JP2010086733A - 非水電解液リチウム一次電池 - Google Patents

非水電解液リチウム一次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】非水電解液リチウム一次電池において、リチウムまたはリチウム合金からなる負極表面は、それ自体の反応性が非常に高いことから、表面に低導電性の被膜を形成しやすく、形成された被膜が電池特性に与える影響は大きい。そのため、保存特性や低温での負荷特性に大きな影響を与え、また安定した電池特性を得ることも難しい。
【解決手段】正極活物質を含有する正極10、リチウムまたはリチウム合金を負極活物質として含有する負極11およびセパレータ12を含む非水電解液リチウム一次電池1であって、負極11のセパレータ12を介して正極10に対向する面に薄膜状のカーボン層11aをスパッタリング法により形成したことを特徴とする非水電解液リチウム一次電池1を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解液リチウム一次電池に関し、特に非水電解液リチウム一次電池における負極表面の改良に関する。
非水電解液電池はエネルギー密度が高く、保存性、耐漏液性などの信頼性に優れ、また、小型化、軽量化が可能なことから、各種電子機器の主電源、メモリーバックアップ用電源などとして用いられ、その需要は増加の一途を辿っている。非水電解液電池の中でも、正極、リチウムまたはリチウム合金を負極活物質として含有する負極およびセパレータを含む非水電解液リチウム一次電池が汎用されている。最近では、非水電解液リチウム一次電池を自動車、産業機器などのより厳しい環境下で使用することが要望され、それと共にさらなる高性能化のための改良が進められている。
非水電解液リチウム一次電池もしくはリチウム二次電池において、電気化学的に不活性な化合物が負極の表面に付着したり、高抵抗な被膜を形成して電池特性を低下させるという問題がある。これに対し、例えば同じ非水電解液電池であるリチウム二次電池では、負極の表面に炭素質粉末の層を設けることが提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1では、負極の表面に食い込んだ状態の炭素質粉末層が形成される。しかしながら、特許文献1の炭素質粉末層は、後術するように加圧のみにより形成されるので、負極の表面からの脱落などを起こし易く、その付着防止効果は十分満足できる水準にはない。
また、特許文献1の炭素質粉末層は、被覆工程および加圧工程を含む製造方法により形成される。被覆工程では、金属リチウム箔表面に炭素質粉末を被覆する。この工程は、表面に炭素質粉末を担持し、かつ電圧が印加されたコーティングローラと金属リチウム箔とを接触させることにより行われる。加圧工程では、炭素質粉末が被覆された金属リチウム箔を加圧し、炭素質粉末を金属リチウム箔に食い込ませて炭素質粉末層を形成する。この工程は、炭素質粉末が被覆された金属リチウム箔を、圧接状態にある一対のローラの圧接ニップ部に通過させることにより行われる。
特許文献1において、炭素質粉末として電気化学的に不活性な化合物の付着を防止する効果が得られるカーボンブラックを用いると、カーボンブラックの特性に起因する不都合が生じ易い。すなわち、カーボンブラックは一次粒子が0.1μm以下と極めて小さい材料であり、凝集して二次粒子を形成し易いという特性を示す。二次粒子が存在しても付着防止効果は得られるものの、二次粒子の大きさは不均一であり、かつ、特許文献1に記載の方法では二次粒子の大きさによって負極表面への食い込み易さが変化する。また、カーボンブラックと金属リチウムの密着性も、二次粒子を押し付けるという工法上の課題から高度な均一性を実現することが難しい。その結果、放電電圧などの電池特性にばらつきが生じる恐れがある。したがって、特許文献1に記載の方法は、製造するものがリチウム一次電池であるかリチウム二次電池であるかを問わず、量産には適していない。
特許文献2において、プラズマ気相成長法によりカーボン層を形成することを提案されている。エチレンガス等を反応器内に導入し、リチウムの表面に反応析出することでカーボン層を形成するものである。しかしながら、気相反応で発生する水素ガスなどが、反応析出させたカーボン層の中に気泡という形でミクロな導電断裂部を作り、カーボン部分の均一性が低下するという原理上の課題がある。そのために膜抵抗が大きくなると同時に、
リチウムと膜の密着性においても同様の課題が残る。加えて、コイン形の非水電解液リチウム一次電池を形成する為にはリチウムを負極ケースへ圧着するが、プラズマ気相成長法はリチウムのみしか反応器内で処理出来ないため、カーボン層を先に形成した後に圧着を行うことになり、圧着によりカーボン層がダメージを受ける。
特許文献3において、負極となるリチウム金属などに、スパッタリング法を用いて被膜形成することも提案されているが、この場合は充放電を繰り返し行う二次電池において、充電時のデンドライト発生を防ぐ目的であり、スパッタリングにより形成する被膜も絶縁膜であることを特徴としている。すなわち、充電しない一次電池用途では、通常の使用においてはデンドライト発生というメカニズムはなく、また絶縁性被膜の形成は、単に特性低下を招くだけで見返りとなるメリットがない。
特開平11−135116号公報 特許第3570128号公報 特開平6−36800号公報
リチウムまたはリチウム合金からなる負極の表面は、それ自体の反応性が非常に高いことから、表面に様々な低導電性の被膜を形成しやすく、形成された被膜が電池特性に与える影響は大きい。そのため、保存特性や低温での負荷特性に大きな影響を与え、また安定した電池特性を得ることも難しい。
上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明は、正極活物質を含有する正極、リチウムまたはリチウム合金を負極活物質として含有する負極およびセパレータを含む非水電解液リチウム一次電池であって、負極のセパレータを介して正極に対向する面に薄膜状のカーボン層をスパッタリング法により形成したことを特徴とする。
薄膜状のカーボン層を設けることによって、電気化学的に不活性な、低導電性のリチウム化合物が負極面へ析出または付着することを防止することができる。
本発明によると、保存特性、低温パルス放電特性などに優れた非水電解液リチウム一次電池の提供が可能となる。
本発明の第1の発明は、正極活物質を含有する正極、リチウムまたはリチウム合金を負極活物質として含有する負極およびセパレータを含む非水電解液リチウム一次電池であって、負極のセパレータを介して正極に対向する面に薄膜状のカーボン層をスパッタリング法により形成したことを特徴とする非水電解液リチウム一次電池である。この構成により、電気化学的に不活性な、低導電性のリチウム化合物が負極面へ析出または付着することを防止することができる。
本発明の第2の発明は、第1の発明においてカーボン層の厚さを0.01μm以上1μm以下としたことを特徴とする非水電解液リチウム一次電池である。カーボン層の厚さを0.01μm以上1μm以下にすることによって、膜の抵抗成分も非常に小さく、リチウムイオンの正極への移動を容易にし、初期および高温保存後などの、負極表面への低導電性被膜の蓄積を抑制することができる。
本発明の第3の発明は、第1の発明において、カーボン層をアモルファス炭素で構成し
たことを特徴とする非水電解液リチウム一次電池である。アモルファス炭素は、グラファイトと比較すると金属リチウムもしくはリチウム合金とほとんど反応しないため、電解液濃度の低下やガス発生が生じないため好ましい。
本発明の第4の発明は、第1の発明において、スパッタリングに用いるターゲットを、主成分がカーボンブラックであり、結着剤と混合してCIP法(冷間等方圧加圧法)で成型されたものを用いたことを特徴とする非水電解液リチウム一次電池である。CIP法で成型することにより、均一で高密度なターゲットを作製することができる。
図1は、本発明の実施形態の一つである非水電解液リチウム一次電池1の構成を模式的に示す縦断面図である。非水電解液リチウム一次電池1は、正極10、負極11、セパレータ12、正極ケース13、負極ケース14、絶縁パッキング15および図示しない非水電解液を含むコイン形状の非水電解液リチウム一次電池である。
正極10は、正極活物質、導電材および結着剤を含み、セパレータ12を介して負極11に対向するように設けられる。
正極活物質としてはリチウム一次電池の分野で常用されるものを使用でき、その中でも、フッ化黒鉛、金属酸化物などが好ましい。フッ化黒鉛としては、化学式CFx(0.8≦x≦1.1)で表されるものが好ましい。フッ化黒鉛は、長期信頼性、安全性、高温安定性などの点で優れている。フッ化黒鉛は、石油コークス、人造黒鉛などをフッ素化して得られる。金属酸化物としては、二酸化マンガン、酸化銅などが挙げられる。正極活物質は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
導電材としてもリチウム一次電池の分野で常用されるものを使用でき、たとえば、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック、人造黒鉛などの黒鉛類などを使用できる。導電材は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
結着剤としてもリチウム一次電池の分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、PVDFの変性体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE樹脂)、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体などのフッ素樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)、変性アクリロニトリルゴム、エチレン−アクリル酸共重合体などが挙げられる。結着剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
負極11は、リチウムまたはリチウム合金を含有し、セパレータ12を介して正極10に対向するように設けられる。リチウム合金としては、リチウム一次電池の分野で常用されるものを使用でき、たとえば、Li−Al、Li−Sn、Li−NiSi、Li−Pbなどが挙げられる。
負極11のセパレータ12を介して正極10に対向する面には、薄膜状の好ましくは厚さ0.01μm〜1μmのカーボン層11aが設けられている。カーボン層厚みの確認は、集束イオンビーム(FIB:Focused ion beam)加工観察装置によって確認した。また、カーボン層はアモルファス炭素からなり、ラマン分光法によって薄膜
の表面分析を行うことでカーボンの構造を確認した。
カーボン層11aの形成にはスパッタリング法を用いる。スパッタリングのターゲットには、産業上よく用いられる等方性黒鉛ターゲットなどを用いるか、もしくはカーボンブラックに対し、質量%で数%の結着剤を乾式混合で分散させたものを、CIP法により1回以上成型・開砕を繰り返し、高密度で成型したものを用いる。カーボンブラックとしては公知のものが使用でき、たとえば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、コンタクトブラック、ファーネスブラック、ランプブラックなどが挙げられる。カーボンブラックは非常に成型性が悪く、スパッタリングのターゲットとして作製・使用されたことはないが、CIP法で1回以上成型・開砕を繰り返して成型することにより、均一で高密度なターゲットを作製することができる。これらのターゲットを用い、負極面11aに対して不活性ガス下でスパッタリングを行うが、不活性ガスは露点換算で−40℃以下になるグレードのものを用いる。スパッタリングには、例えばDCスパッタとRFスパッタなどが挙げられるが、本発明に関しては特に制約はない。スパッタリング法におけるスパッタリング時間を制御することにより、膜厚の制御は非常に容易である。また、スパッタリング法は、微粒子を飛ばして被覆することから、負極表面へも高度にムラなく被覆することができ、負極表面との密着性が非常に良い。
このようにして薄膜状のカーボン層11aを設けることによって、電気化学的に不活性な、低導電性のリチウム化合物が負極面へ析出または付着することを防止する。また、カーボン層の厚さを0.01μm以上1μm以下にすることによって、膜の抵抗成分も非常に小さく、リチウムイオンの正極への移動を容易にし、初期および高温保存後などの、負極表面への低導電性被膜の蓄積を抑制することで、非水電解液リチウム一次電池1の高出力化および特性安定化にも寄与する。
セパレータ12としては、非水電解液リチウム一次電池の分野で常用されるものを使用でき、正極と負極とが短絡することを防止できるのであれば特に制限される訳ではなく、さらに電解液の浸透性に優れ、イオンの移動抵抗とならないことが望ましい。代表的な素材としてはポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンなどが挙げられ、形状としては不織布、微多孔フィルムなどが挙げられる。
有機電解液は、溶質および非水溶媒を含有する。
溶質としては、非水電解液リチウム一次電池の分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、テトラフルオロ硼酸リチウム(LiBF4)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、リチウム・ビスペンタフルオロエチルスルホン酸イミド(LiN(SO2252)、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiN(CF3SO22)、リチウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド(LiC(CF3SO23)、過塩素酸リチウム(LiClO4)などが挙げられる。溶質は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
非水溶媒としても、非水電解液リチウム一次電池の分野で常用されるものを使用でき、たとえば、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、γ−バレロラクトン(γ−VL)、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)などの環状炭酸エステル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、1,3−ジオキソラン、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチ
ルメチルカーボネート(EMC)、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体などが挙げられる。非水溶媒は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
非水電解液における溶質濃度は特に制限されないが、負極表面に形成されたカーボン層11aにより非水電解液の還元分解反応が起こり、溶質が消費されると推測されることを考慮すると、好ましくは0.5モル/L以上1.5モル/L以下である。溶質濃度が0.5モル/L未満では、室温での放電特性または長期保存後の放電特性が低下するおそれがある。溶質濃度が1.5モル/Lを超えると、−40℃程度の低温環境下では、非水電解液の粘度上昇およびイオン伝導度の低下が顕著になるおそれがある。
正極ケース13は、正極集電体および正極端子を兼ねる。負極ケース14は、負極集電体および負極端子を兼ねる。絶縁パッキング15は、主に、正極ケース13と負極ケース14とを絶縁する。正極ケース13、負極ケース14および絶縁パッキング15は、リチウム一次電池の分野で常用されるものを使用できる。正極ケース13および負極ケース14には、たとえば、ステンレス鋼製のものを使用できる。絶縁パッキング15には、たとえば、ポリプロピレンなどの合成樹脂製のものを使用できる。
非水電解液リチウム一次電池1は、負極11として、薄膜状の好ましくは厚さ0.01μm以上1μm以下のカーボン層11aが形成されたものを用いる以外は、従来の非水電解液リチウム一次電池と同様にして作製できる。
非水電解液リチウム一次電池1は、たとえば、次のようにして作製できる。まず、正極10が正極ケース13の内面に接触するように正極ケース13内に収容し、その上にセパレータ12を載置する。さらに、非水電解液を注液し、正極10およびセパレータ12に非水電解液を含浸させる。一方、負極ケース14の内面に負極11を圧着し、負極11の正極10との対向面にカーボン層11aを形成する。次いで、負極ケース14の周縁部に絶縁パッキング15を装着した状態で、正極ケース13と負極ケース14とを組み合わせる。この時、負極11のカーボン層11aが形成された面はセパレータ12と接触状態になる。さらに、正極ケース13の開口部を内側にかしめて封口することにより、非水電解液リチウム一次電池1が得られる。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
1)正極の作製
フッ化炭素(正極活物質)100重量部およびアセチレンブラック(導電材)10重量部を乾式混合し、得られた乾式混合物にメタノールを添加して混練した。この混練物に、スチレンブタジエンゴム(結着剤)5重量部を添加してさらに混練し、得られた混練物を乾燥および粉砕して、粉末状の正極合剤を調製した。この正極合剤1.0gを、直径17.0mmの円柱状金型に充填し、加圧成形してディスク状の正極を作製した。
2)負極の作製
負極活物質には、リチウム金属を用いた。厚み1.0mmのリチウム金属のフープを打ち抜いてディスク状の負極とし、絶縁パッキングを装着した負極ケースの内面に圧着した。
負極の表面は、スパッタリング用ターゲット主成分として、アセチレンブラック100重量部および結着剤としてスチレンブタジエンゴム10重量部を乾式混合し、CIP法にて加圧成型および開砕を2回行い、ディスク状のスパッタターゲットを作製してスパッタリングを行った。スパッタリング条件を適切に設定することにより、カーボン層厚みが0.005μmで、カーボンブラック構造になるように処理をした。
3)セパレータ
厚さ100μmのポリプロピレン製不織布を円形に打ち抜きセパレータを作製した。
4)非水電解液の調製
γ−ブチロラクトンにホウフッ化リチウムを1mol/Lの比率で溶解させたものを用いた。
5)電池の組み立て
正極ケースの内底面上に正極を載置し、その上にセパレータを被せた後、非水電解液0.9gを正極ケース内に注液し、正極とセパレータに電解液を含浸させた。次に、負極が圧着された負極ケースを、負極と正極とが対向するように正極ケースに装着し、正極ケースの周縁端部を負極ケースに装着された絶縁パッキングにかしめ、本発明のコイン形非水電解液リチウム一次電池を作製した。電池のサイズは、直径24.5mm、高さ5.0mmで、設計容量550mAhとした。上記組立工程は、露点−40℃以下のドライエア中で行った。
(実施例2)
カーボン層の厚みを0.01μmに変更する以外は、実施例1と同様にして、本発明のコイン形非水電解液リチウム一次電池を作製した。
(実施例3)
カーボン層の厚みを0.1μmに変更する以外は、実施例1と同様にして、本発明のコイン形非水電解液リチウム一次電池を作製した。
(実施例4)
カーボン層の厚みを1μmに変更する以外は、実施例1と同様にして、本発明のコイン形非水電解液リチウム一次電池を作製した。
(実施例5)
スパッタリング条件を変更してカーボン層がダイヤモンドライクカーボン構造になるようにした以外は、実施例1と同様にして、本発明のコイン形非水電解液リチウム一次電池を作製した。
(実施例6)
カーボン層の厚みを0.01μmに変更する以外は、実施例5と同様にして、本発明のコイン形非水電解液リチウム一次電池を作製した。
(実施例7)
カーボン層の厚みを0.1μmに変更する以外は、実施例5と同様にして、本発明のコイン形非水電解液リチウム一次電池を作製した。
(実施例8)
カーボン層の厚みを1μmに変更する以外は、実施例5と同様にして、本発明のコイン
形非水電解液リチウム一次電池を作製した。
(実施例9)
スパッタリングによりカーボン層がグラファイト構造になるように変更し、そのカーボン層の厚みが0.005μmであること以外は、実施例5と同様にして、本発明のコイン形非水電解液リチウム一次電池を作製した。
(実施例10)
カーボン層の厚みを0.01μmに変更する以外は、実施例9と同様にして、本発明のコイン形非水電解液リチウム一次電池を作製した。
(実施例11)
カーボン層の厚みを0.1μmに変更する以外は、実施例9と同様にして、本発明のコイン形非水電解液リチウム一次電池を作製した。
(実施例12)
カーボン層の厚みを1μmに変更する以外は、実施例9と同様にして、本発明のコイン形非水電解液リチウム一次電池を作製した。
(比較例1)
負極の表面にカーボン層を形成する処理を行わないこと以外は、実施例1と同様にして、比較用のコイン形非水電解液リチウム一次電池を作製した。
実施例1〜12および比較例1で得られた非水電解液リチウム一次電池について、初度および60℃45日保存後の各状態で、低温環境下での放電試験を各10個行い、パルス電圧の平均値を求めた。平均値についてはより高い値が望ましい。結果を表1に示す。
パルス電圧は、次の条件で測定した。
試験温度 :−40℃
パルス負荷:3mA・1秒on/59秒off
サイクル数:20サイクル
測定 :最低パルス放電電圧値
Figure 2010086733
表1から、実施例1〜12、特に実施例1〜8のアモルファス炭素を被覆した非水電解液リチウム一次電池は、カーボン層を形成していない比較例1と比較して、初期および保存後のパルス電圧が高いことが明らかである。また、初期パルス電圧と保存後パルス電圧の差は保存劣化を意味するが、実施例1〜8では、比較例1より電圧の低下が明らかに抑制されている。これにより、カーボン層自体が負極表面で放電反応を阻害する性質ではないと推定される。また、通常はリチウム反応面にもミクロな意味では局所的に放電しやすい箇所や、被膜の厚い部分など放電しにくい箇所などのムラがあるものであるが、均一に導電性の良いカーボン層を形成することで全体が高度に反応しやすくなっていると思われる。また、一般的に負極の表面には低導電性の被膜が容易に形成されるが、カーボン層を形成することで、その低導電性被膜の形成もしくは成長を抑制していると考えられる。また、実施例9〜12でも、初期パルス電圧自体もカーボン層を形成していない比較例1と比較して、初期パルス電圧および保存後パルス電圧は若干高い。実施例1〜8ほどの顕著な効果が見られない理由は、一般的にグラファイトは金属リチウムと反応することがよく知られており、負極の表面で局所的にグラファイトと金属リチウムの反応が起こった際に、特に高温保存環境下では電解液の分解反応による電解液濃度の低下や、発生したガスが金属リチウムもしくはリチウム合金と反応して低導電性の被膜を形成したものと考えられる。それに対して、カーボンブラックやダイヤモンドライクカーボンなどのアモルファス炭素は、グラファイトと比較すると金属リチウムもしくはリチウム合金とほとんど反応せず、そのため、同じカーボン層を形成していながら、効果の程が異なったものと考えられる。これらのことから、負極の表面にカーボン層を形成する場合には、グラファイト構造ではなく、アモルファス炭素が望ましいと推定される。
なお、実施例においてカーボン層の厚みは0.005μmでも効果はあるが、より特性的に安定するのは0.01μm以上が有効である。また厚み1μm以上ではカーボン層自体に急にクラックが入りやすくなり、クラックが入ったカーボン層はカーボン剥がれや導
電不均一等に起因する品質バラツキが大きな課題であり、またスパッタリング法では膜厚みを厚くするほど非常に長いスパッタリング処理時間を要するという産業上の不利益からも有用ではない。
本発明によると、保存特性、低温パルス放電特性などに優れた非水電解液リチウム一次電池の提供が可能となる。そのため、本発明の非水電解液リチウム一次電池は、たとえば、各種電子機器、輸送機器、産業機器などの主電源、メモリーバックアップ用電源などとして有用である
本発明の一実施の形態である非水電解液リチウム一次電池の構成を模式的に示す縦断面図
符号の説明
1 非水電解液リチウム一次電池
10 正極
11 負極
11a カーボン層
12 セパレータ
13 正極ケース
14 負極ケース
15 絶縁パッキング

Claims (4)

  1. 正極活物質を含有する正極、リチウムまたはリチウム合金を負極活物質として含有する負極およびセパレータを含む非水電解液リチウム一次電池であって、
    前記負極のセパレータを介して正極に対向する面に薄膜状のカーボン層をスパッタリング法により形成したことを特徴とする非水電解液リチウム一次電池。
  2. カーボン層の厚さを0.01μm以上1μm以下としたことを特徴とする請求項1記載の非水電解液リチウム一次電池。
  3. カーボン層をアモルファス炭素で構成したことを特徴とする請求項1記載の非水電解液リチウム一次電池。
  4. スパッタリングに用いるターゲットを、主成分がカーボンブラックであり、結着剤と混合してCIP法(冷間等方圧加圧法)で成型されたものを用いたことを特徴とする請求項1記載の非水電解液リチウム一次電池。
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