JP5015474B2 - 電池用セパレータ及びリチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタ - Google Patents

電池用セパレータ及びリチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタ Download PDF

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Description

本発明は、電池用セパレータ及びこれを用いたリチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタに関する。
正極にコバルト酸リチウムに代表されるリチウム含有遷移金属酸化物、負極にリチウムをドープ・脱ドープ可能な炭素材料を用いた4V級リチウムイオン二次電池は、高エネルギー密度を有するという特徴から携帯電話に代表される携帯電子機器の電源として非常に重要なものであり、これら携帯電子機器の急速な普及に伴いその需要は高まる一方である。
また、近年、携帯電話やノート型パソコンなどの新しい電子機器が次々に出現し、これら商品の小型軽量化、携帯化などの開発競争から、それに内蔵されるICメモリやマイコンなども小型高性能化が進んでいる。ところが、このようなICメモリなどの素子やマイコンは、電力瞬断時に電子機器のメモリ消却や機能停止などの誤作動を起こす恐れがある。実際、コンピューター機器は、適切な対策を講じなければ10〜20%のわずかな電圧低下であっても、電圧低下が0.003〜0.02秒間続くだけで、機能停止やメモリ喪失などが起こり、電子機器の機能が麻痺してしまう。この様な市場ニーズに応え開発されたものが電気二重層キャパシタであり、電子機器のバックアップ電源などとして活用されている。
これら蓄電デバイスに用いられるセパレータに要求される特性としては、正極と負極の接触による内部短絡を防止し、スムーズな充放電を生ずるために必要にして十分な量の電解液を保持するとともに、イオンの伝導を妨げずに内部抵抗を小さくでき、かつ、電池内部に組み込まれた場合の占有容積が小さく、両極活物質の量を増やすことができるともに、電池の組み立てが容易となるように機械的強度を有することである。
例えば、これらの条件を満たし、現在のリチウムイオン二次電池に多く使用されているのがポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系微多孔膜である。これら微多孔膜は熱による高分子膜の融解により孔を塞ぎ、正極と負極を絶縁するシャットダウン効果を利用して、セパレータに安全性を持たせているものもある。
しかし、ポリオレフィン系高分子はシャットダウン温度を大幅に超えた温度に置かれると溶解収縮するため、リチウムイオン二次電池の内部短絡を引き起こし、リチウムイオン二次電池の急激な発熱や爆発を誘発する(メルトダウン現象)。そのため、芳香族ポリアミド系高分子などの変形温度が高い耐熱性ポリマーからなる多孔膜を、リチウムイオン二次電池用セパレータに使用するという試みが行われている。だが、芳香族高分子からなる多孔体は突き刺し強度が低く、単独で使用するのには適していない。
そこで、特許文献1、特許文献2によると、メルトダウン抑制効果を持つなど安全性が高く、かつリチウムイオン二次電池用途として十分な強度を実現するために、芳香族ポリアミド系高分子なる多孔体と、強い機械的強度を保つ有機高分子体からなる多孔質フィルムや不織布を組み合わせて複合多孔膜とし、安全性と機械的強度の両方を持つリチウムイオンセパレータを作製することが提案されている。
現在電気二重層キャパシタ用セパレータとして多く使用されているのは、セルロース紙であるが、電気二重層キャパシタがハイブリッド自動車などに搭載されるのに伴い、セパレータにも耐熱性が求められる様になっていることから、特許文献3にあるように芳香族ポリアミド系高分子を用いた電気二重層用セパレータが提案されている。
特開2005−209570号公報明細書1頁 特開2005−314635号公報明細書1頁 特開2003−133180号公報明細書1頁
しかし、芳香族ポリアミド系高分子は、帯電しやすい性質を有しており、摩擦や剥離などにより強い静電気を有するといった特性を示す。
このような電池用セパレータは、電池作製中にほこり等の異物を吸着しやすいなど、ハンドリング性に非常に大きな欠点があり、実用化を遅らせている一因となっている。
本発明の目的は上記の問題点を解決するために鋭意検討した結果、少なくとも表面の一方に芳香族ポリアミド系高分子からなる層を有する複合多孔膜において、芳香族ポリアミド系高分子層に界面活性剤を付着することにより、メルトダウンが起こらないなど高温時の安全性が高く静電気が抑制された電池用セパレータを開発できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、1.少なくとも表面の一方に芳香族ポリアミド系高分子からなる層を有する複合多孔膜において、芳香族ポリアミド系高分子層に界面活性剤が付着されていることを特徴とする電池用セパレータ。
また、本発明には下記各発明も含まれる。
2.界面活性剤の付量が、0.001〜0.750g/mである電池用セパレータ。
3.界面活性剤処理後の摩擦帯電圧の半減期が、30秒以下である電池用セパレータ。
4.界面活性剤が陽イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む電池用セパレータ。
更にまた本発明は、下記発明も含まれる。
5.負極がリチウムをドープ・脱ドープ可能な炭素材料から主としてなり、正極がリチウム含有遷移金属酸化物から主としてなり、セパレータ、非水系電解液を用いるリチウムイオン二次電池において、セパレータが上記発明1〜4の少なくとも1項に記載の電池用セパレータを用いるリチウムイオン二次電池。
6.上記非水系電解液にビニレンカーボネート、ビニルアセテートを含むリチウムイオン二次電池。
7.正、負極が活性炭電極からなり、セパレータおよび非水系電解液を用いる電気二重層キャパシタにおいて、セパレータが上記発明1〜4の少なくとも1項に記載の電池用セパレータを用いる電気二重層キャパシタ
本発明によれば、高温での安全性が高く静電気が抑制された芳香族ポリアミド系高分子を用いた複合多孔膜からなる電池用セパレータが提供される。更にこのセパレータを用いることでハンドリング性良くリチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタを提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<電池用セパレータ>
芳香族ポリアミド系高分子は、電気化学的に安定であり、200℃以下で軟化点を有さないためメルトダウン現象を抑制できることから、電池用セパレータに用いるのに好適である。芳香族ポリアミド系高分子として、メタ系芳香族ポリアミドやパラ系芳香族ポリアミド、またこれらを共重合したものが挙げられる。中でも、加工しやすいことからメタ系芳香族ポリアミドが好適である。この芳香族ポリアミド系高分子の重量平均分子量として、10,000〜1,000,000であることが好適である。
本発明のセパレータは電解液を保持し、電池として十分なイオン伝導度を持つことが望ましい。イオン伝導度は、セパレータを電解液に含浸し、2枚のSUS板の間に挟んで、交流インピーダンス法で測定する。電解液としてプロピレンカーボネートとエチレンカーボネートを重量比で1対1に混合した混合溶媒に1Mの濃度でLiBFを溶解したものを用いる。この時の測定温度は25℃である。本発明のセパレータのイオン伝導度は5×10−2S/m以上が好適であり、1×10−1 S/m以上がさらに好適である。
イオン伝導度は、電解液を多く保持するほど高くなるという観点から、芳香族ポリアミド系高分子を多孔質にすることが好適である。しかし、そのままでは機械的強度が低いため、多孔シートと複合化し複合多孔膜とすることで機械的強度が高くなり、セパレータとして使用するのに好適になる。
複合多孔膜を得る製膜方法として特に制限はないが、芳香族ポリアミド系高分子、可塑剤及びシリカ粒子、アルミナ等の無機粒子を有機溶剤に溶解、混合し、これを多孔シート上にキャスト法により製膜し、最後に可塑剤と親和性があり、芳香族ポリアミド系高分子を溶解しない有機溶媒で可塑剤を抽出することで、複合多孔膜を形成する方法を好適に用いることができる。
また芳香族ポリアミド系高分子を有機溶媒に溶解させドープを作製し、ドープを含浸させた多孔シートを、先に示す有機溶媒と親和性を示し、かつ芳香族ポリアミド系高分子を溶解しない溶媒に、接触させることで芳香族ポリアミド系高分子を多孔性に凝固させる有機溶媒湿式法により複合多孔膜を得ることもできる。
この多孔シートにはポリオレフィン系多孔膜や不織布を使用することができる。
複合多孔膜は、孔が少ないと、十分に電解液を保持できず電池として十分な性能を発揮できない。逆に孔が多いとセパレータの機械的強度が低下し、破損しやすくなる。そのため、多孔度は20〜80%であることが好適である。多孔度はセパレータの質量から間接的に求められる。
複合多孔膜は電池用セパレータに用いるので、膜厚が薄すぎるとセパレータが十分な強度を得られず、破損し易くなる。逆に膜厚が厚すぎると、エネルギー密度が低下する。そのため、膜厚が10〜50μmであることが好適である。
この複合多孔膜に塗工する界面活性剤は特に限定されないが、例えば陽イオン系、陰イオン系、両性イオン系、非イオン系の界面活性剤を使用することができる。
陽イオン系界面活性剤としては、高級アミンハロゲン酸塩、ハロゲン化アルキルピリジニウム、第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
陰イオン系界面活性剤としては、高級脂肪酸アルカリ塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、スルホコハク酸エステル塩等が挙げられる。
両性イオン系界面活性剤としては、アルキルベタイン系化合物、イミダゾリン系化合物、アルキルアミンオキサイド、ビスオキシボレート系化合物等が挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
特に、陽イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤は帯電防止効果が強いため、使用量を低く抑えることができ、使用が望ましい。また、これらを混合することによって、芳香族アミドと界面活性剤の親和性を高め、帯電防止効果を向上させることもできる。
界面活性剤を塗工する方法としては特に限定されないが、界面活性剤を溶媒に溶かし、多孔膜にスプレーして乾燥させる方法や、多孔膜を浸漬させ乾燥させる方法などがある。
界面活性剤の付量は0.005〜0.750/mであることが望ましい。0.005g/mより少ないと充分な帯電防止効果が得られず、0.750g/mより多いと電池の性能に悪影響が出てきてしまうからである。界面活性剤の付量は、界面活性剤塗工後90℃で10時間真空乾燥した電池用セパレータと、界面活性剤可溶溶媒に浸漬させた後90℃で10時間真空乾燥した電池用セパレータの質量差や、界面活性剤可溶溶媒で抽出した溶液を乾固させた抽出成分をH−NMRやガスクロマトグラフィーなどにより分析し質量を測定することなどから求めることができる。
静電気を評価する手法としては、JIS L 1084の摩擦帯電圧測定法を用いる。摩擦帯電圧測定法によって静電気の半減期が30秒以下であることが好適である。半減期が30秒以上であると、静電気の減衰が遅いため、帯電防止効果が充分とは言えない。
<リチウムイオン二次電池>
本発明のリチウムイオン二次電池は上記で説明してきたような電池用セパレータを用いることが特徴であり、電解液及び電極は、従来のリチウムイオン二次電池で用いてきたものを使用できる。
本発明のリチウム二次電池に用いる電極は、リチウムイオンをドープ・脱ドープする活物質、この活物質を結着させ電解液に膨潤するバインダーポリマー、電子伝導性向上のための導電助剤、集電体で構成される。電極はゲル化し電解液を保持できる構造になっていてもかまわない。
正極活物質としては、種々のリチウム含有遷移金属酸化物を挙げることができるが、特にこれに限定されるものではなく、いわゆる4V級リチウムイオン二次電池に用いる活物質であれば構わない。リチウム含有遷移金属酸化物の例として、LiCoOなどのリチウム含有コバルト酸化物、LiNiOなどのリチウム含有ニッケル酸化物、LiMnなどのリチウム含有マンガン酸化物などを挙げることができる。
負極活物質にはリチウムイオンを吸蔵放出する炭素材料が用いられる。炭素材料として、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、セルロースなどの有機高分子化合物を焼結したもの、人造黒鉛や天然黒鉛を挙げることが出来る。
活物質を結着させ電解液に膨潤するバインダーポリマーとしてはポリフッ化ビニリデン(PVdF)、PVdFとヘキサフルオロプロピレン(HFP)やPFMV及びテトラフルオロエチレンとの共重合体などのPVdF共重合体樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴムなどのフッ素系樹脂;スチレン―ブタジエン共重合体、スチレン―アクリロニトリル共重合体などの炭化水素ポリマー;カルボキシメチルセルロース、ポリイミド樹脂などを用いることができるが、これに限定されるものではない。また、これらは単独でも2種類以上を混合して用いても構わない。
集電体としては、正極に用いるものは酸化安定性の優れた材料、負極に用いるものは還元安定性に優れた材料で作られた箔またはメッシュが好適に用いられる。具体的には正極にはアルミニウム、ステンレススチール、ニッケル、炭素などを、負極には金属銅、ステンレススチール、ニッケル、炭素などを挙げることができる。特に、正極にはアルミニウム箔またはメッシュ、負極には銅箔またはメッシュが好適に用いられる。
導電助剤としては人造黒鉛、カーボンブラック(アセチレンブラック)、ニッケル粉末が好適に用いられる。負極においては、この導電助剤を含まなくても構わない。
本発明のリチウム二次電池には極性有機溶媒に電解質としてリチウム塩を溶解した電解液が好適に用いられる。使用する溶媒はリチウム二次電池に一般に用いられている炭素数10以下の極性有機溶媒であれば特に限定はしない。例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、γ―ブチロラクトン(γ―BL)、スルフォラン、アセトニトリル等を挙げることができる。これらの極性有意溶媒は単独で用いても、2種類以上混合して用いてもよい。特に、PC、EC、γ−BL、DMC、DEC、MEC及びDMEから選ばれる少なくとも1種類以上の有機溶媒が好適に用いられる。
また、電解液に電池特性などを向上させる目的で添加物を加えてもよい。特に、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルアセテート(VA)は電池性能に対する界面活性剤の影響を大幅に抑制するため、使用するのが好適である。
前記の有機溶媒に溶解するリチウム塩としては、例えば過塩素酸リチウム(LiClO)、六フッ化りん酸リチウム(LiPF)、ホウ四フッ化リチウム(LiBF)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF)、トリフロロスルホン酸リチウム(LiCFSO)、リチウムパーフロロメチルスルホニルイミド[LiN(CFSO]、リチウムパーフロロエチルスルホニルイミド[LiN(CSO]等が挙げられる。また、これらは混合して用いても構わない。溶解するリチウム塩の濃度としては0.2〜2Mの範囲が好適に用いられる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、基本的には角型・円筒型・フィルム外装型といったどのような形状においても実施可能である。
<電気二重層コンデンサ>
本発明の電気二重層コンデンサは上記で説明してきたような電池用セパレータを用いることが特徴であり、電解液及び電極は、従来の電気二重層コンデンサで用いてきたものを使用できる。
本発明の電気二重層キャパシタに用いる電極は、イオンを吸脱着する活性炭、この活性炭を結着させるバインダーポリマー、電子伝導性向上のための導電助剤、集電体で構成される。電極はゲル化し電解液を保持できる構造になっていてもかまわない。
活性炭としては特に制限は無いが、比表面積の大きな活性炭や活性炭素繊維が好適である。これら活性炭や活性炭素繊維は、通常、ヤシ殻、石炭やフェノール樹脂などの難黒鉛系炭素材や、ピッチなどの易黒鉛系炭素材などを原料とし、水蒸気や二酸化炭素などによるガス賦活、アルカリ金属化合物や塩化亜鉛などによる薬品賦活などにより得られる高比表面積の活性炭を用いて製造されている。このような活性炭を電極材として用いた電気二重層キャパシタでは、賦活による脱炭素現象によって得られた細孔により、電気二重層が形成される界面を増加させて、単位重量当たりの充放電容量を向上させることができる。この他に、カーボンブラック、ポリアセン、金属微粒子、導電性金属酸化物微粒子などの比表面積が大きな物質も使用できる。
活物質を結着させるバインダーポリマーとしてはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、PVdFとヘキサフルオロプロピレン(HFP)やPFMV及びテトラフルオロエチレンとの共重合体などのPVdF共重合体樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴムなどのフッ素系樹脂;スチレン―ブタジエン共重合体、スチレン―アクリロニトリル共重合体などの炭化水素ポリマー;カルボキシメチルセルロース、ポリイミド樹脂などを用いることができるが、これに限定されるものではない。また、これらは単独でも2種類以上を混合して用いても構わない。
導電剤は、電極の電気伝導度を向上させるのを目的として使用される。導電剤として特に制限はないが、具体的にケッチェンブラック、アセチレンブラックなどが挙げられる。
集電体として特に制限は無いが、導電性及び電気化学的安定性に優れた材料であればよく、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼、金、白金、黒鉛などを挙げることができる。また、形態は箔、メッシュなどが使用され、特にアルミニウム箔が好適に用いられる。また、電極層との接着性を向上させるために、アルミニウム箔の表面をエッチング、ブラストなどの処理を施していても構わない。その他の電極層との接着性を向上させる方法として、カーボンブラック等の導電性物質と高分子を混合した薄い層を集電体に塗布する方法がある。
電解液としては特に限定しないが、例えばBF4、PF6、及びClO4などのリチウム塩、(CH34N塩、(C254N塩及び(CCHN塩などの電解質を、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ―ブチルラクトン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、アセトニトリル、ジメチルスルフォキシド、ジメチルホルムアミドなどの溶媒へ溶解したものを使用することができる。これらの有機溶媒は、1種または2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
本発明の電気二重層キャパシタは、基本的にはコイン型・角型・円筒型・フィルム外装型といったどのような形状においても実施可能である。また、基本的にはどのような電池容量においても実施可能である。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ただし、以下の実施例は本発明を限定するものではない。
<セパレータの作成法>
芳香族ポリアミド系高分子として、コーネックス(帝人テクノプロダクツ製)を用いた。
上記芳香族ポリアミド系高分子を溶解したドープは、溶媒としてジメチルアセトアミド(DMAc)、相分離剤としてトリプロピレングリコール(TPG)を用い、芳香族ポリアミド系高分子の濃度が9重量部、相分離剤濃度が15重量部となるように調整した。
PET短繊維とオレフィンの短繊維からなる不織布にドープを十分含浸させ、両面が凝固浴と接するように浸漬し凝固浴中で凝固させた。凝固浴の組成は重量比で水:ジメチルアセトアミド:トリプロピレングリコール=57:30:13とした。ついで、水洗・乾燥を行い、電池用セパレータを得た。得られたセパレータの膜厚は25μmであった。これを比較例1とする。
上記に示す不織布の代わりに、ポリオレフィンからなる微多孔膜を用い、比較例1と同様にして、電池用セパレータを得た。得られたセパレータの膜厚は20μmであった。これを比較例2とする。
[イオン伝導度測定法]
イオン伝導度は、セパレータをプロピレンカーボネートとエチレンカーボネートを重量比で1対1に混合した混合溶媒に1Mの濃度でLiBFを溶解した電解液に含浸し、2枚のSUS板の間に挟んで、交流インピーダンス法で測定した。この時の測定温度は25℃であった。
この方法により測定した上述の電池用セパレータのイオン伝導度はそれぞれ比較例1が5.0×10−2S/cm、比較例2が6.0×10−2S/cmであった。
エマルゲン120(花王製、非イオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)をメタノールに溶解し、1wt%溶液を作成し、ここに比較例1、2のリチウムイオン二次電池用セパレータを浸漬させることで界面活性剤処理をおこなった。エマルゲン120の塗工量は0.15g/mであった。これを実施例1,2とする。
エマルゲン120の代わりにエレクトロストリッパーAC(花王製、両性イオン系界面活性剤、イミダゾリン系化合物)を用いて実施例1、2と同様にしてリチウムイオン二次電池用セパレータを作成した。エレクトロストリッパーACの塗工量は0.02g/mであった。これを実施例3、4とする。
エマルゲン120の代わりにコータミン60W(花王製、陽イオン性界面活性剤、第四級アンモニウム塩)を用いて実施例1、2と同様にしてリチウムイオン二次電池用セパレータを作成した。コータミン60Wの塗工量は0.04g/mであった。これを実施例5、6とする。
エマルゲン120の代わりにエレクトロストリッパーF(花王製、陰イオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテルフォスフェート化合物)を用いて実施例1、2と同様にしてリチウムイオン二次電池用セパレータを作成した。エレクトロストリッパーFの塗工量は0.10g/mであった。これを実施例7、8とする。
[摩擦帯電圧測定]
上述の電池用セパレータをスタティックオネストメータH−0110(シシド静電気製)を用いて実施例1〜8に示す電池用セパレータと比較例1〜2の静電気の半減期を測定した。評価結果を(表1)に示す。
<リチウムイオン二次電池の評価法>
[フィルム外装電池の作製法]
正極は、コバルト酸リチウム粉末89.5重量部(日本化学工業製、C−8)、カーボンブラック4.5重量部とポリフッ化ビニリデンの乾燥重量が6.0重量部になるように5重量部のPVdFのN−メチル−2−ピロリドン溶液を用い、正極剤ペーストを作成し、得られたペーストを厚さ20μmのアルミ箔上に塗布乾燥後プレスし、作製した。これを3cm×5cmに切り出した。
負極は、炭素質負極剤としてメゾフェーズカーボンマイクロビーズ粉末87重量部(大阪ガス性、MCMB25−28)、カーボンブラック3重量部とポリフッ化ビニリデンの乾燥重量が10重量部になるように5重量部のポリフッ化ビニリデンのN−メチル−2−ピロリドン溶液を用い、負極剤ペーストを作成し、得られたペーストを厚さ18μmの銅箔上に塗布乾燥後プレスし、作製した。これを3cm×5cmに切り出した。
実施例5、6に記載のセパレータを3.1cm×5.1cmに切り出し、これを正負極間に挟み、電解液を含浸させ、これをアルミラミネートパックに封入することでフィルム外装電池リチウムイオン二次電池を作製した。電解液として、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを重量比で3:7に混合した混合溶媒に1Mの濃度でLiPFを溶解した電解液を用いた。これを実施例9、10とする。
実施例9、10で使用した電解液の代わりに、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとビニレンカーボネートを重量比で29.7:69.3:1に混合した混合溶媒に1Mの濃度でLiPFを溶解した電解液を用いて、実施例9、10と同様にリチウムイオン二次電池を作製した。これを実施例11、12とする。
[リチウムイオン二次電池の評価]
実施例9、10、11、12のリチウムイオン二次電池を180℃まで加熱し、メルトダウンが発生して抵抗が急激に減少するか測定した。結果を(表2)に示す。
<電池二重層キャパシタの評価法>
[フィルム外装電池の作製法]
活性炭電極は、活性炭粉末83重量部(関西熱化学製、MSP−20、粒子径d50=4μm)、カーボンブラック6重量部とポリフッ化ビニリデン(呉羽化学製、KF−1300)の乾燥重量が11重量部になるように12重量部の芳香族ポリアミドのジメチルアセトアミド溶液を用い、活性炭スラリーを作成し、得られたスラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗布乾燥後プレスし、作製した。得られた電極の厚みは20μmであった。これを200℃で8時間乾燥し、1.4cm×2cmに切り出した。
実施例5、6に記載のセパレータを3.1cm×5.1cmに切り出し、これを活性炭電極間に挟み、電解液を含浸させ、これをアルミラミネートパックに封入することでフィルム外装電気二重層キャパシタを作製した。電解液として、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを重量比で3:7に混合した混合溶媒に1Mの濃度でLiPFを溶解した電解液を用いた。これを実施例13、14とする。
[電気二重層キャパシタの評価]
実施例13、14の電気二重層キャパシタを180℃まで加熱し、メルトダウンが発生して抵抗が急激に減少するか測定した。結果を(表2)に示す。
Figure 0005015474
Figure 0005015474

Claims (6)

  1. 少なくとも表面の一方に芳香族ポリアミド系高分子からなる層を有する複合多孔膜であって、
    該複合多孔膜の芳香族ポリアミド系高分子層に界面活性剤が付着されており、
    界面活性剤塗工後の摩擦帯電圧の半減期が30秒以下である複合多孔膜を用いた電池用セパレータ。
  2. 界面活性剤の付量が、0.005〜0.750g/mである請求項1に記載の電池用セパレータ。
  3. 界面活性剤が陽イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1または2に記載の電池用セパレータ。
  4. 負極がリチウムをドープ・脱ドープ可能な炭素材料から主としてなり、正極がリチウム含有遷移金属酸化物から主としてなり、セパレータおよび非水系電解液を用いるリチウムイオン二次電池において、セパレータが請求項1〜3のいずれかに記載の電池用セパレータであるリチウムイオン二次電池。
  5. 該非水系電解液にビニレンカーボネートを含む請求項4に記載のリチウムイオン二次電池。
  6. 正、負極が活性炭電極からなり、セパレータおよび非水系電解液を用いる電気二重層キャパシタにおいて、セパレータが請求項1〜3のいずれかに記載の電池用セパレータである電気二重層キャパシタ。
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