JP2010248176A - 9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高純度で、しかも工業的に、簡易に、特に溶媒回収が容易であり、高収率で得ら
れる9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンの製造方法を提供する。
【解決手段】9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の脂肪族ケトン付加
物を、該脂肪族ケトン溶媒又は該脂肪族ケトンと水の混合溶媒の存在下に、前記付加物が
分解する温度以上に昇温して前記付加物を分解及び溶解した後、冷却し、析出した脂肪族
ケトン付加物を分離し、精製脂肪族ケトン付加物を得る。その後、精製脂肪族ケトン付加物より該脂肪族ケトンを乾燥除去して9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類を製造する。
【選択図】なし
Description
ン類を高純度で得る為の製造方法に関する。詳細には、単一の脂肪族ケトン溶媒乃至単一
の脂肪族ケトンと水の混合溶媒を用いて9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオ
レン類を製造する方法に関する。
4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類は、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ
エステル等の製造原料、感熱紙の保存安定剤、顕色剤、酸化防止剤、ゴムの劣化防止剤等
として有用な化合物類である。例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェ
ニル)フルオレンは、カルド構造と呼ばれる立体配置を持ち、その多数の芳香環により、
高屈折率、高耐熱性を示し、さらに各芳香環がそれぞれ異なる向きに面することから、光
学的異方性を打ち消して低複屈折となる性質も持っているため、光学用途系モノマーとし
て有用な化合物である。
類2分子と、相当する9−フルオレノン類とを、酸触媒存在下に脱水縮合し、得られた反
応終了混合物を再結晶等の方法で精製して製造される。その際、反応終了混合物からの粗
製9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の分離、あるいは分離された粗
製9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の精製において、純度よく高い
歩留まりで目的物を分離精製するために、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フル
オレン類と付加物を形成する化合物を添加し、その付加物を結晶として分離するという方
法が知られている。
として、反応終了後、未反応フェノールを留去し、得られた9,9−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)フルオレンを含む反応液にジエチルエーテル、アセトン等を加えて、析出し
た結晶を分離し、次いで此れにトルエンを加えて再結晶・分離・乾燥する方法が知られて
いる(特許文献1)。しかしながらこの精製方法では、1種以上の有機溶剤を使用し、また操作も煩雑で収率も低いという問題がある。
して、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンを含む反応終了混合液に低級
脂肪族アルコールと低級脂肪族ケトンを含む混合溶媒を加えて晶析を行う方法(特許文献
2)、或いはビスフェノールフルオレン類をホスト化合物とし、アセトニトリル、アセト
ン等をゲスト化合物としたホストゲスト錯体を、炭化水素溶媒中で分解または溶解を行い
、次いでゲスト化合物を蒸留除去してビスフェノールフルオレン類を精製する方法(特許
文献3)などが知られている。しかしながらこれらの精製方法では、一種以上の或いは混
合有機溶媒を使用しており工業的に大量生産するには、溶媒を回収使用する事が困難であ
るという問題がある。
塩酸と共に生成水を留去した後、ニトリルを加えて晶析を行う方法(特許文献4)も知ら
れている。この精製方法では、単一の有機溶媒を用いるが、溶媒のニトリル類は高価で、
毒性もあり、また高純度品を得るには、低温で洗浄を行うとか、複数回の晶析を行う必要
があり、工業的方法としては問題がある。
光学的特性が要求される用途にも用いることのできる程度に着色がなく高純度であり、し
かも工業的に、簡易に、特に溶媒回収が容易であり、高収率で得られる9,9−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)フルオレンの製造方法を提供することを課題とする。
ロキシフェニル)フルオレン類と脂肪族ケトンとは、付加物を形成する性質があるが、当
該脂肪族ケトン溶媒中において、該付加物の分解温度以上での溶解度と該付加物が安定な
温度での溶解度の差が著しく大きいことを見出し、例えばアセトン付加物は、アセトン中
、常圧下では、アセトンの沸点付近でも分解温度以下であり全く溶解しないか、ほとんど
溶解しないので精製効果がないが、加圧下で更に昇温してアセトン付加物の分解温度付近
になるとアセトン溶媒中で急に溶解度が上昇することが判明し、その性質を利用すると、
単一の安価な有機溶剤を用いて高純度に精製することが可能であり、また溶剤の回収が極
めて簡易となり、従って、高純度で色相の良い9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
フルオレン類を高収率で経済性よく容易に得られることを見出し本発明に至った。
族ケトン付加物を、該脂肪族ケトン溶媒又は該脂肪族ケトンと水の混合溶媒の存在下に、
前記付加物が分解する温度以上に昇温して前記付加物を分解及び溶解した後、冷却し、析
出した脂肪族ケトン付加物を分離し、精製脂肪族ケトン付加物を得ることを特徴とする9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の製造方法が提供される。
また、前記得られた精製脂肪族ケトン付加物より該脂肪族ケトンを乾燥除去することを特徴とする9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の製造方法が提供される。
混合溶媒を用いているので、有機溶媒を分離する必要がなく、溶媒の再利用が容易で工業
的製造法として優位である。また、脂肪族ケトンと水の混合溶媒を用いた場合には、低金
属の精製品を得ることができ、付加物の分解温度または溶解温度も低く押さえることがで
きる。
いることにより、純度99.0%以上の9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の精製脂肪族ケトン付加物を得ることができ、その後、この精製脂肪族ケトン付加物から該脂肪族ケトンを乾燥除去することにより純度99.0%以上の高純度9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類を収率よく製造することができる。また、得られた9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の色相は、着色がなく、高い透明性あるいは光透過性を有する。
て、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類としては、下記一般式(1)
で表される。
(式中、R1〜R3はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数4以下のアルキル基であ
り、nは0または1〜3の整数であり、但しnが2以上の場合、R3は同一であっても異
なっていてもよい。)
キル基としては、具体的には例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル
基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などを挙げることがで
きる。
り、より好ましくは、R1、R2が水素原子であり、nが1である場合である。最も好ま
しくは下記式で表される9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレ
ンである。
とフェノール類とを酸触媒の存在下に脱水縮合する公知の方法により得ることができる。
原料フルオレノン類としては一般式(1)で表される9,9−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)フルオレン類のフルオレン基に対応して、例えば、9−フルオレノン、2−メチル
−9−フルオレノン、1,8−ジメチル−9−フルオレノンなどが挙げられる。また、原
料フェノール類としては、同様に一般式(1)で表される9,9−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)フルオレン類のヒドロキシフェニル基に対応して、例えば、フェノール、o−
クレゾール、2−イソプロピルフェノ−ル、2,5−キシレノール、2,6−キシレノー
ル、2−t−ブチルフェノールなどが挙げられる。
本発明においては、このようにして得られた9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
フルオレン類に脂肪族ケトンを添加して形成された脂肪族ケトン付加物を、該脂肪族ケト
ン溶媒又は該脂肪族ケトンと水の混合溶媒の存在下に、前記付加物が分解する温度以上に
昇温して前記付加物を分解及び溶解した後、冷却し、析出した脂肪族ケトン付加物を分離
し、精製脂肪族ケトン付加物を得、その後、得られた精製脂肪族ケトン付加物より該脂肪族ケトンを乾燥除去して高純度の9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類を得る。
媒としては、例えば、塩酸、塩化水素ガス、60〜98%硫酸等の鉱酸、メタンスルホン
酸、固体酸等が適しているが、好ましくは塩化水素ガスであり、反応系の空気を窒素ガス
等の不活性ガスで置換した後、反応系が飽和となるように塩化水素ガスを吹き込むのがよ
い。その際、アルキルメルカプタン等のチオール類を前記酸触媒と併用すると反応が加速
するため好ましい。フルオレノン類とフェノール類のモル比(フェノール類/フルオレノ
ン類)は、通常2〜20の範囲、好ましくは4〜10の範囲であり、通常、有機溶媒は用
いなくてもよいが、フェノール類の凝固点を下げ酸触媒の反応を促進するため、少量の水
を添加してもよい。反応温度は、通常20〜60℃程度、好ましくは30〜50℃程度で
ある。このような条件において、反応は通常1〜20時間程度、好ましくは3〜10時間
程度で完結する。このようにして得られた反応終了混合液は溶液乃至スラリー液であり、
これに通常、酸触媒の中和のために、例えば水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリを加
えて中和し、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類を含む反応混合液を
得る。
ン付加物は、前記中和後の9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類を含む
反応混合液に、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類と付加物を形成し
得る脂肪族ケトンを添加して形成された脂肪族ケトン付加物を濾過等により分離して得ら
れたものであってもよく、また、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類
の粗結晶に同様に付加物を形成し得る脂肪族ケトンを添加して形成された脂肪族ケトン付
加物を濾過等により分離して得られたものであってもよい。本発明の製造方法においては
、精製工程が簡易である理由で、前記9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレ
ン類を含む反応混合液に脂肪族ケトンを添加して形成された脂肪族ケトン付加物を分離し
て得られたものが好ましい。
ができる。また、分離された付加物は、アルカリ、触媒等の不純物を除去するため、必要
に応じて水又は脂肪族ケトンと水の混合物により洗浄することが好ましい。具体的には例
えば、中和後の9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類を含む反応混合液
に付加物を形成し得る脂肪族ケトン又は脂肪族ケトンと水の混合物を添加した後、或いは
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の粗結晶に付加物を形成し得る脂
肪族ケトン又は脂肪族ケトンと水の混合物を添加した後、常温における溶媒の沸点より十
分低温で、結晶が十分析出する温度である、通常5〜40℃程度、好ましくは20〜30
℃程度まで冷却して析出した付加物を濾過分離し、これを好ましくは純水で洗浄すること
により本発明に係る前記脂肪族ケトン付加物を得ることができる。
、有機溶媒を用いないことが好ましく、また、前記付加物形成に用いる脂肪族ケトンは単
一のケトンが用いられる。
付加物形成に用いる脂肪族ケトンの使用量は、反応混合液から付加物の取り出しに用い
る場合、反応混合液中に含まれる9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類
に対して通常2〜20モル倍、好ましくは4〜10モル倍の脂肪族ケトンを添加すればよ
く、目的物以外のフェノール類や水分の量が多い程多目に必要となる。
付加物は、通常9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類1モルに対して
1モルまたは2モルの脂肪族ケトンが付加して形成される。
ニル)フルオレン類の脂肪族ケトン付加物に該脂肪族ケトン溶媒又は該脂肪族ケトンと水
の混合溶媒を加える。このような脂肪族ケトンは、前記付加物形成に用いた脂肪族ケトン
と同一の、単一の脂肪族ケトン溶媒が用いられる。
キシフェニル)フルオレンと付加物を形成することができ、しかも付加物分解温度以上で
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンまたは/及びその付加物が溶解し、
付加物分解温度以下では付加物に対しては貧溶媒である脂肪族ケトンである。具体的には
、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの炭素原子数3〜
6の脂肪族ケトンが挙げられる。特に、低沸点であり回収が容易である理由で、アセトン
が好ましい。
また、脂肪族ケトンと水の混合溶媒としては、脂肪族ケトン溶媒と水が均一に混合した
混合溶剤が好ましく、なかでもアセトンと水の混合溶媒が好ましい。
〜99/1の範囲、好ましくは60/40〜95/5の範囲、より好ましくは70/30
〜90/10の範囲である。
脂肪族ケトン溶媒又は該脂肪族ケトンと水の混合溶媒の添加量としては、操作上問題が
なければ特に制限はないが、多すぎると容積効率が低くなり、経済性が悪くなる。
〜20重量倍の範囲、好ましくは1〜10重量倍の範囲、更に好ましくは1.5〜5重量
倍の範囲である。
本発明に係る単一の脂肪族ケトンにおいては、付加物の形成及び/又は分解を妨げることがなく、溶剤回収に支障がない範囲において、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の脂肪族ケトン付加物に他の有機溶剤が付着している程度の、微量の他の有機溶剤を含んでいてもよい。
ェニル)フルオレン類の脂肪族ケトン付加物に該脂肪族ケトン溶媒又は該脂肪族ケトンと
水の混合溶媒を加えた後、前記付加物が分解する温度以上に昇温して前記付加物を分解及
び溶解する。付加物の分解及び溶解とは、付加物がすべて分解した後、溶解する、あるい
は、一部付加物のままで溶解し、残りは分解後に溶解して固体がなくなる状態であり、そ
の温度は脂肪族ケトン付加物を形成する脂肪族ケトン及び添加する脂肪族ケトン溶媒によ
り異なる。例えばアセトンの場合は通常70〜130℃程度、好ましくは75〜95℃程
度である。また、アセトンと水の混合溶媒の場合は、通常60〜130℃程度、好ましく
は65〜90℃程度である。
また、このように付加物が分解し溶解する温度を保つためには、付加物の分解温度が添
加する溶媒の沸点よりも高い場合は、加圧状態を維持する必要があり、例えば、アセトン
溶媒又はアセトンと水の混合溶媒の場合は、0.05〜0.65MPa(ゲージ圧)である
。
冷却温度は、付加物の分解温度未満で、常圧における溶剤の沸点より十分低温で、付加物
の結晶が十分析出する温度であれば特に制限はないが、通常0〜40℃程度の範囲、好ま
しくは15〜30℃程度の範囲である。このようにして析出した付加物は濾過等の方法に
より分離し、好ましくは分離して得られた付加物を溶媒で洗浄する。洗浄に用いる溶媒と
しては、貧溶媒で、乾燥時に蒸発させることができる溶媒であれば特に制限はないが、本
発明においては、付加物を形成した脂肪族ケトンと同一の脂肪族ケトン及び/又は水を用
いることが溶剤の回収が簡易である理由で好ましい。このようにして得られた精製脂肪族ケトン付加物は、純度99.0%以上の高純度9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の脂肪族ケトン付加物であり、該脂肪族ケトンを乾燥除去する必要のない用途においては、脂肪族ケトン付加物として用いることもできる。
得られた精製脂肪族ケトン付加物は、多量の脂肪族ケトンが付加しているが、脂肪族ケトンを除くと純度99.0%以上の高純度の9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類なので、脂肪族ケトン類の混入が好ましくない用途以外であれば用いることができるが、付加物を常圧又は減圧下に加温して乾燥することが好ましい。
通常、乾燥時に付加物が分解して脂肪族ケトンは除去される。
目的物の色相を良くする為には、乾燥の際、乾燥機系内は窒素等の不活性ガスで置換されていることが好ましい。
乾燥温度(最終温度)及び圧力は使用する溶剤によって異なるが、例えばアセトンの場
合、温度は通常90〜130℃の範囲、好ましくは90〜105℃の範囲であり、圧力(
絶対圧)は通常24.0〜101.3kPaの範囲、好ましくは53.3〜80.0kP
aの範囲である。
かくして、本発明の製造方法においては、有機溶媒として単一の脂肪族ケトン溶媒乃至
単一の脂肪族ケトンと水の混合溶媒のみを用いて純度99.0%以上の高純度9,9−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類を収率よく製造することができる。
攪拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を備えた1000ml容量の4つ口フラ
スコにo−クレゾール148.9g(1.38mol)、n−ドデシルメルカプタン3.
6g、水2.9gを仕込み、系内を窒素ガスで置換した後、内温40〜45℃を保ちながら、系内が飽和するまで塩化水素ガスを吹き込んだ。
フラスコ内温を40〜45℃に保ちながら、o−クレゾール106.5g(0.99m
ol)と9−フルオレノン71.0g(0.39mol)との混合液を撹拌下に1.5時
間かけて滴下した。滴下終了後、同温度を保ちながら5時間反応させて、赤白濁色スラリ
ーの反応液を得た。
反応終了後に12%水酸化ナトリウム水溶液83.6gを加えて中和した後、アセトン
142.2gを加えて、結晶を溶解させた。その後、26℃まで冷却し、析出した結晶を
ろ別して、蒸留水をかけて洗浄した。
得られた粗結晶187.1gとアセトン374.2gを1000mlの耐圧性ガラス容
器に仕込み、窒素ガスで置換した後、撹拌下に100℃まで昇温した。この時、初めは白
色スラリー状態であったが、内温80℃に達した時、溶解し始め、90℃で完全に溶解し
た。内温が100℃に達した後、冷却すると、68℃付近で多量の結晶が析出した。その
後、更に冷却し、26℃で結晶をろ別した後、アセトンをかけて洗浄し精製付加物の結晶を得た。得られた結晶を105〜107℃で減圧乾燥して、目的物である9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン129.0gを得た。
純度;99.6% (高速液体クロマトグラフィ−法)
融点;219.0℃ (示差走査熱量測定法)
攪拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を備えた1000ml容量の4つ口フラ
スコにo−クレゾール148.9g(1.38mol)を仕込み、系内を窒素ガスで置換
した後、内温40〜45℃を保ちながら、系内が飽和するまで塩化水素ガスを吹き込んだ
。次に15%メチルメルカプタンナトリウム水溶液5.2gを添加し、系内の圧力を常圧に保つように塩化水素ガスを更に吹き込んだ。
次にフラスコ内温を40〜45℃に保ちながらo−クレゾール106.5g(0.99
mol)と9−フルオレノン71.0g(0.39mol)との混合液を撹拌下に3時間
かけて滴下した。滴下終了後、同温度を保ちながら4時間反応させて、淡赤色スラリーの
反応液を得た。
反応終了後に16%水酸化ナトリウム水溶液68.7gを加え中和した。蒸留水75.
3gを加えた後、アセトン142.0gを加えて、結晶を溶解させた。その後、25℃ま
で冷却し、析出した結晶をろ別した後、蒸留水をかけて洗浄した。
得られた粗結晶188.4gとアセトン320.3gと蒸留水56.5gを1000m
lの耐圧性ガラス容器に仕込み、窒素ガスで置換した後、撹拌下に90〜95℃まで昇温
した。この時、初めは白色スラリー状態であったが、内温73℃に達した時、溶解し始め
、78℃で完全に溶解した。
内温が90℃に到達した後、撹拌下に30分保持した後冷却した。70℃付近で少量の
種晶を添加したところ、多量の結晶が析出した。その後、更に冷却し、27℃で結晶をろ
別した。ろ別した結晶にアセトン及び蒸留水をかけて洗浄し精製付加物の結晶を得た。
得られた結晶を95〜100℃で減圧乾燥し、目的物である9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン126.2gを得た。
純度;99.5% (高速液体クロマトグラフィ−法)
融点;219.1℃ (示差走査熱量測定法)
Claims (4)
- 9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の脂肪族ケトン付加物を、該脂
肪族ケトン溶媒又は該脂肪族ケトンと水の混合溶媒の存在下に、前記付加物が分解する温
度以上に昇温して前記付加物を分解及び溶解した後、冷却し、析出した脂肪族ケトン付加物を分離し、精製脂肪族ケトン付加物を得ることを特徴とする9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の製造方法。 - 9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の脂肪族ケトン付加物がフルオ
レノンとフェノール類とを酸触媒の存在下に脱水縮合して得られた9,9−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)フルオレン類を含む反応混合液に脂肪族ケトンを添加して形成された
脂肪族ケトン付加物を分離して得られたものである請求項1記載の9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の製造方法。 - 脂肪族ケトンがアセトンである請求項1又は請求項2に記載の9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の製造方法。
- 請求項1〜3に記載の方法により得られた9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の精製脂肪族ケトン付加物より、該脂肪族ケトンを乾燥除去することを特徴とする9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の製造方法。
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