JP2002198089A - 非水電解質電池及びその製造方法 - Google Patents

非水電解質電池及びその製造方法

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JP2002198089A
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aqueous electrolyte
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    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Abstract

(57)【要約】 【課題】 初充電後の保存時における放電容量の劣化現
象の進行を抑制する。 【解決手段】 軽金属をイオン状態で吸蔵及び離脱する
ことが可能な負極活物質を含有する負極と、正極活物質
を含有する正極と、電解質と、微多孔性膜からなるセパ
レータとを備えた非水電解質電池において、上記電解質
は、電解酸化によりS−S結合を形成し、S−S結合の
還元的な切断により可逆的に再生され得るような分子構
造を有する有機硫黄化合物を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、負極活物質を含有
する負極と、正極活物質を含有する正極と、電解質と、
セパレータとを備える非水電解質電池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話、PDA、カムコーダ
ー、ノート型PC等の携帯型電子機器が市場に広く普及
し、その駆動時間の長時間化が強く望まれている。携帯
型電子機器の多くは、充電により繰り返し利用が可能な
二次電池を駆動電源として利用していることから、二次
電池の高容量化、高エネルギー密度化開発は、携帯型電
子機器の高性能化を実現する重要なキーテクノロジーと
して認識されるようになった。
【0003】高エネルギー密度を特徴とする二次電池と
して、リチウムイオンを電極反応種として利用した非水
電解質電池が注目されている。同二次電池は、単セルで
最大4.2Vという作動電圧を示し、市販されている電
池としては最も高いエネルギー密度を有する。既存のニ
ッケル水素電池やニッケル−カドミウム電池等の水系二
次電池の作動電圧と比較しても、リチウムイオン二次電
池の作動電圧は、それらの約3倍に相当する。この比較
より明らかなように、作動電圧の高電圧化を図る技術
は、電池の高エネルギー密度化を実現する上で重要な技
術である。
【0004】通常、作動電圧は、正極材料と負極材料と
の組合せにより設計される。したがって、高い作動電圧
を有する電池を設計するためには、酸化還元電位がより
貴な電位にある正極材料と同電位がより卑な電位にある
負極材料を組み合わせることが重要となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高エネ
ルギー密度型二次電池を開発する上では、高作動電圧を
提供する電極の組合せの最適化だけでは不十分であり、
高作動電圧状態下における電極反応の可逆性を実現する
ような工夫も重要な技術となる。
【0006】一般的に正負極間の電圧差が大きい程、す
なわち作動電圧が高い状態では、電極間に介在する電解
質材料の酸化還元反応(分解反応)が進行しやすくな
る。多くの場合、このような酸化還元反応反応により発
生する分解生成物は、電極表面へ付着または堆積するこ
とから、結果的に正負極の電極反応の可逆性を著しく損
ねる原因となる。
【0007】これまで提案されてきた非水電解質材料の
電位窓は、4.0Vから4.5Vの範囲に集中してお
り、これを実質的に超えるような電位窓を有し且つ優れ
たイオン伝導特性を有する電解質材料は見出されていな
い。そのため、作動電圧が最大4.2Vに達するような
リチウムイオン二次電池では、正負極間の電圧差が最大
となる満充電状態において、非水電解質材料の分解反応
が進行しやすくなり、正負極の電極特性が劣化するとい
う課題が明らかになってきた。
【0008】発明者は、同満充電状態における放電容量
の劣化現象について詳細な検討を加えた結果、リチウム
イオン二次電池のような高作動電圧型二次電池では、初
充電直後の満充電状態で長期保存した場合に、特に大き
な容量劣化現象が発現することを突き止めた。例えば、
リチウムイオン二次電池の場合では、4週間保存した電
池の放電容量は、保存しなかった電池の放電容量よりも
数%から10%程度の程度で劣化していることを確認し
た。
【0009】本発明は、このような従来の実情に鑑みて
提案されたものであり、特に初充電後の保存時における
放電容量の劣化現象の進行を抑制するような非水電解質
電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の非水電解質電池
は、軽金属をイオン状態で吸蔵及び離脱することが可能
な負極活物質を含有する負極と、正極活物質を含有する
正極と、電解質と、微多孔性膜からなるセパレータとを
備えた非水電解質電池において、上記電解質は、電解酸
化によりS−S結合を形成し、S−S結合の還元的な切
断により可逆的に再生され得るような分子構造を有する
有機硫黄化合物を含有することを特徴とする。
【0011】上述したような本発明に係る非水電解質電
池では、上記電解質中に有機硫黄化合物を含有している
ので、電極表面への保護被膜形成が可能となる。これに
より要電容量の劣化が抑えられる。
【0012】また、本発明に係る非水電解質電池の製造
方法は、軽金属をイオン状態で吸蔵及び離脱することが
可能な負極活物質を含有する負極と、正極活物質を含有
する正極と、電解質と、微多孔性膜からなるセパレータ
とを備えた非水電解質電池の製造方法であって、上記電
解質に、電解酸化によりS−S結合を形成し、S−S結
合の還元的な切断により可逆的に再生され得るような分
子構造を有する有機硫黄化合物を添加することを特徴と
する。
【0013】上述したような本発明に係る非水電解質電
池の製造方法では、上記電解質中に有機硫黄化合物を含
有しているので、電極表面への保護被膜形成が可能とな
る。これにより要電容量の劣化が抑えられた非水電解質
電池が得られる。
【0014】 〔発明の詳細な説明〕
【発明の属する技術分野】本発明は、負極活物質を含有
する負極と、正極活物質を含有する正極と、電解質と、
セパレータとを備える非水電解質電池に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る非水電解質電
池の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら
詳細に説明する。
【0016】本発明を適用した非水電解質電池では、充
電の過程において、開回路電圧(電池電圧)が過充電電
圧よりも低い時点で負極に軽金属が析出し始めるように
なっている。すなわち、この非水電解質電池では、開回
路電圧が過充電電圧よりも低い状態において負極に軽金
属が析出しており、負極の容量は、軽金属をイオン状態
で吸蔵及び離脱する際に得られる容量成分と、軽金属が
析出及び溶解する際に得られる容量成分との和で表され
る。すなわち、この非水電解質電池では、充電の過程に
おいて、開回路電圧(電池電圧)が過充電電圧よりも低
い時点で負極に軽金属が析出し始めるようになってい
る。なお、詳細については後述する。
【0017】以下に、軽金属としてリチウムを用いた非
水電解質電池の一構成例を、図1に示す。本発明を適用
した非水電解質二次電池1は、略中空円筒状の電池缶2
の内部に、帯状の正極3と帯状の負極4とがセパレータ
5を介して巻回された巻回電極体を有している。電池缶
2は、例えば、ニッケルがめっきされた鉄により構成さ
れており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。
電池缶2の内部には、巻回電極体を挟むように巻回電極
体の周面に対して垂直に一対の絶縁板6,7がそれぞれ
配置されている。
【0018】電池缶2の開放端部には、電池蓋8と、こ
の電池蓋8の内側に設けられた安全弁機構9及び熱感抵
抗素子(Positive Temperature Coefficient;以下、P
TC素子と称する。)10とが、ガスケット11を介し
てかしめられることにより取り付けられており、電池缶
2の内部は密閉されている。電池蓋8は、例えば、電池
缶2と同様の材料により構成されている。安全弁機構9
は、PTC素子10を介して電池蓋8と電気的に接続さ
れており、内部短絡あるいは外部からの加熱等により電
池の内圧が一定以上となった場合にディスク板が反転し
て電池蓋8と巻回電極体との電気的接続を切断するよう
になっている。PTC素子10は、温度が上昇すると抵
抗値の増大により電流を制限し、大電流による異常な発
熱を防止する、いわゆる温度ヒューズ機能を備えてい
る。ガスケット11は、例えば、絶縁材料により構成さ
れており、表面にはアスファルトが塗布されている。
【0019】巻回電極体は、例えばセンターピン12を
中心にして巻回されている。巻回電極体の正極3にはア
ルミニウム等よりなる正極リード13が接続されてお
り、負極4にはニッケル等よりなる負極リード14が接
続されている。正極リード13は安全弁機構9に溶接さ
れることにより電池蓋8と電気的に接続されており、負
極リード14は電池缶2に溶接され電気的に接続されて
いる。また、正極3と負極4との間のセパレータ5に
は、電解液が含浸されている。
【0020】正極3は、例えば、正極合剤層3aと、正
極集電体3bとを有している。正極集電体3bは、例え
ばアルミニウム(Al)箔等の金属箔により構成されて
いる。正極合剤層3aは、例えば、正極活物質と、グラ
ファイト等の導電剤と、ポリフッ化ビニリデン等の結着
剤とを含有して構成されている。
【0021】正極活物質としては、軽金属であるリチウ
ムを含有する化合物、例えばリチウム酸化物,リチウム
硫化物あるいはリチウムを含む層間化合物が適当であ
り、これらの2種以上を混合して用いてもよい。特に、
エネルギー密度を高くするには、正極活物質としてLi
MOを主体とするリチウム複合酸化物を含んでいる
ことが好ましい。なお、Mは1種類以上の遷移金属が好
ましく、具体的には、コバルト(Co),ニッケル(N
i),マンガン(Mn),鉄(Fe),アルミニウム
(Al),バナジウム(V)及びチタン(Ti)のうち
の少なくとも1種が好ましい。また、xは、電池の充放
電状態によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10
の範囲内の値である。このようなリチウム複合酸化物の
具体例としては、LiCoO、LiNiO、L
NiCo1−y(但し、これらの式中x
1、0<y<1である)等が挙げられる。また、リチウ
ム複合酸化物としてスピネル構造を有するLiMn
、オリビン構造を有するLi FePOを用いる
ことも可能である。
【0022】なお、このようなリチウム複合酸化物は、
例えば、リチウムの炭酸塩,硝酸塩,酸化物あるいは水
酸化物と、遷移金属の炭酸塩,硝酸塩,酸化物あるいは
水酸化物とを所望の組成になるように混合し、粉砕した
後、酸素雰囲気中において600〜1000℃の範囲内
の温度で焼成することにより調製される。
【0023】正極合剤層3aは、また、充放電容量を大
きくするという見地からいうと、定常状態(例えば5回
程度充放電を繰り返した後)において、負極活物質1g
あたり280mAh以上の充放電容量相当分のリチウム
を含んでいることが好ましい。また、350mAh以上
の充放電容量相当分のリチウムを含んでいればより好ま
しい。但し、このリチウムは必ずしも正極合剤層3a、
すなわち正極3から全て供給される必要はなく、電池内
全体において存在するようにしてもよい。例えば、負極
4にリチウム金属等を貼り合わせることで電池内のリチ
ウムを補充することも可能である。なお、電池内のリチ
ウム量は、電池の放電容量を測定することにより定量さ
れる。
【0024】正極合剤層3aは、更に、例えば、炭酸リ
チウム(LiCO)等の炭酸金属塩を含有していて
もよい。このように炭酸金属塩を含むようにすれば、サ
イクル特性を更に向上させることができ好ましい。これ
は、正極3において炭酸金属塩が一部分解し、負極4に
安定な被膜を形成するためであると考えられる。
【0025】負極4は、例えば、負極合剤層4aと、負
極集電体4bとを有している。負極合剤層4aは、例え
ば、負極活物質として、軽金属をイオン状態で吸蔵及び
離脱することが可能な負極材料を含んで構成されてい
る。
【0026】ここで、具体的な軽金属としては、リチウ
ム(Li),ナトリウム(Na),カリウム(K),マ
グネシウム(Mg),カルシウム(Ca),及びそれら
を含む合金が挙げられる。中でも、既存のリチウムイオ
ン二次電池との互換性を確保する観点から、軽金属とし
てリチウム又はリチウムを含む合金を用いることが好ま
しい。
【0027】また、リチウムと合金を形成可能な元素と
しては、アルミニウム(Al),亜鉛(Zn),鉛(P
b),スズ(Sn),ビスマス(Bi),カドミウム
(Cd)等が挙げられる。
【0028】なお、軽金属をイオン状態で吸蔵というの
は、例えば黒鉛に対する軽金属イオンの電気化学的なイ
ンタカレーション反応に代表されるように、軽金属がイ
オン状態で存在するものをいい、軽金属の金属状態によ
る析出とは異なる概念である。以下の説明では、説明を
簡素化するために、軽金属であるリチウムをイオン状態
で吸蔵及び離脱することを、単に軽金属を吸蔵及び離脱
と表現する場合もある。このような負極材料としては、
例えば、炭素材料,金属化合物,ケイ素,ケイ素化合
物,LiN等のリチウム窒化物,あるいは高分子材料
が挙げられ、これらのうちのいずれか1種又は2種以上
が混合して用いられている。
【0029】炭素材料としては、難黒鉛化性炭素,易黒
鉛化性炭素,黒鉛,熱分解炭素類,コークス類,ガラス
状炭素類,有機高分子化合物焼成体,炭素繊維あるいは
活性炭等が挙げられる。このうち、コークス類には、ピ
ッチコークス,ニードルコークスあるいは石油コークス
等がある。有機高分子化合物焼成体というのは、フェノ
ール樹脂やフラン樹脂等の高分子材料を適当な温度で焼
成して炭素化したものをいい、一部には難黒鉛化性炭素
又は易黒鉛化性炭素に分類されるものもある。また、金
属化合物としては、SnSiOあるいはSnO等の
酸化物等や、MgSi等のSi,Sn,Mg,Cu,
Pb,Cd等の元素を含む化合物が挙げられ、高分子材
料としてはポリアセチレンあるいはポリピロール等が挙
げられる。
【0030】このような負極材料としては、充放電電位
が比較的リチウム金属に近いものが好ましい。負極4の
充放電電位が低いほど電池の高エネルギー密度化が容易
となるからである。中でも炭素材料は、充放電時に生じ
る結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得
ることができると共に、良好なサイクル特性を得ること
ができるので好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大
きく、高いエネルギー密度を得ることができ好ましい。
また、難黒鉛化性炭素は、優れたサイクル特性を得るこ
とができるので好ましい。
【0031】黒鉛としては、例えば、真密度が2.10
g/cm以上のものが好ましく、2.18g/cm
以上のものであればより好ましい。なお、このような真
密度を得るには(002)面のC軸結晶子厚みが14.
0nm以上であることが必要である。また、(002)
面の面間隔が0.340nm未満であることが好まし
く、0.335nm以上0.337nm以下の範囲内で
あればより好ましい。
【0032】黒鉛は、天然黒鉛でも人造黒鉛でもよい。
人造黒鉛であれば、例えば、有機材料を炭化して高温熱
処理を行い、粉砕・分級することにより得られる。高温
熱処理は、例えば、必要に応じて窒素(N)等の不活
性ガス気流中において300℃〜700℃で炭化し、毎
分1℃〜100℃の速度で900℃〜1500℃まで昇
温してこの温度を0時間〜30時間程度保持し仮焼する
と共に、2000℃以上、好ましくは2500℃以上に
加熱し、この温度を適宜の時間保持することにより行
う。
【0033】出発原料となる有機材料としては、石炭あ
るいはピッチを用いることができる。ピッチには、例え
ば、コールタール,エチレンボトム油あるいは原油等を
高温で熱分解することにより得られるタール類、アスフ
ァルト等を蒸留(真空蒸留,常圧蒸留あるいはスチーム
蒸留),熱重縮合,抽出,化学重縮合することにより得
られるもの、木材還流時に生成されるもの、ポリ塩化ビ
ニル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラー
ト又は3,5−ジメチルフェノール樹脂がある。これら
の石炭あるいはピッチは、炭化の途中最高400℃程度
において液体として存在し、その温度で保持されること
で芳香環同士が縮合・多環化し、積層配向した状態とな
り、そののち約500℃以上で固体の炭素前駆体、すな
わちセミコークスとなる(液相炭素化過程)。
【0034】有機材料としては、また、ナフタレン,フ
ェナントレン,アントラセン,トリフェニレン,ピレ
ン,ペリレン,ペンタフェン,ペンタセン等の縮合多環
炭化水素化合物あるいはその誘導体(例えば、上述した
化合物のカルボン酸,カルボン酸無水物,カルボン酸イ
ミド)、又はそれらの混合物を用いることができる。更
に、アセナフチレン,インドール,イソインドール,キ
ノリン,イソキノリン,キノキサリン,フタラジン,カ
ルバゾール,アクリジン,フェナジン,フェナントリジ
ン等の縮合複素環化合物あるいはその誘導体、又はそれ
らの混合物を用いることもできる。
【0035】上述したような有機材料を出発原料として
人造黒鉛を生成するには、例えば、上記有機材料を窒素
等の不活性ガス気流中、300℃〜700℃の温度で炭
化した後、不活性ガス気流中、昇温速度毎分1℃〜10
00℃、到達温度900℃〜1500℃、到達温度での
保持時間0〜30時間程度の条件で仮焼し、さらに温度
2000℃以上、好ましくは2500℃以上で熱処理す
る。但し、場合によっては炭化や仮焼操作は省略しても
よい。そして、生成された黒鉛材料は分級あるいは粉砕
・分級して負極材料に供される。
【0036】なお、粉砕は、炭化,仮焼の前後、あるい
は黒鉛化前の昇温過程の間のいずれで行ってもよい。こ
れらの場合には、最終的に粉末状態で黒鉛化のための熱
処理が行われる。但し、嵩密度及び破壊強度の高い黒鉛
粉末を得るには、原料を成型したのち熱処理を行い、得
られた黒鉛化成型体を粉砕・分級することが好ましい。
【0037】例えば、黒鉛化成型体を作製する場合に
は、フィラーとなるコークスと、成型剤あるいは焼結剤
となるバインダーピッチとを混合して成型したのち、こ
の成型体を1000℃以下の低温で熱処理する焼成工程
と、焼成体に溶融させたバインダーピッチを含浸させる
ピッチ含浸工程とを数回繰り返してから、高温で熱処理
する。含浸させたバインダーピッチは、以上の熱処理過
程で炭化し、黒鉛化される。ちなみに、この場合には、
フィラー(コークス)とバインダーピッチとを原料にし
ているので多結晶体として黒鉛化し、また原料に含まれ
る硫黄や窒素が熱処理時にガスとなって発生することか
ら、その通り路に微小な空孔が形成される。よって、こ
の空孔により、リチウムの吸蔵及び離脱反応が進行し易
しくなると共に、工業的に処理効率が高いという利点も
ある。なお、成型体の原料としては、それ自身に成型
性、焼結性を有するフィラーを用いてもよい。この場合
には、バインダーピッチの使用は不要である。
【0038】また、難黒鉛化性炭素としては、(00
2)面の面間隔が0.37nm以上、真密度が1.70
g/cm未満であると共に、空気中での示差熱分析
(differential thermal analysis ;DTA)において
700℃以上に発熱ピークを示さないものが好ましい。
【0039】このような難黒鉛化性炭素は、例えば、有
機材料を1200℃程度で熱処理し、粉砕・分級するこ
とにより得られる。
【0040】出発原料となる有機材料としては、例え
ば、フルフリルアルコールあるいはフルフラールの重合
体,共重合体、又はこれらの高分子と他の樹脂との共重
合体であるフラン樹脂を用いることができる。また、フ
ェノール樹脂,アクリル樹脂,ハロゲン化ビニル樹脂,
ポリイミド樹脂,ポリアミドイミド樹脂,ポリアミド樹
脂,ポリアセチレンあるいはポリパラフェニレン等の共
役系樹脂、セルロースあるいはその誘導体、コーヒー豆
類、竹類、キトサンを含む甲殻類、バクテリアを利用し
たバイオセルロース類を用いることもできる。
【0041】熱処理は、例えば、必要に応じて300℃
〜700℃で炭化した(固相炭素化過程)のち、毎分1
℃〜100℃の速度で900℃〜1300℃まで昇温
し、この温度を0〜30時間程度保持することにより行
う。粉砕は、炭化の前後、あるいは昇温過程の間で行っ
てもよい。
【0042】更に、水素原子(H)と炭素原子(C)と
の原子数比H/Cが例えば0.6〜0.8である石油ピ
ッチに酸素(O)を含む官能基を導入(いわゆる酸素架
橋)させた化合物を用いることもできる。
【0043】石油ピッチは、例えば、コールタール,エ
チレンボトム油あるいは原油等を高温で熱分解すること
により得られるタール類、又はアスファルト等を、蒸留
(真空蒸留,常圧蒸留あるいはスチーム蒸留),熱重縮
合,抽出あるいは化学重縮合することにより得られる。
【0044】また、酸素架橋形成方法としては、例え
ば、硝酸、混酸、硫酸、次亜塩素酸等の水溶液と石油ピ
ッチとを反応させる湿式法、空気あるいは酸素等の酸化
性ガスと石油ピッチとを反応させる乾式法、又は硫黄,
硝酸アンモニウム,過硫酸アンモニア,塩化第二鉄等の
固体試薬と石油ピッチとを反応させる方法を用いること
ができる。
【0045】この化合物における酸素の含有率は3%以
上であることが好ましく、5%以上であればより好まし
い(特開平3−252053号公報参照)。酸素の含有
率は、最終的に得られる炭素材料の結晶構造に影響を与
え、これ以上の含有率において、難黒鉛化性炭素に上述
したような(002)面間隔が0.37nm以上、真密
度が1.70g/cm空気気流中での示差熱分析(D
TA)において700℃以上に発熱ピークを有さないと
いった物性パラメータを付与することができ、負極の容
量を向上させることができる。
【0046】なお、出発原料となる有機材料はこれらに
限定されず、他のあらゆる有機材料、すなわち酸素架橋
処理等により固相炭化過程を経て難黒鉛化炭素材料とな
り得るものであればよい。
【0047】難黒鉛化炭素材料としては、上述した有機
材料を出発原料として製造されるものの他、特開平3−
137010号公報に記載されているリン(P)と酸素
と炭素とを主成分とする化合物も、上述した物性パラメ
ータを示すので好ましい。
【0048】ちなみに、本実施の形態において、リチウ
ムを吸蔵及び離脱可能な負極材料には、リチウムが析出
及び溶解することにより負極活物質として機能するリチ
ウム金属及びリチウムアルミニウム合金等のリチウム合
金を含まない。但し、この二次電池では、負極合剤層4
aに負極活物質としてリチウム金属あるいはリチウム合
金を含んでいてもよく、また、図示しないが、負極合剤
層4aとは別に、リチウム金属あるいはリチウム合金よ
りなる金属層を負極4に有していてもよい。
【0049】負極合剤層4aは、また、例えば、ポリフ
ッ化ビニリデン等の結着剤を含んで構成されていてもよ
い。負極集電体4bは、例えば、銅(Cu)箔等の金属
箔により構成されている。
【0050】セパレータ5は、正極と負極とを隔離し、
両極の接触による電流の短絡を防止しつつ電解液中のリ
チウムイオンを通過させるものである。このセパレータ
5は、微少な孔を多数有する微多孔性膜からなる。ここ
で、微多孔性膜とは、孔の平均孔径が5μm以下のもの
を指すこととする。
【0051】セパレーター5の材料としては、従来の電
池に使用されてきたものを利用することが可能である。
そのなかでも、ショート防止効果に優れ、旦つシャット
ダウン効果による電池の安全性向上が可能なポリオレフ
ィン製微孔性フィルムを使用することが特に好ましい。
【0052】以下にシャットダウン機能を有するポリオ
レフィン製微多孔性膜の製法の一例を示す。
【0053】まず、溶融状態のポリオレフィン組成物を
含有する押出機の途中に、溶融状態で液状の低揮発性溶
媒(ポリオレフィン組成物に対して良溶媒)を供給し、
混練することにより、均一な濃度のポリオレフィン組成
物の高濃度溶液を調製する。
【0054】次に、上記低揮発性溶媒としては、例えば
ノナン、デカン、デカリン、p−キシレン、ウンデカ
ン、流動パラフィン等の低揮発性脂訪族または環式の炭
化水素等を使用することができる。
【0055】ポリオレフィン組成物と低揮発性溶媒との
配合割合は、両者の合計を100重量%として、ポリオ
レフィン組成物が10重量%以上、80重量%以下の範
囲であることが好ましい。ポリオレフィン組成物の割合
が10重量%未満では、ダイス出口で膨潤やネックイン
が大きくなり過ぎ、シート成形が困難となる。一方、ポ
リオレフィン組成物の割合が80重量%以上を越える
と、均一溶液の調製が困難となる。従って、ポリオレフ
ィン組成物の配合割合を10重量%以上、80重量%以
下の範囲とすることで、均一溶液の調製が容易にすると
ともに、ダイス出口での膨潤やネックインが少なくな
り、シート成形が容易になる。なお、ポリオレフィン組
成物のより好ましい配合割合は、15重量%以上、70
重量%以下の範囲である。
【0056】次に、このポリオレフィン組成物の加熱溶
液をダイスより押し出して成型するが、シートダイスの
場合のギャップは、通常0.1mm以上、5mm以下の
範囲とすることが望ましい。また、押出温度は140℃
以上、250℃以下の範囲であり、押出速度は2cm/
分以上、30cm/分以下の範囲にあることが望まし
い。
【0057】このようにしてダイスから押し出したポリ
オレフィン組成物溶液のシートを冷却して、ゲル状シー
トを得る。冷却は少なくともゲル化温度以下まで行う。
冷却方法としては、冷風、冷却水、その他の冷却媒体に
直接接触させる方法、冷媒で冷却したロールに接触させ
る方法等を用いることができる。なお、ダイスから押し
出したポリオレフィン組成物溶液は、冷却前あるいは冷
却中に、1以上、10以下、好ましくは1以上、5以下
の引取比で引き取ってもよい。引取比が10以上となる
とネックインが大きくなり、また延伸に破断を起こし易
くなり好ましくない。
【0058】そして、このゲル状シートを加熱し、通常
のテンター法、ロール法、圧延法若しくはこれらの方法
の組合せによって所定の培率で延伸する。二軸延伸が好
ましく、縦横同時延伸または逐次延伸のいずれでもよい
が、特に同時二次延伸が好ましい。
【0059】延伸温度は、ポリオレフィン組成物の融点
+10℃以下程度、好ましくは結晶分散温度から融点未
満の範囲である。延伸温度が上記+10℃を越える場合
は、樹脂の溶融により延伸による効果的な分子鎖配向が
できないため好ましくない。また延伸温度が結晶分散温
度未満では、樹脂の軟化が不十分で、延仲工程においで
破膜し易く、高倍率の延伸ができない。
【0060】次に、得られた延伸膜を揮発溶剤で洗浄
し、残留する低揮発性溶媒を除去する。洗浄溶剤として
は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素、塩化
メチレン、四塩化炭素などの塩素系炭化水素、3フッ化
エタン等のフッ化炭素、ジエチルエーテル、ジオキサン
などのエーテル類などの易揮発性のものを用いる。これ
らのものは、ポリオレフィン組成物の溶解に用いた低揮
発性溶媒に応じて適宜選択し、単独若しくは混合して用
いる。洗浄方法は、揮発性溶剤に浸潰し抽出する方法、
揮発溶剤をシャワーする方法、またはこれらの組合せに
よる方法などにより行うことができる。
【0061】上記の洗浄は、延伸フィルム中の残留低揮
発性溶媒が1重量部未満になるまで行う。その後洗浄溶
剤を乾燥するが、洗浄溶媒の乾燥方法は、加熱乾燥、風
乾等の方法で行うことができる。以上の工程を経ること
で、セパレータ5を得ることができる。
【0062】このようなセパレータ5は、100℃以
上、160℃以下の電池温度範囲でシャットダウン効果
を有することが好ましい。電池温度が100℃以上、1
60℃以下の範囲でシャットダウン効果を得るために
は、微孔性膜を構成する材料の融点が、その温度領城内
に存在することが必要である。また、セパレータは電極
間に設置されることから、電気化学的安定性にも富むこ
とが要求される。この条件を満足する材料としては、ポ
リオレフィン製高分子が伐表的であり、特にポリエチレ
ンを使用することが望ましい。その他、ポロブロピレン
なども使用することが可能である。この他にも、非水電
解質に対する化学的安定性を備えた樹脂であれば、上記
ポリエチレンやポリプロピレンと共重合化させたり、ま
たはブレンド化することや、ポリエチレンとポリプロピ
レンからなるセパレーターを複数枚積層して用いること
もできる。
【0063】また、セパレータ5の厚みは、5μm以
上、50μm以下の範囲であることが好ましい。また、
セパレータ全体積中における空隙体積の比率を表す空孔
率は、20%以上、60%以下の範囲であることが望ま
しい。以上の条件に合致するセパレータ5を採用するこ
とにより、製造歩留まり、出力特性、サイクル特性、安
全性に優れた非水電解質電池を得ることが可能となる。
【0064】電解液は、非水溶媒に電解質塩としてリチ
ウム塩を溶解させたものである。
【0065】ここで、本発明に係る非水電解質二次電池
では、硫黄化合物が所定の濃度範囲で電解液に添加され
ている。硫黄化合物を所定の濃度範囲で電解液に添加す
ることで、初充電後の保存時における容量劣化現象の進
行を効果的に抑制することができる。
【0066】ここで、電解液中に添加される硫黄化合物
による劣化改善機構について説明する。発明者は、充電
状態における放電容量の劣化現象が、電池内部インピー
ダンスの増加に起因していると推定し、同インピーダン
ス増加現象について様々な角度より解析を進めた結果、
それが電極表面における不動態被膜によるものであるこ
とを突き止めた。さらに、不動態被膜の成分を解析し、
それらは非水電解質材料の分解生成物であることが確認
されたことから、発明者は、充電中の保存による放電容
量の劣化現象が、非水電解質材料の分解反応によるもの
であると推察した。
【0067】以上の知見より、発明者は電極表面に保護
被膜を形成させることにより、満充電状態における非水
電解質材料の分解反応等の抑制方法を考案するに至っ
た。そして、発明者は、保護被膜の形成方法について鋭
意検討した結果、チオレート基を有するような硫黄化合
物等をある一定の濃度範囲で非水電解質材料に添加する
ことにより、電極表面における保護被膜の形成が可能と
なることを見出した。
【0068】本発明を完成させる過程において、種々の
化合物の添加を検討したが、多くの場合、添加が原因と
推定される電池諸特性の劣化が発生してしまい、目的の
効果を実現することが困難であった。
【0069】しかしながら、本発明で採用した硫黄系化
合物は、所定の濃度範囲で添加する限りにおいては、電
池諸特性の劣化原因とはならず、且つ満充電状態での保
存による放電容量の劣化現象を効果的に改善することが
確認された。
【0070】電解液中に添加される硫黄化合物として
は、特に電解酸化によりS−S結合を形成し、そしてS
−S結合の還元的な切断により可逆的に再生され得るよ
うな分子構造を有する有機硫黄化合物を用いることが好
ましい。具体的には、化学式(1)から化学式(6)に
代表されるような1分子中に1個以上のチオレート基を
有するジスルフィド化合物やポリカーボンジスルフィド
化合物を利用すると、比較的容易に本発明の効果を得る
ことができる。チオレート基の分子式は−SHまたは、
−SLiと記述される。
【0071】
【化13】
【0072】(式中、R及びRは、H、Li、−C
OOH等、任意の原子又は分子を表す。)
【0073】
【化14】
【0074】(式中、R及びRは、H、Li、−C
OOH等、任意の原子又は分子を表す。)
【0075】
【化15】
【0076】(式中、R,R及びRは、H、L
i、−COOH等、任意の原子又は分子を表す。)
【0077】
【化16】
【0078】
【化17】
【0079】
【化18】
【0080】このような硫黄化合物は、1種類を単独で
用いても十分な効果が得られるが、その他の材料と組み
合わせることにより相乗的改善効果が実現される場合に
は、混合して利用することができる。
【0081】また、これら硫黄化合物の電解液への添加
量は、硫黄化合物の分子構造、また電極や電解質材料の
種類にも影響されるが、本発明においては、概ねイオン
解離能を有する溶媒材料の全重量に対して、硫黄化合物
を0.05重量%以上、10重量%未満の濃度範囲で添
加した場合に十分な効果が得られるため好ましい。
【0082】硫黄化合物の添加量が、溶媒材料の全重量
に対して0.05重量%未満であると、充電時の正極と
負極の不可逆反応を抑える効果が十分に得られない。ま
た、硫黄化合物の添加量が、溶媒材料の全重量に対して
10重量%以上であると、容量劣化を抑える効果は十分
に得られるが、その一方で充放電サイクル特性が劣化し
てしまう。従って、硫黄化合物の電解液への添加量を、
溶媒材料の全重量に対して、硫黄化合物を0.05重量
%以上、10重量%未満の濃度範囲とすることで、充放
電サイクル特性を劣化させることなく、充電時に発生す
る正極と負極の不可逆反応を抑えて、容量劣化を防止す
ることができる。
【0083】そして、このような電解液を構成する非水
溶媒というのは、例えば、25℃における固有粘度が1
0.0mPa・s以下の非水化合物をいう。この非水溶
媒は、例えば、エチレンカーボネート(etylene carbon
ate ;EC)及びプロピレンカーボネート(propylene
carbonate ;PC)のうちの少なくとも1種を含んでい
ることが好ましい。これにより、サイクル特性を向上さ
せることができる。特に、エチレンカーボネートとプロ
ピレンカーボネートとを混合して用いるようにすれば、
よりサイクル特性を向上させることができるので好まし
い。
【0084】但し、負極4に黒鉛を用いる場合には、非
水溶媒におけるプロピレンカーボネートの濃度を30質
量%未満とすることが好ましい。プロピレンカーボネー
トは黒鉛に対して比較的高い反応性を有しているので、
プロピレンカーボネートの濃度が高すぎると特性が劣化
してしまう虞がある。非水溶媒にエチレンカーボネート
とプロピレンカーボネートとを含む場合には、非水溶媒
におけるプロピレンカーボネートに対するエチレンカー
ボネートの混合質量比(エチレンカーボネート/プロピ
レンカーボネート)、すなわちエチレンカーボネートの
含有率をプロピレンカーボネートの含有率で割った値を
0.5以上とすることが好ましい。
【0085】非水溶媒は、また、ジエチルカーボネー
ト,ジメチルカーボネート(dimethylcarbonate;DM
C),エチルメチルカーボネート(ethyl methyl carbo
nate;EMC)あるいはメチルプロピルカーボネート等
の鎖状炭酸エステルを少なくとも1種含んでいることが
好ましい。これにより、サイクル特性をより向上させる
ことができる。
【0086】非水溶媒は、更に、2,4−ジフルオロア
ニソール(difluoro anisole;DFA)及びビニレンカ
ーボネート(vinylene carbonate;VC)のうちの少な
くとも1種を含んでいることが好ましい。2,4−ジフ
ルオロアニソールは放電容量を改善することができ、ビ
ニレンカーボネートはサイクル特性をより向上させるこ
とができる。特に、これらを混合して用いれば、放電容
量及びサイクル特性を共に向上させることができるので
より好ましい。
【0087】非水溶媒における2,4−ジフルオロアニ
ソールの濃度は、例えば、15質量%以下とすることが
好ましい。濃度が高すぎると放電容量の改善が不充分と
なる虞がある。非水溶媒におけるビニレンカーボネート
の濃度は、例えば、15質量%以下とすることが好まし
い。濃度が高すぎるとサイクル特性の向上が不充分とな
る虞がある。
【0088】更に、非水溶媒は、ブチレンカーボネー
ト、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、これら
化合物の水素基の一部又は全部をフッ素基で置換したも
の、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、
2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラ
ン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、
プロピオン酸メチル、アセトニトリル、グルタロニトリ
ル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メ
トキシプロピロニトリル、N,N−ジメチルフォルムア
ミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリ
ジノン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメ
タン、ニトロエタン、スルホラン、ジメチルスルフォキ
シドあるいはリン酸トリメチル等のいずれか1種又は2
種以上を含んでいてもよい。
【0089】リチウム塩としては、例えば、LiP
、LiBF、LiAsF、LiClO、Li
B(C、LiCHSO、LiCFSO
、LiN(SOCF、LiC(SO
、LiAlCl、LiSiF、LiClあ
るいはLiBrが適当であり、これらのうちのいずれか
1種又は2種以上が混合して用いられている。中でも、
LiPFは高いイオン伝導性を得ることができると共
に、サイクル特性を更に向上させることができるので好
ましい。なお、リチウム塩の非水溶媒に対する濃度は特
に限定されないが、0.1mol/dm以上、5.0
mol/dm以下の範囲内であることが好ましく、よ
り好ましくは0.5mol/dm以上、3.0mol
/dm以下の範囲内である。このような濃度範囲にお
いて電解液のイオン伝導度を高くすることができる。
【0090】このような構成を有する非水電解質二次電
池1は次のように作用する。
【0091】この非水電解質二次電池1では、充電を行
うと、正極合剤層3aに含まれる正極活物質からリチウ
ムイオンが離脱し、電解液を介してセパレータ5を通過
して、まず、負極合剤層4aに含まれるリチウムを吸蔵
及び離脱可能な負極材料に吸蔵される。更に充電を続け
ると、開回路電圧が過充電電圧よりも低い状態におい
て、充電容量がリチウムを吸蔵及び離脱可能な負極材料
の充電容量能力を超え、リチウムを吸蔵及び離脱可能な
負極材料の表面にリチウム金属が析出し始める。具体的
には、電極材料にもよるが、開回路電圧として0V以上
4.2V以下の範囲内のいずれかの時点で、リチウムを
吸蔵及び離脱可能な負極材料の表面にリチウム金属が析
出し始める。そののち、開回路電圧として例えば4.2
Vとなる時点、すなわち充電を終了するまで、負極4に
はリチウム金属が析出し続ける。これにより、負極合剤
層4aの外観は、例えばリチウムを吸蔵及び離脱可能な
負極材料として炭素材料を用いる場合等、黒色から黄金
色、更に銀色へと変化する。
【0092】次いで、放電を行うと、まず、負極4に析
出したリチウム金属がイオンとなって溶解し、電解液を
介してセパレータ5を通過して、正極合剤層3aに含ま
れる正極活物質に吸蔵される。更に放電を続けると、負
極合剤層4a中のリチウムを吸蔵及び離脱可能な負極材
料に吸蔵されたイオン状のリチウムが離脱し、正極活物
質に吸蔵される。
【0093】ここにおいて過充電電圧というのは、電池
が過充電状態になった時の開回路電圧を指し、例えば、
日本蓄電池工業会(電池工業会)の定めた指針の1つで
ある「リチウム二次電池安全性評価基準ガイドライン」
(SBA G1101)の6ページに記載され定義され
る、「完全充電」された電池の開回路電圧よりも高い電
圧を指す。また換言すれば、各電池の公称容量を求める
際に用いた充電方法、標準充電方法、もしくは推奨充電
方法を用いて充電した後の開回路電圧よりも高い電圧を
指す。具体的には、この非水電解質二次電池1では、例
えば開回路電圧が4.2Vの時に完全充電となり、開回
路電圧が0V以上4.2V以下の範囲内の一部において
リチウムを吸蔵及び離脱可能な負極材料の表面にリチウ
ム金属が析出している。
【0094】よって、完全充電状態において負極4(具
体的にはリチウムを吸蔵及び離脱可能な負極材料)を例
えばLi多核種核磁気共鳴分光法により測定すると、リ
チウムイオンに帰属されるピークと、リチウム金属に帰
属されるピークとが得られる。これに対して、完全放電
状態においては、リチウムイオンに帰属されるピークは
得られるが、リチウム金属に帰属されるピークは消失し
ている。なお、完全放電というのは、負極4から正極3
への電極反応種(本実施の形態ではリチウムイオン)の
供給がなくなった場合に相当する。例えば、本実施の形
態における非水電解質二次電池1又はリチウムイオン二
次電池の場合には、閉回路電圧が2.75Vに達した時
点で「完全放電された」と見なすことができる。
【0095】これにより、この非水電解質二次電池1で
は、高いエネルギー密度を得ることができると共に、充
放電サイクル特性及び急速充電特性を向上させることが
できるようになっている。これは、負極4にリチウム金
属を析出させるという点では負極にリチウム金属あるい
はリチウム合金を用いた従来のリチウム二次電池と同様
であるが、リチウムを吸蔵及び離脱可能な負極材料にリ
チウム金属を析出させるようにしたことにより、次のよ
うな利点が生じるためであると考えられる。
【0096】第1に、従来のリチウム二次電池ではリチ
ウム金属を均一に析出させることが難しく、それがサイ
クル特性を劣化させる原因となっていたが、リチウムを
吸蔵及び離脱可能な負極材料は一般的に表面積が大きい
ので、この非水電解質二次電池1ではリチウム金属を均
一に析出させることができることである。第2に、従来
のリチウム二次電池ではリチウム金属の析出及び溶解に
伴う体積変化が大きく、それも充放電サイクル特性を劣
化させる原因となっていたが、この非水電解質二次電池
1ではリチウムを吸蔵及び離脱可能な負極材料の粒子間
の隙間にもリチウム金属が析出するので体積変化が少な
いことである。第3に、従来のリチウム二次電池ではリ
チウム金属の析出量及び溶解量が多ければ多いほど上記
の問題も大きくなるが、この非水電解質二次電池1では
リチウムを吸蔵及び離脱可能な負極材料によるリチウム
の吸蔵及び離脱も充放電容量に寄与するので、電池容量
が大きいわりにはリチウム金属の析出量及び溶解量が小
さいことである。第4に、従来のリチウム二次電池では
急速充電を行うとリチウム金属がより不均一に析出して
しまうので充放電サイクル特性が更に劣化してしまう
が、この非水電解質二次電池1では充電初期においては
リチウムを吸蔵及び離脱可能な負極材料にリチウムが吸
蔵されるので急速充電が可能となることである。
【0097】これらの利点をより効果的に得るために
は、例えば、開回路電圧が過充電電圧になる前の最大電
圧時において負極4に析出するリチウムの最大析出容量
は、リチウムを吸蔵及び離脱可能な負極材料の充電容量
能力の0.05倍以上、3.0倍以下であることが好ま
しい。リチウムの析出量が多すぎると従来のリチウム二
次電池と同様の問題が生じてしまい、少なすぎると充放
電容量を充分に大きくすることができない虞がある。ま
た、例えば、リチウムを吸蔵及び離脱可能な負極材料の
放電容量能力は、150mAh/g以上であることが好
ましい。リチウムの吸蔵及び離脱能力が大きいほどリチ
ウムの析出量は相対的に少なくなる。なお、負極材料の
充電容量能力は、例えば、リチウム金属を対極として、
この負極材料を負極活物質とした負極について0Vまで
定電流・定電圧法で充電した時の電気量から求められ
る。負極材料の放電容量能力は、例えば、これに引き続
き、定電流法で10時間以上かけて2.5Vまで放電し
た時の電気量から求められる。
【0098】更に、例えば、リチウムを吸蔵及び離脱可
能な負極材料を含む負極合剤層4aの正極3との対向方
向における厚さは、10μm以上、300μm以下であ
ることが好ましい。負極合剤層4aが厚すぎると厚さ方
向において負極材料に析出するリチウムの量が不均一と
なり、充放電サイクル特性が劣化してしまうと共に、薄
すぎると相対的にリチウムの析出量が多くなるので、従
来のリチウム二次電池と同様の問題が生じてしまう虞が
ある。加えて、例えば、負極4が負極活物質としてリチ
ウム金属あるいはリチウム合金等のリチウムを吸蔵及び
離脱可能な負極材料以外の材料を含む場合には、負極活
物質におけるリチウムを吸蔵及び離脱可能な負極材料の
割合は、50質量%以上であることが好ましい。リチウ
ムを吸蔵及び離脱可能な負極材料の割合が少ないと、従
来のリチウム二次電池の問題を充分に改善できない虞が
ある。
【0099】よって、この非水電解質二次電池1では、
充電初期においてリチウムを吸蔵及び離脱可能な負極材
料にリチウムを吸蔵し、開回路電圧が過充電電圧よりも
低い充電途中からリチウムを吸蔵及び離脱可能な負極材
料の表面にリチウム金属が析出するので、従来のいわゆ
るリチウム二次電池及びリチウムイオン二次電池の両方
の特性が得られる。すなわち、高いエネルギー密度が得
られると共に、充放電サイクル特性及び急速充電特性が
改善される。
【0100】そして、この非水電解液二次電池1では、
非水電解液中に硫黄化合物が添加されているので、電極
表面に保護被膜を形成して、満充電状態での保存による
放電容量の劣化を抑えることができる。
【0101】そして、非水電解液中に添加する硫黄化合
物として、特に上記化学式(1)〜化学式(6)で示さ
れるような硫黄化合物、すなわち、1分子中に1個以上
のチオレート基を有するジスルフィド化合物やポリカー
ボンジスルフィド化合物を利用することで、本発明の効
果をより効果的に達成できる。これらの硫黄化合物は、
電解酸化によりS−S結合を形成し、そしてS−S結合
の還元的な切断により可逆的に再生され得るような分子
構造を有するものである。
【0102】また、これら硫黄化合物の電解液への添加
量は、充放電サイクル特性を劣化させることなく、充電
時に発生する正極と負極の不可逆反応を抑えて、容量劣
化を防止することができるために、溶媒材料の全重量に
対して、0.05重量%以上、10重量%未満の濃度範
囲であることが好ましい。
【0103】そして、このような非水電解液二次電池1
は、つぎのようにして製造される。
【0104】正極は、正極活物質と結着剤とを含有する
正極合剤を、正極集電体となる例えばアルミニウム箔等
の金属箔上に均一に塗布、乾燥して正極活物質層を形成
することにより作製される。上記正極合剤の結着剤とし
ては、公知の結着剤を用いることができるほか、上記正
極合剤に公知の添加剤等を添加することができる。
【0105】負極は、負極活物質と結着剤とを含有する
負極合剤を、負極集電体となる例えば銅箔等の金属箔上
に均一に塗布、乾燥して負極活物質層を形成することに
より作製される。上記負極合剤の結着剤としては、公知
の結着剤を用いることができるほか、上記負極合剤に公
知の添加剤等を添加することができる。
【0106】以上のようにして得られる正極と、負極と
を、例えば微孔性ポリプロピレンフィルムからなるセパ
レータを介して密着させ、渦巻型に多数回巻回すること
により巻層体が構成される。
【0107】次に、その内側にニッケルメッキを施した
鉄製の電池缶5の底部に絶縁板を挿入し、さらに巻層体
を収納する。そして負極の集電をとるために、例えばニ
ッケルからなる負極リードの一端を負極に圧着させ、他
端を電池缶に溶接する。これにより、電池缶は負極と導
通をもつこととなり、非水電解液電池の外部負極とな
る。また、正極の集電をとるために、例えばアルミニウ
ムからなる正極リード8の一端を正極に取り付け、他端
を電流遮断用薄板9を介して電池蓋と電気的に接続す
る。この電流遮断用薄板は、電池内圧に応じて電流を遮
断するものである。これにより、電池蓋は正極と導通を
もつこととなり、非水電解液電池の外部正極となる。
【0108】次に、この電池缶の中に非水電解液を注入
する。この非水電解液は、電解質を非水溶媒に溶解させ
て調製される。
【0109】次に、アスファルトを塗布した絶縁封口ガ
スケットを介して電池缶をかしめることにより電池蓋が
固定されて円筒型の非水電解液二次電池1が作製され
る。
【0110】なお、この非水電解液二次電池1において
は、図1に示すように、負極リード及び正極リードに接
続するセンターピン12が設けられているとともに、電
池内部の圧力が所定値よりも高くなったときに内部の気
体を抜くための安全弁装置及び電池内部の温度上昇を防
止するためのPTC素子が設けられている。
【0111】なお、上述の説明では、円筒型の非水電解
質二次電池を例に挙げたが、本発明はこれに限定される
ものではなく、例えば円筒型、角型、ボタン型等、種々
の形状の非水電解質二次電池に適用可能である。
【0112】また、上述した実施の形態では、非水電解
質として電解質塩を非水溶媒に溶解してなる非水電解液
を用いた場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに
限定されるものではなく、非水電解質として、電解質塩
と膨潤溶媒とマトリクス高分子とからなるゲル電解質、
イオン伝導性高分子と電解質塩とを複合化させてなる高
分子固体電解質、イオン伝導性無機セラミック,ガラ
ス,イオン性結晶等を主成分とする無機固体電解質と非
水電解液とを混合してなる非水電解質材料等を用いた場
合にも適用可能である。
【0113】例えば非水電解質としてゲル電解質を用い
る場合、ゲル電解質のイオン伝導度が1mS/cm以上
であれば、ゲル電解質の組成及びゲル電解質を構成する
マトリクス高分子の構造はいかなるものであっても構わ
ない。
【0114】具体的なマトリクス高分子としては、ポリ
アクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化
ビニリデンとポリヘキサフルオロプロピレンとの共重合
体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロ
プロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレン
オキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポ
リ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル
酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレ
ン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリ
スチレン、ポリカーボネート等を用いることが可能であ
る。特に電気化学的な安定性を考慮すると、ポリアクリ
ロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオ
ロプロピレン、ポリエチレンオキサイド等を用いること
が好ましい。
【0115】ゲル電解質を作製するために必要なマトリ
クス高分子の重量は、マトリクス高分子と非水電解液と
の相溶性により異なることから一概に規定することは困
難であるが、非水電解液に対して5重量%〜50重量%
とすることが好ましい。
【0116】
【実施例】つぎに、本発明の効果を確認すべく行った実
施例及び比較例について説明する。なお、以下に示す例
では、具体的な化合物名や数値を挙げて説明している
が、本発明はこれらに限定されるものではないことは言
うまでもない。
【0117】〈サンプル1〉まず、以下のようにして負
極を作製した。
【0118】まず、平均粒径25μmの粒状黒鉛粉末を
90重量%と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を1
0重量%とを混合して負極合剤を調製し、これを溶剤で
あるN−メチル−2−ピロリドンに分散させることでぺ
−スト状の負極合剤スラリーを得た。
【0119】次に、負極集電体として厚さ10μmの帯
状銅箔を用意し、この負極集電体の両面に上記負極合剤
スラリーを均一に塗布、乾燥させた後、加熱プレス処理
することにより、総厚みが140μmの帯状負極を作製
した。
【0120】つぎに、以下のようにして正極を作製し
た。
【0121】まず炭酸リチウムを0.5モルと炭酸コバ
ルトを1モルとを混合し、この混合物を、空気中、温度
900℃で5時間焼成した。得られた材料についてX線
回折測定を行った結果、JCPDSファイルに登録され
たLiCoOのピークと良く一致していた。このLi
CoOをボールミルにより粉砕し、レーザ回折法で得
られる累積50%粒径が15μmのLiCoO粉末を
得た。
【0122】このLiCoO粉末を95重量%と、導
電剤として鱗片状黒鉛粉を3重量%と、結着剤としてポ
リフッ化ビニリデン(PVDF)を2重量%とを混合調
裂し、N−メチル−2−ピロリドンに分散させることで
ペースト状の正極合剤スラリーを作製した。
【0123】正極集電体11として厚さ20μmの帯状
のアルミニウム箔を用意し、この正極集電体の両面に上
記正極合剤スラリーを均一に塗布、これを乾燥させた
後、圧縮成型することで総厚みが150μmの帯状正極
を作裂した。
【0124】以上のようにして作製された帯状負極と帯
状正極とを、図1に示したように厚さ30μmの微多孔
性ポリエチレン延伸フィルムよりなるセパレータを介し
て、負極、セパレーター、正極、セパレータの順に積層
してから多数回巻回し、外径14mmのジェリーロール
型電極体を作製した。
【0125】このようにして作製したジェリーロール型
電極体を、ニッケルめっきが施された鉄製電池缶に収納
した。
【0126】ジェリーロ−ル型電極の上下両面に絶縁板
を配設し、アルミニウム製正極リードを正極集電体から
導出して電流遮断用薄板に、ニッケル製負極リードを負
極集電体から導出して電池缶に溶接することで、ジェリ
ロール型電池を作製した。
【0127】非水電解質は、エチレンカーボネート(E
C)が20体積%と、プロピレンカーポネート(PC)
が10体積%と、メチルエチルカーボネート(EMC)
が10体積%、ジメチルカーボネート(DMC)が60
体積%とが混合されてなる非水溶媒に対して、LiPF
の重量モル濃度が1.5mol/kgとなるように溶
解し、さらに化学式(1)で表される硫黄化合物を全溶
媒重量に対し0.01重量%となるように溶解して非水
電解液を調製した。この非水電解液の電池缶への注液
は、減圧方式により行った。作製した非水電解液を電池
内に3.3g分注入した。
【0128】最後に、アスファルトを表面に塗布した絶
縁封ロガスケットを介して電池缶をかしめることで、電
流遮断機構を有する安全弁装置、PTC素子並びに電池
蓋を固定し、電池内の気密性を保持させ、直径14m
m、高さ65mmの円筒型非水電解質電池を作製した。
【0129】〈サンプル2〜サンプル54〉非水電解液
に添加する硫黄化合物及びその添加量を後掲する表1に
示すように変えたこと以外は、サンプル1と同様にして
円筒型非水電解質電池を作製した。
【0130】なお、サンプル1〜サンプル54で非水電
解液に添加した硫黄化合物の化学式を化学式(1)〜化
学式(6)に示す。
【0131】
【化19】
【0132】(式中、R及びRは、Liである。)
【0133】
【化20】
【0134】(式中、R及びRは、Liである。)
【0135】
【化21】
【0136】(式中、R,R及びRは、Liであ
る。)
【0137】
【化22】
【0138】
【化23】
【0139】
【化24】
【0140】〈サンプル55〉非水電解液に硫黄化合物
を添加しなかったこと以外は、サンプル1と同様にして
円筒型非水電解質電池を作製した。
【0141】以上のようにして作製した円筒型非水電解
質電池について充放電試験を行った。
【0142】初充電は、定電流・定電圧方式により行っ
た。300mAで定電流充電開始後、端子電圧が4.2
0Vまで上昇した時点で定電圧充電に切り替えた。充電
開始後7時間を経過した時点で充電を終了させた。充電
終了直前の端子間電圧は4.20Vであり、電流値は5
mA以下であった。本明細書では、この状態を満充電状
態と定義する。
【0143】満充電状態の電池を23℃の一定温度下に
おいて3週間保存した後、初放電操作を定電流方式によ
り行った。電流条件を300mAと設定し、放電を開始
した後、端子電圧が2.75Vまで降下した時点で放電
を終了させた。本明細書では、放電終了状態を完全放電
状態と定義した。
【0144】保存後の容量劣化率は、同様の電池を初充
電後直ちに初放電したときに得られるエネルギー密度
と、保存後のエネルギー密度の比より算出した。
【0145】また、300サイクル後の容量保持率は、
式1に示すように、第2サイクル目の放電容量に対する
300サイクル時の放電容量値の比率として算出した。
【0146】 放電容量維持率(%)=(300サイクル時の放電容量値)/(第2サイクル 目の放電容量値)× 100 (式1) サンプル1〜サンプル55の非水電解液電池について、
保存後の容量劣化率、および保存後のエネルギー密度、
300サイクル後の容量保持率を、非水電解液に添加す
る硫黄化合物及びその添加量と併せて表1に示す。
【0147】
【表1】
【0148】・化学式(1)で表される硫黄化合物を用
いた場合についての検討 表1から、まず、非水電解液に硫黄化合物を添加しなか
ったサンプル55と、非水電解液に上記化学式(1)で
表される硫黄化合物を添加したサンプル1〜サンプル9
とを比較することで、保存後の容量劣化を改善できると
いう傾向が確認された。
【0149】しかしながら、上記化学式(1)で表され
る硫黄化合物の添加量が、溶媒材料の全重量に対して
0.05重量%未満であるサンプル1では、充電時の正
極と負極の不可逆反応を抑える効果が十分に得られず、
本発明の目的を達成できない。
【0150】また、上記化学式(1)で表される硫黄化
合物の添加量が、溶媒材料の全重量に対して10重量%
以上であるサンプル9では、容量劣化を抑える効果は十
分に得られるが、その一方で充放電サイクル特性がサン
プル55よりも劣化してしまった。
【0151】従って、上記化学式(1)で表される硫黄
化合物の電解液への添加量を、溶媒材料の全重量に対し
て、硫黄化合物を0.05重量%以上、10重量%未満
の濃度範囲とすることで、充放電サイクル特性を劣化さ
せることなく、充電時に発生する正極と負極の不可逆反
応を抑えて、容量劣化を防止することができることがわ
かった。
【0152】・化学式(2)で表される硫黄化合物を用
いた場合についての検討 つぎに、非水電解液に上記化学式(2)で表される硫黄
化合物を添加したサンプル10〜サンプル18と、非水
電解液に硫黄化合物を添加しなかったサンプル55とを
比較することで、化学式(2)で表される硫黄化合物を
用いた場合にも、保存後の容量劣化を改善できるという
傾向が確認された。
【0153】しかしながら、上記化学式(2)で表され
る硫黄化合物の添加量が、溶媒材料の全重量に対して
0.05重量%未満であるサンプル10では、充電時の
正極と負極の不可逆反応を抑える効果が十分に得られ
ず、本発明の目的を達成できない。
【0154】また、上記化学式(2)で表される硫黄化
合物の添加量が、溶媒材料の全重量に対して10重量%
以上であるサンプル18では、容量劣化を抑える効果は
十分に得られるが、その一方で充放電サイクル特性がサ
ンプル55よりも劣化してしまった。
【0155】従って、上記化学式(2)で表される硫黄
化合物の電解液への添加量を、溶媒材料の全重量に対し
て、硫黄化合物を0.05重量%以上、10重量%未満
の濃度範囲とすることで、充放電サイクル特性を劣化さ
せることなく、充電時に発生する正極と負極の不可逆反
応を抑えて、容量劣化を防止することができることがわ
かった。
【0156】・化学式(3)で表される硫黄化合物を用
いた場合についての検討 また、非水電解液に上記化学式(3)で表される硫黄化
合物を添加したサンプル19〜サンプル27と、非水電
解液に硫黄化合物を添加しなかったサンプル55とを比
較することで、化学式(3)で表される硫黄化合物を用
いた場合にも、保存後の容量劣化を改善できるという傾
向が確認された。
【0157】しかしながら、上記化学式(3)で表され
る硫黄化合物の添加量が、溶媒材料の全重量に対して
0.05重量%未満であるサンプル19では、充電時の
正極と負極の不可逆反応を抑える効果が十分に得られ
ず、本発明の目的を達成できない。
【0158】また、上記化学式(3)で表される硫黄化
合物の添加量が、溶媒材料の全重量に対して10重量%
以上であるサンプル27では、容量劣化を抑える効果は
十分に得られるが、その一方で充放電サイクル特性がサ
ンプル55よりも劣化してしまった。
【0159】従って、上記化学式(3)で表される硫黄
化合物の電解液への添加量を、溶媒材料の全重量に対し
て、硫黄化合物を0.05重量%以上、10重量%未満
の濃度範囲とすることで、充放電サイクル特性を劣化さ
せることなく、充電時に発生する正極と負極の不可逆反
応を抑えて、容量劣化を防止することができることがわ
かった。
【0160】・化学式(4)で表される硫黄化合物を用
いた場合についての検討 また、非水電解液に上記化学式(4)で表される硫黄化
合物を添加したサンプル28〜サンプル36と、非水電
解液に硫黄化合物を添加しなかったサンプル55とを比
較することで、化学式(4)で表される硫黄化合物を用
いた場合にも、保存後の容量劣化を改善できるという傾
向が確認された。
【0161】しかしながら、上記化学式(4)で表され
る硫黄化合物の添加量が、溶媒材料の全重量に対して
0.05重量%未満であるサンプル28では、充電時の
正極と負極の不可逆反応を抑える効果が十分に得られ
ず、本発明の目的を達成できない。
【0162】また、上記化学式(4)で表される硫黄化
合物の添加量が、溶媒材料の全重量に対して10重量%
以上であるサンプル36では、容量劣化を抑える効果は
十分に得られるが、その一方で充放電サイクル特性がサ
ンプル55よりも劣化してしまった。
【0163】従って、上記化学式(4)で表される硫黄
化合物の電解液への添加量を、溶媒材料の全重量に対し
て、硫黄化合物を0.05重量%以上、10重量%未満
の濃度範囲とすることで、充放電サイクル特性を劣化さ
せることなく、充電時に発生する正極と負極の不可逆反
応を抑えて、容量劣化を防止することができることがわ
かった。
【0164】・化学式(5)で表される硫黄化合物を用
いた場合についての検討 また、非水電解液に上記化学式(5)で表される硫黄化
合物を添加したサンプル37〜サンプル45と、非水電
解液に硫黄化合物を添加しなかったサンプル55とを比
較することで、化学式(4)で表される硫黄化合物を用
いた場合にも、保存後の容量劣化を改善できるという傾
向が確認された。
【0165】しかしながら、上記化学式(5)で表され
る硫黄化合物の添加量が、溶媒材料の全重量に対して
0.05重量%未満であるサンプル37では、充電時の
正極と負極の不可逆反応を抑える効果が十分に得られ
ず、本発明の目的を達成できない。
【0166】また、上記化学式(5)で表される硫黄化
合物の添加量が、溶媒材料の全重量に対して10重量%
以上であるサンプル45では、容量劣化を抑える効果は
十分に得られるが、その一方で充放電サイクル特性がサ
ンプル55よりも劣化してしまった。
【0167】従って、上記化学式(5)で表される硫黄
化合物の電解液への添加量を、溶媒材料の全重量に対し
て、硫黄化合物を0.05重量%以上、10重量%未満
の濃度範囲とすることで、充放電サイクル特性を劣化さ
せることなく、充電時に発生する正極と負極の不可逆反
応を抑えて、容量劣化を防止することができることがわ
かった。
【0168】・化学式(6)で表される硫黄化合物を用
いた場合についての検討 また、非水電解液に上記化学式(6)で表される硫黄化
合物を添加したサンプル46〜サンプル54と、非水電
解液に硫黄化合物を添加しなかったサンプル55とを比
較することで、化学式(4)で表される硫黄化合物を用
いた場合にも、保存後の容量劣化を改善できるという傾
向が確認された。
【0169】しかしながら、上記化学式(6)で表され
る硫黄化合物の添加量が、溶媒材料の全重量に対して
0.05重量%未満であるサンプル46では、充電時の
正極と負極の不可逆反応を抑える効果が十分に得られ
ず、本発明の目的を達成できない。
【0170】また、上記化学式(6)で表される硫黄化
合物の添加量が、溶媒材料の全重量に対して10重量%
以上であるサンプル54では、容量劣化を抑える効果は
十分に得られるが、その一方で充放電サイクル特性がサ
ンプル55よりも劣化してしまった。
【0171】従って、上記化学式(6)で表される硫黄
化合物の電解液への添加量を、溶媒材料の全重量に対し
て、硫黄化合物を0.05重量%以上、10重量%未満
の濃度範囲とすることで、充放電サイクル特性を劣化さ
せることなく、充電時に発生する正極と負極の不可逆反
応を抑えて、容量劣化を防止することができることがわ
かった。
【0172】以上の結果より、非水電解液中に硫黄化合
物を添加することにより、電極表面に保護被膜を形成し
て、満充電状態での保存による放電容量の劣化を抑える
ことができることがわかった。
【0173】そして、非水電解液中に添加する硫黄化合
物として、特に上記化学式(1)〜化学式(6)で示さ
れるような硫黄化合物、すなわち、1分子中に1個以上
のチオレート基を有するジスルフィド化合物やポリカー
ボンジスルフィド化合物を利用することで、本発明の効
果をより効果的に達成できることが確認された。これら
の硫黄化合物は、電解酸化によりS−S結合を形成し、
そしてS−S結合の還元的な切断により可逆的に再生さ
れ得るような分子構造を有するものである。
【0174】また、これら硫黄化合物の電解液への添加
量を、溶媒材料の全重量に対して、硫黄化合物を0.0
5重量%以上、10重量%未満の濃度範囲とすること
で、充放電サイクル特性を劣化させることなく、充電時
に発生する正極と負極の不可逆反応を抑えて、容量劣化
を防止することができることがわかった。
【0175】
【発明の効果】本発明では、負極活物質を含有する負極
と、正極活物質を含有する正極と、電解質と、微多孔性
膜からなるセパレータとを備え、充放電容量がアルカリ
金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンの電気化学的
ドープおよび脱ドープ反応による充放電容量成分とアル
カリ金属またはアルカリ土類金属の電気化学的析出およ
び溶解反応による充放電容量成分の和で表される非水電
解質電池において、電解質中に、電解酸化によりS−S
結合を形成し、S−S結合の還元的な切断により可逆的
に再生され得るような分子構造を有する有機硫黄化合物
を含有させることで、電極表面への保護被膜形成を可能
にした。これにより、本発明では、容量劣化を効果的に
抑えた優れた非水電解質電池を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した非水電解質二次電池の一構成
例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 非水電解質二次電池、2 電池缶、3 正極、3a
正極合剤層、3b正極集電体、4 負極、4a 負極
合剤層、4b 負極集電体、5 セパレータ、6,7
絶縁板、8 電池蓋、9 安全弁機構、10 PTC素
子、11 ガスケット、12 センターピン、13 正
極リード、14 負極リード

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軽金属をイオン状態で吸蔵及び離脱する
    ことが可能な負極活物質を含有する負極と、正極活物質
    を含有する正極と、電解質と、微多孔性膜からなるセパ
    レータとを備えた非水電解質電池において、 上記電解質は、電解酸化によりS−S結合を形成し、S
    −S結合の還元的な切断により可逆的に再生され得るよ
    うな分子構造を有する有機硫黄化合物を含有することを
    特徴とする非水電解質電池。
  2. 【請求項2】 上記電解質は、上記有機硫黄化合物を
    0.05重量%以上、10重量%未満の範囲で含有する
    ことを特徴とする請求項1記載の非水電解質電池。
  3. 【請求項3】 上記有機硫黄化合物は、1分子中にチオ
    レート基を1個以上有する化合物であることを特徴とす
    る請求項1記載の非水電解質電池。
  4. 【請求項4】 上記有機硫黄化合物は、化学式(1)乃
    至化学式(6)で示されるいずれかの化合物であること
    を特徴とする請求項3記載の非水電解質電池。 【化1】 (式中、R及びRは、H、Li、−COOH等、任
    意の原子又は分子を表す。) 【化2】 (式中、R及びRは、H、Li、−COOH等、任
    意の原子又は分子を表す。) 【化3】 (式中、R,R及びRは、H、Li、−COOH
    等、任意の原子又は分子を表す。) 【化4】 【化5】 【化6】
  5. 【請求項5】 上記負極活物質は、アルカリ金属イオン
    又はアルカリ土類金属イオンを吸蔵及び離脱することが
    可能な、炭素を含む材料であることを特徴とする請求項
    1記載の非水電解質電池。
  6. 【請求項6】 上記炭素を含む材料は、黒鉛、易黒鉛化
    性炭素、難黒鉛化性炭素のいずれかであることを特徴と
    する請求項5記載の非水電解質電池。
  7. 【請求項7】 上記負極の容量は、軽金属をイオン状態
    で吸蔵及び離脱する際に得られる容量成分と、軽金属が
    析出及び溶解する際に得られる容量成分との和で表され
    ることを特徴とする請求項1記載の非水電解質電池。
  8. 【請求項8】 開回路電圧が過充電電圧よりも低い状態
    において、上記負極に当該軽金属が析出していることを
    特徴とする請求項1記載の非水電解質電池。
  9. 【請求項9】 上記軽金属は、リチウムであることを特
    徴とする請求項1記載の非水電解質電池。
  10. 【請求項10】 軽金属をイオン状態で吸蔵及び離脱す
    ることが可能な負極活物質を含有する負極と、正極活物
    質を含有する正極と、電解質と、微多孔性膜からなるセ
    パレータとを備えた非水電解質電池の製造方法であっ
    て、 上記電解質に、電解酸化によりS−S結合を形成し、S
    −S結合の還元的な切断により可逆的に再生され得るよ
    うな分子構造を有する有機硫黄化合物を添加することを
    特徴とする非水電解質電池の製造方法。
  11. 【請求項11】 上記電解質に、上記有機硫黄化合物を
    0.05重量%以上、10重量%未満の範囲で添加する
    ことを特徴とする請求項10記載の非水電解質電池の製
    造方法。
  12. 【請求項12】 上記有機硫黄化合物として、1分子中
    にチオレート基を1個以上有する化合物を添加すること
    を特徴とする請求項10記載の非水電解質電池の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 上記有機硫黄化合物として、化学式
    (1)乃至化学式(6)で示されるいずれかの化合物を
    少なくとも添加することを特徴とする請求項12記載の
    非水電解質電池の製造方法。 【化7】 (式中、R及びRは、H、Li、−COOH等、任
    意の原子又は分子を表す。) 【化8】 (式中、R及びRは、H、Li、−COOH等、任
    意の原子又は分子を表す。) 【化9】 (式中、R,R及びRは、H、Li、−COOH
    等、任意の原子又は分子を表す。) 【化10】 【化11】 【化12】
  14. 【請求項14】 上記負極活物質として、アルカリ金属
    イオン又はアルカリ土類金属イオンを吸蔵及び離脱する
    ことが可能な、炭素を含む材料を用いることを特徴とす
    る請求項10記載の非水電解質電池の製造方法。
  15. 【請求項15】 上記炭素を含む材料として、黒鉛、易
    黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素のいずれかを用いること
    を特徴とする請求項14記載の非水電解質電池の製造方
    法。
  16. 【請求項16】 上記非水電解質電池は、上記負極の容
    量が、軽金属をイオン状態で吸蔵及び離脱する際に得ら
    れる容量成分と、軽金属が析出及び溶解する際に得られ
    る容量成分との和で表されることを特徴とする請求項1
    0記載の非水電解質電池の製造方法。
  17. 【請求項17】 上記非水電解質電池は、開回路電圧が
    過充電電圧よりも低い状態において当該負極に当該軽金
    属が析出していることを特徴とする請求項10記載の非
    水電解質電池の製造方法。
  18. 【請求項18】 上記軽金属は、リチウムであることを
    特徴とする請求項10記載の非水電解質電池の製造方
    法。
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