えば、基材表面を粉末で被覆するための公知の各種方法を採用することができる。具体的には、例えば、特許文献1に記載のように、金属リチウムまたはリチウム合金の表面に接触して回転する表面絶縁性のドラムを使用する方法が挙げられる。この方法では、まず、ドラムの表面を帯電させて、その表面にフッ化炭素の粉末層を一定の厚みで形成する。ドラム表面に形成されたフッ化炭素の層は、その後、金属リチウムまたはリチウム合金の表面に転写される。転写されたフッ化炭素の層は、例えば、プレスローラなどで圧着接合することにより、金属リチウムまたはリチウム合金の表面に固定される。金属リチウムまたはリチウム合金の表面にフッ化炭素の層を固定する方法には、加圧圧着や、超音波圧着などが挙げられる。
被覆層17の厚みは、特に制限されないが、好ましくは、0.5〜10.0μmであり、さらに好ましくは、2.0〜5.0μmである。また、被覆層17は、その厚みではなく、リチウムまたはリチウム合金の表面に付着されるフッ化炭素(フッ素含有微粒子19)の量で限定してもよい。この場合において、リチウムまたはリチウム合金の表面1cm2あたりの、フッ化炭素(フッ素含有微粒子19)の付着量は、特に限定されないが、好ましくは、0.1〜1.0mgであり、さらに好ましくは、0.3〜1.0mgである。
金属リチウムまたはリチウム合金は、従来のリチウム一次電池用の負極と同様に、最終的に得られるリチウム一次電池の形状、寸法、規格性能などに応じて、任意の形状および厚さに成形される。例えば、リチウム一次電池がコイン型電池である場合は、金属リチウムまたはリチウム合金は、直径が5〜25mm程度、厚さが0.2〜2.0mm程度の円盤状に成形される。
再び図1を参照して、負極ケース15は、負極12と接触して、負極集電体や負極端子として作用する部材である。この負極ケース15は、さらに、コイン型電池の封口板を兼ねている。負極ケース15の形成材料には、リチウム一次電池の分野で公知の各種材料が挙げられる。具体的には、例えば、ステンレス鋼が挙げられる。
セパレータ13としては、リチウム一次電池の内部環境に対して耐性を有する材料からなる多孔質膜を使用できる。具体的には、例えば、合成樹脂製の不織布や、合成樹脂製の多孔質フィルム(微多孔フィルム)などが挙げられる。不織布に用いられる合成樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリブチレンテレフタレートなどが挙げられる。これらの中でも、ポリフェニレンサルフィドやポリブチレンテレフタレートは、耐高温性、耐溶剤性、および保液性に優れていることから、特に好適である。多孔質フィルムに用いられる合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。
非水電解質は、非水溶媒と、非水溶媒中に溶解された溶質と、を含んでいる。
非水溶媒としては、リチウム一次電池の分野で公知の各種溶媒が挙げられる。具体的には、例えば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,3−ジオキソラン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、トリメトキシメタン、ジオキソラン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体などが挙げられる。これらは、単独でも用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、非水溶媒は、上記例示の中でも特に、γ−ブチロラクトンが好適である。γ−ブチロラクトンは、幅広い温度範囲で安定であって、溶質を溶解し易い。
非水電解質に用いられる溶質(支持塩)としては、リチウム一次電池の分野で公知の各種溶質が挙げられる。具体的には、例えば、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiN(CF3SO22)、リチウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド(LiN(C25SO22)、リチウム(トリフルオロメチルスルホニル)(ノナフルオロブチルスルホニル)イミド(LiN(CF3SO2)(C49SO2))、リチウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド(LiC(CF3SO23)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非水電解質の溶質濃度は、特に制限されないが、0.5〜1.5mol/Lが好ましい。溶質濃度が上記範囲を下回ると、室温における放電特性や、長期保存特性などが低下するおそれがある。逆に、溶質濃度が上記範囲を上回ると、−40℃程度の低温環境下での非水電解質の粘度上昇、イオン伝導度の低下などが顕著になるおそれがある。
非水溶媒がγ−ブチロラクトンを含む場合には、溶質がLiBF4を含むことが好ましい。γ−ブチロラクトンとLiBF4とを併用することで、リチウム一次電池の高温保存特性をさらに向上させることができる。
また、正極活物質が二酸化マンガンである場合には、二酸化マンガンの反応性が極めて高いことから、非水電解質中に、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトンなどのスルトン化合物を加えることが好ましい。スルトン化合物を加えることで、高温保存時に正極の反応性を低下させることができる。
ガスケット16は、主として、正極ケース14と負極ケース15との間を絶縁する。ガスケット16の構成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトンなどの合成樹脂が挙げられる。中でも、ポリフェニレンサルファイドは、耐高温性および耐溶剤性に優れ、成形性も良好であることから、特に好適である。
本発明のリチウム一次電池は、
(i)正極活物質を含む正極11を作製する正極作製工程と、
(ii)金属リチウムまたはリチウム合金を含む負極12のうち、正極11と対向するように配置される対向面に、フッ化炭素を含む被覆層前駆体を形成する被覆層前駆体形成工程と、
(iii)負極12の対向面が正極11と対向するように、かつ、正極11と負極12との間がセパレータ13で隔離されるように、正極11と、負極12と、セパレータ13とを重ね合わせて電極群を形成する電極群形成工程と、
(iv)上記負極を非水電解質と接触させる非水電解質接触工程と、を経ることによって製造される。
上記工程のうち、正極作製工程(i)と、非水電解質接触工程(iv)とは、リチウム一次電池の分野で公知の各種方法に基づいて行うことができる。
被覆層前駆体形成工程(ii)において、被覆層前駆体は、金属リチウムまたはリチウム合金を含む負極の表面に、フッ化炭素粉末の層(被覆層前駆体)を付着させることにより形成される。また、非水電解質接触工程(iv)、すなわち、金属リチウムまたはリチウム合金の表面に付着された被覆層前駆体を、非水電解質と接触させる工程は、負極を、正極およびセパレータと重ね合わせて電極群を形成する電極群形成工程(iii)の後で行ってもよく、あるいは、被覆層前駆体形成工程(ii)の後、電極群形成工程(iii)の前に行ってもよい。
被覆層前駆体形成工程(ii)によって負極12の上記対向面に形成された被覆層前駆体は、例えば、非水電解質接触工程において非水電解質と接触することにより、速やかにフッ素含有微粒子を表面に備える炭素粒子を生成する。すなわち、これにより、負極12の表面に被覆層17が形成される。
以上の説明は、コイン型のリチウム一次電池への適用例に基づいているが、本発明のリチウム一次電池はこれに限定されない。リチウム一次電池の形状は、その用途などに応じて、コイン型のほかに、例えば、円筒型、角型、シート型、扁平型、積層型などの各種形状から適宜選択することができる。
以下、実施例に基づいて、本発明を具体的に説明する。
<リチウム一次電池の製造>
実施例1
以下の手順に従って、図1に示すコイン型のリチウム一次電池10を製造した。
(1)非水電解質の調製
γ−ブチロラクトン(γ−BL)にテトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)を溶解させて、LiBF4の濃度が1mol/Lの非水電解質(以下、「LiBF4/γ−BL」と略記する)を得た。
(2)正極11の作製
石油コークスをフッ素化することによって、フッ化炭素を得た。このフッ化炭素におけるフッ素原子の含有割合は、炭素原子1に対し、1.0であった。また、このフッ化炭素の粒径は、体積平均粒径で10μmであった。
上記フッ化炭素と、アセチレンブラックと、スチレン−ブタジエンゴムとを、100:15:6の重量比で混合した。そして、得られた混合物に、水と、イソプロピルアルコールとを加え、十分に混練することにより、正極合剤を得た。次に、この正極合剤を70℃に加熱して乾燥させ、金型内に充填した。そして、油圧プレス機で加圧成形することにより、直径16mm、厚み3mmのペレットを作製した。さらに、このペレットを100℃で12時間乾燥することにより、正極11を得た。
(3)負極12の作製
厚み1.3mmのリチウム金属板を、超音波振動接合装置のアンビル上に設置した。そして、このリチウム金属板の表面に、正極11の作製に使用したものと同じフッ化炭素の粉末(体積平均粒径10μm)を、リチウム金属板の表面1cm2あたり0.7mgの割合で乗せて、フッ化炭素の粉体からなる層を形成した。次に、フッ化炭素の粉体からなる層に超音波振動接合装置のホーンを接触させて、リチウム金属板とフッ化炭素の粉体からなる層とを加圧しながら、超音波振動を加えた。こうして、リチウム金属板の表面に、被覆層前駆体を形成した。さらに、被覆層前駆体を備えたリチウム金属板を直径18.0mmの円形に打ち抜いて、これを負極12とした。
さらに、上記負極12の被覆層前駆体と反対側の表面を、ステンレス鋼製の負極ケース15の内底面に接触させて、両者を圧着した。なお、負極12の作製と、負極12と負極ケース15との圧着は、露点が−50℃以下のドライエア中で行った。
(4)リチウム一次電池10の組立て
ステンレス鋼製の正極ケース14の内底面に、正極11を配置し、さらに、この正極11の表面に、セパレータ13を配置した。セパレータ13には、ポリブチレンテレフタレート製の不織布を用いた。その後、正極ケース14内の正極11およびセパレータ13に対して、上記非水電解質(LiBF4/γ−BL)を接触させた。
次に、負極12が圧着された負極ケース15を、正極が配置された正極ケース14に装着した。これにより、負極12の被覆層前駆体と、正極11とは、セパレータ13を介して対向するように配置された。そして、負極ケース15の周縁部にガスケット16を取り付け、正極ケース14でかしめつけた。こうして、図1に示すコイン型のリチウム一次電池10を組み立てた。
リチウム一次電池の組立ては、露点−50℃以下のドライエア中で行った。こうして得られたリチウム一次電池10は、外径が24.5mm、厚みが5.0mmであった。
比較例1
負極として、リチウム金属板を直径18.0mmの円形に打ち抜いたもの(実施例1の負極12における被覆層前駆体を備えていないもの)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、リチウム一次電池を得た。
比較例2
超音波振動接合装置のアンビル上に設置されたリチウム金属板の表面に、フッ化炭素の粉体に代えて、人造黒鉛の粉体(平均粒径3μm、比表面積12.8m2/g)を、リチウム金属板の表面1cm2あたり0.7mgの割合で乗せたこと以外は、実施例1と同様にして、負極を作製した。そして、得られた負極を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、リチウム一次電池を得た。
実施例2
(1)非水電解質の調製
プロピレンカーボネート(PC)と、ジメトキシエタン(DME)とを、体積比1:1で混合した。得られた混合溶媒(PC−DME溶媒)に、過塩素酸リチウム(LiClO4)を溶解させて、LiClO4の濃度を0.5mol/Lに調整した。さらに、得られた混合液に、1,3−プロパンスルトンを溶解させて、非水電解質(以下、「LiClO4/PC−DME」と略記する)を得た。1,3−プロパンスルトンの添加量は、PC−DME溶媒とLiClO4との混合液の合計量100重量部に対し、2重量部とした。
(2)正極11の作製
二酸化マンガン(MnO2)と、ケッチェンブラックと、フッ素樹脂(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、商品名「ネオフロン(商標)FEP」、ダイキン工業株式会社製)とを、100:3:6の重量比で混合した。そして、得られた混合物に、水と、イソプロピルアルコールとを加え、十分に混練することにより、正極合剤を得た。こうして得られた正極合剤を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、正極11を作製した。
(3)負極12の作製
負極12を、実施例1と同様にして作製した。
(4)リチウム一次電池10の組立て
非水電解質として、LiBF4/γ−BLに代えて、LiClO4/PC−DMEを使用した。また、正極11として、フッ化炭素を用いて形成された実施例1の正極に代えて、MnO2を用いて形成された正極を使用した。そして、この非水電解質と、正極11と、実施例1と同じ負極12とを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、リチウム一次電池10を組み立てた。
比較例3
負極として、リチウム金属板を直径18.0mmの円形に打ち抜いたもの(実施例2の負極12における被覆層前駆体を備えていないもの)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、リチウム一次電池を得た。
比較例4
リチウム金属板の表面に、人造黒鉛(平均粒径3μm、比表面積12.8m2/g)をフッ化炭素と同様に、配置、加圧したことにより、黒鉛層を配置したこと以外は、実施例2と同様にして、比較電池4を得た。
<リチウム一次電池の物性評価>
実施例1〜2および比較例1〜4のリチウム一次電池について、以下の試験を行い、物性を評価した。
(1)初期静特性の評価
組立て直後のリチウム一次電池を、4mAの定電流で30分間予備放電させた。予備放電後、60℃の環境下で1日間エージングすることにより、開回路電圧(OCV)を安定させた。その後、室温下でリチウム一次電池のOCV(V)を測定した。また、室温下でリチウム一次電池に1kHzの交流電圧を印加し、その時の内部抵抗(Ω)を測定した(以下、この測定条件による内部抵抗を「1kHzでの内部抵抗」という)。これら初期静特性の測定には、各実施例および比較例で10個のサンプルを用いた。
(2)高温保存後の静特性の評価
組立て直後のリチウム一次電池を、4mAの定電流で30分間予備放電させた後、60℃の環境下で1日間エージングした。次いで、125℃の環境下において、実施例1および比較例1〜2のリチウム一次電池(正極活物質:フッ化炭素)については3日間保存し、実施例2および比較例3〜4のリチウム一次電池(正極活物質:二酸化マンガン)については1日間保存した。その後、室温で3時間放置してから、OCV(V)と、1kHzでの内部抵抗(Ω)とを測定した。これら高温保存後の静特性の測定には、各実施例および比較例で3個のサンプルを用いた。
Figure 2010257828
表1中の標題および略号は、下記のとおりである。
「正極」欄の記載は、正極活物質の種類を示し、「CF」はフッ化炭素を、「MnO2」は二酸化マンガンを示す。
「被覆層」欄の記載は、負極の対向面に形成された被覆層の種類を示し、「C−LiF」は「フッ素含有微粒子を表面に備える炭素粒子の層」を示す。「なし」は、負極の対向面に被覆層が形成されていないことを示す。
表1に示したように、負極12の表面に、フッ素含有微粒子を表面に備える炭素粒子を含む被覆層17が形成されている実施例1および2では、負極表面に被覆層を備えていない比較例1および3や、負極表面に黒鉛からなる被覆層を備える比較例2および4に比べて、初期の内部抵抗が低く、初期の放電特性が向上していた。さらに、高温保存後における内部抵抗の上昇が抑制されており、高温保存後の放電特性も良好であった。
一方、負極表面に被覆層を備えていない比較例1および3では、負極の表面でリチウムが露出していたため、非水電解質が表面で分解して、その分解生成物が堆積した。これにより、高温保存後において内部抵抗が上昇した。さらに、比較例1では、正極活物質がフッ化炭素であるため、正極由来のフッ素と負極のリチウムとが反応し、リチウム表面にフッ化リチウムが生成した。このようにして生成されるフッ化リチウムは、被覆層におけるフッ化リチウムとは異なり、負極表面でフッ化リチウムを主とした緻密な膜を形成することから、特に高温保存後において、内部抵抗の上昇が顕著であった。
負極表面に黒鉛からなる被覆層を備える比較例2および4では、黒鉛由来の被覆層によって、負極表面におけるリチウムと非水電解質との反応を抑制することができた。また、黒鉛によって導電性が向上するため、比較例1および3と比べて、内部抵抗の上昇は抑制されていた。しかしながら、黒鉛由来の被覆層の表面において、吸蔵したリチウムの一部と正極由来のフッ素が反応することを十分に抑制できず、かかる被覆層の表面で緻密な膜状のフッ化リチウムが生成した。このため、特に高温保存後において、内部抵抗が上昇した。
なお、初期静特性の評価時においては、実施例1〜2および比較例1〜4のいずれの電池にも、異常は認められなかった。
実施例1〜2および比較例1〜4のリチウム一次電池について、いずれも、その作製直後に、4mAの定電流で30分間の予備放電を行い、さらに、60℃で1日間エージングした。実施例2および比較例3については、その後、電池を分解し、負極の表面をEPMAにより元素分布分析(波長分散法)した。この分析の結果、実施例2のリチウム一次電池において、炭素原子(C)とフッ素原子(F)との分布を確認した。また、これらの分布状況から、被覆層17は、フッ素含有微粒子を表面に備える炭素粒子であることが確認された。比較例3では被覆層に炭素原子を確認することができたが、フッ素原子はほとんど確認できなかった。
上記実施例では、負極としてリチウム金属を用いたが、負極がリチウム合金である場合においても、上記実施例と同様の効果を得ることができる。
本発明のリチウム一次電池は、例えば、携帯機器、情報機器などの電子機器の電源として、とりわけ、高温環境下での使用が想定される車載用電子機器の主電源やメモリーバックアップ用電源として、好適である。
10 電池、 11 正極、 12 負極、 13 セパレータ、 14 正極ケース、 15 負極ケース、 16 ガスケット、 17 被覆層、 18 炭素粒子、 19 フッ素含有微粒子。

Claims (6)

  1. 金属リチウムまたはリチウム合金を含む負極と、正極活物質を含む正極と、前記負極と前記正極との間を隔離するセパレータと、非水電解質と、を備え、
    前記負極が、前記正極と対向する対向面に被覆層を有しており、
    前記被覆層が、フッ素含有微粒子を表面に備える炭素粒子を含んでいる、リチウム一次電池。
  2. 前記炭素粒子は、前記フッ素含有微粒子に覆われている領域と、前記炭素粒子自体の表面が現れている領域と、を表面に有している、請求項1に記載のリチウム一次電池。
  3. 前記フッ素含有微粒子がフッ化リチウムを含んでいる、請求項1または2に記載のリチウム一次電池。
  4. 前記正極活物質がフッ化炭素および二酸化マンガンの少なくともいずれかである、請求項1〜3のいずれかに記載のリチウム一次電池。
  5. 正極活物質を含む正極を作製する正極作製工程と、
    金属リチウムまたはリチウム合金を含む負極のうち前記正極と対向するように配置される対向面に、フッ化炭素を含む被覆層前駆体を形成する被覆層前駆体形成工程と、
    前記負極の前記対向面が前記正極と対向するように、かつ、前記正極と前記負極との間がセパレータで隔離されるように、前記正極と、前記負極と、前記セパレータとを重ね合わせて電極群を形成する電極群形成工程と、
    前記負極を非水電解質と接触させる非水電解質接触工程と、を含む、リチウム一次電池の製造方法。
  6. 前記正極活物質がフッ化炭素または二酸化マンガンの少なくともいずれかである、請求項5に記載のリチウム一次電池の製造方法。
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