WO2016031180A1 - リチウム一次電池 - Google Patents

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Abstract

 リチウム一次電池の低温出力時の電圧低下を所定時間抑制する。 リチウム一次電池は、正極と、負極と、有機電解液と、正極と負極との間に介在するセパレータとを具備し、負極は、負極活物質であるリチウムを含み、負極活物質は、リチウムまたはリチウム合金よりなる群から選ばれる少なくとも1種からなり、負極の少なくとも表層部は、炭素材料と前記負極活物質と結着剤との複合物からなる炭素層からなり、炭素層の質量Mcと負極活物質層の質量Maの比率Mc/Maが0.1以上であり、炭素層の密度が0.4g/cm以上、0.8g/cm以下である。

Description

リチウム一次電池
 本発明は、リチウム一次電池に関し、特に低温環境下での大電流放電特性に優れたリチウム一次電池に関する。
 負極活物質にリチウム金属またはその合金を用いたリチウム一次電池は、従来の水溶液系電池に対して高電圧でエネルギー密度が高いため、小型化および軽量化が容易である。そのため、リチウム一次電池は、小型電子機器の主電源やバックアップ用電源など、様々な用途に使用されている。
 リチウム一次電池の正極活物質には、一般に、二酸化マンガンなどの金属酸化物や、フッ化黒鉛が用いられている。これらは、長期貯蔵性や高温領域での安定性に優れ、幅広い使用温度範囲を有する。
 しかし、電子機器の多機能化や小型化に伴い、リチウム一次電池の特性のさらなる改善が要望されている。特に車載用非常通報機器のバックアップ電源などに用いられる場合、低温から高温の温度領域(約-40℃~約80℃)で、携帯電話の発信相当のパルス大電流放電を少なくとも数分間(使用機器の設定条件等によって異なるが、少なくとも3分間程度)継続する特性が要求される。ところが、リチウム一次電池は、低温時に大電流放電を行うと、放電初期に電圧が降下した後、緩やかに電圧が上昇するという特性を示すため、車載用非常通報機器のバックアップのためには、放電直後から少なくとも数分間の初期の電圧低下抑制が重要である。
 低温時のリチウム一次電池は、大電流放電の初期に負極の分極が正極の分極よりも大きくなる。また、低温時は、電解液中のリチウムイオン拡散速度が低下するため、正負極間のリチウムイオン拡散も分極要因となる。
 放電初期の負極の分極要因としては、負極表面の被膜による反応抵抗や、負極の比表面積が少ないことによる反応抵抗、が考えられる。一方、低温時は、正負極の間に存在する電解液のリチウムイオン拡散抵抗、が考えられる。従って、放電初期の負極の反応抵抗および正負極間の電解液中のリチウムイオン拡散抵抗を所定時間低減できれば、低温特性を大きく改善することができる。
 例えば、特許文献1では、リチウム一次電池の負極の分極、特に低温での大電流放電時あるいは高温保存後の負極の分極を低減するため、金属リチウムまたはリチウム合金の表面に、非晶質炭素材料と負極活物質との複合層を配置が提案されている。
 また、特許文献2では、負極表面に、成形密度が1.1g/cm~1.7g/cmの炭素成形体を2.5~29.4N/mの転写圧力で擦り付けて被覆層を形成することが提案されている。
国際公開第2006/057110号 特開2008-103129号公報
 しかしながら、特許文献1では、炭素材が負極活物質に対して少ない構成であるため、放電直後から1秒~20秒程度の短時間の電圧低下を抑制するにとどまっており、数分間の抵抗低減効果は期待できない。
 また、特許文献2では、保存による室温での1kHzの内部抵抗増加を抑制するものであるが、炭素成形体の密度が1.1g/cm~1.7g/cmであるため、正負極間の電解液中のリチウムイオン拡散を阻害し、低温環境下で数分間の抵抗低減効果は期待できない。
 本発明は、リチウム一次電池において、低温環境下での大電流放電時の電圧低下を少なくとも数分間抑制することを目的とする。
 正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータと、有機電解液とを具備するリチウム一次電池であって、負極は、負極活物質として、リチウムおよびリチウム合金よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、負極の少なくとも表層部の少なくとも一部に炭素層が形成され、炭素層の質量Mcと負極活物質の質量Maの比率Mc/Maが0.1以上であり、炭素層の密度が0.4g/cm以上、0.8g/cm以下である構成とする。
 本発明によれば、低温時に、放電開始から少なくとも数分間の優れた大電流放電特性を有するリチウム一次電池が得られる。
本発明の一実施形態における円筒形リチウム一次電池の模式断面図 本発明の一実験例における放電時間とMc/Maとの関係を示す図 本発明の一実験例における放電時間と炭素層の密度との関係を示す図 本発明の一実施形態におけるリチウム一次電池用負極の模式断面図
 本発明は、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータと、有機電解液とを具備するリチウム一次電池であって、負極は、負極活物質として、リチウムおよびリチウム合金よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、負極の少なくとも表層部の少なくとも一部に炭素層が形成され、炭素層の質量Mcと負極活物質の質量Maの比率Mc/Maが0.1以上であり、炭素層の密度が0.4g/cm以上、0.8g/cm以下である構成とする。
 本発明によれば、図4に示されるように、負極表面部に炭素層を配置することで、負極表面の炭素に活物質層からリチウムが挿入されるため、放電時に炭素層の表面積分のリチウム放出面積が増大する。
 また、炭素層の質量Mcと活物質層の質量MaをMc/Ma≧0.1とすることで、活物質層のリチウム質量に比例する電池容量に対して、比表面積の大きな炭素層から放出できるリチウム量を増加させることができるため、より長時間の電圧低下抑制が可能になる。
 さらに、炭素層の密度を0.4g/cm以上、0.8g/cmとすることで、正負極間の電解液中のリチウムイオン拡散抵抗を低減できるため、より長時間の電圧低下抑制が可能になる。
 また、本発明の炭素層は、炭素材料と結着剤と負極活物質とを含むことが好ましい。炭素層に結着剤を含むことによって、炭素層内における炭素同士の接触を強固に維持し、炭素層内の集電性が良好になり、炭素層の抵抗を低減できる。また、車載用途等の振動にさらされる環境下では振動による炭素層内の接触を維持し、炭素層の破壊・脱落を防止することができる。
 また、本発明の炭素層中の結着剤の質量の比率が1%以上、10%以下であることが好ましい。結着剤の質量の比率を1%以上、10%以下とすることで、炭素同士の接触の強固な維持と、炭素粒子間に導電性の低い結着剤が配置されることによる炭素層としての導電性が低下を抑制することができる。
 本発明の好ましい態様を以下に示す。
 炭素層中の炭素材料は、黒鉛、活性炭、カーボンブラックなど種々の材料を使用することができる。好ましい態様では、炭素材料は、一次粒子径が10nm以上100nm以下、比表面積10m/g以上200m/g以下、C軸方向の結晶子の大きさが2nm以上、であることが好ましい。
 炭素層中の結着剤は、放電時の負極電位範囲において化学変化を起こさないものが適宜選択できる。例えば、ポリアクリル酸、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアセテート、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、スチレン-ブタジエンラバーまたはカルボキシメチルセルロース等から選択される少なくとも一種を用いることができる。好ましい態様では、結着剤は、ポリアクリル酸、スチレン-ブタジエンラバー、カルボキシメチルセルロースであることが好ましい。
 負極は、負極活物質としてリチウム及び/又はリチウム合金を含有すればよく、負極集電体(銅、ステンレス鋼など)の表面に、リチウム層又はリチウム合金層が形成されていてもよい。好ましい態様では、負極は、負極活物質であるリチウムを90%質量以上含有する。
 また、リチウム合金としては、電池分野で常用されるもの、例えば、リチウムをマトリックス成分とし、リチウムと合金化可能な金属を含む合金が使用できる。リチウム以外の金属としては、例えば、アルミニウム、錫、マグネシウム、インジウム、カルシウム、マンガンなどが挙げられる。これらの金属は、一種を単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。リチウム以外の金属のリチウム合金における含有量は、特に制限はないが、リチウム合金全体に対して、好ましくは10質量%以下(例えば、0.01~15質量%)、さらに好ましくは5質量%以下(例えば、0.01~5質量%)である。リチウム以外の金属の含有量がこのような範囲である場合、必要以上に、リチウム合金の融点が上昇したり、硬度が高くなりすぎたり、加工性が低下したりするのをより有効に防止できる。
 好ましいリチウム合金としては、リチウム-アルミニウム合金(Li-Al合金)などが挙げられる。
 負極の形状は、リチウム一次電池の形状および寸法、規格性能などに応じて適宜選択でき、例えば、帯状などのシート状、円盤状などである。負極の厚みは、リチウム一次電池の形状および寸法に応じて選択でき、例えば、0.05~3mm、好ましくは0.1~1mm程度である。
 例えば、円筒形リチウム一次電池では、負極は、幅42mm、長さ190mm、厚さ0.15mm程度の長方形である。
 正極は、正極活物質を含有し、通常、さらに結着剤および導電材を含んでいる。正極活物質としては、リチウム一次電池の分野で常用されるものが使用でき、中でも、二酸化マンガンなどの金属酸化物やフッ化黒鉛などが好ましい。二酸化マンガンは、放電特性が良好であり、安価で比較的調達しやすい材料であるため、特に好ましい。
 結着剤としては、正極活物質の放電時の電位範囲において化学変化を起こさないものが適宜選択できる。結着剤としては、例えば、炭素層の項で例示の結着剤などが使用できる。結着剤の割合は、特に限定されないが、例えば、正極活物質100質量部に対して、例えば、1~15質量部、好ましくは3~10質量部である。
 導電材としては、正極活物質の放電時の電位範囲において化学変化を起こさない電子伝導体、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛などのグラファイト;カーボンブラック;炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維;導電性ポリマーなどの有機導電性材料などが使用できる。導電材は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。
 導電材の割合は、例えば、正極活物質100質量部に対して、0.5~30質量部、好ましくは1~15質量部である。
 正極の形状は、リチウム一次電池の形状などに応じて、帯状などのシート状、円盤状などである。正極の厚みは、リチウム一次電池の形状および寸法に応じて選択でき、例えば、0.1~3mm、好ましくは0.2~2mm程度である。
 例えば、円筒形リチウム一次電池では、正極は、幅44mm、長さ165mm、厚さ0.40mm程度の長方形である。
 セパレータとしては、リチウム一次電池内の環境に対して耐性を有するものであれば特に制限されず、例えば、ポリオレフィン製の微多孔フィルムの他、織布又は不織布などが例示できる。微多孔フィルムに含まれるポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体などが例示できる。織布又は不織布を構成する樹脂としては、繊維シートの項で例示した樹脂などが利用できる。中でも、耐高温性、耐溶剤性、保液性などに優れる点から、ポリフェニレンスルフィド、ポリブチレンテレフタレートなどが好ましい。
 セパレータの厚みは、リチウム一次電池の形状又はサイズに応じて、例えば、10~250μm、好ましくは10~30μmである。
 非水電解質は、非水溶媒と、これに溶解した支持塩としてのリチウム塩とを含有する。非水電解質は、必要に応じて、さらに添加剤を含んでもよい。
 非水溶媒としては、リチウム一次電池の分野で常用される溶媒を、特に限定することなく使用できる。
 非水溶媒の具体例としては、例えば、エチレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ジオキソラン誘導体、テトラヒドロフランまたはその誘導体、2-メチルテトラヒドロフラン、3-メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル;1,2-ジメトキエタン、1,2-ジエトキシエタン、エチルモノグライム、トリメトキシメタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラグライムなどの鎖状エーテル;γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトンなどのラクトン;スルホラン、メチルスルホラン、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド化合物;ホルムアミド、アセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミドなどのアミド化合物;ニトロメタンなどのニトロアルカン;アセトニトリル、プロピルニトリルなどのニトリル化合物などが挙げられる。
 非水溶媒は、一種を単独で又は二種以上を混合して使用できる。これらの非水溶媒のうち、幅広い温度範囲で安定であり、溶質を溶解し易い点から、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2-ジメトキエタンを用いるのが好ましい。
 リチウム塩としては、リチウム一次電池の分野で常用される材料を使用できる。リチウム塩の具体例としては、フッ素含有酸イミドのリチウム塩[LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)など]、フッ素含有酸のリチウム塩(LiPF、LiBF、LiCFSOなど)、フッ素含有酸メチドのリチウム塩[リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(LiC(CFSO)など]、塩素含有酸のリチウム塩(LiClOなど)などが使用できる。
 これらのリチウム塩は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用できる。これらのリチウム塩のうち、特に、LiCFSO、LiBFが好ましい。
 非水溶媒としてのプロピレンカーボネートと、LiCFSO、LiBFとを併用することにより、リチウム一次電池の大電流放電特性をさらに向上させることができる。
 リチウム塩の濃度は、特に制限されないが、例えば、0.3~1.5モル/L、好ましくは0.4~1.2モル/Lである。このような範囲では、室温における放電特性および長期保存特性などの低下、ならびに低温環境下での非水電解質の粘度上昇およびイオン伝導度の低下が、より効果的に抑制される。
 添加剤としては、例えば、プロパンスルトン、エチレンサルファイド(ES)などの他、プロピオン酸、酪酸、吉草酸などのカルボン酸などが挙げられる。これらの添加剤は、正極および/または負極の過剰な反応を抑制するために必要に応じて使用できる。
 リチウム一次電池は、例えば、正極、炭素層が表面に密着した負極、正極および負極の間に介在するセパレータ、並びに非水電解質を、電池ケースに収容することにより製造できる。製造方法は、特に制限されず、電池の形状、構造、用途又は封口形式などに応じて、公知の方法が採用できる。なお、リチウム一次電池の形状は特に制限されず、円筒形の他、コイン形、角形などであってもよい。好ましいリチウム一次電池は、円筒形である。
 図1は、本発明のリチウム一次電池の一例である円筒形リチウム一次電池の模式図である。円筒形リチウム一次電池は、シート状の正極1、負極2、正極1と負極2との間に介在するセパレータ3を重ねて円筒形に巻き取られて電池ケース9内に収容され、図示しない非水電解質を具備する。
 電池ケース9は、リチウム一次電池の分野で常用される材料であれば特に制限されず、例えば、ステンレス鋼などで形成できる。
 ガスケットは、封口板8と電池ケース9とを絶縁し、かつ電池を密閉するために用いられる。ガスケットの材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトンなどの耐熱性の樹脂材料が用いられる。
 以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されない。
 円筒形リチウム一次電池を以下の要領で製造した。
 (実験例1)
 (1)炭素層の作製
 炭素材としてのアセチレンブラック粉末(電気化学工業(株)製 デンカブラックHS-100)に、水および結着剤としてのポリアクリル酸(アセチレンブラック94質量部に対して6質量部)を加えて十分に混合し、ペースト状の混合物を得た。得られたペーストの所定量を、ポリプロピレン製のシート(厚み0.1mm)に塗布・乾燥した。その後、80℃で4時間真空乾燥し、炭素層が塗布されたPPシートを得た。
 (2)表層部に炭素層を形成した負極の作製
 炭素層が塗布されたPPシートを厚み0.2mmのリチウム箔の両面に配置後、ロールプレスにより、厚み0.15mmになるようにPPシート上の炭素層をリチウム箔に圧着した。圧延前後のPPシートの質量差からリチウム箔の表層部に形成した炭素層の質量Mcを算出した。
 また、圧延後の負極断面を走査型電子顕微鏡で観察し、炭素層の厚みおよびリチウム層の厚みを計測した。リチウムの厚みから活物質の質量Maを求め、炭素層の厚みと炭素層の質量から炭素層の密度を求めた。その結果、炭素層の質量Mcに対する活物質の質量Maとの比率(Mc/Ma)が0.42であり、炭素層の密度が0.59g/cmであり、炭素層中の結着剤の質量の比率が6%であった。
 表層部に炭素層を形成したリチウム箔を加工し、厚み0.15mm、幅42mm、長さ190mmのシート状の負極2を作製した。
 なお、負極の作製は、露点-50℃以下のドライエア中で行った。
 (3)正極の作製
 電解二酸化マンガンに対し導電剤として黒鉛を4質量%、結着剤としてポリテトラフルオロエチレン5質量%を混合する。その後、この混合物に対し純水35質量%を加えて混練し、湿潤状態の正極合剤を調製する。この湿潤状態の正極合剤を厚み0.1mmのステンレス製エキスパンドメタルとともに等速回転する2本の回転ロール間を通し、正極合剤をエキスパンドメタルに充填し、合剤シートを作製する。得られた合剤シートを乾燥後、圧延ローラプレスにより合剤シートを圧延する。これを所定の寸法(厚み0.40mm、幅44mm、長さ165mm)に切断し、正極1を作製した。
 (4)リチウム一次電池の組立
 このようにして準備した正極1と負極2との間にポリエチレン製微多孔膜のセパレータを介在させて渦巻状に巻き取って電極群を作製する。この電極群を電池ケース9内に挿入する。その後、正極1の芯材に接続されたステンレス製の正極リード4を封口板8の正極端子に接続し、負極2に接続されたニッケル製の負極リード5を電池ケース9に接続する。この後、図示しない非水電解液を電池ケース9内に注液し、電池ケース9の開口部を封口して図1に示す直径14mm、高さ50.0mmの円筒形二酸化マンガンリチウム一次電池を作製した。
 なお非水電解液は、非水溶媒としてのプロピレンカーボネートとジメトキシエタンとを体積比4:6で混合した混合溶媒に、支持電解質としてのトリフルオロメタンスルホン酸リチウムを0.7モル/Lの濃度で溶解させて調製する。このようにして作製した二酸化マンガンリチウム一次電池を電池Aとした。
 (実験例2)
 炭素層の質量Mcに対する活物質の質量Maとの比率(Mc/Ma)が0.40、炭素層の密度が0.59g/cmとなるようにしたこと以外は実験例1と同様にして負極を作製し、電池Bを作製した。
 (実験例3)
 炭素層の質量Mcに対する活物質の質量Maとの比率(Mc/Ma)が0.14、炭素層の密度が0.63g/cmとなるようにしたこと以外は実験例1と同様にして負極を作製し、電池Cを作製した。
 (実験例4)
 実験例1と同様に、炭素層の質量Mcに対する活物質の質量Maとの比率(Mc/Ma)が0.26、炭素層の密度が0.65g/cmとなるようにしたこと以外は実験例1と同様にして負極を作製し、電池Dを作製した。
 (実験例5)
 炭素層の質量Mcに対する活物質の質量Maとの比率(Mc/Ma)が0.36、炭素層の密度が0.53g/cm、炭素層中の結着剤の質量の比率が10%となるようにしたこと以外は実験例1と同様にして負極を作製し、電池Eを作製した。
 (実験例6)
 実験例1と同様に、炭素層の質量Mcに対する活物質の質量Maとの比率(Mc/Ma)が0.07、炭素層の密度が1.4g/cm、炭素層中の結着剤の質量の比率が10%となるようにしたこと以外は実験例1と同様にして負極を作製し、電池Fを作製した。
 (実験例7)
 炭素層を形成せず、厚さ150μmのリチウム金属を用いて負極を作製したこと以外は実験例1と同様にして、電池Gを作製した。
 上記のプロセスにより、表1に示す、実験例1~実験例7の電池を作製した。
 (6)電池の評価
 (A)低温パルス放電特性(-40℃)の評価
 実験例1~実験例7で得られた電池を用い、-40℃の低温環境下におけるパルス放電特性を評価した。具体的には、3Aの電流で0.6ms放電した後、0.3Aの電流で4.0ms放電するパルス放電を繰り返し行った際、電池電圧が1Vに到達するまでの時間を計測し、放電時間とした。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001

 放電時間と炭素層の質量Mcに対する活物質の質量Maとの比率(Mc/Ma)の関係を図2に示す。
 図2に示されるように、Mc/Ma≧0.1において、低温時の放電時間が3分以上となり、非常通報機器のバックアップ電源として、必要な機能を満たすものとなることがわかる。
 また、Mc/Ma≧0.1の範囲の実験例の炭素層の密度と放電時間の関係を図3に示す。
 図3に示されるように、放電時間は炭素層の密度の影響を受け、0.6g/cm付近に極大値を持つ放電特性が得られた。このことから、Mc/Ma≧0.1であり、かつ、炭素層の密度が0.4g/cm以上、0.8g/cm以下の構成とすることで、-40℃の低温環境下においても、3分以上放電することができる。
 ここで、炭素層の密度が0.8g/cmより大きいと、炭素層の空隙が減少する。そして、炭素層から放出されたリチウムは炭素層の細孔中の電解液を通じて正極側へ拡散するが、リチウムの経路となる細孔の径が小さくなるため、細孔中のリチウムの拡散が遅くなると考えられる。
 一方、炭素層の密度が0.4g/cmより小さいと、炭素層の空隙は増加するが、炭素同士の物理的な接触が減少する。そして、炭素からリチウムが放出されるためには、活物質層から表層部の炭素に電子が供給される必要があるが、炭素間の空隙増加により、炭素同士の接触抵抗が大きくなるため、放電時の分極が大きくなると考えられる。
 また、炭素層中に結着剤を含むことにより、炭素層内の炭素粒子同士の接触が強固に維持されるため、炭素層の導電性が良好になりより好ましい構成となる。
 負極の表層部の炭素層のMc/Maと密度が比較的近い、実験例2の電池と実験例5の電池とを比較すると、実験例2の電池の放電時間が長く、より長い放電時間が得られた。これは、炭素層中における結着剤の比率が高くなると、炭素同士の接触は強固に維持できるものの、炭素粒子間に導電性の低い結着剤が配置され、炭素層としての導電性が低下すると考えられるため、炭素層内の結着剤の質量の比率としては、10%以下が好ましく、6%以下がより好ましい。
 本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形および改変は、上記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、すべての変形および改変を包含する、と解釈されるべきものである。
 本発明のリチウム一次電池は、低温環境下における大電流放電特性に優れる。そのため、例えば、低温環境下でも動作する車載非常通信装置のバックアップ電源などの用途に、有用である。
 1 正極
 2 負極
 3 セパレータ
 4 正極リード
 5 負極リード
 6 上部絶縁板
 7 下部絶縁板
 8 封口板
 9 電池ケース
10 炭素層
11 活物質層
12 炭素材粉末

Claims (3)

  1.  正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータと、有機電解液とを具備するリチウム一次電池であって、
     前記負極は、負極活物質として、リチウムおよびリチウム合金よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、
     前記負極の表層部の少なくとも一部に炭素層が形成され、
     前記炭素層の質量Mcと前記負極活物質の質量Maの比率Mc/Maが0.1以上であり、
     前記炭素層の密度が0.4g/cm以上、0.8g/cm以下であるリチウム一次電池。
  2.  前記炭素層が、炭素材料と結着剤と前記負極活物質とを含む請求項1に記載のリチウム一次電池。
  3.  前記炭素層の質量に対する前記結着剤の質量の比率が1%以上、10%以下である請求項2に記載のリチウム一次電池。
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