JP2015088370A - 正極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

正極及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】過充電における電流を遮断して熱暴走の防止が可能な、安全性の高いリチウムイオン二次電池及びこれに使用する正極の提供する。
【解決手段】正極第1層(2)内に、過充電時の高電圧でシェルが分解し、熱膨張温度が130℃以下である熱膨張性マイクロカプセルを添加する。さらに正極第1層(2)に芯物質に溶解されない結着材を使用する。これによって、高電圧に達した時点で熱膨張性マイクロカプセルの一部が分解して芯物質を放出させる。そのため、温度が上昇した時点で熱膨張性マイクロカプセルが熱膨張するするとともに放出された芯物質が爆発的に気化することで正極第1層(2)を破壊されることで、過充電における過大電流を抑制し熱暴走を防止する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の技術に関する。
ノート型コンピュータ、携帯電話、デジタルカメラ等電子機器の普及に伴い、これら電子機器を駆動するための二次電池の需要が拡大している。近年、これら電子機器は高機能化の進展に伴い消費電力が増大していることや、小型化が期待されていることから、二次電池に対しては高エネルギー密度・高出力密度化が求められている。高エネルギー密度・高出力密度を達成できる二次電池としては、リチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池が有力視されている。
ここで、リチウムイオン二次電池には、化学的活性の高いリチウム、可燃性の高い電解液、及び過充電状態での安定性が低いリチウム遷移金属複合酸化物を電池材料として用いられていることから、過充電状態において更に充電を継続すると、電池材料間の化学反応が急激に進行し、電池が発熱や熱暴走を引き起こすという安全上の問題があることが知られている。このため、過充電状態に至る前に速やかに充電を停止する必要があり、電圧の監視、充電の停止などを外部回路にて行う機構が採用されている。しかし、安全に対して様々な対策が施されているにも関わらず、車載電池や航空機搭載電池の前記のような熱暴走による問題が後を絶たない。このため、電池外部だけでなく、電池内部における安全機構の確立や導入が求められている。
そこで、リチウムイオン二次電池の過充電を抑止する様々な手法が検討されており、たとえば、特許文献1〜4のような手法が開示されている。
特許文献1では、過充電に伴う電圧上昇により、電解液中に添加した材料が酸化重合し、電池内部抵抗を上昇させることで過充電を抑制する電解液添加剤が開示されている。
特許文献2では、過充電に伴う温度上昇により電極抵抗を上昇させ、過充電を抑止する手法として、正極材料又は負極材料からなる電極合剤層を集電体上に積層する電極において、電極合剤層中又は電極合剤層と集電体との界面に沿って熱膨張性マイクロカプセルを含有させる電極が開示されている。
特許文献3では、過充電に伴う電圧上昇により正極合剤に含有する化合物が分解してガスを発生し、電池の内部抵抗が上昇して更なる過充電を抑制する正極が開示されている。
特許文献4では、正極集電体上に、導電剤、結着材、及び過充電状態での高電位で分解する物質から第1層(導電層)を形成すると共に、第1層上に正極活物質と導電剤と結着材とからなる第2層を形成してなる二層構造の正極を採用する。そして、過充電により高電位となった場合に、高電位で分解する物質が分解されてガスを発生する。これによって、特許文献4には、第1層を構造破壊するとともに、第1層と第2層との界面破壊を生じるように作用し、電池内部抵抗が上昇することで、充電電流を遮断し、過充電を抑制することが開示されている。
特許第3938194号号公報 特許第4727021号号公報 特開2008−181830号公報 特許第4236308号公報
しかしながら、特許文献1に示すように過充電を抑制するような添加剤を電解液中に混合した場合、電解液中の電解質イオン伝導度が低下するという課題がある。また、高温保管時にも添加剤の反応が生じて、電池サイクル寿命、高温保存特性が低下するという課題がある。
また、特許文献2に示すように過充電に伴う温度上昇により熱膨張するマイクロカプセルを正極又は集電体と正極の界面に導入した場合、過充電時の温度上昇にともなってマイクロカプセルは膨張するが、温度上昇は電圧上昇に引き続いて生じる後段の現象であることから、これだけでは過充電の熱暴走を防ぐための時間が十分にとれず、必要な電流遮断効果が得られるまでの変形に達しないという課題がある。
また、特許文献3に示すように過充電に伴う電圧上昇により分解されてガスを発生する化合物を正極合剤中に導入した場合、正極合剤中の活物質量が低下する為、正極容量が低下するという課題がある。
また、特許文献4に示すように過充電に伴う電圧上昇により分解されてガスを発生する化合物を集電体上の正極第1層内に導入した場合、電圧上昇にともなうガス発生で正極第1層の破壊が進行する際に電流遮断が不十分であると、過熱して熱暴走に至るという課題がある。
本発明は、前記のような課題に着目してなされたもので、リチウムイオン二次電池が過充電状態となった場合でも、過充電に伴う電池の発熱や熱暴走を抑制可能な正極を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、正極第1層及び第2層からなる正極において、かかる正極第1層が特定の熱膨張性マイクロカプセルと結着材を有する構成することにより、過充電による熱暴走を防止可能であることを見出した。
すなわち、課題を解決するために、本発明の一態様であるリチウムイオン二次電池用の正極は、正極集電体上に、少なくとも結着材、導電剤及び熱膨張性マイクロカプセルを含む正極第1層と、正極活物質、導電剤、結着材から成る正極第2層とが、この順番で積層され、前記熱膨張性マイクロカプセルのシェル物質は、過充電状態の高電圧において酸化分解する物質から構成され、前記正極第1層に含有する結着材は、該熱膨張性マイクロカプセルの芯物質に溶解されない物質から構成されることを特徴とする。
このとき、前記熱膨張性マイクロカプセルのシェルを構成する物質は、4.3V以上4.8V以下で酸化分解されるものとしてもよい。
また、前記熱膨張性マイクロカプセルは、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、塩化ビニリデンから選択される樹脂を用いてもよい。
また、前記熱膨張性マイクロカプセルの膨張開始温度は、130℃以下であってもよい。
本発明の一態様であるリチウムイオン二次電池は、前記本発明の一態様であるリチウムイオン二次電池用の正極を有する。
本発明の態様によれば、リチウムイオン二次電池が過充電状態となった場合でも、過充電に伴う電圧上昇により正極第1層内のマイクロカプセルのシェルがまず酸化分解し、マイクロカプセルの芯物質が正極第1層内に放出され、さらに、適切な温度でそのマイクロカプセルが熱膨張すると同時あるいはその前後に芯物質が気化して正極第1層を破壊することで、過充電に伴う発熱や熱暴走などをより確実に抑制することが出来る。
また、正極第1層を構成する結着材を、マイクロカプセルに内包される芯材に侵されない材質とすることで、過充電による熱暴走を回避して、安全性を向上させることが可能となる。
本実施形態に係る正極の模式図である。 本実施形態に係るリチウムイオン二次電池であるコイン型電池を示す模式図である。 比較例1に示す正極の模式図である。 コイン型電池1の模式図である。
以下、本発明に基づく実施形態のリチウムイオン二次電池用の正極及びリチウムイオン二次電池について説明する。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用の正極は、図1に示すように、正極集電体1上に正極第1層2及び正極第2層3が積層されて構成された2層構成の正極である。正極第1層2は、導電剤と、特定の結着材と、特定のシェル材質を用いた熱膨張性マイクロカプセルから構成される。正極第2層3は、正極活物質と、導電剤と、結着材とから構成される。
(正極第1層)
正極第1層2に含まれる導電剤は、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ等の公知の材料を使用することができる。
正極第1層2に含まれる熱膨張性マイクロカプセルは、シェル材質が例えばアクリロニトリル、メタクリル酸メチル、塩化ビニリデン等の樹脂から構成されると共に、芯物質が例えばイソブタンや石油エーテル等で構成される。このような構成の熱膨張性マイクロカプセルでは、シェルを構成する樹脂が4.5V以上4.8V以下の電圧で酸化分解を受けることを、発明者らは実験で確認している。
ここで、リチウムイオン二次電池の使用時の平均電圧は4.2V程度であり、過充電状態に至ったリチウムイオン二次電池の電圧は概ね4.3V以上であるから、前記のような熱膨張性マイクロカプセルを正極第1層2に添加した場合、過充電状態で熱膨張性マイクロカプセルのシェルが酸化分解され、熱膨張性マイクロカプセルが破壊される。このとき、芯物質であるイソブタンや石油エーテル等が正極第1層2内に放出される。正極第1層2内はミクロで見れば電圧が不均一であるから、一気に熱膨張性マイクロカプセルの全数が破壊されることはなく、破壊されていない熱膨張性マイクロカプセルが残る。この破壊されていない熱膨張性マイクロカプセルは、これに続く温度上昇によって、本来の熱膨張性マイクロカプセルとして機能する。
一方、電圧上昇の段階で先にシェルが破壊されて放出された芯物質もやはり温度上昇で膨張するが、シェルに封じ込められていないことから、この芯物質の膨張は爆発的なものとなる傾向がある。ただしそうなる条件は、結着材が芯物質に溶解されることなく、放出された芯物質をそのままの形で保持することである。もし、放出された芯物質が結着材を溶解して拡散してしまうと、気化による膨張が一点に集中しないため、爆発的な膨張にはならない。
以上により、まず電圧上昇で部分的に破壊されたマイクロカプセルから放出された芯物質と、未破壊のマイクロカプセルが引き続いて生じる温度上昇で破壊されることで、正極第1層2が確実に破壊され、結果として正極第2層3と集電体との間の抵抗を上昇させ、過電圧を生じることで過充電の進行を停止する。なお、マイクロカプセルの熱膨張温度は、130℃以下が好ましい。これは、非水電解液の酸化分解によって熱暴走に到る直前の温度であるからである。なお、マイクロカプセルの熱膨張温度の下限値については特に限定は無い。例えば常温(例えば20℃)以上、又は加工上でかかる温度以上のいずれか高い方の温度になっていればよい。一般的に、加工温度は100℃〜120℃位になることが多いとも思われるが、加工条件によって加工温度は異なってくる。
正極第1層2に含まれる結着材は、リチウムイオン二次電池が過充電状態となった場合の高電圧でマイクロカプセルのシェルが酸化分解されて芯物質が液体として放出されたとき、その芯物質に侵されない物質である必要がある。多くの場合、芯物質はイソブタンや石油エーテルのような石油系の液体であるから、これに侵されない物質、例えばポリアクリル樹脂、ポリメタクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などを、正極第1層2に含まれる結着材の例として挙げることができる。
以上の材料からなる正極第1層2は、例えば、前記の導電剤、結着材ならびにマイクロカプセルを、メチルエチルケトン、トルエンなどの溶媒中で混合した後、正極集電体1上に塗布、乾燥することで形成することができる。
正極集電体1は、特に限定されるものではなく、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の公知の材質から成る集電体を使用することができる。
(正極第2層)
正極第2層3に含まれる正極活物質は、特に限定されるものではなく、従来公知の活物質を使用することが出来る。正極活物質としては、例えばリチウムイオンを放出出来るリチウム遷移金属複合酸化物を挙げることができる。その一例としては、LiNiO、LiMn、LiCoO、LiFePO等を挙げることができる。また、正極活物質としては、前記リチウム遷移金属酸化物を複数混合して使用することもできる。
また、正極第2層3に含まれる導電剤及び結着材については、公知の導電剤及び結着材を採用すればよい。例えば、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリメタクリル樹脂、ポリエステル樹脂等が使用可能である。また、導電体としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、グラファイト等のカーボン系材料や、銀、チタンなどの導電性金属粒子が使用可能である。
正極第2層3は、例えば正極活物質、結着材、導電剤等をN−メチルピロリドンなどの溶媒中で混合した後、正極第1層2上に積層塗布、乾燥することで形成することができる。
(リチウムイオン二次電池)
次に、前記説明した正極を採用したリチウムイオン二次電池の構成を例を図2を参照して説明する。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、図2に示すように、セパレータ4を介してして対向配置された正極及び負極5が、正極ケース7と負極ケース8からなるケース内に、非水電解液6と共に封止されることで構成されている。符号9は、封止用のガスケット9を表す。
(負極)
負極5には、負極活物質、結着材、及び負極集電体を有する。
負極5に含まれる負極活物質は、特に限定されるものではなく、リチウム等の金属材料、ケイ素、スズ等を含有する合金系材料、グラファイト、コークス等の炭素材料のような、リチウムイオンを吸蔵・放出できる化合物を単独若しくは組み合わせて用いることができる。また、負極活物質としてリチウム金属箔を用いる場合、銅等の金属集電体上にリチウム箔を圧着して形成することができる。また負極活物質として合金材料、炭素材料を用いる場合は、負極活物質と結着材、導電助剤等を水、NMP(N−メチルピロリドン)等の溶媒中で混合した後、銅等の金属集電体上に塗布、乾燥することで形成することができる。
負極5に含まれる結着材は、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、NBR(ニトリルゴム)、フッ素ゴム等の化学的、物理的に安定な材料が好ましい。また、導電助剤は、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、非晶質炭素等を挙げることができる。
負極集電体は、特に限定されるものではなく、銅箔などから成る集電体を使用することができる。
(非水電解液)
非水電解液6は、特に限定されるものではなく、有機溶媒などの溶媒に支持塩を溶解させたもの、電解質兼溶媒であるイオン液体、そのイオン液体に更に支持塩を溶解させたもの等を挙げることができる。
有機溶媒としては、カーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることができる。また、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の混合溶媒を用いることもできる。
非水電解液6に用いられる支持塩は、特に限定されるものではなく、例えばLiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiN(FSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFSO等を挙げることができる。
非水電解液6に用いられるイオン液体も、常温で液体である塩であれば特に限定されるものではなく、例えばアルキルアンモニウム塩、ピロリジニウム塩、ピラゾリウム塩、ピペリジニウム塩、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩などを挙げることがはできる。また、広い電位領域において電気化学的に安定であると更に好ましい。
正極と負極5との接触を防止するためのセパレータ4としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類や芳香族ポリアミド樹脂製の微孔膜または不織布、無機セラミック粉末を含む多孔質の樹脂コートなどを挙げることができる。
そして例えば図2のように、前記正極、負極5、非水電解液6、セパレータ4を、電解液の漏洩防止、外気侵入の防止等を目的としたケースに収納することで、リチウムイオン二次電池を作製することができる。
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
(実施例1)
まず、アセチレンブラック(HS−100,電気化学工業製)30質量部、ポリエステルA(分子量:22,000,Tg:72℃)70質量部、マイクロカプセルA(シェル物質:アクリロニトリル/メタクリル酸メチル共重合体樹脂、芯物質:イソブタン、熱膨張温度:100〜110℃)1質量部を、メチルエチルケトンとトルエンの混合溶媒に添加し、分散処理を行い、均質なペーストを調製した。これにヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤をポリエステルAのOH基に対して当量加えてこのペーストをアルミニウム箔集電体(20μm厚)上に塗布し、乾燥処理後、80℃にて5日間のエージングを行うことで、正極第1層2を得た。乾燥処理後の正極第1層2膜厚は、1〜2μmであった。
次に、LiMn(日本化学産業製)92質量部、アセチレンブラック(HS−100,電気化学工業製)5質量部、ポリフッ化ビニリデン(♯7200,クレハ製)3質量部をN−メチルピロリドン(NMP)に添加し、分散処理を行い、均質なペーストを調製した。このペーストを正極第1層2上に塗布し、乾燥処理を行うことで、正極第2層3を得た。乾燥処理後の正極第2層3膜厚は、約100μmであった。
得られた正極を直径13.5mmに打抜き、負極5として直径15mmに打ち抜いたリチウム箔を用意し、ポリプロピレン製セパレータ4(ハイポア、旭化成イーマテリアルズ製)を介して正極、負極5を挟み込んだ。
そこに、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比で3:7に混合した混合有機溶媒中にLiPFが1モル/L濃度になるように添加し、更にビニレンカーボネートを質量比で2%添加して調製した非水電解液6を注入し、コイン型電池を作製した。
なお、正極第1層2、セパレータ4、リチウム箔、非水電解液6から構成される電池をコイン型電池1とし、正極第1層2、第2層、セパレータ4、リチウム箔、非水電解液6から構成される電池をコイン型電池2とした。コイン型電池1は、図4に示す構成である。コイン型電池2は、図2に示す構成である。
(実施例2)
実施例1の正極第1層2のマイクロカプセルをマイクロカプセルB(シェル物質:アクリロニトリル/塩化ビニリデン/メタクリル酸メチル共重合体樹脂、芯物質:イソブタン、熱膨張温度:110℃〜120℃)1質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作製した。
(実施例3)
実施例1の正極第1層2の樹脂としてアクリルポリオールA(分子量:10,000,Tg:88℃)を使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作製した。
(実施例4)
実施例2の正極第1層2の樹脂としてアクリルポリオールA(分子量:10,000,Tg:88℃)を使用した以外は、実施例2と同様にしてコイン型電池を作製した。
(実施例5)
実施例1の正極第1層2の樹脂としてアクリルポリオールB(分子量:16,000,Tg:52℃)を使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作製した。
(実施例6)
実施例2の正極第1層2の樹脂としてアクリルポリオールB(分子量:16,000,Tg:52℃)を使用した以外は、実施例2と同様にしてコイン型電池を作製した。
(比較例1)
図3に示すように、正極第1層2を形成することなく、アルミニウム箔集電体(20μm厚)上にLiMn(日本化学産業製)92質量部、アセチレンブラック(HS−100,電気化学工業製)5質量部、ポリフッ化ビニリデン(♯7200,クレハ製)3質量部から成る正極第2層3を直接形成した正極を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作製した。
(比較例2)
実施例1のマイクロカプセルを添加しなかった以外は実施例1と同様にしてコイン型電池を作製した。
(比較例3)
実施例1の樹脂を石油系溶剤に溶解するアクリルポリオールC(分子量:160,000)、Tg:50℃)とし、イソシアネート系硬化剤を添加しなかった以外は実施例1と同様にしてコイン型電池を作製した。
(正極評価)
正極評価として、正極第1層2の電気化学的挙動の調査を行った。具体的には、前記正極第1層2を作用極、リチウム金属を対極とした2極セル(コイン型電池1)を作製し、ポテンショ/ガルバノスタット装置(1287型,Solartron社製)と周波数応答アナライザ(1260型,Solartron社製)を用いて、掃引速度5mV/s、電位範囲3.0〜5.0Vで掃引することで、サイクリックボルタンメトリー(以下、CV)測定を実施した。
前記のコイン型電池1のCV測定において、酸化電流として0.05mA/cmを観測された時点の電圧を、正極第1層2が含有する樹脂の酸化開始電位とした。
(電池の放電容量評価)
コイン型電池2を使用し、定電流、定電圧充電にて4.3Vまで充電し、定電流放電にて3.0Vまで放電した。まず、0.1Cでの充放電を2回繰り返した後、0.2C充電後の0.2C、1C、2C、4C、6C、10C放電の順番で測定を行い、放電容量レート特性を得た。なお、定電圧充電により0.01mAまで電流値が低下した後、定電流放電に移行するように設定した。
コイン型電池2を使用し、0.1Cでの充放電を2回繰り返した後、0.2C充電、1C放電の繰り返しによるサイクル特性評価を実施した。なお、定電圧充電により0.01mAまで電流値が低下した後、定電流放電に移行するように設定した。
(電池の過充電及び熱負荷評価)
前記放電容量評価と同様に、コイン型電池2を使用し、4.3Vまで定電流、定電圧充電、3.0Vまで定電流放電をまず実施した。初めに、0.1Cによるならし充放電を2回行った。次に、充放電1回目として、4.3V、0.2C充放電を1度実施した。その後、充放電2回目として、0.2C充電で4.5Vまで定電流、定電圧充電を行うことで過充電を実施し、0.2C放電を行った。更に、充放電3回目として、4.8V、0.2C充電を1度実施した。このコイン型電池2をさらに130℃で10分間加熱した後に、4.8Vから4.3Vまでの放電特性を放電レート0.1Cで測定した。
[試験結果1]
試験結果を表1に示す。
Figure 2015088370
表1に示すように、コイン型電池のCV特性から、実施例1〜6で使用したマイクロカプセルは4.5〜4.8V付近で酸化反応を生じることを確認した。また、正極第1層2を使用しない比較例1および正極第1層2が樹脂のみの比較例2は酸化反応が確認されなかった。正極第1層2に石油系溶剤に溶解する樹脂を使用した比較例3は酸化反応が確認された。
[試験結果2]
試験結果を表2に示す。
Figure 2015088370
表2に示すように、コイン型電池2の放電レート特性及びサイクル特性から、正極第1層2を有する実施例1〜6は正極第1層2を有しない比較例1と比較してほぼ同等の電池特性を有することが確認された。
[試験結果3]
試験結果を表3に示す。
Figure 2015088370
表3に示すように、130℃加熱試験後の放電特性の結果から、正極第1層2を有しない比較例1と比較して、正極第1層2が樹脂と導電剤のみの比較例2は0.01V程度の電圧降下にとどまった。一方、熱膨張性マイクロカプセルを使用した実施例1〜6では、0.2V前後の電圧降下が確認され、電極内の抵抗値が上昇していることが示された。このことより、実施例においては、電圧分解剤を使用した場合に比較して、加熱に対する抵抗上昇の機能が追加されており、過充電時に生じる温度上昇時にさらに抵抗値を上昇させ、電流を抑制することで温度上昇を抑制し、熱暴走を防ぐ効果がより高いものであると考えられる。正極第1層2に石油系溶剤に溶解する樹脂を使用した比較例3は、熱膨張性マイクロカプセルを添加しているものの、実施例1〜6と比較して電極内の抵抗値の上昇は小さいものであった。これは、電圧上昇時にマイクロカプセルのシェルの一部が破壊された際に放出される石油系の芯物質が周囲の樹脂を侵し、溶解して拡散するため、芯物質の塊としての存在が失われ、後の温度上昇で爆発的な気化が生じなかったためであると推測される。
以上の結果から、正極第1層2を導入せず正極第2層3のみから成る正極を使用する場合と比較して、4.3V以上に酸化開始電位を有し、更に電解液の酸化分解開始電位である4.8V以下に酸化開始電位を有するシェルを使用し、かつ熱膨張温度が130℃以下のマイクロカプセルを正極第1層2に採用して、正極第2層3を積層した正極を使用することで、リチウムイオン二次電池の過充電時における電圧上昇速度を緩和でき、さらに温度上昇に対して抵抗値を上昇させることを確認した。よって、電圧上昇に起因する温度上昇も緩和でき、さらに電流を抑制することができる。また、正極第1層2の樹脂として、マイクロカプセルの芯物質に侵されない樹脂を採用することで、電圧上昇時にマイクロカプセルから放出された芯物質をシェルの影響を受けないまま保持でき、後に生じる温度上昇によって爆発的な気化(=膨張)を引き起こすことで、さらに効果的に正極第1層2を破壊し、正極の抵抗を上昇させることができる。また、正極第1層2を導入しない正極第2層3のみから成る正極を使用して作製したリチウムイオン二次電池と、正極第1層2を導入した正極を使用して作製したリチウムイオン二次電池が、放電容量、サイクル性能共にほぼ同一性能を発揮することを確認した。
1:正極集電体
2:正極第1層
3:正極第2層
4:セパレータ
5:負極
6:非水電解液
7:正極ケース
8:負極ケース
9:ガスケット

Claims (5)

  1. リチウムイオン二次電池用の正極であって、
    正極集電体上に、少なくとも結着材、導電剤及び熱膨張性マイクロカプセルを含む正極第1層と、正極活物質、導電剤、結着材から成る正極第2層とが、この順番で積層され、
    前記熱膨張性マイクロカプセルのシェル物質は、過充電状態の高電圧において酸化分解する物質から構成され、
    前記正極第1層に含有する結着材は、前記熱膨張性マイクロカプセルの芯物質に溶解されない物質から構成されることを特徴とする正極。
  2. 前記熱膨張性マイクロカプセルのシェルを構成する物質は、4.3V以上4.8V以下で酸化分解されるものであることを特徴とする請求項1に記載の正極。
  3. 前記熱膨張性マイクロカプセルは、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、塩化ビニリデンから選択される樹脂を用いたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の正極。
  4. 前記熱膨張性マイクロカプセルの膨張開始温度は、130℃以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の正極。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の正極を有するリチウムイオン二次電池。
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