JP2007172947A - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温下などの厳しい条件下での非水電解質二次電池の保存時または使用時、または4.25V以上の高充電電圧を有する非水電解質二次電池の使用時などに生じるガス発生を抑制する。
【解決手段】非水電解質電池に用いる電解質の溶媒として、少なくともプロピレンカーボネート、エチレンカーボネートおよび添加剤が含まれ、プロピレンカーボネートがエチレンカーボネートに対して過剰に混合されるように構成し、この溶媒にビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロエチレンカーボネート、スピロジラクトンおよび無水コハク酸からなる群より選択される少なくとも1種の添加剤を添加する。
【選択図】なし
【解決手段】非水電解質電池に用いる電解質の溶媒として、少なくともプロピレンカーボネート、エチレンカーボネートおよび添加剤が含まれ、プロピレンカーボネートがエチレンカーボネートに対して過剰に混合されるように構成し、この溶媒にビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロエチレンカーボネート、スピロジラクトンおよび無水コハク酸からなる群より選択される少なくとも1種の添加剤を添加する。
【選択図】なし
Description
この発明は、非水電解質二次電池に関し、特に高温等の厳しい条件下または4.25V以上の高充電電圧時におけるガス発生を抑制した非水電解質二次電池に関する。
近年、携帯電話、ノートブック型パソコンなどをはじめとする電子機器のコードレス化、ポータブル化が進み、薄型、小型、軽量の携帯電子機器が次々と開発されている。また、機器や機能の多様化によって電力使用量が増加しており、それら電子機器のエネルギー源である電池のより一層の高容量化・軽量化に対する要求が高まっている。
そこで、この要求に応えるべく、非水電解質二次電池、中でもリチウムイオンのドープ・脱ドープを利用したリチウムイオン二次電池に関して、種々の提案がなされている。
リチウムイオン二次電池は、正極材料として、例えば、LiCoO2やLiNiO2等のリチウム複合酸化物を用いた正極活物質層が正極集電体上に形成された正極と、リチウムをドープ・脱ドープ可能な例えばグラファイトや難黒鉛化性炭素材料等の炭素系材料を用いた負極活物質層が負極集電体上に形成された負極とを有している。この正極および負極はセパレータを介して積層され、屈曲または巻回されて電池素子とされる。この電池素子は、リチウム塩を非プロトン性有機溶媒に溶解させてなる非水電解液または、非水電解液をマトリクスポリマーにてゲル化させたポリマー電解質とともに、例えばラミネートフィルムからなる外装体に収容されて電池が構成されており、端子電圧が2.5〜4.2V程度で用いられる。
非水電解液またはポリマー電解質には、以下の特許文献1で示されるように、プロピレンカーボネート(PC)およびエチレンカーボネート(EC)を含む混合溶媒が用いられ、電解質としてはLiPF6、LiBF4等が用いられる。
上記特許文献1には、リチウムの充放電効率が高く、かつ取り扱い性に優れ、リチウムイオン二次電池の電解液として良好に適応する有機溶媒として、プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートとの混合比を2:8〜9:1(容量比)、好ましくは3:7〜6:4とした混合溶媒が記載されている。
しかしながら、上述のような充電終止電圧4.2V以下のリチウムイオン二次電池では、その理論容量の全てが充放電に充分に活用されているとは言えず、6割程度の容量を活用しているに過ぎない。そこで、リチウムイオン電池の電池特性をさらに向上させるために、リチウムイオン二次電池の充電終止電圧を4.25V以上とさらに高くした電池が以下の特許文献2に記載されている。
このように、電池の充電終止電圧を4.25V以上6.0V以下とすることにより、炭素材料の層間にドープ・脱ドープするリチウム量が増大し、リチウムイオン二次電池の高容量化・高エネルギー密度化を図ることができる。
しかしながら、電池の充電終止電圧を4.25V以上6.0V以下程度に高くすることにより、正極活物質は高い電位を有し、正極活物質と接触する電解液は強い酸化環境にさらされることになる。その結果、耐酸化性の乏しい電解液ではより一層酸化分解が加速し、二酸化炭素(CO2)を主体とするガスが発生してしまうという問題が生じる。その結果、電池特性や充放電効率、充放電サイクル寿命の劣化が生じる。これらは、主にエチレンカーボネートの酸化分解が原因であると考える。
また、充電終止電圧4.2V以下のリチウムイオン二次電池であっても、高温などの厳しい条件下で保存または使用する場合には電池内部でガスが発生してしまう。さらに、負極活物質上において、プロピレンカーボネートが還元分解され、プロピレン等のガスが発生するという問題も生じる。
たとえば外装材としてラミネートフィルムを用いた非水電解質二次電池の場合、ガスが発生すると電池膨れが生じてしまい、電子機器の電池収納部の規格に合わなくなるといった問題が生じるおそれがある。
したがって、この発明の目的は、高温などの厳しい条件下で保存または使用する場合または電池の充電電圧を4.25V以上6.0V以下程度に高くする場合において、電解液の分解によるガス発生を抑制し、高い電池特性を有する非水電解質二次電池を提供することにある。
上記課題を解決するために、この発明は、正極および負極と、正極と負極との間に設けられた電解質とを備えた非水電解質二次電池であって、電解質は、プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートと添加剤とを少なくとも含有し、プロピレンカーボネートがエチレンカーボネートに対して過剰に混合され、添加剤としては、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロエチレンカーボネート、スピロジラクトンおよび無水コハク酸からなる群より選択される少なくとも1種を用いることを特徴とする非水電解質二次電池である。なお、過剰とは、エチレンカーボネートに対するプロピレンカーボネートの質量比率が1.00を超えるようにしたことをいう。また、電解質としては、典型的にはゲル状の電解質を用いることができる。
プロピレンカーボネートは、エチレンカーボネートと比較して酸化環境下で安定である。このため、プロピレンカーボネートがエチレンカーボネートに対して過剰に混合される構成とすることにより、正極上での電解質の酸化分解を抑制することができる。
また、上述の添加剤を含有させることにより、プロピレンカーボネートが分解する前に添加剤が分解して負極活物質表面に皮膜を形成し、負極上でのプロピレンカーボネートの還元分解を抑制することができる。
上述の非水電解質二次電池は、満充電状態における単セルあたりの開回路電圧が4.20V以上6.0V以下であることが好ましい。
また、上述の非水電解質二次電池は、満充電状態における単セルあたりの開回路電圧が4.25V以上6.0V以下であることが好ましい。
また、上述の非水電解質二次電池は、エチレンカーボネートに対するプロピレンカーボネートの質量比率が1.50以上9.00以下であることが好ましい。
また、上述の非水電解質二次電池は、添加剤としてビニレンカーボネートを用いる場合、その添加量が、0.05wt%以上3.0wt%以下であることが好ましい。
また、上述の非水電解質二次電池は、添加剤としてビニルエチレンカーボネートを用いる場合、その添加量が、0.05wt%以上3.0wt%以下であることが好ましい。
また、上述の非水電解質二次電池は、添加剤として4−フルオロエチレンカーボネートを用いる場合、その添加量が、0.05wt%以上2.0wt%以下であることが好ましい。
また、上述の非水電解質二次電池は、添加剤としてスピロジラクトンを用いる場合、その添加量が、0.05wt%以上3.0wt%以下であることが好ましい。
また、上述の非水電解質二次電池は、添加剤として無水コハク酸を用いる場合、その添加量が、0.05wt%以上3.0wt%以下であることが好ましい。
この発明によれば、二酸化炭素を主とするガスの発生を抑制することができる。ラミネートフィルム等の外装材に収容されるようにした非水電解質二次電池の場合には、外装材の膨れを抑制することができる。
以下、この発明の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、この発明の一実施の形態による非水電解質二次電池の構成を示す模式図である。この非水電解質二次電池10は、電池素子7が、外装材であるラミネートフィルム8に形成された凹部である電池素子収容部8aに収容されて外装されており、電池素子7の周辺部を封止することにより作製されている。以下、電池素子7の構成について説明する。
[電池素子]
図2に電池素子7の外観を示す。この電池素子7は、帯状の正極1と、セパレータ3aと、正極1と対向して配された帯状の負極2と、セパレータ3bとが順に積層され(以下、特定のセパレータを示さない場合はセパレータ3と適宜称する。)、長手方向に巻回されている。電池素子7からは正極1と接続された正極端子5aおよび負極2と接続された負極端子5bが導出されており、正極端子5aおよび負極端子5bには後に外装するラミネートフィルム8との接着性を向上させるために、ポリエチレン(PE)等の樹脂片からなるシーラント6aおよび6bを配置する。
図2に電池素子7の外観を示す。この電池素子7は、帯状の正極1と、セパレータ3aと、正極1と対向して配された帯状の負極2と、セパレータ3bとが順に積層され(以下、特定のセパレータを示さない場合はセパレータ3と適宜称する。)、長手方向に巻回されている。電池素子7からは正極1と接続された正極端子5aおよび負極2と接続された負極端子5bが導出されており、正極端子5aおよび負極端子5bには後に外装するラミネートフィルム8との接着性を向上させるために、ポリエチレン(PE)等の樹脂片からなるシーラント6aおよび6bを配置する。
[外装材]
外装材としては、例えば、融着層、金属層、表面保護層を順次積層した積層構造を有するラミネートフィルム8を用いる。融着層は高分子フィルムからなり、この高分子フィルムを構成する材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)が挙げられる。金属層は金属箔からなり、この金属箔を構成する材料としては、例えばアルミニウム(Al)が挙げられる。また、金属箔を構成する材料としては、アルミニウム以外の金属を用いることも可能である。表面保護層を構成する材料としては、例えばナイロン(Ny)、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。なお、融着層側の面が、電池素子7を収容する側の収容面となる。また、電池素子収容部8aは、融着層側から深絞り等を施すことによって設ける。
外装材としては、例えば、融着層、金属層、表面保護層を順次積層した積層構造を有するラミネートフィルム8を用いる。融着層は高分子フィルムからなり、この高分子フィルムを構成する材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)が挙げられる。金属層は金属箔からなり、この金属箔を構成する材料としては、例えばアルミニウム(Al)が挙げられる。また、金属箔を構成する材料としては、アルミニウム以外の金属を用いることも可能である。表面保護層を構成する材料としては、例えばナイロン(Ny)、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。なお、融着層側の面が、電池素子7を収容する側の収容面となる。また、電池素子収容部8aは、融着層側から深絞り等を施すことによって設ける。
[正極]
正極1は、正極活物質を含有する正極活物質層1aが、正極集電体1bの表面に形成されたものである。正極集電体1bとしては、例えばアルミニウム(Al)箔、ニッケル(Ni)箔あるいは、ステンレス(SUS)箔などの金属箔を用いることができる。
正極1は、正極活物質を含有する正極活物質層1aが、正極集電体1bの表面に形成されたものである。正極集電体1bとしては、例えばアルミニウム(Al)箔、ニッケル(Ni)箔あるいは、ステンレス(SUS)箔などの金属箔を用いることができる。
正極活物質1aは、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能な1種または2種以上の正極活物質を含有しており、必要に応じて導電剤および結着剤を含んで構成されている。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、リチウム酸化物、リチウムリン酸化物、リチウム硫化物などのリチウム含有遷移金属化合物が適当である。エネルギー密度を高くするには、リチウムと遷移金属元素と酸素(O)とを含むリチウム含有遷移金属酸化物が好ましく、中でも、遷移金属元素として、コバルト(Co),ニッケル,マンガン(Mn)および鉄(Fe)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものであればより好ましい。このようなリチウム含有遷移金属化合物としては、例えば、以下の化1に示したリチウム含有遷移金属酸化物、あるいは化2に示したリチウム複合リン酸塩などが挙げられ、具体的には、LiNi0.50Co0.20Mn0.30O2、LiCoO2、LiNiO2、LiNicCo1-cO2(0<c<1)、LiMn2O4あるいはLiFePO4などがある。
[化1]LipNi(1-q-r)MnqM1rO(2-y)Xz
式中、M1は、Ni,Mnを除く2族〜15族から選ばれる元素のうち少なくとも一種を、Xは酸素(O)以外の16族元素および17族元素のうち少なくとも1種を示す。p,q,y,zは0≦p≦1.5,0≦q≦1.0,0≦r≦1.0,−0.10≦y≦0.20,0≦z≦0.2の範囲内の値である。
式中、M1は、Ni,Mnを除く2族〜15族から選ばれる元素のうち少なくとも一種を、Xは酸素(O)以外の16族元素および17族元素のうち少なくとも1種を示す。p,q,y,zは0≦p≦1.5,0≦q≦1.0,0≦r≦1.0,−0.10≦y≦0.20,0≦z≦0.2の範囲内の値である。
[化2]LiaM2bPO4
式中、M2は、2族〜15族から選ばれる元素のうち少なくとも一種を示す。a,bは0≦a≦2.0,0.5≦b≦2.0の範囲内の値である。
式中、M2は、2族〜15族から選ばれる元素のうち少なくとも一種を示す。a,bは0≦a≦2.0,0.5≦b≦2.0の範囲内の値である。
導電剤としては、例えばカーボンブラックあるいはグラファイトなどの炭素材料等が用いられる。また、結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等が用いられる。
上述の正極活物質、結着剤、導電剤を均一に混合して正極合剤とし、この正極合剤を溶剤中に分散させてスラリー状の正極合剤とする。次いで、この正極合剤スラリーをドクターブレード法等により正極集電体上に均一に塗布した後、高温で乾燥させて溶剤を除去することにより正極活物質層1aが形成される。なお、溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン等が用いられる。
正極1は、正極集電体1bの一端部にスポット溶接または超音波溶接で接続された正極端子5aを有している。この正極端子5aは金属箔が望ましいが、電気化学的および化学的に安定であり、導通がとれるものであれば金属でなくとも問題はない。正極端子5aの材料としては、例えばアルミニウム等が挙げられる。
[負極]
負極2は、負極活物質を含有する負極活物質層2aが、負極集電体2bの両面上に形成されたものである。負極集電体2bとしては、例えば銅(Cu)箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。
負極2は、負極活物質を含有する負極活物質層2aが、負極集電体2bの両面上に形成されたものである。負極集電体2bとしては、例えば銅(Cu)箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。
負極活物質層2aは、例えばリチウムを吸蔵および放出することが可能な1種または2種以上の負極活物質を含有しており、必要に応じて導電剤および結着剤を含有して構成されている。これらを均一に混合して負極合剤とし、この負極合剤を溶剤中に分散させてスラリー状の負極合剤とする。次にこの負極合剤スラリーをドクターブレード法等により負極集電体上に均一に塗布し、高温で乾燥させて溶剤を除去することにより負極活物質層が形成される。
なお、この一実施の形態で用いる非水電解質二次電池は、その充電電圧が4.25V以上6.0V以下、たとえば4.25V以上4.6V以下、具体的には、たとえば4.25V以上4.4V以下という高い電圧になるよう設計されている。充電電圧を従来の4.2Vと比較して高くすることにより、これまで活用されなかった正極活物質の容量を活用することができる。すなわち、正極活物質の単位質量あたりのリチウム放出量が増大して、負極活物質に吸蔵されるため、高容量化・高エネルギー密度化が可能となる。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極活物質としては、リチウム金属、リチウム合金またはリチウムをドープ・脱ドープ可能な炭素材料または金属系材料と炭素系材料との複合材料が用いられる。具体的に、リチウムをドープ・脱ドープ可能な炭素材料としてはグラファイト、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素等が挙げられる。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス)、黒鉛類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体(フェノール樹脂、フラン樹脂等の高分子材料を適当な温度で焼成し炭素化したもの)、炭素繊維、活性炭等の炭素材料を使用することができる。
これら炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好なサイクル特性を得ることができるので好ましい。特に黒鉛は、容量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができ好ましい。また、難黒鉛化性炭素は、優れた特性が得られるので好ましい。更にまた、充放電電位が低いもの、具体的には充放電電位がリチウム金属に近いものが、電池の高エネルギー密度化を容易に実現することができるので好ましい。
また、リチウムと合金化可能な材料としては多様な種類の金属等が使用可能であるが、リチウム金属、またはリチウムと合金を形成可能な金属、半金属、合金および化合物を用いることができる。金属リチウムを使用する場合は、必ずしも粉体を結着剤で塗布膜にする必要はなく、圧延したリチウム金属箔を集電体に圧着する方法でも構わない。これら材料は、高いエネルギー密度を得ることができるため好ましい。また、上述の炭素材料とともに用いることにより、高エネルギー密度かつ安定したサイクル特性を得ることができるため、さらに好ましい。
このような負極材料を構成可能な金属あるいは半金属としては、スズ(Sn)、鉛(Pb)、マグネシウム、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、ケイ素(Si)、インジウム(In)、ジルコニウム(Zr)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、アンチモン(Sb)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ヒ素(As)、ハフニウム(Hf)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)等が挙げられる。
中でも、この負極材料として短周期型周期表における4B族の金属元素あるいは半金属元素の単体またはこれらを構成元素として含む合金または化合物が好ましく、特に好ましいのはケイ素およびスズの少なくとも一方を構成元素として含むものである。ケイ素およびスズは、リチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高エネルギー密度を得ることができる。
スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素,ニッケル,銅,鉄,コバルト,マンガン,亜鉛,インジウム,銀,チタン(Ti),ゲルマニウム,ビスマス,アンチモン(Sb),およびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ,ニッケル,銅,鉄,コバルト,マンガン,亜鉛,インジウム,銀,チタン,ゲルマニウム,ビスマス,アンチモンおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
スズの化合物あるいはケイ素の化合物としては、例えば、酸素(O)あるいは炭素(C)を含むものが挙げられ、スズまたはケイ素に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
また、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料として、更に、他の金属化合物あるいは高分子材料が挙げられる。他の金属化合物としては、NiS,MoSなどの硫化物、あるいはLiN3などのリチウム窒化物が挙げられ、高分子材料としてはポリアセチレンなどが挙げられる。
結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエンゴム等が用いられる。また、溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン、メチルエチルケトン等が用いられる。
上述の負極活物質、結着剤、導電剤を均一に混合して負極合剤とし、溶剤中に分散させて負極合剤スラリーにする。次いで、正極と同様の方法により負極集電体上に均一に塗布した後、高温で乾燥させて溶剤を除去することにより負極活物質層2aが形成される。
負極2も正極1と同様に、負極集電体の一端部にスポット溶接または超音波溶接で接続された負極端子5bを有しており、この負極端子5bは電気化学的および化学的に安定であり、導通がとれるものであれば金属でなくとも問題はない。負極端子5bの材料としては、例えば銅、ニッケル等が挙げられる。
なお、正極端子5aおよび負極端子5bは同じ方向から導出されていることが好ましいが、短絡等が起こらず電池性能にも問題がなければ、どの方向から導出されていても問題はない。また、正極端子5aおよび負極端子5bの接続箇所は、電気的接触がとれているのであれば取り付ける場所、取り付ける方法は上記の例に限られない。
[電解質]
非水溶媒としては、具体的には、少なくともプロピレンカーボネートおよびエチレンカーボネートを混合した溶媒を用いることができる。またこの混合溶媒を主溶媒とし、さらにγ−ブチロラクトン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、またはこれらの炭酸エステル類の水素をハロゲンに置換した溶媒等を1種類または複数種類混合しても良い。
非水溶媒としては、具体的には、少なくともプロピレンカーボネートおよびエチレンカーボネートを混合した溶媒を用いることができる。またこの混合溶媒を主溶媒とし、さらにγ−ブチロラクトン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、またはこれらの炭酸エステル類の水素をハロゲンに置換した溶媒等を1種類または複数種類混合しても良い。
このとき、プロピレンカーボネートがエチレンカーボネートに対して過剰に混合することにより高温充電保存時の電解質の分解によるガス発生を抑制することができる。また、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロエチレンカーボネート、スピロジラクトンおよび無水コハク酸からなる群より選択される少なくとも1種の添加剤を添加することにより、初回充電時のプロピレンカーボネートの分解によるガス発生を抑制することができる。
ガス発生による電池膨れや、電池の初期効率が特に優れた電池とするためには、エチレンカーボネートに対するプロピレンカーボネートの質量比率(以下、PC/EC比と適宜称する。)が1.50以上9.00以下となるように構成するのが最適である。
また、添加剤としてビニレンカーボネートを用いる場合、その添加量が、0.05wt%以上3.0wt%以下であることが好ましい。
また、添加剤としてビニルエチレンカーボネートを用いる場合、その添加量が、0.05wt%以上3.0wt%以下であることが好ましい。
また、添加剤として4−フルオロエチレンカーボネートを用いる場合、その添加量が、0.05wt%以上2.0wt%以下であることが好ましい。
また、添加剤としてスピロジラクトンを用いる場合、その添加量が、0.05wt%以上3.0wt%以下であることが好ましい。
また、添加剤として無水コハク酸を用いる場合、その添加量が、0.05wt%以上3.0wt%以下であることが好ましい。
添加剤の添加量は、0.05wt%以上とすることで、初期効率をより向上させることができる。また、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、スピロジラクトンおよび無水コハク酸を用いる場合には3.0wt%以下、4−フルオロエチレンカーボネートを用いる場合には2.0wt%の添加量とすることで、高温充電保存時の電池内部でのガス発生をより抑制することができる。
添加剤は、添加量が少なすぎると初期効率を向上させる効果が小さく、添加量が多すぎると高温充電保存時に添加剤の分解にともなうガス発生が生じ、電池膨れが大きくなってしまう。ここで、電池の初期効率とは、電池作製後の初回充電量に対する初回放電量の割合であり、充電量に対してどれだけ放電できているかを表すものである。
高温雰囲気中等の厳しい条件下や充電電圧が4.25V以上の場合にはエチレンカーボネートが酸化分解しやすい。これに対し、プロピレンカーボネートは酸化環境下でも安定である。このため、プロピレンカーボネートが過剰となるようにして溶媒を混合することにより、電解質の酸化分解にともなう二酸化炭素発生量を抑制することができる。このため、電池膨れを抑制することができる。
また上述の混合溶媒に、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロエチレンカーボネート、スピロジラクトンおよび無水コハク酸からなる群より選択される少なくとも1種の添加剤を添加することにより、負極活物質上におけるプロピレンカーボネートの還元分解にともなうガス発生を抑制することができる。溶媒は、エチレンカーボネートに対してプロピレンカーボネートを過剰に混合した混合溶媒であるため、正極近傍でのエチレンカーボネートの酸化分解は抑制できる。一方、負極近傍ではプロピレンカーボネートの還元分解が増大するおそれがある。そこで、プロピレンカーボネートよりも高い電圧で還元分解されるビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロエチレンカーボネート、スピロジラクトンおよび無水コハク酸のような添加剤を電解質中に加えることにより、プロピレンカーボネートの還元分解が開始される前に添加剤が分解して負極表面に皮膜が形成され、プロピレンカーボネートの還元分解を抑制することができる。
なお、非水電解質は、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの質量比率および添加剤の添加量がともに上述の範囲内となるように構成することにより、初期効率90%以上、電池膨れ0.50mm以下という優れた効果を得ることができるものである。
電解質塩としては、上述の電解質に用いられる材料を使用することが可能である。具体的には、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiAsF6、LiCF3SO3、LiC(SO2CF3)33等のリチウム塩を挙げることができるが、酸化安定性の点からLiPF6、LiBF4が望ましい。これらリチウム塩は単独で用いても複数種類を混合して用いても良い。リチウム塩を溶解する濃度として、上記溶媒に溶解することができる濃度であれば問題ないが、リチウムイオン濃度が非水溶媒に対して0.4mol/kg以上、2.0mol/kg以下の範囲であることが好ましい。
ゲル状電解質は、上述の電解液をマトリクスポリマーでゲル化して用いる。マトリクスポリマーは、上記非水溶媒に上記電解質塩が溶解されてなる非水電解液に相溶可能であり、ゲル化できるものであればよい。このようなマトリクスポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリロニトリルが挙げられる。このようなポリマーは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
その中でも特に好ましいのは、マトリクスポリマーとして、ポリフッ化ビニリデンまたはフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体である。このようなポリマーは重量平均分子量が2.0×105から1.0×106(20万〜100万)の範囲である。
[セパレータ]
セパレータ3は、例えばポリエチレン(PE)あるいはポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン系の材料よりなる多孔質膜により構成されており、2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。
セパレータ3は、例えばポリエチレン(PE)あるいはポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン系の材料よりなる多孔質膜により構成されており、2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。
このとき、セパレータ3の厚みは3〜20μmが好ましい。セパレータ3は、厚みが3μm未満であると膜の機械的強度が低下してしまい、電池内部でショートが発生してしまう。また、厚みが20μmを超えた場合、電池のサイクル数が増大するにつれて容量劣化が著しくなってしまう。また、活物質の充填量が低下して電池容量が低下するとともに、イオン伝導性が低下して電流特性が低下する。
2種以上の多孔質膜を積層した構造とする場合は、たとえば基材層と、基材層の表面に設けられた表面層から構成されるようにし、基材層上の正極に対向する側の面に表面層を設けた2層構造、あるいは基材層の両面に表面層が設けられた3層構造となるようにする。
ここで、基材層は、たとえばポリエチレン(PE)の多孔質膜により構成され、表面層は、たとえばポリプロピレン(PP)の多孔質膜により構成されている。
[電池組み立て工程]
上述のような正極1と負極2に対してゲル電解質層を形成した後、セパレータ3bを介して積層して巻回し、電池素子7とした後、ラミネートフィルム8で外装し、電池素子7の周囲を熱融着することにより封止して非水電解質二次電池10とする。このような非水電解質二次電池10は、充電することにより開回路電圧が4.25V以上の高電圧を有する電池となるが、電解質を上述のように構成したことにより、電解質の酸化分解または還元分解によるガス発生量を抑制することができる。この結果、電池膨れが少なく、また電池の初期効率も良好となり、高電池特性を得るとともに、信頼性の高い非水電解質二次電池を得ることができる。
上述のような正極1と負極2に対してゲル電解質層を形成した後、セパレータ3bを介して積層して巻回し、電池素子7とした後、ラミネートフィルム8で外装し、電池素子7の周囲を熱融着することにより封止して非水電解質二次電池10とする。このような非水電解質二次電池10は、充電することにより開回路電圧が4.25V以上の高電圧を有する電池となるが、電解質を上述のように構成したことにより、電解質の酸化分解または還元分解によるガス発生量を抑制することができる。この結果、電池膨れが少なく、また電池の初期効率も良好となり、高電池特性を得るとともに、信頼性の高い非水電解質二次電池を得ることができる。
[他の実施の形態]
また、他の実施の形態として、電池構造は上述の実施の形態と同様であり、満充電時の開回路電圧を4.2V程度とした非水電解質二次電池に上述の構成の電解質を適用することもできる。満充電時の開回路電圧が4.2V程度の非水電解質電池であっても、高温保存時などの厳しい条件下においては、電解質の酸化分解により二酸化炭素などのガスが発生するという問題がある。
また、他の実施の形態として、電池構造は上述の実施の形態と同様であり、満充電時の開回路電圧を4.2V程度とした非水電解質二次電池に上述の構成の電解質を適用することもできる。満充電時の開回路電圧が4.2V程度の非水電解質電池であっても、高温保存時などの厳しい条件下においては、電解質の酸化分解により二酸化炭素などのガスが発生するという問題がある。
そこで、プロピレンカーボネートがエチレンカーボネートに対して過剰に混合され、かつビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロエチレンカーボネート、スピロジラクトンおよび無水コハク酸からなる群より選択される少なくとも1種の添加剤を添加した電解質を用いることにより、高温保存時等における電解質の酸化分解によるガス発生を抑制することができる。
このような非水電解質電池の場合でも、エチレンカーボネートに対するプロピレンカーボネートの質量比率(以下、PC/EC比と適宜称する。)が1.50以上9.00以下となるように構成することにより、ガス発生の抑制に特に優れた電池とすることができる。
また、添加剤としてビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、スピロジラクトンおよび無水コハク酸を用いる場合、その添加量が、0.05wt%以上3.0wt%以下であることが好ましい。
また、添加剤として4−フルオロエチレンカーボネートを用いる場合、その添加量が、0.05wt%以上2.0wt%以下であることが好ましい。
これにより、前述の非水電解質二次電池の場合と同様に、ガス発生の抑制と、電池の初期効率の向上とを両立させることができる。
以下、実施例によりこの発明を具体的に説明する。
(1)PC/EC比の検討
以下に示すように、充電終止電圧が4.2Vまたは4.4Vとなる仕様の非水電解質二次電池を作製し、適正なPC/EC比を検討する。
以下に示すように、充電終止電圧が4.2Vまたは4.4Vとなる仕様の非水電解質二次電池を作製し、適正なPC/EC比を検討する。
(i)4.2V仕様の電池の場合(実施例1〜実施例3、比較例1〜比較例3)
<実施例1>
[正極の作製]
LiCoO2粉末と、導電剤としてグラファイトと、結着剤としてポリフッ化ビニリデンとを、LiCoO2粉末:グラファイト:ポリフッ化ビニリデン=90:5:5の質量比で混合して正極合剤を調製した。続いて、この正極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとし、厚み20μmの帯状アルミニウム箔よりなる正極集電体の両面に均一に塗布した。次いで、乾燥工程を経てロールプレス機で圧縮成型して正極活物質層を形成した後、50mm×350mmとなるように切り出し、正極を作製した。また、正極集電体の一端部にアルミニウム製の正極端子を接続した。
<実施例1>
[正極の作製]
LiCoO2粉末と、導電剤としてグラファイトと、結着剤としてポリフッ化ビニリデンとを、LiCoO2粉末:グラファイト:ポリフッ化ビニリデン=90:5:5の質量比で混合して正極合剤を調製した。続いて、この正極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとし、厚み20μmの帯状アルミニウム箔よりなる正極集電体の両面に均一に塗布した。次いで、乾燥工程を経てロールプレス機で圧縮成型して正極活物質層を形成した後、50mm×350mmとなるように切り出し、正極を作製した。また、正極集電体の一端部にアルミニウム製の正極端子を接続した。
[負極の作製]
負極活物質として、平均粒子径が30μmの球状黒鉛粉末と、結着剤としてポリフッ化ビニリデンとを、球状黒鉛粉末:ポリフッ化ビニリデン=95:5の質量比で混合して負極合剤を調製した。次いで、この負極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤スラリーとし、厚み15μmの帯状銅箔よりなる負極集電体の両面に均一に塗布した。続いて、乾燥工程を経てロールプレス機で圧縮成型して負極活物質層を形成した後、52mm×370mmとなるように切り出し、負極を作製した。その後、負極集電体の一端部にニッケル製の負極端子を接続した。なお、負極の容量がリチウムの吸蔵および放出による容量成分により表されるように、正極と負極との容量比を設計した。
負極活物質として、平均粒子径が30μmの球状黒鉛粉末と、結着剤としてポリフッ化ビニリデンとを、球状黒鉛粉末:ポリフッ化ビニリデン=95:5の質量比で混合して負極合剤を調製した。次いで、この負極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤スラリーとし、厚み15μmの帯状銅箔よりなる負極集電体の両面に均一に塗布した。続いて、乾燥工程を経てロールプレス機で圧縮成型して負極活物質層を形成した後、52mm×370mmとなるように切り出し、負極を作製した。その後、負極集電体の一端部にニッケル製の負極端子を接続した。なお、負極の容量がリチウムの吸蔵および放出による容量成分により表されるように、正極と負極との容量比を設計した。
[ゲル状電解質の作製]
プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートとをPC:EC=60:40(PC/EC比=1.50)として混合溶媒を作製した。また、この混合溶媒に、添加剤としてビニレンカーボネートを2.0wt%を添加し、電解質塩としてLiPF6を0.7mol/kgの濃度で溶解させて電解液を作製した。次いで、この電解液をフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体に保持させ、ゲル状電解質とした。なお、共重合体におけるヘキサフルオロプロピレンの割合は6.9wt%とした。
プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートとをPC:EC=60:40(PC/EC比=1.50)として混合溶媒を作製した。また、この混合溶媒に、添加剤としてビニレンカーボネートを2.0wt%を添加し、電解質塩としてLiPF6を0.7mol/kgの濃度で溶解させて電解液を作製した。次いで、この電解液をフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体に保持させ、ゲル状電解質とした。なお、共重合体におけるヘキサフルオロプロピレンの割合は6.9wt%とした。
[電池組み立て工程]
さらに、作製した正極および負極のそれぞれについて、正極および負極の両面にゲル状電解質層を形成し、セパレータを介して積層、巻回して電池素子とした。次いで、この電池素子をラミネートフィルムにて外装し、電池素子の周囲を封止して非水電解質二次電池を作製した。
さらに、作製した正極および負極のそれぞれについて、正極および負極の両面にゲル状電解質層を形成し、セパレータを介して積層、巻回して電池素子とした。次いで、この電池素子をラミネートフィルムにて外装し、電池素子の周囲を封止して非水電解質二次電池を作製した。
<実施例2>
PC:EC=70:30(PC/EC比=2.33)とした以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
PC:EC=70:30(PC/EC比=2.33)とした以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
<実施例3>
PC:EC=90:10(PC/EC比=9.00)とした以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
PC:EC=90:10(PC/EC比=9.00)とした以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
<比較例1>
PC:EC=40:60(PC/EC比=0.67)とした以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
PC:EC=40:60(PC/EC比=0.67)とした以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
<比較例2>
PC:EC=50:50(PC/EC比=1.00)とした以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
PC:EC=50:50(PC/EC比=1.00)とした以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
<比較例3>
PC:EC=95:5(PC/EC比=19.0)とした以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
PC:EC=95:5(PC/EC比=19.0)とした以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
このような非水電解質二次電池について、それぞれ以下に示す方法により(a)初期効率、(b)高温充電保存特性を評価した。
(a)初期効率の評価
作製した実施例および比較例の各電池について、初期効率を次のようにして調べた。まず、23℃で0.1Cの定電流定電圧充電を上限4.2Vまで総充電時間を12時間として行い、続いて23℃で0.2Cの定電流放電を終止電圧3.0Vまで行うことにより充放電を行った。初期効率は、このときの充電容量に対する放電容量の維持率、すなわち(放電容量/充電容量)×100(%)から求めた。
作製した実施例および比較例の各電池について、初期効率を次のようにして調べた。まず、23℃で0.1Cの定電流定電圧充電を上限4.2Vまで総充電時間を12時間として行い、続いて23℃で0.2Cの定電流放電を終止電圧3.0Vまで行うことにより充放電を行った。初期効率は、このときの充電容量に対する放電容量の維持率、すなわち(放電容量/充電容量)×100(%)から求めた。
(b)高温充電保存特性の評価
また、高温充電保存特性を次のようにして調べた。まず、23℃で1Cの定電流定電圧充電を上限4.2Vまで総充電時間を2.5時間として行った。そののち、80℃で5日間保存した。高温充電保存特性は、保存後における電池の膨れ量、すなわち、(保存後の電池の厚み)−(保存前の電池の厚み)から求めた。
また、高温充電保存特性を次のようにして調べた。まず、23℃で1Cの定電流定電圧充電を上限4.2Vまで総充電時間を2.5時間として行った。そののち、80℃で5日間保存した。高温充電保存特性は、保存後における電池の膨れ量、すなわち、(保存後の電池の厚み)−(保存前の電池の厚み)から求めた。
以下の表1に、PC/EC比と、初期効率および高温充電保存特性の評価結果を示す。
上記結果より、4.2Vの非水電解質二次電池において、PC/EC比が9.00以下の場合に初期効率が90%以上となり、特に優れた効果を確認することができた。また、PC/EC比が1.50以上の場合に高温充電保存時の電池膨れが0.50mm以下となり、特に優れた効果を確認することができた。これら結果から、PC/EC比が1.50以上9.00以下の範囲内にある場合、初期効率90%以上かつ高温充電保存時の電池膨れ0.50mm以下となり、特に高い電池特性の電池を得ることができることがわかる。
(ii)4.4V仕様の電池の場合(実施例4〜実施例6、比較例4〜比較例6)
充電終止電圧が4.4Vとなる仕様の非水電解質二次電池を作製し、4.2V仕様の電池と同様に初期効率および高温充電保存特性の評価を行った。なお、この電池は、充電終止電圧を変えても正極および負極の容量比が4.2V仕様の電池と同等となるように、正極活物質層および負極活物質層の塗布量を調整した。
充電終止電圧が4.4Vとなる仕様の非水電解質二次電池を作製し、4.2V仕様の電池と同様に初期効率および高温充電保存特性の評価を行った。なお、この電池は、充電終止電圧を変えても正極および負極の容量比が4.2V仕様の電池と同等となるように、正極活物質層および負極活物質層の塗布量を調整した。
<実施例4>
PC:EC=60:40(PC/EC比=1.50)とし、正極活物質層および負極活物質層の塗布量を変えた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
PC:EC=60:40(PC/EC比=1.50)とし、正極活物質層および負極活物質層の塗布量を変えた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
<実施例5>
PC:EC=70:30(PC/EC比=2.33)とした以外は実施例4と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
PC:EC=70:30(PC/EC比=2.33)とした以外は実施例4と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
<実施例6>
PC:EC=90:10(PC/EC比=9.00)とした以外は実施例4と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
PC:EC=90:10(PC/EC比=9.00)とした以外は実施例4と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
<比較例4>
PC:EC=40:60(PC/EC比=0.67)とした以外は実施例4と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
PC:EC=40:60(PC/EC比=0.67)とした以外は実施例4と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
<比較例5>
PC:EC=50:50(PC/EC比=1.00)とした以外は実施例4と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
PC:EC=50:50(PC/EC比=1.00)とした以外は実施例4と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
<比較例6>
PC:EC=95:5(PC/EC比=19.0)とした以外は実施例4と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
PC:EC=95:5(PC/EC比=19.0)とした以外は実施例4と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
このような非水電解質二次電池において、初期効率および高温充電保存特性を評価した。なお、測定(2)では、初期効率および高温充電保存特性の評価における充電工程の際、充電の上限電圧を4.4Vにした以外は4.2V仕様の電池と同様の方法を用いた。
以下の表1に、PC/EC比と、初期効率および高温充電保存特性の評価結果を示す。
上記結果より、充電終止電圧4.4V仕様の非水電解質二次電池においても、充電終止電圧4.2V仕様の非水電解質二次電池と同様に、PC/EC比が9.00以下の場合に初期効率が90%以上となり、特に優れた効果を確認することができた。また、PC/EC比が1.50以上の場合に高温充電保存時の電池膨れが0.50mm以下となり、特に優れた効果を確認することができた。これら結果から、PC/EC比が1.50以上9.00以下の範囲内にある場合、初期効率90%以上かつ高温充電保存時の電池膨れ0.50mm以下となり、高い電池特性の電池を得ることができることがわかった。
また、以下の表3に、4.2V仕様および4.4V仕様の各電池において、プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートとを40:60で混合して作製した電池に対する高温充電保存時の電池膨れ率を示す。
上記結果より、4.2V仕様および4.4V仕様の各電池において、プロピレンカーボネートをエチレンカーボネートに対して過剰に入れる程、高温充電保存時の電池膨れが抑制されることがわかり、ガス発生の抑制に効果的であると判断することができる。また、特に充電終止電圧が4.4Vの高充電電圧の非水電解質二次電池において優れた電池膨れ抑制効果を確認することができた。
(3)添加剤の添加量の検討
(i)ビニレンカーボネートを添加する場合(実施例7〜実施例18)
充電終止電圧が4.2Vおよび4.4Vとなる仕様の非水電解質二次電池をそれぞれ作製し、初期効率および高温充電保存時の電池膨れの測定を行った。各実施例および比較例の電池は、充電終止電圧を変えても正極および負極の容量比がそれぞれ同等となるように、正極活物質層および負極活物質層の塗布量を調整した。
(i)ビニレンカーボネートを添加する場合(実施例7〜実施例18)
充電終止電圧が4.2Vおよび4.4Vとなる仕様の非水電解質二次電池をそれぞれ作製し、初期効率および高温充電保存時の電池膨れの測定を行った。各実施例および比較例の電池は、充電終止電圧を変えても正極および負極の容量比がそれぞれ同等となるように、正極活物質層および負極活物質層の塗布量を調整した。
なお、実施例7〜実施例12は4.2V仕様の非水電解質二次電池を用いたものであり、実施例1と同様の方法により初期効率および高温充電保存時の電池膨れを評価した。また、実施例13〜実施例18は4.4V仕様の非水電解質二次電池を用いたものであり、実施例4と同様の方法により初期効率および高温充電保存時の電池膨れを評価した。
[正極・負極の作製]
正極および負極を実施例1と同様にして作製した。
正極および負極を実施例1と同様にして作製した。
[ゲル状電解質の作製]
プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートとの混合比をPC:EC=70:30(PC/EC比=2.33)として混合溶媒を作製し、ビニレンカーボネートの添加量を0.02wt%〜4.0wt%の範囲で添加量を変えてゲル状電解質を作製した。この後の工程は、実施例1と同様にした。
プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートとの混合比をPC:EC=70:30(PC/EC比=2.33)として混合溶媒を作製し、ビニレンカーボネートの添加量を0.02wt%〜4.0wt%の範囲で添加量を変えてゲル状電解質を作製した。この後の工程は、実施例1と同様にした。
以下の表4に、4.2V仕様電池を用いた場合のビニレンカーボネートの添加量、ならびに初期効率および高温充電保存時の電池膨れの測定結果を、表5に、4.4V仕様電池を用いた場合のビニレンカーボネートの添加量、ならびに初期効率および高温充電保存時の電池膨れの測定結果を示す。
上記結果より、4.2V仕様電池および4.4V仕様電池のそれぞれにおいて、ビニレンカーボネート添加量が0.05wt%以上の場合に初期効率が90%以上となり、特に優れた効果を確認することができた。また、ビニレンカーボネート添加量が3.0wt%以下の場合に高温充電保存時の電池膨れが0.50mm以下となり、特に優れた効果を確認することができた。これら結果から、ビニレンカーボネート添加量が0.05wt%以上3.0wt%以下の範囲内にある場合、初期効率90%以上かつ高温充電保存時の電池膨れ0.50mm以下となり、特に高い電池特性の電池を得ることができることがわかる。
(ii)ビニルエチレンカーボネートを添加する場合(実施例19〜実施例24)
充電終止電圧が4.4Vとなる仕様の非水電解質二次電池を作製し、実施例4と同様の方法により初期効率および高温充電保存時の電池膨れを評価した。
充電終止電圧が4.4Vとなる仕様の非水電解質二次電池を作製し、実施例4と同様の方法により初期効率および高温充電保存時の電池膨れを評価した。
[正極・負極の作製]
正極および負極を実施例1と同様にして作製した。
正極および負極を実施例1と同様にして作製した。
[ゲル状電解質の作製]
プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートとの混合比をPC:EC=70:30(PC/EC比=2.33)として混合溶媒を作製し、ビニルエチレンカーボネートの添加量を0.02wt%〜4.0wt%の範囲で添加量を変えてゲル状電解質を作製した。この後の工程は、実施例1と同様にした。
プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートとの混合比をPC:EC=70:30(PC/EC比=2.33)として混合溶媒を作製し、ビニルエチレンカーボネートの添加量を0.02wt%〜4.0wt%の範囲で添加量を変えてゲル状電解質を作製した。この後の工程は、実施例1と同様にした。
以下の表6に、ビニルエチレンカーボネートの添加量ならびに初期効率および高温充電保存時の電池膨れの測定結果を示す。
上記結果より、ビニルエチレンカーボネート添加量が0.05wt%以上の場合に初期効率が90%以上となり、特に優れた効果を確認することができた。また、ビニレンカーボネート添加量が3.0wt%以下の場合に高温充電保存時の電池膨れが0.50mm以下となり、特に優れた効果を確認することができた。これら結果から、ビニレンカーボネート添加量が0.05wt%以上3.0wt%以下の範囲内にある場合、初期効率90%以上かつ高温充電保存時の電池膨れ0.50mm以下となり、特に高い電池特性の電池を得ることができることがわかる。
(iii)4−フルオロエチレンカーボネートを添加する場合(実施例25〜実施例30)
充電終止電圧が4.4Vとなる仕様の非水電解質二次電池を作製し、実施例4と同様の方法により初期効率および高温充電保存時の電池膨れを評価した。
充電終止電圧が4.4Vとなる仕様の非水電解質二次電池を作製し、実施例4と同様の方法により初期効率および高温充電保存時の電池膨れを評価した。
[正極・負極の作製]
正極および負極を実施例1と同様にして作製した。
正極および負極を実施例1と同様にして作製した。
[ゲル状電解質の作製]
プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートとの混合比をPC:EC=70:30(PC/EC比=2.33)として混合溶媒を作製し、4−フルオロエチレンカーボネートの添加量を0.02wt%〜4.0wt%の範囲で添加量を変えてゲル状電解質を作製した。この後の工程は、実施例1と同様にした。
プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートとの混合比をPC:EC=70:30(PC/EC比=2.33)として混合溶媒を作製し、4−フルオロエチレンカーボネートの添加量を0.02wt%〜4.0wt%の範囲で添加量を変えてゲル状電解質を作製した。この後の工程は、実施例1と同様にした。
以下の表7に、4−フルオロエチレンカーボネートの添加量ならびに初期効率および高温充電保存時の電池膨れの測定結果を示す。
上記結果より、4−フルオロエチレンカーボネート添加量が0.05wt%以上の場合に初期効率が90%以上となり、特に優れた効果を確認することができた。また、4−フルオロエチレンカーボネート添加量が2.0wt%以下の場合に高温充電保存時の電池膨れが0.50mm以下となり、特に優れた効果を確認することができた。これら結果から、4−フルオロエチレンカーボネート添加量が0.05wt%以上2.0wt%以下の範囲内にある場合、初期効率90%以上かつ高温充電保存時の電池膨れ0.50mm以下となり、特に高い電池特性の電池を得ることができることがわかる。
(iv)スピロジラクトンを添加する場合(実施例31〜実施例36)
充電終止電圧が4.4Vとなる仕様の非水電解質二次電池を作製し、実施例4と同様の方法により初期効率および高温充電保存時の電池膨れを評価した。
充電終止電圧が4.4Vとなる仕様の非水電解質二次電池を作製し、実施例4と同様の方法により初期効率および高温充電保存時の電池膨れを評価した。
[正極・負極の作製]
正極および負極を実施例1と同様にして作製した。
正極および負極を実施例1と同様にして作製した。
[ゲル状電解質の作製]
プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートとの混合比をPC:EC=70:30(PC/EC比=2.33)として混合溶媒を作製し、スピロジラクトンの添加量を0.02wt%〜4.0wt%の範囲で添加量を変えてゲル状電解質を作製した。この後の工程は、実施例1と同様にした。
プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートとの混合比をPC:EC=70:30(PC/EC比=2.33)として混合溶媒を作製し、スピロジラクトンの添加量を0.02wt%〜4.0wt%の範囲で添加量を変えてゲル状電解質を作製した。この後の工程は、実施例1と同様にした。
以下の表8に、スピロジラクトンの添加量ならびに初期効率および高温充電保存時の電池膨れの測定結果を示す。
上記結果より、スピロジラクトン添加量が0.05wt%以上の場合に初期効率が90%以上となり、特に優れた効果を確認することができた。また、スピロジラクトン添加量が3.0wt%以下の場合に高温充電保存時の電池膨れが0.50mm以下となり、特に優れた効果を確認することができた。これら結果から、スピロジラクトン添加量が0.05wt%以上3.0wt%以下の範囲内にある場合、初期効率90%以上かつ高温充電保存時の電池膨れが0.50mm以下となり、特に高い電池特性の電池を得ることができることがわかる。
(v)無水コハク酸を添加する場合(実施例37〜実施例42)
充電終止電圧が4.4Vとなる仕様の非水電解質二次電池を作製し、実施例4と同様の方法により初期効率および高温充電保存時の電池膨れを評価した。
充電終止電圧が4.4Vとなる仕様の非水電解質二次電池を作製し、実施例4と同様の方法により初期効率および高温充電保存時の電池膨れを評価した。
[正極・負極の作製]
正極および負極を実施例1と同様にして作製した。
正極および負極を実施例1と同様にして作製した。
[ゲル状電解質の作製]
プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートとの混合比をPC:EC=70:30(PC/EC比=2.33)として混合溶媒を作製し、無水コハク酸の添加量を0.02wt%〜4.0wt%の範囲で添加量を変えてゲル状電解質を作製した。この後の工程は、実施例1と同様にした。
プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートとの混合比をPC:EC=70:30(PC/EC比=2.33)として混合溶媒を作製し、無水コハク酸の添加量を0.02wt%〜4.0wt%の範囲で添加量を変えてゲル状電解質を作製した。この後の工程は、実施例1と同様にした。
以下の表9に、無水コハク酸の添加量ならびに初期効率および高温充電保存時の電池膨れの測定結果を示す。
上記結果より、無水コハク酸添加量が0.05wt%以上の場合に初期効率が90%以上となり、特に優れた効果を確認することができた。また、無水コハク酸添加量が3.0wt%以下の場合に高温充電保存時の電池膨れが0.50mm以下となり、特に優れた効果を確認することができた。これら結果から、無水コハク酸添加量が0.05wt%以上3.0wt%以下の範囲内にある場合、初期効率90%以上かつ高温充電保存時の電池膨れが0.50mm以下となり、特に高い電池特性の電池を得ることができることがわかる。
このように、プロピレンカーボネートおよびエチレンカーボネートを含み、プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートの混合比率を適切に調整し、かつビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロエチレンカーボネート、スピロジラクトンおよび無水コハク酸からなる群より選択される少なくとも1種の添加剤を適量含有させた電解質を用いることにより、任意の電池電圧を有する非水電解質二次電池において、初期効率および高温充電保存時の電池膨れを両立し、優れた電池特性を得ることができる。
以上、この発明の実施の形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施の形態において挙げた数値・材料・手順はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値・材料・手順を用いてもよい。
また、この発明は、高温、高充電電圧時のガス発生という問題が生じる円筒型、角型、扁平型、シート型、コイン型およびボタン型等のいずれの形状においても適用することができる。
1・・・正極
1a・・・正極活物質層
1b・・・正極集電体
2・・・負極
2a・・・負極活物質層
2b・・・負極集電体
3a,3b・・・セパレータ
4・・・電解質
5a・・・正極端子
5b・・・負極端子
6a,6b・・・シーラント
7・・・電池素子
8・・・ラミネートフィルム
8a・・・電池素子収容部
10・・・非水電解質二次電池
1a・・・正極活物質層
1b・・・正極集電体
2・・・負極
2a・・・負極活物質層
2b・・・負極集電体
3a,3b・・・セパレータ
4・・・電解質
5a・・・正極端子
5b・・・負極端子
6a,6b・・・シーラント
7・・・電池素子
8・・・ラミネートフィルム
8a・・・電池素子収容部
10・・・非水電解質二次電池
Claims (9)
- 正極および負極と、上記正極および上記負極の間に設けられた電解質とを備えた非水電解質二次電池であって、
上記電解質は、溶媒としてプロピレンカーボネートとエチレンカーボネートと添加剤とを少なくとも含有し、
上記プロピレンカーボネートが上記エチレンカーボネートに対して過剰に混合され、
上記添加剤は、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロエチレンカーボネート、スピロジラクトンおよび無水コハク酸からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする非水電解質二次電池。 - 満充電状態における単セルあたりの開回路電圧が4.20V以上6.00V以下であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
- 満充電状態における単セルあたりの開回路電圧が4.25V以上6.00V以下であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
- 上記エチレンカーボネートに対する上記プロピレンカーボネートの質量比率が1.50以上9.00以下であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
- 上記ビニレンカーボネートの添加量が、0.05wt%以上3.0wt%以下であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
- 上記ビニルエチレンカーボネートの添加量が、0.05wt%以上3.0wt%以下であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
- 上記4−フルオロエチレンカーボネートの添加量が、0.05wt%以上2.0wt%以下であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
- 上記スピロジラクトンの添加量が、0.05wt%以上3.0wt%以下であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
- 上記無水コハク酸の添加量が、0.05wt%以上3.0wt%以下であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2005
- 2005-12-20 JP JP2005367264A patent/JP2007172947A/ja active Pending
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