JP2015210846A - 非水電解質二次電池用正極および非水電解質電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】電池性能を損なうことなく、過充電に伴う異常発熱状態を安定的に抑制することができる非水電解質二次電池用正極および非水電解質電池を提供する。【解決手段】非水電解質電池の正極102であって、正極集電体102aと、正極集電体102a上に形成され、構造内にベンゼン環を有し予め設定された高電圧で変質する樹脂と、導電剤とを有する正極第1層102bと、正極第1層102b上に形成され、正極活物質と導電剤と結着剤とを有する正極第2層102cと、を備え、正極第1層102bの樹脂が変質して、正極第1層102bと正極第2層102cとの電気的接続が遮断される。【選択図】図4
Description
本発明は、過充電に対する安全性を改善した非水電解質二次電池用正極および非水電解質二次電池に関する。
ノート型コンピュータをはじめとする電子機器の普及に伴い、これら電子機器を駆動する電源として、二次電池の需要が拡大している。近年、これら電子機器は高機能化の進展に伴い消費電力が増大していることや、小型化が期待されていることから、二次電池に対しては高エネルギー密度・高出力密度化が求められている。高エネルギー密度・高出力密度を達成できる二次電池としては、リチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池が有力視されている。
しかし、リチウムイオン二次電池は、化学的活性の高いリチウム、可燃性の高い電解液、過充電状態での安定性が低いリチウム遷移金属複合酸化物が電池材料として用いられており、満充電からさらに充電して過充電状態になると、電池材料間の化学反応が急激に進行し、電池が異常発熱状態を引き起こすという安全上の問題があることが知られている。このため、リチウムイオン二次電池は、異常発熱状態に至る前に速やかに充電を停止する必要があり、電圧の監視、充電の停止などを外部回路にて行う機構が採用されている。
また、特許文献1には、外部回路を用いずに過充電を抑止する手法として、過充電に伴う電圧上昇により、電解液中に添加した材料が酸化重合し、電池内部の抵抗を上昇させることで過充電を緩和する電解液添加剤が開示されている。具体的には、シクロヘキシルベンゼンやジフェニルエーテル等ベンゼン環を有する化合物が酸化重合することにより、電池内部の抵抗を上昇させる手法である。
その他にも、リチウムイオン電池の過充電を抑止する様々な手法が検討されており、例えば、特許文献2には、過充電に伴う温度上昇により電極抵抗を上昇させ、過充電を抑止する手法として、正極材料又は負極材料からなる電極合剤層を集電体上に積層する電極において、電極合剤層中又は電極合剤層と集電体との界面に沿って熱膨張性マイクロカプセルを含有させる電極が開示されている。
また、特許文献3には、正極集電体上に形成された導電剤と結着剤と過充電状態での高電位で分解する物質とからなる第1層と、第1層上に形成された正極活物質と導電剤と結着剤とからなる第2層と、の二層構造を有する正極が開示されている。特許文献3では、過充電により高電位となった場合に、高電位で分解する物質が分解されてガスが発生することにより、第1層が構造破壊されるとともに、第1層と第2層との界面で界面破壊が生じ、電池内部の抵抗が上昇することで、充電電流を遮断し、過充電を抑制する手法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に示すように過充電を抑制させる添加剤を電解液中に混合する場合、ある一定時間、すなわち添加剤が酸化重合、酸化分解している間は過充電が抑制されるが、添加剤の酸化重合、酸化分解が終わると再び過充電が進行してしまうという問題を抱えていた。
また、特許文献2に示すように過充電に伴う温度上昇により熱膨張するマイクロカプセルを正極内に導入した場合、高温保管時にマイクロカプセルが徐々に膨張して正極抵抗を上昇させる為、電池サイクル寿命、高温保存特性が低下するという課題がある。
また、特許文献2に示すように過充電に伴う温度上昇により熱膨張するマイクロカプセルを正極内に導入した場合、高温保管時にマイクロカプセルが徐々に膨張して正極抵抗を上昇させる為、電池サイクル寿命、高温保存特性が低下するという課題がある。
また、特許文献3に示すように過充電に伴う電圧上昇により分解されてガスを発生する化合物を集電体上の正極第1層内に導入した場合、第一層の部分的な構造破壊しか出来ず、電池が最終的には異常発熱状態に至ってしまうという課題がある。
そこで、本発明は、非水電解質電池が過充電状態となった場合に、電池性能を損なうことなく、過充電に伴う異常発熱状態を安定的に抑制することができる非水電解質二次電池用正極および非水電解質電池を提供することを目的としている。
そこで、本発明は、非水電解質電池が過充電状態となった場合に、電池性能を損なうことなく、過充電に伴う異常発熱状態を安定的に抑制することができる非水電解質二次電池用正極および非水電解質電池を提供することを目的としている。
本発明の一態様である非水電解質電池用正極は、非水電解質電池の正極であって、正極集電体と、上記正極集電体上に形成され、構造内にベンゼン環を有し予め設定された高電圧で変質する樹脂と、導電剤とを有する正極第1層と、上記正極第1層上に形成され、正極活物質と導電剤と結着剤とを有する正極第2層と、を備え、上記正極第1層の樹脂が変質して、上記正極第1層と上記正極第2層との電気的接続が遮断されることを特徴とする。
このように、正極第1層に樹脂を有することにより、非水電解質電池が過充電状態となった場合に、過充電に伴う電池電圧の上昇に伴って正極第1層内の樹脂が変質し、正極集電体と正極第1層、正極第1層自体の抵抗上昇、もしくは正極第1層と第2層の界面抵抗上昇を引き起こすことで、正極第1層の樹脂自身が変質することで正極第1層と正極第2層との電気的接触を遮断させる。
また、上記の非水電解質電池用正極において、上記正極第1層の樹脂の変質の開始電圧は、4.4V以上5.3V以下であってもよい。
また、上記の非水電解質電池用正極において、上記正極第1層の樹脂は、ポリエステル、ポリウレタンおよびポリエステルウレタンのうちの少なくとも一つであってもよい。
また、本発明の一態様である非水電解質電池は、上記の非水電解質用正極を備える。
また、上記の非水電解質電池用正極において、上記正極第1層の樹脂は、ポリエステル、ポリウレタンおよびポリエステルウレタンのうちの少なくとも一つであってもよい。
また、本発明の一態様である非水電解質電池は、上記の非水電解質用正極を備える。
本発明によれば、非水電解質電池が過充電状態となった場合に、電池性能を損なうことなく、過充電に伴う異常発熱状態を安定的に抑制することができる。
以下、本発明の実施形態に係る非水電解質電池用正極及び非水電解質電池について図面を参照して説明する。
まず、図1〜図5を参照して、本実施形態に係る非水電解質電池1について説明する。図1および図3に示すように、非水電解質電池1は、電極体10と、非水電解液12と、ラミネートフィルム14とを備える。電極体10は、図2に示すように、膜厚方向に交互に積層された正極102と、負極104とを有し、正極102と負極104との間にはセパレータ106を有する。また、図3に示すように、正極102および負極104のそれぞれ対向する端部には、正極タブ107および負極タブ108が設けられる。
まず、図1〜図5を参照して、本実施形態に係る非水電解質電池1について説明する。図1および図3に示すように、非水電解質電池1は、電極体10と、非水電解液12と、ラミネートフィルム14とを備える。電極体10は、図2に示すように、膜厚方向に交互に積層された正極102と、負極104とを有し、正極102と負極104との間にはセパレータ106を有する。また、図3に示すように、正極102および負極104のそれぞれ対向する端部には、正極タブ107および負極タブ108が設けられる。
<正極>
正極102は、図4に示すように、正極集電体102aと、正極集電体102aの膜厚方向に対向する両表面上に形成された正極第1層102bと、正極第1層102b上に形成された正極第2層102cとを備える。正極102は、正極集電体102aの両表面に第1層102b、正極第1層102bの表面に正極第2層102cがそれぞれ積層された、二層構成の正極である。
正極102は、図4に示すように、正極集電体102aと、正極集電体102aの膜厚方向に対向する両表面上に形成された正極第1層102bと、正極第1層102b上に形成された正極第2層102cとを備える。正極102は、正極集電体102aの両表面に第1層102b、正極第1層102bの表面に正極第2層102cがそれぞれ積層された、二層構成の正極である。
正極第1層102bは、導電剤と、構造内にベンゼン環を有する樹脂とから構成される。
正極第1層102bに含まれる導電剤としては、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ等の公知の材料を使用することができる。
正極第1層102bに含まれる導電剤としては、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ等の公知の材料を使用することができる。
正極第1層102bに含まれる樹脂は、非水電解質電池1が過充電状態となった場合に生じる予め設定された高電圧により変質する樹脂であり、例えば分解、重合、もしくは発泡等により変質する樹脂である。具体的には、構造内にベンゼン環を有する樹脂が好ましく、例えば、構造内にベンゼン環を有するポリエステル、ポリウレタン、ポリエステルウレタン、アクリルポリオールなどが用いられる。なお、正極第1層102bには、これらの樹脂が単独で用いられてもよく、また複数種類の樹脂が混合されて用いられてもよい。なお、樹脂の変質開始電圧は、4.4V以上5.3V以下であることが好ましい。
また、正極第1層102bおよび正極第2層102cを連続的な製造工程で作製する場合には、正極第1層102bの乾燥を短時間で行う必要がある。そのため、正極第1層形成用液体組成物の溶媒には、低沸点溶媒を選定することが望ましく、正極第1層102bの結着剤としては、低沸点溶媒に溶解する樹脂が選定されることが好ましい。
正極第1層102bの作成方法は、まず、上記の導電剤および結着剤を、メチルエチルケトン、トルエンなどの単独溶媒もしくは混合溶媒中で混合する。次いで、混合された導電体と結着剤とを、正極集電体102a上に塗布、乾燥することで正極第1層102bが形成される。
正極第1層102bの作成方法は、まず、上記の導電剤および結着剤を、メチルエチルケトン、トルエンなどの単独溶媒もしくは混合溶媒中で混合する。次いで、混合された導電体と結着剤とを、正極集電体102a上に塗布、乾燥することで正極第1層102bが形成される。
正極集電体102aは、特に限定されるものではなく、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の公知の材質から成る集電体である。
正極第2層102cは、正極活物質と、導電剤と、結着剤とから構成される。
正極活物質は、特に限定されるものではなく、従来公知の活物質を使用することが出来る。正極活物質としては、例えばリチウムイオンを放出出来るリチウム遷移金属複合酸化物を用いることができ、例えば、LiNiO2、LiMnO2、LiCoO2、LiFePO4等を用いることができる。また、正極活物質としては、上記のリチウム遷移金属酸化物を複数混合して使用することもできる。
正極第2層102cは、正極活物質と、導電剤と、結着剤とから構成される。
正極活物質は、特に限定されるものではなく、従来公知の活物質を使用することが出来る。正極活物質としては、例えばリチウムイオンを放出出来るリチウム遷移金属複合酸化物を用いることができ、例えば、LiNiO2、LiMnO2、LiCoO2、LiFePO4等を用いることができる。また、正極活物質としては、上記のリチウム遷移金属酸化物を複数混合して使用することもできる。
導電材および結着剤は、正極第1層102bの導電材および結着剤と同様である。
正極第2層102cの作成方法は、まず、正極活物質、結着剤および導電剤等をN−メチルピロリドンなどの溶媒中で混合する。次いで、混合した正極活物質、結着剤および導電剤を、正極第1層102b上に積層させて塗布し、乾燥することで形成される。
正極第2層102cの作成方法は、まず、正極活物質、結着剤および導電剤等をN−メチルピロリドンなどの溶媒中で混合する。次いで、混合した正極活物質、結着剤および導電剤を、正極第1層102b上に積層させて塗布し、乾燥することで形成される。
<負極>
負極104は、図5に示すように、負極集電体104aと、負極集電体104aの膜厚方向に対向する両表面に形成され、負極活物質を含む負極層104bとを備える。
負極集電体104aは、特に限定されるものではなく、銅箔、ステンレス製の箔などから成る集電体である。
負極104は、図5に示すように、負極集電体104aと、負極集電体104aの膜厚方向に対向する両表面に形成され、負極活物質を含む負極層104bとを備える。
負極集電体104aは、特に限定されるものではなく、銅箔、ステンレス製の箔などから成る集電体である。
負極層104bに含まれる負極活物質は、特に限定されるものではなく、リチウム等の金属材料、ケイ素、スズ等を含有する合金系材料、グラファイト、コークス等の炭素材料のような、リチウムイオンを吸蔵・放出できる化合物を単独または組み合わせたものである。また、負極活物質としてリチウム金属箔を用いる場合、銅等の金属集電体上にリチウム箔を圧着させることで負極層104bが形成される。さらに、負極活物質として合金材料、炭素材料を用いる場合は、負極活物質と結着材および導電助剤等を水、N−メチルピロリドン(NMP)等の溶媒中で混合した後、銅等の金属集電体上に塗布、乾燥することで負極層104bが形成される。
負極層104bの結着材には、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン−ゴム(NBR)、フッ素ゴム等の化学的、物理的に安定な材料が好ましい。また、導電助剤には、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、非晶質炭素等が用いられる。
<セパレータ>
セパレータ106は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン製や芳香族ポリアミド樹脂製の微孔膜または不織布、無機セラミック粉末を含む多孔質の樹脂コートなどである。
ここで、電極体10は、正極102と負極104との間にセパレータ106が設けられるように積層されて形成される。また、正極102の正極集電体102aは、略矩形の形状を有し、略矩形の正極第1層102bおよび正極第2層102cよりも面積が大きくなるように形成され、積層した際に正極第1層102bおよび正極第2層102cから延出する延出部102dを有する。また、負極104の負極集電体104aは、略矩形の形状を有し、略矩形の負極層104bよりも面積が大きくなるように形成され、積層した際に負極層104bから延出する延出部104dを有する。延出部102d,104dは、図2および図3に示すように、正極102、負極104およびセパレータ106が積層された状態において、膜厚方向に水平な方向に対して互いに対向するように設けられる。
セパレータ106は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン製や芳香族ポリアミド樹脂製の微孔膜または不織布、無機セラミック粉末を含む多孔質の樹脂コートなどである。
ここで、電極体10は、正極102と負極104との間にセパレータ106が設けられるように積層されて形成される。また、正極102の正極集電体102aは、略矩形の形状を有し、略矩形の正極第1層102bおよび正極第2層102cよりも面積が大きくなるように形成され、積層した際に正極第1層102bおよび正極第2層102cから延出する延出部102dを有する。また、負極104の負極集電体104aは、略矩形の形状を有し、略矩形の負極層104bよりも面積が大きくなるように形成され、積層した際に負極層104bから延出する延出部104dを有する。延出部102d,104dは、図2および図3に示すように、正極102、負極104およびセパレータ106が積層された状態において、膜厚方向に水平な方向に対して互いに対向するように設けられる。
<正極タブ、負極タブ>
正極タブ107は、アルミニウム、ステンレス、ニッケル等からなり、ラミネートフィルム14から突出した延出部102dと電気的に接合される。負極タブ108は、銅、ニッケル等からなり、ラミネートフィルム14から突出した延出部104dと電気的に接合される。また、正極タブ107および負極タブ108には、変性ポリプロピレンからなる樹脂性のシーラント107a,108aが設けられる。シーラント107a,108aは、正極タブ107および負極タブ108と、ラミネートフィルム14との間の絶縁性を保つ。
正極タブ107は、アルミニウム、ステンレス、ニッケル等からなり、ラミネートフィルム14から突出した延出部102dと電気的に接合される。負極タブ108は、銅、ニッケル等からなり、ラミネートフィルム14から突出した延出部104dと電気的に接合される。また、正極タブ107および負極タブ108には、変性ポリプロピレンからなる樹脂性のシーラント107a,108aが設けられる。シーラント107a,108aは、正極タブ107および負極タブ108と、ラミネートフィルム14との間の絶縁性を保つ。
<非水電解液>
非水電解液12は、特に限定されるものではなく、有機溶媒などの溶媒に支持塩を溶解させたもの、電解質兼溶媒であるイオン液体、そのイオン液体に更に支持塩を溶解させたもの等を用いることができる。
有機溶媒としては、カーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることができる。また、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の混合溶媒を用いることもできる。
非水電解液12は、特に限定されるものではなく、有機溶媒などの溶媒に支持塩を溶解させたもの、電解質兼溶媒であるイオン液体、そのイオン液体に更に支持塩を溶解させたもの等を用いることができる。
有機溶媒としては、カーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることができる。また、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の混合溶媒を用いることもできる。
非水電解液12に用いられる支持塩は、特に限定されるものではなく、例えばLiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、LiN(FSO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiN(CF3SO2)2等が用いられる。
非水電解液12に用いられるイオン液体は、常温で液体である塩であれば特に限定されるものではなく、例えばアルキルアンモニウム塩、ピロリジニウム塩、ピラゾリウム塩、ピペリジニウム塩、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩などが用いられる。また、イオン液体は、広い電位領域において電気化学的に安定であると更に好ましい。
非水電解液12に用いられるイオン液体は、常温で液体である塩であれば特に限定されるものではなく、例えばアルキルアンモニウム塩、ピロリジニウム塩、ピラゾリウム塩、ピペリジニウム塩、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩などが用いられる。また、イオン液体は、広い電位領域において電気化学的に安定であると更に好ましい。
<ラミネートフィルム>
ラミネートフィルム14は、アルミ製のアルミラミネートフィルム等であり、電極体10および非水電解液12を内包し、非水電解液12の漏洩を防止し、電極体10や非水電解液12が外気と接触することを防止する。なお、ラミネートフィルム14は、図4に示すように、延出部102d,104dの先端側を内包せず、延出部102d,104dの先端側がラミネートフィルム14から突出するように形成される。
ラミネートフィルム14は、アルミ製のアルミラミネートフィルム等であり、電極体10および非水電解液12を内包し、非水電解液12の漏洩を防止し、電極体10や非水電解液12が外気と接触することを防止する。なお、ラミネートフィルム14は、図4に示すように、延出部102d,104dの先端側を内包せず、延出部102d,104dの先端側がラミネートフィルム14から突出するように形成される。
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る非水電解質電池1は、正極集電体102aに正極第1層102bおよび正極第2層102cが積層された二層構成の正極102を備える。正極第1層102bは、過充電時の電圧により変質する樹脂を有することにより、過充電状態となった場合に、酸化重合や酸化分解により抵抗層となり、正極第1層102bと正極第2層102cとの電気的接触を遮断する。
以上のように、本実施形態に係る非水電解質電池1は、正極集電体102aに正極第1層102bおよび正極第2層102cが積層された二層構成の正極102を備える。正極第1層102bは、過充電時の電圧により変質する樹脂を有することにより、過充電状態となった場合に、酸化重合や酸化分解により抵抗層となり、正極第1層102bと正極第2層102cとの電気的接触を遮断する。
このため、過電流に伴うジュール熱の発生、や電池内物質どうしの化学反応を抑えることができる。また、このような酸化重合や酸化分解は、酸化重合や酸化分解が終わっても、正極第1層102bと正極第2層102cとの電気的接触は遮断された状態となるため、長時間にわたって充電が行われても、過充電が進行せず電池内部での異常発熱状態を防止することができる。このため、本実施形態に係る非水電解質電池1は、過充電に伴う異常発熱状態を安定的に抑制することができる。
また、本実施形態に係る非水電解質電池1は、過充電による電圧上昇によって、電池内部の抵抗を上げる。このため、本実施形態に係る非水電解質電池1は、高温保管時においても、電池サイクル寿命および高温保存特性が低下することがないため、電池性能を損なわずに、安全性を確保することができる。
さらに、正極第1層102bの調液工程では、樹脂と導電材とを溶媒中で混合させるだけでよいため、調液工程が煩雑化することなく、さらに添加材料導入によるコスト上昇を回避することができる。
さらに、樹脂として、低沸点溶媒に溶解可能な樹脂を適用することで、正極第1層102bの乾燥時間を短縮化できて、正極第1層102bと正極第2層102cの連続塗工によるコスト低減も可能となる。
さらに、正極第1層102bの調液工程では、樹脂と導電材とを溶媒中で混合させるだけでよいため、調液工程が煩雑化することなく、さらに添加材料導入によるコスト上昇を回避することができる。
さらに、樹脂として、低沸点溶媒に溶解可能な樹脂を適用することで、正極第1層102bの乾燥時間を短縮化できて、正極第1層102bと正極第2層102cの連続塗工によるコスト低減も可能となる。
<変形例>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、非水電解質電池1は、複数の正極102および複数の負極104を備える構成としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、非水電解質電池1は、正極102と、セパレータ106と、負極104と、が一枚ずつ順に積層された電池であってもよい。
また、上記実施形態では、非水電解質電池1は、電極体10がラミネートフィルム14に覆われたとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、電極体10および非水電解液12について、非水電解液12の漏洩や外気の進入が防止されれば、ラミネートフィルム14の代わりにアルミニウムやステンレス製の角型または円筒型の容器を用いてもよい。また、この際、非水電解質電池1は、正極102と、セパレータ106と、負極104と、が一枚ずつ順に積層され、アルミニウム製の円筒型の容器に収容されたコイン電池でもよい。
また、上記実施形態では、非水電解質電池1は、電極体10がラミネートフィルム14に覆われたとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、電極体10および非水電解液12について、非水電解液12の漏洩や外気の進入が防止されれば、ラミネートフィルム14の代わりにアルミニウムやステンレス製の角型または円筒型の容器を用いてもよい。また、この際、非水電解質電池1は、正極102と、セパレータ106と、負極104と、が一枚ずつ順に積層され、アルミニウム製の円筒型の容器に収容されたコイン電池でもよい。
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
<実施例1>
[正極作成]
実施例1では、まず、アセチレンブラック(HS−100,電気化学工業製)50質量部、ベンゼン環を構造内に有するポリエステルA(分子量:22000,Tg:72℃)50質量部を、メチルエチルケトン(MEK)とトルエンの混合溶媒に添加し、分散処理を行い、均質なペーストを調製した。このペーストを正極集電体102aであるアルミニウム箔集電体(20μm厚)上にグラビアコーター等の塗工機で塗布し、乾燥処理を行うことで、正極第1層102bを得た。乾燥処理後の正極第1層102bの膜厚は、片面で1〜2μm、両面で2〜4μmであった。
<実施例1>
[正極作成]
実施例1では、まず、アセチレンブラック(HS−100,電気化学工業製)50質量部、ベンゼン環を構造内に有するポリエステルA(分子量:22000,Tg:72℃)50質量部を、メチルエチルケトン(MEK)とトルエンの混合溶媒に添加し、分散処理を行い、均質なペーストを調製した。このペーストを正極集電体102aであるアルミニウム箔集電体(20μm厚)上にグラビアコーター等の塗工機で塗布し、乾燥処理を行うことで、正極第1層102bを得た。乾燥処理後の正極第1層102bの膜厚は、片面で1〜2μm、両面で2〜4μmであった。
次いで、LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2(日本化学産業製)92質量部、アセチレンブラック(HS−100,電気化学工業製)5質量部、ポリフッ化ビニリデン(♯7200,クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン製)3質量部をN−メチルピロリドン(NMP)に添加し、分散処理を行い、均質なペーストを調製した。このペーストを正極第1層102b上にダイコーター等の塗工機で塗布し、乾燥処理を行うことで、正極第2層102cを得た。乾燥処理後の正極第2層102cの膜厚は、片面で70μm、両面で140μmであった。正極第2層102cの密度が約3.3g/cm3になるように、乾燥処理後の正極102をロールプレス機で加圧処理した。
[負極作製]
さらに、負極活物質として球状天然黒鉛(SMG,日立化成製)96質量部、導電助剤として気相成長炭素繊維(VGCF−H,昭和電工製)2質量部、結着材としてスチレンブタジエンラバー(BM−400B,日本ゼオン製)2質量部を、カルボキシメチルセルロース水溶液(DN800−H,ダイセル製)に添加し、分散処理を行い、均一なペーストを調製した。なお、カルボキシメチルセルロースは上記組成の総重量部100に対して1重量部になるように調製した。このペーストを負極集電体104aである銅箔集電体(12μm厚)上にダイコーター等の塗工機で塗布し、乾燥処理を行うことで、負極層104bを得た。乾燥処理後の負極104は、片面で60μm、両面で120μmであった。負極層104bの密度が約1.7g/cm3になるように、乾燥処理後の負極ロールプレス機で加圧処理した。
さらに、負極活物質として球状天然黒鉛(SMG,日立化成製)96質量部、導電助剤として気相成長炭素繊維(VGCF−H,昭和電工製)2質量部、結着材としてスチレンブタジエンラバー(BM−400B,日本ゼオン製)2質量部を、カルボキシメチルセルロース水溶液(DN800−H,ダイセル製)に添加し、分散処理を行い、均一なペーストを調製した。なお、カルボキシメチルセルロースは上記組成の総重量部100に対して1重量部になるように調製した。このペーストを負極集電体104aである銅箔集電体(12μm厚)上にダイコーター等の塗工機で塗布し、乾燥処理を行うことで、負極層104bを得た。乾燥処理後の負極104は、片面で60μm、両面で120μmであった。負極層104bの密度が約1.7g/cm3になるように、乾燥処理後の負極ロールプレス機で加圧処理した。
[ラミネート電池作製]
得られた正極102を図6、負極104を図7に示すようにそれぞれ打ち抜いた。尚、正極寸法は60mm×80mmとし、端部10mm×80mmは正極集電体102aの延出部102dとした。負極寸法は62mm×82mmとし、端部12mm×82mmは負極集電体104aの延出部104dとした。
得られた正極102を図6、負極104を図7に示すようにそれぞれ打ち抜いた。尚、正極寸法は60mm×80mmとし、端部10mm×80mmは正極集電体102aの延出部102dとした。負極寸法は62mm×82mmとし、端部12mm×82mmは負極集電体104aの延出部104dとした。
作製した各電極を、図8および図9に示すように、セパレータ106であるポリエチレン製セパレータ(ハイポア,旭化成イーマテリアルズ製)で包み、各電極を図3と同様に積層し、正極タブ107および負極タブ108を付けて1体の電極体とした。正極タブ107にはアルミニウムタブ(4mm×92mm、厚み150μm)を、負極タブ108にはニッケルタブ(4mm×92mm、厚み150μm)をそれぞれ使用した。
得られた電極体10は、ラミネートフィルム14であるアルミラミネートフィルムに内包した。そこに、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比で3:7に混合した混合有機溶媒中にLiPF6が1モル/L濃度になるように添加し、更にビニレンカーボネートを重量比で2%添加して調製した非水電解液12を注入し、アルミラミネートフィルムを熱溶着し電池を作製した。
[コイン電池の作製]
さらに、正極第1層102bの電位分解を調査するために、上記のラミネート電池の他にコイン電池を作製した。コイン電池の正極102は、上記のラミネート電池の積層方法と同様の方法で、正極集電体102aの片面にのみ正極第1層102bが積層されることで作成される。得られた正極第1層102bが片面にのみ塗布された正極102を、直径13.5mmに打抜き、さらに負極104として直径15mmのリチウム箔を用意した。セパレータ106であるポリエチレン製セパレータ(ハイポア,旭化成イーマテリアルズ製)を正極102および負極104を挟み込み電極体10とし、さらに、電極体10を正極缶16aおよび負極缶16bで挟み込んだ。
さらに、正極第1層102bの電位分解を調査するために、上記のラミネート電池の他にコイン電池を作製した。コイン電池の正極102は、上記のラミネート電池の積層方法と同様の方法で、正極集電体102aの片面にのみ正極第1層102bが積層されることで作成される。得られた正極第1層102bが片面にのみ塗布された正極102を、直径13.5mmに打抜き、さらに負極104として直径15mmのリチウム箔を用意した。セパレータ106であるポリエチレン製セパレータ(ハイポア,旭化成イーマテリアルズ製)を正極102および負極104を挟み込み電極体10とし、さらに、電極体10を正極缶16aおよび負極缶16bで挟み込んだ。
正極缶16aおよび負極缶16bで挟み込んだ電極体10に、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比で3:7に混合した混合有機溶媒中にLiPF6が1モル/L濃度になるように添加し、更にビニレンカーボネートを重量比で2%添加して調製した非水電解液12を注入し、さらにガスケット18で封入することで、図10に示すようにコイン型電池を作製した。
<実施例2>
実施例2では、正極第1層102bの樹脂として、実施例1のポリエステルAに代えて、ベンゼン環を構造内に有するポリエステルB(分子量:11000,Tg:36℃)を使用した。それ以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。
<実施例3>
実施例3では、正極第1層102bの樹脂として、実施例1のポリエステルAのうち50質量部をポリエステルBに代えて使用した。それ以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。
実施例2では、正極第1層102bの樹脂として、実施例1のポリエステルAに代えて、ベンゼン環を構造内に有するポリエステルB(分子量:11000,Tg:36℃)を使用した。それ以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。
<実施例3>
実施例3では、正極第1層102bの樹脂として、実施例1のポリエステルAのうち50質量部をポリエステルBに代えて使用した。それ以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。
<実施例4>
正極第1層102bの樹脂として、実施例1のポリエステルAを使用し、その樹脂をイソシアネート系硬化剤で熱架橋し、ポリウレタンまたは、ポリエステルウレタンを作製した。それ以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。
<実施例5>
正極第1層102bの樹脂として、ポリエステルBを使用し、その樹脂をイソシアネート系硬化剤で熱架橋し、ポリウレタンまたは、ポリエステルウレタンを作製した。それ以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。
正極第1層102bの樹脂として、実施例1のポリエステルAを使用し、その樹脂をイソシアネート系硬化剤で熱架橋し、ポリウレタンまたは、ポリエステルウレタンを作製した。それ以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。
<実施例5>
正極第1層102bの樹脂として、ポリエステルBを使用し、その樹脂をイソシアネート系硬化剤で熱架橋し、ポリウレタンまたは、ポリエステルウレタンを作製した。それ以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。
<実施例6>
正極第1層102bの樹脂として、実施例1のポリエステルAのうち50質量部をポリエステルBに代えて使用し、それらの樹脂をイソシアネート系硬化剤で熱架橋し、ポリウレタンまたは、ポリエステルウレタンを作製した。それ以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。
正極第1層102bの樹脂として、実施例1のポリエステルAのうち50質量部をポリエステルBに代えて使用し、それらの樹脂をイソシアネート系硬化剤で熱架橋し、ポリウレタンまたは、ポリエステルウレタンを作製した。それ以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。
<比較例1>
図11に示すように、正極第1層102bを形成することなく、正極集電体102aであるアルミニウム箔集電体(20μm厚)上にLiNi0.5Co0.2Mn0.3O2(日本化学産業製)92質量部、アセチレンブラック(HS−100,電気化学工業製)5質量部、ポリフッ化ビニリデン(♯7200,クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン製)3質量部から成る正極第2層102cを直接形成した正極102を使用した。それ以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。
図11に示すように、正極第1層102bを形成することなく、正極集電体102aであるアルミニウム箔集電体(20μm厚)上にLiNi0.5Co0.2Mn0.3O2(日本化学産業製)92質量部、アセチレンブラック(HS−100,電気化学工業製)5質量部、ポリフッ化ビニリデン(♯7200,クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン製)3質量部から成る正極第2層102cを直接形成した正極102を使用した。それ以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。
<評価方法>
[正極評価]
正極評価として、正極第1層102bの電気化学的挙動の調査を行った。具体的には、正極第1層102bを作用極、リチウム金属を対極とした2極セル(コイン型電池)を作製し、ポテンショ/ガルバノスタット装置(1287型,Solartron社製)と周波数応答アナライザ(1260型,Solartron社製)を用いて、掃引速度5mV/s、電位範囲3.0〜6.0Vで掃引することで、サイクリックボルタンメトリー(Cyclic Voltammetry,CV)測定を実施した。
[正極評価]
正極評価として、正極第1層102bの電気化学的挙動の調査を行った。具体的には、正極第1層102bを作用極、リチウム金属を対極とした2極セル(コイン型電池)を作製し、ポテンショ/ガルバノスタット装置(1287型,Solartron社製)と周波数応答アナライザ(1260型,Solartron社製)を用いて、掃引速度5mV/s、電位範囲3.0〜6.0Vで掃引することで、サイクリックボルタンメトリー(Cyclic Voltammetry,CV)測定を実施した。
上記のコイン型電池のCV測定において、酸化電流が0.05mA/cm2観測された時点の電圧を、正極第1層102bが含有する樹脂の酸化開始電位とした。
[過充電試験]
各ラミネート電池を10個作製し、初めに定電流充電にて電池電圧が4.2Vになるまで充電し、満充電とした。その後、1C充電にて、所定の時間(例えば1.5時間)過充電試験を行い、電池の発煙・発火個数を調査した。なお、所定時間内に電池電圧が充放電装置の上限電圧に達した場合は、その時点で試験終了とした。
[過充電試験]
各ラミネート電池を10個作製し、初めに定電流充電にて電池電圧が4.2Vになるまで充電し、満充電とした。その後、1C充電にて、所定の時間(例えば1.5時間)過充電試験を行い、電池の発煙・発火個数を調査した。なお、所定時間内に電池電圧が充放電装置の上限電圧に達した場合は、その時点で試験終了とした。
<試験結果>
[試験結果1]
CV測定による測定結果を表1に示す。表1に示すコイン型電池のCV特性から、ポリエステルAおよびポリエステルBの少なくとも一方を使用した実施例1〜3の正極第1層102bが4.41V以上の比較的低電位から酸化反応を生じることを確認した。更に、ポリエステルAおよびポリエステルBの少なくとも一方を熱架橋した実施例4〜6の正極第1層102bにおいても同様の結果であることを確認した。
[試験結果1]
CV測定による測定結果を表1に示す。表1に示すコイン型電池のCV特性から、ポリエステルAおよびポリエステルBの少なくとも一方を使用した実施例1〜3の正極第1層102bが4.41V以上の比較的低電位から酸化反応を生じることを確認した。更に、ポリエステルAおよびポリエステルBの少なくとも一方を熱架橋した実施例4〜6の正極第1層102bにおいても同様の結果であることを確認した。
[試験結果2]
過充電試験の結果を表2に示す。表2に示す過充電試験の結果から、実施例1〜6においては、発煙・発火は見られなかったが、正極第1層102bの無い比較例1のラミネート電池においては、全ての非水電解質電池で発煙または発火が見られた。
実施例1〜6の正極第1層102bのある電池は、電位により下地層が酸化重合あるいは酸化分解するために抵抗層となり、正極第1層と正極第2層との電気的接触が遮断され、過電流に伴うジュール熱の発生、電池内物質どうしの化学反応がほぼ無く、過充電試験が終了したものと考えられる。
過充電試験の結果を表2に示す。表2に示す過充電試験の結果から、実施例1〜6においては、発煙・発火は見られなかったが、正極第1層102bの無い比較例1のラミネート電池においては、全ての非水電解質電池で発煙または発火が見られた。
実施例1〜6の正極第1層102bのある電池は、電位により下地層が酸化重合あるいは酸化分解するために抵抗層となり、正極第1層と正極第2層との電気的接触が遮断され、過電流に伴うジュール熱の発生、電池内物質どうしの化学反応がほぼ無く、過充電試験が終了したものと考えられる。
一方、正極第1層102bの無い比較例1の非水電解質電池は、過充電時も過電流に伴うジュール熱が発生し、電池内物質どうしの化学反応が進行し、電池内部の蓄熱の結果、異常発熱状態に至り、発煙・発火したものと考えられる。
以上の結果から、正極第1層102bを導入しない正極第2層102cのみから成る正極を使用する場合と比較して、4.4V以上に酸化開始電位を有する樹脂を正極第1層102bに採用して、正極第2層102cを積層した正極102を使用することで、非水電解質電池1が過充電状態において、抵抗上昇を生じ、異常発熱状態に至らないことが確認された。よって、実施例1〜6に示す樹脂から構成される正極第1層102bを使用した正極102を使用した非水電解質電池1は、異常発熱状態抑止能力に優れた電池であることが確認された。
以上の結果から、正極第1層102bを導入しない正極第2層102cのみから成る正極を使用する場合と比較して、4.4V以上に酸化開始電位を有する樹脂を正極第1層102bに採用して、正極第2層102cを積層した正極102を使用することで、非水電解質電池1が過充電状態において、抵抗上昇を生じ、異常発熱状態に至らないことが確認された。よって、実施例1〜6に示す樹脂から構成される正極第1層102bを使用した正極102を使用した非水電解質電池1は、異常発熱状態抑止能力に優れた電池であることが確認された。
また、実施例1〜6において、正極第1層102bの樹脂がメチルエチルケトンやトルエンなどの低沸点溶媒に可溶であるため、正極第1層102bの塗布、乾燥工程を非常に短時間で完了することが可能である。よって、実施例1〜6の非水電解質電池1は、正極第1層102bおよび正極第2層102cを連続製造工程で作製することが出来て、電極製造コストの上昇も抑制可能であることが確認された。
1 :非水電解質電池
10 :電極体
12 :非水電解液
14 :ラミネートフィルム
16a :正極缶
16b :負極缶
18 :ガスケット
102 :正極
102a :正極集電体
102b :正極第1層
102c :正極第2層
102d :延出部
104 :負極
104a :負極集電体
104b :負極層
104d :延出部
106 :セパレータ
107 :正極タブ
107a :シーラント
108 :負極タブ
108a :シーラント
10 :電極体
12 :非水電解液
14 :ラミネートフィルム
16a :正極缶
16b :負極缶
18 :ガスケット
102 :正極
102a :正極集電体
102b :正極第1層
102c :正極第2層
102d :延出部
104 :負極
104a :負極集電体
104b :負極層
104d :延出部
106 :セパレータ
107 :正極タブ
107a :シーラント
108 :負極タブ
108a :シーラント
Claims (4)
- 非水電解質電池の正極であって、
正極集電体と、
前記正極集電体上に形成され、構造内にベンゼン環を有し予め設定された高電圧で変質する樹脂と、導電剤とを有する正極第1層と、
前記正極第1層上に形成され、正極活物質と導電剤と結着剤とを有する正極第2層と、を備え、
前記正極第1層の樹脂が変質することで、前記正極第1層と前記正極第2層との電気的接続が遮断されることを特徴とする非水電解質用正極。 - 前記正極第1層の樹脂の変質の開始電圧は、4.4V以上5.3V以下であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質用正極。
- 前記正極第1層の樹脂は、ポリエステル、ポリウレタンおよびポリエステルウレタンのうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1又は2に記載の非水電解質用正極。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質用正極を備えた非水電解質電池。
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WO2017195331A1 (ja) * | 2016-05-12 | 2017-11-16 | エリーパワー株式会社 | 非水電解質二次電池用正極及び非水電解質二次電池 |
JP2019149268A (ja) * | 2018-02-27 | 2019-09-05 | トヨタ自動車株式会社 | 電池システム |
WO2023191241A1 (ko) * | 2022-03-29 | 2023-10-05 | 주식회사 엘지에너지솔루션 | 양극 및 이를 포함하는 전지 |
-
2014
- 2014-04-23 JP JP2014089648A patent/JP2015210846A/ja active Pending
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JPWO2017195331A1 (ja) * | 2016-05-12 | 2019-03-14 | エリーパワー株式会社 | 非水電解質二次電池用正極及び非水電解質二次電池 |
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